JP5998589B2 - γ−Glu−Xを含有する酵母 - Google Patents

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Description

本発明は、一般式γ-Glu-X(Xはアミノ酸を表す)で表記されるγ−グルタミルジペプチドを含有する酵母、及び当該酵母を用いて調製される酵母エキスに関するものである。当該酵母エキスや酵母は食品分野で有用である。
γ−グルタミル化合物の1つであるグルタチオン(γ-Glu-Cys-Gly)はすべての生物が有する細胞内に最も多量に存在する非タンパク質性チオールである。グルタチオンは生体内において抗酸化作用、免疫支援、細胞毒の除去など生体維持に必要な様々な機能を有しており、医薬品、化粧品原料として用いられる。また、グルタチオンはコク味を有し、食品原料としても利用される。そのため、グルタチオンを安価に大量に生産することは重要である。グルタチオンは、例えば、グルタチオンを高生産する出芽酵母を分離して利用することにより、効率よく生産することが可能である(非特許文献1)。一方、グルタチオンの前駆体であるγ-Glu-Cysの有用性も明らかになりつつあり、γ-Glu-Cysを含有する酵母に関する研究も行われている(特許文献1〜3)。それらの研究の多くは、γ-Glu-Cysからグルタチオンを生合成するグルタチオン合成酵素の活性を破壊または弱化することにより、γ-Glu-Cys + Gly → γ-Glu-Cys-Glyの反応が進行することを阻害し、γ-Glu-Cysを蓄積させるものである。それに対し、もう一方の基質となるGlyの供給を制限する検討はなされていない。
また、近年、コク味受容体が特定され、グルタチオンだけでなく一般式γ-Glu-X-Glyであらわされるトリペプチドがコク味に関与することが明らかになった(非特許文献2)。グルタチオンの場合と同様に、前駆体となる一般式γ-Glu-Xであらわされるジペプチドの有用性も今後明らかになると思われる。例えば、γ-Glu-Abuやγ-Glu-nValなどがコク味に関与する例などがすでに報告されている。
酵母の細胞内でGlyは2つの経路で生合成されることが知られている。1つは、Thrを基質としてスレオニンアルドラーゼによって生成される経路であり(非特許文献3)、もう1つは、Serを基質としてセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼによって生成される経路である(非特許文献4)。このように、2つの生成経路があるため、たとえ1つの経路が欠損したとしても、もう1つの経路で必要量のGlyが細胞内で補充されると考えられる。
特許第04622204号 特許第04273689号 特許第04352877号
Appl Microbiol Biotechnol. DOI 10.1007/s00253-010-2968-6 (2010) J. Biol. Chem. 285(2): 1016-1022 (2010) Eur. J. Biochem. 245: 289-293 (1997) Genetics 140: 1213-1222 (1995)
本発明は、産業上の有用性が期待されるγ−グルタミルシステイン(γ-Glu-Cys)等の一般式γ-Glu-Xで表記されるγ−グルタミルジペプチドを高濃度に蓄積する酵母、当該酵母を利用したγ−グルタミルジペプチドを含有する酵母エキス、および当該酵母エキスを含有する飲食品、並びにそれらの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、γ−グルタミルシステイン合成酵素をコードするGSH1遺伝子の高発現によってγ-Glu-X合成能を強化した酵母において、さらに酵母細胞内でのGly生成酵素の一つであるスレオニンアルドラーゼの活性を低下させることで、細胞内の一般式γ-Glu-Xで表記されるγ−グルタミルジペプチドの蓄積量が増大することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通り例示できる。
[1]
γ−グルタミルジペプチド合成酵素の活性が増大し、かつグリシン生成酵素の活性が低下するよう改変された酵母。
[2]
γ−グルタミルジペプチド合成酵素をコードする遺伝子のコピー数を高めることにより、または該遺伝子の発現調節配列を改変することにより、γ−グルタミルジペプチド合成酵素の活性が増大するように改変された、前記酵母。
[3]
前記γ−グルタミルジペプチド合成酵素がγ−グルタミルシステイン合成酵素である、前記酵母。
[4]
グリシン生成酵素をコードする遺伝子の発現が弱化されることにより、または該遺伝子が破壊されることにより、グリシン生成酵素の活性が低下するように改変された、前記酵母。
[5]
前記グリシン生成酵素がスレオニンアルドラーゼである、前記酵母。
[6]
さらに、L−システインの生合成経路および/またはα−アミノ酪酸の生合成経路が強化されるよう改変された、前記酵母。
[7]
前記酵母がサッカロミセス属に属する酵母である、前記酵母。
[8]
前記酵母がサッカロミセス・セレビシエである、前記酵母。
[9]
前記酵母を原料として用いて酵母エキスを調製することを特徴とする、酵母エキスの製造方法。
[10]
前記酵母エキスを飲食品の原料に添加することを特徴とする、飲食品の製造方法。
[11]
前記酵母エキスを含有する飲食品。
本発明により、細胞内にγ-Glu-Cys等の一般式γ-Glu-Xで表記されるγ‐グルタミルジペプチドを高蓄積する酵母が提供される。それら酵母を原料として用いることにより、これらγ‐グルタミルジペプチドを含有する酵母エキスを効率的に製造でき、また、それら酵母エキスを利用して飲食品を製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)本発明の酵母
(1−1)本発明の酵母
本発明の酵母は、γ−グルタミルジペプチド合成酵素の活性が増大し、かつグリシン生成酵素の活性が低下するように改変された、酵母である。本発明の酵母は、細胞内にγ-Glu-Cys等の一般式γ-Glu-Xで表記されるγ‐グルタミルジペプチドを蓄積できる。本発明の酵母においては、細胞内のグリシン生成酵素の活性が低下することにより、細胞内でのグリシンの生合成を制限し、その生育を過度に悪化させることなく一般式γ-Glu-Xで表記されるγ‐グルタミルジペプチドの蓄積量が向上するのが好ましい。「生育を過度に悪化させることなく」とは、例えば、本発明の酵母の対数増殖期の生育速度が、野生株や親株等の非改変株と比較して、50%以上、70%以上、または90%以上維持されることであってよい。
本発明において、「γ−グルタミルジペプチド」とは、一般式γ-Glu-Xで表記される化合物をいう。式中、「Glu」はグルタミン酸を示す。また、式中、「-」はペプチド結合を表す。また、式中、「γ」とは、グルタミン酸のγ位のカルボキシル基を介してXが結合していることを意味する。
式中、「X」は、アミノ酸を表す。アミノ酸としては、例えば、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、プロリン(Pro)などの中性アミノ酸、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)などの酸性アミノ酸、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)などの塩基性アミノ酸、フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)などの芳香族アミノ酸、ノルバリン(NvaまたはnVal)、ノルロイシン(NleまたはnLeu)、tert‐ロイシン(tLeu)、ヒドロキシプロリン(Hyp)、α‐アミノ酪酸(Abu)、およびβ‐アミノ酪酸が挙げられる。なお、本発明において、アミノ酸は特記しない限りいずれもL−体である。
「X」は、Glyを除くアミノ酸から選択されるアミノ酸であるのが好ましい。
また、「X」は、Cys、Nva、Abuから選択されるアミノ酸であるのが好ましい。すなわち、γ−グルタミルジペプチドは、γ-Glu-Cys、γ-Glu-Nva、γ-Glu-Abuから選択される化合物であるのが好ましい。これらのγ−グルタミルジペプチドの機能としては、例えば、コク味付与作用が提唱されている。
本発明において、蓄積するγ−グルタミルジペプチドは、1種のみであってもよく、2種またはそれ以上であってもよい。
本発明の酵母は、酵母の適当な菌株、例えば後述する菌株を改変することで取得することができる。
本発明の酵母は、上記のように改変されγ−グルタミルジペプチドを細胞内に蓄積できる限り特に制限されず、出芽酵母であってもよく、***酵母であってもよい。出芽酵母としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等のサッカロミセス属、キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)等のキャンディダ属、ピヒア・パストリス(Pichia pastoris)等のピヒア属、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymor
pha)等のハンゼヌラ属等に属する酵母を例示することができる。***酵母としては、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等のシゾサッカロミセス属等に属する酵母を例示することができる。中でも、酵母エキスの生産によく用いられているサッカロミセス・セレビシエやキャンディダ・ユティリスが好ましい。本発明の酵母は、1倍体でもよいし、2倍性またはそれ以上の倍数性を有するものであってもよい。
サッカロミセス・セレビシエとしては、具体的には、サッカロミセス・セレビシエY006株を用いることができる。サッカロミセス・セレビシエY006株は、平成22年8月18日に、産業技術総合研究所特許生物寄託センター(住所 郵便番号305−8566 茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に国際寄託され、受託番号FERM BP−11299が付与されている。
また、サッカロミセス・セレビシエとしては、具体的には、BY4743株(ATCC201390)やS288C株(ATCC26108)を用いることができる。また、キャンディダ・ユティリスとしては、具体的には、キャンディダ・ユティリスATCC22023株を用いることができる。これらの菌株は、例えばアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(住所 12301 Parklawn Drive, Rockville, Maryland 20852 P.O. Box 1549, Manassas, VA 20108, United States of America)より分譲を受けることが出来る。すなわち各菌株に対応する登録番号が付与されており、この登録番号を利用して分譲を受けることが出来る(http://www.atcc.org/参照)。各菌株に対応する登録番号は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログに記載されている。
(1−2)グリシン生成酵素活性の低下
本発明の酵母は、グリシン生成酵素の活性が低下するように改変されている。
<グリシン生成酵素>
グリシンの生成経路としては、スレオニンを基質とする経路とセリンを基質とする経路の2つが知られている。本発明において、「グリシン生成酵素」とはスレオニンまたはセリンを基質としてグリシンを生成する活性を有するタンパク質をいう。また、同活性を「グリシン生成酵素活性」ともいう。また、グリシン生成酵素をコードする遺伝子を「グリシン生成酵素遺伝子」ともいう。
スレオニンを基質としてグリシンを生成する酵素としては、スレオニンアルドラーゼが挙げられる。セリンを基質としてグリシンを生成する酵素としては、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼが挙げられる。サッカロミセス・セレビシエでは、スレオニンアルドラーゼはGLY1遺伝子に、セリンメチルキシトランスフェラーゼはSHM1遺伝子およびSHM2遺伝子によってコードされている。
サッカロミセス・セレビシエのGLY1遺伝子、SHM1遺伝子、およびSHM2遺伝子の塩基配列は、Saccharomyces Genome Database(http://www.yeastgenome.org/)に開示されている。上記データベースより取得したサッカロミセス・セレビシエのGLY1遺伝子の塩基配列、および同遺伝子がコードするGly1タンパク質(Gly1p)のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号1および2に示す。また、同様に、SHM1遺伝子の塩基配列、および同遺伝子がコードするShm1タンパク質(Shm1p)のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号3および4に示す。また、同様に、SHM2遺伝子の塩基配列、および同遺伝子がコードするShm2タンパク質(Shm2p)のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号5および6に示す。
グリシン生成酵素は、グリシン生成酵素活性を有する限り、上記グリシン生成酵素のバリアント、すなわち、配列番号2、4、または6のアミノ酸配列を有するタンパク質のバリアントであってもよい。なお、そのようなバリアントを「保存的バリアント」という場
合がある。保存的バリアントには、例えば、配列番号2、4、または6のアミノ酸配列を有するタンパク質のホモログや人為的な改変体も含まれる。また、グリシン生成酵素をコードする遺伝子は、上記グリシン生成酵素やその保存的バリアントをコードする限り、上記グリシン生成酵素遺伝子のバリアント、すなわち配列番号1、3、または5に示す塩基配列を有する遺伝子のバリアントであってもよい。
上記グリシン生成酵素遺伝子のバリアントは、配列番号1、3、または5に示す塩基配列を問い合わせ配列として用いたBLAST検索やFASTA検索等によって公開データベースから容易に取得することができる(http://blast.genome.jp/)。また、上記グリシン生成酵素のホモログをコードする遺伝子としては、任意の生物、例えば酵母等の真核微生物、あるいは腸内細菌やコリネ型細菌等の細菌の染色体を鋳型にして、例えば配列番号1、3、または5の塩基配列に基づいて調製される合成オリゴヌクレオチドを用いてPCRで増幅可能な遺伝子が挙げられる。
また、グリシン生成酵素遺伝子は、グリシン生成酵素活性を有するタンパク質をコードする限り、上記グリシン生成酵素のアミノ酸配列、例えば配列番号2、4、または6のアミノ酸配列において、1若しくは数個の位置での1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入または付加等を含む配列を有するタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。前記「1若しくは数個」とは、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置やアミノ酸残基の種類によっても異なるが、具体的には好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個を意味する。上記の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、または付加は、タンパク質の機能が正常に維持される保存的変異である。保存的変異の代表的なものは、保存的置換である。保存的置換とは、例えば、置換部位が芳香族アミノ酸である場合には、Phe、Trp、Tyr間で、置換部位が疎水性アミノ酸である場合には、Leu、Ile、Val間で、極性アミノ酸である場合には、Gln、Asn間で、塩基性アミノ酸である場合には、Lys、Arg、His間で、酸性アミノ酸である場合には、Asp、Glu間で、ヒドロキシル基を持つアミノ酸である場合には、Ser、Thr間でお互いに置換する変異である。保存的置換とみなされる置換としては、具体的には、AlaからSer又はThrへの置換、ArgからGln、His又はLysへの置換、AsnからGlu、Gln、Lys、His又はAspへの置換、AspからAsn、Glu又はGlnへの置換、CysからSer又はAlaへの置換、GlnからAsn、Glu、Lys、His、Asp又はArgへの置換、GluからGly、Asn、Gln、Lys又はAspへの置換、GlyからProへの置換、HisからAsn、Lys、Gln、Arg又はTyrへの置換、IleからLeu、Met、Val又はPheへの置換、LeuからIle、Met、Val又はPheへの置換、LysからAsn、Glu、Gln、His又はArgへの置換、MetからIle、Leu、Val又はPheへの置換、PheからTrp、Tyr、Met、Ile又はLeuへの置換、SerからThr又はAlaへの置換、ThrからSer又はAlaへの置換、TrpからPhe又はTyrへの置換、TyrからHis、Phe又はTrpへの置換、及び、ValからMet、Ile又はLeuへの置換が挙げられる。また、上記のようなアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、または逆位等には、遺伝子が由来する微生物の個体差、種の違いに基づく場合などの天然に生じる変異(mutant又はvariant)によって生じるものも含まれる。
さらに、上記のような保存的変異を有する遺伝子は、上記グリシン生成酵素のアミノ酸配列全体、例えば配列番号2、4、または6のアミノ酸配列全体に対して、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有し、かつ、グリシン生成酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。尚、本明細書において、「相同性」(homology)は、「同一性」(identity)を指すことがある。
また、グリシン生成酵素遺伝子は、公知の遺伝子配列から調製され得るプローブ、例えば配列番号1、3、または5に示す塩基配列の全体または一部に対する相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、グリシン生成酵素活性を有するタンパク質をコ
ードするDNAであってもよい。ここで、「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC、0.1% SDS、好ましくは、60℃、0.1×SSC、0.1% SDS、さらに好ましくは、68℃、0.1×SSC、0.1% SDSに相当する塩濃度および温度で、1回、より好ましくは2〜3回洗浄する条件が挙げられる。
