JP5925559B2 - ソフトカプセル - Google Patents

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Description

本発明は、内容物及び/又は皮膜の成分組成に特徴のあるソフトカプセルに関し、更に詳しくは、少なくとも不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステルを含有する内容物を、特定の成分組成の内容物及び/又は皮膜で覆うことによって、種々の性能の保存安定性、耐ブロッキング性等が大幅に改善されたソフトカプセルに関するものである。
ソフトカプセルは、ゼラチン等のタンパク質;デンプン等の多糖類;等の溶解液を用いて調製した皮膜内に、医薬品、健康素材、機能性素材等の有効成分を封入したものである。
特に、上記有効成分、又は、場合によってはそれらの分散媒若しくは溶媒が液体である場合、ハードカプセルであると蓋部と胴体部との間から隙間漏れの恐れがあるが、ソフトカプセルには、かかる隙間漏れの可能性が全くないという特長がある。
また、錠剤では、かかる液体をそのままの形態で含有させることはできないが、ソフトカプセルではそのままの形態で充填できるという長所もある。
更に、一般に酸素透過性が低いので、内容物の酸化が比較的起こり難い等の特長もある。
しかしながら、ソフトカプセルは内容物の酸化が比較的起こり難い剤型ではあるが、皮膜水分増加に伴う酸素遮断性の低下等に伴い、内容物の酸化が進行する場合があり、内容物によっては更なる酸化の抑制が必要である、等と言った問題点もあった。
特に、医薬品、健康食品、食品、動物飼料等の材料成分には、酸化され易い成分や褐変する成分等「変質し易い成分」があるが、酸化物は、ゼラチン等の皮膜材料と反応して溶けなくなる現象(ゼラチンの不溶化、崩壊遅延)を引き起こす原因にもなることから、特にゼラチンを皮膜として使用するソフトカプセルでは、健康被害を引き起こすおそれもあった。
更に、ソフトカプセルでは、気温の上昇や湿度の上昇に伴いソフトカプセル同士が付着するブロッキングの問題が生じ易いといった問題点もあった。
また、上記以外にも、ソフトカプセルでは、内容物と皮膜とが相互作用すること等による、褐変、内容物の変質等の保存性の悪化もあり、内容物と皮膜との相互作用による崩壊遅延が生じ易いという問題点もあった。
「内容物又は内容物の酸化物」と皮膜成分とが相互作用することにより生じる崩壊遅延に関しても、皮膜にクエン酸を含有させる方法(特許文献5)、トコフェロールを含有させる方法(特許文献6)、フィチン酸を含有させる方法(特許文献7)、特定のデンプン分解物を含有させる方法(特許文献8)等が知られている。
更に、内容物の酸化の抑制に関しては、上記特許文献6の他、特許文献9等があり、また、特に、褐変防止、変質防止等の向上を目的としたものとしては、特許文献10等がある。
また、ソフトカプセルのブロッキング防止には、例えばキシリトール(融点92℃〜96℃、25℃の水100mLに対する溶解度が10g/100mL)を皮膜内に含有させ、皮膜調製時に、その表面にキシリトールの微結晶を析出させる方法(特許文献1)、皮膜に二酸化ケイ素微粉末を含有させる方法(特許文献2)、高湿の雰囲気下に静置(熟成)して結晶性の微粉末を表面に析出させる方法(特許文献3)、カプセル皮膜の乾燥工程で微粉末をカプセル表面に噴霧付着させる方法(特許文献4)等が知られている。
しかしながら、十分にブロッキングを抑制するためには、上記したような「微粉末」や「カプセル表面で析出した結果微粉末となる物質」を大量に用いなくてはならない、工程数が増える等と言った問題点があった。
近年、ソフトカプセルに対する前記の問題点解決の要求は、ますます高くなってきており、かかる公知技術では不十分であり、更なる改善の余地があった。
国際公開WO2005/011402 特開2003−070880号公報 特開2001−089362号公報 特開2001−178376号公報 特開昭59−039834号公報 特開平10−101550号公報 特開2006−328038号公報 特開2010−090080号公報 特開2001−262180号公報 特開2001−178383号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、ソフトカプセルの内容物である「不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステル」の自動酸化等による劣化を抑制し、また、ソフトカプセルを保存することによって、体内でのソフトカプセルの崩壊が起こり難くなってしまう現象(以下、「崩壊遅延」と略記する場合がある)を抑制し、また、複数個のソフトカプセルを隣接して保存することによるソフトカプセル同士の付着(以下、「ブロッキング」と略記することがある)を抑制し、また、その他、褐変防止や変質防止等の保存性を向上させたソフトカプセルを提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ソフトカプセルの内容物及び/又はソフトカプセルの皮膜に、(A)ショウガ科植物の含有物、(B)融点が比較的低く、水に対する溶解度が比較的高い「糖類若しくは糖アルコール類」、(C)融点が比較的高く、水に対する溶解度が比較的低い「糖類若しくは糖アルコール類」の少なくとも3種類の成分を含有させることによって、上記課題が解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステルを含有する内容物を皮膜で覆ったソフトカプセルであって、該内容物及び/又は該皮膜が、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)
