JP5971980B2 - 飲料の微生物汚染防止方法 - Google Patents

飲料の微生物汚染防止方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5971980B2
JP5971980B2 JP2012043104A JP2012043104A JP5971980B2 JP 5971980 B2 JP5971980 B2 JP 5971980B2 JP 2012043104 A JP2012043104 A JP 2012043104A JP 2012043104 A JP2012043104 A JP 2012043104A JP 5971980 B2 JP5971980 B2 JP 5971980B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
beverage
ppm
catechin
saponin
catechins
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012043104A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013176340A (ja
Inventor
中山 素一
素一 中山
幸一 細谷
幸一 細谷
佳奈果 島谷
佳奈果 島谷
朱 丹
丹 朱
楠奥 比呂志
比呂志 楠奥
英雄 大南
英雄 大南
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2012043104A priority Critical patent/JP5971980B2/ja
Publication of JP2013176340A publication Critical patent/JP2013176340A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5971980B2 publication Critical patent/JP5971980B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
  • Tea And Coffee (AREA)
  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)

Description

本発明は、飲料の微生物汚染の防止に関する。
市販の飲料にとって、酵母、細菌、カビ等の微生物による腐敗を防止し、長期保存可能にすることは重要である。代表的な殺菌又は保存方法としては、加熱処理、保存料添加、無菌包装、窒素充填包装等が行われている。飲料の殺菌方法及びその耐菌性は、含有成分(例えば、糖分、果汁、アルコール、ビタミン又は微量栄養素分)、炭酸、水質、pH等の飲料の性質と、殺菌対象とする菌の種類とに影響され得る。
カテキン類は、体脂肪燃焼促進等の様々な生理活性を有することが従来知られている。そのため近年、健康志向の高まりとともに、カテキン含有飲料の需要が増大している。カテキン類は、大腸菌、サルモネラ属細菌、ビブリオ属細菌、シュードモナス属細菌、黄色ブドウ球菌、セバシア菌、乳酸菌、リステリア属細菌、バチルス属細菌等の種々に菌に対する抗菌効果を有するので(特許文献1〜2)、カテキン含有飲料、特にカテキン高含有飲料は、他の飲料と比べて耐菌性に優れる傾向にある。
とはいえ、カテキン含有飲料にも腐敗の危険がある。例えば、各種芽胞形成菌類は、土壌中等に広く分布しているため汚染の危険性が高いうえ、通常の細菌が存在しにくい苛酷な環境でも生存できる。とりわけ、Bacillus coagulansのようなカテキン耐性芽胞菌は、市販のカテキン高含有飲料においても生き残り、腐敗を引き起こす可能性がある。
サポニンは、キラヤ、ユッカ、ダイズ、茶等の植物を原料とする、主に乳化剤として使用される食品添加物である。特許文献3には、モッコク(Ternstroemia gymnanthera)由来のサポニンを含有する抗真菌剤及びそれを飲食品に配合することが記載されている。また、特許文献4には、サポニンを含む保存剤組成物を用いて、飲料及び/又は食物中のカビ、酵母及び細菌から選択される少なくとも1つの微生物の成長を阻止及び/又は減少させることが記載されている。しかし、サポニンの溶解性は低く、飲料に添加できる量は限られる。さらにサポニンは独特の苦味を有するため、飲食品に多量に添加することは風味の点で好ましくない。従って、サポニン単独で飲食品の微生物汚染を十分に防止することは難しいと考えられている。
