JP5875546B2 - ガルバノスキャナ - Google Patents
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Description
それゆえ、特許文献1に記載のガルバノスキャナは、保持部材が重量の重い磁性材料で作製されており、保持部材と永久磁石とでなる回転子の慣性を増加させるとともに、保持部材が起磁力を有しておらず、回転子の磁束増加に貢献しないので、高加速度化に対応できないとの問題があった。
しかし、コイルに流す電流を増加すると、コイルのジュール損や磁石渦損が大きくなり、コイル及び永久磁石での発熱量が増大し、ガルバノスキャナに付随するエンコーダの動作温度範囲からの逸脱や、永久磁石の熱減磁によるトルク低下が発生するとの問題があった。
図1は、本発明の実施の形態1に係わるガルバノスキャナの斜視模式図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係わるガルバノスキャナの構成を説明する分解斜視模式図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係わるガルバノスキャナの図1の斜視模式図におけるA−A断面の模式図とである。
本発明では、回転子が回動する方向を周方向と記し、回転子の回転中心軸の方向を軸方向と記す。
本実施の形態では、回転子は永久磁石6のみで形成されており、その形状が部分円柱体である。ここで、部分円柱体とは、円柱をその円中心軸と平行な面で分割して形成されるものである。
また、回転子である部分円柱体の永久磁石6は、周壁の円弧面(周壁円弧面と記す)6bの周方向の中心位置に軸方向へ延在する溝10が形成されており、溝10の反対側にある平坦な周壁面が反射ミラー搭載面6aとなっており、両端側の面がシャフト取付面6cとなっている。
また、溝10は、周壁円弧面部(開口部)での幅が底部の幅より広くなっており、断面形状が等脚台形となっている。
また、永久磁石6にはネオジウム焼結磁石を用いているが、サマリウムコバルト焼結磁石、プラスチック磁石、フェライト磁石など他の磁石を用いても良い。
また、シャフト3は、その中心軸を、部分円柱体の永久磁石6の中心軸と一致させて、例えば接着等で取付けられており、上述したように、部分円柱体の永久磁石6の中心軸が、回転子の回転中心軸Oとなっている。
コア8は、圧粉鉄心で作製されており、その形状が部分円筒体である。ここで、部分円筒体とは、円筒をその円中心軸と平行な面で分割して形成されるものである。
本実施の形態では、コア8は、圧粉鉄心で作製されているが、電磁鋼板やフェライトなどの比透磁率の高い磁性体の鉄系材料で作製しても良い。
また、部分円筒体のコア8における外周壁の円弧面(外円弧面と記す)8bの曲率半径は内円弧面8aの曲率半径より大きくなっているが、外円弧面8bの中心軸は回転子の回転中心軸Oと一致している。
また、コイル7は、占積率を高めるため平角銅線を所定回巻回して作製されており、その形状は、軸方向に延在する一対の直線部7a,7bと、一対の直線部7a,7bの両端を連結する円弧部とでなるレーストラック形状である。コイルの直線部7a,7bはトルク発生に寄与するが両端の円弧部はトルク発生に寄与しないのでできるだけ小さい方が好ましい。
また、コイル7は、永久磁石6と協働して、回転子である永久磁石6を、回転中心軸Oの回りに回動駆動させる。
本実施の形態では、コイル7は平角銅線で作製されているが、一般的な丸線の銅線で作製しても良い。
また、ベース5は、コア8の外円弧面8bの曲率半径と同等の曲率半径を有する円弧面を内周面9aとする凹部9が、上面に形成されている。
また、一対の軸受4が、その軸心を凹部9の内周面9aの中心軸に一致させて、凹部9を挟んで相対するようにベース5に装着されている。
そして、ベース5の凹部9に、コイル7を配設したコア8が、その外円弧面8bを凹部の内周面9aに接して嵌着されている。
本実施の形態では、ベース5はアルミニウムで作製されているが、良熱伝導体であれば、例えば、銅のようなその他の材料であっても良い。
本実施の形態では、軸受4には、ころがり玉軸受を用いているが、アンギュラ玉軸受等のその他の軸受であっても良い。
