以下、図面を参照して、本発明のステープル及びステープラの実施の形態について説明する。
<本実施の形態のステープルの構成例>
図1は、本実施の形態のステープルの一例を示す説明図で、図1(a)は、本実施の形態のステープルの正面図、図1(b)は、本実施の形態のステープルの側面図である。
本実施の形態のステープル10は、従来の中、大型のステープラに比較して小型のステープラに装填され、最小の綴じ枚数である2枚から、最大の綴じ枚数として80枚程度の用紙を、軽い操作力で、かつ、針交換無しで綴じられるようにしたものである。
ステープル10は、図1(a)に示すように、針クラウン10aと、針クラウン10aの両端から一の方向に略平行となるように折り曲げられて構成される2本の針足10bを備え、複数本のステープル10が接着で一体とされてステープル束が構成される。
80枚の用紙は、標準的な1枚の用紙の厚さが0.09mmとすると、厚さが約7.2mmとなる。このため、ステープルで80枚程度の用紙を貫通させてクリンチするためには、針足の長さを約10.0mmとする必要がある。
さて、工業製品としてのステープルは、既存のステープルで採用されている線材と異なる新たな寸法の線材を使用して製造しようとすると、コストが高くなる。このため、既存のステープルで採用されている線材の利用も考慮する必要がある。
日本工業規格で規定されている3号と称されるステープルでは、針クラウンの外幅寸法(外寸)を12.93mm、針線幅を0.70mm、針線厚を0.49mm、針足の長さを6.0mmとしたステープルが製品化されている。
一方、日本工業規格で規定されている10号と称されるステープルでは、クラウンの外寸を9.48mm、針線幅を0.50mm、針線厚を0.32mm、針足を5.0mmとしたステープルが製品化されている。
ステープルでは、針クラウンの外寸に対して針足の長さが半分未満であれば、最小の綴じ枚数である2枚の用紙を綴じた状態で、2本の針足が重なることはない。しかし、用紙の綴じ枚数は、ステープルの針足の長さにより規定されるので、用紙の綴じ枚数を多くすることができない。
そこで、このような3号と称されるステープルで、用紙の綴じ枚数を多くするため、針足の長さを10mmとした3号Uと称されるステープルが製品化されている。
針足の長さを針クラウンの外寸の半分以上としたステープルでは、2本の針足を、針クラウンに直交する前後方向にずらして折り曲げられるようにすることで、最小の綴じ枚数である2枚の用紙を綴じた場合に、2本の針足が重ならない。
また、針クラウンの外寸に対して、針足の長さを略同等以下に構成すれば、最小の綴じ枚数である2枚の用紙を綴じた場合に、針足の先端が、用紙の表面側の針クラウンより幅方向の外側に突出せず、見栄えが向上する。
しかし、3号及び3号Uと称されるステープルは、10号と称されるステープルに比較して、針線幅及び針線厚が太い。このため、用紙を貫通するために必要な貫通荷重が大きくなる。
そこで、3号と称されるステープルが使用されるステープラ、特に、3号Uと称されるステープルが使用されるステープラでは、ハンドルを押す操作力を小さくするため、ハンドルを長くする必要があり、ステープラの小型化が困難である。また、てこの原理を利用した倍力機構と称される機構を採用したステープラも製品化されているが、倍力機構を採用しても、ステープラの小型化が困難である。
3号及び3号Uと称されるステープルと比較して、10号と称されるステープルの針線幅及び針線厚は細く設定されており、貫通荷重は低減される。しかし、ステープルの針線幅及び針線厚が細いことで、3号及び3号Uと称されるステープルに比較して強度は低下する。
このため、針クラウンの外寸と針足の長さを、3号Uと称されるステープルと同じとし、針線幅及び針線厚を、10号と称されるステープルと同じとしたステープルで、80枚程度の用紙を綴じようとすると、針クラウンの外寸が長いことに起因して座屈耐力が低下し、押圧力を受ける針クラウンが座屈する。
針クラウンの外寸を狭くすると、針クラウンで発生する座屈耐力が改善する傾向にある。しかし、80枚程度の用紙を綴じられるようにするため、針足の長さを10.0mmとした設定では、針クラウンの外寸を10.0mm以下とすると、最小の綴じ枚数である2枚の用紙を綴じた場合に、針足の先端が、用紙の表面側の針クラウンより幅方向の外側に突出する形態になり、見栄えが悪い。
一方で、針クラウンの外寸を12.26mmとすると共に、針線幅を0.51mm、針線厚を0.37mm、針足の長さを6.0mmとしたステープルが製品化されている。
しかし、針クラウンの外寸を12.26mm、針線幅を0.51mm、針線厚を0.37mmとしたステープルで、針足の長さを10.0mmとして、80枚程度の用紙を綴じようとすると、やはり針クラウンの外寸が長いことに起因して座屈耐力が低下し、押圧力を受ける針クラウンが座屈する。
