以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
充電制御装置は、例えば、油圧ショベル等の油圧作業機器に搭載されるものである。本実施形態では、充電制御装置は、油圧ショベルの動作を制御する流体圧制御装置を含む。
まず、図1を参照して、本実施形態に係る油圧ショベルのブーム101を駆動するブームシリンダ104の伸縮動作について説明する。
掘削アタッチメント100は、掘削作業を行うために設けられたブーム101、アーム102、及びバケット103と、ブーム101を駆動するブームシリンダ104と、アーム102を駆動するアームシリンダ105と、バケット103を駆動するバケットシリンダ106と、を備える。
ブームシリンダ104は、ブーム101、アーム102、及びバケット103を駆動するアクチュエータである。ブームシリンダ104、アームシリンダ105及びバケットシリンダ106は、それぞれ油圧シリンダである。
図2は、本実施形態に係る流体圧制御装置120の主要構成を示す系統図である。
流体圧制御装置120は、メインポンプ108と、パイロットポンプ109と、メイン制御弁110と、メイン通路111と、第1通路112と、第2通路113と、コントローラ114と、を備える。
ブームシリンダ104は、ブームシリンダ104内を摺動自在に移動するピストンロッド107によってロッド側圧力室104aとボトム側圧力室104bとに区画される。ピストンロッド107はブーム101に連結されており、ピストンロッド107がブームシリンダ104内を移動することによってブーム101が駆動する。
メインポンプ108は、ブームシリンダ104、アームシリンダ105及びバケットシリンダ106を駆動するメイン流体圧ポンプである。
パイロットポンプ109は、パイロット室110a,110bにパイロット圧を供給する油圧ポンプである。
メインポンプ108及びパイロットポンプ109は、油圧ショベルに搭載されたエンジン(図示せず)によって駆動され、作動油(作動流体)を吐出する。メインポンプ108及びパイロットポンプ109は、それぞれ、斜板の傾斜角を制御することで作動油の吐出量の制御が可能な可変容量型油圧ポンプである。エンジンは、運転効率の良い所定の回転速度・負荷で運転される。
メインポンプ108から吐出された作動油は、ブームシリンダ104に対する作動油の給排を切り換えるメイン制御弁110に供給される。メインポンプ108とメイン制御弁110とは、メイン通路111によって接続される。メイン通路111には、メインポンプ108から吐出された作動油の他に、後述するアシスト回生機構10(図3参照)のアシストポンプ3から吐出された作動油がサブ通路31を通じて導かれる。
メイン制御弁110とブームシリンダ104のロッド側圧力室104aとは、第1通路112に接続され、メイン制御弁110とブームシリンダ104のボトム側圧力室104bとは、第2通路113に接続される。第2通路113には、ブームシリンダ104のボトム側圧力室104bから排出される作動油が流れる。また、第2通路113は、後述するアシスト回生機構10(図3参照)の回生モータ2を駆動するための作動油が流れる戻り通路21と接続される。
メイン制御弁110は、パイロットポンプ109からパイロット室110a,110bに供給されるパイロット圧によって操作される。パイロット室110a,110bに供給されるパイロット圧は、油圧ショベルの乗務員によるレバー操作に基づいてコントローラ114がパイロット電磁弁115を制御することで調整される。
パイロット室110aにパイロット圧が供給された場合は、メイン制御弁110が位置aに切り換わる。この場合には、メインポンプ108から第1通路112を介してロッド側圧力室104aに作動油が供給されるとともに、ボトム側圧力室104bの作動油が第2通路113を介してタンクTへと排出される。これにより、ブームシリンダ104内のピストンロッド107が図2の下側に移動、すなわちブームシリンダ104が収縮し、ブーム101が図1に示す矢印121の方向へと下降する。
