以下、本発明の第1実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は車両に搭載されるリヤワイパモータの平面図を、図2は図1のA−A線に沿う部分断面図を、図3は図1の破線円B部分の拡大図を、図4(a),(b)はストッパプレートの詳細を示す斜視図を、図5はリヤワイパモータの組み付け手順を説明する説明図をそれぞれ表している。
図1に示すように、ワイパモータとしてのリヤワイパモータ10は、車両のリヤハッチに搭載されるリヤワイパ装置(図示せず)の駆動源として用いられるもので、モータ部20およびギヤ部30を備えている。モータ部20およびギヤ部30は、一対の締結ネジ11によりそれぞれ一体となるよう連結されている。リヤワイパモータ10は、リヤハッチ等の幅狭空間に配置され、図示しないリヤガラス(ウィンドシールド)上に設けられるワイパブレード(図示せず)を、所定角度範囲で往復払拭動作(揺動駆動)させるようになっている。
図1および図2に示すように、モータ部20は、ブラシ付きの4極モータとして構成され、その外郭を形成するモータケース(ヨーク)21を備えている。モータケース21は、磁性体である鋼板をプレス加工することにより有底筒状に形成され、その開口側には、各締結ネジ11が挿通される挿通孔21aを備えたフランジ部21bが一体に設けられている。モータケース21は、図2に示すように、一対の円弧部21cおよび一対の直線部21dを有するよう断面が略小判形状に形成されている。これにより、モータケース21の幅寸法、つまり図中左右方向の厚み寸法を詰めて薄型化を図っている。
モータケース21の内部には、断面が略円弧形状に形成された合計4つのマグネット(磁石)22が固定されている。各マグネット22は、例えばフェライト磁石であって、モータケース21の周方向に沿ってそれぞれ等間隔(90度間隔)で固定され、各マグネット22の内側には、所定の隙間(エアギャップ)を介してアーマチュア(回転子)23が回転自在に収容されている。アーマチュア23の回転中心には、回転軸としてのアーマチュア軸24の基端側が貫通して固定されている。
アーマチュア軸24の軸方向に沿う略中央部分には、コンミテータ(整流子)25が固定されており、コンミテータ25は10個のセグメント25aを備えている。また、アーマチュア軸24の基端側には、アーマチュア23を形成するアーマチュアコア26が固定されており、アーマチュアコア26は10個のスロット26aを備えている。各スロット26aには、所定の巻き方および所定の巻数で複数のアーマチュアコイル26bが巻装されている。各アーマチュアコイル26bのコイル端は、各セグメント25aにそれぞれ電気的に接続されている。
コンミテータ25の各セグメント25aには、複数の給電ブラシ25b(図示では2つのみ示す)が摺接するようになっている。各給電ブラシ25bは、ギヤケース31のブラシホルダ収容部34に装着されたブラシホルダ(図示せず)に移動自在に設けられ、各給電ブラシ25bには、コネクタユニット50からの駆動電流が供給されるようになっている。このように、モータ部20とコネクタユニット50とは、各給電ブラシ25b,コンミテータ25およびアーマチュアコイル26bを介して電気的に接続され、これによりアーマチュアコイル26bに電磁力が発生し、アーマチュア23(アーマチュア軸24)が回転するようになっている。なお、図2においては、説明を分かり易くするために各給電ブラシ25bの図示を省略している。
アーマチュア軸24の基端側は、モータケース21の底部に設けられたラジアル軸受27のみによって回転自在に支持されており、アーマチュア軸24の基端側とモータケース21の底部との間には、従前必要であったアーマチュア軸24をその軸方向から支持するスラスト軸受を設けていない。ここで、ラジアル軸受27は、例えば、焼結材により略円筒形状に形成され、これにより、低騒音かつ耐衝撃性および自己潤滑性を備え、さらには摩耗粉が発生し難くなっている。ただし、ラジアル軸受27は、焼結材に換えて耐熱性に優れたプラスチック材料等で形成しても良い。
