JP5532996B2 - 定着用ベルト、定着用ベルトの製造方法、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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また、40℃以上で発泡する発泡剤および高熱伝導フィラーを含む樹脂組成物から形成された発泡性高熱伝導層を備えている熱伝導材が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、この熱伝導材も特許文献2、3に記載の発明と同様、電気・電子部品等の冷却用に供されるものである。
上記試みがあまりなされていない理由は、発泡倍率を上げていく(気泡を増やし密度を下げていく)と急激に熱伝導性が低下しこれは、非加圧時の物性として元の物質の熱伝導性が変わらない場合に起こる(例えば「新編熱物性ハンドブック」日本熱物性学会、養賢堂発行、p.325fig、C−7−6−9参照)。この問題のため、高温環境下で変形を繰り返される定着部材で、低熱容量(低密度)と耐熱性を持つ定着ベルトを開発することは困難であった。
(1)トナーを記録媒体に定着させるのに用いる定着用ベルトであって、少なくとも金属又は耐熱性樹脂のベース層上に空孔部を有する耐熱弾性層が設けられ、該耐熱弾性層の発泡倍率は150%以上200%以下であり、かつ該耐熱弾性層がシリコーンゴムを含有し、該シリコーンゴムの熱伝導率は0.3[W/mK]以上であることを特徴とする。
(2)上記(1)に記載の定着用ベルトにおいて、前記耐熱弾性層上にトナーの付着性が低い離型層を設けたことを特徴とする。
(3)トナーを記録媒体に定着させるのに用いる定着用ベルトの製造方法であって、未加硫付加型のシリコーンゴムに発泡剤または発泡粒子を含有させ、これを金属又は耐熱性樹脂のベース層上に塗布した後、1次加硫及び発泡を行い、さらに2次加硫を行って空孔部を有する耐熱弾性層を形成し、該耐熱弾性層の発泡倍率は150%以上200%以下であり、前記シリコーンゴムの熱伝導率は0.3[W/mK]以上であることを特徴とする。
(4)トナーを記録媒体に定着させるのに用いる定着用ベルトの製造方法であって、未加硫付加型のシリコーンゴムに発泡剤または発泡粒子を含有させ、これを金属又は耐熱性樹脂のベース層上に塗布した後、1次加硫及び発泡を行い、さらに2次加硫を行って空孔部を有する耐熱弾性層を形成し、この耐熱弾性層上にトナーの付着性が低い離型層を積層し、該耐熱弾性層の発泡倍率は150%以上200%以下であり、前記シリコーンゴムの熱伝導率は0.3[W/mK]以上であることを特徴とする。
(5)上記(1)又は(2)に記載の定着用ベルト、あるいは上記(3)又は(4)に記載の定着用ベルトの製造方法により製造した定着用ベルトを用いたことを特徴とした定着装置。
(6)上記(5)に記載の定着装置において、定着部材に圧接する定着用ベルトの接触部分の面積S[cm2]で前記定着部材に対する加圧力F[N]を割った値(F/S)が、10.0[N/cm2]以上となるようにしたことを特徴とする。
(7)画像形成装置であって、上記(5)又は(6)に記載の定着装置と、画像形成部とを備え、前記画像形成部でシート上にトナー像を形成し、前記定着装置でシートにトナー像を定着させて画像を得ることを特徴とする。
上記(2)に記載の定着用ベルトによれば、耐熱弾性層上にトナーの付着性が低い離型層を設けているためオイルレストナーの定着ができる。
上記(3)及び(4)に記載の定着用ベルトの製造方法によれば、上記(1)〜(2)に記載の定着用ベルトを容易に製造することができる。
上記(5)及び(6)に記載の定着装置によれば、高い熱効率の定着装置を提供することができる。
上記(7)に記載の画像形成装置によれば、高い熱効率の画像形成装置を提供することができる。
q=−λ・grad(Temp) (式1)
これを変形して、
1/λ・(C/A)=D/Q (式2)
ここで、
λ: 熱伝導率 W/(m・K)
Q: 熱流 W
q: 熱流速 W/m2
(単位時間に単位面積を通過する熱流)
C: 耐熱弾性層の厚さ m
D: 温度差 K
R: 熱抵抗 K/W
〔R=1/λ・(C/A)〕 (式3)
また、熱伝導率λが大きくなることと、圧縮による耐熱弾性層の厚さCの減少は、掛け算の関係であることが解る。圧力を低くして耐熱弾性層の厚さCが大きくなる場合は、逆の効果が生じる。すなわち断熱である。
耐熱弾性層の厚さは、非加圧時で200〜300μmであり、加圧時で100〜150μmであることが好ましい。加圧時で100〜150μmとするためには、発泡剤、発泡粒子、樹脂バルーン等の含有量を加減することで行うことができる。
耐熱弾性層の発泡倍率は、耐熱弾性層が空孔を含まない状態(発泡粒子を含まない状態)での密度を求め、更に耐熱弾性層が空孔を含む状態での密度を求め、この両者の比率から求めることができる。例えば耐熱弾性層が空孔を含まない状態(発泡粒子を含まない状態)での密度が1.0g/cm3であり、耐熱弾性層が空孔を含む状態での密度が0.5g/cm3であったとすると、発泡倍率は1.0/0.5×100=200%ということになる。耐熱弾性層が空孔を含まない状態(発泡粒子を含まない状態)での密度は層を構成する材料物性から計算することができる。また耐熱弾性層が空孔を含む状態での密度は、アルキメデス法などで測定することができる。この場合、PFA層を設けない状態で測定する。
耐熱弾性層を離型層で被覆すると、シリコーンオイル等を使用しなくてもトナー離型性、紙粉固着防止が可能になり、オイルレス化を達成することができる。
発泡粒子(F−80SDE)1.5部及び2液型の付加型液状シリコーンゴム100部の中に分散したものを調製する。発泡粒子は予め1/8量部のグリセリンと混合しておいたものを用いる。分散には倉敷紡績社製のマゼルスターを用いて行った。前記の分散物を厚さ70μmのポリイミド基体(ベルト基材)に硬化後の厚さが300μmになるよう塗布し、120℃、0.5時間で1次硬化させ、200℃、4時間で2次硬化させる。この時、前記発泡粒子が壊れて、空孔を有する耐熱弾性層が形成される。
この耐熱弾性層上にPFA樹脂チューブ(三井・デュポンフロロケミカル社製のHPPlus 950HP)を接着する。この最上層となるPFA樹脂層を用いた場合、球晶が小さくなり表面粗さが向上する。通常用いられるプライマーを用いてチューブを接着した。PFA樹脂層(離型層)の厚さは15μmである。この一連の工程で、外径をφ60(mm)にした定着用ベルトを作製した。
発泡粒子(F−80SDE)は、発泡倍率に影響を与えるが、作製条件により、発泡倍率が変動するため、適宜調整する。
この定着用ベルトにおけるシリコーンゴムの熱伝導率は、0.3[W/mK]である。
シリコーンゴムの熱伝導率(W/mK)を0.2〜0.35の範囲で変化させた以外は、前記実施例A(4)と同様にして定着用ベルトを作製し、測定を行った。測定結果をまとめて表2に示す。
前記実施例A(4)の定着ベルトを用い、ニップ圧[N/cm2]を6.0〜30の範囲で変化させた以外は、実施例A(4)と同様にして測定を行った。測定結果をまとめて表3に示す。
PFA層を形成しないこと以外は実施例A(3)と同様にして定着用ベルトD(1)を作製し、測定を行った。測定結果をまとめて表4に示す。
ただし、定着ユニット17には定着用ベルトにシリコーンオイルを塗布する機構を追加した。即ち、これはシリコーンオイルタンクと塗布布により構成されており、従来のカラー電子写真で用いられるものを使用した(図示せず)。
17 定着ユニット17
31 加熱ローラ
32 定着ローラ
33 定着用ベルト
34 加圧ローラ
35 入口ガイド板
36 温度検出手段
37 ヒータ
38 テンションスプリング
39 ヒータ
40 加圧スプリング
41 記録紙
42 トナー
(図3において)
11 耐熱弾性層
11a 気泡
(図5において)
1 デジタル複写機
2 複写機本体
3 原稿自動送り装置(ADF)
4 自動仕分け装置
5 原稿読取ユニット
6 書込ユニット
7 エンジン部
8 給紙ユニット
9 キャリッジ
10 レンズ
11 CCD
12 バッファ
13 レーザビーム
14 画像形成ユニット
15 1次転写ユニット
16 2次転写ユニット
17 定着ユニット
18 感光体
19 帯電チャージャ
20 カラー現像部
21 ドラムクリーニング部
22 中間転写ベルト
23 1次転写部
24 テンションローラ
25 2次転写ローラ
26 クリーニング部
27 基準位置センサ
28 給紙カセット
29 手差トレイ
Claims (7)
- トナーを記録媒体に定着させるのに用いる定着用ベルトであって、少なくとも金属又は耐熱性樹脂のベース層上に空孔部を有する耐熱弾性層が設けられ、該耐熱弾性層の発泡倍率は150%以上200%以下であり、かつ該耐熱弾性層がシリコーンゴムを含有し、該シリコーンゴムの熱伝導率は0.3[W/mK]以上であることを特徴とする定着用ベルト。
- 前記耐熱弾性層上にトナーの付着性が低い離型層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の定着用ベルト。
- トナーを記録媒体に定着させるのに用いる定着用ベルトの製造方法であって、未加硫付加型のシリコーンゴムに発泡剤または発泡粒子を含有させ、これを金属又は耐熱性樹脂のベース層上に塗布した後、1次加硫及び発泡を行い、さらに2次加硫を行って空孔部を有する耐熱弾性層を形成し、
該耐熱弾性層の発泡倍率は150%以上200%以下であり、
前記シリコーンゴムの熱伝導率は0.3[W/mK]以上であることを特徴とする定着用ベルトの製造方法。 - トナーを記録媒体に定着させるのに用いる定着用ベルトの製造方法であって、未加硫付加型のシリコーンゴムに発泡剤または発泡粒子を含有させ、これを金属又は耐熱性樹脂のベース層上に塗布した後、1次加硫及び発泡を行い、さらに2次加硫を行って空孔部を有する耐熱弾性層を形成し、この耐熱弾性層上にトナーの付着性が低い離型層を積層し、
該耐熱弾性層の発泡倍率は150%以上200%以下であり、
前記シリコーンゴムの熱伝導率は0.3[W/mK]以上であることを特徴とする定着用ベルトの製造方法。 - 請求項1又は2に記載の定着用ベルト、あるいは請求項3又は4に記載の定着用ベルトの製造方法により製造した定着用ベルトを用いたことを特徴とした定着装置。
- 定着部材に圧接する定着用ベルトの接触部分の面積S[cm2]で前記定着部材に対する加圧力F[N]を割った値(F/S)が、10.0[N/cm2]以上となるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
- 請求項5又は6に記載の定着装置と、画像形成部とを備え、前記画像形成部でシート上にトナー像を形成し、前記定着装置でシートにトナー像を定着させて画像を得ることを特徴とする画像形成装置。
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