JP5978394B2 - 板ガラスの製造方法、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法および情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

板ガラスの製造方法、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法および情報記録媒体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)などの情報記録装置に情報記録媒体の一部として搭載される、情報記録媒体の製造方法、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、および、板ガラスの製造方法に関する。
近年、HDDの記憶容量が飛躍的に増大することに伴い、1ビットに費やす媒体の記録面積を小さくしていくことが必要不可欠となっている。それに比例させて記録用の磁性粒子サイズも微細化しなければならない。しかし、微細化により記録した磁化の向きを一方向に保つエネルギーが小さくなり、熱エネルギーの影響を受けやすい。磁化の向きを安定させるため、現在磁性材料として広く使用されているCoCr系合金から、保磁力の高いFe−Pt系磁性材料に媒体を変える必要性がある。
しかし、Fe−Pt系磁性材料の成膜では、Fe、Pt原子の配列が不規則になり、高い保磁力が得られない。規則化して高い保磁力を得るには、成膜後のガラス基板に約600℃での高温熱処理を施すことが必要不可欠となっている。
このようなガラス基板を得る場合、一般的にフロート法を用いたガラス基板の製造方法が用いられる。たとえば、特開平7−53223号公報(特許文献1)、特開2001−357515号公報(特許文献2)、および、特開2003−36528号公報(特許文献3)に、フロート法を用いた情報記録媒体用ガラス基板の製造方法が開示されている。
特開平7−53223号公報 特開2001−357515号公報 特開2003−36528号公報
上述したように、Fe−Pt系磁性材料に対し、約600℃での高温熱処理を施すことが必要不可欠となるため、ガラス基板の耐熱性の指標となるTgを600℃以上に温度上昇させて、ガラス基板へのFe−Pt系磁性材料の成膜時に約600℃での高温熱処理を施している。
その結果、耐熱性には問題は生じないものの、情報記録媒体(磁気ディスク)の片面のみで磁気特性が悪化するという新たな課題が生じた。発明者らによる鋭意研究の結果、その情報記録媒体(磁気ディスク)のエラー箇所を成分分析した結果、Snを含有していることが発見された。
さらに、発明者らによって、原因究明を進めた結果、熱アシスト記録向けの高Tg材料を用いた場合、フロート法中のフロートバス工程中の温度が高く、成型時の温度が高いために、溶融錫(スズ)が蒸発しやすくなり、ガラスの下面での錫含有量が多くなることがわかった。
従来の磁気ディスクの記録密度では、ガラス基板へのスズ含有は問題とはならなかったが、熱アシスト記録用の磁性層になるFe−Pt合金等の成膜時には高温熱処理が必要となる。その高温熱処理中に、ガラス基板の下面のスズの拡散が進行する。その結果、スズの拡散が磁性膜にまでおよび、磁気ディスク下面のSNR(信号雑音比(signal-noise ratio)または信号対雑音比)品質が不安定となることが明らかになった。予めスズ拡散層をラップ工程で除去することは可能だが、平坦度・平行度が悪化するため好ましくはない。
したがって、この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、情報記録媒体として用いた場合に、SNR品質を安定させることが可能な、情報記録媒体の製造方法、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、および、板ガラスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に基づいたガラスの製造方法においては、溶解槽、清澄槽、フロートバス、および、除冷ラインの順番で、ガラス原料を上記溶解槽で溶融ガラスとし、上記溶融ガラスを、上記清澄槽、上記フロートバス、および、上記除冷ラインを通過させて、板状ガラスに成型するフロート法を用いた、ガラスの製造方法であって、以下の工程を備える。
上記フロートバス内では、加熱により溶融した溶融錫の表面に上記溶融ガラスが浮かべられ、上記溶融ガラスは、粘度logη=4.0(dPa・s)における温度が1100℃以上であり、上記清澄槽の内部温度は、上記溶融ガラスの液相温度以上であり、上記フロートバス中において、50℃/分以上の降温速度で上記溶融ガラスを冷却する工程を含む。
上記溶融ガラスを冷却する工程は、上記溶融ガラスが上記フロートバスの内部に流入した位置から、上記溶融ガラスの流動方向に対して少なくとも50cm以上先の冷却開始位置から上記溶融ガラスの冷却を開始し、上記冷却開始位置での上記溶融ガラスの粘度がlogη=3.6(dPa・s)以下であり、上記溶融ガラスの粘度がlogη=4.0(dPa・s)以下となるまでの間を、50℃/分以上の速度で冷却する。
本発明に基づいた板ガラスの製造方法の他の局面においては、溶解槽、清澄槽、フロートバス、および、除冷ラインの順番で、ガラス原料を上記溶解槽で溶融ガラスとし、上記溶融ガラスを、上記清澄槽、上記フロートバス、および、上記除冷ラインを通過させて、板状ガラスに成型するフロート法を用いた、板ガラスの製造方法であって、以下の高低を備える。
上記フロートバス内では、加熱により溶融した溶融錫の表面に上記溶融ガラスが浮かべられ、上記溶融ガラスは、粘度logη=4.0(dPa・s)における温度が1100℃以上であり、上記清澄槽の内部温度は、上記溶融ガラスの液相温度以上であり、上記フロートバス中において、50℃/分以上の降温速度で上記溶融ガラスを冷却する工程を含み、上記溶融ガラスを冷却する工程は、上記溶融ガラスの粘度がlogη=3.6(dPa・s)からlogη=4.0(dPa・s)となるまでの間を、50℃/分以上の速度で冷却する。
他の形態においては、上記溶融ガラスを冷却する工程は、上記溶融ガラスに気体を吹き付ける。
他の形態においては、上記溶融ガラスを冷却する工程は、上記溶融ガラスに固体を接触させる。
他の形態においては、上記溶融ガラスを冷却する工程は、上記フロートバス中の上記溶融スズの温度を制御する。
他の形態においては、上記板ガラスは、情報記録媒体用ガラス基板用である。
他の形態においては、上記情報記録媒体用ガラス基板は、熱アシスト向けのガラス基板である。
本発明に基づいた情報記録媒体用ガラス基板の製造方法においては、上述のいずれかに記載の板ガラスの製造方法によって得られた板ガラスの主表面に少なくとも研磨処理を施すことを特徴とする。
本発明に基づいた情報記録媒体の製造方法においては、上述の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によって得られた板ガラスから円環状のガラス基板を形成する処理を含むことを特徴とする。
本発明によれば、情報記録媒体として用いた場合に、SNR品質を安定させることが可能な、情報記録媒体の製造方法、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、および、板ガラスの製造方法を提供することを可能とする。
情報記録装置を示す斜視図である。 実施の形態に基づく情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によって製造されるガラス基板1を示す平面図である。 図2中のIII−III線に沿った矢視断面図である。 情報記録媒体としてガラス基板1を備えた情報記録媒体10を示す平面図である。 図4中のV−V線に沿った矢視断面図である。 ガラス基板の製造方法を示すフローチャートである。 ガラス基板成型工程におけるフロート法を示す模式図である。 実施の形態におけるフロート法に用いられるフロートバスにおけるガラス基板の成型工程を示す図である。 他の実施の形態におけるフロート法に用いられるフロートバスにおけるガラス基板の成型工程を示す図である。 他の実施の形態におけるフロート法に用いられるフロートバスにおけるガラス基板の成型工程を示す図である。 溶融ガラス素材の粘度曲線を示す図である。 実施例1−8、および、比較例1−4におけるHDD動作テストの評価結果を示す図である。
本発明に基づいた実施の形態および各実施例について、以下、図面を参照しながら説明する。実施の形態および各実施例の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。実施の形態および各実施例の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
[実施の形態]
(情報記録装置30)
図1を参照して、まず、情報記録装置30について説明する。図1は、情報記録装置30を示す斜視図である。情報記録装置30は、実施の形態における情報記録媒体用ガラス基板(以下、単にガラス基板ともいう)の製造方法によって製造されたガラス基板1を、情報記録媒体10として備える。
具体的には、情報記録装置30は、情報記録媒体10、筐体20、ヘッドスライダー21、サスペンション22、アーム23、垂直軸24、ボイスコイル25、ボイスコイルモーター26、クランプ部材27、および固定ネジ28を備える。筐体20の上面上には、スピンドルモーター(図示せず)が設置される。
磁気ディスクなどの情報記録媒体10は、クランプ部材27および固定ネジ28によって、上記のスピンドルモーターに回転可能に固定される。情報記録媒体10は、このスピンドルモーターによって、たとえば数千rpmの回転数で回転駆動される。詳細は図4および図5を参照して後述されるが、情報記録媒体10は、ガラス基板1に圧縮応力層12(図5参照)および磁気記録層14(図4および図5参照)が形成されることによって製造される。
アーム23は、垂直軸24回りに揺動可能に取り付けられる。アーム23の先端には、板バネ(片持ち梁)状に形成されたサスペンション22が取り付けられる。サスペンション22の先端には、ヘッドスライダー21が情報記録媒体10を挟み込むように取り付けられる。
アーム23のヘッドスライダー21とは反対側には、ボイスコイル25が取り付けられる。ボイスコイル25は、筐体20上に設けられたマグネット(図示せず)によって挟持される。ボイスコイル25およびこのマグネットにより、ボイスコイルモーター26が構成される。
ボイスコイル25には所定の電流が供給される。アーム23は、ボイスコイル25に流れる電流と上記マグネットの磁場とにより発生する電磁力の作用によって、垂直軸24回りに揺動する。アーム23の揺動によって、サスペンション22およびヘッドスライダー21も矢印AR1方向に揺動する。ヘッドスライダー21は、情報記録媒体10の表面上および裏面上を、情報記録媒体10の半径方向に往復移動する。ヘッドスライダー21に設けられた磁気ヘッド(図示せず)はシーク動作を行なう。
当該シーク動作が行なわれる一方で、ヘッドスライダー21は、情報記録媒体10の回転に伴って発生する空気流により、浮揚力を受ける。当該浮揚力とサスペンション22の弾性力(押圧力)とのバランスによって、ヘッドスライダー21は情報記録媒体10の表面に対して一定の浮上量で走行する。当該走行によって、ヘッドスライダー21に設けられた磁気ヘッドは、情報記録媒体10内の所定のトラックに対して情報(データ)の記録および再生を行なうことが可能となる。ガラス基板1が情報記録媒体10を構成する部材の一部として搭載される情報記録装置30は、以上のように構成される。
(ガラス基板1)
図2は、本実施の形態に基づく情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によって製造されるガラス基板1を示す平面図である。図3は、図2中のIII−III線に沿った矢視断面図である。
図2および図3に示すように、情報記録媒体10(図4および図5参照)にその一部として用いられるガラス基板1(情報記録媒体用ガラス基板)は、主表面2、主表面3、内周端面4、孔5、および外周端面6を有し、全体として円盤状に形成される。孔5は、一方の主表面2から他方の主表面3に向かって貫通するように設けられる。主表面2と内周端面4との間、および、主表面3と内周端面4との間には、面取部7がそれぞれ形成される。主表面2と外周端面6との間、および、主表面3と外周端面6との間には、面取部8(チャンファー部)が形成される。
ガラス基板1の大きさは、たとえば0.8インチ、1.0インチ、1.8インチ、2.5インチ、または3.5インチである。これ以下、または、これ以上のインチサイズとすること可能である。ガラス基板の厚さは、破損防止の観点から、たとえば0.30mm〜2.2mmである。本実施の形態におけるガラス基板の大きさは、外径が約64mm、内径が約20mm、厚さが約0.8mmである。ガラス基板の厚さとは、ガラス基板上の点対象となる任意の複数の点で測定した値の平均によって算出される値である。ガラス基板の高硬度化の観点から、ガラス基板1のビッカース硬度は、610kg/mm以上であるとよい。
(情報記録媒体10)
図4は、情報記録媒体としてガラス基板1を備えた情報記録媒体10を示す平面図である。図5は、図4中のV−V線に沿った矢視断面図である。
図4および図5に示すように、情報記録媒体10は、ガラス基板1と、圧縮応力層12と、磁気記録層14とを含む。圧縮応力層12は、ガラス基板1の主表面2,3、内周端面4、および外周端面6を覆うように形成される。磁気記録層14は、圧縮応力層12の主表面2,3上の所定の領域を覆うように形成される。ガラス基板1の内周端面4上に圧縮応力層12が形成されることによって、内周端面4の内側に孔15が形成される。孔15を利用して、情報記録媒体10は筐体20(図1参照)上に設けられたスピンドルモーターに対して固定される。
図5に示す情報記録媒体10においては、主表面2上に形成された圧縮応力層12と主表面3上に形成された圧縮応力層12との双方(両面)の上に、磁気記録層14が形成されている。磁気記録層14は、主表面2上に形成された圧縮応力層12の上(片面)にのみ設けられていてもよく、主表面3上に形成された圧縮応力層12の上(片面)に設けられていてもよい。
磁気記録層14は、磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂をガラス基板1の主表面2,3上の圧縮応力層12にスピンコートすることによって形成される(スピンコート法)。磁気記録層14は、ガラス基板1の主表面2,3上の圧縮応力層12に対して実施されるスパッタリング法または無電解めっき法等により形成されてもよい。
磁気記録層14の膜厚は、スピンコート法の場合は約0.3μm〜1.2μm、スパッタリング法の場合は約0.04μm〜0.08μm、無電解めっき法の場合は約0.05μm〜0.1μmである。薄膜化および高密度化の観点からは、磁気記録層14はスパッタリング法または無電解めっき法によって形成されるとよい。
磁気記録層14に用いる磁性材料としては、熱アシスト記録用に好適な磁性層材料として、Fe−Pt系磁性材料を用いる。
磁気ヘッドの滑りをよくするために、磁気記録層14の表面に潤滑剤を薄くコーティングしてもよい。潤滑剤としては、たとえば液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈したものが挙げられる。
磁気記録層14には、必要に応じて下地層または保護層を設けてもよい。情報記録媒体10における下地層は、磁性膜の種類に応じて選択される。下地層の材料としては、たとえば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al、またはNiなどの非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料が挙げられる。
磁気記録層14に設ける下地層は、単層に限らず、同一または異種の層を積層した複数層構造としても構わない。たとえば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、または、NiAl/CrV等の多層下地層としてもよい。
磁気記録層14の摩耗および腐食を防止する保護層としては、たとえば、Cr層、Cr合金層、カーボン層、水素化カーボン層、ジルコニア層、またはシリカ層が挙げられる。これらの保護層は、下地層および磁性膜など共にインライン型スパッタ装置で連続して形成されることができる。これらの保護層は、単層としてもよく、または、同一若しくは異種の層からなる多層構成としてもよい。
上記保護層上に、あるいは上記保護層に代えて、他の保護層を形成してもよい。たとえば、上記保護層に代えて、Cr層の上にテトラアルコキシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成して酸化ケイ素(SiO2)層を形成してもよい。
(ガラス基板の製造方法)
次に、図6に示すフローチャート図を用いて、本実施の形態におけるガラス基板(情報記録媒体用ガラス基板)の製造方法S100について説明する。本実施の形態におけるガラス基板の製造方法S100は、板状ガラス成型工程S10、切り出し工程S20、端面研磨工程S30、粗研磨工程S40、洗浄工程S50、化学強化工程S60、精密研磨工程S70、および、スクラブ洗浄工程S80を備える。
スクラブ洗浄工程S80を経ることによって得られたガラス基板に対して、磁気薄膜形成工程S200が実施される。磁気薄膜形成工程S200を経ることによって、情報記録媒体10(図4および図5参照)が得られる。以下、ガラス基板の製造方法S100を構成する各工程S10〜S80の詳細について順に説明する。
(板状ガラス成型工程S10)
まず、板状ガラス成型工程S10において、溶融ガラス素材を材料として、フロート法を用いて、板状ガラスを製造する。本実施のフロート法の詳細については、後述する。
溶融ガラスを構成する各成分の原料として、各々相当する酸化物、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等が使用され、所望の割合に秤量され、粉末で充分に混合して調合原料とされる。調合原料が、例えば1600℃に加熱された溶解槽中に投入され、溶融清澄後、フロート成型を行ない、徐冷して板状ガラスとされる。
ガラス基板の材質としては、たとえばアモルファスガラス、結晶化ガラスを利用できる。ガラス基板に化学強化処理を施すことも可能である。その場合、ガラス基板表面の強度品質において優れた情報記録媒体用ガラス基板を提供することが可能となる。
(切り出し工程S20)
再び、図6を参照して、切り出し工程S20においては、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、このガラス基板の中心部に内孔を形成し、円環状のガラス基板を成型する(コアリング加工)。その後、内周端面および外周端面をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を施す(フォーミング、チャンファリング)。切り出し工程の後に主表面にラッピング(研削)を施すラッピング工程を行った後、端面研磨工程に移るようにしてもよい。
(端面研磨工程S30)
端面研磨工程S30においては、ガラス基板1の内周端面および外周端面が、螺旋状のブラシ毛材を有する研磨ブラシを用いて研磨される。研磨ブラシとガラス基板1の各端面との間に研磨スラリーを供給しつつ、研磨ブラシを各端面に当接させた状態で回転させる。ガラス基板1を研磨液の中に浸漬した状態で、研磨ブラシを各端面に当接させた状態で回転させてもよい。
(粗研磨工程S40)
内周端面および外周端面が研磨されたガラス基板1は、複数回に分けて主表面2,3が粗く研磨される。たとえば、第1および第2粗研磨工程の2回にわけて、主表面2,3が研磨される。徐々にガラス基板1の仕上がり精度を高めることにより、平滑性および平坦性の高い表面を有するガラス基板1を得ることができる。2回に分けて粗研磨を行なう場合、第1粗研磨工程は、主表面2,3に残存するキズおよび歪みを除去することを主たる目的とし、第2粗研磨工程は、主表面2,3を鏡面状に仕上げることを目的としている。
(洗浄工程S50)
粗研磨工程S40の後、ガラス基板1に対して酸性の洗浄液を用いた洗浄処理が実施される。この洗浄処理は、前工程である粗研磨工程S40において研磨スラリーとして使用されていた酸化セリウム、酸化ジルコニウム、またはケイ酸ジルコニウムのいずれかを、ガラス基板1の表面から除去することを目的としている。
具体的には、粗研磨工程S40において使用した研磨パッドから粗研磨後のガラス基板1を取り外した後、硫酸およびまたはフッ化水素酸などを含む洗浄液を用いてガラス基板1の表面をエッチングしながら洗浄する。ガラス基板1の表面に付着していた酸化セリウム、酸化ジルコニウム、またはケイ酸ジルコニウムなどの研磨スラリーは、硫酸およびまたはフッ化水素酸などの強酸性の洗浄液によって適切に除去される。その後、ガラス基板1は酸性の洗浄液を用いて洗浄される。
洗浄工程S50において用いられる洗浄液は、ガラス基板1の耐化学性によっても異なるが、硫酸であれば1%〜30%程度の濃度が好ましく、フッ化水素酸であれば0.2%〜5%程度の濃度が好ましい。これらの洗浄液を用いた洗浄は、水溶液が貯留された洗浄機の中で超音波を印加しながら行なわれるとよい。この際に用いられる超音波の周波数は、78kHz以上であることが好ましい。
(化学強化工程S60)
洗浄工程S50の後、ガラス基板1は化学強化される。化学強化液としては、たとえば硝酸カリウム(50wt%)と硫酸ナトリウム(50wt%)との混合液を用いることができる。化学強化液は、たとえば300℃〜480℃に加熱される。洗浄したガラス基板1は、たとえば300℃〜480℃に予熱される。ガラス基板1は、化学強化液中にたとえば3時間〜4時間浸漬される。化学強化工程は精密研磨工程の後に行っても良い。
浸漬の際には、ガラス基板1の主表面2,3の全体が化学強化されるように、複数のガラス基板1が各々の端面で保持されるように、ホルダーに収納した状態で行なうことが好ましい。ガラス基板1を化学強化液中に浸漬することによって、ガラス基板1の表層のアルカリ金属イオン(リチウムイオンおよびナトリウムイオン)が、化学強化液中のイオン半径が相対的に大きい化学強化塩(ナトリウムイオンおよびカリウムイオン)に置換される。これにより、ガラス基板1の表層にはたとえば50μm〜200μmの厚さを有する圧縮応力層が形成される。
圧縮応力層の形成によってガラス基板1の表面が強化され、ガラス基板1は、良好な耐衝撃性を有することとなる。化学強化処理されたガラス基板1は、適宜洗浄される。たとえば、ガラス基板1は、硫酸で洗浄された後に、純水またはIPA(イソプロピルアルコール)等を用いてさらに洗浄される。その後、化学強化層を除去してもよい。
(精密研磨工程S70)
化学強化工程S60の後、ガラス基板1に対して精密研磨処理が実施される。精密研磨工程S70は、ガラス基板1の主表面を鏡面状に仕上げることを目的としている。精密研磨工程S70では、上述の粗研磨工程S40と同様に、両面研磨機(図11参照)を用いてガラス基板1に対する精密研磨が行なわれる。
精密研磨工程S70と上記の粗研磨工程S40とでは、使用される研磨液(スラリー)に含有される研磨砥粒、および、使用される研磨パッドの組成が異なる。精密研磨工程S70では、粗研磨工程S40よりも、圧縮応力層が形成されたガラス基板1の主表面2,3に供給される研磨液中の研磨砥粒の粒径を小さくし、研磨パッドの硬さを柔らかくする。
精密研磨工程S70に用いられる研磨パッドとしては、たとえば軟質発泡樹脂ポリッシャーである。精密研磨工程S70においては、遊離砥粒が用いられ、Ceを主成分とする砥粒で第1研磨工程と、Siを主成分とする砥粒で研磨する第2研磨工程とを含む。
(スクラブ洗浄工程S80)
精密研磨工程S70の後、ガラス基板1に対してスクラブ洗浄処理が実施される。具体的には、精密研磨工程S70において使用した研磨パッドから精密研磨後のガラス基板1を取り外した後、ガラス基板1の表面に洗浄液を供給しつつ、圧縮応力層が形成されたガラス基板1の表面に対してスクラブ洗浄装置を用いてスクラブ洗浄を行なう。
ガラス基板1は、両面研磨機の研磨パッドから取り外された後、一時的に水中保管されてもよい。水中保管により、精密研磨後にガラス基板1の表面が乾燥することを防ぎつつ、精密研磨後のガラス基板1に付着している研磨滓または遊離砥粒等の異物の量を低減することができる。所定の時間だけガラス基板1を水中保管した後、ガラス基板1をスクラブ洗浄装置にセットし、ガラス基板1に対するスクラブ洗浄を行なう。
スクラブ洗浄としては、たとえば、洗剤または純水等の洗浄液が用いられる。スクラブ洗浄に用いられる洗浄液のpHは、9.0以上12.2以下であるとよい。この範囲内であれば、ζ電位を容易に調整でき、効率的にスクラブ洗浄を行なうことが可能となる。スクラブ洗浄としては、洗剤によるスクラブ洗浄と、純水によるスクラブ洗浄との双方を行なってもよい。洗剤および純水を用いることによって、より適切にガラス基板1を洗浄できる。洗剤によるスクラブ洗浄と純水によるスクラブ洗浄との間に、ガラス基板1を純水でさらにリンス処理してもよい。
スクラブ洗浄を行なった後に、ガラス基板1に対して超音波洗浄をさらに行なってもよい。洗剤および純水によるスクラブ洗浄を行なった後に、硫酸水溶液等の薬液による超音波洗浄、純水による超音波洗浄、洗剤による超音波洗浄、IPAによる超音波洗浄、およびまたは、IPAによる蒸気乾燥等を更に行なってもよい。
本実施の形態におけるガラス基板1の製造方法S100としては、以上のように構成される。ガラス基板1の製造方法S100を使用することによって、図2および図3に示す本実施の形態のガラス基板1を得ることができる。
(磁気薄膜形成工程S200)
スクラブ洗浄処理が完了したガラス基板1の主表面2,3(またはいずれか一方の主表面2,3)に対し、Fe−Pt系磁性材料を用いた磁気記録層が成膜される。これにより、図4および図5に示す情報記録媒体10を得ることができる。
(フロート法)
以下、図7および図8を参照して、本実施の形態おけるフロート法について説明する。図7は、ガラス基板成型工程におけるフロート法を示す模式図、図8は、フロート法に用いられるフロートバスにおけるガラス基板の成型工程を示す図である。
図7を参照して、フロート法においては、溶解槽1100、清澄槽1200、フロートバス1300、および、除冷ライン1400がこの順番で設けられる。溶解槽1100に導入されたガラス原料は、約1600℃以上の温度で溶融ガラスとなり、清澄槽1200に送り込まれる。
清澄槽1200に送り込まれた溶融ガラスは、清澄槽1200において、溶融ガラスは、約1300℃〜1200℃に温度を低下させる。この状態で押されながら進行するうちに、溶融ガラス中の泡が溶融ガラス中に吸収・消失される。
約1100℃程度にまで低下した溶融ガラスは、フロートバス1300に流れ込む。このフロートバス1300でガラス板の形状の成型される。フロートバス1300には、プールのように溶融金属(液状に溶けた錫(スズ))が蓄えられている。フロートバス1300の内部は、錫を参加させないように雰囲気ガス(窒素と水素との混合気体等)が充填され、電気ヒーター等を用いて温度制御されている。
フロートバス1300に流れ込んだ溶融ガラスは、水面に油が浮かぶように、錫の液面上を広がりながら進行する。溶融ガラスの比重は(たとえば、2.5)、錫の比重(たとえば6.5)よりも軽いため、溶融ガラスは錫の液面上に浮かぶことができる。溶融ガラスの錫と接する面(下面)は、錫の水平面が反映され平面(水平面)となる。溶融ガラスの上面は、重力により水平面となる。その結果、溶融ガラスは、約600℃程度にまで冷却されながら、平行平面の板ガラスに成型される。
除冷ライン1400に搬送された板ガラスは、ガラスの内部に温度差による歪が生じないよう、ゆっくりと搬送されながら冷却される。除冷ライン1400により冷却された板ガラスは、次工程において所定の大きさの板ガラスに切断される。
本実施の形態において、上記フロートバス1300における溶融ガラスの成型において、溶融ガラスの粘度は、logη=4.0(dPa・s)程度の粘度が基準となる。溶融ガラスが、上記粘度で、その温度が1100℃以上であると、溶融錫の蒸発が速く、溶融ガラスへの拡散速度が大きくなる。
よって、液相温度(TL)以上でフロートバス1300に流出した高温の溶融ガラスに対して、logη=3.6(dPa・s)からlogη=4.0(dPa・s)までを少なくとも50℃/min以上で冷却(急冷)することで、溶融錫の溶融ガラスへの拡散を抑制することが可能となる。清澄槽1200の温度は液相温度TL以上とする。液相温度TL以下では、清澄槽1200で溶融ガラスの結晶化が進行して、ガラス基板が不透明になるからである(失透が発生する)。
図8を参照して、フロートバス1300に対する溶融ガラスに対する冷却について説明する。上述したように、フロートバス1300の内部には、プールのように溶融錫2000が蓄えられている。清澄槽1200から押し出された溶融ガラス100は、フロートバス1300の流入口1310から溶融錫2000の表面に流し出される。
フロートバス1300に対する溶融ガラスに対する冷却は、溶融ガラス100がフロートバス1300の内部に流入した位置(流入口1310)から、溶融ガラスの流動方向に対して少なくとも50cm(図中の寸法L)以上先の冷却開始位置から溶融ガラス100の冷却を開始する。50cm未満の場合、溶融ガラス100がフロートバス1300内で充分に拡がらず(図示の垂直方向)、溶融ガラス100の厚みの制御に悪影響を与えるおそれがあるからである。
本実施の形態では、溶融ガラスの冷却は、送風機3100を用いた気体を吹きつける。気体の温度は、25℃〜30℃の室温程度で充分であるが、冷却装置を用いて所定の温度にまで冷却した気体を用いてもよい。気体には、フロートバス1300内に充填されている雰囲気ガスを乱さないために、雰囲気ガスと同じ、窒素と水素との混合気体等を用いるとよい。
図9に示すように、他の冷却手段として、冷却開始位置に冷却ローラ320を配置して、冷却ローラ320を溶融ガラスの表面に接触させて溶融ガラスを冷却してもよい。冷却ローラ320のような固体を溶融ガラスの表面に接触させることで、効率よく溶融ガラスの冷却を行なうことができる。冷却ローラ320には、SUS、セラミック、耐火材料を用いるとよい。冷却ローラ320の内部に冷媒を循環させることで、さらに効率よく溶融ガラスの冷却を行なうことができる。
図10に示すように、さらに他の冷却手段として、冷却開始位置(L1)から一定間隔(L2)の位置に、堰2100および堰2200を設け、堰2100および堰2200で囲まれた領域の溶融錫2000の温度を、温度制御手段2300を用い、他の領域よりも低い温度に制御して、溶融ガラス100の冷却を行なってもよい。溶融錫2000の温度の制御は、冷却手段を用いた溶融錫2000の温度管理、または、溶融錫2000の量の管理による温度管理が挙げられる。
(実施例)
以下に示す実施例1−8、および比較例1−4のガラス基板の製造方法を用いて製造した磁気記録用媒体を用いてHDD動作テストを行なった。
フロートバス1300での、溶融ガラスの冷却開始粘度、冷却終了粘度、冷却速度を変更してガラス基板作製した。いずれの実施例および比較例においても、ガラス組成は、SiOが63wtパーセント、Alが2wt%、NaOが3wt%、KOが9wt%、MgOが5wt%、CaOが10wt%、ZrOが8wt%であるガラスを用いた。
このガラスの液相温度(TL)は3時間の失透試験を行った結果、1180℃であった。Tg(ガラス転移点)は670℃であった。粘度の測定は、白金球引き上げ法にて測定を行ない、図11に示す粘度曲線が得られた。logη=4.0(dPa・s)での温度は約1125℃であった。
フロートバス1300の前工程の清澄槽1200での温度は1250℃とした。フロートバス1300での冷却開始位置(L1)は50cmとし、その位置でのガラス粘度がlogη=3.4(dPa・s)で、温度は1200℃であった。フロートバスの溶融スズ温度は600℃にした。
(実施例1)
実施例1においては、冷却開始位置(L1)での溶融ガラスの粘度は、logη=3.6(dPa・s)である。
溶融ガラス100の冷却には、図8に示す送風機3100を用いた。冷却気体の温度は、25℃〜30℃の室温程度であり、フロートバス1300内の雰囲気ガスと同じ気体を用いた。
溶融ガラスの冷却終了粘度は、logη=4.0(dPa・s)、降温速度は、50℃/分である。
(実施例2)
実施例2においては、冷却開始位置(L1)での溶融ガラスの粘度は、logη=3.4(dPa・s)である。溶融ガラス100の冷却は、実施例1と同じである。
溶融ガラスの冷却終了粘度は、logη=4.0(dPa・s)、降温速度は、50℃/分である。
(実施例3)
実施例3においては、冷却開始位置(L1)での溶融ガラスの粘度は、logη=3.6(dPa・s)である。溶融ガラス100の冷却は、実施例1と同じである。
溶融ガラスの冷却終了粘度は、logη=4.2(dPa・s)、降温速度は、50℃/分である。
(実施例4)
実施例4においては、冷却開始位置(L1)での溶融ガラスの粘度は、logη=3.6(dPa・s)である。溶融ガラス100の冷却は、実施例1と同じである。
溶融ガラスの冷却終了粘度は、logη=4.0(dPa・s)、降温速度は、100℃/分である。
(実施例5)
実施例5においては、冷却開始位置(L1)での溶融ガラスの粘度は、logη=3.4(dPa・s)である。溶融ガラス100の冷却は、実施例1と同じである。
溶融ガラスの冷却終了粘度は、logη=4.2(dPa・s)、降温速度は、200℃/分である。
(実施例6)
実施例6においては、冷却開始位置(L1)での溶融ガラスの粘度は、logη=3.4(dPa・s)である。
溶融ガラス100の冷却は、図9に示す冷却ローラ320を用いた。冷却ローラ320には、SUS304を用いた。冷却ローラ320の温度は、600℃にした。
溶融ガラスの冷却終了粘度は、logη=4.2(dPa・s)、降温速度は、250℃/分である。
(実施例7)
実施例7においては、冷却開始位置(L1)での溶融ガラスの粘度は、logη=3.6(dPa・s)である。
溶融ガラス100の冷却は、図10に示す溶融錫2000の温度を制御する方法を用いた。フロートバス1300の全長は約10mとし、L1=1mの位置に堰2100を設け、L2=4mの位置に堰2200を設けた。堰2100と堰2200とに囲まれた領域の溶融錫2000の温度を500℃に制御した。他の領域の溶融錫2000の温度は、600℃である。
溶融ガラスの冷却終了粘度は、logη=4.2(dPa・s)、降温速度は、50℃/分である。
(比較例1)
比較例1においては、冷却開始位置(L1)での溶融ガラスの粘度は、logη=3.6(dPa・s)である。溶融ガラス100の冷却は、実施例1と同じである。
溶融ガラスの冷却終了粘度は、logη=3.9(dPa・s)、降温速度は、50℃/分である。
(比較例2)
比較例2においては、冷却開始位置(L1)での溶融ガラスの粘度は、logη=3.7(dPa・s)である。溶融ガラス100の冷却は、実施例1と同じである。
溶融ガラスの冷却終了粘度は、logη=4.0(dPa・s)、降温速度は、50℃/分である。
(比較例3)
比較例3においては、冷却開始位置(L1)での溶融ガラスの粘度は、logη=3.6(dPa・s)である。溶融ガラス100の冷却は、実施例1と同じである。
溶融ガラスの冷却終了粘度は、logη=4.0(dPa・s)、降温速度は、40℃/分である。
(比較例4)
比較例4においては、冷却開始位置(L1)での溶融ガラスの粘度は、logη=5.5(dPa・s)である。溶融ガラス100の冷却は、実施例1と同じである。
溶融ガラスの冷却終了粘度は、logη=6.8(dPa・s)、降温速度は、200℃/分である。
上記実施例1−8および比較例1−4によって得られたガラス基板を用いて、図6に示すフローチャートに基づき、磁気記録媒体を製造した。磁気記録層に用いる磁性材料としては、熱アシスト記録用に好適な磁性層材料として、Fe−Pt合金を用い、600℃×1時間の熱処理を施して、磁気記録媒体を完成させた。
<読み取りエラー回数の測定>
上記実施例1−8および比較例1−4によって得られたガラス基板を用いて製造した磁気記録媒体を、図1に示す情報記録装置に搭載し、15000rpmで動作させた際の読み取りエラー回数を測定し、その評価を行なった。その結果を図12に示す。
評価は各実施例および各比較例で100枚に対して行ない、読み取りエラー回数の総数をそれぞれ図12に示した。エラー回数が0〜2回は、評価「A」、エラー回数が3〜5回は評価「B」、エラー回数が6回以上は、評価「F」とした。エラー発生個所をSEM−EDX(エネルギー分散型X線分光法)で分析した結果、エラー発生した全ての磁気ディスクにより錫(Sn)が確認された。
図12に示す実施例1−実施例8の評価結果から、冷却開始位置での溶融ガラスの粘度がlogη=3.6(dPa・s)以下であり、上記溶融ガラスの粘度がlogη=4.0(dPa・s)以下となるまでの間を、50℃/分以上の速度で冷却するとよいことが確認できた。
比較例1は、終了粘度がlogη=3.9(dPa・s)と低すぎたため、冷却終了後も錫(Sn)の拡散が進行した。比較例2は、開始粘度がlogη=3.7(dPa・s)と高すぎたため、すでに錫(Sn)の拡散が進行していた。比較例3は、降温速度が40℃/分と遅かったため、錫(Sn)の拡散を十分に抑制することができなった。比較例4は、開始粘度がlogη=5.5(dPa・s)と高すぎたため、すでに錫(Sn)の拡散が進行していた。
以上、本実施の形態おける情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によれば、フロート法におけるフロートバスの工程で、溶融ガラスの下面での錫(Sn)の拡散を抑制することにより、熱アシスト向けの磁気記録媒体のSNR品質を向上させることを可能としている。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 ガラス基板、2,3 主表面、4 内周端面、5,15 孔、6 外周端面、10
情報記録媒体、12 圧縮応力層、14 磁気記録層、20 筐体、21 ヘッドスライダー、22 サスペンション、23 アーム、24 垂直軸、25 ボイスコイル、26 ボイスコイルモーター、27 クランプ部材、28 固定ネジ、30 情報記録装置、100 溶融ガラス、320 冷却ローラ、1100 溶解槽、1200 清澄槽、1300 フロートバス、1400 除冷ライン、2000 溶融錫、3100 送風機、2100,2200 堰、2300 温度制御手段。

Claims (9)

  1. 溶解槽、清澄槽、フロートバス、および、除冷ラインの順番で、ガラス原料を前記溶解槽で溶融ガラスとし、前記溶融ガラスを、前記清澄槽、前記フロートバス、および、前記除冷ラインを通過させて、板状ガラスに成型するフロート法を用いた、板ガラスの製造方法であって、
    前記フロートバス内では、加熱により溶融した溶融錫の表面に前記溶融ガラスが浮かべられ、
    前記溶融ガラスは、粘度logη=4.0(dPa・s)における温度が1100℃以上であり、
    前記清澄槽の内部温度は、前記溶融ガラスの液相温度以上であり、
    前記フロートバス中において、50℃/分以上の降温速度で前記溶融ガラスを冷却する工程を含み、
    前記溶融ガラスを冷却する工程は、
    前記溶融ガラスが前記フロートバスの内部に流入した位置から、前記溶融ガラスの流動方向に対して少なくとも50cm以上先の冷却開始位置から前記溶融ガラスの冷却を開始し、
    前記冷却開始位置での前記溶融ガラスの粘度がlogη=3.6(dPa・s)以下であり、前記溶融ガラスの粘度がlogη=4.0(dPa・s)以上となるまでの間を、50℃/分以上の速度で冷却する、
    板ガラスの製造方法。
  2. 溶解槽、清澄槽、フロートバス、および、除冷ラインの順番で、ガラス原料を前記溶解槽で溶融ガラスとし、前記溶融ガラスを、前記清澄槽、前記フロートバス、および、前記除冷ラインを通過させて、板状ガラスに成型するフロート法を用いた、板ガラスの製造方法であって、
    前記フロートバス内では、加熱により溶融した溶融錫の表面に前記溶融ガラスが浮かべられ、
    前記溶融ガラスは、粘度logη=4.0(dPa・s)における温度が1100℃以上であり、
    前記清澄槽の内部温度は、前記溶融ガラスの液相温度以上であり、
    前記フロートバス中において、50℃/分以上の降温速度で前記溶融ガラスを冷却する工程を含み、
    前記溶融ガラスを冷却する工程は、
    前記溶融ガラスの粘度がlogη=3.6(dPa・s)からlogη=4.0(dPa・s)となるまでの間を、50℃/分以上の速度で冷却する、
    板ガラスの製造方法。
  3. 前記溶融ガラスを冷却する工程は、前記溶融ガラスに気体を吹きつける、請求項1または請求項2に記載の板ガラスの製造方法。
  4. 前記溶融ガラスを冷却する工程は、前記溶融ガラスに固体を接触させる、請求項1または請求項2に記載の板ガラスの製造方法。
  5. 前記溶融ガラスを冷却する工程は、前記フロートバス中の前記溶融スズの温度を制御する、請求項1または請求項2に記載の板ガラスの製造方法。
  6. 前記板ガラス基板は、情報記録媒体用ガラス基板用である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の板ガラスの製造方法。
  7. 前記情報記録媒体用ガラス基板は、熱アシスト記録向けの情報記録媒体用のガラス基板である、請求項6に記載の板ガラスの製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の板ガラスの製造方法によって得られた板ガラスから円環状のガラス基板を形成する処理を含むことを特徴とする、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  9. 請求項8に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によって得られた情報記録媒体用ガラス基板の表面に少なくとも磁性膜を形成することを特徴とする、情報記録媒体の製造方法。
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