アーマチュア軸24の先端側はギヤケース31内に挿入され、アーマチュア軸24のギヤケース31内に挿入された部分には、入力ギヤとしてのウォームギヤ24aが一体に設けられ、当該ウォームギヤ24aは、アーマチュア軸24の回転に伴いギヤケース31内で回転するようになっている。ウォームギヤ24aは螺旋状に形成され、ウォームホイール32のギヤ歯32aに噛み合うようになっている。ここで、ウォームギヤ24aは、ウォームホイール32とともに減速機構を構成しており、ウォームホイール32は、ウォームギヤ24aの回転に伴い、当該ウォームギヤ24aよりも減速状態で回転するようになっている。
アーマチュア軸24のアーマチュア23とウォームギヤ24aとの間には、図3に示すように、アーマチュア軸24の径方向に向けて凹凸形状(セレーション形状)となったベアリング固定部24bが形成されている。ベアリング固定部24bには、軸受部材としてのボールベアリング28の径方向内側、つまりボールベアリング28を形成する内輪部材28aが圧入嵌合により固定されている。ここで、ベアリング固定部24bに凹凸形状(セレーション形状)を形成せずに、単にアーマチュア軸24に内輪部材28aを圧入した際の緊迫力のみで、ベアリング固定部24bにボールベアリング28を固定するようにしても良い。
ボールベアリング28は、内輪部材28aと外輪部材28bとを備え、内輪部材28aと外輪部材28bとの間には、複数の鋼球28cが設けられている。内輪部材28aと外輪部材28bとの間には、各鋼球28cに加えて、各鋼球28cに塗布した潤滑グリス(図示せず)の外部への漏れを防止する一対の環状カバー部材28dが設けられている。
ボールベアリング28の径方向外側、つまりボールベアリング28を形成する外輪部材28bは、ギヤケース31のベアリング嵌合部36と、ギヤケース31に装着されるストッパプレート60との間に挟持されている。このように、ボールベアリング28の内輪部材28aをアーマチュア軸24のベアリング固定部24bに固定し、ボールベアリング28の外輪部材28bをギヤケース31に固定することで、アーマチュア軸24は回転自在に支持されるとともに、ギヤケース31に対する軸方向および径方向への移動が規制される。
このように、ボールベアリング28は、ラジアル軸受けおよびスラスト軸受としての機能を備えている。したがって、アーマチュア軸24の先端側とギヤケース31との間においても、従前必要であったアーマチュア軸24をその軸方向から支持するスラスト軸受を設けていない。
図1に示すように、ギヤ部30は、溶融したアルミ材料等を鋳造成形することにより略バスタブ形状に形成されたギヤケース31を備えている。ギヤケース31は底部31aおよび壁部31bを備え、底部31a側とは反対側(図中手前側)は開口しており、当該開口部分はギヤカバー(図示せず)によって密閉されるようになっている。
ギヤケース31内には、出力ギヤとしてのウォームホイール32が回転自在に設けられ、当該ウォームホイール32は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することにより所定形状に形成されている。ウォームホイール32の外周部分にはギヤ歯32aが一体に設けられ、当該ギヤ歯32aには、ウォームギヤ24aが噛み合わされている。ウォームホイール32の回転中心には、断面が円形の鋼棒よりなるホイール軸32bの軸方向一端側が固定されており、ホイール軸32bの軸方向他端側はギヤケース31の底部31aに回動自在に支持されている。
ギヤケース31のウォームホイール32から離れた部分(図中左側)には、断面が円形の鋼棒よりなる出力軸33が回転自在に支持されている。出力軸33の基端側はギヤケース31内に設けられ、出力軸33の先端側(図中奥側)はギヤケース31の外部に延出されている。そして、出力軸33の外部に延出した延出部分(図示せず)には、ワイパブレードの基端部が装着(固定)されている。
ギヤケース31内で、出力軸33の基端側とウォームホイール32との間には、ウォームホイール32の回転運動を出力軸33の揺動運動に変換する運動変換機構40が設けられている。運動変換機構40は、揺動リンク41,連結板42および摺接板43を備えている。
