JP5865655B2 - カーボンナノホーンの製造方法、フッ素化カーボンナノホーン、及び、その製造方法 - Google Patents

カーボンナノホーンの製造方法、フッ素化カーボンナノホーン、及び、その製造方法 Download PDF

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本発明は、カーボンナノホーンの製造方法、フッ素化カーボンナノホーン、及び、その製造方法に関する。
フッ素ガスは、エネルギー産業におけるウラン濃縮時のUFの合成や、撥水撥油剤、リチウム電池活物質、半導体製造用フルオロポリマー、高分子材料用添加剤、医薬中間体等の工業的に有用な機能性材料の合成に、従来から利用されており、その使用量は年々増加の一途をたどっている。
さらにまた、フッ素ガスは、次世代の半導体、液晶製造用ドライエッチャント、クリーニング用ガス、CVD用ガスとしての発展が強く期待されている。
しかしながら、フッ素ガスは極めて高い反応性、腐食性を有しており、その貯蔵や取扱いには極めて高い技術力を要する。例えば、このようなフッ素ガスを金属製のシリンダーに貯蔵する場合、安全性の確保のため、低圧下で、窒素等で希釈して充填する必要があった。また、上記シリンダーからフッ素ガスを取り出す際には、特殊な弁装置、減圧装置、安全装置等を何重にも施す必要があった。このため、フッ素ガスの利用は、経済性、生産性に欠けるものであった。
また、フッ素ガスを直接貯蔵するのではなく、使用時に反応や加熱等によりフッ素ガスを発生させて利用する方法が知られている。例えば、フッ化水素を含有する溶融塩の電解によりフッ素ガスを発生させたり、金属フッ化物をフッ素貯蔵材料として用い、金属フッ化物の熱分解によりフッ素ガスを発生させたりする方法が知られている。
しかしながら、これらの方法もまた、種々の設備が必要となり、安全性を確保する一方、経済性、生産性が低くなるといった問題があった。また、フッ素貯蔵量が低いといった問題があった。
近年、新素材として、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンが開発され、各種の分野でその利用が図られており、フッ素の貯蔵材料としての検討も行われている。
例えば、特許文献1には、カーボンナノチューブをフッ素化し、得られたフッ素化カーボンナノチューブを加熱して、フッ素ガスを取り出す方法が提案されている。
特許文献2には、フッ素化カーボンナノホーンをフッ素貯蔵材料として用いることが開示されており、フッ素化カーボンナノホーンを加熱または減圧することにより高純度のフッ素ガスを取り出すことができることが開示されている。
また、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンの吸着面積を増やすために開孔処理をすることも知られている(特許文献3)。特許文献4には、フッ素化開孔カーボンナノホーンを含む含フッ素貯蔵装置、及び、フッ素ガスの取り出し方法が開示されている。
特開2005−273070号公報 国際公開第2007/077823号パンフレット 特開2002−326032号公報 国際公開第2011/046139号パンフレット 特開平7−48110号公報 特開2005−60170号公報 特表2005−505481号公報 特開2009−242117号公報 特開2010−269302号公報
しかしながら、これらのカーボンナノホーンは、フッ素ガスの吸蔵率は改善されつつあるものの、フッ素ガス放出率は未だ低いものであった。
一方、カーボンナノチューブの製造時には、不要なカーボンナノ粒子やアモルファスカーボン粒子等の炭素不純物が発生する。これらの不純物を除去し、カーボンナノチューブを精製する方法として、酸化性ガスを用いて又は空気雰囲気下で、300〜1000℃程度で熱処理する方法が知られている(特許文献5〜9)。
しかしながら、従来の熱処理をカーボンナノホーンに適用した場合、カーボンナノホーンの構造が破壊されたり、かえって不要なカーボンナノ粒子やアモルファスカーボン粒子等の炭素不純物が増加し、フッ素ガスの放出率が改善されないといった問題があった。
本発明は、上記現状を鑑みて、フッ素ガスを多量に吸蔵することができ、フッ素ガス放出率が極めて高いカーボンナノホーンの製造方法を提供することを目的としたものである。
本発明は、反応容器内にカーボンナノホーンを設置する工程(A)、及び、酸素を1.0〜100質量%含む気体を流通させながら、反応容器内を室温から320℃以上に0.1〜5.0℃/分で昇温させる工程(B)を含むことを特徴とするカーボンナノホーンの製造方法である。
本発明のカーボンナノホーンの製造方法は、上記反応容器内にカーボンナノホーンを設置する工程(A)の前に、カーボンナノホーンを開孔処理する工程(C)を更に含むことが好ましい。
本発明はまた、上述のカーボンナノホーンの製造方法により得られたカーボンナノホーンをフッ素化したものであることを特徴とするフッ素化カーボンナノホーンでもある。
