JP5972072B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真記録技術等を利用して記録材上に形成された未定着トナー画像を記録材に定着する定着装置を搭載する複写機やプリンタ等の画像形成装置に関するものである。
電子写真法など静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、その技術の発展と市場要求の拡大に伴い、複写機・プリンタなど現在様々な分野で利用されている。
特に近年においては、環境対応、低コスト化への要求が高まり、トナー消費量低減化技術が非常に重要となってきた。このトナー消費量を少なくする技術は、トナーを記録材に永久固着させる過程で発生するエネルギーを減少させるという観点からも重要で、特にオフィス系の電子写真方式を用いた画像形成装置においては、省エネルギー化という要求からも重要な役割を持つようになってきた。
特許文献1〜3には、定着後のトナー画像が必要とされる画像濃度となるように、高着色力のトナーを用いると共に記録材上に転写するトナー量を少なくすることが記載されている。
特開2004−295144号 特開2005−195670号 特開2005−195674号
しかしながら、上述した従来技術においても、以下のような解決しきれない課題が残されている。すなわち、トナーの顔料量を増やし、その分トナーの総載り量を減らせばトナーの消費量を減らす事が可能となるが、トナーの載り量を減らしていくと、単色ベタにおけるトナーが少なくなることでトナー間が密着できなくなり、凹凸がある記録材の表面をトナーで隠蔽できなくなる現象がおこる。このとき、文字・線画のかすれ・欠損といった画像不良が生じる。
またそのような状態で2次色(異なる色のトナーを2層重ねて形成する)では、異なる色のトナー同士が重なり合う領域が減っていくので、2次色の彩度が顕著に低下してしまい、色再現範囲が狭くなってしまう課題が生じる。
上述の課題を解決するための本発明は、
複数色のトナーが積層された未定着トナー画像を記録材に形成する画像形成部と、記録材に形成された未定着トナー画像を定着ニップ部で加熱及び加圧して記録材に定着させる定着部と、を有する画像形成装置において、前記画像形成部は、複数色のトナーを用いて画像を形成する場合、トナーの比重をρ(g/cm)、トナーの重量平均粒径をL(μm)とすると、各色において、記録材上の未定着トナー画像の最大載り量A(mg/cm)を
に設定しており、前記定着部は、トナー画像のドット伸び量(μm)が、
を満たすように未定着トナー画像を記録材に定着することを特徴とする。
本発明によれば、異なる色のトナーの良好な重なりによる2次色の彩度を向上させることができる。
画像形成装置の一例の構成模型図。 定着前後でのドット画像の状態の一例を示す模式図。 ドット伸び量と2次色(グリーン)彩度の関係を示す図。 実施例1の定着装置の概略断面図。 定着ローラを長手方向にスライドさせる方式の定着装置の正面断面図。 定着ローラスライド量とグリーンの発色性との関係を示す図。 1枚定着終了後の定着装置の状態を示す概略断面図。 定着ローラスライドの一連の動作を示す概略断面図。 連続2枚目以降通紙時の定着ローラスライドの一連の動作を示す概略断面図。 実施例2の定着装置の概略断面図。 実施例2の定着装置の上面図。 実施例2の定着装置の斜視図。 交差角を設けた時の定着画像を顕微鏡観察した結果を示す図。 交差角0°の時の定着画像を顕微鏡観察した結果を示す図。 交差角を設けた時の定着画像(グリーン部)を顕微鏡観察した結果を示す図。 交差角0°の時の定着画像(グリーン部)を顕微鏡観察した結果を示す図。 実施例3の定着装置の概略断面図。 実施例2の定着装置において記録材の上下面にかかる力を示す図。 記録材の上下面にかかる摩擦力の関係を示す図。 G領域の算出方法の説明図。 G領域と彩度の関係を示す図。 定着条件1による発色性評価結果を示す図。 定着条件2による発色性評価結果を示す図。 定着条件3による発色性評価結果を示す図。 トナー量と「単色および2次色のトナー層形成状態」を示す図。 トナー配置と染み出し現象の関係の説明図。 (a)はトナーの最密充填配列を示したモデル図、(b)は隙間tがあるトナーの配列を示したモデル図。 染み出し限界の説明図1 染み出し限界の説明図2 は染み出し限界の説明図3 トナーNo.1のドット伸び量に対する発色性評価結果を示す図。 トナーNo.2のドット伸び量に対する発色性評価結果を示す図。 トナーNo.3のドット伸び量に対する発色性評価結果を示す図。 ドット伸び量の下限条件を考察するモデル図。 実施例4の定着装置の概略断面図。 実施例4の離型層の硬度測定時における加熱ローラ断面模式図。 実施例4の定着装置の定着時における定着ニップ部の状態を説明するための模式図
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、これら実施例は、本発明における最良な実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
(画像形成部)
図1に示す画像形成装置内には第1、第2、第3、第4の画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdが併設され、各々異なった色のトナー画像が、潜像、現像、転写のプロセスを経て形成される。
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、それぞれ専用の像担持体、本例では電子写真感光ドラム3a、3b、3c、3dを具備し、各感光ドラム3a、3b、3c、3d上に各色のトナー画像が形成される。各感光ドラム3a、3b、3c、3dに隣接して中間転写体30が設置され、感光ドラム3a、3b、3c、3d上に形成された各色のトナー画像が、中間転写体30上に1次転写され、2次転写部で記録材P上に転写される。さらに記録材上に形成されたトナー画像は、定着部9で加熱及び加圧されて記録材に定着された後、記録画像として装置外に排出される。
感光ドラム3a、3b、3c、3dの外周には、それぞれドラム帯電器2a、2b、2c、2d、現像器1a、1b、1c、1d、1次転写帯電器24a、24b、24c、24d及びクリーナ4a、4b、4c、4dが設けられている。これらの上方部には画像情報に応じて感光ドラムに静電潜像を形成するためのレーザスキャナが設置されている。
現像器1a、1b、1c、1dには、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナーが収容されている。現像器1a、1b、1c、1dは、それぞれ感光ドラム3a、3b、3c、3d上の潜像を現像して、シアントナー画像、マゼンタトナー画像、イエロートナー画像及びブラックトナー画像として可視化する。
中間転写体30は矢示の方向に感光ドラム3と同じ周速度で回転駆動されている。感光ドラム3a上に形成された第1色であるイエロートナー画像は、感光ドラム3と中間転写体30とのニップ部を通過する過程で、中間転写体30に印加される1次転写バイアスの効果で中間転写体30の外周面に転写される。同様に第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次中間転写体30上に重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が中間転写体上に形成される。
11は2次転写ローラで、中間転写体30に接触させて配設してある。2次転写ローラ11には、2次転写バイアス源によって所望の2次転写バイアスが印加されている。中間転写体30上に重畳転写された合成カラートナー画像は、給紙カセット10からレジストローラ12を経て中間転写体30と2次転写ローラ11との当接ニップに搬送される記録材Pに転写される。このようにして、複数色のトナーが重なった未定着トナー画像が記録材上に形成される。この後、記録材は定着部9に搬送される。記録材上に形成された未定着トナー画像は定着部9の定着ニップ部で加熱及び加圧されて記録材に定着される。
一次転写が終了した感光ドラム3a、3b、3c、3dは、それぞれのクリーナ4a、4b、4c、4dによりクリーニングされる。また、中間転写体30もクリーナ19でクリーニングされる。
(定着装置)
本例の定着装置(定着部)9は、定着ニップ部で一枚の記録材を定着処理する期間中、トナー積層方向に対して垂直方向であり且つ一定方向のせん断力をトナー画像に対して付与し続けるものである。このような構成とする理由を以下説明する。
(ドット伸び量)
本例の定着装置では、トナーを、トナー積層方向に対して垂直な記録材の面内方向(記録材の面と平行な方向)に広げる力(本明細書では、この力をせん断力と表現する)を未定着トナー画像に対して付与している。その大きさを評価する指標として“ドット伸び量”を定義した。図2を用いて、ドット伸び量について説明する。図2(a)、(b)は本例の定着装置において、定着処理を行う前と行った後でのドット画像の状態の一例を示す模式図である。黒丸で示したのは定着処理前のトナーを用いて形成されたドット画像、灰色部は定着処理後であり、定着により溶け広がった状態を示している。図2(a)および(b)に示すように、本例の定着装置は、トナー積層方向に対して垂直な面内方向のせん断力がトナーに付与され、面内におけるせん断力の向きに大きくドット画像が伸びている。
この特徴を利用して、本例の定着装置が付与するせん断力の評価指標を設けた。まず、記録材P上に略円形の未定着の単色ドット画像(平均直径は20〜100μm程度)を形成する。次に、せん断力を付与する本例の定着装置で定着を行った後のドット画像径を測定する。このとき、ドット画像はせん断力の方向に伸びた形になるので、ドット画像の長軸方向の直径(長径)と、それとは直角方向の短軸方向の直径(短径)を測定する。長径から短径を差し引いた値を算出する。複数のドット画像に対して同様の計測を行い、その平均値をドット伸び量とした。
図3はドット伸び量と2次色(グリーン)の彩度の関係を示したグラフである。グリーンの彩度c=60程度の画像を基準(ドット伸び量0μm)にしてある。ドット伸び量が増加するにつれて彩度が増加する関係にある。ドット伸び量が大きいほどトナーにせん断力が作用し、トナーが記録材の面と平行な方向に広がって記録材Pを隠蔽し、特に2次色において異なる色のトナーが重なり合う領域が増加することで発色性(彩度)が向上する。以上のことから、定着装置によって未定着トナー画像に対して付与されるせん断力を評価する指標としてドット伸び量を用いた。
