(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。図1に例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ10と、入力装置20と、モニタ30と、装置本体100とを有する。
超音波プローブ10は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体100が有する超音波送信ユニット110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ10は、被検体Pからの反射波信号を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ10は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材などを有する。なお、超音波プローブ10は、装置本体100と着脱自在に接続される。
超音波プローブ10から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ10が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
入力装置20は、装置本体100と接続され、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボールなどを有する。かかる入力装置20は、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体100に転送する。例えば、入力装置20は、関心領域(ROI:Region of Interest)の設定要求や、カラーゲインの設定要求を操作者から受け付ける。
モニタ30は、超音波診断装置1の操作者が入力装置20を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像などを表示したりする。具体的には、モニタ30は、後述する画像合成部160から入力されるビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や血流情報を画像として表示する。
装置本体100は、超音波プローブ10が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する。かかる装置本体100は、図1に例示するように、超音波送信ユニット110と、超音波受信ユニット120と、Bモード処理ユニット131と、ドプラ処理ユニット132と、画像生成ユニット140と、画像メモリ150と、画像合成部160と、制御部170と、記憶部180と、インタフェース部190とを有する。
超音波送信ユニット110は、パルス発生器111、送信遅延部112、パルサ113を有し、超音波プローブ10に駆動信号を供給する。パルス発生器111は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部112は、超音波プローブ10から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器111が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサ113は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ10に駆動信号(駆動パルス)を印加する。なお、送信方向あるいは送信方向を決定する遅延時間は記憶部180に記憶されており、送信遅延部112は、記憶部180を参照して遅延時間を与える。
超音波受信ユニット120は、プリアンプ121、図示しないA/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部122、加算器123を有し、超音波プローブ10が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプ121は、反射波信号をチャネル毎に増幅する。図示しないA/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部122は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器123は、受信遅延部122によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器123の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。なお、送信と同様、受信方向あるいは受信方向を決定する遅延時間は記憶部180に記憶されており、受信遅延部122は、記憶部180を参照して遅延時間を与える。
Bモード処理ユニット131は、超音波受信ユニット120から反射波データを受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを行って、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
ドプラ処理ユニット132は、超音波受信ユニット120から受け取った反射波データに所定のカラーゲインによりゲイン補正し、ゲイン補正後の反射波データから速度情報を周波数解析する。そして、ドプラ処理ユニット132は、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について算出する。すなわち、ドプラ処理ユニット132は、超音波プローブ10により受信された受信信号をカラーゲインによりゲイン補正(増幅)し、ゲイン補正された受信信号に基づいて血流情報を求める血流情報取得部として動作するといえる。
画像生成ユニット140は、Bモード処理ユニット131が生成したBモードデータや、ドプラ処理ユニット132が生成した血流情報から、超音波画像を生成し、生成した超音波画像を後述する画像メモリ150又は記憶部180に格納する。
具体的には、画像生成ユニット140は、Bモードデータから、信号強度が輝度の明るさで表現されるBモード画像を生成する。また、画像生成ユニット140は、血流情報から、血流の速度、分散、血流量等を示すパワー成分等を色によって識別可能に表示するカラードプラ画像を色画像として生成する。
また、画像生成ユニット140は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示画像としての超音波画像(Bモード画像やカラードプラ画像)を生成する。
画像メモリ150は、画像生成ユニット140が生成した超音波画像や、超音波画像を画像処理することで生成した画像を記憶するメモリである。例えば診断の後に、操作者が検査中に記録された画像を画像メモリ150から呼び出すことが可能となっており、静止画像的に、あるいは複数枚を使って動画的に再生することが可能である。また、画像メモリ150は、超音波受信ユニット120を通過した後の画像輝度信号、その他の生データ、ネットワークを介して取得した画像等を必要に応じて記憶する。
画像合成部160は、画像生成ユニット140が生成した超音波画像に、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマークなどを合成した合成画像を生成する。画像合成部160によって生成された合成画像は、モニタ30に表示される。
制御部170は、情報処理装置(計算機)としての機能を実現する制御プロセッサ(CPU:Central Processing Unit)であり、超音波診断装置1における処理全体を制御する。具体的には、制御部170は、入力装置20を介して操作者から入力された各種指示や設定要求、記憶部180から読み込んだ各種プログラム及び各種設定情報に基づき、超音波送信ユニット110、超音波受信ユニット120、Bモード処理ユニット131、ドプラ処理ユニット132、画像生成ユニット140及び画像合成部160の処理を制御したり、画像メモリ150が記憶する超音波画像などをモニタ30にて表示するように制御したりする。
記憶部180は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための各種プログラム181や、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)、診断プロトコルや各種設定情報等の各種データを記憶する。なお、各種プログラム181は、制御部170と同様の処理を実行する手順が記述されたプログラムを含む場合もある。
また、記憶部180は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶する超音波画像の保管などにも使用される。なお、記憶部180が記憶する各種データは、インタフェース部190を経由して、外部の周辺装置へ転送することができる。
また、記憶部180は、後述する制御部170によって計数された結果を記憶するピクセル率記憶部182やピクセル数記憶部183を有する。なお、ピクセル率記憶部182やピクセル数記憶部183については、後に詳述する。
インタフェース部190は、入力装置20、操作パネル、新たな外部記憶装置(図示を省略)、ネットワークに関するインタフェースである。超音波診断装置1によって得られた超音波画像などのデータは、インタフェース部190によって、ネットワークを介して他の装置へ転送することができる。
なお、装置本体100に内蔵される超音波送信ユニット110及び超音波受信ユニット120などは、集積回路などのハードウェアで構成されることもあるが、ソフトウェア的にモジュール化されたプログラムにより実現される場合もある。
以上、本実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成について説明した。かかる構成のもと、超音波診断装置1は、被検体Pの撮影開始要求を受け付けると、被検体PのBモード画像やカラードプラ画像を表示する。ここで、カラードプラ画像の生成時に用いられるカラーゲインは、操作者によって設定される。このカラーゲインは、超音波プローブにより受信された受信信号をゲイン補正(増幅)する際に用いる係数である。受信信号をカラーゲインに基づいてゲイン補正することで、受信信号が小さい場合であっても血流情報を正確に取得することを可能にする。したがって、カラーゲインが小さすぎる場合には、カラードプラ画像に血流情報が正確に表示されない。一方、カラーゲインが大きすぎる場合には、ノイズも増幅されるのでカラードプラ画像にノイズが表示される。なお、ここでいう「ノイズ」とは、例えば、超音波プローブ10によって送受信される信号に含まれるノイズ成分に加えて、超音波診断装置1の内部回路等で発生するノイズ成分を含む。
図2及び図3を用いて、カラーゲインが異なる場合におけるカラードプラ画像の例について説明する。図2及び図3は、カラードプラ画像の一例を示す図である。なお、図2に示したカラードプラ画像は、血流情報であるパワーが正確に表示される最適なカラーゲインを用いて生成されたものとする。また、図3に示したカラードプラ画像は、図2に示したカラードプラ画像の生成時に用いられたカラーゲインよりも大きいカラーゲインを用いて生成されたものとする。また、図2及び図3に示したカラードプラ画像は、同一の被検体Pの同一の部位のうち、所定の関心領域R1における画像であるものとする。
図2に例示したカラードプラ画像には、領域A11及び領域A12に色が付与されたピクセル(画素)が存在し、血流情報が正確に表示されている。一方で、図3に示したカラードプラ画像には、全体的に色が付与されており、ノイズが色情報として表示されている。