(A)ショウガ科植物の含有物
(B)融点が150℃以下であり、かつ、25℃の水100mLに対する溶解度が60g/100mL以上である、糖類若しくは糖アルコール類
(C)融点が160℃以上であり、かつ、25℃の水100mLに対する溶解度が30g/100mL以下である、糖類若しくは糖アルコール類
を含有することを特徴とするソフトカプセルを提供するものである。
本発明によれば、前記問題点と課題を解決し、特に、ソフトカプセルの内容物に含まれる不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル等の自動酸化を受け易い成分の劣化を抑制するソフトカプセルを提供できる。
すなわち、例えば、生理活性を有するドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等の不飽和脂肪酸又はそれらが反応して得られる油脂類等は、空気中の酸素によって酸化を受け易いが、本発明のソフトカプセルを用いれば、かかる酸化を抑制できる。
更に、近年の精製技術の進歩により、種々の高級不飽和脂肪酸の含有率が高い(例えば70質量%以上の)もの、又は、それらのエステル類のソフトカプセル内への含有が可能になったが、かかる機能性成分は、より一層酸化の影響を受け易い。しかしながら、本発明のソフトカプセルを用いれば、例えば、酸化の影響を受け易い上記の「不飽和脂肪酸の含有率が多い成分」であっても、かかる酸化を十分に抑制できる。
また、特に、ソフトカプセルの内容物に「不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステル」(以下、括弧内を単に「不飽和脂肪酸類」と略記する場合がある。)が含まれている場合、該ソフトカプセルを保存し経時させると、該不飽和脂肪酸類と「ソフトカプセルの皮膜の成分」が相互作用をし、例えば内容物と皮膜との界面での反応等によって、崩壊遅延を生じる場合があるが、本発明によれば、該崩壊遅延を抑制したソフトカプセルを提供できる。
「不飽和脂肪酸類」を含有する、医薬品;健康食品等の機能性素材;食品;動物飼料;等には酸化し易いものがあるが、酸化により生じる酸化物は、ゼラチン等の皮膜材料と反応して溶けなくなる現象(ゼラチンの不溶化、崩壊遅延)を引き起こす原因にもなる。本発明によれば、そのような現象を抑制できる。
特に、ソフトカプセルの内容物に、高級不飽和脂肪酸の含有率が特に多い場合であっても、本発明のソフトカプセルを用いれば、経時による皮膜の崩壊時間の遅延を極めて小さくできる。
また、内容物同士の反応、又は、内容物と皮膜との界面でのメイラード反応(糖類とアミン化合物との反応)を抑制することができる。そのため、ソフトカプセルを保存して経時させた場合であっても、崩壊遅延、褐変等を抑制できる。特に、皮膜の主成分がゼラチンの場合、ゼラチンが有するアミノ基と糖類等との反応を抑制でき、その結果、崩壊遅延や褐変を抑制できる。ゼラチンには、ゼラチンの構成成分であるリジン残基等にアミノ基があり、かかるアミノ基の反応性が問題になる場合がある。
一般に、油性薬物、油性食品等をソフトカプセル化する際には、その皮膜にゼラチンが好適に用いられている。ゼラチン皮膜に要求される特性としては、(1)内容物と外部酸素との接触を遮断して内容物の劣化を防止させ易いこと、(2)人体の消化器内で容易に崩壊して内容物を放出できること、の2つが満たされなければならない。
しかし、内容物として不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸を有する油脂類等のように、極めて酸化され易い物質を使用した場合には、通常のゼラチン皮膜では、製造後経時的に崩壊時間が遅延したり、内容物が劣化したりすることがある。
本発明のソフトカプセルを用いれば、かかる問題点を解消できる。
また、本発明によれば、ソフトカプセル同士の付着であるブロッキングが抑制されたソフトカプセルを提供できる。すなわち、複数のソフトカプセルを容器等に収納しておいた場合、ソフトカプセル同士が付着する場合があり、たとえすぐ取れる(離れる)場合であっても、使用者にとっては不快なものとなる。
しかしながら、本発明のソフトカプセルにおいて、皮膜内に後述する成分(C)を含有させた場合には、ソフトカプセル調製時に、該成分(C)がソフトカプセルの皮膜の表面に層を形成し易くなるので、ブロッキングが起こり難くなる(以下、ブロッキングが起こり難くなる性質を、「耐ブロッキング性」と略記する)。
更に、皮膜内に成分(B)を含有させると、成分(C)がソフトカプセルの皮膜の表面に移動して層を形成し易くなるので、ブロッキングが更に起こり難くなる。
また、公知技術の中には、耐ブロッキング性を向上させるために、高湿の環境に放置して微粉末を表面に析出させる必要があるものがあるが、本発明によれば、高湿の環境に放置しなくても、耐ブロッキング性に優れたソフトカプセルを調製することができるので、工程数が少なくなり、コストダウンが図れる。
また、本発明によれば、皮膜の表面に成分(C)の微粉末が析出することによって耐ブロッキング性が向上することもあるが、皮膜の表面に成分(C)の層が形成されて耐ブロッキング性が向上することもあり、その場合には、光沢があるのにもかかわらず耐ブロッキング性に優れたソフトカプセルが製造できる。
