次に、実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明が適用されるショベルの一例であるハイブリッド型ショベルの側面図である。
図1に示すハイブリッド型ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端に、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端にバケット6が取り付けられている。ブーム4,アーム5及びバケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン等の動力源が搭載される。
図2は、図1に示すハイブリッド型ショベルの駆動系の構成を示すブロック図である。図2において、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は実線でそれぞれ示されている。
機械式駆動部としてのエンジン11と、アシスト駆動部としての電動発電機12は、変速機13の2つの入力軸にそれぞれ接続されている。変速機13の出力軸には、油圧ポンプとしてメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。油圧ポンプ14は可変容量式油圧ポンプであり、斜板の角度(傾転角)を制御することでピストンのストローク長を調整し、吐出流量を制御することができる。
コントロールバルブ17は、ハイブリッド式ショベルにおける油圧系の制御を行う制御装置である。下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9は、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。
電動発電機12には、インバータ18Aを介して、蓄電器を含む蓄電系120が接続される。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。操作装置26は、レバー26A、レバー26B、ペダル26Cを含む。レバー26A、レバー26B、及びペダル26Cは、油圧ライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29にそれぞれ接続される。圧力センサ29は、電気系の駆動制御を行うコントローラ30に接続されている。
図2に示すハイブリッド型ショベルは旋回機構を電動にしたもので、旋回機構2を駆動するために旋回用電動機21が設けられている。電動作業要素としての旋回用電動機21は、インバータ20を介して蓄電系120に接続されている。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回変速機24が接続される。旋回用電動機21と、インバータ20と、レゾルバ22と、メカニカルブレーキ23と、旋回変速機24とで負荷駆動系が構成される。
コントローラ30は、ハイブリッド型ショベルの駆動制御を行う主制御部としての制御装置である。コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、CPUが内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムを実行することにより実現される装置である。
コントローラ30は、圧力センサ29から供給される信号を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。圧力センサ29から供給される信号は、旋回機構2を旋回させるために操作装置26を操作した場合の操作量を表す信号に相当する。
コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(電動(アシスト)運転又は発電運転の切り替え)を行うとともに、昇降圧制御部としての昇降圧コンバータ100(図3参照)を駆動制御することによるキャパシタ19の充放電制御を行う。コントローラ30は、キャパシタ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、及び旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づいて、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御を行い、これによりキャパシタ19の充放電制御を行う。また、コントローラ30は、蓄電器電圧検出部によって検出される蓄電器電圧値に基づいて、蓄電器(キャパシタ)の充電率SOCを算出する。
また、エンジン11には冷却水の温度を検出する水温計11aが設けられており、水温計11aの検出値(水温値)がコントローラ30に供給される。コントローラ30は、水温計11aの検出値を常時監視し、後述のように水温計11aの検出値に基づいて電動発電機12の駆動を制御する。
図3は、蓄電系120の回路図である。蓄電系120は、蓄電器としてのキャパシタ19と、昇降圧コンバータとDCバス110とを含む。DCバス110は、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を制御する。キャパシタ19には、キャパシタ 電圧値を検出するためのキャパシタ電圧検出部112と、キャパシタ電流値を検出するためのキャパシタ電流検出部113が設けられている。キャパシタ電圧検出部112とキャパシタ電流検出部113によって検出されるキャパシタ電圧値とキャパシタ電流値は、コントローラ30に供給される。
昇降圧コンバータ100は、電動発電機12、及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える制御を行う。DCバス110は、インバータ18A、及び20と昇降圧コンバータ100との間に配設されており、キャパシタ19、電動発電機12、発電機300、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を行う。
昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧検出部111によって検出されるDCバス電圧値、キャパシタ電圧検出部112によって検出されるキャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流検出部113によって検出されるキャパシタ電流値に基づいて行われる。
以上のような構成において、アシストモータである電動発電機12が発電した電力は、インバータ18Aを介して蓄電系120のDCバス110に供給され、昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19に供給される。旋回用電動機21が回生運転して生成した回生電力は、インバータ20を介して蓄電系120のDCバス110に供給され、昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19に供給される。
昇降圧コンバータ100は、リアクトル101、昇圧用IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)102A、降圧用IGBT102B、キャパシタ19を接続するための電源接続端子104、インバータ105を接続するための出力端子106、及び、一対の出力端子106に並列に挿入される平滑用のコンデンサ107を備える。昇降圧コンバータ100の出力端子106とインバータ18A,20との間は、DCバス110によって接続される。
リアクトル101の一端は昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bの中間点に接続され、他端は電源接続端子104に接続される。リアクトル101は、昇圧用IGBT102Aのオン/オフに伴って生じる誘導起電力をDCバス110に供給するために設けられている。
昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)をゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタで構成され、大電力の高速スイッチングが可能な半導体素子(スイッチング素子)である。昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bは、コントローラ30により、ゲート端子にPWM電圧が印加されることによって駆動される。昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bには、整流素子であるダイオード102a及び102bが並列接続される。
キャパシタ19は、昇降圧コンバータ100を介してDCバス110との間で電力の授受が行えるように、充放電可能な蓄電器であればよい。なお、図4には、蓄電器としてキャパシタ19を示すが、キャパシタ19の代わりに、リチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池、リチウムイオンキャパシタ、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を用いてもよい。
電源接続端子104及び出力端子106は、キャパシタ19及びインバータ18A,20が接続可能な端子であればよい。一対の電源接続端子104の間には、キャパシタ電圧を検出するキャパシタ電圧検出部112が接続される。一対の出力端子106の間には、DCバス電圧を検出するDCバス電圧検出部111が接続される。
キャパシタ電圧検出部112は、キャパシタ19の電圧値Vcapを検出する。DCバス電圧検出部111は、DCバス110の電圧値Vdcを検出する。平滑用のコンデンサ107は、出力端子106の正極端子と負極端子との間に挿入され、DCバス電圧を平滑化するための蓄電素子である。この平滑用のコンデンサ107によって、DCバス110の電圧は予め定められた電圧に維持されている。
キャパシタ電流検出部113は、キャパシタ19の正極端子(P端子)側においてキャパシタ19に流れる電流の値を検出する検出手段であり、電流検出用の抵抗器を含む。すなわち、キャパシタ電流検出部113は、キャパシタ19の正極端子に流れる電流値I1を検出する。一方、キャパシタ電流検出部117は、キャパシタの負極端子(N端子)側においてキャパシタ19に流れる電流の値を検出する検出手段であり、電流検出用の抵抗器を含む。すなわち、キャパシタ電流検出部117は、キャパシタ19の負極端子に流れる電流値I2を検出する。
昇降圧コンバータ100において、DCバス110を昇圧する際には、昇圧用IGBT102Aのゲート端子にPWM電圧が印加され、降圧用IGBT102Bに並列に接続されたダイオード102bを介して、昇圧用IGBT102Aのオン/オフに伴ってリアクトル101に発生する誘導起電力がDCバス110に供給される。これにより、DCバス110が昇圧される。
DCバス110を降圧する際には、降圧用IGBT102Bのゲート端子にPWM電圧が印加され、降圧用IGBT102B、インバータ105を介して供給される回生電力がDCバス110からキャパシタ 19に供給される。これにより、DCバス110に蓄積された電力がキャパシタ19に充電され、DCバス110が降圧される。
本実施形態では、キャパシタ19の正極端子を昇降圧コンバータ100の電源接続端子104に接続する電源ライン114に、当該電源ライン114を遮断することのできる遮断器としてリレー130−1,130−2が設けられる。リレー130−1は、電源ライン114へのキャパシタ電圧検出部112の接続点115とキャパシタ19の正極端子の間に配置されている。リレー130−1はコントローラ30からの信号により作動し、キャパシタ19からの電源ライン114を遮断することで、キャパシタ19を昇降圧コンバータ100から切り離すことができる。
また、キャパシタ19の負極端子を昇降圧コンバータ100の電源接続端子104に接続する電源ライン117に、当該電源ライン117を遮断することのできる遮断器としてリレー130−2が設けられる。リレー130−2は、電源ライン117へのキャパシタ電圧検出部112の接続点118とキャパシタ19の負極端子の間に配置されている。リレー130−2はコントローラ30からの信号により作動し、キャパシタ19からの電源ライン117を遮断することで、キャパシタ19を昇降圧コンバータ100から切り離すことができる。なお、リレー130−1とリレー130−2を一つのリレーとして正極端子側の電源ライン114と負極端子側の電源ライン117の両方を同時に遮断してキャパシタを切り離すこととしてもよい。
なお、実際には、コントローラ30と昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bとの間には、昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bを駆動するPWM信号を生成する駆動部が存在するが、図3では省略する。このような駆動部は、電子回路又は演算処理装置のいずれでも実現することができる。
本実施形態では、上述のような構成のハイブリッド型ショベルにおいて、エンジン11の暖機運転中のエンジン出力を利用して電動発電機12を発電運転させ、得られた電力を蓄電系120の蓄電器であるキャパシタ19に蓄積しておく。キャパシタ19に蓄積された電力は、ハイブリッド型ショベルの運転時に使用されるので、暖機運転を行なうためのエネルギを無駄にすることなく、ハイブリッド型ショベルのエネルギ効率を向上させることができる。
ここで、本実施形態におけるエンジン11の暖機運転時の、エンジン11、電動発電機12及び油圧ポンプ14の制御について以下に説明する。
図4は、暖機運転時のエンジン11、電動発電機12及び油圧ポンプ14の制御状態を示すタイミングチャートである。
図4(a)は暖機指令の変化を示すグラフである。暖機指令は、エンジン11のコントローラ(エンジンコントロールユニット:ECU)から出力され指令である。暖機指令は、例えばエンジン11の始動時のようにエンジン11の水温が低いときにONとなり、エンジンが暖まってエンジン11の水温が閾値(所定の温度)を超えるとOFFとなる。
図4(b)はエンジン11の回転数の変化を示すグラフである。図4に示す例では、エンジン11のアイドリング時の回転数は1000rpmであり、暖機運転時にはエンジン11の回転数は1100rpmとなるようにエンジン11が制御される。また、ショベルの負荷を駆動する際には、エンジン11は回転数が例えば1800rpmを維持するように定回転制御が行なわれる。
図4(c)はエンジン11の水温の変化を示すグラフである。エンジン11の運転中は、水温が閾値(所定の温度)を超えないように冷却水の温度が制御される。エンジン11の水温の制御はECUにより行なわれる。
図4(d)は電動発電機12の発電出力(発電電力)の変化を示すグラフである。コントローラ30からの発電指令により電動発電機12は発電運転を行い、電動発電機12で発電した電力はインバータ18Aを介して蓄電系120に供給される。
図4(e)は、油圧ポンプ14によりエンジン11に加わる負荷の変化を示すグラフである。油圧ポンプ14の負荷として油圧ポンプ14が発生する圧力の値が用いられている。
図4(f)は、蓄電系120に設けられたキャパシタ19の充電率(SOC)の変化を示すグラフである。キャパシタ19の充電率(SOC)は、システム制御下限値とシステム制御上限値(SOCmax)の間となるようにコントローラ30により制御されている。
図4に示す例では、まずエンジン11が始動されると、エンジン11のECUはエンジン11の水温に基づいて暖機運転が必要か否かを判定し、エンジン11の水温が閾値(所定の温度)より低い場合には暖機指令をONとする。図4(a)に示すように時刻t1において暖機指令がONとなると、エンジン11の回転数をアイドリング回転数(1000rpm)より高い回転数(1100rpm)に維持するように制御が行なわれる。これにより、図4(b)に示すようにエンジン11の回転数はアイドリング回転数から上昇して1100rpmに維持されるようになる。ここで、暖機運転中のエンジンの回転数は1100rpmに限定されず、例えば1500rpmでもよい。暖機運転中のエンジンの回転数は、アイドリング回転数より100〜600rpm程度高い回転数とすることができる。
時刻t1において暖機運転が開始された後、時刻t2において電動発電機12を発電運転する指令がコントローラ30から出される。これにより、時刻t2から電動発電機12が発電運転を行い、図4(d)に示すように電動発電機12から電力が出力される。電動発電機12が発電した電力は、インバータ18Aを介して蓄電系120に供給される。このとき、電動発電機12を駆動する分だけエンジン11にかかる負荷が大きくなるため、エンジン11の発熱量が多くなり、エンジン11の暖機が促進される。
暖機運転中はショベルでの作業運転はまだ開始されていないので、蓄電系120に供給された電力はキャパシタ19に蓄積される。したがって、キャパシタの充電率(SOC)は、図4(f)に示すように時刻t2から上昇し始める。本例では、図4(f)に示すように時刻t3においてキャパシタ19の充電率(SOC)がシステム制御上限値(SOCmax)まで上昇している。したがって、時刻t3以降はキャパシタ19に電力を蓄積することはできないので、図4(d)に示すように、時刻t3において電動発電機12の発電運転は停止され、電動発電機12からの出力(電力)ゼロとなる。
時刻t3において電動発電機12の発電運転が停止された時点で、エンジン11の水温が閾値に達しているか否かが判定される。ここで、閾値とは、エンジン11が暖機終了後に維持されるべき水温(所定の温度)であり、エンジン11の暖機状態での水温である。図4に示す例では、電動発電機12の発電運転が停止された時刻t3において、エンジン11の水温はまだ閾値より低くなっている。したがって、エンジン11の暖機運転を継続する必要がある。そこで、本実施形態では、暖機を促進するために、電動発電機12による発電運転の代わりに、油圧ポンプ14を駆動することでエンジン11への負荷を増大させる。
すなわち、時刻t3において、電動発電機12の発電運転に代えて油圧ポンプ14が駆動される。今度はエンジン11の動力で油圧ポンプ14が駆動されるので、エンジン11への負荷は増大する。これにより、エンジン11の発熱量は増大するため、エンジン11の暖機が促進される。
そのまま暖機運転を続けると、エンジン11の水温は上昇し、図4(c)に示すように、時刻t4において水温は閾値に到達する。したがって、時刻t4においてエンジン11は暖機状態となったと判定され、暖機指令は時刻t4においてOFFとなる。したがって、時刻t4において、油圧ポンプ14の駆動も停止され、油圧ポンプ負荷は、図4(e)に示すようにゼロに戻る。そして、時刻t5においてエンジン11の回転数がアイドリング回転数に低減されて暖機運転は終了する。
以上のように、図4に示す暖機運転では、電動発電機12による負荷をエンジン11に加えながら暖機を行い、キャパシタ19の充電率が上限まで到達した後は電動発電機12に代えて油圧ポンプ14による負荷をエンジン11に加えて暖機を促進する。電動発電機12による負荷をエンジン11に加えているときには、発電電力はキャパシタ19に蓄積されるので、エンジン11の出力が電気エネルギとして回収され、その後ショベルの運転に使用されるので、ショベルのエネルギ効率を向上させることができる。
次に、暖機運転の他の例について図5を参照しながら説明する。図5は、暖機運転中にキャパシタ19の充電率が閾値まで到達しない場合の例である。図5(a)〜(f)のグラフは、図4(a)〜(f)のグラフにそれぞれ対応する。
図5に示す例では、まずエンジン11が始動されると、エンジン11のECUはエンジン11の水温に基づいて暖機運転が必要か否かを判定し、エンジン11の水温が閾値(所定の温度)より低い場合には暖機指令をONとする。図5(a)に示すように時刻t1において暖機指令がONとなると、エンジン11の回転数をアイドリング回転数(1000rpm)より高い回転数(1100rpm)に維持するように制御が行なわれる。これにより、図4(b)に示すようにエンジン11の回転数はアイドリング回転数から上昇して1100rpmに維持されるようになる。
時刻t1において暖機運転が開始された後、時刻t2において電動発電機12を発電運転する指令がコントローラ30から出される。これにより、時刻t2から電動発電機12が発電運転を行い、図5(d)に示すように電動発電機12から電力が出力される。電動発電機12が発電した電力は、インバータ18Aを介して蓄電系120に供給される。このとき、電動発電機12を駆動する分だけエンジン11にかかる負荷が大きくなるため、エンジン11の発熱量が多くなり、エンジン11の暖機が促進される。
暖機運転中はショベルでの作業運転はまだ開始されていないので、蓄電系120に供給された電力はキャパシタ19に蓄積される。したがって、キャパシタの充電率(SOC)は、図5(f)に示すように時刻t2から上昇し始める。
ここまでは、図4に示す暖機運転の例と同じである。ここで、図5に示す例では、例えばキャパシタ19の容量が大きく、暖機運転中にキャパシタ19の充電率(SOC)はシステム制御上限値(SOCmax)まで到達しない。したがって、図5に示す例では、暖機運転中にキャパシタ19の充電率(SOC)がシステム制御上限値(SOCmax)に到達する時刻t3は存在せず、時刻t2から時刻t4に至るまで電動発電機12の発電運転は継続される。
図5(c)に示すように、時刻t4において水温が閾値に到達すると、エンジン11は暖機状態となったと判定され、暖機指令は時刻t4においてOFFとなる。したがって、時刻t4において、電動発電機12の電動運転も停止され、電動発電機12の出力はゼロに戻る。そして、時刻t5においてエンジン11の回転数がアイドリング回転数に低減されて暖機運転は終了する。
以上のように、図5に示す暖機運転では、電動発電機12による負荷をエンジン11に加えながら暖機を行い、キャパシタ19の充電率が上限まで到達する前にエンジン11が暖機状態となり、暖機運転が終了される。電動発電機12による負荷をエンジン11に加えているときには、発電電力はキャパシタ19に蓄積されるので、エンジン11の出力が電気エネルギとして回収され、その後ショベルの運転に使用されるので、ショベルのエネルギ効率を向上させることができる。
なお、図5に示す例では、暖機運転中の暖機の促進に油圧ポンプ14の負荷を使用しないので、油圧ポンプ14の負荷(圧力)は図5(e)に示すように暖機運転中はゼロのままである。
次に、暖機運転のさらに他の例について図6を参照しながら説明する。図6は、暖機運転中にキャパシタ19の充電率が閾値まで到達し、その後エンジン回転数を段階的に上昇させながら暖機を行なう場合の例である。図6(a)〜(f)のグラフは、図4(a)〜(f)のグラフにそれぞれ対応する。
図6に示す例では、まずエンジン11が始動されると、エンジン11のECUはエンジン11の水温に基づいて暖機運転が必要か否かを判定し、エンジン11の水温が閾値(所定の温度)より低い場合には暖機指令をONとする。図6(a)に示すように時刻t1において暖機指令がONとなると、エンジン11の回転数をアイドリング回転数(1000rpm)より高い回転数(1100rpm)に維持するように制御が行なわれる。これにより、図6(b)に示すようにエンジン11の回転数はアイドリング回転数から上昇して1100rpmに維持されるようになる。
時刻t1において暖機運転が開始された後、時刻t2において電動発電機12を発電運転する指令がコントローラ30から出される。これにより、時刻t2から電動発電機12が発電運転を行い、図6(d)に示すように電動発電機12から電力が出力される。電動発電機12が発電した電力は、インバータ18Aを介して蓄電系120に供給される。このとき、電動発電機12を駆動する分だけエンジン11にかかる負荷が大きくなるため、エンジン11の発熱量が多くなり、エンジン11の暖機が促進される。
暖機運転中はショベルでの作業運転はまだ開始されていないので、蓄電系120に供給された電力はキャパシタ19に蓄積される。したがって、キャパシタの充電率(SOC)は、図6(f)に示すように時刻t2から上昇し始める。
図6に示す例では、図4に示す例と同様にキャパシタ19の容量が小さいため、時刻t3においてキャパシタ19の充電率(SOC)がシステム制御上限値(SOCmax)まで上昇している。したがって、時刻t3以降はキャパシタ19に電力を蓄積することはできないので、図6(d)に示すように、時刻t3において電動発電機12の発電運転は停止され、電動発電機12からの出力(電力)はゼロとなる。
時刻t3において電動発電機12の発電運転が停止された時点で、エンジン11の水温が閾値に達しているか否かが判定される。図6に示す例では、電動発電機12の発電運転が停止された時刻t3において、エンジン11の水温はまだ閾値より低くなっている。したがって、エンジン11の暖機運転を継続する必要がある。そこで、本実施形態では、暖機を促進するために、電動発電機12による発電運転の代わりに、エンジン11への回転数を段階的に増大させることでエンジン11の発熱量を多くする。
すなわち、時刻t3において、図6(b)に示すように、電動発電機12の発電運転に代えてエンジン11の回転数が段階的に引き上げられる。これにより、エンジン11の発熱量は増大するため、エンジン11の暖機が促進される。
そのまま暖機運転を続けると、エンジン11の水温は上昇し、図6(c)に示すように、時刻t4において水温は閾値に到達する。したがって、時刻t4においてエンジン11は暖機状態となったと判定され、暖機指令は時刻t4においてOFFとなる。したがって、時刻t4において、エンジン11の回転数がアイドリング回転数に低減されて暖機運転は終了する。
以上のように、図6に示す暖機運転では、電動発電機12による負荷をエンジン11に加えながら暖機を行い、キャパシタ19の充電率が上限まで到達した後は電動発電機12の発電運転に代えてエンジン11の回転数が段階的に引き上げられ、暖機を促進する。電動発電機12による負荷をエンジン11に加えているときには、発電電力はキャパシタ19に蓄積されるので、エンジン11の出力が電気エネルギとして回収され、その後ショベルの運転に使用されるので、ショベルのエネルギ効率を向上させることができる。
なお、図6に示す例では、暖機運転中の暖機の促進に油圧ポンプ14の負荷を使用しないので、油圧ポンプ14の負荷(圧力)は図6(e)に示すように暖機運転中はゼロのままである。ここで、図6に示す事例では、蓄電部としてのキャパシタ19の蓄電量が前記閾値以上の場合には、エンジン11の回転数が段階的に引き上げられているが、エンジン11の点火タイミングを遅らせるように指令を出すことで、エンジン11へ負荷を与えて暖機するようにしてもよい。
上述の実施形態では旋回機構2が電動式であったが、旋回機構2が電動ではなく油圧駆動の場合がある。図7は図2に示すハイブリッド型ショベルの旋回機構を油圧駆動式とした場合の駆動系の構成を示すブロック図である。図7に示すハイブリッド型ショベルでは、旋回用電動機21の代わりに、旋回油圧モータ2Aがコントロールバルブ17に接続され、旋回機構2は旋回油圧モータ2Aにより駆動される。このような、ハイブリッド型ショベルであっても、上述の実施形態のようにして、エンジン11の暖機運転中のエンジン出力で電動発電機12を発電運転し、得られた電力をキャパシタ19に蓄積しておくことができる。