JP5995048B2 - 電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及びこれらの製造方法、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンター等に用いられる二成分系電子写真現像剤に使用される電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及びこれらの製造方法、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤に関する。
電子写真現像方法は、現像剤中のトナー粒子を感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法であり、この方法で使用される現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤及びトナー粒子のみを用いる一成分系現像剤に分けられる。
こうした現像剤のうち、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法等が採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
二成分系現像剤において、キャリア粒子は、現像剤が充填されている現像ボックス内において、トナー粒子と共に攪拌されることによって、トナー粒子に所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナー粒子を感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質である。マグネットを保持する現像ロール上に残ったキャリア粒子は、この現像ロールから再び現像ボックス内に戻り、新たなトナー粒子と混合・攪拌され、一定期間繰り返して使用される。
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、キャリア粒子はトナー粒子と混合・攪拌され、トナー粒子を帯電させ、さらに搬送する機能を有しており、現像剤を設計する際の制御性が良い。従って、二成分系現像剤は高画質が要求されるフルカラー現像装置及び画像維持の信頼性、耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。
このようにして用いられる二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要である。これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるキャリア粒子の特性が安定していることが必要になる。
二成分系現像剤を形成するキャリア粒子として、従来は、表面を酸化被膜で覆った鉄粉あるいは表面を樹脂で被覆した鉄粉等の鉄粉キャリアが使用されていた。このような鉄粉キャリアは、磁化が高く、導電性も高いことから、ベタ部の再現性のよい画像が得られやすいという利点がある。
しかしながら、このような鉄粉キャリアは真比重が約7.8と重く、また磁化が高すぎることから、現像ボックス中におけるトナー粒子との攪拌・混合により、鉄粉キャリア表面へのトナー構成成分の融着、いわゆるトナースペントが発生しやすくなる。このようなトナースペントの発生により有効なキャリア表面積が減少し、トナー粒子との摩擦帯電能力が低下しやすくなる。
また、樹脂被覆鉄粉キャリアでは、耐久時のストレスにより表面の樹脂が剥離し、高導電性で絶縁破壊電圧が低い芯材(鉄粉)が露出することにより、電荷のリークが生ずることがある。このような電荷のリークにより、感光体上に形成された静電潜像が破壊され、ベタ部にハケスジ等が発生し、均一な画像が得られにくい。これらの理由から、酸化被膜鉄粉及び樹脂被覆鉄粉等の鉄粉キャリアは、現在では使用されなくなってきている。
近年は、鉄粉キャリアに代わって真比重約5.0程度と軽く、また磁化も低いフェライトをキャリアとして用いたり、さらに表面に樹脂を被覆した樹脂コートフェライトキャリアが多く使用されており、現像剤寿命は飛躍的に伸びてきた。
このようなフェライトキャリアの製造方法としては、フェライトキャリア原料を所定量混合した後、仮焼、粉砕し、造粒後に焼成を行うのが一般的であり、条件によっては仮焼を省略できる場合もある。
ところで、最近、環境規制が厳しくなり、Ni、Cu、Zn等の金属の使用は避けられるようになってきており、環境規制に適応した金属の使用が求められており、キャリア芯材として用いられるフェライト組成はCu−Znフェライト、Ni−Znフェライトからマンガンを用いたマンガンフェライト、Mn−Mg−Srフェライト等に移行している。
特許文献1(特開平8−22150号公報)には、マンガン−マグネシウムフェライトにおいて、その一部をSrOで置換したフェライトキャリアが記載されている。このフェライトキャリアによって、粒子間の磁化のバラツキを低減させることにより、トナーと共に現像剤として用いたときに画質及び耐久性に優れ、環境に優しく、長寿命で環境安定性に優れるとされている。しかし、この特許文献1に記載のフェライトキャリアでは、適度な凹凸を持った均一な表面性と高い帯電付与能力の両立ができない。焼成温度を高くすると、表面性が平滑の部分が多くなり、不均一となるため、樹脂を被覆後の抵抗、帯電の分布が広くなってしまうだけでなく、撹拌ストレスに対する強度も低下してしまう。焼成温度を低くすると、見かけ上、表面がシワ状で均一な表面性となるが、BET比表面積の値が大きくなるため帯電性が低く、環境差も大きいものとなってしまう。また抵抗が低いためキャリア付着や細線再現性も満足のできるものではない。
マンガンを用いたキャリア芯材に代わるものとして、マグネシウムを用いたキャリア芯材を用い、表面酸化処理により高抵抗化されたものが提案されている。例えば、特許文献2(特開2010−39368号公報)には、マグネシウム、チタン及び鉄を一定割合で含有し、BET比表面積が特定範囲にあるキャリア芯材が記載されている。このキャリア芯材によって、高磁化でありながら中抵抗又は高抵抗といった所望の抵抗が得られ、かつ帯電特性に優れ、また適度な凹凸を有する表面性と揃った形状とを兼備するとされている。
この特許文献2に記載されているキャリア芯材は、マンガン及びチタンの含有量が少ないため、基本的にはマグネタイトの特性を示し、低磁場側の磁化が低くなることから、実機による画像形成においてはキャリア付着の発生が懸念される。
また、凹凸を有しているものの、凹部の深さがあまり大きくないためBET比表面積が小さく、小粒径化に伴い樹脂被覆量を増加させた際に、十分樹脂を芯材表面に保持できず、樹脂被覆量が局所的に異なり、長寿命化が出来ない可能性が残る。
またマンガン−マグネシウム組成にチタンを添加し、表面酸化処理を行ったものとして特許文献3(特開2012−13865号公報)がある。
特許文献3のキャリアはマンガンを一定量含有するため低磁場側の磁化は十分であるものの、チタンを含有するため比表面積が小さくなってしまい、樹脂を被覆後の抵抗、帯電の分布が広くなってしまうだけでなく、撹拌ストレスに対する強度も低下してしまう。
またキャリア芯材の結晶構造に着目したものとしては特許文献4(特開2011−209475号公報)があるが、格子定数は組成に因るところが大きく、格子定数が同じでも組成が異なれば当然特性は異なる。また、マンガンを含有していないため、低磁場側の磁化が低いと考えられる。