(定着装置の実施例1)
定着装置の実施例を以下に説明する。本実施例では定着ローラを回転させると同時に定着ローラ長手方向にも移動(スライド)させて、未定着トナーを溶かしながらトナーを引き伸ばしている。そして、未定着のトナー量が少ない場合(トナー層が少ない)においても、2次色の発色性を向上させることができる。以下詳細に説明する。
図4に本実施例における定着装置の概略断面図を示す。定着ローラ(未定着トナー画像と接触する第1の回転体)100は、外径φ40mmであり、φ36mmのアルミ製芯金104の外側にシリコーンゴムからなる弾性層105が形成されている。弾性層105の上には、トナー離型層としてPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)からなる離型層が30μm形成されている。本実施例では離型層として耐久性の優れるPFAチューブを使用した。離型層の材質としては、PFAの他に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂(FEP)等のフッ素樹脂を用いても良い。
加圧ローラ(第1の回転体と共に定着ニップ部を形成する第2の回転体)101は、本実施例では、定着ローラ100と同様の構成のものを用いた。つまり外径φ40mmであり、φ36mmアルミ製芯金104の外側にシリコーンゴムからなる弾性層105が形成され、最表層にはPFAからなる離型層が設けられている。加圧ローラ101は加圧バネ103によって図中矢印A1方向に400〔N〕の力で加圧されて定着ローラに接触し、記録材搬送方向の幅が9mmの定着ニップNを形成している。さらに加圧ローラ101は、駆動モータ1109(図5参照)により図中矢印R1方向に、表面速度117mm/secで回転する。加圧ローラ101の回転に従動して、定着ローラ100も表面速度117mm/secで回転する(図中矢印R2)。
定着ローラ100と加圧ローラ101の内部にはそれぞれハロゲンヒータ102が具備されている。ハロゲンヒータ102に電力供給することにより、ハロゲンヒータ102が発熱し、その熱が輻射伝熱や空気を介した伝熱により芯金104に伝わり、その後弾性層105と離型層が温まる。不図示の温度検知素子が定着ローラ100の表面に接触して配置されており、この温度検知素子の信号に応じてハロゲンヒータに供給する電力を制御することで、定着ローラ100の表面温度を調整している。
未定着トナー画像Tが転写された記録材Pが不図示の搬送手段により、定着ニップ部Nに搬送されると、定着ローラ100の熱が未定着トナー画像Tと記録材Pに伝わり、記録材Pの表面にトナー画像Tが定着される。
次いで、未定着トナー画像Tを溶かしながらトナーを引き伸ばす機構(せん断力を付与する機構)について以下に説明する。図5は本実施例における定着ローラを長手方向にスライドさせる方式の定着装置の正面断面図である。加圧ローラ101が駆動モータ1109によって矢印R1方向に回転し、定着ローラ100は矢印R2方向に従動回転する。定着ローラ100も加圧ローラ101も両端部のベアリング111によって滑らかに回転する。加圧ローラ101は長手方向に固定されているが、定着ローラ100は長手方向に移動(スライド)可能である。
定着ローラ100を長手方向にスライドさせる機構について説明する。定着ローラ100の両端部には側板金106が設けられており、側板金106はさらに移動支持板金107に固定されている。移動支持板金107にシャフト108が貫通しており、シャフト108の片端部はシャフト108を回転させるためのモータ109が配置されている。モータ109が矢印R3方向に回転すると、シャフト108も矢印R3方向に回転し、シャフト108の回転に伴い、移動支持板金107が矢印A2方向にスライドレール110に沿って滑らかに移動する。したがって移動支持板金107に固定されている定着ローラ100も矢印A2方向にスライドする。またモータ109が逆回転(矢印R4方向)すると、上記と同様の仕組みで定着ローラ100が矢印A3方向にスライドする。
このように定着ローラ100を回転させつつ長手方向にスライドさせながら記録材Pを定着ニップ部Nに通過させ、記録材P上の未定着トナーを定着させる。この時、記録材Pが定着ニップ部通過中に、定着ローラ100をスライドさせたことによって、記録材P上に定着ローラ100の表層が接触しなくなる領域がないようにしなければならない。そのためスライドさせる量に応じて、定着ローラ100の長手方向の長さを加圧ローラ101よりも長くしておく必要がある。図5に示したように、本実施例では定着ローラ100の長さを加圧ローラ101よりも2D(=D+D)だけ長くしている。ここで長さDは、定着ローラ100と加圧ローラ101の長手方向の中央を揃えた時に、加圧ローラ101端部から定着ローラ100端部までの長さを表している。長さDの設定については後述する。
上記のように定着ローラ100が矢印A2方向あるいは矢印A3方向にスライドする時、加圧ローラ101は長手方向に固定されスライドしないため、定着ニップ部Nにおいて記録材P上のトナーに定着ローラ100の移動方向と平行な剪断力が作用する。定着ローラ100を長手方向にスライドさせない構成では、記録材上のトナーには記録材に垂直な加圧力のみがトナーに作用するため、前述のメカニズムにより、トナー量が少ない時は2次色の発色性が著しく低下する。一方、本実施例のように加圧ローラ101を長手方向に固定して、定着ローラ100を長手方向にスライドさせた場合、記録材に垂直な加圧力以外に記録材に平行な剪断力(トナーを引き伸ばす力)がトナーに作用する。したがって、トナーを溶かしながら長手方向に引き伸ばすことができるため、前述のメカニズムにより、トナー量が少ない場合においても2次色の発色性を上げることが可能となる。
図6で、未定着トナー画像を担持する記録材Pが定着ニップ部Nを通過する時に、定着ローラ100がスライドする量と2次色(グリーン)の発色性(彩度)との関係(実験結果)を示す。記録材Pがコート紙でも普通紙でも、定着ローラのスライド量が増加すると発色性も増加する。ただしスライド量を増加していくと、ある値以上で彩度は飽和傾向になるため、彩度が飽和傾向を示し始めるスライド量を作用させれば十分な効果が得られる。図6の結果を得るために行なった実験では、定着ニップ部Nの幅が6.5mmであったので、定着ニップ部幅の約3%のスライド量(約200μm)で彩度が飽和することがわかる。つまり、記録材Pが定着ニップ部を通過中に、定着ローラ100を長手方向に200μm(定着ニップ幅の約3%の量)スライドさせれば、十分な彩度アップ効果が得られる。
ここで注意しなければならないことは、記録材Pが定着ニップNを通過する間に、定着ローラ100のスライド方向を変えてしまうと、スライド方向の向きを変える短い時間、定着ローラは長手方向に移動しないことである。その結果、定着された画像において、スライドの向きを変えた部分の発色性が低下してしまう。したがって、1枚の記録材Pが定着ニップNを通過する間は、定着ローラ100のスライド方向を一方向(A2方向あるいはA3方向)に固定する必要がある。すなわち、定着ニップ部で一枚の記録材を定着処理する期間中、トナー積層方向に対して垂直方向であり且つ一定方向のせん断力をトナー画像に対して付与し続けるのが好ましい。
ここで具体例として、A4サイズの記録材Pを横方向に定着ニップに通紙する場合について説明する。前述の理由から必要なスライド量を定着ニップ幅の3%とすると、A4サイズ記録材1枚が横方向に定着ニップを通過するまでに、図5の状態から定着ローラ100を矢印A2方向(矢印A3方向でもよい)に6.3mm(=210mm×3%)スライドさせることになる。このとき、定着ローラ100をスライドさせる速度はプロセススピードの3%となるため、本実施例では3.5mm/sec(=117mm/sec×3%)となる。図7に1枚定着し終わった後の定着装置の状態を示した。連続して2枚目を定着する場合は、逆にA3方向(1枚目にA3方向に移動した場合はA2方向)に6.3mmスライドさせれば図5の状態に戻る。さらに3枚目を連続して定着する場合は、1枚目と同様にA2方向にスライドさせてもよい。しかし、定着ローラ100の長手方向の同じ部分のみが記録材と接触すると、その部分の劣化が早まってしまう問題がある。したがって、3枚目を通紙する時は定着ローラ100を矢印A3方向にスライドさせるのが好ましい。図8に上記の定着ローラ100の一連の動作を示した。ただし記録材Pが定着ニップ部Nを通過する様子は図示していない。
図7に示したように、通紙前に定着ローラ100の端部と加圧ローラ101の端部を揃えておけば、A2方向に最大2Dのスライド量が確保できる。長さDの設定は製品の仕様に応じて決めればよい。本実施例の場合、画像形成装置で使用可能な記録材で最大の幅の記録材が19インチであるため、14.5mm(19×25.4mm×3%)が2Dの値となり、Dは約7.2mmとなる。2Dの値だけ加圧ローラ101よりも定着ローラ100を長くすれば良い。定着ローラ100と加圧ローラ101の長手中央部を揃えた状態、つまり図8の一連の動作で定着可能な記録材サイズは、A4、B5、レター、リーガル等になる。そしてそれ以外の19インチまでの大きな記録材サイズの場合は、1枚目を通紙する時に図7の状態から矢印A3方向にスライドさせることになる。連続して2枚目以降を通紙するときの一連の動作を図9で示した。ただしここでも記録材Pが定着ニップ部Nを通過する様子は図示していない。上記のような手順で定着する場合は、定着する記録材サイズに応じて、1枚目を通紙する前に定着ローラ100と加圧ローラ101の位置関係を図8の(1)か、あるいは図9の(2)に制御しておかなければならない。
上記の動作以外に、例えば長さDを14.5mmにすると、19インチまでのどの記録材サイズにおいても、図8で示した動作で連続して定着が可能となる。この時は、定着後に定着ローラ100と加圧ローラ101を長手中央で合わせるようにしておけば良い。ただし定着ローラ100の長手方向の長さは、定着装置を配置するスペースなどによって制約され、かつあまり長くすると定着ローラ端部からの放熱により省エネ性が損なわれてしまう。したがって定着装置を搭載する製品の仕様に合わせてスライド手段を決めていく必要がある。本実施例ではスライド量を定着ニップ幅の3%としたが、製品の仕様によって3%以下にしても良いし、効果の振れを考慮して3%以上にしても良い。
