以下、本発明の着色組成物、インクジェット用インク、カラーフィルタ及びその製造方法、固体撮像素子、並びに表示装置について詳述する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
≪着色組成物≫
本発明の着色組成物は、着色剤として、重量平均分子量(Mw)が5,000以上20,000以下であり、かつ分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が1.00以上2.50以下であるアルカリ可溶性基を有する色素多量体(以下、「特定色素多量体」ともいう)を含有する。
以下では、分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))を、単に「分散度(Mw/Mn)」とも表記する。
着色組成物を上記本発明の構成とすることにより、着色膜を形成する際の、アルカリ現像時の着色剤の溶出、着色剤の染み込み、加熱処理による着色剤の熱拡散(色移り)、及び現像残渣が抑制される。
更に、本発明の着色組成物は、堅牢性(耐熱性、耐光性)に優れた着色膜を形成でき、保存安定性にも優れる。
このため、本発明の着色組成物は、フォトリソ法やインクジェット法によるカラーフィルタを作製する用途に好適である。
本発明の着色組成物の具体的な形態としては、上述の本発明の効果をより効果的に奏する観点からは、特定色素多量体と、感放射線性化合物と、を含有するネガ型又はポジ型の着色感光性組成物の形態が好ましい。
中でも、本発明の効果を特に効果的に奏する観点からは、特定色素多量体と、感放射線性化合物である重合開始剤と、重合性モノマーと、溶剤と、を含むネガ型の着色感光性組成物(着色硬化性組成物)の形態であることが好ましい。
また、本発明の着色組成物の別の形態としては、特定色素多量体と、溶剤及び重合性化合物の少なくとも一方と、を含むインクジェット用インクの形態が挙げられる。
インクジェット用インクの形態によれば、耐熱性に優れた着色画素を形成でき、吐出安定性が向上する。
以下、まず特定色素多量体について説明する。
<特定色素多量体>
本発明における特定色素多量体は、重量平均分子量(Mw)が5,000以上20,000以下、かつ分散度(Mw/Mn)が1.00以上2.50以下であるアルカリ可溶性基を有する色素多量体である。
この関係を満たすようにすることで、本発明の着色組成物から形成される着色膜において、アルカリ現像時の着色剤の溶出、着色剤の染み込み、加熱処理による着色剤の熱拡散(色移り)、及び現像残渣が大幅に改善される。
前記重量平均分子量(Mw)が5,000未満であると、着色膜とした際、加熱処理による着色剤の熱拡散(色移り)、着色剤の染み込み、耐アルカリ溶出性、耐溶剤性が悪化する傾向がある。
上記重量平均分子量が20,000を超えると、特に、現像残渣が悪化する傾向がある。
前記重量平均分子量として、5,000以上20,000以下であることが必要であり、好ましくは5,000以上16,000以下であり、より好ましくは6,000以上12,000以下である。
また、前記分散度(Mw/Mn)が2.50を超えると、着色膜とした際、加熱処理による着色剤の熱拡散(色移り)、着色剤の染み込み、耐アルカリ溶出性、耐溶剤性が悪化する傾向がある。
前記分散度(Mw/Mn)は、1.00以上2.50以下であることが必要であり、好ましくは1.00以上2.20以下であり、より好ましくは1.00以上2.00以下である。
なお、前記重量平均分子量および前記分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィ法(GPC)で、東ソー株式会社製HLC−8220GPC(展開溶媒NMP、検出RI、ポリスチレンによる換算値)を用いて測定された値を指す。
本発明において、色素多量体の重量平均分子量(Mw)を5,000以上20,000以下の範囲に調整する手段としては、例えば、色素多量体の合成時において、重合開始剤量や連鎖移動剤量を調整する手段や、反応温度を調整する手段が挙げられる。
具体的には、重合開始剤量は、重合性色素モノマーと他の重合性モノマーの総和に対して、2〜30モル%が好ましく、2〜20モル%がより好ましい。
また、連鎖移動剤量は、重合性色素モノマーと他の重合性モノマーの総和に対して、1〜20モル%が好ましく、2〜15モル%がより好ましい。
反応温度は、使用する重合開始剤の種類によって異なるが、重合開始剤の半減期が15分〜120分になるような温度に調整することが好ましい。例えばV601(商品名、和光純薬製)の場合、60〜90℃が好ましく、70〜85℃がより好ましい。
また、本発明において、色素多量体の分散度(Mw/Mn)を1.00以上2.50以下の範囲に調整する手段としては、例えば、再沈殿溶媒の種類や量の変更によって調整する手段が挙げられる。
具体的には、再沈殿溶媒として、使用する重合性色素モノマーの溶解度が高い溶媒を選択することが好ましく、さらに、これに加え色素多量体の溶解度が低い溶媒を選択することが、より好ましい。このような溶媒を選択することによって重合性色素モノマーの残存率をできるだけ下げることができると同時に、色素多量体の分子量分布における低分子量側を選択的に除くことができる。従って、上述の溶剤を選択することは、色素多量体の分散度を小さくすることに特に有効である。使用する重合性色素モノマーによって異なるが、低級アルコール類(例えば、メタノール、エタノール及びイソプロパノール等)やアセトニトリルなどを用いることが好ましい。2種類以上の溶媒を組み合わすことも好ましい。
また、色素多量体の重合反応溶液(再沈殿を繰り返す場合は色素多量体の溶液)に対する再沈殿溶媒の量は、1〜100質量倍が好ましく、2〜50質量倍がより好ましい。
さらに色素多量体の重合反応溶液(再沈殿を繰り返す場合は色素多量体溶液)を0.1〜1質量倍の再沈殿溶媒で希釈しておくことが、より好ましい。これによって重合性色素モノマーを効果的に除くことができ、分散度を小さくすることに有効である。
また、再沈殿を繰り返すことも、分散度を調整する手段として好ましい。この場合、最沈殿条件は同じ条件を繰り返しても良いし、違う条件を組み合わせてもよい。
また、ここでいう「色素多量体」とは、最大吸収波長が400nm〜780nmの範囲に存在する色素骨格を有する多量体であり、上記範囲に最大吸収波長を有する多量体であれば特に限定されない。
前記色素骨格は、モノメチン系、ジメチン系、トリメチン系、シアニン系、メロシアニン系、ジシアノスチリル系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、キサンテン系、スクアリリウム系、キノフタロン系、モノアゾ系、ビスアゾ系、ジスアゾ系、トリスアゾ系、アントラキノン系、アントラピリドン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、フタロシアニン系、アゾメチン系、ジオキサジン系、ジピロメテン系の色素骨格およびそれらの金属錯体である。
なお、最大吸収波長は、紫外可視分光光度計(島津製作所製UV3100)を用いて、酢酸エチル溶液中(濃度1×10−6mol/L、光路長10mm)における吸収スペクトルを測定されたものである。
本発明における色素多量体は、アルカリ可溶性基を有する。
アルカリ可溶性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、スルホ基などが挙げられる。中でも、カルボキシル基が好ましい。
後述するフォトリソ法で好適に使用する観点で、特定色素多量体の酸価は、0.5mmol/g以上3.0mmol/g以下であることが好ましく、0.6mmol/g以上2.5mmol/g以下であることがより好ましく、0.7mmol/g以上2.0mmol/g以下であることが特に好ましい。
本発明における特定色素多量体としては、二量体、三量体、オリゴマー、ポリマーなどが挙げられる。
本発明における特定色素多量体は、例えば、以下の(方法1)〜(方法4)により合成できるが、これら以外の方法で合成してもよく、この記載によって何ら限定されるものではない。
(方法1)重合性色素モノマーの単独重合反応によって合成する方法。
この(方法1)は、アルカリ可溶性基を有する重合性色素モノマーの単独重合反応によって合成する方法であってもよいし、重合性色素モノマー(アルカリ可溶性基を有していても有していなくてもよい)の単独重合反応によって合成された色素多量体に対し、高分子反応によりアルカリ可溶性基を導入することにより合成する方法であってもよい。
(方法2)重合性色素モノマーの少なくとも1種と、他の重合性モノマー(コモノマー)の少なくとも1種と、の共重合反応によって合成する方法。
この(方法2)は、重合性色素モノマー及び他の重合性モノマーの少なくとも1種としてアルカリ可溶性基を有するモノマーを用いる方法であってもよいし、重合性色素モノマーの少なくとも1種と、他の重合性モノマー(コモノマー)の少なくとも1種と、の共重合反応によって合成された色素多量体に対し、高分子反応によりアルカリ可溶性基を導入することにより合成する方法であってもよい。
(方法3)高分子反応によって、高分子化合物に対し色素構造(色素残基)を導入することによって合成する方法。
この(方法3)は、アルカリ可溶性基を有する高分子化合物に対し高分子反応によって色素構造(色素残基)を導入する方法であってもよいし、高分子化合物(アルカリ可溶性基を有していても有していなくてもよい)に対し高分子反応によって色素構造(色素残基)及びアルカリ可溶性基を導入する方法であってもよい。
(方法4)連結鎖を介して2つ以上の色素構造(色素残基)を連結する方法。
この(方法4)は、アルカリ可溶性基を有する連結鎖を介して2つ以上の色素構造(色素残基)を連結する方法であってもよいし、連結鎖を介して2つ以上の色素構造(色素残基)とアルカリ可溶性基を有する構造単位とを連結する方法であってもよいし、連結鎖を介して2つ以上の色素構造(色素残基)を連結して得られた化合物に対し、アルカリ可溶性基を導入する方法であってもよい。
本発明における特定色素多量体として、好ましくはオリゴマーまたはポリマーであり、より好ましくは、上記(方法1)又は上記(方法2)によって得られたオリゴマーまたポリマーである。
本発明で用いる色素多量体を共重合反応で合成する場合(上記(方法2)の場合)、前記他の重合性モノマー(コモノマー)は、重合性色素モノマーと重合可能なものであれば特に限定はない。
これらのコモノマーには、スチレン系化合物、カルボン酸モノマー、およびそのエステル、アミド、イミドまたは無水物、ビニル化合物が含まれる。
スチレン系化合物の例を挙げると、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、p−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレンである。
α,β−不飽和カルボン酸の例を挙げると、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、1−ブチン−2,3,4−トリカルボン酸である。
不飽和カルボン酸のエステルの例を挙げると、上記α,β−不飽和カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、2−ヒドロキシエチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、オクチルエステル、ドデシルエステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルエステル、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルエステル、2−〔3−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−ヒドロキシフェニル〕エチルエステルである。
不飽和カルボン酸のアミドの例を挙げると、上記α,β−不飽和カルボン酸のメチルアミド、ジメチルアミド、エチルアミド、ジエチルアミド、プロピルアミド、ジプロピルアミド、ブチルアミド、ジブチルアミド、ヘキシルアミド、オクチルアミド、フェニルアミドなどである。
不飽和カルボン酸のイミドの例を挙げると、マレイミド、イタコンイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−フェニルマレイミドである。ビニル化合物の例を挙げると、酢酸ビニル、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンである。
重合性色素モノマーとコモノマーとの共重合比は、重合性色素モノマーの種類によって異なるが通常、重合性色素モノマー100gに対して、コモノマー5〜10000gの割合であることが好ましく、コモノマー5〜1000gの割合であることがより好ましく、コモノマー5〜100gの割合であることが特に好ましい。
本発明における「アルカリ可溶性基を有する色素多量体」は、下記一般式(A)、一般式(B)、及び、一般式(C)で表される構成単位の少なくとも一つを有し、アルカリ可溶性基を有する色素多量体、又は、一般式(D)で表され、アルカリ可溶性基を有する色素多量体である。
(一般式(A)で表される構成単位)
一般式(A)中、XA1は重合によって形成される連結基を表し、LA1は単結合または2価の連結基を表し、Dyeは色素化合物から任意の水素原子を1個〜1+m個取り除いた色素残基を表す。XA2は重合によって形成される連結基を表し、LA2は単結合または2価の連結基を表し、mは0〜3の整数を表す。DyeとLA2とは、共有結合、イオン結合、及び、配位結合のいずれで連結されていてもよい。
前記一般式(A)中、XA1及びXA2は、それぞれ独立に、重合によって形成される連結基を表す。すなわち重合反応で形成される主鎖に相当する繰り返し単位を形成する部分を指す。なお、2つの*で表された部位が繰り返し単位となる。
XA1及びXA2としては、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の不飽和エチレン基を重合して形成される連結基、環状エーテルを開環重合して形成される連結基等が挙げられ、好ましくは、不飽和エチレン基を重合して形成される連結基である。具体的には以下に示す連結基である。
尚、下記(X−1)〜(X−15)において*で示された部位でLA1またはLA2と連結していることを表す。
一般式(A)中、LA1及びLA2は、それぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表す。LA1及びLA2としては、それぞれ独立に、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の直鎖、分岐もしくは環状アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基等)、置換もしくは無置換のヘテロ環連結基、−CH2=CH2−、−O−、−S−、−NR−、−C(=O)−、−SO−、−SO2−、下記一般式(2)で表される連結基、下記一般式(3)で表される連結基、又は下記一般式(4)で表される連結基等)、及びこれらを2個以上連結して形成される連結基(例えば、−N(R)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−)を表す。前記Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
本発明の2価の連結基は、本発明の効果を奏しうる範囲であれば何ら限定されない。
ここで、R2は、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。R3は、水素原子、又は置換基を表す。kは、0〜4の整数を表す。一般式(2)〜一般式(4)中、*は、上記一般式(1)における−C(R1)=CH2基と結合する位置を表し、**は、上記一般式(1)におけるL2又はDye(n=0の場合)と結合する位置を表す。
一般式(A)中、mは0〜3の整数を表す。mが2以上の場合、複数存在するXA2は同じであっても異なっていてもよい。同様に、mが2以上の場合、複数存在するLA2は同じであっても異なっていてもよい。
前記mは、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0が特に好ましい。
一般式(A)中、Dyeは、色素化合物の任意の水素原子を1個〜1+m個取り除いた色素残基を表す。
Dyeは、モノメチン系色素、ジメチン系色素、トリメチン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ジシアノスチリル系色素、ジフェニルメタン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、スクアリリウム系色素、キノフタロン系色素、モノアゾ系色素、ビスアゾ系色素、ジスアゾ系色素、トリスアゾ系色素、アントラキノン系色素、アントラピリドン系色素、ペリレン系色素、ジケトピロロピロール系色素、イソインドリン系色素、フタロシアニン系色素、アゾメチン系色素、ジオキサジン系色素、及びジピロメテン系色素からなる群から選択される1種の色素化合物から、水素原子を1個〜1+m個除いた色素残基である。
一般式(A)中、DyeとLA2とは、共有結合、イオン結合、配位結合のいずれで連結されていてもよいが、イオン結合又は配位結合で連結されていることが好ましい。
(一般式(B)で表される構造単位)
一般式(B)中、XB1は重合によって形成される連結基を表し、LB1は単結合または2価の連結基を表し、AはDyeとイオン結合もしくは配位結合可能な基を表す。Dyeは、Aとイオン結合もしくは配位結合可能な基を有する色素化合物、または該色素化合物から任意の水素原子を1個〜m個除いた色素残基を表す。XB2は重合によって形成される連結基を表し、LB2は単結合または2価の連結基を表し、mは0〜3の整数を表す。DyeとLB2とは、共有結合、イオン結合、および、配位結合のいずれで連結されていてもよい。
一般式(B)中のXB1、LB1、およびmは、それぞれ前記一般式(A)中のXA1、LA1、およびmと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(B)中のXB2およびLB2は、それぞれ前記一般式(A)中のXA2およびLA2と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(B)中のAで表される基としては、Dyeとイオン結合もしくは配位結合可能な基であればよく、イオン結合できる基としては、アニオン性基、カチオン性基のどちらでもよい。アニオン性基としては、カルボキシル基、ホスホ基、スルホ基、アシルスルホンアミド基、スルホンイミド基など、pKaが12以下のアニオン性基が好ましく、より好ましくはpKaが7以下であり、更に好ましくは、5以下である。アニオン性基はDye中のMaもしくはヘテロ環基とイオン結合もしくは配位結合しても良いが、Maとイオン結合することがより好ましい。アニオン性基として好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。下記具体例中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
一般式(B)中のAで表されるカチオン性基としては、置換もしくは無置換のオニウムカチオン(例えば、置換もしくは無置換のアンモニウム基、ピリジニウム基、イミダゾリウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基など)が好ましく、特に置換アンモニウム基が好ましい。
一般式(B)中、mは0〜3の整数を表す。mが2以上の場合、複数存在するXB2は同じであっても異なっていてもよい。同様に、mが2以上の場合、複数存在するLB2は同じであっても異なっていてもよい。
前記mは、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0が特に好ましい。
一般式(B)中のDyeは、色素化合物、または該色素化合物から任意の水素原子を1個〜m個除いた色素残基である。該色素化合物としては、一般式(A)中のDyeの説明で挙げた色素化合物が挙げられる。
一般式(B)中、DyeとLB2とは、共有結合、イオン結合、配位結合のいずれで連結されていてもよいが、イオン結合又は配位結合で連結されていることが好ましい。
(一般式(C)で表される構成単位)
一般式(C)中、LC1は単結合または2価の連結基を表し、Dyeは色素化合物から任意の水素原子を2個取り除いた色素残基を表す。
一般式(C)中、Dyeは2価の色素残基を表す。
Dyeは、モノメチン系色素、ジメチン系色素、トリメチン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ジシアノスチリル系色素、ジフェニルメタン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、スクアリリウム系色素、キノフタロン系色素、モノアゾ系色素、ビスアゾ系色素、ジスアゾ系色素、トリスアゾ系色素、アントラキノン系色素、アントラピリドン系色素、ペリレン系色素、ジケトピロロピロール系色素、イソインドリン系色素、フタロシアニン系色素、アゾメチン系色素、ジオキサジン系色素、及びジピロメテン系色素からなる群から選択される1種の色素化合物から、水素原子を2つ除いた色素残基である。
一般式(C)中のLC1は、前記一般式(A)におけるLA1と同義であり、好ましい範囲も同じである。
(共重合成分)
本発明の色素多量体は、前記一般式(A)、一般式(B)、及び、一般式(C)で表される構成単位のみで構成されていてもよいが(この場合、前記一般式(A)、一般式(B)、及び、一般式(C)で表される構成単位自体がアルカリ可溶性基を含む)、前記一般式(A)、一般式(B)、及び、一般式(C)で表される構成単位の少なくとも一つと、他の構成単位と、を含んで構成されていてもよい(この場合、前記一般式(A)、一般式(B)、及び、一般式(C)で表される構成単位の少なくとも一つと、他の構成単位と、の少なくとも一方がアルカリ可溶性基を含む)。
他の構成単位としては、側鎖にアルカリ可溶性基(カルボキシル基、ホスホノ基、スルホ基、等)を有する構造単位が好ましい。
