以下、本発明に係る蒸発燃料処理装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る蒸発燃料処理装置を搭載した車両の要部構成、すなわち、走行駆動用の内燃機関とその燃料供給および燃料パージを行う燃料系システムとの機構を示している。本実施の形態の内燃機関は、揮発性の高い燃料を使用するもので、走行駆動用に車両に搭載されている。
まず、構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る車両1は、エンジン2と、燃料タンク31を有する燃料供給機構3と、蒸発燃料処理装置を構成する燃料パージシステム4およびECU(Electronic Control Unit)5と、を含んで構成されている。
エンジン2は、ECU5によって制御される点火プラグ20を用いた火花点火式の多気筒内燃機関、例えば、4サイクルの直列4気筒エンジンによって構成されている。
エンジン2の4つの気筒2a(図1中に1つのみ図示する)の吸気ポート部分には、それぞれインジェクタ21(燃料噴射弁)が装着されており、複数のインジェクタ21は、デリバリーパイプ22に接続されている。
デリバリーパイプ22には、後述する燃料ポンプ32から、揮発性の高い燃料(例えばガソリン)がエンジン2に要求される燃圧(燃料圧力)に加圧されて供給されるようになっている。
また、エンジン2の吸気ポート部分には吸気管23が接続されており、エンジン2の排気ポート部分には排気管25が接続されている。吸気管23には、吸気脈動や吸気干渉を抑える所定容積のサージタンク23aが設けられている。
吸気管23の内部には吸気通路23bが形成されており、吸気通路23b上には、スロットルアクチュエータ24aにより開度調節可能に駆動されるスロットルバルブ24が設けられている。
このスロットルバルブ24は、ECU5による制御に応じて吸気通路23bの開度を調節することにより、エンジン2の吸入空気量を調節するようになっている。また、スロットルバルブ24には、その開度を検出するスロットルセンサ24bが設けられている。
燃料供給機構3は、燃料タンク31と、燃料タンク31内に設置された内部タンク80と、内部タンク80内に設けられた燃料ポンプ32と、デリバリーパイプ22および燃料ポンプ32を接続する燃料供給管33と、燃料ポンプ32の上流側に設けられた吸入配管38とを含んで構成されている。
燃料タンク31は、車両1の車体の下部側に配置されており、エンジン2で消費される燃料を補給可能に貯留するようになっている。燃料タンク31は、第1燃料タンク31aと、第2燃料タンク31bとによって構成されている。
第1燃料タンク31aの内部と、第2燃料タンク31bの内部とは、図中、上方で連通している。これにより、第1燃料タンク31aの内部と、第2燃料タンク31bの内部とのいずれか一方に貯留された燃料の液位が連通部分を超えると、この燃料が他方に溢れるようになっている。また、第1燃料タンク31a内と第2燃料タンク31b内との連通部分の外部下方には、排気管25が通されている。
内部タンク80は、略円筒状かつ有底に形成され、第1燃料タンク31aの内部に設けられている。内部タンク80の形状としては、円筒状に限らず角筒状や箱型形状であってもよく、特にその形状が限定されるものではない。
内部タンク80は、内部に燃料を貯留させることができるようになっている。具体的には、内部タンク80には、第1燃料タンク31a内の燃料を内部タンク80内に吸引するリザーバジェットポンプ81が設けられている。
リザーバジェットポンプ81は、第1燃料タンク31a内で内部タンク80外から内部タンク80内に燃料を導入するようになっている。具体的には、リザーバジェットポンプ81は、燃料ポンプ32から吐出された燃料の少なくとも一部によって駆動し、燃料ポンプ32の作動に応じて内部タンク80内に燃料を吸引するようになっている。
燃料ポンプ32は、燃料タンク31内の燃料を汲み上げて所定のフィード燃圧以上に加圧することができる吐出能力(吐出量および吐出圧)可変タイプのもので、例えば円周流ポンプによって構成されている。この燃料ポンプ32は、詳細な内部構成を図示しないが、ポンプ作動用の羽根車と、その羽根車を駆動する内蔵モータとを有している。
燃料ポンプ32は、内蔵モータの駆動電圧と負荷トルクとに応じてポンプ作動用の羽根車の回転速度および回転トルクのうち少なくとも一方を変化させることで、その単位時間当りの吐出能力を変化させることができるようになっている。
このように燃料ポンプ32の吐出能力を制御するため、燃料供給機構3には、ECU5による制御に応じて燃料ポンプ32の駆動電圧を制御するFPC(Fuel Pump Controller)84が設けられている。
燃料供給管33は、燃料ポンプ32の出力ポートと、デリバリーパイプ22内とを相互に連通させる燃料供給通路を形成している。燃料供給管33には、燃料ポンプ32から吐出された燃料の少なくとも一部を燃料タンク31内で還流させることによって、リザーバジェットポンプ81に駆動流を与えるためのパイロット配管85が接続されている。
ここで、図1中では、パイロット配管85と燃料供給管33を略同等な配管として図示しているが、燃料供給管33内の燃料の最大流量に対するパイロット配管85内の燃料の最大流量の設定比率に応じて、パイロット配管85と燃料供給管33との通路断面積を相違させたり、パイロット配管85に適当な絞りを設けたりしてもよい。
吸入配管38は、内部タンク80内に設けられ、燃料ポンプ32の上流側に吸入通路38aを形成しており、吸入通路38aの最上流部分には、サクションフィルタ38bが設けられている。サクションフィルタ38bは、燃料ポンプ32に吸入される燃料をろ過する公知のものである。