前述までは定着ローラ100を長手方向にスライドさせる例を説明したが、定着ローラ100を長手方向に固定し、加圧ローラ101を長手方向にスライドさせる構成を用いてもよい。その場合、定着ローラ100を周方向に駆動(回転)させ、加圧ローラ101を定着ローラ100に従動させる。また、加圧ローラ101をスライドさせるため、定着ローラ100よりも加圧ローラ101の長さを長くしなければならない。構成は図5の上下を逆にしたものになり、効果に関しても同様であるため、詳細説明は省略する。
ここまでは、定着ローラ100あるいは加圧ローラ101のどちらかを長手方向に固定し、固定されていない方を長手方向にスライドさせる構成について説明した。剪断力を作用させるために、定着ローラ100と加圧ローラ101の両方をスライドさせても良い。ただし定着ローラ100と加圧ローラ101が同じ方向かつ同期させてスライドした場合、当然剪断力は発生しないので効果は得られない。定着ローラ100と加圧ローラ101を逆方向、あるいは同方向でも非同期にスライドさせれば剪断力は発生し同様の効果が得られる。定着ローラ100あるいは加圧ローラ101のどちらかをスライドさせる場合には、定着ニップNを通過する際に記録材が多少蛇行するが、定着ローラ100と加圧ローラ101を逆方向に同じ量だけスライドさせる場合には記録材の蛇行が抑制される利点がある。
以上説明したように、定着ローラ100と加圧ローラ101の長手方向に移動する速度に差をつければ、定着ニップNにおいて長手方向に剪断力が発生し、2次色の発色性向上が可能となる。表1はスライド動作を行わない場合と、既に述べた条件でスライド動作を行ったとき(スライド量=定着ニップ幅の3%)の2次色(グリーン)パッチを、X−Rite社製分光濃度計530によって測定した、色度a、bと彩度cの一例を示している。
この結果からスライド動作を行うことで彩度がアップしていることが判る。このとき、ドット伸び量は約21μmであった。
以上のように、本実施例の定着装置は、定着ニップ部で一枚の記録材を定着処理する期間中、第1の回転体と第2の回転体の少なくとも一方が回転方向とは異なる所定方向にスライドし続けることにより、定着ニップ部で一枚の記録材を定着処理する期間中、トナー積層方向に対して垂直方向であり且つ一定方向のせん断力をトナー画像に対して付与し続けるものである。
なお、以上説明した構成においては、定着側も加圧側もローラを用いた構成であるが、前述の効果を得られるのであればローラ構成に限ったものではない。また加熱源としてハロゲンヒータを用いた定着装置で説明したが、電磁誘導加熱式の定着装置やセラミックヒータを用いた定着装置に適用しても構わない。
(定着装置の実施例2)
定着装置9として図10に示す上下に圧接した回転体対としての定着ローラ(第1の回転体)201と加圧ローラ(第2の回転体)202とで記録材を挟持搬送しながら回転して記録材にトナー画像を加熱する定着装置を用いた。また定着装置9には後述するように定着ローラの母線と、加圧ローラの母線が平行の関係から捩れている方式の定着装置を用いた。
定着ローラ201は、基層としての鉄、アルミニウム等のパイプ状の芯金と、芯金上に設けた弾性層としての耐熱シリコーンゴム層と、弾性層上に表層として設けた高離型性材料であるフッ素樹脂層との3層構造になっている。この表層は、定着時にトナーが定着ローラにオフセットしてしまうのを抑制する機能を果たしている。従ってこの表層には、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等により構成されたフッ素樹脂層とするのが好ましい。
弾性層の厚みは、1mm以上5mm以下が好ましい。弾性層の厚みが1mm未満場合、定着ローラ201の硬度が高く、耐熱シリコーンゴムを変形させてニップ幅を取ることが難しい。逆に、弾性層の厚みが5mmを超えると、熱源が基層である芯金内にあるため、基層と表層との温度差が大きくなり、耐熱シリコーンゴムが劣化し易くなる。したがって、弾性層の厚みは、1mm〜5mm程度が好ましい。
本例の定着ローラ201は、直径が60mm、厚みが3mm、内径が54mmのアルミニウム製の筒状芯金を用い、外周に弾性層としてJIS−A硬度で20度の厚さ2.5mmのシリコーンゴムを設けてある。そして、その弾性層の外周には、表層であるPFA製の厚さが50μmのチューブを被覆してある。なお、表層のチューブは、PFA、PTFE製であってもよい。定着ローラ201は、チューブ状に成形したPFA製の表層と、この表層に挿入された芯金との間に弾性層となるJIS−A硬度10度の液状のシリコーンゴムを注入して、焼成することによって、形成されている。
加圧ローラ202は、定着ローラと同じように鉄、アルミニウム等のパイプ状の芯金と、芯金上に設けた弾性層としての耐熱シリコーンゴム層と、弾性層上に表層として設けた高離型性材料であるフッ素樹脂層との3層構造になっている。芯金上に厚み2mmのシリコーンゴムの弾性層を設け、その外周にフッ素樹脂の離型層としての表層を設けて形成されている。この加圧ローラ202は、不図示の駆動機構によって回転する定着ローラ201との間にニップ部を形成して、定着ローラ201に従動回転するようになっている。
加圧ローラ202の弾性層は、定着ローラ201と加圧ローラ202との間にニップを形成できるようにするため、LTV(Low Temperature Vulcanization)若しくはHTV(High Temperature Vulcanization)のシリコーンゴムを用いて芯金上に形成されている。弾性層は弾性が小さいと、トナー画像の凹部の未定着や、トナーの潰れによる画像の解像度の低下をもたらすので、適当な大きさの弾性を備えている必要がある。
以上の構成で、必要な定着ニップ部幅(記録材の搬送方向の長さ)を10mmにするため、定着ローラ201への加圧ローラ202の圧接力(加圧力)を800Nに設定してある。
定着ローラ201の芯金は、中空の筒体に形成されており、その中空内には発熱部としてのハロゲンヒータ203が内在されている。ハロゲンヒータ203が定着に必要な熱を定着ローラ201に供給するようになっている。定着ローラ201には、定着ローラ201の温度を測定するサーミスタ(温度検知素子)204が接触している。定着ローラ201の温度制御は、温度変化にともなうサーミスタ204の抵抗値変化から定着ローラ201の温度を検知して、不図示の制御装置により、ハロゲンヒータ203のON/OFFを制御し、定着ローラ201の温度を所定の温度に維持するようになっている。
図11および図12は本例の定着装置の上面図と斜視図である。定着ローラ201と加圧ローラ202は、各々の芯金軸線が平行な状態から捻れの関係を持っている(第2の回転体は第1の回転体に対して交差角がつけられている)。図11は定着ローラと加圧ローラを上から見た投影図であり、定着ローラ201と加圧ローラ202の芯金軸線は交差角θの角度で捻れの関係を持っている。図12の斜視図に、説明のために交差角θを大きく表現した図を示す。図中のFuは定着ローラ軸線に直角な方向で、記録材上面に加わる力を示す。同じように図中のFdは加圧ローラ軸線に直角な方向で、記録材下面に加わる力を示す。FsはFdとFuの差分ベクトルであり、ニップ内で加わるせん断力の方向を示している。すなわちニップ内のトナーはFsの方向にせん断力を受けながら加熱定着されることになり、このせん断力によって記録材面内方向に広がりやすくなる。なお、記録材は定着ローラ201、あるいは加圧ローラ202いずれかの軸線に対して垂直な方向に通紙される。これにより、記録材が定着ニップ中を通過する間にローラ長手方向のどちらか決められた方向に連続的にせん断力が付与される。
交差角θが大きくなると、ニップ内で発生するせん断力が大きくなるので、トナーの面内に掛かる力が大きくなり、面内での広がり効果は大きくなる。しかし、記録材面内のせん断力が大きくなると、定着ローラや加圧ローラの表面のストレスが大きくなるので、表層の耐久性が問題となる。
通常は薄肉芯金の定着ローラと加圧ローラを加圧すると、各々の軸心が撓みの影響をうけ、両端部のニップ形状が太い逆クラウン形状のニップとなる。一方で、交差角をつけると、幾何学的に両端部のニップが狭くなるので、交差角θは、両端部のニップ幅が中央部のニップ幅よりも略同等以上の幅となるように設定することが好ましい。もし定着ローラおよび加圧ローラの撓み以上に交差角θが大きく設定すると、両端部のニップ幅が中央部よりも細くなるため、記録材シワなどの問題が発生する。そのため交差角θは約0.15度から3度の範囲が望ましく、本実施例においては約1.0度に設定することによって、中央部のニップ幅が10mm、両端部のニップ幅が10.5mmとした。
図13は本実施例においてコート紙上のトナーを定着した後の状態を顕微鏡で観察した図である。図中の黒い領域(点線囲み部)はトナードット画像1つの定着後の状態であり、定着ニップ内で記録材の面と平行な方向のせん断力と、進行方向の合力によって、斜め方向(矢印方向)に伸びた形状となっていることがわかる。比較のために、本実施例と同じローラを用い、交差角θをゼロに設定した通常の熱ローラ定着による定着画像を図14に示す。図14では記録材面横方向のせん断力が無く、記録材面垂直方向の加圧力しかないので、ほぼ円形のトナー画像となっている。
図15は本実施例において粒径約6.0μmのイエロー、マゼンタ、シアンのフルカラートナーを、各色0.30mg/cmの載り量で記録材上に重ねて画像形成し、その後定着した定着済み画像の、グリーン部分の拡大顕微鏡画像をフォトショップ(アドビシステムズ社)の画像処理によってレッドチャンネルのみを示した図である。図ではレッドチャンネルでグレースケール化されているので、図で暗い箇所はシアン濃度が濃い箇所であり、白箇所はイエローが濃い箇所と略同義である。図15においても図中の矢印の方向にトナーが伸び広げられている事が判る。
比較のために図16に、同じ条件で未定着トナー画像を形成した後に、交差角θをゼロに設定した通常の熱ローラ定着によって定着したグリーン部分の定着画像を示す。図16の状態ではナーには記録材面垂直方向の加圧力しかないので、記録材の面と平行な方向には伸ばされておらずトナーが未定着の状態で作られた配置と略同じ配置で定着されている。
表2は図15と、図16のグリーンパッチを、X−Rite社製分光濃度計530によって測定した、色度a、bと彩度cの値を示している。
この結果から図15の状態では図16の状態に対して、彩度がアップしていることが判る。このときのドット伸び量は約20μmであった。