揺動リンク41は、鋼板を打ち抜き加工等することで板状に形成され、揺動リンク41の長手方向一端側は、出力軸33の基端側に固定されている。一方、揺動リンク41の長手方向他端側は、連結板42の長手方向一端側に、第1連結ピンP1を介して回動自在に連結されている。連結板42の長手方向他端側は、第2連結ピンP2を介してウォームホイール32の回転中心から偏心した位置に回動自在に連結されている。ここで、揺動リンク41の長さ寸法は連結板42の長さ寸法に対して略半分(略1/2)の長さ寸法に設定されている。また、連結板42においても、揺動リンク41と同様に鋼板を打ち抜き加工等することで板状に形成されている。
このように、出力軸33とウォームホイール32との間に運動変換機構40を設けることで、ウォームホイール32の一方向への回転に伴い出力軸33を所定角度範囲で揺動できるようになっている。具体的には、ウォームギヤ24aおよびウォームホイール32の回転により、減速して高トルク化された回転力が第2連結ピンP2に伝達され、第2連結ピンP2がホイール軸32bを中心に回転する(二点鎖線矢印R参照)。すると、連結板42の長手方向他端側もホイール軸32bを中心に回転し、これにより連結板42の長手方向一端側が、第1連結ピンP1を介して揺動リンク41に規制された状態で、出力軸33を中心に揺動する(二点鎖線矢印S参照)。
摺接板43は、自己潤滑性に優れたプラスチック等の樹脂材料により板状に形成され、連結板42のギヤカバー側(図中手前側)に装着されている。摺接板43の長手方向中央部分には、ギヤカバーに摺接する摺接部43aが一体に設けられ、当該摺接部43aにはグリス(図示せず)が塗布されている。これにより、運動変換機構40のギヤケース31内での動作をスムーズにするとともに、運動変換機構40が出力軸33の軸方向(図中奥行方向)に沿ってガタつくのを防止している。
ギヤケース31のモータ部20側(図中右側)には、ブラシホルダ収容部34が一体に設けられている。ブラシホルダ収容部34は、アーマチュア軸24の軸方向に沿って延びるよう略筒状に形成され、当該ブラシホルダ収容部34内には、各給電ブラシ25bを移動自在に保持するブラシホルダ(図示せず)が収容されている。ここで、ブラシホルダには、各給電ブラシ25bに加えて、図示しない雑防素子(チョークコイルやコンデンサ等)が設けられ、これによりブラシノイズがリヤワイパモータ10の外部に漏れるのを防止している。
ギヤケース31におけるブラシホルダ収容部34のモータ部20側とは反対側には、コネクタユニット50を収容するコネクタユニット収容部35が一体に設けられている。コネクタユニット収容部35は、コネクタユニット50の本体部51を、ストッパプレート60とモータケース21との間に配置するとともに、コネクタユニット50におけるコネクタ接続部52の背部(図中奥側)を支持するようになっている。これにより、コネクタ接続部52に車両側の外部コネクタ(図示せず)を差し込む際に、コネクタユニット50に大きな負荷が掛かるのを抑制して、コネクタユニット50が破損をするのを防止している。
コネクタユニット50は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することにより所定形状に形成され、板状に形成された本体部51と箱状に形成されたコネクタ接続部52とを備えている。コネクタユニット50には、複数の導電部材Eがインサート成形により埋設されており、各導電部材Eの一端側は、コネクタ接続部52の内部に露出して、外部コネクタのメス型端子(図示せず)に電気的に接続されるオス型端子となっている(詳細は図5参照)。
一方、各導電部材Eの他端側の一部は、モータケース21側に向けられて、ブラシホルダ収容部34に収容されたブラシホルダの接続端子(図示せず)に電気的に接続されている。これにより、各給電ブラシ25bに駆動電流が供給されるようになっている。
