JP5928395B2 - インジェクタの診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インジェクタの診断装置に関する。
従来、燃焼室に燃料を噴射するインジェクタを備える筒内直噴式の内燃機関が知られている。このような内燃機関として、例えば特許文献1には、燃焼室に燃料を噴射するインジェクタと、通電した場合に発熱するグロープラグとを備えた圧縮着火式の内燃機関が開示されている。なお、特許文献1に係る技術は、インジェクタが故障して燃料の噴射が必要以上に続行されることで燃焼室内に過剰な燃料が供給された場合に、この過剰な燃料をグロープラグによって着火させることを目的とした技術である。
特開平11−159381号公報
特許文献1に係る内燃機関において、インジェクタの温度が低温の場合、噴孔に凝縮水が付着することが考えられる。この具体例を挙げると、例えばインジェクタの温度が低温の場合、燃焼室内の酸成分が噴孔に結露することが考えられ、その結果、噴孔に酸成分を含んだ凝縮水が付着することが考えられる。このような凝縮水が噴孔に付着した場合、噴孔が腐食する可能性がある。しかしながら、特許文献1に係る技術では、このインジェクタの噴孔の腐食の有無を診断することはできなかった。
本発明は、インジェクタの噴孔の腐食の有無を診断することができるインジェクタの診断装置を提供することを目的とする。
本発明に係るインジェクタの診断装置は、通電した場合に発熱する発熱体を燃焼室に備えるとともに前記燃焼室に燃料を噴射するインジェクタを備える内燃機関の前記インジェクタの診断装置であって、前記インジェクタの燃料噴射量と所定の基準値との差が所定範囲内であり且つ前記発熱体に通電した場合の前記発熱体の温度または該温度と相関を有する指標が所定の基準値よりも低下した場合に、前記インジェクタの噴孔が腐食していると判定する診断部を備えることを特徴とする。
インジェクタの噴孔が腐食した場合、噴孔の燃料出口部分の径が広がるが、インジェクタの燃料噴射量は噴孔に腐食がない場合に比較して変化しない。一方、噴孔の燃料出口部分の径が広がった場合、インジェクタから噴射される燃料の広がり角は大きくなる。その結果、インジェクタから噴射された燃料の発熱体への付着量が多くなる。また発熱体に付着した燃料は蒸発する際に発熱体の熱を奪うため、発熱体の温度は、付着した燃料量が多いほど低下する。したがって、インジェクタの燃料噴射量と所定の基準値との差が所定範囲内であり且つ発熱体に通電した場合の発熱体の温度またはこの温度と相関を有する指標が所定の基準値よりも低下した場合には、インジェクタの噴孔が腐食していると判定することができる。よって、本発明によれば、インジェクタの噴孔の腐食の有無を診断することができる。
上記構成において、前記発熱体はグロープラグであってもよい。
本発明によれば、インジェクタの噴孔の腐食の有無を診断することができるインジェクタの診断装置を提供することができる。
図1は実施例に係る車両の全体構成を示す模式図である。 図2(a)および図2(b)はインジェクタの先端部近傍を拡大した模式的断面図である。図2(c)は内燃機関のグロープラグの近傍を拡大した模式的断面図である。 図3(a)および図3(b)は、インジェクタの噴孔を拡大した模式的断面図である。図3(c)は、噴孔から噴射される燃料の噴射率(dQ)の時間変化を示す模式図である。 図4(a)は、噴孔が腐食した場合における噴孔から噴射された燃料の噴霧状態の変化を示す模式図である。図4(b)はグロープラグの温度の時間変化を示す模式図である。図4(c)はグロープラグの電気抵抗値とグロープラグの温度との関係を示す模式図である。 図5はECUが実行する診断処理のフローチャートの一例を示す図である。 図6はインジェクタの燃料入口圧の時間変化を示す模式図である。 図7(a)は内燃機関の回転数の時間変化を示す模式図である。図7(b)はグロープラグの温度の時間変化を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の実施例に係るインジェクタの診断装置について説明する。まず本実施例に係るインジェクタの診断装置が適用される車両5の全体構成について説明し、次いでインジェクタの診断装置の詳細について説明する。図1は車両5の全体構成を示す模式図である。車両5は、ECU(Electronic Control Unit)10と、内燃機関20とを備えている。内燃機関20は、シリンダブロック21と、シリンダヘッド22と、ピストン23と、吸気通路30と、排気通路31と、EGR(Exhaust Gas Recirculation)通路40と、EGRクーラ41と、EGRバルブ42とを備えている。また内燃機関20は、クランクポジションセンサ50と、圧力センサ51と、コモンレール60と、インジェクタ70と、グロープラグ80とを備えている。
ECU10は内燃機関20を制御する制御装置としての機能を有するとともに、インジェクタ70の診断装置としての機能も有している。すなわち本実施例に係るインジェクタ70の診断装置は、ECU10によって実現されている。本実施例においては、ECU10の一例として、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12およびRAM(Random Access Memory)13を備えるコンピュータを用いる。CPU11は、インジェクタ70の異常の有無を診断する診断部としての機能を有するとともに内燃機関20を制御する制御部としての機能を有している。なお後述するフローチャートの各ステップはCPU11が実行する。ROM12およびRAM13は、CPU11の動作に必要な情報を記憶する記憶部としての機能を有している。
