JP5969314B2 - 窒化ホウ素粉末及びその用途 - Google Patents

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本発明は、窒化ホウ素粉末及びその用途に関する。詳しくは、パワーデバイスなどの発熱性電子部品の放熱部材として好適に用いられる。特に、プリント配線板の絶縁層及び熱インターフェース材の樹脂組成物に充填される、熱伝導率及び比誘電率に優れた窒化ホウ素粉末に関する。
パワーデバイス、トランジスタ、サイリスタ、CPU等の発熱性電子部品においては、
使用時に発生する熱を如何に効率的に放熱するかが重要な課題となっている。従来から、このような放熱対策としては、(1)発熱性電子部品を実装するプリント配線板の絶縁層を高熱伝導化する、(2)発熱性電子部品又は発熱性電子部品を実装したプリント配線板を電気絶縁性の熱インターフェース材(Thermal Interface Materials)を介してヒートシンクに取り付ける、ことが一般的に行われてきた。プリント配線板の絶縁層及び熱インターフェース材としては、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂にセラミックス粉末を充填させたものが使用されている。
近年、発熱性電子部品内の回路の高速・高集積化、及び発熱性電子部品のプリント配線板への実装密度の増加に伴って、電子機器内部の発熱密度は年々増加している。そのため、従来にも増して高い熱伝導率を有するセラミックス粉末が求められてきている。
さらに、プリント配線板の絶縁層では、伝送信号の遅れ及びノイズを抑制する為に、高熱伝導率であると同時に比誘電率が低いことも求められる。
以上のような背景により、(1)高熱伝導率、(2)高絶縁性、(3)比誘電率が低いこと等、電気絶縁材料として優れた性質を有している、六方晶窒化ホウ素(hexagonal Boron Nitride)粉末が注目されている。
しかし、六方晶窒化ホウ素粒子は、面内方向(a軸方向)の熱伝導率が400W/(m・K)であるのに対して、厚み方向(c軸方向)の熱伝導率が2W/(m・K)であり、結晶構造と鱗片形状に由来する熱伝導率の異方性が大きい。さらに、六方晶窒化ホウ素粉末を樹脂に充填すると、粒子同士が同一方向に揃って配向する。
そのため、例えば、熱インターフェース材の製造時に、六方晶窒化ホウ素粒子の面内方向(a軸方向)と熱インターフェース材の厚み方向が垂直になり、六方晶窒化ホウ素粒子の面内方向(a軸方向)の高熱伝導率を十分に活かすことができなかった。
特許文献1では、六方晶窒化ホウ素粒子の面内方向(a軸方向)を高熱伝導シートの厚み方向に配向させたものが提案されており、六方晶窒化ホウ素粒子の面内方向(a軸方向)の高熱伝導率を活かすことができる。しかし、(1)配向したシートを次工程にて積層する必要があり製造工程が煩雑になり易い、(2)積層・硬化後にシート状に薄く切断する必要があり、シートの厚みの寸法精度を確保することが困難という課題があった。
また、六方晶窒化ホウ素粒子の形状が鱗片形状であるため、樹脂への充填時に粘度が増加し、流動性が悪くなるため、高充填が困難であった。これらを改善するため、六方晶窒化ホウ素粒子の熱伝導率の異方性を抑制した種々の形状の窒化ホウ素粉末が提案されている。
特許文献2及び3では、一次粒子の六方晶窒化ホウ素粒子が同一方向に配向せずに凝集した窒化ホウ素粉末の使用が提案されており、熱伝導率の異方性が抑制された。しかし、形状が松ぼっくり状(例えば、特許文献2:段落[0020]図6参照)や塊状(例えば、特許文献3:段落[0037]図3〜5参照)であり、平均球形度が小さいため、樹脂やゴムへの充填に限界があり、熱伝導率の向上には限界があった。
特許文献4では、ホウ酸塩粒子を六方晶窒化ホウ素粒子で被覆した、平均球形度の高い窒化ホウ素粉末の使用が提案されている。熱伝導率の異方性の抑制と樹脂やゴムへの充填性の向上には一定の効果がある。しかし、熱伝導率の低いホウ酸塩粒子の含有率が高いため(例えば、段落[0020]、[0028]参照)、六方晶窒化ホウ素粒子の高熱伝導率を十分に活かすことがでないという課題があった。
また、六方晶窒化ホウ素粉末は、比誘電率がセラミックス粉末の中では最も低いことが知られている。さらに、空気の比誘電率は、六方晶窒化ホウ素粉末よりさらに低い。したがって、窒化ホウ素粒子内部の空隙率を適切に制御し且つ、樹脂に充填する際の混練の剪断応力に耐えうる粒子強度を付与することで、さらに比誘電率を低くすることが可能である。しかし、このような観点に立った技術の提案は今まで見られない。
特開2000−154265 特開平9−202663 特開2011−98882 特開2001−122615
本発明は、パワーデバイスなどの発熱性電子部品の放熱部材として好適に用いられ、特にプリント配線板の絶縁層及び熱インターフェース材の樹脂組成物に充填される、熱伝導率及び比誘電率に優れた窒化ホウ素粉末を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明においては、以下の手段を採用する。
(1)カルシウムの含有率が500〜5000ppm、空隙率が50〜80%、平均球形度0.7以上、平均粒径が20〜100μm、粉末X線回折法における(002)面と(100)面のピーク強度比I(002)/I(100)が9.0以下であることを特徴とする窒化ホウ素粉末。
(2)粉末X線回折法による黒鉛化指数(GI)が1.6〜4.0であることを特徴とする前記(1)に記載の窒化ホウ素粉末。
(3)前記(1)又は(2)に記載の窒化ホウ素粉末を含有してなる樹脂組成物。
本発明により、熱伝導率及び比誘電率に優れた窒化ホウ素粉末が得られるという効果を奏する。
本発明では、一次粒子を「六方晶窒化ホウ素粒子」、一次粒子同士が焼結により結合した状態で2個以上集合した状態を「窒化ホウ素粒子」と定義する。焼結による結合は、走査型電子顕微鏡(例えば「JSM−6010LA」(日本電子社製))を用いて、窒化ホウ素粒子の断面の一次粒子同士の結合部分を観察することにより評価することができる。観察の前処理として、窒化ホウ素粒子を樹脂で包埋後、CP(クロスセクションポリッシャー)法により加工し、試料台に固定した後にオスミウムコーティングを行った。観察倍率は1000倍である。
本発明の窒化ホウ素粉末は特定のカルシウム含有率、空隙率、平均球形度、平均粒径、配向性を有することにより、従来の技術では達成できなかった、熱伝導率及び比誘電率に優れた窒化ホウ素粉末を得ることができるものである。
本発明の窒化ホウ素粉末は、カルシウムの含有率が500〜5000ppm、空隙率が50〜80%、平均球形度0.7以上、平均粒径が20〜100μm、粉末X線回折法における(002)面と(100)面のピーク強度比I(002)/I(100)が9.0以下、黒鉛化指数(GI)が1.6〜4.0であることである。このように設計された窒化ホウ素粉末はこれまで存在せず、樹脂に充填する際の混練の剪断応力に耐えうる粒子強度、及びこれを充填した樹脂組成物の高熱伝導率と低比誘電率を確保する意味で非常に重要な因子である。
<カルシウムの含有率及びその評価方法>
本発明の窒化ホウ素粉末において特に重要なことは、カルシウムの含有率を500〜5000ppmとしたことである。カルシウムの含有率が500ppmより小さいと、樹脂へ充填する際に受ける混練の剪断応力に耐えうる粒子強度を得ることができない。カルシウムの含有率が5000ppmより大きいと、六方晶窒化ホウ素粒子の熱伝導率が低下する。さらに好ましい範囲は、1000〜4500ppmである。カルシウムの含有率は、例えば、波長分散型蛍光X線分析装置「ZSX PrimusII」(RIGAKU社製)を用いて測定できる。前処理として、窒化ホウ素粉末をプレス成型した。測定時は、X線管球はRh管球を用い、X線管電力は3.0kW、測定径はΦ=30mmである。
<空隙率>
本発明の窒化ホウ素粉末においては、空隙率が50〜80%である。空隙率が50%より小さいと言うことは、比誘電率が小さい空気の占める体積が小さく、本発明の特徴である低比誘電率を発現することが出来ない。空隙率が80%を超えると、窒化ホウ素粒子の粒子強度が低下するため、樹脂への混練時に受ける剪断応力により球状構造が破壊され、一次粒子の六方晶窒化ホウ素粒子が同一方向に配向する。
<空隙率の評価方法>
空隙率は、水銀ポロシメーターを用いて細孔体積を測定することにより求めた値である。水銀ポロシメーターを用いた細孔体積としては、例えば「PASCAL 140−440」(FISONS INSTRUMENTS社製)を用いて測定することができる。この測定の原理は、式、ε=V/(V+1/ρ)×100、に基づいている。式中、εは窒化ホウ素粒子の空隙率(%)、Vは細孔体積から粒子間空隙を差し引いた値(cm/g)、ρは一次粒子の六方晶窒化ホウ素粒子の真比重2.34(g/cm)である。
<平均球形度>
本発明の窒化ホウ素粉末においては、平均球形度が0.7以上である。平均球形度が0.7より小さくなると、樹脂に窒化ホウ素粉末を混練した際に、樹脂と窒化ホウ素表面の摩擦抵抗が高くなるため、粘度が高くなり、高充填が困難になる。上限については、特に制限はないが、一次粒子の六方晶窒化ホウ素粒子は鱗片形状であるため、平均球形度を1.0にすることは難しく、上限としては、0.98程度が実際的である。
<平均球形度の定義・評価方法>
平均球形度は、試料台上の導電性両面テープに固定した窒化ホウ素粉末を、走査型電子顕微鏡、例えば「JSM−6010LA」(日本電子社製)にて撮影し、得られた粒子像を画像解析ソフトウェア、例えば「A像くん」(旭化成エンジニアリング社製)に取り込み、次のようにして測定することができる。写真から粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)を測定する。周囲長(PM)に対応する真円の面積を(B)とすると、その粒子の真円度はA/Bとして表示できる。そこで、試料粒子の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円を想定すると、PM=2πr、B=πrであるから、B=π×(PM/2π)となり、個々の粒子の球形度は、球形度=A/B=A×4π/(PM) として算出することができる。この際の画像の倍率は100倍、画像解析の画素数は1510万画素であった。このようにして得られた任意の粒子100個の球形度を求めその平均値を平均球形度とした。
<平均粒径>
本発明の窒化ホウ素粉末においては、平均粒径が20〜100μmである。20μmより小さいと、窒化ホウ素粒子同士及の接点の増加にともなう接触熱抵抗の増加により熱伝導率が低下する。100μmより大きいと、窒化ホウ素粒子の粒子強度が低下するため、樹脂への混練時に受ける剪断応力により球状構造が破壊され、一次粒子の六方晶窒化ホウ素粒子が同一方向に配向する。
<平均粒径の定義・評価方法>
平均粒径は、レーザー回折光散乱法による粒度分布測定において、累積粒度分布の累積値50%の粒径である。粒度分布測定機としては、例えば「MT3300EX」(日機装社製)にて測定することができる。測定に際しては、溶媒には水、分散剤としてはヘキサメタリン酸を用い、前処理として、30秒間、ホモジナイザーを用いて20Wの出力をかけて分散処理させた。水の屈折率には1.33を用い、窒化ホウ素粉末の屈折率については1.80を用いた。一回当たりの測定時間は30秒である。
<ピーク強度比I(002)/I(100)>
本発明の窒化ホウ素粉末においては、熱伝導率の異方性が抑制されていること、つまり配向性が小さいがことが好ましい。配向性は、粉末X線回折法による(002)面の回折線のピーク強度I(002)と(100)面の回折線のピーク強度I(100)との比I(002)/I(100)で測定することができる。六方晶窒化ホウ素粒子の厚み方向は結晶学的な(002)面すなわちc軸方向、面内方向は(100)面すなわちa軸方向にそれぞれ一致している。窒化ホウ素粒子を構成する一次粒子の六方晶窒化ホウ素粒子が、完全にランダムな配向(無配向)で有る場合、I(002)/I(100)≒6.7になる(「JCPDS[粉末X線回折データベース]」No.34−0421[BN]の結晶密度値[Dx])。高結晶の六方晶窒化ホウ素ではI(002)/I(100)は一般に20より大きい。
本発明の窒化ホウ素粉末においては、I(002)/I(100)は9.0以下である。I(002)/I(100)が9.0より大きいと、六方晶窒化ホウ素粒子の配向により樹脂組成物の熱伝導率が減少する。
<ピーク強度比I(002)/I(100)の評価方法>
配向性、すなわち粉末X線回折法によるI(002)/I(100)の測定は、例えば、「D8 ADVANCE Super Speed」(ブルカー・エイエックスエス社製)を用いて測定できる。前処理として、窒化ホウ素粉末をプレス成型した後、X線を成型体の面内方向の平面の法線に対して、互いに対称となるように照射した。測定時は、X線源はCuKα線を用い、管電圧は45kV、管電流は360mAである。
<黒鉛化指数(GI)>
黒鉛化指数(GI:Graphitization Index)はX線回折図の(100)面、(101)面及び(102)面のピークの積分強度比すなわち面積比を、GI=〔面積{(100)+(101)}〕/〔面積(102)〕、によって求めることがでる(J.Thomas,et.al,J.Am.Chem.Soc.84,4619(1962))。完全に結晶化したものでは、(GI)1.60になるとされているが、高結晶性でかつ粒子が十分に成長した鱗片形状の六方晶窒化ホウ素粉末の場合、粒子が配向しやすいためGIはさらに小さくなる。すなわち、GIは鱗片形状の六方晶窒化ホウ素粉末の結晶性の指標であり、この値が小さいほど結晶性が高い。
本発明の窒化ホウ素粉末においては、GIが1.6〜4.0が好ましい。GIが4.0より大きいと、一次粒子の六方晶窒化ホウ素粒子の結晶性が低いため、高熱伝導率を得ることができない場合がある。また、GIが1.6より小さいと、鱗片形状が発達しすぎているため、球状構造の維持が難しくなる場合があり、粒子強度が低下する恐れがある。
<黒鉛化指数(GI)の評価方法>
GIの測定は、例えば、「D8 ADVANCE Super Speed」(ブルカー・エイエックスエス社製)を用いて測定できる。前処理として、窒化ホウ素粉末に解砕処理を行い、一次粒子の六方晶窒化ホウ素粉末を得た後、プレス成型した。X線は、成型体の面内方向の平面の法線に対して、互いに対称となるように照射した。測定時は、X線源はCuKα線を用い、管電圧は45kV、管電流は360mAである。
<BN純度及びその評価方法>
更に、本発明の窒化ホウ素粉末においては、そのBN純度が95質量%以上であることが好ましい。BN純度は、窒化ホウ素粉末をアルカリ分解後ケルダール法による水蒸気蒸留を行い、留出液中の全窒素を中和適定することによって測定することができる。
<窒化ホウ素粉末を含有してなる樹脂組成物>
つぎに、本発明の窒化ホウ素粉末を含有してなる樹脂組成物について説明する。樹脂組成物中の窒化ホウ素粉末の割合は20〜80体積%であることが好ましい。また、本発明の窒化ホウ素粉末より平均粒径の小さいセラミックミックス粉末、例えば窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、窒化ホウ粉末素等を適宜添加しても良い。粒子の充填構造をより密にすることができるので、充填性が向上し、結果として樹脂組成物の熱伝導率を著しく向上させることができる。
<樹脂>
樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変性樹脂、ABS樹脂、AAS(アクリロニトリル−アクリルゴム・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン)樹脂等を用いることができる。特にエポキシ樹脂は、耐熱性と銅箔回路への接着強度が優れていることから、プリント配線板の絶縁層として好適である。また、シリコーン樹脂は耐熱性、柔軟性及びヒートシンク等への密着性が優れていることから熱インターフェース材として好適である。
以下、本発明を実施例、比較例をあげて更に具体的に説明する。
<実施例1〜11、比較例1〜8>
酸素含有量が2.4%、BN純度96.3%、及び平均粒径が3.8μmであるアモルファス窒化ホウ素粉末、酸素含有量が0.1%、BN純度98.8%、及び平均粒径が12.8μmである六方晶窒化ホウ素粉末、炭酸カルシウム(「PC−700」白石工業社製)及び水を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した後、ボールミルで粉砕し、水スラリーを得た。さらに、水スラリー100質量部に対して、ポリビニルアルコール樹脂(「ゴーセノール」日本合成化学社製)を0.5質量部添加し、溶解するまで50℃で加熱撹拌した後、噴霧乾燥機にて乾燥温度230℃で球状化処理を行った。なお、噴霧乾燥機の球状化装置としては、回転式アトマイザーを使用した。得られた処理物をバッチ式高周波炉にて焼成した後、焼成物に解砕及び分級処理を行い、窒化ホウ素粉末を得た。表1に示すように、原料配合、ボールミル粉砕条件、噴霧乾燥条件、焼成条件を調整して、表2(実施例)および表3(比較例)に示す19種の粉末A〜Sを製造した。
