JP5887117B2 - ウインチ装置 - Google Patents

ウインチ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5887117B2
JP5887117B2 JP2011265856A JP2011265856A JP5887117B2 JP 5887117 B2 JP5887117 B2 JP 5887117B2 JP 2011265856 A JP2011265856 A JP 2011265856A JP 2011265856 A JP2011265856 A JP 2011265856A JP 5887117 B2 JP5887117 B2 JP 5887117B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brake
negative
positive
pressing force
cylinder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011265856A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013116813A (ja
Inventor
浩平 本庄
浩平 本庄
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Heavy Industries Construction Crane Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Sumitomo Heavy Industries Construction Crane Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Sumitomo Heavy Industries Construction Crane Co Ltd filed Critical Hitachi Sumitomo Heavy Industries Construction Crane Co Ltd
Priority to JP2011265856A priority Critical patent/JP5887117B2/ja
Publication of JP2013116813A publication Critical patent/JP2013116813A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5887117B2 publication Critical patent/JP5887117B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Braking Arrangements (AREA)

Description

本発明は、クレーン等に装備されるウインチ装置に関する。
フリーフォール機能を有するウインチには停止時や動力巻上(巻下)時に回転軸の一端を固定するクラッチと、クラッチを開放し、フリー降下するウインチをオペレータの操作により制動するブレーキとが設けられる。
近年のウインチではクラッチ機能とブレーキ機能を1つの制動装置で果たす構成が一般的である。制動力発生機構として、クラッチについては安全性の観点から加圧により制動力を開放するネガティブブレーキとして、ブレーキについては操作性の観点から加圧により制動力を付勢するポジティブブレーキとして、2系統の方式を同時に備える構成が多く採用されている。また、安全性や操作性が確保されれば上記どちらか1系統の方式で構成する場合もある(特許文献1参照)。
特開2004−2663719号公報
上述した特許文献に記載の制動装置では、ネガティブブレーキをクラッチおよびブレーキとして用いている。そして、ブレーキの操作の際にはネガティブシリンダの圧力を調整する。これにより、簡単な構成で安全性を確保できる。
ところで制動装置にはその制動方式(多板・単板・バンド・ドラム・湿式・乾式等)に関わらず何らかの摩擦材が備わっており、相手材と圧接されることにより制動力を発生するが、制動頻度に伴い摩擦材の磨耗が生ずる。ネガティブブレーキでは、この磨耗により変化するばねの押付寸法を考慮し、想定する磨耗限界において所定の制動力を得るように設計される。つまりネガティブブレーキは新品時では所定の制動力に対してある程度大きな制動力を発生する構造となっており、これをブレーキとして作用させた場合、使用に応じ発生する制動力が低下したり、制動開始点や制動力発生のゲイン等の制動特性が変化するというおそれがある。そのため、ネガティブばねやネガティブシリンダ圧力制御弁の再調整が必要であり、制御特性の安定化が困難となるおそれがあった。
(1) 請求項1の発明によるウインチ装置は、ウインチドラムと、キャリア軸、リング歯車、およびサン歯車のいずれかを制動した状態において、駆動源からの駆動力をウインチドラムに伝達する遊星歯車機構と、ネガティブブレーキ用の押圧力、およびポジティブブレーキ用の押圧力のいずれか一方が伝達されるとキャリア軸、リング歯車、およびサン歯車のいずれかに制動力を与えるブレーキ装置と、ネガティブブレーキ用の押圧力を発生するネガティブブレーキ用押圧バネと、荷の自重によりウインチドラムを回転させる操作によってネガティブブレーキ用の押圧力を解除する押圧力を発生するネガティブブレーキ解除用アクチュエータと、ブレーキ操作によってポジティブブレーキ用の押圧力を発生するとともに、ネガティブブレーキ用の押圧力を減ずるポジティブブレーキ用アクチュエータとを備えることを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載のウインチ装置において、ネガティブブレーキ解除用アクチュエータは、ネガティブブレーキ用の押圧力を解除する押圧力を発生するネガティブブレーキ解除用ピストンを有し、ポジティブブレーキ用アクチュエータは、第1および第2のピストンを有し、第1のピストンでポジティブブレーキ用の押圧力
を発生し、第2のピストンでネガティブブレーキ用の押圧力を減ずる押圧力を発生し、ネガティブブレーキ解除用ピストンと、第2のピストンとは一体化されていることを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1に記載のウインチ装置において、ネガティブブレーキ解除用アクチュエータは、ネガティブブレーキ解除用油圧シリンダであり、ネガティブブレーキ用の押圧力を解除する押圧力をネガティブブレーキ用押圧バネに伝達するネガティブブレーキ解除用ピストンロッドを有し、ポジティブブレーキ用アクチュエータは、ポジティブブレーキ用油圧シリンダであり、ネガティブブレーキ用の押圧力を減ずる押圧力をネガティブブレーキ用押圧バネに伝達するポジティブブレーキ用ピストンロッドと、圧油が供給されると移動してポジティブブレーキ用の押圧力をブレーキ装置に伝達するポジティブブレーキ用シリンダチューブとを有し、ネガティブブレーキ解除用ピストンロッドと、ポジティブブレーキ用ピストンロッドとは一体化されていることを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項1に記載のウインチ装置において、ネガティブブレーキ解除用アクチュエータは、ネガティブブレーキ解除用油圧シリンダであり、ネガティブブレーキ用の押圧力を解除する押圧力をネガティブブレーキ用押圧バネに伝達するネガティブブレーキ解除用ピストンロッドを有し、ポジティブブレーキ用アクチュエータは、ポジティブブレーキ用油圧シリンダであり、ポジティブブレーキ用の押圧力をブレーキ装置に伝達するポジティブブレーキ用ピストンロッドと、圧油が供給されると移動してネガティブブレーキ用の押圧力を減ずる押圧力をネガティブブレーキ用押圧バネに伝達するポジティブブレーキ用シリンダチューブとを有し、ネガティブブレーキ解除用ピストンロッドと、ポジティブブレーキ用シリンダチューブとは一体化されていることを特徴とする。
