JP5965655B2 - 電流遮断回路、送電システム及び電流遮断回路制御方法 - Google Patents

電流遮断回路、送電システム及び電流遮断回路制御方法 Download PDF

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本発明は、電流遮断回路、送電システム及び電流遮断回路制御方法に関する。
大容量の電力を長距離に亘り送電する技術として、高圧直流送電システムがある。従来、高圧直流送電システムには、電流形他励式変換器が用いられていた。電流形他励式変換器を用いた高圧直流送電システムでは、直流送電線路に短絡事故や地絡事故が発生した場合、変換器の制御によって事故で発生した障害の除去が行われていた。
これに対して近年、電流制御特性に優れた電圧形自励式変換器を用いたシステムの導入が始まっている。電圧形自励式変換器を用いた高圧直流送電システムでは、短絡や地絡が発生した際に変換器のみで障害の除去を行うことができない。そこで、交流遮断器などを用いて直流送電システム全体を交流系統から切り離す必要がある。この場合、交換器の停止を伴うため、再度システムを稼動させるのに時間が掛かってしまう。そのため、電圧形自励式変換器を用いた高圧直流送電システムを交流遮断器により停止させる方法は、高い信頼性を要求される場合には好ましくない。そこで、電圧形自励式変換器を用いた高圧直流送電システムでは、事故により発生した障害を除去するため直流遮断回路を併用するなどの対策が望まれる。
高圧直流伝送システムに直流遮断回路を適用する場合、高耐圧と高速性とを兼ね備えた直流遮断回路が求められる。そのため、高耐圧及び高速性を満たす半導体を用いた直流遮断回路の開発が行われている。
図16は、従来の直流遮断回路の一例を表す回路図である。従来の直流遮断回路の構成は、図16に示すように、半導体スイッチ602、リアクトル603、ダイオード605、抵抗素子606を有する。そして、回路の入力側には直流電流601が接続され、出力側には短絡事故などが発生する可能性がある直流線路又は機器などの負荷604が配置される。負荷604において短絡事故などが発生すると、半導体スイッチ602がオフになり、事故電流は、抵抗素子606及びダイオード605を経由して流れるようになる。抵抗素子606リアクトル603及び負荷604のインダクタンスに蓄積された誘導性エネルギーを消費するため、負荷604に流れる電流は徐々に減少し、最終的に流れなくなる。電流が流れなくなることにより、短絡が解消され、事故による障害を除去することができる。
また、直流遮断回路の他の例としては、ダイオードを経由する還流電流を流し続け、回路の寄生抵抗によって直流出力側の誘導性エネルギーを処理する従来技術がある。また、半導体スイッチを複数直列接続し、さらに半導体スイッチと並列にコンデンサ及び抵抗器を接続してスイッチに印加される電圧の均一な分担を実現する従来技術がある。また、複数直列接続した半導体スイッチのゲート電圧を制御することにより、各スイッチに印加される電圧の均一な分担を実現する従来技術がある。
特開昭62−81116号公報 特開2011−129302号公報 特開昭60−29017号公報
鈴木俊夫、秦泉寺敏正 著 「半導体しゃ断装置の現状と将来」、電気学会雑誌、Vol.102, No.9, pp.810-817, 1982 G. Botto, M. Carpita, E. Gilardi, and S. Tenconi, ``Series connected soft switched IGBTs for high power, high voltage drives applications: experimental results," Proc. of IEEE Power Electronics Specialists Conference (PESC), vol. 1, pp. 3-7, Jun. 1997. R. Withanage, N. Shammas, S. Tennakoon, ``Series connection of insulated gate bipolar transistors (IGBTs)," European Conference on Power Electronics and Applications (EPE), pp.1-10, 2005.
しかしながら、上述したような従来の直流遮断回路では、適用可能な電圧は半導体スイッチの耐圧によって制約を受ける。高圧直流送電では、直流電圧が100kV以上となるが、現在の半導体スイッチの耐性は10kVより低い。そのため、半導体スイッチの耐性が不足し、従来の直流遮断回路をそのまま高圧直流送電に適用することは困難である。
半導体スイッチの耐圧が不足する場合、従来技術のように2つ以上の半導体スイッチを直列に接続し、各半導体スイッチに印加する電圧を均一に分担することが考えられる。しかし、実際の半導体スイッチの動作特性はスイッチ毎に異なるため、単に直列接続を行うだけでは均一な電圧分担を実現することは困難であり、一部のスイッチに電圧が集中して破壊に至るおそれがある。このように、従来技術を用いた電流遮断回路では、電流遮断時に耐圧を超える電圧のスイッチへの印加を回避することは困難であった。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、電流遮断時に耐圧を超える電圧がスイッチに印加されることを回避する電流遮断回路、送電システム及び電流遮断回路制御方法を提供することを目的とする。
