JP5924336B2 - 化学蒸着処理の原料ガス供給用ノズル - Google Patents

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Description

本発明は、金属ストリップに気相蒸着を施す化学蒸着処理、特に鋼板にSiを浸珪する浸珪処理やTiN、TiCやSiN等のセラミック被膜を気相蒸着する化学蒸着処理において、処理炉内の鋼板に原料ガスを吹き付ける際に用いるノズルとして好適な化学蒸着処理の原料ガス供給用ノズルに関する。
近年、化学蒸着(CVD)法により、鋼板等の金属ストリップに連続的にSiを付着させて浸珪処理を施したり、TiN、TiCやSiN等のセラミック物質を被覆することが検討されている。化学蒸着法を適用して、金属ストリップに連続的に浸珪処理を施したりセラミック被膜を形成させるには、化学蒸着処理を行う処理炉内の金属ストリップに対して、浸珪処理の原料ガスである浸珪ガス(SiClを含むガス)やセラミック被膜の原料となるガスを均等に吹き付けて、金属ストリップ表面近傍の原料ガス濃度を、特に金属ストリップの幅方向で均等とすることが重要となる。この原料ガスは、ノズルを介して金属ストリップに向けて供給されるのが通例であり、ノズルからの原料ガスの吹き付けが金属ストリップの幅方向で均等に行われることが重要となる。
例えば、特許文献1には、鋼板を浸珪処理して高珪素鋼板とする連続浸珪処理設備の化学蒸着処理炉等に適用される炉内雰囲気調整用ガス供給ノズルが記載され、ノズル構造として、外筒と外筒内に挿入された内筒とからなる同心二重筒であって、内筒内にヒーター装置が設けられ、外筒にガスを炉内に吹き出す吹き出し孔を形成することが開示されている。特許文献1には、ガス供給ノズルを上記したような構造とし、原料ガスを内筒に通して加熱昇温することによって、外筒に設けられたガス吹き出し孔から炉内に吹き出すガスと炉内雰囲気との温度差をほとんどない状態とし、炉内雰囲気に自然対流が発生して流動するのを防止し、ガス流を安定した状態とすることが記載されている。また、特許文献1には、吹き出し口として、外筒の中間部に横長のスリット孔を鋼板に向くように設けることが記載されている。
特許文献2には、浸珪処理炉内に炉長方向で間隔をおいて複数のスリットノズルを配し、このスリットノズルから通板する鋼板に処理ガスを吹き付けることにより、鋼板にその表面からSiを浸透させる浸珪処理を施し、次いで拡散均熱炉においてSiを板厚方向に拡散させる熱処理を施すことで高珪素鋼板を連続的に製造する方法において、浸珪処理炉内に、各スリットノズルに対してその片側端部から処理ガスを供給し、スリットの開口面積a1とスリット内側におけるガス流路のノズル管径方向断面積a2との比a1/a2を所定範囲としてスリットノズルを配し、スリットノズルからのガス吹き出し角度を適正化することで板幅方向のSiの濃度分布を均一化することが開示されている。また、スリットノズルとして、単管構造や、スリットを有する外管と一端側から処理ガスが供給され、他端側が外管内部で開放した内管とからなる二重管構造を有するノズルが開示されている。
しかし、これらの技術では、ノズルの形状やノズルに設けるスリットの大きさにより吹き付けられた原料ガスの流れの状態、例えばガス流速分布が変化し、鋼板等金属ストリップの幅方向で均一な流速分布を確保することが困難であった。
特に特許文献2に開示されるような二重管構造としたスリットノズルでは、内管の先端から外管内に供給されたガスがノズルのスリットから出る際に、内管の先端、つまりガスのノズル内への導入口に近いほど流速が大きくなり、スリットから出るガスが管軸方向の流れを持つに至り、不均一流となることが、特許文献3において指摘されている。