本発明はまた、上述のカーボンナノホーンの製造方法により得られたカーボンナノホーンをフッ素化する工程(D)を含むことを特徴とするフッ素化カーボンナノホーンの製造方法でもある。
本発明者らは、特定量の酸素流通下で、一定の温度ではなく、比較的ゆっくり昇温させながらカーボンナノホーンを加熱処理することにより、得られたカーボンナノホーンが、フッ素ガスを多量に吸蔵することができ、かつ、フッ素ガス放出率が増大することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、フッ素ガスを多量に吸蔵することができ、フッ素ガス放出率が極めて高いカーボンナノホーンを製造することができる。
図1は、実施例2のカーボンナノホーン精製後のTEM写真である。 図2は、実施例6のカーボンナノホーン精製後のTEM写真である。
本発明は、反応容器内にカーボンナノホーンを設置する工程(A)、及び、酸素を1.0〜100質量%含む気体を流通させながら、反応容器内を室温から320℃以上に0.1〜5.0℃/分で昇温させる工程(B)を含むことを特徴とするカーボンナノホーンの製造方法である。
本発明のカーボンナノホーンの製造方法においては、特定量の酸素流通下で、特定範囲の昇温速度でカーボンナノホーンを加熱する。このような精製処理をカーボンナノホーンに行うことにより、フッ素ガスを吸蔵させた際のカーボンナノホーンのフッ素ガス放出率を増大させることができる。
上記処理を行った場合に、フッ素ガス放出率が増大するのは、上記処理により、カーボンナノホーンの構造を破壊することなく、不純物を取り除くことができ、その結果、フッ素ガスの吸蔵量と放出率を増大させることができるためであると考えられる。
本発明のカーボンナノホーンの製造方法は、反応容器内にカーボンナノホーンを設置する工程(A)を有する。
上記反応容器としては、処理条件にて十分な耐熱性、耐腐食性を有する密閉容器であれば、特に限定されず、例えば、SUS製やニッケル製、モネル等のニッケル合金、石英、アルミナ等からなる容器が挙げられる。
反応容器内にカーボンナノホーンを設置する方法としては、特に限定されず、少量の場合は、白金製、SUS製、ニッケル製、モネル等のニッケル合金製、石英製、アルミナ製などのボートやトレイを用いて設置する方法が挙げられる。多量の場合は、ロータリーキルン、ダブルコーン、流動層、振動流動層のような、適宜攪拌機構を有する装置に設置することができる。
本発明に使用する、精製処理前のカーボンナノホーン(CNH)(粗カーボンナノホーン)は、できるだけ高純度のものが好ましいが、特に限定されず、ダリア型、つぼみ型、種型など公知のものを用いることができる。
具体的には、上記カーボンナノホーンとしては、レーザーアブレーション法により合成されたホーン長10〜20nm、ホーン端径2〜3nm程度の炭素原子のみから構成されているホーンが50〜100nm程度のダリアの花のような形状を有する二次粒子を形成しているカーボンナノホーン(日本電気(株)製)が挙げられる。
本発明のカーボンナノホーンの製造方法は、次いで、酸素を1.0〜100質量%含む気体を流通させながら、反応容器内を室温から320℃以上に0.1〜5.0℃/分で昇温させる工程(B)を有する。
所定量の酸素を含む気体を反応容器内に流通させながら、反応容器内を特定温度まで比較的ゆっくり加熱することにより、カーボンナノホーンに含まれる不純物を除去することができる。
流通させる気体に含まれる酸素の含有量は、1.0〜100質量%である。
酸素の含有量が少なすぎると、カーボンナノホーンに含まれる不純物を十分に除去できない。また、多すぎるとカーボンナノホーンの構造を破壊しかえって不純物が増加する。上記酸素の含有量は、5.0質量%以上が好ましく、40質量%以下が好ましい。
上記酸素を含む気体は、本発明の効果に影響を及ぼさない気体であれば、他の気体を含んでいてもよい。含んでもよい他の気体としては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノン、クリプトン等が挙げられる。なかでも、酸素と比重が近く均一に混合しやすい点で、窒素、アルゴンが好ましく、経済的な観点から窒素が更に好ましい。
上記酸素を含む気体を流通させる方法としては、特に限定されず、公知の方法であればよく、例えば、流通式反応容器を用いる方法が挙げられる。
上記酸素を含む気体の流速は、処理するカーボンナノホーンのスケールにもよるが、50〜1000ml/分であることが好ましい。例えば、1gスケールでは、50〜100ml/分がより好ましく、100gスケールでは、300〜500ml/分がより好ましい。
上記工程(B)では、反応容器内を室温から320℃以上に昇温させる。
本発明において、室温とは、具体的には、15〜35℃をいう。
昇温の最終的な温度が、低すぎるとカーボンナノホーンに含まれる不純物の除去が不十分となる。反応容器内の温度は、380℃以上に昇温させることが好ましい。
