JP5988602B2 - 光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5988602B2 JP5988602B2 JP2012032082A JP2012032082A JP5988602B2 JP 5988602 B2 JP5988602 B2 JP 5988602B2 JP 2012032082 A JP2012032082 A JP 2012032082A JP 2012032082 A JP2012032082 A JP 2012032082A JP 5988602 B2 JP5988602 B2 JP 5988602B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- meth
- mass
- thermoplastic resin
- fine particles
- structural unit
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Graft Or Block Polymers (AREA)
Description
特許文献1には、スチレンと、無水マレイン酸及び/又はフェニルマレイミドとを用いて得られた共重合体、並びに、スチレン・アクリロニトリル共重合体を含有し、光学的性質に優れた熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
1.熱可塑性樹脂と、微粒子とを含有する、透明であり且つ複屈折の小さい光学部品を与える熱可塑性樹脂組成物であって、
上記熱可塑性樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位、及び、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位を含み、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する該構造単位の含有割合が、上記熱可塑性樹脂100質量%に対して60質量%以上の(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂であり、
上記微粒子は、体積平均粒子径が50〜500nmのグラフト樹脂からなり、該グラフト樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む重合性不飽和単量体(a2)に由来する構造単位を含む(共)重合体が(メタ)アクリル系ゴム質重合体からなるゴム質重合体(a1)にグラフトしている樹脂であり、
上記微粒子を構成するグラフト樹脂における(共)重合体に含まれる、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位の含有量が、微粒子全体に対して3〜40質量%であり、
上記微粒子の含有量は、上記熱可塑性樹脂100質量部に対して、5〜100質量部である光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物。
2.上記重合性不飽和単量体(a2)が、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、及び、シアン化ビニル化合物からなる上記1に記載の光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物。
3.上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、上記芳香族ビニル化合物、及び、上記シアン化ビニル化合物の割合が、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、40〜90質量%、5〜40質量%及び1〜30質量%である上記2に記載の光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物。
4.上記(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂が、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する上記構造単位と、上記シアン化ビニル化合物に由来する上記構造単位と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位とからなり、これらの含有割合が、それぞれ、60〜85質量%、3〜15質量%及び10〜25質量%である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物。
5.上記熱可塑性樹脂の屈折率と、上記微粒子の屈折率との差が0.02以下である上記1乃至4のいずれか一項に記載の光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物。
本発明において、「複屈折」は、温度23℃及び湿度50%RHの条件で、所定の厚さを有するフィルムに、590nmの波長の光を照射して測定された面内位相差(R0)を基に、下記式による面内△nの算出値によって評価される。「複屈折が小さい」(以下、「低複屈折性」という場合がある)とは、△nが0.00010以下であると定義する。
面内△n=R0/d
(R0:面内位相差(nm)、d:フィルムの厚さ(nm))
本発明において、「屈折率」は、ISO 489に準じて測定された値であり、2者を比較した場合の屈折率の差は、計算値の絶対値で評価される。
また、本発明において、「体積平均粒子径」は、測定試料の性状により、測定方法が異なり、微粒子が液体中に分散されている場合には光散乱法又はレーザー回折法により、微粒子が固体中に分散されている場合には、電子顕微鏡を用いた画像解析法により、測定された値である。
本発明の光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物は、いずれも、特定の、熱可塑性樹脂(以下、「熱可塑性樹脂(T)」という)と、微粒子(以下、「微粒子(A)」という)とを含有し、微粒子(A)の含有量が、熱可塑性樹脂(T)100質量部に対して、5〜100質量部である組成物である。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を、「(共)重合体」は、単独重合体及び共重合体を意味する。
