ところで、従来技術による運搬車両は、制御弁装置を浮き位置に切換えたときには、荷台の自重によってホイストシリンダから圧油が排出され、該ホイストシリンダが縮小する。これにより、荷台はその自重によって前部側が下向きに回動する自由落下状態となり、やがて車体に着座する。
制御弁装置には、この制御弁装置を浮き位置としたときにホイストシリンダから排出される圧油の流量を制限する絞りが設けられている。これにより、自重によって自由落下する荷台が車体に着座(接触)するときの衝撃を緩和することができる。
荷台の自重は、荷台に積載された運搬対象物の重量と荷台単体の重量とを加算した重量によって決まる。従って、荷台に運搬対象物が積載されていない場合と、荷台に運搬対象物が積載されている場合とでは、荷台の自重が大きく異なることになる。
これに対し、制御弁装置を浮き位置としたときにホイストシリンダから排出される圧油の流量を制限する絞りの絞り量は、通常、運搬対象物が積載された荷台、即ち、自重の大きな荷台が車体に着座したときの衝撃を緩和できるように設定されている。
このため、制御弁装置を浮き位置として、運搬対象物が積載されていない自重の小さな荷台を自由落下させた場合には、この自重の小さな荷台の移動速度が必要以上に制限されることにより、荷台が車体に着座するまでに多大な時間がかかるという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、制御弁装置を浮き位置として荷台を自重によって自由落下させるときに、この自由落下する荷台の速度を調整することができるようにした運搬車両を提供することを目的としている。
本発明による運搬車両は、自走可能な車体と、運搬対象物を積載するため該車体上に後部側を支点として前部側が上,下方向に回動可能に設けられた荷台と、該荷台と前記車体との間に伸縮可能に設けられ伸長することにより前記荷台を上向きに回動させるホイストシリンダと、該ホイストシリンダに対し作動用の圧油を供給,排出する油圧源と、該油圧源と前記ホイストシリンダとの間に設けられ前記ホイストシリンダに対する圧油の供給,排出を制御する制御弁装置とを備え、前記制御弁装置は、前記ホイストシリンダに対する圧油の供給,排出を停止して前記ホイストシリンダの動きを止める中立位置と、圧油の供給,排出により前記ホイストシリンダを伸長させて前記荷台を上向きに回動させる上げ位置と、圧油の供給,排出により前記ホイストシリンダを縮小させて前記荷台を下向きに回動させる下げ位置と、前記荷台の自重によって圧油を排出することにより前記ホイストシリンダを縮小させて前記荷台の自由落下を許す浮き位置とからなる複数の切換位置を有している。
請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記制御弁装置とタンクとの間には、前記制御弁装置が前記浮き位置にあるときに、前記ホイストシリンダから排出される圧油の流量を制御する流量制御弁を設け、前記制御弁装置の浮き位置には絞りを設け、前記流量制御弁には、前記制御弁装置の浮き位置を介して流出した圧油が所定の圧力を超えたときに前記絞りに直列に接続される絞りを設けたことにある。
この構成によれば、制御弁装置を浮き位置に切換えると、荷台の自重によってホイストシリンダから圧油が排出され、ホイストシリンダが縮小することにより荷台が自由落下する。このとき、流量制御弁が、ホイストシリンダから排出される圧油の流量を制御することにより、荷台に運搬対象物が積載されている場合と、運搬対象物が積載されていない場合とで、荷台がその自重によって自由落下するときの速度を適宜に調整することができる。しかも、制御弁装置を浮き位置としたときに自由落下する荷台の落下速度が大きく、制御弁装置の浮き位置から流出して流量制御弁に作用する圧油が所定の圧力を超えたときには、制御弁装置の絞りと流量制御弁の絞りとが直列に接続される。従って、ホイストシリンダから排出される圧油の流量を2個の絞りによって確実に減少させることができ、荷台の落下速度を低下させて車体にゆっくり着座させることができる。
請求項2の発明は、前記流量制御弁は、前記制御弁装置から流出する圧油の圧力に応じて前記圧油の流量を制御する構成としたことにある。
この構成によれば、運搬対象物が積載された自重の大きな荷台が自由落下することにより、制御弁装置から流出する圧油の圧力が大きくなる場合には、制御弁装置から流出する圧油の流量を減少させて荷台が自由落下するときの速度を低下させることができる。この結果、自重の大きな荷台が車体に着座(接触)したときの衝撃を緩和することができる。
一方、運搬対象物が積載されていない自重の小さな荷台が自由落下することにより、制御弁装置から流出する圧油の圧力が小さくなる場合には、制御弁装置から流出する圧油の流量を増大させて荷台が自由落下するときの速度を高めることができる。この結果、自重の小さな荷台が車体に着座するまでの時間を短縮することができ、荷台に積載した運搬対象物を排出するときの作業性を高めることができる。
請求項3の発明は、前記流量制御弁は、前記ホイストシリンダからの圧油をタンクに排出する連通位置と、前記タンクに向けて排出される圧油に絞りを与える絞りが設けられた絞り位置と、前記流量制御弁を前記連通位置に向けて常時付勢する弁ばねと、前記制御弁装置から流出した圧油をパイロット圧として受圧する油圧パイロット部とを有し、前記流量制御弁は、前記制御弁装置から流出した圧油の圧力が前記弁ばねの付勢力を超えたときに前記連通位置から前記絞り位置に切換る構成としたことにある。
この構成によれば、制御弁装置を浮き位置としたときに荷台の落下速度が大きい場合には、制御弁装置から流出した圧油によって流量制御弁の入口側に作用する圧力が、流量制御弁の弁ばねの付勢力を超える。これにより、流量制御弁が絞り位置に切換わり、荷台の落下速度を低下させることができる。一方、制御弁装置を浮き位置としたときに荷台の落下速度が小さい場合には、制御弁装置から流出した圧油によって流量制御弁の入口側に作用する圧力が、流量制御弁の弁ばねの付勢力以下となる。これにより、流量制御弁が連通位置を保持し、荷台を速やかに落下させることができる。
請求項4の発明は、前記制御弁装置が前記浮き位置に切換えられると共に前記流量制御弁が前記絞り位置に切換えられたときに、前記制御弁装置の絞りと前記流量制御弁の絞りとが直列に接続される構成としたことにある。
この構成によれば、制御弁装置を浮き位置としたときに荷台の落下速度が大きく、流量制御弁が絞り位置に切換ったときには、制御弁装置の絞りと流量制御弁の絞りとが直列に接続される。従って、ホイストシリンダからタンクに排出される圧油の流量を2個の絞りによって確実に減少させることができ、荷台の落下速度を低下させて車体にゆっくり着座させることができる。
請求項5の発明は、前記制御弁装置は、前記中立位置、前記上げ位置、前記浮き位置のうちいずれかの位置に切換る第1の方向制御弁と、前記中立位置、前記上げ位置、前記下げ位置のうちいずれかの位置に切換る第2の方向制御弁とを組合わせて構成したことにある。
この構成によれば、例えば複雑な構造である4位置の方向制御弁を用いることなく、汎用品である3位置の方向制御弁を2個組合わせて制御弁装置を構成することができる。制御弁装置は、第1,第2の方向制御弁の両方を中立位置とすることにより、ホイストシリンダの動きを止め、荷台を現在の位置に保持することができる。制御弁装置は、第1,第2の方向制御弁の両方を上げ位置に切換えることにより、ホイストシリンダを伸長させて荷台を持上げることができる。一方、制御弁装置は、第1の方向制御弁を浮き位置に切換え、第2の方向制御弁を中立位置に保持することにより、荷台の自重によってホイストシリンダを縮小させ、荷台を自由落下させることができる。さらに、制御弁装置は、第1の方向制御弁を中立位置に保持し、第2の方向制御弁を下げ位置に切換えることにより、油圧力によってホイストシリンダを縮小させて荷台を下げることができる。
以下、本発明の実施の形態による運搬車両を、鉱山等で採掘した砕石等を運搬するダンプトラックを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
1は大型の運搬車両であるダンプトラックを示している。ダンプトラック1は、頑丈なフレーム構造をなす自走可能な車体2と、該車体2上に起伏可能に搭載された荷台としてのベッセル3とにより大略構成されている。
ベッセル3は、例えば砕石等の運搬対象物(以下、砕石4という)を多量に積載するため全長が10〜13m(メートル)にも及ぶ大型の容器として形成されている。ベッセル3の底部の後部側3Aは、車体2の後部側に連結ピン5を用いてピン結合され、ベッセル3の前部側3Bは、連結ピン5を支点として上,下方向に回動する。ベッセル3の前部上側には、前方に向けて水平に延び、後述のキャブ12等を上側から覆う庇部3Cが一体に設けられている。
ベッセル3は、後述のホイストシリンダ14を伸長または縮小させることにより、その前部側3Bが連結ピン5を支点として、図1に示す運搬位置と図2に示す排土位置との間で回動する。従って、ベッセル3を排土位置としたときには、ベッセル3の前部側3Bが上方へと持上げられ、積載された砕石4は、後方へと傾いたベッセル3から滑り落ちて所定の集荷場に排出される。
6は車体2の前部側に回転可能に設けられた左,右の前輪(左側のみ図示)を示し、該前輪6は、ダンプトラック1のオペレータによって操舵される操舵輪を構成している。車体2の前部と前輪6との間には、例えば油圧緩衝器等からなる前輪側サスペンション7が設けられ、この前輪側サスペンション7は、車体2の前部側を前輪6との間で支持している。
8は車体2の後部側に回転可能に設けられた左,右の後輪(左側のみ図示)を示し、該後輪8は、ダンプトラック1の駆動輪を構成し、走行駆動装置(図示せず)により回転駆動される。車体2の後部と後輪8との間には、例えば油圧緩衝器等からなる後輪側サスペンション9が設けられ、この後輪側サスペンション9は、車体2の後部側を後輪8との間で支持している。
フロア10は、前輪6よりも上側に位置して車体2の前部側に設けられている。フロア10は、車体2の前部上側に平坦な通路面等を形成するもので、フロア10の上側には後述のキャブ12等が設置されている。
ラダー11は車体2の前面側に設けられ、車体2の前部下側からフロア10の前側に向けて斜めに傾斜して延びている。このラダー11は、オペレータ等がフロア10上に乗降するときのステップ(階段)を構成している。
キャブ12は車体2のフロア10上に設けられ、運転室を画成している。ここで、キャブ12の内部には、運転席、操舵用のハンドル、後述のエンジン13を始動,停止させる始動スイッチ、アクセルペダル、ブレーキペダル、後述の制御弁装置20を遠隔操作するための操作レバー等(いずれも図示せず)が設けられている。
13はフロア10の下側に位置して車体2内に設けられた原動機としてのエンジンを示している。このエンジン13は、例えば大型のディーゼルエンジン等を用いて構成され、車体2内に収容されている。エンジン13は、キャブ12内に乗り込んだオペレータが前記始動スイッチを操作することにより起動、停止され、その作動時には後述の油圧ポンプ15等を回転駆動する。
14は車体2とベッセル3との間に伸縮可能に設けられた左,右一対のホイストシリンダを示している。図3に示すように、これらのホイストシリンダ14は、多段式(例えば、2段式)の油圧シリンダからなり、外側に位置する外筒部14Aと、該外筒部14A内に伸縮可能に設けられた内筒部14Bと、該内筒部14B内に伸縮可能に設けられたピストンロッド14C、ピストン14Dとにより構成されている。ホイストシリンダ14の外筒部14A内は、内筒部14B、ピストンロッド14C、ピストン14Dにより、ロッド側油室14E,14Fとボトム側油室14Gとの3室に画成されている。
ロッド側油室14Fは、内筒部14Bに設けられたポート14Hを介してロッド側油室14Eとボトム側油室14Gとのいずれかに連通される。即ち、ホイストシリンダ14のピストン14Dは、内筒部14B内を軸方向(上,下方向)に摺動変位し、ピストン14Dがポート14Hよりも上側に位置するときには、ロッド側油室14Fはポート14Hを介してロッド側油室14Eに連通する。一方、ピストン14Dがポート14Hよりも下側となる位置まで変位したときには、ロッド側油室14Fはポート14Hを介してボトム側油室14Gに連通する。
ここで、ホイストシリンダ14は、後述の油圧ポンプ15からボトム側油室14G内に圧油が供給されたときには、内筒部14Bがピストンロッド14Cと一緒に下向きに伸長する。内筒部14Bが最大伸長したときには、さらにピストンロッド14Cのみが下向きに伸長する。これにより、ホイストシリンダ14は、連結ピン5を支点としてベッセル3の前部側3Bを持上げ、ベッセル3を排土位置(図2の位置)に回動させる。
一方、ホイストシリンダ14は、ピストンロッド14Cが最大伸長した状態で、油圧ポンプ15からロッド側油室14E内に圧油が供給されると、まずピストンロッド14Cのみが内筒部14B内に縮小する。その後、内筒部14Bがピストンロッド14Cと一緒に外筒部14A内に縮小する。これにより、ホイストシリンダ14は、連結ピン5を支点としてベッセル3の前部側3Bを下げ、ベッセル3を車体2に着座させた運搬位置(図1の位置)へと回動させる。
次に、ホイストシリンダ14を駆動するための油圧回路について、図3ないし図5を参照して説明する。
15はエンジン13によって駆動されるメインの油圧ポンプを示している。この油圧ポンプ15は、作動油を収容するタンク16と共に、ホイストシリンダ14に対し作動用の圧油を供給する油圧源を構成している。この場合、図1に示すように、タンク16は、ベッセル3の下方に位置して車体2の側面等に取付けられている。
タンク16内に収容された作動油は、エンジン13によって回転駆動される油圧ポンプ15の吐出側からポンプ管路17内に吐出される。ホイストシリンダ14からの戻り油は、タンク管路18を通じてタンク16に排出される。
19Aはホイストシリンダ14のボトム側油室14Gに接続された油圧配管を示している。19Bはホイストシリンダ14のロッド側油室14Eに接続された油圧配管を示している。一方の油圧配管19Aは、その基端側が後述の制御弁装置20を介して油圧ポンプ15およびタンク16からなる油圧源に接続され、先端側はホイストシリンダ14のピストンロッド14C内を通ってボトム側油室14Gに接続されている。他方の油圧配管19Bは、その基端側が制御弁装置20を介して油圧源に接続され、先端側はホイストシリンダ14のピストンロッド14C内を通ってロッド側油室14Eに接続されている。
従って、油圧配管19Aは、油圧ポンプ15から吐出した圧油を制御弁装置20を介してホイストシリンダ14のボトム側油室14Gに供給する。油圧配管19Bは、油圧ポンプ15から吐出した圧油を制御弁装置20を介してホイストシリンダ14のロッド側油室14Eに供給する。一方、ボトム側油室14G、ロッド側油室14E、ロッド側油室14F内の圧油は、油圧配管19A,19Bのいずれかを通じてタンク16に排出される。
次に、20は油圧ポンプ15およびタンク16からなる油圧源とホイストシリンダ14との間に設けられた制御弁装置を示している。制御弁装置20は、ホイストシリンダ14に対する圧油の供給,排出を制御するもので、高圧側油路21、低圧側油路22、バイパス油路23、第1の方向制御弁24、第2の方向制御弁25等を含んで構成されている。第1の方向制御弁24と第2の方向制御弁25とは、高圧側油路21、低圧側油路22、バイパス油路23を介して互いにパラレル接続されている。
高圧側油路21は、ポンプ管路17を介して油圧ポンプ15の吐出側に接続されている。低圧側油路22は、タンク管路18を介してタンク16に接続されている。図3に示すように、バイパス油路23は、第1の方向制御弁24と第2の方向制御弁25とが中立位置(N)にあるときには、高圧側油路21と低圧側油路22とを連通させる。これにより、油圧ポンプ15をアンロード状態として吐出圧力(ポンプ管路17内の圧力)をタンク圧に近い低圧状態に保つ。
第1の方向制御弁24の出力側には、一対のアクチュエータ側油路26A,26Bが設けられている。アクチュエータ側油路26Aは、油圧配管19Aを介してホイストシリンダ14のボトム側油室14Gに接続されている。アクチュエータ側油路26Bは、油圧配管19Bを介してホイストシリンダ14のロッド側油室14Eに接続されている。
第2の方向制御弁25の出力側には、一対のアクチュエータ側油路27A,27Bが設けられている。アクチュエータ側油路27Aは、油圧配管19Aを介してホイストシリンダ14のボトム側油室14Gに接続されている。アクチュエータ側油路27Bは、油圧配管19Bを介してホイストシリンダ14のロッド側油室14Eに接続されている。
第1の方向制御弁24は、例えば6ポート3位置の油圧パイロット式方向制御弁により構成され、一対の油圧パイロット部24A,24Bを有している。第1の方向制御弁24は、パイロット圧が油圧パイロット部24Aに供給されると、中立位置(N)から上げ位置(R)に切換えられる。一方、第1の方向制御弁は、油圧パイロット部24Bにパイロット圧が供給されたときには、中立位置(N)から浮き位置(F)へと切換えられる。
ここで、第1の方向制御弁24の浮き位置(F)には絞り24Cが設けられている。この絞り24Cは、第1の方向制御弁24を浮き位置(F)に切換えることにより、ホイストシリンダ14のボトム側油室14G内の圧油が第1の方向制御弁24を通じてタンク16側に流れるときに、この圧油に対して絞り作用を与える。
第2の方向制御弁25も、例えば6ポート3位置の油圧パイロット式方向制御弁により構成され、一対の油圧パイロット部25A,25Bを有している。第2の方向制御弁25は、パイロット圧が油圧パイロット部25Aに供給されると、中立位置(N)から上げ位置(R)に切換えられる。一方、第2の方向制御弁は、油圧パイロット部25Bにパイロット圧が供給されたときには、中立位置(N)から下げ位置(L)へと切換えられる。
ここで、制御弁装置20を中立位置とするときには、図3に示すように、第1,第2の方向制御弁24,25を共に中立位置(N)に保持し、ホイストシリンダ14に対する圧油の供給,排出を停止する。これにより、制御弁装置20は、ホイストシリンダ14の動きを止める中立位置となる。従って、ベッセル3は、第1,第2の方向制御弁24,25が中立位置(N)となったときの位置(姿勢)を保持する。
次に、制御弁装置20を上げ位置とするときには、第1,第2の方向制御弁24,25を中立位置(N)から上げ位置(R)に切換える。第1の方向制御弁24が上げ位置(R)に切換えられたときには、油圧ポンプ15からの圧油が、ポンプ管路17、第1の方向制御弁24、アクチュエータ側油路26A、油圧配管19Aを通じてホイストシリンダ14のボトム側油室14Gに供給される。一方、ホイストシリンダ14のロッド側油室14E,14F内の圧油は、油圧配管19B、アクチュエータ側油路26B、第1の方向制御弁24、後述の流量制御弁40、タンク管路18を通じてタンク16に排出される。第2の方向制御弁25が上げ位置(R)に切換えられたときには、油圧ポンプ15からの圧油が、ポンプ管路17、高圧側油路21、第2の方向制御弁25、アクチュエータ側油路27A、油圧配管19Aを通じてホイストシリンダ14のボトム側油室14Gに供給される。
これにより、制御弁装置20は、ホイストシリンダ14を伸長させてベッセル3を上向きに回動させる上げ位置となり、ベッセル3は、図2に示す排土位置に立上がり、積載された砕石4を排出する。
次に、制御弁装置20を下げ位置とするときには、第1の方向制御弁24を中立位置(N)に戻すと共に、第2の方向制御弁25を下げ位置(L)に切換える。第2の方向制御弁25が下げ位置(L)に切換えられたときには、油圧ポンプ15からの圧油がポンプ管路17、高圧側油路21、第2の方向制御弁25、アクチュエータ側油路27B、油圧配管19Bを通じてホイストシリンダ14のロッド側油室14E,14F内に供給される。一方、ボトム側油室14G内の圧油は、油圧配管19A、アクチュエータ側油路27A、第2の方向制御弁25、低圧側油路22、タンク管路18を通じてタンク16に排出される。
これにより、制御弁装置20は、ホイストシリンダ14を縮小させてベッセル3を下向きに回動させる下げ位置となり、ベッセル3は、図1に示す運搬位置へと移動し、車体2に着座する。
制御弁装置20を浮き位置とするときには、第1の方向制御弁24を浮き位置(F)に切換えると共に、第2の方向制御弁25を中立位置(N)に戻す。第1の方向制御弁24が浮き位置(F)に切換えられたときには、アクチュエータ側油路26Aが、第1の方向制御弁24、流量制御弁40を介してタンク管路18に接続される。一方、アクチュエータ側油路26Bは、後述のチェック弁28Bを介して低圧側油路22、タンク管路18に接続される。アクチュエータ側油路27Bは、後述のチェック弁30Bを介して低圧側油路22、タンク管路18に接続される。
ホイストシリンダ14のボトム側油室14G内の圧油は、油圧配管19A、アクチュエータ側油路26A、第1の方向制御弁24、流量制御弁40、タンク管路18を通じてタンク16に排出される。一方、ホイストシリンダ14のロッド側油室14E,14F内には、タンク管路18、低圧側油路22、後述のチェック弁28B,30B、アクチュエータ側油路26B,27B、油圧配管19Bを通じてタンク16内の作動油が補給される。
これにより、制御弁装置20は、ベッセル3の自由落下を許す浮き位置となり、ベッセル3は、その自重によって図2に示す排土位置から図1に示す運搬位置へと移動する。ダンプトラック1の走行時には、制御弁装置20を浮き位置とすることにより、ベッセル3をその自重によって車体2に着座させておくことができる。
28A,28Bは第1の方向制御弁24側に配設されたメイクアップ用のチェック弁を示している。チェック弁28Aは、第1の方向制御弁24を迂回してアクチュエータ側油路26Aと低圧側油路22との間に設けられている。チェック弁28Bは、第1の方向制御弁24を迂回してアクチュエータ側油路26Bと低圧側油路22との間に設けられている。
一方のチェック弁28Aは、タンク16内の作動油がタンク管路18、低圧側油路22、アクチュエータ側油路26A、油圧配管19Aを通じてホイストシリンダ14のボトム側油室14Gへと流通するのを許し、逆向きの流れを阻止する。他方のチェック弁28Bは、タンク16内の作動油がタンク管路18、低圧側油路22、アクチュエータ側油路26B、油圧配管19Bを通じてホイストシリンダ14のロッド側油室14Eへと流通するのを許し、逆向きの流れを阻止する。
これにより、制御弁装置20を浮き位置としたときに、ホイストシリンダ14のボトム側油室14G、ロッド側油室14E,14Fに対してタンク16内の作動油を補給することができ、各油室内が負圧となるのを防止することができる。
29A,29Bは過負荷防止用のリリーフ弁を示している。リリーフ弁29Aは、第1の方向制御弁24を迂回してアクチュエータ側油路26Aと低圧側油路22との間に設けられている。リリーフ弁29Bは、第1の方向制御弁24を迂回してアクチュエータ側油路26Bと低圧側油路22との間に設けられている。
一方のリリーフ弁29Aは、チェック弁28Aと並列に接続され、ホイストシリンダ14に対し縮小方向の過負荷が作用したときに、ボトム側油室14G側の過剰圧をリリーフするために開弁する。また、他方のリリーフ弁29Bは、チェック弁28Bと並列に接続され、ホイストシリンダ14に対し伸長方向の過負荷が作用したときに、ロッド側油室14E側の過剰圧をリリーフするために開弁する。
30A,30Bは第2の方向制御弁25側に配設されたメイクアップ用のチェック弁を示している。チェック弁30Aは、第2の方向制御弁25を迂回してアクチュエータ側油路27Aと低圧側油路22との間に設けられている。チェック弁30Bは、第2の方向制御弁25を迂回してアクチュエータ側油路27Bと低圧側油路22との間に設けられている。
一方のチェック弁30Aは、タンク16内の作動油がタンク管路18、低圧側油路22、アクチュエータ側油路27A、油圧配管19Aを通じてホイストシリンダ14のボトム側油室14Gへと流通するのを許し、逆向きの流れを阻止する。他方のチェック弁30Bは、タンク16内の作動油がタンク管路18、低圧側油路22、アクチュエータ側油路27B、油圧配管19Bを通じてホイストシリンダ14のロッド側油室14Eへと流通するのを許し、逆向きの流れを阻止する。
これにより、制御弁装置20を浮き位置としたときに、ホイストシリンダ14のボトム側油室14G、ロッド側油室14E,14Fに対してタンク16内の作動油を補給することができ、各油室内が負圧となるのを防止することができる。
31は高圧側油路21と低圧側油路22との間に設けられたリリーフ設定圧の変更が可能なリリーフ弁を示している。リリーフ弁31は、油圧ポンプ15の最大吐出圧を決め、これ以上の圧力が発生すると、過剰圧としてタンク16側にリリーフするものである。リリーフ弁31は、リリーフ設定圧を低圧設定と高圧設定とに切換えるための設定圧可変部31Aを有している。
ここで、リリーフ弁31の設定圧可変部31Aは、後述の電磁弁33からパイロット配管37を介してパイロット圧が供給され、第1,第2の方向制御弁24,25が上げ位置(R)に切換えられているときに、リリーフ弁31のリリーフ設定圧を高圧設定に切換えることにより、油圧ポンプ15の吐出圧を高い圧力に設定する。
一方、前記パイロット圧の供給が停止され、第1,第2の方向制御弁24,25が上げ位置(R)以外の切換位置、即ち、中立位置(N)、浮き位置(F)または下げ位置(L)に切換えられているときには、設定圧可変部31Aにより、リリーフ弁31のリリーフ設定圧は、低圧設定に切換えられる。このときには、油圧ポンプ15の吐出圧が相対的に低い圧力に設定され、圧油の圧力が必要以上に高くなるのを抑える。
32は第1,第2の方向制御弁24,25にパイロット圧を供給するパイロット圧供給部を示している。パイロット圧供給部32は、例えば3個の電磁弁33,34,35を含んで構成される。これらの電磁弁33〜35は、パイロット圧を可変に制御する比例制御式のソレノイドバルブにより構成されている。電磁弁33〜35は、その高圧側がパイロット油圧源36に接続され、低圧側がタンク16に接続されている。
ここで、電磁弁33は、その出力側がパイロット配管37を介して第1,第2の方向制御弁24,25の油圧パイロット部24A,25Aに接続されている。電磁弁34の出力側は、パイロット配管38を介して第1の方向制御弁24の油圧パイロット部24Bに接続されている。電磁弁35の出力側は、パイロット配管39を介して第2の方向制御弁25の油圧パイロット部25Bに接続されている。
ダンプトラック1のキャブ12内には、操作レバー(図示せず)が設けられ、この操作レバーはキャブ12内のオペレータによって傾転操作される。これにより、電磁弁33〜35のいずれか一の弁が選択的に切換えられ、パイロット配管37,38,39に操作量に比例したパイロット圧が発生する。
即ち、電磁弁33が切換えられてパイロット配管37内にパイロット圧が発生すると、第1,第2の方向制御弁24,25は、中立位置(N)から上げ位置(R)に切換えられる。また、電磁弁34が切換えられたときには、パイロット配管38内にパイロット圧が発生し、第1の方向制御弁24が中立位置(N)から浮き位置(F)に切換えられる。また、電磁弁35が切換えられたときには、パイロット配管39内にパイロット圧が発生し、第2の方向制御弁25が、中立位置(N)から下げ位置(L)に切換えられる。
次に、本実施の形態に用いられる流量制御弁について説明する。
40は第1の方向制御弁24とタンク16との間に位置してタンク管路18の途中に設けられた流量制御弁を示している。流量制御弁40は、制御弁装置20が浮き位置にあるときに、第1の方向制御弁24等を通じてホイストシリンダ14からタンク16に排出される圧油の流量を制御する。
ここで、流量制御弁40は、連通位置(A)と絞り位置(B)とを有する2ポート2位置の方向制御弁からなり、絞り位置(B)には絞り40Aが設けられている。この流量制御弁40は、常時は弁ばね40Bによって連通位置(A)を保持している(図3参照)。流量制御弁40の油圧パイロット部40Cには、第1の方向制御弁24の浮き位置(F)から排出され、流量制御弁40に流入する入口側の圧力が、パイロット管路41を通じて作用している。
流量制御弁40は、第1の方向制御弁24から流出した圧油の圧力が、所定の圧力以下であるとき、例えば弁ばね40Bの付勢力以下である場合には、連通位置(A)を保持する。一方、第1の方向制御弁24から流出した圧油の圧力が、所定の圧力を超えたとき、例えば弁ばね40Bの付勢力を超えた場合には、絞り位置(B)に切換えられる。
即ち、第1の方向制御弁24を浮き位置(F)に切換えると共に、第2の方向制御弁25を中立位置(N)に戻すことにより、制御弁装置20を浮き位置とし、ベッセル3を自重によって自由落下させることができる。ここで、例えばベッセル3内に大量の砕石4が積載されている場合には、ベッセル3の自重は大きく落下速度も大きい。この場合には、流量制御弁40の油圧パイロット部40Cに作用するパイロット圧が、所定の圧力よりも大きくなって弁ばね40Bの付勢力を超え、図4に示すように、流量制御弁40は連通位置(A)から絞り位置(B)に切換えられる。
この状態では、第1の方向制御弁24の浮き位置(F)に設けられた絞り24Cと、流量制御弁40の絞り位置(B)に設けられた絞り40Aとが直列に接続される。これにより、ホイストシリンダ14から第1の方向制御弁24、流量制御弁40を通じてタンク16に排出される圧油に対し、第1の方向制御弁24の絞り24Cと流量制御弁40の絞り40Aとを加算した絞り作用を与えることができる。従って、タンク16に排出される圧油の流量が減少する。
このように、ベッセル3の自重が大きいときには、ベッセル3が車体2に着座するときの衝撃が大きくなる。このため、流量制御弁40を絞り位置(B)として、第1の方向制御弁24の絞り24Cと流量制御弁40の絞り40Aとを直列に接続する。この結果、ホイストシリンダ14から排出される圧油の流量を減少させることにより、ベッセル3の落下速度を低下させて車体2にゆっくり着座させる構成となっている。