一方、高すぎるとカーボンナノホーンの構造を破壊するうえ、かえって不純物が増加するため、反応容器内の温度の上限は、430℃が好ましく、400℃がより好ましい。
また、昇温速度は、不純物の効率的な除去の観点から、0.1〜5.0℃/分である。
遅すぎると処理時間が長くなりすぎ経済的観点から好ましくなく、早すぎるとカーボンナノホーンにダメージを与え不純物が増加する。
昇温速度は、1.0℃/分以上が好ましく、2.0℃/分以下が好ましい。
上記昇温は、昇温プログラム設定可能な温調器を備えた電気炉等により行うとよい。
昇温後は、加熱を停止し、速やかに放冷して室温になってから、カーボンナノホーンを反応容器から取り出すのが好ましい。また、反応容器の熱容量が大きく速やかに放冷できない場合は、反応器内を窒素置換した後、窒素流通下放冷し室温になってからカーボンナノホーンを反応容器から取り出すのが好ましい。なお、速やかに放冷しない場合、処理が過度に進みかえって不純物が多くなるおそれがある。
本発明のカーボンナノホーンの製造方法は、上記反応容器内にカーボンナノホーンを設置する工程(A)の前に、カーボンナノホーンを開孔処理する工程(C)を更に有していてもよい。
カーボンナノホーンを開孔処理することにより、ホーン構造の外側だけでなく、内側にもフッ素ガスの吸蔵が可能となり、フッ素ガスの吸蔵量を増大させることができる。
カーボンナノホーンの開孔処理は、カーボンナノホーンを構成する壁部や先端部に、その炭素−炭素結合を部分的に切断して細孔を形成する処理である。
上記開孔処理としては、例えば、特開2002−326032号公報、特開2002−7217号公報等に記載される、酸化性物質を用いて処理する方法や、酸素雰囲気下で酸化処理する方法が挙げられる。
カーボンナノホーンを酸化性物質で処理する方法としては、具体的には、例えば、過酸化水素水を貯えた還流冷却器を備えたガラス容器中に、カーボンナノホーンを投入し、処理温度25〜100℃、処理時間1〜180分間の範囲内で、攪拌しながら加熱処理を行い、その後、濾過し、乾燥し、粉砕して、開孔処理したカーボンナノホーン(開孔カーボンナノホーンともいう)を得る方法が挙げられる。
なお、過酸化水素水の代わりに、硝酸、次亜塩素酸、ペルオキソ二硫酸等の酸化性物質を使用してもよい。
また、カーボンナノホーンとの親和性を改善するため、あらかじめカーボンナノホーンをエタノール等の有機溶媒に分散させ、その後、過酸化水素水で同様に処理してもよい。
また、カーボンナノホーンを酸素雰囲気下で酸化処理する方法としては、例えば、バッチ方式にて、酸素分圧1〜101kPaの酸素雰囲気下で、温度250〜700℃、1〜120分間の範囲内で、カーボンナノホーンを加熱して、開孔カーボンナノホーンを得る方法が挙げられる。
なお、一度に処理するカーボンナノホーン量が多い場合は、処理の効率性、均一性の観点から、酸素を流通させる方式、あるいは、ロータリーキルン、ダブルコーン、流動層、振動流動層のような、適宜攪拌機構を有するもので攪拌する方式で酸化処理を行うことが好ましい。
開孔カーボンナノホーンは、BET比表面積が1000〜1600m/gであることが好ましい。BET比表面積が上述の範囲内であると、より低い温度で多くのフッ素をすばやく吸蔵及び放出することができる。上記BET比表面積は、1300m/g以上がより好ましく、1400m/g以上が更に好ましい。
上記BET比表面積は、Quantachrome製Autosorb−1 MPを用いて測定して得られる値である。
開孔カーボンナノホーンは、ミクロ孔容積が0.3〜0.6cm/gであることが好ましい。ミクロ孔容積が上述の範囲内であると、放出フッ素ガスの純度、フッ素ガスの吸蔵及び放出のサイクル特性を損なわずにフッ素ガスの吸蔵量を増大させることができる。
上記ミクロ孔容積は、0.4〜0.6cm/gがより好ましい。
上記ミクロ孔容積は、Quantachrome製Autosorb−1 MPを用いて測定して得られる値である。
開孔カーボンナノホーンとしては、例えば、国際公開第2011/046139号パンフレットに開示されるものが好ましい。
このような本発明のカーボンナノホーンの製造方法により得られたカーボンナノホーンは、フッ素ガスの吸蔵量(貯蔵量ともいう)が高く、また、フッ素ガスの放出率も高い。
本発明の製造方法により得られたカーボンナノホーンに、フッ素ガスを吸蔵させる方法を説明する。なお、本明細書では、カーボンナノホーンにフッ素ガスを吸蔵させることを、カーボンナノホーンのフッ素化ともいう。
カーボンナノホーンのフッ素化は、カーボンナノホーンにフッ素ガスを直接接触させることにより行う。
カーボンナノホーンのフッ素化は、例えば、財団法人産業創造研究所紀要 Vol.25 No.3(通巻99号)2005年9月、p06〜p11、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリ(Journal of Physical Chemistry)B,108(28),9614−9618(2004)、又は、第32回炭素材料学会予稿集、2005年12月7日発行、p132〜133において開示された公知の方法で行うことができる。すなわち、ニッケルもしくはニッケルを含む合金、黒鉛等の、フッ素に耐食性を有する材料からなる反応器中に、上記で得られたカーボンナノホーンを封入し、フッ素ガスを導入して、フッ素ガスを吸蔵させる。