以上のように、本実施例の定着装置は、未定着トナー画像と接触する第1の回転体と、第1の回転体に対して交差角がつけられており第1の回転体と共に定着ニップ部を形成する第2の回転体と、を有し、定着ニップ部で一枚の記録材を定着処理する期間中、トナー積層方向に対して垂直方向であり且つ一定方向のせん断力をトナー画像に対して付与し続けるものである。
(定着装置の実施例3)
図17は定着装置9の一例の概略断面図である。熱源を有し回転可能な加熱ローラ(第1の回転体)300と、加熱ローラ300に圧接して定着ニップを形成する回転可能な加圧ローラ(第2の回転体)307からなり、定着ニップ部Nでトナー画像を担持した記録材Pを挟持搬送しながら、トナー画像を加熱・加圧して記録材P上に定着させる。
加熱ローラ300は、熱伝導性の良い金属(アルミニウムや鉄など)の中空芯金301と、この外側にシリコーンゴムなどの弾性層302と、この弾性層302の表面を被覆するPFAなどの離型層303を設けている。中空芯金301の内側には熱源としてハロゲンヒータ304が配置されている。ハロゲンヒータ304の動作は温度制御装置305で制御される。温度制御装置305はサーミスタ306で検知された加熱ローラ300の表面温度に基づき、ハロゲンヒータ304の動作に対する出力制御を行う。
加圧ローラ307は、金属(アルミあるいは鉄など)の芯金308と、この芯金308の外側にシリコーンゴムなどの弾性層309と、この弾性層309の表面を被覆するPFAなどの離型性層310からなる。
加熱ローラ300と加圧ローラ307はそれぞれ駆動用モータM1、M2によって独立に回転駆動する。
図17中の定着ニップ部N付近の矢印は、定着ニップNにおいて作用する力の向きであり、加熱ローラ300と加圧ローラ307の回転力と、その相対差から生じる力を示している。本実施例は加熱ローラ300と加圧ローラ307の回転速度に差を設ける(周速差を設ける)ことで、定着ニップ部Nにおいてせん断力を付与している。回転速度差が大きいほどせん断力が大きくなり、トナーを面内方向に広げるので、発色性向上効果が大きくなる。しかしながら、回転速度差を大きくし過ぎると、過度にトナーがずれ、特に文字やライン画像の乱れが顕著に表れる。よって回転速度差を適正な範囲に設定することで、本発明の効果が得られる。
以上のことを鑑みて、本実施例での定着動作条件の一例としては加圧ローラ307の回転速度321mm/secに対して加熱ローラ300の回転速度を315mm/secとした(加圧ローラ回転速度の約2%減)。このとき、約10mm幅の定着ニップ部Nを記録材Pが通過する時間内において、加熱ローラ300は加圧ローラ307に対して相対的におよそ200μm程度滑っている。またこのとき、記録材Pも定着部材に対して滑りながら搬送される。表3は周速差0%のとき、周速差2%のときでのグリーンパッチを、X−Rite社製分光濃度計530によって測定した、色度a、bと彩度cの値を示している。
この結果から周速差を設けることで彩度がアップしていることが判る。このとき、ドット伸び量は約4μmであった。
トナーにかかるせん断力と記録材Pの搬送方向が同じ向きでも効果が得られるが、図17に示すように、トナーにかかるせん断力と記録材Pの搬送方向が逆向きである方が、相対的にトナーを面内方向に広げる力が増すので、より効果的である。
なお、発色性向上効果の大きさは、主に載り量、定着条件、記録材によって異なる。載り量が少なく、トナーが重なり合う領域が少ない状態において特に効果が大きい。また、トナーが十分溶融する定着条件、例えば高温、長時間(低速度)、低粘度トナーであるほど、トナーが記録材の面方向に広がり、効果が大きくなる。さらに、表面の平滑な記録材であるほど、定着部材と記録材の密着度が増し、面内方向の分力が無駄なくトナーに伝わるので、効果が大きくなる。
また、効果を得るために必要な回転速度差は、記録材Pとそれに接する定着部材、加圧部材との滑り性(摩擦力)によって異なるが、結果として記録材P上のトナー画像を面内方向に広げることができれば、発色性向上の効果が得られる。
以上のように、本実施例の定着装置は、未定着トナー画像と接触する第1の回転体と、第1の回転体とは異なる周速で回転し第1の回転体と共に定着ニップ部を形成する第2の回転体と、を有し、定着ニップ部で一枚の記録材を定着処理する期間中、トナー積層方向に対して垂直方向であり且つ一定方向のせん断力をトナー画像に対して付与し続けるものである。
(定着ローラおよび加圧ローラの表面)
上述の実施例1〜3の定着装置において、定着ローラと記録材の摩擦係数(最大摩擦係数)が加圧ローラと記録材の摩擦係数(最大摩擦係数)よりも低い構成をとることによって、本発明の効果をより安定的に得ることが可能となる。すなわち定着ローラの表層には、純粋なPFA樹脂を用いており、加圧ローラにはカーボン、酸化ケイ素(シリカ)などのフィラーを添加したPFA樹脂を用いたり、フッ素ゴムとフッ素樹脂の混合エラストマーであるラテックスを表層に用いることによって、定着ローラよりも高い摩擦係数を得ることが可能である。また加圧ローラ表面に少量のオイルを塗布する塗布ローラを当接させ、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどのゴム表層を用いることによって、定着ローラよりも高い摩擦係数を得ることも可能である。本実施例ではダイキン社製のラテックスを表層に用いた加圧ローラを用いた。
また定着ローラと記録材画像面、および加圧ローラと記録材裏面との間の摩擦係数は、記録材の表面状態、トナーの載り量、トナーの溶融状態によって変化する。たとえば記録材の表面状態はコート紙などの表面性が良い記録材は摩擦係数が高い傾向がある。また、記録材上のトナーの量とトナーの溶融状態によっても摩擦係数が異なる。例えば一般的な記録材と純粋なPFAの摩擦係数(最大摩擦係数)は0.25程度である。また記録材面上にトナーがある場合において、ハーフトーン画像などでは0.27程度であり、ベタ画像がニップ内でトナーが十分溶融している場合には0.2程度となる。このように、定着条件によって、定着ローラ表面と記録材の摩擦係数が0.2〜0.3程度に変化する。
ちなみに摩擦係数μは、記録材と定着ローラを一定の加重Nで加圧した状態で引っ張り、動かすために必要な力Fを測定しF=μNの関係から求められる。
加圧ローラ表層にラテックスを用いた場合の最大摩擦係数は、一般的な記録材とトナーが裏面にある場合などを想定しても0.3〜0.4程度であった。
以上より、本発明の効果をより効果的に得るためには、定着ローラと記録材面の摩擦係数(最大摩擦係数)の最大値が、加圧ローラと記録材面の摩擦係数(最大摩擦係数)の最小値よりも小さい構成をとすると良い。
加圧ローラと定着ローラとの摩擦係数の差は、ゼロより大きいほど良いが、大きすぎる場合には加圧ローラの摩擦係数が上がりすぎる事になる。摩擦係数が上がりすぎると、傾向としてトナーの離型性が悪化するため好ましくない。そのため加圧ローラと定着ローラとの摩擦係数の差は1以下が望ましい。
図18に一例として上述した実施例2である交差角をもつ定着装置において、記録材面の上面と下面に掛かる力を示す。図中の定着ローラから記録材上面が受ける力をFuとし、加圧ローラから記録材下面が受ける力をFdとして表記し、Fu1は定着ローラの摩擦力が最大の状態を示し、Fu2は定着ローラの摩擦力が最小の状態を示している。同じようにFd1、Fd2は、加圧ローラの摩擦力の最大と最小の状態を示している。
摩擦力に最大から最小までの幅が発生するのは、前述したような摩擦係数が、記録材の表面状態、トナーの載り量、トナーの溶融状態によって変化するからである。
図19(A)は定着ローラと記録材上面の摩擦力Fuが、加圧ローラと記録材下面の摩擦力Fdよりも高い状態での、ニップ内の記録材面内方向に掛かる記録材上面と下面の力の関係を示す図である。このような状態は、例えば定着ローラ表面の摩擦家数よりも加圧ローラ表面の摩擦係数が小さい材料を用いた場合や、記録材の上面がハーフトーン、下面がベタ画像である場合などに発生しやすい。
この状態では記録材上面の摩擦力が記録材下面の摩擦力よりも大きいので、記録材は加圧ローラ表面でスリップを起こし、図18のFu1方向に搬送される。またこの状態では、定着ローラ表面と記録材上面がグリップし、記録材下面がスリップしているので、トナー表面にかかるせん断力の効果が小さくなってしまう。
図19(B)は定着ローラと記録材上面の摩擦力Fuが、加圧ローラと記録材下面の摩擦力Fdよりも低い状態での、ニップ内の記録材面内方向に掛かる記録材上面と下面の力の関係を示す図である。このような状態は、例えば定着ローラ表面の摩擦係数よりも加圧ローラの摩擦係数が大きい材料を用いた場合や、記録材の上面がベタ画像、下面がハーフトーン画像である場合などに発生しやすい。
この状態では記録材上面の摩擦力が記録材下面の摩擦力よりも小さいので、記録材は定着ローラ表面でスリップを起こし、図18のFd1方向に搬送される。またこの状態では、加圧ローラ表面と記録材下面がグリップし、記録材上面がスリップしているので、トナー表面にかかるせん断力の効果が発揮される。
本実施例では、加圧ローラ表面にラテックスを用いた事で、定着ローラの摩擦抵抗が加圧ローラの摩擦抵抗よりも低くなり、常に図19(B)の状態となるので、記録材搬送方向がFu1の方向で安定する。また定着ローラ表面でのせん断力の効果も安定し、2次色の彩度が安定的に向上する。
比較のために、定着ローラ表面と加圧ローラ表面に同じPFA樹脂を用いた条件では、定着ローラ表面と加圧ローラ表面の摩擦係数が同程度で0.2〜0.3となる。そのため、記録材の表面状態、トナーの載り量、トナーの溶融状態によって、記録材上面と下面の摩擦力が変化するので、図19(A)と図19(B)の状態の両方が前述の条件によって変化してしまう。そのため、定着の状態によって記録材の搬送方向がランダムになってしまい、出力口での記録材の出力方向がランダムになる。その結果、定着済みの記録材を積載するトレー上での整合性や積載性が悪くなったり、両面プリント時の表面と裏面の画像印字精度がばらつくなどの不具合が生じてしまう。さらに定着ローラ表面でのせん断力の効果も不安定となり、2次色の彩度が向上しない場合も生じてしまう。
表4は、本例の定着ローラの摩擦係数が、加圧ローラの摩擦係数よりも小さい場合と、比較のために定着ローラと加圧ローラの摩擦係数が略同等である場合における、記録材搬送方向安定性と、2次色の彩度向上効果を比較検討した結果である。
