JP5872129B1 - シール材及びその硬化物 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、透湿度が低く、さらに弾性率が適度に低い封止層や、厚みの薄い封止層を形成可能なシール材を提供することにある。上記課題を解決するため、本願発明はラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ有し、分子量が50以上1000以下であり、23℃で液状である重合性モノマー(B)と、5員環または6員環を構成する酸無水物基及びラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ含む酸無水物誘導体(C)と、熱ラジカル重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤の少なくとも一方を含むラジカル重合開始剤(D)と、を含む、シール材を提供する。

Description

本発明は、シール材及びその硬化物に関する。
有機EL(Electro−Luminescence)素子は、消費電力が少ないことから、ディスプレイや照明装置などに用いられつつある。有機EL素子は、大気中の水分や酸素によって劣化しやすいことから、各種シール部材で封止されて使用される。
有機ELデバイスは、例えば基板と、当該基板上に配置された有機EL素子と、基板と対になる封止基板とを含む構造体でありうる。このような構造体の有機EL素子を封止する方法の一例として、封止基板と基板との間、及び有機EL素子と封止基板との間に、シール材を塗布し、これを硬化させる方法(面封止法)が挙げられる。
そして、シール材の硬化物からなる封止層の透湿度を低減させるために、シール材に吸湿性フィラーを添加することが検討されている。具体的には、酸化カルシウム粒子を含むシール材(特許文献1〜3)や;多孔質シリカ粒子を含むシール材(特許文献4)などが提案されている。
また、水分捕捉剤として、有機金属化合物も知られており、これを含む透明フィルム等も提案されている(特許文献5〜7)。さらに、有機金属化合物及び粉末状無機酸化物を水分捕捉剤としてホットメルト型部材等に添加することも提案されている(特許文献8)。
一方、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂と反応する2官能モノマーとして、ラジカル重合可能な官能基と酸無水物基とを分子内に含む化合物が知られている(非特許文献1)。また、酸無水物基及び酸基を一分子内に有する化合物を、硬化性樹脂製造用組成物に添加することも、従来知られている(特許文献9)。
国際公開第2010/084939号公報 特開2005−122910号公報 特開2007−184279号公報 特開2007−284472号公報 特開2005−298598号公報 特開2011−026521号公報 特開2012−006991号公報 国際公開第2007/123039号公報 特表2010−523787号公報
A Reworkable Photothermal Dual-curing System (Chem. Lett. 2013, 42, 1056-1058)
特許文献1〜8のように、封止層の透湿度を低減させるためには、封止層に吸湿性のフィラーや有機金属化合物等を添加することが一見有効と考えられる。しかしながら、吸湿性フィラーや有機金属化合物を添加した場合、シール材の硬化物の透明性が損なわれたり、シール材の粘度が高くなり、塗工時の濡れ広がり性が低下するなど、封止材料としての適用範囲が制限されてしまうことがあった。また、各種デバイスの用途によっては、封止層の薄膜化が求められることがあるが、従来のシール材は、薄く塗布することが難しく、このような要求に応えることも難しかった。
また、樹脂の架橋密度を高めて、封止層の透湿度を低減させることも検討されている。しかし、樹脂の架橋密度を高めると、シール材の硬化時の収縮が大きくなる。その結果、当該シール材の硬化物からなる封止層を含む装置の基板や封止基板に、歪みが発生しやすくなるとの問題があった。また、封止層の弾性率が高まるため、外部からの応力歪を封止層が吸収できず、被封止物(例えば有機EL素子)を十分に保護できないとの問題もあった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、透湿度が低く、薄い封止層の形成にも対応可能であり、さらに弾性率が適度に低い封止層を形成可能なシール材を提供する。
すなわち本発明の第1は、以下に示すシール材やこれから得られるシート状シール材に関する。
[1]ラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ有し、分子量が50以上1000以下であり、23℃で液状である重合性モノマー(B)と、5員環または6員環を構成する酸無水物基及びラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ含む酸無水物誘導体(C)と、熱ラジカル重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤の少なくとも一方を含むラジカル重合開始剤(D)と、を含む、シール材。
[2]ラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ有し、数平均分子量が5000以上70000以下である重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)をさらに含む、[1]に記載のシール材。
[3]E型粘度計により25℃、1.0rpmで測定される粘度が5mPa・s以上20000mPa・s以下である、[1]または[2]に記載のシール材。
[4]前記重合性モノマー(B)及び前記酸無水物誘導体(C)が有する前記ラジカル重合可能な官能基が、それぞれ独立に、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基である、[1]〜[3]のいずれかに記載のシール材。
[5]前記重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)が有する前記ラジカル重合可能な官能基が、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基である、[2]〜[4]のいずれかに記載のシール材。
[6]前記酸無水物誘導体(C)が、ラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ有するヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)である、[1]〜[5]のいずれかに記載のシール材。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載のシール材から得られるシート状シール材。
本発明の第2は、以下に示すシール材の硬化物に関する。
[8]上記[1]〜[6]のいずれかに記載のシール材の硬化物。
[9]弾性率が0.1MPa以上100MPa以下である、[2]〜[6]のいずれかに記載のシール材の硬化物。
[10]波長400nmにおける平行光線透過率が90%以上である、[8]に記載のシール材の硬化物。
[11]波長400nmにおける平行光線透過率が90%以上である、[9]に記載のシール材の硬化物。
[12]ラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ有し、数平均分子量5000以上70000以下である重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)と、ラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ有するヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)と、熱ラジカル重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤の少なくとも一方を含むラジカル重合開始剤(D)と、を含む、シール材。
本発明のシール材によれば、透湿度が低く、かつ弾性率が適度に低い硬化物が得られる。また、シール材の粘度を低くすることができるため、シール材の硬化物(封止層)を薄膜化することも可能である。
図1A〜図1Cは、Ca法による硬化物の透湿度の測定用サンプルの作製手順を示す模式図である。 図2Aは、有機ELデバイスの一態様を示す概略断面図であり、図2Bは、有機ELデバイスの他の態様を示す概略断面図である。 図3A〜図3Cは、図2Aの有機ELデバイスの製造プロセスの一例を示す模式図である。 図4Aは有機ELデバイスの他の態様を示す概略断面図であり、図4Bは、図4Aの有機ELデバイスの封止基板を外した場合の上面図である。
1.シール材について
本発明のシール材は、有機ELデバイス等、各種デバイスの封止層形成に用いられる組成物である。シール材の組成は、その目的に応じて適宜選択される。例えば、厚みの薄い封止層を形成する場合等には、重合性モノマー(B)、酸無水物誘導体(C)、及びラジカル重合開始剤(D)を含むシール材とする。このとき、シール材には、必要に応じて重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)を含んでもよい。一方、弾性率の低い封止層を形成する場合等には、重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)、酸無水物誘導体(C)、及びラジカル重合開始剤(D)を含むシール材とする。このとき、必要に応じて、重合性モノマー(B)を含んでもよい。
従来、封止層の吸湿性を高めるため、シール材に吸湿性フィラー等を添加することが、検討されている。しかしながら、シール材が吸湿性フィラー等を含むと、シール材の硬化物の透明性が損なわれたり、シール材の塗工性が低くなり、十分に被封止物を覆うことが難しかった。また、シール材がフィラー等を含むと、シール材の粘度が高くなり、封止層を薄膜化することが難しくなるとの問題もあった。また、吸湿性フィラーの添加のみによって硬化物の透湿度を十分に低減することも難しかった。一方、シール材の硬化物の透湿度を低減するため、樹脂の架橋密度を高めることも検討されているが、この方法ではシール材の硬化収縮が大きくなり、シール材の硬化物と積層される基板が歪むことがあった。さらに、硬化物の弾性率が高まるため、当該硬化物が外部からの応力歪を十分に吸収できず、被封止物を十分に保護できない等の問題もあった。