フッ素化反応圧力は、0.002〜1.0MPaであることが好ましい。低すぎるとフッ素化速度が遅くなり、高すぎると反応装置が大がかりとなり、生産性、経済性が低くなる。フッ素化反応圧力は、0.005〜0.5MPaがより好ましい。
用いるフッ素化用のガスの純度は高い方が好ましいが、フッ素濃度が1.0質量%以上であればよく、99質量%以下のチッ素やアルゴン、ヘリウムにより希釈されていてもよい。
フッ素化用のガスのフッ素濃度は、反応途中で随時変化させることができるが、反応終了時に、10質量%以上がより好ましく、99質量%以上が更に好ましい。
また、フッ素化用のガスは、テトラフルオロエタンやヘキサフルオロエタンのようなフルオロカーボン類、又は、フッ化水素、三フッ化窒素、三フッ化塩素、五フッ化ヨウ素等の無機フッ化物等や酸素、水蒸気などを含んでいても差し支えない。
フッ素化反応は、十分な容積を有する反応器においてバッチ式で行ってもよく、適宜、フッ素ガスを置換しながら行うセミバッチ式としてもよく、さらに、流通式で行ってもよい。また、一度に大量のカーボンナノホーンのフッ素化を行う場合は、反応を均一化するために反応器に適当な撹拌機構を設けることが好ましい。撹拌機構としては、各種撹拌翼による撹拌、反応器を機械的に回転あるいは振動させる方法、カーボンナノホーンの粉体層を気体の流通により流動させる方法等が用いられるが、過度の撹拌はカーボンナノホーンの構造を破壊するおそれがあるので注意しなければならない。
フッ素化反応温度は、−100℃〜500℃の範囲で生産性、経済性、安全性を考慮して選定すればよく、より好ましくは室温(25℃)〜350℃であり、更に好ましくは室温〜150℃である。反応温度が低すぎるとフッ素化の速度が遅くなり、高すぎるとカーボンナノホーンの分解反応が早くなるので、注意を要する。
反応時間は、反応方式、反応条件にもよるが、特に限定されず10秒間から100時間の範囲内で適宜設定することが望ましい。短すぎると十分なフッ素化を行うことが難しくなり、仕込んだカーボンナノホーンの一部のみしかフッ素化されず、カーボンナノホーンの利用効率が低くなる傾向にあり、また長くなりすぎると分解反応を助長するだけでなく、長時間を要するため工業的に生産効率が低くなる。
フッ素化したカーボンナノホーンは、フッ素原子と炭素原子の組成比F/C(モル比)が0.01〜0.60であることが好ましい。上記組成比において、フッ素原子の割合が少ないと、単位カーボンナノホーンあたりのフッ素ガス貯蔵量が少なくなるという問題があり、多すぎると単位カーボンナノホーンあたりのフッ素ガス貯蔵量は大きいものの、フッ素ガスの放出率が低くなるという問題がある。
上記組成比F/Cは、0.10以上がより好ましく、0.20以上が更に好ましい。
上記組成比F/Cは、フッ素化したカーボンナノホーンのフッ素ガス吸蔵量を、カーボンナノホーンのフッ素化前後の質量変化から求めた値である。
このような本発明のカーボンナノホーンの製造方法により得られたカーボンナノホーンをフッ素化したものである、フッ素化カーボンナノホーンもまた、本発明の一つである。
本発明のカーボンナノホーンの製造方法により得られたカーボンナノホーンをフッ素化する工程(D)を含むフッ素化カーボンナノホーンの製造方法もまた、本発明の一つである。
上記フッ素化する工程(D)は、上述したカーボンナノホーンをフッ素化する方法と同様の方法で行うことができる。
上記フッ素化カーボンナノホーンからフッ素ガスを放出させる方法としては、フッ素化カーボンナノホーンを加熱する方法、フッ素化カーボンナノホーンを減圧雰囲気下に置く方法、又は、これらを組み合わせる方法などが挙げられる。
上記フッ素化カーボンナノホーンを加熱する方法では、加熱することによりフッ素化したカーボンナノホーンを構成する炭素原子とフッ素原子との結合が切れ(脱フッ素化反応)、フッ素ガス(F)が放出される。
加熱温度は、常圧(大気圧)では30℃以上に保持すればよく、さらにはカーボンナノホーンのフッ素化温度よりも高い温度に保持することにより、より効果的にフッ素ガスを放出させることができる。
具体的には、加熱温度は、30〜550℃が好ましく、40〜450℃がより好ましい。加熱温度が高すぎると、熱分解によるフルオロカーボン不純物の発生量が多くなり、カーボンナノホーンの構造が変化して繰り返しの使用に支障をきたすことになる。一方、加熱温度が低すぎると、フッ素ガス放出速度が遅くなり、装置としての経済性を欠くことになる。
上記フッ素化カーボンナノホーンを減圧雰囲気下に置く方法において、減圧の程度は、より真空に近い方が効果的にフッ素ガスを放出させることができ、必要なフッ素量やガス圧力、フッ素ガス放出速度などを考慮して選択すればよいが、通常、減圧度は100kPa以下が好ましく、1Pa〜50kPaがより好ましい。
