JP5916464B2 - 銅合金展伸材、銅合金展伸材の製造方法および銅合金部品の製造方法 - Google Patents

銅合金展伸材、銅合金展伸材の製造方法および銅合金部品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子機器、精密機械、自動車等に使用される金属部品、特に切削加工により製造される銅合金部品の製造方法に関し、さらにこの銅合金部品に適する銅合金展伸材とその製造方法、特に、無鉛快削りん青銅展伸材の製造方法に関するものである。
金属部品を製造する方法として旋削、穿孔などの切削加工がある。切削加工は、特に複雑な形状を持つ部品や高い寸法精度を要する部品の製造には有効な加工方法である。切削加工を行う場合、被削性がしばしば問題となる。被削性には切削屑処理、工具寿命、切削抵抗、切削面粗さなどの項目があり、これらの特性を向上させる材料の改良が行われている。
銅合金は、強度が高い、導電性・熱伝導性に優れる、耐食性に優れる、色調に優れるなどの理由から多くの金属部品に使用されている。銅合金の切削による加工は多く実施されており、例えば水道の蛇口、バルブ、歯車、装飾品などの成形が行われている。これらの金属部品には、黄銅(Cu−Zn系)、青銅(Cu−Sn系)、アルミ青銅(Cu−Al系)、洋白(Cu−Zn−Ni系)等に被削性を向上させるために鉛を添加した合金が使用されている。
その中でも、りん青銅(Cu−Sn−P系)が強度、靭性、耐食性の観点から用いられている。汎用の快削りん青銅としては、JIS H 3270 C5341のように鉛を添加した快削りん青銅がある。この合金はNC旋盤等の精密な工作機械で切削加工され、小ネジ、軸受け、ボルト、ナット等の部品にも使用されている。
このように従来、銅合金の被削性を向上させるために、一般的には鉛が添加されている。これは、鉛が銅合金に固溶しないため材料内に微細に分散し、切削加工時に切削屑がその部分で分断されやすくなることによる。しかし、鉛は人体や環境に影響を及ぼすとされていることから使用が制限されつつあり、鉛を含有せずに被削性を向上させた材料の要求が高まっている。鉛を含有する銅合金の代替材料として、黄銅や青銅にBi(ビスマス)を添加した銅合金(特許文献1、2参照)が知られている。さらに、青銅においてS(硫黄)、MoSを添加して硫化物を形成させたものもある(特許文献3、4、5)。また、Cu−Ni−Si合金すなわち析出型コルソン合金にSを添加したもの(特許文献6)が知られている。
特開2000−336442号公報 特開2001−059123号公報 特開2007−297675号公報 特開2007−314871号公報 国際公開2007/126006号パンフレット 特開2011−231394号公報
特許文献1、2に記載の技術では、Biを添加すると被削性は改善されるが、加工中に割れやすくなり、特に熱間加工が困難となる。また、熱間加工性の改善を図ることが改めて必要となるとともに、Biは稀少金属であるため、生産コストもかかってしまう。
特許文献3、4は鋳物に関する技術であり、鋳物を直接切削する場合には好適であるが、棒材や板材などの展伸材(塑性加工された材料)を得るための技術としての開示はない。また、特許文献5については、青銅を含む銅合金に対しSを添加し、耐摩耗性、耐焼付き性について検討した摺動用部材のもので、切削性をについて検討したものでない。また、得られた銅合金を展伸加工して検討した記載もなく、特許文献5も特許文献3、4と同様に鋳物に関する技術と判断される。
特許文献6に記載の技術は、析出強化型のコルソン合金に関するもので、高強度もしくは高導電性を得るための合金組成である。溶体化処理、冷間加工、時効硬化処理等の複雑で適切な製造プロセスが必要な合金で、製造コストが高価である。加工が容易で、廉価なコストで製造できる固溶強化型のりん青銅については検討がされていない。
よって本発明は、Pbを含まず環境負荷を低減でき、被削性および展伸性に優れる、銅合金展伸材、特に、無鉛快削りん青銅展伸材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、汎用的なCu−Sn−P系の廉価な固溶強化型りん青銅において特定のサイズ(平均直径)の硫化物を分散させ、かつ該硫化物の面積率を制御することによって、展伸性(熱間・冷間の加工性)および被削性に優れた、無鉛快削りん青銅展伸材が得られることを見出した。また上記の硫化物を得るための特定の成分組成を見出した。本発明はこれらの知見に基づきなされた。
すなわち、本発明は、以下の解決手段を提供するものである。
(1)Snを0.5〜11.0mass%、Pを0.03〜0.35mass%、Sを0.02〜1.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する銅合金展伸材であって、
前記展伸材の長手方向に垂直な断面(横断面)において、平均直径0.1〜10μmの硫化物を分散含有し、該硫化物の面積率が0.1〜10%である銅合金展伸材。
(2)Snを0.5〜11.0mass%、Pを0.03〜0.35mass%、Sを0.02〜1.0mass%含有し、さらに
Fe、Zn、Ni、Si、Al、Cr、Mn、Co、Zr、TiおよびAgからなる群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.40mass%含有し、このうち、Feが0.10mass%以下、Znが2.30mass%以下、Niが0.30mass%以下、Siが0.50mass%以下、Alが1.00mass%以下、Crが0.15mass%以下、Mnが0.15mass%以下、Coが0.50mass%以下、Zrが0.10mass%以下、Tiが0.25mass%以下およびAgが0.03mass%以下であって、
残部がCuおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する銅合金展伸材であ
前記展伸材の長手方向に垂直な断面(横断面)において、平均直径0.1〜10μmの硫化物を分散含有し、該硫化物の面積率が0.1〜10%である銅合金展伸材。
(3)前記硫化物が、Cu−S、Al−S、Ti−S、Mn−S、Co−S、Ni-S、Fe−S、Zr−S、Zn−S及びCr−Sからなる群から選ばれる少なくとも1種類である(2)に記載の銅合金展伸材。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の銅合金展伸材を切削加工して形成する銅合金部品の製造方法
前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の銅合金展伸材を製造する方法であって、
溶解鋳造で得られた銅合金に均質化熱処理を施した後、加工率30%以上の冷間加工を施す銅合金展伸材の製造方法。
)中間焼鈍と加工率30%以上の冷間加工をさらに1回以上繰り返す()に記載の銅合金展伸材の製造方法。
本発明の無鉛快削りん青銅展伸材は、汎用りん青銅と同等の強度、ばね性、疲労特性、耐食性、耐摩耗性および導電性を有し、さらにPbなどの環境負荷物質、およびBiなどの稀少金属を利用することなく、被削性および展伸性に優れる。特に本発明の無鉛快削りん青銅展伸材は、切削加工により製造される小ネジ、ボルト、ナットおよび電子機器等の部品用材料として好適である。本発明の銅合金部品は切削加工で精度よく製造することができ、かつ、電気機器等の部品として必要な特性を有する。
本発明の銅合金展伸材の好ましい実施の態様におけるSnとPは、金属生地(マトリクス)中に固溶し固溶強化の作用を示すので、その添加は銅合金展伸材の強度および導電性等の特性を決定する。
本発明の銅合金展伸材の好ましい実施の態様においては、Sの添加によりマトリクス中に被削性向上に寄与する硫化物を形成させる。この硫化物が、切削加工を行った時の切削屑分断の起点として作用することで切削屑が細かく分断され易くなり、被削性が向上する。
本実施形態における、銅合金中に形成させた硫化物は、展伸加工性を悪化させることから、加工性を阻害しない硫化物のサイズ(平均直径)と面積率にしなければならない。このことから、硫化物のサイズ(平均直径)と面積率を規定している。規定した硫化物分散状態が得られることで展伸加工性と切削性を同時に向上させることが可能となる。
Snの含有量が多いほど、引張強さ、ばね性が向上するのは汎用のりん青銅と同等であることから、使用用途に応じて所望のSn量を選択するのが望ましい。また、S量は切削性のみに寄与するものであり、Sn量に対してのS量は、引張強さ、ばね性に関係なく、規定量のS量になる。
本実施形態の銅合金展伸材においては、硫化物のサイズ(平均直径)が0.1〜10μm、好ましくは1.0〜10μmで、硫化物の面積率が0.1〜10%、好ましくは1.0〜10%存在する必要がある。そのためには、Sの含有量は0.02〜1.0mass%であり、好ましくは0.03〜0.8mass%である。少なすぎると硫化物の面積率が小さく、十分な切削屑分断性が得られない。Sの含有量が多すぎると、冷間加工性(すなわち展伸性)が悪化する。