上述の通り、プローブは、遺伝子の相補配列の一部であってもよい。そのようなプローブは、公知の遺伝子配列に基づいて作製したオリゴヌクレオチドをプライマーとし、これらの塩基配列を含むDNA断片を鋳型とするPCRによって作製することができる。例えば、300bp程度の長さのDNA断片をプローブとして用いる場合には、ハイブリダイゼーションの洗いの条件としては、50℃、2×SSC、0.1% SDSが挙げられる。
なお、上記グリシン生成酵素遺伝子およびグリシン生成酵素のバリアントに関する記載は、本明細書中の他の遺伝子およびタンパク質についても準用できる。
<酵素活性を低下させる手法>
「酵素の活性が低下する」とは、目的の酵素活性が野性株や親株等の非改変株と比較して減少していることを意味し、活性が完全に消失している場合を含む。目的の酵素活性は、非改変株と比較して低下していれば特に制限されないが、非改変株と比較して好ましくは50%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下に低下していてよい。また、目的の酵素活性は、実質的に消失しているのが好ましい。
上述の通り、グリシンの生成経路としては、スレオニンを基質とする経路とセリンを基質とする経路の2つが知られている。本発明においては、いずれか一方の経路のグリシン生成酵素活性のみが低下していてもよく、両方の経路のグリシン生成酵素活性が低下していてもよい。また、いずれか一方の経路のグリシン生成酵素活性のみが実質的に消失していてもよく、両方の経路のグリシン生成酵素活性が実質的に消失していてもよい。また、いずれか一方の経路のグリシン生成酵素活性が実質的に消失しているのが好ましく、他方の経路のグリシン生成酵素活性は完全には消失せず残存しているのが好ましい。いずれの経路のグリシン生成酵素活性を低下させるかは、目的とするγ−グルタミルジペプチドの種類等の諸条件に応じて適宜選択することができる。例えば、γ-Glu-Abuの蓄積を目的とする場合、スレオニンを基質とする経路の酵素であるスレオニンアルドラーゼの活性を低下させるのが、スレオニンからグリシンの生成が抑制され、スレオニンからα−アミノ酪酸(Abu)の生成に有利となる点で、好ましい。
酵素活性が低下するような改変は、例えば、突然変異処理又は遺伝子組換え技術により達成できる。
突然変異処理としては、紫外線照射、または、N-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(MNNG)、エチルメタンスルフォネート(EMS)、メチルメタンスルフォネート(MMS)等の変異処理に通常用いられている変異剤による処理が挙げられる。
遺伝子組換え技術としては、例えば、公知の技術(FEMS Microbiology Letters 165 (1998) 335-340、JOURNAL OF BACTERIOLOGY, Dec. 1995, p7171-7177、Curr Genet 1986; 1
0(8):573-578、WO 98/14600等)を利用できる。
酵素活性が低下するような改変は、例えば、目的の酵素をコードする遺伝子の発現を低下させることにより達成できる。なお、「遺伝子の発現が低下する」ことを、「遺伝子の発現が弱化される」ともいう。遺伝子の発現の低下は、例えば、遺伝子のプロモーター等の発現調節配列を改変することにより達成できる。発現調節配列を改変する場合には、発現調節配列は、好ましくは1塩基以上、より好ましくは2塩基以上、特に好ましくは3塩基以上が改変される。また、発現調節配列の一部または全部を欠失させてもよい。
また、酵素活性が低下するような改変は、例えば、同タンパク質をコードする遺伝子を破壊することにより達成できる。
遺伝子の破壊は、例えば、染色体上の目的の酵素をコードする遺伝子のコード領域の一部または全部を欠失させることにより達成できる。さらには、染色体上の遺伝子の前後の配列を含めて、遺伝子全体を欠失させてもよい。酵素活性の低下が達成できる限り、欠失させる領域は、N末端領域、内部領域、C末端領域等のいずれの領域であってもよい。通常、欠失させる領域は長い方が確実に遺伝子を不活化することができる。また、欠失させる領域の前後の配列は、リーディングフレームが一致しないことが好ましい。
また、遺伝子の破壊は、例えば、染色体上の目的の酵素をコードする遺伝子のコード領域にアミノ酸置換(ミスセンス変異)を導入すること、終始コドンを導入すること(ナンセンス変異)、あるいは1〜2塩基を付加または欠失するフレームシフト変異を導入すること等によっても達成できる。
また、遺伝子の破壊は、例えば、染色体上の目的の酵素をコードする遺伝子のコード領域に他の配列を挿入することによっても達成できる。挿入部位は、遺伝子のいずれの領域であってもよいが、挿入する配列は長い方が確実に遺伝子を不活化することができる。また、挿入部位の前後の配列は、リーディングフレームが一致しないことが好ましい。他の配列としては、コードされるタンパク質の機能を低下又は消失させるものであれば特に制限されないが、例えば、マーカー遺伝子やγ−グルタミルジペプチドの生産に有用な遺伝子が挙げられる。
染色体上の遺伝子を上記のように改変することは、例えば、遺伝子の部分配列を欠失し、正常に機能するタンパク質を産生しないように改変した欠失型遺伝子を作製し、該欠失型遺伝子を含む組換えDNAで酵母を形質転換して、欠失型遺伝子と染色体上の遺伝子とで相同組換えを起こさせることにより、染色体上の遺伝子を欠失型遺伝子に置換することによって達成できる。その際、組換えDNAには、宿主の栄養要求性等の形質にしたがって、マーカー遺伝子を含ませておくと操作がしやすい。また、前記組換えDNAは、制限酵素で切断する等により直鎖状にしておくと、染色体に組換えDNAが組み込まれた株を効率よく取得することができる。欠失型遺伝子によってコードされるタンパク質は、生成したとしても、野生型タンパク質とは異なる立体構造を有し、機能が低下又は消失する。
用いる組換えDNAの構造によっては、相同組換えの結果として、野生型遺伝子と欠失型遺伝子とが組換えDNAの他の部分(例えば、ベクター部分及びマーカー遺伝子)を挟んだ状態で染色体に挿入される場合がある。この状態では野生型遺伝子が機能するため、当該2個の遺伝子間で再度相同組換えを起こさせ、1コピーの遺伝子を、ベクター部分及びマーカー遺伝子とともに染色体DNAから脱落させ、欠失型遺伝子が残ったものを選抜する必要がある。
また、例えば、任意の配列を含む線状DNAであって、当該任意の配列の両端に染色体
上の置換対象部位の上流および下流の配列を備える線状DNAで酵母を形質転換して、置換対象部位の上流および下流でそれぞれ相同組換えを起こさせることにより、1ステップで置換対象部位を当該任意の配列に置換することができる。当該任意の配列としては、例えば、マーカー遺伝子を含む配列を用いればよい。マーカー遺伝子は、その後、必要により除去してもよい。マーカー遺伝子を除去する場合には、マーカー遺伝子を効率的に除去できるよう、相同組み換え用の配列をマーカー遺伝子の両端に付加しておいてもよい。
目的の酵素活性が低下したことの確認は、同酵素の活性を測定することによって行うことが出来る。グリシン生成酵素の活性は、公知の手法(非特許文献3、非特許文献4)により測定することができる。
また、目的の酵素活性が低下したことの確認は、目的の酵素をコードする遺伝子の転写量が低下したことを確認することや、目的の酵素の量が低下したことを確認することにより行うことが出来る。
目的の酵素をコードする遺伝子の転写量が低下したことの確認は、同遺伝子から転写されるmRNAの量を非改変株と比較することによって行うことが出来る。mRNAの量を評価する方法としては、ノーザンハイブリダイゼーション、RT-PCR等が挙げられる(Molecular cloning(Cold spring Harbor Laboratory Press, Cold spring Harbor (USA), 2001))。mRNAの量は、非改変株と比較して低下していれば特に制限されないが、非改変株と比較して、例えば、50%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または0%に低下しているのが好ましい。
目的の酵素の量が低下したことの確認は、抗体を用いてウェスタンブロットによって行うことが出来る(Molecular cloning(Cold spring Harbor Laboratory Press, Cold spring Harbor (USA), 2001))。目的の酵素の量は、非改変株と比較して低下していれば特に制限されないが、非改変株と比較して、例えば、50%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または0%に低下しているのが好ましい。
本発明の酵母が2倍体以上の倍数性を有する場合には、本発明の酵母は、γ−グルタミルジペプチドを蓄積できる限り、酵素活性が低下するように改変された遺伝子と野生型遺伝子とをヘテロで有していてもよいが、通常は、酵素活性が低下するように改変された遺伝子のホモ型であるのが好ましい。