この減圧方法によれば、加熱する必要がないため、より安全性やエネルギー効率が高いだけでなく、不純物であるフルオロカーボンガスの発生をさらに少なくすることができる。
また、減圧雰囲気下で加熱する方法では、更に効率よく、不純物であるフルオロカーボンガスの発生を抑えて、フッ素ガスを放出させることができる。
具体的には、減圧の程度、必要なフッ素ガス圧力、フッ素ガス放出速度などを考慮して選択すればよいが、例えば、減圧雰囲気が1Pa〜50kPaの場合、加熱温度100〜550℃で適宜選択するとよい。
放出されたフッ素ガスは、不純物であるフルオロカーボンの量が極めて少ない。上記フッ素化したカーボンナノホーンから放出されたフッ素ガス中のF濃度は、99.995質量%以上であることが好ましく、99.999質量%以上であることがより好ましい。
また、上記フッ素化カーボンナノホーンにおいて、放出可能なフッ素ガスの量(放出割合)は、フッ素ガス吸蔵量(フッ素化量)の99質量%以上である。
このように本発明の製造方法により得られるカーボンナノホーンは、フッ素ガスの吸蔵量が高く、フッ素ガスの放出率も高いものである。
このため、本発明の製造方法により得られるカーボンナノホーンは、フッ素貯蔵材料としてフッ素貯蔵装置に適用することができる。
上記フッ素貯蔵装置は、多量のフッ素ガスを貯蔵でき、また安全かつ効率的に高純度のフッ素ガスを取り出すことができるため、フッ素ガスを必要とする様々な産業において高い利用可能性を有する。とりわけ、フッ素ガスを使用する半導体用途の様々なプロセスや医薬中間体等の精密な合成反応において利用が期待できる。
上記フッ素貯蔵装置は、上記カーボンナノホーン、上記カーボンナノホーンを収容する容器、及び、バルブからなることが好ましい。
上記カーボンナノホーンを収容する容器としては、ニッケル、銅、真鍮、モネル合金、ステンレス等の金属製の容器が挙げられる。容器の形状は、円筒状であることが好ましい。また、容器の周囲に電熱線等の加熱手段を設置してもよい。
具体的な容器としては、フッ素貯蔵ボンベ、フッ素貯蔵カートリッジなどの移動可能な貯蔵容器などが例示できるが、これらのみに限定されるものではない。
また、上記フッ素貯蔵装置において、上記カーボンナノホーンの代わりに、フッ素化カーボンナノホーンを使用してもよい。
フッ素化カーボンナノホーンを備えたフッ素貯蔵装置においては、上記カーボンナノホーンにフッ素ガスを吸蔵させて、フッ素化カーボンナノホーンをあらかじめ製造した後、上記容器に収容してもよいし、上記容器内に上記カーボンナノホーンを収容した後、該容器内でフッ素化してフッ素化カーボンナノホーンを製造してもよい。
容器内でカーボンナノホーンの粉塵の飛散を防止するため、また、充分なカーボンナノホーンの収容量とフッ素ガス放出速度を確保するために、あらかじめ上記カーボンナノホーンを、造粒したり、ローラーコンパクター等を用いて錠剤成形したり、金属あるいは少なくとも表面が金属フッ化物から構成される粒子、繊維、シート、多孔質体に担持させたり、フッ素樹脂に配合し、フィルム状、フィルター状に成形してもよい。
また、上記フッ素貯蔵装置のフッ素ガス放出の効率と速度を上げるため、上記容器の内部に、上記カーボンナノホーンをあらかじめ収納した多数のトレイ、カートリッジを設置することができる。
上記容器内でフッ素化する方法では、一つの装置で繰り返しフッ素ガスの貯蔵(フッ素化)と放出(取り出し)を容易に行うことができる。
本発明のカーボンナノホーンの製造方法により得られるカーボンナノホーンを用いたフッ素貯蔵装置は、フッ素ガスの放出率が非常に高いものである。また、フッ素ガスの吸蔵と放出を容易に繰り返し行うことができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
<カーボンナノホーンの調製>
カーボンナノホーンとして、二酸化炭素レーザーアブレーション法により合成されたホーン長10〜20nm、ホーン端径2〜3nm程度の炭素原子のみから構成されており、ホーンが50nm〜100nm程度のダリアの花のような形状を有する二次粒子を形成しているカーボンナノホーンで、純度90重量%以上のもの(日本電気(株)製)を用意した。
(カーボンナノホーンの開孔処理)
1Lガラス製三角フラスコに上述のカーボンナノホーン10gと30%過酸化水素水400gを仕込み、攪拌しながら1Lガラス製三角フラスコを加熱した。反応終了後、三角フラスコを室温まで冷却し、真空ろ過器を用いて過酸化水素水とカーボンナノホーンとを分離した。分離したカーボンナノホーンをガラス製フラスコに封入し乾燥した。乾燥終了後、フラスコを開放し、得られた開孔カーボンナノホーンをガラス製容器内に保存した。
(カーボンナノホーンの精製処理)
