JP2013075812A - 組成物、及び、フッ素ガス放出方法 - Google Patents

組成物、及び、フッ素ガス放出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フッ素ガスの放出率が極めて高い、フッ素化カーボンナノホーンを含む組成物を提供する。
【解決手段】フッ素化カーボンナノホーン、及び、金属フッ化物を含むことを特徴とする組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素化カーボンナノホーンを含む組成物、及び、フッ素ガス放出方法に関する。
フッ素ガスは、エネルギー産業におけるウラン濃縮時のUFの合成や、撥水撥油剤、リチウム電池活物質、半導体製造用フルオロポリマー、高分子材料用添加剤、医薬中間体等の工業的に有用な機能性材料の合成に、従来から利用されており、その使用量は年々増加の一途をたどっている。
さらにまた、フッ素ガスは、次世代の半導体、液晶製造用ドライエッチャント、クリーニング用ガス、CVD用ガスとしての発展が強く期待されている。
しかしながら、フッ素ガスは極めて高い反応性、腐食性を有しており、その貯蔵や取扱いには極めて高い技術力を要する。例えば、このようなフッ素ガスを金属製のシリンダーに貯蔵する場合、安全性の確保のため、低圧下で、窒素等で希釈して充填する必要があった。また、上記シリンダーからフッ素ガスを取り出す際には、特殊な弁装置、減圧装置、安全装置等を何重にも施す必要があった。このため、フッ素ガスの利用は、経済性、生産性に欠けるものであった。
また、フッ素ガスを直接貯蔵するのではなく、使用時に反応や加熱等によりフッ素ガスを発生させて利用する方法が知られている。例えば、フッ化水素を含有する溶融塩の電解によりフッ素ガスを発生させたり、金属フッ化物をフッ素貯蔵材料として用い、金属フッ化物の熱分解によりフッ素ガスを発生させたりする方法が知られている。
しかしながら、これらの方法もまた、種々の設備が必要となり、安全性を確保する一方、経済性、生産性が低くなるといった問題があった。
近年、新素材として、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンが開発され、各種の分野でその利用が図られており、フッ素の貯蔵材料としての検討も行われている。
例えば、特許文献1には、カーボンナノチューブをフッ素化し、得られたフッ素化カーボンナノチューブを加熱して、フッ素ガスを取り出す方法が提案されている。
特許文献2には、フッ素化カーボンナノホーンをフッ素貯蔵材料として用いることが開示されており、フッ素化カーボンナノホーンを加熱または減圧することにより高純度のフッ素ガスを取り出すことができることが開示されている。
また、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンの吸着面積を増やすために開孔処理をすることも知られている(特許文献3)。特許文献4には、フッ素化開孔カーボンナノホーンを含む含フッ素貯蔵装置、及び、フッ素ガスの取り出し方法が開示されている。
特開2005−273070号公報 国際公開第2007/077823号パンフレット 特開2002−326032号公報 国際公開第2011/046139号パンフレット
しかしながら、従来のフッ素化カーボンナノチューブからフッ素ガスを取り出す方法では、フッ素ガスの放出量が低く、充分に放出できていなかった。また、放出されたフッ素ガスには、不純物が多く含まれていた。また、従来のカーボンナノホーンは、フッ素ガスの吸蔵率は改善されつつあるものの、フッ素ガス放出率は未だ低いものであった。
本発明は、上記現状を鑑みて、フッ素ガスの放出率が極めて高い、フッ素化カーボンナノホーンを含む組成物を提供することを目的としたものである。
本発明は、フッ素化カーボンナノホーン、及び、金属フッ化物を含むことを特徴とする組成物である。
上記金属フッ化物は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、フッ化ベリリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、及び、フッ化スカンジウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明はまた、フッ素化カーボンナノホーンからフッ素ガスを放出させる方法であって、金属フッ化物の存在下でフッ素化カーボンナノホーンを加熱する工程を有することを特徴とするフッ素ガス放出方法でもある。
本発明者らは、フッ素化カーボンナノホーンを、金属フッ化物と混合して加熱することにより、フッ素化カーボンナノホーンのフッ素ガス放出率を格段に向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下に、本発明を詳述する。
本発明によれば、フッ素ガスの放出率が極めて高い、フッ素化カーボンナノホーンを含む組成物を提供することができる。
本発明は、フッ素化カーボンナノホーン、及び、金属フッ化物を含む組成物である。
フッ素化カーボンナノホーンは、カーボンナノホーンにフッ素ガスを吸蔵させたものである。本明細書では、カーボンナノホーンにフッ素ガスを吸蔵させることを、カーボンナノホーンをフッ素化するともいう。
本発明で使用するカーボンナノホーンとしては、例えば、レーザーアブレーション法により合成されたホーン長10〜20nm、ホーン端径2〜3nm程度の炭素原子のみから構成されているホーンが50〜100nm程度のダリアの花のような形状を有する二次粒子を形成しているナノ炭素材料(日本電気(株)製)等が挙げられる。
上記カーボンナノホーンは、開孔カーボンナノホーンであってもよい。
開孔カーボンナノホーンは、カーボンナノホーンを開孔処理したものである。開孔処理をすることにより、ホーン構造の外側だけでなく、内側にもフッ素ガス吸蔵が可能となり、カーボンナノホーンのフッ素ガスの吸蔵量を増大させることができる。
カーボンナノホーンの開孔処理は、カーボンナノホーンを構成する壁部や先端部に、その炭素−炭素結合を部分的に切断して細孔を形成する処理である。
上記開孔処理としては、例えば、特開2002−326032号公報、特開2002−7217号公報等に記載される、酸化性物質を用いて処理する方法や、酸素雰囲気下で酸化処理する方法が挙げられる。
カーボンナノホーンを酸化性物質で処理する方法としては、例えば、過酸化水素水を貯えた還流冷却器を備えたガラス容器中に、カーボンナノホーンを投入し、処理温度25〜100℃、処理時間1〜180分間の範囲内で、攪拌しながら加熱処理を行い、その後、濾過し、乾燥し、粉砕して、開孔カーボンナノホーンを得る方法が挙げられる。
なお、過酸化水素水の代わりに、硝酸、次亜塩素酸、ペルオキソ二硫酸等の酸化性物質を使用してもよい。
また、カーボンナノホーンとの親和性を改善するため、あらかじめカーボンナノホーンをエタノール等の有機溶媒に分散させ、その後、過酸化水素水で同様に処理してもよい。
また、カーボンナノホーンを酸素雰囲気下で酸化処理する方法としては、例えば、バッチ方式にて、酸素分圧1〜101kPaの酸素雰囲気下で、温度250〜700℃、1〜120分間の範囲内で、カーボンナノホーンを加熱して、開孔カーボンナノホーンを得る方法が挙げられる。
なお、一度に処理するカーボンナノホーン量が多い場合は、処理の効率性、均一性の観点から、酸素を流通させる方式で酸化処理を行うことが好ましい。
開孔カーボンナノホーンとしては、例えば、国際公開第2011/046139号パンフレットに開示されるものを使用することができる。
カーボンナノホーンのフッ素化は、例えば、財団法人産業創造研究所紀要 Vol.25 No.3(通巻99号)2005年9月、p06〜p11、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリ(Journal of Physical Chemistry)B,108(28),9614−9618(2004)、又は、第32回炭素材料学会予稿集、2005年12月7日発行、p132〜133において開示された公知の方法で行うことができる。すなわち、ニッケルもしくはニッケルを含む合金、黒鉛等の、フッ素に耐食性を有する材料からなる反応器中に、カーボンナノホーンを封入し、フッ素ガスを導入してカーボンナノホーンにフッ素ガスを吸蔵させるとよい。
フッ素化反応圧力は、0.002〜1.0MPaであることが好ましい。低すぎるとフッ素化速度が遅くなり、高すぎると反応装置が大がかりとなり、生産性、経済性が低くなる。フッ素化反応圧力は、0.005〜0.5MPaがより好ましい。
用いるフッ素化用のガスは、純度が高い方が好ましいが、フッ素濃度が1.0質量%以上であればよく、99質量%以下のチッ素やアルゴン、ヘリウムにより希釈されていてもよい。
フッ素化用のガスのフッ素濃度は、反応途中で随時変化させることができるが、反応終了時に10質量%以上がより好ましく、99質量%以上が更に好ましい。
また、フッ素化用のガスは、テトラフルオロエタンやヘキサフルオロエタンのようなフルオロカーボン類、又は、フッ化水素、三フッ化窒素、五フッ化ヨウ素等の無機フッ化物等や酸素、水蒸気などを含んでいても差し支えない。特に微量のフッ化水素の含有は、その触媒効果により反応速度を加速する効果があることが知られているので、積極的に添加してもよい。
フッ素化反応は、十分な容積を有する反応器においてバッチ式で行ってもよく、適宜、フッ素ガスを置換しながら行うセミバッチ式としてもよく、さらに、流通式で行ってもよい。また、一度に大量のカーボンナノホーンのフッ素化を行う場合は、反応を均一化するために反応器に適当な撹拌機構を設けることが好ましい。撹拌機構としては、各種撹拌翼による撹拌、反応器を機械的に回転あるいは振動させる方法、カーボンナノホーンの粉体層を気体の流通により流動させる方法等が用いられるが、過度の撹拌はカーボンナノホーンの構造を破壊するおそれがあるので注意しなければならない。
フッ素化反応温度は、−100℃〜500℃の範囲で生産性、経済性、安全性を考慮して選定すればよく、より好ましくは室温(25℃)〜350℃であり、更に好ましくは室温〜150℃である。反応温度が低すぎるとフッ素化の速度が遅くなり、高すぎるとカーボンナノホーンの分解反応が早くなるので、注意を要する。
反応時間は、反応方式、反応条件にもよるが、特に限定されず10秒間から100時間の範囲内で適宜設定することが望ましい。短すぎると充分なフッ素化を行うことが難しくなり、カーボンナノホーンの利用効率が低くなる傾向にあり、また長くなりすぎると分解反応を助長するだけでなく、長時間を要するため工業的に生産効率が低くなる。
得られたフッ素化カーボンナノホーンは、フッ素原子と炭素原子の組成比F/C(モル比)が0.01〜0.60であることが好ましい。上記組成比において、フッ素原子の割合が少ないと、単位カーボンナノホーンあたりのフッ素ガス貯蔵量が少なくなるという問題があり、多すぎると、単位カーボンナノホーンあたりのフッ素ガス貯蔵量は大きいもののフッ素ガス放出率が低くなるという問題がある。
上記組成比F/Cは、0.10以上がより好ましく、0.20以上が更に好ましい。
上記組成比は、フッ素化カーボンナノホーンのフッ素ガス吸蔵量を、カーボンナノホーンのフッ素化前後の質量変化から求めた値である。
上記フッ素化カーボンナノホーンの含有量は、本発明の組成物中0.01〜99.99質量%が好ましい。フッ素化カーボンナノホーンが少なすぎると、フッ素ガス貯蔵量が低くなるおそれがあり、多すぎると、フッ素ガスの放出が好適にできないおそれがある。上記含有量は、0.1質量%以上がより好ましく、99.9質量%以下がより好ましい。
本発明の組成物は、更に、金属フッ化物を含む。
金属フッ化物を混在させた状態でフッ素化カーボンナノホーンを加熱すると、熱伝導が良好な金属フッ化物の存在により、フッ素化カーボンナノホーンの加熱効率が向上する。その結果、フッ素化カーボンナノホーンからのフッ素ガスの放出量を増大させることができると推測される。また、金属フッ化物をフッ素化カーボンナノホーンに混在させ間隙をつくることで、フッ素ガスが放出されやすくなると推測される。このため、本発明の組成物は、フッ素ガスの放出率が高いと考えられる。
上記金属フッ化物としては、フッ素ガス吸蔵及び放出を実施しようとする温度範囲で分解、溶融、昇華等しない安定な固体であり、また、その温度範囲で酸化状態の変化を含めてフッ素ガスと実質的に反応しないものであれば特に限定されず、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、フッ化ベリリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化スカンジウム、フッ化ニッケル、フッ化銅、フッ化アルミニウム等を挙げることができる。
なかでも、上記金属フッ化物としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、フッ化ベリリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、及び、フッ化スカンジウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、フッ素化カーボンナノホーンから放出されたフッ素ガスと反応しない点で、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属元素のフッ化物がより好ましい。
上記アルカリ金属元素のフッ化物のなかでも、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウムが更に好ましく、吸湿性が低いため取り扱いが容易であり、かつ経済的な観点から、フッ化ナトリウムが特に好ましい。
上記金属フッ化物の形状は、特に限定されず、粉末状であってもよいし、ペレット状であってもよい。
また、条件によっては、少なくともその表面が安定な上記金属フッ化物に被覆された金属粒子も使用することができる。
上記金属粒子としては、ニッケル、銅、又は、アルミニウム等の金属粒子を例示できる。
上記金属フッ化物の含有量は、本発明の組成物中0.01〜99.99質量%であることが好ましい。
金属フッ化物の含有量が少なすぎると、金属フッ化物の効果が十分に得られず、フッ素ガスの放出率が低くなるおそれがあり、多すぎると、フッ素化カーボンナノホーンの量が少なくなるため組成物全体のフッ素ガス貯蔵量が少なくなるおそれがある。
上記含有量は、0.1質量%以上がより好ましく、99.9質量%以下がより好ましい。
本発明の組成物は、上述したフッ素化カーボンナノホーンと金属フッ化物の他に、本発明の効果に影響を与えない程度に、他の成分を含んでいてもよい。
本発明の組成物は、上述した成分を混合して調製することができる。混合の方法は、特に限定されず公知の方法であればよく、例えば、混合物を、ボールミル、ミキサー等攪拌機構を有するもので攪拌するとよい。
このように本発明の組成物は、フッ素化カーボンナノホーンと金属フッ化物とを含むため、フッ素ガス放出率が高いものである。
本発明の組成物から、フッ素ガスを放出させる方法としては、本発明の組成物を加熱する方法、本発明の組成物を減圧雰囲気下に置く方法、またはこれらを組み合わせる方法などが挙げられる。
本発明の組成物を加熱すると、本発明に含まれるフッ素化カーボンナノホーンが加熱され、フッ素化カーボンナノホーンを構成する炭素原子とフッ素原子との結合が切れ(脱フッ素化反応)、フッ素ガス(F)が放出される。
加熱温度は、常圧(大気圧)では30℃以上に保持すればよい。更に、カーボンナノホーンのフッ素化温度よりも高い温度に保持すると、より効果的にフッ素ガスを放出させることができる。
具体的には、加熱温度は、30〜550℃が好ましく、40〜450℃がより好ましい。加熱温度が高すぎると、熱分解によるフルオロカーボン不純物の発生量が多くなり、フッ素化カーボンナノホーンの構造が変化して繰り返しの使用に支障をきたすことになる。一方、加熱温度が低すぎると、フッ素ガス放出速度が遅くなり、装置としての経済性を欠くことになる。
加熱は、減圧雰囲気下で行うことが好ましい。減圧雰囲気下で加熱を行うことにより、更に効率良く、不純物であるフルオロカーボンガスの発生を抑えて、フッ素ガスを放出させることができる。
減圧の程度は、より真空に近い方が効果的にフッ素ガスを取り出すことができるが、必要なフッ素量やガス圧力、フッ素ガス放出速度などを考慮して適宜選択すればよい。通常は、100kPa以下が好ましく、0.1Pa〜50kPaがより好ましく、0.1Pa〜5.0kPaが更に好ましい。
減圧雰囲気下で加熱を行う方法としては、具体的には、例えば、減圧度が1Pa〜50kPaの場合、30〜550℃で加熱を行うとよい。
本発明の組成物から放出されたフッ素ガスは、不純物であるフルオロカーボンの量が極めて少ない。本発明の組成物から放出されたフッ素ガス中のF濃度は、99.995質量%以上であることが好ましく、99.999質量%以上であることがより好ましい。
また、本発明の組成物において、取り出せるフッ素ガスの量(放出割合)は、フッ素ガス貯蔵量(フッ素化量)の99質量%以上が可能である。
本発明の組成物は、フッ素ガスの放出率が非常に高いものである。
このため、本発明の組成物は、フッ素貯蔵材料として好適に使用することができる。また、本発明の組成物をフッ素貯蔵材料として、フッ素貯蔵装置に備えることができる。
フッ素貯蔵装置は、多量のフッ素ガスを貯蔵でき、また安全かつ効率的に高純度のフッ素ガスを取り出すことができる。このため、フッ素ガスを必要とする様々な産業において高い利用可能性を有する。とりわけ、フッ素ガスを使用する半導体用途の様々なプロセスや医薬中間体等の精密な合成反応において利用が期待できる。
上記フッ素貯蔵装置は、本発明の組成物からなるフッ素貯蔵材料、上記フッ素貯蔵材料を収容する容器、及び、バルブからなることが好ましい。
上記組成物を収容する容器としては、ニッケル、銅、真鍮、モネル合金、ステンレス等の金属製の容器が挙げられる。容器の形状は、円筒状であることが好ましい。また、容器の周囲に電熱線等の加熱手段を設置してもよい。
具体的な容器としては、フッ素貯蔵ボンベ、フッ素貯蔵カートリッジなどの移動可能な貯蔵容器などが例示できるが、これらのみに限定されるものではない。
上記フッ素貯蔵装置においては、カーボンナノホーンにフッ素ガスを吸蔵させて、フッ素化カーボンナノホーンをあらかじめ製造した後、金属フッ化物と混合して、上記容器に収容してもよいし、上記容器内に上記カーボンナノホーン及び金属フッ化物を収容した後、該容器内でフッ素化して、フッ素化カーボンナノホーンと金属フッ化物とを含む組成物を製造してもよい。
容器内でフッ素貯蔵材料の粉塵の飛散を防止するため、また、充分な充填量と放出速度を確保するために、あらかじめフッ素貯蔵材料を造粒したり、ローラーコンパクター等を用いて錠剤成形したり、金属あるいは少なくとも表面が金属フッ化物から構成される粒子、繊維、シート、多孔質体に担持させたり、フッ素樹脂に配合し、フィルム状、フィルター状に成形したりする方法などを採用することができる。
また、フッ素貯蔵材料からのフッ素ガス放出の効率と速度を上げるため、容器の内部に、フッ素貯蔵材料をあらかじめ収納した多数のトレイ、カートリッジを設置することができる。
装置内でフッ素化する方法では、一つの装置で繰り返しフッ素ガスの貯蔵(フッ素化)と放出(取り出し)を容易に行うことができる。
このように本発明の組成物は、金属フッ化物の存在下でフッ素化カーボンナノホーンを加熱してフッ素ガスを放出させるものである。このため、フッ素ガス放出率が非常に高いものである。
このような、フッ素化カーボンナノホーンからフッ素ガスを放出させる方法であって、金属フッ化物の存在下でフッ素化カーボンナノホーンを加熱する工程を有するフッ素ガス放出方法もまた、本発明の一つである。
上記金属フッ化物の存在下でフッ素化カーボンナノホーンを加熱する工程において、金属フッ化物としては、上述した、本発明の組成物に使用し得る金属フッ化物と同様のものが挙げられる。
フッ素化カーボンナノホーンとしては、上述した、本発明の組成物に使用し得るフッ素化カーボンナノホーンと同様のものが挙げられる。
金属フッ化物の存在下でフッ素化カーボンナノホーンを加熱する方法としては、金属フッ化物とフッ素化カーボンナノホーンとを均一に混合した混合物を調製し、これを加熱する方法が挙げられる。混合の方法としては、ボールミル等を用いて行う方法が挙げられる。
金属フッ化物の配合量は、フッ素化カーボンナノホーン1質量部に対して0.01〜100質量部であることが好ましい。フッ素ガスの放出率がより高くなる点で、0.1〜50質量部であることがより好ましい。
得られた混合物を加熱する方法としては、上述の、本発明の組成物からフッ素ガスを放出させる場合の加熱する方法と同様の方法が挙げられる。
このようなフッ素ガス放出方法によれば、フッ素化カーボンナノホーンのフッ素ガス放出を好適に行うことができる。また、放出されたフッ素ガスは、不純物が少なく、純度の高いものである。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
製造例1 フッ素化カーボンナノホーンの調製
カーボンナノホーン(CNH)として、二酸化炭素レーザーアブレーション法により合成されたホーン長10〜20nm、ホーン端径2〜3nm程度の炭素原子のみから構成されており、ホーンが50nm〜100nm程度のダリアの花のような形状を有する二次粒子を形成しているカーボンナノホーンであり、純度90重量%以上のもの(日本電気社製)を用いた。
<カーボンナノホーンの開孔処理>
1Lガラス製三角フラスコに上述のカーボンナノホーン10gと30%過酸化水素水400gを仕込み、攪拌しながら1Lガラス製三角フラスコを加熱した。反応終了後、三角フラスコを室温まで冷却し、真空ろ過器を用いて過酸化水素水とカーボンナノホーンを分離した。分離したカーボンナノホーンをガラス製フラスコに封入し乾燥した。乾燥終了後、フラスコを開放し、得られた開孔カーボンナノホーンをガラス製容器内に保存した。
<フッ素ガスの吸蔵(カーボンナノホーンのフッ素化)>
上記で得られた開孔カーボンナノホーン15.6gをニッケル製の皿に載せ、ニッケル製反応容器(内容積約2000cm)に封入した。そして、反応器内部に高純度窒素ガス(大陽日酸(株)社製、純度99.999%)を流速300ml/min以下にて流通させて、反応器内の空気を十分に置換した。その後、室温にて高純度フッ素ガス(関東電化工業(株)製 純度99.5%)と高純度窒素ガスとの混合ガス(フッ素濃度:15容積%以下)を流速100ml/min以下で流通した。フッ素ガス吸蔵に伴う発熱が収束し安定となってから、フッ素ガスを流通しながら反応器を40℃まで加熱した。反応器内温が安定したところで、フッ素ガスの濃度を、反応温度の急激な上昇に留意しながら100%まで徐々に上げた。その後、フッ素ガスの流通を中止して反応器の圧力変化を監視し、1時間で0.5kPa以下の圧力変化となったことを確認し、フッ素ガス貯蔵の終点とした。反応終了後35℃以下まで放冷してから、高純度窒素ガスを流速300ml/minで30分流通させて反応器内部に残存するフッ素ガスを十分に置換したのち反応器を開放し、質量24.9gの濃緑色を呈するフッ素化カーボンナノホーンを得、ガラス製容器内に保存した。
得られたフッ素化カーボンナノホーンのフッ素ガス吸蔵量は、質量変化から計算すると、FとCのモル比(F/C)は0.38であり、カーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス吸蔵量[F(g)/CNH(g)]は0.60であった。また、XPS測定によると、F/Cは0.52であった。
(実施例1)
製造例1で得られたフッ素化カーボンナノホーン0.267gと、フッ化ナトリウム2.51gとをふた付きの容器に封入し、ボールミルにて10分間攪拌し十分に混合して、フッ素化カーボンナノホーンを含む組成物(2.777g)を得た。
<フッ素ガスの放出(フッ素ガスの取り出し)>
内容積約200cmのニッケル製反応器内部に上記にて得られた組成物全量を封入し、反応器内部を、液体窒素トラップを経由して接続した耐薬品性仕様のドライ真空ポンプにて約0.1kPaまで減圧した。減圧を維持したまま、反応器を室温(約25℃)から100℃まで段階的に昇温し(室温で7.8時間保持した。その後0.6℃/minで室温から50℃まで昇温し、0.3時間保持した。更にその後、100℃まで1.8℃/minで昇温し、0.3時間保持した)、フッ素ガスを放出させた。
<放出ガス中のフッ素ガス(F)濃度測定>
放出ガスを、フッ化バリウム単結晶の窓を有するガスセル(直径15mm、長さ80mm、内容積1.8ml)に導入し、紫外可視分光光度計(V630型、日本分光社製)にて測定して得られた、波長283nmのフッ素ガスに帰属される吸収スペクトルを、予め用意した検量線をもとに解析して、発生フッ素ガス量を定量した。フッ素ガス放出量は、63.0mgであった。
この値をカーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス放出量[F(g)/CNH(g)]に換算すると0.38であった。カーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス吸蔵量に対するフッ素ガス放出量の比を放出率として示すと、62.3%であった。
<放出ガス中の不純物の定量分析>
セレン化亜鉛単結晶の窓を有するガスセル(直径40mm、長さ100mm、内容積125ml)を備えたフーリエ変換式赤外分光光度計(FT−IR、IG−1000型 大塚電子社製)に直接発生ガスを導入し、装置内蔵の検量線と解析機構によってフッ素ガス以外の不純物成分を、昇温に伴い経時的に定性定量分析した。
50℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:0.1ppm、HF:0ppm、CO:40.1ppm、CO:0ppm、C:0ppm、COF0ppmであった。
100℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:0.3ppm、HF:0ppm、CO:39.9ppm、CO:0.0ppm、C:0.8ppm、COF:0.0ppmであった。
以上より、高純度のフッ素ガスが発生している事が確認された。
(実施例2)
製造例1で得られたフッ素化カーボンナノホーン4.1gと、フッ化ナトリウム37.7gとを混合し、実施例1と同様にして、フッ素化カーボンナノホーンを含む組成物(41.8g)を得た。
この組成物について、<フッ素ガスの放出(フッ素ガスの取り出し)>において内容積約200cmのニッケル製反応器を内容積3000cmのSUS製反応容器に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、フッ素ガス放出実験を行った。
フッ素ガス放出量は、1.56gであった。この値をカーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス放出量[F(g)/CNH(g)]に換算すると0.56であった。カーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス吸蔵量に対するフッ素ガスの放出量の比を放出率として示すと、93.3%であった。
FT−IRによる不純物定量結果については、50℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:0.0ppm、HF:0.0ppm、CO:59.4ppm、CO:33.4ppm、C:0.0ppm、COF:0.0ppmであった。
100℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:0.0ppm、HF:0.0ppm、CO:76.6ppm、CO:66.0ppm、C:0.0ppm、COF:0.0ppmであった。この結果より、高純度のフッ素ガスが発生していることが確認された。
(実施例3)
製造例1で得られたフッ素化カーボンナノホーン0.78gと、フッ化ナトリウム4.1gとを混合し、実施例1と同様にして、フッ素化カーボンナノホーンを含む組成物(4.88g)を得た。
この組成物について、<フッ素ガスの放出(フッ素ガスの取り出し)>において内容積約200cmのニッケル製反応器を内容積10cmのニッケル製反応容器に変更した点と、反応器を室温(約25℃)から400℃まで段階的に昇温した点(室温で0.5時間保持した。その後0.5℃/minで室温から50℃まで昇温し、1.4時間保持した。更にその後、100℃まで1.3℃/minで昇温し、1.5時間保持した。その後、200℃まで2.9℃/minで昇温し、1.5時間保持、300℃まで4.7℃/minで昇温し、0.7時間保持、400℃まで0.8℃/minで昇温し、1.3時間保持した)と、室温で0.1kPa以下に到達した後真空ポンプを停止して減圧下、フッ素ガスを放出させた点以外は、実施例1と同様の操作により、フッ素ガス放出実験を行った。
放出実験において、400℃で1.3時間保持後の反応容器内圧力は8.0kPaであり、その時のフッ素ガス放出量は、0.145gであった。この値をカーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス放出量[F(g)/CNH(g)]に換算すると0.29であった。また、カーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス吸蔵量に対するフッ素ガスの放出量の比を放出率として示すと、50.0%であった。
FT−IRによる不純物定量結果については、50℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:0.0ppm、HF:0.0ppm、CO:36.9ppm、CO:9.6ppm、C:0.0ppm、COF:8.1ppmであった。
100℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:0.0ppm、HF:0.0ppm、CO:44.7ppm、CO:9.6ppm、C:0.0ppm、COF:11.0ppmであった。
200℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:9.7ppm、HF:668ppm、CO:150ppm、CO:23ppm、C:0.0ppm、COF:137ppmであった。
300℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:47ppm、HF:472ppm、CO:225ppm、CO:0ppm、C:19ppm、COF:4012ppmであった。
400℃昇温時の不純物ガス濃度は、CF:154ppm、HF:1078ppm、CO:456ppm、CO:0ppm、C:155ppm、COF:5327ppmであった。
この結果より、高純度のフッ素ガスが発生していることが確認された。
(比較例1)
実施例1において、フッ素化カーボンナノホーンにフッ素化ナトリウムを混合しなかった点以外は、実施例1と同様にして、フッ素ガス放出実験を行った。
フッ素ガスの放出量は、20.0mgであった。この値をカーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス放出量[F(g)/CNH(g)]に換算すると0.16であった。カーボンナノホーン1gあたりのフッ素ガス吸蔵量に対するフッ素ガスの放出量の比を放出率として示すと、26.6%であった。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2013075812
表1より、フッ化ナトリウム存在下でフッ素化カーボンナノホーンからのフッ素ガス放出を行うと、大幅にフッ素ガス放出率が向上することがわかる。
本発明の組成物は、フッ素ガスの放出率が極めて高いため、フッ素貯蔵材料として好適に適用することができる。

Claims (3)

  1. フッ素化カーボンナノホーン、及び、金属フッ化物を含むことを特徴とする組成物。
  2. 金属フッ化物は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、フッ化ベリリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、及び、フッ化スカンジウムからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載の組成物。
  3. フッ素化カーボンナノホーンからフッ素ガスを放出させる方法であって、
    金属フッ化物の存在下でフッ素化カーボンナノホーンを加熱する工程を有する
    ことを特徴とするフッ素ガス放出方法。
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