酵母の形質転換法としては、プロトプラスト法、KU法(H.Ito et al., J. Bateriol., 153-163 (1983))、KUR法(発酵と工業 vol.43, p.630-637 (1985))エレクトロポレーション法(Luis et al., FEMS Micro biology Letters 165 (1998) 335-340)、キャリアDNAを用いる方法(Gietz R.D. and Schiestl R.H., Methods Mol.Cell. Biol. 5:255-269 (1995))等、通常酵母の形質転換に用いられる方法を採用することができる。また、酵母の胞子形成、1倍体酵母の分離、等の操作については、「化学と生物 実験ライン31 酵母の実験技術」、初版、廣川書店;「バイオマニュアルシリーズ10 酵母による遺伝子実験法」初版、羊土社等に記載されている。
このような<酵素活性を低下させる手法>は、グリシン生成酵素に限られず、その他の任意の酵素またはタンパク質に適用できる。
(1−3)γ−グルタミルジペプチド合成酵素活性の増大
本発明の酵母は、γ−グルタミルジペプチド合成酵素活性が増大するよう改変されている。
本発明において、「γ−グルタミルジペプチド合成酵素」とは、L-GluとXからγ-Glu-Xで表記されるγ−グルタミルジペプチドを生成する活性を有するタンパク質をいう。また、同活性を「γ−グルタミルジペプチド合成酵素活性」ともいう。
γ−グルタミルジペプチド合成酵素としては、γ−グルタミルシステイン合成酵素が挙げられる。本発明において、「γ−グルタミルシステイン合成酵素」とは、L-GluおよびL-Cysを基質として認識し、γ−グルタミルシステイン(γ-Glu-Cys)を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質をいう。また、γ−グルタミルシステイン合成酵素は、正反応であるγ-Glu-Cysを生成する反応以外に、L-Cys以外の任意のL−アミノ酸「X」を基質として認識し、L-Gluと結合させることでγ-Glu-Xを生成する反応を触媒する活性を有していてもよい。すなわち、目的とするγ−グルタミルジペプチドがγ-Glu-Cys以外である場合でも、γ−グルタミルシステイン合成酵素が目的とするγ−グルタミルジペプチドを生成する反応を触媒する活性を有するのであれば、当該γ−グルタミルシステイン合成酵素を、目的とするγ−グルタミルジペプチドの合成酵素として利用できる。本発明において、「γ−グルタミルシステイン合成酵素活性」とは、上述したγ-Glu-Cysを生成する反応を触媒する活性に限られず、目的とするγ−グルタミルジペプチドに応じて、1またはそれ以上のγ−グルタミルジペプチドを生成する反応を触媒する活性を含むものであってよい。γ−グルタミルシステイン合成酵素としては、GSH1遺伝子によりコードされるGsh1タンパク質(Gsh1p)が挙げられる。
サッカロミセス・セレビシエのGSH1遺伝子の塩基配列は、それぞれSaccharomyces Genome Database(http://www.yeastgenome.org/)に開示されている。上記データベースより取得したサッカロミセス・セレビシエのGSH1遺伝子(システマティックネーム:YJL101C)の塩基配列、および同遺伝子がコードするGsh1pのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号7および8に示す。
酵素が由来する生物によってγ−グルタミルシステイン合成酵素をコードする遺伝子の塩基配列に差異が存在することがあるため、γ−グルタミルシステイン合成酵素をコードする遺伝子は、γ−グルタミルシステイン合成酵素活性を有するタンパク質をコードする限り、配列番号7に示す塩基配列のバリアントであってもよい。γ−グルタミルシステイン合成酵素およびそれをコードする遺伝子のバリアントについては、上述したグリシン生合成酵素をコードする遺伝子群についてのバリアントの記載を準用できる。
<酵素活性を増大させる手法>
「酵素活性が増大する」とは、目的の酵素活性が野性株や親株等の非改変株と比較して増大していることを意味する。目的の酵素活性は、非改変株と比較して増大していれば特に制限されないが、非改変株と比較して好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上に増大していてよい。また、「酵素活性が増大する」とは、もともと目的の酵素活性を有する菌株において目的の酵素活性を増大させることだけでなく、もともと目的の酵素活性を有さない菌株に目的の酵素活性を付与することを含む。また、結果として目的の酵素活性が増大する限り、酵母が本来有する目的の酵素活性を低下または消失させた上で、好適な目的の酵素を導入してもよい。
本発明においては、目的とするγ−グルタミルジペプチドに応じたγ−グルタミルジペプチド合成酵素、例えば、目的とするγ−グルタミルジペプチドを生成する反応を触媒する活性を有するγ−グルタミルシステイン合成酵素の活性を増大させればよい。目的とするγ−グルタミルジペプチドが2種またはそれ以上である場合、単一のγ−グルタミルジペプチド合成酵素が当該2種またはそれ以上のγ−グルタミルジペプチド全ての合成酵素活性を有していてもよく、そうでなくともよい。本発明においては、1種のγ−グルタミルジペプチド合成酵素の活性を増大させてもよく、2種またはそれ以上のγ−グルタミル
ジペプチド合成酵素の活性を増大させてもよい。
酵素活性が増大するような改変は、例えば、目的の酵素をコードする遺伝子の発現を増大させることにより達成できる。
遺伝子の発現の増大は、例えば、染色体上の遺伝子のプロモーターをより強力なプロモーターに置換することにより達成できる。「より強力なプロモーター」とは、遺伝子の転写が、もともと存在している野生型のプロモーターよりも向上するプロモーターを意味する。より強力なプロモーターとしては、各種レポーター遺伝子を用いることにより、在来のプロモーターの高活性型のものを取得してもよい。また、より強力なプロモーターとしては、公知の高発現プロモーター、例えば、PGK1、PDC1、TDH3、TEF1、HXT7、ADH1等の遺伝子のプロモーターを用いてもよい。なお、強力なプロモーターへの置換は、後述する遺伝子のコピー数の増加と組み合わせて利用できる。より強力なプロモーターを利用した例としては、染色体上のγ−グルタミルシステイン合成酵素遺伝子のプロモーターを強転写プロモーターで置換することによりγ−グルタミルシステイン合成酵素活性を増大させる方法が開示されている(大竹康之ら、バイオサイエンスとインダストリー、第50巻第10号、第989〜994頁、1992年)。
また、遺伝子の発現の増大は、例えば、遺伝子のコピー数を増加させることにより達成できる。
遺伝子のコピー数の増加は、染色体上に目的の遺伝子を導入することにより達成できる。染色体上への遺伝子の導入は、例えば相同的組み換えを利用して行うことができる。例えば、染色体中に多数のコピーが存在する配列を標的として相同的組み換えを行うことで、染色体へ遺伝子の多数のコピーを導入することができる。染色体中に多数のコピーが存在する配列としては、特有の短い繰り返し配列からなる自律複製配列(ARS)や、約150コピー存在するrDNA配列が挙げられる。ARSを含むプラスミドを用いて酵母の形質転換を行った例が、国際公開95/32289号パンフレットに記載されている。また、トランスポゾンに遺伝子を組み込み、それを染色体へ遺伝子の多数のコピーを導入するよう転移させてもよい。
また、遺伝子のコピー数の増加は、目的遺伝子を含むベクターを宿主に導入することによっても達成できる。ベクターとしては、例えば、CEN4の複製開始点を持つプラスミドや2μm DNAの複製開始点を持つ多コピー型プラスミドを好適に用いることができる。目的遺伝子は、好適なプロモーターと組み合わせてベクターに挿入し、目的遺伝子を発現させてもよい。また、遺伝子を発現させるのに好適なプロモーターを含むベクターを用いる場合には、ベクター中のプロモーターを利用して目的遺伝子を発現させてもよい。
また、酵素活性が増大するような改変は、例えば、目的の酵素の比活性を増大させることによっても達成できる。比活性が増大した酵素は、例えば、種々の生物を探索し取得することができる。また、在来の酵素に変異を導入することで高活性型のものを取得してもよい。比活性を増大させる手法は、単独で用いてもよく、上記のような遺伝子の発現を増大させる手法と任意に組み合わせて用いてもよい。
目的の酵素活性が増大したことの確認は、同酵素の活性を測定することによって行うことが出来る。γ−グルタミルシステイン合成酵素活性は、Jacksonの方法(Jackson, R. C., Biochem.J., 111, 309 (1969))によって測定することができる。
また、目的の酵素活性が増大したことの確認は、目的の酵素をコードする遺伝子の転写量が増大したことを確認することや、目的の酵素の量が増大したことを確認することによ
り行うことが出来る。
目的の酵素をコードする遺伝子の転写量が増大したことの確認は、同遺伝子から転写されるmRNAの量を非改変株と比較することによって行うことが出来る。mRNAの量を評価する方法としては、ノーザンハイブリダイゼーション、RT-PCR等が挙げられる(Molecular cloning(Cold spring Harbor Laboratory Press, Cold spring Harbor (USA), 2001))。mRNAの量は、非改変株と比較して増大していれば特に制限されないが、非改変株と比較して、例えば、1.5倍以上、2倍以上、または3倍以上に増大しているのが好ましい。