没食子酸は、主に酸化防止剤として使用されている食品添加物である。黄色ブドウ球菌に対する発育阻害効果も報告されている(非特許文献1)。特許文献5〜6には、非重合体カテキン類と没食子酸とを所定の量で含有する容器詰飲料の風味や色調が安定に保たれたことが記載されている。しかし、これらの文献では該飲料の耐菌性は調べられていない。特許文献7には、緑茶抽出物にポリビニルピロリドン粉末を接触させて得られたカテキン類、ガレート型カテキン類、カフェイン及び没食子酸を含む組成物に消臭、抗菌、抗酸化活性があることが記載されている。しかし、当該組成物の抗菌効果がカテキン単独と比べて優れているかどうかは明らかにされていない。
したがって、サポニン及び没食子酸がカテキン含有飲料の抗菌性に及ぼす影響については、これまで知られていなかった。
特開2008−173050号公報 特開2008−174487号公報 特開2008−013520号公報 特開2009−536822号公報 特開2007−325585号公報 特開2007−330253号公報 特開2006−81778号公報
日本細菌学雑誌,1990,45(2),p561−566
本発明は、カテキン含有飲料の抗菌性を向上させて、該飲料における微生物の増殖を抑制することにより、その微生物汚染を防止する方法の提供、及び耐菌性に優れたカテキン含有飲料を提供することに関する。
本発明者らは、カテキン含有飲料に没食子酸とサポニンとを一緒に添加することにより、相乗的に高い抗菌活性が得られ、低用量の添加でも該飲料における微生物増殖を抑制することができること、したがって飲料にカテキンと没食子酸とサポニンとを併用することにより、該飲料の微生物汚染及び腐敗を効果的に防止することができることを見出した。
すなわち、本発明は、以下を提供する。
(1)カテキン類と没食子酸とサポニンとを添加することを特徴とする飲料の微生物汚染防止方法。
(2)飲料のカテキン類の含量が350ppm以上である(1)記載の方法。
(3)飲料の没食子酸含量が200〜50ppmである(1)又は(2)記載の方法。
(4)飲料のサポニン含量が100〜30ppmである(1)〜(3)のいずれか1に記載の方法。
(5)飲料のpHが5.0〜8.0である(1)〜(4)のいずれか1に記載の方法。
(6)微生物がBacillus coagulansである(1)〜(5)のいずれか1に記載の方法。
(7)カテキン類350ppm以上と、没食子酸200〜50ppmと、サポニン100〜30ppmとを含有することを特徴とするカテキン含有飲料。
(8)飲料のpHが5.0〜8.0である(7)記載の飲料。
(9)カテキン類350ppm以上を含有する液に、没食子酸200〜50ppmとサポニン100〜30ppmとを配合することを特徴とするカテキン含有飲料の製造方法。
(10)飲料のpHが5.0〜8.0に調整される(9)記載の方法。
本発明によれば、耐菌性に優れたカテキン含有飲料を得ることができるので、従来抑止が難しかった菌によるカテキン含有飲料の微生物汚染を効果的に防止することができる。また本発明によれば、没食子酸と併用することでサポニン添加量を低減することができるので、サポニンの溶解性や苦味を考慮して使用量を制限する必要がない点で有利である。
本発明において、カテキン類としては、非重合体カテキン類、重合体カテキン類が挙げられ、このうち、非重合体カテキン類が好ましい。非重合体カテキン類としては、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類;エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類が挙げられ、これらを単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
上記カテキン類としては、茶又は他の原料由来のもの、カラム精製品、化学合成品のいずれを用いてもよいが、茶由来のもの、例えば、茶抽出物、それらの濃縮又は精製物を用いるのが好ましい。当該茶抽出物は、Camellia属、例えばC.sinensisC.assamica、又はそれらの雑種、好ましくはその茶葉、から得られた製茶に、水又は熱水やこれらに抽出助剤を添加し、攪拌抽出等をすることにより得ることができる。また、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。抽出助剤としては、アスコルビン酸ナトリウム等の有機酸、又はこれら有機酸塩類が挙げられる。当該製茶には、(1)煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜煎り茶等の緑茶類;(2)総称して烏龍茶と呼ばれる鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の半発酵茶;(3)紅茶と呼ばれるダージリン、ウバ、キーマン等の発酵茶が含まれる。