更に、針クラウンの外寸が10.0mm以上のステープルとして、10号と称されるステープルと針線幅と針線厚が同じで、針クラウンの外寸を11.42mmとしたステープルが製品化されている。
しかし、10号と称されるステープルと針線幅と針線厚が同じでは、針クラウンの外寸を11.42mmとしても、針足の長さを10.0mmとして、80枚程度の用紙を綴じようとすると、針線幅及び針線厚が細いことと針クラウンの外寸が長いことに起因して座屈耐力が低下し、押圧力を受ける針クラウンが座屈する。
そこで、本実施の形態のステープル10では、図1(a)、図1(b)に示すように、針足10bの長さL1を10.0mm、針線幅L2を0.51mm、針線厚L3を0.37mmとし、針クラウン10aの外寸L4は11.42mmとした。
詳細には、針足10bの長さL1は、10.0mmを基準寸法とし、公差を考慮して10±0.5mmとした。針クラウン10aの外寸L4は、11.42mmを基準寸法とし、公差を考慮して11.42±0.07mmとした。また、針線幅L2は、0.51mmを基準寸法とし、公差を考慮して0.51±0.03mmとした。針線厚L3は、0.37mmを基準寸法とし、公差を考慮して0.37±0.05mmとした。針クラウン10aの内幅寸法(内寸)L5は、10.45mmを基準寸法とし、公差を考慮して10.45±0.50mmとした。
図2は、用紙を綴じた状態におけるステープルを示す説明図である。ステープル10は、針クラウン10aの外寸L4に対して、針足10bの長さL1が若干短く略同等に構成される。後述するステープラ1Aでは、2本の針足10bを、針クラウン10aに直交する前後方向にずらして折り曲げられるようにする。
これにより、図2(a),図2(b)に示すように、最小の綴じ枚数である2枚の用紙Pを綴じた場合に、2本の針足10bが重ならず、かつ、針足10bの先端が、用紙Pの表面側の針クラウン10aより幅方向の外に突出しないように構成される。
図1(a)、図1(b)に示す寸法で構成される本実施の形態のステープル10では、最小の綴じ枚数である2枚から80枚程度の用紙を、用紙Pを綴じた際の見栄えを悪くすることなく、針交換無しで綴じることができる。
また、本実施の形態のステープル10では、3号及び3号Uと称されるステープルに比較して、針線幅及び針線厚が細いので、80枚程度の用紙を綴じる動作においても貫通荷重が低減される。これにより、従来の中、大型のステープラに比較して小型のステープラを使用して、軽い操作力で用紙を綴じることができる。
更に、本実施の形態のステープル10では、10号と称されるステープルに比較して、針線幅及び針線厚が太く、針クラウン10aの外寸は、3号と称されるステープルに比較して短いので、80枚程度の用紙を綴じる動作においても、針クラウン10aの座屈を防止できる。
ここで、本実施の形態のステープル10では、10号と称されるステープルと針線幅と針線厚が同じで、針クラウンの外寸を11.42mmとしたステープルと、針クラウン10aの外寸が同じであるが、10号と称されるステープルに比較して針線幅及び針線厚が太いことで、座屈耐力が向上し座屈を防止できる。そして、後述するように、ステープルの互換性を持たせることが可能である。
また、本実施の形態のステープル10では、既存のステープルで採用されている線材を利用して製造することができる。
以下の表に示す針線幅及び針線厚で実施例と比較例のステープルを作製し、貫通荷重の測定と、座屈の発生の有無を比較した。ここで、針線幅を0.51mm、針線厚を0.37mmとした実施例1のステープルと、10号と称されるステープルと針線幅及び針線厚を同じとした比較例1のステープルは、針クラウンの外寸を11.40mmとした。3号(3号U)と称されるステープルと針線幅及び針線厚を同じとした比較例2のステープルは、針クラウンの外寸を12.78mmとした。
図3は、用紙の枚数と貫通荷重の関係を示すグラフである。図3のグラフに示すように、10号と称されるステープルと針線幅及び針線厚を同じとした比較例1のステープルでは、3号と称されるステープルと比較して針線幅及び針線厚が細いので、貫通荷重は低減される。しかし、針線幅及び針線厚が細いことで、3号と称されるステープルに比較して強度は低下し、針クラウンで座屈が発生した。
3号と称されるステープルと針線幅及び針線厚を同じとした比較例2のステープルでは、針クラウンでの座屈の発生は抑えられるが、10号と称されるステープルに比較して針線幅及び針線厚が太いので、貫通荷重が大きくなる。