本願の開示する電流遮断回路、送電システム及び電流遮断回路制御方法は、一つの態様において、電源は、負荷に給電線を介して給電する。ダイオードは、前記電源の正極と前記負荷とを接続する給電線上の第1接続点、及び前記負荷と前記電源の負極とを接続する前記給電線上の第2接続点で接続され、前記第2接続点から前記第1接続点への方向の電流を通過させる。リアクトルは、前記第1又は第2接続点よりも前記負荷側の前記給電線上に接続される。半導体スイッチである複数の第1スイッチが、前記第1又は第2接続点よりも前記電源側の前記給電線上に直列接続される。電圧制御部は、各前記第1スイッチと並列に接続され、対応する前記第1スイッチにかかる電圧を検出し、各前記第1スイッチにかかる電圧が均一になるように半導体スイッチをオフにする速度を制御する
本願の開示する電流遮断回路、送電システム及び電流遮断回路制御方法の一つの態様によれば、電流遮断時に耐圧を超える電圧がスイッチに印加されることを回避することができるという効果を奏する。
図1は、実施例1に係る電流遮断回路の回路図である。 図2Aは、短絡事故発生前の電流の流れを表す図である。 図2Bは、短絡発生直後の電流の流れを表す図である。 図2Cは、遮断動作開始直後の電流の流れを表す図である。 図2Dは、障害の解消処理を行っている場合の電流の流れを表す図である。 図3は、事故電流遮断時のスイッチ制御信号とリアクトル電流の変化を表す図である。 図4は、実施例1に係る電流遮断回路による短絡の除去のフローチャートである。 図5は、実施例1の変形例に係る電流遮断回路の構成図である。 図6は、実施例2に係る電流遮断回路の回路図である。 図7は、実施例3に係る電流遮断回路の回路図である。 図8は、実施例4に係る電流遮断回路の回路図である。 図9は、実施例4に係る電流遮断回路における電流遮断から再閉路までのスイッチの制御信号、給電線の電圧及びリアクトル電流の変化を表す図である。 図10は、実施例4の変形例に係る電流遮断回路の回路図である。 図11は、実施例5に係る高圧直流送電システムの構成図である。 図12は、実験回路の構成図である。 図13は、直流線路の事故点電圧、事故点電流、コレクタ・エミッタ間電圧及び直流リアクトルの波形を示す図である。 図14は、図13の事故前後の波形を拡大した図である。 図15は、実施例5の変形例に係る高圧直流送電システムの構成図である。 図16は、従来の直流遮断回路の一例を表す回路図である。
以下に、本願の開示する電流遮断回路、送電システム及び電流遮断回路制御方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する電流遮断回路、送電システム及び電流遮断回路制御方法が限定されるものではない。
図1は、実施例1に係る電流遮断回路の回路図である。図1に示すように、本実施例に係る電流遮断装置は、直流電源1と負荷5とが給電線201及び202で接続されている。給電線201は、直流電源1の正極と負荷5とを接続する。給電線202は、直流電源1の負極と負荷5とを接続する。
さらに、給電線201上の接続点203と給電線202上の接続点204とを接続するように、ダイオード61、ダイオード62及び抵抗素子7が直列接続されている。抵抗素子7は、通常の抵抗器でよいが、それ以外にも、非線形な抵抗特性を有するバリスタやツェナーダイオードを用いてもよい。また、本実施例では、一例としてダイオード61及び62の2つの場合で説明するが、ダイオードの数に特に制限はなく、各ダイオードにかかる電圧が各ダイオードの耐圧を超えないように、ダイオードの数を決めることが好ましい。
接続点203と直流電源1の正極との間にスイッチ21及び22が直列に接続されている。スイッチ21及び22は、高速なターンオフが可能な自己消弧形の電力用半導体デバイスが好ましい。例えば、スイッチ21及び22は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、GTO(Gate Turn Off thyristor)又はMOSEFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などが好ましい。ただし、スイッチ21及び22はこれに限らず、機械式スイッチや機械式スイッチと半導体スイッチとを組み合わせたスイッチなどでもよい。本実施例では、スイッチ21及び22としてIGBTを用いている。また、本実施例では、直流電源1の正極と接続点203との間にスイッチ21及び22を配置したが、スイッチ21及び22は、直流電源1の負極と接続点204との間に配置してもよい。また、本実施例では、一例としてスイッチ21及び22の2つの場合で説明するが、スイッチの数に特に制限はなく、各スイッチにかかる電圧が各スイッチの耐圧を超えないように、スイッチの数を決めることが好ましい。
そして、スイッチ21と並列にコンデンサ31が接続されており、スイッチ22と並列にコンデンサ32が接続されている。ここで、コンデンサ31及び32は、スイッチ21及び22のターンオフ動作のばらつきに対して、充電時間が十分に遅くなるように静電容量を設定することが好ましい。ここで、コンデンサ31及び32の静電容量の設定の一例について説明する。
ここでは、一例として以下のように、各部の値を決定する。直流電源1の直流電圧(以下、「Vdc」という。)を250kVとする。また、直流電源1の直流定格電流(以下、「Idc」という。)を1.2kAとする。また、定格容量(Vdc×Idc)を300MWとする。また、抵抗素子7をバリスタとして、そのバリスタ制限電圧を10kVとする。さらに、スイッチとして、耐圧6.5kVの半導体スイッチを80個直列に接続した場合で説明する。
半導体スイッチを80個直列に接続すると、この場合の1素子の印加電圧は(250kV+10kV)/80個=3.25kVとなる。ここでは、半導体デバイスに印加する電圧は、余裕を持たせて耐圧の半分以下としている。
そして、半導体スイッチのターンオフ時間の差が1μsec以内とする。そして、コンデンサによって、半導体スイッチのオフ時のスイッチ両端に印加する電圧の立ち上がり時間を10μsecまで遅らせるものとする。