Figure 0005969314
<樹脂への充填>
得られた窒化ホウ素粉末A〜Sの樹脂への充填材としての特性を評価するため、エポキシ樹脂(「エピコート807」三菱化学社製)と硬化剤(「アクメックスH−84B」日本合成化工社製)に対し窒化ホウ素粉末が60体積%となるように混合し、PET製シートの上に厚みが1.0mmになるように塗布した後、500Paの減圧脱泡を10分間行った。その後、温度150℃、圧力160kg/cm条件で60分間のプレス加熱加圧を行って0.5mmのシートとした。なお混合後のスラリーの流動性が悪く、塗布ができない場合は、「充填不可」とした。
得られた窒化ホウ素粉末の粒子強度、及びシートの熱伝導率・誘電率を次に示す方法に従って評価した。それらの結果を表2(実施例)、表3(比較例)に示す。
市販の窒化ホウ素粉末2種類(市販品A及びB)についても、窒化ホウ素粉末A〜Sと同様に、粒子強度、及びシートの熱伝導率・誘電率を評価した。それらの結果を表3に併せて示す。
<粒子強度評価法>
JIS R1639−5に準じて測定を実施した。測定装置としては、微小圧縮試験器(「MCT−W500」島津製作所社製)を用いた。粒子強度(σ:MPa)は、粒子内の位置によって変化する無次元数(α=2.48:−)と圧壊試験力(P:N)と粒子径(d:μm)からσ=α×P/(π×d)の式を用いて算出した。
<熱伝導率評法>
熱伝導率(H;W/(m・K))は、熱拡散率(A:m/sec)と比重(B:kg/m)、比熱容量(C:J/(kg・K))から、H=A×B×Cとして、算出した。熱拡散率は、測定用試料としてシートを幅10mm×10mm×厚み0.5mmに加工し、レーザーフラッシュ法により求めた。測定装置はキセノンフラッシュアナライザ(「LFA447NanoFlash」NETZSCH社製)を用いた。比重はアルキメデス法を用いて求めた。比熱容量は、DSC(「ThermoPlus Evo DSC8230」リガク社製)を用いて求めた。
<誘電率評法>
シート上に銅ペーストを印刷・乾燥し、電極を形成した試料を用い、温度25℃、周波数1MHzの条件下にて、JISC6481に準じて測定を実施し、静電容量(X;F)を求めた。測定器には、LCRメータ(「HP4284」横河・ヒューレット・パッカード社製)を用いた。比誘電率(E)は、静電容量(X;F)とシートの厚み(Y;m)と電極の面積(Z;m)と真空の誘電率(8.85×10−12;F/m)から、
E=X×Y/(Z×8.85×10−12)の式を用いて、算出した。
Figure 0005969314
Figure 0005969314
実施例と比較例の対比から明らかなように、本発明の窒化ホウ素粉末を含有してなる樹脂組成物は、優れた熱伝導率及び比誘電率を示している。
本発明は特に、窒化ホウ素粉末のカルシウム含有率に着目し、粒子強度に与える影響について検討した結果、特定のカルシウム含有率において、内部に空隙を持つ場合でも、樹脂やゴムに充填する際の混練の剪断応力に耐えうる粒子強度を発現する事を突き止めた。見出したカルシウム含有率は非常に低く、六方晶窒化ホウ素粒子の高熱伝導率を十分に活かすことができる。得られた窒化ホウ素粉末を樹脂やゴムに充填した組成物は、窒化ホウ素粉末の60体積%以上の高充填が可能であり、熱伝導率及び比誘電率が大幅に改善された。
本発明の窒化ホウ素粉末は、樹脂への充填材として使用される。また、本発明の窒化ホウ素粉末を含有した樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層及び熱インターフェース材として使用される。

Claims (3)

  1. カルシウムの含有率が500〜5000ppm、空隙率が50〜80%、平均球形度0.7以上、平均粒径が20〜100μm、粉末X線回折法における(002)面と(100)面のピーク強度比I(002)/I(100)が9.0以下であることを特徴とする窒化ホウ素粉末。
  2. 粉末X線回折法による黒鉛化指数が1.6〜4.0であることを特徴とする請求項1に記載の窒化ホウ素粉末。
  3. 請求項1〜2のいずれか一項に記載の窒化ホウ素粉末を含有してなる樹脂組成物。
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