JP5862405B2 - 透過電子顕微鏡用微小薄膜試料作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼材料等の磁性を有する金属材料の透過電子顕微鏡用の微小薄膜試料を集束イオンビームによって作製するための試料作製方法に関する。
より材質のよい金属材料、例えば鉄鋼材料を製造するには、ナノメートルオーダーの析出物や粒界偏析といった微細組織の制御が重要である。このような微細組織の制御を行う上で、実際の組織がどうなっているかを知るためには微小領域の解析技術が必要であり、透過電子顕微鏡(以下、TEM)による観察が必要不可欠となっている。とりわけ、透過電子顕微鏡を用いた観察手法の中でも、電子ビームをプローブとする走査透過電子顕微鏡法は、照射系の収差補正技術の発展もあり、高い分解能で微小領域の観察と元素分析を行うことができ、非常に重要な解析技術である。
しかしながら、フェライト系の鉄鋼材料は磁性を持っており、一般に用いられているツインジェット電解研磨法により作製した3mmφのTEM観察用薄膜試料では、事前に収差補正を行っていても、試料の磁性の影響により実際のTEM観察時には収差が現れてしまい、本来TEMが持つ高い分解能を発揮することが困難である。
そこで、試料の体積を小さくして試料の磁性の影響を低減する方法として、集束イオンビーム(以下、FIB)加工法が有効であることが特許文献1に開示されている。しかし、FIB加工では大きなエネルギーを有するイオンビームを照射するため、薄膜試料の表層には転位ループやイオン源元素の打ち込みなどのダメージ層が形成されるという問題があるが、特許文献1では考慮されていない。
ダメージ層を取る方法として、FIB加工後に追加して、低加速電圧のアルゴンイオンスパッタリングを実施する方法が特許文献2に示されている。しかしながら、アルゴンイオンスパッタリングにおいては試料表面に微細な凹凸が形成され、高倍率での観察において微細な析出物のコントラストが不明瞭になり、観察が困難になるという問題があった。
特開2001−289752号公報 特開2004−199969号公報
本発明は、上記のような現状に鑑みてなされたものであり、磁性を有する金属材料、例えば鉄鋼材料において、集束イオンビーム加工によるイオン照射ダメージを導入することなく、磁性の影響の小さい透過電子顕微鏡用微小薄膜試料を作製する装置および方法を提供する。
上記の目的を達成するために、本発明の要旨とするところは次の通りである。
(1) 真空に排気された試料室を有し、磁性を有する金属材料から透過電子顕微鏡用微小薄膜試料を作製する透過電子顕微鏡用微小薄膜試料作製装置であって、上記試料室内で薄膜試料を載置して移動可能な試料ステージと、上記試料ステージに載置された薄膜試料に集束イオンビームを照射する集束イオンビーム照射光学系と、上記試料ステージに載置された薄膜試料に電子ビームを照射する電子ビーム照射光学系と、上記集束イオンビームおよび電子ビームの照射によって発生する二次電子を検出する二次電子検出器と、上記二次電子検出器にて検出した二次電子強度から二次電子像を表示する画像表示装置と、上記薄膜試料の一部を集束イオンビームの照射から遮蔽するための薄膜部材を備えた第1の可動プローブと、上記試料ステージに載置された薄膜試料に集束イオンビームを照射して切り出した微小薄膜試料を移送するための第2の可動プローブと、上記微小薄膜試料を切り出す際に上記第2の可動プローブと上記微小薄膜試料を固着するための原料ガスを供給するガスデポジション機構と、を備える透過電子顕微鏡用微小薄膜試料作製装置を用いた透過電子顕微鏡用微小薄膜試料作製方法であって、
予め電解研磨を施した薄膜試料を上記試料ステージに載置し、該薄膜試料に電子ビームを照射して二次電子像にて該薄膜試料を観察する薄膜試料載置工程と、
上記薄膜試料載置工程にて該薄膜試料を観察しながら、該薄膜試料の一部を遮蔽し集束イオンビームの照射から回避するための薄膜部材を備えた第1の可動プローブを、微小薄膜試料の切り出し箇所の上方に移動させる第1の薄膜部材移動工程と、
上記薄膜部材を含み上記薄膜試料の一部の領域に上記集束イオンビームを照射して上記薄膜試料の一部の領域を二次電子像にて観察し、微小薄膜試料の切り出し位置を設定し、上記集束イオンビームを照射して上記薄膜試料に切り込みを入れる切り込み加工工程と、
上記電子ビーム、または上記集束イオンビームを照射して、上記切り出し位置を二次電子像にて観察し、上記切り出し位置の一部に第2の可動プローブの先端をあてがい、上記集束イオンビームを照射して、上記切り出し位置と上記第2の可動プローブとの接触部分をデポジション膜により固着させる可動プローブ固着加工工程と、
上記切り出し位置に上記集束イオンビームを照射して微小薄膜試料を切り出す微小薄膜試料切り出し加工工程と、
上記切り出した微小薄膜試料を第2の可動プローブを用いて摘出し移送する摘出工程と、
上記微小薄膜試料を支持する支持体を試料ステージに載置する支持体載置工程と、
上記電子ビームを照射して、上記微小薄膜試料と上記支持体を二次電子像にて観察しながら、上記微小薄膜試料を上記支持体に移設する移設工程と、
上記電子ビームを照射して、上記支持体に移設した微小薄膜試料と上記支持体を二次電子像にて観察しながら、上記薄膜部材を備えた第1の可動プローブを上記微小薄膜試料の上方に移動させる第2の薄膜部材移動工程と、
上記集束イオンビームを照射し、上記支持体に移設した微小薄膜試料と上記支持体との接触部分を二次電子像にて観察して、デポジション膜により上記微小薄膜試料と上記支持体とを固着させる固着工程と、
上記集束イオンビームを照射して上記支持体に固着した上記微小薄膜試料から上記第2の可動プローブを切除する切除工程と、
を有することを特徴とする透過電子顕微鏡用微小薄膜試料作製方法。
本発明に係るTEM用微小薄膜試料作製装置と作製方法によれば、FIB加工において微小薄膜試料のTEM観察箇所に高エネルギーの集束イオンビームを照射することなく試料を作製できるため、ダメージ層を形成することはない。試料の体積を小さくすることで、試料の磁性の影響により収差が現れることもない。また、本発明の作製方法によれば、電解研磨で前加工することにより十分に薄い領域が得られるので、FIB加工後に追加工することなくTEM用微小薄膜試料を得ることができる。
本発明の透過電子顕微鏡用微小薄膜試料作製装置を示す概略構成図である。 薄膜部材を用いて、集束イオンビームを遮蔽している様子を示す説明図であり、(a)は薄膜試料から微小薄膜試料を摘出する様子、(b)は微小薄膜試料を支持体に移設する様子を示す。 本発明の試料作製方法の手順の概要を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、図を参照して説明する。まず、本発明の透過電子顕微鏡用微小薄膜試料作製装置としての集束イオンビーム加工装置の構成例について、図1を用いて説明する。図1は、集束イオンビーム加工装置の構成例を示す図である。集束イオンビーム加工装置は、真空に排気された試料室1内に配置された試料ステージ2、試料ステージ2に載置した薄膜試料3に対してガリウムを線源とする集束イオンビームを照射する集束イオンビーム照射光学系4と電子ビームを照射する電子ビーム照射光学系5、集束イオンビームおよび電子ビームの照射部から発生する二次電子を検出する二次電子検出器6、検出した二次電子強度を表示する画像表示装置7、薄膜試料3の一部への集束イオンビームの照射を遮蔽するための薄膜部材8を備えた第1の可動プローブ9、薄膜試料3から摘出した微小薄膜試料を移送するための第2の可動プローブ10、微小薄膜試料を摘出する際に第2の可動プローブ10と微小薄膜試料を固着するための原料ガスを供給するガスデポジション機構11を備える。試料ステージ2は、試料室1内において、薄膜試料3を載置した状態で、集束イオンビームの照射位置や方向に応じて移動可能である。
図1には、集束イオンビーム照射光学系4を、試料ステージ2に対して鉛直方向に描き、試料ステージ2を傾斜させることなく、試料ステージ面と集束イオンビーム照射光学系4が正対するように描いているが、集束イオンビーム照射光学系4は鉛直方向になくともよい。
薄膜部材8は、第1の可動プローブ9の先端部を任意の形に加工して作製してもよい。あるいは、モリブデンやタングステンなどの剛性が高く鉄よりもスパッタリングされ難い素材の薄膜を試料ステージ2に載置し、その薄膜を任意形状に加工した薄膜部材8を第1の可動プローブ9にガスデポジションによる蒸着膜で固着してもよい。
以上のような透過電子顕微鏡用微小薄膜試料作製装置を用いて、透過電子顕微鏡用微小薄膜試料を作製する方法は、以下の工程を有する。
薄膜試料載置工程:予め電解研磨を施した薄膜試料3を試料ステージ2に載置し、薄膜試料3に電子ビームを照射して、画像表示装置7に表示される二次電子像にて薄膜試料3を観察する。
第1の薄膜部材移動工程:上記薄膜試料載置工程によって薄膜試料3を観察しながら、薄膜試料3の一部を遮蔽してその部分を集束イオンビームの照射から回避するための薄膜部材8を備えた第1の可動プローブ9を、微小薄膜試料3aの切り出し箇所の上方に移動させる。
切り込み加工工程:薄膜部材8を含み薄膜試料3の一部の領域に、集束イオンビームを照射して、その薄膜試料3の一部の領域を二次電子像にて観察し、微小薄膜試料3aの切り出し位置を設定し、集束イオンビームを照射して薄膜試料3に切り込みを入れる。
可動プローブ固着加工工程:電子ビームまたは集束イオンビームを照射して、微小薄膜試料3aの切り出し位置を二次電子像にて観察し、その切り出し位置の一部に第2の可動プローブ10の先端をあてがい、集束イオンビームを照射して、切り出し位置と第2の可動プローブ10との接触部分をデポジションによる蒸着膜12により固着させる。
微小薄膜試料切り出し加工工程:切り出し位置に集束イオンビームを照射して、微小薄膜試料3aを切り出す。
摘出工程:切り出した微小薄膜試料3aを、第2の可動プローブ10を用いて摘出し移送する。
支持体載置工程:微小薄膜試料3aを支持する支持体13を、試料ステージ2に載置する。
移設工程:電子ビームを照射して、微小薄膜試料3aと支持体13を二次電子像にて観察しながら、微小薄膜試料3aを支持体13に移設する。
第2の薄膜部材移動工程:電子ビームを照射して、支持体13に移設した微小薄膜試料3aと支持体13を二次電子像にて観察しながら、薄膜部材8を備えた第1の可動プローブ9を微小薄膜試料3aの上方に移動させる。
固着工程:集束イオンビームを照射し、支持体13に移設した微小薄膜試料3aと支持体13との接触部分を二次電子像にて観察して、デポジションによる蒸着膜14により、微小薄膜試料3aと支持体13とを固着させる。
切除工程:集束イオンビームを照射して支持体13に固着した微小薄膜試料3aから、第2の可動プローブ10を切除する。
図2は、薄膜部材8にて、TEM観察用微小薄膜試料として摘出し観察したい領域(以下、観察領域と記す)15への集束イオンビームの照射を遮蔽している様子を示している。図2(a)は、薄膜試料3から微小薄膜試料3aを摘出する様子を示している(微小薄膜試料切り出し加工工程)。微小薄膜試料3aを摘出する際、薄膜試料3から切り出す微小薄膜試料3aの外周を切断し、薄膜試料3と微小薄膜試料3aとの間の隙間を作るための集束イオンビームによる加工、および、第2の可動プローブ10の微小薄膜試料3aへの固着のためのガスデポジションによる蒸着膜12が必要となる。その際、観察領域15に集束イオンビームが照射されると、ガリウムイオンの打ち込みや転位の導入、観察領域15が削れてなくなってしまうなどの問題が起こるため、薄膜部材8にて観察領域15を覆い隠し、観察領域15に集束イオンビームが照射されないようにしている。第2の可動プローブ10を微小薄膜試料3aに蒸着膜12により固着するタイミングは、集束イオンビームを照射して薄膜試料3を加工する際に、薄膜部材8の外周部のうち、第2の可動プローブ10が固着される位置付近の加工を終えた後から微小薄膜試料3aを完全に切り離すまでの間なら、いつでもよい。ただし、より好ましくは、第2の可動プローブ10が微小薄膜試料3aを摘出しようとしている領域に接した際に、摘出しようとしている微小薄膜試料3aの領域がたわんだり曲がったりする可能性を小さくするために、第2の可動プローブ10が固着される位置付近の加工を終えたら、他の箇所を加工する前に、第2の可動プローブ10を固着するのがよい。
図2(b)は、微小薄膜試料3aを支持体13に移設した様子を示している(固着工程)。移設の際には微小薄膜試料3aと支持体13との固着のためのガスデポジションによる蒸着膜14の作製、第2の可動プローブ10の切除が必要となる。この際にも上述の通り、観察領域15に集束イオンビームが照射されると問題が発生するため、観察領域15を薄膜部材8にて覆い隠し、観察領域15に集束イオンビームが照射されないようにしている。
本発明例として、フェライト単相組織を有する1.2mm厚の鋼板から、本発明の作製装置および作製方法により、TEM観察用微小薄膜試料を作製した。FIB加工の前準備として、ツインジェット電解研磨法により3mmφの電解研磨試料を作製した。作製方法は、まず、精密切断機により鋼板から10mm×15mm×1.2mmtの試料を切り出し、機械研磨により厚さを約60μmにまで薄くした試料から、ディスクパンチ装置を用いて3mmφのディスクを打ち抜いた。3mmφのディスクを、無水酢酸を90体積%、過塩素酸を10体積%の割合で混合した電解液を使用して、電解液温度14℃、印加電圧70Vの条件で、ツインジェット電解研磨法により観察箇所の試料厚さが約30nmの薄膜試料を得た。本発明例では、電解研磨した薄膜試料の作製方法としてツインジェット電解研磨法を用いたが、窓開け法など他の電解研磨法で薄膜試料を作製しても良い。
図3を用いて、図1の集束イオンビームを用いた本発明例の試料作製方法の手順について図番に沿って説明する。
図3(a):電子ビームを照射して得た二次電子像を観察しながら、薄膜試料3の電解研磨により開いた孔の縁部の微小薄膜試料摘出箇所に、第1の可動プローブ9の先端の薄膜部材8を移動させた。薄膜部材8の大きさは、約10μm×約10μm×約3μmtとした。
図3(b):集束イオンビームにより、観察領域15を遮蔽した薄膜部材8の1辺から2μm離れた位置を加工した。集束イオンビームは、加速電圧40kV、ビーム電流量0.4nAとした。薄膜部材8の1辺から2μm離れた位置を加工した理由は、マイクロサンプリングのための第2の可動プローブ10をガスデポジションにて薄膜試料3と固着する(図3(c))領域を確保するためである。本実施例では間隔を2μmとしたが、第2の可動プローブ10の先端部の大きさに合わせて調整すればよい。
図3(c):観察領域15と図3(b)による加工箇所の間の領域に第2の可動プローブ10を接触させた後、ガスデポジションにより第2の可動プローブ10と薄膜試料3を蒸着膜12にて固着させた。
図3(d):集束イオンビームにて観察領域15の残りの2辺の周りを加工し、約12μm×約11μmの大きさに切り出して微小薄膜試料3aを切り離し、第2の可動プローブ10にて微小薄膜試料3aを摘出した。
図3(e):電子ビームを照射して得た二次電子像を観察しながら、微小薄膜試料3aを固着した第2の可動プローブ10を移動し、支持体13に微小薄膜試料3aを接触させ、第1の可動プローブ9を移動して、薄膜部材8を微小薄膜試料3aの上方に、集束イオンビーム照射光学系4からの集束イオンビームを遮るよう移動した。
図3(f):集束イオンビームを照射してガスデポジションにて微小薄膜試料3aと支持体13を蒸着膜14にて固着し、次いで、第2の可動プローブ10を集束イオンビームにて切り離した。
比較例1として、フェライト単相組織を有する1.2mm厚の鋼板から、精密切断機により8mm×8mm×1.2mmtの試料を切り出し、片面を鏡面研磨後、集束イオンビーム加工装置にて約10μm×約10μm×約0.15μmの大きさの断面観察試料を作製した。集束イオンビーム加工はイオン源を液体ガリウムとして、まず、断面観察試料の摘出箇所に保護膜としてタングステンをガスデポジションにて蒸着した。次に、加速電圧40kV、ビーム電流量31nAの条件にて試料摘出箇所周りの粗加工を行い、加速電圧40kV、ビーム電流量6nAの条件にて試料摘出箇所周りの仕上げ加工を行った。続いて、集束イオンビームにて断面観察試料を約10μm×約10μm×約2μmtの大きさに切り出して、可動プローブにて摘出し、支持体にタングステンの蒸着膜にて固着した。断面観察試料の厚さをさらに低減するために、加速電圧40kV、ビーム電流量1.4nAの条件にて約1μmの厚さにまで加工した後、加速電圧40kV、ビーム電流量0.4nAの条件にて約0.15μmの厚さにまで加工した。さらに、アルゴンイオンミリングを実施、ダメージ層の除去を行った。ミリング条件は加速電圧1kV、ビーム電流量10mAで1分、さらに加速電圧0.6kV、ビーム電流量10mAにて試料厚さが約30nmになるまでミリングを実施した。
比較例2として、フェライト単相組織を有する1.2mm厚の鋼板から、精密切断機により10mm×15mm×1.2mmtの試料を切り出し、機械研磨により厚さを約60μmにまで薄くした試料からディスクパンチ装置を用いて3mmφのディスクを打ち抜いた後、無水酢酸を90体積%、過塩素酸を10体積%の割合で混合した電解液を使用して電解液温度14℃、印加電圧70Vの条件でツインジェット電解研磨法により観察箇所の試料厚さが約30nmのTEM薄膜試料を得た。
上述のように本発明例、比較例1、比較例2で作製した3つの試料を、照射系の収差補正を行った加速電圧300kVの透過電子顕微鏡において、収差に及ぼす磁性の影響の有無については、ロンチグラムの位相の揃った領域の収束半角が20mrad以上であれば磁性の影響をほぼ無視できるとして良否を判断した。さらに、試料の凹凸の影響については、検出角度61mradとした高角環状暗視野走査透過電子顕微鏡法にて観察を行い、晶帯軸入射ではないランダムな入射方向から倍率300万倍で観察した像の最小強度に対する最大強度の比が1.1未満であれば試料凹凸の影響は無視できるとして良否を判断した。これらの結果を表1に示す。
Figure 0005862405
表中の○は、上記の方法で磁性および試料の表面凹凸の影響を評価した時に、磁性または、試料の表面凹凸の影響をほぼ無視できたことを示し、×は磁性または、試料の表面凹凸の影響を無視できなかったことを示す。本発明の作製装置、作製方法で作製したTEM観察用微小薄膜試料は、磁性の影響も見られず、また表面凹凸の影響も見られず、良好な結果を得た。一方、集束イオンビーム加工によるマイクロサンプリング後にアルゴンイオンミリングを行った試料では、試料の持つ磁性により収差補正器で補正しきれない収差が現れる等の磁性の影響は見られなかったが、アルゴンイオンミリングの研磨むらによりナノメートルオーダーで像強度の変化が見られた(比較例1)。また、3mmφの電解研磨試料では表面凹凸による影響は見られなかったが、磁性の影響によりロンチグラムの位相が揃った領域の収束半角は20mradよりも小さかった(比較例2)。
1 試料室
2 試料ステージ
3 薄膜試料
3a 微小薄膜試料
4 集束イオンビーム照射光学系
5 電子ビーム照射光学系
6 二次電子検出器
7 画像表示装置
8 薄膜部材
9 第1の可動プローブ
10 第2の可動プローブ
11 ガスデポジション機構
12 蒸着膜
13 支持体
14 蒸着膜

Claims (1)

  1. 真空に排気された試料室を有し、磁性を有する金属材料から透過電子顕微鏡用微小薄膜試料を作製する透過電子顕微鏡用微小薄膜試料作製装置であって、上記試料室内で薄膜試料を載置して移動可能な試料ステージと、上記試料ステージに載置された薄膜試料に集束イオンビームを照射する集束イオンビーム照射光学系と、上記試料ステージに載置された薄膜試料に電子ビームを照射する電子ビーム照射光学系と、上記集束イオンビームおよび電子ビームの照射によって発生する二次電子を検出する二次電子検出器と、上記二次電子検出器にて検出した二次電子強度から二次電子像を表示する画像表示装置と、上記薄膜試料の一部を集束イオンビームの照射から遮蔽するための薄膜部材を備えた第1の可動プローブと、上記試料ステージに載置された薄膜試料に集束イオンビームを照射して切り出した微小薄膜試料を移送するための第2の可動プローブと、上記微小薄膜試料を切り出す際に上記第2の可動プローブと上記微小薄膜試料を固着するための原料ガスを供給するガスデポジション機構と、を備える透過電子顕微鏡用微小薄膜試料作製装置を用いた透過電子顕微鏡用微小薄膜試料作製方法であって、
    予め電解研磨を施した薄膜試料を上記試料ステージに載置し、該薄膜試料に電子ビームを照射して二次電子像にて該薄膜試料を観察する薄膜試料載置工程と、
    上記薄膜試料載置工程にて該薄膜試料を観察しながら、該薄膜試料の一部を遮蔽し集束イオンビームの照射から回避するための薄膜部材を備えた第1の可動プローブを、微小薄膜試料の切り出し箇所の上方に移動させる第1の薄膜部材移動工程と、
    上記薄膜部材を含み上記薄膜試料の一部の領域に上記集束イオンビームを照射して上記薄膜試料の一部の領域を二次電子像にて観察し、微小薄膜試料の切り出し位置を設定し、上記集束イオンビームを照射して上記薄膜試料に切り込みを入れる切り込み加工工程と、
    上記電子ビーム、または上記集束イオンビームを照射して、上記切り出し位置を二次電子像にて観察し、上記切り出し位置の一部に第2の可動プローブの先端をあてがい、上記集束イオンビームを照射して、上記切り出し位置と上記第2の可動プローブとの接触部分をデポジション膜により固着させる可動プローブ固着加工工程と、
    上記切り出し位置に上記集束イオンビームを照射して微小薄膜試料を切り出す微小薄膜試料切り出し加工工程と、
    上記切り出した微小薄膜試料を第2の可動プローブを用いて摘出し移送する摘出工程と、
    上記微小薄膜試料を支持する支持体を試料ステージに載置する支持体載置工程と、
    上記電子ビームを照射して、上記微小薄膜試料と上記支持体を二次電子像にて観察しながら、上記微小薄膜試料を上記支持体に移設する移設工程と、
    上記電子ビームを照射して、上記支持体に移設した微小薄膜試料と上記支持体を二次電子像にて観察しながら、上記薄膜部材を備えた第1の可動プローブを上記微小薄膜試料の上方に移動させる第2の薄膜部材移動工程と、
    上記集束イオンビームを照射し、上記支持体に移設した微小薄膜試料と上記支持体との接触部分を二次電子像にて観察して、デポジション膜により上記微小薄膜試料と上記支持体とを固着させる固着工程と、
    上記集束イオンビームを照射して上記支持体に固着した上記微小薄膜試料から上記第2の可動プローブを切除する切除工程と、
    を有することを特徴とする透過電子顕微鏡用微小薄膜試料作製方法。
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