尚、グラフト重合により得られたゴム強化樹脂は、通常、グラフト樹脂のほかに、ゴム質重合体(a1)にグラフトしていない、重合性不飽和単量体(a2)に由来する構造単位を含む(共)重合体(以下、「未グラフト重合体」という)を含むが、この未グラフト重合体は、微粒子(A)ではない。
また、微粒子(A)は、グラフト樹脂の凝集物ではなく、好ましい大きさは、後述される。
本発明においては、得られる成形品の透明性及び耐衝撃性の観点から、ジエン系ゴム質重合体が好ましいが、本発明では、耐候性及び耐熱性の観点から、(メタ)アクリル系ゴム質重合体が用いられる。
また、上記の各共重合体は、更に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のビニル系単量体に由来する構造単位を含むことができる。これらの共重合体を用いて得られた微粒子(A)を、熱可塑性樹脂とともに併用すると、両者の屈折率の差をより小さくすることができる場合があり、透明性を向上させることができる。
尚、上記ジエン系ゴム質重合体のゲル含率は、例えば、以下の方法により求めることができる。
まず、ジエン系ゴム質重合体1gをトルエン100ml中に投入し、室温にて48時間放置する。その後、100メッシュ篩を用いてろ過して不溶分と可溶分を含むろ液とに分離する。分離後、トルエン可溶分を含むろ液からトルエンを蒸留除去し、得られた固体を乾燥し、秤量する(質量をWtグラムとする。)。この秤量値から、ゲル含率は、下記式により算出される。
ゲル含率(質量%)=〔1(g)−Wt(g)〕×100
上記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
上記アミド基含有不飽和化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。
上記アルキルビニルエーテルとしては、アルキル部を構成するアルキル基の炭素原子数が1〜6の化合物が挙げられる。
上記2官能性(メタ)アクリル酸エステルとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
上記3官能性(メタ)アクリル酸エステルとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等が挙げられる。
上記4官能性(メタ)アクリル酸エステルとしては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等が挙げられる。
上記5官能性(メタ)アクリル酸エステルとしては、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタクリレート等が挙げられる。
上記6官能性(メタ)アクリル酸エステルとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。
上記多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
その他、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル等を用いることができる。
これらのうち、アリルメタクリレート及びトリアリルシアヌレートが好ましい。
尚、上記(メタ)アクリル系ゴム質重合体のゲル含率は、例えば、以下の方法により求めることができる。
まず、(メタ)アクリル系ゴム質重合体の約0.2グラムを秤量(質量をWrグラムとする。)し、トルエン25mlに投入して、撹拌する。その後、25℃にて48時間放置し、予め、秤量した200メッシュの金網(質量をWmグラムとする。)を用いてろ過して不溶分と可溶分とに分離する。分離後、速やかに、不溶分を、ろ別した金網とともに秤量(質量をW1グラムとする)し、その秤量値(W1)から金網の秤量値(Wm)を差し引いて、トルエンで膨潤した不溶分の秤量値を得る。次いで、トルエンで膨潤した不溶分には、トルエンが含まれているため、これを、25℃で12時間風乾し、引き続き、真空乾燥機を用いて、60℃で12時間乾燥することにより、不溶分に含まれるトルエンを乾燥除去する。乾燥後の不溶分を金網と共に秤量し(質量をW2グラムとする。)、その秤量値(W2)から金網の秤量値(Wm)を差し引いて、不溶分の乾燥重量を得る(質量をWdグラムとする。)。これらの秤量値から、ゲル含率は、下記式により算出される。
ゲル含率(質量%)=〔Wd(g)/Wr(g)〕×100
=〔{W2(g)−Wm(g)}/Wr(g)〕×100
上記重合性不飽和単量体(a2)に含まれる(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、微粒子(A)において所望の屈折率を得るために、ゴム質重合体(a1)の種類によって、適宜、選択され、以下に示す使用量に設定することが有効な場合がある。例えば、ゴム質重合体(a1)がジエン系ゴム質重合体である場合であって、屈折率が1.5122〜1.5226の範囲にある微粒子(A)とするためには、重合性不飽和単量体(a2)に含まれる(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、好ましくは50〜90質量%、より好ましくは60〜80質量%、更に好ましくは65〜75質量%である。また、ゴム質重合体(a1)が(メタ)アクリル系ゴム質重合体である場合であって、屈折率が1.4632〜1.5206の範囲にある微粒子(A)とするためには、重合性不飽和単量体(a2)に含まれる(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、好ましくは99質量%以下、より好ましくは50〜90質量%である。
上記カルボキシル基含有不飽和化合物(不飽和酸)としては、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記ゴム質重合体(a1)がアクリル系ゴム質重合体であり、重合性不飽和単量体(a2)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる場合、これらの化合物の割合は、3者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは5〜90質量%、5〜80質量%及び5〜45質量%、より好ましくは7〜50質量%、40〜75質量%及び5〜30質量%とすることができる場合がある。
乳化重合を行う場合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