他にも格子定数に着目したものとして特許文献5(特開2011−075918号公報)や特許文献6(特開2011−086339号公報)があるが、前者はAlを、後者はSiを含有しているため組成が異なる。また粒子間の抵抗のバラツキも大きいと考えられ、キャリア付着等の不具合が予想される。
またキャリア芯材の半値幅に着目したものとして特許文献7(特開2008−261955号公報)や特許文献8(特開2008−241742号公報)があるが、半値幅も組成に因るところが大きく、半値幅が同じでも組成が異なれば当然特性は異なる。
特開平8−22150号公報 特開2010−39368号公報 特開2012−13865号公報 特開2011−209475号公報 特開2011−075918号公報 特開2009−086339号公報 特開2008−261955号公報 特開2008−241742号公報
従って、本発明の目的は、小粒径であるにもかかわらず、粒子抵抗が高く、粒子間のバラツキも小さいため、電子写真現像剤に用いたときにキャリア付着や細線再現性といった画像欠陥のない電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及びこれらの製造方法、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真像剤を提供することにある。
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討した結果、マンガン、マグネシウム、ストロンチウムが特定範囲にあり、格子定数が一定範囲にあるフェライトキャリア芯材及びこの表面に樹脂を被覆したフェライトキャリアが上記目的を達成し、このようなフェライトキャリア芯材は少なくともフェライト原料の粉砕、混合工程、本造粒工程、本焼成工程、表面酸化処理工程を有し、表面酸化処理工程の後工程に冷却工程を有する製造方法によって製造できることを知見し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、Mnを15〜22重量%、Mgを0.5〜3.0重量%、Feを45〜55重量%、Srを0.1〜3.0重量%含有し、格子定数が8.430〜8.46518であり、表面酸化被膜が形成されているフェライト粒子からなり、上記フェライト粒子は、レーザー回折式粒度分布測定装置の測定による体積平均粒径が20〜30.7μmであり、6.5mmGapの1000Vにおける抵抗が1×10〜3×10Ωであることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材を提供するものである。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材において、上記フェライト粒子の(311)面の半値幅は0.15〜0.20であることが望ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材において、上記フェライト粒子のBET比表面積は0.10〜0.18m/gであることが望ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材において、上記フェライト粒子のレーザー回折式粒度分布測定装置の測定による体積平均粒径は20〜40μmであることが望ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材において、上記フェライト粒子の3K・1000/4π・A/mの磁場をかけたときの磁化が57〜67Am/kgであることが望ましい。
また、本発明は、上記フェライトキャリア芯材の表面が樹脂で被覆されている電子写真現像剤用フェライトキャリアを提供するものである。
また、本発明は、Mn化合物、Mg化合物、Sr化合物及びFe化合物をフェライト原料とし、該フェライト原料の粉砕、混合工程、本造粒工程、本焼成工程、表面酸化処理工程を少なくとも有するフェライト粒子からなる電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法であって、
上記表面酸化処理工程が600〜730℃、大気中で行われ、該表面酸化処理工程の後に200℃以下に急冷する冷却工程が設けられていることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法を提供するものである。
本発明の上記電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法において、上記急冷速度が20℃/分以上で行われることが望ましい。
本発明の上記電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法は、上記粉砕、混合工程の後に、仮焼成工程及び再粉砕、混合工程が設けられていてもよい。
本発明の上記電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法は、上記本焼成工程の前に一次焼成工程が設けられていてもよい。
また、本発明は、上記製造方法により得られたフェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆することを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリアの製造方法を提供するものである。
さらに、本発明は、上記フェライトキャリアとトナーからなる電子写真現像剤を提供するものである。
本発明に係る上記電子写真現像剤は、補給用現像剤としても用いられる。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、小粒径であるにもかかわらず、粒子抵抗が高く、粒子間のバラツキも小さいため、電子写真現像剤に用いたときに、キャリア付着や細線再現性といった画像欠陥が生じない。そして、上記フェライトキャリア芯材に樹脂を被覆して得られるフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤は、実機中におけるキャリア飛散が防止され、継続的に細線再現性の良い印刷物が得られる。また、本発明の製造方法によって、上記フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアが安定的に生産性をもって得られる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
<本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリア>
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子は、Mnを15〜22重量%、Mgを0.5〜3.0重量%、Feを45〜55重量%、Srを0.1〜3.0重量%含有する。Mnの含有量は好ましくは17〜22重量%、より好ましくは18〜21重量%、Mgの含有量は好ましくは0.5〜2.5重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である。Feの含有量は好ましくは47〜55重量%、より好ましくは48〜55重量%である。さらにSrの含有量は好ましくは0.3〜2.0重量%、より好ましくは0.5〜1.0重量%である。残部はO(酸素)と随伴不純物であり、随伴不純物は原料に含まれるものや製造工程において混入するものであり、その合計量は0.5重量%以下である。