(5) 請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のウインチ装置において、ポジティブブレーキ用の押圧力は、ネガティブブレーキ用の押圧力よりも小さいことを特徴とする。
本発明によれば、ネガティブブレーキ用の押圧力を発生するネガティブブレーキ用押圧バネと、ネガティブブレーキ用の押圧力を解除する押圧力を発生するネガティブブレーキ解除用アクチュエータと、ポジティブブレーキ用の押圧力を発生するとともに、ネガティブブレーキ用の押圧力を減ずる押圧力を発生するポジティブブレーキ用アクチュエータとを備えるように構成したので、ポジティブブレーキの制動力がポジティブブレーキ用アクチュエータに供給される圧油の圧力のみで決定され、ブレーキ装置の使用によって各部が摩耗しても、ポジティブブレーキの制御特性が安定化し、ポジティブブレーキの操作性が向上する。また、ブレーキモードの切り換えの際の荷の落下を防止するためにポジティブブレーキおよびネガティブブレーキをともに作動させても、ブレーキ装置を作動させるための押圧力が必要以上に過大とならないので、たとえば湿式ブレーキにおいては、油膜切れによる摩擦材の吸着現象などを防止でき、制動力開放特性を安定化できる。
本実施の形態におけるウインチの制動装置が搭載されたクレーンの外観側面図である。 本実施の形態のウインチ装置の構成を示す油圧回路図である。 ブレーキモード切り換えの判定処理の動作について説明するフローチャートである。 変形例を示す図である。 変形例を示す図である。
図1〜3を参照して、本発明によるウインチの制動装置の一実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態におけるウインチの制動装置が搭載されたクレーンの外観側面図である。図1に示すように、クレーンは、走行体101と、走行体101上に搭載された旋回可能な旋回体102と、旋回体102に起伏可能に支持されたブーム103とを有する。旋回体102にはウインチドラム(巻き取りドラム)3が搭載され、巻き取りドラム3の駆動によりワイヤロープ104が巻上げまたは巻下げられ、吊り荷(または掘削用バケット等)106が昇降する。また、旋回体102には起伏ドラム107が搭載され、起伏ドラム107の駆動により起伏ロープ108が巻上げまたは巻下げられ、ブーム103が起伏される。
図2は、本実施の形態のウインチ装置の構成を示す油圧回路図である。図2に示すようにウインチ装置は、巻き取りドラム3と、巻き取りドラム3を駆動する油圧モータ1と、油圧モータ1に駆動圧油を供給するメインポンプ12と、メインポンプ12から油圧モータ1への圧油の流れを制御するコントロール弁11と、油圧モータ1の駆動力を巻き取りドラム3に伝達する遊星減速機2と、巻き取りドラム3を制動する制動装置4とを有する。コントロール弁11は、巻き上げ操作レバー13の操作方向、操作量に応じて制御される。すなわち、パイロット弁13a,13bは、巻き上げ操作レバー13の操作方向、操作量に応じて操作される。そして、パイロット弁13aまたはパイロット13bを介して供給されるパイロットポンプ9からのパイロット圧油によりコントロール弁11が制御される。
また、ウインチ装置は、ブレーキ切換弁5と、ポジティブブレーキ制御弁6と、モータブレーキ切換弁7と、モータブレーキシリンダ8と、作動油タンク10と、高圧選択弁14と、巻き上げ回路圧力検出装置15と、ブレーキ回路圧力検出装置16と、ブレーキモード切換スイッチ17と、コントローラ18とを有する。
油圧モータ1の出力軸は遊星減速機2のサンギヤ21に連結されている。サンギヤ21にはプラネタリギヤ22が噛合され、プラネタリギヤ22には巻き取りドラム3の内周側に設けられたリングギヤ23が噛合されている。プラネタリギヤ22はプラネタリキャリア24により支持され、プラネタリキャリア24は制動装置4のケーシング48の内部に達している。
制動装置4は湿式多板ブレーキであり、摩擦板41と、相手板42と、押圧部材43と、ネガティブシリンダ44と、ポジティブシリンダ45と、ネガティブばね付勢力伝達部材46と、ネガティブばね47と、ケーシング48とが設けられている。旋回体102の不図示のフレームに固定されたケーシング48内において、プラネタリキャリア24には複数枚の摩擦板41がスプライン結合により軸方向に移動可能に係合され、摩擦板41はプラネタリキャリア24と一体に回転可能となっている。ケーシング48の内周面には複数枚の相手板42がスプライン結合により軸方向に移動可能に係合されている。相手板42と摩擦板41は軸方向に交互に配置されている。
最外部の相手板42の側方には押付部材43が配置されている。交互に配置された摩擦板41と相手板42とを圧接するように、押付部材43には後述するネガティブばね付勢力伝達部材46を介してネガティブばね47の付勢力が作用するように構成されている。これにより摩擦板41の表面に摩擦力が作用し、摩擦板41の回転が阻止される。また、交互に配置された摩擦板41と相手板42とを圧接するように、押圧部材43には後述するポジティブシリンダ45の押圧力が作用するように構成されている。
ネガティブばね付勢力伝達部材46は、ネガティブばね47の付勢力を押付部材43に伝達する部材である。また、ネガティブばね付勢力伝達部材46は、後述するネガティブシリンダ44およびポジティブシリンダ45に供給される圧油によって、ネガティブばね47の付勢力に抗してネガティブばね47を押圧する部材である。ネガティブばね付勢力伝達部材46と、ネガティブシリンダ44およびポジティブシリンダ45との関係については後述する。
ネガティブシリンダ44は、ウインチ装置のクラッチ機能を果たすように、圧油の供給によって制動力を解放するネガティブブレーキとして制動装置4を動作させるためのアクチュエータである。ポジティブシリンダ45は、ウインチ装置のブレーキ機能を果たすように、圧油の供給によって制動力を発生するポジティブブレーキとして制動装置4を動作させるためのアクチュエータである。なお、図2では、ネガティブシリンダ44およびポジティブシリンダ45の機能を説明するために、ネガティブシリンダ44、ポジティブシリンダ45、およびネガティブばね付勢力伝達部材46を模式的に表している。
ネガティブシリンダ44は、単動ダブルロッド型(両ロッド型)の油圧シリンダの機能に相当する油圧アクチュエータであり、シリンダチューブに相当する部位がケーシング48に固定されている。ネガティブシリンダ44は、ブレーキ切換弁5を介してパイロットポンプ9からパイロット圧油が供給されると、ネガティブばね付勢力伝達部材46を押圧してネガティブばね47による押付部材43への押圧力を解除する押圧力を発生させる。すなわち、ネガティブシリンダ44では、ネガティブばね付勢力伝達部材46がダブルロッド型油圧シリンダのピストンロッドおよびピストンの機能を担っている。
ネガティブシリンダ44のネガティブばね47側のピストンロッド(すなわちネガティブばね付勢力伝達部材46)は、ネガティブシリンダ44の油室にブレーキ切換弁5を介してパイロット圧油が供給されるとネガティブばね47の付勢力に抗してネガティブばね47を押圧する。ネガティブシリンダ44の押付部材43側のピストンロッド(すなわちネガティブばね付勢力伝達部材46)は、ネガティブシリンダ44の油室にパイロット圧油が供給されていないときに、ネガティブばね47の付勢力で押付部材43を押圧する。なお、ネガティブばね付勢力伝達部材46は、ネガティブシリンダ44の油室にブレーキ切換弁5を介してパイロット圧油が供給されると、ネガティブばね47の付勢力に抗してネガティブばね47を押圧する方向に移動するが、一定の距離だけ移動すると、ケーシング48の一部に当接することで、ネガティブばね47を押圧する方向への移動が規制される。