本実施例に係る内燃機関20は圧縮着火式の内燃機関であり、具体的には燃料として軽油を用いるディーゼルエンジンである。シリンダヘッド22は、シリンダブロック21の上部に配置されている。シリンダブロック21およびシリンダヘッド22には、気筒24が形成されている。ピストン23は、気筒24に配置されている。気筒24において、シリンダブロック21とシリンダヘッド22とピストン23とによって囲まれた領域を燃焼室25と称する。吸気通路30は燃焼室25に吸入される吸気が通過する通路であり、排気通路31は燃焼室25から排出された排気が通過する通路である。吸気通路30の上流側の端部からは、新気(排気を含まない空気)が吸気通路30に流入する。
EGR通路40は、吸気通路30の通路途中と排気通路31の通路途中とを連通している。EGR通路40は、燃焼室25から排出された排気の一部を吸気通路30に再循環させる通路である。これ以降、EGR通路40を通過して燃焼室25に導入される排気をEGRガスと称する。EGRクーラ41はEGR通路40に配置されている。EGRクーラ41はEGRガスを冷却する装置である。EGRバルブ42はEGR通路40に配置されている。具体的には本実施例に係るEGRバルブ42は、EGR通路40のEGRクーラ41よりも下流側に配置されている。但しEGRバルブ42のEGR通路40における具体的な配置箇所は、これに限定されるものではない。EGRバルブ42は、ECU10の制御部からの制御指令を受けて開閉することでEGRガスの量を調整する。
クランクポジションセンサ50は、内燃機関20のクランクシャフト(クランクシャフトはピストン23にコンロッドを介して接続されている)の位置を検出し、検出結果をECU10に伝える。圧力センサ51は、インジェクタ70に供給される燃料の圧力を検出し、検出結果をECU10に伝える。なお、圧力センサ51は、このような燃料の圧力を検出できるものであればその具体的な構成は特に限定されるものではないが、本実施例においては、圧力センサ51の一例として、i−ART(Intelligent Accuracy Refinement Technology)と称される噴射制御システムで用いられる圧力センサを用いることとする。この圧力センサ51は、具体的にはインジェクタ70の燃料入口圧を検出している。なお車両5は、これらのセンサ以外にも、例えばブレーキの開度を検出するブレーキ開度センサ、アクセルの開度を検出するアクセル開度センサ、車両5の車速を検出する車速センサ等、種々のセンサを備えている。
コモンレール60は高圧化された燃料(軽油)を蓄積する蓄圧パイプである。インジェクタ70は、コモンレール60に燃料通路を介して接続している。コモンレール60に蓄積された高圧の燃料は、インジェクタ70に供給される。インジェクタ70は、ECU10からの制御指令を受けて、燃焼室25に燃料を噴射する。すなわち本実施例に係る内燃機関20は、筒内直噴式の内燃機関である。本実施例に係るインジェクタ70は、シリンダヘッド22に配置されており、シリンダヘッド22の下面側からピストン23の頂面(上面)に向けて燃料を噴射する。但し、インジェクタ70の具体的な配置箇所は、燃焼室25に燃料を噴射できる箇所であれば、図1に図示されている箇所に限定されるものではない。
図2(a)および図2(b)はインジェクタ70の先端部近傍を拡大した模式的断面図である。インジェクタ70は、ボディ71と、ボディ71の内部に配置されたニードル弁72とを備えている。インジェクタ70は、ボディ71の先端部が燃焼室25内に露出するようにシリンダヘッド22に配置されている。なお本実施例において先端部とは、インジェクタ70の燃焼室25内に露出した部分のうちインジェクタ70の先端から所定距離後端側に至る範囲の部分をいい、具体的にはボディ71の先端の円錐形状を呈している部分(すなわちノズル形状を有している部分)をいう。なおインジェクタ70の後端部(先端部とは反対側の端部)には、前述したコモンレール60を経由した燃料が供給される。
ボディ71の先端部には、燃料を噴射する孔である噴孔73が形成されている。本実施例においてインジェクタ70は、複数の噴孔73を有している。但し、インジェクタ70が有する噴孔73の数は複数に限定されるものではなく、1でもよい。ニードル弁72は、ニードル弁72の中心軸74に沿った方向(以下、軸線方向と称し、図2(a)および図2(b)においては上下方向である)に変位することで、噴孔73からの燃料の噴射の開始および停止を行う。具体的にはインジェクタ70は、ニードル弁72を駆動するアクチュエータ(図示せず)を備えており、このアクチュエータがECU10の制御部からの制御指令を受けてニードル弁72を軸線方向に変位させている。
ニードル弁72の先端とボディ71との間にはサック室75が設けられている。ニードル弁72の外周面とボディ71の内周面との間には内部燃料通路76が設けられている。内部燃料通路76はインジェクタ70の内部に設けられた燃料通路である。ニードル弁72の先端部には、円錐台形状(円錐の先端を切断したような形状)を呈する部分が設けられており、この部分の表面をシート面77と称する。ボディ71の内周面にはシート面77に対応したテーパ形状の部分が設けられており、この部分をシート部78と称する。
図2(a)に示すように、シート面77がシート部78に接触していない場合、サック室75と内部燃料通路76とは連通状態となっている。この場合、内部燃料通路76の燃料(F)はサック室75に供給され、次いで噴孔73から噴射される。図2(b)に示すように、ニードル弁72が先端側に変位し、その結果、シート面77がシート部78に着座した場合(すなわち、シート面77がシート部78に接触した場合)、サック室75と内部燃料通路76とは遮断状態になる。この場合、噴孔73からの燃料噴射は停止される。このように本実施例に係るインジェクタ70は、シート面77がシート部78に着座した場合に噴孔73からの燃料噴射が停止し、シート面77がシート部78から離座した場合に噴孔73からの燃料噴射が開始する構造のインジェクタとなっている。