一方、ベッセル3を自重によって自由落下させる状態において、例えばベッセル3内に砕石4が積載されていない場合には、ベッセル3の自重は小さく落下速度も小さい。この場合には、流量制御弁40の油圧パイロット部40Cに作用するパイロット圧が、所定の圧力以下、即ち弁ばね40Bの付勢力以下となり、図5に示すように、流量制御弁40は連通位置(A)に戻る。これにより、ホイストシリンダ14から第1の方向制御弁24、流量制御弁40等を通じてタンク16に排出される圧油に絞りが作用せず、この圧油の流量が増大する。
このように、ベッセル3の自重が小さいときには、ベッセル3が車体2に着座するときの衝撃が小さい。このため、流量制御弁40を連通位置(A)としてホイストシリンダ14から排出される圧油の流量を増大させることにより、ベッセル3を速やかに自由落下させて車体2に着座させる構成となっている。
本実施の形態によるダンプトラック1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
鉱山等の砕石場では、大型の油圧ショベル(図示せず)を用いて、ダンプトラック1のベッセル3上に運搬対象物となる砕石4を積載する。ダンプトラック1は、ベッセル3上に砕石4を積載した状態で集荷場まで走行する。
ダンプトラック1が集荷場に到着した後には、キャブ12内のオペレータが、操作レバー(図示せず)を傾転操作することにより、図3に示す電磁弁33が励磁されて切換えられる。このため、パイロット油圧源36からのパイロット圧が、パイロット配管37を通じて第1,第2の方向制御弁24,25の油圧パイロット部24A,25Aに供給される。
これにより、第1,第2の方向制御弁24,25が中立位置(N)から上げ位置(R)に切換えられ、制御弁装置20は上げ位置となる。このため、油圧ポンプ15からの圧油は、ポンプ管路17、高圧側油路21、第1,第2の方向制御弁24,25、アクチュエータ側油路26A,27A、油圧配管19Aを通じてホイストシリンダ14のボトム側油室14G内に供給される。一方、ロッド側油室14E,14F内の圧油は、油圧配管19B、アクチュエータ側油路26B、第1の方向制御弁24、流量制御弁40、タンク管路18を通じてタンク16に排出される。
この結果、ホイストシリンダ14のピストンロッド14Cと内筒部14Bは、ボトム側油室14Gに供給された圧油によって伸長し、図2に示すようにベッセル3を排土位置へと持上げる。このとき、ベッセル3の前部側3Bは、連結ピン5を支点として上方に回動し、図2に示す傾斜した姿勢となることにより、積載した砕石4を集荷場に排出することができる。
オペレータが操作レバー(図示せず)から手を離すと、電磁弁33が消磁されて図3の位置に戻り、他の電磁弁34,35も図3の位置に保持された状態となる。これにより、第1,第2の方向制御弁24,25が上げ位置(R)から中立位置(N)に戻され、制御弁装置20は中立位置となる。
このため、ホイストシリンダ14のボトム側油室14Gと、ロッド側油室14E,14Fとに対する圧油の供給と排出とが停止される。この結果、ピストンロッド14Cと内筒部14Bを伸長状態に保つことができ、ベッセル3を、図2に示す傾斜した姿勢のままで停止させることができる。
砕石4の排出作業が終了し、オペレータが前記操作レバーを傾転操作することにより、図3に示す電磁弁34が励磁されて切換えられたときには、パイロット油圧源36からのパイロット圧が、パイロット配管38を通じて第1の方向制御弁24の油圧パイロット部24Bに供給される。これにより、第1の方向制御弁24が中立位置(N)から浮き位置(F)に切換えられると共に、第2の方向制御弁25が中立位置(N)を保持し、制御弁装置20は浮き位置となる。
このため、ホイストシリンダ14のボトム側油室14Gは、油圧配管19A、アクチュエータ側油路26A、第1の方向制御弁24、流量制御弁40、タンク管路18を通じてタンク16に接続される。一方、ホイストシリンダ14のロッド側油室14Eは、油圧配管19B、アクチュエータ側油路26B,27B、チェック弁28B,30B、低圧側油路22、タンク管路18を通じてタンク16に接続される。
この結果、ホイストシリンダ14は、ベッセル3の自重によって縮小し、ボトム側油室14G内の圧油が、油圧配管19A、アクチュエータ側油路26A、第1の方向制御弁24、流量制御弁40、タンク管路18を通じてタンク16に排出される。一方、ロッド側油室14E,14F内には、チェック弁28B,30B、アクチュエータ側油路26B,27B、油圧配管19Bを通じてタンク16内の作動油が補給される。これにより、ベッセル3をその自重によって図2に示す排土位置から図1に示す運搬位置へと自由落下させることができ、運搬位置において、ベッセル3を車体2に着座させることができる。
ここで、例えばベッセル3内に砕石4を残した状態で、ベッセル3をその自重によって排土位置から運搬位置へと自由落下させる場合には、ベッセル3の自重は大きく落下速度も大きい。この場合には、パイロット管路41を通じて流量制御弁40の油圧パイロット部40Cに作用するパイロット圧が、弁ばね40Bの付勢力を超えることにより、流量制御弁40は連通位置(A)から絞り位置(B)に切換わる(図4参照)。これにより、第1の方向制御弁24の絞り24Cと流量制御弁40の絞り40Aとが直列に接続される。従って、ホイストシリンダ14から第1の方向制御弁24、流量制御弁40を通じてタンク16に排出される圧油に対し、第1の方向制御弁24の絞り24Cと流量制御弁40の絞り40Aとを加算した絞り作用を付与することができ、ホイストシリンダ14からタンク16に排出される圧油の流量を減少させることができる。この結果、ベッセル3の落下速度を低下させて車体2にゆっくり着座させることができ、ベッセル3が車体2に着座するときの衝撃を抑えることができる。