本実施の形態では、図3に示すように、永久磁石6は、回転子の回転中心軸Oと溝10の底部の中点Cとを結ぶ面で分割された、第1の永久磁石61と第2の永久磁石62とで形成されている。第1の永久磁石61と第2の永久磁石62とは、共に一体物であり、分割面で接合されている。
図3では、図面左側が第1の永久磁石61であり図面右側が第2の永久磁石62であるが、この逆であっても良い。
本実施の形態では、第1の永久磁石61と第2の永久磁石62とは、共に一体物であるが、図4に示すように、永久磁石6のシャフト取付面6cと平行な面で、複数に分割されていても良い。
このようにすると、コイル電流による磁束の変化で発生する磁石渦電流損を、さらに低減することができ、永久磁石の温度上昇が抑制されるので、温度上昇による永久磁石の減磁等の特性劣化を防止する効果が向上する。
回転子である永久磁石6は、例えば、母材より、ワイヤカットで第1の永久磁石61及び第2の永久磁石62を切り出し、第1の永久磁石61と第2の永久磁石62とを接着剤等で接着して作製する。
次に、回転子である永久磁石6における、反射ミラー搭載面6aに反射ミラー2を接着剤で接合し、シャフト取付面6cにシャフト3を接着剤で接合し、ガルバノスキャナ100の可動部を作製する。
次に、コイル7の直線部7a,7bの長さ方向を、軸方方向と平行にして、コア8の内円弧面8aに接するとともに、内円弧面8aに沿って湾曲させ、接着剤等を用いてコイル7をコア8に固着して、コア8とコイル7とでなる固定子を作製する。
次に、シャフト3が挿入された軸受4をベース5に装着し、回転子である永久磁石6が回転中心軸Oの回りに回動自在な状態で取り付けられ、ガルバノスキャナ100が作製される。
なお、永久磁石6の周壁円弧面6bとコイル7との間のギャップは、0.5mm程度にしている。
図3に示すように、本実施の形態のガルバノスキャナ100では、反射ミラー2を搭載した永久磁石6の磁化方向が、第1の永久磁石61では、矢印1Aで示す回転中心軸Oからコイル7の一方の直線部7aにおける周方向の中点の方向であり、第2の永久磁石62では、矢印1Bで示すコイル7の他方の直線部7bにおける周方向の中点から回転中心軸Oの方向である。
この磁気回路Mは、永久磁石6の磁束が、第1の永久磁石61→コイル7の一方の直線部7a→コア8→コイル7の他方の直線部7b→第2の永久磁石62→第1の永久磁石61の順に流れて周回している。
コイル7の両直線部7a,7bともに、その長さ方向が回転中心軸Oと平行な方向であるので、磁束は、導線にほぼ直交するようにコイル7の各直線部7a,7bと交差する。
すなわち、このローレンツ力が駆動トルクとして作用し、回転子が回転中心軸Oの回りに回動する。また、回転子の回転中心軸Oの回りの回動方向は、コイル7に流す電流の向きを変えることで、変えることができる。
図3に示すように、本実施の形態のガルバノスキャナ100では、回転中心軸Oとコイル7の各直線部7a,7bの内側端とを結んだ線分でなす角を、コイル中心孔角βとし、回転中心軸Oと溝10の開口部とを結んだ線分でなす角を、溝開口角αとしている。
ここで、横断面模式図とは回転中心軸が直交する平面における断面の模式図である。
図5に示すガルバノスキャナ101は、永久磁石70に溝が形成されていない以外、本実施の形態のガルバノスキャナ100と同様であり、回転子が、反射ミラー2を水平に保つ位置からγ°回動しており、回動角γが、コイル中心孔角βの半分より大きい、γ>(β/2)の状態となっている。
図5では、回転子が周方向の左側に回動した場合であるが、回転子が周方向の右側に回動した場合でも、反対トルクを発生させない回転子の回動角γは、コイル中心孔角βの半分より小さい範囲γ<(β/2)である。
図6においても、ガルバノスキャナ100は、回転子が、反射ミラー2を水平に保つ位置からγ°回動しており、回動角γが、コイル中心孔角βの半分より大きいγ>(β/2)の状態となっている。しかし、第2の永久磁石62の一部とコイル7の一方の直線部7aとは、溝10を介して対向している。
すなわち、この溝10が磁気抵抗となり、磁束が、第1の永久磁石61→コイル7の一方の直線部7a→コア8→コイル7の一方の直線部7a→第2の永久磁石62→第1の永久磁石61の順に流れて小さく周回する、反対トルクを発生させる磁気回路M2が形成されない。
すなわち、本実施の形態のガルバノスキャナ100では、反対トルクを発生させない回転子の回動角γが、コイル中心孔角βの半分に溝開口角αの半分を足した値より小さい範囲γ<(β+α)/2であり、回転子の回動角γを大きくすることができる。
図6では、回転子が周方向の左側に回動した場合であるが、回転子が周方向の右側に回動した場合でも、反対トルクを発生させない回転子の回動角γは、コイル中心孔角βの半分に溝開口角αの半分を足した値より小さい範囲γ<(β+α)/2である。
まず、X軸方向用とY軸方向用との2つのガルバノスキャナ100が、レーザ加工機(図示せず)のレーザ光線の経路に配置される。
そして、ガルバノスキャナ100のそれぞれに設けられたロータリエンコーダ(図示せず)の出力に基づいて制御回路(図示せず)により反射ミラー2の回動角度が制御される。これにより、レーザ光線の反射方向が変えられ、レーザ光線の被加工物への入射位置が制御される。
また、コイル7に流す電流は、加速時は増加方向となり、減速時は減少方向となり、静止時はゼロとなるが、実際には、静止時間が短いため、連続加工時には、電流波形は正弦波に近い波形となる。
しかし、水冷装置によりベース5は冷却されているので、永久磁石6やコイル7からベース5に伝達された熱を吸熱し温度上昇を抑えている。
そして、損失が抑えられるので、永久磁石6やコイル7での発熱が抑えられ、エンコーダの動作温度範囲を逸脱したり、永久磁石6が熱減磁したりする不具合が未然に回避できる。
すなわち、永久磁石6やコイル7での発熱は、ベース5に伝達され、永久磁石6やコイル7の過度の温度上昇が抑えられる。これにより、永久磁石6やコイル7の温度を上昇させることなくコイル7に流す電流を増大でき、この面からもトルクを増大させ、トルクと慣性との比(トルク/慣性)を大きくでき、ガルバノスキャナの高加速度化が可能である。
図7は、本発明の実施の形態2に係わるガルバノスキャナの横断面模式図である。
図7に示すように、本実施の形態のガルバノスキャナ200は、回転子に、回転中心軸部に軸方向の貫通孔が形成された永久磁石20を用い、この孔に通しボルト12が設置されている以外、実施の形態1のガルバノスキャナ100と同様である。
本実施の形態でも、永久磁石20は、第1の永久磁石21と第2の永久磁石22とで、形成されている。
具体的には、シャフト3にねじ孔を形成するとともに、通しボルト12の突出部にねじ溝を形成し、シャフト3のねじ孔に通しボルト12の突出部のねじ溝を螺合して、シャフト3で永久磁石20をサンドイッチするとともに接着剤で接続を固定する。
本実施の形態でも、実施の形態1と同様に、永久磁石がシャフト取付面と平行な面で、複数に分割されていても良い。
図8は、本発明の実施の形態3に係わるガルバノスキャナの横断面模式図である。
図8に示すように、本実施の形態のガルバノスキャナ300は、回転子に、左右に2分割されていない一体物であり、矢印1Cで示すように、磁化方向が、回転子の回動方向であり且つ反射ミラー2の面と平行となっている永久磁石30を用いた以外、実施の形態100のガルバノスキャナと同様である。
しかし、永久磁石30の磁化方向が回転子の回動方向であり、磁束が永久磁石30とコイル7とコア8とを周回する実施の形態1と同様な磁気回路を形成するので、実施の形態1のガルバノスキャナ100と同様な効果を奏する。
それと、永久磁石30は、分割されておらず、且つ磁化方向が一方向であるので、作製が容易であり、コスト削減が可能である。
また、本実施の形態でも、実施の形態2と同様に、永久磁石の回転中心軸部に軸方向の貫通孔を形成し、この孔に通しボルトを設置しても良く、実施の形態2のガルバノスキャナ200と同様な効果を奏する。
図9は、本発明の実施の形態4に係わるガルバノスキャナの横断面模式図である。
図9に示すように、本実施の形態のガルバノスキャナ400は、回転子に、左右に2分割されていない一体物であり、矢印1Dで示すように、磁化方向が、回転子の回動方向であり且つ反射ミラー2側に凸となった円弧状となっている永久磁石40を用いた以外、実施の形態1のガルバノスキャナ100と同様である。
本実施の形態のガルバノスキャナ400は、永久磁石40の磁化方向が、矢印1Dで示すように、反射ミラー2側が凸となった円弧状であるので、磁化方向をコイル7の各直線部7a,7bにおける周方向の中点方向に合わせることができ、トルクの低下がない。
本実施の形態でも、実施の形態1と同様に、永久磁石がシャフト取付面と平行な面で、複数に分割されていても良い。
また、本実施の形態でも、実施の形態2と同様に、永久磁石の回転中心軸部に軸方向の貫通孔を形成し、この孔に通しボルトを設置しても良く、実施の形態2のガルバノスキャナ200と同様な効果を奏する。
6a 反射ミラー搭載面、6b 周壁円弧面、6c シャフト取付面、7 コイル、
7a 一方の直線部、7b 他方の直線部、8 コア、8a 内円弧面、
8b 外円弧面、9 凹部、9a 内周面、10 溝、12 通しボルト、
20 永久磁石、21 第1の永久磁石、22 第2の永久磁石、30 永久磁石、
40 永久磁石、61 第1の永久磁石、62 第2の永久磁石、
63 永久磁石セット、64 永久磁石、70 永久磁石、71 第1の永久磁石、
72 第2の永久磁石、100,101,200,300,400 ガルバノスキャナ。
Claims (7)
- 反射ミラーと、上記反射ミラーを搭載した回転子と、上記回転子に取付けられたシャフトと、上記回転子と所定のギャップを設けて配置された固定子と、上記固定子を保持するとともに、上記シャフトが挿入され且つ上記回転子を回動可能に保持する軸受を装着したベースとを備えたガルバノスキャナであって、
上記回転子が、部分円柱体の永久磁石で形成されており、
上記永久磁石が、その周壁円弧面の周方向の中心位置に軸方向へ延在する溝を形成し、且つ上記溝の反対側の面を反射ミラー搭載面とし、両端側の面をシャフト取付面としており、上記永久磁石の部分にある上記周壁円弧面の中心軸が、上記回転子の回転中心軸と一致しており、
上記固定子が、部分円筒体のコアと、上記コアの内円弧面に配設されたコイルとで形成されており、
上記コアが、上記内円弧面の曲率半径を、上記永久磁石の周壁円弧面の曲率半径より大きくし、且つ上記内円弧面の中心軸を上記回転中心軸と一致させており、
上記コイルが、軸方向に延在する、一方の直線部と他方の直線部と、上記一方の直線部と上記他方の直線部との両端を連結する円弧部とでなるレーストラック形状であるとともに周方向を円弧状に成形しており、且つ上記永久磁石の周壁円弧面と上記ギャップを設けて対向しているガルバノスキャナ。 - 上記永久磁石が、上記回転中心軸と上記溝の底部の中点とを結ぶ面で分割された、第1の永久磁石と第2の永久磁石とで形成されており、
上記第1の永久磁石の磁化方向が、上記回転中心軸から上記コイルの一方の直線部における周方向の中点の方向であり、上記第2の永久磁石の磁化方向が、上記コイルの他方の直線部における周方向の中点から上記回転中心軸の方向であることを特徴とする請求項1に記載のガルバノスキャナ。 - 上記永久磁石が、上記回転中心軸と上記溝の底部の中点とを結ぶ面で分割されていない一体物であり、上記永久磁石の磁化方向が、上記回転子の回動方向であり且つ上記反射ミラーの面と平行となっていることを特徴とする請求項1に記載のガルバノスキャナ。
- 上記永久磁石が、上記回転中心軸と上記溝の底部の中点とを結ぶ面で分割されていない一体物であり、上記永久磁石の磁化方向が、上記回転子の回動方向であり且つ上記反射ミラー側に凸となった円弧状となっていることを特徴とする請求項1に記載のガルバノスキャナ。
- 上記回転子が上記反射ミラーを水平に保つ位置から回動する回動角γを、上記回転中心軸と上記コイルの各直線部の内側端とを結んだ線分でなす角であるコイル中心孔角βと上記回転中心軸と上記溝の開口部とを結んだ線分でなす角である溝開口角αとを足した値の半分である(β+α)/2より小さくしていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガルバノスキャナ。
- 上記永久磁石が、回転中心軸部に軸方向の孔を形成しており、上記孔に通しボルトを設置していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガルバノスキャナ。
- 上記永久磁石が、上記シャフト取付面と平行な面で、複数に分割されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のガルバノスキャナ。
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