JP5867203B2 - 多層積層フィルムおよびこれを用いた窓部材、合わせガラス - Google Patents

多層積層フィルムおよびこれを用いた窓部材、合わせガラス Download PDF

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Description

本発明は、偏光サングラス等の偏光子を介して見た場合に、干渉色が観測されがたい多層積層フィルム及び、その用途に関する。
二種類以上の熱可塑性樹脂を厚み方向に積層して形成された透明な多層積層フィルムは、建築・車両等の窓ガラスに用いられて、飛散防止機能(特許文献1)や、熱線反射機能(特許文献2、特許文献3)を持ったものが使用されている。ここで、かかる多層積層フィルムは、二軸延伸されて製造されるが、その際の縦方向と横方向の延伸倍率は通常ほぼ同じ倍率ある。そのため、レタデーションが小さい。
こうしたフィルムは係る機能を利用して自動車のフロントガラスや窓ガラスに貼り合わされて用いられている。
しかし、従来公知の多層積層フィルムは自然光(非偏光)の下では視認性に影響がないものの、偏光サングラス等の偏光子を介して見ると、強い干渉色が見える問題があり、自動車の運転時に偏光サングラスをかけて運転を行うと干渉色が妨害となって運転にストレスを感じることとなる。また、窓ガラスに干渉縞が見えたりして不快感を覚えることもある。
また、偏光サングラスをかけた場合でなくとも、太陽光線は空気中の散乱や物体との反射によって、また、蛍光灯等の光源からの光線は物体との反射によって偏光することがある。こうした場合では、裸眼でも干渉色が見られることがあり、また、偏光サングラスを通してみるとさらに強い干渉色が見えることとなる。
特開平10−076620号公報 国際公開第2005/040868号パンフレット 特表2005−535938号公報
本発明は、偏光子を介して見ても干渉色が観測されがたい多層積層フィルム及び、該多層積層フィルムを用いた窓部材や合わせガラスを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明は次のような構成を有する。
すなわち、熱可塑性樹脂からなる層(A層)と少なくともA層を構成する樹脂とは異なる性質を有する熱可塑性樹脂からなる層(B層)が交互にそれぞれ10層以上積層されてなり、入射角0°における波長590nmにおけるレタデーションが1700nm以上であり、波長400nm〜800nmの範囲における平均透過率が80%以上であることを特徴とする多層積層フィルム。
本発明によって、太陽光線や蛍光灯等の光源からの光線を、偏光子を介して見た場合の、強い干渉色の視認を解消した多層積層フィルム及び、該多層積層フィルムを用いた窓部材を得ることができる。
入射角とレタデーションの関係を説明するための図
本発明者らは、かかる多層積層フィルムを通過した光を、偏光サングラス等の偏光子を介して見ると、強い干渉色が見える問題は、多層積層フィルムのレタデーションが低いために発生することを発見した。以下、これについて詳説する。
偏光が方向によって屈折率の異なる光学的異方体を通過すると、互いに振動方向が直交する二つの偏光に分かれる。この二つの偏光は互いに速度が異なるため、光学的異方体を通過後に位相差が生じる。光学的異方体通過後の二つの偏光が、偏光子を通過すると合成される。この合成光は、光学的異方体通過後の二つの偏光の位相差によって、様々な色を呈色するようになり、その色は干渉色と呼ばれている。
レタデーションとは光学的異方体通過後の二つの偏光において、遅い速度の光が速い速度の光より遅れる距離であり、(1)式で表される。
R=d(n−n) (1)
ここで、Rはレタデーション、dは光学的異方体の厚み、nは光学的異方体の遅相軸の屈折率、nは光学的異方体の進相軸の屈折率である。なお、(n−n)は複屈折とも称せられる。
本発明は、多層積層フィルムにおける干渉色がフィルムのレタデーションに起因するものであり、かかる干渉色をどのようにすれば解消できるかを探求した結果到達されたものである。
以下に本発明について図面を参照しつつ詳細に述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の態様は当然本発明の範囲に含まれる。
本発明の多層積層フィルムは、熱可塑性樹脂からなる層(A層)と少なくともA層を構成する樹脂とは異なる性質を有する熱可塑性樹脂からなる層(B層)が交互にそれぞれ10層以上積層されてなり、入射角0°における波長590nmにおけるレタデーションが1700nm以上であり、波長400nm〜800nmの範囲における平均透過率が80%以上であることが必要である。
本発明に用いうる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)などのポリオレフィン、シクロオレフィンとしては、ノルボルネン類の開環メタセシス重合,付加重合,他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどの生分解性ポリマー、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。これらの中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステルを用いることが好ましく、ポリエステルとしては芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましい。ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも好ましくはテレフタル酸と2,6-ナフタレンジカルボン酸を挙げることができる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートおよびその重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体などを用いることが好ましい。