この検討には、ハーフトーンの未定着トナー画像を形成した記録材、ベタの未定着トナー画像を形成した記録材、2次色ベタの未定着トナー画像を形成した記録材、および画像を形成していない記録材を用いた。記録材搬送方向安定性は、本実施形態においてはどの条件においても略同一方向で、±0.5mm以内の精度であったために○と判断したが、比較例においては搬送方向のバラつきが大きく、±0.5mm以上であったため×と判断した。また2次色の彩度アップの効果に関しては、本例ではどの条件においても彩度cが80程度であり、彩度アップ効果としては10程度であったため○と判断したが、比較例においては、彩度cが75程度の場合もあり、彩度アップ効果にバラつきがあるため△と判断した。
(トナー配列状態と発色性の関係)
重量平均粒径と比重の異なる4種のトナーを用いて画像形成を行い、記録材上の単色載り量を0.3mg/cmから0.5mg/cmの範囲で変化させた未定着ベタ画像を準備した。ベタ画像は記録材上の下層がシアン、上層がイエローで、2次色グリーン(載り量0.6mg/cm)を形成した。これらを従来定着装置(せん断力なし)と本発明の定着装置(せん断力印加)とを用いて定着を行い、画像評価を行った。用いた定着装置、および定着条件は以下の通りである。
定着装置:(実施例1:スライド方式)
定着条件
1:せん断力無し スライド動作を行わない(従来定着、通常条件)
定着温度 180℃
荷重 400N
プロセススピード117mm/sec
2:せん断力無し スライド動作を行わない(従来定着、溶融促進条件)
定着温度 160℃
荷重 400N
プロセススピード 39mm/sec
3:せん断力有り スライド動作を行う(実施例1の定着装置)
定着温度 180℃
荷重 400N
プロセススピード 117mm/sec
せん断力 ドット伸び量20μm相当
定着条件1を基準として、定着条件2はプロセススピードを遅くすることで定着時間を長くし、十分に溶融が促進されるように設定した。この際、過剰溶融によって定着部材表面にトナーが付着(ホットオフセット)しないようにするため、定着温度はやや下げてある。定着条件3は定着条件1に実施例1のようなスライド動作を加えたせん断力を印加する条件である。
評価記録材:コート紙(坪量128g/m
用いたトナーは以下の4種である。
(No.1)
コニカミノルタ製 bizhub PRO C6500トナー
重量平均粒径:6.9μm
比重:1.13g/cm
(No.2)
シャープ製 MX−7001Nトナー
重量平均粒径:6.4μm
比重:1.24g/cm
(No.3)
富士ゼロックス製 DocuCentre C6550トナー
重量平均粒径:5.8μm
比重:1.14g/cm
(No.4)
リコー製 imagio MP C7500トナー
重量平均粒径:5.1μm
比重:1.37g/cm
トナーの重量平均粒径はベックマンコールター(株)製 コールターカウンタを用いて測定した。また、トナーの比重は(株)島津製作所製 アキュピックIIを用いて測定した。
表5は、上記のトナーを用いてコート紙上に未定着トナー画像を形成し、各定着条件で未定着トナー画像を定着して、画像の発色性を評価した結果である。
各種トナー(No.1〜No.4)は、粒径L[μm]、比重ρ[g/cm]が異なっている。それぞれのトナーにおいてコート紙上への載り量A[mg/cm]を変えることで、トナーの配列状態を変化させている。なお、載り量H[μm]は載り量Aを比重ρで割った値で、「単位面積あたりのトナー体積」=「トナー層高さ」と同義である。これにより比重も考慮に入れた体積基準でトナー量を測り、正確にトナー配列状態を比べることができる。表5中の最密充填限界及び染み出し限界については後述する。
定着した画像の評価は、以下に説明する「G領域率」を算出して、基準以上、即ち、シアントナーとイエロートナーの重なり領域が広くグリーン色に見える領域が広い画像を○、基準未満、即ち、シアントナーとイエロートナーの重なり領域が狭くグリーン色に見える領域が狭い画像を×と判定した。
(G領域率算出方法)
2色重ね合わされて定着された画像から、色の重なって見える領域、ここではグリーン色に見える領域(以後G領域)の算出方法について説明する。
まず、定着後の画像を光学顕微鏡(OLYMPUS製;STM6−LM測定顕微鏡)で透過画像観察を行うと、シアン、イエロー、グリーン色に見える顕微鏡画像を得ることができる。各色トナーが重なっていない領域では、シアン、イエローの単色で見え、重なっている領域はグリーン色に見える。このときの顕微鏡画像取得条件は、以下のような設定で行った。
接眼レンズ:倍率10×
対物レンズ:倍率5×
実視野領域:4.4mm
開口数:0.13
光源フィルタ:透過用MM6−LBD
出力光量:MAX
また、上記条件で取得した画像を、画像ファイリングソフトウェア;FLVFS−FIS(OLYMPUS製)にて取り込み、保存を行った。このときのカメラプロパティは以下のような設定で行った。
シャッターグループ
モード:スロー
シャッタースピード:0.17[s]
レベルグループ
ゲイン R=2.13 G=1.00 B=1.74
オフセット R/G/B=±0
ホワイトバランス 画面中央にて
ガンマ R/G/B=0.67
シャープネス なし
Gain(Camera PGA−AMP)
R/G/B=1.34
次に、得られた顕微鏡画像において、観察領域内の光量が安定している中央部分をトリミングした。トリミングは、フォトショップ(アドビシステムズ社)で行い、画像中央部の2mm四方を選択した。なお、このトリミング作業は、観察領域内の光量が安定している領域について作業を行うためで、トリミングではなく観察領域内光量バランスのキャリブレーション等を行ってもよい。
次に、得られたトリミング画像から、2次色部分とそれ以外の部分で2値化処理ができ、2値化した部分の領域の大きさを算出できる画像処理ソフト(Image−Pro Plus;(株)プラネトロン製)を用いて、観察領域内における、G領域を算出する。
得られた顕微鏡透過画像のトリミング画像を、2次色とそれ以外の単色の部分あるいは背景色の部分、すなわち、グリーン色領域と、シアン・イエロー色・背景色領域で2値化を行う。ここではグリーン色に見える部分を取得画像内で閾値を設けて抽出し、この部分を白部として変換し、その他の色に見える部分を黒部として変換する。この2値化された画像に対して、白部の領域の個数カウント、及び、各白部の面積をカウントファイルにて保存する。得られた2値化画像の白部分の面積を、例えばエクセル(マイクロソフト社製)にて積算し、白部分の面積比率をG領域として算出した。
例えば、図20(a)のように見える画像に対して、上記の2値化処理を行うと、図20(b)のような黒部分/白部分の2値化画像を得る。この2値化画像において、白部分の割合を算出すると、G領域の割合が算出される。
例.G領域率(%)={(白部分の面積)/(白部分+黒部分の面積)}×100
={0.3×0.4/1.0×1.0}×100
=12%
(G領域率と彩度の関係)
図21は、トナーの載り量や定着条件を変えることで、様々なG領域率の画像サンプルを作成し、それぞれのグリーン彩度cを測定して、その関係を示したグラフである。なお、彩度cとは、色空間であるCIELAB空間の色座標である(L、a、b)において、c=(a*2+b*20.5で表される。色座標はGretag Macbeth Spectro Scan(Gretag Macbeth AG;StatusCode A)で測定した値である。G領域率が上昇するにつれて彩度C*も単調増加することが分かる。画像サンプルを目視で確認し、色のくすみ、薄さなど欠陥のない良好な発色性と感じられる彩度として、c75以上を評価基準とした。図21より、このときのG領域率をデータのバラツキも考慮して45%とした。以下に説明する画像評価結果の判定はG領域率45%以上を○、45%未満を×として表記した。
表5に示した評価結果をグラフにプロットしたものが図22、図23、図24である。図22は定着条件1(せん断力無し、従来定着)で定着した場合の画像評価結果をプロットしたものである。グラフの横軸は粒径L[μm]、縦軸は載り量H[μm]である。○評価の画像は2次色の重なりが十分にあり、良好な発色性が得られている。一方×評価の画像は2次色の重なり状態の低下が顕著であり、十分な発色性が得られていない。この結果を見ると、○評価の領域と×評価の領域に分かれていることが分かる。同程度の載り量Hであっても粒径Lが大きくなると○から×へ評価が変わる。また、同じ粒径Lであっても載り量Hが少なくなると○から×へ評価が変わる。この画像評価結果の境界の意味を明らかにするために、記録材上のトナー配列状態の観察およびトナー配列状態のパラメータ計算を行った。
図25は、トナー量と「単色および2次色のトナー層形成状態」についての観察結果を表した模式図である。単色時のトナー401(説明においてはシアン)に加え、2色目のトナー403(説明においてはイエロー)が示されている。図中、トナーの量が少ない時の単色のトナー層形成状態を(a)、2次色のトナー層形成状態を(b)に、さらに、トナー量が多い時(隙間無く並んでいる時)の単色のトナー層形成状態を(c)、2次色のトナー層形成状態を(d)に示した。
トナー量が少ない時は、(a)に示すように下層のシアントナー401に隙間が多く存在していることがわかり、(b)に示すように2色目となる上層のイエロートナー403が、シアントナー401が形成する隙間に載っていることがわかる。トナーのような粒子状のものが層を形成する際に、上に載る粒子が下になる粒子間に落ち込むことは言うまでも無い。このように、隙間が存在する下層のシアントナー401上には、その隙間の上に上層のイエロートナー403が載る。そのため、(b)の(透過状態)に示すようにトナーを透過してみると、上層のイエロートナー403のみが存在する部分404、下層のシアントナー401のみが存在する部分405と、上層のイエロートナー403および下層のシアントナー401が重なってグリーンを形成する重なり部分406が形成されることがわかる。
一方、トナー量が多い時(隙間無く並んでいる時)は、(c)に示すように下層のシアントナー401は隣同士のトナーが接しているため、記録材がほとんど隠蔽されていることがわかる。また、(d)に示すように、2色目となる上層のイエロートナー403が、(b)同様、シアントナー401が形成する隙間に載っており、さらに、イエロートナー403の上に載っているイエロートナー403もイエロートナー自身が形成する隙間に載っていることがわかる。(c)の単色状態で既に記録材がしっかりと隠蔽されている上に、上層に位置するイエロートナー403自身もイエロートナー同士で下層を隠蔽する状態となるため、(d)の透過状態を見てわかるように、トナー量が少ない時の(b)の透過状態とは異なり、イエロートナー403が存在する多くの部分が、上層のイエロートナー403および下層のシアントナー401が重なってグリーンを形成する重なり部分406となることがわかる。