以下、他の構成単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
(一般式(D)で表される色素多量体)
一般式(D)中、LD1はm価の連結基を表し、mは2〜100の整数を表し、Dyeは色素化合物から任意の水素原子を1個取り除いた色素残基を表す。
mは好ましくは2〜80であり、より好ましくは2〜40であり、特に好ましくは2〜10である。
mが2の場合、LD1で表される2価の連結基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の直鎖、分岐もしくは環状アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基等)、置換もしくは無置換のヘテロ環連結基、−CH2=CH2−、−O−、−S−、−NR−、−C(=O)−、−SO−、−SO2−,および、これらを2個以上連結して形成される連結基(例えば、−N(R)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−、−N(R)C(=O)N(R)−など)が好適に挙げられる。前記Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
mが3以上のm価の連結基は、置換もしくは無置換のアリーレン基(1,3,5−フェニレン基、1,2,4−フェニレン基、1,4,5,8−ナフタレン基など)、へテロ環連結基(例えば、1,3,5−トリアジン基など)、アルキレン連結基等を中心母核とし、前記2価の連結基が置換して形成される連結基が挙げられる
一般式(D)中のDyeは、1価に限定されることを除けば一般式(A)中のDyeと同義である。
(一般式(1)で表される色素単量体)
本発明における特定色素単量体は、下記一般式(1)で表される色素単量体を重合させて得られ、かつ、アルカリ可溶性基を有する色素単量体であることも好ましい。
上記一般式(1)中、R1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基を表す。L1は、−N(R2)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R2)−、−C(=O)O−、下記一般式(2)で表される基、下記一般式(3)で表される基、又は下記一般式(4)で表される基を表す。L2は、2価の連結基を表す。m及びnは各々独立に、0又は1を表す。Dyeは色素残基を表す。R2は、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
一般式(1)中のDyeは、一般式(A)中のDyeと同義であり、好ましい範囲も同様である。
ここで、R2は、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。R3は、水素原子、又は置換基を表す。kは、0〜4の整数を表す。一般式(2)〜一般式(4)中、*は、上記一般式(1)における−C(R1)=CH2基と結合する位置を表し、**は、上記一般式(1)におけるL2又はDye(n=0の場合)と結合する位置を表す。
すなわち、前記一般式(1)で表される色素単量体は、色素化合物に、−(L2)n−(L1)m−C(R1)=CH2で表される重合性基が導入された化合物である。
なお、m及びnのいずれもが0の場合、色素化合物に直接−C(R1)=CH2基が導入される。
前記一般式(1)中、R1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基を表す。R1がアルキル基又はアリール基の場合、無置換でも置換されていてもよい。
上記R1がアルキル基の場合、好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が好適である。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記R1がアリール基の場合、好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは6〜14、さらに好ましくは炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基が好適である。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記R1が置換アルキル基及び置換アリール基の場合の置換基は、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、シリル基(好ましくは炭素数3〜24、より好ましくは炭素数3〜12のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ヘキシルジメチルシリル)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、1−ブトキシ、2−ブトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、ドデシルオキシ、シクロアルキルオキシ基で、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ドデカノイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜6のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ)、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ(例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ))、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜24、より好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N−ブチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ、N−プロピルスルファモイルオキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ、ヘキサデシルスルホニルオキシ、シクロヘキシルスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のアシル基で、例えば、ホルミル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、テトラデカノイル、シクロヘキサノイル)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜24、より好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−エチル−N−オクチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−メチル−N−フェニルカルバモイル、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル)、アミノ基(好ましくは炭素数24以下、より好ましくは炭素数12以下のアミノ基で、例えば、アミノ、メチルアミノ、N,N−ジブチルアミノ、テトラデシルアミノ、2−エチルへキシルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアニリノ基で、例えば、アニリノ、N−メチルアニリノ)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、テトラデカンアミド、ピバロイルアミド、シクロヘキサンアミド)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のウレイド基で、例えば、ウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N−フェニルウレイド)、イミド基(好ましくは炭素数20以下の、より好ましくは炭素数12以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド,N−フタルイミド)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、オクタデシルオキシカルボニルアミノ、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜24、より好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ヘキサデカンスルホンアミド、シクロヘキサンスルホンアミド)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ、3−ピラゾリルアゾ)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ、シクロヘキシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2−ピリジルチオ、1−フェニルテトラゾリルチオ)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル)、
アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソプロピルスルホニル、2−エチルヘキシルスルホニル、ヘキサデシルスルホニル、オクチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル)、スルファモイル基(好ましくは炭素数24以下、より好ましくは炭素数16以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N−エチル−N−フェニルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ)が挙げられる。
上記の置換基の中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、イミド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、スルファモイル基が好ましく、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、スルファモイル基がより好ましく、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が更に好ましく、ヒドロキシル基、スルホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基が特に好ましい。
上記の特に好ましい置換基の中でも、スルホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アルコキシカルボニル基がより好ましく、スルホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基が更に好ましく、スルホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基が特に好ましい。
前記一般式(1)中、R1としては、水素原子、アルキル基、アリール基が好ましく、水素原子、アルキル基が特に好ましい。
前記一般式(1)中、R1の置換アルキル基及び置換アリール基の置換基が、更に置換可能な基である場合には、前記で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(1)中、L1は、−N(R2)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R2)−、−C(=O)O−、下記の一般式(2)で表される基、一般式(3)で表される基、又は一般式(4)で表される基を表す。ここで、R2は、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
前記一般式(1)中、R2のアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基は、前記R1の置換アルキル基及び置換アリール基の置換基で説明したアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基が例として挙げられ、好ましい態様も同様である。
上記R2のアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基は、前記R1で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
以下に、前記一般式(1)中、L1で表される下記の一般式(2)で表される基、一般式(3)で表される基、及び一般式(4)で表される基について説明する。
ここで、R2は、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R3は、水素原子、又は置換基を表し、kは、0〜4の整数を表す。*は、前記一般式(1)における−C(R1)=CH2基と結合する位置を表し、**は、前記一般式(1)におけるL2又はDye(n=0の場合)と結合する位置を表す。
上記R2は、前記一般式(1)で説明したR2と同義であり、好ましい態様も同様である。
上記R3は、水素原子又は置換基を表し、R3で表される置換基としては、前記R1の置換アルキル基及び置換アリール基で説明した置換基が例として挙げられ、好ましい態様も同様である。kは0、1、2、3、4を表す。kが2、3、4の場合、R3は同じでもよく、異なっていてもよい。
上記R3の置換基が、更に置換可能な基である場合には、前記R1で説明した置換基で、置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
上記L1としては、合成上の観点から、−N(R2)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R2)−、−C(=O)O−が好ましく、−OC(=O)−、−C(=O)N(R2)−、−C(=O)O−がより好ましく、−C(=O)N(R2)−、−C(=O)O−が更に好ましい。
次に、前記一般式(1)中、L2について説明する。
上記L2は、L1又は−C(R1)=CH2基(m=0の場合)と、Dyeとを連結する2価の連結基を表す。
上記L2は、好ましくは、アルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基、−O−、−C(=O)−、−OC(=O)−、OC(=O)O−、−OSO2−、−OC(=O)N(R50)−、−N(R50)−、−N(R50)C(=O)−、−N(R50)C(=O)O−、−N(R50)C(=O)N(R51)−、−N(R50)SO2−、−N(R50)SO2N(R51)−、−S−、−S−S−、−SO−、−SO2−、−SO2N(R50)−、−SO2O−等が挙げられる。また、上記の2価の連結基が、複数個結合して、新たに2価の連結基を形成していてもよい。
上記のR50及びR51は各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。R50及びR51のアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基は、前記R1の置換基で説明したアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基が例として挙げられ、好ましい態様も同様である。R50及びR51のアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基は、前記R1の置換基で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
前記L2が、アルキレン基、アラルキレン基、又はアリーレン基である場合、無置換でもよく置換されていてもよく、置換されている場合には、前記R1の置換基で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
前記L2がアルキレン基、アラルキレン基、又はアリーレン基である場合、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜18のアラルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基が好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜16のアラルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアラルキレン基が更に好ましい。
前記L1とL2との組み合わせとしては、L1が−N(R2)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R2)−、−C(=O)O−で、L2が炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜18のアラルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、炭素数2〜18のアルキルチオエーテル、炭素数2〜18のアルキルカルボンアミド基、炭素数2〜18のアルキルアミノカルボニル基の態様が好ましい。より好ましくは、L1が−OC(=O)−、−C(=O)N(R2)−、−C(=O)O−で、L2が炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜16のアラルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数2〜12のアルキルチオエーテル、炭素数2〜12のアルキルカルボンアミド基、炭素数2〜12のアルキルアミノカルボニル基の態様であり、更に好ましくは、L1が−C(=O)N(R2)−、−C(=O)O−で、L2が炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアラルキレン基、炭素数2〜6のアルキルチオエーテル、炭素数2〜6のアルキルカルボンアミド基、炭素数2〜6のアルキルアミノカルボニル基の態様である。
下記に、前記一般式(1)中において−(L2)n−(L1)m−C(R1)=CH2で表される重合性基の例を挙げる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
(色素残基)
前記一般式(A)、前記一般式(B)、前記一般式(C)、前記一般式(D)、前記一般式(1)におけるDyeは、既述のとおり、モノメチン系色素、ジメチン系色素、トリメチン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ジシアノスチリル系色素、ジフェニルメタン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、スクアリリウム系色素、キノフタロン系色素、モノアゾ系色素、ビスアゾ系色素、ジスアゾ系色素、トリスアゾ系色素、アントラキノン系色素、アントラピリドン系色素、ペリレン系色素、ジケトピロロピロール系色素、イソインドリン系色素、フタロシアニン系色素、アゾメチン系色素、ジオキサジン系色素、及びジピロメテン系色素からなる群から選択される1種の色素化合物から、水素原子が1個〜m+1個の範囲で外れた色素残基である。
前記ジピロメテン系色素としては、具体的には、下記一般式(5)又は下記一般式(6)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物が挙げられる。
但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
〜一般式(5)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物〜
上記一般式(5)中、R4〜R9は各々独立に、水素原子、又は置換基を表し、R10は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子、又は金属化合物を表す。X1は、Maに結合可能な基を表し、X2は、Maの電荷を中和する基を表し、X1とX2は、互いに結合してMaと共に5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。なお、上記一般式(5)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物は、互変異性体を含む。
色素残基を構成するために前記一般式(5)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物から水素原子が1つ又は2つ外れる部位としては特に限定はないが、合成適合性の点で、R4〜R9のいずれか1つ又は2つの部位が好ましく、R4、R6、R7及びR9のいずれか1つ又は2つの部位がより好ましく、R4及びR9のいずれか1つ又は2つの部位が更に好ましい。
本発明における特定色素多量体にアルカリ可溶性基を導入する方法として、アルカリ可溶性基を有する色素単量体又は構造単位を用いる場合、前記一般式(5)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物のR4〜R10、X1、X2のいずれか1つ又は2つ以上の置換基にアルカリ可溶性基を持たせることができる。これら置換基の中でも、R4〜R9及びX1のいずれかが好ましく、R4、R6、R7及びR9のいずれかがより好ましく、R4及びR9のいずれかが更に好ましい。
上記一般式(5)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、アルカリ可溶性基以外の官能基を有していてもよい。