また、パイロット室110bにパイロット圧が供給された場合は、メイン制御弁110が位置bに切り換わる。この場合には、メインポンプ108から第2通路113を介してボトム側圧力室104bに作動油が供給されるとともに、ロッド側圧力室104aの作動油が第1通路112を介してタンクTへと排出される。これにより、ブームシリンダ104内のピストンロッド107が図2の上側に移動、すなわちブームシリンダ104が伸長し、ブーム101が図1に示す矢印122の方向へと上昇する。
さらに、パイロット室110a、110bにパイロット圧が供給されない場合は、メイン制御弁110が位置cに切り換わる。この場合には、ブームシリンダ104に対する作動油の給排が遮断され、ブーム101は停止した状態を保ちつつ、メインポンプ108から第2通路113を介して戻り通路2に作動油が供給される。これにより、後述するアシスト回生機構10(図3参照)の回生モータ2に作動油が流れ、回生モータ2が駆動する。
このように、メイン制御弁110は、ブームシリンダ104を収縮させる収縮位置a、ブームシリンダ104を伸長させる伸長位置b、及びブームシリンダ104の負荷を保持する保持位置cの3段階に切り換えられる。
本実施形態では、流体圧制御装置120にアシスト回生機構10が接続されている。アシスト回生機構10は、ブームシリンダ104を収縮させるときにボトム側圧力室104bから排出された作動油の油圧エネルギを電気エネルギとして回収する回生動作と、ブームシリンダ104を伸長させるときに補助力を付与するアシスト動作と、を必要に応じて行う。このように、アシスト回生機構10と流体圧制御装置120によってアクチュエータの動作が制御される油圧ショベル等の油圧作業機器のことをハイブリッド建設機械という。
図3は、流体圧制御装置120に接続されるアシスト回生機構10の概略構成図である。
アシスト回生機構10は、モータジェネレータ1と、回生モータ2と、アシストポンプ3と、戻り通路21と、サブ通路31と、蓄電装置40と、スイッチ回路42と、インバータ50と、を備える。蓄電装置40は、バッテリ4と、バッテリ管理部41と、を備える。
モータジェネレータ1は、バッテリ4によって駆動されてアシストポンプ3を駆動する電動機としての機能と、回生モータ2によって駆動されることで発電する発電機としての機能と、を有する回転電機である。モータジェネレータ1は、回生モータ2を介してアシストポンプ3と連結される。モータジェネレータ1、回生モータ2及びアシストポンプ3の回転軸は、それぞれ同軸上に配置されており、モータジェネレータ1の回転軸が回転すると、回生モータ2及びアシストポンプ3の回転軸が連係して回転する。同様に、回生モータ2の回転軸が回転すると、モータジェネレータ1及びアシストポンプ3の回転軸が連係して回転する。
回生モータ2は、斜板の傾斜角を調整することで出力トルクの制御が可能な可変容量型油圧モータである。回生モータ2は、アシストポンプ3に連結される。回生モータ2は、ブームシリンダ104のボトム側圧力室104bから排出されて、戻り通路21を流れてきた作動油によって駆動される。回生モータ2の斜板の傾斜角の制御は、コントローラ114が傾斜角制御器24を制御することで行われる。回生モータ2の斜板の傾斜角を制御することで回生モータ2の回転が制御される。そして回生モータ2の回転に応じて容量が変化し、回生モータ2が発生可能なトルクの最大値が変化する。
戻り通路21には、回生モータ2に対する作動油の給排を切り換える戻り制御弁22が設けられる。戻り制御弁22は、パイロットポンプ109からパイロット室22aに供給されるパイロット圧に応じて、回生モータ2に作動油を供給する連通位置dと、回生モータ2への作動油の供給を停止する遮断位置eと、に切り換わる。パイロット室22aに供給されるパイロット圧の制御は、油圧ショベルの乗務員によるレバー操作に基づいてコントローラ114がパイロット電磁弁23を制御することで行われる。
アシストポンプ3は、メインポンプ108がブームシリンダ104、アームシリンダ105及びバケットシリンダ106を駆動するときに、これらのアクチュエータの駆動をアシストするサブ流体圧ポンプである。アシストポンプ3は、斜板の傾斜角を制御することで吐出量の制御が可能な可変容量型油圧ポンプにより実現される。
アシストポンプ3は、モータジェネレータ1によって駆動され、サブ通路31を介してメイン通路111に作動油を供給する。アシストポンプ3の斜板の傾斜角の制御は、コントローラ114が傾斜角制御器34を制御することで行われる。アシストポンプ3の斜板の傾斜角を制御することでアシストポンプ3の容量が変化し、アシストポンプ3が吐出可能な作動油の流量の最大値が変化する。
サブ通路31には、メイン通路111への作動油の給排を切り換えるサブ制御弁32が設けられる。サブ制御弁32は、パイロットポンプ109からパイロット室32aに供給されるパイロット圧に応じて、メイン通路111に作動油を供給する連通位置fと、メイン通路111への作動油の供給を停止する遮断位置gと、に切り換えられる。パイロット室32aに供給されるパイロット圧の制御は、油圧ショベルの乗務員によるレバー操作に基づいて、コントローラ114がパイロット電磁弁33を制御することで行われる。
モータジェネレータ1は、インバータ50を介してバッテリ4に接続される。モータジェネレータ1は、メインポンプ108による回生モータ2の回転力を電力に変換する。
インバータ50は、モータジェネレータ1によって変換された電力を交流から直流に変換し、バッテリ4に充電する。また、インバータ50は、バッテリ4の電力を直流から交流に変換し、モータジェネレータ1を駆動する。インバータ50は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体スイッチ511と平滑コンデンサ52とで構成される。
半導体スイッチ511は、コントローラ114によって開閉制御されることにより、直流が交流に、又は交流が直流に変換される。具体的には、モータジェネレータ1を電動機として機能させるときは、半導体スイッチ511によってバッテリ4からの直流電圧が、任意の周波数の三相交流電圧に変換されてモータジェネレータ1に供給される。すなわち、インバータ50によってバッテリ4からモータジェネレータ1へ放電電流が出力される。
一方、モータジェネレータ1を発電機として機能させるときは、半導体スイッチ511によってモータジェネレータ1からの三相交流電圧が、直流電圧に変換されてバッテリ4に供給される。すなわち、モータジェネレータ1によってインバータ50から充電電流がバッテリ4に供給される。
平滑コンデンサ52は、電流変換部に対して並列に設けられており、モータジェネレータ1の動作時に充放電を繰り返して電流を平滑化する。平滑コンデンサ52とバッテリ4との間には、スイッチ回路42が設けられている。
スイッチ回路42は、バッテリ4とインバータ50とを接続状態(ON)又は遮断状態(OFF)にするリレーである。スイッチ回路42は、コントローラ114によってON、OFFされる。例えば、スイッチ回路42は、バッテリ4を充電又は放電する場合にはONに設定され、バッテリ4の充電又は放電を停止する場合にはOFFに設定される。
バッテリ4は、充放電可能な多数の電池セルを直列に接続して構成される二次電池である。本実施形態ではバッテリ4は、定格容量10Ah(アンペアアワー)のリチウムバッテリーである。例えば、バッテリ4は、3.8V(ボルト)の電池セル群によって300Vの直流電圧を出力する。バッテリ4は、モータジェネレータ1の電力源として用いられる。
バッテリ管理部41は、バッテリ4の充電又は放電の状態を管理する。バッテリ管理部41は、バッテリ4の温度、電圧、電流や、電池容量の残容量(SOC:State Of Charge)などの充放電状態を検出する。例えば、バッテリ管理部41は、バッテリ4に設けられた温度センサーから、バッテリ温度を取得する。
バッテリ管理部41は、バッテリ温度、電圧、電流や、残容量などを示すバッテリ状態信号をコントローラ114に供給する。また、バッテリ管理部41は、バッテリ4の残容量が充電閾値よりも低下した場合には、バッテリ4への充電を要求する充電要求信号をコントローラ114に供給する。
コントローラ114は、油圧ショベル100を制御する充電制御装置である。コントローラ114は、バッテリ管理部41からのバッテリ状態信号や充電要求信号などに基づいて、バッテリ4の充電及び放電を制御する。
例えば、コントローラ114は、乗務員の操作によりイグニッションキー116がONされ、メイン制御弁110が保持位置cに設定されているときは、バッテリ管理部41から充電要求信号を受けると、バッテリ4を充電する起動充電動作を行う。具体的にはコントローラ114は、パイロット電磁弁23を制御して戻り制御弁22を連通位置dに設定するとともに、パイロット電磁弁33を制御してサブ制御弁32を遮断位置gに設定し、スイッチ回路42をONにする。