このように、超音波診断装置は、仮に同一の被検体Pの同一の部位を撮影した場合であっても、操作者によるカラーゲインの設定が異なると、色情報が異なるカラードプラ画像を生成するとも考えられる。さらに、カラーゲインの最適値は、撮影対象の部位によって異なるので、操作者が、常に最適なカラーゲインを設定することは容易でない。このため、超音波診断装置は、常に最適なカラーゲインを用いることが困難であり、その結果、血流情報が正確に表示されたカラードプラ画像を常に生成することは困難であるとも考えられる。
しかし、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、制御部170が各種処理を行うことにより、最適なカラーゲインを設定することを可能にする。以下に、図4〜図11を用いて、第1の実施形態における制御部170による処理を中心に説明する。
まず、第1の実施形態における制御部170による処理の流れについて説明する。第1の実施形態における制御部170は、操作者から被検体Pの撮影開始要求を受け付けた場合に、最初に、最適なカラーゲインを設定する処理を行う。これにより、制御部170は、ノイズ等が表示されておらず、かつ、血流情報等が正確に表示されているカラードプラ画像の生成を可能にする。
また、制御部170は、最適なカラーゲインを設定した後に、操作者から最適なカラードプラ画像を選択する旨の要求を受け付けた場合に、同一の撮影位置における複数のカラードプラ画像の中から、拍動や体動等に起因したクラッタ成分が色表示されていない最適なカラードプラ画像を選択する。そして、制御部170は、最適なカラードプラ画像をモニタ30に表示したり、最適なカラードプラ画像に含まれる血流情報を定量的に示す情報をモニタ30に表示したりする。
このような制御部170による処理について、図4を用いて詳細に説明する。図4は、第1の実施形態における制御部170の構成例を示すブロック図である。まず、制御部170は、操作者から被検体Pの撮影開始要求を受け付けた場合に、超音波送信ユニット110を制御することで、超音波プローブ10に駆動信号を供給させる。
そして、制御部170は、ドプラ処理ユニット132に対して、超音波受信ユニット120から入力される反射波データを、所定値間隔で異なる複数のカラーゲインによりゲイン補正するように指示する。具体的には、制御部170は、ドプラ処理ユニット132に対して、カラーゲインの最小値と最大値、及び、変動値を通知するとともに、かかるカラーゲインの最小値から順に、カラーゲインを変動値分だけ変動させながら、同一の反射波データから複数の血流情報を算出するように指示する。
これにより、第1の実施形態におけるドプラ処理ユニット132は、超音波受信ユニット120から入力される反射波データを、所定値間隔で異なる複数のカラーゲインによりゲイン補正することで、カラーゲイン毎に、血流情報を算出する。
具体的には、ドプラ処理ユニット132は、超音波受信ユニット120から入力される反射波データを、画像メモリ150や記憶部180等の記憶領域に格納する。そして、ドプラ処理ユニット132は、制御部170から通知されたカラーゲインの最小値を用いて、記憶部180に格納した反射波データから血流情報を算出する。続いて、ドプラ処理ユニット132は、かかるカラーゲインの最小値に変動値を加算し、加算後のカラーゲインを用いて、記憶部180に格納した反射波データから血流情報を算出する。このようにして、ドプラ処理ユニット132は、カラーゲインが制御部170から通知された最大値に達するまで、カラーゲインを変動させながら血流情報を算出する。
なお、血流情報は、血流の速度、分散、パワー等を示す情報である。ドプラ処理ユニット132は、操作者が、速度表示、分散表示、パワー表示のいずれかの表示モード、又は、これらの情報を組み合わせた表示モードを選択したかにより、血流の速度、分散、パワー等の血流情報を算出する。
そして、第1の実施形態における画像生成ユニット140は、ドプラ処理ユニット132によって算出された血流情報からカラードプラ画像を生成する処理を、ドプラ処理ユニット132によって算出されたゲイン毎の血流情報について行う。言い換えれば、画像生成ユニット140は、異なるカラーゲインを用いて算出された複数の血流情報から、かかる血流情報の数と同一の数のカラードプラ画像を生成する。
したがって、画像生成ユニット140は、ドプラ処理ユニット132が血流情報の生成時に用いたカラーゲイン毎に、かかるカラーゲインに対応するカラードプラ画像を生成することになる。画像生成ユニット140は、このようにして生成した複数のカラードプラ画像を画像メモリ150に格納する。なお、画像生成ユニット140は、カラードプラ画像を記憶部180に格納してもよいが、第1の実施形態では、画像メモリ150に格納するものとする。
そして、制御部170は、画像生成ユニット140によって生成された複数のカラードプラ画像を解析することにより、最適なカラーゲインを決定する。具体的には、制御部170は、図4に例示するように、ROI設定部171と、指標算出部172と、ゲイン選択部173とを有し、指標算出部172及びゲイン選択部173による処理によって、最適なカラーゲインを決定する。
ROI設定部171は、画像生成ユニット140によって生成された色画像であるカラードプラ画像に対して、所定の関心領域を設定する。具体的には、ROI設定部171は、入力装置20によって受け付けられた関心領域の設定要求をインタフェース部190を介して受け付け、受け付けた関心領域の設定要求に従ってカラードプラ画像に関心領域を設定する。例えば、操作者によってカラードプラ画像の一部領域を関心領域に設定する操作が行われた場合には、後述する指標算出部172及びゲイン選択部173は、かかる一部領域のみを処理対象とするので処理負荷を軽減することができる。
指標算出部172は、画像生成ユニット140によって生成された複数のカラードプラ画像に基づいて、かかるカラードプラ画像の分布を示す指標値を求める。第1の実施形態に係る指標算出部172は、画像生成ユニット140によって生成されたカラードプラ画像毎に、ROI設定部171によって設定された関心領域内において色が付与されたピクセルの数を前述の指標値として計数する。なお、以下では、色が付与されたピクセルである色画素を「カラーピクセル」と記載する。
指標算出部172による処理を具体的に説明すると、指標算出部172は、画像生成ユニット140によって各カラーゲインに対応するカラードプラ画像が生成された場合に、かかるカラードプラ画像の各々を、画像メモリ150から順に取得する。そして、指標算出部172は、画像メモリ150から取得したカラードプラ画像の関心領域内に含まれるカラーピクセルの数を計数する。さらに、指標算出部172は、計数したカラーピクセル数と、関心領域内の全ピクセル数との割合である「カラーピクセル率」を計数する。例えば、指標算出部172は、計数したカラーピクセル数を関心領域内の全ピクセル数により除算することでカラーピクセル率を計数する。
指標算出部172は、画像メモリ150に格納されている複数のカラードプラ画像内で同一の位置に設定された関心領域におけるカラーピクセル率を計数する。そして、指標算出部172は、カラードプラ画像の生成時に用いられたカラーゲインと、かかるカラードプラ画像のカラーピクセル率とを対応付けて、ピクセル率記憶部182に格納する。
ここで、図5を用いて、ピクセル率記憶部182について説明する。図5は、ピクセル率記憶部182の一例を示す図である。図5に示すように、ピクセル率記憶部182は、「カラーゲイン」、「カラーピクセル率」といった項目を有する。
「カラーゲイン」は、カラードプラ画像の生成時に用いられたカラーゲインを示す。具体的には、「カラーゲイン」は、カラードプラ画像の生成元となった血流情報が算出される際に、ドプラ処理ユニット132によって用いられたカラーゲインを示す。「カラーピクセル率」は、対応するカラーゲインによって算出された血流情報から生成されたカラードプラ画像のカラーピクセル率を示す。なお、第1の実施形態においては、「カラーピクセル率」は、カラードプラ画像の関心領域におけるカラーピクセル率を示す。
例えば、図5に示したピクセル率記憶部182は、カラーゲイン「38」により算出された血流情報から生成されたカラードプラ画像のカラーピクセル率が「1%」であることを示している。また、例えば、図5に示したピクセル率記憶部182は、カラーゲイン「53」に対応するカラードプラ画像のカラーピクセル率が「3%」であることを示している。
なお、図5に示した例では、制御部170が、ドプラ処理ユニット132に対して、カラーゲインの最小値「38」と、カラーゲインの最大値「62」と、変動値「1」を通知したことを示している。すなわち、図5に示した例では、ドプラ処理ユニット132は、カラーゲインの最小値「38」を用いて血流情報を算出し、カラーゲインの最大値「62」に達するまで、カラーゲインを変動値「1」ずつ増加させながら血流情報を算出する。
図4の説明に戻って、ゲイン選択部173は、複数のカラーゲインについて求められた指標値の比較に基づいて、表示用のカラーゲインを選択する。具体的には、第1の実施形態におけるゲイン選択部173は、指標算出部172によって計数されたカラーピクセル率のうち隣接する2個のカラーゲインに対応する2個のカラードプラ画像のカラーピクセル率をそれぞれ抽出する。そして、ゲイン選択部173は、抽出した2個のカラーピクセル率の変動量が所定の変動量閾値以上であるカラーゲイン群の最小値を最適なゲインとして選択する。
より具体的に説明すると、ゲイン選択部173は、指標算出部172によって更新されたピクセル率記憶部182から、隣接する2個のカラーゲインに対応する2個のカラーピクセル率を取得し、取得した2個のカラーピクセル率の変動量が所定の変動量閾値以上であるか否かを判定する。このとき、ゲイン選択部173は、カラーゲインの最小値から順に、隣接する2個のカラーゲインに対応する2個のカラーピクセル率を取得する。そして、ゲイン選択部173は、カラーピクセル率の変動量が変動量閾値以上である場合に、かかる2個のカラーゲインのうち、小さい値を最適なカラーゲインとして選択する。
例えば、ピクセル率記憶部182に格納されている各種データが図5に示した状態であったものとする。なお、ここでは、変動量閾値が「5」であるものとする。かかる場合に、ゲイン選択部173は、まず、ピクセル率記憶部182から、隣接する2個のカラーゲイン「38」及び「39」を抽出する。そして、ゲイン選択部173は、抽出したカラーゲイン「38」に対応するカラーピクセル率「1」と、カラーゲイン「39」に対応するカラーピクセル率「1」との間における変動量「0(=1−1)」を算出する。
そして、ゲイン選択部173は、算出した変動量「0」が変動量閾値「5」以上であるか否かを判定する。ここでは、ゲイン選択部173は、変動量「0」が変動量閾値「5」よりも小さいと判定する。
続いて、ゲイン選択部173は、ピクセル率記憶部182から、隣接する2個のカラーゲイン「39」及び「40」を抽出する。そして、ゲイン選択部173は、抽出したカラーゲイン「39」に対応するカラーピクセル率「1」と、カラーゲイン「40」に対応するカラーピクセル率「1」との変動量「0(=1−1)」を算出する。そして、ゲイン選択部173は、算出した変動量「0」が変動量閾値「5」以上であるか否かを判定する。
ゲイン選択部173は、カラーピクセル率の変動量が変動量閾値以上になるまで、上記の処理を行う。図5に示した例では、ゲイン選択部173は、隣接する2個のカラーゲイン「54」及び「55」を抽出した際に、カラーピクセル率の変動量「5(=7−2)」が変動量閾値「5」以上であると判定する。