また、本発明によれば、ソフトカプセルの内容物に後述する成分(A)、(B)及び(C)を含有させれば、不飽和脂肪酸類の酸化による劣化を含め種々の内容物の劣化を抑制できる。更に意外なことに、ソフトカプセルの皮膜のみに、成分(A)、(B)及び(C)を含有させた場合であっても、内容物である不飽和脂肪酸類の酸化による劣化を抑制できる。
本発明によれば、飽和脂肪酸の含有率が高く酸化され易い物質を内容物とした場合であっても、その生理的有効性と安全性を長期間維持できるソフトカプセルを提供することができる。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明における「不飽和脂肪酸」とは、炭素間二重結合又は三重結合を有する脂肪酸を言い、天然に存在するものか否かは問わず、天然物であっても天然物を変性したものであってもよい。また、炭素間二重結合又は三重結合の数は限定がなく、1個でも2個以上であってもよい。本発明における「不飽和脂肪酸」は、分子内に分岐を有していてもよく、また、水酸基等の有機基を有していてもよい。
本発明における「不飽和脂肪酸」は、高級脂肪酸であっても高級脂肪酸でなくてもよいが、高級脂肪酸であることが好ましい。本発明における「高級脂肪酸」とは、カルボキシル基の炭素を含め炭素数12個以上の脂肪酸を言う。
本発明における「不飽和脂肪酸エステル」とは、不飽和脂肪酸のカルボキシル基と水酸基を有する化合物の該水酸基とがエステル結合をしてなる化合物を言う。特に限定はないが、「水酸基を有する化合物」はグリセリンであることが好ましい。以下、「不飽和脂肪酸エステル」を、単に「油脂類」と略記することがある。
本発明における「糖類」とは、生物の内部に存在する「アルデヒド基又はケトン基を有する環状化合物」(以下、「単糖類」と略記する)、又は、それらが複数個、グリコシド結合によって結合した化合物(以下、「多糖類」)を言う。「多糖類」には「二糖」も含まれ、還元性はあってもなくてもよい。
本発明における「糖類」は、ヒトの体内で消化されるものであっても、消化されない又は消化され難いものであってもよく、甘いものであるか否かは問わない。
本発明における「糖アルコール類」とは、糖類から誘導される水酸基を有する化合物を言う。自然界において天然に存在する微生物によって糖類から誘導されたものであってもよく、人工的に糖類を発酵させたものであっても、糖類から人工的に合成されたものであってもよい。本発明における「糖アルコール類」は、ヒトの体内で消化されるものであっても、消化されない又は消化され難いものであってもよい。
本発明における「糖類」と「糖アルコール類」とは重複していてもよい。すなわち、上記定義から、両方に属する化合物が存在する場合があり、また存在してもよい。
本発明は、少なくとも、不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステルを含有する内容物を、皮膜で覆ったソフトカプセルに関するものである。
本発明における「不飽和脂肪酸」は、具体的には特に限定はないが、例えば、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸等のモノ不飽和脂肪酸;リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸等のジ不飽和脂肪酸;リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸等のトリ不飽和脂肪酸;ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸等のテトラ不飽和脂肪酸;ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸(以下、「EPA」と略記する場合がある)、ドコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸等のペンタ不飽和脂肪酸;ドコサヘキサエン酸(以下、「DHA」と略記する場合がある)、ニシン酸等のヘキサ不飽和脂肪酸;等が挙げられる。
本発明における「不飽和脂肪酸」の炭素間二重結合の数は、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましく、4個〜7個が特に好ましく、5個又は6個が更に好ましい。
炭素間二重結合の数が少なすぎると、酸化による変質の程度が減少するので、本発明の酸化を抑制する効果を十分に発揮できない場合がある。
炭素数12個以上の高級不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数14個以上がより好ましく、炭素数16個〜24個が特に好ましく、炭素数18個〜22個が更に好ましい。炭素数がこの範囲であると、本発明の酸化を抑制する効果を十分に発揮できる。
本発明における「不飽和脂肪酸エステル」は、上記した不飽和脂肪酸のカルボキシル基と「水酸基を有する化合物」の水酸基とがエステル結合してなる化合物を言うが、該「水酸基を有する化合物」としては、1価アルコール、2価アルコール又は3価アルコールが挙げられる。また、不飽和脂肪酸が結合されるものとしては、上記アルコール以外に、糖、アミノ酸、リン酸等が挙げられる。
上記3価アルコールとしては特に限定はないがグリセリンが好ましい。すなわち、「不飽和脂肪酸エステル」は、グリセリンエステルである「油脂類」が好ましい。油脂類は、天然に存在する機能性物質として種類が多いからである。
具体的には、例えば、EPA及び/又はDHAが結合してなる「モノグリセリド、ジグリセリド若しくはトリグリセリド」;EPAエチルエステル、DHAエチルエステル、EPAメチルエステル、DHAメチルエステル等の「EPA若しくはDHAの1価アルキルエステル」;EPA及び/又はDHAを含有したリン脂質;等を挙げることができる。