コンデンサの電荷Qは、Q=CV=ITという関係を有する。ここで、Cはコンデンサの静電容量であり、Vはコンデンサ電圧であり、Iは充電電流であり、Tは充電時間である。そこで、C=Idc×T/V=1.2kA×10μsec/3.25kV=3.7μFとなる。したがって、この場合、コンデンサには、耐圧3.25kV以上、静電容量3.7μF前後のものを用いればよい。ここでは、コンデンサは80個の直列接続となるので、コンデンサ全体では、耐圧は260kV以上となり、合成した静電容量は3.7μF/80個=46nF前後となる。
図1に戻り、さらに、接続点203と負荷5との間にリアクトル4が接続されている。
図2Aは、短絡事故発生前の電流の流れを表す図である。図2Bは、短絡発生直後の電流の流れを表す図である。図2Cは、遮断動作開始直後の電流の流れを表す図である。図2Dは、障害の解消処理を行っている場合の電流の流れを表す図である。すなわち、図2A〜2Dは、短絡事故発生から電流を遮断し障害を解消するまでの電流経路の遷移を表している。また、図2では分かり易いように、各図において説明する電流が流れている経路以外の経路を点線で表している。
短絡事故が発生していない場合は、スイッチ21及び22は、オンの状態になっている。そこで、図2Aに示すように、直流電源1の正極から出力された電流は、給電線201上のスイッチ21及び22を経由してリアクトル4を通過し、負荷5へ供給される。そして、負荷5から出力されえた電流は、給電線202を経由して直流電源1の負極に入力される。
短絡が発生していない場合、ダイオード61及びダイオード62には常に逆電圧がかかる。そのため、ダイオード61及びダイオード62には電流が流れない。これにより、抵抗素子7にも電流は流れない。また、直流電源1からは直流で給電されているため、リアクトル4による力率の低下なども発生しない。すなわち、短絡が発生していない場合には、本実施例に係る電流遮断回路は、ダイオード61及び62、並びに抵抗素子7がない場合と同様に動作する。
図2Bの負荷5の中に示す矢印が短絡を表している。短絡が発生した直後には、スイッチ21及び22は、オンの状態になっている。そのため、電流はスイッチ21及び22を通過し、リアクトル4を通過して、短絡箇所から給電線202に流れ、直流電源1の負極に入力される。そして、このような短絡が発生すると、過電流が給電線201及び202を流れる。
短絡発生直後には、リアクトル4には直流電圧が印加され、給電線201を流れる電流が増加する。この場合、リアクトル4のインダクタンスに対応して、電流の増加が抑制される。これにより、スイッチ21及び22に流れる電流の急上昇を回避することができる。
ここで、リアクトル4のリアクトル電流の増加、又はスイッチ21及び22に流れる電流の増加から短絡事故を検出する。図1、図2A〜2Dには、電流の計測器が図示されていないが、実際には、短絡事故を検出するための電流の計測器が、リアクトル4又はスイッチ21及び22に配置されている。短絡事故が検出されると、スイッチ21及び22は、ターンオフされる。図1、図2A〜2Dには、スイッチ21及び22の制御部を記載していないが実際には、スイッチ21及び22のオン/オフの制御を行う制御部が配置されている。
スイッチ21及び22がターンオフされると、図2Cで表される状態になる。すなわち、直流電源1の正極から出力された電流は、コンデンサ31及び32を経由し、リアクトル4を通過して、短絡箇所から給電線202に流れ、直流電源1の負極に入力される。
このとき、コンデンサ31及び32が充電される。そして、コンデンサ31及び32に蓄えられた電荷に応じて、スイッチ21及び22の印加電圧が緩やかに上昇する。ここで、上述したように、コンデンサ31及び32の静電容量は、スイッチ21及び22のターンオフ動作のばらつきに対して、充電時間が十分に遅くなるように設定されている。これにより、スイッチ21及び22のターンオフの過度時において、スイッチ21及び22に係る電圧、すなわち分担電圧を耐圧より低く抑えることができる。コンデンサ31及び32が充電されている間に、スイッチ21及び22のターンオフが完了する。
その後、コンデンサ31及び32が直流電圧まで充電されると、図2Dに示すように、電流はダイオード61及び62を通過するように転流する。このとき、抵抗素子7によって、リアクトル4には逆電圧が印加される。これにより負荷5に流れる電流は減少していき、最終的に電流が流れなくなる。短絡事故がアークによって継続している場合には、電流が0になるとアークが消弧し、短絡が解消される。
図3は、事故電流遮断時のスイッチ制御信号とリアクトル電流の変化を表す図である。ここで、図3を参照して、短絡発生から電流遮断までのリアクトル電流の変化を説明する。グラフ301は、スイッチ制御信号の時間変化を表している。グラフ301の縦軸は制御信号のオン/オフを表しており、横軸は時間経過を表している。グラフ301では、信号がHighのときスイッチ21及び22がオンになり、信号がLowのときスイッチ21及び22がオフになる。また、グラフ302は、リアクトル電流の時間変化を表している。グラフ302の縦軸はリアクトル4に流れるリアクトル電流を表している。また、グラフ302Aは、抵抗素子7がバリスタの場合を表しており、グラフ302Bは、抵抗素子7が抵抗器の場合を表している。
図3の時刻0で短絡が発生する。すなわち、t<0の期間における電流は、図2Aで表される流れになっている。
短絡により、過電流が流れるため、0≦t<tの間では、リアクトル4のリアクトル電流は増加する。0≦t<tの期間における電流は、図2Bで表される流れになっている。
そして、時刻tで短絡が検出され、グラフ301のようにスイッチ制御信号がオンからオフに変化し、スイッチ21及び22がターンオフされる。その後、コンデンサ31及び32が充電される。そして、時刻tにおいて、コンデンサ31及び32に蓄えられた電荷が、直流電圧と一致する。t≦t<tの期間における電流は、図2Cで表される流れになっている。コンデンサ31及び32が充電されている間に、スイッチ21及び22のターンオフが完了する。
