JP5943875B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータ制御装置に関する。
推定器はセンサなどで検出できない未知の状態変数を間接的な情報を利用して推定する技術として一般的に知られている。推定器は内部に数値モデルを持ち、制御対象の入出力応答等から未知の状態変数の時間応答数を推定する。モータ制御装置においては、推定器はモータ電気モデルと機械モデルから構成されることが多く、推定器によって電流やモータ速度などの推定値を求めるものが知られている。
多くの推定器は、同一時間周期で入力が更新されていくシングルサンプリングレートによって実現されているが、推定器に入力される制御量の測定がセンサ特性の相違などにより物理的制約がある場合などにおいては、入出力でサンプリングレートの異なるマルチレートが用いられる。特許文献1ではマルチレート磁束推定器と称し、サンプリングレートの異なる2つの入力に対し、同じくサンプリングレートの異なる2つの演算器を持つことで推定精度を高める技術が開示されている。
モータ制御装置においては、モータ電気モデルと機械モデルから構成される推定器を実装する場合、一般的にはモータ電気モデルの応答が速いため、高精度な演算を実現するために、高速サンプリングレートが必要となる。しかし、推定器を実装する上で、演算コストに制約がある場合など、機械モデルまで高速サンプリングレートにすることが困難な場合がある。そこで、モータの電気モデルを高速サンプリングレートで動作する高速演算部に、機械モデルを低速サンプリングレートで動作する低速演算部に分けるようにして、推定器をマルチレート化することが多い。
このように、モータ制御装置においては、モータ電気モデルと機械モデルから構成される推定器を持つことで、電流やモータ速度などの推定値を求めることが可能になる。また、推定器におけるモータ電気モデルと機械モデルをマルチレート化することにより、推定器を実装する上で、演算コストに制約がある場合などでも、高応答を必要とするモータ電気モデルの演算精度は落とすことなく、演算負荷を減らして最適化された推定器を実現できる。
特開2008−271702号公報
上述したように、モータ制御装置における従来の推定器では、モータ電気モデルを高速演算部に、機械モデルを低速演算部に配置するのが一般的であった。しかし、高速演算部にあるモータ電気モデルは、低速演算部にある機械モデルの出力であるモータ速度推定値を必要としており、速度推定値の演算が遅いことが、結果としてモータ電気モデルの演算精度を劣化させてしまうという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、モータ電気モデルと機械モデルを有する推定器において、高速演算部と低速演算部における機能の分担を最適化することにより、演算精度を改善したモータ制御装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電流指令値に基づき電圧指令値を出力する電流制御器と、前記電圧指令値から電流推定値およびモータ速度推定値を算出する推定器演算部と、を有するモータ制御装置において、前記推定器演算部は、高速サンプリングレートで動作してモータ速度推定値を算出する高速推定器演算部と、低速サンプリングレートで動作して反力トルク推定値を算出する低速推定器演算部と、を備え、前記高速推定器演算部は、前記電圧指令値と前記モータ速度推定値からトルク推定値と前記電流推定値を出力するモータ電気モデルと、前記トルク推定値と前記反力トルク推定値に基づいてトルク偏差を出力する減算器と、前記トルク偏差から前記モータ速度推定値を出力する速度演算器と、を備え、前記低速推定器演算部は、前記モータ速度推定値から前記反力トルク推定値を出力する機械モデルと、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、トルク推定値の精度を改善することができる。また演算負荷が減り、最適化されたマルチレート推定器を実現できるという効果を奏する。
図1は、実施の形態1にかかるモータ制御装置の全体構成図を示す図である。 図2は、実施の形態1にかかるモータ電気モデルの詳細図である。 図3は、実施の形態1にかかる機械モデルを2慣性系モデルとした時の詳細図である。 図4は、比較例にかかるモータ制御装置の全体構成図を示す図である。 図5は、比較例にかかる機械モデルを2慣性系モデルとした時の詳細図である。 図6は、実施の形態2にかかるモータ制御装置の全体構成図を示す図である。 図7は、実施の形態2にかかるモータ電気モデルの詳細図である。 図8は、実施の形態3にかかるモータ制御装置の全体構成図を示す図である。 図9は、実施の形態3にかかるモータ制御装置の全体構成図を示す別の図である。 図10は、実施の形態3にかかる反力トルク補正器における補正方法について説明した図である。
以下に、本発明にかかるモータ制御装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかるモータ制御装置101の全体構成図を示す図である。本発明の実施の形態1に係るモータ制御装置101は、モータ電気モデル2と機械モデル4を含んだ推定器演算部102を有している。
モータ制御装置101は、電流制御器1および推定器演算部102を備える。推定器演算部102は、高速サンプリングレートで動作する高速推定器演算部103および低速サンプリングレートで動作する低速推定器演算部104を備える。高速推定器演算部103は、モータ電気モデル2、減算器31、および速度演算器32を備える。低速演算部104は、機械モデル4を備える。
電流制御器1には電流指令値と電流FB(フィードバック)値が入力される。電流制御器1は、電流指令値と電流FB値の偏差が0になるように、例えばPI制御を行って電圧指令値を出力する。なお、電流FB値の代わりに電流推定値を使用し、いわゆるセンサレス制御のような構成にしても良い。電流制御器1から出力された電圧指令値は推定器演算部102への入力となる。電流制御器1から出力された電圧指令値は、モータ電気モデル2に入力される。
モータ電気モデル2は、電圧指令値及びモータ速度推定値を入力とし、電流推定値及びトルク推定値を出力とするものであり、高速推定器演算部103で処理される。
図2は、モータ電気モデル2の詳細図である。モータ電気モデル2は、モータ電圧方程式逆モデル21とトルク演算モデル22から構成されている。モータ電圧方程式逆モデル21は、電圧指令値とモータ速度推定値から電流推定値を求めるものである。モータ電圧方程式逆モデル21の入出力関係は、以下の式(1)で与えられる。なお、式(1)において電圧指令値と電流推定値は、dq座標軸で表現されている。
Figure 0005943875
式(1)の左辺のid_hatはd軸電流推定値を示し、iq_hatはq軸電流推定値を示す。式(1)の右辺のVd_refはd軸電圧指令値を示し、Vq_refはq軸電圧指令値を示し、ω_hatはモータ速度推定値を示す。また、Raは巻線抵抗、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、φaは磁束鎖交数である。なお、式(1)の右辺のpは微分演算子を表わしている。
トルク演算モデル22は、式(1)で得られる電流推定値からトルク推定値を求めるものであり、以下の式(2)で与えられる。
Figure 0005943875
ここで、Tm_hatはトルク推定値、Ktはトルク定数、Pmは極対数である。
図1の減算器31は、トルク推定値から反力トルク推定値を差し引くことで、トルク偏差を計算するものである。速度演算器32は、トルク偏差からモータ速度推定値を計算するものであり、モータとモータ軸に取り付けられた機械系の総慣性モーメントと積分器から構成されている。機械モデル4は、モータ速度推定値を入力とし、反力トルク推定値と機械位置推定値を出力するものである。
図3は、実施の形態1にかかる機械モデル4を2慣性系モデルとした時の詳細図である。機械モデル4は、反力トルク演算器33、減算器34、速度演算器35、および位置演算器36を備える。減算器34は、機械モデル4に入力されたモータ速度推定値から機械速度推定値を差し引くことで速度偏差を計算するものである。反力トルク演算器33は、速度偏差から反力トルク推定値を計算するものである。速度演算器35は、反力トルク推定値から機械速度推定値を計算するものであり、負荷側機械系慣性モーメントと積分器から構成されている。位置演算器36は、機械速度推定値から機械位置推定値を計算するものである。
ここで、本実施の形態にかかるモータ制御装置101の対比対象とする比較例にかかるモータ制御装置201について、図4および図5を用いて説明する。図4は、比較例にかかるモータ制御装置201の全体構成図を示す図である。図5は、比較例にかかる機械モデル3の詳細図である。
図4は、比較例にかかるマルチレート推定器を持つモータ制御装置201全体の構成図を示している。モータ制御装置201は、電流制御器1および推定器演算部102を備える。推定器演算部102は、高速サンプリングレートで動作する高速推定器演算部103および低速サンプリングレートで動作する低速推定器演算部104を備える。高速推定器演算部103は、モータ電気モデル2を備える。低速推定器演算部104は、機械モデル3を備える。すなわち、推定器演算部102は、モータの電気モデルを高速推定器演算部103に、モータの機械モデルを低速推定器演算部104に分けるようにして、マルチレート化されている。
図4で示したモータ制御装置201の電流制御器1には電流指令値と電流FB値が入力される。電流制御器1は、電流指令値と電流FB値の偏差が0になるように、例えばPI制御を行って電圧指令値を出力する。なお、電流FB値の代わりに電流推定値を使用し、いわゆるセンサレス制御のような構成にしても良い。電流制御器1から出力された電圧指令値は推定器演算部102への入力となる。電流制御器1から出力された電圧指令値は、モータ電気モデル2に入力される。
図4のモータ電気モデル2は、本実施の形態の図2で示したモータ電気モデル2と同様に電圧指令値及びモータ速度推定値を入力し、電流推定値及びトルク推定値を出力するものであり、高速推定器演算部103で処理される。比較例にかかるモータ制御装置201の電流制御器1およびモータ電気モデル2の機能は、本実施の形態にかかるモータ制御装置101の電流制御器1およびモータ電気モデル2の機能と同様である。
図4においてモータ電気モデル2から出力されたトルク推定値は、機械モデル3に入力される。機械モデル3はトルク推定値を入力とし、モータ速度推定値及び機械位置推定値を出力するものであり、低速推定器演算部104で処理される。
図5は、比較例にかかる機械モデル3を2慣性系モデルとした時の詳細図である。機械モデル3に入力されたトルク推定値は、減算器31で反力トルク推定値との差を取られてトルク偏差となる。トルク偏差から速度演算器32によりモータ速度推定値が計算され、モータ速度推定値は機械モデル3の出力となる。モータ速度推定値は、減算器34で機械速度推定値との差が取られて速度偏差となる。速度偏差から反力トルク演算器33により反力トルク推定値が計算され、反力トルク推定値から速度演算器35により機械速度推定値が計算される。機械速度推定値から位置演算器36により機械位置推定値が計算される。機械位置推定値は、機械モデル3の出力となる。
以上に記したように、比較例にかかるモータ制御装置201において、モータ電気モデル2と機械モデル3から構成される推定器を持つことで、電流やモータ速度などの推定値を求めることが可能になる。また、推定器におけるモータ電気モデルと機械モデルをマルチレート化することにより、推定器を実装する上で、演算コストに制約がある場合などでも、高応答を必要とするモータ電気モデルの演算精度は落とすことなく、演算負荷を減らして最適化された推定器を実現できる。
本実施の形態にかかるモータ制御装置101が、図4および図5で示す比較例にかかるモータ制御装置201と異なる部分は、図5の機械モデル3にある減算器31と速度演算器32を機械モデル3から分離し、図1の高速推定器演算部103に配置し直した部分である。なお比較例である図5では、機械モデル3を2慣性系モデルとしたが、機械モデル3から減算器31と速度演算器32を分離したように、モータ速度推定値を計算する演算器を分離できるモデル形状であれば、これ以外の機械モデルに対しても、本実施の形態で用いた分離技術を転用することは可能である。
比較例にかかる図4および図5では、高速推定器演算部103にあるモータ電気モデル2は、低速推定器演算部104の機械モデル3で処理されたモータ速度推定値を用いて、トルク推定値を計算している。モータ電気モデル2は、高速サンプリングレートで計算することにより高精度なトルク推定値を計算するものである。しかし、比較例にかかるモータ制御装置201では、低速サンプリングレートの低速推定器演算部104で処理されたモータ速度推定値をモータ電気モデル2における計算過程で使用することになっており、これはモータ電気モデル2で算出するトルク推定値の精度低下の要因となる。機械モデル3は、トルク推定値を元に機械位置推定値を計算するため、結果として機械位置推定値の精度も低下する。
しかし、本実施の形態にかかるモータ制御装置101においては、比較例にかかる機械モデル3から減算器31と速度演算器32を分離し、図1に示す高速推定器演算部103にその機能を取り込んで処理しているので、高速サンプリングレートで計算されたモータ速度推定値がモータ電気モデル2にフィードバックされることになり、トルク推定値の精度を改善することができる。これにより、機械位置推定値をはじめとしたトルク推定値から計算されるその他の推定値の精度も改善される。
モータ電気モデル2にフィードバックされるモータ速度推定値を高サンプリングレートで更新することでモータ電気モデル2の精度を高めることができるので、本実施の形態にかかるモータ制御装置101において、減算器31、速度演算器32を高速推定器演算部103に含めた。しかし、本来減算器31および速度演算器32は機械モデルであるので、減算器31にフィードバックされる反力トルク推定値は必ずしも高サンプリングレートで更新される必要はなく、このような構成にしても精度上大きな問題にならない。
以上説明したように、本実施の形態にかかるモータ制御装置101においては、モータ電気モデル2と機械モデル4から構成される推定器演算部102を持ち、機械モデル4から減算器31と速度演算器32を分離し、これらを高速推定器演算部103で処理するようなマルチレート構成にしたので、モータ電気モデル2に高速サンプリングレートで計算されたモータ速度推定値が入力され、トルク推定値の精度を改善することができる。また演算負荷が減り、最適化されたマルチレート推定器を実現できる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態1では、モータ電圧方程式逆モデル21を用いているためにモータ電気モデル2の演算に負荷が掛かっていたが、実施の形態2においては、モータ電気モデル2を別の簡易的なモデルであるモータ電気モデル5に変更することで、更なる演算の高速化を実現する。
図6は、実施の形態2にかかるモータ制御装置301の全体構成図である。モータ制御装置301は、電流制御器1および推定器演算部102を備える。推定器演算部102は、高速サンプリングレートで動作する高速推定器演算部103および低速サンプリングレートで動作する低速推定器演算部104を備える。高速推定器演算部103は、モータ電気モデル5、減算器31、速度演算器32、および回転角演算器37を備える。低速演算部104は、実施の形態1と同様な機械モデル4を備える。
電流制御器1には電流指令値と電流FB値が入力される。電流制御器1は、電流指令値と電流FB値の偏差が0になるように、例えばPI制御を行って電圧指令値を出力する。なお、電流FB値の代わりに電流推定値を使用し、いわゆるセンサレス制御のような構成にしても良い。
モータ電気モデル5は、電流指令値及びモータ回転角推定値を入力とし、トルク推定値を出力するものである。減算器31は、トルク推定値から反力トルク推定値を差し引くことで、トルク偏差を計算するものである。速度演算器32は、トルク偏差からモータ速度推定値を計算するものであり、モータとモータ軸に取り付けられた機械系の総慣性モーメントと積分器から構成されている。回転角演算器37は、モータ速度推定値からモータ回転角推定値を計算するものである。機械モデル4は、モータ速度推定値を入力とし、反力トルク推定値と機械位置推定値を出力するものである。
図7は、モータ電気モデル5の詳細図である。モータ電気モデル5は、トルク演算モデル22とトルク高調波演算モデル23と加算器24から構成されている。トルク演算モデル22は、実施の形態1および比較例にかかる図2で示したものと等しく、電流推定値の代わりに電流指令値を入力に用いて、トルク推定値を求めるようにしている。トルク高調波演算モデル23は、電流指令値とモータ回転角推定値を入力とするものであり、モータ回転位置に応じて変化するトルク成分をテーブル引きや数式で補償するものである。トルク演算モデル22の出力とトルク高調波演算モデル23の出力は加算器24で和が取られて、トルク推定値として出力される。
本実施の形態が実施の形態1と異なる部分は、推定器演算部102の入力を電圧指令値から電流指令値に変更し、高速推定器演算部103に新たに回転角演算器37を置くことで、モータ電気モデル2の構成をモータ電気モデル5の構成に変更した部分である。モータ電気モデル2が、入力を電圧指令値とモータ速度推定値、出力を電流推定値とトルク推定値としていたのに対し、モータ電気モデル5は、入力を電流指令値とモータ回転角推定値、出力をトルク推定値としている。また、モータ電気モデル2は、モータ電圧方程式逆モデル21とトルク演算モデル22から構成されているが、モータ電気モデル5は、トルク演算モデル22とトルク高調波演算モデル23と加算器24から構成されており、より簡易的な演算で済むようになっている。
モータ電気モデル5は、電圧指令値の代わりに電流指令値を入力とし、トルク演算モデル22からトルク推定値を生成することで、実施の形態1で演算の負荷要因となっているモータ電圧方程式逆モデル21を排除し、演算負荷を低減することができる。しかし、そのままの構成では、トルク演算モデル22から出力されるトルク推定値に、モータ回転位置に応じて変化するトルク成分が含まれなくなるため、新たに電流指令とモータ回転角推定値から上記成分を生成するトルク高調波演算モデル23を追加し、トルク演算モデル22とトルク高調波演算モデル23の2つの出力を加算器24で合わせた値をトルク推定値として出力する。これにより、精度を確保するようにした。なお、モータ電気モデル2からモータ電気モデル5に変更することで、入力がモータ速度推定値からモータ回転角推定値に変わるため、高速推定器演算部103に新たに回転角演算器37を配置している。
ところで、本実施の形態では、実施の形態1における図1のモータ電気モデル2を図6で示したモータ電気モデル5に変更しているために、出力がトルク推定値のみとなり、電流推定値は出力されない。しかし、モータ電気モデル5自体の演算負荷は軽減されるため、電流推定値を必要としないシステムに対しては、演算処理をさらに高速化させるのに有用である。
なお、減算器31と速度演算器32と回転角演算器37を高速推定器演算部103で処理しているので、高速サンプリングレートで計算されたモータ回転角推定値がモータ電気モデル5にフィードバックされることになり、トルク推定値の精度を改善することができる。これにより、機械位置推定値をはじめとしたトルク推定値から計算されるその他の推定値の精度も実施の形態1と同様に改善される。
モータ電気モデル5にフィードバックされるモータ速度推定値を高サンプリングレートで更新することでモータ電気モデル5の精度を高めることができるので、本実施の形態にかかるモータ制御装置101において、減算器31、速度演算器32及び回転角演算器37を高速推定器演算部103に含めた。しかし、本来減算器31および速度演算器32及び回転角演算器37は機械モデルであるので、減算器31にフィードバックされる反力トルク推定値は必ずしも高サンプリングレートで更新される必要はなく、このような構成にしても精度上大きな問題にならない。
以上説明したように、本実施の形態にかかるモータ制御装置301においては、モータ電気モデル5と機械モデル4から構成される推定器演算部102を持ち、モータ電気モデル5を、モータ電気モデル2とは異なりモータ電圧方程式逆モデル21を使わないものに変更し、機械モデル4から減算器31と速度演算器32と回転角演算器37を分離し、これらを高速推定器演算部102で処理するようなマルチレート構成にしたので、モータ電気モデル5に高速サンプリングレートで計算されたモータ回転角推定値が入力され、トルク推定値の精度を改善することができる。また大幅に演算負荷が減り、最適化されたマルチレート推定器を実現できる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態1および実施の形態2では、低速推定器演算部104の図3に示した機械モデル4から出力される低速サンプリングレートで計算された反力トルク推定値を減算器31にフィードバックしている。反力トルク推定値は、低サンプリングレートであっても大きな問題にならないことは既に説明しているが、あまりにも演算速度が遅い場合、反力トルク推定値から計算されるトルク偏差をはじめ、モータ速度推定値や機械位置推定値などフィードバック系全体の精度を落とす恐れがある。そこで実施の形態3では、反力トルク推定値を補正器に通し、補正を行った値をフィードバックすることで、更なる精度改善を実現する。
図8および図9は、それぞれ実施の形態3にかかるモータ制御装置401およびモータ制御装置501の全体構成図である。図8および図9は、それぞれ実施の形態1に係る図1のモータ制御装置101および実施の形態2に係る図6のモータ制御装置301について、反力トルク補正機50を追加し、減算器31を減算器51に変更した構成となっている。反力トルク補正機50は、反力トルク推定値を入力し反力トルク補正推定値を出力するものであり、減算器51は、トルク推定値から反力トルク補正推定値を差し引くことでトルク偏差を計算するものである。
図10は、反力トルク補正器50における補正方法について示したものである。補正の条件として、低速サンプリングレートTs_lが高速サンプリングレートTs_hの整数倍であるとする。この条件を以下の式(3)に示す。
Figure 0005943875
この時、補正すべきサンプル時間(以下補正サンプル時間)は、低速サンプリングレートの現サンプル時間Tl(m)から次回のサンプル時間Tl(m+1)までの区間において、高速サンプリングレートTs_h間隔で取った(n+1)個のサンプル時間のうち、低速サンプリングレートの現サンプル時間Tl(m)と次回のサンプル時間Tl(m+1)を除いた(n−1)個のサンプル時間である。
例として、図10では低速サンプリングレートと高速サンプリングレートの整数比をn=6としている。この時、補正サンプル時間は、Tl(m)+Ts_h、Tl(m)+2・Ts_h、Tl(m)+3・Ts_h、Tl(m)+4・Ts_h、Tl(m)+5・Ts_hの5点になる。
反力トルク補正器50における反力トルク推定値の補正値の計算は、低速サンプリングレートの前回のサンプル時間Tl(m−1)から現サンプル時間Tl(m)における反力トルク推定値の傾きを計算し、上記傾きを現サンプル時間から次回サンプル時間まで延伸した直線にして、各補正サンプル時間における値を補正値として用いる。図10においては、補正を実施する前の反力トルク推定値は黒丸で示されており、低速サンプリングレートごとにしかその値が変化しない。しかし、補正を行った反力トルク推定値は白丸で示されており、高速サンプリングレートごとでその値が更新されるようになる。そのため、反力トルク推定値が過渡的に変化している場合においては、値の精度が改善されるようになる。
以上説明したように、低速推定器演算部104の機械モデル4から出力される低速サンプリングレートで計算された反力トルク推定値を反力トルク補正器50に通し、補正を行った値をフィードバックすることで、反力トルク推定値が過渡的に変化している場合に、更なる精度改善が実現できる。
このように上記実施の形態においては、推定器演算部102を搭載したモータ制御装置に対して、提案した技術を適用した事例について説明を行ってきた。推定器演算部102は内部にモデルを持ち、既知のパラメータを入力とし未知のパラメータを推定するシステムである。同様に内部にモデルを持ち、制御対象の入出力から未知のパラメータを推定するシステムであるオブザーバに対しても、同じように上記実施の形態において提案した技術を適用することは可能である。
また、モータ電気モデルや機械モデルを実装し、かつリアルタイムで演算を行う装置に対しても、同様の技術を適用することが可能である。具体的には、モータ電気モデルや機械モデルを実装したリアルタイムシミュレータに適用することで、大幅に演算負荷が減り、最適化されたマルチレートシステムを構築でき、リアルタイムシミュレータの演算速度を高速化したり、計算精度を向上させたりすることが可能になる。
また、上記実施の形態においては、モータ電気モデル2やモータ電気モデル5を永久磁石型モータとして説明しており、そのモータ電圧方程式を表わす式(1)やトルク推定式を表わす式(2)も永久磁石型モータに基づく数式になっている。しかし、本発明におけるモータ電気モデルは、永久磁石型モータのみに限定されるものではなく、誘導電動機やシンクロナスモータなど様々な回転機にも適用可能である。なおその場合は、それぞれの回転機に対応したモータ電圧方程式やトルク推定式を用いる。
さらに、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。例えば、上記実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。更に、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以上のように、本発明にかかるモータ制御装置は、推定器を搭載したモータ制御装置に有用であり、特に、モータの電気モデルを高速サンプリングレートで動作する高速演算部に、機械モデルを低速サンプリングレートで動作する低速演算部に分けるようにして、推定器をマルチレート化したモータ制御装置に適している。
1 電流制御器、2 モータ電気モデル、3 機械モデル、4 機械モデル、5 モータ電気モデル、21 モータ電圧方程式逆モデル、22 トルク演算モデル、23 トルク高調波演算モデル、24 加算器、31 減算器、32 速度演算器、33 反力トルク演算器、34 減算器、35 速度演算器、36 位置演算器、37 回転角演算器、50 反力トルク補正器、51 減算器、101,201,301,401,501 モータ制御装置、102 推定器演算部、103 高速推定器演算部、104 低速推定器演算部。

Claims (5)

  1. 電流指令値に基づき電圧指令値を出力する電流制御器と、
    前記電圧指令値から電流推定値およびモータ速度推定値を算出する推定器演算部と、
    を有するモータ制御装置において、
    前記推定器演算部は、高速サンプリングレートで動作してモータ速度推定値を算出する高速推定器演算部と、低速サンプリングレートで動作して反力トルク推定値を算出する低速推定器演算部と、を備え、
    前記高速推定器演算部は、
    前記電圧指令値と前記モータ速度推定値からトルク推定値と前記電流推定値を出力するモータ電気モデルと、
    前記トルク推定値と前記反力トルク推定値に基づいてトルク偏差を出力する減算器と、
    前記トルク偏差から前記モータ速度推定値を出力する速度演算器と、
    を備え、
    前記低速推定器演算部は、
    前記モータ速度推定値から前記反力トルク推定値を出力する機械モデルと、
    を備える
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 電流指令値に基づき電圧指令値を出力する電流制御器と、
    前記電流指令値からモータ速度推定値およびモータ回転角推定値を算出する推定器演算部と、
    を有するモータ制御装置において、
    前記推定器演算部は、高速サンプリングレートで動作してモータ速度推定値を算出する高速推定器演算部と、低速サンプリングレートで動作して反力トルク推定値を算出する低速推定器演算部と、を備え、
    前記高速推定器演算部には
    前記電流指令値と前記モータ回転角推定値からトルク推定値を出力するモータ電気モデルと、
    前記トルク推定値と前記反力トルク推定値に基づいてトルク偏差を出力する減算器と、
    前記トルク偏差から前記モータ速度推定値を出力する速度演算器と、
    前記モータ速度推定値から前記モータ回転角推定値を出力する回転角演算器と、
    を備え、
    前記低速推定器演算部は、
    前記モータ速度推定値から前記反力トルク推定値を出力する機械モデルと、
    を備える
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  3. 前記モータ電気モデルは、トルク演算モデルとトルク高調波演算モデルを備え、
    前記トルク演算モデルにより前記電流指令値からトルクを推定した値と、前記トルク高調波演算モデルにより前記電流指令値および前記モータ回転角推定値からモータ回転位置に応じて変化するトルク成分を求めた値と、の和を前記トルク推定値として計算する
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記高速推定器演算部は、前記反力トルク推定値から反力トルク補正推定値を出力する反力トルク補正器を備え、
    前記減算器は、前記トルク推定値と前記反力トルク補正推定値からトルク偏差を出力する
    ことを特徴とする請求項1、2または3に記載のモータ制御装置。
  5. 前記機械モデルは2慣性系モデルであり、前記モータ速度推定値から速度偏差および機械速度推定値を求め、速度偏差に基づいて前記反力トルク推定値を算出し、機械速度推定値から機械位置推定値を算出する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
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