上記R4〜R9としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル、ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ノルボルニル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、シリル基(好ましくは炭素数3〜38、より好ましくは炭素数3〜18のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ヘキシルジメチルシリル)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、1−ブトキシ、2−ブトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、ドデシルオキシ、シクロアルキルオキシ基で、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ドデカノイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ(例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ))、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜48、よりこの好ましくは炭素数1〜24のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N−ブチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ、N−プロピルスルファモイルオキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜38、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ、ヘキサデシルスルホニルオキシ、シクロヘキシルスルホニルオキシ)、
アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ)、アシル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアシル基で、例えば、ホルミル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、テトラデカノイル、シクロヘキサノイル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−エチル−N−オクチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−メチルN−フェニルカルバモイル、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル)、アミノ基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のアミノ基で、例えば、アミノ、メチルアミノ、N,N−ジブチルアミノ、テトラデシルアミノ、2−エチルへキシルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアニリノ基で、例えば、アニリノ、N−メチルアニリノ)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、テトラデカンアミド、ピバロイルアミド、シクロヘキサンアミド)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のウレイド基で、例えば、ウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N−フェニルウレイド)、イミド基(好ましくは炭素数36以下、より好ましくは炭素数24以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、オクタデシルオキシカルボニルアミノ、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ヘキサデカンスルホンアミド、シクロヘキサンスルホンアミド)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ、3−ピラゾリルアゾ)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ、シクロヘキシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2−ピリジルチオ、1−フェニルテトラゾリルチオ)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソプロピルスルホニル、2−エチルヘキシルスルホニル、ヘキサデシルスルホニル、オクチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル)、スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N−エチル−N−フェニルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ)が挙げられる。
前記R4及びR9としては、上記の中でも、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基が好ましく、カルボンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基がより好ましく、カルボンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基が更に好ましく、カルボンアミド基、ウレイド基が特に好ましい。
前記R5及びR8としては、上記の中でも、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基が好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基がより好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基が更に好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基が特に好ましい。
前記R6及びR7としては、上記の中でも、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基が好ましく、更に好ましくは置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基である。
R6及びR7がアルキル基を表す場合の、該アルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状の置換又は無置換のアルキル基であり、より具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、ベンジル基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜12の分岐鎖、又は環状の置換又は無置換のアルキル基であり、より具体的には、例えば、イソプロピル基、シクロプロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられ、更に好ましくは、炭素数1〜12の2級又は3級の置換又は無置換のアルキル基であり、より具体的には、例えば、イソプロピル基、シクロプロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
R6及びR7がアリール基を表す場合の、該アリール基としては、好ましくは、置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のナフチル基が挙げられ、より好ましくは置換又は無置換のフェニル基である。
R6及びR7がヘテロ環基を表す場合の、該ヘテロ環基としては、好ましくは、置換又は無置換の2−チエニル基、置換又は無置換の4−ピリジル基、置換又は無置換の3−ピリジル基、置換又は無置換の2−ピリジル基、置換又は無置換の2−フリル基、置換又は無置換の2−ピリミジニル基、置換又は無置換の2−ベンゾチアゾリル基、置換又は無置換の1−イミダゾリル基、置換又は無置換の1−ピラゾリル基、置換又は無置換のベンゾトリアゾール−1−イル基が挙げられ、より好ましくは置換又は無置換の2−チエニル基、置換又は無置換の4−ピリジル基、置換又は無置換の2−フリル基、置換又は無置換の2−ピリミジニル基、置換又は無置換の1−ピリジル基が挙げられる。
前記一般式(5)中、Maは、金属原子又は金属化合物を表す。金属原子又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属原子又は金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、又は2価の金属塩化物が含まれる。
例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe等、及びAlCl、InCl、FeCl、TiCl2、SnCl2、SiCl2、GeCl2などの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、Si(OH)2等の金属水酸化物が含まれる。
これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、及び製造適性等の観点から、金属原子又は金属化合物として、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、及びVOが好ましく、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、及びVOが更に好ましく、Zn、Cu、Co、及びVOが特に好ましく、Znが最も好ましい。
また、前記一般式(5)中、R10は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、好ましくは水素原子である。
前記一般式(5)中、X1は、Maに結合可能な基であればいずれであってもよく、具体的には、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)等、更に「金属キレート」([1]坂口武一・上野景平著(1995年 南江堂)、[2](1996年)、[3](1997年)等)に記載の化合物が挙げられる。中でも、製造の点で、水、カルボン酸化合物、アルコール類が好ましく、水、カルボン酸化合物がより好ましい。
前記一般式(5)中、X2で表される「Maの電荷を中和する基」としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸基、燐酸基、スルホン酸基等が挙げられ、中でも、製造の点で、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基が好ましく、水酸基、カルボン酸基がより好ましい。
前記一般式(5)中、X1とX2は、互いに結合して、Maと共に5員、6員、又は7員の環を形成してもよい。形成される5員、6員、及び7員の環は、飽和環であっても不飽和環であってもよい。また、5員、6員、及び7員の環は、炭素原子のみで構成されていてもよく、窒素原子、酸素原子、又は/及び硫黄原子から選ばれる原子を少なくとも1個有するヘテロ環を形成していてもよい。
前記一般式(5)で表される化合物の好ましい態様としては、R4〜R9は各々独立に、R4〜R9の説明で記載した好ましい態様であり、R10はR10の説明で記載した好ましい態様であり、MaはZn、Cu、Co、又はVOであり、X1は水、又はカルボン酸化合物であり、X2は水酸基、又はカルボン酸基であり、X1とX2とが互いに結合して5員又は6員環を形成していてもよい。
〜一般式(6)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物〜
上記一般式(6)中、R11及びR16は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。R12〜R15は各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。R17は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子、又は金属化合物を表す。X2及びX3は、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Y1及びY2は、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、又は炭素原子を表す。R11とY1は、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、R16とY2は、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。X1はMaと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。なお、上記一般式(6)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物は、互変異性体を含む。
色素残基を構成するために前記一般式(6)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物から水素原子が1つ又は2つ外れる部位としては特に限定はないが、R11〜R17、X1、Y1〜Y2のいずれか1つ又は2つの部位である。
これらの中でも、合成適合性の点で、R11〜R16及びX1のいずれか1つ又は2つの部位が好ましく、より好ましくは、R11、R13、R14及びR16のいずれか1つ又は2つの部位であり、更に好ましくは、R11及びR16のうち1つ又は2つの部位である。
本発明における特定色素多量体にアルカリ可溶性基を導入する方法として、アルカリ可溶性基を有する色素単量体又は構造単位を用いる場合、前記一般式(6)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物のR11〜R17、X1、Y1〜Y2のいずれか1つ又は2つ以上の置換基にアルカリ可溶性基を持たせることができる。これら置換基の中でも、R11〜〜R16及びX1のいずれかが好ましく、R11、R13、R14及びR16のいずれかがより好ましく、R11及びR16のいずれかが更に好ましい。
上記一般式(6)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、アルカリ可溶性基以外の官能基を有していてもよい。
上記R12〜R15は、前記一般式(5)中のR5〜R8と同義であり、好ましい態様も同様である。上記R17は、前記一般式(5)中のR10と同義であり、好ましい態様も同様である。上記Maは、前記一般式(5)中のMaと同義であり、好ましい範囲も同様である。
より詳細には、前記一般式(6)において上記R12〜R15のうち、前記R12及びR15としては、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトリル基、イミド基、又は、カルバモイルスルホニル基が好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基がより好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基が更に好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基が特に好ましい。
前記R13及びR14としては、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基が好ましく、更に好ましくは置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基である。ここで、より好ましいアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基の具体例は、一般式(5)の前記R6及びR7において列記した具体例を同様に挙げることができる。
前記一般式(6)中、R11及びR16は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、2−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜18のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ドデシルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数1〜18のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜18のアルキルアミノ基で、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ヘキシルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノ、t−オクチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジプロピルアミノ、N,N−ジブチルアミノ、N−メチル−N−エチルアミノ)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリールアミノ基で、例えば、フェニルアミノ、ナフチルアミノ、N,N−ジフェニルアミノ、N−エチル−N−フェニルアミノ)、又はヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環アミノ基で、例えば、2−アミノピロール、3−アミノピラゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン)を表す。
前記R11及びR16としては、上記の中でも、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基が好ましく、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、がより好ましく、アルキル基、アルケニル基、アリール基が更に好ましく、アルキル基が特に好ましい。
前記一般式(6)中、R11及びR16のアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基が、更に置換可能な基である場合には、後述する一般式(1)のR1の置換基で説明する置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(6)中、X2及びX3は、NR、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。ここで、Rは、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数2〜18のアシル基で、例えば、アセチル、ピバロイル、2−エチルヘキシル、ベンゾイル、シクロヘキサノイル)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜18のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜18のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル)を表す。
上記Rのアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基は、後述する一般式(1)のR1の置換基で説明する置換基で置換されていてもよく、複数の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(6)中、Y1及びY2は、NR、窒素原子、又は炭素原子を表し、Rは、前記X2及びX3のRと同義であり、好ましい態様も同様である。
前記一般式(6)中、R11とY1は、互いに結合して炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン)、6員環(例えば、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ペンタメチレンスルフィド、ジチアン、ベンゼン、ピペリジン、ピペラジン、ピリダジン、キノリン、キナゾリン)、又は7員環(例えば、シクロヘプタン、ヘキサメチレンイミン)を形成してもよい。
前記一般式(6)中、R16とY2は、互いに結合して炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン)、6員環(例えば、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ペンタメチレンスルフィド、ジチアン、ベンゼン、ピペリジン、ピペラジン、ピリダジン、キノリン、キナゾリン)、又は7員環(例えば、シクロヘプタン、ヘキサメチレンイミン)を形成してもよい。
前記一般式(6)中、R11とY1、及びR16とY2が結合して形成される5員、6員、及び7員の環が、置換可能な環である場合には、後述する一般式(1)のR1の置換基で説明する置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(6)中、X1はMaと結合可能な基を表し、具体的には、前記一般式(5)におけるX1と同様な基が挙げられ、好ましい態様も同様である。aは0、1、又は2を表す。
前記一般式(6)で表される化合物の好ましい態様としては、R12〜R15は各々独立に、前記一般式(5)中のR5〜R8の説明で記載した好ましい態様であり、R17は前記一般式(5)中のR10の説明で記載した好ましい態様であり、MaはZn、Cu、Co、又はVOであり、X2はNR(Rは水素原子、アルキル基)、窒素原子、又は酸素原子であり、X3はNR(Rは水素原子、アルキル基)、又は酸素原子であり、Y1はNR(Rは水素原子、アルキル基)、窒素原子、又は炭素原子であり、Y2は窒素原子、又は炭素原子であり、R11及びR16は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基であり、X1は酸素原子を介して結合する基であり、aは0又は1である。R11とY1とが互いに結合して5員又は6員環を形成、又はR16とY2とが互いに結合して5員、6員環を形成していてもよい。
前記一般式(6)で表される化合物の更に好ましい態様としては、R12〜R15は各々独立に、一般式(5)で表される化合物におけるR5〜R8の説明で記載した好ましい態様であり、R17は前記一般式(5)中のR10の説明で記載した好ましい態様であり、MaはZnであり、X2及びX3は、酸素原子であり、Y1はNHであり、Y2は窒素原子であり、R11及びR16は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基であり、X1は酸素原子を介して結合する基であり、aは0又は1である。R11とY1とが互いに結合して5員又は6員環を形成、又はR16とY2とが互いに結合して5員、6員環を形成していてもよい。
前記一般式(5)及び一般式(6)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物のモル吸光係数は、膜厚の観点から、できるだけ高いほうが好ましい。また、最大吸収波長λmaxは、色純度向上の観点から、520nm〜580nmが好ましく、530nm〜570nmが更に好ましい。なお、最大吸収波長、及びモル吸光係数は、分光光度計UV−2400PC(島津製作所社製)により測定されるものである。
前記一般式(5)及び一般式(6)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物の融点は、溶解性の観点から、高すぎない方がよい。
前記一般式(5)及び一般式(6)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物は、米国特許第4,774,339号、同第5,433,896号、特開2001−240761号公報、同2002−155052号公報、特許第3614586号公報、Aust.J.Chem,1965,11,1835−1845、J.H.Boger et al,Heteroatom Chemistry,Vol.1,No.5,389(1990)等に記載の方法で合成することができる。具体的には、特開2008−292970号公報の段落0131〜0157に記載の方法を適用することができる。
(特定色素多量体の例示化合物)
以下、本発明における特定色素多量体の例示化合物を示すが、本発明は以下の例示化合物に何ら限定されるものではない。
なお、以下の例示化合物において、「wt−%」は「質量%」を表し、「mol−%」は「モル%」を表す。
(特定色素多量体の合成例)
以下に、特定色素多量体の具体例のいくつかについて、合成方法の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〜例示化合物1−4の合成〜
下記色素単量体1(5.0g)、メタクリル酸(0.68g)および連鎖移動剤としてn−ドデカンチオール240mgをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)32mlに溶解させ、窒素下、85℃で攪拌し、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)542mgを添加した。その後、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)240mgを二時間おきに二度追加添加し、90℃に昇温し、更に二時間攪拌した。反応終了後、アセトニトリル400ml中に反応液を滴下し、得られた結晶をろ過し、例示化合物1−4(4.8g)を得た。
なお、下記色素単量体1は例えば特開2008−292970号公報記載の合成法に準じて合成できる。
また、連鎖移動剤量の増減および反応温度の上下によって、重量平均分子量を調整でき、また再沈殿溶媒種類/量の変更によって分散度を調整できる。
〜例示化合物2−3の合成〜
下記色素単量体2(20g)、メタクリル酸(5.88g)および連鎖移動剤としてチオリンゴ酸520mgをプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)150mlに溶解させ、窒素下、85℃で攪拌し、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)1.2gを添加した。その後、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)1.2gを二時間おきに二度追加添加し、90℃に昇温し、更に二時間攪拌した。反応終了後、アセトニトリル2000ml中に反応液を滴下し、得られた結晶をろ過し、例示化合物2−3(21.2g)を得た。1H NMRスペクトルからAcOのプロトンのピークが消失していることから例示化合物2−3のように主鎖カルボン酸が配位していることを確認した。
なお、下記色素単量体2も例えば特開2008−292970号公報記載の合成法に準じて合成できる。また、連鎖移動剤量の増減および反応温度の上下によって、重量平均分子量を調整でき、また再沈殿溶媒種類/量の変更によって分散度を調整できる。
〜例示化合物4−3〜
下記色素単量体4(6.5g)、メタクリル酸(3.5g)および連鎖移動剤としてn−ドデカンチオール420mgをメチルセルソルブ40mlに溶解させ、窒素下、85℃で攪拌し、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)478mgを添加した。その後、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)478mgを二時間おきに二度追加添加し、90℃に昇温し、更に二時間攪拌した。反応終了後、溶媒を留去し、得られた残渣をメタノールで懸濁し得られた結晶をろ過して、例示化合物4−3(8.0g)を得た。
なお、下記色素単量体4は例えば特許第3736221号公報記載の合成法で合成できる。また、連鎖移動剤量の増減および反応温度の上下によって、重量平均分子量を調整でき、また再沈殿溶媒種類/量の変更によって分散度を調整できる。
以上、本発明における特定色素多量体について説明したが、本発明の着色組成物において、特定色素多量体は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、本発明の着色組成物では、特定着色剤とその他の着色剤とを併用してもよい。その他の着色剤の例については後述する。
本発明の着色組成物の全固形分中における特定着色剤の含有量(2種以上の場合には総含有量)は、0.1〜70質量%が好ましく、1〜65質量%がより好ましく、5〜60質量%が特に好ましい。
本発明の特定着色剤と下記記載の他の着色剤を併用した着色硬化性組成物の全固形分中の総着色剤含有量は1〜70質量%が好ましく、20〜65質量%がより好ましく、40〜60質量%が特に好ましい。薄膜化の観点から着色硬化性組成物の全固形分中の着色剤量を高めることに本発明の特定着色剤は特に有用である。
本発明の着色組成物は、得られる着色膜の分光特性をさらに改善するため、他の着色剤(顔料や染料)を併用して使用してもよい。
顔料の具体例を挙げると、カラーインデックス・ピグメントレッド9、19、38、43、97、122、123、144、149、166、168、177、179、180、192、215、216、208、217、220、223、224、226、227、228、240、ピグメント・ブルー15、15:6、16、22、29、60、64、ピグメント・グリーン7、36、58、ピグメント・イエロー20、24、86、81、83、93、108、109、110、117、125、137、138、139、147、148、153、154、166、168、185、ピグメント・オレンジ36、ピグメント・バイオレット23などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
染料の具体例を挙げると、カラーインデックス・アシッド・レッド52、87、92、122、486、ソルベント・レッド8、24、83、109、125、132、ディスパース・レッド60、72、88、206、ベーシック・レッド12、27、アシッド・ブルー9、40、83、129、249、ソルベント・ブルー25、35、36、55、67、70、ディスパース・ブルー56、81、60、87、149、197、211、214、ベーシック・ブルー1、7、26、77、アシッド・グリーン18、ソルベント・グリーン3、ベーシック・グリーン1、アシッド・イエロー38、99、ソルベント・イエロー25、88、89、146、ディスパースイエロー42、60、87、198、ベーシックイエロー21であるが、これらに限定されるものではない。
さらに、これらの染料や顔料は要望の色相を得るために2種類以上を混合して用いても構わない。
<重合性化合物>
本発明の着色組成物は、重合性化合物を含有することが好ましい。
前記重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。
このような化合物は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。
これらは、例えばモノマー、プレポリマー(すなわち2量体、3量体、及びオリゴマー)、又はそれらの混合物若しくはそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、又はアミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシ基、アミノ基、又はメルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能又は多官能のイソシアネート類又はエポキシ類との付加反応物、及びヒドロキシ基、アミノ基、又はメルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能又は多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基又はエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、又はチオール類との付加反応物も好適である。更に、ハロゲン基又はトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、又はチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、又はビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン酸エステル等が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイ
タコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
さらに、酸基を含有するモノマーも使用でき、例えば、(メタ)アクリル酸、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートマレイン酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートマレイン酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートフタル酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートフタル酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートテトラヒドロフタル酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートテトラヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。特に、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステルが現像性・感度の観点から好ましい。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式で表される化合物における水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
一般式 CH2=C(R10)COOCH2CH(R11)OH
(ただし、R10及びR11は、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭
52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、着色組成物の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。硬化感度の観点から、(メタ)アクリル酸エステル構造を2個以上含有する化合物を用いることが好ましく、3個以上含有する化合物を用いることがより好ましく、4個以上含有する化合物を用いることが最も好ましい。また、硬化感度、および、未露光部の現像性の観点では、カルボン酸基又はEO変性体構造を含有する化合物が好ましい。また、硬化感度、および、露光部強度の観点ではウレタン結合を含有することが好ましい。
また、着色組成物中の他の成分(例えば、樹脂、光重合開始剤、顔料)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
以上の観点より、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステルなどが好ましいものとして挙げられ、また、市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)、UA−7200(新中村化学社製)が好ましい。
中でも、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステルなどが、市販品としては、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)がより好ましい。
本発明の着色組成物の固形分中における重合性化合物の含有量は、1質量%〜90質量%であることが好ましく、5質量%〜80質量%であることがより好ましく、10質量%〜70質量%であることが更に好ましい。
<重合開始剤>
本発明の着色組成物は、重合開始剤を含有することができる。
重合開始剤としては、感放射線性化合物である光重合開始剤を含有することが好ましい。
前記光重合開始剤は、光により分解し、前述した重合性化合物等の重合可能な成分の重合を開始、促進する化合物であり、特に、波長300nm〜500nmの領域に吸収を有する化合物であることが好ましい。
なお光重合開始剤は、上記のように光により重合を開始する特性のほかに、熱により重合を開始する性質も併せて有するものであってもよい。
また、光重合開始剤は、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明に用いられる光重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、オキソシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸塩化合物、ジスルホン酸化合物、オキシム系化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物、アルキルアミノ化合物、等が挙げられる。
以下、これらの各化合物について詳細に述べる。
有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、例えば、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号の各公報、M.P.Hutt”Journal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)」等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、s−トリアジン化合物が挙げられる。
s−トリアジン化合物として、より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
オキソジアゾール化合物としては、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキソジアゾールなどが挙げられる。
カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
ケタール化合物としては、ベンジルメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルエチルアセタールなどを挙げることができる。
ベンゾイン化合物としてはm−ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエートなどを挙げることができる。
アクリジン化合物としては、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタンなどを挙げることができる。
有機過酸化化合物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を挙げることができる。
クマリン化合物としては、例えば、3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を挙げることができる。
アジド化合物としては、米国特許第2848328号明細書、米国特許第2852379号明細書並びに米国特許第2940853号明細書に記載の有機アジド化合物、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−エチルシクロヘキサノン(BAC−E)等が挙げられる。
メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837、特開2002−107916、特許第2764769号、特開2002−116539号、等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体或いは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
ジスルホン酸化合物としては、特開昭61−166544号公報、特開2002−328465号公報等記載される化合物等が挙げられる。
オキシム系化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979)1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物等が挙げられる。
また、オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、特開平2−150848号、特開平2−296514号の各公報に記載のヨードニウム塩などが挙げられる。
本発明に用いることのできるヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩であり、安定性の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基等の電子供与性基で2つ以上置換されていることが好ましい。
本発明に用いることのできるスルホニウム塩としては、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩が挙げられ、安定性と感度の点から好ましくは電子吸引性基で置換されていることが好ましい。電子吸引性基としては、ハメット値が0より大きいことが好ましい。好ましい電子吸引性基としては、ハロゲン原子、カルボン酸などが挙げられる。
また、その他の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩の1つの置換基がクマリン、アントラキノン構造を有し、300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。別の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩が、アリロキシ基、アリールチオ基を置換基に有する300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。
また、オニウム塩化合物としては、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello
et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
アシルホスフィン(オキシド)化合物としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア819、ダロキュア4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
アルキルアミノ化合物としては、例えば、特開平9−281698号公報の段落番号[0047]、特開平6−19240号公報、特開平6−19249号公報等に記載のジアルキルアミノフェニル基を有する化合物やアルキルアミン化合物が挙げられる。具体的には、ジアルキルアミノフェニル基を有する化合物としてはp−ジメチルアミノ安息香酸エチル等の化合物や、p−ジエチルアミノベンズカルバルデヒド、9−ジュロリジルカルバルデヒド等のジアルキルアミノフェニルカルバルデヒドが、アルキルアミン化合物としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
前記光重合開始剤としては、上記した開始剤を任意に用いることができるが、露光感度の観点から、より好ましくは、有機ハロゲン化化合物のトリアジン系化合物(s−トリアジン化合物)、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オキシム系化合物、アシルホスフィン(オキシド)系化合物、ヘキサアルキルアミノ化合物であり、トリアジン系化合物、オキシム系化合物、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物、およびアルキルアミノ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が更に好ましく、オキシム系化合物が最も好ましい。
特に、本発明の着色組成物を固体撮像素子のカラーフィルタにおける着色画素の形成に用いる場合、処方上、組成物中の顔料濃度が高くなるため、光重合開始剤の添加量は少なくなり、感度が低下してしまう場合がある。また、露光をステッパーで行う際には、トリアジン系化合物等のごとく、露光時にハロゲン含有化合物を発生する開始剤を用いると、機器の腐食の原因となる場合がある。これらを考慮すれば、感度と諸性能を満足させる光重合開始剤としては、オキシム系化合物が好ましく、特に、365nmに吸収を有するオキシム系化合物が最も好ましい。
本発明においては、オキシム系化合物の中でも、下記一般式(d)で表される化合物が感度、経時安定性、後加熱時の着色の観点から好ましい。また、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア OXE−01、OXE−02なども好ましい。
上記一般式(d)中、R22及びX22は、各々独立に、1価の置換基を表し、A22は、2価の有機基を表し、Arは、アリール基を表す。nは、1〜5の整数である。
R22としては、高感度化の点から、アシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、トルイル基が好ましい。
A22としては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
Arとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。置換フェニル基の場合、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基が好ましい。
X22としては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基が好ましい。
また、一般式(d)におけるnは1〜2の整数が好ましい。
以下、本発明の着色組成物に好適なオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の着色組成物の全固形分中における光重合開始剤の含有量は、0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%〜30質量%、特に好ましくは1質量%〜20質量%である。この範囲で、良好な感度とパターン形成性が得られる。
<ナフトキノンジアジド化合物>
本発明の着色組成物を、ポジ型の着色感光性組成物に構成する場合には、本発明の着色組成物に、感放射線性化合物としてナフトキノンジアジド化合物を含有させることが好ましい。
該ナフトキノンジアジド化合物は、少なくとも1つのo−キノンジアジド基を有する化合物であり、例えば、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸アミド、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸アミド等が挙げられる。これらのエステルやアミド化合物は、例えば特開平2−84650号公報、特開平3−49437号公報において一般式(I)で記載されているフェノール化合物等を用いて公知の方法により製造することができる。
本発明の着色組成物がポジ型の着色感光性組成物である場合、上記ナフトキノンジアジド化合物の着色組成物中における含有量は、2質量%〜50質量%であることが好ましく、2質量%〜30質量%であることがより好ましい。
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明の着色組成物は、さらにアルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。アルカリ可溶性樹脂を含有することにより、現像性・パターン形成性が向上する。
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。このうち、更に好ましくは、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものである。
アルカリ可溶性樹脂の製造には、例えば、公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
アルカリ可溶性樹脂として用いられる線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましく、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等、ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、
ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポ
リスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等を挙げることができる。
アルカリ可溶性樹脂としては、下記一般式(ED)で示される化合物(以下「エーテルダイマー」と称することもある。)を必須とする単量体成分を重合してなるポリマー(a)を用いることも好ましい。
一般式(ED)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。
本発明の着色組成物が前記ポリマー(a)を含有することにより、該組成物を用いて形成された硬化塗膜の耐熱性及び透明性がより向上する。
前記エーテルダイマーを示す前記一般式(ED)中、R1およびR2で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、ステアリル基、ラウリル基、2−エチルヘキシル基、等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル基等のアリール基;シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、ジシクロペンタジエニル基、トリシクロデカニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、等の脂環式基;1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基等のアルコキシ基で置換されたアルキル基;ベンジル基等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、等のような酸や熱で脱離しにくい1級または2級炭素の置換基が耐熱性の点で好ましい。
前記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。これらの中でも特に、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。これらエーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記一般式(ED)で示される化合物由来の構造体は、その他の単量体を共重合させてもよい。
これらの中では、特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体ヤベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他ノモノマーカラナル多元共重合体が好適である。この他、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合したもの、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
また、本発明における着色組成物の架橋効率を向上させるために、重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂を使用してもよい。
重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂としては、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有したアルカリ可溶性樹脂等が有用である。これら重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂としては、予めイソシアネート基とOH基を反応させ、未反応のイソシアネート基を1つ残し、かつ(メタ)アクリロイル基を含む化合物とカルボキシル基を含むアクリル樹脂との反応によって得られるウレタン変性した重合性二重結合含有アクリル樹脂、カルボキシル基を含むアクリル樹脂と分子内にエポキシ基及び重合性二重結合を共に有する化合物との反応によって得られる不飽和基含有アクリル樹脂、酸ペンダント型エポキシアクリレート樹脂、OH基を含むアクリル樹脂と重合性二重結合を有する2塩基酸無水物を反応させた重合性二重結合含有アクリル樹脂、OH基を含むアクリル樹脂とイソシアネートと重合性基を有する化合物を反応させた樹脂、特開2002-229207号公報及び特開2003-335814号公報に記載されるα位又はβ位にハロゲン原子或いはスルホネート基などの脱離基を有するエステル基を側鎖に有する樹脂を塩基性処理を行うことで得られる樹脂などが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の酸価としては好ましくは30mgKOH/g〜200mgKOH/g、より好ましくは50mgKOH/g〜150mgKOH/gであることが好ましく、70〜120mgKOH/gであることが最も好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、2,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がさらに好ましく、7,000〜20,000が最も好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の着色組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、1〜15質量%が好ましく、より好ましくは、2〜12質量%であり、特に好ましくは、3〜10質量%である。
(アルカリ可溶性フェノール樹脂)
本発明の着色組成物がポジ型の着色感光性組成物である場合、バインダーとしては、アルカリ可溶性フェノール樹脂を用いることもできる。該アルカリ可溶性フェノール樹脂は、本発明の着色感光性組成物をポジ型の組成物とする場合に好適に用いることができる。アルカリ可溶性フェノール樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂、又はビニル重合体等が挙げられる。
上記ノボラック樹脂としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に縮合させて得られるものが挙げられる。上記フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、キシレノール、フェニルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、ナフトール、又はビスフェノールA等が挙げられる。
上記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、又はベンズアルデヒド等が挙げられる。
上記フェノール類及びアルデヒド類は、単独若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ノボラック樹脂の具体例としては、例えば、メタクレゾール、パラクレゾール又はこれらの混合物とホルマリンとの縮合生成物が挙げられる。
上記ノボラック樹脂は分別等の手段を用いて分子量分布を調節してもよい。又、ビスフェノールCやビスフェノールA等のフェノール系水酸基を有する低分子量成分を上記ノボラック樹脂に混合してもよい。
<架橋剤>
本発明の着色組成物は、架橋剤を含有してもよい。
架橋剤としては、架橋反応によって膜硬化を行なえるものであれば特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、またはウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたフェノール化合物、ナフトール化合物、またはヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
前記(a)エポキシ樹脂としては、エポキシ基を有し、かつ架橋性を有するものであればいずれでもよく、例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、へキサンジオールジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、N,N−ジグリシジルアニリン等の2価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールフェノールトリグリシジルエーテル、TrisP−PAトリグリシジルエーテル等に代表される3価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラメチロールビスフェノールAテトラグリシジルエーテル等に代表される4価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、ジペンタエリスリトールペンタグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル等の多価グリシジル基含有低分子化合物、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等に代表されるグリシジル基含有高分子化合物、等が挙げられる。
前記架橋剤(b)に含まれるメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基が置換している数としては、メラミン化合物の場合は2〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は2〜4であるが、好ましくはメラミン化合物の場合は5〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は3〜4である。
以下、前記(b)のメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物およびウレア化合物を総じて、(b)に係る化合物(メチロール基含有化合物、アルコキシメチル基含有化合物、またはアシロキシメチル基含有化合物)ということがある。
前記(b)に係るメチロール基含有化合物は、(b)に係るアルコキシメチル基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒存在下、加熱することにより得られる。前記(b)に係るアシロキシメチル基含有化合物は、(b)に係るメチロール基含有化合物を塩基性触媒存在下、アシルクロリドと混合攪拌することにより得られる。
以下、前記置換基を有する(b)に係る化合物の具体例を挙げる。
前記メラミン化合物として、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がメトキシメチル化した化合物またはその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がアシロキシメチル化した化合物またはその混合物、などが挙げられる。
前記グアナミン化合物として、例えば、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物またはその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をアシロキシメチル化した化合物またはその混合物などが挙げられる。
前記グリコールウリル化合物としては、例えば、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をメトキシメチル化した化合物またはその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をアシロキシメチル化した化合物またはその混合物、などが挙げられる。
前記ウレア化合物として、例えば、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物またはその混合物、テトラメトキシエチルウレア、などが挙げられる。
(b)に係る化合物は、単独で使用してもよく、組合わせて使用してもよい。
前記架橋剤(c)、即ち、メチロール基、アルコキシメチル基、およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物、またはヒドロキシアントラセン化合物は、前記架橋剤(b)の場合と同様、熱架橋により上塗りフォトレジストとのインターミキシングを抑制すると共に、膜強度を更に高めるものである。
以下、これら化合物を総じて、(c)に係る化合物(メチロール基含有化合物、アルコキシメチル基含有化合物、またはアシロキシメチル基含有化合物)ということがある。
前記架橋剤(c)に含まれるメチロール基、アシロキシメチル基、アルコキシメチル基の数としては、一分子当り最低2個必要であり、熱架橋性および保存安定性の観点から、骨格となるフェノール化合物の2位,4位が全て置換されている化合物が好ましい。また、骨格となるナフトール化合物、ヒドロキシアントラセン化合物も、OH基のオルト位、パラ位が全て置換されている化合物が好ましい。骨格となるフェノール化合物の3位または5位は、未置換であっても置換基を有していてもよい。また、骨格となるナフトール化合物においても、OH基のオルト位以外は、未置換であっても置換基を有していてもよい。
前記(c)に係るメチロール基含有化合物は、フェノール性OH基のオルト位またはパラ位(2位または4位)が水素原子である化合物を原料に用い、これを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等の、塩基性触媒の存在下でホルマリンと反応させることにより得られる。
前記(c)に係るアルコキシメチル基含有化合物は、(c)に係るメチロール基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒の存在下で加熱することにより得られる。
前記(c)に係るアシロキシメチル基含有化合物は、(c)に係るメチロール基含有化合物を塩基性触媒の存在下アシルクロリドと反応させることにより得られる。
架橋剤(c)における骨格化合物としては、フェノール性OH基のオルト位またはパラ位が未置換の、フェノール化合物、ナフトール化合物、ヒドロキシアントラセン化合物等が挙げられ、例えば、フェノール、クレゾールの各異性体、2,3−キシレノ−ル、2,5−キシレノ−ル、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、ビスフェノールAなどのビスフェノール類、4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシアントラセン、等が使用される。
前記架橋剤(c)の具体例としては、トリメチロールフェノール、トリ(メトキシメチル)フェノール、トリメチロールフェノールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、トリメチロール−3−クレゾール、トリ(メトキシメチル)−3−クレゾール、トリメチロール−3−クレゾールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、2,6−ジメチロール−4−クレゾール等のジメチロールクレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、テトラメトキシメチルビスフェノールA、テトラメチロールビスフェノールAの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、テトラメチロール−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、テトラメトキシメチル−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、TrisP−PAのヘキサメチロール体、TrisP−PAのヘキサメトキシメチル体、TrisP−PAのヘキサメチロール体の1〜5個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、ビスヒドロキシメチルナフタレンジオール、等が挙げられる。
また、ヒドロキシアントラセン化合物として、例えば、1,6−ジヒドロキシメチル−2,7−ジヒドロキシアントラセン等が挙げられる。
また、アシロキシメチル基含有化合物として、例えば、上記メチロール基含有化合物のメチロール基を、一部または全部アシロキシメチル化した化合物等が挙げられる。
これらの化合物の中で好ましいものとしては、トリメチロールフェノール、ビスヒドロキシメチル−p−クレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)のヘキサメチロール体またはそれらのメチロール基がアルコキシメチル基およびメチロール基とアルコキシメチル基の両方で置換されたフェノール化合物が挙げられる。
これら(c)に係る化合物は、単独で使用してもよく、組合わせて使用してもよい。
本発明の着色組成物が架橋剤を含有する場合、その総含有量は、該組成物の全固形分(質量)に対して、1〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、7〜30質量%が特に好ましい。
該含有量が前記範囲内であると、充分な硬化度と未硬化部の溶出性とを保持でき、硬化部の硬化度が不足したり、未硬化部の溶出性が著しく低下することを防ぐことができる。
<溶剤>
本発明の着色組成物は、溶剤を含有してもよい。
本発明の着色組成物の用途は特に限られないが、具体的には、例えば、後述するように、フォトリソ法によるカラーフィルタの製造や、インクジェット法によるカラーフィルタの製造等に用いられる。
そして、溶剤やその他の添加物は、用途等を考慮して、必要に応じて適宜用いられる。
まず、本発明の着色組成物をフォトリソ法によるカラーフィルタの製造に用いる場合について説明する。
フォトリソ法に用いる本発明の着色組成物(着色感光性組成物の形態の着色組成物)は、溶剤を有することが好ましい。
前記溶剤としては、例えば、以下に示される有機溶剤から選択される液体が挙げられ、着色組成物中に含まれる各成分の溶解性や、塗布性などを考慮して選択されるものであり、これら所望の物性を満足すれば基本的に特には限定されないが、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
溶剤の具体例としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;
エーテル類、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、エチルセロソルブアセテート(エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン等;が好ましい。
これらの中でも、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等がより好ましい。
これらの溶剤は一種単独で用いてもよいが、紫外線吸収剤及びアルカリ可溶性樹脂の溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
本発明の着色組成物における溶剤の含有量としては、50〜90質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、70〜90質量%が最も好ましい。溶剤の含有量が前記範囲内であることにより、異物の発生抑制の点で有利である。
なお、着色組成物をインクジェット法によるカラーフィルタの製造に用いる場合は、後述するように、硬化性の観点から(D)溶媒の含有量は少ない方が好ましく、(D)溶媒を用いない形態もありうる。
<界面活性剤>
本発明の着色組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
特に、本発明の着色組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する着色組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F479、同F482、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、CW−1(ゼネカ社製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロールプロポキシレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーン株式会社製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−444(4)(5)(6)(7)6」、「TSF−44 60」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、ビッグケミー社製「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
<重合禁止剤>
本発明の着色組成物においては、該着色組成物の製造中又は保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の重合禁止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、全組成物の質量に対して、約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
<各種添加物>
本発明の着色組成物には、必要に応じて各種添加物、例えば充填剤、上記以外の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することかできる。これらの例としては、例えば、特開2008−292970号公報の段落番号[0274]〜[0276]に記載の添加物を挙げることができる。
<着色組成物の調製方法>
本発明の着色組成物の調製に際しては、組成物の上述の各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。全成分を同時に溶剤に溶解して組成物を調製してもよいし、必要に応じては各成分を適宜2つ以上の溶液としておいて、使用時(塗布時)にこれらの溶液を混合して組成物として調製してもよい。
上記のようにして調製された組成物は、好ましくは孔径0.01〜3.0μm、より好ましくは孔径0.05〜0.5μm程度のフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することもできる。
本発明の着色組成物は、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(例えば、CCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルタなどの着色画素形成用として好適に用いることができる。特に、CCD、及びCMOS等の固体撮像素子用のカラーフィルタ形成用として好適に用いることができる。
本発明の着色組成物は、例えばフォトリソ法によるカラーフィルタの製造に用いられる場合、着色パターンが微少サイズで薄膜に形成され、しかも良好な矩形の断面プロファイルが要求される固体撮像素子用のカラーフィルタの形成に特に好適である。
具体的には、カラーフィルタを構成する画素パターンサイズ(基板法線方向からみた画素パターンの辺長)が2μm以下である場合(例えば0.5〜2.0μm)は、その面積が非常に小さいことから、特に他色への染み込みや色移り、残渣は色分離能低下によって顕著に感度が低下する。これは、特に画素パターンサイズが0.5〜1.7μm(更に0.5〜1.2μm)の場合にさらに顕著になる。
一方、本発明の着色組成物を用いれば、上記のような2μm以下の画素パターンサイズでも、パターン形成性に優れ、染み込み、色移り、残渣などの混色を抑制したカラーフィルタを作製することができる。
また、一般に染料を用いる着色組成物では、先に形成した他色のパターン(または層)に染料が塗布時に染み込みやすく混色を生じやすい(次色塗布時における染料の染み込み)。さらには、染料を用いる着色組成物では多量の染料の添加が必要であって、結果、フォトリソ性に寄与する成分の相対含有量が少なくなる。そのため感度低下により低露光量領域でパターンが剥離しやすくなる、またはアルカリ現像時の染料の溶出等により所望の形状や色濃度が得られない、等のパターン形成不良が生じやすい(アルカリ現像時の染料の溶出)。さらには、染料を用いる着色組成物では、成膜後に加熱処理を施した場合に、隣接画素間や積層状態での層間で色移りが生じやすい(加熱処理による熱拡散)。
しかしながら、特定色素多量体を含む本発明の着色組成物を用いれば、染料並みの透明性を保持しながら、上記の染料特有の、次色塗布時における染料の染み込み、アルカリ現像時の染料の溶出、加熱処理による熱拡散(色移り)が、大幅に抑制できた着色膜(カラーフィルタ)を作製することができる。
≪カラーフィルタ及びその製造方法≫
本発明のカラーフィルタは、前記本発明の着色組成物を用いてなるものである。このため本発明のカラーフィルタは、染み込み、色移り、及び現像残渣に起因する混色が抑制される。また、耐熱性にも優れる。
次に、本発明の着色組成物を用いて、フォトリソ法でカラーフィルタを形成する方法について説明する。
本発明の着色組成物を用いて、フォトリソ法によりパターンを形成する方法としては、例えば、特開2008−292970号公報の段落番号[0277]〜[0284]に記載の方法が挙げられる。
具体的には、前記着色組成物を支持体上に塗布して着色層を形成する工程(以下、「着色層形成工程」ともいう)と、形成された着色層をマスクを介して露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)と、露光された着色層を現像して着色パターンを形成する工程(以下、「現像工程」ともいう)と、を有するカラーフィルタの製造方法(以下、「本発明のカラーフィルタの製造方法」ともいう)が挙げられる。
<着色層形成工程>
本発明のカラーフィルタの製造方法では、まず、支持体上に、既述の本発明の着色組成物を回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布して、塗布層を形成し、その後、必要に応じて、予備硬化(プリベーク)を行い、該塗布層を乾燥させて着色層を形成する(着色層形成工程)。
本発明のカラーフィルタの製造方法に用いられる支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えば、シリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)基板などが挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止、或いは表面の平坦化のために、下塗り層を設けてもよい。
なお、着色組成物を支持体上に回転塗布する際には、液の滴下量を低減のため、着色組成物の滴下に先立ち、適当な有機溶剤を滴下、回転させることにより、着色組成物の支持体への馴染みをよくすることができる。
上記プリベークの条件としては、ホットプレートやオーブンを用いて、70℃〜130℃で、0.5分間〜15分間程度加熱する条件が挙げられる。
また、着色組成物により形成される着色層の厚みは、目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、0.2μm〜5.0μmであることが好ましく、0.3μm〜2.5μmであることが更に好ましく、0.3μm〜1.5μm最も好ましい。なお、ここでいう着色層の厚さは、プリベーク後の膜厚である。
<露光工程>
続いて、本発明のカラーフィルタの製造方法では、支持体上に形成された着色層には、マスクを介した露光が行われる(露光工程)。
この露光に適用し得る光若しくは放射線としては、g線、h線、i線、KrF光、ArF光が好ましく、特にi線が好ましい。照射光にi線を用いる場合、100mJ/cm2〜10000mJ/cm2の露光量で照射することが好ましい。
また、その他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視及び紫外の各種レーザー光源、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。
(レーザー光源を用いた露光工程)
前記レーザー光源を用いた露光方式では、光源として紫外光レーザーを用いることができる。レーザーは英語のLight Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出により光の増幅)の頭文字である。反転分布をもった物質中でおきる誘導放出の現象を利用し、光波の増幅、発振によって干渉性と指向性が一層強い単色光を作り出す発振器および増幅器、励起媒体として結晶、ガラス、液体、色素、気体などがあり、これらの媒質から固体レーザー、液体レーザー、気体レーザー、半導体レーザーなどの公知の紫外光に発振波長を有するレーザーを用いることができる。その中でも、レーザーの出力および発振波長の観点から、固体レーザー、ガスレーザーが好ましい。
前記レーザー光源を用いた露光方式に用いることのできるレーザーとしては、300nm〜380nmの範囲である波長の範囲の紫外光レーザーが好ましく、さらに好ましくは300nm〜360nmの範囲の波長である紫外光レーザーが、レジスト(着色組成物)の感光波長に合致しているという点で好ましい。
具体的には、特に出力が大きく、比較的安価な固体レーザーのNd:YAGレーザーの第三高調波(355nm)や、エキシマレーザーのXeCl(308nm)、XeF(353nm)を好適に用いることができる。
被露光物(着色層)に対する露光量としては、1mJ/cm2〜100mJ/cm2の範囲であり、1mJ/cm2〜50mJ/cm2の範囲がより好ましい。露光量がこの範囲であると、パターン形成の生産性の点で好ましい。
前記レーザー光源を用いた露光方式に使用可能な露光装置としては、特に制限はないが市販されているものとしては、Callisto(ブイテクノロジー株式会社製)やEGIS(ブイテクノロジー株式会社製)やDF2200G(大日本スクリーン株式会社製などが使用可能である。また上記以外の装置も好適に用いられる。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、340〜370mにピーク波長を有するUV−LEDである。
紫外光レーザーは平行度が良好なので、露光の際にマスクを使用せずとも、パターン露光ができる。しかし、マスクを用いてパターンを露光した場合、さらにパターンの直線性が高くなるのでより好ましい。
露光した着色層は、次の現像処理前にホットプレートやオーブンを用いて、70℃〜180℃で、0.5分間〜15分間程度加熱することができる。
また、露光は、着色層中の着色剤の酸化褪色を抑制するために、チャンバー内に窒素ガスを流しながら行なうことができる。
<現像工程>
続いて、露光後の着色層に対し、現像液にて現像を行う(現像工程)。これにより、ネガ型若しくはポジ型の着色されたパターン(レジストパターン)を形成することができる。
現像液は、着色層の未硬化部を溶解し、硬化部を溶解しないものであれば、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性水溶液を用いることができる。現像液がアルカリ性水溶液である場合、アルカリ濃度が好ましくはpH11〜13、更に好ましくはpH11.5〜12.5となるように調整するのがよい。特に、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドを、濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜5質量%となるように調整したアルカリ性水溶液を現像液として用いることができる。
現像時間は、30秒〜300秒が好ましく、更に好ましくは30秒〜120秒である。現像温度は、20℃〜40℃が好ましく、更に好ましくは23℃である。
現像は、パドル方式、シャワー方式、スプレー方式等で行うことができる。
また、アルカリ性水溶液を用いて現像した後は、水で洗浄することが好ましい。洗浄方式も、目的に応じて適宜選択されるが、シリコンウエハ基板等の支持体を回転数10rpm〜500rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行うことができる。
その後、必要に応じて、形成された着色パターンに対し後加熱及び/又は後露光を行い、着色パターンの硬化を促進させてもよい(後硬化工程)。
<後硬化工程>
本発明においては、上記した現像によりパターンを形成する工程の後に、さらに、得られたパターンをさらに硬化させる後硬化工程を実施することが好ましい。
後硬化工程は、加熱(後加熱)及び/又は露光(紫外線照射等の後露光)によって行うが、得られたパターンをさらに硬化させ、次色のパターン形成のための着色層を形成する工程等での、パターンの溶解等を防止したり、得られたカラーフィルタの画素の耐溶剤性を向上したりすることができる。
後硬化工程は、紫外線照射による紫外線照射工程であることが好ましい。
−紫外線照射工程−
紫外線照射工程では、後露光によるパターンの硬化を行う。
具体的には、前記パターン形成工程で現像処理を行なった後のパターンに、例えば、現像前の露光処理における露光量[mJ/cm2]の10倍以上の照射光量[mJ/cm2]の紫外光(UV光)を照射する。パターン形成工程での現像処理と後述の加熱処理との間に、現像後のパターンにUV光を所定時間、照射することにより、後に加熱された際に色移りするのを効果的に防止できる。本工程での照射光量が10倍未満であると、着色画素間や上下層間における色移りを防止できない場合がある。
中でも、UV光の照射光量は、パターン形成工程での露光時の露光量の12倍以上200倍以下が好ましく、15倍以上100倍以下がより好ましい。
後露光は、g線、h線、i線、KrF、ArF、UV光、電子線、X線等により行うことができるが、g線、h線、i線、UV光が好ましく、特に、UV光が好ましい。UV光の照射(UVキュア)を行う際は、20℃以上50℃以下(好ましくは25℃以上40℃以下)の低温で行うことが好ましい。UV光の波長は、200〜300nmの範囲の波長を含んでいることが好適であり、光源としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ等を使用することができる。照射時間としては、10〜180秒、好ましくは20〜120秒、更に好ましくは30〜60秒である。
UV光を照射する光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、DEEP UVランプなどを用いることができる。中でも、照射される紫外光中に275nm以下の波長光を含み、かつ275nm以下の波長光の照射照度[mW/cm2]が紫外光中の全波長光の積分照射照度に対して5%以上である光を照射できるものが好ましい。紫外光中の275nm以下の波長光の照射照度を5%以上とすることで、着色画素間や上下層への色移りの抑制効果及び耐光性の向上効果をより効果的に高めることができる。この点から、前記パターン形成工程での露光に用いられるi線等の輝線などの光源と異なる光源、具体的には高圧水銀灯、低圧水銀灯などを用いて行なうことが好ましい。中でも、前記同様の理由から、紫外光中の全波長光の積分照射照度に対して7%以上が好ましい。また、275nm以下の波長光の照射照度の上限は、25%以下が望ましい。
なお、積分照射照度とは、分光波長ごとの照度(単位面積を単位時間に通過する放射エネルギー;[mW/m2])を縦軸とし、光の波長[nm]を横軸とした曲線を引いた場合に照射光に含まれる各波長光の照度の和(面積)をいう。
紫外線照射工程の後露光において照射される紫外光における積分照射照度は、200mW/cm2以上であることが好ましい。積分照射照度が200mW/cm2以上であると、着色画素間や上下層への色移りの抑制効果及び耐光性の向上効果をより効果的に高めることができる。中でも、250〜2000mW/cm2が好ましく、300〜1000mW/cm2がより好ましい。
また後加熱は、ホットプレートやオーブンを用いて、100℃〜300℃で実施することが好ましく、更に好ましくは、150℃〜250℃である。後加熱時間は、30秒〜30000秒が好ましく、更に好ましくは、60秒〜1000秒である。
後硬化工程においては、後露光と後加熱は、併用してもよく、この場合はどちらを先に行ってもよいが、後加熱に先立って、後露光を実施することが好ましい。後露光で硬化を促進させることにより、後加熱過程で見られるパターンの熱ダレやすそ引きによる形状の変形を抑止するためである。
このようにして得られた着色パターンがカラーフィルタにおける着色画素を構成することになる。
複数の色相の着色画素を有するカラーフィルタの作製においては、前記着色層形成工程、前記露光工程、及び前記現像工程、(及び必要に応じて後硬化工程)を所望の色数に合わせて繰り返すことにより、所望数の色相に構成されたカラーフィルタを作製することができる。
本発明の着色組成物は、例えば、塗布装置吐出部のノズル、塗布装置の配管部、塗布装置内等に付着した場合でも、公知の洗浄液を用いて容易に洗浄除去することができる。この場合、より効率の良い洗浄除去を行うためには、本発明の着色組成物に含まれる溶剤として前掲した溶剤を洗浄液として用いることが好ましい。
また、特開平7−128867号公報、特開平7−146562号公報、特開平8−278637号公報、特開2000−273370号公報、特開2006−85140号公報、特開2006−291191号公報、特開2007−2101号公報、特開2007−2102号公報、特開2007−281523号公報などに記載の洗浄液も、本発明の着色組成物の洗浄除去用の洗浄液として好適に用いることができる。
洗浄液としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルを用いることがが好ましい。
洗浄液として用いうるこれら溶剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
溶剤を2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合してなる混合溶剤が好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。混合溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合溶剤で、その比率が60/40であることが特に好ましい。
なお、着色組成物に対する洗浄液の浸透性を向上させるために、洗浄液には、着色組成物が含有しうる界面活性剤として前掲した界面活性剤を添加してもよい。
更に、カラーフィルタの製造方法としては、上記の方法以外にも、インクジェット法を用いる方法も挙げられる。
インクジェット法でカラーフィルタを製造する方法は特に限定されないが、隔壁により区画された凹部を有する基板を準備する工程と、前記凹部に、インクジェット法によって、本発明の着色組成物(具体的には、後述する本発明のインクジェット用インク)の液滴を付与して、カラーフィルタの着色画素を形成する工程と、を有する。例えば、特開2008−250188号公報の段落番号[0114]〜[0128]に記載の方法等を用いることができる。
本発明のカラーフィルタは、さらに透明導電膜として、酸化インジウムスズ(ITO)層を有していてもよい。ITO層の形成方法としては、例えば、インライン低温スパッタ法や、インライン高温スパッタ法、バッチ式低温スパッタ法、バッチ式高温スパッタ法、真空蒸着法、及びプラズマCVD法などが挙げられ、特にカラーフィルタに対するダメージを少なくするため、低温スパッタ法が好ましく用いられる。
≪インクジェット用インク≫
本発明のインクジェット用インクは、前記本発明の着色組成物を含む。