図2(c)は内燃機関20のグロープラグ80の近傍を拡大した模式的断面図である。グロープラグ80には、電気供給装置(図示せず)が電気的に接続している。グロープラグ80に電気供給装置から電気が供給された場合(すなわち、通電した場合)、グロープラグ80は発熱する。具体的にはグロープラグ80は、通電した場合にグロープラグ80の先端に設けられた発熱部81が発熱する。このようにグロープラグ80は、通電した場合に発熱する発熱体としての機能を有する部材である。本実施例に係るECU10の制御部は、電気供給装置を制御することでグロープラグ80への通電状態(具体的には通電開始、通電停止、通電量)を間接的に制御している。
グロープラグ80の発熱部81は燃焼室25に配置されている。その結果、本実施例に係る内燃機関20は、通電した場合に発熱する発熱体を燃焼室25に有していることになる。本実施例において、発熱部81の燃焼室25における配置箇所は、インジェクタ70から燃焼室25に噴射された燃料(F)が発熱部81に付着するような箇所である。具体的には、インジェクタ70の噴孔73から噴射された燃料は噴孔73を頂点とする扇形状の噴霧になる。この扇形状の噴霧の一部(図2(c)においては噴霧の上部部分)がグロープラグ80の発熱部81にかかるように、本実施例に係るグロープラグ80はシリンダヘッド22に配置されている。なお、グロープラグ80としては、例えばディーゼルエンジンの予熱栓として用いられる公知のグロープラグを用いることができるため、グロープラグ80の構造の詳細な説明は省略する。また本実施例においては、発熱体の一例としてグロープラグ80を用いているが、通電した場合に発熱する部材であれば、発熱体はグロープラグ80に限定されるものではない。
続いてECU10の詳細、具体的にはECU10のインジェクタ70の診断装置としての機能の詳細について説明する。本実施例に係るECU10の診断部は、インジェクタ70の異常の有無を診断する診断処理を実行する。具体的には診断部は、診断処理において、インジェクタ70の噴孔73の腐食の有無を診断する。まず本実施例に係る噴孔73の腐食の有無の診断原理と、診断処理の概要とについて説明する。図3(a)および図3(b)は、インジェクタ70の噴孔73を拡大した模式的断面図である。具体的には図3(a)は噴孔73が腐食していない場合を示し、図3(b)は噴孔73が腐食した場合を示している。図3(a)および図3(b)を比較すると分るように、噴孔73が凝縮水によって腐食した場合、噴孔73の燃料出口部分の径が拡大する(図3(b)において丸で囲んだ領域参照)。
ここで、噴孔73が腐食して噴孔73の燃料出口部分の径が拡大しても、噴孔73から噴射される燃料の量(以下、燃料噴射量と称する場合がある)は、噴孔73が腐食する前に比較して変化しない。この理由について、図を用いて説明すると次のようになる。図3(c)は、噴孔73から噴射される燃料の噴射率(dQ)の時間変化を示す模式図である。具体的には図3(c)は、噴孔73が腐食した場合(腐食有)の噴射率(dQ)の時間変化と、噴孔73が腐食していない場合(腐食無)の噴射率の時間変化とを模式的に図示している。なお噴射率とは、単位時間当たりの燃料噴射量をいう。
噴孔73から噴射される燃料の噴射率(dQ)は下記式(1)によって表すことができる。
dQ=Cd×A×(2×△P/ρ)1/2・・・(1)
式(1)において、Cdは燃料の流量係数であり、Aは、噴孔73の燃料出口部分の面積であり、△Pは、サック室75と噴孔73の外側との圧力差であり、ρは燃料の密度である。式(1)から、噴孔73の燃料出口部分の径が拡大した場合(すなわちAが大きくなった場合)、燃料の噴射率(dQ)も大きくなることが分る。実際に図3(c)において、噴孔73が腐食している場合(腐食有)の方が噴孔73が腐食していない場合(腐食無)よりも、噴射率の最大値(すなわち最大噴射率)は上昇している。
一方、噴孔73の燃料出口部分の径が拡大した場合、サック室75の圧力は低下する。その結果、ニードル弁72がサック室75から受ける圧力(これは、ニードル弁72を後端側に押し上げる力、すなわちリフトさせる力である)が低下する。その結果、ニードル弁72の閉弁速度が上昇する。つまり、ニードル弁72が早く閉じるようになる。その結果、噴孔73から燃料が噴射されている期間(噴射期間)が短縮する。実際に図3(c)において、噴孔73が腐食している場合の方が噴孔73が腐食していない場合よりも噴射期間は短くなっている。
このように噴孔73が腐食して噴孔73の燃料出口部分の径が拡大した場合、最大噴射率は上昇するが、噴射期間は短くなるため、噴孔73からの燃料噴射量は、噴孔73が腐食していない場合に対して変化しない。
一方、噴孔73が腐食して噴孔73の燃料出口部分の径が拡大した場合、次に説明するように、噴孔73から噴射される燃料の広がり角は変化する。図4(a)は、噴孔73が腐食した場合における噴孔73から噴射された燃料の噴霧状態の変化を示す模式図である。なお図4(a)は、内燃機関20のグロープラグ80の近傍を拡大して模式的に断面図示している。図4(a)には、腐食していない噴孔73から噴射された燃料の噴霧状態(腐食無)と、腐食した噴孔73から噴射された燃料の噴霧状態(腐食有)とが模式的に図示されている。
図4(a)を参照して、噴孔73が腐食して噴孔73の燃料出口部分の径が拡大した場合、噴孔73から噴射される燃料の広がり角(α)は拡大する。その結果、インジェクタ70から噴射された燃料のグロープラグ80への付着量(具体的には発熱部81への付着量)は多くなる。なお本実施例において、噴孔73から噴射される燃料の広がり角(α)とは、具体的には次のことをいう。図2(c)において前述したように、1つの噴孔73から噴射された燃料は、噴孔73の燃料出口部分の断面中心を頂点とする扇形状の噴霧となって燃焼室25内に噴射される。噴孔73から噴射される燃料の広がり角(α)とは、この扇形状の燃料噴霧の頂角をいう。
