JP5887975B2 - ポリウレタン、並びにその製造方法及びその使用 - Google Patents
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Description
本発明は、前述のような従来技術が有する問題を解決できるポリウレタン、即ち、低粘度の液状ポリカーボネートポリオールを原料として製造された高い弾性率を有するポリウレタンを提供することを課題とする。
本発明〔1〕は、少なくとも、(a)カーボネート結合に隣接する2個の炭素原子の少なくとも1個に、炭素数1〜10の有機基からなる側鎖を1又は2個有するポリカーボネートポリオール、及び(b)ポリイソシアネート化合物を反応させて得られるポリウレタンに関する。
本発明〔2〕は、(a)ポリカーボネートポリオールが、カーボネート結合に隣接する2個の炭素原子の両方に、炭素数1〜10の有機基からなる側鎖を1又は2個有する、本発明〔1〕のポリウレタンに関する。
本発明〔3〕は、側鎖である有機基の炭素数が1〜4である、本発明〔1〕又は〔2〕のポリウレタンに関する。
本発明〔4〕は、(a)ポリカーボネートポリオールが、ポリオールとカーボネートの縮合反応で得られたものである、本発明〔1〕〜〔3〕のいずれかのポリウレタンに関する。
本発明〔5〕は、(a)ポリカーボネートポリオールの数平均分子量が400〜3000である、本発明〔1〕〜〔4〕のいずれかのポリウレタンに関する。
本発明〔6〕は、(a)ポリカーボネートポリオールが、下記式(1):
〔式(1)中、
Xは、1以上の任意の数であって、カーボネート含有構造の繰り返し単位の個数を示し;
R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子であるか、又はフッ素で置換されていてもよく、かつ/若しくは酸素で中断されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基であるか、
R1とR2及び/又はR3とR4が一緒になって、非置換であるか、又はフッ素で置換されていてもよく、かつ/若しくは酸素で中断されていてもよい炭素数1〜8のアルキレン基を形成するが、
但し、同一のカーボネート含有構造繰り返し単位中のR1〜R4が、すべて水素原子となる場合はなく;
Zは、非置換であるか、フッ素で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、又は下記式(2):
(式(2)中、
Lは、酸素原子(−O−);硫黄原子(−S−);カルボニル基(−C(=O)−);チオカルボニル基(−C(=S)−);アミド基(−CONH−、−NHCO−);スルホニル基(−SO2−);ホスホニル基(−PO3H−);ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよいフェニレン基;ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよいビフェニレン基;あるいはハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよいナフチレン基であり、
n及びmは、それぞれ独立して、1〜6の数である)で示されるZ1基である〕
で示されるポリ(分岐鎖状アルキレン)カーボネートジオールである、本発明〔1〕〜〔5〕のいずれかのポリウレタンに関する。
本発明〔7〕は、(a)ポリカーボネートポリオールが、各カーボネート含有構造の繰り返し単位中のR1〜R4及びZの炭素数の合計が3〜16である式(1)で示されるポリ(分岐鎖状アルキレン)カーボネートジオールである、本発明〔6〕のポリウレタンに関する。
本発明〔8〕は、(a)ポリカーボネートポリオールが、下記式(A):
(式中、R1〜R4、Zは、式(1)のR1〜R4、Zとそれぞれ同じである)で示される繰り返し単位が全て同一である、式(1)で示されるポリ(分岐鎖状アルキレン)カーボネートジオールである、本発明〔6〕又は〔7〕のポリウレタンに関する。
本発明〔9〕は、(a)ポリカーボネートポリオールが、下記式(A):
(式中、R1〜R4、Zは、式(1)のR1〜R4、Zとそれぞれ同じである)で示される繰り返し単位を2種以上含む、式(1)で示されるポリ(分岐鎖状アルキレン)カーボネートジオールである、本発明〔6〕又は〔7〕のいずれかのポリウレタンに関する。
本発明〔10〕は、式(1)で示されるポリ(分岐鎖状アルキレン)カーボネートジオールが、アルカリ金属化合物の存在下、下記式(3):
(式(3)中、R1からR4及びZは、前記式(1)に記載のものとそれぞれ同じである)で示される分岐鎖状アルキレンジオール1種と、1種以上の式(4)及び/又は式(5):
(式(4)中、R5及びR6は、それぞれ独立して、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基;ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数6〜14のフェニル基である)