本発明の多層積層フィルムには、少なくとも2種の熱可塑性樹脂が用いられ、該2種の熱可塑性樹脂は異なる性質を有する。ここでいう性質とは、結晶性・非晶性、光学的性質、熱的性質、もしくは物理的性質が異なることをいう。異なる性質を持つ熱可塑性樹脂を積層することで、それぞれの熱可塑性樹脂の単一の層のフィルムではなし得ない機能をフィルムに与えることができる。層間密着性や、高精度で積層構造が実現しやすい観点から、前記2種類の熱可塑性樹脂は同一の基本骨格を含むことが好ましい。ここでいう基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことであり、例えば、一方の樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合は、エチレンテレフタレートが基本骨格である。また別の例としては、一方の樹脂がポリエチレンの場合、エチレンが基本骨格である。
基本骨格を同じとして、異なる性質を具備させるには、共重合体を利用することが望ましい。すなわち、例えば、一方の樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合、他方の樹脂は、テレフタル酸残基および/またはエチレングリコール残基の一部を他の二価の有機基に置き換えた樹脂をもう一方の樹脂として用いるような態様である。他の成分を用いる割合(共重合量ということがある)としては、異なる性質を獲得する必要性から10%以上が好ましく、一方、層間の密着性や、熱流動特性の差が小さいため各層の厚みの精度や厚みの均一性に優れることから90%以下が好ましい。さらに好ましくは15%以上、80%以下である。また、A層とB層はそれぞれ、複数種の熱可塑性樹脂がブレンド又はアロイされ用いられることも望ましい。複数種の熱可塑性樹脂をブレンド又はアロイさせることで、1種類の熱可塑性樹脂では得られない性能を得ることができる。
また、本発明の多層積層フィルムは熱可塑性樹脂からなるため、電磁波を透過させることができる。そのため、本発明の多層積層フィルムを建物の窓ガラスや、自動者の窓ガラスに積層しても、携帯電話といった電磁波を利用した機器の使用に支障を起こすことはない。
本発明の多層積層フィルムは熱可塑性樹脂からなる層(A層)と少なくともA層を構成する樹脂とは異なる性質を有する熱可塑性樹脂からなる層(B層)が交互にそれぞれ10層以上積層した構造を含んでいることが必要である。異なる性質を持つ熱可塑性樹脂を積層することで、それぞれの熱可塑性樹脂1層のみではなし得ない機能をフィルムに与えることができる。積層数は所望の機能に合わせて増加させて良く、例えば、耐引裂き性を持たせる場合は、10層から51層の範囲が好ましく、より好ましくは15層から41層の範囲である。熱線反射性能を持たせる場合は、51層以上積層させることが好ましく、より好ましくは101層以上、さらに好ましくは201層以上である。積層数は多いほど高い熱線反射率を実現でき、また、反射帯域幅を拡げることができるが、積層精度や積層装置の大型化の観点から上限としては10000層程度である。また、熱線反射性能を具備せしめるためには隣接する二層の光学厚みを反射すべき波長の1/2となるようにし、また、該隣接する二層を構成する熱可塑性樹脂A、熱可塑性樹脂Bの屈折率差として0.03以上の差のある樹脂を選択して用いることが望ましい。
本発明の多層積層フィルムは、入射角0°における波長590nmにおけるレタデーションが1700nm以上であることが必要である。レタデーションが1700nm以上あることで、偏光子を介して見ても干渉色を観測し難くすることができる。本発明の多層積層フィルムを建物の窓ガラスや、自動車の窓ガラスに貼り合わせても、干渉色が見えないため、透明で良好な視界を提供することができる。レタデーションの好ましい値は2000nm以上であり、より好ましくは2500nm以上、さらに好ましくは3000nm以上である。多層積層フィルムのレタデーションを大きくすることで、部分偏光した光のみならず完全に直線偏光した光においても、干渉色が見えなくなる。レタデーションを大きくする方法としては、本発明の多層積層フィルムのA層またはB層を構成する熱可塑性樹脂の少なくとも一方に、複屈折性を持つ熱可塑性樹脂を用い、一軸延伸若しくはどちらか一方方向の延伸倍率を高くした二軸延伸を行うことによって達成することができる。ここで、二軸延伸の方向について、延伸倍率が高い方向を高倍率方向、延伸倍率が低い方向を低倍率方向と呼ぶ。熱可塑性樹脂が正の複屈折性を持つ樹脂である場合、高倍率方向に分子鎖が配向するため、高倍率方向と低倍率方向とで屈折率に差が生じレタデーションが大きくなる。逆に、熱可塑性樹脂が負の複屈折性を持つ樹脂である場合は、低倍率方向に配向するため、高倍率方向と低倍率方向とで屈折率に差が生じレタデーションが大きくなる。レタデーションをさらに大きくするには、高倍率方向の延伸倍率をより高くするか、低倍率方向の延伸倍率をより低くすることである。ただし、低倍率方向の延伸倍率が1.5倍未満であると低倍率方向の機械強度が低くなるため、低倍率方向の延伸倍率は少なくとも1.5倍以上延伸を行うことが望ましい。さらに、熱処理温度を高くすることでよりレタデーションを大きくすることができる。本発明の多層積層フィルムのように延伸倍率に異方性がある場合、熱処理による熱結晶化において、熱結晶化度に異方性が生じる。そのため、熱処理温度が高くなるにつれて、複屈折率が大きくなり、その結果レタデーションが大きくなる。熱処理温度としては、熱可塑性樹脂の融点−5℃以下であれば高ければ高いほど良い。また、この熱処理工程において、幅方向リラックスの値を小さくすることでレタデーションを大きくすることができる。その他の方法としては、A層とB層のうちレタデーションの大きい層の厚みを厚くすることが有利であり、相対的に複屈折率の高い樹脂で構成されるA層若しくはB層の厚みは相対的に複屈折率の低いB層若しくはA層の厚みの1.2倍以上、好ましく2倍、更に好ましくは3倍以上とすることが望ましい。このようにすることでフィルム厚みの増加を抑えつつ、効率的に多層積層フィルムのレタデーションを大きくできる。
本発明の多層積層フィルムは、波長400nm〜800nmの範囲における平均透過率が80%以上であることが必要である。より好ましくは平均透過率85%以上であり、さらに好ましくは88%以上である。可視光を透過することで、本発明の多層積層フィルムを建物の窓ガラスや、自動車の窓ガラスに積層しても、透明で良好な視界を提供することができる。この達成方法は、A層とB層の屈折率差を小さくすることである。A層とB層の屈折率が小さい場合、A層とB層の界面で反射が起こらないため透過率を高くすることができる。この場合、A層とB層の屈折率差は0.02以下が好ましく、さらに好ましくは0.01、より好ましくは0.005である。
また、A層とB層の屈折率に差がある場合においても、積層数を少なくしたり、A層とB層の界面で反射された光を打つ消す層厚みにすれば良い。A層とB層の界面で反射された光を打つ消す層厚みとは、隣接するA層とB層それぞれの光学厚さを800nm〜1200nmのいずれかの波長の1/4にすることである。その他の方法として、等価膜理論を用いることである。A層とB層の積層体ABABAB・・・を(ABA)(BAB)・・・のように3層を1層と見なし、層厚みを調整することで、波長400nm〜800nmの範囲の光の反射を防止することができる。
本発明の多層積層フィルムは、フィルムの表面に易接着層、ハードコート層、耐磨耗性層、傷防止層、反射防止層、色補正層、紫外線吸収層、熱線吸収層、印刷層、ガスバリア層、粘着層などの機能性層が形成されることが好ましい。
本発明の多層積層フィルムは、150℃雰囲気下で30分間処理した際の長手方向の熱収縮率Tmdと幅方向の熱収縮率Ttdの比Ttd/Tmdが0.8以上、1.2以下であることが好ましい。より好ましくはTtd/Tmdが0.9以上、1.1以下である。このように熱収縮の異方性を小さくすることで、本発明の多層積層フィルムを窓ガラスに積層する際に加熱を行なっても皺が発生しない。TmdとTtdは、加工性の問題からそれぞれ20%以下が好ましく、さらに好ましくはそれぞれ10%以下、より好ましくはそれぞれ5%以下である。本発明の多層積層フィルムは、レタデーションを大きくするため、長手方向と幅方向の延伸倍率が異なり、そのため二軸延伸直後の多層積層フィルムのTmdとTtdは異なる。そこで、延伸倍率の高い方向に対して弛緩熱処理を行うことで、Ttd/Tmdを上記範囲内に収めることができる。
高い熱処理温度にて弛緩熱処理を行い、Ttd/Tmdを0.8以上、1.2以下の範囲に収めようとすると、幅方向リラックスを行わない緊張熱処理を行った場合よりもレタデーションが低下してしまう。そのため、130℃〜170℃の温度範囲、好ましくは、140℃〜160℃の温度範囲にて弛緩熱処理を行うことが好ましい。上記の温度範囲にて弛緩熱処理を行うことで、150℃雰囲気下で30分間処理した際の長手方向の熱収縮率Tmdを調整しつつ、レタデーションの低下を抑制することができる。また、上述した130℃〜170℃の温度範囲における弛緩熱処理と、200℃以上の高温における弛緩熱処理を組み合わせることも好ましい。130℃〜170℃の温度範囲における弛緩熱処理の幅方向リラックスの割合は1%〜10%の範囲が好ましい。
本発明の多層積層フィルムの入射角とレタデーションの関係を図1を用いて説明する。図中の遅相軸とは、フィルム面内において、A層とB層の平均屈折率が最も高い方向を、進相軸とは、フィルム面内において、A層とB層の平均屈折率が最も低い方向のことである。ここでいう平均屈折率とは、A層とB層のフィルム面内方向の屈折率をA層とB層の層厚みで平均化したものである。入射角が0°の場合、入射角が5の方向に変化した場合、入射角が6の方向に変化した場合のそれぞれのレタデーションを(2)〜(4)式に示す。
Figure 0005867203
ここで、Rはレタデーション、dAとdBはそれぞれA層、B層の層厚みの総和、nとnはそれぞれA層、B層の遅相軸方向の屈折率、nとnはそれぞれA層、B層の進相軸方向の屈折率、θAとθBはそれぞれA層、B層の屈折角度、nAβγ、nBβγはそれぞれA層、B層の進相軸方向の屈折率と厚み方向の屈折率を屈折角度で平均した屈折率、nAαγとnBαγはそれぞれA層、B層の遅相軸方向の屈折率と厚み方向の屈折率を屈折角度で平均した屈折率である。
本発明の多層積層フィルムの実施形態の一つでは、n>n>>n、n=n=n、となる。
この場合、入射角0°のレタデーションに対して、5の方向に入射角が傾いた場合、(3)式より入射角増大とともにレタデーションが増大する。一方、6の方向に入射角が傾いた場合、(4)式より入射角増大とともにレタデーションが減少する。そのため、入射角0°において多層積層フィルムに干渉色が見られなくとも、6の方向から多層積層フィルムを見ると干渉色が見える恐れがある。また、別の実施形態の一つである、n>n>>n、n>n>>nの場合においても同様に6の方向から多層積層フィルムを見ると干渉色が見える恐れがある。これは本発明の多層積層フィルムに、熱可塑性樹脂として正の複屈折を持つ樹脂を用いる場合、二軸延伸を行うことで、厚み方向の屈折率がフィルム面内方向の屈折率よりも小さくなるためである。そのため、本発明の多層積層フィルムは、入射角0°から50°の角度の範囲にわたって波長590nmにおける、レタデーションが1700nm以上であることが好ましい。より好ましくは入射角0°から60°の角度の範囲にわたって波長590nmにおける、レタデーションが1700nm以上であり、さらに好ましくは入射角0°から80°の角度の範囲にわたって波長590nmにおける、レタデーションが1700nm以上である。このように入射角度が大きくなっても干渉色が見え難くなることで、広い視野角を得ることができる。この達成方法としては、入射角0°におけるレタデーション値を1700nmよりも大きくすることである。入射角0°におけるレタデーション値を1700nmよりも大きくすれば、入射角度が大きくなり、レタデーション値が低下しても、レタデーション値1700nm以上を保つことができる。別の方法としては、厚み方向の屈折率を制御することである。厚み方向の屈折率が高くなると、レタデーションの減少の度合いが小さくでき、より高くすると、入射角が6の方向に傾いた場合でも、入射角増大とともにレタデーションを増大させることができる。その方法の一つとして、正の複屈折性を持つ樹脂と負の複屈折性樹脂を組み合せて用いることがあげられる。A層に正の複屈折性を持つ樹脂を用い、B層に負の複屈折性樹脂を用い、上述した二軸延伸を行う。A層によるレタデーションは入射角0°では大きな値をとるが、入射角が6の方向に傾いた場合レタデーションは低下する。一方B層は厚み方向の屈折率がフィルム面内方向の屈折率よりも高くなるため、入射角が6の方向に傾いた場合、レタデーションは増加する。入射角が6の方向に傾いた場合のA層のレタデーションの低下をB層のレタデーションの増加が補うため、本発明の多層積層フィルム全体のレタデーションは、入射角が6の方向に傾いた場合、わずかに減少するか、または増加する。
本発明の多層積層フィルムは、波長800nm〜1200nmの範囲のうち、300nmの波長範囲において平均反射率が80%以上であることが好ましい、さらに好ましくは平均反射率85%以上であり、より好ましくは平均反射率90%以上である。このような構成とすると、800nm〜1200nmの近赤外線を反射することができるため、本発明の多層積層フィルムを建物の窓ガラスや、自動車の窓ガラスに貼り合わせた場合、室内や、車内の温度上昇を防ぐことが出来る。300nmの波長範囲にわたって平均反射率を80%以上とするには、A層とB層に、屈折率の異なる熱可塑性樹脂を用い、A層の光学厚みは200nm〜300nmの範囲のうち少なくとも75nmの範囲わたって設計し、B層の光学厚みは隣接するA層の光学厚みに対して0.9〜1.1倍にすることである。積層数は51層以上積層させることが好ましく、より好ましくは101層以上、さらに好ましくは201層以上である。積層数は多いほど高い近赤外線反射率を実現でき、また、反射帯域幅を拡げることができるが、積層精度や積層装置の大型化の観点から上限としては10000層程度である。A層には結晶性の熱可塑性樹脂をB層には非晶性の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。本発明の多層積層フィルムを二軸延伸した後、熱処理を施すことで、A層のフィルム面内屈折率は高くなり、一方B層は配向が緩和され屈折率が低下するため、A層とB層の屈折率差を高くし、高い反射率を得ることができる。また、B層の配向を僅かに残すように熱処理を施すと、レタデーションが大きくなるため好ましい。B層に用いる非晶性樹脂に結晶性樹脂を5wt%〜49wt%混合させることも好ましい。熱処理後もB層を構成する樹脂中に含まれる結晶性樹脂の配向が残っているため、B層のレタデーションを大きくすることができる。また、B層の非晶性樹脂層に結晶性樹脂が含まれることで、加熱、加圧した際に水分の進入を防ぐことができて、フィルムの劣化を抑制することができる。
本発明の多層積層フィルムは波長800nm〜1200nmの範囲だけでなく、さらに、波長1200nm以上の近赤外線を反射させるものであること好ましい。反射帯域を拡張することで、より多くの太陽エネルギーを反射することができる。その達成方法は、A層とB層の積層体ABABABABABAB・・・を(ABA)(BAB)(ABA)(BAB)・・・のように3層を1層と見なし、層厚みを調整することで、1200nm以上の波長の光を反射しても、400nm〜800nmの波長範囲の高次の反射を解消することができる。具体的にはA層とB層の光学厚みを(1A7B1A)(1B7A1B)(1A7B1A)(1B7A1B)・・・とする(ここで、7Bの7はB層の光学厚みが隣接するA層の光学厚みの7倍であることを意味し、7Aの7はA層の光学厚みが隣接するB層の光学厚みの7倍であることを意味し、1Aと1Bで表されるA層とB層は等しい光学厚みである)ことである。
本発明の多層積層フィルムの両表層に保護層として層厚みは3μm以上の層を好ましく設けることができる、保護層の厚みは好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。保護層の層厚みが薄い場合、表面反射光と表層と表層との隣接層界面における反射光の干渉により、透過率・反射率スペクトルにリップルが生じることがある。入射光の位相を0radとすると表面反射光の位相は光の波長によらずπradである。一方、表層と表層との隣接層界面における反射光の位相は表層の層厚みと光の波長によって変化する。表層の層厚みが薄い場合、表層と表層との隣接層界面における反射光の位相の変化は、光の波長に対してなだらかに変化する。そのため、表面反射光と、表層と表層との隣接層界面における反射光が、反射光の波長によって強めあったり、弱めあったりすることで、透過率・反射率スペクトルにリップルが生じる。表層の層厚みが厚い場合、表層と表層との隣接層界面における反射光の位相の変化は、光の波長に対して急激に変化する。そのため、透過率・反射率スペクトルにリップルが解消される。両表層の層厚みを厚くするその他の利点として、各層の厚みの精度や厚みの均一性に優れることが挙げられる。
本発明の多層積層フィルムは、配向方向に対して垂直方向における、厚みのムラが3%以下であることが好ましい。より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。ここでいう配向方向とは、王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いて、入射角0°で測定した際の配向角の方向のことであり、配向方向に対して垂直方向とは、フィルム面内において配向方向に直交する方向のことである。異なる性質を有する熱可塑性樹脂を積層した多層積層フィルムは、延伸倍率が低い場合、弾性率の低い延伸し易い部位のみ延伸され続けるため、延伸方向に均一な延伸を行うことが困難であり、延伸方向に厚みムラが生じることがある。厚みムラが生じると、反射帯域が変化したり、多層積層フィルムの加工が困難になるといった問題が発生する。延伸倍率が低くとも、厚みムラを小さくする方法としては、低延伸倍率でも弾性率が高くなるようにすることであり、低温延伸や高速延伸、結晶性樹脂や分岐ポリマーの添加が好ましい。
例えば、本発明の実施形態の一つである、A層にポリエチレンテレフタレート(ガラス転移点温度78℃)をB層にポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジメタノール成分を全ジオールに対して33mol%共重合したポリエチレンテレフタレート)(ガラス転移点温度80℃)を用いた401層積層フィルムを延伸倍率2.7倍で延伸する場合、延伸温度をB層のガラス転移点温度+0℃〜2℃にすることや、延伸速度を200%/s以上にすることや、B層に結晶性樹脂を5wt%〜49wt%添加することや、A層またはB層の少なくとも一方に分岐ポリマーを5wt%〜49wt%添加することなどが挙げられる。上記実施形態の場合、B層に添加する結晶性樹脂としてはポリエステルが好ましく、特に好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートである。低温延伸や高速延伸、結晶性樹脂の添加は、配向結晶化しやすくなり、低延伸倍率でも弾性率が高くなる。分岐ポリマーの添加は、分子鎖の絡み合い効果により低延伸倍率でも弾性率が高くなる。
本発明の多層積層フィルムは、窓および窓部材に用いられることが好ましい。窓ガラスに本発明の多層積層フィルムを積層することで、飛散防止機能や、熱線反射機能を付与することができ、かつ、偏光サングラス等の偏光子が使用された場合でも、透明で良好な視界を提供することができる。
本発明の多層積層フィルムは、第一のガラスと、第一の中間膜と、本発明の多層積層フィルムと、第二の中間膜と、第二のガラスとが、上記の順に積層されてなる合わせガラスとして用いられることが好ましい。中間膜としてはPVB(ポリビニルブチラール)が用いられることが好ましい。本発明の多層積層フィルムに熱線反射機能を持たせた場合、ガラスと中間膜と本発明の多層積層フィルムの少なくとも一つにUV吸収剤や熱線吸収剤が含まれることが好ましい。UV吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系が好ましく、熱線吸収剤としては、六ホウ化ランタン、インジウムスズ酸化物、アンチモンスズ酸化物、セシウムタングステン酸化物が好ましい。
上記した合わせガラスにおいて、第一のガラスと第一の中間膜との間、第二のガラスと第二の中間膜との間の少なくともいずれかの場所にレタデーションが1000nm以上である透明(可視光線の透過率が80%以上)なフィルムが、さらに積層されていることが好ましい。レタデーションが大きなフィルムを追加して積層することで、合わせガラス全体のレタデーションが大きくなり、偏光サングラス等の偏光子を使用した場合に、視野角の広いより透明で良好な視界を提供することが出来る。なおこの際、本発明の多層積層フィルムと該レタデーションが1000nm以上である透明なフィルムとの遅相軸若しくは進相軸が重なるように配されることが望ましい。
以下、本発明の多層積層フィルムの実施例を用いて説明する。なお、以下に具体的に例示した熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂を用いた場合でも下記実施例を含めた本明細書の記載を参酌すれば、同様にして本発明の多層積層フィルムを得ることができる。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
物性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)レタデーション
王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いた。サンプルをフィルム幅方向中央部から3.5cm×3.5cmで切り出し、フィルムの進相軸が本測定装置にて定義されている角度0°となるように装置に設置した。入射角0°における波長590nmのレタデーションと、入射角を遅相軸方向、進相軸方向それぞれに10°、20°、30°、40°、50°傾けた場合における波長590nmのレタデーションを測定した。表1におけるR(0°)は入射角0°におけるレタデーションであり、Rminは入射角0°または、入射角を遅相軸方向、進相軸方向それぞれに10°、20°、30°、40°、50°傾けた場合において測定したレタデーションの最小値である。
(2)平均透過率、平均反射率
日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の12°正反射付属装置P/N134−0104を取り付け、入射角度φ=12度における波長250〜2600nmの絶対透過率及び反射率を測定した。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/min.とした。サンプルをフィルム幅方向中央部から5cm×5cmで切り出し測定した。これらの結果から、可視光透過率、赤外線反射率を求めた。
平均透過率:400nmから800nmの波長範囲の透過率の平均値
平均反射率:800nmから1200nmの波長範囲のうち最も平均反射率が高くなるように選んだ300nmの範囲の平均反射率。
反射波長1:前記平均反射率を求めた波長範囲の中で最も低い波長
反射波長2:前記平均反射率を求めた波長範囲の中で最も高い波長
(3)Ttd/Tmd
サンプルをフィルム幅方向中央部から、150mm(フィルム幅方向)×10mm(フィルム長手方向)と150mm(フィルム長手方向)×10mm(フィルム幅方向)に切り出した。このサンプル片を、23℃、相対湿度60%の雰囲気に30分間放置し、その雰囲気下で、サンプル長手方向に約100mmの間隔で2つの印をつけ、Nikon社製万能投影機(Model V−16A)を用いて、その印の間隔を測定し、その値をAとした。次に、サンプルを、張力フリーの状態で150℃の雰囲気中で30分間放置し、次いで、23℃、相対湿度60%の雰囲気中で1時間冷却、調湿後、先につけた印の間隔を測定し、これをBとした。このとき、下記式(6)より、フィルム幅方向の熱収縮率(Ttd)とフィルム長手方向の熱収縮率(Tmd)を求めた後、フィルム幅方向の熱収縮率(Ttd)とフィルム長手方向の熱収縮率(Tmd)の比Ttd/Tmdを求めた。フィルム幅方向、長手方向それぞれについて、試験数は3とし、その平均値を採用した。
熱収縮率(%)=100×(A−B)/A (5)
(4)厚みムラ
王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いた。サンプルをフィルム幅方向中央部から3.5cm×3.5cmで切り出し、フィルムの進相軸が本測定装置にて定義されている角度0°となるように装置に設置し、入射角0°における配向角を測定し配向方向を求めた。次に、サンプルをフィルム幅方向中央部から、1.2m(フィルム配向方向に対する垂直方向)×5cm(フィルム配向方向)に切り出した。アンリツ社製 フィルムシックネステスターKG601Aを用い、サンプル長手方向に速度3m/sで1m走行させフィルム厚みを測定した。アンリツ社製 広範囲電子マイクロメータK306Cにてフィルム厚みを読み取り、次式にて厚みムラを算出した。
厚みムラ(%)=(最大厚さ−最小厚さ)/平均厚さ×100 (6) 。
(5)干渉色検査
光源にフジカラーライトボックス100V、8W(k.k進光社製)を用い、20cm×20cmの2枚の偏光板を用いたクロスニコル法にて目視検査を行なった。サンプルをフィルム幅方向中央部から、20cm(フィルム幅方向)×20cm(フィルム長手方向)に切り出し、観察面側の偏光板の偏光方向とフィルム幅方向が一致するように設置した。フィルム面に対して真正面から見た部分に対して評価を行ない、評価基準は次のとおりである。
◎:干渉色がほとんど見えない
○:干渉色がごく僅かに見えるが、使用上問題ない
×:強い干渉色が見える
(実施例1)
A層を構成する熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂Aとも称する)としてIV=0.65のポリエチレンテレフタレートを用い、またB層を構成する熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂Bとも称する)としてポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジメタノール成分を全ジオールに対して33mol%共重合したポリエチレンテレフタレート)を用いた。熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bを、それぞれ、押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が熱可塑性樹脂A/熱可塑性樹脂B=1/1.07になるように計量しながら、11層フィードブロックにて合流させて、厚み方向に交互に11層積層(A層が6層、B層が5層)された積層体とした。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、90℃、延伸倍率3.3倍、延伸速度100%/sで縦延伸を行い、両端部をクリップで把持するテンターに導き110℃、4.2倍横延伸した後、230℃で熱処理を施し、約2%の幅方向リラックスを実施し、厚み80μmの多層積層フィルムを得た。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
(実施例2)
縦延伸倍率を3.1倍としたこと以外は実施例1と同様の条件にて多層積層フィルムを得た。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
(実施例3)
縦延伸倍率を2.7倍としたこと以外は実施例1と同様の条件にて多層積層フィルムを得た。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
(実施例4)
縦延伸倍率を2.3倍としたこと以外は実施例1と同様の条件にて多層積層フィルムを得た。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
(実施例5)
積層数を31層(A層が16層、B層が15層)としたこと以外は実施例1と同様の条件にて多層積層フィルムを得た。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
(実施例6)
約5%の幅方向リラックスを行なったこと以外は実施例1と同様の条件にて多層積層フィルムを得た。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
(実施例7)
熱可塑性樹脂Bとして、ポリスチレン(GPPS HF77、PSジャパン(株))を用い、積層数を31層(A層が16層、B層が15層)、縦延伸倍率を2.3倍、150℃で熱処理を施し、約5%の幅方向リラックスを行なったこと以外は実施例1と同様の条件にて多層積層フィルムを得た。得られた多層積層フィルムは、真正面だけでなくフィルム全体で干渉色がほとんど見えないものであった。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
(実施例8)
熱可塑性樹脂AとしてIV=0.65のポリエチレンテレフタレートを用い、また熱可塑性樹脂BとしてDurastar DS2010(イーストマンケミカル社製)を用いた。熱可塑性樹脂AおよびBを、それぞれの押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が熱可塑性樹脂A/熱可塑性樹脂B=1/1.07になるように計量しながら、251層フィードブロックにて合流させて、厚み方向に交互に251層積層(A層が126層、B層が125層)され、A層とB層の層厚みは、表層から反対側の表層に向かって、光学厚みが200nmから300nmへ連続的に変化するように積層した。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、90℃、延伸倍率2.7倍、延伸速度100%/sで縦延伸を行い、両端部をクリップで把持するテンターに導き110℃、4.2倍横延伸した後、230℃で熱処理を施し、約5%の幅方向リラックスを実施し、厚み56μmの多層積層フィルムを得た。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
(実施例9)
熱可塑性樹脂Bとしてポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジメタノール成分を全ジオールに対して33mol%共重合したポリエチレンテレフタレート)を用い、積層数を401層(A層が201層、B層が200層)、フィルム厚みを90μmとしたこと以外は実施例8と同様の条件にて多層積層フィルムを得た。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
(実施例10)
積層数を601層(A層が301層、B層が300層)、フィルム厚みを130μmとしたこと以外は実施例8と同様の条件にて多層積層フィルムを得た。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
(実施例11)
縦延伸温度を80℃、縦延伸速度を200%/sとしたこと以外は実施例9と同様の条件にて多層積層フィルムを得た。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
(実施例12)
B層としてポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジメタノール成分を全ジオールに対して33mol%共重合したポリエチレンテレフタレート)に20wt%ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製トレコン1100S)をコンパウンドしたものを用いたこと以外は実施例11と同様の条件にて多層積層フィルムを得た。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
(実施例13)
熱可塑性樹脂AとしてIV=0.65のポリエチレンテレフタレートを用い、また熱可塑性樹脂Bとしてポリスチレン(GPPS HF77、PSジャパン(株))を用いた。熱可塑性樹脂AおよびBを、それぞれの押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が熱可塑性樹脂A/熱可塑性樹脂B=1/1.07になるように計量しながら、401層フィードブロックにて合流させて、厚み方向に交互に401層積層(A層が201層、B層が200層)され、A層とB層の層厚みは、表層から反対側の表層に向かって、光学厚みが200nmから300nmへ連続的に変化するように積層した。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、80℃、延伸倍率2.3倍、延伸速度300%/sで縦延伸を行い、両端部をクリップで把持するテンターに導き110℃、4.2倍横延伸した後、150℃で熱処理を施し、約5%の幅方向リラックスを実施し、厚み90μmの多層積層フィルムを得た。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
(実施例14)
最表層のA層の厚みを20μmとし、フィルム厚みを130μmとしたこと以外は、実施例9と同様の条件にて多層積層フィルムを得た。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
(比較例1)
熱可塑性樹脂AとしてIV=0.65のポリエチレンテレフタレートを用い、また熱可塑性樹脂Bとしてポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジメタノール成分33mol%を共重合したポリエチレンテレフタレート)を用いた。熱可塑性樹脂AおよびBを、それぞれの押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が熱可塑性樹脂A/熱可塑性樹脂B=1/1.07になるように計量しながら、11層フィードブロックにて合流させて、厚み方向に交互に11層積層(A層が6層、B層が5層)された積層体とした。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、90℃、延伸倍率3.5倍、延伸速度100%/sで縦延伸を行い、両端部をクリップで把持するテンターに導き110℃、3.5倍横延伸した後、230℃で熱処理を施し、約2%の幅方向リラックスを実施し、厚み80μmの多層積層フィルムを得た。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
(比較例2)
熱可塑性樹脂AとしてIV=0.65のポリエチレンテレフタレートを用い、また熱可塑性樹脂BとしてDurastar DS2010(イーストマンケミカル社製)を用いた。熱可塑性樹脂AおよびBを、それぞれの押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が熱可塑性樹脂A/熱可塑性樹脂B=1/1.07になるように計量しながら、251層フィードブロックにて合流させて、厚み方向に交互に251層積層(A層が126層、B層が125層)され、A層とB層の層厚みは、表層から反対側の表層に向かって、光学厚みが200nmから300nmへ連続的に変化するように積層した。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、90℃、延伸倍率3.5倍、延伸速度100%/sで縦延伸を行い、両端部をクリップで把持するテンターに導き110℃、3.5倍横延伸した後、230℃で熱処理を施し、約2%の幅方向リラックスを実施し、厚み56μmの多層積層フィルムを得た。物性結果を表1に、各種条件を表2にまとめた。
Figure 0005867203
Figure 0005867203
本発明は、多層積層フィルム及びその製造方法に関するものである。また本発明の多層積層フィルムは、建材・自動車用の窓及び窓部材として好適なものである。
1:多層積層フィルム
2:入射光
3:遅相軸
4:進相軸
5:入射光の進相軸方向への傾斜角度
6:入射光の遅相軸方向への傾斜角度
7:遅相軸方向
8:進相軸方向
9:厚み方向

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂からなる層(A層)と少なくともA層を構成する樹脂とは異なる性質を有する熱可塑性樹脂からなる層(B層)が交互にそれぞれ10層以上積層されてなり、入射角0°における波長590nmにおけるレタデーションが1700nm以上であり、波長400nm〜800nmの範囲における平均透過率が80%以上であることを特徴とする多層積層フィルム。
  2. 150℃雰囲気下で30分間処理した際の長手方向の熱収縮率Tmdと幅方向の熱収縮率Ttdの比Ttd/Tmdが0.8以上、1.2以下であることを特徴とする請求項1に記載の多層積層フィルム。
  3. 入射角0°から50°の角度の範囲にわたって波長590nmにおけるレタデーションが1700nm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の多層積層フィルム。
  4. 波長800nm〜1200nmの範囲のうち、300nmの波長範囲にわたって平均反射率が80%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多層積層フィルム。
  5. 配向方向に対して垂直方向における、厚みのムラが3%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多層積層フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の多層積層フィルムを具備した窓部材。
  7. 第一のガラスと、第一の中間膜と、請求項1〜5のいずれかに記載の多層積層フィルムと、第二の中間膜と、第二のガラスとが、この順に積層された合わせガラス。
  8. レタデーションが1000nm以上である透明なフィルムが、第一のガラスと第一の中間膜との間、第二のガラスと第二の中間膜との間の少なくともいずれかの場所にさらに積層されている請求項7記載の合わせガラス。
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