または、乗務員のレバー操作によってブームシリンダ104を収縮させるとき、すなわちメイン制御弁110が収縮位置aに設定されているときは、コントローラ114は、バッテリ管理部41から充電要求信号を受けると、バッテリ4への回生動作を行う。具体的にはコントローラ114は、パイロット電磁弁23を制御して戻り制御弁22を連通位置dに設定するとともに、パイロット電磁弁33を制御してサブ制御弁32を遮断位置gに設定する。
あるいは、乗務員のレバー操作によってブームシリンダ104を伸長させるとき、すなわちメイン制御弁110が伸長位置bに設定されているときは、コントローラ114は、バッテリ状態信号に基づいてバッテリ4をモータジェネレータ1に放電してアシスト動作を行う。
具体的にはコントローラ114は、バッテリ状態信号が充電閾値よりも高いときは、スイッチ回路42をONにし、パイロット電磁弁23を制御して戻り制御弁22を遮断位置eに設定するとともに、パイロット電磁弁33を制御してサブ制御弁32を連通位置fに設定する。これにより、バッテリ4の電力によってモータジェネレータ1が駆動してメインポンプ8がアシストされる。
一方、コントローラ114は、バッテリ状態信号が充電閾値以下のときは、パイロット電磁弁23を制御して戻り制御弁22を遮断位置eに設定するとともにパイロット電磁弁33を制御してサブ制御弁32を遮断位置gに設定してバッテリ4の放充電を停止する。
次に、図2及び図3を参照して本実施形態による流体圧制御装置120の作用について説明する。
まず、負荷の下降時に必要に応じて実施されるアシスト回生機構10による回生について説明する。
油圧ショベルの乗務員によってブームシリンダ104を収縮させるレバー操作が行われると、メイン制御弁110が収縮位置aに切り換えられ、ロッド側圧力室104aに作動油が供給されるとともに、ボトム側圧力室104bから作動油が排出される。
このとき、例えばバッテリ4のバッテリ充電量が相対的に低いときなど、必要に応じて戻り制御弁22が連通位置dに切り換えられると、ボトム側圧力室104bから排出された作動油の一部が戻り通路21を介して回生モータ2に供給される。また、同時にアシストポンプ3からの吐出量が最小となるように、斜板の傾斜角が制御される。
これにより、回生モータ2の回転軸と同期してモータジェネレータ1の回転軸が回転するので、モータジェネレータ1によって発電することができ、バッテリ4を充電することができる。つまり、ブームシリンダ104から排出される作動流体の油圧エネルギを電気エネルギに変換することができる。
一方で、例えばバッテリ4のバッテリ充電量が相対的に高いときなど、必要に応じて戻り制御弁22が遮断位置eに切り換えられると、ボトム側圧力室104bから排出された作動油が全て第2通路113を介してタンクTへと排出され、回生が停止される。
次に、負荷の上昇時に必要に応じて実施されるアシスト回生機構10によるアシストについて説明する。
油圧ショベルの乗務員によってブームシリンダ104を伸長させるレバー操作が行われると、メイン制御弁110が伸長位置bに切り換えられ、ボトム側圧力室104bに作動油が供給されるとともに、ロッド側圧力室104aの作動油が第1通路112を介してタンクTへと排出される。
ここで、エンジンは運転効率の良い所定の回転速度・負荷で運転している。したがって、ブームシリンダ104を素早く伸長させたいときなど、エンジンの駆動力による吐出量のみではボトム側圧力室104bに供給する作動油の流量が不足する場合がある。そこで、そのような場合にアシスト回生機構10によるアシストを行う。
具体的には、バッテリ4によってモータジェネレータ1を電動機として駆動して、アシストポンプ3を駆動する。これにより、アシストポンプ3から作動油が吐出される。これにより、アシストポンプ3から吐出された作動油を、サブ通路31を介してメイン通路111に合流させて、ブームシリンダ104を伸長させるときに補助力を付与することができる。
次に、アシスト回生機構10によってバッテリ4を充電する場合について説明する。
コントローラ114は、バッテリ管理部41から充電要求信号を受けると、アクチュエータの動作が停止している場合には、バッテリ4の電池容量などによって定められた充電レートで、連続してバッテリ4を充電させる。
例えば、起動充電動作では、コントローラ114は、メイン制御弁110が保持位置cに設定されている場合にバッテリ管理部41から充電要求信号を受けると、戻り制御弁22を連通位置dに切り換え、スイッチ回路42をONに設定する。そしてコントローラ114は、傾斜角制御器24を制御して、回生モータ2の回転によるモータジェネレータ1の起電力を、例えばバッテリ4に対して1.5Cレートの充電電流となるように調整する。
一般的には、バッテリ4は、バッテリ温度が氷点温度0℃よりも低い温度状態ではバッテリ4の内部抵抗が大きくなり、0℃よりも高い通常の温度状態に比べて劣化しやすくなる。そのため、バッテリ温度が氷点温度よりも低い低温下では、バッテリ4の劣化を回避できる充電レートの上限値(最大値)が、通常の充電レート(1.5Cレート)よりも0.3Cレートまで低くなる。このため、低温下では0.3Cレート以下の一定電流でバッテリを連続して充電(連続充電)している。
このように、バッテリ4の劣化を回避するために、低温下での充電レートは通常の充電レートよりも低くする必要があるため、バッテリ4の充電に要する時間が長くなってしまうという問題があった。
そこで、本発明では、低温下において二次電池を断続して充電(断続充電)することによって、低温時に連続充電が可能な充電レートの上限値よりも高い充電レートでバッテリを充電する。
図4は、本発明の実施形態に係るコントローラ114の構成を示す機能ブロック図である。
コントローラ114は、充電状態判断部114aと、連続充電制御部114bと、断続充電制御部114cと、充電指令部114dと、を備える。
充電状態判断部114aは、バッテリ管理部41からのバッテリ状態信号に基づいてバッテリ4の状態を判断する。充電状態判断部114aは、バッテリ状態信号に示されるバッテリ温度が、劣化閾値よりも低いか否かを判断する。劣化閾値は、バッテリ4の連続充電による劣化を防止するための温度閾値であり、バッテリ4の使用温度範囲の下限値と同じ値に設定することが好ましい。劣化閾値は、例えば0℃に設定される。劣化閾値は、例えば、充電状態判断部114aに予め記憶されている。
充電状態判断部114aは、バッテリ管理部41から充電要求信号を受けた場合において、バッテリ温度が劣化閾値よりも低いときは、バッテリ4が低温状態であることを示す低温状態情報を断続充電制御部114cに供給する。一方、充電状態判断部114aは、バッテリ温度が劣化閾値以上のときは、バッテリ4が通常状態であることを示す通常状態情報を連続充電制御部114bに供給する。
連続充電制御部114bは、充電状態判断部114aから通常状態情報を受け付けると、バッテリ4の電池容量によって定められる通常の充電レート(例えば1.5Cレート)で、連続してバッテリ4を充電させる。
具体的には、連続充電制御部114bは、1.5Cレートで連続充電するときの充電電流の電流値(以下「通常充電の電流値」と称する)を充電指令部114dに供給する。
断続充電制御部114cは、充電状態判断部114aから低温状態情報を受け付けると、低温下で連続充電可能な充電レートの最大値よりも充電レートの平均値が大きくなるように、断続してバッテリ4を充電させる。低温下で連続充電可能な充電レートとは、劣化閾値よりも低い温度でバッテリ4を連続して充電してもバッテリ4の劣化を回避することが可能な充電レートのことである。低温下で連続充電可能な充電レートは、0.3Cレート以下の一定の充電レートである。
本実施形態では、断続充電制御部114cは、低温下で連続充電可能な充電レートの最大値よりも高い0.9Cレートの平均値で、バッテリ4を断続的に充電させる。具体的には、断続充電制御部114cは、通常充電による一定の電流値よりも高い電流の最大値(以下「低温充電の電流値」と称する)と、予め定められた断続周期のうち充電電流を供給する電流供給期間を示す断続情報と、を充電指令部114dに供給する。
低温充電の電流値は、低温充電での平均の充電レートを通常充電での一定の充電レート(1.5Cレート)に近づけるため、通常充電の電流値よりも高く設定される。例えば低温充電の電流値は、3.2Cレートで連続充電するときにバッテリ4に供給される充電電流の電流値に設定される。つまり、二次電池の温度が劣化閾値よりも低い場合、断続周期のうち充電を行う電流供給期間における充電レートが、連続充電制御部114bによって二次電池を充電させる充電レートよりも大きくなるように二次電池を充電する。
また、断続周期のうち充電を停止する停止期間は、バッテリ4の充電による劣化を防止するため、電流供給期間よりも長く設定される。例えば、断続周期は7秒に設定され、電流供給期間は2秒、停止期間は5秒に設定される。
また、停止期間には、バッテリ4の内部抵抗による自由放電を低減するため、内部抵抗に応じた放電側の負の電流をバッテリ4に流してもよい。これにより、低温下のバッテリ4において内部抵抗の増大に伴う自由放電に起因する劣化を抑制することができる。このように停止期間にバッテリ4から負の電流を流す場合には、断続充電制御部114cは、低温充電の電流値と断続情報とともに、停止期間の電流値を充電指令部114dに供給する。
充電指令部114dは、起動充電動作、又は、回生動作において、パイロット電磁弁23と、傾斜角制御器24と、パイロット電磁弁33と、傾斜角制御器34と、スイッチ回路42と、パイロット電磁弁115と、を制御してバッテリ4を充電する。
例えば、起動充電動作では、充電指令部114dは、連続充電制御部114bから通常充電の電流値、又は、断続充電制御部114cから低温充電の電流値を受け付けると、起動時にアクチュエータの動作が停止していること、すなわち、メイン制御弁110が保持位置cにあることを確認する。
メイン制御弁110が保持位置cである場合において、充電指令部114dは、断続充電制御部114cから低温充電の電流値と断続情報を受け付けると、スイッチ回路42をONに設定し、低温充電の電流値と断続情報とに基づいて傾斜角制御器24を制御する。具体的には、充電指令部114dは、断続情報の示す断続周期で、傾斜角制御器24に対して、電流供給期間に低温充電の電流値に対応する傾斜角(充電傾斜角)を設定し、停止期間にゼロの電流値に対応する傾斜角(停止傾斜角)を設定する。これにより、バッテリ4は、低温下で連続充電するときの一定の充電レート(例えば0.3Cレート)よりも平均値が高い充電レート(例えば0.9Cレート)で断続充電される。
また、充電指令部114dは、連続充電制御部114bから通常充電の電流値を受け付けると、スイッチ回路42をONにし、傾斜角制御器24を通常充電の電流値に対応する傾斜角(通常傾斜角)に設定する。そして充電指令部114dは、バッテリ4が満充電になるまで通常傾斜角の設定を維持する。これにより、バッテリ4は、通常の充電レート(例えば1.5Cレート)で連続して充電される。
このように、コントローラ114は、0℃よりも高い通常の温度では連続充電制御部114bによってバッテリ4を連続的に充電し、0℃よりも低い低温下では断続充電制御部114cによってバッテリ4を断続的に充電する。これにより、低温下では、バッテリ4を連続充電するときよりも高い充電レートで断続して充電電流をバッテリ4に供給することが可能となり、バッテリ4の充電に要する時間を短縮することができる。
図5は、コントローラ114による充電制御方法の一例を示すフローチャートである。図5では、充電状態判断部114aは、バッテリ管理部41からのバッテリ状態信号に示されるバッテリ温度と電池容量の残容量とを取得する。
まず、ステップS910において充電状態判断部114aは、バッテリ管理部41から充電要求信号を受けたか否かを判断する。
ステップS920において充電状態判断部114aは、バッテリ管理部41から充電要求信号を受けた場合には、バッテリ4の充電状態を判定するため、バッテリ温度が劣化閾値以上であるか否かを判断する。そして充電状態判断部114aは、バッテリ温度が劣化閾値以上である場合には、通常状態情報を連続充電制御部114bに供給する。
ステップS930において充電指令部114dは、充電状態判断部114aから通常状態情報を受け付けると、バッテリ4を通常の充電レートで連続的に充電させるように傾斜角制御器24を制御する。本実施形態では、連続充電制御部114bは、1.5Cレートの充電電流の電流値に対応する通常傾斜角に傾斜角制御器24を設定し、その設定をバッテリ4が満充電に達するまで継続する。
一方、ステップS920でバッテリ温度が劣化閾値よりも低い場合には、充電状態判断部114aによって低温状態情報が断続充電制御部114cに出力される。断続充電制御部114cは、充電状態判断部114aから低温状態情報を受け付けると、低温時に連続充電するときの充電レート(0.3Cレート以下)よりも高い0.9Cレートで、バッテリ4を断続して充電させる。
本実施形態では、断続充電制御部114cは、3.2Cレートで連続充電するときの充電電流の電流値と、7秒の断続周期のうち2秒の電流供給期間と5秒の停止期間とを示す断続情報とを充電指令部114dに供給する。
ステップS951において充電指令部114dは、断続充電制御部114cから、3.2Cレートの充電電流の電流値と断続情報とを受け付け、その充電電流の電流値に対応する充電傾斜角に傾斜角制御器24を調整する。
ステップS952において充電指令部114dは、7秒の断続周期のうち、傾斜角制御器24を充電傾斜角に調整してから電流供給期間の2秒を経過したか否かを判断する。
ステップS953において充電指令部114dは、傾斜角制御器24を充電傾斜角に調整してから2秒経過した後、傾斜角制御器24を停止傾斜角に変更して充電電流をゼロにする。
ステップS954において充電指令部114dは、傾斜角制御器24を停止傾斜角に変更してから停止期間の5秒を経過したか否かを判断する。
ステップS940において充電指令部114dは、傾斜角制御器24を停止傾斜角に変更してから5秒経過した後にバッテリ4の残容量を確認して満充電に達したか否かを判断する。
そして充電指令部114dは、バッテリ4の充電が完了していない場合には、ステップS910に戻り、バッテリ温度が劣化閾値以上となるまで、あるいは、充電が完了するまで、7秒の断続周期のうち2秒間だけ、3.2Cレートの充電電流をバッテリ4に供給する。一方、バッテリ4の充電が完了すると、低温時の充電制御方法についての一連の処理ステップが終了する。
図6は、低温下にバッテリ4に供給される充電電流の波形を示す図である。図6(A)は、断続充電制御部114cによるバッテリ4への充電電流の波形を示す図である。図6(B)は、低温時の連続充電によるバッテリ4への充電電流の波形を示す図である。
図6(A)に示すように、バッテリ4への充電電流は、断続充電制御部114cによって断続周期7秒において、電流供給期間の2秒間は3.2Cレートの電流値に調整され、停止期間の5秒間はゼロに調整される。これにより、バッテリ4は、0.9Cレート{(5s×0C+2s×3.2C)÷7s}で充電される。
図6(B)に示すように、一般的には、低温下でのバッテリ4への連続充電による劣化を回避するため、バッテリ4は、0.3Cレートの充電レートで連続充電される。
このように、本実施形態ではバッテリ4に断続的に充電電流を供給することによって、低温下で連続充電可能な充電レート(0.3Cレート)よりも大きな充電レート(0.9Cレート)でバッテリ4を充電することができる。これにより、バッテリ4の充電時間を短縮することができる。
図7は、低温時の断続充電と連続充電によるバッテリ4の劣化特性を示す図である。
図7には、図6(A)に示したように断続充電制御部114cでバッテリ4を断続充電したときの劣化特性が破線で示され、断続充電制御部114cと同等の充電レートでバッテリ4を連続充電したときの劣化特性が実線で示されている。図7では、横軸が、バッテリ4の充放電の繰り返し回数を示し、縦軸が、バッテリ4の電池容量(満充電容量)を示す。
図7に示すように、0℃以下の低温下において、バッテリ4を連続充電するときには、充放電を繰り返すたびに徐々に電池容量が低下している。これに対し、断続充電制御部114cによって断続充電したときは、充放電を繰り返してもバッテリ4が劣化していないことが分かる。
このように、低温時においてバッテリ4を断続して充電することにより、バッテリ4の劣化を抑えつつ、バッテリ4の充電レートを低温時の連続充電のときよりも高くすることができる。
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
コントローラ114は、充電状態判断部114aによりバッテリ温度が劣化閾値よりも低いと判断された場合には、劣化閾値以下の低い温度で連続充電による劣化の回避が可能な充電レートよりも高い充電レートで、バッテリ4を断続して充電させる。
このように、低温下においてバッテリ4を断続充電することにより、低温下で連続充電可能な充電レート(0.3Cレート以下)よりも高い充電レートで、バッテリ4を満充電にすることが可能となる。したがって、低温下でのバッテリ4の充電に要する充電時間を短縮するこができる。
また本実施形態では、断続充電制御部114cは、バッテリ4を断続して充電させるための断続周期のうち、バッテリ4に充電電流を供給する電流供給期間よりも、バッテリ4の充電を停止する停止期間を長く設定する。
例えば、図6(A)に示したように断続周期のうち電流供給期間を2秒に設定し、停止期間を5秒に設定することによって、図7の実線で示したようにバッテリ4の劣化を抑制することができるとともに、低温下でバッテリ4を早期に充電することができる。
さらに本実施形態では、断続充電制御部114cは、連続充電制御部114bによってバッテリ4に供給される充電電流よりも大きな電流を断続してバッテリ4に充電する。
これにより、低温下でのバッテリ4の充電レートを、劣化閾値以上の通常温度での連続充電による充電レートに近づけることが可能となる。このため、低温下であっても、バッテリ4を満充電にするまでの充電時間を通常温度での連続充電による充電時間に近づけることができる。
また、ハイブリッド建設機械には一般的にバッテリ4を温めるためにヒーターが設けられている。本発明によると、低温下でもバッテリ4の劣化を抑制しつつ短時間でバッテリ4を充電できるので、低温下での充電時に必ずしもバッテリ4をヒーターで温める必要がなくなる。あるいは、ヒーターによる暖機時間を短縮することができる。したがって、ヒーターの消費電力を抑え、効率よくバッテリ4を充電することができる。
また、本実施形態では、ハイブリッド建設機械は、ブームシリンダ4を駆動するメインポンプ108と、メインポンプ8によるブームシリンダ4の駆動をアシストするアシストポンプ3と、アシストポンプ3に連結するとともに流体圧を受けて回転する回生モータ2と、回生モータ2の回転力を電力に変換するモータジェネレータ1と、モータジェネレータ1によって変換された電力をバッテリ4に充電するインバータ50と、を備える。
そして連続充電制御部114bは、バッテリ温度が劣化閾値以上である場合には、インバータ50を介してバッテリ4を連続的に充電させるように、回生モータ2を回転制御して、バッテリ4への充電電流を調整する。また、断続充電制御部114cは、バッテリ温度が劣化閾値よりも低い場合には、斜板角制御器24で回生モータ2を回転制御して、連続充電制御部114bで制御される充電電流よりも大きな充電電流をインバータ50からバッテリ4へ断続して供給する。
これにより、油圧ショベルなどのハイブリッド建設機械を低温下で起動したときに、メインポンプ108によって回生モータ2を駆動してモータジェネレータ1からバッテリ4に充電する場合であっても、断続充電制御部114cによって早期に充電することができる。
また、本実施形態では、断続充電制御部114cは、回生モータ2の斜板角を断続的に変更することで回生モータ2の回転を断続的に制御する。これにより、バッテリ4に充電電流を断続して供給することができる。
上述の実施形態において、バッテリ4に充電電流を断続して供給する際には回生モータ2の斜板角を断続的に変更したが、他の方法を用いても良い。例えば、モータジェネレータ1と回生モータ2との間にクラッチを設け、バッテリ4の充電電流を遮断したい場合に、クラッチを切るようにしても良い。一方、バッテリ4の充電電流を供給したい場合には、クラッチを接続すれば良い。
本発明は、ハイブリッド建設機械だけではなく、アイドリングストップミキサ車に適用しても良い。アイドリングストップミキサ車においては、ブームシリンダ104の代わりにミキサドラムを回転駆動する油圧モータを設ける。回生動作を行う際には、メインポンプ108の油圧により油圧モータを駆動してミキサドラムを回転駆動させるとともに、余剰の油圧が回生モータ2を駆動するように、メイン制御弁110や戻り制御弁22の代わりの弁を設ける。また、回生モータ2とアシストポンプ3を合わせて単一の油圧ポンプモータとしても良い。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。