また、各導電部材Eの他端側の他の部分は、コンタクトプレートとしてウォームホイール32側に向けられており、当該各コンタクトプレート(図示せず)の先端部は、ウォームホイール32の裏面に装着された導電材料よりなるスイッチングプレート(図示せず)に摺接するようになっている。これにより、ウォームホイール32の回転位置に応じて各コンタクトプレートが短絡状態や非通電状態となり、この電気信号(情報)が車載コントローラ(図示せず)に送られる。そして、車載コントローラは、当該電気信号に応じてリヤワイパモータ10を回転制御し、これにより、ワイパブレードがリヤガラス上の正しい停止位置で停止できるようにしている。
このように、コネクタユニット50の本体部51を、ストッパプレート60とモータケース21との間に配置することで、コネクタユニット50とモータ部20とを容易に電気的に接続できるようにし、かつ各導電部材Eの他端側を形成するコンタクトプレートの先端部を、ウォームホイール32のスイッチングプレート上に容易に配置できるようにしている。
ギヤケース31におけるコネクタユニット収容部35の近傍には、環状のベアリング嵌合部36(図3参照)が一体に設けられている。ベアリング嵌合部36は、ギヤケース31内に配置され、モータ部20(モータケース21)側に向けて開口している。つまり、ベアリング嵌合部36には、モータ部20側からボールベアリング28が嵌合されるようになっている。ここで、ベアリング嵌合部36のモータ部20側とは反対側には、ベアリング嵌合部36と同軸の貫通孔37(図3参照)が設けられ、当該貫通孔37には、モータ部20およびギヤ部30の組み付け時において、アーマチュア軸24の先端側、つまりウォームギヤ24aが挿通されるようになっている。
ギヤケース31におけるベアリング嵌合部36のモータ部20側には、ストッパプレート(保持部材)60が差し込まれるストッパプレート差し込み部38が設けられている。ストッパプレート差し込み部38は、ギヤカバー側(図中手前側)に向けて開口しており、ストッパプレート差し込み部38には、ギヤカバーを装着していないギヤケース31の開口側から、ストッパプレート60を差し込めるようになっている。ストッパプレート60は、モータ部20およびギヤ部30を連結した状態、つまりベアリング嵌合部36にボールベアリング28を嵌合させた状態のもとで、アーマチュア軸24の径方向からギヤケース31(ストッパプレート差し込み部38)に装着されるようになっている。
ストッパプレート差し込み部38に装着されるストッパプレート60は、図4に示すように、鋼板をプレス加工することにより略U字形状に形成され、支持本体部61と一対の被差し込み部62とを備えている。支持本体部61には、ストッパプレート差し込み部38への装着時において、アーマチュア軸24(図中破線)に対して非接触の状態を保持する切欠部61aが形成されている。また、支持本体部61の切欠部61a側とは反対側(図中上側)には、ストッパプレート60をストッパプレート差し込み部38に装着する際に、作業者または作業ロボットによって把持される把持部61bが一体に設けられている。把持部61bは、アーマチュア軸24の軸方向に沿うよう、支持本体部61に対して略直角となるよう屈曲され、これにより把持し易くなっている。
支持本体部61には、当該支持本体部61の剛性を確保するための補強部としての機能を有するとともに、ストッパプレート60のストッパプレート差し込み部38への装着時において、ボールベアリング28の外輪部材28bに当接し、これによりボールベアリング28をベアリング嵌合部36に固定する一対のベアリング支持凸部61cが設けられている。
支持本体部61の切欠部61aを挟む両側には、被差し込み部62がそれぞれ一体に設けられ、各被差し込み部62は、アーマチュア軸24の軸方向に沿う支持本体部61の位置から所定量オフセットした位置に設けられている。具体的には、各被差し込み部62は、支持本体部61に対して各ベアリング支持凸部61cの突出側とは反対側に所定量オフセットされている。このように、ストッパプレート60を鋼板により略階段状に形成することでストッパプレート60はバネ性を備え、これによりボールベアリング28の外輪部材28bを弾性的に押圧して、ボールベアリング28のギヤケース31内でのガタつきを確実に防止するようにしている。また、各ベアリング支持凸部61cは、ストッパプレート60の装着方向(図中上下方向)に対して、ボールベアリング28の中心位置から図中上方にずれて配置されている。これにより、各構成部品の製造精度のバラつきに左右されること無く、ボールベアリング28のギヤケース31内でのガタつきをより効果的に防止するようにしている。
さらに、切欠部61aの開口側および被差し込み部62の先端側(図中下側)には、それぞれテーパ部61d,62aが設けられ、各テーパ部61d,62aはストッパプレート60のストッパプレート差し込み部38への装着案内として機能するようになっている。これにより、ギヤケース31に対するストッパプレート60の装着作業を容易にして、リヤワイパモータ10の組み付け作業性を向上させている。
次に、以上のように形成したリヤワイパモータ10の組み付け手順について、図面を用いて詳細に説明する。
まず、図5に示すように、別の組み付け工程で組み立てられたモータサブアッシMAおよびギヤサブアッシGAと、ストッパプレート60とを準備する。ここで、モータサブアッシMAとは、モータケース21に、4つのマグネット22を固定するとともに、コンミテータ25やボールベアリング28等を組み付けたアーマチュア軸24を組み付けた状態のもの、つまりモータ部20が単体となったものを指している(図1参照)。また、ギヤサブアッシGAとは、ギヤケース31に、ウォームホイール32,運動変換機構40およびコネクタユニット50等を組み付けた状態のもの、つまりギヤ部30が単体となったものを指している(図1参照)。
そして、自動組み付け装置(図示せず)等によって、図中矢印(1)に示すように、モータサブアッシMAのモータケース21から延出したウォームギヤ24a側を、ギヤサブアッシGAのブラシホルダ収容部34側に臨ませて、ウォームギヤ24aを貫通孔37(図3参照)に挿通させる。ここで、ウォームギヤ24aとウォームホイール32のギヤ歯32aとをスムーズに噛み合わせるために、アーマチュア軸24を微低速で回転駆動させた状態とする。
その後、ギヤサブアッシGAに対してモータサブアッシMAをより近接するよう移動させることで、モータケース21のフランジ部21bがギヤケース31のブラシホルダ収容部34に当接するようになる。これにより、ベアリング嵌合部36にボールベアリング28の外輪部材28bが嵌合する。ここで、ブラシホルダに移動自在に設けられる各給電ブラシ25b(図1参照)は、コンミテータ25に対して後退した位置から前進した位置に向けて、コンミテータ25の装着に伴い自動的に移動するようになっている。これにより、コネクタユニット50とモータ部20とが電気的に接続される。
次いで、図示しない締結工具(電動ネジ回し等)によって、図中矢印(2)に示すように各締結ネジ11を所定の締め付けトルクで締め付ける。ここで、締め付けトルクにバラツキが生じたとしても、図1に示すようにアーマチュア軸24の両端部にはスラスト軸受が存在しないため、従前のようにアーマチュア軸24の回転抵抗にバラツキを生じさせることはない。
次に、ストッパプレート60における切欠部61aの開口側を、ギヤケース31の開口側と対向させ、図中矢印(3)に示すように、ストッパプレート60をアーマチュア軸24の径方向から臨ませて、ストッパプレート差し込み部38にストッパプレート60を差し込んでいく。すると、各ベアリング支持凸部61c(図3および図4参照)が外輪部材28bに当接しつつ、各被差し込み部62がストッパプレート差し込み部38に入り込む。これにより、ストッパプレート60は弾性変形しつつ外輪部材28bを押圧し、ボールベアリング28はベアリング嵌合部36で強固に固定される(図3参照)。
ここで、ストッパプレート60のストッパプレート差し込み部38への差し込み量は、アーマチュア軸24が挿通される貫通孔37の中心軸を基準として定められており、したがって、ストッパプレート60の装着方向に沿う先端部分と、ストッパプレート差し込み部38の底部(底部31a)との間には所定のクリアランスが形成されることになる。このように、貫通孔37の中心軸を基準にストッパプレート60のストッパプレート差し込み部38への差し込み量を一定とすることで、モータ部20およびその他の各構成部品の製造精度のバラつきを吸収できるようにしている。これにより、モータ部20およびその他の各構成部品の製造精度のバラつきに左右されること無く、ストッパプレート60を確実に装着させることができ、ひいてはリヤワイパモータ10の組み立て性を向上させつつ、ボールベアリング28のギヤケース31内でのガタつきを防止できるようにしている。
ストッパプレート60をストッパプレート差し込み部38に装着した後は、ギヤケース31の開口側からギヤカバーを臨ませて、当該ギヤカバーをギヤケース31に複数の固定ネジ(図示せず)を介して固定する。これにより、リヤワイパモータ10の組み付け作業が完了する。
以上詳述したように、第1実施の形態に係るリヤワイパモータ10によれば、モータケース21内に4極(4つ)のマグネット22を設け、内輪部材28aがアーマチュア軸24のアーマチュア23とウォームギヤ24aとの間に設けられ、外輪部材28bがギヤケース31と当該ギヤケース31に装着されるストッパプレート60との間に設けられ、アーマチュア軸24を回転自在に支持しつつアーマチュア軸24のギヤケース31に対する軸方向および径方向への移動を規制するボールベアリング28を設けた。ギヤケース31内には、ウォームギヤ24aの回転に伴い当該ウォームギヤ24aよりも減速状態で回転するウォームホイール32を設け、ギヤケース31には、ワイパブレードが装着される出力軸33を回転自在に支持するよう設け、ギヤケース31内でかつ出力軸33とウォームホイール32との間には、ウォームホイール32の回転運動を出力軸33の揺動運動に変換する運動変換機構40を設けた。
これにより、1つのボールベアリング28によりアーマチュア軸24を回転自在に支持しつつ、アーマチュア軸24の軸方向および径方向への移動を規制することができる。ボールベアリング28は、ラジアル軸受とスラスト軸受の双方を兼ねるため、従前必要であったアーマチュア軸の両端部のスラスト軸受を省略することができ、4極のマグネット22および運動変換機構40を有するリヤワイパモータ10において、アーマチュア軸24の摺動ロスおよびそれに伴う発熱量の増加を抑制しつつ、小型軽量化を実現し、ひいてはリヤワイパモータ10の信頼性向上を図ることができる。
また、ストッパプレート60はアーマチュア軸24を軸方向に支持し、かつアーマチュア軸24の軸方向両端側にはスラスト軸受を設けていないため、リヤワイパモータ10の組み立て後におけるアーマチュア軸24の軸方向への位置調整を省略することができる。さらに、ギヤケース31やモータケース21のアーマチュア軸24の軸方向両端側と対向する部分のクリアランス設定に高精度を必要としないため、リヤワイパモータ10の製造コストを大幅に低減させることができるとともに、組み付け性の向上を図ることができる。
また、第1実施の形態に係るリヤワイパモータ10によれば、ストッパプレート60を、アーマチュア軸24の先端側をギヤケース31内に挿入した状態、つまりモータ部20およびギヤ部30を連結した状態で、アーマチュア軸24の径方向からギヤケース31のストッパプレート差し込み部38に装着したので、リヤワイパモータ10の組み付け工程において、ボールベアリング28をギヤケース31に対して確実に固定することができる。この場合、ストッパプレート60をギヤケース31の開口側から装着するので、ストッパプレート60の装着具合を目視することができ、ひいてはストッパプレート60の装着不良の発生、つまりボールベアリング28の固定不良の発生を確実に防止することができる。
さらに、第1実施の形態に係るリヤワイパモータ10によれば、モータ部20に駆動電流を供給するコネクタユニット50を、モータケース21とストッパプレート60との間に設けたので、リヤワイパモータ10の組み付け工程において、コネクタユニット50とモータ部20とを容易に電気的に接続することができる。
次に、本発明の第2実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。図6は第2実施の形態に係るリヤワイパモータの平面図を表している。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図6に示すように、第2実施の形態に係るリヤワイパモータ(ワイパモータ)70は、第1実施の形態に係るリヤワイパモータ10(図1参照)に比して、出力軸33の位置および運動変換機構80の構造が異なっている。
リヤワイパモータ70の出力軸33は、ギヤケース71のウォームホイール32を挟んでアーマチュア軸24側とは反対側に配置されている。これにより、リヤワイパモータ70においては、第1実施の形態に比して、アーマチュア軸24の軸方向に沿う寸法を詰められるようになっている。
リヤワイパモータ70の運動変換機構80は、ピニオンギヤ81,運動変換部材82,連結板42および摺接板43を備えている。ピニオンギヤ81は出力軸33の基端側に固定され、出力軸33とともに揺動するようになっている。
運動変換部材82は、ピニオンギヤ81と噛み合うセクタギヤ82aと、第2連結ピンP2を介してウォームホイール32の偏心位置に回動自在に連結されるアーム部82bとを備えている。セクタギヤ82aの中心部分には第1連結ピンP1が設けられ、当該第1連結ピンP1と出力軸33との間には、連結板42が設けられている。具体的には、連結板42の長手方向一端側は出力軸33の基端側に回動自在に連結され、連結板42の長手方向他端側は第1連結ピンP1に回動自在に連結されている。このように、本実施の形態に係る連結板42は、出力軸33と第1連結ピンP1との距離を一定に保ち、ピニオンギヤ81とセクタギヤ82aとの噛み合いを維持するようになっている。
リヤワイパモータ70の運動変換機構80においても、ウォームホイール32の回転運動を出力軸33の揺動運動に変換するようになっている。具体的には、ウォームホイール32の回転に伴い第2連結ピンP2がホイール軸32bを中心に回転すると(二点鎖線矢印R参照)、運動変換部材82のアーム部82bもホイール軸32bを中心に回転する。これにより、セクタギヤ82aが第1連結ピンP1を中心に揺動し、その結果、セクタギヤ82aに噛み合うピニオンギヤ81、つまり出力軸33が揺動する(二点鎖線矢印S参照)。
以上詳述したように、第2実施の形態に係るリヤワイパモータ70においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
次に、本発明の第3ないし第5実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。図7は第3実施の形態に係る図2に対応する部分断面図を、図8は第4実施の形態に係る図2に対応する部分断面図を、図9は第5実施の形態に係る図2に対応する部分断面図をそれぞれ表している。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本発明に係るリヤワイパモータのモータ部は、図7ないし図9に示すように、リヤワイパモータに必要とされるニーズ(出力特性や搭載性等)に応じて、種々の構造とすることができる。
図7に示すように、第3実施の形態に係るモータ部90は、断面が8角形のモータケース91を備えている。モータケース91は、4つの長辺部91aおよび4つの短辺部91bを有し、各短辺部91bの内側には、断面が長方形形状の板状マグネット(磁石)92がそれぞれ固定されている。各板状マグネット92は、例えばネオジウム磁石よりなり、上述した第1実施の形態における各マグネット22(フェライト磁石)に比して大きな磁力を発生するようになっている。
このように構成した第3実施の形態においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、第3実施の形態においては、各板状マグネット92を各短辺部91bにそれぞれ固定するので、互いに平面同士の固定となり、各板状マグネット92のモータケース91に対する固定強度を向上させることができる。また、各板状マグネット92を、大きな磁力を発生するネオジウム磁石としたので、フェライト磁石を用いた第1実施の形態に比して、より小型軽量化を図ることができる。
図8に示すように、第4実施の形態に係るモータ部100は、断面が円形のモータケース101を備え、当該モータケース101の内部には、合計6つのマグネット22が固定されている。各マグネット22は、第1実施の形態と同様のフェライト磁石により形成され、モータケース101の周方向に沿ってそれぞれ等間隔(60度間隔)で配置されている。また、コンミテータ25は9個のセグメント25aを備え、これに対応してアーマチュアコア26は9個のスロット26aを備えている。
このように構成した第4実施の形態においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、第4実施の形態においては、モータケース101の断面形状を円形としたので、モータケース101の周方向に沿って磁界を均一に形成することができ、ひいては回転ムラの発生を抑制することができる。また、マグネット22を4極よりも多い6極としたので、第1実施の形態に比して、より小型軽量化を図ることが可能となる。
図9に示すように、第5実施の形態に係るモータ部110は、断面が正6角形のモータケース111を備え、当該モータケース111の各辺部111aの内側には、板状マグネット(磁石)112がそれぞれ固定されている。各板状マグネット112は、第3実施の形態と同様に、ネオジウム磁石により断面が長方形形状に形成されている。また、コンミテータ25は9個のセグメント25aを備え、これに対応してアーマチュアコア26は9個のスロット26aを備えている。
このように構成した第5実施の形態においても、上述した第3実施の形態と略同様の作用効果を奏することができる。
ここで、上述した各実施の形態におけるモータ部20,90,100,110の仕様、つまりモータケースの断面形状,磁石の種類,磁石の個数,セグメント数およびスロット数等は、それぞれ自由に設定することができる。例えば、モータ部20の各マグネット22(フェライト磁石)に換えて、各板状マグネット(ネオジウム磁石)を採用したり、スロット数とセグメント数とを異なる数(例えば、4極6スロット12セグメント,6極10スロット15セグメント等)に設定したりすることもできる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、アーマチュア軸24に凹凸形状のベアリング固定部24bを形成し、当該ベアリング固定部24bにボールベアリング28の内輪部材28aを圧入嵌合して固定したものを示したが、本発明はこれに限らず、アーマチュア軸24のボールベアリング28の両脇に、加圧ローラ等で塑性変形により***部を形成し、当該***部によりボールベアリング28を固定するようにしても良い。
また、上記各実施の形態においては、入力ギヤとしてのウォームギヤ24aと出力ギヤとしてのウォームホイール32とを噛み合わせて減速機構(ウォーム減速機)を形成したものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば減速機構を遊星歯車減速機で形成しても良い。この場合、例えばサンギヤを入力ギヤとしてリングギヤを出力ギヤとすれば良い。
さらに、上記各実施の形態におけるリヤワイパモータ10の組み付け手順においては、モータサブアッシMAとギヤサブアッシGAとを予め個別に組み立てておき、その後、両者を連結するようにしたが、本発明はこれに限らず、他の組み付け手順によってリヤワイパモータ10を組み付けるようにしても良い。具体的には、ギヤケース31にコネクタユニット50を組み付ける第1工程と、コネクタユニット50が組み付けられたギヤケース31に、コンミテータ25やボールベアリング28等を組み付けたアーマチュア軸24を挿入し、ギヤケース31にボールベアリング28を嵌合させた状態のもとで、ストッパプレート60を装着させる第2工程と、ギヤケース31にウォームホイール32や運動変換機構40およびモータケース21等を組み付けた後に、ギヤカバーを組み付ける第3工程とを経てリヤワイパモータ10を組み付けるようにしても良い。
また、上記各実施の形態においては、ワイパモータとしてのリヤワイパモータ10に本発明を適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、自動車等の車両のフロントワイパ装置のワイパモータや、航空機や船舶,鉄道車両等のワイパ装置のワイパモータにも適用することができる。