本発明のソフトカプセルは、内容物が不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステルであるときに、空気中の酸素による酸化抑制の効果を発揮し易い。そして、高級不飽和脂肪酸の含有率が高い場合に特に効果を発揮する。具体的には、高級不飽和脂肪酸の含有率が、内容物全体に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上のときに特に効果を発揮する。
本発明おける「酸化抑制効果」は、過酸化物価(POV)の推移(変化)やイニシャルからの変化幅を測定することによって評価し、本発明にける「酸化抑制効果」は、そのようにして評価したものとして定義される。
具体的には、例えば、60℃で3日〜3ヶ月、又は、40℃、相対湿度75%で、2ヶ月〜1年に亘り、過酸化物価(POV)の推移(変化)やイニシャルからの変化幅を測定することによって評価する。
過酸化物価は、対象物が自動酸化して生成するヒドロペルオキシドの量を対象物1kg当たりのミリ当量で表したものであり、日本農林規格測定法に準じたヨウ素滴定法に従って測定する。
具体的には、対象物に、酸性でヨウ化カリウムを作用させ、遊離してくるヨウ素を、チオ硫酸ナトリウム溶液を用いて滴定法で求め、ヒドロペルオキシドのミリ当量に換算する。
なお、比色法等、他の方法で測定した値との相関を予めとっておいて、内挿によって求めてもよい。また、柴田科学器械工業株式会社製、「POV分析キット」を用いてもよい。
本発明のソフトカプセルは、内容物及び/又は該皮膜に下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有することが必須である。
(A)ショウガ科植物の含有物
(B)融点が150℃以下であり、かつ、25℃の水100mLに対する溶解度が60g/100mL以上である、糖類若しくは糖アルコール類
(C)融点が160℃以上であり、かつ、25℃の水100mLに対する溶解度が30g/100mL以下である、糖類若しくは糖アルコール類
本発明における成分(A)である「ショウガ科植物の含有物」とは、ショウガ科(Zingiberaceae)に属する植物に含有される成分をいう。ショウガ科植物は、ショウガ属(Zingiber)に属する植物が好ましく、ショウガ(Zingiber officinale)が特に好ましい。ショウガであれば、その品種、産地等は問わない。
含有部位は特に限定はないが根茎が好ましい。
成分(A)である「ショウガ科植物の含有物」には、ショウガ科植物(好ましくはショウガ科植物の根茎)を、粉末状にしたもの、すり潰したもの、ショウガ科植物(好ましくはショウガ科植物の根茎)から抽出したもの、該抽出物を乾燥させたもの等が含まれる。
ここで、「抽出物」には、搾って抽出したもの、及び、溶媒で抽出したものの両方が含まれる。
本発明における成分(A)は、エタノール又は「エタノールと水との混合溶媒」によって抽出された単一化合物若しくは「複数の化合物の混合物」であることが特に好ましい。
特に好ましいものとして、エタノール又はエタノールと水の混合溶媒によって抽出されたものと同一であれば、実際に抽出した溶媒の種類は問わない。また、エタノールと水との比については限定がなく、任意の比率によって抽出されるものが含まれる。
「ショウガ科植物の含有物」としては、ショウガの根茎(好ましくはそれを乾燥したもの)から、溶媒で抽出されたものが更に好ましい。
ショウガの根茎からの抽出物としては、6−ギンゲロールと6−ショーガオールが知られているが、「ショウガ科植物の含有物」に代えて、6−ギンゲロール及び/又は6−ショーガオールを用いて評価したところ、何れも本発明の前記効果を示さなかった。従って、本発明における「ショウガ科植物の含有物」に、6−ギンゲロール及び/又は6−ショーガオールが含有されることは排除されないが、本発明における「ショウガ科植物の含有物」は、6−ギンゲロールでも6−ショーガオールでもないものが効果を発揮していると考えられる。
本発明における「ショウガ科植物の含有物」が水に溶解しない場合であって、皮膜に成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有させるためソフトカプセルの皮膜を水溶液から調製する場合には、該ショウガ科植物の含有物を水に分散させるために、該水溶液に乳化分散剤を含有させることが好ましい。
また、本発明における「ショウガ科植物の含有物」がソフトカプセルの内容物に溶解しない場合であって、内容物に成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有させる場合には、該ショウガ科植物の含有物を内容物に分散させるために乳化分散剤を含有させることが好ましい。
このような乳化分散剤としては特に限定はないが、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオール脂肪酸エステル(例えば、脂肪酸のグリセリンエステル)等の脂肪酸エステル;ダイズサポニン等のサポニン類;卵黄レシチン等のレシチンを主成分とするリン脂質及びレシチンのエステル結合を酵素により加水分解して得られるレゾレシチン;等が好ましい。
成分(A)ショウガ科植物の含有物をソフトカプセルの皮膜内に含有させた場合、内容物の酸化を抑制するのみならず、崩壊遅延の抑制にも極めて効果的である。