コンデンサ31及び32が直流電圧まで充電されると、ダイオード61及び62を経由して電流が流れる。その後、抵抗素子7によってリアクトル4に逆電圧が印加され、リアクトル電流が減少していく。そして、抵抗素子7が抵抗器の場合には、グラフ302Bに示すように時刻tでリアクトル電流は0になる。電流が流れなくなることにより、短絡が解消される。t≦t<tにおける電流は、図2Dで表される流れになっている。ここで、抵抗素子7をバリスタにした場合、抵抗素子7の両端に発生する電圧をほぼ一定に保つことができる。すなわち、抵抗素子7をバリスタにした場合、グラフ302に示すように、リアクトル電流の変化を一次関数的にすることができる。そして、スイッチ21及び22には、入力側の直流電圧と抵抗素子7の電圧の和が印加される。したがって、バリスタを使用して抵抗素子7の電圧を一定にすることにより、スイッチ21及び22に印加される電圧を一定に保持することができ、スイッチ21及び22に対する電圧のピーク値を低減することができる。すなわち、スイッチ21及び22に、耐圧を超える電圧が印加されることを回避することができる。
次に、図4を参照して、本実施例に係る電流遮断回路による短絡の除去の流れを説明する。図4は、実施例1に係る電流遮断回路による短絡の除去のフローチャートである。
短絡事故の発生前、直流電源1の正極から出力された電流が負荷5に対して入力され、負荷5から出力された電流が直流電源1の負極に入力されることで、負荷に対する給電が行われる(ステップS1)。
負荷5において短絡事故が発生する(ステップS2)。
短絡により、過電流が流れ、スイッチ21及び22に流れる電流又はリアクトル電流の増加により短絡を検知し、スイッチ21及び22のターンオフを開始する。そして、スイッチ21及び22がターンオフすることで、コンデンサ31及び32に電流が流れ、充電が開始される(ステップS3)。
スイッチ21及び22には、それぞれコンデンサ31及び32に蓄えられた電荷に応じて電圧が印加される(ステップS4)。
スイッチ21及び22のターンオフが完了し、コンデンサ31及び32が直流電圧まで充電される(ステップS5)。
電流が、ダイオード61及び62を経由して流れる(ステップS6)。
抵抗素子7によってリアクトル4に逆電圧が印加され、負荷5に流れる電流が減少していく(ステップS7)。
負荷5に電流が流れなくなり、負荷5における短絡が除去される(ステップS8)。
以上に説明したように、本実施例に係る電流遮断回路は、負荷に流れる電流を遮断するためにスイッチをターンオフした場合に、スイッチに並列に接続したコンデンサへの充電が行われる。これにより、スイッチのターンオフの動作のばらつきに関わらず、各スイッチに印加される電圧をスイッチの耐圧以下に抑えることができる。したがって、本実施例に係る電流遮断回路によれば、電流遮断時に各スイッチに対する電圧の均一な分担が行え、スイッチの耐圧を超える電圧がスイッチに印加されることを回避できる。すなわち、電流遮断回路設置における、スイッチの耐圧による制約を軽減することができる。
(変形例)
次に、実施例1に係る電流遮断回路の変形例について説明する。本変形例は、スイッチのターンオフ時における、スイッチにかかる電圧の制御を電圧分担制御装置によって行うことが実施例1と異なるものである。この変形例では、スイッチ21及び22は、半導体スイッチを用いる。
図5は、実施例1の変形例に係る電流遮断回路の構成図である。図5に示すように、本変形例に係る電流遮断回路は、電圧センサー33及び34、電圧分担制御装置35、並びに、ゲート駆動回路36及び37を有している。
電圧センサー33は、スイッチ21のコレクタとエミッタとの間の電圧を検出する。電圧センサー34は、スイッチ22のコレクタとエミッタとの間の電圧を検出する。
電圧分担制御装置35は、スイッチ21及び22の電圧を、電圧センサー33及び34から取得する。そして、電圧分担制御装置35は、スイッチ21及び22の電圧が等しくなるように、ゲート駆動回路36及びゲート駆動回路37を制御する。具体的には、スイッチ21及び22のうち電圧が高い側のオフにするスピードを遅らすように、ゲート駆動回路36及び37のゲート電圧を調整する。これにより、スイッチ21及び22のコレクタとエミッタとの間の電圧を調整でき、スイッチ21及び22の電圧が等しくすることができる。
ゲート駆動回路36は、電圧分担制御装置35から指示されたゲート電圧をスイッチ21に印加してスイッチ21をオフにする。ゲート駆動回路37は、電圧分担制御装置35から指示されたゲート電圧をスイッチ22に印加してスイッチ21をオフにする。
以上に説明したように、本変形例に係る電流遮断回路は、各スイッチのコレクタとエミッタとの間の電圧が等しくなるように、ゲート電圧を制御する。これにより、電流遮断時に各スイッチに対する電圧の均一な分担をより正確に行え、スイッチの耐圧を超える電圧がスイッチに印加されることを回避できる。
次に、実施例2に係る電流遮断回路ついて説明する。図6は、実施例2に係る電流遮断回路の回路図である。本実施例に係る電流遮断回路は、実施例1の電流遮断回路に分圧抵抗81、分圧抵抗82及びスイッチ83をさらに加えた構成である。
分圧抵抗81は、スイッチ21及びコンデンサ31と並列に接続されている。また、分圧抵抗82は、スイッチ22及びコンデンサ32と並列に接続されている。分圧抵抗81及び82の抵抗値は、スイッチ21及び22がオフの間に流す漏れ電流よりも分圧抵抗81及び82に流れる電流が十分大きくなるように設定する。
スイッチ83は、ダイオード61及び62と並列に接続されている。そして、スイッチ21及び22がオフになると、スイッチ83がオンになる。
スイッチ21及び22がオフの状態では、直流電源1の正極から出力された電流は、分圧抵抗81及び82を経由し、その後、スイッチ83及び抵抗素子7を経由して直流電源1の負極に入力される。