特許文献3に記載の発明は、金属ストリップにTiNなどのセラミック被膜を気相蒸着する化学蒸着処理において用いられる、化学蒸着処理用の原料ガス供給ノズルに関するものである。特許文献3では、スリット状の吐出口を有する化学蒸着処理の原料ガス供給用ノズルについて、原料ガスの吐出口から十分に離れた位置から原料ガスをノズル内に導入することによって、ノズル内において吐出口の方向に対して垂直な成分(管軸方向の成分)のベクトルを持つ流れが抑制され、かつ吐出口の長手方向に対して均一な流速分布が得られることが開示される。特許文献3では、化学蒸着を行う処理炉内に導入された金属ストリップに向けて、原料ガスを吹き付けるノズルであって、少なくとも金属ストリップの全幅にわたる軸長を有する管体の一母線上に、原料ガスの吐出口をスリット状に形成し、該吐出口から径方向に離隔した背面側に、原料ガスの導入口を設けたことを特徴とする化学蒸着処理の原料ガス供給用ノズルが提案されており、特に管軸方向のベクトルを持った流れが発生しやすいため、吐出口の開口面積S1と管軸に直交する断面の面積S2との比を0.35以下とすることが好ましいことが開示されている。
なお、金属ストリップにTiNなどのセラミック被膜を気相蒸着する化学蒸着処理装置として、特許文献4には、金属ストリップを鉛直方向に搬送する、縦型の処理炉をそなえ、該処理炉の内部に、金属ストリップを挟んで対をなす、処理ガスを金属ストリップ表面に向けて供給するノズルを設けることが記載される。
特開平7−278819号公報 特開平8−176793号公報 特開2005−256084号公報 特開2005−256075号公報
特に高珪素鋼板を製造する際に行う浸珪処理の場合、化学蒸着処理の原料ガスである浸珪ガス、すなわちSiClを含むガスを吹き付ける際のガスの分布は、製造される高珪素鋼板の物理的および電磁的特性に大きく影響する。また、浸珪処理後の鋼板の幅方向でのSiの濃度分布が不均一となると、Si量の差による格子定数差によって、鋼板形状不良を引き起こしたりSi量の違いによる磁気特性のむらを生じさせたりするため、特に幅方向に均一なガス分布を得ることが望まれていた。浸珪処理においては、上記したように、二重管構造を有するノズルが用いられ、内管に吹き込んだ原料ガスを外管の軸方向に設けたスリットから鋼板に吹き付けることで浸珪処理が行われている。このため、特にこのような二重管構造を有するノズルであって、幅方向に均一な原料ガスの供給が行えるノズルが望まれていた。
一方、特許文献3に記載の技術では、前記したように、外管の内側に内管を挿入した二重管構造のノズルについて、内管の先端部に、スリット状に形成した原料ガスの吐出口からから径方向に離隔した背面側に開口する原料ガスの導入口を設けること、および吐出口の開口面積S1と管軸に直交する断面の面積、すなわち二重管構造においては、外管の軸に直交する断面の面積S2との比S1/S2を0.35以下と小さくすることが開示されている。しかしながら、浸珪処理が施される鋼板の幅が広くなると、吐出口の幅を広くする必要があり、吐出口の面積S1が大きくなるため、S1/S2を所定範囲とするためには、外管の径を大きくする必要が生じ、鋼板の浸珪処理炉内に配置するのが困難であった。
そこで、本発明は、化学蒸着法における原料ガスの供給に用いるノズルであって、鋼板の浸珪処理に適用可能な二重管構造を有し、原料ガスの吹きつけを金属ストリップの幅方向に均一とすることができる原料ガス供給用ノズルを提供することを目的とする。
本発明の要旨構成を以下に示す。
[1]金属ストリップに化学蒸着処理を行う処理炉内に配置され、軸長方向にスリットを設け先端を閉塞させた閉塞端を有する外管と、一端側から原料ガスが供給され、他端側が外管内部で開放した開放端を有する内管を有する二重管構造を有し、内管の一端側から供給した原料ガスを、前記内管の開放端から外管の閉塞端に向けて吹き出させて外管内に供給し、外管に設けたスリットを通して、金属ストリップに吹き出させて化学蒸着処理を実施する化学蒸着処理用ノズルであって、管軸方向における前記外管に設けたスリットの外管閉塞端側の端と内管開放端との間の内管と外管との間に、原料ガスの流れを調整する遮蔽板を設けたことを特徴とする化学蒸着処理の原料ガス供給用ノズル。
[2]管径方向断面において、内管と外管との間の空隙における開口部面積が、スリットの背面側で大きくなるように前記遮蔽板を設けたことを特徴とする前記[1]に記載の化学蒸着処理の原料ガス供給用ノズル。