このように、トナー量が多い時は、多くの部分が良好に2次色を形成する重なり部分406となるのに対して、トナー量が少ない時は、トナー量が少なくなればなるほど、上層および下層の互いの隙間に単色のみとなる部分(404,405)が増加し、良好に2次色を形成する重なり部分406が減少するため、従来のトナー量(載り量[mg/cm]あるいは粒径[μm])に対してトナー量を減らそうとすると、2次色の発色が悪化し、同時に単色形成部分においても、記録材の隠蔽が悪くなることにより、色域の再現範囲が極端に低下するものである。
以上の観察結果から、各単色トナー間に生じる隙間の量が色域の再現範囲に影響していることが分かった。各単色トナー間に生じる隙間はトナー量が少なくなるにつれて増加する。観察から分かったように、多層を形成するのに十分なトナー量があるときは、下層トナーの隙間を上層トナーが埋めている。トナー量が減少していくと、多層形成できなくなっていくので、徐々に隙間が増加する。そして単層を形成する量も下回ると、より顕著に隙間が増加することが考えられる。その境界条件を考察するため、トナーの形状を真球体とした場合、真球体トナーが理想的な最密充填配列で単層(トナー粒子一つ分の厚さの層)を形成するのに必要なトナー量の計算を行った。最密充填配列とは、図26(A)のトナー407の配列及び図27(a)に示すように、隣り合う同色のトナー粒子同士が接触している配列である。計算に用いたパラメータはトナー粒径L[μm]、トナー密度ρ[g/cm]である。
トナーの体積はV[μm]、平面的なトナーの投影面積はS[μm]、トナー1つ分が含まれる単位面積(図27(a)の菱形部分)はS[μm]であり、それぞれ以下のようになる。
これらから、トナーが最密に並んだ時(図27(a)の配列)の単層(1色)のトナー載り量H[μm](単位面積あたりのトナーの体積=トナーの平均高さ)が以下のように算出される。
またトナーの載り量A[mg/cm](単位面積あたりの重さ)は
となる(式中1/10は単位合わせのためのもの)。
上式から得られる粒径Lと、載り量Hの関係を示したものが図22の実線である。画像評価の○と×の境界を実線が通る関係になっていることが分かる。つまり図22に示す定着条件1(せん断力無し、従来定着)での画像評価結果は、最密充填限界を境界として、それよりもトナー量が多いときは○評価、少ないときは×評価になっていると考えられる。
次に、図23は定着条件2(せん断力無し、従来定着、溶融促進条件)で定着した場合の画像評価結果をプロットしたものである。定着条件2は定着条件1に比べて、プロセススピードを1/3にすることで定着時間を3倍に延ばし、十分にトナーの溶融を促進するための条件である。定着条件1では最密充填限界近くの×評価となっていたものが○評価へ変わっている。極端に溶融を促進することでトナーが限界まで広がり、2次色の重なりが向上したためである。しかしながら、より載り量が少ないとき、あるいはより粒径が大きいときでは、評価は×であり、十分な発色性は得られなかった。なお、ここでは溶融を促進させる条件として定着時間を伸ばしたが、2次色の重なりを増やすという観点では、荷重や温度を上げることも同様の結果を生む。
この結果から、トナーを十分に溶融してもせん断力を印加しない従来定着条件では、十分な発色性が得られない領域があることが分かる。その境界は最密充填限界をさらに下回ったところにあることが示唆される。
この画像評価結果の境界(最密充填限界を下回ると予想される)の意味について以下に説明する。既に述べたように記録材上のトナー配列状態を観察した結果、層を形成するトナーは、上に載る粒子が下になる粒子間の隙間に落ち込むように配列されていた。この配列状態におけるトナーの溶融・変形過程を模擬的に再現するために粘土球を用いた実験を行った。図26を用いて実験内容を説明する。
色の異なる粘土球407、408を作成してそれぞれ下層トナー、上層トナーと仮定した。平板409の上に粘土球407(下層トナー)を並べ、隣同士が接する最密充填配列(A)と、隣同士が均等に隙間をもつ(B)、(C)の配列状態を形成した。トナー量は(A)>(C)>(B)の順を想定している。粘土球408(上層トナー)は、粘土球407(下層トナー)3つの中心に載るように配置した。平板410を定着部材と仮定して上から押し当て、それぞれの配列状態の粘土球を押し潰してトナー溶融による変形を模擬的に再現し、変形前後の状態を観察した。図26の上段は粘土球の配列状態を側面から見た側面図で、押し潰し前は球体、押し潰し後に変形して広がる部分を濃色で示している(図の簡略化のために色の異なる2つの粘土球のみに着目している)。図26の中段は押し潰し前の粘土球の状態を下から(平板409側から)見た図、図26の下段は押し潰し後の粘土球の状態を下から見た図である。
最密充填配列(A)では、押し潰し前(溶融前)に粘土球407(下層トナー)間に生じていた隙間411が、押し潰し後(溶融後)は粘土球407(下層トナー)同士で完全に結合し、単層が形成された(「下から見た状態」参照)。これは粘土球408(上層トナー)が下方に広がるよりも先に粘土球407(下層トナー)同士が水平方向に広がって結合したためである。この状態では上下層のトナーの重なり部分が多く、良好な2次色が得られる。配列(B)では、押し潰し前(溶融前)に粘土球407(下層トナー)間に大きな隙間411が生じている。押し潰し後(溶融後)でも粘土球407(下層トナー)間の隙間は埋まっていない。その隙間411には粘土球408(上層トナー)が染み出していることが分かる。これは粘土球407(下層トナー)同士が水平方向に広がって結合するよりも先に、粘土球408(上層トナー)が下方に広がり、隙間411に入り込んだためである。この状態では上下層のトナーの重なり部分が少なくなり、2次色の発色が阻害される。
配列(C)では、押し潰し前(溶融前)に粘土球407(下層トナー)間に生じていた隙間411が、押し潰し後(溶融後)にちょうど良く埋まり、粘土球408(上層トナー)の染み出しは起こらなかった。これは粘土球407(下層トナー)、粘土球408(上層トナー)の広がりがほぼ同等になっているためである。このとき側面図をみると、粘土球407(下層トナー)と粘土球408(上層トナー)の中心を結ぶ線分が水平に対して45°を成す関係になっていた。
以上の結果から、最密充填限界をさらに下回るトナー量のとき、すなわち各単色トナー層において隙間が生じている配列状態でも、トナーの染み出しが起こらずに溶融が進み、十分に2次色の重なりを確保して良好な発色性が得られる限界条件(以後、染み出し限界と記載する)があることが考えられる。配列(C)の結果からトナーの染み出し限界は、上層トナーと下層トナーの中心を結ぶ線分が水平に対して45°になる配列条件であることが予想される。そこで、真球体トナーが染み出し限界の配列で単層を形成するのに必要なトナー量の計算を行った。
まず、トナー間に生じる隙間について詳しく説明する。隣り合うトナー間に隙間が生じている状態として、単位面積当たりのトナー量が同じでも、隙間が等間隔の状態もあれば、大きな隙間と小さな隙間が混在する状態がある。実際のトナー層の隙間は等間隔にはならず、大小の隙間が混在した状態となる。隙間が等間隔の状態よりも、大小の隙間が混在した状態のほうが、上層のトナー(下層のトナーとは色の異なるトナー)が下層のトナーの隙間に落ち込みやすい。即ち、染み出しが発生しやすい。そこで、トナーの配置を幾何学的に考える上での最低単位である、3つのトナーが凝集した場合について考える。
図28(a)、(b)、(c)は、いずれも、単位面積当たりのトナー量が同じ(トナー載り量が同じ)配列状態を示したものである。図28(a)は隣り合うトナー間に隙間t[μm](最近接距離)が等間隔に生じた状態を示している。この状態は、各々の隙間が小さいので上層のトナーが下層のトナー間の隙間に落ち込みにくい。
図28(b)は図28(a)に示すトナーの配置を変えて、3つ毎にトナーを凝集させた状態である。図28(b)では、3つのトナーが凝集した4つのトナー群が形成されている。
図28(c)は図28(b)に示したトナー群の中心点を軸に、それぞれのトナー群を同一角度θだけ回転させ、トナー群とトナー群が接するまで回転させた状態である(図中のトナー粒子A’とB’が接した状態)。図28(c)に示した配列も、図28(a)に示した配列とトナー載り量は同じである。しかしながら、トナー載り量が同じでありながら、最も大きな隙間が存在する配列である。
図28(d)は、図28(c)に示した下層トナーの上に上層トナー(透過円で示す)を重ねた(一色目のトナー画像を転写した)状態を示している。この図を見れば理解できるように、下層トナー三個が凝集したトナー群の中央の小さな隙間412(413)に一個の上層トナーが嵌まり込み、下層のトナー群間にある大きな隙間414に一個の上層トナーが嵌まり込んでいる。大きな隙間414に嵌まり込んだ上層トナーは、小さな隙間412(413)に嵌まり込んだ上層トナーよりも下に落ち込んでいる。
つまり、一色目のトナー層が形成し得る配列として、図28(c)の配列を考えることにより、一定のトナー載り量における最もトナーが染み出しやすい偏った状態を考えることが出来る。この偏った状態において、大きな隙間414に載った一個の上層トナーの中心点と、大きな隙間414を形成する一個の下層トナーの中心点と、を結ぶ線分が、水平に対して45°になるときが、染み出しが起こる限界点となる。
次に図28で示した偏った状態のトナーA’、B’、C’の配置を計算するため、必要箇所を抜き出して図29に示す。図29(a)は偏った状態を特徴づけるトナー配置A’、B’、C’を示したものである。図29(b)は側面図と上面図を示している。図29(c)は各点間の距離を算出するための幾何学図である。
図29によると、トナーA’とトナーB’の中心間距離はトナー平均粒径L[μm]となり、トナーB’とトナーC’の中心間距離と、隙間414の中心点EとトナーC’の中心点の距離、の関係は以下のようになる。
次に、図28(a)、(b)、(c)中の点Oを原点とすることにより、点P,点A,点A’,点B,点B’,点C,点C’の座標が算出できる。図30に各点の座標値を示す。これは図28(b)、(c)で示したように、下層トナー三個が凝集したトナー群の中央の小さな隙間の中心点O及びPを中心に角度θだけ回転させた時の座標を計算したものである。これらの座標値を上式に当てはめると、以下のようになる。
これらそれぞれを整理すると、以下のようになる。
これらから、
が算出される。後述する式6に代入すると、染み出し限界時のトナー載り量が算出される。
以上により、トナー粒径L[μm]、トナー密度ρ[g/cm]を用いて、隣り合うトナー間に隙間が生じていると仮定し、載り量H染み出し限界[μm]および、載り量A染み出し限界[mg/cm]との間に次の関係式を得た。
上式から得られる粒径Lと、載り量H染み出し限界の関係を示したものが図23の点線である。点線が画像評価の○と×の境界を通る関係になっていることが分かる。つまり図23に示す定着条件2(せん断力無し、従来定着、溶融促進条件)での画像評価結果は、最密充填限界をさらに下回るトナー量である染み出し限界を境界として、それよりもトナー量が多いときは○評価、少ないときは×評価になっていると考えられる。したがって従来定着では十分な溶融条件にしても良好な発色性を得るには限界があり、それは染み出し限界となるトナー量であることが分かった。
図24は定着条件3(せん断力有り、本発明定着)で定着した場合の画像評価結果をプロットしたものである。定着条件2では染み出し限界を下回ると×評価であったが、本発明の定着装置により、○評価となる画像が得られた。染み出し限界のトナー量を下回っていても、せん断力を印加することによって、トナーを面内方向に広げ、トナーの重なり部を増やすことができるためである。
次に、本発明の効果が得られる適正なせん断量を前述のドット伸び量を用いて評価した結果を説明する。表6はトナーの種類毎に単色載り量とドット伸び量を変化させて定着したときの画像評価結果である。トナーは前述したNo.1〜No.3の3種類を用いた。単色ベタ画像の載り量を0.1から0.5mg/cmまで変化させ、単色および2次色のベタ、文字・線画の未定着画像を出力した。この未定着画像に対して従来定着と、本発明の定着を行い、画像評価を行った。ここで言う従来定着とは、本発明の定着の比較対象としてせん断力を印加しない条件の定着のことである。従来定着とは、スライド式(実施例1の装置)に対しては同じ装置を用いてスライド動作をしない定着である。また、交差角方式(実施例2の装置)に対しては同じ装置を用いて交差角を設けない定着である。また、周速差方式(実施例3の装置)に対しては同じ装置を用いて周速差を設けない定着である。
表6はドット伸び量が3μm弱から10μm弱程度のときの画像評価結果である。
ドット伸び量は本発明の定着装置にて、定着温度、定着時間を変化させることで変えることができる。定着温度が高温になるほどトナー粘度が低下するのでせん断力によって引き伸ばされる量が増え、ドット伸び量は大きくなる。また、定着時間が長時間になるほどせん断力の印加時間が増えるので、トナーが引き伸ばされる量が増え、ドット伸び量は大きくなる。
表中の記号○は比較対象である従来定着(せん断力無し)による画像に比べて、本発明の定着により2次色(グリーン)の彩度が1以上上昇したことを示す。記号△は2次色彩度の上昇が微小か、あるいは略同等であったことを示す。
図31、図32、図33は表6の内容を見やすくするため、横軸を載り量[mg/cm]、縦軸をドット伸び量[μm]として、トナー毎の画像評価結果をプロットしたグラフである。図中の縦実線と縦点線は、式(3)と式(5)に従って計算した、それぞれのトナーの最密充填限界と、染み出し限界である。図31、図32、図33に示すどのトナーにおいても最密充填限界(縦実線)よりもトナー量が多い場合は画像評価結果が△になっている。これはトナー量が多いと2次色の重なりが増え、従来定着でも高彩度が得られるためで、本発明の定着を行っても従来定着との差分が小さくなるためである。最密充填限界(縦実線)よりも少なく、染み出し限界(縦点線)よりも多いトナー量では、従来定着でも十分に溶融させる条件では高彩度が得られるので、本発明の定着との差分が小さく、画像評価が△になる場合がある。染み出し限界条件よりも少ないトナー量では、従来定着では高彩度が得られないが、本発明の効果が顕著に現れる。このとき、画像評価が○になるにはトナー量が少ないときほどドット伸び量を大きくする必要があることが分かる。図31、図32、図33の○△分布から、本発明の効果を十分に得るためのドット伸び量にはトナー量によって変わる下限条件が存在することが示唆される。
ドット伸び量の下限条件を考察するため、真球体トナーが等間隔の隙間t[μm](最近接距離)をもって配列している状態を仮定して、彩度を向上させるのに必要なドット伸び量の試算を行った。図34及び図27(b)に計算モデル図を示す。上層トナー粒子の一つ403に着目し、未定着時にこのトナー粒子403が全く重なっていない下層トナー粒子のうち、最も近い1つ(図中401)と重なるために必要な距離をドット伸び量の下限として想定した。上層トナー粒子403の中心位置aから隣の隙間411の中心bまでの距離を計算すると(L+t)/√3となる。トナー粒子403の中心aが隙間411の中心bまで移動する程度トナー粒子403がa位置からb位置の方向へ引き伸ばされれば、トナー粒子403とトナー粒子401が重なって彩度が向上する。一方、真球体トナーが等間隔の隙間t[μm](最近接距離)をもって配列している状態において、一色のトナーの載り量A[mg/cm]と密度ρ[g/cm]、粒径L[μm]、隙間t[μm]の関係は
で表される。この式(6)は、隙間tがゼロである最密充填配列状態におけるトナー載り量の式(3)を導き出した方法と同じ方法で導き出すことができる。この関係式からab間距離である((L+t)/√3)は
となる。式(6)の載り量A[mg/cm]と式(7)から求めた距離の関係を示した曲線が図31、図32、図33中に示した曲線である。トナーNo.1、No.2、No.3それぞれについての画像評価結果は、式(7)で表される曲線を境界として、○と△に分かれることが分かる。つまり、十分な彩度を得るためのドット伸び量の下限は式(7)で表される距離として考えることができる。
以上のように、複数色のトナーを用いて画像を形成する場合、トナーの重量平均粒径をL(μm)、トナーの比重をρ(g/cm)、記録材上のトナー載り量(各色の載り量)をA(mg/cm)、とすると、定着部は、トナー画像のドット伸び量(μm)が
となるせん断力を付与するのが好ましい。
また、トナーの重量平均粒径をL(μm)、トナーの比重をρ(g/cm)、とすると、複数色のトナーを用いて画像を形成する場合の各色の最大のトナー載り量A(mg/cm)が、
を満たすように未定着トナー画像を記録材に形成する画像形成装置に、上述したせん断力を付与する定着器を搭載すれば、本発明の効果が大きいことが理解できるであろう。
更に、各色の最大のトナー載り量A(mg/cm)が、
を満たすように未定着トナー画像を記録材に形成する画像形成装置に上述したせん断力を付与する定着器を搭載すれば、本発明の効果が更に大きいことが理解できるであろう。
一方、ドット伸び量の上限については約30μmまで2次色彩度が上昇する効果が得られた。図3に示している通り、ドット伸び量が増加すると2次色彩度も上昇する関係にある。特に載り量が少なく2次色を形成するトナーの重なり部分が少ないときほど、わずかなドット伸び量でも重なり部分が大幅に増えるので、十分な彩度上昇効果が得られる。逆に載り量が多いと、未定着状態で2次色を形成するトナーの重なり部分が多いので、ドット伸び量に対する彩度上昇分は小さくなる。
ドット伸び量が30μmを超えると2次色彩度の上昇効果が小さくなり、さらに過度にトナーを引き伸ばすことにより、文字・線画のシャープネスが悪化した。これは画像のエッジ部が不均一に過度に伸ばされ、ギザギザ状になるためである。従って、ドット伸び量は30μm以下に抑えることが望ましい。
即ち、ドット伸び量(μm)は
の範囲とするのがより好ましい。
(定着装置の実施例4)
図35は実施例4の定着装置の概略断面図である。熱源504を有し回転可能な加熱ローラ(第1の回転体)500と、加熱ローラ500に圧接して定着ニップを形成する回転可能な加圧ローラ(第2の回転体)507からなり、定着ニップ部NでトナーTを担持した記録紙Pを挟持搬送しながら、未定着トナー画像を加熱・加圧して記録紙P上に定着させる。
加熱ローラ500は、熱伝導性の良い金属(アルミニウムや鉄など)の中空芯金501と、この外側にシリコーンゴムなどの弾性層502とこの弾性層502の表面を被覆する低硬度の離型層503を設けることで表層の柔軟化を図っている。低硬度の離型層503としては、オイルを含浸させたシリコーンゴムやフッ素ゴムである2元フッ化ビニリデン系ゴム、3元フッ化ビニリデン系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、フルオロホスファゼン系ゴム等があげられ、単独あるいは2種類以上ブレンドして用いられる。本実施例ではこのうちオイルを含浸させたシリコーンゴムを用いた。中空芯金501の内側には熱源としてハロゲンヒータ504が配置されている。ハロゲンヒータ504の動作は温度制御装置505で制御される。温度制御装置505はサーミスタ506で検知された加熱ローラ500の表面温度に基づき、ハロゲンヒータ504の動作に対する出力制御を行う。
本実施例は加熱ローラの表層を柔軟化することにより紙の凹凸に追従することができ、前述の実施例1〜3におけるせん断力の付与効果をより有効に発現するものである。
次に低硬度の離型層503の具体的硬度値について説明する。硬度測定にはMD−1硬度の測定は高分子計器(株)製のマイクロゴム硬度計MD−1タイプA(以下、MD−1硬度計と表記)を用いた。以下にこの測定装置を用いた理由を述べる。
本実施例では、効果に大きく寄与するのは定着部材の表面硬度であるため、表面硬度を測定するのに適したMD−1硬度計を用いた。MD−1タイプAは、JIS K 6301で規定されているJIS−A硬度の近似値が得られるものである。
図36は加熱ローラ500の表層の硬度測定時における断面模式図である。(a)はMD−1硬度計、(b)はその他のゴム硬度計を用いた場合を示している。MD−1硬度計は、測定対象に押し込む押針が小さく、わずかな進入量で硬度測定を行うため、測定対象の表面近傍のみの硬度が得られる。