当該茶抽出物の濃縮は、上記抽出物を濃縮することにより行うことができ、当該茶抽出物の精製は、溶剤やカラムを用いて精製することにより行うことができる。茶抽出物の濃縮物や精製物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状等種々のものが挙げられる。例えば、当該茶抽出物は、特開昭59−219384号、特開平4−20589号、特開平5−260907号、特開平5−306279号等に詳細に例示されている方法で調製することができる。また、市販品を用いることもでき、斯かる市販品としては、(株)伊藤園「テアフラン」、三井農林(株)「ポリフェノン」、太陽化学(株)「サンフェノン」、サントリー(株)「サンウーロン」等が挙げられる。
上記茶抽出物中のカテキン類は、主に非重合体で存在し、かつ液に溶解しているもの又は茶の微細粉末の懸濁物に吸着若しくは包含された固形状のものとして存在する。また、茶のカテキン類の大部分はエピ体カテキン類として存在しており、このエピ体カテキン類を用いて熱や酸やアルカリ等の処理により立体異性体である非エピ体に変化させることができる。従って、非エピ体カテキン類を使用する場合には、緑茶類、半発酵茶類又は発酵茶類からの抽出液や茶抽出液の濃縮物を水溶液にして、例えば40〜140℃、0.1分〜120時間加熱処理して得ることができる。また非エピカテキン類含有量の高い茶抽出液の濃縮物を使用してもよい。それらは単独で用いても又は併用してもよい。
上記茶抽出物中のカテキン類の含有量は、30〜98質量%が好ましい。また、これらの総ポリフェノール中のカテキン類の含有量は、製造直後でカテキン量が10質量%以上であることが好ましく、20〜70質量%がより好ましい。本発明のカテキン類としては、斯くして得られる茶抽出物やその画分をそのまま用いてもよいが、又はそれらを適宜な溶媒で希釈した希釈液としたものや、濃縮エキスや乾燥粉末にしたものや、ペースト状に調製したものを用いてもよい。本発明においては、これらの茶抽出物を、最終的に所望のカテキン類含量が達成されるような量で用いればよい。
没食子酸は、特開2003−33157号公報に記載の方法に従ってガレート体カテキンにタンナーゼ処理を行い、カテキン類と没食子酸との混合物を得たあと、これを没食子酸吸着樹脂に吸着させ単離することによって調製することができる。あるいは、市販品(和光純薬等から購入可能)を利用してもよい。
本発明で使用されるサポニンとしては、サポニン含有植物、例えば、キラヤ、ユッカ、大豆、エンドウ豆等の豆類、茶、ピーナツ、オート麦、ナス属及びネギ属、トマト、アスパラガス、ほうれん草、テンサイ、ヤムイモ、ブラックベリー、甘草、桜草の根、セネガ根、カスミソウ、ムクロジ、セイヨウトチノキ等から抽出されたサポニン含有抽出物を用いてもよく、又は市販のサポニン(和光純薬等から購入可能)を用いてもよい。これらは単独又は混合して使用することができるが、好ましくは大豆サポニンや茶葉サポニンが使用される。
本発明によって製造される飲料は、カテキン類を含有する飲料(カテキン含有飲料)であり、好ましくは高濃度のカテキン類を含有するカテキン高含有飲料である。カテキン含有飲料としては、カテキン類を含有する限りにおいてその種類は特に限定されないが、例えば、緑茶、ウーロン茶、紅茶等の茶飲料、カテキンを含有する清涼飲料やスポーツドリンク、カテキンを有効成分とする各種機能性飲料等が挙げられる。
本発明に従って製造されるカテキン含有飲料は、さらに没食子酸とサポニンとを含有する。本発明の飲料は、当該飲料の原料となる任意の液体にカテキン類と没食子酸とサポニンとを添加することによって製造されてもよいが、好ましくは、当該飲料の原料となるカテキン類を含有する液、例えば茶抽出物溶液に、没食子酸とサポニンとを添加することによって製造され得る。カテキン類と没食子酸とサポニンの添加の順序は、特に制限されない。
また、本発明に従って製造されるカテキン含有飲料は、一般的な茶飲料や清涼飲料等に通常使用されている成分や添加剤をさらに含有していてもよい。当該成分としては、糖類、甘味料、アミノ酸、果汁、麦汁、野菜汁、その他植物エキス、乳製品等が挙げられる。また当該添加剤としては、乳化剤、pH調整剤、酸化防止剤、酸味料、各種有機酸、増粘剤、着色料、香料、調味料等が挙げられる。さらに他の保存料を併用してもよい。また、カテキン類、没食子酸及びサポニンによって発揮される抗菌効果が損なわれない限りにおいて、本発明の飲料はさらに、他の有効成分、薬効成分、美容成分等を含有することができる。
本発明のカテキン含有飲料は、没食子酸とサポニンとを添加することを除いて、通常のカテキン含有飲料の製法に従って製造すればよい。例えば、通常の茶飲料や清涼飲料の製造方法に従いながら、その任意の工程で、カテキン類及び没食子酸とサポニン、ならびに必要に応じて他の成分や添加剤等を添加することによって製造することができる。本発明のカテキン含有飲料の製造方法はまた、過熱、ろ過等の従来の殺菌工程や、無菌包装、密封包装、ガス充填包装等の、従来の腐敗防止処理工程を含むことができる。