ポジティブシリンダ45は、ダブルシリンダ型の油圧シリンダの機能に相当する油圧アクチュエータであり、1つのシリンダチューブ内に2つの独立したピストン、および各ピストンに接続されている2つのピストンロッドを有する。ポジティブシリンダ45は、シリンダチューブに相当する部位がケーシング48に固定されている。ポジティブシリンダ45は、2つのピストンで囲まれた油室(以下、単に油室と呼ぶ)にポジティブブレーキ制御弁6を介してパイロットポンプ9からパイロット圧油が供給されると、ネガティブばね付勢力伝達部材46を押圧してネガティブばね47による押付部材43への押圧力を減ずる押圧力を発生させる。すなわち、ポジティブシリンダ45では、ネガティブばね付勢力伝達部材46がダブルシリンダ型油圧シリンダに設けられた2つのピストンロッドおよびピストンのうちの一方のピストンロッドおよびピストンの機能を担っている。
また、ポジティブシリンダ45は、ポジティブブレーキ制御弁6を介してパイロットポンプ9からパイロット圧油が供給されると、押付部材43への押圧力を発生させる。すなわち、ポジティブシリンダ45では、ダブルシリンダ型油圧シリンダに設けられた2つのピストンロッドおよびピストンのうちの他方のピストンロッドおよびピストンに相当する部材が押付部材43に接続されている。このように、ポジティブシリンダ45では、一方のピストンと他方のピストンとが互いに対向する油室にポジティブブレーキ制御弁6を介してパイロットポンプ9からパイロット圧油が供給されると2つのピストンおよびピストンロッドが互いに反対方向に駆動される。
ポジティブシリンダ45には、ポジティブシリンダ戻しばね45aが設けられている。ポジティブシリンダ戻しばね45aは、交互に配置された摩擦板41と相手板42とが互いに離間する方向に向かって、他方のピストンロッドおよびピストンを介して押付部材43を付勢している。ポジティブシリンダ戻しばね45aは、後述するようにネガティブブレーキが開放された際に、多板ブレーキ開放時の引きずり抵抗を軽減して制動力の解除がより適切に行われるために設けられたばねであり、当該目的に必要な程度に弱い付勢力を有する。したがって、ポジティブシリンダ戻しばね45aは、ネガティブブレーキが開放された際に、交互に配置された摩擦板41と相手板42とが圧接される方向とは反対の方向(図示左方)に向かって押付部材43がネガティブばね付勢力伝達部材46に追従するように移動させる。なお、ポジティブシリンダ戻しばね45aは、上述したように多板ブレーキ開放時の引きずり抵抗の軽減が目的であり、結果として、押付部材43をネガティブばね付勢力伝達部材46に追従するように移動させる。そのため、ポジティブシリンダ戻しばね45aの配設位置は、図示した位置に限らず、相手板42同士が離間されるように、たとえば隣り合った相手板42の隙間に設置しても良い。
上述したように、ネガティブばね付勢力伝達部材46は、ネガティブシリンダ44のピストンロッドおよびピストンの機能を担い、かつ、ポジティブシリンダ45の2つのピストンロッドおよびピストンのうちの一方のピストンロッドおよびピストンの機能を担っている。換言すると、ネガティブシリンダ44のピストンロッドおよびピストンと、ポジティブシリンダ45の一方のピストンロッドおよびピストンとは一体化されている。
ブレーキ切換弁5は、コントローラ18からの励磁信号によってソレノイドが励磁されると、パイロットポンプ9からのパイロット圧油がネガティブシリンダ44の油室に供給されることを許可する。ポジティブブレーキ制御弁6は、操作ペダル(ブレーキペダル)6aにより操作される制御弁であり、ブレーキペダル6aの操作量(操作力)に応じた圧力のパイロット圧油をポジティブシリンダ45の油室へ供給する。ブレーキペダル6aの非操作時には、パイロットポンプ9からポジティブシリンダ45の油室へのパイロット圧油の供給がポジティブブレーキ制御弁6により遮断される。
モータブレーキ切換弁7は、モータブレーキシリンダ8に供給するパイロットポンプ9からのパイロット圧油の流通を許可または禁止する切換弁である。モータブレーキ切換弁7は、巻き上げ操作レバー13の操作によってパイロット弁13aまたはパイロット13bと、高圧選択弁14とを介してスプール駆動用のパイロット圧油が供給されると、モータブレーキシリンダ8に供給するパイロットポンプ9からのパイロット圧油の流通を許可する。また、モータブレーキ切換弁7は、巻き上げ操作レバー13が操作されず、高圧選択弁14を介したスプール駆動用のパイロット圧油の供給が絶たれると、モータブレーキシリンダ8に供給するパイロットポンプ9からのパイロット圧油の流通を禁止する。
モータブレーキシリンダ8は、油圧モータ1の回転を許可または禁止するブレーキ装置である。モータブレーキシリンダ8は、モータブレーキ切換弁7を介してパイロットポンプ9からのパイロット圧油が供給されるとブレーキを解除して油圧モータ1の回転を許可する。また、モータブレーキシリンダ8は、モータブレーキ切換弁7を介したパイロットポンプ9からのパイロット圧油の供給が絶たれると、ブレーキを作動させて油圧モータ1の回転を禁止する。
巻き上げ回路圧力検出装置15は、巻き上げ操作レバー13の操作の有無を検出するために巻き上げ操作レバー13の操作量に応じたパイロット圧を検出するための圧力スイッチまたは圧力センサである。ブレーキ回路圧力検出装置16は、ブレーキペダル6aの操作の有無を検出するためにポジティブシリンダ45の油室に供給される圧油の圧力を検出するための圧力スイッチまたは圧力センサである。ブレーキモード切換スイッチ17は、後述するようにブレーキモードを切り換えるための操作スイッチである。コントローラ18は、種々の条件に応じてブレーキ切換弁を制御するための制御装置である。
このように構成されるウインチ装置で設定可能なブレーキモードは、「自動ブレーキモード」と「中立フリーモード」との2つのブレーキモードである。上述したように、ブレーキモード切換スイッチ17の操作によって、オペレータは上記2つのブレーキモードを選択できる。ブレーキモード切換スイッチ17の操作によって自動ブレーキモードが選択されると、後述するように、巻き上げ操作レバー13の操作方向、操作量に応じた回転方向、回転速度で巻き取りドラム3が駆動される。そして、巻き上げ操作レバー13が中立位置では、巻き取りドラム3が停止する。
ブレーキモード切換スイッチ17の操作によって中立フリーモードが選択されると、後述するように、巻き取りドラム3が荷の自重により自由に回転可能となる。なお、本実施の形態では、後述するように、ブレーキモード切換スイッチ17の操作によって中立フリーモードが選択されていても、巻き上げ操作レバー13が操作されると、一時的にブレーキモードが自動ブレーキモードに設定されるが、巻き上げ操作レバー13が操作されなくなると(すなわち中立位置にされると)、ブレーキモードが再び中立フリーモードに設定される。
−−−自動ブレーキモードにおける動力巻き上げ時の動作について−−−
ブレーキモード切換スイッチ17の操作によって自動ブレーキモードが選択されている場合、巻き上げ操作レバー13が操作されると、巻き上げ操作レバー13の操作方向、操作量に応じてパイロット弁13aまたはパイロット弁13bを介して供給されるパイロットポンプ9からのパイロット圧油でコントロール弁11のスプールが駆動される。これによってコントロール弁11のPポートと、AポートまたはBポートとが接続されて、メインポンプ12からの圧油が油圧モータ1に供給される。同時にパイロットポンプ9からのパイロット圧油は、パイロット弁13aまたはパイロット13bと、高圧選択弁14とを介してモータブレーキ切換弁7に入力される。これにより、モータブレーキ切換弁7を介してパイロットポンプ9からのパイロット圧油がモータブレーキシリンダ8に供給されるので、モータブレーキシリンダ8は、ブレーキを解除して油圧モータ1の回転を許可する。
ブレーキモード切換スイッチ17の操作によって自動ブレーキモードが選択されている場合、後述するようにブレーキモードが自動ブレーキモードに設定されて、プラネタリキャリア24は制動装置4で固定される。すなわち、ブレーキモードが自動ブレーキモードに設定されている場合、ブレーキ切換弁5のソレノイドが励磁されずブレーキ切換弁5を介してネガティブシリンダ44の油室と作動油タンク10とが接続される。そのため、ネガティブシリンダ44にはネガティブばね47の付勢力に抗する推力が発生せず、ネガティブばね47の付勢力がネガティブばね付勢力伝達部材46、押付部材43を介して摩擦板41および相手板42に作用する。これにより、交互に配置された摩擦板41と相手板42とが圧接され、摩擦板41の表面に摩擦力が作用し、制動力が発生する。