これに対して、針線幅を0.51mm、針線厚を0.37mmとした実施例1のステープルでは、3号と称されるステープルに比較して、針線幅及び針線厚が細いので、80枚程度の用紙を綴じる動作においても貫通荷重が低減され、3号と称されるステープルに比較して、貫通荷重が約25%低減することがわかった。
また、実施例1のステープルでは、10号と称されるステープルに比較して、針線幅及び針線厚が太く、3号と称されるステープルに比較して、針クラウンの外寸が短いので、針クラウンでの座屈の発生は抑えられることが判った。
<本実施の形態のステープラの全体構成例>
図4は、本実施の形態のステープラの内部構成の詳細を示す側断面図、図5は、本実施の形態のステープラの内部構成を示す側断面図、図6は、カバーを外した状態での本実施の形態のステープラの側面図、図7は、カバーを外した状態での本実施の形態のステープラの内部構成を示す側断面図である。
また、図8及び図9は、本実施の形態のステープラの内部構成を示す斜視図、図10は、本実施の形態のステープラの内部構成を示す一部破断斜視図である。更に、図11は、本実施の形態のステープラの外観を示す側面図、図12及び図13は、本実施の形態のステープラの外観を示す斜視図である。
本実施の形態のステープラ1Aは、図1で説明したステープル10を使用することで、従来の中、大型のステープラに比較して小型の構成として、軽い操作力で80枚程度の用紙を綴じられるようにしたものである。また、最初の綴じ枚数である2枚といった少ない枚数の用紙を綴じた場合でも、見栄えを向上させることができるようにしたものである。
ステープラ1Aは、下ハンドルユニット11aと上ハンドルユニット11bを備え、本例では、下ハンドルユニット11aを机等の作業場所に置き、上ハンドルユニット11bを押す形態で使用される。
図14は、本実施の形態の下ハンドルユニットの一例を示す分解斜視図、図15は、本実施の形態のクリンチャユニットの一例を示す分解斜視図である。下ハンドルユニット11aは、用紙を貫通したステープル10の針足10bを曲げるクリンチャユニット2Aと、クリンチャユニット2Aの待機位置でのロック及びロックの解除を行うスライダ3を備える。また、下ハンドルユニット11aは、クリンチャユニット2A及びスライダ3が取り付けられる下ハンドルフレーム4を備える。
図16は、本実施の形態の上ハンドルユニットの一例を示す分解斜視図である。上ハンドルユニット11bは、ステープル10が収納されるマガジンユニット5と、マガジンユニット5に収納されたステープル10を打ち出すドライバユニット6を備える。また上ハンドルユニット11bは、マガジンユニット5に収納されたステープル10を打ち出す力をドライバユニット6に加えるハンドルユニット7を備える。
<クリンチャユニットの構成例>
図17は、クリンチャユニットの一例を示す正面図、図18は、クリンチャユニットの一例を示す要部平面図、図19は、クリンチャユニットの一例を示す要部側面図、図20は、クリンチャユニットの一例を示す外観斜視図である。
また、図21は、クリンチャユニットを待機位置で保持する構成を示す要部斜視図、図22は、クリンチャユニットを待機位置で保持する構成を示す要部側面図である。更に、図23は、クリンチャを保持する仕切り板の一例を示す構成図である。
次に、各図を参照して、クリンチャユニット2Aの構成について説明する。クリンチャユニット2Aは、用紙を貫通したステープル10の針足10bを折り曲げる一対のクリンチャ20L,20Rと、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rを支持するクリンチャホルダ21を備える。
クリンチャユニット2Aは、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rの回転動作でステープル10の針足10bを折り曲げる構成で、針足10bの折り曲げを開始する動きとして、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rを近づける方向に移動させることで、針足10bを内側に折り曲げる力を加えられるようにする。
このため、クリンチャユニット2Aは、クリンチャホルダ21の昇降方向への移動をガイドすると共に、クリンチャ20L,20Rの回転及び離接する方向への移動をガイドするクリンチャ駆動機構としての一対のクリンチャリンク22L,22Rを備える。更に、クリンチャユニット2Aは、クリンチャホルダ21の昇降動作でクリンチャ20L,20Rを押し上げるクリンチャ受23を備える。