本発明のインクジェット用インクは、堅牢性(耐熱性、耐光性)に優れた着色画素を形成できる他、保存安定性に優れ、かつ、吐出安定性にも優れる。
本発明のインクジェット用インクは、前記特定色素多量体と、溶剤及び重合性化合物の少なくとも一方と、を含んで構成されることが好ましい。
即ち、本発明のインクジェット用インクは、溶剤を含んでいてもよく、含まなくてもよい。インクジェット用インクが溶剤を含まない形態としては、例えば、重合性化合物が溶剤の役割を果たす形態が挙げられる。
<溶剤>
前記溶剤としては、各成分の溶解性や後述する溶剤の沸点を満足すれば基本的に特に限定されないが、特に後述するバインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。溶剤の具体例としては、特開2009−13206号公報の段落番号[0030]〜[0040]に記載の溶剤を挙げることが出来る。
また、溶剤としては、既述の本発明の着色組成物中の溶剤として説明した溶剤を用いることもできる。
前記溶剤の含有量は、インクジェット用インク全量に対して、30〜90質量%が好ましく、50〜90質量%がさらに好ましい。30質量%以上であると1画素内に打滴されるインク量が保たれ、画素内でのインクの濡れ広がりが良好である。また、90質量%以下であると、インク中の機能膜(例えば画素など)を形成するための溶剤以外の成分量を所定量以上に保つことができる。これより、カラーフィルタを形成する場合には、1画素当たりのインク必要量が多くなり過ぎることがなく、例えば隔壁で区画された凹部にインクジェット法でインクを付与する場合に、凹部からのインク溢れや隣の画素との混色の発生を抑制することができる。
本発明のインクジェット用インクは、ノズルに対するインクの吐出性および基板に対する濡れ性の点で、上述した溶剤のうち、沸点の高い溶剤を含有していることが好ましい。
前記溶剤の沸点は、130〜280℃であることが好ましい。
前記溶剤の沸点が130℃以上であれば、面内の画素の形状の均一性がより向上する。
前記溶剤の沸点が280℃以下であれば、プリベークによる溶剤除去性がより向上する。
なお、溶剤の沸点は、圧力1atmのもとでの沸点を意味し、化合物辞典(Chapman & Hall 社)などの物性値表により知ることができる。これらは1種又は2種以上を併用してもよい。
本発明のインクジェット用インクには、粘度の調整やインク硬度の調整などの目的で、必要に応じて上記バインダーを入れてもよい。バインダーとしては、それ自体は重合反応性のない樹脂のみから構成されるような単に乾燥固化するバインダー樹脂を用いてもよい。しかしながら、塗工膜に十分な強度、耐久性、密着性を付与するためには、インクジェット法により基板上に画素のパターンを形成後、該画素を重合反応により硬化させることのできるバインダーを用いるのが好ましく、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性のバインダーや、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダーのような、重合硬化可能なバインダーを用いることができる。
また、本発明のインクジェット用インク中のバインダー樹脂としては、本発明の着色組成物中のバインダーとして説明したものを用いることもできる。
<架橋剤>
また、本発明のインクジェット用インクは、架橋剤を含んでもよい。
架橋剤としては、エポキシ樹脂技術協会発行の「総説エポキシ樹脂基礎編I」2003年11月19日発行、第3章に記載の硬化剤、促進剤を好適に用いることができ、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いることができる。
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤の例として、特開平7−216276号公報の段落番号[0021]や、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。界面活性剤の含有量は、着色組成物全量に対して5質量%以下が好ましい。
また、本発明のインクジェット用インク中の界面活性剤としては、本発明の着色組成物中の界面活性剤として説明したものを用いることもできる。
また、本発明のインクジェット用インクに必要に応じて含まれるその他の添加剤としては、特開2000−310706号公報の段落番号[0058]〜[0071]に記載のその他の添加剤が挙げられる。
インクジェット法に用いる本発明の着色組成物の製造には、公知のインクジェット用インクの製造方法を適用することが可能である。
(B)重合性化合物の溶液を作製する際には、溶剤に対して使用する素材の溶解性が低い場合には、重合性化合物が重合反応を起こさない範囲内で、加熱や超音波処理等の処理を適宜行うことが可能である。
インクジェット法に用いる本発明の着色組成物の物性値としては、インクジェットヘッドで吐出可能な範囲であれば特に限定されないが、吐出時における粘度は安定吐出観点から、2〜30mPa・sであることが好ましく、2〜20mPa・sがより好ましい。また、装置で吐出する際には、インクジェットインクの温度を20〜80℃の範囲でほぼ一定温度に保持することが好ましい。装置の温度を高温に設定すると、インクの粘度が低下し、より高粘度のインクを吐出可能となるが、温度が高くなることにより、熱によるインクの変性や熱重合反応がヘッド内で発生したり、インクを吐出するノズル表面で溶剤が蒸発したり、ノズル詰まりが起こりやすくなるため、装置の温度は20〜80℃の範囲が好ましい。
なお、粘度は、25℃にインクジェット用インクを保持した状態で、一般に用いられるE型粘度計(例えば、東機産業(株)製E型粘度計(RE−80L)を用いることにより測定される値である。
また、インクジェット法に用いる本発明の着色組成物の25℃の表面張力(静的表面張力)としては、非浸透性の基板に対する濡れ性を向上、吐出安定性の点で、20〜40mN/mが好ましく、20〜35mN/mがより好ましい。また、装置で吐出する際には、インクジェット用インクの温度を20〜80℃の範囲で略一定温度に保持することが好ましく、そのときの表面張力を20〜40mN/mとすることが好ましい。インクジェット用インクの温度を所定精度で一定に保持するためには、インク温度検出手段と、インク加熱または冷却手段と、検出されたインク温度に応じて加熱または冷却を制御する制御手段とを備えた装置を用いることが好ましい。あるいは、インク温度に応じてインクを吐出させる手段への印加エネルギーを制御することにより、インク物性変化に対する影響を軽減する手段を有することも好適である。
上述の表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計FACE SURFACE TENSIOMETER CBVB−A3など)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃、60%RHにて測定される値である。
また、本発明の着色組成物が基板着弾後に濡れ拡がる形状を適正に保つためには、基板に着弾後の着色組成物の液物性を所定に保持することが好ましい。このためには、基板および/または基板の近傍を所定温度範囲内に保持することが好ましい。あるいは、基板を支持する台の熱容量を大きくするなどにより、温度変化の影響を低減することも有効である。
本発明の着色組成物は、インクジェット法によるカラーフィルタの製造に用いられる場合、インクの保存安定性に優れ、インクの凝集や分解などが抑制される。また、連続的および断続的な吐出の際にも、飛翔曲がり不吐出等の吐出の乱れが生じにくく、吐出安定性に優れ、一定期間休止後の回復性、さらに不吐出等が生じた場合の回復性に優れる。
本発明の着色組成物を用いてインクジェット法でカラーフィルタを製造する方法は特に限定されないが、例えば、特開2008−250188号公報の段落番号[0114]〜[0128]に記載の方法等を用いることができる。
<本発明のカラーフィルタの用途>
本発明のカラーフィルタは、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、液晶プロジェクタ、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの表示装置、特にカラー表示装置の用途に特に制限なく好適に適用できる。
また、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、内視鏡、携帯電話などに使用されるCCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサーなどの固体撮像素子用のカラーフィルタとして好適に用いることができる。特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS素子等に好適である。
≪固体撮像素子≫
本発明の固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタを備えたものである。
本発明の固体撮像素子として、具体的には、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、内視鏡、携帯電話などに使用されるCCDイメージセンサー又はCMOSイメージセンサーが好適である。特に100万画素を超えるような高解像度のCCDイメージセンサー又はCMOSイメージセンサーが好適である。
固体撮像素子の構成としては、本発明のカラーフィルタを備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、次のような構成が挙げられる。
即ち、支持体上に、受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、その上に、本発明のカラーフィルタを設け、次いで、マイクロレンズを積層する構成である。
また、本発明のカラーフィルタを備えるカメラシステムは、色材の光褪色性の観点から、カメラレンズやIRカット膜が、ダイクロコートされたカバーガラス、マイクロレンズ等を備えており、その材料の光学特性は、400nm以下のUV光の一部又は全部を吸収するものであることが望ましい。また、カメラシステムの構造としては、色材の酸化褪色を抑止するため、カラーフィルタへの酸素透過性が低減されるような構造になっていることが好ましく、例えば、カメラシステムの一部又は全体が窒素ガスで封止されていることが好ましい。
≪表示装置≫
本発明の表示装置は、本発明のカラーフィルタを備えたものである。
本発明の表示装置として、具体的には、液晶ディスプレイ(液晶表示装置;LCD)、有機ELディスプレイ(有機EL表示装置)、液晶プロジェクタ、ゲーム機用表示装置、携帯電話などの携帯端末用表示装置、デジタルカメラ用表示装置、カーナビ用表示装置などの表示装置、特にカラー表示装置が好適である。
表示装置の定義や各表示装置の説明は、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
本発明のカラーフィルタは、中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。更に、本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、OCS、FFS、及びR−OCB等にも適用できる。
また、本発明のカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color-filter On Array)方式にも供することが可能である。COA方式の液晶表示装置にあっては、カラーフィルタ層に対する要求特性としては、通常の要求特性に加え、層間絶縁膜に対する要求特性、即ち低誘電率及び剥離液耐性が必要である。本発明のカラーフィルタでは、紫外光レーザーによる露光方法を用いることや、着色画素の色相や膜厚を選択することによって、露光光である紫外光レーザーの透過性を高めることができるものと考えられる。これによって、着色画素の硬化性が向上し、欠けや剥がれ、ヨレのない画素を形成できるので、TFT基板上に直接または間接的に設けた着色層の特に剥離液耐性が向上し、COA方式の液晶表示装置に有用である。低誘電率の要求特性を満足するためには、カラーフィルタ層の上に樹脂被膜を設けてもよい。
さらにCOA方式により形成される着色層には、着色層上に配置されるITO電極と着色層の下方の駆動用基板の端子とを導通させるために、一辺の長さが1〜15μm程度の矩形のスルーホールあるいはコの字型の窪み等の導通路を形成する必要であり、導通路の寸法(即ち、一辺の長さ)を特に5μm以下にすることが好ましいが、本発明を用いることにより、5μm以下の導通路を形成することも可能である。
これらの画像表示方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページなどに記載されている。
前記液晶表示装置は、本発明のカラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角保障フィルムなどさまざまな部材から構成される。本発明のカラーフィルタは、これらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。
これらの部材については、例えば、「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉(株)富士キメラ総研 2003年発行)」に記載されている。
バックライトに関しては、SID meeting Digest 1380(2005)(A.Konno et.al)や、月刊ディスプレイ 2005年12月号の18〜24ページ(島 康裕)、同25〜30ページ(八木 隆明)などに記載されている。
本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に用いると、従来公知の冷陰極管の三波長管と組み合わせたときに高いコントラストを実現できるが、更に、赤、緑、青のLED光源(RGB−LED)をバックライトとすることによって輝度が高く、また、色純度の高い色再現性の良好な液晶表示装置を提供することができる。
以上、本発明の着色組成物、インクジェット用インク、カラーフィルタ及びその製造方法、固体撮像素子、並びに表示装置について、種々の実施形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は、上記の実施形態には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんのことである。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、機器、操作等は本発明の範囲から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。但し、実施例26及び28〜33は参考例である。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り、「%」及び「部」は「質量%」及び「質量部」を表す。
[実施例1]
(1)レジスト溶液Aの調製(ネガ型)
下記の成分を混合して溶解し、レジスト溶液Aを調製した。
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 5.20部
・シクロヘキサノン … 52.60部
・バインダー … 30.50部
(メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体、モル比=60:20:20、平均分子量30200(ポリスチレン換算)、41%シクロヘキサノン溶液)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート … 10.20部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) … 0.006部
・フッ素系界面活性剤(DIC(株)製F−475) … 0.80部
・光重合開始剤:4-ベンズオキソラン−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン(みどり化学(株)製TAZ−107) … 0.58部
(2)下塗り層付ガラス基板の作製
ガラス基板(コーニング1737)を0.5%NaOH水で超音波洗浄した後、水洗、脱水ベーク(200℃/20分)を行った。次いで、上記(1)で得たレジスト溶液Aを洗浄したガラス基板上に乾燥後の膜厚が2μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、220℃で1時間加熱乾燥させて、下塗り層付ガラス基板を調製した。
(3)着色組成物の調製
下記の各成分を混合して分散、溶解し、着色組成物を得た。
・シクロヘキサノン … 1.133部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸の共重合体(20%CyH溶液)(モル比=70:30、重量平均分子量30000) … 1.009部
・重合性モノマー(KAYARAD DPHA(日本化薬製)) … 3.84部
・フッ素系界面活性剤(1%CyH溶液)(ゼネカ製ソルスパース20000)
… 0.125部
・オキシム系光重合開始剤(下記構造の化合物) … 0.087部
・色素多量体(例示化合物1−4/重量平均分子量(Mw)5200/分散度(Mw/Mn)1.66) … 0.183部
・Pigment Blue 15:6分散液 … 2.418部
(固形分濃度17.70%、顔料濃度11.80%)
・ノニオン系界面活性剤:グリセロールプロポキシレート(1%CyH溶液)
… 0.048部
−C.I.Pigment Blue15:6分散液の調製−
上記C.I.Pigment Blue15:6分散液は、以下のようにして調製されたものである。
即ち、C.I.Pigment Blue15:6を11.8質量部(平均粒子径55nm)、及び顔料分散剤BY−161(BYK社製)を5.9質量部、PGMEA82.3質量部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合・分散して、顔料分散液を調製した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cm3の圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、顔料分散液(C.I.Pigment Blue15:6分散液)を得た。得られた顔料分散液について、顔料の平均1次粒子径を動的光散乱法(Microtrac Nanotrac UPA−EX150(日機装社製))により測定したところ、24nmであった。
(4)着色組成物の露光・現像(着色パターン形成)
上記(3)で得た着色組成物を、上記(2)で得た下塗り層付ガラス基板の下塗り層の上に乾燥後の膜厚が0.6μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークした。
次いで、露光装置UX3100−SR(ウシオ電機(株)製)を使用して、塗布膜に365nmの波長で線幅2μmのマスクを通して、200mJ/cm2の露光量で照射した。露光後、現像液CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を使用して、25℃40秒間の条件で現像した。その後、流水で30秒間リンスした後、スプレー乾燥し、着色パターンを得た。
その後、200℃で300sec加熱し(ポストベーク)、着色パターンを硬化させた。
以上により着色パターン(青色単色のカラーフィルタ)付きのガラス基板を得た。
(5)評価
着色組成物を用いてガラス基板上に形成された着色パターンの、耐アルカリ溶出性、耐溶剤性、熱拡散による色移り、基板への現像残渣、他色上への現像残渣および染料の染み込みを下記のようにして評価した。評価結果は下記表1〜表5に示す。
〔耐アルカリ溶出性〕
上記(4)のプリベーク後の塗布膜の分光(分光A)および、この塗布膜の露光部における現像後の分光(分光B)を測定し、分光Aと分光Bとの差より色素残存率(%)を算出し、これを耐アルカリ溶出性を評価する指標とした。この数値は100%に近いほど耐アルカリ溶出性に優れていることを示す。
〔耐溶剤性〕
上記(4)で得たポストベーク後の着色パターンの分光を測定した(分光A)。この着色パターン(カラーフィルタ)付き基板に対し、着色パターン形成面に上記(1)で得たレジスト溶液Aを膜厚1μmとなるように塗布しプリベークを行った後、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)現像液を使用して23℃・120秒間の条件で現像を行い、再度分光を測定した(分光B)。この分光Aと分光Bとの差より色素残存率(%)を算出し、これを耐溶剤性を評価する指標とした。この数値は100%に近いほど耐溶剤性に優れていることを示す。
〔熱拡散による色移り〕
上記(4)のようにして作製したカラーフィルタ付き基板の着色パターン形成面に、乾燥膜厚が1μmとなるようにCT−2000L溶液(下地透明剤、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を塗布し、乾燥させて、透明膜を形成した後、200℃で5分間加熱処理を行なった。加熱終了後、着色パターンに隣接する透明膜の吸光度を顕微分光測定装置(大塚電子(株)製LCF−1500M)にて測定した。得られた透明膜の吸光度の値の、同様に加熱前に測定した着色パターンの吸光度に対する割合[%]を算出し、色移りを評価する指標とした。
−判定基準−
隣接ピクセルへの色移り(%)
◎:隣接ピクセルへの色移り<1%
○:1%<隣接ピクセルへの色移り≦10%
△:10%≦隣接ピクセルへの色移り≦30%
×:隣接ピクセルへの色移り>30%
〔基板上への現像残渣〕
上記(4)で得た現像後のパターンを走査型電子顕微鏡(日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800、倍率20000倍)にて未露光部を観察し、残渣が無くきれいに現像できているものを○、一部残渣があるが現像できているものを△、現像できないものを×として3段階の官能評価を行った。
〔他色上への現像残渣/染料の染み込み〕