これに対し、本発明のシール材の硬化物では、重合性官能基を有する酸無水物誘導体(C)の酸無水物基によって水分を捕捉する。ここで、ヘキサヒドロ無水フタル酸等、一般的な酸無水物であっても、侵入してきた水を捕捉可能であり、シール材に添加することが有効であると考えられる。しかしながら、一般的な酸無水物は、シール材中の他の成分と重合反応しない。そのため、シール材の硬化後にブリードアウトしやすく、水分捕捉性能が十分に発揮され難い。また、これらの化合物がブリードアウトすると、被封止物を汚染するおそれもある。
これに対し、本発明のシール材が含む酸無水物誘導体(C)は、ラジカル重合反応可能な官能基を有し、重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)や重合性モノマー(B)等と重合反応する。そのため、硬化物に、酸無水物誘導体(C)由来の構造(酸無水物基)が均一に存在する。つまり、本発明のシール材の硬化物では、水分を捕捉する成分(酸無水物誘導体(C))がブリードアウトせず、水分を効率よく捕捉可能である。
また、本発明のシール材では、重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)が酸無水物誘導体(C)と重合することで、硬化物の架橋密度が過度に高まり難い。その結果、シール材が硬化時に収縮し難くなり、シール材の硬化物と積層される基板等に反り等が生じ難い。またさらに、硬化物の弾性率が適度に低く、外部からの負荷等を吸収できるため、被封止物を外部からの応力歪み等から十分に保護できる。
また、本発明のシール材が重合性官能基含有ポリマー(A)を含まない、もしくはその含有量が十分に少ない場合には、シール材の粘度が低くなる。その結果、インクジェット法等によってシール材を塗布することが可能となり、得られる硬化物(封止層)の厚みを薄くすることができる。
以下、本発明のシール材が含み得る、重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)、重合性モノマー(B)、酸無水物誘導体(C)、及びラジカル重合開始剤(D)、及びその他の成分について説明する。
1−1.重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)
重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)は、ラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ有し、かつ数平均分子量が5000以上70000以下であるオレフィン系のポリマーである。
重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)の数平均分子量は5000以上70000以下であり、好ましくは10000〜40000である。重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)の数平均分子量が70000以下であると、シール材の流動性が十分に高まり、シール材によって各種部材を封止しやすくなる。一方、重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)の数平均分子量が5000以上であると、シール材の硬化物の弾性率が低くなりやすい。
ここで、重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)1分子当たりに含まれる、ラジカル重合可能な官能基の数は1以上であればよく、所望のシール材の硬化物の弾性率等に基づいて適宜設定される。重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)に含まれるラジカル重合可能な官能基の数が多くなると、シール材の硬化物の弾性率が高まりやすい。
重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)に含まれるラジカル重合可能な官能基は、エチレン性不飽和結合を有する官能基でありうる。具体的には、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基等であり、反応性等の観点から、好ましくは(メタ)アクリル基等である。重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)にラジカル重合可能な官能基が複数含まれる場合、これらは同じ種類の官能基でもよく、異なる種類の官能基でもよい。
重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)は、「ポリオレフィン系重合体」と、「ラジカル重合可能な官能基を有する化合物」とを共重合、もしくは「ポリオレフィン系重合体」を「ラジカル重合可能な官能基を有する化合物」で変性した化合物でありうる。ラジカル重合可能な官能基は、ポリオレフィン系重合体に直接結合していてもよく、2価の連結基を介してポリオレフィン系重合体に結合していてもよい。ラジカル重合可能な官能基を連結する連結基の種類は特に制限されないが、置換基を有していてもよい炭素数が4〜12の直鎖または分岐鎖状のアルキレン基;置換基を有していてもよい炭素数4〜12のシクロアルキレン基;等が挙げられる。また連結基には、−COO−、−O−等が一部に含まれてもよい。
また、連結基に含まれる置換基としては、例えばアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシアルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシアルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、アリールチオアルキルチオ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
オレフィン系ポリマーに「連結基を介して結合するラジカル重合可能な官能基」の例としては、例えば下記一般式(Y2)で表される基が挙げられる。
Figure 0005872129
上記一般式(Y2)中、R13は水素原子またはメチル基を表す。上記一般式中、R14は炭素数2〜12、好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基を表す。アルキレン基は、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、またはシクロアルキレン基のいずれかを表す。また、一般式(Y2)において、qは1以上23以下の数を表す。重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)の一分子内には、上記一般式(Y2)で表される基が一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。
一方、重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)の主骨格であるポリオレフィン系重合体は、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンの重合体でありうる。当該ポリオレフィン系重合体は、1種のオレフィンの単独重合体であってもよく、2種以上のオレフィンのランダム共重合体やブロック共重合体であってもよい。
ポリオレフィン系重合体を得るための炭素原子数2〜20のオレフィンの例には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素原子数2〜20の直鎖状または分岐状のα−オレフィン;シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどの炭素原子数3〜20の環状オレフィンが含まれる。
また、ポリオレフィン系重合体を得るための炭素原子数2〜20のオレフィンには、ビニルシクロヘキサンや、ジエン、ポリエン等も含まれる。ジエンまたはポリエンの例には、炭素原子数が4〜20であり、かつ2個以上の二重結合を有する環状または鎖状の化合物が含まれる。具体的には、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン等が含まれる。
ポリオレフィン系重合体の具体例には、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン等のポリエチレン;ポリプロピレン;ポリ−1−ブテン;ポリメチルブテン;エチレン・α−オレフィン共重合体;エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマー、イソプレンゴム等のオレフィン系エラストマー;等が含まれる。ポリオレフィン系重合体は、好ましくはオレフィン系エラストマーであり、特に好ましくはイソプレンゴムである。
また、上記ポリオレフィン系重合体と反応させる「ラジカル重合可能な官能基を有する化合物」の一例には、後述の重合性モノマー(B)やその誘導体等が含まれる。当該「ラジカル重合可能な官能基を有する化合物」を、公知の手法で、ポリオレフィン系重合体と反応させることで、重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)が得られる。
1−2.重合性モノマー(B)
重合性モノマー(B)は、ラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ有し、分子量が50以上1000以下であり、23℃で液状である化合物である。シール材に重合性モノマー(B)が含まれると、シール材の粘度が低くなりやすく、さらにシール材の硬化物の架橋密度が高まる。なお、重合性モノマー(B)には、後述の酸無水物誘導体(C)に相当するものは含まないものとする。
重合性モノマー(B)の1分子当たりに含まれるラジカル重合可能な官能基の数は1以上であればよく、好ましくは1〜16、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3である。重合性モノマー(B)に含まれるラジカル重合可能な官能基は、ビニル基、(メタ)アクリル基、アリル基、ビニルエーテル基等でありうるが、好ましくは(メタ)アクリル基である。重合性モノマー(B)にラジカル重合可能な官能基が複数含まれる場合は、同じ種類の官能基でも異なる種類の官能基でもよい。