これらの、硫化物のサイズ(平均直径)と硫化物の面積率は、Sの含有量の調整と30%以上の冷間加工で達成され、展伸材に均一に分散することが可能となる。
さらに、本実施形態の銅合金展伸材には、Fe、Zn、Ni、Si、Al、Cr、Mn、Co、Zr、TiおよびAgから選ばれる1種または2種以上を含有させてもよい。これらの元素は、固溶または析出物を形成することでCu−Sn−P合金のばね性、疲労特性、耐食性、耐摩耗性、強度を向上させる。含有させる場合には、Fe、Zn、Ni、Si、Al、Cr、Mn、Co、Zr、TiおよびAgの中から選ばれる1種または2種以上を総量で0.05〜3.0mass%含有させることが好ましい。含有量が0.05mass%より少ない場合は、ばね性、疲労特性、耐食性、耐摩耗性がこれらの元素を含有しない場合と変わらなくなる。また、含有量が3.0mass%より多い場合は、バネ性、疲労特性、耐食性、耐摩耗性の向上効果が飽和するだけでなく、加工性の悪化や導電率が低下するため得策ではない。
本実施形態における硫化物としては、Cu−S、Al−S、Ti−S、Mn−S、Co−S、Ni-S、Fe−S、Zr−S、Zn−S、Cr−Sなどがあり、Cu−Sが特に有効である。さらに、不可避的不純物とSとの硫化物もある。なお、ここで「Cu−S」とはCuSやCuSなどのCuとSからなる硫化物の総称を意味し、以下「Al−S」等でも同様である。
被削性向上に寄与する化合物である硫化物のサイズ(平均直径)と面積率の規定、並びに特徴について述べる。硫化物は、切削加工時に発生する切削屑を細かく分断する作用があり、それにより被削性が向上する。ただし、硫化物のサイズ(平均直径)が0.1μmより小さいと、大きな効果は得られない。また、サイズ(平均直径)が0.1μm以上の硫化物があったとしても、トータルの面積率が小さいと切削屑は細かく分断されない。具体的には、0.1μm以上のサイズ(平均直径)の硫化物が面積率で0.1〜10%の密度で分布していないと、切削屑が十分には分断されない。なお、硫化物は軟らかいため、冷間加工の加工度に応じて長手に伸ばされることがあるが、硫化物のサイズ(平均直径)と面積率は展伸材の長手方向に垂直な断面(横断面)で上記を満足すれば良い。また硫化物のサイズ(平均直径)とは、この横断面を電子顕微鏡で観察して100個以上の硫化物粒子を円形換算して、その直径を平均した値とする。硫化物の面積率とは電子顕微鏡で観察される1視野に見られる硫化物の数をカウントし、その各々の硫化物を円形換算してその直径を求め、平均して、その平均直径から面積を求めて硫化物数を乗じて硫化物の1視野当りの総面積を求めて1視野の全面積で除した値(%)とする。
硫化物は材料の冷間加工性を悪化させる。冷間加工性を悪化させる原因は、硫化物が結晶粒界に多く形成されると粒界強度が低下するためである。硫化物のサイズ(平均直径)が大き過ぎたり、面積率が大き過ぎたりすると、硫化物が結晶粒界に形成されやすくなり冷間加工を施した時に割れを生じさせ、展伸材として使用できなくなる。従って、硫化物のサイズ(平均直径)は10μm以下、硫化物の面積率は10%以下にする必要がある。
銅合金部品としては、鉛入りのりん青銅に使用されている、歯車、カム、軸受け、小ネジ、ボルト、ナット、および、同軸コネクタのオスピン、メスピンや、ICソケットやバッテリ端子コネクタに使用されるプローブのバレルおよびプランジャー材、オーディオケーブルのコネクタ端子などの電子機器部品、アンテナのヒンジ、ファスナー、ベアリング、ガイドレール、抵抗溶接機、金型のイジェクトピンなどの要素部品のように、強度、電気伝導性、熱伝導性、耐摩耗性を必要とし、複雑な形状で主に切削加工で製造される部品が挙げられる。本実施形態の「銅合金部品」は切削加工で製造された銅合金部品を一部に含むものであってもよい。
次に、本発明の無鉛快削りん青銅展伸材の製造方法を説明する。
本施形態における銅合金展伸材は、本発明で規定する成分の合金を溶解鋳造し、得られた銅合金に均質化熱処理を施した後、加工率30%以上の冷間加工を施すことで製造される。より好ましくは、さらに冷間加工と中間焼鈍を1回以上繰り返して製造される。均質化熱処理は700〜800℃、60〜180分で行われるのが良い。また、中間焼鈍は、マトリックス組織を再結晶させるために行うものであり、600〜700℃、60〜120分で行われるのが良い。
本実施形態における銅合金展伸材の硫化物は、硫黄の添加により鋳造時に形成されるが、形成されたときはSnが偏析したデンドライト上に存在しており加工性(すなわち展伸性)を悪化させる。そこで、溶解鋳造後、Snの偏析の均質化と硫化物のマトリックスへの分散を目的に均質化熱処理を行う。その後の工程で冷間加工を施し、硫化物を更に結晶粒界に多く存在しており加工性(すなわち展伸性)を悪化させる。そこで、溶解鋳造後、均質化熱処理を行い、加工性を損なわなくさせることにより、圧延、引抜きなどの展伸加工が可能となる。よって、溶解鋳造後、均質化熱処理を行い、その後の工程で冷間加工を行う以外、特段の制約はない。例えば、鋳塊(ケークまたはビレット)の横断面の面積については、展伸材の横断面の面積より大きければよい。
本実施形態における銅合金展伸材は、SnとPが固溶した状態で、冷間加工と中間焼鈍が施されるが、冷間加工率が30%未満の場合、焼鈍時脆性破壊が発生するため、30%以上の冷間加工を施す。より好ましくは、50%以上の冷間加工を施す。この冷間加工は均質化熱処理後に行われるが、さらに中間焼鈍と冷間加工率30%以上、好ましくは50%以上の冷間加工を1回以上繰り返すのが好ましい。これらの冷間加工工程で硫化物もマトリックスと同様に展伸し、展伸加工度に伴いマトリックス中に均一に分散され切削加工時の形態として好ましい。すなわち展伸加工で硫化物が均一に分散されて切削性が大幅に向上する。加工率の上限は特に制限はないが、99%以下であるのが現実的である。
なお、冷間加工率とは、例えば、鋳塊棒(均質化熱処理後)から冷間加工を行った場合の断面積減少率や、その後、一度中間焼鈍を施し、さらに中間焼鈍を行うまで加工した際の断面積減少率である。
本実施形態の銅合金展伸材は、例えば、鋳塊の熱間鍛造、あるいは連続鋳造などの製造方法でも製造することが可能である。また、製品の形状は特に制約はないが、後工程である切削工程により最終形態である銅合金部品を得やすい形状としておくことが好ましい。すなわち、銅合金部品の用途により線、棒、条、板、管などの所定の形状の銅合金展伸材として製造し、使い分ければ良い。例えば、最終形態の銅合金部品がねじやリベットなどである場合は、銅合金展伸材の形状は丸棒状であることが好ましい。
以下に、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(実施例1)
表1の合金成分で示される組成の銅合金を横型連続鋳造機にて直径15mmの丸棒を鋳造した。得られた直径15mmの丸棒を700℃で2時間均質化熱処理行い、次いで前記丸棒を60%の冷間加工を施し直径9.5mmの丸棒を得た。その後、中間焼鈍を施した後、60%の冷間加工を施し最終形態の直径6mmの丸棒を製造した。
このようにして得られた各々の銅合金展伸材(丸棒)のサンプルについて、硫化物の分散状態と被削性を下記方法により調べた。各評価項目の測定方法は以下の通りである。
<硫化物分散状態>
硫化物のサイズ(平均直径)と面積率は、直径6mmの丸棒のサンプルの任意の3か所の横断面について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてそれぞれ3視野について組織観察を行うことにより求めた。硫化物のサイズ(平均直径)は、1視野当たり100個以上の硫化物を円形換算して、その直径を平均して求めた。硫化物の面積率は、1視野に見られる硫化物の数をカウントし、硫化物を円と仮定して平均直径より求めた面積を乗じることで硫化物の1視野当たりの総面積を求め、1視野の面積で除することで求めた。
また、硫化物の成分を、SEMに付随するエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)を用いて調査した。
<被削性>
被削性評価は、直径6mmの丸棒を製直加工後、汎用旋盤を用いて丸棒の外径の段付き切削加工を行った。太径部の直径6mm、細径部の直径5mmのリベットを作製して発生した切削屑の形態を観察した。切削屑が長さ5mm未満に分断されるものは「良」、切削屑が分断されるがその長さが5mm以上10mm以下のものは「可」、切削屑が分断されるがその長さが10mmを越えてしまうものと、切削屑が螺旋状につながっているものとは「不良」とした。実用上問題が生じないのは良および可である。なお切削条件は、回転数1010rpm、送り速度を1回転あたり0.09mm、切り込み代0.25mm、とした。バイトは超硬工具(三菱マテリアル製 インサート:GTAT0431200R−VT VP15KZ)を用い、切削油は不使用とした。
表1に結果を示す。
Figure 0005916464
本発明例1〜17は、成分が本発明の範囲内であり、銅合金展伸材に硫化物が分散しており、分散させた硫化物は、平均直径と面積率とも規定の範囲であることから、展伸加工が可能で材料加工中の割れはなく、被削性も良好であった。
比較例1〜4は、SnおよびPの合金成分は本発明の範囲内であり、展伸加工が可能であったが、Sの添加が無いものと、Sの範囲が規定より低かったため、硫化物の面積率が規定より小さく、被削性が劣った。
比較例5〜6は、SnおよびPの合金成分は本発明の範囲内であり、展伸加工が可能であったが、Sが規格より多く、比較例5は、硫化物平均直径、面積率とも規定の範囲内であるが被削性が劣った。比較例6は、硫化物の平均直径は規格の範囲内で、面積率は規格より大きく被削性が劣った。
比較例7は、SnおよびPの合金成分は本発明の範囲内であり、Sが本発明の範囲より多く、冷間加工時断線が発生し加工性が劣った。また、硫化物の平均直径と面積率も規格より大きく被削性も劣った。
比較例8は、Sn、PおよびSの合金成分は本発明の範囲内であるが、Fe、Zn、Ni、Si、Al、Cr、Mn、Co、Zr、TiおよびAg総量が規定より多かったため、冷間加工時断線が発生し加工性が劣った。
比較例9は、Sn量が規定より多く、冷間加工時断線が発生し、最終形態直径6mmの丸棒が製造できなかった。
従来例1は快削りん青銅C5341相当品で同じ試験を行ったものである。この結果から、本発明例は、鉛を使った従来品に劣らない被削性を示したことがわかる。
(比較例10)(製造方法の比較例)
表1の本発明例10と同じ組成の銅合金を横型連続鋳造機にて直径15mmの丸棒を鋳造した。次いで前記丸棒を20%の冷間加工を施し直径13.4mmの丸棒を得た。その後、中間焼鈍を施した。
中間焼鈍を施した材料は、焼鈍ワレが生じ、冷間加工できなかった。

Claims (6)

  1. Snを0.5〜11.0mass%、Pを0.03〜0.35mass%、Sを0.02〜1.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する銅合金展伸材であって、
    前記展伸材の長手方向に垂直な断面(横断面)において、平均直径0.1〜10μmの硫化物を分散含有し、該硫化物の面積率が0.1〜10%である銅合金展伸材。
  2. Snを0.5〜11.0mass%、Pを0.03〜0.35mass%、Sを0.02〜1.0mass%含有し、さらに
    Fe、Zn、Ni、Si、Al、Cr、Mn、Co、Zr、TiおよびAgからなる群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.40mass%含有し、このうち、Feが0.10mass%以下、Znが2.30mass%以下、Niが0.30mass%以下、Siが0.50mass%以下、Alが1.00mass%以下、Crが0.15mass%以下、Mnが0.15mass%以下、Coが0.50mass%以下、Zrが0.10mass%以下、Tiが0.25mass%以下およびAgが0.03mass%以下であって、
    残部がCuおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する銅合金展伸材であ
    前記展伸材の長手方向に垂直な断面(横断面)において、平均直径0.1〜10μmの硫化物を分散含有し、該硫化物の面積率が0.1〜10%である銅合金展伸材。
  3. 前記硫化物が、Cu−S、Al−S、Ti−S、Mn−S、Co−S、Ni-S、Fe−S、Zr−S、Zn−S及びCr−Sからなる群から選ばれる少なくとも1種類である請求項2に記載の銅合金展伸材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅合金展伸材を切削加工して形成する銅合金部品の製造方法
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅合金展伸材を製造する方法であって、
    溶解鋳造で得られた銅合金に均質化熱処理を施した後、加工率30%以上の冷間加工を施す銅合金展伸材の製造方法。
  6. 中間焼鈍と加工率30%以上の冷間加工をさらに1回以上繰り返す請求項に記載の銅合金展伸材の製造方法。
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