下記着色組成物(G)を、上記(2)で得た下塗り層付ガラス基板の下塗り層の上に乾燥後の膜厚が0.6μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークし、次いで、露光装置UX3100−SR(ウシオ電機(株)製)を使用して、塗布膜に365nmの波長でマスクを介さず、200mJ/cm2の露光量で全面照射した。露光後、現像液CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を使用して、25℃40秒間の条件で現像した。その後、流水で30秒間リンスした後、スプレー乾燥した。その後、200℃で15分間ポストベークを行い、この塗膜の分光を測定した(分光A)。さらにこの上に、上記(3)の着色組成物を乾燥後の膜厚が0.6μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークし、露光せずに現像液CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を使用して、25℃40秒間の条件で現像した。その後、流水で30秒間リンスした後、スプレー乾燥し分光を測定した(分光B)。この分光A、Bの差より他色上残渣+染み込みを透過率低下(T%低下)の絶対値で算出し、他色上への現像残渣/染料の染み込みを評価する指標とした。
−判定基準−
他色上への現像残渣/染料の染み込み(T%低下)
○:T%低下<1%
△:1%≦T%低下≦5%
×:T%低下>5%
−着色組成物G−
C.I.ピグメント・グリーン36とC.I.ピグメント・イエロー219との30/70〔質量比〕混合物40部、分散剤としてDisperbyk−161(ビックケミー(BYK)社製、30%溶液)50部、及び溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル110部からなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、顔料分散液(P1)を調製した。
前記分散処理した顔料分散液(P1)を用いて下記組成比となるよう撹拌混合し、着色組成物Gを調製した。
<組成>
・着色剤(顔料分散液(P1)) … 350部
・重合開始剤(オキシム系光重合開始剤)(CGI−124、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) … 30部
・TO−1382 … 25部
(重合性化合物 東亜合成化学(株)製 カルボキシル基含有5官能アクリレート)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート … 30部
・溶剤(PGMEA) … 200部
・基板密着剤(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン) … 1部
[実施例2〜33および比較例1〜27]
上記実施例1の色素多量体を表1〜表5に記載の色素多量体に変更した以外は同様にして
実施例2〜33および比較例1〜27の評価を行った。
各実施例の例示化合物及び各比較例の例示化合物において、重量平均分子量(Mw)の調整は、連鎖移動剤量の増減および開始剤量の増減によって行った。本発明においては、重量平均分子量を比較的容易に調整可能な連鎖移動剤を用いる重合反応によって調整している。具体的には、窒素雰囲気下、重合開始剤/連鎖移動剤(2/1、モル比)に固定して、重合性色素モノマー(及び共重合成分モノマー)の総モル量に対して、重合開始剤基準で3モル%、6モル%及び9モル%を3点で予備実験の重合反応を行い、反応液のGPCを測定し目的の各々の重量平均分子量(Mw)を測定する。この3点で検量線を作成し、所望の重量平均分子量(Mw)を得るために必要な重合開始剤及び連鎖移動剤の量を算出することで、所望の重量平均分子量(Mw)の色素多量体を合成することができる。この検量線範囲で、所望の重量平均分子量(Mw)が得られない場合は、公知の分子量の調整方法である反応温度の上下、溶媒種類の変更、重合開始剤種の変更、連鎖移動剤種の変更、反応濃度の変更によって重量平均分子量(Mw)を調整することができる。
具体的には、実施例1〜33では、上記記載のように検量線から重量平均分子量(Mw)が、5000以上20000以下になるような重合開始剤量と連鎖移動剤量を求め、重合反応を行うことにより、重量平均分子量(Mw)が5000以上20000以下の範囲内となるように調整した(後述する実施例2−1、3−1、3−2も同様である)。
比較例1〜27では、上記記載のように検量線から重量平均分子量(Mw)が、5000未満となるような重合開始剤量と連鎖移動剤量を求め、重合反応を行うことにより、重量平均分子量(Mw)が5000未満となるように調整するか、または、上記記載のように検量線から重量平均分子量(Mw)が、20000を超えるような重合開始剤量と連鎖移動剤量を求め、重合反応を行うことにより、重量平均分子量(Mw)が20000を超えるように調整した。
また、各実施例及び各比較例において、分散度(Mw/Mn)の調整は、再沈殿の有無、再沈殿の溶媒の種類/量、回数の変更によって調整した。
具体的には、実施例1〜33では、PGMEA/メタノール(1/1、体積比)で重合反応液に対して体積比3倍に希釈した後に、この溶液を体積比20〜100倍程度のアセトニトリル(又はアセトニトリル/メタノール混合溶媒、7/3、体積比)を用いて再沈殿することにより、所望の分散度に調整した。また、所望の分散度にならなかった場合は、再沈殿で得られた色素多量体を色素多量体に対して重量比3〜5倍のTHF(またはシクロヘキサノン、PGMEA)に溶解し、この溶液を体積比20〜100倍程度のアセトニトリル(又はアセトニトリル/メタノール混合溶媒、7/3、体積比)を用いて再沈殿を繰り返すことにより、分散度(Mw/Mn)が1.00以上2.50以下となるように調整した(後述する実施例2−1、3−1、3−2も同様である)。
比較例1〜27では、再沈殿を行わない、もしくは反応液を濃縮することにより、分散度(Mw/Mn)が2.50を超えるように調整した。
表5中の例示化合物Aは、特許3736221号明細書記載のポリマーA(下記染料モノマーと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、及びメタクリル酸の共重合体)。
上記表1〜表5に示すように、本発明の特定の物性に制御した色素多量体を用いた実施例1〜実施例33は、比較例1〜比較例27と比較して、耐アルカリ溶出性、耐溶剤性に優れることが分かる。また熱拡散による色移り、基板上および他色上残渣、染料の染み込み抑止に優れ、顕著な混色改良効果を示した。
また、本発明の特定の物性に制御した色素多量体を用いた塗布液(着色組成物)は、予想外にも塗布性が非常に良好で塗布面にスリットや色むらがなく、優れた塗布性を有していることが分かった。
上記では実施例1〜33として、ガラス基板上に青色の着色パターン(青色カラーフィルタ)を形成する例について説明したが、固体撮像素子基板(CCDやCMOS等の撮像素子が形成されたシリコンウエハ基板)上の撮像素子形成面側に、上記実施例1〜33と同様にして青色カラーフィルタを、緑色カラーレジストを用いた公知の方法により緑色カラーフィルタを、赤色カラーレジストを用いた公知の方法により赤色カラーフィルタを、それぞれ作製することにより、固体撮像素子基板の上に、3色のカラーフィルタを作製できる。この3色のカラーフィルタを備えた固体撮像素子は、着色剤の染み込み、加熱処理による着色剤の熱拡散(色移り)、及び現像残渣に起因する混色が抑制され、色再現性及び感度に優れる。
[実施例2−1]
(1)着色組成物[ポジ型]の調製
・乳酸エチル(EL) … 30部
・下記樹脂P−1 … 3.0部
・下記ナフトキノンジアジド化合物N−1 … 1.8部
・架橋剤:ヘキサメトキシメチロール化メラミン … 0.6部
・光酸発生剤:TAZ−107(みどり化学社製) … 1.2部
・フッ素系界面活性剤(F−475、DIC(株)製) … 0.0005部
・着色剤:例示化合物1−4(平均分子量5200、分散度1.66) … 0.3部
以上を混合し、溶解し着色組成物[ポジ型]を得た。
上記樹脂P−1、及びナフトキノンジアジド化合物(N−1)は、以下のようにして合成した。
(2)樹脂P−1の合成
ベンジルメタクリレート70.0g、メタクリル酸13.0g、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル17.0g、及び2−メトキシプロパノール600gを三口フラスコに仕込み、攪拌装置、還流冷却管、及び温度計を取り付け、窒素気流下65℃にて重合開始剤V−65(和光純薬工業製)を触媒量添加して10時間攪拌した。得られた樹脂溶液を20Lのイオン交換水に激しく攪拌しながら滴下し、白色粉体を得た。この白色粉体を40℃で24時間真空乾燥し145gの樹脂P−1を得た。分子量をGPCにて測定したところ、重量平均分子量Mw=28,000、数平均分子量Mn=11,000であった。
(3)ナフトキノンジアジド化合物(N−1)の合成
Trisp−PA(本州化学製)42.45g、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド61.80g、アセトン300mlを三口フラスコに仕込み、室温下トリエチルアミン24.44gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に2時間攪拌した後、反応液を大量の水に攪拌しながら注いだ。沈殿したナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを吸引ろ過により集め、40℃で24時間真空乾燥し感光性化合物N−1を得た。
上記で得られた着色組成物[ポジ型]を実施例1に準じた方法で評価した結果、耐アルカリ溶出性向上、耐溶剤性向上、熱拡散による色移り抑制、基板上および他色上残渣抑制、染料の染み込み抑制に関し、優れた効果を示した。
[実施例3−1、3−2]
(隔壁形成用の濃色組成物の調製)
濃色組成物K1は、まず表6に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを計り取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、さらに攪拌しながら、表6に記載の量のメチルエチルケトン(2−ブタノン)、バインダー2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1を計り取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌することによって得た。なお、表6に記載の量は質量部であり、詳しくは以下の組成となっている。
<K顔料分散物1>
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) … 13.1%
・分散剤(下記記載の化合物B1) … 0.65%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) … 6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 79.53%
<バインダー2>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比のランダム共重合物、分子量3.8万) … 27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 73%
<DPHA液>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) … 76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 24%
<界面活性剤1>
・下記構造物1 … 30%
・メチルエチルケトン … 70%
(隔壁の形成)
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。基板を120℃3分間熱処理して表面状態を安定化させた。
基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・アジア社製、商品名:MH−1600)にて、上述のように調製した濃色組成物K1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置、東京応化工業社製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、120℃で3分間プリベークして膜厚2.3μmの濃色組成物層K1を得た。
超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と濃色感光層K1の間の距離を200μmに設定し、窒素雰囲気下、露光量300mJ/cm2で隔壁幅20μm、スペース幅100μmにパターン露光した。
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、濃色組成物層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製を100倍希釈したもの)を23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、大気下にて露光量2500mJ/cm2にて基板の濃色組成物層K1が形成された面側からポスト露光を行って、オーブンにて240℃で50分加熱し、膜厚2.0μm、光学濃度4.0、100μm幅の開口部を有するストライプ状の隔壁を得た。
(撥インク化プラズマ処理)
隔壁を形成した基板に、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、以下の条件にて撥インク化プラズマ処理を行った。
使用ガス :CF4
ガス流量 :80sccm
圧力 :40Pa
RFパワー:50W
処理時間 :30sec
(紫色(V)用インクの調製法)
下記表7に示す成分を混合し、1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過して紫色(V)用インク液(インクV−1、及びインクV−2)を調製した。
用いた成分の詳細を以下に示す。
・着色剤:例示化合物2−3(平均分子量8820、分散度1.77、酸価2.65mmol/g)
・DPCA−60(日本化薬社製(KAYARAD DPCA−60)):カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・KF−353(信越化学工業(株)社製):ポリエーテル変性シリコーンオイル
(粘度、表面張力の測定)
得られたインクを25℃に調温したまま、東機産業(株)製E型粘度計(RE−80L)を用いて以下の条件で粘度を測定した。
−測定条件−
・使用ロータ:1° 34’×R24
・測定時間 :2分間
・測定温度 :25℃
得られたインクを25℃に調温したまま、協和界面科学(株)製表面張力計(FACE
SURFACE TENSIOMETER CBVB-A3)を用いて表面張力を測定した。
(コントラスト測定方法)
バックライトユニットとして冷陰極管光源に拡散板を設置したものを用い、2枚の偏光板(ルケオ製、POLAX−15N)の間に単色基板を設置し、偏光板をパラレルニコルに設置したときに通過する光の色度のY値を、クロスニコルに設置したときに通過する光の色度のY値で割ることでコントラストを求めた。色度の測定には色彩輝度計((株)トプコン製BM−5A)を用いた。単色基板は以下の方法で作製した。
カラーフィルタを構成するVインク(インクV―1、インクV−2)を用いて、ガラス基板上にインクジェット法あるいはスピンコート法によってベタ膜を形成して、カラーフィルタ形成と同じようにプリベーク(予備加熱)(温度100℃、2分)、ポストベーク(後加熱)(温度220℃、30分)を行い、膜厚2um(μm)を形成した。
色彩輝度計の測定角は1°に設定し、サンプル上の視野φ5mmで測定した。バックライトの光量は、サンプルを設置しない状態で、2枚の偏光板をパラレルニコルに設置したときの輝度が400cd/m2になるように設定した。
上記で得た単色基板(2種類)のコントラストを測定したところ、いずれの単色基板でも50000以上の値を得た。
(ITO層作製)
次に、上記で得た単色基板上にスパッタ装置を用い、膜面温度200℃にて15分間、ITO(酸化インジウムスズ)をスパッタして、膜厚1500ÅのITO膜を形成し、ITO付きのカラーフィルタ基板を作製した。
(ITOスパッタ前後における分光特性変化)
ITOスパッタ前後において、紫外可視吸収分光装置(日本分光製V−570)を用いて、400nm〜700nmの波長範囲における分光透過率曲線を得た。スパッタ前後での、最大ピークにおける分光透過率変化量が小さい場合、耐熱性に優れることを意味する。作製した基板はITOスパッタ前後においてスペクトル形状が殆ど変化しておらず、高い耐熱性を有することがわかった。
[比較例3−1]
(顔料分散液の調製)
シー・アイ・ピグメント・バイオレット23(大日精化社製)17.5質量部に、顔料分散剤(前記化合物B1)2.5質量部及び溶剤((1,3−ブタンジオールジアセテート)(以下1,3−BGDAと略す)80質量部とMMPGAC(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート)で配合し、プレミキシングの後、モーターミルM−50(アイガー・ジャパン社製)で、直径0.65mmのジルコニアビーズを充填率80%で用い、周速9m/sで25時間分散し、V用顔料分散液を調製した。
(比較例用インクの調製)
比較例として、上記の顔料分散液を用いて、以下記載の表8の分量で作製した顔料インクを調製した。なお、使用した材料は、以下の通りである。
・DPS100(日本化薬社製):KAYARAD DPS100
・TMPTA(日本化薬社製):KAYARAD TMPTA
・界面活性剤:前述の界面活性剤1
・V−40(和光純薬社製):アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)
(評価用カラーフィルタの作製方法)
上記で調製されたインクを用いて、上記で得られた基板上の隔壁で区分された領域内(凸部で囲まれた凹部)に、富士フイルムDimatix製インクジェットプリンターDMP−2831を用い、吐出を行い、その後、100℃オーブン中で2分間加熱を行った。次に、220℃のオーブン中で30分間静置することにより、単色のカラーフィルタを作製した。
(インク保存安定性評価)
上記で調製された各色インクを50℃の恒温室に保管し、30日後の粘度を測定し、インク調製直後の値との差(%)[(30日後の粘度−調製直後の粘度)/調製直後の粘度]により評価を行った。評価基準は以下の様に分類した。
◎:インク調製直後の粘度との差が10%未満
○:インク調製直後の粘度との差が10%以上20%未満
△:インク調製直後の粘度との差が20%以上30%未満
×:インク調製直後の粘度との差が30%以上
(連続吐出安定性評価)
上記で調製されたインクを用いて、吐出安定性の評価を行った。評価方法は、富士フイルムDimatix社製インクジェットプリンターDMP−2831、打滴量10pLのヘッドカートリッジ、打滴周波数10kHzで行い、30分間連続吐出をした際の状態を観察した。評価基準は以下の様に分類した。
−評価基準−
◎:問題なく連続吐出が可能
○:吐出中に、少々不吐出、吐出乱れなど観察されるが、吐出中に復帰し、概ね問題の無い状態
△:吐出中に不吐出、吐出乱れが生じ、吐出中に復帰しないが、メンテナンスによって正常な状態に復帰する状態
×:吐出中に不吐出、吐出乱れが生じ、正常に吐出ができず、メンテナンスによっても吐出が復帰しない状態
メンテナンスは、DMP−2831によるパージ(ヘッド内インクを加圧してノズルからインクを強制的に吐き出す)、ブロット(ヘッドノズル面をクリーニングパッドに僅かに接触させて、ノズル面のインクを吸い取る)を実施した。
(休止後吐出安定性評価)
上記で調製されたインクを用いて、吐出安定性の評価を行った。評価方法は連続吐出安定性評価同様に、富士フイルムDimatix製インクジェットプリンターDMP−2831、打滴量10pLのヘッドカートリッジを用い、打滴周波数10kHzで一度5分間の吐出を行い、24時間の休止後、再び同条件で吐出を開始した際の状態を観察した。評価基準は以下の様に分類した。
−評価基準−
◎:打滴指示と同時に問題なく吐出が可能
○:打滴指示直後は少々不吐出、吐出乱れなど観察されるが、吐出中に復帰し、概ね問題の無い状態
△:不吐出、吐出乱れが生じ、吐出中に復帰しないが、メンテナンスによって正常な状態に復帰する状態
×:不吐出、吐出乱れが生じ、正常に吐出ができず、メンテナンスによっても吐出が正常なレベルまで復帰しない状態
メンテナンスは、DMP−2831によるパージ(ヘッド内インクを加圧してノズルからインクを強制的に吐き出す)、ブロット(ヘッドノズル面をクリーニングパッドに僅かに接触させて、ノズル面のインクを吸い取る)を実施した。
(耐熱性評価)
上記で作製した各色のカラーフィルタを、230℃に加熱したオーブン内に入れ、1時間放置した後、色相を測定した。色相の測定は、UV−560(日本分光社製)を用い、評価前後のΔEabが5未満を○とした。ΔEabが5以上15未満を△と、ΔEabが15以上を×とした。
(耐薬品性評価)
上記で作製した各色のカラーフィルタを、評価を行う薬品(N−メチルピロリドン、2−プロパノール、5%硫酸水溶液、5%水酸化ナトリウム水溶液)中に20分間浸し、その前後の色相を測定した。色相の測定は、UV−560(日本分光社製)を用い、ΔEabが5未満を○とした。ΔEabが5以上15未満を△と、ΔEabが15以上を×とした。ΔEabの評価方法は、上記と同様である。
以下の表9に、インクジェット用インク及びカラーフィルタの評価結果をまとめて示す。
表9に示すように、本発明に記載のインクジェット用インクは、保存性に優れるとともに、吐出安定性の点からも優れていた。また、本発明に記載のインクジェット用インクを用いて製造されたカラーフィルタは、顔料インクを使用した場合と同等程度の優れた耐薬品性、耐熱性を有していた。
一方、顔料インクを使用した比較例においては、吐出安定性が悪く、実用性に欠いていた。