また、レドックス型重合開始剤としては、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄等を還元剤とし、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等を酸化剤としたものを用いることができる。
尚、上記重合開始剤は、反応系に一括して、又は、連続的に供給することができる。
尚、上記連鎖移動剤は、反応系に一括して、又は、連続的に供給することができる。
また、ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、アルキルエーテル型化合物等が挙げられる。
グラフト率(%)={(S−T)/T}×100
式中、Sは、グラフト重合により得られたゴム強化樹脂1グラムを、アセトン(ゴム質重合体がアクリル系ゴムの場合、アセトニトリルを使用)20mlに投入し、振とう機を用いて、振とう(温度25℃、2時間)した後、遠心分離機を用いて、遠心分離(温度5℃、回転数23,000rpm、1時間)し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Tは、ゴム強化樹脂1グラムに含まれるゴム質重合体(a1)の質量(g)である。このゴム質重合体(a1)の質量は、重合処方及び重合転化率から算出することができる。
上記体積平均粒子径は、グラフト重合後の反応液、又は、ゴム強化樹脂から分離された微粒子(A)を、光散乱法又はレーザー回折法に供して測定することができる。
上記屈折率は、微粒子(A)を用いて形成したフィルムを試験片として測定することができる。
尚、この(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、上記重合性不飽和単量体(a2)に含まれる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして例示した化合物が好ましく、メタクリル酸メチルを含むことが特に好ましい。
尚、上記固有粘度[η]は、例えば、以下の要領で求めることができる。
測定試料をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なる溶液を5点調製し、ウベローデ粘度管を用いて、30℃で各溶液の還元粘度を測定することにより、固有粘度[η]が求められる。
また、この場合、熱可塑性樹脂(T)の固有粘度[η]は、成形加工性、透明性、低複屈折性等の観点から、好ましくは0.20〜0.80dl/g、より好ましくは0.25〜0.60dl/g、更に好ましくは0.28〜0.40dl/gである。尚、熱可塑性樹脂(T)及び微粒子(A)の混合物から、熱可塑性樹脂(T)を回収するには、例えば、この混合物を、アセトン又はアセトニトリルに投入し、振とう機を用いて、振とう(温度25℃、2時間)した後、遠心分離機を用いて、温度5℃及び回転数23,000rpmの条件で、1時間遠心分離し、不溶分を除去する方法がある。この固有粘度[η]の測定方法は、上記した通りである。
また、反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、成形品の面内Δnは、0.00010以下であり、好ましくは0.00008以下、より好ましくは0.00005以下である。この面内Δnは、例えば、厚さ10〜200μmのフィルムを測定試料として、波長590nmの光を用いて測定された面内位相差により算出することができる。
面内△n=R0/d
(R0:面内位相差(nm)、d:フィルムの厚さ(nm))
下記の実験例で用いたゴム質重合体、得られた微粒子及び熱可塑性樹脂(ゴム強化樹脂)並びに光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物に対する評価に係る方法を以下に示す。
微粒子の製造原料であるゴム質重合体、及び、ラテックス中に分散する微粒子の体積平均粒子径を、日機装社製「マイクロトラックUPA150 Model9340」を用いて、光散乱法により測定した。
ゴム強化樹脂1gを、アセトン又はアセトニトリル20mlに投入し、振とう機を用いて、振とう(温度25℃、2時間)した後、遠心分離機を用いて、温度5℃及び回転数23,000rpmの条件で、1時間遠心分離した。次いで、アセトン不溶分又はアセトニトリル不溶分と、アセトン可溶分又はアセトニトリル可溶分とを分離して、アセトン不溶分又はアセトニトリル不溶分を秤量し(この質量(g)をSとする)、ゴム強化樹脂1グラムに含まれるゴム質重合体の質量(この質量(g)をTとする)とから、下記式によりグラフト率を得た。
グラフト率(%)={(S−T)/T}×100
ゴム強化樹脂におけるアセトン可溶分又はアセトニトリル可溶分の固有粘度、ビニル系(共)重合体の固有粘度、並びに、熱可塑性樹脂組成物におけるアセトン可溶分又はアセトニトリル可溶分の固有粘度を、上記記載の方法で測定した。
ISO 489に準じて、アタゴ社製アッベ屈折計「NAR−3T」(型式名)を用い、D線、温度23℃及び湿度50%RHの条件で測定した。
厚さ100μmのフィルムを試験片として、王子計測社製自動複屈折計「KOBRA21ADH」(型式名)を用いて、波長590nm、温度23℃及び湿度50%RHの条件で、面内位相差R0(nm)を測定し、下記式に基づいて面内△nを算出した。面内△nが0.0001以下であれば、低複屈折性に優れると評価した。
面内△n=R0/d
(d:フィルムの厚さ(nmに換算))
厚さ100μmのフィルムを試験片として、ISO 13468−1に準じて、BYK−GARDNER社製「haze−gard plus」(商品名)を用いて測定した。
作製例1−1
攪拌機を備えた内容積10リットルのセパラブルフラスコに、体積平均粒子径が250nmでありゲル含率が90%であるポリブタジエンゴム30部を含むラテックス(a−1)(固形分濃度50%)を仕込んだ後、オレイン酸カリウム0.5部、ブドウ糖0.2部、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄0.01部及び脱イオン水100部を添加した。次いで、この混合物を攪拌しながら昇温し、メタクリル酸メチル49部、スチレン16部、アクリロニトリル5部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.4部及びt−ドデシルメルカプタン0.8部からなる単量体混合物を、5時間にわたって連続的に添加しつつ、70℃で重合を行った。得られたラテックスを凝固、水洗及び乾燥に供して、グラフト化ポリブタジエンからなる微粒子と、遊離したメタクリル酸メチル・スチレン・アクリロニトリル共重合体とを含有する、粉末状のゴム強化樹脂(R−1)を得た(重合転化率98%)。