更に、ショウガ科植物の含有物がソフトカプセルの皮膜内に存在すると、ソフトカプセル調製時に皮膜成分の溶媒(例えば水)が気散する際に、成分(C)が皮膜表面に層を形成する速度が上昇し、結果として、例えば、特許文献1、特許文献3等に記載のように、高湿の環境に放置する必要もなく(例えば、後述する製造法の例示の「(4)乾燥」程度の乾燥でもよく)、耐ブロッキング性に優れたソフトカプセルを調製することができる。
また、例えば、特許文献1や特許文献3に記載のソフトカプセルに比較して、極めて耐ブロッキング性に優れたソフトカプセルを調製することができる。
本発明における成分(B)は、「融点が150℃以下であり、かつ、25℃の水100mLに対する溶解度が60g/100mL以上である、糖類若しくは糖アルコール類」である。
以下、25℃の水100mLに対する溶解度を、単に「溶解度」と略記する場合がある。
成分(B)の融点は150℃以下が必須であるが、130℃以下が好ましく、110℃以下がより好ましく、100℃以下が特に好ましい。下限は特に限定はないが、60℃以上が好ましく、70℃以上が特に好ましい。
融点が高すぎても低すぎても、成分(C)の皮膜表面の層形成に影響し、本発明の上記効果を発揮できない場合がある。
成分(B)の25℃の水に対する溶解度は、60g/100mL以上が必須であるが、62g/100mL以上が好ましく、64g/100mL以上がより好ましく、66g/100mL以上が特に好ましい。上限は特に限定はないが、90g/100mL以下が好ましく、80g/100mL以下が特に好ましい。
成分(B)は可塑剤として機能するが、成分(B)の溶解度が低すぎると、可塑剤としての十分な量、すなわち皮膜の強度を保つ上で十分な量を配合できない等の場合がある。
成分(B)としては、具体的には、例えば、トレハロース(融点97℃、溶解度69g/100mL)、マルトース(融点102〜108℃、溶解度72g/100mL)、エリスリトール(融点121〜123℃、溶解度60g/100mL)、マルチトール(融点145℃、溶解度114g/100mL)等が挙げられる。
上記成分(B)は、還元性を有さない二糖以上の糖類であることが特に好ましい。還元性を有する「糖類若しくは糖アルコール類」を内容物に含有させ、皮膜にゼラチンを用いた場合、内容物と皮膜とが界面で相互作用をして、崩壊遅延や褐変を生じる場合等がある。
本発明における成分(C)は、「融点が160℃以上であり、かつ、25℃の水100mLに対する溶解度が30g/100mL以下である、糖類若しくは糖アルコール類」である。
成分(C)の融点は160℃以上が必須であるが、180℃以上が好ましく、190℃以上がより好ましく、210℃以上が特に好ましい。上限は特に限定はないが、290℃以下が好ましく、270℃以下が特に好ましい。
融点が低すぎると、成分(C)がソフトカプセル調製時にソフトカプセルの皮膜の表面に層を形成しても、微粉末として析出しても、耐ブロッキング性が劣る場合がある。
一方、成分(C)の融点が高すぎる場合も、本発明の上記効果を発揮できない場合がある。
成分(C)の25℃の水に対する溶解度は、30g/100mL以下が必須であるが、25g/100mL以下が好ましく、20g/100mL以下がより好ましく、15g/100mL以下が特に好ましい。下限は特に限定はないが、0.1g/100mL以上が好ましく、1g/100mL以上がより好ましく、10g/100mL以上が特に好ましい。
溶解度が高すぎる場合は、ソフトカプセル調製時に、成分(C)がソフトカプセルの皮膜の表面に層を形成しない場合や層を形成し難い場合、微粉末として析出しない場合や析出し難い場合があり、その結果、耐ブロッキング性に劣るソフトカプセルしかできない場合がある。
一方、溶解度が低すぎる場合も、本発明の上記効果を発揮できない場合がある。
成分(C)としては、具体的には、例えば、イノシトール(融点225〜227℃、溶解度14g/100mL)、ラクトース(融点202〜223℃、溶解度22g/100mL)、マンニトール(融点166〜168℃、溶解度18g/100mL)、ペンタエリスリトール(融点260℃、溶解度5.5g/100mL)等が挙げられる。
また、成分(C)は、シクリトール類であることが好ましい。「シクリトール類」とは、シクロアルカンの環を構成する3個以上の炭素原子に水酸基がそれぞれ1個結合した化合物を言う。
成分(C)がシクリトール類であると、ソフトカプセル調製時に、ソフトカプセルの皮膜の表面に微粉末又は層として析出し易く、耐ブロッキング性に優れたソフトカプセルが得られ易い。
シクリトール類としては、皮膜の表面に層を形成したり、微粉末として析出したりして、耐ブロッキング性に優れたソフトカプセルが得られる点でイノシトールが特に好ましい。
本発明のソフトカプセルの内容物には、少なくとも不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステルを含有することが必須であり、成分(A)、(B)及び(C)は、皮膜に含有されないときは内容物に含有されることが必須であるが、その他にも、種々の薬効成分、健康素材成分、機能性素材成分、増量剤、分散剤等、通常ソフトカプセル内に内包されるもの(すなわち通常内容物に含有されるもの)は、本発明においても内包・含有され得る。
本発明のソフトカプセルの内容物には、その他、特に、クエン酸、アスコルビン酸、トコフェロール、ローズマリーエキス等を含有させると、更に、不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステルの酸化を抑制できる。