したがって、プラネタリギヤ22が公転できず、メインポンプ12からの圧油によって駆動される油圧モータ1の回転駆動力が遊星減速機2のサンギヤ21に入力されると、プラネタリギヤ22が公転せずに自転する。これにより、リングギヤ23に接続されている巻き取りドラム3が回転し、動力による巻き上げ(巻き下げ)が行われる。
ブレーキモード切換スイッチ17の操作によって自動ブレーキモードが選択されている場合、巻き上げ操作レバー13が操作されず中立位置にされると、パイロット弁13aおよびパイロット弁13bを介したパイロットポンプ9からのパイロット圧油の供給が絶たれ、コントロール弁11のスプールが中立位置に移動する。これによってコントロール弁11のPポートと、AポートおよびBポートとが遮断されて、メインポンプ12から油圧モータ1への圧油の供給が断たれる。また、パイロット弁13aまたはパイロット13bと、高圧選択弁14とを介したスプール駆動用のパイロット圧油の供給が絶たれるので、モータブレーキ切換弁7は、モータブレーキシリンダ8に供給するパイロットポンプ9からのパイロット圧油の流通を禁止する。そのため、モータブレーキシリンダ8は、ブレーキを作動させて油圧モータ1の回転を禁止する。
ブレーキモード切換スイッチ17の操作によって自動ブレーキモードが選択されている場合、上述したようにプラネタリキャリア24が制動装置4で固定されて、プラネタリギヤ22の公転が禁止される。メインポンプ12からの圧油が断たれるので油圧モータ1の回転駆動力は発生しない。また、上述したように、モータブレーキシリンダ8は、ブレーキを作動させて油圧モータ1の回転を禁止している。そのため、遊星減速機2のサンギヤ21の回転が禁止され、プラネタリギヤ22の公転および自転が禁止される。これにより、リングギヤ23に接続されている巻き取りドラム3の回転が禁止される。
−−−中立フリーモードにおける巻き取りドラム3の動作について−−−
巻き上げ操作レバー13が中立状態にあって、油圧モータ1に圧油が供給されず、モータブレーキシリンダ8によるブレーキが作動している状態において、制動装置4の制動力が開放されると(ネガティブブレーキが開放されると)、巻き取りドラム3は荷の自重により回転可能(フリーフォール可能)となる。制動装置4は、ポジティブブレーキによる制動力の調整機能を有しており、オペレータの操作によりフリーフォール時の荷の落下速度(巻き取りドラム3の回転速度)を調整できる。
ブレーキモード切換スイッチ17によって中立フリーモードが選択されている場合にネガティブブレーキを開放するか否か(ブレーキモードが中立フリーモードに設定されるか否か)の判断は、巻き上げ回路圧力検出装置15、ブレーキ回路圧力検出装置16およびブレーキモード切換スイッチ17の各判定値に基づいて、後述するようにコントローラ18で行われる。後述するように、コントローラ18からの励磁信号によってブレーキ切換弁5のソレノイドが励磁されると、ネガティブブレーキが開放され、ブレーキ切換弁5のソレノイドが消磁されると、ネガティブブレーキが作動する。
−−−ネガティブブレーキの開放について−−−
コントローラ18でネガティブブレーキを開放すると判断されると、コントローラ18からの励磁信号によってブレーキ切換弁5のソレノイドが励磁されて、パイロットポンプ9からのパイロット圧油がブレーキ切換弁5を介してネガティブシリンダ44の油室に供給される。上述したように、ネガティブシリンダ44のシリンダチューブに相当する部位がケーシング48に固定されているので、ネガティブシリンダ44の油室に圧油が供給されると、ネガティブシリンダ44のネガティブばね47側のピストンロッドにネガティブばね47の付勢力に抗してネガティブブレーキ用の押圧力を解除する推力が発生する。そして、上述したように、ネガティブばね付勢力伝達部材46は、ネガティブばね47の付勢力に抗してネガティブばね47を押圧する方向に一定の距離だけ移動してケーシング48の一部に当接して停止する。
この時、ポジティブシリンダ45の油室に圧油が供給されていなければ、交互に配置された摩擦板41と相手板42とを圧接する荷重が押付部材43に作用しないので(多板ブレーキの押付け力が開放されるので)、制動装置4の制動力が解除される。なお、上述したように、本実施の形態では、制動力の解除がより適切に行われるために、ポジティブシリンダ45の油室に圧油が供給されていなければ、ポジティブシリンダ戻しばね45aの付勢力によって、押付部材43がネガティブばね付勢力伝達部材46に追従するように移動するように構成されている。
−−−ポジティブブレーキの動作について−−−
上述したようにネガティブブレーキが開放されている状態において、ポジティブシリンダ45の油室にポジティブブレーキ制御弁6を介してパイロットポンプ9からパイロット圧油が供給されると、ポジティブシリンダ45の他方のピストンロッドおよびピストンが押付部材43を摩擦板41および相手板42が配設されている方向へ押圧する。これにより、交互に配置された摩擦板41と相手板42とが圧接されて、ポジティブブレーキの制動力が発生する。ポジティブブレーキ制御弁6を介したパイロット圧油の圧力をブレーキペダル6aの操作量(操作力)で調節することで、ポジティブブレーキの制動力が調節される。
このとき、ポジティブシリンダ戻しばね45aの弱い付勢力に抗する程度に低い圧力の圧油がポジティブシリンダ45の油室に供給されると、ポジティブシリンダ45の他方のピストンロッドおよびピストンが押付部材43を摩擦板41および相手板42が配設されている方向へ移動する。そのため、摩擦板41および相手板42が摩耗し、多板ブレーキが密着する位置(ストローク)が変化した場合でも、制動力が低下したり、制動開始点や制動力発生のゲイン等の制動特性が変化したりするということが、オペレータの操作感覚上、感じられることはない。
なお、上述したようにネガティブブレーキが開放されている状態では、ネガティブばね付勢力伝達部材46がケーシング48の一部に当接して停止している。したがって、ポジティブシリンダ45の油室の圧力の高低に関わらず、ポジティブシリンダ45の一方のピストンロッドおよびピストン(すなわちネガティブばね付勢力伝達部材46)が固定された状態となる。仮に、ブレーキペダル6aの急操作などによる、ポジティブシリンダ45の油室の一時的な圧力上昇によってネガティブばね付勢力伝達部材46が移動してしまうと、ポジティブシリンダ45の油室容量が変化し、目的の圧力に達するまでに油室容量が増減することによる応答遅れが発生するおそれがある。そして、この応答遅れによってオペレータが、ポジティブブレーキのいわゆる剛性感が少ない(剛性が低い)と感じてしまうおそれがある。しかし、本実施の形態では、急激にポジティブシリンダ45の油室の圧力が高まったとしても、上述したようにネガティブばね付勢力伝達部材46が不動であるので、ブレーキペダル6aの操作量(操作力)に対するポジティブブレーキの制動力の調整の応答性が良好となる。したがって、オペレータがポジティブブレーキの剛性が高いと感じることができ、ポジティブブレーキの操作性が良好となる。
ネガティブブレーキが開放される前に(ネガティブブレーキが作動した状態で)ブレーキペダル6aが操作された際の、押付部材43に作用する押圧力について説明する。ネガティブブレーキが作動した状態では、ネガティブばね47の付勢力がネガティブシリンダ44のネガティブばね47側のピストンロッド(すなわちネガティブばね付勢力伝達部材46)を介して押付部材43を押圧している。このとき、ブレーキペダル6aが操作されると、上述したようにポジティブシリンダ45の油室にブレーキペダル6aの操作量(操作力)に応じた圧力のパイロット圧油が供給される。