(式(5)中、R1からR4及びZは、前記式(1)に記載のものとそれぞれ同じである)で示されるカーボネートとを反応させて得られたものである、本発明〔6〕のポリウレタンに関する。
本発明〔11〕は、さらに、(a’)ポリオール化合物(ただし、(a)ポリカーボネートポリオールを除く)及び/又はポリアミン化合物を反応させて得られる、本発明〔1〕〜〔10〕のいずれかのポリウレタンに関する。
本発明〔12〕は、本発明〔1〕〜〔11〕のいずれかのポリウレタンを含む、コーティング材料組成物に関する。
本発明〔13〕は、本発明〔12〕のコーティング材料組成物を加熱乾燥して得られる、ポリウレタン樹脂フィルムに関する。
本発明で使用できる(a)ポリカーボネートポリオールは、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)に隣接する2個の炭素原子に、炭素数1〜10の有機基からなる側鎖が1個又は2個、結合したものである。このようなポリカーボネートポリオールは、ウレタン化反応において、粘度が低く作業性に優れる。また、カーボネート結合によるウレタン基同士の水素結合の阻害を低減することにより得られるポリウレタンの弾性率が向上する。(a)ポリカーボネートポリオールは、75℃において、粘度が3000mPa・sec以下であるものが好ましく、より好ましくは2000mPa・sec以下である。本願明細書において、粘度は、E型回転粘度計(ブルックフィールド製;プログラマブルデジタル粘度計DV−II+)を用いて75℃で測定した価とする。
シクロアルキル基は、炭素数3〜10のシクロアルキル基であることが好ましく、具体的にはシクロヘキシル基が挙げられる。
これらの置換基としては、上記と同様に、フッ素原子等のハロゲン原子、非置換又は炭素数1〜8のアルキルによりモノ又はジ置換されているアミノ基が挙げられる。具体的には、メトキシエチル基、ジメチルアミノエチル基等が挙げられる。
ポリオールとしては、特に制限されず、所望のポリカーボネートポリオールの構造に応じて選択することができるが、数平均分子量制御の観点から、炭素数4〜18のアルキレン又はシクロアルキレンポリオールであることが好ましく、炭素数4〜12のアルキレン又はシクロアルキレンジオールであることがより好ましく、炭素数4〜8のアルキレンジオールであることが最も好ましい。これらのポリオールは、置換基を有していてもよく、かつ/又はヘテロ原子で中断されていてもよい。具体的には、非置換又はフッ素原子により置換されている2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,6−ヘプタンジオール、2,7−オクタンジオール、1,4−ヘキサンジオール等を挙げることができ、特に2,5−ヘキサンジオールが好適に使用される。
カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジベンジルカーボネート等のジアリルカーボネート等が挙げられる。使用するポリオール及びカーボネートはいずれも単一でも複数でもよい。
Mn=(56100×価数)/水酸基価
上記式中において、価数は1分子中の水酸基の数であり、水酸基価はJIS K 1557のB法に準拠して測定したものである。ポリカーボネートポリオールがポリカーボネートジオールの場合は価数が2となる。
〔式(1)中、
Xは、1以上の任意の数であって、カーボネート含有構造の繰り返し単位の個数を示し;
R1〜R4は、それぞれ独立して、水素であるか、又はフッ素で置換されていてもよく、かつ/若しくは酸素で中断されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基であるか、
R1とR2及び/又はR3とR4が一緒になって、非置換であるか、又はフッ素で置換されていてもよく、かつ/若しくは酸素で中断されていてもよい炭素数1〜8のアルキレン基を形成するが、
但し、同一のカーボネート含有構造繰り返し単位中のR1〜R4が、すべて水素となる場合はなく;
Zは、非置換であるか、フッ素で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、又は下記式(2):
(式(2)中、
Lは、酸素原子(−O−);硫黄原子(−S−);カルボニル基(−C(=O)−);チオカルボニル基(−C(=S)−);アミド基(−CONH−、−NHCO−);スルホニル基(−SO2−);ホスホニル基(−PO3H−);ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよいフェニレン基;ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよいビフェニレン基;あるいはハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよいナフチレン基であり、
n及びmは、それぞれ独立して、1〜6の数である)で示されるZ1基である〕で示される、ポリ(分岐鎖状アルキレン)カーボネートジオールである。
(式中、R1〜R4、Zは、前記式(1)に記載のものとそれぞれ同じである)は全て同じであることが好ましい。この場合、全てのR1は同一であり、全てのR2は同一であり、全てのR3は同一であり、全てのR4は同一であり、全てのZは同一である。
ここで、上記(A)で示される繰り返し単位が全て同じであるポリ(分岐鎖状アルキレン)カーボネートジオールを得る場合は、反応に用いる(3)で示される分岐鎖状アルキレンジオールは1種のみであり、異なる2種以上の(A)で示される繰り返し単位を有するポリ(分岐鎖状アルキレン)カーボネートジオール得る場合は、異なる2種以上の式(3)で示される分岐鎖状アルキレンジオールを反応に用いる。
(式(3)中、R1〜R4及びZは、前記式(1)に記載のものとそれぞれ同じである)
(式(4)中、R5及びR6は、それぞれ独立して、フッ素原子又はC1〜4アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基;ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基(例えば、フェニル基)である。)
(式(5)中、R1〜R4及びZは、前記式(1)に記載のものとそれぞれ同じである)
このような構造を有することで、得られるポリウレタンの高い弾性率を確保しつつ、作業性が良好な粘度の低い液状のポリカーボネートポリオールとなる。
本発明において、(a’)ポリオール化合物((a)ポリカーボネートポリオールを除く)及び/又はポリアミン化合物を任意の反応成分として用いることができる。
本発明に用いることができる(b)ポリイソシアネート化合物としては、特に制限はされないが、2個以上のイソシアナト基を有する炭素数6〜20(NCO基中の炭素を除く、以下同様)の芳香族ポリイソシアネート化合物、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート化合物、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
本発明のポリウレタンは、(a)カーボネート結合に隣接する2個の炭素原子の少なくとも1個に、側鎖である炭素数1〜10の有機基が1又は2個結合したポリカーボネートポリオール、場合により、(a’)ポリオール化合物(ただし、(a)ポリカーボネートポリオールを除く)及び/又はポリアミン化合物、並びに(b)ポリイソシアネート化合物を反応成分として反応させて得られるポリウレタンである。本発明のポリウレタンには、(a)カーボネート結合に隣接する2個の炭素原子の少なくとも1個に、側鎖である炭素数1〜10の有機基が1又は2個結合したポリカーボネートポリオール、及び(b)ポリイソシアネート化合物を反応させて得られるポリウレタン;(a)カーボネート結合に隣接する2個の炭素原子の少なくとも1個に、側鎖である炭素数1〜10の有機基が1又は2個結合したポリカーボネートポリオール、ポリオール化合物(a)ポリカーボネートポリオールを除く)、及び(b)ポリイソシアネート化合物を反応させて得られるポリウレタン;(a)カーボネート結合に隣接する2個の炭素原子の少なくとも1個に、側鎖である炭素数1〜10の有機基が1又は2個結合したポリカーボネートポリオール、ポリアミン化合物、及び(b)ポリイソシアネート化合物を反応させて得られるポリウレタン;(a)カーボネート結合に隣接する2個の炭素原子の少なくとも1個に、側鎖である炭素数1〜10の有機基が1又は2個結合したポリカーボネートポリオール、場合により、ポリオール化合物(ただし、(a)ポリカーボネートポリオールを除く)、ポリアミン化合物、及び(b)ポリイソシアネート化合物を反応させて得られるポリウレタンが包含される。
(a)と(a’)を併用する場合、(b)は、モル基準で(a)と(a’)の合計に対して、0.8〜1.2モル倍使用することが好ましく、0.9〜1.1モル倍使用することがより好ましく、0.95〜1.06モル倍使用することが特に好ましい。
本発明のコーティング材料組成物としては、製造工程で得られるポリウレタン溶液又はポリウレタン分散液をそのまま用いてもよいし、各種添加剤を添加してもよい。
添加剤としては、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、防かび剤、防錆剤、つや消し剤、難燃剤、粘着性付与剤、揺変剤、滑剤、帯電防止剤、減粘剤、増粘剤、希釈剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、充填剤等が挙げられる。
本発明のコーティング材料組成物は、金属、セラミック、合成樹脂、不織布、織布、編布、電着塗板、木材、紙等の種々の基材にコーティングすることができる。