噴孔73が腐食した結果、グロープラグ80への燃料の付着量が多くなった場合、次に説明する現象が生じる。図4(b)は、グロープラグ80の温度の時間変化を示す模式図である。図4(b)の縦軸は、グロープラグ80の温度、具体的には発熱部81の温度を示している。図4(b)の横軸は、時間を示している。図4(b)の時間tは、グロープラグ80への通電が開始された時刻である。グロープラグ80に付着した燃料は、グロープラグ80の発熱部81が発熱した場合に蒸発するが、このとき燃料はグロープラグ80の熱を奪う。そのため、グロープラグ80への燃料付着量が多いほど、グロープラグ80の温度は低下する。その結果、グロープラグ80の温度上昇速度は低下する。したがって、図4(b)に示すように、噴孔73が腐食しておらず、その結果、発熱部81への燃料付着量が相対的に低い場合(実線)よりも、噴孔73が腐食して発熱部81への燃料付着量が相対的に多い場合(点線)の方が、グロープラグ80の温度上昇速度が低下している。
なお、図4(b)の縦軸をグロープラグ80の温度と相関を有する指標に変更しても、図4(b)の縦軸がグロープラグ80の温度の場合と同様の図になる。ここで、グロープラグ80の温度と相関を有する指標の一例として、グロープラグ80に通電したときのグロープラグ80の電気抵抗値が挙げられる。図4(c)は、グロープラグ80の電気抵抗値とグロープラグ80の温度との関係を示す模式図である。なお図4(c)のグロープラグ80の温度は、具体的には発熱部81の温度である。図4(c)に示すように、グロープラグ80の電気抵抗値が上昇するほどグロープラグ80の温度も上昇している。このようにグロープラグ80の電気抵抗値とグロープラグ80の温度とは、正の相関関係を有している。そのため、図4(b)の縦軸をグロープラグ80の電気抵抗値に変更しても、図4(b)の縦軸がグロープラグ80の温度の場合と同様の図になる。
以上をまとめると、インジェクタ70の噴孔73が腐食した場合、噴孔73の燃料出口部分の径が広がる。この場合、インジェクタ70の燃料噴射量は噴孔73が腐食していない場合に比較して変化しない。一方、噴孔73の燃料出口部分の径が広がった場合、インジェクタ70から噴射される燃料の広がり角は大きくなる。その結果、インジェクタ70から噴射された燃料のグロープラグ80への付着量が多くなる。またグロープラグ80に付着した燃料は蒸発する際にグロープラグ80の熱を奪うため、グロープラグ80の温度は、付着した燃料量が多いほど低下する。
この性質を利用して、本実施例に係るECU10の診断部は、インジェクタ70の燃料噴射量と所定の基準値との差が所定範囲内であり且つグロープラグ80に通電した場合のグロープラグ80の温度またはこの温度と相関を有する指標が所定の基準値よりも低下した場合に、インジェクタ70の噴孔73が腐食していると判定する。このECU10が実行するインジェクタ70の診断処理の詳細について、フローチャートを用いて説明すると次のようになる。
図5はECU10が実行する診断処理のフローチャートの一例を示す図である。ECU10は図5のフローチャートを所定周期で繰り返し実行する。まず、ECU10の診断部は、微小噴射量学習条件が満たされたか否かを判定する(ステップS10)。微小噴射量学習条件は、後述するステップS20を実行することを開始するための条件である。本実施例においては、微小噴射量学習条件として、車両5のユーザによるアクセル操作に影響されずに、後述するステップS20を実行して燃料噴射量を取得できると考えられる条件を用いる。このような微小噴射量学習条件の一例として、本実施例では、インジェクタ70からの燃料噴射を停止させる燃料カット制御の実行中であるとの条件を用いる。具体的には本実施例に係るECU10の制御部は、車両5のアクセル開度が減少することで内燃機関20の回転数(rpm)が減速した場合に、インジェクタ70からの燃料噴射を停止させる燃料カット制御を実行する。ECU10の診断部は、ステップS10において、燃料カット制御の実行中であるか否かを判定する。その結果、診断部は、燃料カット制御の実行中であると判定した場合に微小噴射量学習条件が満たされた(Yes)と判定し、燃料カット制御が実行中でないと判定した場合に微小噴射量学習条件が満たされない(No)と判定する。
ステップS10でNoと判定された場合、診断部はフローチャートの実行を終了する。ステップS10でYesと判定された場合、診断部はインジェクタ70からの燃料噴射量(Qv)を取得する(ステップS20)。本実施例に係るステップS20は次のように実行される。まずステップS20において診断部は、インジェクタ70から所定の目標燃料噴射量(これを第1目標燃料噴射量と称する)の燃料が噴射されるようにインジェクタ70に制御指令を与える。この第1目標燃料噴射量は、内燃機関20が通常運転されている場合の燃料噴射量よりも少ない量(つまり微小量)である。この制御指令を受けたインジェクタ70は、実際に燃料を噴射する。診断部は、このときの内燃機関20の回転数の変化量をクランクポジションセンサ50の検出結果に基づいて取得する。そして診断部は、取得された内燃機関20の回転数の変化量に基づいて、インジェクタ70から実際に噴射された燃料の量である燃料噴射量(Qv)を取得する。より具体的にこれを説明すると、次のようになる。
まず、燃料カット制御の実行された場合にステップS20においてインジェクタ70から燃料が噴射された場合、内燃機関20の回転数は、ステップS20において燃料が噴射されない場合に比較して、インジェクタ70から噴射された燃料の量の分、増加する。診断部は、このステップS20において燃料が噴射されることによる回転数の増加量を取得する。そして診断部は、取得された回転数の増加量に基づいて、実際のインジェクタ70からの燃料噴射量(Qv)を取得する。なお、例えば燃料カット制御が実行されたことで内燃機関20の回転数が減少している最中にステップS20において燃料噴射が実行された場合、内燃機関20の回転数の低下量は、ステップS20においてインジェクタ70から噴射された燃料の量の分だけ減少する(つまり、回転数の低下速度が減少する)。そのため、このように内燃機関20の回転数が減少している最中にステップS20において燃料噴射が実行された場合には、ステップS20において診断部は、燃料が噴射されることによる回転数の低下量の減少量に基づいて、実際のインジェクタ70からの燃料噴射量(Qv)を取得してもよい。なお診断部は、このように内燃機関20の回転数の増加量または回転数の低下量の減少量に基づいて燃料噴射量(Qv)を取得するにあたり、回転数の増加量または回転数の低下量の減少量と燃料噴射量(Qv)とを関連付ける所定の関係式またはマップを用いて、燃料噴射量(Qv)を取得すればよい。