一方、重合性モノマー(B)の分子量は50〜1000であり、好ましくは50〜500である。重合性モノマー(B)の分子量が当該範囲であると、シール材の粘度が十分に調整されやすい。
重合性モノマー(B)の例には、1分子内に(メタ)アクリル基を1個有するモノ(メタ)アクリルモノマー、及び1分子内に(メタ)アクリル基を2個有するジ(メタ)アクリルモノマーが含まれる。
1分子内に(メタ)アクリル基を1個有するモノ(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば下記一般式(1B)で表されるモノマーが挙げられる。
Figure 0005872129
一般式(1B)におけるRは、水素原子またはメチル基を表す。また、一般式(1B)における、Rは水素原子、または炭素数が4〜18の炭化水素基を表す。炭素数が4〜18の炭化水素基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、または脂環式炭化水素を表す。
上記一般式(1B)で表されるモノ(メタ)アクリルモノマーの具体例には、(メタ)アクリル酸、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、i−ステアリル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート等が含まれる。本発明のシール材には、これらが1種のみ含まれてもよく、また2種以上が含まれてもよい。
1分子内に(メタ)アクリル基を2個有するジ(メタ)アクリルモノマーは、下記一般式(2B)で表されるモノマーでありうる。
Figure 0005872129
一般式(2B)におけるR及びR10は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表す。また、一般式(2B)中、R11は炭素数4〜12の炭化水素基を表す。炭素数4〜12の炭化水素基は、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、またはシクロアルキレン基を表す。
上記一般式(2B)で表されるジ(メタ)アクリルモノマーの具体例には、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等が含まれる。シール材には、これらが1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
シール材に、モノ(メタ)アクリルモノマーとジ(メタ)アクリルモノマーとが含まれる場合、これらの含有比率は任意であるが、ジ(メタ)アクリルモノマーの含有比率が多くなると、高温高湿環境下における密着信頼性が高まる。
また、重合性モノマー(B)の例には、1分子内にビニル基を1個以上有するモノマー、1分子内にアリル基を1個以上有するモノマー、1分子内に1個以上ビニルエーテル基を有するモノマー、1分子内に(メタ)アクリロイル基を有するビニルエーテル化合物も含まれる。
1分子内にビニル基を1個以上有するモノマーの例には、スチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン等の芳香族系ビニル化合物;1−ヘプテン、3,3−ジメチル―1−ペンテン、4,4−ジメチル―1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、3−メチル―1−ヘキセン、4−メチル―1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、2,2−ジメチル−1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル―1−ヘキセン、1−ノネン、3,5,5−トリメチル―1−ヘキセン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキセデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ドコセン等の脂肪族系ビニル化合物;酢酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、アジピン酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル化合物;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等の窒素原子含有ビニル化合物;が含まれる。
1分子内にアリル基を1個以上有するモノマーの例には、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等が含まれる。
1分子内にビニルエーテル基を1個以上有するモノマーの例には、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル等が含まれる。
1分子内に(メタ)アクリロイル基を有するビニルエーテル化合物の例には、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルや、メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等が含まれる。
1−3.酸無水物誘導体(C)
酸無水物誘導体(C)は、ラジカル重合可能な官能基を1分子当たり少なくとも1つと、5員環または6員環を構成する酸無水物基と、を有する化合物であり、例えば各種酸無水物に、ラジカル重合可能な官能基が結合した化合物でありうる。酸無水物誘導体(C)の1分子当たりに含まれるラジカル重合可能な官能基の数は1以上であればよいが、好ましくは1である。酸無水物誘導体(C)にラジカル重合可能な官能基が含まれると、シール材の硬化時に、前述の重合性モノマー(B)や、重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)と酸無水物誘導体(C)とが重合し、酸無水物誘導体(C)のブリードアウトが抑制される。
酸無水物誘導体(C)に含まれるラジカル重合可能な官能基は、エチレン性不飽和結合を有する官能基でありうる。具体的には、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基等であり、反応性等の観点から、好ましくは(メタ)アクリル基等である。ラジカル重合可能な官能基は、酸無水物基を含む主骨格に直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基は、前述の重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)のラジカル重合可能な官能基とポリオレフィン系重合体とを連結する連結基と同様でありうる。酸無水物誘導体(C)にラジカル重合可能な官能基が複数含まれる場合は、同じ種類の官能基でもよく、異なる種類の官能基でもよい。
酸無水物誘導体(C)は、例えば下記一般式(1C)で表される化合物でありうる。
Figure 0005872129
上記一般式(1C)において、Xは炭素数2〜14である有機基(ただし、酸無水物基どうしの間に含まれる炭素の数は、2または3である)を表し、Rは、ラジカル重合可能な官能基を表し、Yは単結合または連結基を表す。またnは1以上12以下の数を表す。
上記一般式(1C)におけるXは、例えば、脂肪族基;単環式脂肪族基;縮合多環式脂肪族基;単環式芳香族基;縮合多環式芳香族基;環式脂肪族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式脂肪族基;芳香族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基でありうる。
上記Xは、より具体的には、各種酸無水物由来の構造であり、例えば芳香族ジカルボン酸無水物、脂環族ジカルボン酸無水物由来の基でありうる。芳香族ジカルボン酸無水物の例には、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸無水物、アントラセンジカルボン酸無水物等が含まれる。一方、脂環族ジカルボン酸無水物の例には、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、(1α,4α)‐ノルボルナン‐2α,3α‐ジカルボン酸無水物等が含まれる。
また、Xは置換基を有していてもよい。置換基は、炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が1〜6のアルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン等であり得る。
一方、上記一般式(1C)におけるRは、具体的には、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基でありでありうる。
また、上記一般式(1C)におけるYが連結基である場合、Yは炭素数1〜10のアルキレン基、不飽和基を1〜3個含む炭素数が2〜10のアルケニレン基、またはフェニレン基から選ばれる2価の連結基でありうる。当該連結基の一部の水素がハロゲンに置換されていてもよい。
上記一般式(1C)で表される酸無水物誘導体は、好ましくはヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)またはフタル酸無水物誘導体(C’’)であり、特に好ましくはヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)である。
ヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体の具体例として、下記一般式(2C)で表される化合物が挙げられる。当該化合物の分子量は296〜5000であることが好ましい。
Figure 0005872129
上記一般式(2C)において、nは1以上4以下の数を表す。また、上記一般式(2C)において、R11はそれぞれ独立にラジカル重合可能な官能基を1つ以上含む基を表す。R11は、好ましくは下記一般式(X1)で表される基、ビニル基を含む基、アリル基を含む基、もしくはビニルエーテル基を含む基である。
Figure 0005872129