ゴム強化樹脂のアセトン処理により得られたグラフト化ポリブタジエン(アセトン不溶分)のグラフト率は60%であり、体積平均粒子径は260nmであった。また、遊離したメタクリル酸メチル・スチレン・アクリロニトリル共重合体(アセトン可溶分)の屈折率は1.5171であった。
得られた微粒子及びゴム強化樹脂(R−1)の評価結果を、表1に示す。
ゴム質重合体としてポリブタジエンゴムを含むラテックスと、重合性不飽和単量体とを、表1に示す割合で用いた以外は、作製例1−1と同様にして、微粒子及びゴム強化樹脂(R−2)〜(R−8)を製造した(表1参照)。
乳化重合により得られた、アクリル酸n−ブチルに由来する構造単位及びアリルメタクリレートに由来する構造単位の含有量が、それぞれ、99%及び1%であり、重量平均粒子径が284nmであるアクリル系ゴム100部と、水110部とを、ガラス製反応器に仕込んだ後、攪拌しながら、窒素気流下、昇温した。40℃に達したところで、20部の水に、ブドウ糖0.3部、ピロリン酸ナトリウム1.2部及び硫酸第一鉄0.01部を溶解した水溶液(以下、「RED水溶液」という)のうちの86%分と、30部の水にtert−ブチルハイドロパーオキサイド(以下、「BHP」という)0.4部及び不均化ロジン酸カリウム2.4部を溶解した水溶液(以下、「CAT水溶液」という)のうちの30%分とを反応器に添加した。その直後から、スチレン74%及びアクリロニトリル26%からなる単量体混合物100部と、CAT水溶液の残り70%分とを、それぞれ、3時間及び3時間30分にわたって連続的に添加し、重合を行った。重合は、開始時から75℃まで昇温し、その後、75℃で保持して進めた。そして、重合を開始して180分後に、RED水溶液の残り14%分を反応器に添加し、60分間、同じ温度で保持して、重合を終了した。得られたラテックスを凝固、水洗及び乾燥に供して、グラフト化アクリル系ゴムからなる微粒子と、遊離したスチレン・アクリロニトリル共重合体とを含有する、粉末状のゴム強化樹脂(R−9)を得た。
得られた微粒子及びゴム強化樹脂(R−9)の評価結果を、表2に示す。
表2に示すアクリル系ゴムラテックスと、表2に示す重合性不飽和単量体とを用いた以外は、作製例1−9と同様にして、微粒子及びゴム強化樹脂(R−10)〜(R−11)を製造した(表2参照)。
合成例1−1
内容積10リットルのオートクレーブに、メタクリル酸メチル73部、スチレン20部、アクリロニトリル7部、トルエン20部及びtert−ドデシルメルカプタン0.5部を仕込み、撹拌しながら、150℃で5時間重合して、共重合体(V−1)を得た(重合転化率70%)。
得られた共重合体(V−1)の評価結果を、表3に示す。
表3に示す重合性不飽和単量体を用いた以外は、合成例1−1と同様にして、共重合体(V−2)〜(V−4)を製造した(表3参照)。
ガラス製反応器に、オレイン酸ナトリウム2部及び水110部を仕込み、攪拌しながら、窒素気流下、昇温した。40℃に達したところで、過硫酸カリウム0.3部を反応器に添加した。その直後から、メタクリル酸メチル80部及びアクリロニトリル20部からなる単量体混合物を、3時間にわたって連続的に添加し、重合を行った。重合は、開始時から75℃まで昇温し、その後、75℃で保持して進めた。得られたラテックスを凝固、水洗及び乾燥に供して、粉末状のアクリロニトリル・メタクリル酸メチル共重合体(V−5)を得た。
得られた共重合体(V−5)の評価結果を、表3に示す。
表3に示す重合性不飽和単量体を用いた以外は、合成例1−5と同様にして、アクリロニトリル・スチレン・メタクリル酸メチル共重合体(V−6)を製造した(表3参照)。
参考例1
作製例1−1で得たゴム強化樹脂(R−1)100部と、熱安定剤である、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名「IRGANOX1010」、BASF社製)0.4部と、滑剤である、ステアリン酸カルシウム(日東化成工業社製)0.2部とを、高速混合機により均一混合した後、φ58mmベント式二軸押出機(L/D=32)を使用して260℃で溶融混練し、ストランドカット法によりペレット化した。次いで、Tダイ(ダイ幅:1600mm、リップ間隔:0.4mm)を備え、スクリュー径115mmの押出機を備えたフィルム成形機を用い、得られたペレットを加熱して溶融温度を230℃とした樹脂をTダイから吐出させ、薄肉体を得た。その後、この薄肉体を、エアーナイフにより、表面温度が70℃に制御されたキャストロールに面密着させて冷却固化させ、フィルムを作製した。そして、このフィルムの複屈折率及び全光線透過率を測定し、その結果を表4に示した。
作製例1−1で得たゴム強化樹脂(R−1)50部と、合成例1−1で得た共重合体(V−1)50部とを使用した以外は、参考例1と同様にしてペレット化した後、フィルムを作製し、評価した(表4参照)。
表4に示すゴム強化樹脂(R)及びビニル系(共)重合体(V)を、それぞれ、表4に示す割合で使用した以外は、参考例2と同様にしてペレット化した後、フィルムを作製し、評価した(表4参照)。
実施例1
作製例1−9で得たゴム強化樹脂(R−9)40部と、合成例1−5で得た共重合体(V−5)50部とを使用した以外は、参考例1と同様にしてペレット化した後、フィルムを作製し、評価した(表5参照)。
表5に示すゴム強化樹脂(R)及び共重合体(V)を、それぞれ、表5に示す割合で使用した以外は、実施例1と同様にしてペレット化した後、フィルムを作製し、評価した(表5参照)。
得られた光学部品は、光学製品等に好適であり、具体的には、レンズ、プリズム、導光板、光導波路、偏光板保護フィルム、光学補償フィルム(視野角改善フィルム、輝度向上フィルム、位相差フィルム等)、光学フィルター、反射防止フィルム等として、広く用いられる。
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂と、微粒子とを含有する、透明であり且つ複屈折の小さい光学部品を与える熱可塑性樹脂組成物であって、
