JP5930883B2 - マルチワイヤ放電加工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、マルチワイヤ放電加工装置、マルチワイヤ放電加工方法、薄板製造方法、および半導体ウェハ製造方法に関し、特に、被加工物と、間隔を置いて配置された複数本のガイドローラに1本のワイヤ電極を巻きかけることによって形成された複数の切断ワイヤ部との間にパルス電圧を印加して、被加工物を複数片に放電切断するマルチワイヤ放電加工装置、マルチワイヤ放電加工方法、薄板製造方法および半導体ウェハ製造方法に関する。
1本のワイヤ電極を複数のガイドローラ間で巻回させることにより柱状の被加工物に対して複数の切断ワイヤ部を形成し、切断ワイヤ部と柱状の被加工物との間に独立にパルス電圧を印加し放電を発生させることで、被加工物から複数の薄板を一括して切り出すマルチワイヤ放電加工技術がすでに開示されている(例えば、特許文献1参照)。
上述の方法による薄板製造では、切断ワイヤ部と被加工物とが対向する部分の切断ワイヤ部に沿った長さ(切断幅)が切断位置によって変化する被加工物を切断する場合がある。例えば、スパッタリングターゲットや半導体インゴットの切断が、それに相当する。
このような被加工物の切断では、前述のように切断位置によって切断幅が変化するため、同一加工条件を用いているのにかかわらず加工状態が切断幅によって変化する。そのため、加工条件の設定によっては、切断加工中に加工が安定せずワイヤ電極の断線が生じる。ワイヤ電極の断線は、加工物不良につながるほか、再セットアップのために長時間要するため、生産性向上の観点からワイヤ電極の断線を回避する必要がある。このため従来の切断加工では、ワイヤ電極が断線しない加工条件の下で切断加工が行われていた。
上記背景から、特許文献2では、被加工物の切断幅に応じてパルス電圧を印加する周波数(パルス周波数)を変更し、放電を安定的に発生させワイヤ電極の断線抑制、加工時間の改善、および加工面精度の改善を行っている。
一方、一般的なワイヤ放電加工装置において、加工中に被加工物の切断幅を算出し、切断幅に応じて加工条件を逐次変更するワイヤ放電加工装置が発明されている(例えば、特許文献3参照)。該発明は、放電一発当たりの加工量、送り速度、平均加工電圧から板厚(即ち切断幅)を算出し、加工条件を変更するものである。これにより切断幅の変化する位置における加工精度の低下を抑えることができるようである。
また、ワイヤ放電加工装置では上下2箇所の給電子からワイヤ電極に対して電流を供給する方式が一般的であるが、これら2箇所の給電子近傍に電流センサを設け、ワイヤに流れる電流の分流比から放電位置を計測する技術が知られている(例えば、特許文献4参照)。さらに、この検出値の差の最大値と最小値より被加工物の上端、下端での放電位置を求め、放電位置の上端、下端より被加工物の厚さを求めている。また、この厚さに応じてメモリに記憶された加工条件を読み出し、自動的にこの読み出された加工条件に設定変更する手法が開示されている。
特許第3026106号公報 国際公開第2011/145390号 特開2010−173040号公報 特開平07−032217号公報
しかしながら、上記従来の技術、例えば特許文献2の方法では、切断幅を検出する手段が備えられていない。したがって、切断幅に応じてパルス周波数を変更するには、切断位置に対する被加工物の切断幅を予め計測し、切断位置に応じてパルス周波数を変更する必要があった。しかし上記方法では、被加工物の切断開始位置を定める必要があり、切断開始位置の定め方によっては、加工装置が認識している切断幅と実際の切断幅に誤差が生じ、安定的に加工状態を維持できず、ワイヤ電極の断線が生じるという問題があった。
また、特許文献1のような、間隔を置いて配置された複数本のガイドローラに1本のワイヤ電極を巻きかけることによって形成された複数の切断ワイヤ部との間にパルス電圧を印加して、被加工物を複数片に放電切断するマルチワイヤ放電加工装置では、切断ワイヤごとの平均加工電圧が得られるため、特許文献3の方法をそのまま適用することは出来ない。また、各切断ワイヤでは放電が時間的に集中して発生し、その後ある間隔で全く放電が発生しない状態が生じる場合があるため、放電が発生しない状態にある場合は、切断幅を誤検出するという問題がある。
さらに、各切断ワイヤ部は電気的に接続されているため、隣接ワイヤ部へ加工電流が流れ込む場合がある。したがって、供給する加工電力が供給している切断ワイヤ部で消費しているとは限らないため、特許文献3の算出式では、切断幅を誤検出する可能性があり、誤った加工条件によりワイヤ電極が断線するという問題があった。特許文献4の手法をマルチワイヤ放電加工装置に適用する場合は、隣接する切断ワイヤ部からの電流の回り込みにより、放電位置の検出に誤差が生じるため、正しく切断幅を検出することができないという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされるものであって、1本のワイヤ電極を複数のガイドローラ間で巻回させることにより柱状の被加工物に対して複数の切断ワイヤ部を形成し、切断ワイヤ部と柱状の被加工物との間に独立にパルス電圧を印加し放電を発生させるマルチワイヤ放電加工装置において、切断幅に応じて逐次加工条件を変更することで加工を安定させ、ワイヤ電極の断線を抑制するマルチワイヤ放電加工装置、マルチワイヤ放電加工方法、薄板製造方法、および半導体ウェハ製造方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ワイヤ電極を複数のガイドローラ間で巻回させることにより被加工物に対して複数の切断ワイヤを形成し、当該切断ワイヤと当該被加工物との間に独立にパルス電圧を印加して放電を発生させることにより当該被加工物を切断して複数の薄板を一括して切り出すマルチワイヤ放電加工装置において、前記切断ワイヤと前記被加工物との間にパルス電圧を印加するパルス電圧印加手段と、前記被加工物に対する加工状態を検出する加工状態検出手段と、前記切断ワイヤで発生する放電の位置である放電位置を算出する放電位置検出手段と、検出された前記加工状態と算出された前記放電位置に基づいて前記被加工物に対する加工条件を設定する加工条件切り替え手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、1本のワイヤ電極を複数のガイドローラ間で巻回させることにより被加工物に対して複数の切断ワイヤ部を形成し、切断ワイヤ部と被加工物との間にパルス電圧を印加し放電を発生させることで、被加工物から複数の薄板を一括して切り出すマルチワイヤ放電加工装置において、切断幅に適用した加工条件を設定することで放電を安定に維持し、ワイヤ電極の断線を抑制することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1に係るマルチワイヤ放電加工装置の概略構成を示す斜視図である。 図2は、本発明の実施の形態1に係るマルチワイヤ放電加工装置の加工制御装置の構成を示すブロック図である。 図3は、本発明の実施の形態1に係るマルチワイヤ放電加工装置の繰り出し側から数えてn番目の切断ワイヤ近傍の等価回路図である。 図4は、本発明の実施の形態3に係るマルチワイヤ放電加工装置における被加工物の切断方法を示した斜視図である。 図5は、本発明の実施の形態3に係る切断ワイヤごとの検出板厚/板厚最大値を示した図である。 図6は、本発明の実施の形態3に係る各切断ワイヤへの電圧印可のタイミングを示した図である。 図7は、本発明の実施の形態4に係るマルチワイヤ放電加工装置における被加工物の切断方法を示した斜視図である。
以下に、本発明にかかるマルチワイヤ放電加工装置、マルチワイヤ放電加工方法、薄板製造方法、および半導体ウェハ製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るマルチワイヤ放電加工装置100の概略構成を示す斜視図である。図1において、マルチワイヤ放電加工装置100は、ワイヤ電極2を繰り出すワイヤ繰り出しボビン1、第1のガイドローラ3a、第2のガイドローラ3b、第3のガイドローラ3c、第4のガイドローラ3d、およびワイヤ電極2を回収するワイヤ回収ボビン5を備える。第1〜第4のガイドローラ3a〜3dのそれぞれには1本のワイヤ電極2が順次巻き掛けられ、軸線方向に並行に並んだワイヤ電極2が配置されている。マルチワイヤ放電加工時において、ワイヤ電極2はボビン1から上記経路を経てワイヤ回収ボビン5まで走行する。
ワイヤ電極2のうち第3のガイドローラ3cと第4のガイドローラ3dとの間では、互いに平行に張られたワイヤ電極2からなる切断ワイヤ部2aが構成されている。被加工物8に対向して実際にワイヤ放電加工を行うそれぞれのワイヤ電極2を切断ワイヤとし、以下、切断ワイヤ部2aは複数の切断ワイヤの総称とする。この切断ワイヤ部2aと対向する被加工物8は図示しない位置制御装置により適切な極間距離に制御されながら切断方向に送られる。なお、加工液は図示しないが、通常のワイヤ放電加工と同様に、吹きかけもしくは浸漬により被加工物8とワイヤ電極2との間に供給されている。被加工物8と切断ワイヤ部2aとの間には通常のワイヤ放電加工装置と同様に吹きかけ、もしくは浸漬により加工液が供給される。
加工液ノズル9a,9b(加工液噴出手段)は、その加工液排出用の貫通孔内部を切断ワイヤが通過し、被加工物8の両側に配置される。被加工物8の両側に設置された加工液ノズル9a,9bの加工液排出孔と被加工物の端面との間隙は、密着加工できる場合には、0.1mm〜0.3mmに設定されるのが望ましい。また、部材種類や求められるスライス厚さによっては,加工液圧によるダメージを軽減するために、加工液ノズル9a,9bを被加工物8から50mm程度離して加工した方がよい場合もある。なお、図1の例では、被加工物8の両端に加工液ノズル9a,9bを設置しているが、片側から加工液を供給してもよく、加工液ノズル9a,9bの設置位置については特に限定しないものとする。
ワイヤ電極2のうち第3のガイドローラ3cと第4のガイドローラ3dとの間では、互いに平行に張られた複数のワイヤ電極2には、被加工物8を挟んでそれぞれ給電子ユニット71(71a,71b)が接触している。この給電子ユニット71a,71b(パルス電圧印加手段)は加工電源ユニット61とそれぞれ接続されており、各切断ワイヤ(と被加工物8との間)にパルス電圧を印加する。各給電子ユニット71は互いに絶縁された状態で一体化され給電子7を構成している。
各加工電源ユニット61は、各給電子ユニット71を介して切断ワイヤ部2aにそれぞれ独立に電圧を印加可能な構成になっており、そのグランドは共通化され被加工物8に接続されている。各加工電源ユニット61は、全体として加工電源6を構成している。加工電源6は、加工制御装置50(制御手段)の指令により、被加工物8と微小距離だけ離間した複数の切断ワイヤ部2aの間にパルス電圧を個別に印加して放電を生じさせることができる。なお、加工電源6がパルス電圧を印加する極性は、必要に応じて適宜反転させることができる。また、加工電源6には各加工電源ユニット61の出力電流を検出する電流センサと各切断ワイヤ部2aの電位差を計測する電圧センサが備えられているものとする。
被加工物8は、複数の薄板にスライス加工されるインゴット状(あるいは柱状)のものを用いることができる。また、その材質は、例えば、スパッタリングターゲットとなるタングステンやモリブデンなどの金属、各種構造部材として使われる多結晶シリコンカーバイトなどのセラミックス、半導体デバイスウェハとなる単結晶シリコンや単結晶シリコンカーバイトなどの半導体素材、太陽電池ウェハとなる単結晶および多結晶シリコンなどの太陽電池素材などがある。
上記のうち、金属は比抵抗が十分低く、放電加工の適用に支障はないが、半導体素材および太陽電池素材で放電加工が可能であるのは、比抵抗が概ね100Ωcm以下、望ましくは10Ωcm以下の素材である。
したがって、被加工物8としては、金属、もしくは比抵抗が金属と同等から100Ωcm以下、望ましくは10Ωcm以下の範囲の素材、特に上記範囲の比抵抗を有する半導体素材および太陽電池素材が好適である。
次に加工制御装置50について詳しく説明する。図2は、加工制御装置50の構成を示すブロック図である。加工制御装置50は、加工電源6から各加工電源ユニット61の出力電流および各切断ワイヤ部2aの電位差を取得することができる。加工制御装置50は、加工電源6から取得したデータに基づき加工状態検出手段51により各切断ワイヤでの加工状態を算出することができる。ここで加工状態とは各切断ワイヤ2aに印加する電圧や放電電流の平均値、放電パルス計数値、開放パルス計数値、即放電パルス計数値など、各切断ワイヤ部2aで進行している加工現象を捉える指標あり、加工状態検出手段51の形態は特に限定しないものとする。
加工制御装置50内の放電位置検出手段54は、検出された各加工電源ユニット61の出力電流および各切断ワイヤ部2aの電位差データから各切断ワイヤ2aで発生する放電の位置を算出することができる。また板厚検出手段52(切断幅検出手段)は、放電位置検出手段54で算出した各切断ワイヤ2aにおける放電発生位置の時系列データから切断幅を算出することができる。放電発生位置の時系列データは、切断ワイヤ半径程度の長さ、または切断ワイヤ半径以上の長さを切断したときの時系列データを利用することが望ましい。また放電発生位置の時系列データは、一定時間に発生した放電の放電発生位置を利用しても良く、放電発生位置の時系列データ量および取得形態は特に限定しないものとする。
加工条件切り替え手段53は、加工状態検出手段51および板厚検出手段52で検出された加工状態と切断幅検出結果に基づいて、加工電源制御手段55、加工位置制御手段56、加工液噴射制御手段57、ワイヤ走行速度制御手段58、およびワイヤ張力制御手段59などを制御することにより加工条件を適正な条件に設定することができる。ここで加工条件とは、各切断ワイヤ部2aへの印加電圧、パルス幅、パルス周波数、加工位置、加工液噴出量、ワイヤ走行速度、ワイヤ張力などである。
次に放電位置検出手段54における放電検出方法について説明する。
図3は、切断ワイヤ部2aにおいて、ワイヤ繰り出しボビン1に近い繰り出し側から数えてn番目の切断ワイヤ2an近傍の等価回路図である。n番目の切断ワイヤ2anは、n−1、n+1番目の切断ワイヤ2an-1、2an+1は、ワイヤ電極の抵抗RW,n-1、RW,n+1で電気的に接続されている。
前述のように、n番目の切断ワイヤ2anに接続されている加工電源ユニット61nは、加工電源ユニット61nからn番目の切断ワイヤ2anに給電する給電子71an、71bnへ流れる電流i´n,1、i´n,2を検出することができる。また、加工電源ユニット61nは、n番目の切断ワイヤ2anに給電する給電子71an、71bnへの印加電圧を検出することができる。
n番目の切断ワイヤ2anに放電が発生した場合、放電点20nから被加工物8へ放電電流in,1およびin,2が流れる。給電子71anを基準としたn番目の切断ワイヤ2anに発生した放電の位置l1は、放電電流in,1、in,2の比と事前に計測した切断ワイヤ部2aの長さLから以下の式(1)により算出される。
1=(L×in,1)/(in,1+in,2)・・・(1)
また、放電電流in,1およびin,2は、n−1、n+1番目の切断ワイヤ2an-1、2an+1に接続された加工電源ユニット61n-1および61n+1の検出情報を用いて、以下の式(2)のように算出される。だたし、en-1、en、en+1は,それぞれn−1、n、n+1番目の切断ワイヤ2an-1、2an、2an+1に接続された加工電源ユニット61n-1、61n、61n+1で計測された切断ワイヤ2an-1、2an、2an+1の電圧である。
n,1=i´n,1+(en-1−en)/RW,n-1
n,2=i´n,2−(en−en+1)/RW,n+1・・・(2)
また、n番目の切断ワイヤ2anに発生する放電の位置は、給電子71bnを基準とした放電位置として同様に算出してもよい。各加工電源ユニット61から切断ワイヤ部2aに流れる電流と各切断ワイヤ2an(n=1,2,・・・)の電圧を利用して切断ワイヤ部2aで発生した放電の位置を検出するもの方法であれば特に限定しないものとする。
本実施の形態で示す方式によれば、マルチワイヤ放電加工装置100において、給電子71an、71bnへ流れる電流i´n,1、i´n,2、さらに、n番目の切断ワイヤ2anでの電圧、n+1番目、n−1番目の切断ワイヤ2an+1、2an-1の電圧を検出し、これらを演算することによりn番目の切断ワイヤ2anでの放電位置を正確に計測することができる。特許文献4では、単にワイヤ部の両端の電流を計測するだけであるが、この方法をマルチワイヤ放電装置に適用することはできない。放電位置に流れる電流は、n番目の電流の分流比だけでなく、n+1番目、n−1番目から流入する電流が積算されるためである。したがって、マルチワイヤ放電装置においては、電流センサだけでなく、n番目および、隣接するラインの電圧値を計測し、演算する機構を設ける必要がある。
本実施の形態のように放電位置の計測が可能となれば、検出値の差の最大値と最小値より被加工物8の左端、右端での放電位置が求まり、この左端、右端から被加工物8の厚さが求まる。この厚さに応じて、加工条件切り替え手段53により自動的に最適な加工条件に設定変更する。即ち、放電位置の上限と下限をとることで、被加工物の切断幅を検出することができ、切断幅に応じた加工条件を与えることでワイヤ電極の断線を抑制、加工面のうねりを改善できる。これにより切断幅に応じて加工条件を変更してワイヤ電極の断線を抑制できる。
なお、本発明における実施の形態1では、切断ワイヤ部2aのすべての切断ワイヤに印加される電圧、および各加工電源ユニット61の出力電流から切断ワイヤ部2aの各切断ワイヤで発生する放電の位置を計測し、被加工物8の切断幅を算出しているが、いずれか1つの切断ワイヤに発生する放電位置情報から切断幅を算出しても良い。これにより、すべての切断ワイヤに切断幅検出手段を設置する必要がないため、低コストで切断幅検出手段を構成することができる。被加工物8の切断幅の算出に利用する切断ワイヤの数については特に限定しない。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係るマルチワイヤ放電加工装置100およびその加工制御装置50の構成を示したブロック図は図1および図2と同様である。しかし、各切断ワイヤ部2aで発生した放電の位置情報の時系列データを加工条件切り替え手段53が加工条件切り替え条件として利用する点が実施の形態1と異なる。その他の構成は本発明の実施の形態1と同じである。加工条件切り替え手段53は、放電位置検出手段54などから得た各切断ワイヤ部2aでの放電発生位置の時系列データから各切断ワイヤ部2aのある位置において放電が集中していることを検出することができる。切断ワイヤ部2aのある位置で放電が集中していると検出された場合、加工条件切り替え手段53は、加工電源制御手段55などを介して切断ワイヤ部2aの当該位置へ印加する電圧を下げる、またはパルス周波数を下げることができる。これにより放電が集中した切断ワイヤ部2aにおいて加工エネルギが過度に印加されることが避けられるため、ワイヤ電極の断線を抑制することができる。即ち、空間的な放電の集中を検出し加工条件を変更することによりワイヤ電極の断線を抑制できる。
実施の形態3.
図4は、本発明の実施の形態3に係るマルチワイヤ放電加工装置100における被加工物8の切断方法を示した斜視図である。被加工物8は、被加工物8と切断ワイヤ部2a1〜2a5の対向幅が互いに異なるように固定されている。
板厚検出手段52は、実施の形態1と同様に各切断ワイヤ2a1〜2a5で発生する放電位置から各切断ワイヤ2a1〜2a5と対向する被加工物8の板厚を検出することができる。加工電源制御手段55は、検出された各切断ワイヤ2a1〜2a5における被加工物8の板厚から各切断ワイヤ2a1〜2a5へのパルス電圧印可条件を変更することができる。ここで、パルス印加条件とは印加するパルス電圧、周波数、パルス幅などをいう。
ここでは、各切断ワイヤ2a1〜2a5へ印加するパルス電圧の周波数を変更する場合について説明する。図5は、切断ワイヤ2a1〜2a5ごとの検出板厚/板厚最大値を示した図である。いま、各切断ワイヤ2a1〜2a5で検出された板厚が、検出した板厚の最大値で正規化して図5のように表せたとする(この場合、切断ワイヤ2a3で検出された板厚が検出した板厚の最大値であるとする)。ただしα1、α2、α3、α4は、1未満の実数である。加工電源制御手段55は、各切断ワイヤ2a1〜2a5へ印加するパルス電圧の印加回数を図5に示す板厚の割合に応じて変更することができる。例えば、α1=1/2、α2=1/3、α3=1/4、α4=1/5であれば、各切断ワイヤ2a1〜2a5への電圧印可のタイミングはそれぞれ図6に示すA、B、C、D、Eのようなパルス電圧の印加パターンになる。
これにより、切断ワイヤごとに適正な加工エネルギを投入することができるため、製造される薄板の板厚を均一化することができる。また、被加工物8と切断ワイヤ部2aの対向幅に似応じて加工エネルギを変更できるため、すべての切断ワイヤ部2aにおいて加工状態を安定に保つことができ、ワイヤ電極2の断線を抑制することができる。
なお本実施の形態3では、5つの切断ワイヤ2a1〜2a5による切断方法について説明したが、切断ワイヤの数が必ずしも5つである必要はなく、板厚の割合に応じて各切断ワイヤへ印加するパルス電圧の条件を変更するものであれば特に限定されないものとする。また検出された板厚割合に応じて各切断ワイヤにおけるパルス電圧の印加回数を変更した例を示したが、板厚の割合に応じて印加電圧や周波数、パルス幅などの条件を変更するものであれば特に限定しない。
実施の形態4.
図7は、本発明の実施の形態4に係るマルチワイヤ放電加工装置100における被加工物8の切断方法を示した斜視図である。被加工物8は、材質の異なる第1の被加工物8aと第2被加工物8bからなる複合的な材料である。マルチワイヤ放電加工装置100は、第1の被加工物8aと第2の被加工物8bの形状を事前に取得することができる。加工条件切り替え手段53に制御される加工電源制御手段55は、切断ワイヤ部2aに放電が発生した後、放電位置検出手段54によって検出された放電位置により投入する加工エネルギを変更することができる。
これにより、放電1回当たりの加工量を第1の被加工物8aと第2の被加工物8bで等しくすることができるため、放電1回当たりの加工量の少ない被加工物に合わせて切断する必要がなく、切断加工を高速化することができる。また、第1の被加工物8aと第2の被加工物8bの加工量の違いにより突出した被加工物8に対して放電が集中して発生することが防止できるため、ワイヤ電極2の断線を抑制することができる。
なお、本実施の形態4では2種類の材質の被加工物8の切断について述べたが、複数の異種材料を同時に切断するものに対して、事前に被加工物8の形状を取得し、放電が発生した材料に応じて加工エネルギを変更するものであれば特に限定しない。
以上、実施の形態1乃至4に記載のマルチワイヤ放電加工装置を用いて被加工物を放電加工して薄板を切り出すことにより、切断幅変化に伴う加工の不安定化によるワイヤ電極の断線を抑制しつつ、被加工物を同時に加工できるため、高精度加工を実現しつつ生産性が改善される。例えば、実施の形態1乃至4に記載のマルチワイヤ放電加工装置により半導体インゴットから半導体ウェハを切り出す半導体ウェハ製造方法によれば、切断幅変化に伴う加工の不安定化によるワイヤ電極の断線を抑制しつつ、半導体ウェハなどの硬脆材料や高難削材の薄板を折損することなく製造することができる。
さらに、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。例えば、上記実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。更に、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以上のように、本発明にかかるマルチ加工装置、マルチワイヤ放電加工方法、薄板製造方法および半導体ウェハ製造方法は、切断位置によって切断幅が変化する材料の加工に対して有用であり、特に切断幅変化による安定した加工が維持できないことによるワイヤ電極の断線を抑制することが可能となる。従って、ワイヤ電極を複数のガイドローラ間で巻回することにより形成される複数の切断ワイヤを有する切断ワイヤ部と被加工物との間で放電を発生させることにより、被加工物から一括して複数の薄板材を切り出す方法に適している。
1 ワイヤ繰り出しボビン
2 ワイヤ電極
5 ワイヤ回収ボビン
6 加工電源
7 給電子
8 被加工物
2an-1、2an、2an+1 切断ワイヤ
2a 切断ワイヤ部
2b 給電子ワイヤ部
3a 第1のガイドローラ
3b 第2のガイドローラ
3c 第3のガイドローラ
3d 第4のガイドローラ
50 加工制御装置
51 加工状態検出手段
52 板厚検出手段
53 加工条件切り替え手段
54 放電位置検出手段
55 加工電源制御手段
56 加工位置制御手段
57 加工液噴射制御手段
58 ワイヤ走行速度制御手段
59 ワイヤ張力制御手段
61、61n-1、61n、61n+1 加工電源ユニット
71、71a、71b 給電子ユニット
9a、9b 加工液ノズル(加工液噴出手段)
W,n-1、RW,n+1 ワイヤ電極の抵抗

Claims (7)

  1. ワイヤ電極を複数のガイドローラ間で巻回させることにより被加工物に対して複数の切断ワイヤを形成し、当該切断ワイヤと当該被加工物との間に独立にパルス電圧を印加して放電を発生させることにより当該被加工物を切断して複数の薄板を一括して切り出すマルチワイヤ放電加工装置において、
    前記切断ワイヤと前記被加工物との間にパルス電圧を印加するパルス電圧印加手段と、
    前記被加工物に対する加工状態を検出する加工状態検出手段と、
    前記切断ワイヤに流れる放電電流と隣接する前記切断ワイヤの電圧差とから、前記切断ワイヤで発生する放電の位置である放電位置を算出する放電位置検出手段と、
    検出された前記加工状態と算出された前記放電位置に基づいて前記被加工物に対する加工条件を設定する加工条件切り替え手段と、
    を備える
    ことを特徴とするマルチワイヤ放電加工装置。
  2. 算出された前記放電位置に基づいて前記被加工物の切断幅を算出する切断幅検出手段をさらに備え、
    前記加工条件切り替え手段は、前記加工状態と算出された前記切断幅に基づいて前記被加工物に対する加工条件を設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のマルチワイヤ放電加工装置。
  3. 前記切断幅検出手段は、前記放電位置の時系列データから被加工物の切断幅を算出する
    ことを特徴とする請求項2に記載のマルチワイヤ放電加工装置。
  4. 前記切断幅検出手段は、前記放電位置の最大値と最小値から被加工物の切断幅を算出する
    ことを特徴とする請求項2またはに記載のマルチワイヤ放電加工装置。
  5. 前記切断幅検出手段は、いずれか1つの前記切断ワイヤの前記放電位置から前記切断幅を算出する
    ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のマルチワイヤ放電加工装置。
  6. 前記加工条件切り替え手段は、前記切断幅に基づいて前記被加工物に対するパルス電圧の印加パターンを決定する
    ことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のマルチワイヤ放電加工装置。
  7. 前記加工条件切り替え手段は、前記放電位置の時系列データに基づいて前記被加工物に対する加工条件を設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のマルチワイヤ放電加工装置。
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