[3]前記遮蔽板を、内管の開放端部に配置することを特徴とする前記[1]または[2]に記載の化学蒸着処理の原料ガス供給用ノズル。
[4]前記遮蔽板によるスリットの背面側の開口部が、管径方向で290°以下の角度を有することを特徴とする前記[2]または[3]に記載の化学蒸着処理の原料ガス供給用ノズル。
[5]前記金属ストリップが鋼板であり、前記化学蒸着処理が浸珪処理であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の化学蒸着処理の原料ガス供給用ノズル。
本発明の化学蒸着処理の原料ガス供給用ノズルによれば、ノズル径によらず、原料ガスを均一に吹き付けることが可能であるため、鋼板の浸珪処理やセラミック被膜の蒸着処理等、金属ストリップの化学蒸着処理において、とりわけ均質な被膜を形成したり、種々の物質を化学蒸着処理して固溶・拡散させる上で、極めて有効である。
化学蒸着装置における縦型処理炉内の模式図である。 化学蒸着装置の縦型処理炉内におけるノズル近傍を示す図である。 二重管構造を有する原料ガス供給用ノズルの外観の模式図である。 二重管構造を有する原料ガス供給用ノズルの内部構造を示す模式図である。 本発明の原料ガス供給用ノズルの端部近傍の模式図である。 本発明の原料ガス供給用ノズルの遮蔽板を有する遮蔽部材の模式図である。 本発明の原料ガス供給用ノズルの遮蔽板を有する遮蔽部材の模式図である。 本発明の原料ガス供給ノズルの遮蔽板の取り付け状態を説明する模式図である。 本発明の原料ガス供給用ノズルの遮蔽板を設けた部分の管径方向断面の模式図である。 本発明の原料ガス供給用ノズルの遮蔽板を設けた部分の管径方向断面の模式図である。 図12の流速分布を求めた位置を示す図である。 ノズルによりガスを吹き出した場合の管軸方向の流速分布を示す図である。 比較例であるノズルの遮蔽板を設けた部分の管径方向断面の模式図である。 本発明のノズルを用いた場合の管軸を含む水平断面におけるガスの流れを計算した結果(等速線図)である。 本発明のノズルを用いた場合の管軸に垂直な断面におけるガスの流れを計算した結果(等速線図)である。 比較例のノズルを用いた場合の管軸を含む水平断面におけるガスの流れを計算した結果(等速線図)である。 比較例のノズルを用いた場合の管軸に垂直な断面におけるガスの流れを計算した結果(等速線図)である。 整流板を有する本発明の原料ガス供給用ノズルの端部近傍の模式図である。 実施例1に用いた本発明の原料ガス供給用ノズルの模式図である。 実施例1に用いた本発明の原料ガス供給用ノズルの遮蔽板を設けた部分の管径方向断面の模式図である。
まず、本発明のノズルを適用する化学蒸着(以下、CVDとも称す)装置の一例である縦型処理炉での化学蒸着処理について、図1、図2を用い、金属ストリップを鋼板とした場合を例として、説明する。
図1、図2に示すように、縦型処理炉内では、金属ストリップである鋼板1が鉛直方向に通板し、この鋼板1を挟んで対応する位置にそれぞれノズル2が配置される。なお、ノズル2は原料ガス供給用ノズルである。図1、図2に示すように、加熱ヒーター3にて鋼板1およびノズル2を加熱しつつ、ノズル2のガス吐出口2sより原料ガス4を鋼板1に吹き付ける。炉内ガス5を無反応性の不活性ガスとし、原料ガス4と鋼板1を反応させ、鋼板に所望の部位に所望の範囲で珪素(Si)等の種々の元素を濃化させる。あるいは、炉内ガス5を反応性のガスとし、原料ガス4と炉内に供給したガス5との間で化学反応を生じさせて、鋼板1の表面に被膜6を形成させる。
このようなCVD装置で用いるノズル2において、そこから供給される原料ガス4は均一噴流でなければならない。例えば、TiNの被膜を蒸着反応により形成する場合には、ノズル2からの原料ガス4の噴流速度は、0.5m/s以上である必要があり、1.5m/s以上が望ましい。また、その際に鋼板1、原料ガス4および炉内ガス5の温度は、600℃以上で望ましくは1000℃以上である必要がある。これらの条件により、被膜6が化学反応により鋼板表面にのみ形成される。また、例えば珪素を鋼板1内部に濃化させる場合、同様の噴流速度で且つ鋼板1、原料ガス4および炉内ガス5の温度は800℃以上が望ましい。