斯くして得られたカテキン類と没食子酸とサポニンとを含有する本発明の飲料においては、微生物の増殖が抑制されるので、該飲料の微生物汚染は防止され得る。後記実施例に示されるように、カテキン含有飲料に没食子酸とサポニンとを両方添加した場合、没食子酸又はサポニンのいずれかを単独で添加した場合と比べて、より少ない添加量で高い微生物増殖抑制効果を得ることができる。このような没食子酸又はサポニンの併用による相乗的な微生物増殖抑制効果は、カテキン低含有飲料とカテキン高含有飲料の両方において見られるが、カテキン高含有飲料においてより顕著に発揮される。
従って、本発明の飲料におけるカテキン類の含有量は、350ppm以上が好ましく、500ppm以上がより好ましく、1000〜2000ppmがさらに好ましい。
また本発明の飲料における没食子酸の含有量は、50ppm以上含まれることが好ましく、また、カテキン低含有飲料、例えばカテキン類含量500ppm未満の一般的な茶飲料や清涼飲料等の場合は200ppm以下であればよく、カテキン類含量500ppm以上のカテキン高含有飲料の場合は200ppm以下であればよいが、150ppm以下が好ましく、100ppm以下が風味の面からより好ましく、さらにカテキン類含量1000ppm以上のカテキン高含有飲料の場合は200ppm以下であればよいが、100ppm以下が好ましく、80ppm以下が風味の面からより好ましい。
また本発明の飲料におけるサポニンの含有量は、30ppm以上が好ましく、また、カテキン低含有飲料、例えばカテキン類含量500ppm未満の一般的な茶飲料や清涼飲料等の場合は100ppm以下であればよく、カテキン類含量500ppm以上のカテキン高含有飲料の場合は100ppm以下であればよいが、50ppm以下が好ましく、さらにカテキン類含量1000ppm以上のカテキン高含有飲料の場合は50ppm以下が好ましく、30〜40ppmが風味の面からより好ましい。
本発明の飲料のpHは、特に限定されないが、pH5.0〜8.0の範囲であればよく、好ましくはpH5.5〜6.5の範囲である。
本発明の飲料において増殖抑制される微生物としては、大腸菌、サルモネラ属細菌、ビブリオ属細菌、シュードモナス属細菌、セパシア菌等のグラム陰性菌、黄色ブドウ球菌、リステリア属細菌、バチルス属細菌、アリシクロバチルス属細菌等のグラム陽性菌、サッカロミセス、チゴサッカロミセス、カンジダ、デッケラ種等の酵母、乳酸菌、ロイコノストック属、グルコノバクタ属、ジモモナス種等の好酸性細菌、及びペニシリン、アスペルギルス等のカビ等が挙げられる。このうち、アリシクロバチルス属やバチルス属細菌のような芽胞形成菌類は、土壌中等に広く分布しているため汚染の危険性が高いうえ、芽胞を形成するため通常の細菌が存在しにくい苛酷な環境でも生き残ることができるので、カテキン含有飲料においても汚染菌となりやすい。したがって、これらの菌は、本発明において増殖抑制又は汚染防止の対象とすべき望ましい微生物である。さらにその中でも、バチルス コアギュランス(Bacillus coagulans)は、カテキン耐性を有するため、カテキン含有飲料中でも増殖してその腐敗を引き起こすおそれがある。従って、本発明において増殖抑制又は汚染防止の対象とすべきより望ましい微生物として、このバチルス コアギュランス(Bacillus coagulans)を挙げることができる。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
実施例1 カテキン含有飲料の抗菌性試験
(1)試験菌の調製
試験菌として、芽胞形成細菌の中でもカテキン耐性が高いことが知られているバチルス コアギュランス:日本缶詰協会1105,1106,1107,1108,1109,1179,1180,1182;DSM2308,DSM2312,DSM2385,DSM2383,DSM2384,DSM2311,DSM2356,DSM2314,DSM2350;及びNBRC12583、の18株を用いた。
18種類のバチルス コアギュランス株はSCD寒天培地(OXOID)で、45℃で好気的に3日間培養した。培養した菌体を生理食塩水に105-6cfu/mlになるように調整してサンプル菌液とした。
(2)抗菌性試験−1
茶飲料におけるカテキンと没食子酸と大豆サポニンとによる抗菌効果を調べるために、チャレンジ試験を実施した。試験には、低カテキン濃度の飲料として市販の茶飲料(カテキン濃度40mg/100ml、pH6.0)を、高カテキン濃度の飲料として「ヘルシア緑茶 まろやか」(花王)(カテキン濃度154mg/100ml、pH6.0)を用いた。
上記茶飲料に、表1記載の濃度になるように没食子酸(和光純薬)及び大豆サポニン(和光純薬)を単体又は複合で添加し、マグネットスターラーを用いて強攪拌し、完全に溶解させた。得られた各飲料に、(1)で調製した菌液を菌の最終濃度が103cfu/mlとなるように接種し、45℃で14日間好気的に保存し、その後総細菌濃度及び芽胞数を測定して、菌の消長挙動を評価した。測定では、保存後の茶飲料を強攪拌して系内を均一化した後、生理食塩水で希釈したものを用いた。総細胞濃度(cfu/ml)は、希釈液の加熱を行うことなくSCD寒天培地(OXOID社製)に塗抹して培養し、その後測定した菌数から、希釈液の希釈率と塗抹量をもとに算出した。芽胞数は、希釈液を80℃10分間加熱処理した後、YSG寒天培地(マイクロバイオ社製)に塗抹して培養したものから、同様の手順で算出した。総細胞濃度又は芽胞数として1オーダー以上の増殖が確認された場合を「増殖」、1オーダー未満の増殖又は細胞若しくは芽胞の減少及び死滅が確認された場合を「非増殖」と判断した。
結果を表1に示す。低カテキン飲料においては没食子酸単独での最小発育阻止濃度(MIC)は450ppm、大豆サポニン単独では可溶限界の100ppmでも増殖を阻止することができなかった。没食子酸と大豆サポニンの併用の場合、菌の増殖阻止効果は100ppmで観察された。
一方、高カテキン飲料においては、没食子酸単独でのMICは180ppm、大豆サポニン単独では可溶限界の100ppmでも増殖を阻止することができなかった。没食子酸と大豆サポニンの併用の場合、没食子酸60ppm及び大豆サポニン30ppmの添加で菌増殖が阻止された。したがって、低カテキン飲料及び高カテキン飲料のいずれにおいても、没食子酸と大豆サポニンの併用による相乗的な菌増殖阻止効果が観察されたが、高カテキン飲料において効果はより顕著であった。
Figure 0005971980
(3)抗菌性試験−2
カテキンを含有しない市販のブレンド茶飲料(pH6.0)に、表2記載の濃度でカテキン、没食子酸(和光純薬)及び大豆サポニン(和光純薬)を単体又は複合で添加し、完全に溶解させた。得られた各飲料に、上記(2)と同様の手順で菌を接種し、その後総細菌数及び芽胞数を測定して菌の消長挙動を評価した。
結果を表2に示す。没食子酸と大豆サポニンの両方を添加した場合でも、カテキン濃度が低いと菌増殖は阻止されなかったが、カテキン濃度が高くなるほど、より効果的に菌増殖が阻止された。
Figure 0005971980
(4)抗菌性試験−3
各種サポニンの抗菌特性を調べるために、チャレンジ試験を実施した。試験には、高カテキン濃度の飲料として「ヘルシア緑茶 まろやか」(花王)(カテキン濃度154mg/100ml、pH6.0)を用いた。上記茶飲料を、没食子酸の濃度が60ppm、各種茶葉サポニンの濃度が30ppmになるように没食子酸(和光純薬)及び茶葉サポニンを複合で添加した。
使用した茶葉サポニン類は、以下の方法で調整した。生茶葉(ケニヤ製)1kgをメタノール5Lで還流抽出(3時間、65〜70℃)したのち2号ろ紙でろ過し、メタノール抽出液を得た。得られたメタノール抽出液を減圧濃縮し、メタノール抽出物385gを得た。得られたメタノール抽出物中の200gを水5Lと酢酸エチル5Lで液−液分配し、得られた水画分を水飽和n−ブタノールで分配し、n−ブタノール画分を得た。n−ブタノール画分を減圧濃縮し、n−ブタノール画分固形物96gを得た。n−ブタノール画分固形物96gを、イオン交換水に溶解させ、HP−20樹脂(1kg、三菱化学社製)に吸着させ、0、20、40、60、80、99.5%エタノール各4Lで溶出させた。得られた画分のうち、80%エタノール溶出画分固形物(1.0g)を粗茶葉サポニン画分として得た。次に、80%エタノール溶出画分(1.0g)を、ODSクロマトレックス(100g、ワイエムシィ社製)に吸着させ、20、40、60、80、100%メタノールで溶出させた。得られた画分のうち、80%メタノール溶出画分(400mg)をHPLC(LC−908、日本分析機構社製)にて分取し、foliatheasaponin II(35.2mg)、foliatheasaponin IV(30.2mg)、theasaponinB1(34.6mg)を得た。これらの精製茶葉サポニン類は、1H、13C−NMRスペクトルの値を、文献(Morikawa T.,Nakamura S.,Kato Y.,Muraoka O.,Matsuda H.and Yoshikawa M.,Chem.Pharm.Bull.,55(2):293−298,2007)記載の値と比較、同定した。
得られた各飲料に、上記(1)で調製した菌液を菌の最終濃度が103cfu/mlとなるように接種し、25mlのガラス製ネジ口試験管に25ml分注して、45℃で14日間好気的に保存した。上記(2)と同様の手順で経時的に総細菌数及び芽胞数を測定し、菌の消長挙動を評価した。
結果を表3に示す。いずれの茶葉サポニンも、菌増殖阻止に効果的であった。
Figure 0005971980

Claims (8)

  1. 飲料に、カテキン類600ppm以上没食子酸200〜50ppmサポニン100〜30ppmとを含有させ、かつそのpHを5.0〜8.0に調整することを特徴とする飲料の微生物汚染防止方法。
  2. 飲料サポニン100〜0ppmを含有させる請求項記載の方法。
  3. 微生物がバチルス属細菌である請求項1又は2記載の方法。
  4. 微生物がBacillus coagulansである請求項記載の方法。
  5. カテキン類600ppm以上と、没食子酸200〜50ppmと、サポニン100〜30ppmを含有し、pHが5.0〜8.0であることを特徴とするカテキン含有飲料。
  6. サポニン含量が100〜50ppmである請求項5記載の飲料。
  7. カテキン類600ppm以上を含有する液に、没食子酸200〜50ppmとサポニン100〜30ppmとを配合し、かつそのpHを5.0〜8.0に調整することを特徴とするカテキン含有飲料の製造方法。
  8. サポニンの配合量が100〜50ppmである請求項7記載の方法。
JP2012043104A 2012-02-29 2012-02-29 飲料の微生物汚染防止方法 Active JP5971980B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012043104A JP5971980B2 (ja) 2012-02-29 2012-02-29 飲料の微生物汚染防止方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012043104A JP5971980B2 (ja) 2012-02-29 2012-02-29 飲料の微生物汚染防止方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013176340A JP2013176340A (ja) 2013-09-09
JP5971980B2 true JP5971980B2 (ja) 2016-08-17