本発明のポリウレタン樹脂フィルムは、コーティング材料用組成物を加熱乾燥することによって製造される。ポリウレタン樹脂フィルムの製造方法は、特に制限はされないが、例えば、離型性基材上に、上述したコーティング材料用組成物を各種塗布装置を用いて塗布した後、乾燥させ、離型性基材とポリウレタン樹脂フィルムとを剥離する方法が挙げられる。
塗布装置としては、特に制限されないが、例えば、バーコーター、ロールコーター、グラビアロールコーター、エアスプレー等が挙げられる。
なお、物性の測定は、以下の通り行った。
(1)水酸基価(mgKOH/g):JIS K 1557のB法に準拠して測定した。
(2)ポリカーボネートポリオールの数平均分子量(Mn):下記式により算出した。
Mn=112200/水酸基価
(3)粘度(Pa・sec):E型回転粘度計(ブルックフィールド製;プログラマブルデジタル粘度計DV−II+)を用いて75℃で測定した。
(4)融点(℃):示差走査熱量計(島津製作所製;DSC−50)を使用して、窒素ガス雰囲気中、−100〜100℃の範囲にて、昇温速度10℃/分で測定した。
(5)遊離イソシアナト基含量(%):ウレタン化反応終了後の反応混合物を2gサンプリングして、0.1モル/L(リットル)のジブチルアミン−テトラヒドロフラン(THF)溶液10mLとTHF20mLの混合溶液に加えて、0.1モル/Lの塩酸で未消費のジブチルアミンを滴定した。この滴定値とブランク実験との差より反応混合物中に残存するイソシアナト基のモル濃度を算出した。モル濃度をイソシアナト基の重量分率に換算して遊離イソシアナト基含量とした。なお、滴定に使用した指示薬はブロモフェノールブルーである。
(6)ポリウレタン樹脂の重量平均分子量(Mw):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したものであり、予め作成した標準ポリスチレンの検量線から求めた換算値を記した。
(8)破断エネルギーは、伸度−応力曲線の伸度ゼロから破断点伸度までの応力を積分して求めた。
撹拌機、温度計、蒸留塔(分留管、還流ヘッド、コンデンサーを塔頂部に備える)を設置した内容積500mLのガラス製反応器に、2,5−ヘキサンジオール194g(1.64mol)、ジメチルカーボネート163g(1.81mol)及びナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液70mgを注入し、大気圧下、アルゴン気流下、内温100℃で5.5時間加熱撹拌した。次いで、反応で生じたメタノールを含む低沸点液を留出液温度65℃以下で蒸留にて留去させながら、内温100〜140℃で7時間加熱撹拌した。更に内温を140℃に保ちながら、内圧13.3kPaで10時間加熱撹拌を行い、メタノールを完全に蒸留にて留去した後、引き続き、内温を135〜140℃、内圧0.3〜0.6kPaで、20時間加熱撹拌を行い、所定の分子量になるように、2,5−ヘキサンジオールを蒸留にて留去した。反応終了後、得られた反応液に酢酸100mg、トルエン200gを加え、1時間撹拌させた後、純水で洗浄した有機層を濃縮し、淡黄色粘性液状物としてポリカーボネートポリオール(I)(上記式(1)中、R1がCH3であり、R2がHであり、R3がCH3であり、R4がHであり、Zが−(CH2)2−である)を183g得た。得られたポリカーボネートポリオール(I)の構造・物性を表1に記す。
攪拌機、温度計、還流冷却管を設置した内容積500mLのガラス製反応器に、合成例1で得られたポリカーボネートポリオール(I)28.1g(25.2mmol)、1,4−ブタンジオール4.50g(49.9mmol)及びジメチルアセトアミド113gを注入した。窒素気流下で溶液を攪拌しながら内温を60℃とし、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)19.8g(79.2mmol)を添加した。このとき、カールフィッシャー法で溶液中の水分量を測定し、加水分解で消費されるイソシアナト基のモル数を算出してMDIを過剰に仕込んだ。反応溶液の温度が安定したところで、ジブチル錫ジラウレート0.02gを注入し、内温を75℃に設定して、7時間攪拌を続けた。反応溶液中の遊離イソシアナト基含量を測定してイソシアナト基が全て消費されたことを確認した。得られたポリウレタン(A)溶液の物性を表2に記す。
得られたポリウレタン(A)溶液を60℃に加熱した後、離型性のあるガラス板にキャストし、60℃で2時間、次いで120℃で3時間熱処理して、厚さ約50μmのフィルムを得た。このフィルムの物性を表2に記す。
実施例1と同様の反応容器に、合成例1で得られたポリカーボネートポリオール(I)27.0g(24.2mmol)、1,4−ブタンジオール4.40g(48.8mmol)及びジメチルアセトアミド118gを注入した。窒素気流下で溶液を攪拌しながら内温を60℃とし、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12−MDI)20.0g(76.2mmol)を添加した。このとき、カールフィッシャー法で溶液中の水分量を測定し、加水分解で消費されるイソシアナト基のモル数を算出してH12−MDIを過剰に仕込んだ。反応溶液の温度が安定したところで、ジブチル錫ジラウレート0.06gを注入し、内温を95℃に設定して、7時間攪拌を続けた。反応溶液中の遊離イソシアナト基含量を測定してイソシアナト基が全て消費されたことを確認した。得られたポリウレタン(B)溶液の物性を表2に記す。
得られたポリウレタン(B)溶液を60℃に加熱した後、離型性のあるガラス板にキャストし、60℃で2時間、次いで120℃で3時間熱処理して、厚さ約50μmのフィルムを得た。このフィルムの物性を表2に記す。
2,5−ヘキサンジオールの代わりに1,4−ブタンジオールを使用して、実施例1と同様の方法で、ポリカーボネートポリオール(II)(式(1)中、R1〜R4がHであり、Zが−(CH2)2−である)を得た。得られたポリカーボネートポリオール(II)の構造・物性を表1に記す。
実施例1と同様の反応容器に、合成例2で得られたポリカーボネートポリオール(II)28.3g(24.8mmol)、1,4−ブタンジオール4.50g(49.9mmol)及びジメチルアセトアミド112gを注入した。窒素気流下で溶液を攪拌しながら内温を60℃とし、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)19.3g(77.1mmol)を添加した。このとき、カールフィッシャー法で溶液中の水分量を測定し、加水分解で消費されるイソシアナト基のモル数を算出してMDIを過剰に仕込んだ。反応溶液の温度が安定したところで、ジブチル錫ジラウレート0.02gを注入し、内温を75℃に設定して、7時間攪拌を続けた。反応溶液中の遊離イソシアナト基含量を測定してイソシアナト基が全て消費されたことを確認した。得られたポリウレタン(C)溶液の物性を表2に記す。
得られたポリウレタン(C)溶液を60℃に加熱した後、離型性のあるガラス板にキャストし、60℃で2時間、次いで120℃で3時間熱処理して、厚さ約50μmのフィルムを得た。このフィルムの物性を表2に記す。
実施例1と同様の反応容器に、合成例2で得られたポリカーボネートポリオール(II)27.1g(23.7mmol)、1,4−ブタンジオール4.40g(48.8mmol)及びジメチルアセトアミド118gを注入した。窒素気流下で溶液を攪拌しながら内温を60℃とし、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12−MDI)19.7g(75.1mmol)を添加した。このとき、カールフィッシャー法で溶液中の水分量を測定し、加水分解で消費されるイソシアナト基のモル数を算出してH12−MDIを過剰に仕込んだ。反応溶液の温度が安定したところで、ジブチル錫ジラウレート0.05gを注入し、内温を95℃に設定して、7時間攪拌を続けた。反応溶液中の遊離イソシアナト基含量を測定してイソシアナト基が全て消費されたことを確認した。得られたポリウレタン(D)溶液の物性を表2に記す。
得られたポリウレタン(D)溶液を60℃に加熱した後、離型性のあるガラス板にキャストし、60℃で2時間、次いで120℃で3時間熱処理して、厚さ約50μmのフィルムを得た。このフィルムの物性を表2に記す。
実施例1と同様の反応容器に、宇部興産製ETERNACOLL UM90[登録商標;1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,6−ヘキサンジオール(モル比3:1)をジメチルカーボネートとのエステル交換反応で得たポリカーボネートジオール(以下、ポリカーボネートポリオール(III)という。構造・物性を表1に示す)]25.7g(28.0mmol)、1,4−ブタンジオール5.10g(56.6mmol)及びジメチルアセトアミド112gを注入した。窒素気流下で溶液を攪拌しながら内温を60℃とし、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)22.1g(88.3mmol)を添加した。このとき、カールフィッシャー法で溶液中の水分量を測定し、加水分解で消費されるイソシアナト基のモル数を算出してMDIを過剰に仕込んだ。反応溶液の温度が安定したところで、ジブチル錫ジラウレート0.02gを注入し、内温を75℃に設定して、7時間攪拌を続けた。反応溶液中の遊離イソシアナト基含量を測定してイソシアナト基が全て消費されたことを確認した。得られたポリウレタン(E)溶液の物性を表2に記す。
得られたポリウレタン(E)溶液を60℃に加熱した後、離型性のあるガラス板にキャストし、60℃で2時間、次いで120℃で3時間熱処理して、厚さ約50μmのフィルムを得た。このフィルムの物性を表2に記す。
2,5−HDL:2,5−ヘキサンジオール
1,4−BDL:1,4−ブタンジオール
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
1,6−HDL:1,6−ヘキサンジオール
MDI:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
H12−MDI:4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
Claims (12)
- 少なくとも、(a)カーボネート結合に隣接する2個の炭素原子の両方に、炭素数1〜10の有機基からなる側鎖を1又は2個有するポリカーボネートポリオール、及び(b)ポリイソシアネート化合物を反応させて得られるポリウレタン。
- 側鎖である有機基の炭素数が1〜4である、請求項1に記載のポリウレタン。
- (a)ポリカーボネートポリオールが、ポリオールとカーボネートの縮合反応で得られたものである、請求項1又は2に記載のポリウレタン。
- (a)ポリカーボネートポリオールの数平均分子量が400〜3000である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリウレタン。
- (a)ポリカーボネートポリオールが、下記式(1):
〔式(1)中、
Xは、1以上の任意の数であって、カーボネート含有構造の繰り返し単位の個数を示し;
R1 及びR 3 は、それぞれ独立して、フッ素で置換されていてもよく、かつ/若しくは酸素で中断されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基であり、
R 2 及びR 4 は、それぞれ独立して、水素原子であるか、又はフッ素で置換されていてもよく、かつ/若しくは酸素で中断されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基であるか、
R1とR2及び/又はR3とR4が一緒になって、非置換であるか、又はフッ素で置換されていてもよく、かつ/若しくは酸素で中断されていてもよい炭素数1〜8のアルキレン基を形成し;
Zは、非置換であるか、フッ素で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、又は下記式(2):
(式(2)中、
Lは、酸素原子(−O−);硫黄原子(−S−);カルボニル基(−C(=O)−);チオカルボニル基(−C(=S)−);アミド基(−CONH−、−NHCO−);スルホニル基(−SO2−);ホスホニル基(−PO3H−);ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよいフェニレン基;ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよいビフェニレン基;あるいはハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよいナフチレン基であり、
n及びmは、それぞれ独立して、1〜6の数である)で示されるZ1基である〕
で示されるポリ(分岐鎖状アルキレン)カーボネートジオールである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリウレタン。 - (a)ポリカーボネートポリオールが、各カーボネート含有構造の繰り返し単位中のR1〜R4及びZの炭素数の合計が3〜16である式(1)で示されるポリ(分岐鎖状アルキレン)カーボネートジオールである、請求項5記載のポリウレタン。
- 式(1)で示されるポリ(分岐鎖状アルキレン)カーボネートジオールが、アルカリ金属化合物の存在下、下記式(3):
(式(3)中、R1からR4及びZは、前記式(1)に記載のものとそれぞれ同じである)で示される分岐鎖状アルキレンジオール1種と、1種以上の式(4)及び/又は式(5):
(式(4)中、R5及びR6は、それぞれ独立して、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基;ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数6〜14のフェニル基である)
(式(5)中、R1からR4及びZは、前記式(1)に記載のものとそれぞれ同じである)で示されるカーボネートとを反応させて得られたものである、請求項5に記載のポリウレタン。 - さらに、(a’)ポリオール化合物(ただし、(a)ポリカーボネートポリオールを除く)及び/又はポリアミン化合物を反応させて得られる、請求項1〜9のいずれかに記載のポリウレタン。
- 請求項1〜10のいずれかに記載のポリウレタンを含む、コーティング材料組成物。
- 請求項11に記載のコーティング材料組成物を加熱乾燥して得られる、ポリウレタン樹脂フィルム。
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