燃料タンク31内には、燃料ポンプ32から吐出された燃料の少なくとも一部によって駆動して第2燃料タンク31b内から第1燃料タンク31a内に燃料を移送する第1ジェットポンプ90aと、燃料ポンプ32から吐出された燃料の少なくとも一部によって駆動して第1燃料タンク31a内から第2燃料タンク31b内に燃料を移送する第2ジェットポンプ90bとが設けられている。
本実施の形態において、第1ジェットポンプ90aは、第2燃料タンク31b内の燃料を内部タンク80内に移送するようになっている。また、第2ジェットポンプ90bは、第1燃料タンク31a内における内部タンク80外(以下、単に「第1燃料タンク31a内」という。)の燃料を第2燃料タンク31b内に移送するようになっている。
燃料供給管33には、燃料ポンプ32から吐出された燃料の分岐通路を形成する分岐管91が設けられ、分岐管91には、分岐管91内を流れる燃料の流路を切り替える切替弁92が設けられている。
切替弁92は、第1ジェットポンプ90aに駆動流を与えるためのパイロット配管93aと、第2ジェットポンプ90bに駆動流を与えるためのパイロット配管93bとの間で、分岐管91と接続するパイロット配管をECU5の制御により切り替えるようになっている。
切替弁92によって分岐管91とパイロット配管93aとが接続されると、燃料ポンプ32から吐出された燃料の一部がパイロット配管93a内から流出することにより、第1ジェットポンプ90aに駆動流が与えられる。この駆動流により第1ジェットポンプ90aが作動し、第2燃料タンク31b内の燃料が第1燃料タンク31a内に移送される。
第2燃料タンク31b内と第1燃料タンク31a内との間には、第1移送配管94aが設けられている。第1移送配管94aは、一端が第2燃料タンク31bの底面に対して燃料が通過できる程度の隙間をあけて広く開口されており、他端が第1ジェットポンプ90aに接続されている。
切替弁92によって分岐管91とパイロット配管93bとが接続されると、燃料ポンプ32から吐出された燃料の一部がパイロット配管93b内から流出することにより、第2ジェットポンプ90bに駆動流が与えられる。この駆動流により第2ジェットポンプ90bが作動し、第1燃料タンク31a内における内部タンク80外に設けられた吸入管96から燃料が吸入される。
吸入管96は、第1燃料タンク31aに対して上方に開口している。この開口によって、第1燃料タンク31a内の燃料の液位h1が予め定められた下限液位TH1以下となったときに、第2ジェットポンプ90bによる燃料の吸入が停止する。
ここで、下限液位TH1は、第1燃料タンク31a内の燃料の減りすぎによってキャニスタ41に対する加熱効率が低下してしまうことを防止するとともに、燃料ポンプ32に汲み上げさせる燃料が不足しないように予め定められている。
第1燃料タンク31a内と第2燃料タンク31b内との間には、第2移送配管94bが設けられている。第2移送配管94bは、一端が第2ジェットポンプ90bに接続され、他端には、フロート弁97が設けられている。
フロート弁97は、第2ジェットポンプ90bによって供給された燃料によって、第2燃料タンク31b内の燃料が第1燃料タンク31a内に溢れることを防止するようになっている。
具体的には、フロート弁97は、第2燃料タンク31b内の燃料の液位h2が、予め定められた上限液位TH2以上であるときに閉弁し、上限液位TH2未満であるときに開弁するように配置されている。
ここで、上限液位TH2は、第2燃料タンク31b内の燃料が第1燃料タンク31a内に溢れないように、第1燃料タンク31a内と第2燃料タンク31b内との連通部分の下端に予め設定されている。なお、上限液位TH2は、第1燃料タンク31a内と第2燃料タンク31b内との連通部分の下端より若干低く設定されていてもよい。
燃料タンク31には、燃料タンク31内に燃料を給油させるための給油機構6が設けられている。給油機構6は、燃料タンク31から車両1の側方または後方側に延びるように突出した給油管34と、給油口34aに着脱可能に取り付けられたキャップ34bと、給油管34の突出方向の先端に形成された給油口34aを収容するように車両1の図示しないボディに設けられたフューエルインレットボックス35と、燃料タンク31の上部と給油管34内の上流部分とを連通させる循環配管36と、給油口34aを外部に対して開放および閉鎖するフューエルリッド37とを含んで構成される。
給油機構6は、燃料の給油時に、フューエルリッド37が開放され、給油口34aに着脱可能に取り付けられたキャップ34bが取り外されることにより、給油口34aから燃料タンク31内に燃料を注入できるようになっている。
燃料パージシステム4は、燃料タンク31と吸気管23との間、より詳しくは、燃料タンク31とサージタンク23aとの間に設けられている。燃料パージシステム4は、燃料タンク31内で発生する蒸発燃料をエンジン2の吸気時に吸気通路23bに放出させて燃焼させることができるようになっている。
燃料パージシステム4は、燃料タンク31内で生じた蒸発燃料を吸着するキャニスタ41と、キャニスタ41に空気を通してキャニスタ41から脱離した燃料および空気を含むパージガスをエンジン2の吸気管23内に吸入させるパージ動作を実行するパージ機構42と、パージガスの吸気管23内への吸入量を制御してエンジン2における空燃比の変動を抑制するパージ制御機構45と、を含んで構成されている。