Family

ID=49268718

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012043104A Active JP5971980B2 (ja) 2012-02-29 2012-02-29 飲料の微生物汚染防止方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5971980B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6621236B2 (ja) * 2013-12-26 2019-12-18 花王株式会社 カテキン含有飲料の製造方法
JP2015146758A (ja) * 2014-02-06 2015-08-20 花王株式会社 カテキン含有飲料の製造方法
JP2016029932A (ja) * 2014-07-30 2016-03-07 花王株式会社 カテキン含有飲料の製造方法
WO2018095533A1 (en) * 2016-11-25 2018-05-31 Symrise Ag Mixtures with stabilising properties
EP4316461A1 (en) * 2022-08-05 2024-02-07 BRAIN Biotech AG A preservative composition

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4401041B2 (ja) * 2001-07-03 2010-01-20 丸善製薬株式会社 加温状態で流通、販売される飲食品用天然系日持ち向上剤、日持ちが向上した飲食品、及び加温状態で流通、販売される飲食品の日持ち向上方法
JP4977523B2 (ja) * 2006-05-09 2012-07-18 花王株式会社 容器詰茶飲料
US20070264401A1 (en) * 2006-05-12 2007-11-15 Taormina Peter J Beverage preservatives
JP5614674B2 (ja) * 2009-09-18 2014-10-29 万壽美 竹元 生活習慣病予防及び改善剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013176340A (ja) 2013-09-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5971980B2 (ja) 飲料の微生物汚染防止方法
JP5118334B2 (ja) 高濃度紅茶ポリフェノール含有容器詰紅茶飲料
Orak et al. Antioxidant and antimicrobial activities of white, green and black tea extracts
Ariff et al. Recent trends in Kombucha: Conventional and alternative fermentation in development of novel beverage
JP5848644B2 (ja) 飲料の微生物汚染防止方法
JP4806641B2 (ja) 食品の微生物汚染防止方法
KR100984865B1 (ko) 감초를 이용한 바실러스 세레우스의 억제 및 이를 이용한장류 제조방법
JP4395451B2 (ja) 容器詰飲料
JP2011087526A (ja) 容器詰飲料
US20120263849A1 (en) Bitterness suppression method
JP2008173049A (ja) 食材の殺菌又は保存方法
KR101916755B1 (ko) 블랙커런트 잎으로 만든 미생물 발효차
JP5472591B2 (ja) 漬物用調味液
Silva et al. Food additives used in non-alcoholic water-based beverages—A review
JP6621236B2 (ja) カテキン含有飲料の製造方法
JP2016029932A (ja) カテキン含有飲料の製造方法
JP2015146758A (ja) カテキン含有飲料の製造方法
JP5940849B2 (ja) サポニン抗微生物活性の向上方法
JP5548974B2 (ja) 食材の殺菌又は保存方法
Bishop et al. Chemical composition of Kombucha. Beverages. 2022; 8: 45
JP2011004606A (ja) 容器詰飲料の製造方法
JP2011087527A (ja) 容器詰飲料
JP4119829B2 (ja) 緑茶容器詰飲料
JP7032980B2 (ja) 容器詰飲料の充填方法
JP4986888B2 (ja) 耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤および耐熱性好酸性菌の増殖抑制方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151029

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160614

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160712

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5971980

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250