これにより、上述したように、ポジティブシリンダ45は、他方のピストンロッドおよびピストンを押圧して押付部材43への押圧力(以下、押圧力F1と呼ぶ)を発生させるとともに、一方のピストンロッドおよびピストン(すなわちネガティブばね付勢力伝達部材46)を押圧してネガティブばね47による押付部材43への押圧力を減ずる押圧力(以下、押圧力F2と呼ぶ)を発生させる。一方のピストンと他方のピストンのピストン径が同じであれば、上述した押圧力F1と押圧力F2とは力の大きさが等しく、力の向きが逆向きになる。
そのため、ネガティブブレーキが作動した状態でブレーキペダル6aが操作されると、ポジティブシリンダ45による押圧力F1が押付部材43へ働くが、ポジティブシリンダ45による押圧力F2の分だけネガティブばね47による押付部材43への押圧力が減ぜられる。したがって、ネガティブブレーキが作動した状態でブレーキペダル6aが操作されても、交互に配置された摩擦板41と相手板42とを圧接する荷重は変化しない。
−−−ブレーキモード切り換えの判定条件について−−−
ブレーキモードの選択は、ブレーキモード切換スイッチ17によるオペレータの操作により行われる。ただし、ブレーキモードが選択されたモードに設定されるためには、以下に説明する切り換えの判定条件を満たす必要がある。また、ブレーキモード切換スイッチ17によって中立フリーモードが選択されている場合でも、以下に説明するように、ブレーキモードが自動ブレーキモードまたは中立フリーモードに自動的に切り換えられて設定される。なお、ブレーキモード切換スイッチ17によって自動ブレーキモードが選択されている場合には、ブレーキモードが自動ブレーキモードに設定されるが、中立フリーモードに設定されることはない。
すなわち、コントローラ18は、ブレーキモード切換スイッチ17によって自動ブレーキモードが選択されていると判断すると、ブレーキモードを自動ブレーキモードに設定する。具体的には、ブレーキモード切換スイッチ17によって自動ブレーキモードが選択されていると判断すると、ブレーキ切換弁5のソレノイドを消磁する。これにより、上述したようにネガティブブレーキが作動する。
コントローラ18は、巻き上げ回路圧力検出装置15からの出力信号に基づいて、パイロット弁13aまたはパイロット弁13bを介してコントロール弁11に供給されるパイロット圧油の圧力(圧力Pa)が後述する圧力P1以下であると判断し、かつ、ブレーキ回路圧力検出装置16からの出力信号に基づいて、ポジティブシリンダ45の油室に供給される圧油の圧力(圧力Pb)が後述する圧力P2以上であると判断した場合に、ブレーキモード切換スイッチ17によって中立フリーモードが選択されていると判断すると、ブレーキモードを中立フリーモードに設定する。すなわち、巻き上げ操作レバー13が中立状態であり、かつ、ブレーキペダル6aが踏み込まれ、ポジティブブレーキ制御弁6を介してパイロット圧油がポジティブシリンダ45の油室へ供給されている状態で、ブレーキモード切換スイッチ17によって中立フリーモードが選択されている場合に、ブレーキ切換弁5のソレノイドを励磁する。これにより、上述したようにネガティブブレーキが開放される。
このように、ブレーキ切換弁5のソレノイドの励磁を制御することで、自動ブレーキモードから中立フリーモードヘの切り換えの瞬間に荷が落下することを防止できる。なお、圧力P1は、巻き上げ操作レバー13が中立状態であると判断されるような圧力値としてあらかじめ設定された閾値である。また、圧力P2は、ネガティブブレーキが開放されてもポジティブブレーキによる制動力で荷の落下を防止できるような圧力値としてあらかじめ設定された閾値である。
なお、ブレーキモード切換スイッチ17によって中立フリーモードが選択されて、上述したようにブレーキモードが中立フリーモードに設定された場合であっても、巻き上げ操作レバー13が操作されるとネガティブブレーキを作動させる(ブレーキモードを自動ブレーキモードに切り換える)。具体的には、ブレーキモード切換スイッチ17によって中立フリーモードが選択されて、上述したようにブレーキモードが中立フリーモードに設定された場合であっても、コントローラ18は、巻き上げ回路圧力検出装置15からの出力信号に基づいて、パイロット弁13aまたはパイロット弁13bを介してコントロール弁11に供給されるパイロット圧油の圧力Paが後述する圧力P1を超えたと判断すると、ブレーキ切換弁5のソレノイドを消磁する。これは、巻き上げ操作中にブレーキペダル6aが操作されなくても荷が巻き上がるようにするためである。
−−−フローチャート−−−
図3は、ブレーキモード切り換えの判定処理の動作について説明するフローチャートである。クレーンの不図示のイグニッションスイッチがオンされると、図3に示す処理を行うプログラムが起動されてコントローラ18で繰り返し実行される。ステップS1において、巻き上げ回路圧力検出装置15からの出力信号に基づいて、パイロット弁13aまたはパイロット弁13bを介してコントロール弁11に供給されるパイロット圧油の圧力Paが圧力P1以下であるか否かを判断する。
ステップS1が肯定判断されるとステップS3へ進み、ブレーキ回路圧力検出装置16からの出力信号に基づいて、ポジティブシリンダ45の油室に供給される圧油の圧力Pbが圧力P2以上であるか否かを判断する。ステップS3が肯定判断されるとステップS5へ進み、ブレーキモード切換スイッチ17によって中立フリーモードが選択されているか否かを判断する。ステップS5が肯定判断されるとステップS7へ進み、ブレーキ切換弁5のソレノイドを励磁してステップS9へ進む。
ステップS9において、巻き上げ回路圧力検出装置15からの出力信号に基づいて、パイロット弁13aまたはパイロット弁13bを介してコントロール弁11に供給されるパイロット圧油の圧力Paが圧力P1以下であるか否かを判断する。ステップS9が肯定判断されるとステップS5へ戻る。
ステップS9が否定判断されるとステップS11へ進み、ブレーキ切換弁5のソレノイドを消磁してステップS13へ進む。ステップS13において、巻き上げ回路圧力検出装置15からの出力信号に基づいて、パイロット弁13aまたはパイロット弁13bを介してコントロール弁11に供給されるパイロット圧油の圧力Paが圧力P1以下であるか否かを判断する。ステップS13が肯定判断されるとステップS5へ戻る。ステップS13が否定判断されるとステップS11へ戻る。
ステップS5が否定判断されるとステップS15へ進み、ブレーキ切換弁5のソレノイドを消磁して本プログラムを終了する。ステップS3が否定判断されるとステップS15へ進む。ステップS1が否定判断されるとステップS15へ進む。
本実施の形態のウインチの制動装置では、次の作用効果を奏する。
(1) ブレーキモードが中立フリーモードに設定されている場合に、ネガティブブレーキを開放し、ポジティブブレーキによって荷の落下速度を調節するように構成した。また、ポジティブブレーキ制御弁6を介したパイロット圧油の圧力をブレーキペダル6aの操作量(操作力)で調節することで、ポジティブブレーキの制動力が調節されるように構成した。これにより、ポジティブブレーキの制動力がポジティブシリンダ45に供給されるパイロット圧油の圧力のみで決定され、摩擦板41および相手板42が磨耗し、多板ブレーキが密着する位置(ストローク)が変化した場合でも、解除〜密着〜最大押付けに係るパイロット圧油の圧力が不変である。したがって、ポジティブブレーキの制御特性が安定化し、ポジティブブレーキの操作性が向上する。
(2) ブレーキモードの切り換えの際の荷の落下を防止するためにポジティブブレーキおよびネガティブブレーキをともに作動させると、従来のウインチの制動装置では、交互に配置された摩擦板41と相手板42とを圧接する荷重が必要以上に過大となり、油膜切れによる摩擦材の吸着現象が発生するおそれがある。そのため、その後最初に摩擦板41と相手板42とを離間させる際に、離間し難くなってしまうため、制動力開放特性が不安定になるおそれがある。