またステップS20の具体的な実行手法は、インジェクタ70から実際に噴射された燃料噴射量(Qv)を取得できるものであれば、上記手法に限定されるものではない。他の例を挙げると、例えば診断部は、燃料カット制御が実行された場合に、第1目標燃料噴射量の燃料が噴射されるようインジェクタ70に制御指令を与え、このときのインジェクタ70に供給される燃料の圧力変化を圧力センサ51(具体的には本実施例においてはi−ARTの圧力センサ)の検出結果に基づいて取得する。そして診断部は、この圧力センサ51が検出した燃料の圧力変化に基づいて、インジェクタ70が実際に噴射した燃料噴射量(Qv)を取得することもできる。これを図を用いて具体的に説明すると、次のようになる。
図6はインジェクタ70の燃料入口圧の時間変化を示す模式図である。図6の縦軸はインジェクタ70の燃料入口圧を示し、横軸は時間を示している。なお、燃料入口圧とは、インジェクタ70の燃料が導入される部分(つまり燃料入口)の圧力をいう。本実施例においては、圧力センサ51の検出結果を燃料入口圧として用いる。図6において、時間tはインジェクタ70からの燃料噴射が開始された時刻である。インジェクタ70から燃料が噴射されると、燃料入口圧は基準圧(燃料噴射が開始される前の燃料入口圧)よりも一旦低下する。この燃料入口圧の基準圧からの低下量(これは、図6においてハッチングによって図示されている)は、インジェクタ70から実際に噴射された燃料量と相関を有しており、インジェクタ70からの燃料噴射量が多いほど、この燃料入口圧の低下量も多くなる。そこで、ECU10の診断部はステップS20において、圧力センサ51の検出結果に基づいてインジェクタ70の燃料入口圧の低下量を検出し、この検出結果に基づいてインジェクタ70が実際に噴射した燃料噴射量(Qv)を取得することができる。このようにステップS20は種々の手法によって実行することができる。
なおECU10の診断部は、ステップS20で取得した燃料噴射量(Qv)が制御指令値である第1目標燃料噴射量と異なる値であった場合には、次回、図5のフローチャートを実行する場合に、第1目標燃料噴射量を補正する補正処理を実行することが好ましい。実際に本実施例に係るECU10は、この第1目標燃料噴射量の補正処理を実行することとする。具体的にはこの場合、ECU10の診断部は、ステップS20において燃料噴射量(Qv)を取得した後に、第1目標燃料噴射量とステップS20で取得された燃料噴射量(Qv)との差(以下、噴射量差と称する)を取得する。そして診断部は、次回ステップS20を実行する場合には、この噴射量差が無くなるように第1目標燃料噴射量を補正し、インジェクタ70に対して補正後の第1目標燃料噴射量の燃料が噴射されるように制御指令を与える。この構成によれば、インジェクタ70から実際に噴射される燃料の量を制御指令値と合わせることができる。
なお上述したように、本実施例に係る診断部はステップS10でYesと判定された場合にステップS20を実行することで、ステップS20において、燃料カット制御の実行中に微小量の燃料がインジェクタ70から噴射されたときの燃料噴射量(Qv)を取得しているが、ステップS20の具体的内容はこれに限定されるものではない。例えば診断部は、燃料カット制御が実行されていない場合(例えば内燃機関20が通常運転している場合)に、所定量の燃料をインジェクタ70から噴射させ、このときの燃料噴射量(Qv)を取得してもよい。しかしながら、本実施例のように燃料カット制御の実行中にステップS20が実行された場合の方が、前述したように、ユーザのアクセル操作に伴う燃料噴射量の変動の影響を排除して容易に燃料噴射量を取得することができる点で好ましい。より詳細にこれを説明すると次のようになる。
燃料カット制御が実行されていない場合にステップS20が実行された場合、ステップS20で噴射される燃料の他に、ユーザのアクセル操作に応じた燃料もインジェクタ70から噴射されるため、ステップS20において、ステップS20で噴射される微小燃料量のみを抽出することが困難になることが考えられる。そのため、本実施例のように燃料カット制御の実行中にステップS20が実行される方が、ユーザのアクセル操作に伴う燃料噴射量の変動の影響を排除して容易に燃料噴射量を取得することができる点で好ましい。また本実施例のように、燃料カット制御の実行中に微小量の燃料を噴射したときの燃料噴射量(Qv)を取得する方が、燃料カット制御の実行中に通常量(微小量よりも多い量である)の燃料を噴射したときの燃料噴射量を取得するよりも、燃費を向上させることができる点においても好ましいといえる。
ステップS20の後にECU10の診断部は、内燃機関20の運転状態が噴孔73の腐食診断を実行するのに適した状態であるという条件である腐食診断条件が満たされたか否かを判定する(ステップS30)。具体的には本実施例に係る診断部はステップS30において、内燃機関20の運転状態が腐食診断を実行するのに適した状態であると判定した場合、腐食診断条件が満たされたと判定する。
本実施例においては腐食診断条件の一例として、内燃機関20の暖機が完了し且つ燃料カット制御の実行中であるという条件を用いる。燃料カット制御の実行中には、インジェクタ70からの燃料噴射が停止されているため、運転に必要な燃料のグロープラグ80への付着が抑制されている。そのため、燃料カット制御の実行中に腐食診断を実行する場合の方が、燃料カット制御の実行中以外の場合に腐食診断を実行する場合よりも、グロープラグ80の温度変化を精度よく検知できる点で好ましい。また、内燃機関20の暖機が完了していない場合(つまり内燃機関20が冷間運転時の場合)、内燃機関20を暖機するのに燃料が必要なため、燃料カット制御を実行しない方がよいと考えられる。したがって、内燃機関20の暖機が完了し且つ燃料カット制御の実行中の場合、内燃機関20の運転状態は腐食診断を実行するのに適した状態であるといえる。そのため、本実施例においては、腐食診断条件の一例として、内燃機関20の暖機が完了し且つ燃料カット制御の実行中であるという条件を用いている。
但し、腐食診断条件の具体例はこれに限定されるものではない。また、燃料カット制御が実行されていない場合であっても噴孔73の腐食診断は可能であり、内燃機関20が冷間時の場合であっても噴孔73の腐食診断は可能である。そのため、診断部はステップS30を実行せずにステップS20の後に後述するステップS40を実行してもよい。
ステップS30において内燃機関20の暖機が完了していない、または燃料カット制御の実行中でないと判定されることで、腐食診断条件が満たされないと判定された場合(Noの場合)、診断部はフローチャートの実行を終了する。ステップS30において内燃機関20の暖機が完了し且つ燃料カット制御の実行中であると判定されることで腐食診断条件が満たされたと判定された場合(Yesの場合)、診断部はグロープラグ80への通電を開始するとともに、インジェクタ70から所定の目標燃料噴射量(これを第2目標燃料噴射量と称する)の燃料が噴射されるようにインジェクタ70に制御指令を与える(ステップS40)。なおステップS40においてグロープラグ80への通電が開始されることで、グロープラグ80の発熱部81は発熱する。
ステップS40でインジェクタ70から噴射される燃料は、グロープラグ80の発熱部81に燃料を付着させることを目的とした燃料噴射である。そのため、第2目標燃料噴射量の具体的な値は、グロープラグ80の発熱部81に付着する程度の燃料噴射量であれば特に限定されるものではなく、第1目標燃料噴射量よりも多くてもよく、少なくてもよく、あるいは第1目標燃料噴射量と同じであってもよい。また、本実施例において、ステップS40に係るグロープラグ80への通電は、後述するステップS50の実行が終了するまでの間、実行される。
また本実施例に係る診断部は、ステップS40においてインジェクタ70から燃料を噴射させるにあたり、噴射された燃料が内燃機関20のトルクに寄与しないような時期に燃料を噴射させる。このような時期の一例として、内燃機関20の膨張行程、より具体的には膨張行程の後期を用いることができる。あるいは、このような時期の他の例として、ポスト噴射(メイン噴射が実行される時期よりも遅角した時期に実行される噴射)が実行される時期を用いることもできる。本実施例に係る診断部は、膨張行程の後期においてインジェクタ70から燃料を噴射させることとする。すなわち本実施例に係る診断部はステップS40において、グロープラグ80への通電を開始するとともに、膨張行程の後期においてインジェクタ70から燃料を噴射させている。本実施例のように噴射された燃料が内燃機関20のトルクに寄与しないような時期に燃料が噴射されることで、噴射された燃料によるトルク変動を抑制することができる。
ステップS40の後に診断部は、グロープラグ80の温度(Tg)を取得する(ステップS50)。なおステップS50は、グロープラグ80への通電中に実行される。また診断部は、グロープラグ80への通電を開始してから所定時間経過した時点におけるグロープラグ80の温度(Tg)を取得する。
ここで、図4(c)において前述したように、グロープラグ80の温度はグロープラグ80の電気抵抗値と相関を有しているため、本実施例に係る診断部は、グロープラグ80の電気抵抗値に基づいてグロープラグ80の温度を取得する。具体的には本実施例に係るECU10の記憶部には、図4(c)に示すようなグロープラグ80の温度を電気抵抗値に関連付けて規定したマップが予め記憶されている。また内燃機関20は、グロープラグ80の電気抵抗値を検出する抵抗センサ(図示せず)を備えている。ECU10の診断部は、グロープラグ80への通電を開始してから所定時間経過した時点におけるグロープラグ80の電気抵抗値を抵抗センサの検出結果に基づいて取得する。そして診断部は、取得された電気抵抗値に対応するグロープラグ80の温度を記憶部のマップから抽出し、抽出されたグロープラグ80の温度をステップS50のグロープラグ80の温度(Tg)として用いる。
但し、ステップS50の具体的な実行手法は上記手法に限定されるものではない。他の例を挙げると、例えば内燃機関20がグロープラグ80の温度(Tg)を直接検出可能な温度センサを備えている場合、診断部はこの温度センサの検出結果に基づいて、グロープラグ80の温度(Tg)を取得してもよい。また本実施例においてステップS50で取得されるグロープラグ80の温度(Tg)は、具体的にはグロープラグ80の発熱部81の温度である。但し、ステップS50で取得されるグロープラグ80の温度(Tg)は、噴孔73が腐食してグロープラグ80に付着した燃料量が多くなった場合におけるグロープラグ80の温度変化を検出できるような箇所であれば、発熱部81の温度に限定されるものではない。
ステップS50の後に診断部は、ステップS20で取得した燃料噴射量(Qv)が所定の基準値と略同一であるか否かを判定する(ステップS60)。具体的には本実施例に係る診断部はステップS60において、ステップS20で取得した燃料噴射量(Qv)と所定の基準値との差を取得し、この取得された差が所定範囲内であるか否かを判定することで、ステップS20で取得した燃料噴射量(Qv)が所定の基準値と略同一であるか否かを判定する。なお本実施例において、燃料噴射量(Qv)が所定の基準値と略同一であるとは、燃料噴射量(Qv)が所定の基準値と同一である場合も含み、且つ燃料噴射量(Qv)が所定の基準値と若干異なっている場合も含むという意味である。また、上述した所定範囲は、ステップS20で取得した燃料噴射量(Qv)と所定の基準値との差が略同一と考えられるような範囲内であればよく、その具体的な数値は特に限定されるものではない。この所定範囲の具体的数値は、燃料噴射量の測定誤差を考慮して適切な値を選択すればよい。
ここで、本実施例においては、ステップS60で用いられる基準値として、噴孔73が腐食していないインジェクタ70を用いて、ステップS20と同じ条件下で取得した燃料噴射量を用いる。具体的には本実施例においては、噴孔73が腐食していないインジェクタ70として、新品のインジェクタ70(すなわち出荷時のインジェクタ70)を用いる。そして、この新品のインジェクタ70に対して、ステップS20の場合と同じ第1目標燃料噴射量が噴射されるようにインジェクタ70に制御指令を与えたときの実際の燃料噴射量をステップS20と同じ手法に基づいて取得しておき、この取得された燃料噴射量を基準値として記憶部に記憶させておく。診断部はステップS60において、ステップS20で取得した燃料噴射量(Qv)と記憶部に記憶されている基準値との差が略同一といえるような所定範囲内であるか否かを判定している。
なお上述したように本実施例に診断部はステップS60において燃料噴射量(Qv)が所定の基準値と略同一であるか否かを判定しているが、これに限定されるものではない。診断部はステップS60において、燃料噴射量(Qv)が所定の基準値と同一であるか否かを判定してもよい。しかしながら、ステップS20で取得される燃料噴射量(Qv)には、ある程度の誤差を含んでいる可能性があることが考えられ、またステップS60の基準値を取得する際にもある程度の誤差が含まれている可能性が考えられる。そのため、本実施例のようにステップS60において、燃料噴射量(Qv)が所定の基準値と略同一であるか否かを判定した方が好ましい。
ステップS60において、ステップS20で取得した燃料噴射量(Qv)と所定の基準値との差が所定範囲内であると判定されることで燃料噴射量(Qv)が所定の基準値と略同一であると判定された場合(Yesの場合)、診断部はステップS50で取得したグロープラグ80の温度(Tg)が所定の基準値よりも低いか否かを判定する(ステップS70)。本実施例においては、ステップS70で用いられる基準値として、噴孔73が腐食していないインジェクタ70を用いて、ステップS50と同じ条件下で取得されたグロープラグ80の温度を用いる。具体的には本実施例においては、噴孔73が腐食していないインジェクタ70として、新品のインジェクタ70を用いる。そして、この新品のインジェクタ70に対して、第2目標燃料噴射量の燃料が噴射されるように制御指令を与え、グロープラグ80への通電を開始してから所定時間経過した時点におけるグロープラグ80の温度を取得しておき、この取得された温度を基準値として記憶部に記憶させておく。診断部はステップS70において、ステップS50で取得したグロープラグ80の温度(Tg)が記憶部に記憶されている基準値よりも低いか否かを判定している。
ステップS70においてグロープラグ80の温度(Tg)が所定の基準値よりも低いと判定された場合(Yesの場合)、診断部はインジェクタ70の噴孔73が腐食していると判定する(ステップS80)。なお診断部はステップS80において、ユーザにインジェクタ70の噴孔73が腐食している旨を報知することが好ましい。この場合の一例を挙げると、例えば車両5には、ユーザに噴孔73が腐食している旨を警告する警告ランプが搭載されており、診断部はこの警告ランプを点灯させることでユーザに噴孔73の腐食を報知する。ステップS80の後に診断部はフローチャートの実行を終了する。
ステップS60において燃料噴射量(Qv)と所定の基準値との差が所定範囲内であると判定されなかったことで、燃料噴射量(Qv)が所定の基準値と略同一であると判定されなかった場合(Noの場合)、診断部は噴孔73は腐食していないと判定する(ステップS90)。またステップS70においてグロープラグ80の温度(Tg)が所定の基準値よりも低いと判定されなかった場合も(Noの場合)、診断部は噴孔73は腐食していないと判定する(ステップS90)。次いで診断部はフローチャートの実行を終了する。
なお本実施例に係る診断部は、図5のステップS50においてグロープラグ80の温度を取得し、ステップS70においてステップS50で取得されたグロープラグ80の温度が所定の基準値よりも低下したか否かを判定しているが、これに限定されるものではない。診断部はステップS50において、グロープラグ80の温度と相関を有する指標を取得し、ステップS70において、ステップS50で取得されたグロープラグ80の温度と相関を有する指標が所定の基準値よりも低下したか否かを判定してもよい。この指標の一例として、前述したように、グロープラグ80の電気抵抗値を用いることができる。この場合、診断部は、ステップS50においてグロープラグ80の電気抵抗値を取得し、ステップS70において、ステップS50において取得されたグロープラグ80の電気抵抗値が所定の基準値(これは噴孔73が腐食していない場合のグロープラグ80の電気抵抗値である)より低いか否かを判定することになる。
以上説明した本実施例に係る診断処理が実行された場合のグロープラグ80の温度変化を内燃機関20の回転数の変化と併せて模式的に図示すると、次のようになる。図7(a)は内燃機関20の回転数の時間変化を示す模式図である。縦軸は内燃機関20の回転数を示し、横軸は時間を示している。図7(b)はグロープラグ80の温度の時間変化を示す模式図である。縦軸はグロープラグ80の温度を示し、横軸は時間を示している。図7(a)および図7(b)の横軸において、時間tは燃料カット制御の実行が開始された時刻である。燃料カット制御は時間t〜時間tまでの間、実行されている。時間tは、図5のステップS40に係るグロープラグ80への通電が開始された時刻であるとともに、インジェクタ70からの燃料噴射の実行も開始された時刻である。時間tは、グロープラグ80への通電が終了した時刻である。すなわち、本実施例に係るグロープラグ80への通電は、時間t〜時間tまでの間、実行されている。また時間t〜時間tは、燃料カット制御の実行後において内燃機関20がアイドル運転状態である期間である。