ソフトカプセルの種類や製造方法は特に限定はないが、ソフトカプセルは、通常、ゼラチン、デンプン等の基材高分子に、グリセリン、ソルビトール等の可塑剤を加えて板状に調製したものの間に内容物を圧縮成形したもので、その具体的製造方法は、大別して平板法とロータリーダイ法の2つが知られている。
現在の製造法の主流であるロータリーダイ法を例として、ゼラチンを用いた場合の製造法を以下に説明するが、本発明のソフトカプセルの製造方法は以下に限定されるものではない。
(1)内容物の調合
内容物が液体の場合、直接メディシンタンクに入れるか、又は、エマルジョン、サスペンジョン等の前処理が必要な場合は該処理をした後にメディシンタンクに入れ、例えば、不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステル以外に、成分(A)、(B)及び(C)を内容物に含有させるときは、ここでそれらを配合すし、充填機の所定の位置にセットする。
(2)皮膜溶液の調合
ゼラチンメルティングタンクに、ゼラチン、可塑剤、着色剤、精製水等を加え、成分(A)、(B)及び(C)を皮膜内に含有させるときは、ここでそれらを配合し、約80℃で加温溶解後、脱泡操作を同タンクで行い、粘度を調整して皮膜原液とする。この原液は、フィルトレーションをしながら小分けタンク(50〜55℃)に移しかえ、充填機の所定の位置にセットする。
(3)カプセル充填
調合された皮膜及び内容物は、充填機の所定の位置にセットされ、目的とするダイロールをセットした充填機でソフトカプセルを成型する。充填室の温度は、通常、20〜30℃、相対湿度は30〜50%に維持される。成形直後のソフトカプセルを、充填機に連結されたタンブラードライヤーに送り込み、回転させながら室内条件と同様のクリーンエアーで、形の一時固定及び皮膜中の水分の一時乾燥を約1〜4時間で行う。
(4)乾燥
充填成形され、一時乾燥されたソフトカプセルを、タンブラードライヤーに移し、温度20〜30℃、相対湿度30〜50%で、24〜48時間かけて、充填時30〜40%の含水率を6〜8%まで落とす。
(5)磨き
乾燥後のソフトカプセルは、必要があればタンブラーで2分〜1時間の磨きをかけてソフトカプセルを仕上げることもできる。
本発明のソフトカプセルの皮膜の基材高分子としては特に限定はないが、ゼラチンが好ましい。
本発明は、崩壊遅延の抑制、褐変の抑制、「内容物と皮膜内面との界面で生じる反応」の抑制等の効果を発揮するので、崩壊遅延、褐変、「内容物と皮膜内面との界面での反応」等が生じ易いゼラチンにおいて、特に本発明の効果が発揮される。
以下、実施例(実験例)を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらに限定されるものではない。
実験例1
「不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステル」として、DHAを50質量部、「成分(A)ショウガ科植物の含有物」として、ショウガエキスパウダーHI(日本粉末薬品株式会社社製)2.5質量部、成分(B)として、トレハロース(株式会社林原社製)22質量部、成分(C)として、イノシトール10質量部、サフラワー油11.5質量部、及び、乳化分散剤として「ポエムJ−0381V」(理研ビタミン株式会社社製、グリセリン脂肪酸エステル)4質量部を撹拌溶解又は分散させてソフトカプセルの内容物を得た。その内容物を、「内容物01」とする。
ショウガエキスパウダーHI(日本粉末薬品株式会社社製)は、ショウガ(Zingiber officinales R.)の根茎から、水/エタノール混合溶媒で抽出した後に、溶媒を留去して粉末化したものである。
上記内容物をサンプル瓶に入れ、60℃の恒温槽に7日間保存後、過酸化物価の変化を測定して、耐酸化性を評価した。
実験例2
実験例1において、各成分の有無又は量を、表1に記載したように変化させた以外は、実験例1と同様に内容物02〜12を得て、同様に過酸化物価の経時変化を測定して、耐酸化性を評価した。表1中の数値は質量部である。
「過酸化物価(POV)」は、前記した通り、日本農林規格測定法に準じたヨウ素滴定法に従って測定し、下記の「消費者団体による油菓子の実態調査での評価基準」に従って評価した。
結果を表2にまとめて示す。
過酸化物価(POV)
(mg等量/kg)
0以上10未満:ほとんど酸化していない
10以上30未満:酸化が進みかけている
30以上40未満:酸化臭を感じはじめる
40以上50未満:食べない方がよい
50以上 :酸化がひどい。中毒の危険性がある。
Figure 0005925559
Figure 0005925559
成分(A)、(B)及び(C)を全て含有する内容物No.01、02及び03では、60℃、7日後の過酸化物価(POV)が何れも10(mg等量/kg)未満と小さかったが、成分(A)、(B)及び(C)のうちの1種だけ含有するもの(内容物No.05〜09)、及び、1種を欠くもの(内容物No.10〜12)では、60℃、7日後の過酸化物価(POV)が何れも10(mg等量/kg)以上と大きく酸化が進んでいた。
これより、成分(A)、(B)及び(C)を全て含有すると、相乗的にDHAの酸化が抑制されることが分かった。
実験例3
成分(A)、(B)、(C)の何れか一つを除いた内容物を調製した。成分(A)、(B)及び(C)の成分量の総和を、内容物No.01、02に合わせて34.5質量部とし、含有されていない成分を除いて含有されている成分のみのそれぞれの成分の比率を内容物No.01の各成分の比率に合わせて内容物を調製した。全ての内容物において、DHAは50質量部、サフラワー油は11.5質量部に統一して配合した。
実験例1と同様に評価したところ、実験例1、2と同様の結果が得られ、特に量を多くしても酸化抑制効果が顕著に表れないことが分かった。また、成分(A)、(B)及び(C)を全て含有した場合に、相乗的にDHAの酸化が抑制されることが分かった。
実験例4
<内容物Fの調製>
不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステルとしてDHAを184.5質量部、「成分(A)ショウガ科植物の含有物」としてショウガエキスパウダーHI(日本粉末薬品株式会社社製)7.5質量部、成分(B)としてトレハロース(株式会社林原社製)66.0質量部、成分(C)としてイノシトール30.0質量部、及び、分散剤として「ポエムJ−0381V」(理研ビタミン株式会社社製、グリセリン脂肪酸エステル)12.0質量部を撹拌溶解・分散させてソフトカプセルの内容物を得た。その内容物を、「内容物P」とする。
<内容物fの調製>
DHAを300.0質量部用い、それ以外の成分を用いないで、ソフトカプセルの内容物を得た。その内容物を、「内容物f」とする。
<皮膜G生成用溶液の調製>
ゼラチン(新田ゼラチン株式会社製、GAR)100質量部、「成分(A)ショウガ科植物の含有物」としてショウガエキスパウダーHI(日本粉末薬品株式会社社製)1質量部、成分(B)としてトレハロース(株式会社林原社製)6質量部、成分(C)としてイノシトール4質量部、分散剤として「ポエムJ−0381V」(理研ビタミン株式会社社製、グリセリン脂肪酸エステル)2質量部、グリセリン35質量部、及び、水75質量部を撹拌溶解・分散させて皮膜Gを形成するための溶液を得た。
<皮膜g生成用溶液の調製>
ゼラチン100質量部、グリセリン35質量部、及び、水80質量部を撹拌溶解・分散させて皮膜gを生成するための溶液を得た。
これらを材料として、通常のロータリーダイ法により、皮膜シート厚0.8mm、内容液300mgを充填した、OVAL NO4型のソフトカプセルを製造した。なお、成型時から乾燥終了までを通して、室内環境は、温度22〜26℃、相対湿度30〜45%であった。
内容物fを皮膜Gで覆ってソフトカプセルNo.1を製造した。ソフトカプセルNo.1は、皮膜にのみ、成分(A)、(B)及び(C)が含有されている。
内容物Fを皮膜Gで覆ってソフトカプセルNo.2を製造した。ソフトカプセルNo.2は、内容物と皮膜の両方に、成分(A)、(B)及び(C)が含有されている。
内容物fを皮膜gで覆ってソフトカプセルNo.3を製造した。ソフトカプセルNo.3は、内容物にも皮膜にも、成分(A)、(B)及び(C)の何れも含有されていない。
<耐ブロッキング性の評価方法>
サンプルビンにソフトカプセルを八分目まで入れ、50℃の恒温槽の中に入れ、3時間後、1日後、7日後に恒温槽から取り出し、室温に戻した後、カプセルの変形の有無、及び、ソフトカプセル同士のブロッキング状態を観察し、以下の基準で判定した。
◎:カプセルの変形が見られない。
カプセル同士が全くくっつかない。
○:カプセルの変形が見られない。
カプセル同士がくっついて団子状になるが、軽く解すだけで個々のカプセルに離れる。
△:カプセルの変形が見られる。
カプセル同士がくっついて団子状になり、解せば個々のカプセルに離れる。
×:カプセルの変形が見られる。
カプセル同士がくっついて団子状態となり、比較的強い力を加えて解しても個々のカプセルに離すことはできない。
Figure 0005925559
ソフトカプセルNo.1及びNo.2では、皮膜の表面付近にイノシトールの層が形成され、そのため、耐ブロッキング性が向上したが、ソフトカプセルNo.3では、皮膜表面から融解し始めてカプセル同士の付着が見られ、やがて皮膜全体が軟化することによるカプセルの変形が見られた。
実験例5
ソフトカプセルNo.1及びNo.2の「皮膜G生成用溶液の調製」において、ショウガ科植物の含有物を配合しない以外は、ソフトカプセルNo.1及びNo.2と同様にして、それぞれ、ソフトカプセルNo.4及びNo.5を製造した。
ソフトカプセルNo.4及びNo.5の耐ブロッキング性を、実施例4と同様に評価したところ、皮膜にショウガ科植物の含有物が含有されていないソフトカプセルNo.4及びNo.5では、ソフトカプセルNo.1及びNo.2に比較して、皮膜表面付近のイノシトールの層形成状態が悪く、そのため耐ブロッキング性が不良であった。結果を以下の表4に示す。
Figure 0005925559
実験例6
ソフトカプセルNo.1、No.2及びNo.3を用い、60℃で21日後、2ヶ月後、及び、40℃相対湿度75%で3ヶ月後まで保存し、「内容物の耐酸化性」及び「崩壊遅延」を評価した。
内容物の耐酸化性は、ソフトカプセルをカットして、内容物を素早く取り出して、実験例2と同様に過酸化物価の経時変化を測定した。
結果を以下の表5に示す。
Figure 0005925559
成分(A)、(B)及び(C)が被膜にも内容物にも含有されているソフトカプセルNo.2では、60℃2ヶ月後でもPOVの上昇は見られず最も安定していた。
また、成分(A)、(B)及び(C)が内容物に含有されておらず、皮膜にのみ含有されているソフトカプセルNo.1でも、60℃2ヶ月後でわずかなPOVの上昇傾向が見られるものの、有意な差はなく、これより、皮膜のみへの配合でも内容物のPOVの上昇を抑制していることが分かった。
一方、皮膜にも内容液にも成分(A)、(B)及び(C)が配合されていないソフトカプセルNo.3では、60℃、2ヶ月後で有意なPOVの上昇が見られた。
成分(A)、(B)及び(C)を皮膜に含有させると、耐ブロッキング性と内容物の耐酸化性の両方が良好になるので、極めて好適であることが分かった。
実験例7
ソフトカプセルNo.1、No.2及びNo.3を用い、40℃、相対湿度75%RHに静置(表6);25℃の窓際の散乱光が照射される場所に静置(表7);DHAに浸漬して50℃に静置(表8);の3種類で、下記表6〜8に示す期間保存して「崩壊遅延」を評価した。
「崩壊遅延」の評価方法は、日本薬局方一般試験法「崩壊試験法」に準じた。「崩壊遅延」は、「崩壊時間」と「開口時間」とで評価した。結果を表6〜8に示す。
<崩壊時間>
試験液として蒸留水を用い、補助板を使用してカプセル皮膜が溶解する時間をもって崩壊時間とした。
崩壊時間の決定の基準は、試料の残留物を試験器ガラス管内に認めないか、または認めても網目よりも小さくなる時までを「崩壊時間」とした。それぞれ、サンプル数6で試験を行なった。
<開口時間>
試験液として蒸留水を用い、崩壊時間の測定と同様の方法で、ただしソフトカプセルから内容物の一部であっても放出し始める時間をもって「開口時間」とした。それぞれ、サンプル数6で試験を行なった。
Figure 0005925559
Figure 0005925559
Figure 0005925559
表6〜8中、時間の上段は「開口時間」を示し、下段は「崩壊時間」を示す。
表6〜8中、「不崩壊」は、30分以上、開口しなかった(従って崩壊もしなかった)ことを示す。
本発明のソフトカプセル(ソフトカプセルNo.1とNo.2)では、何れの保存条件でも、「崩壊時間」と「開口時間」が共に短く、崩壊遅延が起こらない傾向にあったが、内容物にも皮膜にも、成分(A)、(B)及び(C)が含有されていないソフトカプセルNo.3では、何れの保存条件でも、「崩壊時間」と「開口時間」が共に長くなり、崩壊遅延が起こった。
また、内容物にのみ成分(A)、(B)及び(C)が含有されているソフトカプセルも、ソフトカプセルNo.1とNo.2とほぼ同様の結果が得られた。
これから、内容物か皮膜の何れかに、成分(A)、(B)及び(C)が含有されているソフトカプセルは、崩壊遅延が起こり難くなることが分かった。
実験例8
内容物F、皮膜Gから、成分(A)、(B)、(C)の何れか1種を除いて、ソフトカプセルを製造して崩壊遅延を測定したが、何れのソフトカプセルも、ソフトカプセルNo.1やNo.2より、「崩壊時間」と「開口時間」が共に長くなり、崩壊遅延が起こった。
このことから、成分(A)、(B)及び(C)を全て含有させることによる相乗効果が認められた。
実験例9
実験例4で調製した「皮膜G生成用溶液」を0.85mmの厚さのシート状に成型し、ソフトカプセルの皮膜Gに相当するシートGを得た。
実験例4の「皮膜G生成用溶液」の成分(A)、(B)及び(C)に代えて、同量のフィチン酸を配合した以外は、皮膜G生成用溶液の調製方法と同様にして、「皮膜m生成用溶液」を調製した。
「皮膜m生成用溶液」を0.85mmの厚さのシート状に成型し、ソフトカプセルの皮膜mに相当するシートmを得た。
実験例4の「皮膜G生成用溶液」の成分(A)、(B)及び(C)に代えて、同量のクエン酸を配合以外は、皮膜G生成用溶液の調製方法と同様にして、「皮膜n生成用溶液」を調製した。
「皮膜n生成用溶液」を0.85mmの厚さのシート状に成型し、ソフトカプセルの皮膜nに相当するシートnを得た。
シートG、m、nを、それぞれ300mgとなる面積に切り出し、酸化が進行した50℃のDHAに浸漬し、5日後と7日後に、実験例7と同様に「崩壊時間」を測定した。
結果を表9に示す。
Figure 0005925559
本発明のソフトカプセルの皮膜Gに対応するシートGでは、崩壊時間が5日後でも7日後でも短かった。
一方、成分(A)、(B)、(C)に代えてフィチン酸を配合したシートm、及び、クエン酸を配合したシートnでは、5日後には崩壊時間が長くなり、網目を通過しない大きさの残渣も残るようになり、更に、7日後には不溶化が見られた。
実験例10
実験例4のソフトカプセルNo.1及びNo.2において、成分(B)トレハロースに代えて同量のキシリトール(融点92〜96℃、25℃の水に対する溶解度10g/100mL)を用いた以外は実験例4と同様にソフトカプセルを製造した。
また、実験例4のソフトカプセルNo.1及びNo.2において、成分(C)イノシトールに代えて同量のキシリトール(融点92〜96℃、25℃の水に対する溶解度10g/100mL)を用いた以外は実験例4と同様にソフトカプセルを製造した。
実験例6、7と同様に評価したが、何れもソフトカプセルNo.1及びNo.2のような結果が得られず、ソフトカプセルNo.3程度の結果であった。
本発明の特定の成分を含有するソフトカプセルは、内容物の酸化抑制、崩壊遅延の抑制、ブロッキング抑制、褐変抑制等、保存性に関して極めて良好であるので、あらゆるソフトカプセルの調製に広く利用されるものである。

Claims (2)

  1. 少なくとも不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステルを含有する内容物皮膜で覆われたソフトカプセルであって、該内容物及び/又は該皮膜が、下記成分(A’)、成分(B’)及び成分(C’)
    (A’)ショウガの根茎からの抽出物燥粉
    (B’)トレハロース
    (C’)イノシトール
    を含有することを特徴とするソフトカプセル。
  2. 上記成分(A’)、成分(B’)及び成分(C’)が、ソフトカプセルの皮膜に含有されている請求項1に記載のソフトカプセル。
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