しかし、上述した実施の形態では、ネガティブブレーキが作動した状態でブレーキペダル6aが操作されると、ポジティブシリンダ45による押圧力でネガティブばね47による押付部材43への押圧力が減ぜられるように構成した。これにより、ネガティブブレーキが作動した状態でブレーキペダル6aが操作されても、交互に配置された摩擦板41と相手板42とを圧接する荷重は変化しなくなる。したがって、ブレーキモードの切り換えの際の荷の落下を防止するためにポジティブブレーキおよびネガティブブレーキをともに作動させても、交互に配置された摩擦板41と相手板42とを圧接する荷重が必要以上に過大とならないので、制動力開放特性を安定化できる。たとえば掘削作業では、荷上げ(自動ブレーキモード)、停止、荷下げ(中立フリーモード)を繰り返し行う。そのため、掘削作業では頻繁にブレーキモードが切り換えられることとなり、頻繁にポジティブブレーキおよびネガティブブレーキをともに作動させることとなる。しかし、本実施の形態では、頻繁にポジティブブレーキおよびネガティブブレーキをともに作動させても上述のように制動力開放特性が安定している。したがって、ブレーキモードを頻繁に切り換える作業であっても、ポジティブブレーキ操作時にオペレータが違和感を覚えることを防止でき、オペレータの疲労低減や作業効率の向上に大いに資する。
なお、ポジティブシリンダ45の推力がネガティブばね47の押圧力に勝った場合は、その分だけ制動力が増すが、一般に、ネガティブばね47の押圧力は摩擦板41の磨耗による制動力低下を加味し、設定する磨耗限において必要制動力を満足するように幾分の余裕を持っている。上述したように、ポジティブブレーキの制動力がポジティブシリンダ45に供給されるパイロット圧油の圧力のみで決定され、摩擦板41および相手板42が磨耗し、多板ブレーキが密着する位置が変化した場合でも、解除〜密着〜最大押付けに係るパイロット圧油の圧力が不変である。そのため、ポジティブシリンダ45の推力は必要最低限にしておけば良いので、ネガティブばね47の押圧カに勝るものではない。
(3) ブレーキモードの切り換えの際の荷の落下を防止するためにポジティブブレーキおよびネガティブブレーキをともに作動させても、交互に配置された摩擦板41と相手板42とを圧接する荷重が必要以上に過大とならないようにするために、従来の油圧回路は複雑になるおそれがあった。すなわち、特許第3508552号、特許第3508684号に記載された装置では、ネガティブブレーキ作動中はネガティブシリンダおよびポジティブシリンダの圧力を同圧にすることにより、摩擦板と相手板とを圧接する荷重が必要以上に過大とならないようにしている。このことから機械の稼動中にはポジティブブレーキおよびネガティブブレーキ回路の圧力を高圧に保たなければならず、複雑な回路構成が必要となっている。
これに対して、上述した実施の形態では、ネガティブブレーキが開放された場合にのみ、ポジティブシリンダ45の推力が制動に寄与し、ネガティブブレーキが開放されていない場合にはポジティブシリンダ45の圧力は制動力に無関係となる。そのため、ポジティブブレーキ制御弁6を有効にするか無効にするかを切り換えるための切り換え弁が不要となる。また、ブレーキモードの切り換え過渡期における油量不足を補うアキムレータ等が不要となる。そして、ポジティブブレーキ制御弁6を単純にパイロットラインと接続させておけば良い。したがって、油圧回路を簡素化できる。
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、ポジティブシリンダ45が、ダブルシリンダ型の油圧シリンダの機能に相当する油圧アクチュエータであり、1つのシリンダチューブ内に2つの独立したピストン、および各ピストンに接続されている2つのピストンロッドを有するように構成した。また、上述の説明では、ポジティブシリンダ45のシリンダチューブに相当する部位がケーシング48に固定されるように構成した。しかし、本発明はこれに限定されない。たとえば、ポジティブシリンダ45として単動ピストン型の油圧シリンダの機能に相当する油圧アクチュエータを用いるようにしても、上述した作用効果と同様の作用効果を奏する。
すなわち、たとえば、図4に示すように、ネガティブばね付勢力伝達部材46がポジティブシリンダ45のピストンロッドおよびピストンの機能を担うように構成してもよい。そして、ポジティブシリンダ45のシリンダチューブに相当する部位を押付部材43に接続するように構成してもよい。
また、たとえば、図5に示すように、ネガティブばね付勢力伝達部材46がポジティブシリンダ45のシリンダチューブに相当する部位の機能を担うように構成してもよい。そして、ポジティブシリンダ45のピストンロッドに相当する部位を押付部材43に接続するように構成してもよい。
(2) 上述の説明では、摩擦板41がプラネタリキャリア24と一体に回転可能となっているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、摩擦板41が取り付けられる遊星減速機2の相手側の部材は、遊星減速機2の構成や段数に応じて異なる。
(3) 上述の説明では、ポジティブシリンダ45に供給される圧油の圧力制御に一般的な減圧弁を用いているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ブレーキペダル6aの操作力に応じてマスタシリンダ内の圧力を増加させるように構成し、マスタシリンダで加圧された圧油をポジティブシリンダ45に供給するように構成してもよい。
(4) 上述の説明では、制動装置4として湿式多板ブレーキを採用しているが、本発明はこれに限定されず、単板ブレーキやバンドブレーキ、ドラムブレーキなど各種の制動装置を採用してもよい。また、乾式のブレーキであってもよい。
(5) 上述の説明では、ネガティブシリンダ44およびポジティブシリンダ45の機能を説明するために、たとえば図2,4,5において、ネガティブシリンダ44、ポジティブシリンダ45、およびネガティブばね付勢力伝達部材46等を模式的に表している。そして、ネガティブシリンダ44およびポジティブシリンダ45にそれぞれシリンダチューブとピストンとピストンロッドとが存在しているものとして説明しているが、本発明はこれに限定されない。ネガティブばね47の付勢力に抗してネガティブばね47を押圧する押圧力を発生するアクチュエータが存在し、当該アクチュエータで発生する押圧力によってネガティブばね47の付勢力に抗してネガティブばね47を押圧するように構成されていればよく、上述した構成には限定されない。そして、ネガティブばね47による押付部材43への押圧力を減ずる押圧力を発生させると同時に、押付部材43への押圧力を発生させるアクチュエータが存在し、当該アクチュエータで発生する押圧力によってネガティブばね47による押付部材43への押圧力を減ずると同時に、押付部材43を押圧するように構成されていればよく、上述した構成には限定されない。
(6) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
すなわち、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、ネガティブブレーキ用の押圧力、およびポジティブブレーキ用の押圧力のいずれか一方が伝達されるとウインチドラムの制動力を発生するブレーキ装置と、ネガティブブレーキ用の押圧力を発生するネガティブブレーキ用押圧バネと、ネガティブブレーキ用の押圧力を解除する押圧力を発生するネガティブブレーキ解除用アクチュエータと、ポジティブブレーキ用の押圧力を発生するとともに、ネガティブブレーキ用の押圧力を減ずる押圧力を発生するポジティブブレーキ用アクチュエータとを備えることを特徴とする各種構造のウインチの制動装置を含むものである。
1 油圧モータ 2 遊星減速機
3 ウインチドラム(巻き取りドラム) 4 制動装置
5 ブレーキ切換弁 6 ポジティブブレーキ制御弁
9 パイロットポンプ 11 コントロール弁
12 メインポンプ 13 巻き上げ操作レバー
15 巻き上げ回路圧力検出装置 16 ブレーキ回路圧力検出装置
17 ブレーキモード切換スイッチ 18 コントローラ
41 摩擦板 42 相手板
43 押圧部材 44 ネガティブシリンダ
45 ポジティブシリンダ 46 ネガティブばね付勢力伝達部材
47 ネガティブばね 48 ケーシング