図7(a)を参照して、内燃機関20の回転数は、時間tにおいて燃料カット制御が実行されることで低下し、時間tから時間tまでの間(アイドル運転状態の間)、所定の回転数になり、時間tを経過後に(つまり燃料カット制御の実行終了後に)上昇している。なお、ステップS40で説明したように、本実施例に係るステップS40においてインジェクタ70から燃料を噴射させるにあたり、噴射された燃料が内燃機関20のトルクに寄与しないような時期に燃料を噴射させているため、時間tにおいてインジェクタ70から燃料が噴射されても、内燃機関20の回転数が上昇することは抑制されている。
図7(b)を参照して、時間tにおいてステップS40が実行された場合、グロープラグ80の温度上昇速度は、噴孔73が腐食していない場合(実線)よりも噴孔73が腐食している場合(点線)の方が低くなっている。その結果、噴孔73が腐食した場合、図5のステップS70においてYesと判定されることになる。また時間tにおいてグロープラグ80への通電が終了した場合、グロープラグ80の温度は低下している。
以上説明したように、本実施例に係るインジェクタ70の診断装置(ECU10)は、燃焼室25に燃料を噴射するインジェクタ70の燃料噴射量と所定の基準値との差が所定範囲内であり、且つ発熱体としてのグロープラグ80に通電した場合の発熱体の温度またはこの温度と相関を有する指標が所定の基準値よりも低下した場合に、インジェクタ70の噴孔73が腐食していると判定する診断部(CPU11)を備えていることから、インジェクタ70の噴孔73の腐食の有無を診断することができる。また本実施例に係るインジェクタ70の診断装置は、ECU10によって実現されているため、いわゆるオンボードで噴孔73の腐食を診断することができる。
なお本実施例においてインジェクタ70の診断装置が適用される内燃機関20の一例としてEGR装置(EGR通路40、EGRクーラ41およびEGRバルブ42)を備える内燃機関20を用いているが、インジェクタ70の診断装置が適用される内燃機関20は、EGR装置を備えるものに限定されない。内燃機関20がEGR装置を備えていない場合であっても、例えば内燃機関20の運転が停止された場合等において、燃焼室25内の残留ガス中の酸成分を含んだ結露がインジェクタ70の先端部に付着する可能性があり、この場合、インジェクタ70の噴孔73が腐食する可能性がある。そのため、インジェクタ70の診断装置は、このようなEGR装置を備えていない内燃機関20に適用されてもよい。
また本実施例に係る診断部は、インジェクタ70の異常の具体例として、インジェクタ70の噴孔73の腐食の有無を診断しているが、診断部によるインジェクタ70の異常の具体例はこれに限定されるものではない。他の例を挙げると、診断部は、例えば噴孔73の詰りの有無を診断することもできる。具体的には、インジェクタ70の噴孔73に詰りが生じた場合、ステップS20で取得されるインジェクタ70からの燃料噴射量は詰りが生じない場合と比較して、ほとんど変化しないと考えられる。これは、複数の噴孔73のうち一部に詰りが生じても、他の噴孔73からの噴射量が、詰りが生じた噴孔73からの燃料噴射量が減少した分、多くなると考えられるからである。一方、複数の噴孔73のうち、発熱体としてのグロープラグ80に燃料を付着させるような位置にある噴孔73が詰った場合、グロープラグ80への燃料付着量は減少すると考えられる。その結果、グロープラグ80に通電した場合のグロープラグ80の温度は、噴孔73に詰りが生じていない場合に比較して上昇する。そこで診断部は、インジェクタ70の燃料噴射量と所定の基準値との差が所定範囲内であり且つ発熱体に通電した場合の発熱体の温度またはこの温度と相関を有する指標が所定の基準値よりも上昇した場合に、インジェクタ70の噴孔73に詰りが生じていると判定することができる。
あるいは診断部は、次の手法によってニードル弁72の動作の異常の有無を診断することもできる。具体的には、インジェクタ70のニードル弁72の動作に異常が生じた場合(例えばインジェクタ70の摺動部に磨耗や動作不良が生じてニードル弁72の動作速度が正常時よりも遅くなった場合)、ステップS20で取得されるインジェクタ70からの燃料噴射量は低下し、且つグロープラグ80への燃料付着量も低下すると考えられる。そこで診断部は、インジェクタ70の燃料噴射量が所定の基準値よりも低下し且つ発熱体に通電した場合の発熱体の温度またはこの温度と相関を有する指標が所定の基準値よりも上昇した場合に、インジェクタ70のニードル弁72の動作に異常が生じたと判定することもできる。
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
5 車両
10 ECU
11 CPU
20 内燃機関
25 燃焼室
40 EGR通路
51 圧力センサ
60 コモンレール
70 インジェクタ
73 噴孔
80 グロープラグ

Claims (2)

  1. 通電した場合に発熱する発熱体を燃焼室に備えるとともに前記燃焼室に燃料を噴射するインジェクタを備える内燃機関の前記インジェクタの診断装置であって、
    前記インジェクタの燃料噴射量と所定の基準値との差が所定範囲内であり且つ前記発熱体に通電した場合の前記発熱体の温度または該温度と相関を有する指標が所定の基準値よりも低下した場合に、前記インジェクタの噴孔が腐食していると判定する診断部を備えることを特徴とするインジェクタの診断装置。
  2. 前記発熱体はグロープラグである請求項1記載のインジェクタの診断装置。
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