かかる場合に、ゲイン選択部173は、カラーピクセル率の変動量が変動量閾値以上であった2個のカラーゲインのうち、小さい値を最適なカラーゲインとして選択する。上記例の場合には、ゲイン選択部173は、カラーゲイン「54」及び「55」を抽出した際に、カラーピクセル率の変動量が変動量閾値以上であると判定するので、カラーゲイン「54」を最適なカラーゲインとして選択する。
以下に、上記のゲイン選択部173による処理によって、最適なカラーゲインを選択できる理由について説明する。まず、超音波診断装置には、カラーゲインを上昇させていくと、所定のカラーゲインを境界としてカラードプラ画像に含まれるノイズが急激に増大するという特性がある。かかる特性について、図6に示した例を用いて説明する。図6は、カラーゲインとカラーピクセル率との関係例を示す図である。なお、図6には、図5に例示したピクセル率記憶部182が保持するカラーゲインとカラーピクセル率との関係をグラフによって示す。
図6に示した例のように、一般に、カラーゲインが小さい場合には、カラーピクセル率が低い。一方、カラーゲインが大きい場合には、カラーピクセル率が高い。また、図6に示した例のように、カラーゲインを増加させていくと、カラーゲインが所定値を超えた場合に、カラードプラ画像のカラーピクセル率が急激に増大する。これは、カラーゲインを所定値以上にすると、カラードプラ画像にノイズが含まれる割合が増大するからである。
図6に示した例では、カラーゲインが「38」〜「54」である場合には、カラーピクセル率の変動量が少なく、カラーピクセル率も低い。すなわち、カラーゲインが「38」〜「54」である場合には、カラードプラ画像にはノイズがほぼ表示されない。一方、カラーゲインが「55」以上になった場合には、カラーピクセル率が急激に増大する。すなわち、カラーゲインが「55」以上になった場合には、カラードプラ画像に表示されるノイズが急激に増大する。このようなことから、カラーゲインを変動させた場合に、カラーピクセル率が急激に増大し始めたカラーゲインは、カラードプラ画像にノイズがほぼ表示されないカラーゲインと、カラードプラ画像にノイズが表示されるカラーゲインとの境界であるといえる。
ここで、最適なカラーゲインとは、ノイズが極力含まれておらず、かつ、血流情報が正確に表示されるカラードプラ画像を生成することができるゲインを示す。図3を用いて説明したように、カラーゲインが大きすぎる場合には、カラードプラ画像にノイズが表示され、カラーゲインが小さすぎる場合には、カラードプラ画像に血流情報が間引かれるため正確に表示されない。このため、最適なカラーゲインとは、カラードプラ画像にノイズがほぼ表示されないカラーゲインのうち、最大の値であるといえる。
そこで、第1の実施形態におけるゲイン選択部173は、ピクセル率記憶部182に含まれる各種データに基づいて、カラーピクセル率が急激に増大し始めるカラーゲインを特定する。そして、ゲイン選択部173は、特定したカラーゲインより小さいカラーゲインのうち、最大値を最適なカラーゲインとして選択する。図6に示した例では、ゲイン選択部173は、カラーピクセル率が急激に増大し始めるカラーゲイン「55」を特定する。そして、ゲイン選択部173は、カラーゲイン「55」よりも小さい中での最大値「54」を最適なカラーゲインとして選択する。
このようにして、指標算出部172及びゲイン選択部173は、最適なカラーゲインを選択する。そして、制御部170は、ゲイン選択部173によって選択されたカラーゲインをドプラ処理ユニット132に設定する。具体的には、制御部170は、ゲイン選択部173によって選択されたカラーゲインを用いるようにドプラ処理ユニット132を制御する。例えば、ドプラ処理ユニット132が記憶部180に格納されているカラーゲインを用いる場合には、制御部170は、ゲイン選択部173によって選択されたカラーゲインを記憶部180に格納する。これにより、ドプラ処理ユニット132は、最適なカラーゲインを用いて、血流情報を算出することができ、画像生成ユニット140は、ノイズがほぼ含まれておらず、かつ、血流情報が正確に表示されるカラードプラ画像を生成することができる。
なお、ゲイン選択部173は、図6に例示したカラーゲインとカラーピクセル率との関係をモニタ30に表示してもよいし、記憶部180に格納してもよい。これにより、超音波診断装置1は、操作者によって後にカラードプラ画像が閲覧される場合等に、操作者に適切にカラーゲインがされたか否かを確認させることができる。
超音波診断装置1は、このようにして最適なカラーゲインを設定した後に、最適なカラーゲインを用いてカラードプラ画像を生成する。ここで、第1の実施形態における制御部170は、操作者から最適な時相のカラードプラ画像を表示する旨の要求を受け付けた場合に、同一の撮影位置で生成した複数のカラードプラ画像の中から、クラッタ成分が少ないカラードプラ画像を選択し、モニタ30に表示する。さらに、制御部170は、操作者からの要求に従って、最適なカラードプラ画像に含まれる血流情報を定量的に示す定量化情報を算出し、算出した定量化情報をモニタ30に表示する。
具体的には、制御部170は、図4に例示するように、画像選択部174と、定量化部175とを有し、画像選択部174による処理によって最適なカラードプラ画像を選択する処理を行い、定量化部175による処理によって定量化情報を算出する処理を行う。
画像選択部174は、同一の撮影位置で生成された複数のカラードプラ画像を記憶する画像メモリ150から、カラーピクセル数が最小値又は最大値であるカラードプラ画像を最適なカラードプラ画像として選択する。なお、操作者は、カラーピクセル数が最小値、又は、カラーピクセル数が最大値のいずれかのカラードプラ画像を選択するように設定操作することが可能であり、画像選択部174は、かかる操作者による設定操作に従って、カラーピクセル数が最小値又は最大値のいずれのカラードプラ画像を選択するかを決定する。以下に、画像選択部174による処理について具体的に説明する。
まず、超音波診断装置1は、被検体Pの血流情報をリアルタイムにモニタ30に表示することができる装置なので、画像生成ユニット140は、同一の撮影位置において、所定の時間が経過するたびにカラードプラ画像を生成することが多い。このため、画像メモリ150には、時相(撮影時刻)が異なる同一の撮影位置における複数のカラードプラ画像が記憶されている。
そこで、画像選択部174は、操作者から最適なカラードプラ画像を表示する旨の要求を受け付けた場合に、画像メモリ150から、時相が異なる複数のカラードプラ画像を取得する。そして、画像選択部174は、画像メモリ150から取得したカラードプラ画像のカラーピクセル数を計数する。画像選択部174は、画像メモリ150に記憶されている同一の撮影位置における複数のカラードプラ画像について、カラーピクセル数を計数する。そして、画像選択部174は、カラードプラ画像を識別する画像識別情報と、かかるカラードプラ画像のカラーピクセル数とを対応付けて、ピクセル数記憶部183に格納する。
なお、画像選択部174は、同一の撮影位置における複数のカラードプラ画像の全てについて、カラーピクセル数を計数しなくてもよい。例えば、画像選択部174は、予め設定されている数のカラードプラ画像について、カラーピクセル数を計数してもよい。また、例えば、画像選択部174は、カラードプラ画像ののうちROI設定部171によって設定された関心領域内のカラーピクセル数を計数してもよい。
ここで、図7を用いて、ピクセル数記憶部183について説明する。図7は、ピクセル数記憶部183の一例を示す図である。図7に示すように、ピクセル数記憶部183は、「画像識別情報」、「カラーピクセル数」といった項目を有する。
「画像識別情報」は、カラードプラ画像を識別するための情報を示す。具体的には、「画像識別情報」は、同一の撮影位置において、画像メモリ150に格納されているカラードプラ画像を識別するための情報を示す。「カラーピクセル数」は、対応する画像識別情報が示すカラードプラ画像のカラーピクセル数を示す。
例えば、図7に示したピクセル数記憶部183は、画像識別情報が「1」であるカラードプラ画像のカラーピクセル数が「150」であることを示している。また、例えば、図7に示したピクセル数記憶部183は、画像識別情報が「2」であるカラードプラ画像のカラーピクセル数が「165」であることを示している。
このようにしてピクセル数記憶部183に各種データを格納した画像選択部174は、ピクセル数記憶部183に格納されているカラーピクセル数が最小値又は最大値であるカラードプラ画像を、最適なカラードプラ画像として選択する。図7に示した例を用いて説明すると、画像選択部174は、ピクセル数記憶部183に記憶されているカラーピクセル数「150」、「165」、「143」、「151」、「149」のうち、最小のカラーピクセル数「143」に対応する画像識別情報「3」が示すカラードプラ画像を、最適なカラードプラ画像として選択する。または、画像選択部174は、最大のカラーピクセル数「165」に対応する画像識別情報「2」が示すカラードプラ画像を、最適なカラードプラ画像として選択する。
そして、画像選択部174は、選択した最適なカラードプラ画像をモニタ30に表示する。また、画像選択部174は、操作者からの指示に従って、選択した最適なカラードプラ画像を画像メモリ150や記憶部180に格納してもよい。
以下に、上記の画像選択部174による処理によって、最適なカラードプラ画像を選択できる理由について説明する。上記の通り、ドプラ処理ユニット132及び画像生成ユニット140は、ゲイン選択部173によって選択された最適なカラーゲインを用いて、同一の撮影位置におけるカラードプラ画像を複数生成する。したがって、このようにして生成された複数のカラードプラ画像には、本来、ノイズがほぼ表示されず、かつ、血流情報等が正確に表示される。さらに、生成時におけるカラーゲインが同一であるので、かかる複数のカラードプラ画像は全て同一であると考えられる。
しかし、画像生成ユニット140によって生成された複数のカラードプラ画像は、時相が異なるので、異なる時相における生体組織を示している。したがって、かかる複数のカラードプラ画像の中には、拍動や体動等に起因したクラッタ成分が色情報として表示されるものもある。また、時間変動に伴って血流の変化が発生するので、複数のカラードプラ画像は全て同一であるとは限らない。このようなことから、最適なカラーゲインを用いて生成されたカラードプラ画像のカラーピクセル数は、拍動や体動等に起因したクラッタ成分と、血流の変化により変動するといえる。
ここで、撮影部位の生体組織が血流量の時間変動が小さい生体組織である場合には、複数のカラードプラ画像間のカラーピクセル数は、主にクラッタ成分により変動するといえる。すなわち、血流量の時間変動が小さい生体組織のカラードプラ画像のカラーピクセル数は、クラッタ成分が多く含まれている場合に増大し、クラッタ成分が含まれていない場合には増大しない。言い換えれば、カラーピクセル数が少ないカラードプラ画像ほど、クラッタ成分が少ないカラードプラ画像であるといえる。そこで、第1の実施形態における画像選択部174は、撮影部位の生体組織が血流量の時間変動が小さい生体組織である場合には、画像生成ユニット140によって同一の撮影位置から生成された複数のカラードプラ画像のうち、カラーピクセル数が最小値であるカラードプラ画像を、クラッタ成分がほぼ含まれていない最適なカラードプラ画像として選択することができる。
また、例えば、動脈相のように撮影部位の生体組織が血流量の時間変動が大きい生体組織である場合には、複数のカラードプラ画像間のカラーピクセル数は、血流量によって大きく変動するといえる。血流が動脈相である場合には、血流量が多く表れている等の理由により、最大の血流量を示している時相のカラードプラ画像を最適画像とした方がよいことがある。そこで、第1の実施形態における画像選択部174は、撮影部位の生体組織が血流量の時間変動が大きい場合には、画像生成ユニット140によって同一の撮影位置から生成された複数のカラードプラ画像のうち、カラーピクセル数が最大値であるカラードプラ画像を、クラッタ成分がほぼ含まれていない最適なカラードプラ画像として選択してもよい。
このように、画像選択部174は、操作者による設定操作に従って、カラーピクセル数が最小値又は最大値のいずれのカラードプラ画像を最適画像として選択する。なお、画像選択部174は、同一の撮影位置で生成された複数のカラードプラ画像間におけるカラーピクセル数の変動量を算出し、算出した変動量に基づいて、撮影部位の生体組織における血流量の時間変動を判定してもよい。そして、画像選択部174は、血流量の時間変動が小さい場合には、カラーピクセル数が最小値であるカラードプラ画像を最適なカラードプラ画像として選択し、血流量の時間変動が大きい場合には、カラーピクセル数が最大値であるカラードプラ画像を最適なカラードプラ画像として選択してもよい。
図8に示した例を用いて説明する。図8は、時間経過とカラーピクセル数との関係例を示す図である。なお、図8には、図7に例示したピクセル数記憶部183が保持するカラーピクセル数をグラフによって示す。
図8に示した例のように、同一の撮影位置において、最適なカラーゲインにより複数のカラードプラ画像を生成した場合であっても、かかるカラードプラ画像のカラーピクセル数は変動する。このようなカラーピクセル数の変動は、上記の通り、クラッタ成分の変動であるといえる。第1の実施形態においては、最適なカラーゲインによりカラードプラ画像を生成しているので、カラーピクセル数が大きいカラードプラ画像ほど、多くのクラッタ成分を含んでいるといえる。言い換えれば、カラーピクセル数が小さいカラードプラ画像ほど、クラッタ成分を含んでいないといえる。このため、図8に示した例では、画像選択部174は、カラーピクセル数が「143」であるカラードプラ画像を最適なカラードプラ画像として選択する。
図4の説明に戻って、定量化部175は、画像選択部174によって選択された最適なカラードプラ画像に含まれる血流情報を定量的に示す定量化情報を算出する。具体的には、定量化部175は、定量化情報を算出する際に用いる関心領域(以下、「定量用関心領域」と記載する)が予め指定される。そして、定量化部175は、操作者からの指示に従って、定量化情報として、画像選択部174によって選択された最適なカラードプラ画像の定量用関心領域内のカラーピクセル数と、定量用関心領域の全画素数との割合を算出する。そして、定量化部175は、計数した定量化情報をモニタ30に表示したり、記憶部180に格納したりする。
なお、定量化部175は、定量化情報として、カラードプラ画像全体のカラーピクセル数を算出してもよいし、カラードプラ画像全体のカラーピクセル率を算出してもよい。また、定量化部175は、定量化情報として、カラードプラ画像の定量用関心領域内のカラーピクセルについて、パワー値の総和を算出してもよい。また、定量化部175は、定量化情報として、カラーピクセル数、カラーピクセル率、パワー値の総和のうち、いずれか一つの情報を算出してもよいし、複数の情報を算出してもよい。
このようにして定量化部175によって算出される定量化情報は、信頼性が高い。例えば、操作者によってカラーゲインが設定された場合には、カラードプラ画像にノイズが含まれている可能性があるので、このようなカラードプラ画像から算出された定量化情報は、信頼性が低い。また、仮にカラーゲインが適切に設定された場合であっても、カラードプラ画像にクラッタ成分が含まれている可能性があるので、このようなカラードプラ画像から算出された定量化情報は、信頼性が低い。言い換えれば、ノイズやクラッタ成分が含まれているカラードプラ画像から算出された定量化情報は、血流情報の指標として用いることができない。
一方、画像選択部174によって選択されたカラードプラ画像にはノイズ及びクラッタ成分が含まれていないので、定量化部175によって算出される定量化情報は、信頼性が高い。すなわち、定量化部175は、血流情報の指標となる定量化情報を操作者に提供することができる。
次に、図9を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置1による処理の手順について説明する。図9は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1による処理手順を示すフローチャートである。
図9に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、操作者から撮影開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、撮影開始要求を受け付けない場合には(ステップS101否定)、超音波診断装置1は、待機状態となる。
一方、撮影開始要求を受け付けた場合には(ステップS101肯定)、制御部170は、カウンタiを「1」に設定する(ステップS102)。そして、ドプラ処理ユニット132は、制御部170による制御のもと、超音波受信ユニット120から入力された反射波データを、i番目のカラーゲインによりゲイン補正することで、血流情報を算出する(ステップS103)。なお、ここでいう「i番目のカラーゲイン」とは、制御部170からドプラ処理ユニット132に通知されるカラーゲインの最小値に、変動値を「i−1」回加算した値を示す。
そして、画像生成ユニット140は、ドプラ処理ユニット132によって算出された血流情報から、カラードプラ画像を生成する(ステップS104)。そして、制御部170の指標算出部172は、画像生成ユニット140によって生成されたカラードプラ画像のカラーピクセル率を計数する(ステップS105)。例えば、指標算出部172は、カラードプラ画像の所定の関心領域内におけるカラーピクセル数を計数し、かかるカラーピクセル数を関心領域内の全ピクセル数により除算することで、カラーピクセル率を計数する。
そして、制御部170は、カウンタiに「1」を加算して(ステップS106)、i番目のカラーゲインが、ドプラ処理ユニット132に通知したカラーゲイン最大値よりも大きいか否かを判定する(ステップS107)。ここで、i番目のカラーゲインがカラーゲイン最大値以下である場合には(ステップS107否定)、ステップS103に戻る。
一方、i番目のカラーゲインがカラーゲイン最大値よりも大きい場合には(ステップS107肯定)、ゲイン選択部173は、最適ゲイン選択処理を行う(ステップS108)。なお、ゲイン選択部173による最適ゲイン選択処理については、図10を用いて詳述する。
この後、ドプラ処理ユニット132、画像生成ユニット140等は、ゲイン選択部173によって選択された最適なカラーゲインを用いて、カラードプラ画像を生成する(ステップS109)。そして、制御部170は、撮影終了要求を操作者から受け付けたか否かを判定し(ステップS110)、撮影終了要求を受け付けなかった場合(ステップS110否定)、ステップS109に戻る。一方、制御部170は、撮影終了要求を受け付けた場合(ステップS110肯定)、処理を終了する。
次に、図10を用いて、図9のステップS108に示した最適ゲイン選択処理の手順について説明する。図10は、第1の実施形態におけるゲイン選択部173による最適ゲイン選択処理手順を示すフローチャートである。
図10に示すように、ゲイン選択部173は、カウンタiを「1」に設定する(ステップS201)。そして、ゲイン選択部173は、ピクセル率記憶部182から、i番目のカラーゲインに対応するカラーピクセル率と、(i+1)番目のカラーゲインに対応するカラーピクセル率と取得し、取得した2個のカラーピクセル率の変動量を算出する(ステップS202)。
そして、ゲイン選択部173は、カラーピクセル率の変動量が変動量閾値以上であるか否かを判定する(ステップS203)。ここで、ゲイン選択部173は、カラーピクセル率の変動量が変動量閾値よりも小さい場合には(ステップS203否定)、カウンタiに「1」を加算して(ステップS204)、ステップS202に戻る。
一方、ゲイン選択部173は、カラーピクセル率の変動量が変動量閾値以上である場合には(ステップS203肯定)、i番目のカラーゲインを最適なカラーゲインとして選択する(ステップS205)。
なお、図10では図示することを省略したが、ゲイン選択部173は、変動量閾値以上となるカラーピクセル率の変動量が存在しない場合には、例えば、モニタ30に最適なカラーゲインを選択できなかった旨を表示してもよい。または、ゲイン選択部173は、ドプラ処理ユニット132によって用いられた複数のカラーゲインのうち、最大のカラーゲインを最適なカラーゲインとして選択してもよい。
次に、図11を用いて、第1の実施形態における画像選択部174による最適画像選択処理の手順について説明する。図11は、第1の実施形態における画像選択部174による最適画像選択処理手順を示すフローチャートである。
図11に示すように、画像選択部174は、操作者から最適なカラードプラ画像を表示する旨の要求を受け付けた場合に(ステップS301肯定)、カウンタjを「1」に設定する(ステップS302)。
そして、画像選択部174は、同一の撮影位置で生成された複数のカラードプラ画像を記憶する画像メモリ150から、j番目のカラードプラ画像を取得し、取得したカラードプラ画像のカラーピクセル数を計数する(ステップS303)。このとき、画像選択部174は、カラードプラ画像を識別する画像識別情報と、かかるカラードプラ画像のカラーピクセル数とを対応付けて、ピクセル数記憶部183に格納する。
そして、画像選択部174は、カウンタjに「1」を加算して(ステップS304)、カウンタjが閾値Mよりも大きいか否かを判定する(ステップS305)。ここで、画像選択部174は、カウンタjが閾値M以下である場合には(ステップS305否定)、ステップS303に戻る。なお、ここでいう「閾値M」とは、画像メモリ150に格納されている同一の撮影位置で生成されたカラードプラ画像の数である。
そして、画像選択部174は、カウンタjが閾値Mよりも大きい場合には(ステップS305肯定)、ピクセル数記憶部183に格納されているカラーピクセル数が最小値又は最大値であるカラードプラ画像を、最適なカラードプラ画像として選択する(ステップS306)。そして、画像選択部174は、最適なカラードプラ画像をモニタ30に表示する(ステップS307)。
なお、この後に、操作者から血流情報の定量化情報を要求された場合には、定量化部175は、最適なカラードプラ画像から、カラーピクセル数や、カラーピクセル率、パワー値の総和等の定量化情報を算出し、算出した定量化情報をモニタ30に表示したり、記憶部180に格納したりする。
上述したように、第1の実施形態によれば、ドプラ処理ユニット132が、同一の撮影位置で超音波プローブ10により受信された受信信号を、異なるカラーゲインによりゲイン補正することで、カラーゲイン毎に、撮影位置にある生体組織の血流情報を算出する。そして、画像生成ユニット140が、ドプラ処理ユニット132によって算出された血流情報から、かかる血流情報に応じて異なる色を付与したカラードプラ画像を生成する処理を、カラーゲイン毎の血流情報について行う。そして、指標算出部172が、画像生成ユニット140によって生成されたカラードプラ画像毎に、カラーピクセル数を計数する。そして、ゲイン選択部173が、指標算出部172によって計数されたカラーピクセル数のうち隣接する2個のカラーゲインに対応する2個のカラードプラ画像のカラーピクセル数をそれぞれ抽出し、抽出した2個のカラーピクセル数の変動量が変動量閾値以上であるカラーゲイン群の最小値を最適なカラーゲインとして選択する。そして、制御部170が、ゲイン選択部173によって選択されたカラーゲインによりゲイン補正された生体組織からの反射波信号を用いてカラードプラ画像を生成するように画像生成ユニット140等を制御する。
これにより、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、最適なカラーゲインを設定することができる。すなわち、超音波診断装置1は、ノイズが極力含まれておらず、かつ、血流情報が正確に表示されるカラードプラ画像を生成することができる。具体的には、操作者によってカラーゲインが設定される場合には、操作者による設定ばらつきがあり、ノイズが含まれておらず、かつ、血流情報が正確に表示されるカラードプラ画像を生成できるとはかぎらなかったが、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、ノイズが含まれておらず、かつ、血流情報が正確に表示されるカラードプラ画像を確実に生成することができる。
さらに、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、被検体に超音波を送信し、被検体からの反射波信号に基づいて、最適なカラーゲインを設定するので、撮影対象部位や撮影時の環境にとって最適なカラーゲインを設定することができる。
また、第1の実施形態によれば、制御部170によって最適なカラーゲインを用いて画像生成処理を行うように制御された画像生成ユニット140が、同一の撮影位置における複数のカラードプラ画像を画像メモリ150に格納する。そして、画像選択部174が、画像メモリ150に記憶されている同一の撮影位置において生成された複数のカラードプラ画像から、カラーピクセル数が最小値であるカラードプラ画像を最適なカラードプラ画像として選択し、選択したカラードプラ画像をモニタ30に表示する。
これにより、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、最適なカラーゲインを用いて生成されたカラードプラ画像の中から、クラッタ成分がほぼ含まれていないカラードプラ画像を表示することができる。すなわち、超音波診断装置1は、ノイズ及びクラッタ成分が含まれておらず、かつ、血流情報が正確に表示されるカラードプラ画像を表示することができる。
また、第1の実施形態によれば、定量化部175が、画像選択部174によって選択されたカラードプラ画像に含まれる血流情報を定量的に示す定量化情報として、カラーピクセル数、カラーピクセル率、パワー値の総和等を算出し、算出した定量化情報を表示する。
これにより、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、ノイズ及びクラッタ成分が含まれておらず、かつ、血流情報が正確に表示されるカラードプラ画像から定量化情報を算出するので、信頼性の高い定量化情報を操作者に提供することができる。
なお、第1の実施形態に係る超音波診断装置1による各種処理は、上記例に限定されるものではない。以下に、第1の実施形態に係る超音波診断装置1による各種処理の変形例について説明する。
上記第1の実施形態では、超音波診断装置1が、最適なカラーゲインを選択し、その後に最適なカラードプラ画像を選択し、さらに、最適なカラードプラ画像から定量化情報を算出する例を示した。しかし、超音波診断装置1は、最適なカラーゲインを選択する処理だけを行ってもよい。すなわち、超音波診断装置1は、図4に示した画像選択部174及び定量化部175を有しなくてもよい。かかる場合であっても、超音波診断装置1は、最適なカラーゲインを選択することができるので、ノイズがほぼ含まれていないカラードプラ画像を生成することができる。また、超音波診断装置1は、定量化情報を算出する処理を行わずに、最適なカラーゲインを選択する処理と最適なカラードプラ画像を選択する処理を行ってもよいし、最適なカラードプラ画像を選択する処理を行わずに、最適なカラーゲインを選択する処理と定量化情報を算出する処理を行ってもよい。
また、上記第1の実施形態では、図5を用いて説明したように、指標算出部172が、異なるカラーゲインを用いて生成された複数のカラードプラ画像から、カラーピクセル率を計数する例を示した。しかし、指標算出部172は、カラーピクセル率の代わりに、カラーピクセル数を計数してもよい。かかる場合には、ゲイン選択部173は、指標算出部172によって計数されたカラーピクセル数のうち隣接する2個のカラーゲインに対応する2個のカラードプラ画像のカラーピクセル数をそれぞれ抽出し、抽出した2個のカラーピクセル数の変動量が所定の変動量閾値以上であるカラーゲイン群の最小値を最適なゲインとして選択する。
また、上記第1の実施形態では、指標算出部172が、異なるカラーゲインを用いて生成された複数のカラードプラ画像から、所定の関心領域におけるカラーピクセル率を計数する例を示した。しかし、指標算出部172は、カラーピクセル率として、カラードプラ画像全体の画素数とカラードプラ画像全体のカラーピクセル数との割合を計数してもよい。
また、上記第1の実施形態では、最適なカラーゲインを選択する場合に、ドプラ処理ユニット132が、超音波受信ユニット120から入力される1個の反射波データを、記憶部180に保持しておき、かかる1個の反射波データを異なる複数のカラーゲインによりゲイン補正することで、カラーゲイン毎に血流情報を算出する例を示した。しかし、制御部170は、最適なカラーゲインを選択する場合に、複数の反射波データを生成するように超音波送信ユニット110を制御してもよい。かかる場合には、ドプラ処理ユニット132は、超音波受信ユニット120から反射波データが入力されるたびに、カラーゲインを変動させることにより、カラーゲイン毎の血流情報を算出する。
また、上記第1の実施形態では、図5、図6及び図10を用いて説明したように、ゲイン選択部173が、カラーゲインの最小値から順に隣接する2個のカラーゲインを抽出して、カラーピクセル率の変動量が変動量閾値以上であるか否かを判定する例を示した。すなわち、上記では、ゲイン選択部173が、小さい値のカラーゲインから大きい値のカラーゲインへの方向に、カラーピクセル率の変動量を判定する例を示した。しかし、ゲイン選択部173は、大きい値のカラーゲインから小さい値のカラーゲインへの方向に、カラーピクセル率の変動量を判定してもよい。
また、上記第1の実施形態では、図5、図6及び図10を用いて説明したように、ゲイン選択部173が、カラーピクセル率の変動量が変動量閾値以上になった時点で、最適なカラーゲインを選択する例を示した。しかし、ゲイン選択部173は、隣接する2個のカラーゲイン間のカラーピクセル率の変動量を、全ての隣接する2個のカラーゲインについて算出し、カラーピクセル率の変動量が最大であったカラーゲインから、小さい値のカラーゲインへの方向に、カラーピクセル率の変動量を判定してもよい。
例えば、ピクセル率記憶部182に格納されている各種データが図5に示した状態であったものとする。かかる場合に、ゲイン選択部173は、隣接する2個のカラーゲインの全ての組み合わせについて、カラーピクセル率の変動量を算出する。図5に示した例では、カラーゲイン「59」及び「60」に対応するカラーピクセル率の変動量が最大となる。このとき、ゲイン選択部173は、カラーゲイン「59」から、小さい値のカラーゲインへの方向に、カラーピクセル率の変動量を判定する。具体的には、ゲイン選択部173は、次に、隣接する2個のカラーゲイン「58」及び「59」を抽出し、カラーピクセル率の変動量を判定し、かかる変動量が変動量閾値よりも小さい場合には、次に、隣接する2個のカラーゲイン「57」及び「58」を抽出し、カラーピクセル率の変動量を判定する。
ゲイン選択部173は、このような順番で判定処理を行うことにより、変動量と変動量閾値とを比較する処理を減らすことができ、その結果、処理負荷を軽減することができる。具体的には、図6に示した例のように、カラーゲインを増加させていくと、カラーゲインが最適なカラーゲインを超えた場合には、カラードプラ画像のカラーピクセル率は、最初に急激に増大し、後に緩やかに増大する。すなわち、カラーピクセル率の変動量が最大であるカラーゲインの近傍に、最適なカラーゲインが存在するといえる。このようなことから、ゲイン選択部173は、カラーピクセル率の変動量が最大であったカラーゲインから、小さい値のカラーゲインへの方向に、カラーピクセル率の変動量を判定することで、少ない判定処理により最適なカラーゲインを特定することができる。
なお、カラーピクセル率の変動量が最大であるカラーゲインから所定値だけ減算したカラーゲインが、最適なカラーゲインであることが判明している場合などには、ゲイン選択部173は、カラーピクセル率の変動量が最大であったカラーゲインよりも、所定値だけ小さい値のカラーゲインを、最適なカラーゲインとして選択してもよい。
また、上記第1の実施形態では、最適なカラーゲインを選択する場合に、ドプラ処理ユニット132が所定値間隔で異なる複数のカラーゲインを用いて複数の血流情報を算出する例を示した。例えば、図5では、ドプラ処理ユニット132が、「1」ずつ異なるカラーゲインを用いる例を示した。しかし、ドプラ処理ユニット132は、間隔が一定値でないカラーゲインを用いて、複数の血流情報を算出してもよい。例えば、ドプラ処理ユニット132は、カラーゲイン「35」から「2」ずつ増加させ、カラーゲインが「50」に達したら「1」ずつ増加させ、カラーゲインが「63」に達したら「2」ずつ増加させて血流情報を算出してもよい。かかる場合には、ゲイン選択部173は、隣接する2個のカラーゲイン間のカラーピクセル率の変動量と変動量閾値とを比較するのではなく、カラーゲインの変動量に対するカラーピクセル率の変動量と、変動量閾値とを比較する。例えば、ゲイン選択部173は、隣接する2個のカラーゲイン間のカラーピクセル率の変動量をカラーゲインの変動量により除算した結果と、変動量閾値とを比較する。
また、上記第1の実施形態では、ゲイン選択部173が、カラーゲインの最小値から順に隣接する2個のカラーゲインを抽出して、カラーピクセル率の変動量が変動量閾値以上であるか否かを判定する例を示した。しかし、ゲイン選択部173は、所定のカラーゲインの範囲についてカラーピクセル率を算出して、算出したカラーピクセル率の変動量が変動量閾値以上であるか否かを判定してもよい。図12を用いて、具体的に説明する。図12は、カラーゲインとカラーピクセル率との関係例を示す図である。
図12に示した例では、カラーゲイン「39」〜「42」の間は、カラードプラ画像のカラーピクセル率の変動量が大きく、カラーゲイン「42」〜「55」の間は、カラーピクセル率の変動量が小さく、カラーゲイン「55」〜「62」の間は、カラーピクセル率の変動量が大きい。このようなカラーゲインとカラーピクセル率との関係を示すカラードプラ画像は、例えば、カラーゲイン「39」〜「41」において生成された場合には、血流情報が正確に表示されず、カラーゲイン「42」〜「55」において生成された場合には、血流情報が正確に表示され、カラーゲイン「56」以上において生成された場合には、ノイズが全体的に表示されると考えられる。上記の通り、最適なカラーゲインは、カラードプラ画像にノイズがほぼ表示されないカラーゲインのうち最大の値であるので、図12に示した例では、最適なカラーゲインは、「55」である。
ところで、図12に示した例において、ゲイン選択部173は、カラーゲインの最小値から順に隣接する2個のカラーゲインを抽出して、カラーピクセル率の変動量を算出すると、例えば、カラーゲイン「39」と「40」におけるカラーピクセル率の変動量が変動量閾値以上であると判定する可能性がある。そこで、ゲイン選択部173は、例えば、カラーゲインの範囲「45」〜「60」について、隣接する2個のカラーゲインを抽出して、カラーピクセル率の変動量が変動量閾値以上であるか否かを判定してもよい。このようなカラーゲインの範囲は、記憶部180に予め記憶されており、ゲイン選択部173は、最適なカラーゲインを選択する処理を行う場合に、記憶部180から、カラーゲインの範囲を取得する。なお、カラーゲインの範囲は、例えば、撮影対象の部位毎に異なる値が記憶部180に記憶されてもよい。
なお、上記の通り、カラーピクセル率の変動量が最大であるカラーゲインの近傍に、最適なカラーゲインが存在するといえる。したがって、カラーゲインとカラーピクセル率との関係が図12に示した例であっても、ゲイン選択部173は、カラーピクセル率の変動量が最大であったカラーゲインから、小さい値のカラーゲインへの方向に、カラーピクセル率の変動量を判定することで、最適なカラーゲインを選択することができる。
(第2の実施形態)
上記実施例1では、画像選択部174が、同一の撮影位置における複数のカラードプラ画像から、カラーピクセル数が最小値又は最大値であるカラードプラ画像を最適なカラードプラ画像として選択する例を示した。第2の実施形態では、カラードプラ画像から計数されるカラーピクセル数等の情報を用いずに、最適なカラードプラ画像を選択する例について説明する。
まず、図13を用いて、第2の実施形態における制御部について説明する。図13は、第2の実施形態における制御部270の構成例を示すブロック図である。なお、以下では、図4に示した処理部と同様の機能を有する処理部には同一符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。
また、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成は、図1に示した構成例と同様である。ただし、図13に示すように、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、図1に示したドプラ処理ユニット132の代わりに、ドプラ処理ユニット232を有する。また、第2の実施形態における記憶部180は、カットオフ周波数記憶部284を有する。また、図13に示すように、第2の実施形態における制御部270は、画像選択部274を有する。
ドプラ処理ユニット232は、カットオフ周波数が変動可能なウォールフィルタ(wall filter)を有する。具体的には、ドプラ処理ユニット232は、超音波プローブ10によって受信された受信信号に基づいて、かかる受信信号に含まれる血流信号とクラッタ信号とを最適に分離するフィルタ特性をウォールフィルタに設定する(米国特許第6224557号参照)。すなわち、ドプラ処理ユニット232は、受信信号に含まれるクラッタ成分が多い場合には、高いカットオフ周波数を設定し、受信信号に含まれるクラッタ成分が少ない場合には、低いカットオフ周波数を設定する。なお、ドプラ処理ユニット232が有するウォールフィルタとは、例えば、MTI(Moving Target Indicator)やクラッタ除去フィルタ等である。
画像選択部274は、画像メモリ150に記憶されている同一の撮影位置で生成された複数のカラードプラ画像から、画像生成ユニット140によって生成される際に用いられたウォールフィルタのカットオフ周波数が最低値であるカラードプラ画像を最適なカラードプラ画像として選択する。
具体的には、画像選択部274は、画像生成ユニット140によってカラードプラ画像が生成されるたびに、ドプラ処理ユニット232において設定されたカットオフ周波数を、カットオフ周波数記憶部284に格納する。このとき、画像選択部274は、画像生成ユニット140によって生成されたカラードプラ画像を識別する画像識別情報と、カットオフ周波数とを対応付けてカットオフ周波数記憶部284に格納する。なお、画像生成ユニット140は、第1の実施形態と同様に、最適なカラーゲインによりゲイン補正された血流情報からカラードプラ画像を生成する。
ここで、図14を用いて、カットオフ周波数記憶部284について説明する。図14は、カットオフ周波数記憶部284の一例を示す図である。図14に示すように、カットオフ周波数記憶部284は、「画像識別情報」、「カットオフ周波数」といった項目を有する。
「画像識別情報」は、カラードプラ画像を識別するための情報を示す。「カットオフ周波数」は、対応する画像識別情報が示すカラードプラ画像が生成される際に、ドプラ処理ユニット232のウォールフィルタに設定されたカットオフ周波数を示す。
例えば、図14に示したカットオフ周波数記憶部284は、画像識別情報が「1」であるカラードプラ画像が、ドプラ処理ユニット232のウォールフィルタにカットオフ周波数「f10」が設定された状態で生成されたことを示している。また、例えば、図14に示したカットオフ周波数記憶部284は、画像識別情報が「2」であるカラードプラ画像が、ドプラ処理ユニット232のウォールフィルタにカットオフ周波数「f20」が設定された状態で生成されたことを示している。
このようにしてカットオフ周波数記憶部284に各種データを格納した画像選択部274は、操作者から最適なカラードプラ画像を表示する旨の要求を受け付けた場合に、カットオフ周波数記憶部284に格納されているカットオフ周波数が最小値であるカラードプラ画像を、最適なカラードプラ画像として選択する。例えば、図14に示した例において、カットオフ周波数「f10」、「f20」、「f30」、「f40」、「f50」のうち、カットオフ周波数「f10」が最小値であったものとする。かかる場合には、画像選択部274は、カットオフ周波数「f10」に対応する画像識別情報「1」が示すカラードプラ画像を、最適なカラードプラ画像として選択する。
以下に、上記の画像選択部274による処理によって、最適なカラードプラ画像を選択できる理由について説明する。第1の実施形態において説明したように、画像生成ユニット140によって生成された複数のカラードプラ画像は、本来、ノイズがほぼ表示されず、かつ、血流情報等が正確に表示されるが、クラッタ成分が含まれる場合がある。ここで、ドプラ処理ユニット232は、カラードプラ画像に含まれるクラッタ成分が多いほど、高いカットオフ周波数を設定し、カラードプラ画像に含まれるクラッタ成分が少ないほど、低いカットオフ周波数を設定する。言い換えれば、ドプラ処理ユニット232によって設定されたカットオフ周波数が低いほど、カラードプラ画像に含まれるクラッタ成分が少ないことを示す。
このようなことから、第2の実施形態における画像選択部274は、画像生成ユニット140によって生成された同一の撮影位置における複数のカラードプラ画像から、画像生成時に用いられたカットオフ周波数が最低値であるカラードプラ画像を最適なカラードプラ画像として選択する。
次に、図15を用いて、第2の実施形態に係る超音波診断装置による処理の手順について説明する。図15は、第2の実施形態に係る超音波診断装置による処理手順を示すフローチャートである。なお、以下では、ゲイン選択部173によって最適なカラーゲインが設定されているものとする。
図15に示すように、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、操作者から撮影開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS401)。ここで、撮影開始要求を受け付けない場合には(ステップS401否定)、超音波診断装置は、待機状態となる。
一方、撮影開始要求を受け付けた場合には(ステップS401肯定)、ドプラ処理ユニット232は、最適なフィルタ特性を推定し、推定したフィルタ特性をウォールフィルタに設定する(ステップS402)。このとき、画像選択部274は、ドプラ処理ユニット232において設定されたカットオフ周波数を、カットオフ周波数記憶部284に格納する(ステップS403)。
ドプラ処理ユニット232は、最適なフィルタ特性を設定したウォールフィルタを用いて、超音波受信ユニット120から入力される反射波データから血流情報を算出する。そして、画像生成ユニット140は、ドプラ処理ユニット232によって算出された血流情報からカラードプラ画像を生成する(ステップS404)。このとき、画像選択部274は、画像生成ユニット140において生成されたカラードプラ画像の画像識別情報と、カットオフ周波数とを対応付けて、カットオフ周波数記憶部284に格納する。
そして、制御部270は、撮影終了要求を操作者から受け付けたか否かを判定し(ステップS405)、撮影終了要求を受け付けなかった場合には(ステップS405否定)、ステップS402に戻る。
一方、撮影終了要求を受け付けた場合(ステップS405肯定)、画像選択部274は、操作者から最適なカラードプラ画像を表示する旨の要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS406)。ここで、画像選択部274は、操作者から最適なカラードプラ画像を表示する旨の要求を受けない場合には(ステップS406否定)、処理を終了する。
一方、画像選択部274は、操作者から最適なカラードプラ画像を表示する旨の要求を受け付けた場合には(ステップS406肯定)、カットオフ周波数記憶部284に格納されているカットオフ周波数が最小値であるカラードプラ画像を、最適なカラードプラ画像として選択する(ステップS407)。そして、画像選択部274は、最適なカラードプラ画像をモニタ30に表示する(ステップS408)。
上述したように、第2の実施形態によれば、ドプラ処理ユニット232が、超音波プローブ10によって受信された受信信号に基づいて、ウォールフィルタのフィルタ特性を設定したうえで、かかる受信信号から所定の周波数帯を除去する。そして、画像生成ユニット140が、制御部170によって最適なカラーゲインを用いて画像生成処理を行うように制御された画像生成ユニット140が、ドプラ処理ユニット232によって生成された血流情報から、同一の撮影位置における複数のカラードプラ画像を生成し、生成した複数のカラードプラ画像を画像メモリ150に格納する。そして、画像選択部274が、画像メモリ150に記憶されている同一の撮影位置において生成された複数のカラードプラ画像から、画像生成ユニット140によって生成される際に用いられたウォールフィルタのカットオフ周波数が最低値であるカラードプラ画像を最適なカラードプラ画像として選択し、選択したカラードプラ画像をモニタ30に表示する。
これにより、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、カラードプラ画像のカラーピクセル数やカラーピクセル率を計数せずに、最適なカラードプラ画像を選択することができるので、処理負荷の増大を防止するとともに、クラッタ成分がほぼ含まれていないカラードプラ画像を表示することができる。すなわち、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、処理負荷の増大を防止するとともに、ノイズ及びクラッタ成分が含まれておらず、かつ、血流情報が正確に表示されるカラードプラ画像を表示することができる。
(第3の実施形態)
上記第1の実施形態では、被検体Pに超音波を送信し、被検体Pからの反射波信号を用いてカラードプラ画像を生成することで、最適なカラーゲインを選択する例を示した。第3の実施形態では、被検体Pに超音波を送信せずに、最適なカラーゲインを選択する例を示す。
まず、図16を用いて、第3の実施形態における制御部について説明する。図16は、第3の実施形態における制御部の構成例を示すブロック図である。なお、以下では、図4に示した処理部と同様の機能を有する処理部には同一符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。
また、第3の実施形態に係る超音波診断装置の構成は、図1に示した構成例と同様である。ただし、図16に示すように、第3の実施形態における記憶部180は、最適カラーゲイン記憶部384を有する。また、図16に示すように、第3の実施形態における制御部370は、ROI設定部371と、指標算出部372と、ゲイン選択部373を有する。
ROI設定部371は、操作者から撮影開始要求を受け付けた場合に、超音波送信ユニット110による処理を停止したうえで、関心領域の設定位置を一定時間間隔で変動させる。すなわち、ROI設定部371は、超音波診断装置による送信機能を停止するとともに、受信機能を起動させたうえで、関心領域の設定位置を変動させる。
このため、超音波受信ユニット120、ドプラ処理ユニット132及び画像生成ユニット140は、被検体Pからの反射波信号を受信しないが、超音波診断装置の周囲において発生するノイズ信号等を受信し、かかるノイズ信号等からカラードプラ画像を生成する。
そして、第3の実施形態におけるドプラ処理ユニット132は、第1の実施形態と同様に、超音波受信ユニット120から入力されるデータを、所定値間隔で異なる複数のカラーゲインによりゲイン補正することで、カラーゲイン毎に、血流情報を算出する。そして、画像生成ユニット140は、ドプラ処理ユニット132によって算出された血流情報からカラードプラ画像を生成する。
また、指標算出部372は、画像生成ユニット140によって生成されたカラードプラ画像毎に、カラーピクセル数を計数する。このとき、指標算出部372は、ROI設定部371によって設定された関心領域内のカラーピクセル数を計数する。そして、指標算出部372は、計数したカラーピクセル数と、関心領域内の全ピクセル数との割合であるカラーピクセル率を計数する。
また、第3の実施形態におけるゲイン選択部373は、指標算出部372によって計数されたカラーピクセル率に基づいて、関心領域毎に、最適なカラーゲインを選択する。なお、指標算出部372によって計数されたカラーピクセル率とカラーゲインとの関係は、図6に示した例と同様の波形を描く。したがって、ゲイン選択部373は、第1の実施形態と同様の処理を行うことにより、最適なカラーゲインを選択することができる。
すなわち、第3の実施形態における指標算出部372及びゲイン選択部373は、ROI設定部371によって設定された関心領域ごとに、第1の実施形態と同様の処理を行うことで、関心領域ごとに、最適なカラーゲインを選択する。そして、ゲイン選択部373は、関心領域と最適なカラーゲインとを対応付けて、最適カラーゲイン記憶部384に格納する。
ここで、図17を用いて、最適カラーゲイン記憶部384について説明する。図17は、最適カラーゲイン記憶部384の一例を示す図である。図17に示すように、最適カラーゲイン記憶部384は、「関心領域」、「最適カラーゲイン」といった項目を有する。
「関心領域」は、ROI設定部371によって設定される関心領域を示す。「最適カラーゲイン」は、ゲイン選択部373によって選択された最適なカラーゲインを示す。例えば、図17に示した最適カラーゲイン記憶部384は、関心領域が「R11」に設定された場合には、最適なカラーゲインが「G11」であることを示している。また、例えば、図17に示した最適カラーゲイン記憶部384は、関心領域が「R12」に設定された場合には、最適なカラーゲインが「G12」であることを示している。
このようにして、関心領域毎に最適なカラーゲインを選択した後に、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、操作者からの指示に従って、カラードプラ画像を生成する。このとき、ドプラ処理ユニット132は、操作者によって設定された関心領域に対応するカラーゲインを最適カラーゲイン記憶部384から取得し、取得したカラーゲインを用いて血流情報を算出する。
次に、図18を用いて、第3の実施形態に係る超音波診断装置による最適ゲイン選択処理の手順について説明する。図18は、第3の実施形態に係る超音波診断装置による最適ゲイン選択処理手順を示すフローチャートである。
図18に示すように、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、操作者から撮影開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS501)。ここで、撮影開始要求を受け付けない場合には(ステップS501否定)、超音波診断装置は、待機状態となる。
一方、撮影開始要求を受け付けた場合には(ステップS501肯定)、制御部370は、超音波送信ユニット110による処理を停止させ(ステップS502)、関心領域を設定する(ステップS503)。そして、ROI設定部371は、カウンタiを「1」に設定する(ステップS504)。
そして、ドプラ処理ユニット132は、制御部370による制御のもと、超音波受信ユニット120から入力される反射波データを、i番目のカラーゲインによりゲイン補正することで、血流情報を算出する(ステップS505)。そして、画像生成ユニット140は、ドプラ処理ユニット132によって算出された血流情報から、カラードプラ画像を生成する(ステップS506)。そして、指標算出部372は、画像生成ユニット140によって生成されたカラードプラ画像のうち、ステップS503において設定された関心領域内のカラーピクセル率を計数する(ステップS507)。
そして、制御部370は、カウンタiに「1」を加算して(ステップS508)、i番目のカラーゲインが、ドプラ処理ユニット132に通知したカラーゲイン最大値よりも大きいか否かを判定する(ステップS509)。ここで、i番目のカラーゲインがカラーゲイン最大値以下である場合には(ステップS509否定)、ステップS505に戻る。
一方、i番目のカラーゲインがカラーゲイン最大値よりも大きい場合には(ステップS509肯定)、ゲイン選択部373は、最適ゲイン選択処理を行う(ステップS510)。かかるゲイン選択部373による最適ゲイン選択処理は、図10に示した最適ゲイン選択処理と同様である。このとき、ゲイン選択部373は、ステップS503において設定された関心領域を識別する情報と、最適ゲイン選択処理において選択した最適なカラーゲインとを対応付けて、最適カラーゲイン記憶部384に格納する。
そして、制御部370は、最適ゲイン選択処理の対象となる関心領域の全てについて、最適ゲイン選択処理を行ったか否かを判定する(ステップS511)。ここで、全ての関心領域について最適ゲイン選択処理を行っていない場合には(ステップS511否定)、ステップS503に戻り、ROI設定部371は、未処理の関心領域を設定する(ステップS503)。
一方、全ての関心領域について最適ゲイン選択処理を行った場合には(ステップS511肯定)、処理を終了する。この後、超音波診断装置は、カラードプラ画像を生成する場合に、ドプラ処理ユニット132が、操作者によって設定された関心領域に対応するカラーゲインを最適カラーゲイン記憶部384から取得し、取得したカラーゲインを用いて血流情報を算出する。
上述したように、第3の実施形態によれば、ROI設定部371が、超音波送信ユニット110による処理を停止したうえで、一定時間間隔で関心領域を変動させる。そして、画像生成ユニット140が、ROI設定部371によって変動される関心領域毎にカラードプラ画像を生成する。そして、指標算出部372は、画像生成ユニット140によって生成されたカラードプラ画像毎に、カラーピクセル数を計数する。そして、ゲイン選択部373は、ROI設定部371によって変動される関心領域毎に、指標算出部372によって計数されたカラーピクセル数のうち隣接する2個のカラーゲインに対応する2個のカラードプラ画像のカラーピクセル数をそれぞれ抽出し、抽出した2個のカラーピクセル数の変動量が変動量閾値以上であるカラーゲイン群の最小値を最適なカラーゲインとして選択する。
これにより、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、最適なカラーゲインを設定することができる。特に、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、送信処理を行わず、受信処理のみを行って最適なカラーゲインを設定するので、超音波診断装置の内部回路等で発生するシステムノイズがカラードプラ画像に表示されないようなカラーゲインを設定することができる。
また、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、関心領域毎に最適なカラーゲインを設定するので、関心領域毎に、ノイズが含まれにくく、かつ、血流情報が正確に表示されるカラードプラ画像を生成することができる。例えば、ROI設定部371が、超音波プローブ10から被検体内部への深さ方向毎に、関心領域を変動させる場合には、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、深さ方向毎に、最適なカラーゲインを設定することができる。
なお、上記第3の実施形態では、送信処理を停止させた状態で、関心領域を複数設定し、あるいは関心領域を変動させることで、関心領域毎に最適なカラーゲインを推定する例を示した。しかし、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、送信処理を停止させた状態で、関心領域を変動させることなく、全ての関心領域に対して1つの最適なカラーゲインを推定してもよい。即ち、複数の関心領域を設定した場合,設定した全関心領域における処理結果に基づいて、カラー画像領域全体に適用するべき代表的な最適カラーゲインを1つ設定しても良い。代表的なカラーゲインの設定方法としては、関心領域それぞれで求められたカラーゲインの平均値を採用してもよいし、それぞれで求められたカラーゲインのうち最小値または最大値を採用してもよい。更に、関心領域の数は複数に限らず、1つとしても構わない。
(第4の実施形態)
上記第1の実施形態では、指標算出部172が、カラードプラ画像の分布を示す指標値として、カラーピクセル率を計数する例について示した。第4の実施形態では、カラードプラ画像の分布を示す指標値として、カラーピクセル率以外の情報を算出する例について説明する。
まず、図19を用いて、第4の実施形態における制御部について説明する。図19は、第4の実施形態における制御部470の構成例を示すブロック図である。なお、以下では、図4に示した処理部と同様の機能を有する処理部には同一符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。
また、第4の実施形態に係る超音波診断装置の構成は、図1に示した構成例と同様である。ただし、図19に示すように、第4の実施形態における記憶部180は、解析結果記憶部482を有する。また、図19に示すように、第4の実施形態における制御部470は、指標算出部472と、ゲイン選択部473を有する。
指標算出部472は、画像生成ユニット140によって生成されたカラードプラ画像毎に、かかるカラードプラ画像に割り当てられたカラーピクセルを解析することにより、カラードプラ画像に含まれるカラーピクセルの分布形状を指標値として求める。
具体的には、指標算出部472は、画像生成ユニット140によって各カラーゲインに対応するカラードプラ画像が生成された場合に、かかるカラードプラ画像の各々を画像メモリ150から順に取得し、カラードプラ画像の関心領域内に含まれるカラーピクセルの分布形状を算出する。そして、指標算出部472は、カラードプラ画像の生成時に用いられたカラーゲインと、かかるカラードプラ画像におけるカラーピクセルの分布形状を示す分布形状情報とを対応付けて、解析結果記憶部482に格納する。
ゲイン選択部473は、指標算出部472によって指標値として算出されたカラーピクセルの分布形状の比較に基づいて、表示用のカラーゲインを選択する。具体的には、ゲイン選択部473は、解析結果記憶部482に記憶されている分布形状情報のうち、隣接する2個のカラーゲインに対応する2個の分布形状情報をそれぞれ抽出し、抽出した2個の分布形状情報の変動量が所定の変動量閾値以上である場合に、かかる2個のカラーゲインのうち、小さい値を最適なカラーゲインとして選択する。
一例を挙げて説明すると、ゲイン選択部473は、第1の実施形態におけるゲイン選択部173と同様に、カラーゲインの最小値から順に、隣接する2個のカラーゲインに対応する2個の分布形状情報を取得する。そして、ゲイン選択部473は、例えば分布形状情報によって示される双方の分布形状をパターン解析するなどして、双方の分布形状の類似度を求める。そして、ゲイン選択部473は、かかる類似度が変動量閾値以上である場合に、かかる2個のカラーゲインのうち、小さい値を最適なカラーゲインとして選択する。
ここで、ゲイン選択部473による処理によって、最適なカラーゲインを選択できる理由について説明する。上記第1の実施形態で説明したように、超音波診断装置には、カラーゲインを上昇させていくと、所定のカラーゲインを境界としてカラードプラ画像に含まれるノイズが急激に増大するという特性がある。すなわち、一般的には、カラーゲインが小さい場合にはカラーピクセル率が低く、カラーゲインが大きい場合にはカラーピクセル率が高くなる。このため、カラーゲインを上昇させた場合に、所定値に達するまでは、各カラーゲインを用いて生成されたカラードプラ画像におけるカラーピクセルの分布形状には大きな差がないものの、カラーゲインが所定値に達してノイズが急激に増大すると、カラードプラ画像におけるカラーピクセルの分布形状が大きく変化するといえる。
例えば、カラーゲインとカラーピクセル率との関係が図6に示した例であるものとする。かかる場合に、カラーゲインが「38」〜「54」のときは、カラーピクセル率が大きく変動しないので、いずれのカラードプラ画像についても、図2に例示したようなカラードプラ画像となる。一方、カラーゲインが「55」以上のときは、カラーピクセル率が大きく変動するので、カラーゲインが大きくなるほど、図2に例示したようなカラードプラ画像から図3に例示したようなカラードプラ画像に急激に変化する。そして、図2と図3に例示したカラードプラ画像とを比較すると、カラーピクセルの分布形状に大きな差があることが分かる。このため、ゲイン選択部473は、カラーゲイン「55」を選択することにより、カラードプラ画像にノイズがほぼ表示されないカラーゲインのうち最大の値を選択することができる。
次に、図20を用いて、第4の実施形態に係る超音波診断装置による処理の手順について説明する。図20は、第4の実施形態に係る超音波診断装置による処理手順を示すフローチャートである。なお、図20に示した処理手順のうちステップS605及びS608における処理手順が、図10に示した処理手順と異なるので、以下では、ステップS605及びS608における処理手順を中心に説明する。
図20に示すように、第4の実施形態における画像生成ユニット140は、ドプラ処理ユニット132によって算出された血流情報から、カラードプラ画像を生成する(ステップS604)。そして、制御部470の指標算出部472は、画像生成ユニット140によって生成されたカラードプラ画像を解析することにより、かかるカラードプラ画像に含まれるカラーピクセルの分布形状を求める(ステップS605)。そして、指標算出部472は、分布形状を示す分布形状情報をカラーゲインと対応付けて解析結果記憶部482に格納する。
そして、制御部470は、カウンタiに「1」を加算して(ステップS606)、i番目のカラーゲインが、ドプラ処理ユニット132に通知したカラーゲイン最大値よりも大きいか否かを判定する(ステップS607)。そして、ゲイン選択部473は、最適ゲイン選択処理を行う(ステップS608)。なお、ゲイン選択部473による最適ゲイン選択処理については、図21を用いて詳述する。
この後、ドプラ処理ユニット132、画像生成ユニット140等は、ゲイン選択部473によって選択された最適なカラーゲインを用いて、カラードプラ画像を生成する(ステップS609)。
次に、図21を用いて、図20のステップS608に示した最適ゲイン選択処理の手順について説明する。図21は、第4の実施形態におけるゲイン選択部473による最適ゲイン選択処理手順を示すフローチャートである。
図21に示すように、ゲイン選択部473は、カウンタiを「1」に設定する(ステップS701)。そして、ゲイン選択部473は、解析結果記憶部482から、i番目のカラーゲインに対応する分布形状情報と、(i+1)番目のカラーゲインに対応する分布形状情報と取得し、取得した2個の分布形状情報を比較する(ステップS702)。例えば、ゲイン選択部473は、分布形状の変動量として、双方の分布形状の類似度を算出する。
そして、ゲイン選択部473は、分布形状の変動量が変動量閾値以上であるか否かを判定する(ステップS703)。ここで、ゲイン選択部473は、分布形状の変動量が変動量閾値よりも小さい場合には(ステップS703否定)、カウンタiに「1」を加算して(ステップS704)、ステップS702に戻る。
一方、ゲイン選択部473は、分布形状の変動量が変動量閾値以上である場合には(ステップS703肯定)、i番目のカラーゲインを最適なカラーゲインとして選択する(ステップS705)。
上述したように、第4の実施形態によれば、指標算出部472が、カラードプラ画像に割り当てられたカラーピクセルの分布形状を解析することにより指標値を求め、ゲイン選択部473が、複数のカラーゲインについて解析された指標値の比較に基づいて、最適なカラーゲインを選択する。これにより、第4の実施形態に係る超音波診断装置は、最適なカラーゲインを設定することができる。
パターン解析を用いた第4の実施形態の別の手段として、分布の形状を解析することにより、形状に応じた指標値を算出しても構わない。この場合、指標値算出部472は分布形状がノイズに由来する形状に近いと判断される場合には高い指標値を割り当てるよう制御する。具体的には、分布形状の指標値化は、例えばカラーピクセル分布の形状と指標値とを関連付けるスコアテーブルを予め指標算出部472に記憶し、該当スコアテーブルを読み出すことにより行われる。スコアテーブルには例えば、直線上にカラーピクセルが分布する形状に対しては低い指標値を、円状にカラーピクセルが分布する形状に対しては高い指標値を、外形がなく解析領域全面にカラーピクセルが分布する形状に対しては更に高い指標値を割り当てる。これにより、ノイズに由来するカラーピクセルがランダムに出現する現象を利用して、ノイズに由来するカラーピクセルに対して高い指標値を割り当てることができる。
なお、上記第1〜第4の実施形態では、カラードプラ画像に表示させる情報として、血流情報を例に挙げて説明したが、上記第1〜第4の実施形態に係る超音波診断装置は、血流情報以外の情報をカラードプラ画像に表示させる場合にも適用することができる。例えば、上記第1〜第4の実施形態に係る超音波診断装置は、カラードプラ画像に、組織ドプラ法によって各組織の移動情報を表示させる場合にも適用することができる。
また、上記第1〜第4の実施形態では、ドプラ処理ユニット132や232が、カラーゲインを用いて、超音波受信ユニット120から入力されるデータをゲイン補正する例を示したが、プリアンプ121が、カラーゲインを用いて、超音波プローブ10によって受信された受信信号をゲイン補正してもよい。かかる場合には、上記第1〜第4の実施形態におけるプリアンプ121が、ゲイン選択部173等によって選択された最適なカラーゲインを用いる。
また、上記第1、第2及び第4の実施形態では、カラードプラ画像に設定された関心領域内のカラーピクセル数を計数したり、関心領域内におけるカラーピクセルの分布形状を解析したりする例を示した。しかし、指標算出部172は、カラードプラ画像全体のカラーピクセル数を計数してもよいし、指標算出部472は、カラードプラ画像全体におけるカラーピクセルの分布形状を解析してもよい。
また、上記第3の実施形態における指標算出部372は、カラーピクセル数を計数するのではなく、第4の実施形態における指標算出部472と同様に、カラードプラ画像におけるカラーピクセルの分布形状を解析してもよい。そして、ゲイン選択部373は、第4の実施形態におけるゲイン選択部473と同様に、分布形状の変動に基づいて、最適なカラーゲインを選択してもよい。
また、上記第1〜第4の実施形態に係る超音波診断装置による処理は、超音波診断装置と画像処理装置とによって行われてもよい。この点について、図22を用いて説明する。図22は、画像処理システムの構成例を示す図である。図22に例示した画像処理システムには、超音波診断装置1と、ワークステーション等である画像処理装置2と、端末装置3とが含まれる。
超音波診断装置1及び画像処理装置2は、上記第1〜第4の実施形態において説明した超音波診断装置による処理を行う。例えば、超音波診断装置1が、図1に例示した超音波プローブ10と超音波送信ユニット110と超音波受信ユニット120とBモード処理ユニット131とドプラ処理ユニット132とを有し、画像処理装置2が、画像生成ユニット140と画像メモリ150と画像合成部160と制御部170と記憶部180とインタフェース部190とを有することで、超音波診断装置1及び画像処理装置2は、上記第1〜第4の実施形態において説明した超音波診断装置による処理を行う。また、例えば、超音波診断装置1が、図1に例示した超音波プローブ10と超音波送信ユニット110と超音波受信ユニット120とを有し、画像処理装置2が、Bモード処理ユニット131とドプラ処理ユニット132と画像生成ユニット140と画像メモリ150と画像合成部160と制御部170と記憶部180とインタフェース部190とを有することで、超音波診断装置1及び画像処理装置2は、上記第1〜第4の実施形態において説明した超音波診断装置による処理を行う。いずれの例であっても、超音波診断装置1及び画像処理装置2の双方が、CPUやインタフェース部を有する。このように、上記第1〜第4の実施形態において説明した超音波診断装置による処理は、超音波診断装置1と画像処理装置2とによって行われてもよい。なお、図22に示した例において、端末装置3は、医師等の利用者によって利用されるPC(Personal computer)等の情報処理装置であって、画像処理装置2に格納されるカラードプラ画像等を取得して所定の表示部に表示制御する。
以上説明したとおり、第1〜第4の実施形態によれば、最適なカラーゲインを設定することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。