ここで重要なのは、前述したノズル2から吹き出す原料ガス4の均一性およびその吹き出す速度(噴射速度)であり、それにはノズル2の構造が重要となる。そこで、浸珪処理に用いられる二重管構造のノズルについて検討した。
図3、図4に、二重管構造を有するノズル2の基本的な形状(外観)および内部構造を模式的に示す。なお、例えば浸珪処理においては、ノズル2は、浸珪処理ガスを供給する原料ガス供給用ノズルである。ノズル2は、外管20内に内管21が挿入された二重管構造を有し、内管21の一端側21aが、内管に原料ガスが供給されるガス吹き込み口となっており、他端側が外管内部で開放した開放端21bを有する。外管20は、軸長方向に原料ガスの吐出口であるスリット2sが設けられており、内管の開放端21b側が閉塞されており、閉塞端20bを有する。
図3、図4に示すノズルにおいて、ガス吹き込み口21aから原料ガス4が吹き込まれると、原料ガス4は内管の開放端21bまで内管内を流れ、内管の開放端21bで外管の閉塞端20bに向かって吹き出される。原料ガス4は、外管の閉塞端20bで折り返して、内管21と外管20との間の空隙内を流れ、外管20に設けたガス吐出口であるスリット2sから金属ストリップである鋼板に吹き出される。
ここで、図3、図4に示すような、単純な二重管構造とした場合、内管の開放端21bから外管20内に供給された原料ガス4は、ノズルのガス吹き出し口であるスリット2sから鋼板に向かって吹き出される際に、内管21の開放端21bに近いほど流速が大きくなり、管軸方向の流速分布を持つに至り、不均一流となるため、原料ガスの鋼板への吹き付け時に均一な流れを得ることはできない。
本発明のノズル内部の外管の閉塞端20b側近傍の模式図を図5に示す。なお、本発明のノズルは、後述する遮蔽板を設けた以外の基本構造は、図3、図4に示したのと同様の二重管構造を有する。本発明のノズル2には、内管の開放端21bで外管の閉塞端20bに向かって吹き出され、外管の閉塞端20bで折り返した原料ガス4がスリット2sから吹き出される前の外管20と内管21との間の空隙部であって、管軸方向における外管に設けたスリット2sの外管閉塞端側の端2sbと内管開放端21bとの間に、遮蔽板110を設け、原料ガスの流れを調整することにより、原料ガスを鋼板に均一に吹き付けることができるようにしている。なお、遮蔽板110は、内管の開放端部に配置することが好ましい。これは、遮蔽板110を上記した位置に設けることにより、ガスを噴出させるスリット2sに直接原料ガス4が入り込んで不均一流れとなることを防止することができるためである。
遮蔽板110は、例えば、図6に示すような、遮蔽部111と内管への取り付け部120を有する遮蔽部材100により、ノズル2の内部に設けることができる。図5に示す構成では、遮蔽部111が遮蔽板110となる。また、遮蔽部材100は、さらに遮蔽部材100の内管への固定を補強するため、保持用の遮蔽部112を有するようにして、図7に示すような構成とすることもできる。保持用の遮蔽部112を設けて、遮蔽部材100を内管に固定することによって、内管と外管との間に設ける際の遮蔽板110の位置を安定させることができる。なお、図7において、遮蔽板110は、保持用の遮蔽部112と遮蔽部111からなる。
また、遮蔽部材100は、ねじ切りあるいは内管を据え付けた後にキーを差し込むようにするなどして内管に取り付けて、固定するようにすればよい。例として、図8にねじ切りおよびキーによる、内管21への遮蔽部材100の取り付け状態の模式図を示す。図8において、ねじ止め部材121には、ねじ切り部121aが設けられており、内管21にはねじ切り部121aに対応してねじ止めが可能なねじ切り部121bが設けられている。また、遮蔽部材100の内管への取り付け部120には、回り止めとしてキー溝122aが設けられており、内管21の対応する位置にキー122bが設けられている。図8では、内管21を据え付けた後、遮蔽部材100の内管への取り付け部120に設けられたキー溝122aを内管21に設けられたキー122bに差し込んで遮蔽部材100を内管21に取り付け、次いで、ねじ止め部材121をねじ止めすることにより、内管21に遮蔽部材100が固定される。なお、遮蔽部材100やねじ止め部材121のような保持部材は、例えばカーボンやSi等のマシナブルセラミック等とすればよい。また、加工法及び精度が非常によくなっているため、通常のセラミックでも問題なく加工が可能となりつつある。
図9に、図6に示した遮蔽部材100を有する、本発明例のノズル2内の遮蔽板110を設けた部分の管径方向断面図を示す。ここで、遮蔽板110は、外管上において、スリット相当位置2sxが中心となるように設けられている。なお、スリット相当位置2sxとは、当該遮蔽板110を設ける外管位置まで、スリット2sを伸ばしたと仮定した場合の、外管上におけるスリット2sが存在する位置である。遮蔽板110はスリット2sから噴出する速度分布を均一化するため、内管開放端21bから出た原料ガス4が直にスリット2sに至るのを防止するために存在する。そのため、遮蔽板110は、内管21と外管20の間の空隙部において、スリット2sと対称となる背面の位置で開口するようにしている。その際に、遮蔽板110による開口が小さい場合は、原料ガス4の流速が速くなり、そのため軸方向の速度を持ったまま、スリット2sに原料ガス4が回り込んでから噴出し、原料ガス4が軸方向の速度成分を持つことより流速分布の不均一化を促すこととなる。そのため、遮蔽板110は、管径方向断面において、内管21と外管20との間の空隙における開口部面積が、スリットの背面側で大きくなるようにする、すなわち、図9において、開口部の管径方向の角度Aを180°以上とすることがスリット2sから噴出する原料ガス4が軸方向の速度成分を持つことを緩和し、流速分布の不均一化を防止するため好ましい。しかしながら、遮蔽板110の開口部が大きくなりすぎると、原料ガス4が直接に内管開口部21bに近いスリット2sから噴出することとなり、従来の流速分布の不均一と同じとなってしまう。これより、遮蔽板110の開口部は適切な角度を持つことが好ましい。これより、開口部の管径方向の角度Aは、原料ガス4が直接に内管開口部21bに近いスリット2sから噴出することを防止するため、290°以下とすることが好ましい。なお、開口部の角度Aを290°とした場合、遮蔽板110の管径方向の角度Bは、70°となる。
図10に、遮蔽部111および保持用の遮蔽部112を有する、図7に示した遮蔽部材100を用いた本発明例のノズル2内の遮蔽板110を設けた部分の管径方向断面図を示す。なお、前記したように、該遮蔽板110は、遮蔽部111および保持用の遮蔽部112とからなる。この場合、内管21と外管20との間の空隙における開口部面積は、内管21と外管20との間の空隙部の面積から、遮蔽板110の面積、すなわち遮蔽部111および保持用の遮蔽部112によって遮蔽される面積を除いた部分の面積となる。この部分の面積が、スリットの背面側で大きくなるようにすることが好ましい。すなわち、管径断面において、スリット側(SL側)で遮蔽板110により遮蔽される部分の面積が、スリットの背面側(SB側)で遮蔽される部分の面積よりも大きくすることが好ましい。
なお、図10に示すように、保持用の遮蔽部112を有する場合、開口部の面積、すなわち開口部の管径方向の角度は、保持用の遮蔽部112で遮蔽される分、若干小さくなることとなる。その場合、重要なのはSL側での遮蔽となる。これは、先述したように直接開口部に近いスリット2sに原料ガス4が至ることが問題であり、それを防止するためにSL側に設けている遮蔽部111の管径方向の角度Bは望ましくは70°以上である。なお、保持部取り付け用の遮蔽部112は影響がでないように且つ必要な強度を保持できるようにしてあれば問題ない。その場合、保持取り付け用の遮蔽部は図10に示すようにSB側に設け、保持部取り付け用の遮蔽部112の管径方向の角度C1、C2は各々20°以下とすればよく、また好ましくは10°以下である。なお、図10において、開口部の管径方向の角度は、360°から上記B、C1、C2を除いた値である。
図12に、図10に示す本発明例のノズルを用いた場合のスリットからの原料ガスの流れの管軸方向の流速vの分布について、図11に示す流速測定位置にて計算した結果(発明例)を、ノズル中心からの距離Lとの関係で示す。なお、図11、図12において示す距離は、ノズル内径Dで規格化した値である。また、図12には、比較として、図13に示す遮蔽板210を取り付けたノズルを用いた場合の流速分布を計算した結果(比較例)も示す。ここで、図13に示す遮蔽板210は、原料ガスの通路である内管21と外管20との間の空隙における開口部として、均等に分布した孔hを配置した例である。図12に示すように、本発明のノズル2を用いた場合、比較例と比べて、流速分布が管軸方向、すなわち金属ストリップの板幅方向で均一な分布となっていることがわかる。
図14に図10に示した本発明のノズルを用いた場合の管軸を含む水平断面におけるガスの流れを計算した結果である等速線図を、図15に、管軸に垂直な断面におけるガスの流れを計算した結果である等速線図を示す。また、図16に図13に示した比較例のノズルを用いた場合の管軸を含む水平断面におけるガスの流れを計算した結果である等速線図を、図17に、管軸に垂直な断面におけるガスの流れを計算した結果である等速線図を示す。なお、図15および図17はY方向に対称となるため、垂直断面においてY方向の+側1/2のみを示している。
図14に示すように、本発明例のノズルを用いた場合、外管に設けたガス吐出口であるスリットから吹き出すガスの流れの水平流速分布がほぼ均一となっていることがわかる。また、図15に示すように、管軸に垂直な断面で見た場合も、ガスの流れに大きな乱れは認められない。一方、図16に示すように、比較例のノズルを用いた場合、外管に設けたガス吐出口であるスリットから吹き出するガスの流れの水平流速分布に偏りが生じ、また、図17に示すように、管軸に垂直な断面で見た場合も偏りが生じていることが判る。
上記したように、本発明の原料ガス供給用ノズルを用いることにより、ガス吐出口であるスリットからの流れを均一化することができる。また、ノズル内に遮蔽板を設ける構造であるためノズル径や長さによらず対応することができ、浸珪処理やセラミック被膜を設けるような化学蒸着処理における原料ガス供給用ノズルとして適用することができる。
また、本発明のノズル内には、上記した遮蔽板のほかに、図18に示すように、内管の開放端21bと遮蔽板110の間に整流板300を設けてSL側からSB側への流れを制御し、より均一化を図るとともに、内管を保持する際の安定度を増加させることもできる。このような整流板300を設けることにより、さらに均一性を向上させることができる。
図1、図2に示したCVD装置を用いて、金属ストリップとして珪素鋼板を用い、低鉄損化するため化学蒸着処理として浸珪処理(珪素濃化)を行った。その条件を、表1に示す。なお、原料ガスの流量は、鋼板における珪素の量が6.5質量%となるように調整した。なお、用いた珪素鋼板は、板厚:100μm、板幅:600mm、Si濃度:3.1質量%、ヤング率:210GPa(常温)とした。
原料ガスを珪素鋼板に吹き付けるノズルには、図19および図20に示す本発明のノズル2を用いた。図19には、遮蔽部材100を設けたノズルの模式図を、図20には上記浸珪処理に用いた本発明のノズル2内の遮蔽板110を設けた部分の管径方向断面図を示している。なお、遮蔽板110は、図20において、遮蔽部111、保持用の遮蔽部112からなる。図20に示すように、ここで用いたノズルは、遮蔽部111、保持用の遮蔽部112からなる遮蔽板110を有し、開口部の管径方向の角度A1は76°、A2は38°、A3は38°、A4は55°、A5は55°とし、スリット背面での開口部が、管径方向で152°(A1+A2+A3)とし、内管と外管との間の空隙における開口部面積がスリットの背面側で大きくなるようにした。
上記浸珪処理により得られた鋼板から長さ500mmの試料を採取し、鋼板の形状として、幅方向および長さ方向のうねり、反りの分布を調査した。また、比較として、図13に示した遮蔽板210を有するノズルにて、同様の条件で浸珪処理をして得た珪素鋼板についても同様にうねり、反り分布を求めた。結果を表2に示す。
表2の結果から、本発明のノズルを使用することによって、うねり、反りの少ない、平坦で形状が良好な珪素鋼板が得られること、すなわち、ノズルから均等にガスを吹き出させて浸珪処理できていることがわかる。これに対し、比較のノズルを用いて浸珪処理を行った場合、うねりおよび反りが大きくなった。このため、スリットして使用する場合、蛇行の原因となり、多条巻取りが困難となってしまった。この結果から、安定製造を行うためにも、ノズルから均一な噴流を得ることが重要であることが明らかとなった。
Figure 0005924336
Figure 0005924336
原料ガスを珪素鋼板に吹き付けるノズルとして、実施例1と同様の構造を有し、図18に示した整流板300を配置したノズルを用い、実施例1と同様の条件で浸珪処理を行った。なお、遮蔽板は、実施例1のノズルと同じ遮蔽板110を用いた。得られた鋼板について、結果を表3に示す。そのなかで特に鋼板幅方向における珪素濃度分布を求め、電磁特性上使用可能となる珪素濃度となった部分の鋼板端部からの距離(長さ)も調査した。また、比較として、図13に示した遮蔽板210を有し、整流板を有するノズルにて、同様の条件で浸珪処理をして得た珪素鋼板についても同様に鋼板幅方向における珪素濃度分布を求めた。
電磁特性上使用可能となる特性を有さない鋼板幅端部は、製品とする際には切り捨てる必要がある。表3の結果から、本発明のノズルを使用した場合、鋼板端部の切捨て量を大幅に低減することができ、生産性の向上を図ることができることがわかる。
Figure 0005924336
本発明は、鋼板にSiを浸珪する浸珪処理やTiN等のセラミック被膜の形成に限ることなく、広幅で高速通板される鋼板、アルミ板、銅板等の金属ストリップの化学蒸着処理にも適用可能であり、さらには半導体分野にまで応用が可能である。
1 鋼板
2 ノズル
2s ガス吐出口(スリット)
2sb スリットの外管閉塞端側の端
3 ヒーター
4 原料ガス
5 炉内ガス
6 被膜
20 外管
20b 外管の閉塞端
21 内管
21a 内管のガス吹き込み口
21b 内管の開放端
100 遮蔽部材
110 遮蔽板
111 遮蔽部
112 保持用の遮蔽部
120 取り付け部
121 ねじ止め部材
121a ねじ切り部
121b ねじ切り部
122a キー溝
122b キー
210 遮蔽板
300 整流板

Claims (5)

  1. 金属ストリップに化学蒸着処理を行う処理炉内に配置され、軸長方向にスリットを設け先端を閉塞させた閉塞端を有する外管と、一端側から原料ガスが供給され、他端側が外管内部で開放した開放端を有する内管を有する二重管構造を有し、内管の一端側から供給した原料ガスを、前記内管の開放端から外管の閉塞端に向けて吹き出させて外管内に供給し、外管に設けたスリットを通して、金属ストリップに吹き出させて化学蒸着処理を実施する化学蒸着処理用ノズルであって、管軸方向における前記外管に設けたスリットの外管閉塞端側の端と内管開放端との間の内管と外管との間に、原料ガスの流れを調整する遮蔽板を設けたことを特徴とする化学蒸着処理の原料ガス供給用ノズル。
  2. 管径方向断面において、内管と外管との間の空隙における開口部面積が、スリットの背面側で大きくなるように前記遮蔽板を設けたことを特徴とする請求項1に記載の化学蒸着処理の原料ガス供給用ノズル。
  3. 前記遮蔽板を、内管の開放端部に配置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化学蒸着処理の原料ガス供給用ノズル。
  4. 前記遮蔽板によるスリットの背面側の開口部が、管径方向で290°以下の角度を有することを特徴とする請求項2または3に記載の化学蒸着処理の原料ガス供給用ノズル。
  5. 前記金属ストリップが鋼板であり、前記化学蒸着処理が浸珪処理であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学蒸着処理の原料ガス供給用ノズル。
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