これにより、スイッチ21及び22の漏れ電流に差が存在しても、スイッチ21及び22がオフの期間中は分圧抵抗81及び82を電流が流れるため、スイッチ21及び22の電圧の分担を等しく保つことができる。
以上に説明したように、本実施例に係る電流遮断回路は、スイッチがオフの期間中に分圧抵抗81及び82に電流を流すことができる。これにより、スイッチがオフの期間中にも各スイッチの電圧の分担を均一にすることができ、スイッチの耐圧を超えた電圧が印加されることを回避できる。
次に、実施例3に係る電流遮断回路ついて説明する。図7は、実施例3に係る電流遮断回路の回路図である。本実施例に係る電流遮断回路は、実施例2の電流遮断回路のスイッチ83に変えて、分圧抵抗91及び分圧抵抗92を加えた構成である。
分圧抵抗91は、ダイオード61と並列に接続されている。また、分圧抵抗92は、ダイオード62と並列に接続されている。分圧抵抗91及び92の抵抗値は、ダイオード61及び62がオフ状態となる期間中に流す漏れ電流よりも分圧抵抗81及び82に流れる電流が十分大きくなるように設定する。
ダイオード61及び62がオフの状態、すなわち直流電源1から負荷5に給電が行われている状態では、直流電源1から出力された電流は、リアクトル4に流れる電流と分圧抵抗91及び92に流れる電流に分岐する。リアクトル4に流れる電流は、負荷5に給電される。一方、分圧抵抗91及び92に流れる電流は、抵抗素子7を経由して直流電源1の負極に入力される。
これにより、ダイオード61及び62の漏れ電流に差が存在しても、ダイオード61及び62がオフの期間中は分圧抵抗91及び92を電流が流れるため、ダイオード61及び62の電圧の分担を等しく保つことができる。
以上に説明したように、本実施例に係る電流遮断回路は、ダイオードがオフの期間中に分圧抵抗91及び92に電流を流すことができる。これにより、ダイオードがオフ状態の期間中にも各ダイオードの電圧の分担を均一にすることができ、ダイオードの耐圧を超えた電圧が印加されることを回避できる。
次に、実施例4に係る電流遮断回路ついて説明する。図8は、実施例4に係る電流遮断回路の回路図である。本実施例に係る電流遮断回路は、実施例3の電流遮断回路に、スイッチ101及び102をさらに加えた構成である。
スイッチ101は、ダイオード61及び分圧抵抗91と並列に接続されている。また、スイッチ102は、ダイオード62と並列に接続されている。スイッチ101及び102は、短絡の発生前にはオフになっている。そして、短絡が発生してダイオード61及び62の経路に電流が流れる期間中に、スイッチ101及び102をオンにする。ここで、スイッチ101及び102をオンにするタイミングは、ダイオード61及び62がオンの状態であればいつでもよく、また、スイッチ101とスイッチ102との間でオンになるタイミングがずれてもよい。そのため、このスイッチ101及び102は、半導体スイッチ又は機械式スイッチのいずれでもよい。
スイッチ101及び102は、微小な導通抵抗または逆阻止特性を持たせることが好ましい。これにより、ダイオード61及び62がオンの状態では、負荷5から出力され抵抗素子7を経由した電流のほとんどがダイオード61及び62に流れるので、スイッチ101及びスイッチ102の電流定格を小さくすることができる。その後、短絡箇所の電流が遮断され、ダイオード61及び62がオフの状態に遷移すると、分圧抵抗91及び92を介して流入する電流は、スイッチ101及び102を経由して直流電源1の負極に流れる。これにより、負荷5に給電を行う給電線の電圧を0に保つことができる。この状態で、短絡地点のアークが消弧し絶縁が回復されるまでの期間、線路電圧を0に保つ。その後、電流遮断回路を再閉路する場合、まずスイッチ101及び102をオフにする。このとき、負荷5における短絡が除去されているので、負荷5に給電を行う給電線の電圧が徐々に上昇する。そして、電圧が十分に上昇した後に、スイッチ21及び22をターンオンすることで、再閉路が完了する。
なお、スイッチ101及び102をオフにしたときに、負荷5における短絡が除去されていなければ、負荷5に給電を行う給電線の電圧が上昇しない。この場合、給電線の電圧が上昇しないことを検出して、再閉路動作を中止することで、再び短絡箇所を経由して電流が流れることを防止できる。
次に、図9を参照して、実施例4に係る電流遮断回路における電流遮断から再閉路までのスイッチの制御信号、給電線の電圧及びリアクトル電流の変化について説明する。図9は、実施例4に係る電流遮断回路における電流遮断から再閉路までのスイッチの制御信号、給電線の電圧及びリアクトル電流の変化を表す図である。
グラフ401は、スイッチ21及び22の制御信号の時間変化を表している。グラフ402は、スイッチ101及び102の制御信号の時間変化を表している。グラフ401及び402の縦軸はスイッチ制御信号のオン/オフを表し、横軸は時間の経過を表している。グラフ403は、給電線の電圧の時間変化を表している。グラフ403の縦軸は電圧値を表し、横軸は時間経過を表している。グラフ404は、リアクトル電流の時間変化を表している。グラフ404の縦軸は電流値を表し、横軸は時間経過を表している。
図9では、時刻0に短絡が発生している。このとき、短絡により、グラフ403に示すように給電線における電圧が0になる。その後、短絡により過電流が流れ、グラフ404に示すようにリアクトル電流が上昇する。
そして、時刻tで、電流の上昇が検出され、グラフ401に示すように電流を遮断するスイッチ21及び22のターンオフが開始する。このとき、コンデンサ31及び32に対して充電が行われ、スイッチ21及び22に印加される電圧が耐圧以下に抑えられる。そして、スイッチ21及び22がオフになることで、直流電源1からの電流の負荷5への流れが遮断され、リアクトル4を流れるリアクトル電流が減っていく。
その後、グラフ404に示すように、時刻t2でリアクトル電流が0になり、短絡が除去される。この時刻tからtの間に、グラフ402に示すように、スイッチ101及び102はオンの状態になる。これにより、直流電源1から出力され分圧抵抗81及び82を介して流入する電流は、スイッチ101及び102を経由して直流電源1の負極に流れる。これにより、負荷5に給電を行う給電線の電圧を0に保つことができる。この状態で、短絡地点のアークが消弧し絶縁が回復されるまでの期間、グラフ403に示すように、線路電圧を0に保つ。
そして、十分時間が経過し絶縁が回復されたタイミングの時刻tで、グラフ402に示すようにスイッチ101及び102をオフにする。これにより、グラフ403に示すように給電線の電圧が徐々に増加する。
給電線の電圧が十分に増加した後に、グラフ401に示すように、時刻tでスイッチ21及び22をオンにする。これにより、直流電源1から負荷5への給電が再開される。
以上に説明したように、本実施例に係る電流遮断回路は、分圧抵抗81及び82から流れてきた電流を負荷5に流さずに、直流電源1に戻すことができる。これにより、リアクトル電流が0になった後も給電線の電圧を0に保つことができ、確実にアークの消弧を行い短絡などの障害を除去することができる。
(変形例)
次に、実施例4の変形例について説明する。図10は、実施例4の変形例に係る電流遮断回路の回路図である。
図10に示すように、本変形例に係る電流遮断回路は、実施例4ではダイオード61及び62のそれぞれに1つずつ並列に配置していたスイッチ101及び102に代えて、ダイオード61及び62全体と並列に1つのスイッチ103を配置したものである。
このように、直列に並んだダイオード全体と並列に1つのスイッチ103を配置しても、実施例4と同様に、ダイオードがオンの状態において、給電線の電圧を0に保つことができる。ただし、1つのスイッチにかかる電圧は複数のスイッチを並べた場合に比べて大きくなる。
以上に説明したように、機械式スイッチなどの高耐圧のスイッチを用いることができる場合には、本変形例の構成の方が、実施例4に比べて使用するスイッチの数を削減でき、構成を簡略化することができる。
次に、実施例5として直流遮断回路を用いた高圧直流送電システムについて説明する。図11は、実施例5に係る高圧直流送電システムの構成図である。図11に示す高圧直流送電システムは、双方向に送電を行えるように構成されている。
本実施例に係る高圧直流送電システムは、交流系統123a及び123b、変圧器122a及び122b、交直変換器121a及び121b、直流送電線路5a及び5bを、システムの両側に有する。そして、システムの両側は直流送電線路5a及び5bで接続されている。さらに、交直変換器121a及び121bと直流送電線路5a及び5bとの間に、それぞれ直流遮断回路を接続する。システムのそれぞれの側に配置された直流遮断回路は同じ構成を有するので、以下では、交直変換器121aに接続された直流遮断回路を例に説明する。
本実施例に係る直流遮断回路は、スイッチ21a及び22a、コンデンサ31a及び32a、分圧抵抗81a及び82a、ダイオード61a及び62a、分圧抵抗91a及び92a、スイッチ103a、抵抗素子7a、並びにリアクトル4aを有している。本実施例では、抵抗素子7aとしてバリスタを用いている。さらに、本実施例に係る直流遮断回路は、逆方向に電流を流すようにするためにスイッチ21a及び22aと並列にダイオード111a及び112aを有している。
交流系統123aから送られてきた交流電流は、変圧器122aで送電用の電圧に変換される。交直変換器121aは、変圧器122aで変圧された電流を直流電流に変換する。そして、短絡などの障害が発生していなければ、交直変換器121aから出力された電流は、直流送電線路5aを経由して、交直変換器121bにより交流電流に変換される。その後、変圧器122bで変圧された交流電流は、交流系統123bへ送られる。ここで、逆の電流の流れも同様であるので、説明は省略する。
直流送電線路5a及び5bに架空線を用いる場合、落雷などの影響で短絡事故や地絡事故などが発生することがある。このような事故が発生した場合、直流送電線路5a及び5bにおける短絡などの障害を除去するため、直流遮断回路のスイッチ21a及び22aをターンオフする。スイッチ21a及び22aには、コンデンサ31a及び32aに蓄えられた電荷に対応した電圧が印加されるので、スイッチ21a及び22aに耐圧を超える電圧が印加されることは回避される。その後、直流送電線路5a及び5bを流れる電流は、ダイオード61a及び62aを経由して流れることになり、抵抗素子7a及びリアクトル4aによって減少していき最終的に0となる。電圧が下がっている期間に、スイッチ103aがオンになっているので、電流が直流送電線路5a及び5bに流れない状態が維持される。これによって、直流送電線路5a及び5bにおける短絡が除去される。その後、スイッチ103aをオフにし、さらにスイッチ21a及び22aをオンにすることで送電が再開される。同様に、逆向きの送電システムにおいても遮断処理を行う。
以上に説明したように、本実施例に係る高圧直流送電システムでは、直流送電線路5a及び5bの両端に直流遮断回路を接続することにより、交直変換器121a及び121bから直流送電線路を速やかに分離することができる。これにより、直流送電線路5a及び5b以外の部分への事故の波及を阻止することができる。
さらに、実施例5の高圧直流送電システムに対応する実験結果について説明する。図12は、実験回路の構成図である。この実験では、実施例5の交流系統123a及び123b、変圧器122a及び122b、並びに、交直変換器121a及び121bに変えて、直流電源1a及び1bを用いる。また、直流送電線路5a及び5bにおける短絡事故を模擬的に発生させるため、短絡事故模擬装置50を直流送電線路5aと直流送電線路5bとの間に設ける。