また、クリンチャユニット2Aは、クリンチャリンク22L,22Rを回転可能に支持すると共に、クリンチャ20L,20Rが取り付けられたクリンチャホルダ21の昇降方向への移動をガイドするクリンチャフレーム24を備える。更に、クリンチャユニット2Aは、クリンチャホルダ21を押し上げるリターンバネ25と、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rの間を仕切ると共に、クリンチャ20L,20Rの向きを保持する仕切り板26を備える。
クリンチャユニット2Aは、図18に示すように、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが、ステープル10の針クラウン10aに沿った左右方向、及び針クラウン10aに対して直交する前後方向に位置をずらして配置される。
クリンチャ20Lは、ステープル10の一方の針足10bに対向して配置され、針足10bに対向する上面に、図19に示すように、前後方向に位置をずらして配置されるクリンチャ20Rに向けて下降する方向に傾斜したクリンチャ面20Laが形成される。また、クリンチャ20Lは、クリンチャ受23に対向する一方の端部側の下面に、クリンチャ受23に押圧される押圧面20Lbが形成される。
クリンチャ20Lは、他方の端部側が、軸20Lcによりクリンチャリンク22Lの上端側に回転可能に支持されると共に、クリンチャホルダ21に回転及び水平方向に移動可能に支持される。
クリンチャ20Rは、ステープル10の他方の針足10bに対向して配置され、針足10bに対向する上面に、図19に示すように、前後方向に位置をずらして配置されるクリンチャ20Lに向けて下降する方向に傾斜したクリンチャ面20Raが形成される。また、クリンチャ20Rは、クリンチャ受23に対向する一方の端部側の下面に、クリンチャ受23に押圧される押圧面20Rbが形成される。
クリンチャ20Rは、他方の端部側が、軸20Rcによりクリンチャリンク22Rの上端側に回転可能に支持されると共に、クリンチャホルダ21に回転及び水平方向に移動可能に支持される。
クリンチャホルダ21は、ステープル10の針クラウン10aに直交する前後方向に沿って前側ホルダ21aと後側ホルダ21bを備える。クリンチャホルダ21は、前側ホルダ21aと後側ホルダ21bが、仕切り板26を挟んで重ねられたクリンチャ20Lとクリンチャ20Rが挿入される空間を設けて対向する。クリンチャホルダ21は、本例では、板材を折り曲げて前側ホルダ21aと後側ホルダ21bが形成される。
クリンチャホルダ21は、クリンチャ20Lの軸20Lcが挿入されるガイド穴21Lと、クリンチャ20Rの軸20Rcが挿入されるガイド穴21Rが、前側ホルダ21aと後側ホルダ21bに形成される。ガイド穴21Lとガイド穴21Rは、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが離接する方向に沿って水平方向の延在する長穴で構成される。
クリンチャホルダ21は、クリンチャ20Lの軸20Lcがガイド穴21Lに挿入されることで、クリンチャ20Lを回転可能かつクリンチャ20Rに対して離接する方向に移動可能に支持する。また、クリンチャホルダ21は、クリンチャ20Rの軸20Rcがガイド穴21Rに挿入されることで、クリンチャ20Rを回転可能かつクリンチャ20Lに対して離接する方向に移動可能に支持する。
クリンチャホルダ21は、クリンチャ20L,20Rに対して後方に位置し、スライダ3が接する後側ホルダ21bに、リターンバネ25に押し上げられる力を受ける受け部21cが形成される。受け部21cは、後側ホルダ21bの左右両側の下面に形成され、リターンバネ25が下方から接して押し上げられる。
また、クリンチャホルダ21は、クリンチャ20L,20Rに対して前方に位置する前側ホルダ21aに、リターンバネ25での押し上げによる移動を規制する高さ規制部21dが形成される。高さ規制部21dは、前側ホルダ21aの左右両側から側方へ突出して形成される。
クリンチャリンク22Lは、下端側が軸22Laによりクリンチャフレーム24に回転可能に支持されると共に、上端側にクリンチャ20Lが軸20Lcによって回転可能に支持される。クリンチャ20L及びクリンチャリンク22Lは、クリンチャホルダ21のガイド穴21Lに、軸20Lcがガイド穴21Lの長穴形状に沿って移動可能に挿入される。
クリンチャリンク22Rは、下端側が軸22Raによりクリンチャフレーム24に回転可能に支持されると共に、上端側にクリンチャ20Rが軸20Rcによって回転可能に支持される。クリンチャ20R及びクリンチャリンク22Rは、クリンチャホルダ21のガイド穴21Rに、軸20Rcがガイド穴21Rの長穴形状に沿って移動可能に挿入される。