Claims (5)

  1. ウインチドラムと、
    キャリア軸、リング歯車、およびサン歯車のいずれかを制動した状態において、駆動源からの駆動力を前記ウインチドラムに伝達する遊星歯車機構と、
    ネガティブブレーキ用の押圧力、およびポジティブブレーキ用の押圧力のいずれか一方が伝達されると前記キャリア軸、リング歯車、およびサン歯車のいずれかに制動力を与えるブレーキ装置と、
    前記ネガティブブレーキ用の押圧力を発生するネガティブブレーキ用押圧バネと、
    荷の自重により前記ウインチドラムを回転させる操作によって前記ネガティブブレーキ用の押圧力を解除する押圧力を発生するネガティブブレーキ解除用アクチュエータと、
    ブレーキ操作によって前記ポジティブブレーキ用の押圧力を発生するとともに、前記ネガティブブレーキ用の押圧力を減ずるポジティブブレーキ用アクチュエータとを備えることを特徴とするウインチ装置。
  2. 請求項1に記載のウインチ装置において、
    前記ネガティブブレーキ解除用アクチュエータは、前記ネガティブブレーキ用の押圧力を解除する押圧力を発生するネガティブブレーキ解除用ピストンを有し、
    前記ポジティブブレーキ用アクチュエータは、第1および第2のピストンを有し、前記第1のピストンで前記ポジティブブレーキ用の押圧力を発生し、前記第2のピストンで前記ネガティブブレーキ用の押圧力を減ずる押圧力を発生し、
    前記ネガティブブレーキ解除用ピストンと、前記第2のピストンとは一体化されていることを特徴とするウインチ装置。
  3. 請求項1に記載のウインチ装置において、
    前記ネガティブブレーキ解除用アクチュエータは、ネガティブブレーキ解除用油圧シリンダであり、前記ネガティブブレーキ用の押圧力を解除する押圧力を前記ネガティブブレーキ用押圧バネに伝達するネガティブブレーキ解除用ピストンロッドを有し、
    前記ポジティブブレーキ用アクチュエータは、ポジティブブレーキ用油圧シリンダであり、前記ネガティブブレーキ用の押圧力を減ずる押圧力を前記ネガティブブレーキ用押圧バネに伝達するポジティブブレーキ用ピストンロッドと、圧油が供給されると移動して前記ポジティブブレーキ用の押圧力を前記ブレーキ装置に伝達するポジティブブレーキ用シリンダチューブとを有し、
    前記ネガティブブレーキ解除用ピストンロッドと、前記ポジティブブレーキ用ピストンロッドとは一体化されていることを特徴とするウインチ装置。
  4. 請求項1に記載のウインチ装置において、
    前記ネガティブブレーキ解除用アクチュエータは、ネガティブブレーキ解除用油圧シリンダであり、前記ネガティブブレーキ用の押圧力を解除する押圧力を前記ネガティブブレーキ用押圧バネに伝達するネガティブブレーキ解除用ピストンロッドを有し、
    前記ポジティブブレーキ用アクチュエータは、ポジティブブレーキ用油圧シリンダであり、前記ポジティブブレーキ用の押圧力を前記ブレーキ装置に伝達するポジティブブレーキ用ピストンロッドと、圧油が供給されると移動して前記ネガティブブレーキ用の押圧力を減ずる押圧力を前記ネガティブブレーキ用押圧バネに伝達するポジティブブレーキ用シリンダチューブとを有し、
    前記ネガティブブレーキ解除用ピストンロッドと、前記ポジティブブレーキ用シリンダチューブとは一体化されていることを特徴とするウインチ装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のウインチ装置において、
    前記ポジティブブレーキ用の押圧力は、前記ネガティブブレーキ用の押圧力よりも小さいことを特徴とするウインチ装置。
JP2011265856A 2011-12-05 2011-12-05 ウインチ装置 Expired - Fee Related JP5887117B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011265856A JP5887117B2 (ja) 2011-12-05 2011-12-05 ウインチ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011265856A JP5887117B2 (ja) 2011-12-05 2011-12-05 ウインチ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013116813A JP2013116813A (ja) 2013-06-13
JP5887117B2 true JP5887117B2 (ja) 2016-03-16

Family

ID=48711643

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011265856A Expired - Fee Related JP5887117B2 (ja) 2011-12-05 2011-12-05 ウインチ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5887117B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6148569B2 (ja) * 2013-08-07 2017-06-14 住友重機械工業株式会社 巻き上げドラム装置
JP6645937B2 (ja) * 2016-09-13 2020-02-14 住友重機械建機クレーン株式会社 ウインチのブレーキ装置
JP2022108561A (ja) * 2021-01-13 2022-07-26 住友重機械建機クレーン株式会社 ウインチのブレーキ装置
JP7396417B1 (ja) * 2022-09-14 2023-12-12 コベルコ建機株式会社 ウインチ制御装置及びこれを備えたクレーン

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5245969B2 (ja) * 1972-10-26 1977-11-19
JPS60190841U (ja) * 1984-05-25 1985-12-18 城戸 忠光 油圧シリンダ−
JP3213233B2 (ja) * 1996-03-28 2001-10-02 日本車輌製造株式会社 ウインチの制動装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013116813A (ja) 2013-06-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5887117B2 (ja) ウインチ装置
JP4855787B2 (ja) ウインチ装置
KR100301944B1 (ko) 유압 윈치
JP6645937B2 (ja) ウインチのブレーキ装置
US20060151265A1 (en) Nagative brake device, construction machine, and method of activating negative
JP2022108561A (ja) ウインチのブレーキ装置
JP4898474B2 (ja) ウインチ装置
JP2006256747A (ja) 油圧巻上装置
JP3945505B2 (ja) 油圧ウィンチ
JP2009121500A (ja) 建設機械のブレーキ装置
JP2013056745A (ja) ウインチ監視装置
JP3647122B2 (ja) ウインチ
JP2009107833A (ja) ウインチ装置
JP3944969B2 (ja) 油圧ウィンチの制御装置
JP2000016774A (ja) ウインチ制御装置
JP3508757B2 (ja) 油圧ウィンチ
JP2003002588A (ja) ウインチのブレーキ装置、およびこのブレーキ装置を備えたクレーンの巻上装置
JP2010013202A (ja) 巻上装置
JP3536827B2 (ja) 油圧ウインチ装置
JP3508552B2 (ja) 油圧ウィンチ
JP2001019368A (ja) 油圧ウィンチ
JP2023096569A (ja) ブレーキ制御装置及びこれを備えたクレーン
JP2003226487A (ja) ウインチのブレーキ装置、クラッチ装置、およびこのブレーキ装置、クラッチ装置を備えたクレーン
JP3600145B2 (ja) 作業機械のブレーキ装置
JP2004224509A (ja) ウインチのブレーキ装置、ブレーキ装置の冷却方法、およびブレーキ装置を備えたクレーン

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20141017

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20141028

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141219

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20141219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150616

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150805

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160209

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160215

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5887117

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees