以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板保持装置および基板保持方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態では、重合基板の剥離を行う剥離システムに対して本願の開示する基板保持装置を適用する場合の例について説明するが、本願の開示する基板保持装置は、剥離システム以外にも適用可能である。
(第1の実施形態)
<1.剥離システム>
まず、第1の実施形態に係る剥離システムの構成について、図1および図2を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る剥離システムの構成を示す模式平面図であり、図2は、重合基板、被処理基板および支持基板の模式側面図である。なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
図1に示す第1の実施形態に係る剥離システム1は、被処理基板Wと支持基板Sとが接着剤Gで接合された重合基板Tを、被処理基板Wと支持基板Sとに剥離するシステムである(図2参照)。
図2に示すように、被処理基板Wの板面のうち、接着剤Gを介して支持基板Sと接合される側の板面を「接合面Wj」といい、接合面Wjとは反対側の板面を「非接合面Wn」という。また、支持基板Sの板面のうち、接着剤Gを介して被処理基板Wと接合される側の板面を「接合面Sj」といい、接合面Sjとは反対側の板面を「非接合面Sn」という。
被処理基板Wは、たとえば、シリコンウェハや化合物半導体ウェハなどの半導体基板に複数の電子回路が形成された基板であり、電子回路が形成される側の板面を接合面Wjとしている。また、被処理基板Wは、たとえば非接合面Wnが研磨処理されることによって薄型化されている。一方、支持基板Sは、被処理基板Wと略同径の基板であり、被処理基板Wを支持する。支持基板Sとしては、シリコンウェハの他、たとえば、化合物半導体ウェハまたはガラス基板などを用いることができる。
剥離システム1は、図1に示すように、搬入出ステーション10と、第1搬送領域20と、剥離処理ステーション30と、第2搬送領域40と、制御装置50とを備える。搬入出ステーション10および剥離処理ステーション30は第1搬送領域20を介してY軸方向に並べて配置される。また、搬入出ステーション10、第1搬送領域20および剥離処理ステーション30のX軸負方向側には、第2搬送領域40が配置される。
剥離システム1では、搬入出ステーション10へ搬入された重合基板Tが第1搬送領域20を介して剥離処理ステーション30へ搬送され、剥離処理ステーション30において被処理基板Wと支持基板Sとに剥離される。剥離後の被処理基板Wは第2搬送領域40を介して後処理ステーションMへ搬送され、剥離後の支持基板Sは第1搬送領域20を介して搬入出ステーション10へ搬送される。なお、剥離システム1では、不良となった被処理基板Wを第1搬送領域20を介して搬入出ステーション10へ搬送することもできる。
搬入出ステーション10では、複数の被処理基板Wが収容されるカセットCw、複数の支持基板Sが収容されるカセットCsおよび複数の重合基板Tが収容されるカセットCtが剥離システム1の外部との間で搬入出される。かかる搬入出ステーション10には、カセット載置台11が設けられており、このカセット載置台11に、カセットCw,Cs,Ctのそれぞれが載置される複数のカセット載置板12a〜12cが設けられる。なお、カセットCwには、たとえば、不良品として剥離処理ステーション30から搬送されてきた被処理基板Wが収容される。
第1搬送領域20では、搬入出ステーション10および剥離処理ステーション30間における被処理基板W、支持基板Sおよび重合基板Tの搬送が行われる。第1搬送領域20には、被処理基板W、支持基板Sおよび重合基板Tの搬送を行う第1搬送装置21が設置される。
第1搬送装置21は、水平方向への移動、鉛直方向への移動および鉛直軸を中心とする旋回が可能な搬送アーム22と、この搬送アーム22の先端に取り付けられたフォーク23とを備える搬送ロボットである。かかる第1搬送装置21は、フォーク23を用いて基板を保持するとともに、フォーク23によって保持された基板を搬送アーム22によって所望の場所まで搬送する。
剥離処理ステーション30では、重合基板Tの剥離、剥離後の被処理基板Wおよび支持基板Sの洗浄等が行われる。この剥離処理ステーション30には、剥離装置31、受渡室32、第1洗浄装置33および第2洗浄装置34が、X軸正方向に、第1洗浄装置33、受渡室32、剥離装置31、第2洗浄装置34の順で並べて配置される。
剥離装置31では、第1搬送装置21によって搬送された重合基板Tを被処理基板Wと支持基板Sとに剥離する剥離処理が行われる。
受渡室32には、剥離装置31によって重合基板Tから剥離された被処理基板Wを第1洗浄装置33へ搬送する第2搬送装置110が設置される。第2搬送装置110は、ベルヌーイチャックであり、被処理基板Wを非接触状態で保持して第1洗浄装置33へ搬送する。
ベルヌーイチャックは、保持面に設けられた噴出口(後述する吸着保持部)から被処理基板Wの板面へ向けて気体を噴射させ、保持面と被処理基板Wの板面との間隔に応じて気体の流速が変化することに伴う負圧の変化を利用して被処理基板Wを非接触状態で保持する。
第1洗浄装置33は、第2搬送装置110によって搬送された被処理基板Wの洗浄を行う。第1洗浄装置33は、被処理基板Wを吸着保持しながら回転するスピンチャック210を備える。第1洗浄装置33は、スピンチャック210を用いて被処理基板Wを回転させながら、被処理基板Wに対して洗浄液を吹き付けることによって被処理基板Wを洗浄する。なお、第1洗浄装置33の構成については、図5を用いて説明する。
第1洗浄装置33によって洗浄された被処理基板Wは、第2搬送領域40を介して後処理ステーションMへ搬送され、後処理ステーションMにおいて所定の後処理が施される。なお、所定の後処理とは、たとえば被処理基板Wをマウントする処理や、被処理基板Wをチップ毎にダイシングする処理などである。
第2洗浄装置34は、剥離装置31において重合基板Tから剥離された支持基板Sの洗浄を行う。第2洗浄装置34によって洗浄された支持基板Sは、第1搬送装置21によって搬入出ステーション10へ搬送される。
第2搬送領域40は、剥離処理ステーション30と後処理ステーションMとの間に設けられる。第2搬送領域40には、X軸方向に延在する搬送路41上を移動可能な第3搬送装置120が設置され、この第3搬送装置120によって剥離処理ステーション30および後処理ステーションM間における被処理基板Wの搬送が行われる。第3搬送装置120は、第2搬送装置110と同様、ベルヌーイの原理を利用して被処理基板Wを非接触状態で搬送する。かかる第3搬送装置120の構成については、図3等を用いて説明する。
また、第2搬送領域40には、第3洗浄装置43および第4洗浄装置44が、X軸負方向に、第3洗浄装置43および第4洗浄装置44の順で並べて配置される。これら第3洗浄装置43および第4洗浄装置44は、たとえば第1洗浄装置33と同様の構成の洗浄装置であり、スピンチャック210と同様のスピンチャック220,230をそれぞれ備える。被処理基板Wは、これら第3洗浄装置43および第4洗浄装置44によって洗浄されたうえで、後処理ステーションMへ受け渡される。
さらに、第2搬送領域40には、剥離システム1と後処理ステーションMとの間で被処理基板Wの受け渡しを行うための受渡部45が配置される。受渡部45は、被処理基板Wを吸着保持するポーラスチャック240を備える。被処理基板Wは、第3洗浄装置43および第4洗浄装置44によって洗浄された後、第3搬送装置120によってポーラスチャック240上に載置され、ポーラスチャック240によって吸着保持される。
なお、ポーラスチャック240は、スピンチャック210,220,230と異なり回転機能を有しておらず、また、被処理基板Wの洗浄を行うものではないためスピンチャック210と比較して径が大きい。
制御装置50は、剥離システム1の動作を制御する装置であり、たとえば搬送制御部51を備える。搬送制御部51は、第2搬送装置110および第3搬送装置120による重合基板Tや被処理基板W等の基板の搬送を制御する処理部である。
なお、制御装置50は、たとえばコンピュータであり、図示しない記憶部に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって剥離システム1の動作を制御する。かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置50の記憶部にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体として、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
被処理基板Wの厚さは、たとえば35〜100μmと薄く、反りが生じ易い。被処理基板Wが反っていると、第2搬送装置110や第3搬送装置120などの基板保持装置と、スピンチャック210,220,230やポーラスチャック240などの基板保持装置との間での被処理基板Wの受け渡しが困難となるおそれがある。
たとえば、スピンチャック上に載置された被処理基板をベルヌーイチャックを用いて受け取る場合、被処理基板が反っていると被処理基板の反った部分がベルヌーイチャックと接触するおそれがある。
そこで、第1の実施形態に係る剥離システム1では、第2搬送装置110および第3搬送装置120に対して、被処理基板Wの反りを矯正するための流体噴出部を設けることとした。
以下では、本願の開示する基板保持装置の一例である第3搬送装置120の具体的な構成および動作について説明する。なお、基板保持装置の他の一例である第2搬送装置110は、第3搬送装置120と同一構成であるため、第2搬送装置110の構成および動作については説明を省略する。
<2.第3搬送装置の構成>
まず、第3搬送装置120の構成について図3および図4を参照して説明する。図3は、第3搬送装置120の模式側面図であり、図4は、第3搬送装置120の模式斜視図である。
図3に示すように、第3搬送装置120は、本体部121と、吸着保持部122と、流体噴出部123と、係止部124とを備える。本体部121は、被処理基板Wと略同径を有する円板状の部材である(図4参照)。
吸着保持部122は、ベルヌーイの原理を利用して被処理基板Wを非接触で吸着保持する部材である。かかる吸着保持部122は、本体部121に対して複数設けられる。具体的には、図4に示すように、吸着保持部122は、本体部121の主面に対して円周状に、かつ、内周側と外周側の二重に配置される。また、各吸着保持部122は、互いに所定の間隔を空けて配置される。
各吸着保持部122は、送気管131を介して送気装置132と接続され、送気装置132から送気管133を介して送気される気体を噴出する。
具体的には、各吸着保持部122は、本体部121と対向する被処理基板Wへ近づくに連れて口径が漸次大きくなる形状を有しており、気体は、かかる被処理基板Wの板面に沿って噴出されることとなる。この結果、被処理基板Wの板面に負圧が生じ、この負圧が被処理基板Wの板面と第3搬送装置120の保持面との間隔に応じて変化することで、被処理基板Wは、非接触状態で保持された状態となる。
流体噴出部123は、被処理基板Wの外周部に対して気体を噴出する部材である。各流体噴出部123は、送気管133を介して送気装置134と接続され、送気装置134から送気管133を介して送気される気体を被処理基板Wの外周部へ向けて噴出する。第3搬送装置120は、かかる流体噴出部123から噴出される気体を用いて被処理基板Wの反りを矯正しつつ、吸着保持部122を用いて被処理基板Wの吸着保持を行う。
また、図4に示すように、流体噴出部123は、本体部121の主面のうち吸着保持部122よりも外周部側の領域に対し、吸着保持部122と同心円状に並べて複数設けられる。流体噴出部123をこのように配置することで、円板状の被処理基板Wの外周部に生じる反りを効果的に矯正することができる。
また、各流体噴出部123は、外周側に配置される各吸着保持部122の略中間位置にそれぞれ設けられる。このように、流体噴出部123を吸着保持部122からできるだけ離して配置することで、流体噴出部123から噴出される気体と流体噴出部123から噴出される気体との干渉を防止することができる。
係止部124は、本体部121の主面と直交する向きに突出する部材であり、本体部121の外周に対して所定の間隔を空けて複数設けられる。これらの係止部124によって、被処理基板Wは、本体部121からの脱落等が防止される。
なお、本体部121に対して設けられる吸着保持部122、流体噴出部123および係止部124の個数および配置は、図4に示したものに限定されない。
また、第3搬送装置120は、移動機構140を備える。移動機構140は、第1アーム141と、第2アーム142と、基部143とを備える。第1アーム141は、水平方向に延在し、先端部において本体部121を支持する。第2アーム142は、鉛直方向に延在し、先端部において第1アーム141の基端部を支持する。
基部143は、搬送路41(図1参照)に固定され、第2アーム142を支持する。基部143には、モータ等の駆動機構が設けられており、かかる駆動機構によって第2アーム142は鉛直方向に昇降する。
なお、第2搬送装置110が備える移動機構の基部は、たとえば、受渡室32の床面に固定される。
<3.第1洗浄装置の構成>
次に、スピンチャック210を備える第1洗浄装置33の構成について図5を用いて説明する。図5は、第1洗浄装置33の模式側面図である。
図5に示すように、第1洗浄装置33は、内部を密閉可能な処理容器331を有している。処理容器331の側面には、被処理基板Wの搬入出口(図示せず)が形成され、かかる搬入出口には、図示しない開閉シャッタが設けられる。
処理容器331内の中央部には、被処理基板Wを吸着保持して回転させるスピンチャック210が設けられる。スピンチャック210は、円板状の本体部211と、本体部211の上面側に設けられた吸着保持部212とを備える。
吸着保持部212は、たとえば炭化ケイ素などのセラミック素材で形成される多孔質体を含んで構成される。スピンチャック210は、本体部211の上面に載置された被処理基板Wを吸着保持部212が有する多孔質体を介して吸引することにより、かかる被処理基板Wを吸着保持する。
スピンチャック210の下方には、支柱213が設けられる。支柱213は、下端部が基部214によって支持されるとともに、上端部においてスピンチャック210を支持する。基部214は、たとえば処理容器331の床面に固定される。
基部214には、支柱213を回転させるモータ等の駆動部(図示せず)が設けられる。かかる駆動部によって支柱213が回転すると、かかる回転に伴ってスピンチャック210が回転することとなる。また、図示しない駆動部には、シリンダ等の昇降駆動源が設けられており、かかる昇降駆動源によって支柱213およびスピンチャック210を昇降させることができる。
また、スピンチャック210の周囲には、被処理基板Wから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ333が設けられる。カップ333の下面には、回収した液体を排出する排出管334と、カップ333内の雰囲気を真空引きして排気する排気管335が接続される。
また、第1洗浄装置33は、被処理基板Wに対して有機溶剤等の洗浄液を供給する洗浄液ノズル68を備える。洗浄液ノズル68は、処理容器331内に設けられた図示しないレールに沿って、カップ333外の待機部69からカップ333内の被処理基板Wの中心位置まで移動可能である。また、洗浄液ノズル68は、図示しない昇降機構によって被処理基板Wまでの高さが調節される。
洗浄液ノズル68は、たとえば2流体ノズルであり、洗浄液を供給するための供給管61および窒素等の不活性ガスを供給するための供給管64とそれぞれ接続している。供給管61には、内部に洗浄液を貯留する洗浄液供給源62が、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群63を介して接続される。また、供給管64には、内部に不活性ガスを貯留するガス供給源65が、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群66を介して接続される。
洗浄液ノズル68へ供給された洗浄液および不活性ガスは、洗浄液ノズル68内で混合され、洗浄液ノズル68から被処理基板Wへ供給される。第1洗浄装置33は、スピンチャック210を回転させつつ、被処理基板Wに対して洗浄液等を供給することで、被処理基板Wを洗浄する。
かかる第1洗浄装置33では、洗浄液等が被処理基板Wの表面だけでなく裏面へも供給されるように、スピンチャック210の本体部211の径が、被処理基板Wの径よりも小さく形成されている。したがって、被処理基板Wは、スピンチャック210よりも外側、具体的には、吸着保持部212よりも外側の部分が吸着保持されないこととなる。被処理基板Wの反りは、このような状況において発生し易い。
なお、第3洗浄装置43が備えるスピンチャック220および第4洗浄装置44が備えるスピンチャック230は、第1洗浄装置33が備えるスピンチャック210と同様の構成であり、説明を省略する。
<4.第3搬送装置による吸着保持動作>
次に、第3搬送装置120による被処理基板Wの吸着保持動作について、図6A〜図6Cを参照して説明する。図6A〜図6Cは、第3搬送装置120による吸着保持動作の説明図である。
なお、第3搬送装置120による吸着保持動作は、制御装置50が備える搬送制御部51によって制御される。また、図6A〜図6Cでは、一例として、第3搬送装置120が、第1洗浄装置33のスピンチャック210から被処理基板Wを受け取る場合の例について説明する。
図6Aに示すように、被処理基板Wは、スピンチャック210上で凹状に反っているものとする。すなわち、被処理基板Wは、外周部がスピンチャック210の吸着保持部212から離れる方向に反っているものとする。
第3搬送装置120は、図6Bに示すように、流体噴出部123から気体をZ軸負方向(鉛直下向き)に噴出させながら、スピンチャック210上の被処理基板Wへ向けて降下する。
本体部121は、被処理基板Wとほぼ同径であり、流体噴出部123は、本体部121の外周部近傍に設けられる。このため、流体噴出部123から噴出される気体は、被処理基板Wの外周部に当たることとなる。この結果、被処理基板Wの外周部が鉛直下向きに押し下げられ、被処理基板Wの反りが矯正される。なお、流体噴出部123によって反りが矯正されることで、被処理基板Wは、スピンチャック210の吸着保持部212全面で吸着保持されるようになる。
このようにして、第3搬送装置120は、流体噴出部123を被処理基板Wの反りを矯正しながら、吸着保持部122が被処理基板Wの吸着保持を行う位置(以下、「受渡位置」と記載する)まで降下する。
そして、第3搬送装置120は、被処理基板Wの受渡位置に到達すると、吸着保持部122を用いて被処理基板Wを非接触状態で吸着保持する。これにより、被処理基板Wは、スピンチャック210から第3搬送装置120へ受け渡される(図6C参照)。スピンチャック210による吸着保持は、第3搬送装置120が被処理基板Wを吸着保持した後に解除される。
このように、第3搬送装置120は、流体噴出部123を用いて被処理基板Wの反りを矯正しつつ、吸着保持部122を用いて被処理基板Wの吸着保持を行う。このため、吸着保持部122を用いて被処理基板Wの吸着保持を行う際に、被処理基板Wの反った部分が第3搬送装置120と接触して損傷したり、被処理基板Wが適切に吸着されなかったりする事態を防ぐことができる。したがって、第1の実施形態に係る剥離システム1によれば、反りのある被処理基板Wの受け渡しおよび保持を適切に行うことができる。
なお、被処理基板Wが凸状に反っている場合、すなわち、被処理基板Wが図6Aとは逆方向に反っている場合には、スピンチャック210の上面が被処理基板Wによって覆われて略密閉状態となる。この結果、被処理基板Wは、スピンチャック210によって吸着され、反りが矯正されることとなる。このように、被処理基板Wが凸状に反っている場合には、第3搬送装置120の流体噴出部123を用いずとも、被処理基板Wの保持や受け渡しを比較的容易に行うことができる。
次に、搬送制御部51が実行する流量制御処理の処理手順について図7を用いて説明する。図7は、流量制御処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図7には、流体噴出部123から気体を噴出させる処理を開始してから、第3搬送装置120によって被処理基板Wが吸着保持されるまでの処理手順を示している。
図7に示すように、搬送制御部51は、まず、流体噴出部123のみから気体を噴出させる(ステップS101)。ステップS101の実行タイミング、すなわち、流体噴出部123から気体を噴出させるタイミングとしては、たとえば、第3搬送装置120がスピンチャック210へ向けて降下を開始したときである。
つづいて、搬送制御部51は、第3搬送装置120の吸着保持部122が受渡位置に到達したか否かを判定する(ステップS102)。そして、搬送制御部51は、受渡位置に到達したと判定すると(ステップS102,Yes)、吸着保持部122からの気体噴出を開始し(ステップS103)、その直後、流体噴出部123からの気体噴出を停止する(ステップS104)。
なお、被処理基板Wは薄いため、かかる被処理基板Wの反りを矯正するための力は、比較的小さくてよい。このため、流体噴出部123から噴出される気体の流量は、吸着保持部122から噴出される気体の流量よりも少なく設定される。
つづいて、搬送制御部51は、吸着保持部122が被処理基板Wを吸着保持した後、スピンチャック210をオフして(ステップS105)、流量制御処理を終了する。なお、ステップS102において第3搬送装置120が受渡位置に到達していない場合(ステップS102,No)、搬送制御部51は、第3搬送装置120が受渡位置に到達するまで、ステップS102の判定処理を繰り返す。
上述してきたように、第1の実施形態に係る第3搬送装置120は、吸着保持部122と、流体噴出部123とを備える。吸着保持部122は、気体を噴出して被処理基板Wとの間に負圧を発生させることによって被処理基板Wを非接触状態で吸着保持する。そして、流体噴出部123は、吸着保持部122よりも被処理基板Wの外周部側に設けられ、被処理基板Wの外周部に対して流体を噴出する。
したがって、第1の実施形態に係る第3搬送装置120によれば、仮に、被処理基板Wが反っていたとしても、流体噴出部123によって被処理基板Wの反りを矯正することができるため、反りのある被処理基板Wの受け渡しおよび保持を容易に行うことができる。
なお、ここでは、吸着保持部122からの気体噴出を開始した後、流体噴出部123からの気体噴出を停止することとしたが、吸着保持部122によって被処理基板Wを吸着保持させた後も、流体噴出部123からの気体噴出を継続させてもよい。これにより、第3搬送装置120による被処理基板Wの搬送中においても被処理基板Wの反りが流体噴出部123によって矯正され続けるため、被処理基板Wと第3搬送装置120との接触等をより確実に防止することができる。
ところで、流体噴出部123から噴出される気体の流量は、可変であってもよい。そこで、流体噴出部123から噴出される気体の流量を被処理基板Wの反り具合に応じて変更する場合の例について図8Aおよび図8Bを用いて説明する。図8Aは、剥離システム1の他の構成を示す図である。また、図8Bは、被処理基板Wの反りと流体噴出部123から噴出される気体の流量との関係を示す図である。
図8Aに示すように、剥離システム1は、CCD(Charge Coupled Device)カメラなどの撮像装置150をさらに備える。撮像装置150は、たとえば、第1洗浄装置33の処理容器331内に配置され、スピンチャック210によって吸着保持された被処理基板Wを撮像する。撮像装置150によって撮像された被処理基板Wの画像データは、図示しない通信線を介して搬送制御部51へ入力される。
なお、撮像装置150は、たとえばカップ333(図5参照)の内部へ配置してもよいし、カップ333の外部へ配置してもよい。撮像装置150をカップ333の内部へ配置する場合には、防水性を有する撮像装置を用いることが好ましい。
搬送制御部51は、撮像装置150から取得した被処理基板Wの画像データに基づいて、被処理基板Wの反り具合を判定し、判定結果に応じて流体噴出部123から噴出される気体の流量を変更する。具体的には、搬送制御部51は、被処理基板Wの反り具合が大きいほど、流体噴出部123の流量を多くする。
たとえば、図8Bに示すように、搬送制御部51は、被処理基板Wの反り具合を「大」、「中」、「小」の3段階で判定する。そして、搬送制御部51は、被処理基板Wの反り具合を「大」と判定した場合には、流体噴出部123の流量を「多」に設定し、被処理基板Wの反り具合を「中」と判定した場合には、流体噴出部123の流量を「多」よりも少ない「中」に設定する。また、搬送制御部51は、被処理基板Wの反り具合を「小」と判定した場合には、流体噴出部123の流量を「中」よりも少ない「少」に設定する。
このように、第3搬送装置120は、被処理基板Wの反りが大きいほど流体噴出部123の流量を多くすることで、被処理基板Wの反りをより適切な流量で矯正することができる。
また、第3搬送装置120は、流体噴出部123の流量だけでなく、流体噴出部123の作動タイミング、すなわち、流体噴出部123から気体を噴出させるタイミングを被処理基板Wの反り具合に応じて変更してもよい。かかる点について図8Cを用いて説明する。図8Cは、被処理基板Wの反りと流体噴出部123の作動タイミングとの関係を示す図である。
図8Cに示すように、搬送制御部51は、被処理基板Wの反り具合が大きいほど、流体噴出部123を作動させるタイミングを早くする。具体的には、搬送制御部51は、被処理基板Wの反り具合を「大」と判定した場合には、流体噴出部123の作動タイミングを「早」に設定し、被処理基板Wの反り具合を「中」と判定した場合には、流体噴出部123の作動タイミングを「早」よりも遅い「中」に設定する。また、搬送制御部51は、被処理基板Wの反り具合を「小」と判定した場合には、流体噴出部123の作動タイミングを「中」よりも遅い「遅」に設定する。
被処理基板Wの反りが大きいほど、被処理基板Wの外周部がより高い位置に位置することとなり、被処理基板Wと第3搬送装置120との干渉タイミングが早くなる。このため、第3搬送装置120は、被処理基板Wの反りが大きいほど流体噴出部123の作動タイミングを早めることで、第3搬送装置120と被処理基板Wとの接触を確実に防止することができる。
また、上述した第1の実施形態では、流体噴出部123から噴出される気体の向きを鉛直下向きとしたが、流体噴出部123から噴出される気体の向きは、鉛直下向きに限定されない。
そこで、以下では、流体噴出部123から噴出される気体の向きを鉛直下向き以外の向きとする場合の変形例について図9Aを用いて説明する。図9Aは、第3搬送装置の他の構成例を示す図である。
図9Aに示すように、第3搬送装置120aが備える流体噴出部123aは、被処理基板Wの反りに基づいてあらかじめ決定された角度θで取り付けられており、かかる角度θで被処理基板Wへ向けて気体を噴出する。これにより、気体を鉛直下向きに向けて噴出する場合と比較して、より少ない流量で効果的に被処理基板Wの反りを矯正することができる。
また、流体噴出部123の角度を変更可能に構成し、被処理基板Wの反り具合に応じて流体噴出部123から噴出される気体の角度を調整してもよい。かかる点について図9Bおよび図9Cを用いて説明する。図9Bは、第3搬送装置の他の構成例を示す図であり、図9Cは、被処理基板Wの反りと流体噴出部から噴出される気体の角度との関係を示す図である。
図9Bに示すように、第3搬送装置120bが備える流体噴出部123bは、たとえば本体部121bに内蔵されたモータ等の駆動部によって気体の噴出角度を変更することができる。また、第1洗浄装置33には、図8Aに示す撮像装置150と同様の撮像装置150bが設けられる。
搬送制御部51は、撮像装置150bから取得した被処理基板Wの画像データに基づいて、被処理基板Wの反り具合を判定し、判定結果に応じて流体噴出部123bによる気体の噴出角度θを変更する。具体的には、搬送制御部51は、被処理基板Wの反り具合が大きいほど、噴出角度θを大きくする。ここで、噴出角度θは、流体噴出部123bが本体部121bの外周部を向くほど大きくなり、中央部を向くほど小さくなるものとする。
たとえば、図9Cに示すように、搬送制御部51は、被処理基板Wの反り具合を「大」と判定した場合には、噴出角度θを「大」に設定し、被処理基板Wの反り具合を「中」と判定した場合には、噴出角度θを「大」よりも小さい「中」に設定する。また、搬送制御部51は、被処理基板Wの反り具合を「小」と判定した場合には、噴出角度θを「中」よりも小さい「小」に設定する。
このように、第3搬送装置120bは、被処理基板Wの反りが大きいほど流体噴出部123bから噴出される気体の角度を被処理基板Wの外周部へ向けて大きくしてもよい。これにより、被処理基板Wの外周部に対して流体噴出部123bから噴出される気体をより効果的に当てることができる。
また、第3搬送装置は、鉛直下向きに取り付けられた第1流体噴出部と、被処理基板Wの反りに基づいてあらかじめ決定された角度θで取り付けられた第2流体噴出部とを備える構成であってもよい。第1流体噴出部と第2流体噴出部とはそれぞれ送気管を介して異なる送気装置に接続される。
そして、搬送制御部51は、撮像装置から取得した被処理基板Wの画像データに基づいて被処理基板Wの反り具合を判定し、判定結果に応じて、第1流体噴出部および第2流体噴出部のうち使用する流体噴出部を切り替えてもよい。
たとえば、搬送制御部51は、被処理基板Wの反り具合を「小」と判定した場合には、使用する流体噴出部を第1流体噴出部に切り替え、被処理基板Wの反り具合を「大」と判定した場合には、使用する流体噴出部を第2流体噴出部に切り替える。このようにすることで、図9Bに示すように、気体の噴出角度を変更する機構を本体部に設けることなく、被処理基板Wの反りに応じた噴出角度で気体を噴出させることができる。
なお、被処理基板Wの反り具合の判定方法は、撮像装置150,150bによって撮像された画像データを用いる方法に限定されない。たとえば、測距センサや超音波センサを用いて被処理基板Wまでの距離を測定し、かかる距離に応じて被処理基板Wの反り具合を判定してもよい。
(第2の実施形態)
ところで、上述してきた第1の実施形態では、第3搬送装置に対して流体噴出部を設け、かかる流体噴出部を用いて被処理基板Wの反りを矯正する場合の例について説明した。しかし、被処理基板Wの反りを矯正する方法は、上記の例に限ったものではなく、たとえば、第3搬送装置の吸着保持部を用いて被処理基板Wの反りを矯正してもよい。
以下では、吸着保持部を用いて被処理基板Wの反りを矯正する場合の例について説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、第2の実施形態に係る第3搬送装置の構成について図10を用いて説明する。図10は、第2の実施形態に係る第3搬送装置の模式側面図である。
図10に示すように、第2の実施形態に係る第3搬送装置120cは、流体噴出部123(図3参照)を備えておらず、本体部121には吸着保持部122cおよび係止部124が設けられる。各吸着保持部122cは、送気管131cを介して送気装置132cと接続される。
ここで、送気管131cには、送気装置132cから供給される気体の流量を調整するためのバルブ135が設けられており、制御装置50の搬送制御部51によってかかるバルブ135の開閉が制御される。搬送制御部51は、かかるバルブ135の開閉を制御することによって、各吸着保持部122cから噴出される気体の流量を調整する。
次に、第2の実施形態に係る第3搬送装置120cによる吸着保持動作について図11を用いて説明する。図11は、第2の実施形態に係る流量制御処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図11には、吸着保持部122cからの気体噴出を開始してから、第3搬送装置120cによって被処理基板Wが吸着保持されるまでの処理手順を示している。
図11に示すように、搬送制御部51は、まず、吸着保持部122cの流量を「反り矯正用流量」に調節する(ステップS201)。「反り矯正用流量」とは、被処理基板Wの反りを矯正するための流量であり、吸着保持部122cが被処理基板Wを吸着保持するために必要な流量である「吸着用流量」よりも少ない流量である。
このように、第3搬送装置120cが受渡位置に到達する前から、吸着保持部122cから気体を噴出させておくことで、吸着保持部122cから噴出される気体によって被処理基板Wの反りを矯正することができる。なお、吸着保持部122cから噴出させる気体の流量を「吸着用流量」よりも少ない「反り矯正用流量」とすることで、第3搬送装置120cが、受渡位置よりも手前で被処理基板Wを吸着保持してしまう事態を防止することができる。
つづいて、搬送制御部51は、第3搬送装置120cの吸着保持部122cが受渡位置に到達したか否かを判定する(ステップS202)。そして、搬送制御部51は、受渡位置に到達したと判定すると(ステップS202,Yes)、吸着保持部122cの流量を「反り矯正用流量」よりも多い「吸着用流量」に調整する(ステップS203)。これにより、被処理基板Wは、第3搬送装置120cによって非接触で吸着保持される。
ステップS203の処理を終えると、搬送制御部51は、流量制御処理を終了する。なお、ステップS202において第3搬送装置120cが受渡位置に到達していない場合(ステップS202,No)、搬送制御部51は、第3搬送装置120cが受渡位置に到達するまで、ステップS202の判定処理を繰り返す。
上述してきたように、第2の実施形態では、吸着保持部122cが、気体を噴出して被処理基板Wとの間に負圧を発生させることによって被処理基板Wを非接触状態で吸着保持する。そして、搬送制御部51が、吸着保持部122cが被処理基板Wの吸着保持を行う位置に到達するまでの間、被処理基板Wとの間で負圧を発生させる流量である吸着用流量(第1流量)よりも少ない反り矯正用流量(第2流量)の気体を吸着保持部122cから噴出させる流量制御処理を行うこととした。
したがって、第2の実施形態によれば、流体噴出部123のような専用部材をあらたに付加することなく、既存の部材を用いて被処理基板Wの反りを矯正することができる。
(第3の実施形態)
上述した第2の実施形態では、各吸着保持部122cの流量制御を一律に行う場合の例について説明したが、吸着保持部122cを複数のエリアで分割し、このエリアごとに流量制御を行うこととしてもよい。
以下では、吸着保持部の流量制御をエリアごとに行う場合の例について説明する。図12Aは、第3の実施形態に係る第3搬送装置の模式平面図であり、図12Bは、吸着保持部と送気装置との接続関係を示す模式図である。
図12Aに示すように、第3搬送装置120dが備える吸着保持部122dは、第1吸着保持部122d_1と第2吸着保持部122d_2とを備える。
第1吸着保持部122d_1は、吸着保持部122dのうち、本体部121dの中央部に円周状に並べて設けられる吸着保持部であり、第2吸着保持部122d_2は、第1吸着保持部122d_1よりも外周側に円周状に並べて設けられる吸着保持部である。
図12Bに示すように、第1吸着保持部122d_1は、送気管131d_1を介して第1送気装置132d_1に接続され、第2吸着保持部122d_2は、送気管131d_2を介して第2送気装置132d_2に接続される。また、送気管131d_1には、第1送気装置132d_1から供給される気体の流量を調整するためのバルブ135d_1が設けられ、送気管131d_2には、第2送気装置132d_2から供給される気体の流量を調整するためのバルブ135d_2が設けられる。これらバルブ135d_1,135d_2は、搬送制御部51によって開閉が制御される。
なお、ここでは、第3搬送装置120dが、第1吸着保持部122d_1として4個の吸着保持部、第2吸着保持部122d_2として17個の吸着保持部を備える場合の例について示すが、第1吸着保持部122d_1および第2吸着保持部122d_2の個数は、図示のものに限定されない。
次に、第3搬送装置120dによる吸着保持動作について図13を用いて説明する。図13は、第3の実施形態に係る流量制御処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図13には、吸着保持部122dからの気体噴出を開始してから、第3搬送装置120dによって被処理基板Wが吸着保持されるまでの処理手順を示している。
図13に示すように、搬送制御部51は、まず、第1吸着保持部122d_1をオフとしつつ、第2吸着保持部122d_2から「反り矯正用流量」で気体を噴出させる(ステップS301)。これにより、第2吸着保持部122d_2から噴出される気体によって、被処理基板Wの反りが矯正されることとなる。
このように、第3の実施形態では、第2吸着保持部122d_2が「反り矯正用流量」で気体を噴出している間、第1吸着保持部122d_1の流量をゼロとする。すなわち、本体部121dの中央部に配置される第1吸着保持部122d_1は、被処理基板Wの反りの矯正には直接的には寄与し難い。このため、第3の実施形態では、かかる第1吸着保持部122d_1の流量を「反り矯正用流量」よりも少なくすることで、第1吸着保持部122d_1による気体の無駄な噴出を防止することができる。
つづいて、搬送制御部51は、第3搬送装置120dが受渡位置に到達したか否かを判定する(ステップS302)。そして、搬送制御部51は、受渡位置に到達したと判定すると(ステップS302,Yes)、第1吸着保持部122d_1および第2吸着保持部122d_2から「吸着用流量」で気体を噴出させる(ステップS303)。これにより、被処理基板Wは、第3搬送装置120dによって非接触で吸着保持される。
ステップS303の処理を終えると、搬送制御部51は、流量制御処理を終了する。なお、ステップS302において第3搬送装置120dが受渡位置に到達していない場合(ステップS302,No)、搬送制御部51は、第3搬送装置120dが受渡位置に到達するまで、ステップS302の判定処理を繰り返す。
上述してきたように、第3の実施形態では、吸着保持部122dが、円周状に並べて設けられる複数の第1吸着保持部122d_1と、第1吸着保持部122d_1よりも外周側において円周状に並べて設けられる複数の第2吸着保持部122d_2とを備える。そして、搬送制御部51は、第3搬送装置120dが受渡位置に到達するまでの間、第2吸着保持部122d_2から「反り矯正用流量」で気体を噴出させることとした。これにより、第1吸着保持部122d_1からの気体の無駄な噴出を防止することができる。
また、搬送制御部51は、吸着保持部122dが受渡位置に到達するまでの間、第1吸着保持部122d_1の流量を「反り矯正用流量」よりも少ない流量(第3流量)とすることで、第1吸着保持部122d_1による気体の無駄な噴出を防止することができる。なお、ここでは、第3流量がゼロである場合の例を示したが、第3流量は、「反り矯正用流量」よりも少ない量であればゼロ以外であってもよい。
(第4の実施形態)
上述した第1の実施形態では、流体噴出部を用いて被処理基板の反りを矯正する場合の例を、第2の実施形態および第3の実施形態では、吸着保持部を用いて被処理基板の反りを矯正する場合の例を、それぞれ示した。しかし、これに限ったものではなく、第3搬送装置は、流体噴出部および吸着保持部の双方を用いて被処理基板の反りの矯正を行ってもよい。以下では、かかる場合の例について図14を用いて説明する。図14は、第4の実施形態に係る第3搬送装置による吸着保持動作の説明図である。
なお、図14では、便宜上、吸着保持部122eのうち、本体部121eの略中央部に位置する4つの吸着保持部を第1吸着保持部122e_1とし、第1吸着保持部122e_1の両側にそれぞれ位置する3つの吸着保持部を第2吸着保持部122e_2とする。これら第1吸着保持部122e_1および第2吸着保持部122e_2の配置は、第3の実施形態に係る第1吸着保持部122d_1および第2吸着保持部122d_2と同様である(図12A参照)。
図14に示すように、第4の実施形態に係る第3搬送装置120eは、本体部121eの主面のうち、第2吸着保持部122e_2よりも外周側の領域に流体噴出部123eを備える。流体噴出部123eは、第1の実施形態に係る流体噴出部123と同様、吸着保持部122eと同心円状に並べて複数設けられる。
第3搬送装置120eは、受渡位置に到達するまでの間、第1吸着保持部122e_1の流量をゼロとしつつ、流体噴出部123eおよび第2吸着保持部122e_2から気体を噴出させる。このとき、搬送制御部51は、第2吸着保持部122e_2の流量を、第3の実施形態と同様、「反り矯正用流量」に調整する。流体噴出部123eおよび第2吸着保持部122e_2から噴出される気体により、被処理基板Wの反りは矯正される。
このように、第4の実施形態では、流体噴出部123eおよび第2吸着保持部122e_2を用いて被処理基板Wの反りを矯正する。これにより、被処理基板Wの外周部を含む広い範囲に対して気体を当てることができるため、被処理基板Wの反りを確実かつ安定して矯正することができる。
また、流体噴出部123eは、第1の実施形態に係る流体噴出部123と同様、外周側に配置される第2吸着保持部122e_2のうち隣接する2つの第2吸着保持部122e_2の略中間位置にそれぞれ設けられる。流体噴出部123eをかかる位置に配置することで、吸着保持部122eおよび流体噴出部123eは、被処理基板Wの外周部の全周に亘って気体を満遍なく当てることができる。
なお、上述してきた各実施形態では、第3搬送装置120,120a〜120eが、第1洗浄装置33との間で被処理基板Wの受け渡しを行う場合の例について説明した。しかし、これに限らず、第3搬送装置120,120a〜120eは、第3洗浄装置43、第4洗浄装置44および受渡部45との間においても同様の吸着保持動作を行う。また、第3搬送装置120,120a〜120eに限らず、第2搬送装置110も、第3搬送装置120,120a〜120eと同様の吸着保持動作を剥離装置31や第1洗浄装置33等との間で行う。
また、上述してきた各実施形態では、吸着保持部や流体噴出部から噴出される流体が気体である場合の例について説明したが、吸着保持部や流体噴出部は、気体に代えて水または各種処理液等を噴出することとしてもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。