これにより、クリンチャリンク22Lは、クリンチャ20Lを回転可能に支持すると共に、クリンチャホルダ21の昇降動作で、クリンチャ20Lをクリンチャ20Rに対して離接する方向に移動させる。クリンチャリンク22Rは、クリンチャ20Rを回転可能に支持すると共に、クリンチャホルダ21の昇降動作で、クリンチャ20Rをクリンチャ20Lに対して離接する方向に移動させる。
クリンチャ受23は、クリンチャホルダ21の下降動作によって、前側ホルダ21aと後側ホルダ21bの間に入り、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rを押圧する位置でクリンチャフレーム24に取り付けられる。
クリンチャフレーム24は、左右方向に沿った一方の側に、クリンチャリンク22Lが軸22Laにより回転可能に支持されると共に 左右方向に沿った他方の側に、クリンチャリンク22Rが軸22Raにより回転可能に支持される。
クリンチャフレーム24は、クリンチャホルダ21の昇降動作をガイドするクリンチャガイド24aを備える。クリンチャガイド24aは、クリンチャホルダ21の前側ホルダ21aと後側ホルダ21bとの間の空間に合わせた幅を有し、前側ホルダ21aと後側ホルダ21bとの間に挿入される。これにより、クリンチャホルダ21の前傾及び後傾が抑えられながら、クリンチャホルダ21の昇降動作がガイドされる。
クリンチャリンク22Lとクリンチャリンク22Rは、クリンチャフレーム24に支持される下端側より狭い間隔で、上端側がクリンチャホルダ21に支持される。クリンチャリンク22Lは、クリンチャホルダ21の昇降動作によって、軸22Laを支点に回転し、クリンチャリンク22Rは、クリンチャホルダ21の昇降動作によって、軸22Raを支点に回転する。
クリンチャホルダ21の昇降動作で、クリンチャリンク22Lとクリンチャリンク22Rは、下端側の軸22Laと軸22Raの間隔は変化せず一定である。これに対して、上端側の軸20Lcと軸20Rcの間隔は変化する。
すなわち、クリンチャリンク22Lとクリンチャリンク22Rは、下端側より上端側の間隔が狭く構成されることで、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャリンク22Lは、軸22Laを支点に上端側がクリンチャリンク22Rに近づく方向に回転する。また、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャリンク22Rは、軸22Raを支点に上端側がクリンチャリンク22Lに近づく方向に回転する。
また、クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャリンク22Lは、軸22Laを支点に上端側がクリンチャリンク22Rから離れる方向に回転する。また、クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャリンク22Rは、軸22Raを支点に上端側がクリンチャリンク22Lから離れる方向に回転する。
これにより、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャリンク22Lは、軸20Lcがガイド穴21Lに沿って移動し、クリンチャリンク22Rは、軸20Rcがガイド穴21Rに沿って移動して、軸20Lcと軸20Rcの間隔が狭くなる。従って、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが近づく方向に移動する。
また、クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャリンク22Lは、軸20Lcがガイド穴21Lに沿って移動し、クリンチャリンク22Rは、軸20Rcがガイド穴21Rに沿って移動して、軸20Lcと軸20Rcの間隔が広くなる。従って、クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが離れる方向に移動する。
次に、各図を参照して、クリンチャユニットを待機位置で保持する構成について説明する。リターンバネ25は、本例ではねじりコイルバネで構成され、一方の端部である前端側がクリンチャフレーム24に固定される。また、リターンバネ25は、図22に示すように、後端側の一方の端部が、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bの左右の一方の側の受け部21cと接し、後端側の他方の端部が、後側ホルダ21bの左右の他方の側の受け部21cと接する。
クリンチャホルダ21は、図21に示すように、前側ホルダ21aの左右の一方の側の高さ規制部21dが、クリンチャフレーム24にクリンチャリンク22Lを支持する軸22Laに接する。また、クリンチャホルダ21は、前側ホルダ21aの左右の他方の側の高さ規制部21dが、クリンチャフレーム24にクリンチャリンク22Rを支持する軸22Raに接する。