前記熱可塑性樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位、及び、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位を含み、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する該構造単位の含有割合が、前記熱可塑性樹脂100質量%に対して60質量%以上の(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂であり、
前記微粒子は、体積平均粒子径が50〜500nmのグラフト樹脂からなり、該グラフト樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む重合性不飽和単量体(a2)に由来する構造単位を含む(共)重合体が(メタ)アクリル系ゴム質重合体からなるゴム質重合体(a1)にグラフトしている樹脂であり、
前記微粒子を構成するグラフト樹脂における(共)重合体に含まれる、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位の含有量が、微粒子全体に対して3〜40質量%であり、
前記微粒子の含有量は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、5〜100質量部である光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物。 - 前記重合性不飽和単量体(a2)が、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、及び、シアン化ビニル化合物からなる請求項1に記載の光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、前記芳香族ビニル化合物、及び、前記シアン化ビニル化合物の割合が、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、40〜90質量%、5〜40質量%及び1〜30質量%である請求項2に記載の光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂が、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する前記構造単位と、前記シアン化ビニル化合物に由来する前記構造単位と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位とからなり、これらの含有割合が、それぞれ、60〜85質量%、3〜15質量%及び10〜25質量%である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂の屈折率と、前記微粒子の屈折率との差が0.02以下である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012032082A JP5988602B2 (ja) | 2012-02-16 | 2012-02-16 | 光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012032082A JP5988602B2 (ja) | 2012-02-16 | 2012-02-16 | 光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013166895A JP2013166895A (ja) | 2013-08-29 |
JP5988602B2 true JP5988602B2 (ja) | 2016-09-07 |
Family
ID=49177551
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012032082A Active JP5988602B2 (ja) | 2012-02-16 | 2012-02-16 | 光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5988602B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7422364B2 (ja) | 2020-08-21 | 2024-01-26 | 健太郎 武本 | 五徳 |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101802021B1 (ko) * | 2014-11-07 | 2017-12-28 | 주식회사 엘지화학 | 열가소성 수지 조성물, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 성형품 |
JP6571542B2 (ja) * | 2016-01-13 | 2019-09-04 | 株式会社クラレ | 芳香族ビニル系共重合体を含有する樹脂組成物 |
CN111295402B (zh) * | 2017-12-25 | 2023-04-25 | 三菱化学株式会社 | 含橡胶接枝聚合物、含有含橡胶接枝聚合物的树脂组合物及其成形体 |
JP6988967B1 (ja) * | 2020-08-21 | 2022-01-05 | テクノUmg株式会社 | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62151415A (ja) * | 1985-12-26 | 1987-07-06 | Sumitomo Chem Co Ltd | アクリル系グラフト共重合体の製造法 |
JP4197068B2 (ja) * | 1999-03-05 | 2008-12-17 | テクノポリマー株式会社 | 難燃性熱可塑性樹脂組成物 |
JP2001200130A (ja) * | 2000-01-17 | 2001-07-24 | Toray Ind Inc | 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 |
JP4852199B2 (ja) * | 2000-04-21 | 2012-01-11 | テクノポリマー株式会社 | レーザーマーキング用ブタジエン系ゴム強化樹脂組成物 |
KR100360987B1 (ko) * | 2000-07-06 | 2002-11-18 | 주식회사 엘지화학 | 열가소성 투명수지의 제조방법 |