上記で得られた開孔カーボンナノホーン約2gをニッケル製反応器(内容積約2000cm)に封入し、空気ボンベ(エア・リキード社製、純度99%、酸素濃度23質量%)から乾燥空気を流速300ml/分で流通させながら、25℃から380℃まで1.0℃/分で昇温し、規定温度に到達後、ただちに反応器内を窒素置換するとともに、加熱を中止し放冷した。約12時間かけて35℃以下まで冷却した後、反応器を開放し、処理後のカーボンナノホーンをガラス製容器内に保存した。
<フッ素ガスの吸蔵(カーボンナノホーンのフッ素化)>
上述の精製処理を行ったカーボンナノホーン146.5mgをニッケル製の皿に載せ、ニッケル製反応容器(内容積約200cm)に封入し、まず、反応器内部に高純度窒素ガスを流速100ml/分以下にて流通させて反応器内の空気を十分に置換した。その後、室温にて高純度フッ素ガス(関東電化工業(株)製、純度99.5%)と高純度窒素ガスの混合ガス(フッ素濃度:15容積%以下)を流速100ml/分以下で流通させた。
フッ素ガス吸蔵に伴う発熱が収束し安定となってから、上記フッ素ガスを流通しながら反応器を40℃まで加熱した。反応器内温度が安定したところで、フッ素ガスの濃度を、反応温度の急激な上昇に留意しながら100%まで徐々に上げた。その後、フッ素ガスの流通を中止して反応器の圧力変化を監視し、1時間で0.5kPa以下の圧力変化となったことを確認し、フッ素ガス貯蔵の終点とした。反応終了後35℃以下まで放冷してから高純度窒素ガスを流速100ml/分で10分流通させて反応器内部に残存するフッ素ガスを十分に置換したのち反応器を開放し、質量226.8mgの濃緑色を呈するフッ素化カーボンナノホーンを得、ガラス製容器内に保存した。
このフッ素化カーボンナノホーンのフッ素ガス吸蔵量を質量変化から計算すると、FとCのモル比(F/C)が0.38、カーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス吸蔵量[F(g)/CNH(g)]が0.59であった。また、XPS測定によると、F/Cは0.34となった。
<フッ素ガスの放出(フッ素ガスの取り出し)>
内容積約200cmのニッケル製反応器内部に、上記にて得られたフッ素化カーボンナノホーン201mgを封入し、反応器内部を、液体窒素トラップを経由して接続した耐薬品性仕様のドライ真空ポンプにて約0.1kPaまで減圧した。減圧下、反応器を室温(27℃)で8.0時間保持し、フッ素ガスを放出させた。
<放出ガス中のフッ素ガス(F)濃度測定>
放出ガスをフッ化バリウム単結晶の窓を有するガスセル(直径15mm、長さ80mm、内容積1.8ml)に導入し、紫外可視分光光度計(V630型、日本分光(株)製)にて波長283nmのフッ素ガスに帰属される吸収スペクトルを予め用意した検量線をもとに解析し、発生フッ素ガス量を定量したところ、82.3mgのフッ素を放出している事が判明した。これをカーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス放出量[F(g)/CNH(g)]に換算すると0.65であった。カーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス吸蔵量に対するフッ素ガス放出量の比を放出率として示すと109%であった。この値は100%を超えるが、測定誤差を勘案すると吸蔵したフッ素のほぼ全量が放出されたと考えられる。
<放出ガス中の不純物の定量分析>
セレン化亜鉛単結晶の窓を有するガスセル(直径40mm、長さ100mm、内容積125ml)を備えたフーリエ変換式赤外分光光度計(FT−IR、IG−1000型 大塚電子(株)製)に直接発生ガスを導入し、装置内蔵の検量線と解析機構によってフッ素ガス以外の不純物成分を、昇温に伴い経時的に定性定量分析した。
50℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:0.0ppm、HF:70.4ppm、CO:159.9ppm、CO:0.0ppm、C:0.5ppm、COF:0.0ppmであった。
100℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:0.1ppm、HF:117.4ppm、CO:39.9ppm、CO:0.0ppm、C:0.8ppm、COF:0.0ppmであった。
200℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:0.6ppm、HF:157.9ppm、CO:499.9ppm、CO:0.0ppm、C:1.4ppm、COF:0.0ppmであった。
以上より、高純度のフッ素ガスが発生している事が確認された。
(実施例2)
実施例1の(カーボンナノホーンの精製処理)において、処理の最終到達温度を380℃から400℃に変更し、昇温速度を1.0℃/分から1.5℃/分に変更し、<フッ素ガスの放出(フッ素ガスの取り出し)>において、保持温度を室温から、100℃まで段階的に昇温する(0.5℃/分で室温から50℃まで昇温し2.5時間保持した。その後、75℃まで0.6℃/分で昇温し1.1時間保持した。更にその後、100℃まで0.4℃/分で昇温し1.0時間保持した)ように変更した。それ以外は、実施例1と同様の操作により、フッ素ガスの吸蔵・放出実験を行った。
吸蔵の工程で、質量238.7mgの濃緑色を呈するフッ素化カーボンナノホーンを得た。このフッ素化カーボンナノホーンのフッ素ガス吸蔵量を質量変化から計算すると、FとCのモル比(F/C)が0.33、カーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス吸蔵量[F(g)/CNH(g)]が0.52であった。また、XPS測定によると、F/Cは0.52であった。
放出の工程では、フッ素ガス放出量は62.4mgであった。この値をカーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス放出量[F(g)/CNH(g)]に換算すると0.47であった。カーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス吸蔵量に対するフッ素ガス放出量の比を放出率として示すと90.1%であった。
FT−IRによる不純物定量結果については、100℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:0.03ppm、HF:0.0ppm、CO:93.8ppm、CO:0.0ppm、C:0ppm、COF:2.3ppmであった。この結果より、高純度のフッ素ガスが発生している事が確認された。
(実施例3)
実施例1の(カーボンナノホーンの精製処理)において、処理の最終到達温度を380℃から430℃に変更し、昇温速度を1.0℃/分から1.5℃/分に変更し、<フッ素ガスの放出(フッ素ガスの取り出し)>において、保持温度を室温から、200℃まで段階的に昇温する(1℃/分で室温から50℃まで昇温し2.5時間保持した。その後、100℃まで1℃/分で昇温し1.5時間保持した。更にその後、200℃まで1℃/分で昇温し2.5時間保持した)ように変更した。それ以外は、実施例1と同様の操作により、フッ素ガスの吸蔵・放出実験を行った。
吸蔵の工程で、質量236.9mgの濃緑色を呈するフッ素化カーボンナノホーンを得た。このフッ素化カーボンナノホーンのフッ素ガス吸蔵量を質量変化から計算すると、FとCのモル比(F/C)が0.35、カーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス吸蔵量[F(g)/CNH(g)]が0.55であった。また、XPS測定によると、F/Cは0.38であった。
放出の工程では、フッ素ガス放出量は72.6mgであった。この値をカーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス放出量[F(g)/CNH(g)]に換算すると0.57であった。カーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス吸蔵量に対するフッ素ガスの放出量の比を放出率として示すと104.0%であった。測定誤差を勘案すると吸蔵したフッ素のほぼ全量が放出されたと考えられる。
FT−IRによる不純物定量結果については、50℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:0.7ppm、HF:67.4ppm、CO:26.1ppm、CO:0.0ppm、C:0.8ppm、COF:0.0ppmであった。
100℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:0.9ppm、HF:97.3ppm、CO:392ppm、CO:0.0ppm、C:1.3ppm、COF:0.0ppmであった。
200℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:1.2ppm、HF:63.9ppm、CO:493ppm、CO:0.0ppm、C:1.9ppm、COF:16.5ppmであった。
以上の結果より、高純度のフッ素ガスが発生している事が確認された。
(実施例4、5)
実施例3の再現性を確認するため、同一ロットの開孔処理済みカーボンナノホーンを用い、カーボンナノホーンの精製処理、フッ素ガスの吸蔵、フッ素ガスの放出の各工程を、同じ条件で2回更に行った。これらを実施例4及び5として、結果を表1に併せて示した。
(実施例6)
実施例2の(カーボンナノホーンの精製処理)の工程において、昇温速度を1.5℃/分から1.4℃/分に変更し、昇温条件下での空気処理完了後、「ただちに反応器内を窒素置換」を行わずに、「空気流通下のまま、約12時間かけて自然放冷」した以外は、実施例2と同様に操作して、フッ素ガス吸蔵・放出実験を行った。
吸蔵の工程で、質量12.9gの濃緑色を呈するフッ素化カーボンナノホーンを得た。このフッ素化カーボンナノホーンのフッ素ガス吸蔵量を質量変化から計算すると、FとCのモル比(F/C)は0.39、カーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス吸蔵量[F(g)/CNH(g)]は0.61であった。また、XPS測定によると、F/Cは0.40であった。
放出の工程では、フッ素ガス放出量は48.8mgであった。この値をカーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス放出量[F(g)/CNH(g)]に換算すると0.39であった。カーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス吸蔵量との比を放出率として示すと、64.1%であった。
(比較例1)
実施例1において、(カーボンナノホーンの精製処理)を行わなかった以外は、実施例1と同様の操作により、フッ素ガス吸蔵・放出実験を行った。
吸蔵の工程で、質量236.4mgの濃緑色を呈するフッ素化カーボンナノホーンを得た。
得られたフッ素化カーボンナノホーンのフッ素ガス吸蔵量を質量変化から計算すると、FとCのモル比(F/C)が0.29、カーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス吸蔵量[F(g)/CNH(g)]が0.47であった。また、XPS測定によると、F/Cは0.28であった。
放出の工程では、フッ素ガス放出量は4.2mgであった。この値をカーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス放出量[F(g)/CNH(g)]に換算すると0.02であった。カーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス吸蔵量に対するフッ素ガス放出量の比を放出率として示すと4.3%であった。
表1に、上記実施例及び比較例の結果をまとめて示した。表1から、本発明のカーボンナノホーンの精製処理を行った、実施例のカーボンナノホーンは、精製処理を行わなかった比較例1と比較して、フッ素ガス放出率が非常に高いことが分かる。
実施例2、3、6及び比較例1の、(カーボンナノホーンの精製処理)後に得られたカーボンナノホーンの物性について、表2に示した。各測定方法は以下のとおりである。
(BET比表面積、ミクロ孔容積、メソ孔容積、吸着熱)
装置:Qutantachrome製のAutosorb−1 MP
測定方法:試料を20mg程度測定セルに導入し、482Kで真空加熱処理後、77Kでプローブガスとし、純度99.99995%以上の純窒素ガスを用い、容量法にて測定した。測定データを、BET比表面積についてはBET法にて解析し、ミクロ孔容積、メソ孔容積についてはDR法により算出した。吸着熱は、異なる温度で測定した吸着等温線からクラジウス−クラペイロンの式を用いて算出した。
測定条件:482Kで真空加熱処理後、77Kでの窒素吸着等温測定。
実施例2及び6の精製処理後に得られたカーボンナノホーンを、TEM(日本電子(株)社製JEM−2010F、倍率150万倍)により観察した。実施例2と実施例6の精製処理後のカーボンナノホーンのTEM写真を、それぞれ図1及び図2に示す。
実施例2のカーボンナノホーンは、不純物の付着が殆ど観察されず、きれいなホーン構造が観察された。一方、実施例6のカーボンナノホーンは、不純物が多く付着しており、ホーン構造に一部崩壊が観察された。
この結果から、実施例6では、空気流通下自然放冷したため速やかに空気処理を終了できず空気処理が過度に進行し、その結果、カーボンナノホーンのホーン構造にダメージを与え、不純物が増えたと考えられる。従って、カーボンナノホーン中の不純物量の増加およびカーボンナノホーンの構造の崩壊により、実施例6は実施例2と比較して、フッ素ガス放出率が低下したと推測される。
本発明によれば、フッ素ガスを多量に吸蔵することができ、フッ素ガスの放出率が極めて高いカーボンナノホーンを製造することができる。

Claims (4)

  1. 反応容器内にカーボンナノホーンを設置する工程(A)、及び、酸素を5.0〜40質量%含む気体を流通させながら、反応容器内を室温から320℃以上に1.0〜2.0℃/分で昇温させる工程(B)を含む
    ことを特徴とするカーボンナノホーンの製造方法。
  2. 反応容器内にカーボンナノホーンを設置する工程(A)の前に、カーボンナノホーンを開孔処理する工程(C)を更に含む請求項1記載のカーボンナノホーンの製造方法。
  3. 前記工程(B)の後に、反応容器内を窒素置換し、窒素流通下、室温まで放冷する工程を更に含む請求項1又は2記載のカーボンナノホーンの製造方法。
  4. 請求項1、2又は3記載のカーボンナノホーンの製造方法により得られたカーボンナノホーンをフッ素化する工程(D)を含む
    ことを特徴とするフッ素化カーボンナノホーンの製造方法。
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