マンガンを含有することによって、低磁場側の磁化を高くすることができ、本焼成における炉出の際の再酸化を防止する効果が期待できる。添加するときのマンガンの形態は特に制限はないが、MnO、Mn、Mn、MnCOが工業用途で入手しやすいので好ましい。Mnの含有量が15重量%未満では、相対的にFeの含有量が増加する。その結果、マグネタイト成分が多く存在し、低磁場側の磁化が低くなるためキャリア付着を発生させてしまうだけでなく、抵抗も低いためカブリの発生や階調性の悪化等、画質が悪化する。Mnの含有量が22重量%を超えると、抵抗が高くなるためにエッジが効きすぎてしまい、白抜け等の画像欠陥が発生したり、トナー消費量が増加することがある。
マグネシウムを含有することによって、フェライトキャリアとフルカラー用のトナーで構成される帯電の立ち上がりが良い現像剤を得ることができる。また抵抗を高くすることができる。Mgの含有量が0.5重量%未満では、十分な添加効果が得られず、マンガンの含有量が相対的に少なく、かつFeの含有量が多い場合には抵抗が低くなり、カブリの発生や階調性の悪化等、画質が悪化する。マンガンの含有量が相対的に多く、Feの含有量が少ない場合には磁化が高くなりすぎるため、磁気ブラシの穂が硬くなり、はけ筋等の画像欠陥の発生原因となる。一方、Mgの含有量が3.0重量%を超えると、磁化が低下するためにキャリア飛散が発生するだけでなく、焼成温度が低い場合にはマグネシウムに起因する水酸基の影響で水分吸着量が大きくなり帯電量や抵抗といった電気的特性の環境依存性を悪化させる原因となる。
Feの含有量が45重量%未満では、マグネシウムの含有量が相対的に増えた場合は、低磁化成分が増加することを意味しており、所望の磁気特性が得られない。マンガンの含有量が相対的に増えた場合は、磁化が高くなりすぎるため、磁気ブラシの穂が硬くなり、はけ筋等の画像欠陥の発生原因となったり、抵抗が高くなるためにエッジが効きすぎてしまい、白抜け等の画像欠陥が発生したり、トナー消費量が増加しすぎることがある。Feの含有量が55重量%を超えると、Mg及び/又はMnの含有効果は得られず実質的にマグネタイトと同等のフェライトキャリア芯材になってしまう。
Srは抵抗や表面性の調整に寄与し、表面酸化の際に高磁化を保つ効果を有するだけでなく、含有することで芯材の帯電能力を高める効果も得られる。Srの含有量が0.1重量%未満の場合には、Srの含有効果が得られない。特に、写真等の高印字率での印刷を連続的に行なった場合、帯電低下が発生しトナー飛散やトナー消費量の増加といった不具合が出てくる可能性がある。Srの含有量が3.0重量%を超えると、芯材粒子の磁化が下がりキャリア飛散が発生するか、残留磁化や保磁力が高くなり、現像剤として用いたときにはけ筋等の画像欠陥が発生し、画質が低下する。
(Fe、Mn、Mg及びSrの含有量)
上述したFe、Mn、Mg及びSrの含有量は、下記によって測定される。
フェライトキャリア芯材(フェライト粒子)0.2gを秤量し、純水60mlに1Nの塩酸20ml及び1Nの硝酸20mlを加えたものを加熱し、フェライトキャリア芯材を完全溶解させた水溶液を準備し、ICP分析装置(島津製作所製ICPS−1000IV)を用いてFe、Mn、Mg及びSrの含有量を測定した。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子は、表面酸化被膜が形成されている。表面酸化被膜の厚さは、0.1nm〜5μmであることが好ましい。表面酸化被膜の厚さが0.1nm未満であると、表面酸化被膜層の効果が小さく、表面酸化被膜の厚さが5μmを超えると、明らかに磁化が低下したり、高抵抗になりすぎるため、現像能力が低下する等の不具合が発生し易くなる。また、必要に応じて、表面酸化処理の前に還元を行ってもよい。表面酸化被膜の有無は、X線光電子分光(XPS)によってマンガンの2価から3価及び/又は4価への価数変化に伴うピーク及び/又は積分強度の変化から知ることができる。表面酸化被膜の存在の有無は、表面酸化処理前後の抵抗の変化から間接的に知ることもできる。なお、表面酸化被膜はフェライト粒子表面に均一で形成されていても良いし、部分的に表面酸化被膜が形成されていても良い。
フェライト粒子の表面に酸化処理被膜を形成することでフェライト粒子内部に発生している応力(結晶格子の歪)を緩和し、フェライト粒子の強度の改善が期待できる。応力が大きいフェライト粒子を用いた電子写真現像剤用フェライトキャリアは、トナーと混合し現像剤として使用した場合に現像器での撹拌中にフェライトキャリアが割れる可能性があり、キャリア飛散やドラム傷等の原因となる。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子の格子定数は8.430〜8.475である。格子定数の値は、好ましくは8.430〜8.470、より好ましくは8.430〜8.465である。フェライト粒子の格子定数がこの範囲にあることによって、抵抗が高くなり、電子写真現像剤に用いたときに、キャリア付着が防止され、また細線再現性に優れる。フェライト粒子の格子定数が8.430未満では、Mn含有量が少ないことやMg含有量が多いこと、あるいは表面酸化処理温度が高いことが予測され、キャリア飛散の原因となる。8.475を超えると、Fe含有量が少ないあるいは表面酸化処理温度が低いことが予測され、細線再現性が悪くなる原因となる。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子は、スピネル構造メインピークである(311)面の半値幅が0.15〜0.20であることが望ましい。半値幅の値は、より望ましくは0.17〜0.20、最も望ましくは0.18〜0.20である。フェライト粒子の半値幅がこの範囲にあることによって、上記と同様に、抵抗が高くなり、電子写真現像剤に用いたときに、キャリア付着が防止され、また細線再現性に優れる。フェライト粒子の半値幅が0.15未満では、表面酸化が不十分で低抵抗であり、0.20を超えると、ヘマタイトやマグヘマイトの生成量が多く、低磁化や特性が不均一となる不具合が生じる。
これらフェライト粒子の格子定数及び(311)面の半値幅は、X線回折によって測定される。
(結晶構造の測定:X線回折測定)
測定装置としてパナリティカル社製「X’PertPRO MPD」を用いた。X線源としてCo管球(CoKα線)を、光学系として集中光学系及び高速検出器「X‘Celarator」を用いて、測定は0.2°/secの連続スキャンで行った。測定結果は通常の粉末の結晶構造解析と同様に解析用ソフトウエア「X’Pert HighScore」を用いてデータ処理し、結晶構造の同定を行った。なお、結晶構造を同定する際にFe、Oを必須元素としMn、Mg、Srは含有する可能性のある元素とした。また、X線源についてはCu管球でも問題なく測定できるが、Feを多く含んだサンプルの場合には測定対象となるピークと比較してバックグラウンドが大きくなるので、Co管球を用いる方が好ましい。また、光学系は平行法でも同様の結果が得られる可能性があるが、X線強度が低く測定に時間がかかるため集中光学系での測定が好ましい。さらに、連続スキャンの速度は特に制限はないが結晶構造の解析を行う際に十分なS/N比を得るためにスピネル構造の(311)面のピーク強度が約50000cpsとなるようにし、粒子の特定の優先方向への配向がないようにサンプルセルにキャリア芯材をセットし測定を行った。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材として用いられるフェライト粒子のBET比表面積は、好ましくは0.10〜0.18m/g、より好ましくは0.12〜0.17m/g、最も好ましくは0.13〜0.16m/gである。
BET比表面積が上記範囲よりも小さい場合には、樹脂被覆を行なっても十分に樹脂のアンカー効果が得られないだけでなく、被覆されなかった樹脂によってフェライト粒子同士が凝集してしまうことがある。そのため実質的な被覆樹脂量が減少し、キャリアとしての寿命が短くなったり、凝集したフェライト粒子が現像器中で解されることでフェライト粒子表面が大きく露出し、低抵抗化することでキャリア飛散が発生する原因となる。BET比表面積が上記範囲よりも大きい場合は、被覆樹脂がフェライト粒子表面に留まらず染み込みすぎることでキャリアとして所望の抵抗と帯電量が得られないことがある。なお、BET比表面積測定を行う際、測定結果は測定サンプルであるフェライト粒子表面の水分の影響を強く受けるので、可能な限りサンプル表面に付着している水分を除去するような前処理を行うことが好ましい。具体的には減圧しながら120℃以上、より好ましくは150℃以上のフェライト粒子が変質等を起こさない温度領域まで加熱し、水分を除去する。水分がフェライト粒子の表面付近に残留した状態では、BET比表面積の値が上記前処理を行った場合の1.2〜2倍程度大きくなり、正しい値とならない。
このBET比表面積の測定は、比表面積測定装置(型式:Macsorb HM model−1208(マウンテック社製))を用いた。測定試料(フェライト粒子)を比表面積測定装置専用の標準サンプルセルに約5〜7g入れ、精密天秤で正確に秤量し、測定ポートに試料をセットし、測定を開始した。測定は1点法で行い、測定終了時に試料の重量を入力すると、BET比表面積が自動的に算出される。なお、測定前に前処理として、測定試料をガラスシャーレに20g程度を取り分けた後、真空乾燥機で−0.1MPaまで脱気し、−0.1MPa以下に真空度が到達していることを確認した後、200℃で2時間加熱した。
環境:温度;10〜30℃、湿度;相対湿度で20〜80% 結露なし
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材に用いられるフェライト粒子は、レーザー回折式粒度分布測定装置の測定による体積平均粒径D50が20〜40μm、好ましくは22〜35μmである。
体積平均粒径が上記範囲よりも小さい場合は、フェライト粒子1粒子当たりの磁力が小さくなるため、BET比表面積が上記範囲内であってもキャリア飛散を防止することが出来ない。体積平均粒径が上記範囲よりも大きい場合は、現像剤を作成したときに高いトナー濃度が実現できず、高画質の印刷物が得られないか、高いトナー濃度にした場合に急速に現像剤の帯電量が下がるか、帯電量分布が広がり、トナー飛散の原因となる。
(体積平均粒径)
この体積平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定した。装置として日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(Model9320−X100)を用いた。屈折率は2.42とし、25±5℃、湿度55±15%の環境下で測定を行った。ここで言う平均粒径(メジアン径)とは、体積分布モード、ふるい下表示での累積50%粒子径である。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材に用いられるフェライト粒子は、6.5mmGap印加電圧1000Vにおける抵抗が1×10〜3×10Ωであることであることが望ましい。
6.5mmGap印加電圧1000Vにおける抵抗が1×10Ωよりも小さい場合は抵抗が低すぎてフェライトキャリアとして使用した際に白斑が発生したりキャリア飛散する可能性がある。3×10Ωよりも高い場合はフェライトキャリアとして使用した際にエッジが効きすぎた画像になり、トナー消費量が増加することがある。
(電気抵抗)
この抵抗は、次の通り測定される。すなわち、電極間間隔6.5mmにて非磁性の平行平板電極(10mm×40mm)を対抗させ、その間に、試料(フェライト粒子)200mgを秤量して充填する。磁石(表面磁束密度:1500Gauss、電極に接する磁石の面積:10mm×30mm)を平行平板電極に付けることにより電極間に試料を保持させ、1000Vの印加電圧における抵抗を絶縁抵抗計(SM−8210、東亜ディケーケー(株)製)にて測定した。
本発明に係る電子写真現像剤用多孔質フェライト芯材に用いられるフェライト粒子は、3K・1000/4π・A/mの磁場をかけたときのB−H測定による磁化が57〜67Am/kgである。フェライト粒子の磁化が57Am/g未満であると、キャリア飛散発生の原因となる。一方、フェライト粒子の磁化が67Am/gを超えると、低抵抗のため細線再現性が不十分である。この磁気特性(磁化)は、下記によって測定される。
(磁気特性)
積分型B−HトレーサーBHU−60型(理研電子社製)を使用して測定した。電磁石間に磁場測定用Hコイル及び磁化測定用4πIコイルを入れる。この場合、試料は4πIコイルに入れる。電磁石の電流を変化させ磁場Hを変化させたHコイル及び4πIコイルの出力をそれぞれ積分し、H出力をX軸に、4πIコイルの出力をY軸に、ヒステリシスループを記録紙に描く。ここで測定条件としては、試料充填量:約1g、試料充填セル:内径7mm±0.02mm、高さ10mm±0.1mm、4πIコイル:巻数30回にて測定した。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリアは、上記フェライトキャリア芯材(フェライト粒子)の表面が樹脂で被覆されている。樹脂被覆回数は1回のみでも良いし、2回以上の複数回樹脂被覆を行なっても良く、所望の特性に応じて被覆回数を決めることができる。また、被覆樹脂の組成、被覆量及び樹脂被覆に使用する装置は被覆回数が2回以上の複数回の場合は、変化させても良いし、変えなくても良い。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリアは、合計樹脂被膜量が、キャリア芯材に対して0.1〜10重量%が望ましい。合計被膜量が0.1重量%未満ではキャリア表面に均一な被膜層を形成することが難しく、また10重量%を超えるとキャリア同士の凝集が発生してしまい、歩留まり低下等の生産性の低下と共に、実機内での流動性あるいは帯電量等の現像剤特性変動の原因となる。
ここに用いられる被膜形成樹脂は、組み合わせるトナー、使用される環境等によって適宜選択できる。その種類は特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変性シリコーン樹脂等が挙げられる。本発明では、アクリル樹脂、シリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂が最も好ましく用いられる。
またキャリアの電気抵抗や帯電量、帯電速度をコントロールすることを目的に、被膜形成樹脂中に導電剤を含有することができる。導電剤はそれ自身の持つ電気抵抗が低いことから、含有量が多すぎると急激な電荷リークを引き起こしやすい。従って、含有量としては、被膜形成樹脂の固形分に対し0.25〜20.0重量%であり、好ましくは0.5〜15.0重量%、特に好ましくは1.0〜10.0重量%である。導電剤としては、導電性カーボン、金属的な性質を持ったカーボンナノチューブ、半導体的な性質を持ったカーボンナノチューブ、酸化チタンや酸化スズ等の酸化物、各種の有機系導電剤が挙げられる。
また、上記被膜形成樹脂中には、帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤の例としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、各種シランカップリング剤が挙げられる。これは被膜形成によって芯材露出面積を比較的小さくなるように制御した場合、帯電付与能力が低下することがあるが、各種の帯電制御剤やシランカップリング剤を添加することにより、コントロールできるためである。使用できる帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。
<本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材及びキャリアの製造方法>
次に、本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材及びキャリアの製造方法について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法は、Mn化合物、Mg化合物、Sr化合物及びFe化合物をフェライト原料とし、該フェライト原料の粉砕混合工程、本造粒工程、本焼成工程、表面酸化処理工程を少なくとも有するフェライト粒子からなる電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法である。
これらのフェライト原料の粉砕、混合工程、本造粒工程、本焼成工程、表面酸化処理工程の各製造工程は、特に制限はなく、従来公知の方法が採用することができ、乾式による方法を用いても湿式による方法を用いてもよい。また、粉砕、混合工程の後に、仮焼成工程及び再粉砕、混合工程を設けてもよい。例えば原料としてFeとMg(OH)及び/又はMgCOとMnO、Mn、Mn34、MnCOのうちから選ばれる1種類以上のマンガン化合物とSrO及び/又はSrCOを粉砕、混合し(フェライト原料粉砕、混合工程)、大気下で仮焼成する(仮焼成工程)。仮焼成後、得られた仮焼物をさらにボ−ルミル又は振動ミル等で再粉砕した後、水及び必要に応じ分散剤、バインダー等を添加し(再粉砕、混合工程)、粘度調整後、スプレードライヤーにて粒状化し、造粒を行う(本造粒工程)。仮焼後に粉砕する際は、水を加えて湿式ボールミルや湿式振動ミル等で粉砕しても良い。なお、バインダーとしてはポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンを使うことが好ましい。
本発明の製造方法では、得られた造粒物を必要に応じて一次焼成後(一次焼成工程)、本焼成を行う(本焼成工程)。ここで、一次焼成は、600〜800℃で行われる。また、本焼成は不活性雰囲気又は弱酸化性雰囲気、例えば酸素濃度が0.1体積%(1000ppm)〜5体積%(50000ppm)、より好ましくは0.1体積%(1000ppm)〜3.5体積%(35000ppm)、最も好ましくは0.1体積%(1000ppm)〜2.5体積%(25000ppm)の窒素と酸素の混合ガス雰囲気下、1090〜1210℃で行われる。
本焼成を行う際は、ロータリーキルンのように炉の内部を流動しながら熱間部を通過する形式の焼成炉は、焼成雰囲気の酸素濃度が低い場合に炉内に付着しやすくなり、流動性の良い焼成物が十分焼成されないうちに炉外に排出される。そのためBET比表面積が本発明で規定する範囲と同程度であっても芯材粒子の表面が十分焼結が進んでも粒子内部の焼結が進まず、電子写真現像剤用キャリア芯材としてフェライト粒子が十分な強度を持たないものになる可能性がある。そのためできる限り焼成前の原料をコウ鉢等に入れて静置した状態で熱間部を通過させるトンネルキルン、エレベータキルン等を使用することが望ましい。
その後、焼成物を解砕、分級を行ってフェライト粒子を得る。分級方法としては、既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法等を用いて所望の粒径に粒度調整する。乾式回収を行う場合は、サイクロン等で回収することも可能である。粒度調整を行う際は前述の分級方法を2種類以上選んで実施しても良いし、1種類の分級方法で条件を変更して粗粉側粒子と微粉側粒子を除去しても良い。
その後、表面を低温加熱することで表面酸化処理を施し、フェライト粒子表面に表面酸化被膜を形成し、電気抵抗調整を行う(表面酸化処理工程)。表面酸化処理は、大気等の酸素含有雰囲気下、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、600〜730℃、好ましくは630〜700℃で加熱処理を行う。加熱温度が600℃よりも低い場合は、芯材粒子表面の酸化が十分に進まないため、所望の抵抗特性が得られない。加熱温度が730℃よりも高い場合はマンガンの酸化が進みすぎ、スピネル構造の結晶性が悪くなることに起因したフェライト粒子の低抵抗が進むため好ましくない。表面酸化被膜を均一にフェライト粒子に形成させるためにはロータリー式電気炉を用いることが好ましい。
撹拌ストレス等の機械的な衝撃によるフェライト粒子表面の酸化では、瞬間的に高温になることがあっても結晶構造の再構成を行なうのに十分な熱量とならないため、応力(結晶格子の歪)が緩和できず、フェライト粒子の強度の改善は期待できない。
次に、表面酸化処理によって表面酸化被膜が形成されたフェライト粒子を200℃以下に急冷する。急冷手段としては、熱間部の後続に急冷部を有するロータリー式電気炉等が好適に用いられる。急冷条件は20℃/分以上であることが必要である。このように一定温度で表面酸化処理した後、急冷を施すことによって、蓄熱による熱量のバラツキを抑えることができ、結晶構造の均一化を図ることができる。
本発明の電子写真現像剤用フェライトキャリアは、上記フェライトキャリア芯材(表面酸化被膜を形成したフェライト粒子)の表面に、上記した樹脂を被覆し、樹脂被膜を形成する。被覆する方法としては、公知の方法、例えば刷毛塗り法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリドライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等により被覆することができる。被覆率を向上させるためには、流動床による方法が好ましい。
樹脂をフェライトキャリア芯材に被覆後、焼き付けする場合には、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。UV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移点以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げる必要がある。
<本発明に係る電子写真用現像剤>
次に、本発明に係る電子写真用現像剤について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤は、上述した電子写真現像剤用フェライトキャリアとトナーとからなるものである。
本発明の電子写真現像剤を構成するトナー粒子には、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。本発明ではいずれの方法により得られたトナー粒子も使用することができる。
粉砕トナー粒子は、例えば、結着樹脂、荷電制御剤、着色剤をヘンシェルミキサー等の混合機で充分に混合し、次いで、二軸押出機等で溶融混練し、冷却後、粉砕、分級し、外添剤を添加後、ミキサー等で混合することにより得ることができる。
粉砕トナー粒子を構成する結着樹脂としては特に限定されるものではないが、ポリスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、更にはロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂等を挙げることができる。これらは単独又は混合して用いられる。
荷電制御剤としては、任意のものを用いることができる。例えば正荷電性トナー用としては、ニグロシン系染料及び4級アンモニウム塩等を挙げることができ、また、負荷電性トナー用としては、含金属モノアゾ染料等を挙げることができる。
着色剤(色材)としては、従来より知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー、フタロシアニングリーン等を使用することができる。その他、トナーの流動性、耐凝集性向上のためのシリカ粉体、チタニア等のような外添剤をトナー粒子に応じて加えることができる。
重合トナー粒子は、懸濁重合法、乳化重合法、乳化凝集法、エステル伸長重合法、相転乳化法といった公知の方法で製造されるトナー粒子である。このような重合法トナー粒子は、例えば、界面活性剤を用いて着色剤を水中に分散させた着色分散液と、重合性単量体、界面活性剤及び重合開始剤を水性媒体中で混合攪拌し、重合性単量体を水性媒体中に乳化分散させて、攪拌、混合しながら重合させた後、塩析剤を加えて重合体粒子を塩析させる。塩析によって得られた粒子を、濾過、洗浄、乾燥させることにより、重合トナー粒子を得ることができる。その後、必要により乾燥されたトナー粒子に機能付与のため外添剤を添加することもできる。
更に、この重合トナー粒子を製造するに際しては、重合性単量体、界面活性剤、重合開始剤、着色剤以外に、定着性改良剤、帯電制御剤を配合することができ、これらにより得られた重合トナー粒子の諸特性を制御、改善することができる。また、水性媒体への重合性単量体の分散性を改善するとともに、得られる重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。
上記重合トナー粒子の製造に使用される重合性単量体に特に限定はないが、例えば、スチレン及びその誘導体、エチレン、プロピレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエステル及びメタクリル酸ジエチルアミノエステル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類等を挙げることができる。
上記重合トナー粒子の調製の際に使用される着色剤(色材)としては、従来から知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー及びフタロシアニングリーン等を使用することができる。また、これらの着色剤はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等を用いてその表面が改質されていてもよい。
上記重合トナー粒子の製造に使用される界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を使用することができる。
ここで、アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等を挙げることができる。更に、カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩、アルキルアミノ酸等を挙げることができる。
上記のような界面活性剤は、重合性単量体に対して、通常は0.01〜10重量%の範囲内の量で使用することができる。このような界面活性剤は、単量体の分散安定性に影響を与えるとともに、得られた重合トナー粒子の環境依存性にも影響を及ぼす。上記範囲内の量で使用することは単量体の分散安定性の確保と重合トナー粒子の環境依存性を低減する観点から好ましい。
重合トナー粒子の製造には、通常は重合開始剤を使用する。重合開始剤には、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とがあり、本発明ではいずれをも使用することができる。本発明で使用することができる水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、水溶性パーオキサイド化合物を挙げることができ、また、油溶性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、油溶性パーオキサイド化合物を挙げることができる。
また、本発明において連鎖移動剤を使用する場合には、この連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四臭化炭素等を挙げることができる。
更に、本発明で使用する重合トナー粒子が、定着性改善剤を含む場合、この定着性改良剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス等を使用することができる。
また、本発明で使用する重合トナー粒子が、帯電制御剤を含有する場合、使用する帯電制御剤に特に制限はなく、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等を使用することができる。
また、重合トナー粒子の流動性向上等のために使用される外添剤としては、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子等を挙げることができ、これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
更に、水性媒体から重合粒子を分離するために使用される塩析剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の金属塩を挙げることができる。
上記のようにして製造されたトナー粒子の体積平均粒径は、2〜15μm、好ましくは3〜10μmの範囲内にあり、重合トナー粒子の方が粉砕トナー粒子よりも、粒子の均一性が高い。トナー粒子が2μmよりも小さくなると、帯電能力が低下しかぶりやトナー飛散を引き起こしやすく、15μmを超えると、画質が劣化する原因となる。
上記のように製造されたキャリアとトナーとを混合し、電子写真現像剤を得ることができる。キャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は、3〜15重量%に設定することが好ましい。3重量%未満であると所望の画像濃度が得にくく、15重量%を超えると、トナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。
本発明に係る電子写真現像剤は、補給用現像剤として用いることもできる。この際の現像剤中のトナーの重量比、即ちトナー濃度は75〜99.9重量%に設定することが好ましい。
上記のように調製された本発明に係る電子写真現像剤は、有機光導電体層を有する潜像保持体に形成されている静電潜像を、バイアス電界を付与しながら、トナー及びキャリアを有する二成分現像剤の磁気ブラシによって反転現像する現像方式を用いたデジタル方式のコピー機、プリンター、FAX、印刷機等に使用することができる。また、磁気ブラシから静電潜像側に現像バイアスを印加する際に、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法である交番電界を用いるフルカラー機等にも適用可能である。
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
Feを50.5モル、MnOを37.5モル、MgCOを12.5モル及びSrCOを0.25モルとなるように秤量し、ローラーコンパクターでペレット化した。得られたペレットを大気雰囲気の条件下、970℃にてロータリー式の焼成炉で仮焼成をおこなった。
これを乾式ビーズミルにて粗粉砕した後、水を添加し、湿式ビーズミルで6時間粉砕し、バインダー成分としてPVAをスラリー固形分に対して3.2重量%となるように添加し、ポリカルボン酸系分散剤をスラリーの粘度が2〜3ポイズになるように添加したものを粉砕スラリーとした。この際のスラリーの固形分は55重量%、スラリー粒径のD50は1.66μmであった。
このようにして得られた粉砕スラリーをスプレードライヤーにて造粒、乾燥し、大気雰囲気の条件下、ロータリーを用いて大気中、700℃で一次焼成を行った。次いで、電気炉を用いて、酸素濃度0.25体積%の条件下、1150℃で4時間保持し、本焼成を行なった。その後、解砕、分級してフェライト粒子を得た。
さらに得られたフェライト粒子を、熱間部の後続に冷却部を有するロータリー式の電気炉を用い、熱間部で大気雰囲気の条件下、650℃で表面酸化処理を行った。続いて酸化処理を施されたキャリア芯材は、冷却部で150℃に冷却され、表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。この際、冷却部を10分で通過しており、急冷速度は50℃/分であった。
実施例2
表面酸化処理を630℃とした以外は、実施例1と同様にして表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
実施例3
表面酸化処理を680℃とした以外は、実施例1と同様にして表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
実施例4
表面酸化処理を700℃とした以外は、実施例1と同様にして表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
実施例5
体積平均粒径を30.7μmに調整した以外は、実施例1と同様にして表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
実施例6
表面酸化処理後の急冷速度を30℃/分で15分間行い、急冷後に200℃にした以外は、実施例1と同様にして表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
実施例7
表面酸化処理をバッチ型の電気炉で行い、表面酸化処理後、液体窒素打ち込みにより10分間で650℃から150℃に冷却した(急冷速度50℃/分)以外は、実施例1と同様にして表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
実施例8
焼成温度を1170℃にした以外は、実施例1と同様にして表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
参考例1
表面酸化処理を600℃とした以外は、実施例1と同様にして表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
参考例2
体積平均粒径を37.4μmに調整した以外は、実施例1と同様にして表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
[比較例1]
表面酸化処理及び急冷を行わなかった以外は、実施例1と同様にして表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
[比較例2]
表面酸化処理を540℃とした以外は、実施例1と同様にして表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
[比較例3]
表面酸化処理を750℃とした以外は、実施例1と同様にして表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
[比較例4]
フェライト原料としてFeを50モル及びMgCOを50モル用いた以外は、実施例1と同様にして表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
[比較例5]
表面酸化処理後に、冷却部を通過させず、急冷を行わない以外は、実施例1と同様にして表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
[比較例6]
表面酸化処理後の急冷速度を15℃/分で28分間行い、急冷後に230℃とした以外は、実施例1と同様にして表面酸化処理済みのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
実施例1〜8、比較例1〜6及び参考例1〜2の配合割合(原料仕込みモル数)、仮焼成条件(温度及び雰囲気)、粉砕スラリー・本造粒条件(スラリー粒径、固形分)、一次焼成条件(温度及び雰囲気)及び本焼成条件(温度及び雰囲気)を表1に示す。また、実施例1〜8、比較例1〜6及び参考例1〜2の表面酸化処理前の粉体特性(体積平均粒径、BET比表面積)、化学分析、磁気特性(磁化)及びX線回折(格子定数及び半値幅)を表2に示す。さらに、実施例1〜8、比較例1〜6及び参考例1〜2の表面酸化処理条件(温度及び雰囲気)、急冷条件(有無及び急冷温度)、表面酸化処理後の粉体特性(体積平均粒径、BET比表面積)、化学分析、磁気特性(磁化)、X線回折(格子定数及び半値幅)及び抵抗を表3に示す。
Figure 0005995048
Figure 0005995048
Figure 0005995048
表3に示されるように、実施例1〜8は、小粒径であるにもかかわらず、粒子抵抗が高く、比表面積や磁化も所望の範囲にある。また、均一な表面処理がされているため、表面酸化処理により粒子表面と粒子内部の結晶構造が異なるにも関わらず半値幅が小さく、粒子間のバラツキが小さく、また高抵抗である。表面性も均一であることからコート後の特性も期待できる。
これに対し、比較例1は、表面酸化処理を行わない例であり、BET比表面積が大きすぎ、格子定数も大きいため、所望の抵抗や帯電量が得られないことが予測され、また細線再現性に劣るものとなる。比較例2は、表面酸化処理を低温で行った例であるが、格子定数が大きいため、細線再現性に劣るものとなる。比較例3は、表面酸化処理を高温で行った例であるが、格子定数が小さく、BET比表面積が小さすぎ、磁化や抵抗が低いものとなる。
一方、比較例4は、フェライトキャリア芯材としてマグネシウムフェライト粒子を用いた例であるが、格子定数が小さすぎ、磁化が低すぎ、また抵抗が高くなりすぎている。比較例5は、表面酸化処理後に急冷しない例であり、比較例6は、急冷をゆっくり行った例であるが、いずれも格子定数が小さく、半値幅が大きいため低磁化、高抵抗であり、表面性も均一でなく、コーティングのばらつきも大きいと考えられる。
実施例9
実施例1の表面酸化処理を行ったフェライト粒子(キャリア芯材)に対してアクリル変性シリコーン樹脂(信越シリコーン社製、KR−9706)を被覆樹脂として万能混合撹拌機により塗布した。このとき樹脂溶液はキャリア芯材に対する樹脂の固形分で2.5重量%となるように樹脂を秤量し、樹脂の固形分が20重量%となるようにトルエンとMEKを重量比で3:1に混合した溶剤を添加したものを樹脂溶液として使用した。樹脂を塗布した後、完全に揮発分をなくすために200℃設定の熱交換型攪拌加熱装置で3時間撹拌しながら乾燥させた。その後、凝集粒子を解砕して樹脂被覆フェライトキャリアを得た。
実施例10
実施例1の表面酸化処理を行ったフェライト粒子(キャリア芯材)に対してシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製、SR−2411)、アルミニウム系触媒(東レダウコーニング社製、CAT−AC)を被覆樹脂として万能混合撹拌機により塗布した。このとき樹脂溶液はキャリア芯材に対する樹脂の固形分で2.5重量%となるように樹脂を秤量し、樹脂の固形分に対してアルミニウム系触媒を2重量%添加した。さらに樹脂の固形分が20重量%となるようにトルエンを添加したものを樹脂溶液として使用した。樹脂を塗布した後、完全に揮発分をなくすために250℃設定の熱風乾燥機で3時間乾燥させた。その後、凝集粒子を解砕して樹脂被覆フェライトキャリアを得た。
実施例11
実施例1の表面酸化処理を行ったフェライト粒子(キャリア芯材)に対してアクリル樹脂(三菱レイヨン社製、ダイヤナールLR−269)を被覆樹脂として万能混合撹拌機により塗布した。このとき樹脂溶液はキャリア芯材に対する樹脂の固形分で1.5重量%となるように樹脂を秤量し、樹脂の固形分が10重量%となるようにトルエンを添加したものを使用した。なお、樹脂は粉末であるため樹脂溶液は50℃となるように湯煎し樹脂粉末が完全に溶解させた。樹脂を塗布した後、完全に揮発分をなくすために145℃設定の熱交換型攪拌加熱装置で3時間撹拌しながら乾燥させて樹脂被覆フェライトキャリアを得た。
実施例9〜11について、樹脂被覆フェライトキャリアの各環境下(N/N及びH/H)における帯電量の測定結果を表4に示す。帯電量の測定方法は下記の通りである。
(帯電量)
試料(フェライトキャリア)と、フルカラープリンターに使用されている市販の負極性トナーで平均粒径が約6μmのものを、トナー濃度を8重量%(トナー重量=1.6g、キャリア重量=18.4g)に秤量した。秤量したキャリア及びトナーを、各環境下で12時間以上暴露した。その後、フェライトキャリアとトナーを50ccのガラス瓶に入れ、100rpmの回転数にて、30分間撹拌を行った。
帯電量測定装置として、直径31mm、長さ76mmの円筒形のアルミ素管(以下、スリーブ)の内側に、N極とS極を交互に合計8極の磁石(磁束密度0.1T)を配置したマグネットロールと、該スリーブと5.0mmのGapをもった円筒状の電極を、該スリーブの外周に配置した。
このスリーブ上に、現像剤0.5gを均一に付着させた後、外側のアルミ素管は固定したまま、内側のマグネットロールを100rpmで回転させながら、外側の電極とスリーブ間に、直流電圧2000Vを60秒間印加し、トナーを外側の電極に移行させた。このとき、円筒状の電極にはエレクトロメーター(KEITHLEY社製 絶縁抵抗計model6517A)をつなぎ、移行したトナーの電荷量を測定した。
60秒経過後、印加していた電圧を切り、マグネットロールの回転を止めた後、外側の電極を取り外し、電極に移行したトナーの重量を測定した。
測定された電荷量と移行したトナー重量から、帯電量を計算した。
各環境下とは、常温常湿(N/N)環境及び高温高湿(H/H)環境であり、その温度及び湿度条件は下記の通りである。
(温度及び湿度条件)
常温常湿(N/N)環境=温度20〜25℃、相対湿度50〜60%
高温高湿(H/H)環境=温度30〜35℃、相対湿度80〜85%
Figure 0005995048
表4の結果から明らかなように、本発明に係るフェライトキャリア芯材に各種樹脂を被覆した実施例9〜11はいずれも十分なN/N環境下及びH/H環境下で十分な帯電特性を持った電子写真現像剤用フェライトキャリアとなった。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、小粒径であるにもかかわらず、粒子抵抗が高く、粒子間のバラツキも小さいため、電子写真現像剤に使用したきに、キャリア付着や細線再現性といった画像欠陥が生じない。そして、上記フェライトキャリア芯材に樹脂を被覆して得られるフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤は、実機中おけるキャリア飛散が防止され、継続的に細線再現性の良い印刷物が得られる。また、本発明の製造方法によって、上記フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアが安定的に生産性をもって得られる。
従って、本発明は、特に高画質の要求されるフルカラー機並びに画像維持の信頼性及び耐久性の要求される高速機の分野に広く使用可能である。

Claims (12)

  1. Mnを15〜22重量%、Mgを0.5〜3.0重量%、Feを45〜55重量%、Srを0.1〜3.0重量%含有し、格子定数が8.430〜8.46518であり、表面酸化被膜が形成されているフェライト粒子からなり、
    上記フェライト粒子は、レーザー回折式粒度分布測定装置の測定による体積平均粒径が20〜30.7μmであり、6.5mmGapの1000Vにおける抵抗が1×10〜3×10Ωであることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  2. 上記フェライト粒子の(311)面の半値幅が0.15〜0.20である請求項1に記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  3. 上記フェライト粒子のBET比表面積が0.10〜0.18m/gである請求項1又は2に記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  4. 上記フェライト粒子の3K・1000/4π・A/mの磁場をかけたときの磁化が57〜67Am/kgである請求項1〜のいずれかに記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のフェライトキャリア芯材の表面が樹脂で被覆されている電子写真現像剤用フェライトキャリア。
  6. Mn化合物、Mg化合物、Sr化合物及びFe化合物をフェライト原料とし、該フェライト原料の粉砕混合工程、本造粒工程、本焼成工程、表面酸化処理工程を少なくとも有する請求項1〜のいずれかに記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法であって、
    上記表面酸化処理工程が600〜730℃、大気中で行われ、該表面酸化処理工程の後に200℃以下に急冷する冷却工程が設けられていることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法。
  7. 上記急冷速度が20℃/分以上で行われる請求項に記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法。
  8. 上記粉砕混合工程の後に、仮焼成工程及び再粉砕、混合工程が設けられている請求項6又は7のいずれかに記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法。
  9. 上記本焼成工程の前に一次焼成工程が設けられている請求項6〜8のいずれかに記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法。
  10. 請求項6〜9のいずれかに記載の製造方法によって得られたフェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆することを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリアの製造方法。
  11. 請求項に記載のフェライトキャリアとトナーからなる電子写真現像剤。
  12. 補給用現像剤として用いられる請求項11に記載の電子写真現像剤。
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