目的の酵素の量が増大したことの確認は、抗体を用いてウェスタンブロットによって行うことが出来る(Molecular cloning(Cold spring Harbor Laboratory Press, Cold spring Harbor (USA), 2001))。目的の酵素の量は、非改変株と比較して増大していれば特に制限されないが、非改変株と比較して、例えば、1.5倍以上、2倍以上、または3倍以上に増大しているのが好ましい。
本発明の酵母が2倍体以上の倍数性を有する場合であって、染色体の改変により酵素活性が増大している場合には、本発明の酵母は、γ−グルタミルジペプチドを蓄積できる限り、酵素活性が増大するように改変された染色体と野生型染色体とをヘテロで有していてもよく、酵素活性が増大するように改変された染色体のホモ型であってもよい。
このような<酵素活性を増大させる手法>は、γ−グルタミルジペプチド合成酵素に限られず、その他の任意の酵素またはタンパク質に適用できる。
(1−5)その他の改変
また、本発明の酵母は、γ−グルタミルジペプチド化合物を蓄積できる限りにおいて、上記のような改変に加えて、その他の任意の改変がなされていてもよい。そのような改変としては、細胞内のγ−グルタミルジペプチド濃度が高まるような改変が挙げられる。
細胞内のγ−グルタミルジペプチド濃度が高まるような改変としては、例えば、γ−グルタミルジペプチドを構成するアミノ酸の生合成経路の強化が挙げられる。本発明の酵母は、例えば、Cys生合成経路やAbu生合成経路が強化されているのが好ましい。
Cys生合成経路の強化方法としては、例えば、MET25遺伝子(システマティックネーム:YLR303W)、CYS3遺伝子(システマティックネーム:YAL012W)、および/またはCYS4遺伝子(システマティックネーム:YGR155W)にコードされる酵素の活性を増大させることが挙げられる。これらの酵素の活性は、これらの転写調節因子であるMET4遺伝子(システマティックネーム:YNL103W)やMET30遺伝子(システマティックネーム:YIL046W)を改変することにより増大させてもよい。具体的には、例えば、MET25遺伝子の発現量を増大させる方法として、変異型MET4遺伝子(大村ら, FEBS Letters 387 (1996) 179-183、クリスet. al., Molecular Biology of the Cell., 8, 1699-1707, 1997))、変異型MET30遺伝子(DOMINIQUE et. al., MOLECULAR AND CELLUAR BIOLOGY, Dec 1995 p6526-6534、特開2004-113155)を利用する方法等が報告されている。酵母においては、MET25遺伝子の発現量を増大させることにより菌体内γ−グルタミルシステイン含有量が上昇することが報告されている。
また、Abu生合成経路の強化方法としては、例えば、BAT1遺伝子(システマティックネーム:YHR208W)、ILV1遺伝子(システマティックネーム:YER086W)、CHA1遺伝子(システマティックネーム:YCL064C)、および/またはHOM3遺伝子(システマティックネーム:YER052C)にコードされる酵素の活性を増大させることが挙げられる。
また、特定のγ−グルタミルジペプチドの蓄積量を増加させたい場合は、対象となるアミノ酸の生成経路の強化とそれ以外のアミノ酸の生成経路の弱化を組み合わせてもよい。例えば、γ-Glu-Abuの蓄積量を増加させたい場合は、Abu生成経路を強化し、Cys生成経路を弱化させてもよい。
また、細胞内のγ−グルタミルジペプチド濃度が高まるような改変としては、例えば、グルタチオン液胞トランスポーターの活性を増強させることや、液胞局在グルタチオン分解酵素の活性を低下させることが挙げられる。酵母のグルタチオン液胞トランスポーターをコードする遺伝子としてYCF1遺伝子が、液胞局在グルタチオン分解酵素をコードする遺伝子としてECM38遺伝子が、それぞれ挙げられる。
また、本発明の酵母は、グルタチオン合成酵素活性が低下するように改変されていてもよく、そうでなくてもよいが、例えば生育の観点から、グルタチオン合成酵素活性が低下するように改変されていないのが好ましい場合がありうる。また、グルタチオン合成酵素活性が低下するように改変されている場合にも、例えば生育の観点から、グルタチオン合成酵素活性が完全には消失せず残存しているのが好ましい場合がありうる。酵母のグルタチオン合成酵素をコードする遺伝子としては、GSH2遺伝子が挙げられる。
これら遺伝子の塩基配列は、前述の遺伝子と同様にそれぞれSaccharomyces Genome Database(http://www.yeastgenome.org/)に開示されている。また、これら遺伝子は、Saccharomyces Genome Databaseに開示された塩基配列のバリアントであってもよい。これら遺伝子およびコードされるタンパク質のバリアントについては、上述したグリシン生合成酵素をコードする遺伝子群についてのバリアントの記載を準用できる。
上記のような改変、すなわちγ−グルタミルジペプチド合成酵素活性の増大、グリシン生成酵素活性の低下、基質となるCysやAbuなどの生成経路の強化、および、その他の任意の改変は、いずれの改変を先に行ってもよい。
(2)本発明の酵母エキス
次に、酵母エキスを製造する方法を説明する。本発明の酵母エキスは、本発明の酵母を原料として用いる以外は、通常の酵母エキスと同様に製造することができる。
まず、本発明の酵母を培地で培養する。培地は、酵母が増殖し得るものであれば特に制限されないが、実施例に記載したSD培地に限定されることなく通常工業的に用いられる培地を利用することができる。例えば、炭素源としてグルコース、蔗糖、糖蜜、エタノール、酢酸、亜硫酸パルプ廃液等を、窒素源として尿素、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム硝酸塩等を、或いはコーンスチープリカー、カゼイン、酵母エキス、ペプトン、大豆蛋白分解物等を、燐酸、カリウム、マグネシウム源として、燐酸、燐酸カリウム、燐酸アンモニウム、過燐酸石灰、塩化カリウム、水酸化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等を、その他微量金属として、銅、マンガン、亜鉛、鉄イオン等の無機塩等を適宜組み合わせて含む培地などを例示することができる。また、必要により、酵母の栄養要求性に応じた成分を培地に添加してもよい。また、γ−グルタミルジペプチドの原料となる各種アミノ酸、例えばシステイン、その2量体であるシスチン、Abu、および/またはNvaを培地に添加してもよい。
培養条件は、通常の酵母エキスの製造と同様の条件を採用することができ、用いる酵母に応じて適宜変更することができる。バッチ培養、フェドバッチ培養、連続培養など任意の方法を使用することができる。サッカロミセス・セレビシエの場合は、25〜35℃で、より好ましくは、27〜33℃で、更に好ましくは28〜32℃で振とう培養等により好気的に培養することが好ましい。
上記のようにして本発明の酵母を培養すると、酵母の細胞中にγ−グルタミルジペプチドが蓄積する。上記のようにして培養された酵母は、乾燥菌体重量当たり、例えば、γ-Glu-Cysを、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.8%以上含有してよい。また、上記のようにして培養された酵母は、乾燥菌体重量当たり、例えば、γ-Glu-Abuを、好ましくは4μmol/g以上、より好ましくは7.5μmol/g以上含有してよい。γ−グルタミルジペプチドの検出および同定は、例えば、公知の手法により行うことができる。そのような手法としては、例えば、HPLC、LC/MS、LC−MS/MS、GC/MS、およびNMRが挙げられる。
得られた酵母からの酵母エキスの調製は、通常の酵母エキスの調製と同様にして行えばよい。酵母エキスは、酵母菌体を熱水抽出したものを処理したものでもよいし、酵母菌体を自己消化や酵素添加により消化したものを処理したものでもよい。また、必要に応じて得られた酵母エキスを濃縮してもよいし、ペースト状でも、乾燥し粉末の形態にしてもよい。
上記のようにして、γ−グルタミルジペプチドの含有量が高められた酵母エキスが得られる。好適な形態では、酵母エキスは、酵母エキス中の固形分全量(酵母エキス中の全成分の乾燥重量)に対し、γ−グルタミルジペプチドを乾燥重量として一定量含む。酵母エキスは、例えば、γ-Glu-Cysを、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上含有してよい。γ-Glu-Abuの場合は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.4重量%以上、更に好ましくは1.0重量%以上、特に好ましくは2.0重量%以上含有する。γ-Glu-nValの場合は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.04重量%以上、更に好ましくは0.10重量%以上、特に好ましくは0.20重量%以上含有してよい。
(3)本発明の飲食品
上記のようにして得られるγ−グルタミルジペプチドの含有量が高められた酵母エキスは、飲食品の製造に用いることができる。前記酵母エキスを用いることにより、前記酵母エキスを含有する飲食品(本発明の飲食品ともいう)が得られる。飲食品としては、特に制限されず、例えば、アルコール飲料、パン食品、又は発酵食品調味料が挙げられる。