実験では、各部の値を以下の値として設定する。直流電源1a及び1bの直流電源直流電圧として、360Vとする。また、スイッチの数を2つとする。また、リアクトル4a及び4bの直流リアクトルを1.5mHとする。また、コンデンサ31a、32a、31b及び32bの静電容量を0.47μFとする。また、分圧抵抗81a、82a、81b及び82bの抵抗を47kΩとする。また、分圧抵抗91a、92a、91b及び92bの抵抗を470kΩとする。また、ダイオード61a、62a、61b及び62bをツェナーダイオードとし、制限電圧を6.6Vとする。そして、直流電源1a及び1bの間に電流22Aを流し、8kWを送電した場合の実験を行った。抵抗素子7a及び7bにはツェナーダイオードを用いた。また、スイッチ21a、22a、21b及び22bにはIGBTを用いた。また、スイッチ103a及び103bには、機械リレーのスイッチを用いた。
図13は、直流線路の事故点電圧(Vfault)、事故点電流(Ifault)、スイッチ(61a、62a、61b、62b)のコレクタ・エミッタ間電圧(VQA1、VQA2、VQB1、VQB1)、及び直流リアクトル電流(IdcA、IdcB)の波形を示す図である。図14は、図13の事故前後の波形を拡大した図である。グラフ501は、直流線路の事故点電圧Vfaultを表している。グラフ501の縦軸は電圧を表し、横軸は時間経過を表している。グラフ502は、事故点電流Ifaultを表している。グラフ502の縦軸は電流を表し、横軸は時間経過を表している。グラフ503は、コレクタ・エミッタ間電圧VQA1、VQA2を表している。グラフ503の縦軸は電圧を表し、横軸は時間経過を表している。グラフ504は、コレクタ・エミッタ間電圧VQB1、VQB2を表している。グラフ505の縦軸は電圧を表し、横軸は時間経過を表している。グラフ504は、直流リアクトル電流IdcAを表している。グラフ505の縦軸は電流を表し、横軸は時間経過を表している。グラフ506は、直流リアクトル電流IdcBを表している。グラフ506の縦軸は電流を表し、横軸は時間経過を表している。
時刻0において、短絡事故模擬装置50のスイッチを投入し、短絡事故の発生を模擬する。事故の発生により、グラフ501に示すように、Vfaultが0まで低下する。これと同時に、リアクトル4aには直流電源1aにより電圧が印加され、グラフ505に示すようにIdcAが増加し、グラフ506に示すようにIdcBが減少する。実験では、IdcA及びIdcBをセンサで検出し、電流の変化量によって事故の検出を行った。事故の検出後、スイッチ21a、22a、21b及び22bのゲート信号をオフにした。この際、実験では、スイッチ間の動作時間の差を模擬的に発生させるため、スイッチ22a及び22bには、500nsecの遅延を与えた。スイッチ21a、22a、21b及び22bをターンオフすると同時に、コンデンサ31a、32a、31b及び32bが充電される。コレクタ・エミッタ間電圧VQA1、VQA2は徐々に上昇する。これにより、ゲート信号の遅れによるスイッチ間の動作時間の差の影響は緩和される。ターンオフ直後のスイッチ21aとスイッチ22aとの電圧差は28Vであり、これは直流電圧の7.8%にあたり、スイッチ間の分圧に大きな偏りは発生していない。また、スイッチ21b及び22bでは、事故発生時にはダイオード111b及び112bに電流が流れているため、スイッチ間の動作時間の差は影響を与えないので、コレクタ・エミッタ間電圧VQB1、VQB2の波形は一致する。以上のような動作を行うことで、スイッチ21a、22a、21b及び22bのターンオフ動作までを15μsecで行い、事故期間中の電流の増加量を定格の20%以内に抑制している。
その後、事故電流がダイオード61a、62a、61b及び62bを流れるようになると、グラフ505及び506に示すように、直流リアクトル電流IdcA及びIdcBは、徐々に減少していく。そして、2msec後には、直流リアクトル電流IdcA及びIdcBは0になった。
事故点電流Ifaultが0になると同時に、短絡事故模擬装置50のスイッチを開放し、事故電流の経路を切り離して、短絡事故の除去を模擬的に発生させる。スイッチ103a及び103bは、機械スイッチであり動作が遅く、事故検出の直後にオンの制御信号を与えているが、実際にオン状態となるのは時刻4.5msecである。その後、300msecの期間において線路電圧を0Vに保ち、事故点の消弧時間を確保する。その後、スイッチ103a及び103bを開放すると、分圧抵抗91a、92a、91b及び92bを介して直流線路が再充電される。そして、時刻400msecにスイッチ21a、22a、21b及び22bをターンオンすることで、送電を再開した。
この実験で分かるように、実施例5に係る高圧直流送電システムを用いた場合、短絡などの事故が発生した場合、障害を除去するため直流電流を遮断し、直流送電線路に電流を流さなくして短絡を除去する。そして、その除去の過程において、直流電流の遮断のためのスイッチをオフにしたときに、各スイッチに印加される電圧を抑えることができ、電流遮断時に耐圧を超える電圧がスイッチに印加されることを回避することができる。すなわち、スイッチの耐圧の制約を受けることなく送電システムを構築することができる。
(変形例)
次に、実施例5の変形例について説明する。図15は、実施例5の変形例に係る高圧直流送電システムの構成図である。
図15に示すように、単極構成のシステム2つを接続することにより、双極の高圧直流送電システムを構成することもできる。
本変形例では、実施例5の高圧直流送電システムに、さらに、変圧器122c及び122d、交直変換器121c及び121d、直流送電線路5cを有する。そして、システムの両側は直流送電線路5a、5b及び5cで接続されている。さらに、交直変換器121c及び121dと直流送電線路5b及び5cとの間に、それぞれ直流遮断回路を接続する。この直流遮断回路は、実施例5の直流遮断回路と同様であるので説明を省略する。
このような構成にすることにより、同じ送信電力であっても、直流送電線路5bにおいて、交直変換器121aに戻る電流と交直変換器121cから出力された電流が打ち消しあうので、直流送電線路5bを細くすることができる。
また、以上に説明した各実施例では、ダイオード62と給電線202(図1参照)との間に抵抗素子7を配置したが、抵抗素子7の位置はダイオード61及び62と直列に配置されていればよい。例えば、抵抗素子7は、ダイオード61と給電線201(図1参照)との間に配置されてもよい。さらに、ダイオード61及び62の抵抗により、負荷5に流れる電流を減少させることもできる。この場合、ダイオード61及びダイオード62に抵抗値の大きなダイオードを用いることが好ましい。さらに、負荷5に流れる電流を減少させるのにダイオード61及び62の抵抗を用いる場合、抵抗素子7を設けなくすることもできる。
1 直流電源
4 リアクトル
5 負荷
7 抵抗素子
21、22 スイッチ
31、32 コンデンサ
33、34 電圧センサー
35 電圧分担制御装置
36、37 ゲート駆動回路
61、62 ダイオード
81、82 分圧抵抗
83 スイッチ
91、92 分圧抵抗
101、102 スイッチ

Claims (9)

  1. 負荷に給電線を介して給電する電源と、
    前記電源の正極と前記負荷とを接続する給電線上の第1接続点、及び前記負荷と前記電源の負極とを接続する前記給電線上の第2接続点で接続され、前記第2接続点から前記第1接続点への方向の電流を通過させるダイオードと、
    前記第1又は第2接続点よりも前記負荷側の前記給電線上に接続されたリアクトルと、
    前記第1又は第2接続点よりも前記電源側の前記給電線上に直列接続された半導体スイッチである複数の第1スイッチと、
    各前記第1スイッチと並列に接続され、対応する前記第1スイッチにかかる電圧を検出し、各前記第1スイッチにかかる電圧が均一になるように半導体スイッチをオフにする速度を制御する電圧制御部と
    を備えたことを特徴とする電流遮断回路。
  2. 前記第1接続点及び前記第2接続点の間で前記ダイオードと直列に接続された第1抵抗素子をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の電流遮断回路。
  3. 前記第1スイッチは、前記第1接続点と前記電源との間の前記給電線上に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電流遮断回路。
  4. 前記電圧制御部は、コンデンサであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電流遮断回路。
  5. 前記第1スイッチ及び前記コンデンサに並列に接続された第2抵抗素子と、
    前記ダイオードに並列に接続された還流経路と
    をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載の電流遮断回路。
  6. 前記ダイオードと並列に接続された第3抵抗素子をさらに備えたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電流遮断回路。
  7. 前記ダイオードと並列に接続された第2スイッチと、
    前記ダイオードに電流が流れ出すと前記第2スイッチをオンにし、前記ダイオードを流れる電流が遮断された後に前記第2スイッチをオフにするスイッチ制御部と
    をさらに備えたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載の電流遮断回路。
  8. 交流電源と、
    交流を直流に変換する第1交直変換器と、
    前記第1交直変換器から出力された電流を直流送電経路へ給電する給電線と、
    前記第1交直変換器の直流側の正極と前記直流送電経路とを接続する給電線上の第1接続点、及び前記直流送電経路と前記第1交直変換器の直流側の負極とを接続する前記給電線上の第2接続点で接続され、前記第2接続点から前記第1接続点への方向の電流を通過させるダイオードと、
    前記第1又は第2接続点よりも前記直流送電経路側の前記給電線上に接続されたリアクトルと、
    前記第1又は第2接続点よりも前記第1交直変換器側の前記給電線上に直列接続された複数の半導体スイッチと、
    各前記半導体スイッチと並列に接続され、対応する前記半導体スイッチにかかる電圧を検出し、各前記半導体スイッチにかかる電圧が均一になるように前記半導体スイッチをオフにする速度を制御する電圧制御部と
    前記直流送電経路から給電された直流電流を交流電流に変換する第2交直変換器と
    を備えたことを特徴とする送電システム。
  9. 電源の正極から出力された電流を直列接続された複数の半導体スイッチ及び前記半導体スイッチと直列接続されるリアクトルを介して負荷に給電し、前記負荷から出力された電流を前記電源の負極に入力し、
    前記負荷において短絡が発生した場合、各前記半導体スイッチにかかる電圧を検出し、各前記半導体スイッチにかかる電圧が均一になるように前記半導体スイッチをオフにする速度を制御して、各前記半導体スイッチをオフにするとともに、各前記スイッチと並列に接続されたコンデンサに給電し、
    前記コンデンサが電源の電圧まで充電されると、前記電源の正極と前記負荷とを接続する給電線上の第1接続点と前記負荷と前記電源の負極とを接続する前記給電線上の第2接続点とで接続され、前記第2接続点から前記第1接続点への方向の電流を通過させるダイオードに電流を流し、
    前記負荷に電流が流れなくなり短絡が除去されると、前記半導体スイッチをオンにして、前記電源の正極から出力された電流を前記半導体スイッチ及び前記リアクトルを介して前記負荷に給電、並びに前記負荷から出力された電流の前記電源の負極への入力を再開する
    ことを特徴とする電流遮断方法。
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