上記一般式(X1)中、Rは、水素原子またはメチル基である。上記一般式中、Rは、炭素数2〜12、好ましくは炭素数2〜6の直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、またはシクロアルキレン基を表す。また、一般式(X1)において、pは1以上23以下の数を表す。
また、上記一般式(2C)においてR11に相当する「ビニル基を含む基」の例には、3−ブテン−1−イル−1,3−ジオキソオクタヒドロイソベンゾフラン−5−カルボキシレート基、5−ヘキシル−1−イル−1,3−ジオキソオクタヒドロイソベンゾフラン−5−カルボキシレート基、7−オクテン−1−イル−1,3−ジオキソオクタヒドロイソベンゾフラン−5−カルボキシレート基が含まれる。
さらに、上記一般式(2C)において、R11に相当する「アリル基を含む基」の例には、アリル−1,3−ジオキソオクタヒドロイソベンゾフラン−5−カルボキシレート基、2−(アリルオキシ)エチル−1,3−ジオキソオクタヒドロイソベンゾフラン−5−カルボキシレート基が含まれる。
上記一般式(2C)において、R11に相当する「ビニルエーテル基を含む基」の例には、2−(ビニルオキシ)エチル−1,3−ジオキソオクタヒドロイソベンゾフラン−5−カルボキシレート基、2−(2−(ビニルオキシ)エトキシ)エチル−1,3−ジオキソオクタヒドロイソベンゾフラン−5−カルボキシレート基、4−(ビニルオキシ)ブチル−1,3−ジオキソオクタヒドロイソベンゾフラン−5−カルボキシレート基が含まれる。
上記一般式(2C)で表される化合物は、置換基を有していてもよい。置換基は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば炭素数が1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基等でありうる。
酸無水物誘導体(C)の特に好ましい例は、下記一般式(3C)で表される化合物である。
Figure 0005872129
上記一般式(3C)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。
1−4.ラジカル重合開始剤(D)
ラジカル重合開始剤(D)は、加熱もしくは光照射によって、上記重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)、酸無水物誘導体(C)、または重合性モノマー(B)をラジカル重合させるための化合物である。ラジカル重合開始剤(D)は、光ラジカル重合開始剤であってもよく、熱ラジカル重合開始剤であってもよい。シール材に含まれるラジカル重合開始剤(D)の種類は、シール材の硬化方法に応じて適宜選択され、シール材にはいずれか一方のみが含まれてもよく、両方が含まれてもよい。
光ラジカル重合開始剤は特に制限されず、公知の光ラジカル重合開始剤でありうる。光ラジカル重合開始剤の例には、アルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサトン系化合物、α−アシロキシムエステル系化合物、フェニルグリオキシレート系化合物、ベンジル系化合物、アゾ系化合物、ジフェニルスルフィド系化合物、有機色素系化合物、鉄−フタロシアニン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、アントラキノン系化合物等が含まれる。シール材には、これらが1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
光ラジカル重合開始剤は反応性等の観点から、アルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物であることが特に好ましい。
一方、熱ラジカル重合開始剤についても特に制限されず、公知の熱ラジカル重合開始剤でありうる。熱ラジカル重合開始剤は、例えば公知の有機過酸化物でありうる。熱ラジカル重合開始剤の例には、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、t−アミルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチル−ジパーオキシイソフタレート、ジクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等が含まれる。熱ラジカル重合開始剤は、シール材に1種のみ含まれてもよく、また2種以上含まれてもよい。
また、シール材には、ラジカル重合開始剤と併せて、ラジカル連鎖移動剤が含まれてもよい。ラジカル連鎖移動剤が含まれると、シール材の硬化性がさらに高まる。ラジカル連鎖移動剤の例には、アルファメチルスチレンダイマー類、メルカプト基含有チオール類、ジフェニルジスルフィド等のジスルフィド類、末端不飽和メタクリル酸エステルn量体類、ポリフィリンコバルト錯体類等が含まれる。ラジカル連鎖移動剤は、シール材に1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
ラジカル連鎖移動剤の含有量は、ラジカル重合性官能基を有する化合物の総量100質量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5重量部である。
1−5.その他の成分
シール材には、本発明の効果を大きくは損なわない範囲において、その他の樹脂が含まれてもよい。その他の樹脂は、例えば熱硬化性樹脂等でありうる。熱硬化性樹脂の例には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ユリア樹脂、ポリエステル樹脂等が含まれる。熱硬化性樹脂は、シール材に1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
シール材には、充填材が含まれてもよい。シール材に含まれる充填材の例には、ガラスビーズ、スチレン系ポリマー粒子、メタクリレート系ポリマー粒子、エチレン系ポリマー粒子、プロピレン系ポリマー粒子等が含まれる。充填材は、シール材に1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
シール材には、改質剤や安定剤が含まれてもよい。改質剤の具体例には、老化防止剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤等が含まれる。これらの改質剤は、一種単独または二種以上を組み合わせて用いることができる。一方、安定剤の具体例には、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤等が含まれる。これらの改質剤や安定剤は、それぞれシール材に1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
シール材には酸化防止剤が含まれてもよい。酸化防止剤は、プラズマ照射や日光照射により発生するラジカルを失活させるもの(Hindered Amine Light Stabilizer, HALS)や、過酸化物を分解するものなどをいう。酸化防止剤は、シール材の硬化物の変色を防ぐ機能を有する。酸化防止剤は、ヒンダードアミン、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などでありうる。
ヒンダードアミンの例には、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、2,4−ジクロロ−6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジンと4,4’−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピヘリジン)の重縮合生成物、ビス[1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル]セバケートが含まれる。
フェノール系酸化防止剤の例には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのモノフェノール類、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のビスフェノール類、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンなどの高分子型フェノール類が含まれる。
リン系酸化防止剤は、ホスファイト類から選ばれる酸化防止剤及びオキサホスファフェナントレンオキサイド類から選ばれる着色防止剤が好ましく用いられる。
特に、紫外線への耐性を付与するという点では、Tinuvin123(ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバシン酸)、Tinuvin765(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバシン酸とメチル 1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバシン酸との混合物)、Hostavin PR25(ジメチル 4−メトキシベンジル Idenemalonate)、Tinuvin 312 または Hostavin vsu(エタンジアミド N−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル))、CHIMASSORB 119 FL(N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物が好ましい。
本発明のシール材には、必要に応じて溶剤が含まれてもよい。溶剤は、各成分を均一に分散または溶解させる機能を有する。溶剤の例にはトルエン、キシレン等の芳香族溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;エーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコ−ルモノアルキルエーテル等のエーテル類;N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等が含まれる。
1−6.シール材の組成
前述のように、本発明のシール材の組成は、シール材の組成に応じて適宜選択される。例えば、シール材をインクジェットから吐出して使用する場合には、シール材の粘度が低いことが好ましい。したがって、前述の重合性モノマー(B)、酸無水物誘導体(C)、及びラジカル重合開始剤(D)を少なくとも含む組成とすることが好ましい。
このとき、シール材の総量に対して、重合性モノマー(B)を60〜96質量%含むことが好ましく、より好ましくは70〜89質量%である。重合性モノマー(B)の量が60質量%以上であると、シール材の硬化物が十分な強度を有する。一方、重合性モノマー(B)の量が90質量%以下であると、相対的に酸無水物誘導体(C)が十分に含まれることとなり、シール材の硬化物の透湿度が低くなる。
また、シール材の総量に対して酸無水物誘導体(C)を3〜39質量%含むことが好ましく、より好ましくは10〜29質量%である。酸無水物誘導体の量が3質量%以上であると、シール材の硬化物の透湿度が十分に低くなる。
さらに、ラジカル重合開始剤(D)を、重合性モノマー(B)及び酸無水物誘導体(C)の合計質量100質量部に対して1〜25質量部含むことが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。ラジカル重合開始剤(D)の量が上記範囲であると、重合性モノマー(D)や酸無水物誘導体(C)が十分に硬化して、シール材の硬化物の弾性率が所望の範囲に収まりやすい。
なお、当該シール材には、必要に応じて重合性官能基含有ポリマー(A)をシール材の総量に対して1〜10質量%含んでもよい。
一方、シール材の粘度が高くてもよい場合や、シール材の硬化物の弾性率を低くする場合には、重合性官能基含有ポリマー(A)、酸無水物誘導体(C)、及びラジカル重合開始剤(D)を含む組成としてもよい。このとき、必要に応じて、重合性モノマー(B)を含んでもよい。
このとき、重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)を、シール材の総量(質量)に対して30〜90質量%含むことが好ましく、より好ましくは30〜60質量%である。重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)の量が30質量%以上であると、シール材の硬化物の弾性率が、所望の範囲に収まりやすい。一方、重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)の量が90質量%以下であると、相対的に酸無水物誘導体(C)が十分に含まれることとなり、シール材の硬化物の透湿度が低くなる。
また、重合性モノマー(B)の量は、重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)、酸無水物誘導体(C)、及び重合性モノマー(B)の合計質量に対して65質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5〜50質量%である。重合性モノマー(B)の量が上記範囲であると、シール材の弾性率を比較的低くすることができる。
さらに、酸無水物誘導体(C)を、シール材の総量(質量)に対して3〜40質量%含むことが好ましい。酸無水物誘導体(C)の量が3質量%以上であると、シール材の硬化物の透湿度が十分に低くなる。一方、シール材中の酸無水物誘導体(C)の量が40質量%以下であると、相対的に重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)が十分に含まれることとなり、シール材の弾性率が低くなる。
また、上記ラジカル重合開始剤(D)は、ラジカル重合性官能基を有する化合物の総量、つまり重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)、酸無水物誘導体(C)、及び重合性モノマー(B)の合計量100質量部に対して、2〜15質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜10質量部である。
1−7.シール材の物性
本発明のシール材の、E型粘度計により25℃、1.0rpmで測定される粘度は、5〜20000mPa・sであることが好ましい。シール材の粘度が上記範囲であると、シール材の塗工性(例えばスクリーン印刷性やインクジェット印刷性)が高まり、塗布が容易になる。シール材の粘度は、例えば東機産業製 RC−500のE型粘度計等で測定される。
シール材の塗布をスクリーン印刷やディスペンサー塗布で行う場合、本発明のシール材の、E型粘度計により25℃、1.0rpmで測定される粘度は、10〜20000mPa・sであることが好ましく、10〜5000mPa・sであることがより好ましい。
一方、シール材の塗布をインクジェット印刷で行う場合、本発明のシール材の、E型粘度計により25℃、1.0rpmで測定される粘度は、5〜1000mPa・sであることが好ましく、5〜100mPa・sであることがより好ましい。
また、シール材の含水率は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.06質量%以下であることがさらに好ましい。有機EL素子が配置された電気回路は、水分により劣化しやすいので、シール材の含水率をできるだけ低くすることが好ましい。
シール材の含水率は、試料サンプルを約0.1g計量し、カールフィッシャー水分計を用いて150℃に加熱し、その際に発生する水分量を測定することにより求めることができる(固体気化法)。
本発明のシール材は、光半導体用の封止層を形成するためのシール材として好ましく用いられる。光半導体とは、例えば電気を光に変換して発光する素子である。光半導体の具体的には、無機LED(Light Emitting Diode)素子、有機EL素子などが含まれ、好ましくは有機EL素子である。光半導体は、水分などにより劣化しやすいため、表面を封止する必要がある。
また、本発明のシール材によれば、水分などにより劣化しやすい成分(例えば色素等)を保護することもできる。本発明のシール材の硬化物は、透湿度が低い。したがって、シール材中に水分などにより劣化しやすい成分を添加しておけば、当該成分が水分と接触し難く、その劣化を抑制することができる。
本発明のシール材は、液状の状態で、被封止物を被覆し、これを硬化させて封止層としてもよい。液状の状態で被封止物を被覆する場合には、例えばスクリーン印刷、ディスペンサー塗布、インクジェット塗布などにより有機EL素子などの光半導体上に塗布し、塗布層を硬化して有機EL素子などの光半導体を面封止すればよい。また、本発明のシール材をフィルム状に成形した後、当該フィルムで被封止物を封止してもよい。フィルム状に成形した後、被封止物を封止する場合には、有機EL素子などの光半導体上にフィルム状のシール材をラミネートし、これを硬化させることで、有機EL素子などの光半導体を面封止する。
シール材の硬化方法は、ラジカル重合開始剤の種類等によって、適宜選択される。熱硬化タイプのシール材である場合、加熱によってシール材を硬化させる。加熱温度は23℃より高い温度であればよく、被封止物の耐熱温度や効率等を考慮して適宜設定される。
一方、光硬化タイプのシール材である場合、光照射によってシール材を硬化させる。照射する光の波長は、光ラジカル重合開始剤の種類等によって適宜選択され、例えば紫外光もしくは可視光等でありうる。照射する光の積算光量は一般的に100〜10000mJ/cm程度である。光照射後、さらに加熱を行ってもよい。
1−8.シール材の製造方法
本発明のシール材は、本発明の効果を損なわない限り、任意の方法で製造される。例えば、1)重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)、重合性モノマー(B)、酸無水物誘導体(C)、及び重合開始剤(D)等を準備する工程と、2)不活性ガス環境下で、各成分を30℃以下で混合する工程等を経て製造される。混合は、これらの成分をボールミルで分散する方法、フラスコに装入して攪拌する方法や、三本ロールで混練する方法が含まれる。
本発明のシール材をフィルム状に成形する場合には、例えば、液状のシール材を剥離基板に塗布し、塗膜を乾燥させ、剥離すればよい。シール材の塗布は、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布などの手法を用いて行えばよい。
1−9.シール材の硬化物について
本発明のシール材の硬化物の透湿度は、できるだけ低いことが好ましい。即ち、以下の方法で測定される、60℃90%RH下でのCa反応開始時間は、好ましくは24時間以上である。Ca反応開始時間が長いほど、硬化物の透湿度が低いことを意味する。
Ca法による硬化物の透湿度(Ca反応開始時間)は、以下の手順で測定することができる。図1は、Ca法による硬化物の透湿度の測定用サンプルの作製手順を示す模式図である。
1)サンプルの作製
図1Aに示されるように、アセトンに浸漬して、超音波洗浄を10分間行ったガラス基板2(大きさ:25×25mm、厚さ:0.7mm)を準備する。このガラス基板2上に、蒸着機(エイ・エル・エステクノロジー社製)を用いて、下記条件で、厚さ170nmの金属カルシウムの蒸着膜4を形成する。蒸着用マスクを使用し、金属カルシウムの蒸着膜4の端部からガラス基板2の端部までの長さLが4mmとなるように調整する。
(蒸着条件)
蒸着時の真空度:3.0×10−5Pa
製膜速度:1.2Å/秒
金属カルシウム原料:高純度化学製、グレイン
得られた金属カルシウムの蒸着膜付きガラス基板を、空気へ暴露せずにN雰囲気のグローブボックスに移動させる。次いで、図1Bに示されるように、別途用意したアセトン洗浄したガラス基板6(25×55mm、厚さ:2mm)に、本発明のシール材を、硬化後の厚みが100μmとなるように滴下した後、乾燥させて塗膜8を形成する。
さらに、図1Cに示されるように、シール材の塗膜付きガラス基板と、蒸着膜付きガラス基板とを貼り合わせて積層物とし、クリップで固定する。得られた積層物の厚みは、シール材の塗膜付きガラス基板と金属カルシウムの蒸着膜付きガラス基板との間に100μm厚のテフロン(登録商標)シートをスペーサーとして挟むこと等で調整することができる。金属カルシウムの蒸着膜4の端部から塗膜8の端部までの長さL’も4mmとする。
そして、熱硬化タイプのシール材の場合、積層物をオーブンにて100℃で30分間加熱してシール材を硬化させ、サンプルとする。光硬化タイプのシール材の場合、水銀ランプにて積層物に紫外線を3000mJ照射後、80℃で30分間加熱してシール材を硬化させ、サンプルとする。
2)Ca反応開始時間の測定
得られたサンプルを、恒温恒湿槽にて60℃90%RH下で保存する。そして、金属カルシウムの蒸着膜の端部が、金属光沢から透明に変化するまでの時間(Ca反応開始時間)を測定する。即ち、金属カルシウム(金属光沢)と水が反応すると、透明な水酸化カルシウムCa(OH)に変化する。Ca反応開始時間が長いほど、金属カルシウムと水の反応が起こりにくく、透湿度が低いことを意味する。
後述するように、有機ELデバイスでは、大気中の水分や酸素は、基板と封止基板との隙間から侵入しやすい。そのため、有機ELデバイスにおける封止層の透湿度は、Ca法のほうが、カップ法よりも実際の装置構成に近い評価セルで測定できるため、精度よく評価できる。一般的なカップ法で測定される透湿度は、主に有機ELデバイスの主面から侵入する方向(後述する図2Aの封止基板26から基板22へ向かう方向)の透湿度を評価するものであるのに対し;Ca法により測定される透湿度は、主に有機ELデバイスの側面から侵入する方向(後述する図2Aの封止基板26と基板22の隙間から有機EL素子の側面に向かう方向)の透湿度を評価するものである。このように、Ca法は、大気中の水分や酸素が侵入する方向である、有機ELデバイスの側面から侵入する方向の透湿度を評価できることから、有機ELデバイスの封止層の透湿度を精度よく評価できる。
ここで、本発明のシール材の硬化物の弾性率は、シール材の用途や組成に応じて適宜選択される。例えば、シール材が、前述の重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)を含む場合には、0.1MPa以上100MPa以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20MPaである。シール材の硬化物の弾性率が、100MPa以下であると、シール材の硬化物からなる層によって、被封止物が外部の応力歪等から保護される。シール材の硬化物の弾性率は、以下のように求められる。引張試験機に、試料をチャック間距離30mmで取り付け、開始荷重10N、引張速度30mm/分にてひずみを測定する。そして、縦軸に応力、横軸にひずみをとった応力ひずみ曲線の直線部の傾きより、弾性率が算出される。一方、シール材が、前述の重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)を含まない場合には、弾性率を10MPa〜10GPaとすることができる。
本発明のシール材の硬化物の波長400nmの平行光線の透過率は、90%以上であることが好ましく、より好ましくは95%以上である。硬化物の平行光線の透過率が90%以上であれば、シール材を各種光半導体の封止用の部材に適用できる。平行光線の透過率は、100μmのシール材の硬化物の平行光線の透過率であり、紫外可視分光光度計等で測定される。
2.有機ELデバイス
一般的に、有機ELデバイスは、基板上に配置された有機EL素子と、基板と対になる封止基板と、基板と封止基板との間に配置され、有機EL素子を覆う(面封止)する封止層とを含む。封止層の一部または全部を、前述のシール材の硬化物としうる。また、本発明のシール材の硬化物は、前述の通り透湿度が低いため、有機EL素子を完全に覆っていない場合や、本発明のシール材の硬化物と、有機EL素子との間に他の部材が介在している場合でも、有機EL素子を水分から保護しうる。さらに、封止基板を設けない構造の有機ELデバイスでも、本発明のシール材の硬化物は有機EL素子を水分から保護する封止材として使用できる。本発明のシール材の硬化物を、有機EL素子を水分から保護する封止材として用いる際、有機ELデバイスの構造は限定されない。有機ELデバイスは、有機ELディスプレイパネルや有機EL照明などでありうる。
図2Aは、有機ELデバイスの一態様を示す概略断面図である。本態様は、面封止層の全部を前述のシール材の硬化物とした例である。図2Aに示されるように、有機ELデバイス20は、基板22、有機EL素子24、および封止基板26がこの順に積層されている。基板22と封止基板26との間には面封止層28が配置されており、面封止層28は有機EL素子24の周囲を覆っている。このように、面封止層28は、有機EL素子24を面封止している。
基板22および封止基板26は、通常、ガラス基板または樹脂フィルムなどであり、基板22と封止基板26の少なくとも一方は、透明なガラス基板または透明な樹脂フィルムである。このような透明な樹脂フィルムの例には、ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂等が含まれる。
有機EL素子24がトップエミッション型である場合、有機EL素子24は、基板22側から反射画素電極層30(アルミニウムや銀などからなる)と、有機EL層32と、透明対向電極層34(ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム・スズ)やIZO(インジウム亜鉛酸化物)などからなる)とを含む。反射画素電極層30、有機EL層32および透明対向電極層34は、真空蒸着およびスパッタなどにより成膜されてもよい。
面封止層28は、本発明のシール材の硬化物からなるものとすることができる。本発明のシール材の硬化物からなる面封止層28の平行光線透過率は、前述の通り、好ましくは90%以上である。平行光線透過率が低すぎると、素子からの光の取り出し効率や、素子への光の吸収効率が低下しやすいからである。面封止層28の光線透過率の上限は、例えば99%程度としうる。
前述の通り、本発明のシール材は、粘度が比較的低い範囲に調整されているため、塗工性が良く、均一な膜厚の面封止層28を形成できる。また、本発明のシール材の硬化物は、特にCa法による透湿度が十分に低減されている。そのため、本発明のシール材の硬化物からなる面封止層28は、特に基板22と封止基板26との隙間;即ち、有機EL素子の側面方向から進入する大気中の水分や酸素などをトラップし、それらが有機EL素子24と接触するのを抑制できる。
なお、有機ELデバイス20の主面側から内部方向(図2Aでは、封止基板26から基板22に向かう方向)へ侵入する水分の透過は、基板22や封止基板26を透湿度が低い材料とすることで、抑制できる。
有機ELデバイスの他の態様として、1)基板上に配置された有機EL素子と、2)有機EL素子と接触して、かつ有機EL素子を覆う(面封止する)樹脂硬化物層と、3)前記樹脂硬化物層と接触して、前記樹脂硬化物層を覆うパッシベーション層と、4)パッシベーション層を覆う封止基板と、を含む態様があげられる(図2B参照)。樹脂硬化物層を、前述のシール材の硬化物としうる。
図2Bは、有機ELデバイスの他の態様を示す概略断面図である。図2Bに示されるように、有機ELデバイス20’は、面封止層28が、本発明のシール材の硬化物からなる樹脂硬化物層28−1と、樹脂硬化物層28−1を覆うパッシベーション層28−2と、さらにパッシベーション層28−2を覆う第2の樹脂硬化物層28−3とを含む以外は図2Aとほぼ同様に構成されている。図2Bに示される有機ELデバイス20’の他の構成部剤は、図2Aに示される有機ELデバイス20の構成部材と同様である。
面封止層28に含まれる樹脂硬化物層28−1は、有機EL素子に接していることが好ましい。樹脂硬化物層28−1の厚みは、0.1〜20μmであることが好ましい。
面封止層28に含まれるパッシベーション層28−2は、プラズマ環境下で成膜される無機化合物層であることが好ましい。プラズマ環境下で成膜するとは、例えばプラズマCVD法で成膜することをいうが、特に限定されず、スパッタ法や蒸着法で成膜してもよい。パッシベーション層28−2の材質は、透明な無機化合物であることが好ましく、窒化ケイ素、酸化ケイ素、SiONF、SiONなどが例示されるが、特に限定されない。パッシベーション層28−2の厚みは、0.1〜5μmであることが好ましい。
パッシベーション層28−2は、樹脂硬化物層28−1に接触させて成膜してよい。本発明のシール材の硬化物からなる樹脂硬化物層28−1は、たとえプラズマ環境下に曝されても、その透明性を維持することができるからである。
パッシベーション層28−2は、有機EL素子24に直接接触するのではなく、樹脂硬化物層28−1に直接接触して成膜されていることが好ましい。パッシベーション層28−2を有機EL素子24に直接接触させて成膜しようとすると、有機EL素子24の端部が鋭角なため、パッシベーション層28−2によるカバレッジが低下することがある。これに対して、有機EL素子24を、本発明のシール材の硬化物である樹脂硬化物層28−1で面封止してから、樹脂硬化物層28−1の上にパッシベーション層28−2を成膜すると、パッシベーション層28−2の被成膜面をなだらかにすることができ、カバレッジが向上する。
面封止層28に含まれる第2の樹脂硬化物層28−3は、樹脂硬化物層28−1と同一の材質(本発明のシール材の硬化物からなる層)であっても異なる材質であってもよい。例えば、第2の樹脂硬化物層28−3の水分含有量は、樹脂硬化物層28−1の水分含有量よりも高くてもよい場合がある。第2の樹脂硬化物層28−3は、有機EL素子と直接接触しないからである。また、トップエミッション型の有機ELデバイス(有機EL素子の発光を第2の樹脂硬化物層28−3を介して取り出す有機ELデバイス)の場合には、第2の樹脂硬化物層28−3の光透過率は、樹脂硬化物層28−1と同様に高い必要がある。
有機ELデバイスは、任意の方法で製造されうるが、1)有機EL素子が配置された基板を準備する工程と、2)有機EL素子を、シール材で覆い、シール材を硬化させて面封止層とする工程と、3)封止基板で封止する工程とを経て製造されうる。
図3は、図2Aの有機ELデバイスの製造プロセスの一例を示す模式図である。まず、有機EL素子24が積層された基板22を用意する(図3A参照)。有機EL素子24には、反射画素電極層30と、有機EL層32と、透明対向電極層34とが含まれるが、さらに他の機能層を有していてもよい。次に、本発明の液状のシール材28−1’を有機EL素子24上に塗布、もしくはシート状のシール材28−1’を有機EL素子24上にラミネートする(図3B参照)。その後、封止基板26を重ねあわせて、この状態でシール材を硬化させて樹脂硬化物層28−1としつつ、封止基板26を貼り合わせる(図3C参照)。このようにして、有機ELデバイス20が得られる。
有機ELデバイスは、必要に応じて面封止層がプラズマに曝される工程をさらに経て製造されてもよい。
面封止層がプラズマに曝される工程の例には、面封止層にプラズマCVD法によってパッシベーション膜を成膜する工程や、面封止層にプラズマを照射して表面特性を変化させる工程などが含まれる。表面特性を変化させる(例えば濡れ性を高める)ことで、他の部材との密着性を向上させることができる。
前述した通り、有機ELデバイスのシール部材の一部のみを、前述のシール材の硬化物としてもよい。例えば、有機ELデバイスのさらに他の態様として、1)基板上に配置された有機EL素子と、2)有機EL素子と接触して、かつ有機EL素子の側面の少なくとも一部を覆う(封止する)第1の樹脂硬化物層と、3)有機EL素子と接触して、かつ有機EL素子の上面の少なくとも一部を覆う(面封止する)第2の樹脂硬化物層と、4)第1の樹脂硬化物層と第2の樹脂硬化物層とを覆う封止基板と、を含む態様があげられる(図4A参照)。第1の樹脂硬化物層を、前述のシール材の硬化物としうる。
図4Aは、有機ELデバイスの他の態様を示す概略断面図であり;図4Bは、図4Aの有機ELデバイス20’’の封止基板26を外した場合の上面図である。図4Aに示されるように、有機ELデバイス20’’は、面封止層28と、その外周を覆うダム材36とを有し;面封止層28が、さらに有機EL素子24の側面を覆う第一の封止層28Aと、有機EL素子24の上面を覆う第二の封止層28Bとで構成された以外は図2Aとほぼ同様に構成されている。図4Aおよび図4Bに示される有機ELデバイス20’’の他の構成部材は、図2Aに示される有機ELデバイス20の構成部材と同様である。
ダム材36は、特に制限されないが、エポキシ樹脂等で構成されうる。このようなダム材36は、ディスペンサー方式で塗布または滴下して形成されうる。
第二の封止層28Bは、吸水性フィラーや充填剤などを含まないことが好ましい。後述するように、有機EL素子の上面が、吸水性フィラーや充填剤などと接触しないため、有機EL素子の損傷(スクラッチ)を抑制できるからである。また、吸水性フィラーや充填剤などを含まない第二の封止層28Bは、全光線透過率を高くしやすく、透明性に優れるからである。
第二の封止層28Bの波長400nmの平行光線透過率は、好ましくは90%以上である。平行光線透過率が低すぎると、素子からの光の取り出し効率や、素子への光の吸収効率が低下しやすいからである。硬化物層28の光線透過率の上限は、例えば99%程度としうる。平行光線透過率を高める手段の一つは、フィラーを含まないか、10質量%以下とすることである。
このような面封止層28は、例えば1)有機EL素子の側面を覆うように、前述のシール材を塗布および硬化させて第一の封止層28Aを形成する工程の後;2)有機EL素子の上面を覆うように他のシール材を塗布および硬化させて第二の封止層28Bを形成する工程を経て形成されうる。第一の封止層28Aを構成するシール材の塗布は、例えばディスペンサー方式やインクジェット方式で行うことができ;第二の封止層28Bを構成するシール材の塗布は、スクリーン印刷方式やインクジェット方式で行うことができる。
このように構成された有機ELデバイスでは、有機EL素子の側面が前述のシール材の硬化物で覆われているため、大気中の水分や酸素の透過を高度に抑制しうる。また、有機EL素子の上面が、吸水性フィラーや充填剤などを含まない他のシール材の硬化物で覆われているため、吸水性フィラーや充填剤などによる有機EL素子の損傷(スクラッチ)を抑制でき、かつ透明性も確保できる。つまり、低い透湿度と、透明性または耐スクラッチ性とを両立することができる。
以下において、実施例を参照して本発明を説明する。実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
[実施例1]
重合性官能基含有ポリオレフィン系ポリマー(A)として下記式(A1)で表される化合物(クラプレン(登録商標)UC−102、クラレ社製、数平均分子量17000、1分子中のラジカル重合可能な平均官能基数=2)を54質量部;重合性モノマー(B)として下記式(B1)で表されるジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(FA−512AS、日立化成工業社製)を46質量部;酸無水物誘導体(C)として下記式(C1)で表されるヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)(4−META−H、日本化成社製)を10質量部;ラジカル重合開始剤として、下記式(D1)で表されるt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(ルペロックス575、アルケマ吉富社製)を5質量部;混合してシール材を調製した。
Figure 0005872129
Figure 0005872129
Figure 0005872129
Figure 0005872129
[比較例1]
ヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)を含まず、表1に示される組成比とした以外は、実施例1と同様にシール材を調製した。
[比較例2]
ヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)の代わりに、新日本理化製、リカシッドMH700(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸(質量比=70/30)の混合物)を使用し、かつ表1に示される組成比とした以外は、実施例1と同様にシール材を調製した。
[評価]
各実施例及び比較例で調製したシール材の粘度を測定した。さらに、以下の方法で、シール材の硬化物の光線透過率、透湿度、弾性率を測定した。結果を表1に示す。
・粘度
E型粘度計(BROOKFIEL社製のデジタルレオメータ型式DII−III ULTRA)にて、25℃、1.0rpmにおけるシール材の粘度を測定した。
・平行光線透過率
バックグラウンドデータとして、無アルカリガラス板の190nm〜800nmの波長領域(可視・紫外光)の平行光線透過率を、紫外可視光分光光度計(島津製作所 UV−2550)を用いて測定した。
上記と同一の無アルカリガラス板2枚でシール材を挟み、無アルカリガラス板の端部にテフロンシート(厚み100μm)を挟み込むことで、無アルカリガラス板2枚に挟まれたシール材の厚みを100μmとした。これを100℃で30分加熱して硬化させ、厚さ100μmのシール材の硬化物を得た。
紫外可視光分光光度計(島津製作所 UV−2550)にて、2枚の無アルカリガラス板で挟まれたシール材の硬化物の190nm〜800nmの波長領域の平行光線透過率を測定した。なお、テフロンシートはガラス板の端部に配置したため、測定結果には影響を及ぼさない。
そして、シール材の硬化物の光線透過率測定結果から、バックグラウンドデータである無アルカリガラス板の透過率を減算し、シール材の硬化物の平行光線透過率を算出した。
評価は波長400nmの平行光線透過率で行った。
・透湿度(Ca法)
1)サンプルの作製
アセトンに浸漬して、超音波洗浄を10分間行ったガラス基板(大きさ:25×25mm、厚さ:0.7mm)を準備した。このガラス基板上に、蒸着機(エイ・エル・エステクノロジー社製)を用いて、下記条件で、厚さ170nmの金属カルシウムの蒸着膜を形成した(図1A参照)。蒸着時にはマスクを使用し、金属カルシウムの蒸着膜の端部からガラス基板の端部までの長さLは4mmとした。
(蒸着条件)
蒸着時の真空度:3.0×10−5Pa
製膜速度:1.2Å/秒
金属カルシウム原料:高純度化学製、グレイン
得られた金属カルシウムの蒸着膜付きガラス基板を、空気へ暴露せずにN雰囲気のグローブボックスに移動させた。次いで、別途用意したアセトン洗浄したガラス基板(25×55mm、厚さ:2mm)に、実施例及び比較例で作製したシール材を、硬化後の厚みが100μmとなるように滴下した後、乾燥させて塗膜を形成した(図1B参照)。
次いで、シール材の塗膜付きガラス基板と、金属カルシウムの蒸着膜付きガラス基板とを貼り合わせて積層物とし、クリップで固定した。得られた積層物の厚みは、シール材の塗膜付きガラス基板と金属カルシウムの蒸着膜付きガラス基板との間に100μm厚のテフロン(登録商標)シートをスペーサーとして挟んで調整した。また、金属カルシウムの蒸着膜の端部からシール材の塗膜の端部までの長さL’も4mmとした(図1C参照)。
そして、当該積層物をオーブンにて100℃で30分間加熱してシール材を硬化させ、サンプルとした。いずれにおいても、硬化後のシール材はフィルム状になっていた。
2)Ca反応開始時間の測定
得られたサンプルを、恒温恒湿槽にて、60℃90%RH下で保存した。そして、金属カルシウムの蒸着膜の端部が、金属光沢から透明に変化するまでの時間(Ca反応開始時間、単位:時間)を測定した。Ca法では、フィルム状のシール材の硬化物の側面方向からの透湿度を評価する。そして、Ca反応開始時間が24時間以上である場合は○、24時間未満である場合は×とした。
・弾性率
シール材を100℃で30分加熱して硬化させて、厚み100μmの硬化物を得た。得られたシート材の硬化物を、10mm×30mmに切り出し、試料とした。インテスコ社製万能引張試験機に、試料をチャック間距離30mmで取り付け、開始荷重10N、引張速度30mm/分にて試験を行った。縦軸に応力、横軸にひずみをとった応力ひずみ曲線の直線部の傾きより、弾性率を算出した。
Figure 0005872129
表1に示されるように、重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)、重合性モノマー(B)、ヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)、及びラジカル重合開始剤(D)が含まれる実施例1のシール材では、Ca反応開始時間が非常に長かった。ヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)がラジカル重合可能な官能基を有するため、シール材の硬化時に、重合性モノマー(B)や重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)等と重合する。その結果、シール材の硬化物にヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)由来の構造(酸無水物基)が均一に含まれたため、シール材の硬化物側面から侵入する水分を効果的に捕捉したと推察される。
また、実施例1のシール材では、弾性率が17MPaと十分に低かった。これは、ヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)がラジカル重合可能な官能基を有し、シール材の硬化時に、重合性モノマー(B)、重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)等と重合したため、シール材の硬化物の架橋密度が過度に高まらず、弾性率が適度に低くなったと推察される。
これに対し、比較例2のシール材では、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸やヘキサヒドロ無水フタル酸を含むにもかかわらず、Ca反応開始時間が短かった。シール材の硬化物から4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸やヘキサヒドロ無水フタル酸がブリードアウトしたため、十分に水分を捕捉できなかったと推察される。
また、比較例1及び比較例2のシール材の硬化物の弾性率は、38MPa以上であった。重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)や重合性モノマー(B)の架橋密度が高かったと推察される。
[実施例2]
重合性モノマー(B)として下記式(B2)で表される化合物(FA−124AS、日立化成社製、数平均分子量198、1分子中のラジカル重合可能な平均官能基数=2)を80質量部;酸無水物誘導体(C)として前述の式(C1)で表されるヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)(4−META−H、日本化成社製)を20質量部;ラジカル重合開始剤として、前述の式(D1)で表されるt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(ルペロックス575、アルケマ吉富社製)を5質量部;混合してシール材を調製した。
Figure 0005872129
[実施例3]
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの代わりに下記式(D2)で表される2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルを使用した以外は、実施例2と同様にシール材を調製した。
Figure 0005872129
[実施例4]
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの代わりに下記式(D3)で表される2−ヒドロキシ−2−メチル−1フェニル−プロパン−1−オンを使用した以外は、実施例2と同様にシール材を調製した。
Figure 0005872129
[比較例3]
ヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)の代わりに、新日本理化製、リカシッドMH700(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸(質量比=70/30)の混合物)を使用した以外は、実施例2と同様にシール材を調製した。
[比較例4]
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの代わりに式(D2)で表される2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルを使用した以外は、比較例3と同様にシール材を調製した。
[比較例5]
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの代わりに式(D3)で表される2−ヒドロキシ−2−メチル−1フェニル−プロパン−1−オンを使用した以外は、比較例3と同様にシール材を調製した。
[比較例6]
エポキシ樹脂(クレゾールノボラック型EPICLON(登録商標)N−680、エポキシ当量200−220(g/eq)、DIC社製)50質量部、高純度液状エポキシ樹脂(ビスFタイプ、YL983U0、エポキシ当量165−175(g/eq)、三菱化学社製)50質量部:シリカフィラー(アドマファイン SO−C6、アドマテックス社製)100質量部:光カチオン開始剤R2074(ローヌ・プーラン社製)3質量部;混合してシール材を調製した。
[評価]
・平行光線透過率
無アルカリガラス板2枚で挟んだシール材を、熱硬化の場合は80℃で30分加熱して硬化させ、UV硬化の場合は波長365nmの光を3000mJ/cm照射して硬化させて、厚さ100μmのシール材の硬化物を得た以外は、前述(実施例1等)の平行光線透過率の測定方法と同様に測定した。
・透湿度(Ca法)
前述(実施例1等)の方法と同様に透湿度(Ca)を測定した。さらに測定サンプルを、100℃で30分間加熱処理し、上記と同様に透湿度を評価した。
Figure 0005872129
表2に示されるように、重合性モノマー(B)、ヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)、及びラジカル重合開始剤(D)が含まれる実施例2〜4のシール材では、Ca反応開始時間が非常に長かった。ヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)がラジカル重合可能な官能基を有するため、シール材の硬化時に、重合性モノマー(B)と重合し、シール材の硬化物にヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)由来の構造(酸無水物基)が均一に含まれたため、シール材の硬化物側面から侵入する水分を効果的に捕捉したと推察される。また、Ca反応開始時間は、熱処理を行っても変化がなかった。ヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)が重合性モノマー(B)と重合しているため、ブリードアウトしなかったと推察される。
一方、比較例3〜5のシール材では、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸やヘキサヒドロ無水フタル酸を含むにもかかわらず、Ca反応開始時間が短かった。シール材の硬化物から4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸やヘキサヒドロ無水フタル酸がブリードアウトしたため、十分に水分を捕捉できなかったと推察される。
また、比較例6のエポキシ樹脂を含むシール材は、Ca反応開始時間が長かった、つまり、水分透過性が非常に低かったが、粘度が非常に高く、平行線透過率が低かった。これに対し、実施例2〜4のシール材は、粘度が低く、例えばインクジェット法による塗布も可能であることが確認された。また、平行光線透過率も98%と高かった。

本出願は、2014年5月2日出願の特願2014−094957号に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明のシール材の硬化物は、透湿度が低く、さらに弾性率が適度に低い。そのため、種々の光学装置の封止層に適用可能である。
20、20’、20” 有機ELデバイス
22 基板
24 有機EL素子
26 封止基板
28 面封止層
28−1 硬化物層
28−2 パッシベーション層
28−3 第2の樹脂硬化物層
28A 第一の封止層
28B 第二の封止層

Claims (12)

  1. ラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ有し、分子量が50以上1000以下であり、23℃で液状である重合性モノマー(B)と、
    5員環または6員環を構成する酸無水物基、及びラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ含む酸無水物誘導体(C)と、
    熱ラジカル重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤の少なくとも一方を含むラジカル重合開始剤(D)と、を含む、シール材。
  2. ラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ有し、数平均分子量が5000以上70000以下である重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)をさらに含む、請求項1に記載のシール材。
  3. E型粘度計により25℃、1.0rpmで測定される粘度が5mPa・s以上20000mPa・s以下である、請求項1に記載のシール材。
  4. 前記重合性モノマー(B)及び前記酸無水物誘導体(C)が有する前記ラジカル重合可能な官能基が、それぞれ独立に、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基である、請求項1に記載のシール材。
  5. 前記重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)が有する前記ラジカル重合可能な官能基が、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基である、請求項2に記載のシール材。
  6. 前記酸無水物誘導体(C)が、ラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ有するヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)である、請求項2に記載のシール材。
  7. 請求項1に記載のシール材から得られるシート状シール材。
  8. 請求項1に記載のシール材の硬化物。
  9. 弾性率が0.1MPa以上100MPa以下である、請求項2に記載のシール材の硬化物。
  10. 波長400nmにおける平行光線透過率が90%以上である、請求項8に記載のシール材の硬化物。
  11. 波長400nmにおける平行光線透過率が90%以上である、請求項9に記載のシール材の硬化物。
  12. ラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ有し、数平均分子量5000以上70000以下である重合性官能基含有オレフィン系ポリマー(A)と、
    ラジカル重合可能な官能基を1分子当たりに少なくとも1つ有するヘキサヒドロ無水フタル酸誘導体(C’)と、
    熱ラジカル重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤の少なくとも一方を含むラジカル重合開始剤(D)と、を含む、シール材。
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