キャニスタ41は、キャニスタケース41aの内部に活性炭等の吸着材41bを内蔵したものであり、本実施の形態において、その外周面41cが、内部タンク80を形成する。キャニスタ41の内部(吸着材収納空間)は、エバポ配管48および気液分離バルブ49を介して燃料タンク31内の上部空間に連通するようになっている。
したがって、キャニスタ41は、燃料タンク31内で燃料が蒸発し、燃料タンク31内の上部空間に蒸発燃料が溜まるとき、吸着材41bによって蒸発燃料を吸着することができる。また、燃料タンク31内の燃料の液面上昇や液面変動時には、逆止弁機能を有する気液分離バルブ49が浮上してエバポ配管48の先端部を閉止するようになっている。
パージ機構42は、キャニスタ41の内部を吸気管23の吸気通路23bのうちサージタンク23aの内部部分に連通させるパージ配管43と、キャニスタ41の内部を大気側、例えば、フューエルインレットボックス35の内方の大気圧空間に開放させる大気配管44とを有している。
パージ機構42は、エンジン2の運転時にサージタンク23aの内部に吸気負圧が発生するとき、キャニスタ41の内部の一端側にパージ配管43を通して吸気負圧を導入させつつ、キャニスタ41の内部の他端側に大気配管44を通して大気を導入させることができる。
したがって、パージ機構42は、キャニスタ41の吸着材41bに吸着されてキャニスタ41内に保持されている燃料を、キャニスタ41から脱離(放出)させてサージタンク23aの内部に吸入させることができる。
パージ制御機構45は、ECU5によって制御されるパージ用のバキュームソレノイドバルブ(以下、「パージ用VSV」という)46を含んで構成されている。
パージ用VSV46は、パージ配管43の途中に設けられている。このパージ用VSV46は、パージ配管43の途中の開度を変化させることで、キャニスタ41から脱離させる燃料量を可変制御できるようになっている。
具体的には、パージ用VSV46は、その励磁電流がECU5によってデューティ制御されることで開度を変化させることができ、そのデューティ比に応じたパージ率で、吸気管23内の吸気負圧によりキャニスタ41から脱離した燃料を空気と共にパージガスとしてサージタンク23a内に吸入させることができる。
ECU5は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリと、入出力ポートと、を備えたマイクロプロセッサによって構成されている。
ECU5のROMには、当該マイクロプロセッサをECU5として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、ECU5のCPUがRAMを作業領域としてROMに記憶されたプログラムを実行することにより、当該マイクロプロセッサは、ECU5として機能する。
ECU5の入出力ポートの入力側には、スロットルセンサ24bに加えて、デリバリーパイプ22の燃圧を検知する燃圧センサ50と、給油機構6が給油状態および非給油状態のいずれの状態であるかを検出する給油状態検出センサ51とを含む各種センサ類が接続されている。
本実施の形態において、給油状態検出センサ51は、フューエルリッド37が開放されたことを条件として、給油機構6が給油状態となったことを検出し、フューエルリッド37が閉鎖されたことを条件として、給油機構6が非給油状態となったことを検出するようになっている。
なお、給油状態検出センサ51は、キャップ34bが給油口34aから取り外されたことを条件として、給油機構6が給油状態となったことを検出し、キャップ34bが給油口34aに取り付けられたことを条件として、給油機構6が非給油状態となったことを検出するようにしてもよい。
ECU5の入出力ポートの出力側には、点火プラグ20、スロットルアクチュエータ24a、パージ用VSV46、FPC84および切替弁92等の各種制御対象類が接続されている。
ECU5は、各種センサ情報に基づいて、パージ用VSV46をデューティ制御することにより、パージ率を制御することができるようになっている。例えば、ECU5は、エンジン2が所定の運転状態にあるときに、スロットルセンサ24bより得られるスロットルバルブ24の開度が予め設定された設定開度より小さい状態となることを条件として、パージ用VSV46を作動させることによりパージ機構42にパージ動作を実行させるようになっている。
また、ECU5は、エンジン2の運転状態に応じて、キャニスタ41に要求される要求温度を決定する要求温度決定部を構成する。また、ECU5は、決定した要求温度に応じて、第1および第2ジェットポンプ90a、90b、ならびに、切替弁92と協働して、第1および第2燃料タンク31a、31b内間で第1および第2移送配管94a、94bを介して双方向に燃料を移送することができる燃料移送部を構成する。
エンジン2が通常運転状態にある場合には、ECU5は、分岐管91とパイロット配管93aとを接続するように切替弁92を制御するようになっている。すなわち、ECU5は、第1ジェットポンプ90aを作動させ、第2ジェットポンプ90bを停止させるようになっている。
このように、ECU5は、第2燃料タンク31b内から第1燃料タンク31a内に燃料を移送させることにより、燃料タンク31内の燃料が残り少なくなってきたときに、燃料ポンプ32に十分な燃料を汲み上げさせるようにしている。
ECU5は、パージ機構42にパージ動作を実行させる前、または、パージ機構42にパージ動作を実行させているとき等のように、キャニスタ41の昇温が要求されたことを条件として、分岐管91とパイロット配管93bとを接続するように切替弁92を制御するようになっている。
すなわち、ECU5は、キャニスタ41の昇温が要求されたことを条件として、第1ジェットポンプ90aを停止させ、第2ジェットポンプ90bを作動させるようになっている。
このように、ECU5は、キャニスタ41の昇温が要求されたことを条件として、第1燃料タンク31a内の燃料を第2燃料タンク31b内に移送させることにより、第1燃料タンク31a内の燃料の量を減少させるようになっている。
第1燃料タンク31a内の燃料の量が減少することにより、第1燃料タンク31a内の燃料の熱容量が減少する。このため、第1燃料タンク31a内の燃料の温度が上昇しやすくなり、キャニスタ41内の温度が上昇しやすくなる。
また、ECU5は、エンジン2が停止された状態で給油機構6が給油状態となったことが給油状態検出センサ51によって検出されたとき等のように、キャニスタ41の降温が要求されたことを条件として、燃料ポンプ32が作動していなければ燃料ポンプ32を作動させるようにFPC84を制御すると共に、分岐管91とパイロット配管93aとを接続するように切替弁92を制御するようになっている。
すなわち、ECU5は、キャニスタ41の降温が要求されたことを条件として、第1ジェットポンプ90aを作動させ、第2ジェットポンプ90bを停止させるようになっている。
このように、ECU5は、キャニスタ41の降温が要求されたことを条件として、第2燃料タンク31b内の燃料を第1燃料タンク31a内に移送させることにより、第1燃料タンク31a内の燃料の量を増加させるようになっている。
第1燃料タンク31a内の燃料の量が増加することにより、第1燃料タンク31a内の燃料の熱容量が増加する。このため、第1燃料タンク31a内の燃料の温度が上昇し難くなり、キャニスタ41内の温度が上昇し難くなる。
次に、本実施の形態に係る蒸発燃料処理装置のタンク内燃料調節動作について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下に説明するタンク内燃料調節動作は、ECU5が作動している間、繰り返し実行される。
まず、ECU5は、キャニスタ41の昇温が要求されたか否かを判断する(ステップS1)。ここで、キャニスタ41の昇温が要求されたと判断した場合には、ECU5は、分岐管91とパイロット配管93bとを接続するように切替弁92を制御し、第1ジェットポンプ90aを停止させ、第2ジェットポンプ90bを作動させる(ステップS2)。
ここで、第1燃料タンク31a内の燃料の液位h1が下限液位TH1以下である場合には(ステップS3)、液位h1が吸入管96の開口位置以下であるため、第1および第2燃料タンク31a、31b内間の燃料の移送が行われず、第1燃料タンク31a内の燃料の量は、デリバリーパイプ22に供給される燃料の量(以下、「エンジン供給燃料量」という)だけ減少する(ステップS4)。
また、液位h1が下限液位TH1以下でなく、第2燃料タンク31b内の燃料の液位h2が上限液位TH2以上である場合には(ステップS5)、フロート弁97が閉弁するため、第1および第2燃料タンク31a、31b内間の燃料の移送が行われず、第1燃料タンク31a内の燃料の量は、エンジン供給燃料量だけ減少する(ステップS4)。
ステップS3において、液位h1が吸入管96の開口位置以下でなく、かつ、ステップS5において、液位h2が上限液位TH2以上でない場合には、第1燃料タンク31a内の燃料が第2燃料タンク31b内に移送される(ステップS6)。
ステップS1において、キャニスタ41の昇温が要求されていないと判断した場合には、ECU5は、キャニスタ41の降温が要求されたか否かを判断する(ステップS7)。ここで、キャニスタ41の降温が要求されたと判断した場合には、ECU5は、燃料ポンプ32が作動しているか否かを判断する(ステップS8)。
ここで、ECU5は、燃料ポンプ32が作動していないと判断した場合には、燃料ポンプ32を作動させるようにFPC84を制御する(ステップS9)。
ステップS7において、キャニスタ41の降温が要求されていないと判断した場合、ステップS8において、燃料ポンプ32が作動していると判断した場合、または、ステップS9で燃料ポンプ32を作動させた後、ECU5は、分岐管91とパイロット配管93aとを接続するように切替弁92を制御し、第1ジェットポンプ90aを作動させ、第2ジェットポンプ90bを停止させ(ステップS10)、第2燃料タンク31b内の燃料が第1燃料タンク31a内に移送される(ステップS11)。
以上に説明したように、本実施の形態は、キャニスタ41の要求温度に応じて第1および第2燃料タンク31a、31b内間で双方向に燃料を移送することにより、燃料ポンプ32や排気管25等の熱源からキャニスタ41に伝達される熱量を調節することができる。
したがって、本実施の形態は、キャニスタ41内の温度を的確に調節することができるため、従来のものと比較して、キャニスタ41における蒸発燃料の吸着性能や吸着燃料の脱離性能を十分に発揮させることができる。
特に、本実施の形態は、パージ動作が実行されるとき等のように、キャニスタ41の昇温が要求されたときに、内部タンク80内の燃料の量を減少させることにより、内部タンク80内の燃料の熱容量を減少させることができる。
したがって、本実施の形態は、キャニスタ41が設けられた内部タンク80内の燃料を減少させることにより、キャニスタ41内の温度を上昇させやすくするため、従来のものと比較して、キャニスタ41における蒸発燃料の脱離性能を十分に発揮させることができる。
また、本実施の形態は、燃料タンク31が給油されるとき等のように、キャニスタ41の降温が要求されたときに、キャニスタ41が設けられた内部タンク80内の燃料の量を増加させることにより、キャニスタ41が設けられた燃料タンク内の燃料の熱容量を増加させることができる。
したがって、本実施の形態は、キャニスタ41が設けられた内部タンク80内の燃料を増加させることにより、キャニスタ41内の温度を上昇させ難くするため、従来のものと比較して、キャニスタ41における蒸発燃料の吸着性能を十分に発揮させることができる。
なお、本実施の形態において、キャニスタ41の外周面41cが内部タンク80を形成する例について説明したが、本発明においては、内部タンク80を別途に設け、内部タンク80の内部にキャニスタ41を設けるようにしてもよい。また、本実施の形態においては、内部タンク80、リザーバジェットポンプ81およびパイロット配管85を第1燃料タンク31a内から除いてもよい。
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る蒸発燃料処理装置を搭載した車両の要部構成、すなわち、走行駆動用の内燃機関とその燃料供給および燃料パージを行う燃料系システムとの機構を示している。
なお、本実施の形態においては、本発明の第1の実施の形態との相違点について説明する。また、本実施の形態における構成要素のうち、本発明の第1の実施の形態と同様なものについては、同一の符号で示し、相違する点について説明する。
本実施の形態においては、本発明の第1の実施の形態におけるフロート弁97が除かれ、第2移送配管94bが、一端が第2ジェットポンプ90bに接続され、他端が第2燃料タンク31b内で開口している。また、吸入管96は、下限液位TH1よりも低い位置で開口している。
また、本実施の形態は、第1燃料タンク31a内の燃料の液位を検出する液位センサ100aと、第2燃料タンク31b内の燃料の液位を検出する液位センサ100bと、第2移送配管94bの途中に設けられた切替弁110とが設けられている。
本実施の形態において、液位センサ100aおよび液位センサ100bは、センダゲージによってそれぞれ構成されている。
液位センサ100aは、内部タンク80の外面に固定されたゲージ本体101aと、ゲージ本体101aに対して回動可能に設けられたアーム102aと、アーム102aの自由端部に取付けられ、第1燃料タンク31a内の液面に浮遊するフロート103aとを有している。
液位センサ100bは、第1移送配管94aに固定されたゲージ本体101bと、ゲージ本体101bに対して回動可能に設けられたアーム102bと、アーム102bの自由端部に取付けられ、第2燃料タンク31b内の液面に浮遊するフロート103bとを有している。
切替弁110は、第2移送配管94b内の通路をECU5の制御により開閉するようになっている。すなわち、切替弁110は、第2移送配管94b内の燃料の移送通路をECU5の制御により開閉するようになっている。
本実施の形態において、ECU5のROMには、本発明の第1の実施の形態におけるECU5のROMに記憶されているプログラムと異なるプログラムが記憶されている。これにより、本実施の形態におけるECU5は、本発明の第1の実施の形態におけるECU5に対して、以下に説明するように機能が追加されている。
ECU5の入出力ポートの入力側には、スロットルセンサ24b、燃圧センサ50および給油状態検出センサ51に加え、液位センサ100a、100bを含む各種センサ類が接続されている。
一方、ECU5の入出力ポートの出力側には、点火プラグ20、スロットルアクチュエータ24a、パージ用VSV46、FPC84および切替弁92に加え、切替弁110等の各種制御対象類が接続されている。
ECU5は、液位センサ100aによって検出された液位に基づいて、第1燃料タンク31a内の燃料の液位h1が下限液位TH1以下となったか否かを判断するようになっている。
また、ECU5は、液位センサ100bによって検出された液位に基づいて、第2燃料タンク31b内の燃料の液位h2が上限液位TH2以上となったか否かを判断するようになっている。
ECU5は、液位h1が下限液位TH1以下であると判断した場合、または、液位h2が上限液位TH2以上であると判断した場合には、第2移送配管94b内の通路を閉じるように切替弁110を制御するようになっている。
すなわち、ECU5は、液位h1が下限液位TH1以下である、または、液位h2が上限液位TH2以上であることを条件として、第1燃料タンク31a内から第2燃料タンク31b内に対する燃料の移送を禁止するようになっている。
また、ECU5は、液位h1が下限液位TH1以下でないと判断し、かつ、液位h2が上限液位TH2以上でないと判断した場合には、第2移送配管94b内の通路を開くように切替弁110を制御するようになっている。
すなわち、ECU5は、液位h1が下限液位TH1以下でなく、かつ、液位h2が上限液位TH2以上でないことを条件として、第1燃料タンク31a内から第2燃料タンク31b内に対する燃料の移送を許容するようになっている。
このように、ECU5は、第1および第2ジェットポンプ90a、90b、ならびに、切替弁92、110と協働して、第1および第2燃料タンク31a、31b内間で第1および第2移送配管94a、94bを介して双方向に燃料を移送することができる燃料移送部を構成する。
以上のように構成することにより、本実施の形態に係る蒸発燃料処理装置のタンク内燃料調節動作は、図2に示した、本発明の第1の実施の形態におけるタンク内燃料調節動作と同様に実行される。
ただし、本実施の形態においては、ステップS3で、ECU5が、液位センサ100aによって検出された液位に基づいて、第1燃料タンク31a内の燃料の液位h1が下限液位TH1以下であるか否かを判断する。
また、ステップS4で、第2ジェットポンプ90bが作動している状態で、ECU5が、第2移送配管94b内の通路を閉じるように切替弁110を制御することにより、第1および第2燃料タンク31a、31b内間の燃料の移送が行われず、第1燃料タンク31a内の燃料の量がエンジン供給燃料量だけ減少する。
また、ステップS5で、ECU5が、液位センサ100bによって検出された液位に基づいて、第2燃料タンク31b内の燃料の液位h2が上限液位TH2以上あるか否かを判断する。
また、ステップS6で、ECU5が、第2移送配管94b内の通路を開くように切替弁110を制御することにより、第1燃料タンク31a内の燃料が第2燃料タンク31b内に移送される。
以上に説明したように、本実施の形態は、本発明の第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
特に、本実施の形態は、第1燃料タンク31a内の燃料の下限液位TH1と、第2燃料タンク31b内の燃料の上限液位TH2とをECU5に対して設定することができるため、下限液位TH1および上限液位TH2を容易に変更することができる。
(第3の実施の形態)
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る蒸発燃料処理装置を搭載した車両の要部構成、すなわち、走行駆動用の内燃機関とその燃料供給および燃料パージを行う燃料系システムとの機構を示している。
なお、本実施の形態においては、本発明の第2の実施の形態との相違点について説明する。また、本実施の形態における構成要素のうち、本発明の第2の実施の形態と同様なものについては、同一の符号で示し、相違する点について説明する。
本実施の形態においては、本発明の第2の実施の形態における切替弁110が除かれ、切替弁111が設けられている。また、第1移送配管94aは、一端が切替弁111に接続され、他端が第1ジェットポンプ90aに接続されている。また、第2移送配管94bは、一端が第2ジェットポンプ90bに接続され、他端が切替弁111に接続されている。
第2燃料タンク31b内と、第1燃料タンク31a内との間には、第3移送配管94cが設けられている。第3移送配管94cは、一端が第2燃料タンク31bの底面に対して燃料が通過できる程度の隙間をあけて広く開口されており、他端が切替弁111に接続されている。切替弁111は、第1移送配管94aと第2移送配管94bとの間で、第3移送配管94cと接続する移送配管をECU5の制御により切り替えるようになっている。
本実施の形態において、ECU5のROMには、本発明の第2の実施の形態におけるECU5のROMに記憶されているプログラムと異なるプログラムが記憶されている。これにより、本実施の形態におけるECU5は、本発明の第2の実施の形態におけるECU5に対して、以下に説明するように機能が追加および変更されている。
ECU5の入出力ポートの入力側には、スロットルセンサ24b、燃圧センサ50、給油状態検出センサ51および液位センサ100a、100bを含む各種センサ類が接続されている。
一方、ECU5の入出力ポートの出力側には、点火プラグ20、スロットルアクチュエータ24a、パージ用VSV46、FPC84および切替弁92に加え、切替弁111等の各種制御対象類が接続されている。
ECU5は、液位センサ100aによって検出された第1燃料タンク31a内の燃料の液位h1と、液位センサ100bによって検出された第2燃料タンク31b内の燃料の液位h2とに基づいて、切替弁111を制御するようになっている。
具体的には、ECU5は、液位センサ100aによって検出された第1燃料タンク31a内の燃料の液位h1が下限液位TH1以下であると判断した場合、または、液位センサ100bによって検出された第2燃料タンク31b内の燃料の液位h2が上限液位TH2以上であると判断した場合には、第1移送配管94aと第3移送配管94cとを接続するように切替弁111を制御するようになっている。
すなわち、ECU5は、液位h1が下限液位TH1以下である、または、液位h2が上限液位TH2以上であることを条件として、第1燃料タンク31a内から第2燃料タンク31b内に対する燃料の移送を禁止すると共に、第2燃料タンク31b内から第1燃料タンク31a内に対する燃料の移送を許容するようになっている。
また、ECU5は、液位h1が下限液位TH1以下でないと判断し、かつ、液位h2が上限液位TH2以上でないと判断した場合には、第2移送配管94bと第3移送配管94cとを接続するように切替弁111を制御するようになっている。
すなわち、ECU5は、液位h1が下限液位TH1以下でなく、かつ、液位h2が上限液位TH2以上でないことを条件として、第1燃料タンク31a内から第2燃料タンク31b内に対する燃料の移送を許容すると共に、第2燃料タンク31b内から第1燃料タンク31a内に対する燃料の移送を禁止するようになっている。
このように、ECU5は、第1および第2ジェットポンプ90a、90b、ならびに、切替弁92、111と協働して、第1および第2燃料タンク31a、31b内間で第1ないし第3移送配管94a〜94cを介して双方向に燃料を移送することができる燃料移送部を構成する。
以上のように構成することにより、本実施の形態に係る蒸発燃料処理装置のタンク内燃料調節動作は、本発明の第2の実施の形態におけるタンク内燃料調節動作、すなわち、図2に示した、本発明の第1の実施の形態におけるタンク内燃料調節動作と同様に実行される。
ただし、本実施の形態においては、ステップS3で、ECU5が、液位センサ100aによって検出された液位に基づいて、第1燃料タンク31a内の燃料の液位h1が下限液位TH1以下であるか否かを判断する。
また、ステップS4で、ECU5が、第1ジェットポンプ90aが作動していない状態で、第1移送配管94aと第3移送配管94cとを接続するように切替弁111を制御することにより、第1および第2燃料タンク31a、31b内間の燃料の移送が行われず、第1燃料タンク31a内の燃料の量がエンジン供給燃料量だけ減少する。
また、ステップS5で、ECU5が、液位センサ100bによって検出された液位に基づいて、第2燃料タンク31b内の燃料の液位h2が上限液位TH2以上あるか否かを判断する。
また、ステップS6で、ECU5が、第2ジェットポンプ90bが作動している状態で、第2移送配管94bと第3移送配管94cとを接続するように切替弁111を制御することにより、第1燃料タンク31a内の燃料が第2燃料タンク31b内に移送される。
また、ステップS11で、ECU5が、第1ジェットポンプ90aが作動している状態で、第1移送配管94aと第3移送配管94cとを接続するように切替弁111を制御することにより、第2燃料タンク31b内の燃料が第1燃料タンク31a内に移送される。
以上に説明したように、本実施の形態は、本発明の第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
特に、本実施の形態は、本発明の第2の実施の形態と同様に、第1燃料タンク31a内の燃料の下限液位TH1と、第2燃料タンク31b内の燃料の上限液位TH2とをECU5に対して設定することができるため、下限液位TH1および上限液位TH2を容易に変更することができる。
(第4の実施の形態)
図5は、本発明の第4の実施の形態に係る蒸発燃料処理装置を搭載した車両の要部構成、すなわち、走行駆動用の内燃機関とその燃料供給および燃料パージを行う燃料系システムとの機構を示している。
なお、本実施の形態においては、本発明の第2の実施の形態との相違点について説明する。また、本実施の形態における構成要素のうち、本発明の第2の実施の形態と同様なものについては、同一の符号で示し、相違する点について説明する。
本実施の形態においては、本発明の第2の実施の形態において第1燃料タンク31a内に設けられていたキャニスタ41が第1燃料タンク31a内に設けられている。
本実施の形態において、ECU5のROMには、本発明の第2の実施の形態におけるECU5のROMに記憶されているプログラムと異なるプログラムが記憶されている。これにより、本実施の形態におけるECU5は、本発明の第2の実施の形態におけるECU5に対して、以下に説明するように機能が変更されている。
エンジン2が通常運転状態にある場合には、ECU5は、分岐管91とパイロット配管93aとを接続するように切替弁92を制御するようになっている。すなわち、ECU5は、第1ジェットポンプ90aを作動させ、第2ジェットポンプ90bを停止させるようになっている。
このように、ECU5は、第2燃料タンク31b内から第1燃料タンク31a内に燃料を移送させることにより、燃料タンク31内の燃料が残り少なくなってきたときに、燃料ポンプ32に十分な燃料を汲み上げさせるようにしている。
ECU5は、パージ機構42にパージ動作を実行させる前、または、パージ機構42にパージ動作を実行させているとき等のように、キャニスタ41の昇温が要求されたことを条件として、分岐管91とパイロット配管93aとを接続するように切替弁92を制御するようになっている。
すなわち、ECU5は、キャニスタ41の昇温が要求されたことを条件として、第1ジェットポンプ90aを作動させ、第2ジェットポンプ90bを停止させるようになっている。
このように、ECU5は、キャニスタ41の昇温が要求されたことを条件として、第2燃料タンク31b内の燃料を第1燃料タンク31a内に移送させることにより、第2燃料タンク31b内の燃料の量を減少させるようになっている。
第2燃料タンク31b内の燃料の量が減少することにより、第2燃料タンク31b内の燃料の熱容量が減少する。このため、第2燃料タンク31b内の燃料の温度が上昇しやすくなり、キャニスタ41内の温度が上昇しやすくなる。
ここで、ECU5は、液位センサ100aによって検出された液位に基づいて、第1燃料タンク31a内の燃料の液位h1が上限液位TH1a以上となったか否かを判断するようになっている。
上限液位TH1aは、第1燃料タンク31a内の燃料が第2燃料タンク31b内に溢れないように、第1燃料タンク31a内と第2燃料タンク31b内との連通部分の下端に予め設定されている。なお、上限液位TH1aは、第1燃料タンク31a内と第2燃料タンク31b内との連通部分の下端より若干低く設定されていてもよい。
また、ECU5は、液位センサ100bによって検出された液位に基づいて、第2燃料タンク31b内の燃料の液位h2が下限液位TH2a以下となったか否かを判断するようになっている。
ここで、下限液位TH2bは、第2燃料タンク31b内の燃料の減りすぎによってキャニスタ41に対する加熱効率が低下してしまうことを防止するように予め定められている。
ECU5は、液位h1が上限液位TH1a以上であると判断した場合、または、液位h2が下限液位TH2a以下であると判断した場合には、分岐管91とパイロット配管93bとを接続するように切替弁92を制御すると共に、第2移送配管94b内の通路を閉じるように切替弁110を制御するようになっている。
すなわち、ECU5は、液位h1が上限液位TH1a以上以下である、または、液位h2が下限液位TH2a以下であることを条件として、第2燃料タンク31b内から第1燃料タンク31a内に対する燃料の移送を禁止するようになっている。
また、ECU5は、エンジン2が停止された状態で給油機構6が給油状態となったことが給油状態検出センサ51によって検出されたとき等のように、キャニスタ41の降温が要求されたことを条件として、燃料ポンプ32が作動していなければ燃料ポンプ32を作動させるようにFPC84を制御すると共に、分岐管91とパイロット配管93bとを接続するように切替弁92を制御し、第2移送配管94b内の通路を開くように切替弁110を制御するようになっている。
すなわち、ECU5は、キャニスタ41の降温が要求されたことを条件として、第2ジェットポンプ90bを作動させ、第1ジェットポンプ90aを停止させるようになっている。
このように、ECU5は、キャニスタ41の降温が要求されたことを条件として、第1燃料タンク31a内の燃料を第2燃料タンク31b内に移送させることにより、第2燃料タンク31b内の燃料の量を増加させるようになっている。
第2燃料タンク31b内の燃料の量が増加することにより、第2燃料タンク31b内の燃料の熱容量が増加する。このため、第2燃料タンク31b内の燃料の温度が上昇し難くなり、キャニスタ41内の温度が上昇し難くなる。
このように、ECU5は、第1および第2ジェットポンプ90a、90b、ならびに、切替弁92、110と協働して、第1および第2燃料タンク31a、31b内間で第1および第2移送配管94a、94bを介して双方向に燃料を移送することができる燃料移送部を構成する。
次に、本実施の形態に係る蒸発燃料処理装置のタンク内燃料調節動作について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下に説明するタンク内燃料調節動作は、ECU5が作動している間、繰り返し実行される。
まず、ECU5は、キャニスタ41の昇温が要求されたか否かを判断する(ステップS21)。ここで、キャニスタ41の昇温が要求されたと判断した場合には、ECU5は、分岐管91とパイロット配管93aとを接続するように切替弁92を制御し、第1ジェットポンプ90aを作動させ、第2ジェットポンプ90bを停止させる(ステップS22)。
ここで、ECU5は、第1燃料タンク31a内の燃料の液位h1が上限液位TH1a以上であるか否かを判断する(ステップS23)。ここで、第1燃料タンク31a内の燃料の液位h1が上限液位TH1a以上であると判断した場合には、ECU5は、分岐管91とパイロット配管93bとを接続するように切替弁92を制御すると共に、第2移送配管94b内の通路を閉じるように切替弁110を制御することにより、第2燃料タンク31b内の燃料の量を維持する(ステップS24)。
一方、第1燃料タンク31a内の燃料の液位h1が上限液位TH1a以上でないと判断した場合には、ECU5は、第2燃料タンク31b内の燃料の液位h2が下限液位TH2a以下であるか否かを判断する(ステップS25)。
ここで、ECU5は、第2燃料タンク31b内の燃料の液位h2が下限液位TH2a以下であると判断した場合には、ECU5は、分岐管91とパイロット配管93bとを接続するように切替弁92を制御すると共に、第2移送配管94b内の通路を閉じるように切替弁110を制御することにより、第2燃料タンク31b内の燃料の量を維持する(ステップS24)。
一方、第2燃料タンク31b内の燃料の液位h2が下限液位TH2a以下でないと判断した場合には、ECU5は、分岐管91とパイロット配管93aとを接続するように切替弁92を制御することにより、第2燃料タンク31b内の燃料を第1燃料タンク31a内に移送する(ステップS26)。
ステップS21において、キャニスタ41の昇温が要求されていないと判断した場合には、ECU5は、キャニスタ41の降温が要求されたか否かを判断する(ステップS27)。ここで、キャニスタ41の降温が要求されたと判断した場合には、ECU5は、燃料ポンプ32が作動しているか否かを判断する(ステップS28)。
ここで、ECU5は、燃料ポンプ32が作動していないと判断した場合には、燃料ポンプ32を作動させるようにFPC84を制御する(ステップS29)。
ステップS27において、キャニスタ41の降温が要求されていないと判断した場合、ステップS28において、燃料ポンプ32が作動していると判断した場合、または、ステップS29で燃料ポンプ32を作動させた後、ECU5は、分岐管91とパイロット配管93bとを接続するように切替弁92を制御し、第1ジェットポンプ90aを停止させ、第2ジェットポンプ90bを作動させ(ステップS30)、第1燃料タンク31a内の燃料を第2燃料タンク31b内に移送する(ステップS31)。
以上に説明したように、本実施の形態は、本発明の第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
特に、本実施の形態は、本発明の第2の実施の形態と同様に、第1燃料タンク31a内の燃料の上限液位TH1aと、第2燃料タンク31b内の燃料の下限液位TH2aとをECU5に対して設定することができるため、上限液位TH1aおよび下限液位TH2aを容易に変更することができる。
なお、図7に示すように、本発明の第3の実施の形態に対して、本発明の第4の実施の形態と同様に、第1燃料タンク31a内に設けられていたキャニスタ41を第1燃料タンク31a内に設けることにより、本発明の第4の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
図7に示す本発明の第4の実施の形態の変形例は、本発明の第3および第4の実施の形態の説明に基づいて容易に想到することができるため、その説明は、省略する。
以上のように、本発明に係る蒸発燃料処理装置は、従来のものと比較して、吸着器における蒸発燃料の吸着性能や吸着燃料の脱離性能を十分に発揮させることができるという効果を奏するものであり、燃料タンク内に吸着器が設けられた蒸発燃料処理装置に有用である。