一方、ベッセル3に積載した砕石4を全て排出した場合には、ベッセル3の自重は小さく落下速度も小さい。この場合には、流量制御弁40の油圧パイロット部40Cに作用するパイロット圧が、弁ばね40Bの付勢力以下となり、流量制御弁40は連通位置(A)に戻る(図5参照)。このため、ホイストシリンダ14内の圧油は、連通位置(A)となった流量制御弁40を通じて、流量が制限されることなくタンク16に排出される。この結果、ベッセル3を速やかに自由落下させることができ、ベッセル3を排土位置から運搬位置へと移動させるための時間を短縮化することができる。
なお、ダンプトラック1が作業現場の凹凸、傾斜地等で傾いた状態にあるときには、制御弁装置20を浮き位置としても、ベッセル3が自重により落下しないことがある。このような場合には、オペレータが操作レバーを傾転操作して電磁弁35を切換えることにより、パイロット油圧源36からのパイロット圧が、パイロット配管39を通じて第2の方向制御弁25の油圧パイロット部25Bに供給される。これにより、第1の方向制御弁24が中立位置(N)に戻ると共に、第2の方向制御弁25が下げ位置(L)に切換わり、制御弁装置20は下げ位置となる。
これにより、油圧ポンプ15からの圧油が、ポンプ管路17、高圧側油路21、第2の方向制御弁25、アクチュエータ側油路27B、油圧配管19Bを通じてホイストシリンダ14のロッド側油室14E,14F内に供給される。一方、ホイストシリンダ14のボトム側油室14G内の圧油は、油圧配管19A、アクチュエータ側油路27A、第2の方向制御弁25、低圧側油路22、タンク管路18を通じてタンク16に排出される。
この結果、ホイストシリンダ14は、ロッド側油室14E,14Fに供給された圧油により、内筒部14Bがピストンロッド14Cと共に外筒部14A内へと縮小する。これにより、ベッセル3をホイストシリンダ14の油圧力で図1に示す運搬位置へと下向きに回動することができ、ベッセル3を車体2上に強制的に着座させることができる。
かくして、本実施の形態によれば、第1の方向制御弁24とタンク16との間に位置してタンク管路18の途中に流量制御弁40を設け、この流量制御弁40が、制御弁装置20が浮き位置にあるときにホイストシリンダ14からタンク16に排出される圧油の流量を制御する。
従って、第1の方向制御弁24を浮き位置(F)としてベッセル3を自重によって自由落下させるときに、積載した砕石4によってベッセル3の自重が大きくなる場合には、流量制御弁40を絞り位置(B)に切換える。これにより、ホイストシリンダ14からタンク16に排出される圧油の流量を減少させ、ベッセル3が自由落下するときの速度を低下させることができる。この結果、ベッセル3が車体2に着座したときの衝撃を緩和することができ、キャブ12内における乗り心地を向上させることができる。
一方、砕石4が排出されることによりベッセル3の自重が小さくなる場合には、流量制御弁40を連通位置(A)に戻す。これにより、ホイストシリンダ14からタンク16に排出される圧油の流量を増大させ、ベッセル3が自由落下するときの速度を高めることができる。この結果、ベッセル3が車体2に着座するまでの時間を短縮することができ、ダンプトラック1を用いた排土作業の作業性を高めることができる。
なお、上述した実施の形態では、第1の方向制御弁24から流出した圧油が流量制御弁40に流入する入口側の圧力に応じて、流量制御弁40が、連通位置(A)と絞り位置(B)とに切換えられる場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばオペレータの操作によって連通位置と絞り位置とに切換えられる流量制御弁を用いてもよい。
上述した実施の形態では、第1の方向制御弁24は中立位置(N)、上げ位置(R)、浮き位置(F)の3位置に切換えられ、第2の方向制御弁25は中立位置(N)、上げ位置(R)、下げ位置(L)の3位置に切換えられる場合を例示している。しかし、本発明は、このような2個の方向制御弁を用いるものに限らず、例えば中立位置(N)、上げ位置(R)、浮き位置(F)、下げ位置(L)の4位置に切換えられる1個の方向制御弁を用いる構成としてもよい。この場合、4位置に切換えられる方向制御弁として、例えば特開2001−105954号公報に記載された方向制御弁を用いることができる。
さらに、上述した実施の形態では、前輪6と後輪8とを有したホイール式の車体2にベッセル3が搭載されたダンプトラック1を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばクローラ式の車体にベッセルが搭載された運搬車両にも適用することができるものである。