JP2003242679A (ja) * | 2002-02-14 | 2003-08-29 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 光ディスク基板 |
JP5089030B2 (ja) * | 2005-08-25 | 2012-12-05 | テクノポリマー株式会社 | 積層体 |
JP2008276207A (ja) * | 2007-04-02 | 2008-11-13 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 光学フィルム |
JP5408885B2 (ja) * | 2008-02-28 | 2014-02-05 | 株式会社カネカ | 樹脂組成物、フィルムおよび偏光板 |
-
2012
- 2012-02-16 JP JP2012032082A patent/JP5988602B2/ja active Active
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7422364B2 (ja) | 2020-08-21 | 2024-01-26 | 健太郎 武本 | 五徳 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013166895A (ja) | 2013-08-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102059714B1 (ko) | 수지 조성물 및 그의 필름 | |
JP5988602B2 (ja) | 光学部品形成用熱可塑性樹脂組成物 | |
JP5284058B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2013182070A (ja) | 偏光子保護用フィルム及び偏光板 | |
EP3088473A1 (en) | Optical resin composition and molded article | |
JP6122327B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、成形体、及びフィルム | |
JPWO2015079694A1 (ja) | 光学用樹脂組成物、およびフィルム | |
WO2014162370A1 (ja) | 光学樹脂材料および光学フィルム | |
US9637583B2 (en) | Transparent ABS resin and transparent ABS resin composition | |
KR20130067516A (ko) | 충격강도가 우수한 열가소성 abs 수지 조성물 | |
JP5144892B2 (ja) | ランプハウジング用成形材料の製造方法 | |
WO2004081110A1 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物、成形品およびフィルム | |
EP2743311B1 (en) | Alkyl (meth)acrylate-based thermoplastic resin composition and thermoplastic resin having adjusted scratch resistance and yellowness | |
TWI448476B (zh) | Production method of methyl methacrylate polymer | |
JP2006265532A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 | |
US11198783B2 (en) | Dope for producing film and film production method | |
JP2006274118A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品、フィルムおよびシート | |
US20200270442A1 (en) | Matrix copolymer, graft copolymer, and thermoplastic resin composition | |
JP2012207074A (ja) | 透明スチレン系熱可塑性樹脂組成物 | |
JP6116182B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 | |
JP5144893B2 (ja) | 溶着用成形材料の製造方法 | |
KR101891836B1 (ko) | 광산란이 감소된 성형 조성물 | |
JP6152324B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 | |
JP7490357B2 (ja) | 重合体微粒子および樹脂組成物 | |
JP2013010877A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20140618 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20141219 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20151006 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20151013 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20151202 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160329 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160511 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160802 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160809 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5988602 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |