以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物として複数の住戸を有するアパート等の集合住宅を想定している。また、本実施形態では、建物を枠組壁工法により構築されたスチールハウスとして具体化している。なお、図1は建物における屋根部周辺を示す正面図であり、図2は屋根部12の構成を示す斜視図である。
図1に示すように、建物10は、建物本体11と、その上方に設けられた屋根部12とを備える。建物10には複数の住戸14が設けられており、それら各住戸14が建物10の桁行方向(以下、建物桁方向ともいう)に沿って並んで配置されている。各住戸14はそれぞれ住戸内空間として、建物本体11に形成された居室空間15と、屋根部12に形成された屋根裏空間16とを備える。
隣接する住戸14同士の間には界壁18(戸境壁)が設けられている。界壁18は、隣接する住戸14同士を互いに仕切るものである。この界壁18によって隣接する住戸14間における耐火性能や防音性能が確保されるようになっている。界壁18は、居室空間15の床面から屋根裏空間16に亘って上下に延びるように設けられ、隣り合う住戸14の居室空間15同士を仕切る居室界壁19と、隣り合う住戸14の屋根裏空間16同士を仕切る屋根裏界壁20とを備える。
図2に示すように、建物本体11には、その外周部に沿って複数の外壁パネル21が設けられている。なお、図1では外壁パネル21の図示を省略している。外壁パネル21は、外壁面材22と、その裏面側に固定された外壁フレーム23とを備える。外壁フレーム23は、上下方向に延びる複数のスタッド24と、これら各スタッド24の上下の端部同士を横方向に連結する一対のランナ(図示略)とを備える。外壁パネル21上には、複数の外壁パネル21に跨がって建物桁方向に延びる軒桁25が載置されている。
屋根部12は、切り妻式の屋根として構成されている。屋根部12は、建物本体11上に建物桁方向に沿って横並びで設けられた複数の屋根トラス30と、それら屋根トラス30上に架け渡されて設けられた複数の野地板40とを備える。なお、図2では便宜上、屋根部12において棟27を挟んだ両側の各傾斜屋根部28のうち一方側(図2の紙面手前側)の傾斜屋根部28については野地板40の図示を省略している。
屋根トラス30は、屋根の傾斜方向に沿って異なる方向に延びる一対の上弦材31と、それら各上弦材31の下部に跨がって延びる下弦材32と、上弦材31及び下弦材32の間に設けられる斜材33及び束材34を備え、これら各トラス材31〜34が互いに連結されることにより構成されている。屋根トラス30は、全体として略二等辺三角形状をなしており、いわゆるキングポストトラスとして構成されている。
上弦材31、下弦材32、斜材33及び束材34はいずれもリップ溝形鋼(いわゆるC形鋼)により構成されている。上弦材31と下弦材32とはそれぞれ溝開口を横方向(換言すると屋根トラス30の短手方向)に向けて配置されており、ガセットプレート35を介して互いに連結されている。また、各上弦材31はそれぞれ下端側が下弦材32よりも斜め下向きに延出しており、その延出した部分が屋根部12の軒先部分を構成するものとなっている。かかる構成の屋根トラス30は、下弦材32が軒桁25上に載置された状態で設置されており、下弦材32が連結金具39を介して軒桁25に対して固定されている。
建物本体11上において建物桁方向の両端部にはそれぞれ妻壁37が設置されている。妻壁37は、外壁パネル21上に載置された状態で設置されており、屋根トラス30に対して平面視で平行となる向きで配置されている。妻壁37は、屋根トラス30と同じ略二等辺三角形状に形成されており、その大きさ(正面視の大きさ)が屋根トラス30よりも一回り小さくなっている。
屋根裏界壁20は、隣り合う2つの屋根トラス30の間に設けられており、屋根トラス30に対して平面視で平行となる向きで配置されている。図3に屋根裏界壁20の構成を示す。図3において(a)が屋根裏界壁20の構成を示す正面図であり、(b)が同構成を示す横断面図である。なお、図3(b)は図3(a)のA−A線断面図に相当する。
図2及び図3に示すように、屋根裏界壁20は、屋根トラス30と同じ略二等辺三角形状に形成されている。屋根裏界壁20は、その大きさ(壁面正面視の大きさ)が屋根トラス30よりも一回り小さくなっており、妻壁37と同じ大きさで形成されている。
屋根裏界壁20は、界壁フレーム41と、界壁フレーム41を挟んで両側に設けられた一対の石膏ボード42と、界壁フレーム41の内部に設けられたロックウール43とを備える。界壁フレーム41は、屋根の傾斜方向に沿って異なる方向に延びる一対の斜材45と、それら各斜材45の下端部に跨がって延びる横材46とを備え、それら斜材45及び横材46が互いに連結されることにより全体として略二等辺三角形状をなしている。斜材45及び横材46はそれぞれ溝形鋼よりなり、互いの溝開口を内側に向けた状態で配置されている。なお、界壁フレーム41においては、屋根トラス30とは異なり、斜材45が横材46よりも斜め下向きに延出していない。
界壁フレーム41は、さらに斜材45と横材46との間に設けられ、それら斜材45及び横材46を上下に繋ぐ複数の縦材47を備える。縦材47はリップ溝形鋼(いわゆるC形鋼)よりなり、その幅寸法(詳しくはウェブ部の長さ)が横材46及び斜材45の幅寸法(詳しくはウェブ部の長さ)よりも小さくなっている。
縦材47は、そのウェブ部を互いに向き合わせた状態で設けられる2つの縦材47a,47bを一組として、複数組の縦材47a,47bが屋根裏界壁20の横幅方向(横材46の長手方向)に沿って所定の間隔で配置されている。この場合、2つの縦材47a,47bは、屋根裏界壁20の厚み方向に位置をずらして配置されている。
石膏ボード42は優れた耐火性能及び遮音性能を有しており、界壁フレーム41と同じ大きさでかつ同じ形状を有して形成されている。界壁フレーム41を挟んで両側の各石膏ボード42のうち一方は当該界壁フレーム41において縦材47aのフランジ部にビス等で固定され、他方は縦材47bのフランジ部にビス等で固定されている。なおここで、石膏ボード42が壁面材に相当する。
ロックウール43は、優れた耐火性能や防音性能を有する繊維状部材である。ロックウール43は、界壁フレーム41において各フレーム材45〜47により区画された複数の枠内スペースにそれぞれ配設されている。これにより、屋根裏界壁20の耐火性能や防音性能が高められている。なお、図2では便宜上、ロックウール43の図示を省略している。
界壁フレーム41の斜材45上には、同斜材45に沿って所定の間隔で複数(具体的には4つ)の野地板支持材49が設けられている。野地板支持材49は、リップ溝形鋼(いわゆるC形鋼)よりなり、斜材45に沿った長尺状とされている。各野地板支持材49はそれぞれ斜材45上において、その溝開口を屋根裏界壁20の厚み方向の一方に向けた状態で配置されており、当該斜材45の上面にビス等で固定されている。また、各野地板支持材49のうち、最も軒先側に配置された野地板支持材49はその一部が斜材45の下端部よりも斜め下向きに延出しており、この延出した部分により屋根部12の軒先部分が構成されている。
屋根裏界壁20は、上述したように居室界壁19上に設置されている。ここで、居室界壁19について簡単に説明すると、居室界壁19は、屋根裏界壁20と同じ横幅を有する矩形板状に形成されている。居室界壁19は、界壁フレーム51と、界壁フレーム51を挟んで両側に設けられた一対の石膏ボード52と、界壁フレーム51の枠内に組み込まれた図示しないロックウールとを備える。界壁フレーム51は、横並びに設けられた複数の縦材55と、それら各縦材55の上下端部間にそれぞれ架け渡された一対の横材56とを備え、それら縦材55と横材56とが互いに連結されることにより構成されている。具体的には、各縦材55はそれぞれ屋根裏界壁20の縦材47の直下に配置され、各縦材47と上下に並んで設けられている。
石膏ボード52は、優れた耐火性能及び遮音性能を有している。各石膏ボード52は、界壁フレーム51と同じ大きさでかつ同じ形状で形成されており、界壁フレーム51に対してビス等で固定されている。石膏ボード52の表面には図示しないクロス等の壁仕上げ材が貼り付けられ、この壁仕上げ材により居室界壁19の仕上げ面が形成されている。
かかる居室界壁19上に屋根裏界壁20が設置された状態では、界壁フレーム41の横材46と界壁フレーム51の横材56(詳しくは界壁フレーム51上端部の横材56)とが互いにビス等で固定されており、これにより屋根裏界壁20と居室界壁19とが互いに連結されている。この場合、居室界壁19と屋根裏界壁20とが上下に連続して配置され、居室空間15の床面から屋根裏空間16に亘って上下に連続して延びる界壁18が構築される。
また、かかる屋根裏界壁20の設置状態では、界壁フレーム41の斜材45が屋根トラス30の上弦材31に対して平行に延びる向きで配置されている。また、斜材45(詳しくは上フランジ部)の上面の高さ位置が上弦材31(詳しくは上フランジ部)の上面の高さ位置よりも低くなっており、より詳しくは傾斜屋根部28の傾斜面(屋根傾斜面)に対して直交する方向において斜材45(詳しくは上フランジ部)の上面が上弦材31の上面よりも下側に位置している(図5参照)。また、界壁フレーム41の野地板支持材49(詳しくはフランジ部)の上面が屋根トラス30の上弦材31の上面と同じ高さ位置に、詳しくは上弦材31の上面と同一平面上に位置している。
以上のように、建物本体11上には、複数の屋根トラス30と、一対の妻壁37と、複数の屋根裏界壁20とが建物桁方向に沿って横並びで設けられており、平面視ではこれら各部材20,30,37が互いに平行となって配置されている。これら各部材20,30,37は所定の間隔で配置されており、詳しくは等間隔で配置されている。但し、これら各部材20,30,37は必ずしも等間隔で配置する必要はなく、屋根の強度が確保できさえすれば各部材20,30,37の配置間隔(ピッチ)は任意としてよい。そして、これら各部材20,30,37の上には野地板40が架け渡され、野地板40の上には図示しない瓦等の拭き材が設けられている。
屋根部12において横並びに設けられた各屋根トラス30、各妻壁37及び各屋根裏界壁20は、転倒防止を図る等の目的で、連結材を介して互いに連結されている。以下、かかる連結構造について詳しく説明する。
複数の屋根トラス30のうち屋根裏界壁20を挟まずに隣り合う屋根トラス30同士は、つなぎ材61や雲筋交い62を介して互いに連結されている。つなぎ材61は、隣り合う屋根トラス30同士を水平方向に連結する長尺状の連結材である。つなぎ材61は、屋根トラス30の上部及び下部にそれぞれ配置されている。屋根トラス30の上部に配置されたつなぎ材61aは両端部がそれぞれ各屋根トラス30の上弦材31の下面に連結され、屋根トラス30の下部に配置されたつなぎ材61bは各屋根トラス30の下弦材32の上面に連結されている。
雲筋交い62は、隣り合う屋根トラス30を斜めに連結する長尺状の連結材である。雲筋交い62は、その両端部がそれぞれ各屋根トラス30の縦材47に連結されている。この場合、つなぎ材61及び雲筋交い62はいずれも各屋根トラス30に対してトラス内側で連結されるものとなっている。
また、隣り合って配置された屋根トラス30と妻壁37とについても、これと同様、つなぎ材61及び雲筋交い62を介して互いに連結されている。なお、妻壁37上には野地板40を支持するための支持材38が建物桁方向に延びる向きで設けられており、その一端部が屋根トラス30に連結されているとともに他端部が屋根部12のけらば側に延出している。この支持材38によって野地板40をけらば側で支持するようになっている。
屋根裏界壁20を挟んで隣り合う2つの屋根トラス30の間には、屋根裏界壁20の上方を跨いで界壁上屋根パネル65が架け渡されている。これらの屋根トラス30は界壁上屋根パネル65を介して互いに連結されており、またこの界壁上屋根パネル65には屋根裏界壁20が連結されている。以下、界壁上屋根パネル65を介した各屋根トラス30と屋根裏界壁20との連結構成について図4及び図5に基づいて説明する。図4は、界壁上屋根パネル65の背面図であり、図5は界壁上屋根パネル65の設置構成を示す断面図である。また、図5は、屋根の傾斜方向(換言すると上弦材31や斜材45の長手方向)と直交する方向で切断した断面図であり、図2のB−B線断面図に相当する。
なお、以下の説明では便宜上、界壁上屋根パネル65を介して連結される2つの屋根トラス30の符号にそれぞれA及びBを付す。また、これらの屋根トラス30A,30Bは、互いの上弦材31及び下弦材32のウェブ部を向き合わせた状態で配置されている。
図4に示すように、界壁上屋根パネル65は、全体として矩形形状をなしている。界壁上屋根パネル65は、矩形板状の野地板40と、その裏面側に設けられた複数(具体的には2つ)の屋根フレーム66とを備える。界壁上屋根パネル65は、予め製造工場において製造されるものとなっており、これにより施工現場での作業負担の軽減が図られている。なお、以下の説明では便宜上、界壁上屋根パネル65を構成する野地板40の符号にAを付すこととする。
屋根フレーム66は、矩形枠状をなしており、野地板40の幅方向に沿って互いに平行に延びる一対の横フレーム材67と、各横フレーム材67の端部同士を連結する一対の傾斜フレーム材68とを備える。横フレーム材67と傾斜フレーム材68とはいずれもリップ溝形鋼(いわゆるC形鋼)よりなる。各横フレーム材67はいずれも溝開口をそれら横フレーム材67の並ぶ並び方向の一方側に向けて配置され、各傾斜フレーム材68は互いの溝開口を向き合わせて配置されている(図5も参照)。そして、横フレーム材67と傾斜フレーム材68とは図示しないアングル等の連結部材を介して互いに連結されている。なおここで、横フレーム材67がトラス連結材に相当する。
2つの屋根フレーム66は、各横フレーム材67の並ぶ並び方向において所定の間隔を隔てて並べられている。この場合、各屋根フレーム66の各々の横フレーム材67、計4つの横フレーム材67がそれぞれ横並びに配置され、各屋根フレーム66の各々の傾斜フレーム材68が一列に並んで配置されている。
野地板40Aは、例えばパーティクルボードよりなる。野地板40Aは、その横幅、詳しくは横フレーム材67の長手方向における横幅が屋根フレーム66の同方向の横幅よりも大きくなっている。野地板40Aは、当該横幅方向の両端部をそれぞれ屋根フレーム66に対して側方に延出させた状態で同フレーム66にビス等で固定されている。この場合、野地板40Aにおいて屋根フレーム66から延出した上記の部分は延出部70となっており、この延出部70が引っ掛け部に相当するものとなっている。なお、野地板40Aは、図示のように複数枚に分割して構成されていてもよい。
図2及び図5に示すように、界壁上屋根パネル65は、横フレーム材67が建物桁方向に沿って延び、かつ、傾斜フレーム材68が屋根(傾斜屋根部28)の傾斜方向(すなわち屋根トラス30の上弦材31の長手方向)に沿って延びる向きで、隣り合う屋根トラス30A,30Bの間に架け渡されて設けられている。この場合、界壁上屋根パネル65は、野地板40Aの各延出部70をそれぞれ屋根トラス30A,30Bの上弦材31(詳しくはそのフランジ部)の上面に載置した状態で架け渡されている。
かかる界壁上屋根パネル65の架け渡し状態では、各屋根フレーム66がそれぞれ各屋根トラス30A,30Bの間に配設されている。この場合、屋根フレーム66における各傾斜フレーム材68のウェブ部68aが屋根トラス30A,30Bの上弦材31のウェブ部31a(側面部に相当)と対向配置されており、それら対向し合うウェブ部31a,68a同士がビス等で互いに連結されている。これにより、屋根フレーム66がそれぞれ各屋根トラス30A,30Bに固定され、ひいては屋根フレーム66を介して各屋根トラス30A,30Bが互いに固定されている。また、野地板40Aの各延出部70はそれぞれ屋根トラス30A,30Bの上弦材31の上面にビス等で固定されている。
なお、界壁上屋根パネル65の設置状態では、各屋根フレーム66がそれぞれ各屋根トラス30A,30Bにおける斜材33及び束材34を挟んで両側に配置されている。すなわち、本界壁上屋根パネル65では、各屋根フレーム66の位置が斜材33及び束材34と干渉しない位置に設定されている。
また、界壁上屋根パネル65は、屋根裏界壁20上に載置された状態で設置されている。この場合、界壁上屋根パネル65において各屋根フレーム66の各々の横フレーム材67がそれぞれ界壁フレーム41の斜材45上に載置されている。具体的には、各横フレーム材67がそれぞれ斜材45上において各野地板支持材49の間に配設されている。この場合、斜材45上では各横フレーム材67と各野地板支持材49とが斜材45の長手方向に沿って交互に並べて配置されている。
互いに交差(詳しくは直交)する向きで配置された横フレーム材67と野地板支持材49とはL字状のアングル部材71を介して互いに連結されている。アングル部材71は、直角をなす2つの板部71a,71bのうち一方の板部71aが横フレーム材67のウェブ部67aにビス等で固定され、他方の板部71bが野地板支持材49のウェブ部49aにビス等で固定されている。これにより、アングル部材71を介して横フレーム材67と野地板支持材49とが連結されており、ひいては野地板支持材49を介して屋根フレーム66(ひいては界壁上屋根パネル65)と界壁フレーム41とが連結されている。
また、界壁上屋根パネル65の野地板40Aは屋根裏界壁20の各野地板支持材49の上面に載置されており、これら各野地板支持材49の上面に対してビス等で固定されている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
屋根裏界壁20を挟んで隣り合う2つの屋根トラス30A,30Bを連結する横フレーム材67(ひいては屋根フレーム66)を屋根裏界壁20の上方を跨いで設けるとともに、その横フレーム材67を屋根裏界壁20の界壁フレーム41に連結した。つまり、2つの屋根トラス30A,30Bと屋根裏界壁20との3者を横フレーム材67を介して互いに連結した。そのため、この横フレーム材67によりこれら3者の転倒防止が図られている。そして、この横フレーム材67は、屋根裏界壁20の上方を跨いで設けられているため、屋根裏界壁20において界壁フレーム41に石膏ボード42を取り付けるにあたり横フレーム材67が邪魔になることがない。したがって、石膏ボード42を界壁フレーム41に取り付けるにあたり、石膏ボード42に横フレーム材67との干渉を回避するための切り欠きを形成する加工作業を行わなくて済むため、屋根裏界壁20を構築する上で施工工数の低減を図ることができる。
また、横フレーム材67を屋根裏界壁20の下方に配置する構成としても横フレーム材67が石膏ボード42と干渉するのを回避することは可能であるが、その場合、横フレーム材67が居室界壁19と屋根裏界壁20との境界部に配置されることとなるため、それら各界壁19,20の連続性が横フレーム材67によって断たれてしまうおそれがある。その場合、耐火性能の面で不利となる。この点、横フレーム材67を屋根裏界壁20の上方に配置する構成では、屋根裏界壁20と居室界壁19との連続性を確保することができ、各界壁19,20の石膏ボード42,52を上下に継ぎ目なく配置することができる。そのため、上記の不都合を回避しつつ、屋根裏界壁20を構築するに際し施工工数低減を図ることができる。
界壁フレーム41の斜材45の上面を屋根トラス30の上弦材31の上面よりも低い位置に設定し、横フレーム材67を斜材45上に載置して当該斜材45に連結するとともに、その両端部をそれぞれ各屋根トラス30A,30Bの上弦材31のウェブ部31a(側面部に相当)に連結した。この場合、横フレーム材67を上弦材31と同じ高さ位置に配置することが可能となるため、上弦材31上及び横フレーム材67上に跨がって野地板40を設置することが可能となる。
横フレーム材67の上面を屋根トラス30の上弦材31の上面と同一平面上に位置させることで野地板40Aを載置する載置面とした。この場合、屋根裏界壁20と各屋根トラス30A,30Bとを連結するための横フレーム材67を、野地板40Aを載置するための支持部材として兼用することができるため、横フレーム材67の多機能化を図ることができる。また、野地板40Aの荷重を横フレーム材67を介して屋根裏界壁20に伝えることができるため、屋根裏界壁20によっても野地板40Aの荷重の一部を支えることができる。そのため、屋根裏界壁20の設置箇所だけ野地板40の支持強度が低下してしまうのを抑制することができる。
横フレーム材67を屋根傾斜方向(上弦材31の長手方向)に沿って所定の間隔で複数配置し、それら各横フレーム材67の端部同士を傾斜フレーム材68を介して連結することで屋根フレーム66を形成した。そして、その屋根フレーム66の各傾斜フレーム材68をそれぞれ各屋根トラス30A,30Bの上弦材31のウェブ部31aに固定した。この場合、屋根フレーム66を介して隣り合う屋根トラス30A,30Bの上弦材31同士が連結されるため、屋根トラス30A,30B同士を強固に連結することが可能となる。また、屋根フレーム66は屋根裏界壁20の界壁フレーム41にも連結されるため、屋根裏界壁20の支持強度を高めることもできる。
界壁フレーム41の斜材45上において横フレーム材67が連結された連結部位とは異なる部位に野地板40Aを下方から支持する野地板支持材49を取り付けた。この場合、斜材45の上面を野地板40が載置される上弦材31の上面よりも低くした構成にあって、野地板40Aの荷重を野地板支持材49を介して屋根裏界壁20により支持することができる。これにより、屋根裏界壁20の設置部分だけ野地板40の支持強度が低下してしまうのを抑制することができる。
複数の横フレーム材67と、それら各横フレーム材67上に跨がって設けた野地板40Aとを含んで界壁上屋根パネル65を構成したため、製造工場において界壁上屋根パネル65を製造しておけば、施工時にはその界壁上屋根パネル65を屋根裏界壁20を挟んで隣り合う2つの屋根トラス間30A,30Bに設置するだけで複数の横フレーム材67を一挙に屋根トラス30A,30B間に配設することができる。これにより、横フレーム材67を複数用いる構成にあって施工工数を大いに削減することができる。
また、界壁上屋根パネル65において、野地板40Aには横フレーム材67の両端に対してそれぞれ側方に延出するとともに各屋根トラス30A,30Bの上弦材31上に引っ掛けられる一対の延出部70(引っ掛け部に相当)を設けた。これにより、各延出部70をそれぞれ各屋根トラス30A,30Bの上弦材31上に引っ掛けることで、界壁上屋根パネル65を各屋根トラス30A,30Bの間に架け渡すことができるため、施工時にはかかる架け渡し状態で界壁上屋根パネル65を屋根トラス30A,30Bや屋根裏界壁20(界壁フレーム41)に連結する作業を行える。これにより、施工作業をより一層容易なものとすることができる。
斜材45上には、野地板支持材49と横フレーム材67とをそれぞれ複数ずつ設け、それら複数の野地板支持材49と複数の横フレーム材67とを斜材45の長手方向に沿って交互に並べた。この場合、界壁上屋根パネル65を各屋根トラス30A,30Bの間に架け渡した状態において、各横フレーム材67がそれぞれ隣り合う野地板支持材49の間に配置されるため、界壁上屋根パネル65が屋根の傾斜に沿ってずれ落ちるのを防止することができる。このため、界壁上屋根パネル65の設置に際し、当該屋根パネル65をずれ落ちないように支えるといった煩わしい作業を行う必要がなくなりその設置作業を好適に行うことが可能となる。
界壁上屋根パネル65を、横フレーム材67と傾斜フレーム材68とを矩形枠状に連結してなる屋根フレーム66を含んで構成したため、界壁上屋根パネル65の剛性を高めることができる。これにより、界壁上屋根パネル65の設置作業時や搬送時に当該屋根パネル65が変形するといった不都合が生じるのを抑制することができる。
横フレーム材67と野地板支持材49とを互いに交差(直交)するように配置し、それら両部材49,67のウェブ部49a,67a(側面部)同士をL字状のアングル部材71を介して連結した。この場合、横フレーム材67と界壁フレーム41とが野地板支持材49を介して互いに連結される。ここで界壁上屋根パネル65を製造工場にて製造し、施工現場にて同パネル65を設置することで複数の横フレーム材67を屋根トラス30A,30B間に配置する上述の構成では、界壁上屋根パネル65を設置後、横フレーム材67を界壁フレーム41(斜材45)に上方から連結する際、野地板40が邪魔となって作業がしにくいことが考えられる。この点、横フレーム材67と野地板支持材49とをアングル部材71を介して連結する構成では、野地板40の下方(屋根裏空間)にて横フレーム材67及び野地板支持材49に対して側方から連結作業を行うことができるため、作業性の面で好ましい構成といえる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、トラス連結材としての横フレーム材67を各屋根トラス30A,30Bの上弦材31のウェブ部31a(側面部に相当)に連結したが、これを変更して、各屋根トラス30A,30Bの上弦材31の下面部(つまり下フランジ部)に連結してもよい。屋根裏界壁20の大きさを上記実施形態のものよりもさらに小さくすれば、かかる連結構成とすることも可能である。すなわち、かかる連結構成としても横フレーム材67を屋根裏界壁20の上方を跨いで配置することが可能である。
また、かかる構成では、横フレーム材67の上面が屋根トラス30の上弦材31の上面よりも低い位置に配置されることとなるため、横フレーム材67上に別途野地板支持材を設け、同支持材の上に野地板40を載置するようにしてもよい。そうすれば、かかる構成であっても横フレーム材67により野地板40を下方から支持することができる。また、かかる支持材を設けないで横フレーム材67により野地板40を下方から支持しない構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、屋根裏界壁20上に、野地板40Aを下方から支持する野地板支持材49を設けたが、野地板支持材49は必ずしも設ける必要はない。すなわち、横フレーム材67だけで野地板40Aを十分に支えることができるのであれば、野地板支持材49を不具備としてもよい。但し、横フレーム材67は屋根部12の軒先側には設けられていないため、横フレーム材67だけによる野地板40A支持の構成とすると、野地板40Aを軒先側で十分に支持することができないおそれがある。その点を鑑みると、各野地板支持材49のうち、少なくとも軒先側の野地板支持材49については設けるのが望ましい。
(3)上記実施形態では、屋根裏界壁20の界壁フレーム41を屋根トラス30とは異なる構成としたが、界壁フレームを屋根トラスにより構成してもよい。例えば、界壁フレームを屋根トラス30と同じキングポストトラスにより構成し、その大きさを屋根トラス30よりも一回り小さくすることが考えられる。この場合でも、各屋根トラス30A,30Bを連結する横フレーム材67を屋根裏界壁上を跨いで配置することができ、当該屋根裏界壁の界壁フレーム上に連結することができる。
(4)上記実施形態では、屋根裏界壁20と屋根トラス30Aとの間隔、及び屋根裏界壁20と屋根トラス30Bとの間隔をそれぞれ(屋根裏界壁20を挟まずに)隣り合う屋根トラス30の間隔と同じとしたが、これを変更してもよい。具体的には図6に示すように、屋根裏界壁20と屋根トラス30Aとの間隔をP1,屋根裏界壁20と屋根トラス30Bとの間隔をP2、屋根裏界壁20を挟まずに隣り合う屋根トラス30の間隔をPとした場合、P1+P2≦2P、かつ、0.5P≦P1,P2≦1.0Pの条件を満たしさえすれば、P1及びP2の大きさは任意としてよい。かかるピッチ条件を満たしさえすれば屋根トラス30A,30B及び屋根裏界壁20の支持強度を好適に確保することができる。なお、かかるピッチ条件を満たさない範囲でP1とP2の大きさを設定してもよい。
(5)上記実施形態では、各横フレーム材67を傾斜フレーム材68を介して屋根トラス30A,30Bの上弦材31のウェブ部31aに連結したが、傾斜フレーム材68を設けずに各横フレーム材67を直接上弦材31のウェブ部31aにアングル部材等を介して連結するようにしてもよい。
(6)上記実施形態では、野地板40、横フレーム材67及び傾斜フレーム材68を界壁上屋根パネル65としてユニット化し、同パネル65を製造工場で予め製造するようにしたが、これを変更して、野地板40、横フレーム材67、傾斜フレーム材68をそれぞれ施工現場において個別に設置するようにしてもよい。つまり、施工現場では、まず傾斜フレーム材68を各屋根トラス30A,30Bの上弦材31に取り付け、その後対向する各傾斜フレーム材68に対して各横フレーム材67の両端部を連結するとともにそれら横フレーム材67を屋根裏界壁20の界壁フレーム41に連結し、最後に野地板40をそれら横フレーム材67上に跨がるように設置固定するようにしてもよい。この場合にも、横フレーム材67を介して各屋根トラス30A,30Bと屋根裏界壁20とを互いに連結することができる。
また、このように各部材40,67,68を個別に設置する場合であっても、斜材45上に複数の野地板支持材49と複数の横フレーム材67とが斜材45の長手方向に沿って交互に並べられている構成では、施工の際まず斜材45上に各野地板支持材49を取り付け、その後斜材45上にて隣り合う野地板支持材49同士の間に各横フレーム材67をそれぞれ配置していけば、各横フレーム材67の設置位置が自ずと定まるため、横フレーム材67の位置決め作業を不要とすることができる。したがって、施工工数の増大を抑制することができる。
なお、この場合、各屋根トラス30A,30Bの上弦材31のウェブ部31aに横フレーム材67の端部を支持するフレーム支持部材を設けてもよい。そうすれば、各屋根トラス30A,30Bのフレーム支持部材上に横フレーム材67の両端部を載置させることで横フレーム材67を各屋根トラス30A,30B間に架け渡すことができるため、横フレーム材67の設置作業を容易にすることができる。
(7)上記実施形態では、屋根裏界壁20を挟まずに隣り合う屋根トラス30同士についてはトラス内側に配置されたつなぎ材61や雲筋交い62を介して連結したが、これらの屋根トラス30の連結についても、屋根裏界壁20を挟んで隣り合う屋根トラス30A,30B同士の連結と同様に、各トラス30の上弦材31のウェブ部31a(側面部)同士を横フレーム材(第2トラス連結材に相当)を介して連結するようにしてもよい。そうすれば、隣り合う屋根トラス30同士の連結構成を両者30の間に屋根裏界壁20が存在するか否かにかかわらず同じとすることができるため、施工作業性の点から都合がよい。
(8)例えば図7に示すように、屋根裏界壁20を挟んで隣り合う各屋根トラス30A,30Bをそれぞれ各々のトラス30A,30Bの斜材33及び束材34が互いに反対側(外側)を向くようにして設置すれば、界壁上屋根パネル65の屋根フレーム66について斜材33及び束材34との干渉を配慮する必要がなくなるため、屋根フレーム66を例えば図8に示すような構成とすることが可能となる。図8に示す界壁上屋根パネル75には、上記実施形態の界壁上屋根パネル65とは異なり、屋根フレーム80が1つだけ設けられている。屋根フレーム80は、矩形枠状をなしており、野地板40の幅方向に沿って互いに平行に延びる一対の横フレーム材81と、各横フレーム材81の端部同士を連結する一対の傾斜フレーム材82とを備える。界壁上屋根パネル75は、図7に示すように、各屋根トラス30A,30Bの間に架け渡され、その架け渡された状態において屋根フレーム80の各傾斜フレーム材82が各屋根トラス30A,30Bの上弦材31の側面部に固定されている。つまり、この場合傾斜フレーム材82が斜材33及び束材34と干渉することなく、界壁上屋根パネル75が設置されている。この場合、屋根フレーム80の構成を簡素化することが可能となる。
(9)近年では、例えば建物の二階部分において以前子供部屋等として用いていた空き部屋を改装し賃貸することが行われている。この場合、事後的に屋根裏空間に界壁を設置する必要が生じうる。そのため、このような場合に既設の建物に上記実施形態の屋根構造を適用して屋根裏界壁20を事後的に構築するようにしてもよい。
(10)上記実施形態では、切妻式の屋根に対して本発明を適用したが、寄せ棟式の屋根などその他の形状の屋根に本発明を適用してもよい。例えば寄せ棟式の屋根においては、大棟の下方において本発明の屋根構造を適用することができる。また、上記実施形態では、スチールハウスの建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物や、在来木造工法により構築される建物等、他の構造の建物に本発明を適用してもよい。