本発明の飲食品は、本発明の酵母エキスを飲食品の原料に添加し、飲食品に加工することによって製造される。なお、酵母エキスの添加は、飲食品の製造工程のいずれの段階で行われてもよい。すなわち、酵母エキスは、飲食品の原料に添加されてもよく、製造途中の飲食品に添加されてもよく、製造された飲食品に添加されてもよい。本発明において、「酵母エキスを飲食品の原料に添加する」という場合の「飲食品の原料」には、いわゆる「飲食品の原料」に限られず、「製造途中の飲食品」や「製造された飲食品」も含まれるものとする。酵母エキスの添加量は、特に制限されず、酵母エキスの態様や飲食品の態様等の諸条件に応じて適宜設定することができる。本発明の飲食品は、前記酵母エキスを使用すること以外は、通常の飲食品と同様の原料を用い、同様の方法によって製造することができる。このような原料としては、例えばアルコール飲料では、米、大麦、コーンスターチ等、パン食品では小麦粉、砂糖、食塩、バター、発酵用酵母菌等が、発酵食品調味料では大豆、小麦等が挙げられる。また、酵母エキスもしくはその濃縮物、またはそれらを乾燥したものは、それ自体で発酵食品調味料として用いることができる。
本発明は以下の実施例によって、更に具体的に説明されるが、これらはいかなる意味でも本発明を限定するものと解してはならない。
実施例1.γ−グルタミルシステイン合成酵素活性強化かつグリシン生成酵素活性弱化株の取得
本実施例では、γ―グルタミルシステイン合成酵素をコードするGSH1遺伝子の発現が増大し、γ−グルタミル化合物の蓄積能およびAbu生成能が強化され、且つ、グリシン生成酵素の1つであるスレオニンアルドラーゼをコードするGLY1遺伝子を欠損したサッカロミセス・セレビシエ△GLY1株を以下の手順で構築した。
(1)γ−グルタミルシステイン合成酵素遺伝子の高発現
まず、Sofyanovichらの方法(Olga A. Sofyanovich et al: A New Method for Repeated "Self-Cloning" Promoter Replacement in Saccharomyces cerevisiae. Mol. Biotechnol., 48, 218-227 (2011))に基づきサッカロミセス・セレビシエY006株(FERM BP−11299)のGSH1遺伝子のプロモーター領域を、構成発現プロモーターであるアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(以下、ADH1)のプロモーター領域に置換することにより、GSH1高発現酵母(AG1株)を作製した。手順を以下に示す。なお、Y006株はURA3遺伝子の欠損株であり、ウラシル要求性を示す。
5'端にGSH1の上流配列を有する配列番号9のプライマー(5'- TATTGCCCCAGTGTTCCCTCAACAACCTTGGTAGTTGGAGCGCAATTAGCGTATCCTGTACCATACTAATTCTCTTCTGCTCTTAACCCAACTGCACAGA-3')、及びGSH1遺伝子の開始コドンから始まる一部のORF内配列を有する配列番号10のプライマー(5'- ATACCTTCATCCCTTATGTGTTCATTGTACGTCCTAGACTCAAACCACTGCAAAGGCGTGCCCAAAGCTAAGAGTCCCATTGTATATGAGATAGTTGATT-3')を用い、pAUAプラスミド(前述のSofyanovichらの報告に記載)を鋳型にPCRを行い、ADH1プロモーターに挟まれたURA3を有するDNA断片を得た。PCRの条件は、熱変性(94℃、10 sec)、アニーリング(60℃、10 sec)、伸張(72℃、4 min)、25 cycleとした。このDNA断片でY006株を形質転換し、ウラシルを含有しないSD平板培地に塗布した。生育した形質転換体から、GSH1プロモーターがpADH1-URA3-pADH1に置換された株を取得した。
URA3遺伝子が欠損した細胞は5−フルオロオロト酸(5-FOA)耐性を示すため、5-FOAを含有する培地を利用してURA3選択マーカーが除去された株を選抜できる。そこで、GSH1プロモーターがpADH1-URA3-pADH1に置換された株を、ウラシル添加SD培地で一晩培養し、適量を5-FOA平板培地に塗布した。生育したコロニーから、導入された2つのADH1プロモーター間の相同組換えにより、URA3が除去され、GSH1プロモーターがADH1プロモーターに置換された株(AG1 ura3- 株)を取得した。
(2)γ−グルタミル化合物の蓄積能の強化
酵母のグルタチオン液胞トランスポーターをコードする遺伝子としてYCF1遺伝子が、液胞局在グルタチオン分解酵素をコードする遺伝子としてECM38遺伝子が、それぞれ知られており、これらはγ−グルタミル化合物の蓄積に関与すると考えられる。そこで酵母細胞内でのγ−グルタミルジペプチドの蓄積量を増加させる目的で、AG1株のYCF1遺伝子のプロモーター領域を構成高発現プロモーターであるPGK1遺伝子のプロモーター領域に置換することによりYCF1を高発現し、さらに、ECM38遺伝子を破壊することにより液胞局在グルタチオン分解酵素活性が低下した株(AG1-PY-e株)を作製した。手順を以下に示す。
5'端にYCF1の上流配列を有する配列番号11(5'- GTTTCTTTATGATAATACAAAAATATGTAACTCCTGGTGTGATGCTTGGGCGGTGGAAGGTTACGGCTTAGTAATTACGATCTTAACCCAACTGCACAGA-3')のプライマー、及びYCF1遺伝子の開始コドンから始まる一部のORF内配列を有する配列番号12のプライマー(5'- TCACCGTAAAAGGATATAGGTCCAAACCCTTCAGGAGATCTACAGAGCTTGCAGGCCCATGAAACAAGATTACCAGCCATTGTTTTATATTTGTTGTAAA-3')を用い、pPUP(前述のSofyanovichらの報告に記載)プラスミドを鋳型にPCRを行い、PGK1プロモーターに挟まれたURA3を有するDNA断片を得た。PCRの条件は、熱変性(94℃、10 sec)、アニーリング(60℃、10 sec)、
伸張(72℃、4 min)、25 cycleとした。このDNA断片でAG1 ura3- 株を形質転換し、ウラシルを含有しないSD平板培地に塗布し得られる形質転換体から、YCF1プロモーターがpPGK1-URA3-pPGK1に置換された株を取得した。
YCF1プロモーターがpPGK1-URA3-pPGK1に置換された株を、ウラシル添加SD培地で一晩培養し、適量を5-FOA平板培地に塗布した。生育したコロニーから、導入された2つのPGK1プロモーター間の相同組換えにより、URA3が除去され、YCF1プロモーターがPGK1プロモーターに置換された株(AG1-PY ura3- 株)を取得した。
次に、ECM38の開始コドンより上流80塩基を付加した配列番号13のプライマー(5'- AAAGCTAACGCAGATTCAAGTGGGGCGTTGTCAGGCACACAAAAAGACAAGACAAAAAGTAGCGTACTAGACTTACAGTTGTTCATCATCTCATGGATCT-3')及びECM38の終止コドンより下流80塩基を付加した配列番号14のプライマー(5'- TTATATACCACAGAAGCAGGCTCCCTACATTACGTACTATTATCTTGAACTATATTACAGTACCATTCTTACCCCACATCAGATTCCCGGGTAATAACTG-3')を用い、S288C株のURA3遺伝子を増幅した。PCRの条件は、熱変性(94℃、10 sec)、アニーリング(50℃、10 sec)、伸張(72℃、2 min)、25 cycleとした。得られたDNA断片でAG1-PY ura3- 株を形質転換し、ウラシルを含有しないSD培地に塗布した。生育した形質転換体からECM38遺伝子を欠損したAG1-PY ecm38D株(以下、AG1-PY-e株)を得た。
AG1-Ye株作製時にECM38ローカスに導入したURA3を削除するため、まず、Y006株のゲノムDNAを鋳型に、ECM38の上流約1kbを配列番号15のプライマー(5'-GGAATATCCTGGTGAGCCAT-3')と配列番号16のプライマー(5'-AACTGTAAGTCTAGTACGCT-3')で増幅した。さらに、ECM38の下流約1kbを配列番号17のプライマー(5'-ACTAGACTTACAGTTGATGTGGGGTAAGAATGGTA-3')と配列番号18のプライマー(5'-ATTGAATGGAAGAAGGGTCT-3')で増幅した。続いて、これら2つのDNA断片を鋳型に、配列番号15のプライマーと配列番号18のプライマーで融合PCRを行い、得られた約2kbのDNA断片でAG1-Yeを形質転換し、5-FOA培地でECM38ローカスからURA3が除去された株、AG1-Ye URA3-を選択した。
(3)Abu生成能の強化
酵母細胞内でのAbu生成能を強化する目的で、ThrからのAbu生成に関与するBAT1、CHA1、およびILV1の高発現を試みた。
(3−1)TDH3プロモーターへのプロモーター置換プラスミドpTUTの構築
Sofyanovichらの報告を参考に、ターゲット遺伝子のプロモーター領域を高発現のTDH3遺伝子のプロモーターに置換するためのプラスミドpTUTを下記のようにして作成した。