一方、その他のゴム硬度計はMD−1硬度計に比べ押針が大きく、測定対象への進入量も大きいため、測定対象の下層材質の影響を受けてしまう。例えば、表層である離型層503に比べて弾性層502が非常に軟らかく、弾性層502を大きく変形させるように押針が進入する場合は、表層近傍の硬度よりも小さな値が出力される場合がある。また、更に押針が進入すると最下層の芯金501の影響を受け、表層近傍の硬度よりも大きな値が出力される場合もある。
次に本実施例でのせん断力の付与方法について説明する。本実施例では実施例3と同様に、加熱ローラ500と加圧ローラ507の回転速度に差を設ける(周速差を設ける)ことで、定着ニップ部Nにおいてせん断力を付与している。本実施例での定着動作条件としては加圧ローラ507の回転速度91.0mm/secに対して加熱ローラ500の回転速度を90.5mm/secとした(加圧ローラ回転速度の約0.5%減)。このとき、約6mm幅の定着ニップ部Nを記録材Pが通過する時間内において、加熱ローラ500は加圧ローラ507に対して相対的におよそ30μm程度滑っている。またこのとき、記録材Pも定着部材に対して滑りながら搬送される。
次に効果確認のため、MD−1硬度の異なる2種類の離型層で比較実験を行った。本実施例の定着ローラ501には、直径が55mm、厚みが7mm、内径が41mmのアルミニウム製の筒状芯金を用い、外周に弾性層としてJIS−A硬度で50度の厚さ2.5mmのシリコーンゴムを設けてある。そして、その弾性層の外周に低硬度の離型層Aにオイルを含浸させたJIS−A硬度で27度の厚さ250μmのシリコーンゴムを設けた。比較のため弾性層上に厚さが50μmのPFA製チューブを被覆した離型層Bについて比較実験を行った。それぞれMD−1硬度を測定すると、離型層Aは38、離型層Bは72であった。
表7は、定着ローラと加圧ローラ間に周速差を設けずに(周速差0%)回転させながら定着処理した場合の2次色であるグリーン色のパッチの彩度と、加圧ローラの回転速度に対して定着ローラの回転速度を0.5%落として(周速差0.5%)回転させながら定着処理した場合のグリーン色のパッチの彩度を、X−Rite社製分光濃度計によって測定し、周速差0%に対する周速差0.5%の彩度cの向上値Δc を示している。
このとき、ドット伸び量は低硬度の離型層A、高硬度の離型層Bともに約2μmであった。ドット伸び量に差異がないにも拘らず、低硬度の離型層Aを用いることで、高硬度の離型層Bに比べてより有効にせん断の効果が発現している事が分かる。
以下に表層硬度が異なる場合で彩度の向上度合いが異なる理由を図37を参照しながら説明する。高硬度の離型層Bの場合、図37(a)に示すように、離型層Bが記録材凸部(以下、凸部と表記)にあるトナーに接触しているが、離型層Bが記録材凹凸に対して追従しきれず、記録材凹部(以下、凹部と表記)にあるトナーには十分に接触しない場合がある。この状態でせん断力をトナー画像に対して付与すると凸部のトナー画像にはせん断力が付与されるが、凹部のトナー画像には十分にせん断力が付与されない場合がある。
低硬度の離型層Aの場合、図37(b)に示すように、離型層Aが記録材の凹凸に追従して変形し、凸部、凹部のトナーに均一に接触している。この状態でせん断力をトナー画像に対して付与することで、凸部、凹部ともにトナー画像を広げられ、発色性がより向上するのである。
次に記録材について説明する。本実施例では記録材の凹凸が発色性など画質に影響する一例として、記録材に王子製紙社のOKプリンス上質を用いた。この記録材は坪量81g/mであり、記録材の平均凹凸は10μm程度、凹凸の周期は数10μm程度である。検討の結果、定着ローラの離型層がMD−1硬度で70以下であれば、記録材の凹凸に追従させることができることがわかった。
MD−1硬度が70よりも大きい離型層(例えばPFA)では、その下層に形成される中間層(本実施例では弾性層402に相当)の硬度を低くしても、記録材の凹凸に対してわずかしか追従できないので、凹部のトナー画像を広げることが難しい。また耐久性の観点からMD−1硬度が20よりも小さい離型層(例えばゴム部材の一種)の使用は困難であった。よって、普通紙のように凹凸が大きな記録材にカラー画像を形成する場合も考慮すると、定着ローラ(第1の回転体)の表層のMD−1硬度が20以上70以下であることが望ましい。
低硬度離型層の厚さは20μm以上が好ましい。この理由は、記録材の凹凸を構成するパルプ繊維の太さが20μm前後であるため、この大きさ、周期に追従して変形するために必要な厚さだからである。離型層の下層に形成される中間層(本実施例では弾性層402に相当)の硬度は、特に制限されるものではないが、押圧力が加えられたときに、過度に変形せず、押圧力を表層まで伝達するのに必要な硬度を持っていれば良く、最低20以上が望ましい。また、金属のように高硬度であっても、離型層のみの変形で、記録材の凹凸への追従性を調整することは可能である。
なお、発色性向上効果の大きさは、主に画像上の単位面積あたりのトナーの載り量、定着条件、記録材によって影響を受ける。本発明はトナーの載り量が少なく、未定着の時に各色のトナーが重なり合う領域が少ない状態において特に発色性向上の効果が大きい。さらにMD−1硬度が70以下の離型層を定着部材に用いることで記録材表面の凹部トナー画像を広げることが出来、せん断力の印加で得られる発色性向上の効果がより一層大きくなる。
以上のように、本実施例の定着装置は、記録材凹部にある未定着トナー画像とも接触する低硬度の離型層を持つ第1の回転体と、第1の回転体とは異なる周速で回転し第1の回転体と共に定着ニップ部を形成する第2の回転体と、を有する。そして、定着ニップ部で一枚の記録材を定着処理する期間中、記録材の凸部だけでなく凹部にあるトナーにも一定方向のせん断力を付与することにより、トナー載り量が少ない画像であっても彩度を向上させられるものである。
Pa、Pb、Pc、Pd 画像形成部
9 定着装置

Claims (16)

  1. 複数色のトナーが積層された未定着トナー画像を記録材に形成する画像形成部と、
    記録材に形成された未定着トナー画像を定着ニップ部で加熱及び加圧して記録材に定着させる定着部と、
    を有する画像形成装置において、
    前記画像形成部は、複数色のトナーを用いて画像を形成する場合、トナーの比重をρ(g/cm)、トナーの重量平均粒径をL(μm)とすると、各色において、記録材上の未定着トナー画像の最大載り量A(mg/cm)を

    に設定しており、
    前記定着部は、トナー画像のドット伸び量(μm)が、

    を満たすように未定着トナー画像を記録材に定着することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記画像形成部は、複数色のトナーを用いて画像を形成する場合、各色において、前記最大載り量A(mg/cm)を、

    に設定していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記定着部は、前記定着ニップ部で一枚の記録材を定着処理する期間中、前記ドット伸び量(μm)が請求項1に記載のドット伸び量となるように圧力を前記定着ニップ部に付与し続けること特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記定着部は、前記定着ニップ部で一枚の記録材を定着処理する期間中、前記ドット伸び量(μm)が

    となる圧力を前記定着ニップ部に付与し続けること特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記定着部は、未定着トナー画像と接触する第1の回転体と、前記第1の回転体と共に前記定着ニップ部を形成する第2の回転体と、を有し、前記定着ニップ部で一枚の記録材を定着処理する期間中、前記第1の回転体と前記第2の回転体の少なくとも一方が回転方向とは異なる所定方向にスライドし続けることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  6. 前記定着部は、未定着トナー画像と接触する第1の回転体と、前記第1の回転体に対して交差角がつけられており前記第1の回転体と共に前記定着ニップ部を形成する第2の回転体と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  7. 前記定着部は、未定着トナー画像と接触する第1の回転体と、前記第1の回転体とは異なる周速で回転し前記第1の回転体と共に前記定着ニップ部を形成する第2の回転体と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  8. 前記第1の回転体と記録材の摩擦係数は、前記第2の回転体と記録材の摩擦係数より小さいことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  9. 前記第1の回転体と記録材の摩擦係数は、前記第2の回転体と記録材の摩擦係数より小さいことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  10. 前記第1の回転体と記録材の摩擦係数は、前記第2の回転体と記録材の摩擦係数より小さいことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  11. 前記第1の回転体の離型層のMD−1硬度が20以上70以下であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  12. 前記離型層の厚さが20μm以上であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
  13. 前記第1の回転体の離型層のMD−1硬度が20以上70以下であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  14. 前記離型層の厚さが20μm以上であることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
  15. 前記第1の回転体の離型層のMD−1硬度が20以上70以下であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  16. 前記離型層の厚さが20μm以上であることを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
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