pUC19-URA3(前述のSofyanovichらの報告に記載)のAatII部位に、Y006株のゲノムDNAを鋳型に、配列番号19のプライマー(5'- ATAGACGTCACGTAAGGGAGTTAGAATCA-3')と配列番号20のプライマー(5'- ATAGACGTCTTTGTTTGTTTATGTGTGTTTATTC-3')で増幅したTDH3プロモーターをクローン化し、pUC19-URA3-TDH3pを作製した。さらにpUC19-URA3-TDH3pのPstI部位に、Y006株のゲノムDNAを鋳型に、配列番号21のプライマー(5'-ATACTGCAGACGTAAGGGAGTTAGAATCA-3')と配列番号22のプライマー(5'-ATACTGCAGGAAACTAAGTTCTTGGTGTT-3')で増幅したTDH3プロモーターをクローン化し、pTUT(pUC19-TDH3p-URA3-TDH3p)を作製した。
(3−2)Abu生成経路の強化
まず、染色体上のBAT1遺伝子のプロモーター領域を、以下のようにしてTDH3遺伝子のプロモーター領域に置換した。
5’端にBAT1の上流配列を有する配列番号配列番号23ののプライマー(5'- GCCAGGCGG
TTGATACTTTGTGCAGATTTCATACCGGCTGTCGCTATTATTACTGATGAATTGGCTCTCTTTTTGTTTAATCTTAACCCAACTGCACAGA-3')、及びBAT1遺伝子の開始コドンから始まる一部のORF内配列を有する配列番号24のプライマー(5'- TTGGATGCATCTAATGGGGCACCAGTAGCGAGTGTTCTGATGGAGAATTTCCCCAACTTCAAGGAATGTCTCTGCAACATTTGTTTATGTGTGTTTATTC-3')を用い、pTUTを鋳型にPCRを行い(熱変性 94℃, 10 sec、アニーリング 60℃, 10 sec、伸張 72℃, 4 min)、TDH3遺伝子のプロモーターに挟まれたURA3を有するDNA断片を調製した。このDNA断片でAG1-Ye URA3-株を形質転換し、SD平板培地に塗布し得られる形質転換体から、BAT1プロモーターがpTDH3-URA3-pTDH3に置換された株を取得した。このようにして得られた株をウラシル添加SD培地で一晩培養し、適量を5-FOA平板培地に塗布した。生育したコロニーから、導入されたTDH3プロモーター間の相同組換えにより、URA3が除去され、BAT1プロモーターがTDH3プロモーターに置換された株AG1-BYe URA3-を取得した。
次に、得られた株の染色体上のCHA1遺伝子のプロモーター領域を、以下のようにしてTDH3遺伝子のプロモーター領域に置換した。
5’端にCHA1の上流配列を有する配列番号25のプライマー(5'- GAGTACTAATCACCGCGAACGGAAACTAATGAGTCCTCTGCGCGGAGACATGATTCCGCATGGGCGGCTCCTGTTAAGCCTCTTAACCCAACTGCACAGA-3')、及びCHA1遺伝子の開始コドンから始まる一部のORF内配列を有する配列番号26のプライマー(5' TATTTCAAGAAAAATTGTGCAGAAGCCTTTCCGGGGAAGAATTGACGTAATAATGGTGTTTTATTGTAGACTATCGACATTTGTTTATGTGTGTTTATTC-3')を用い、pTUTを鋳型にPCRを行い(熱変性 94℃, 10 sec、アニーリング 60℃, 10 sec、伸張 72℃, 4 min)、TDH3プロモーターに挟まれたURA3を有するDNA断片を調製した。このDNA断片でAG1-BYe URA3-株を形質転換し、SD平板培地に塗布し得られた形質転換体から、CHA1プロモーターがpTDH3-URA3-pTDH3に置換された株を取得した。更に、BAT1プロモーターの置換の場合と同様の操作を行い、URA3が除去され、CHA1プロモーターがTDH3プロモーターに置換された株AG1-BCYe URA3-を取得した。
次に、得られた株の染色体上のILV1遺伝子のプロモーター領域を、以下のようにしてTDH3遺伝子のプロモーター領域に置換した。
5’端にILV1の上流配列を有する配列番号27のプライマー(5'- CTCTTTATTGCATATTATCTCTGCTATTTTGTGACGTTCAATTTTAATTGACGCGAAAAAGAAAAAATAAGAAGGGCAAATCTTAACCCAACTGCACAGA-3')、及びILV1遺伝子の開始コドンから始まる一部のORF内配列を有する配列番号28のプライマー(5'- AGGTTCAATCCAGACACTTTGGACTGTTTACCTTGCCGAACAACCGTACATAATGGTTGCTTTAGTAGAGTAGCTGACATTTGTTTATGTGTGTTTATTC-3')を用い、pTUTを鋳型にPCRを行い(熱変性
94℃, 10 sec、アニーリング 60℃, 10 sec、伸張 72℃, 4 min)、TDH3プロモーターに挟まれたURA3を有するDNA断片を調製した。このDNA断片でAG1-BCYe URA3-株を形質転換し、SD平板培地に塗布し得られた形質転換体から、ILV1プロモーターがpTDH3-URA3-pTDH3に置換された株を取得した。更に、BAT1プロモーター、CHA1プロモーターの置換の場合と同様の操作を行い、URA3が除去され、ILV1プロモーターがTDH3プロモーターに置換された株AG1-BCIYe URA3-を取得した。
このようにして得られた菌株のBAT1遺伝子の発現量をさらに増加させる目的で、Y006株作成時に取り除かれた染色体上URA3 ORF領域に、以下の手順でBAT1遺伝子を導入した。
まず、AG1-BCIYe URA3-株に、野生型株であるS288C株のゲノムDNAを鋳型に、配列番号29のプライマー(5'- AGTTACAGCAATGAAAGAGCAGAGCGAGAG-3')及び配列番号30のプライマー(5'- ATTACTGCTGCTGTTCCAGCCCATATCCAA-3')を用いて増幅したDNAを導入することにより、URA3が野生型に復元したAG1-BCIYe株を得た。
次に、5’端にURA3の上流配列を有する配列番号31のプライマー(5'- GTGTTGAAGAAACATGAAATTGCCCAGTATTCTTAACCCAACTGCACAGAACAAAAACCTGCAGGAAACGAAGATAAATCCTGTTATTATCCTTAAAAGT-3')、及び5’端にURA3の下流配列を有する配列番号32のプライマー(5'- CCGGGTAATAACTGATATAATTAAATTGAAGCTCTAATTTGTGAGTTTAGTATACATGCATTTACTTATAATACAGTTTTATACTGTACTTGCACCTCTT-3')を用い、AG1-BYe URA3-株ゲノムを鋳型にPCRを行い(熱変性 98℃, 10 sec、アニーリング 50℃, 30 sec、伸張 68℃, 4 min)、TDH3-BAT1領域を持つDNA断片を調製した。このDNA断片でAG1-BCIYe株を形質転換し、FOA平板培地に塗布し得られる形質転換体から、URA3がTDH3p-BAT1で置換された株AG1-BCIYe ura3::TDH3p-BAT1を取得した。
最後に、前述の菌株のGLY1遺伝子を破壊するために、以下の操作を行った。配列番号33のプライマー(5'- CAGCACGTGACCCACGCTTG-3')および配列番号34のプライマー(5'-
ATCCTGTGAAGAAACCCTGC-3')を用い、YEAST KNOCK OUT STRAIN COLLECTION (フナコシ、YCS1056)のGLY1破壊株ゲノムを鋳型に、カナマイシン耐性遺伝子カセットKanMXに置換されたGLY1を含む領域を増幅した。PCRの条件は、熱変性 94℃, 10 sec、アニーリング 60℃,
10 sec、伸張 72℃, 3 min、28 cycleであった。次に、エタノール沈殿によってDNA断片を精製した後、AG1-BCIYe ura3::TDH3p-BAT1株に形質転換し、G418を添加したYPD平板培地に菌体を塗布した。得られた形質転換体から、GLY1を欠損したAG1-BCIYeg ura3::TDH3p-BAT1株を取得した。
このようにして取得したAG1-BCIYe ura3::TDH3p-BAT1株及び同株のGLY1遺伝子欠損株であるAG1-BCIYeg ura3::TDH3p-BAT1株はウラシル要求性であるため、ウラシル要求性を相補するURA3遺伝子を有する酵母−E.coliシャトルベクターpYES2-ADH1pを導入した。同シャトルベクターの構築手順は下記の通りである。プラスミドpYES2(インビトロジェン社)に酵母の構成発現プロモーターであるADH1pを導入した。具体的には、S288C株より調製したゲノムを鋳型として、配列番号35のプライマー(5'- ATAACCGGTGGGTGTACAATATGGACTTC-3')及び配列番号36のプライマー(5'- ATAAAGCTTTGTATATGAGATAGTTGATT-3')を用いたPCRによりADH1のプロモーター領域を増幅した(熱変性 94℃, 10 sec、アニーリング50℃, 10 sec、伸張 72℃, 1 min、25 cycle)。得られたDNA断片をエタノール沈殿により精製後、制限酵素HindIII及びAgeIで消化し、プラスミドpYES2のHindIII-AgeI部位に挿入し、pYES2-ADH1pを得た。
このようにして取得したAG1-BCIYe ura3::TDH3p-BAT1/pYES2-ADH1p株を「コントロール株」と命名し、同株のGLY1遺伝子欠損株であるAG1-BCIYeg ura3::TDH3p-BAT/pYES2-ADH1p株を「△GLY1株」と命名し、以下の解析に用いた。
実施例2.グリシン生成能の弱化効果の検証
実施例1で構築したコントロール株及び△GLY1株を各々SD培地(500ml容坂口フラスコ中50ml)に1エーゼ分植菌し、30℃、120rpmで24時間振とう培養した。
<SD培地組成>
グルコース 2%
Nitrogen Base 1倍濃度
(10倍濃度Nitrogen Baseは、1.7gのBacto Yeast Nitrogen Base w/o Amino Acids and
Ammonium Sulfate (Difco社)と5gの硫酸アンモニウムを混合したものを100mlの滅菌水に溶解し、pHを5.2程度に調整し、フィルター濾過滅菌したもの)
得られた培養液の吸光度を測定し、初発OD600が0.02になるように、SD培地(500ml容坂口フラスコ中50ml)に植菌し、30℃、120rpmで約24時間振とう培養した。なお、吸光度は、BECKMAN COULTER社のDU640 SPECTROPHTOMETERを用いて測定した。OD600が1.1になるタ
イミングで培養液をサンプリングした。得られた培養液から、40 ODunits(OD600が1である培養液1mlに含まれる菌体を1 ODunitと定義する。)分の菌体を遠心分離により採取した。上清は可能な限り取り除き、残った菌体を45mlのmilliQ水に懸濁した。再度遠心分離により菌体を集菌し、45mlのmilliQ水に再懸濁した。この操作を累計3回繰り返すことにより、菌体から培地分を完全に除去した。得られた洗浄菌体は、約1.5mlのmilliQ水に懸濁し、70℃で10分間加熱した。この工程にて菌体内に含まれるエキス分を抽出した。次に、遠心操作によりエキス分を含む画分と菌体残渣を分離した。
エキス分を含む画分から10kDaの遠心濾過膜(MILLIPORE社:Amicon Ultra - 0.5mL 10K(カタログ番号UFC501096))を用いて細胞デブリを除去し、得られた画分を解析サンプルとした。
サンプル中のγ-Glu-Cys及びGSH含量は、公知の方法(Nishiuhi et al., An improved method to determine gamma-glutamylcysteine content in foodstuffs using 4-(aminosulfonyl)-7-fluoro-2,1,3-benzoxadiazole, Food Sci. Technol. Res., 17, 573-577 (2011))によりサンプル中の当該化合物をABD-F試薬で誘導体化し、HPLCにて測定した。
また、サンプル中のγ-Glu-Abu及びγ-Glu-Abu-Gly含量は、公知の方法(WO2011/129462の実施例1)に準じて、サンプル中の当該化合物をAQC試薬にて誘導体化し、LC-MS/MSにより測定した。WO2011/129462の実施例1からの変更点は、下記の通りである。
変更点1:サンプルの誘導体化時に使用する5μMの内部標準物質として、5μMの“3-methyl-His-d2(シグマ社、安定同位体で標識されている。)”と5μMの“Gly-d2(シグマ社、安定同位体で標識されている。)”からなる標準液を用いた。
変更点2:下記表1に記載の質量を質量分析計での選択イオンに用いた。
変更点3:定量を行うための内部標準物質として、γ-Glu-Abu又はγ-Glu-Abu-Glyの誘導体化物の測定にGly-d2の誘導体化物を用いた。なお、γ-Glu-Abuの定量の際に、極まれにサンプルによって夾雑ピークが見られた場合は、第二のマスアナライザーでの選択イオンを、145.2、或いは、104.1に変更して定量した。
Figure 0005998589
また、乾燥菌体重量は、洗浄菌体を4時間、104℃で乾燥させることにより測定した。このようにして測定した一定量の培養液に含まれるγ-Glu-Cys、GSH、γ-Glu-Abu、及びγ-Glu-Abu-Gly及び乾燥菌体重量から、乾燥菌体重量あたりに含まれるγ-Glu-Cys、GSH、γ-Glu-Abu、及びγ-Glu-Abu-Glyの含量を算出した。
その結果、表2、表3に示すように△GLY1株ではコントロール株に比べてトリペプチドであるGSH及びγ-Glu-Abu-Glyの含量が減少し、代わりにジペプチドであるγ-Glu-Cys及びγ-Glu-Abuの含量が増加していた。このように細胞内のグリシン生成酵素活性を弱化させることにより、酵母細胞内のγ−グルタミルジペプチド含量を高められることが判明した。また、本実施例においては、本培養のOD600が1.1になるタイミングはいずれの菌株で
も培養約25時間目であり、γ−グルタミルジペプチド含量の増大による生育の過度の悪化は認められなかった。
なお、抽出されたエキス分中に含まれる成分の乾燥重量と取り除かれた細胞デブリの乾燥重量の比率は、エキス分:細胞デブリ=約1:3である。よって、△GLY1株から得られたエキス分(いわゆる酵母エキス)には、乾燥重量あたり約0.7〜0.8%(7.94μmol/g-DCW × 232.3(Mw)× 約 4 ≒ 0.74 % 乾燥重量)のγ-Glu-Abuが含まれる。また、同酵母エキスには、乾燥重量あたり約3〜4%(0.84 % × 約 4 ≒ 3.4 % 乾燥重量)のγ-Glu-Cysが含まれる。
Figure 0005998589
Figure 0005998589
配列表の説明
配列番号1:サッカロミセス・セレビシエのGLY1の塩基配列
配列番号2:サッカロミセス・セレビシエのGly1pのアミノ酸配列
配列番号3:サッカロミセス・セレビシエのSHM1の塩基配列
配列番号4:サッカロミセス・セレビシエのShm1pのアミノ酸配列
配列番号5:サッカロミセス・セレビシエのSHM2の塩基配列
配列番号6:サッカロミセス・セレビシエのShm2pのアミノ酸配列
配列番号7:サッカロミセス・セレビシエのGSH1の塩基配列
配列番号8:サッカロミセス・セレビシエのGsh1pのアミノ酸配列
配列番号9、10:GSH1のプロモーター置換に用いるプライマー
配列番号11、12:YCF1のプロモーター置換に用いるプライマー
配列番号13、14:ECM38破壊用プライマー
配列番号15〜18:ECM38破壊時に挿入されたURA3除去用プライマー
配列番号19〜22:TDH3プロモーターへのプロモーター置換用プラスミドpTUT構築用プライマー
配列番号23、24:BAT1プロモーター置換に用いるプライマー
配列番号25、26:CHA1プロモーター置換に用いるプライマー
配列番号27、28:ILV1プロモーター置換に用いるプライマー
配列番号29、30:URA3増幅用プライマー
配列番号31、32:URA3ローカスにTDH3p-BAT1を導入するために用いるプライマー
配列番号33、34:GLY1破壊株ゲノムを鋳型としたGLY1破壊用プライマー
配列番号35、36:プラスミドpYES2-ADH1p構築に用いるプライマー

Claims (10)

  1. γ−グルタミルジペプチド合成酵素の活性が増大し、かつグリシン生成酵素の活性が低下するよう改変された酵母。
  2. γ−グルタミルジペプチド合成酵素をコードする遺伝子のコピー数を高めることにより、または該遺伝子の発現調節配列を改変することにより、γ−グルタミルジペプチド合成酵素の活性が増大するように改変された、請求項1に記載の酵母。
  3. 前記γ−グルタミルジペプチド合成酵素がγ−グルタミルシステイン合成酵素である、請求項1または2に記載の酵母。
  4. グリシン生成酵素をコードする遺伝子の発現が弱化されることにより、または該遺伝子が破壊されることにより、グリシン生成酵素の活性が低下するように改変された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の酵母。
  5. 前記グリシン生成酵素がスレオニンアルドラーゼである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の酵母。
  6. さらに、L−システインの生合成経路および/またはα−アミノ酪酸の生合成経路が強化されるよう改変された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の酵母。
  7. 前記酵母がサッカロミセス属に属する酵母である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の酵母。
  8. 前記酵母がサッカロミセス・セレビシエである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の酵母。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の酵母を原料として用いて酵母エキスを調製することを特徴とする、酵母エキスの製造方法。
  10. 請求項9に記載の方法により得られる酵母エキスを飲食品の原料に添加することを特徴
    とする、飲食品の製造方法。
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