これにより、クリンチャホルダ21は、リターンバネ25により受け部21cが左右両側で略均等な力を受けて、後側ホルダ21bが押し上げられると共に、前側ホルダ21aで、左右の高さ規制部21dによってリターンバネ25での押し上げによる移動が規制される。
クリンチャホルダ21は、クリンチャ20L,20Rに対して後方に位置する後側ホルダ21bがリターンバネ25で押し上げられ、クリンチャ20L,20Rに対して前方に位置する前側ホルダ21aが、軸22La,22Raで上方向への移動が規制される。
これにより、クリンチャ20L,20Rが取り付けられたクリンチャホルダ21は、リターンバネ25で押し上げられる待機状態で前傾した状態を保つ。なお、本例ではクリンチャユニット2Aの前側にリターンバネ25を配置する構成としたが、クリンチャユニット2Aの後側にリターンバネを配置し、後側ホルダ21bに力を掛けるような構成としても良い。
次に、各図を参照して、クリンチャ20L,20Rを待機状態の向きで保持する構成について説明する。仕切り板26は、クリンチャ20Lの軸20Lcが挿入される軸受け部26Laと、クリンチャ20Rの軸20Rcが挿入される軸受け部26Raを備える。
仕切り板26は、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rの間に挿入され、軸20Lcと軸20Rcに支持される。軸受け部26La,26Raは、クリンチャ20L,20Rの離接する方向への移動に伴う軸20Lc,20Rcの動きに合わせた長穴形状で構成される。
仕切り板26は、待機状態にあるクリンチャ20Lのクリンチャ面20La、及びクリンチャ20Rのクリンチャ面20Raより上方に突出する仕切り部26bを備える。また、仕切り板26は、クリンチャ20L方向に折り曲げられたバネ部26Lcと、クリンチャ20R方向に折り曲げられたバネ部25Rcを備える。
クリンチャ20Lは、仕切り板26のバネ部26Lcで側面が押圧され、クリンチャ20Rは、仕切り板26のバネ部26Rcで側面が押圧されることで、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rは、待機状態での向きが保持される。
<下ハンドルユニットの構成例>
次に、各図を参照して、下ハンドルユニット11aの構成について説明する。下ハンドルユニット11aは、下ハンドルフレーム4が板金等で構成される。下ハンドルフレーム4は、クリンチャユニット2Aを構成するクリンチャフレーム24が前方位置に取り付けられる。また、下ハンドルフレーム4は、スライダ3がクリンチャユニット2Aの後方に取り付けられる。更に、下ハンドルフレーム4は、上ハンドルユニット11bが取り付けられる上ハンドル取付部40が形成される。
スライダ3は、クリンチャユニット2Aと対向する前側に係止部30が形成され、後側にリンク受け部31が形成される。スライダ3は、前後方向に沿ってスライド移動可能な構成で下ハンドルフレーム4に取り付けられ、図示しないバネに押圧されて、クリンチャユニット2Aを構成するクリンチャホルダ21の後側ホルダ21bが係止部30に載る位置まで前方に移動する。また、スライダ3は後方へ移動することで、係止部30がクリンチャホルダ21の後側ホルダ21bから外れる。
下ハンドルユニット11aは、クリンチャユニット2A及びスライダ3が取り付けられた下ハンドルフレーム4に、下ハンドルフレーム4を覆う形状を有した下ハンドルカバー41が取り付けられる。
また、下ハンドルユニット11aは、クリンチャユニット2Aを覆うクリンチャカバー42が下ハンドルカバー41に取り付けられる。クリンチャカバー42は、クリンチャユニット2Aを構成するクリンチャ20L及びクリンチャ20Rと、クリンチャ20L,20Rに挟まれた仕切り板26と、クリンチャ20L,20Rが取り付けられたクリンチャホルダ21が露出する開口を有する。クリンチャカバー42は、クリンチャホルダ21の昇降動作に連動して昇降する構成を有して、下ハンドルカバー41に取り付けられる。
更に、下ハンドルユニット11aは、用紙の位置を規制する用紙ガイド43が、下ハンドルカバー41に取り付けられる。用紙ガイド43は、前後方向に沿ってスライド移動可能な構成で下ハンドルカバー41に取り付けられ、用紙が用紙ガイド43に突き当てられることで、ステープル10で綴じる位置が調整可能に構成される。
<マガジンユニットの構成例>
マガジンユニット5は、図16に示すように、ステープル10が装填されるマガジン50と、ステープル10の装填のために、マガジン50を引き出し可能に収納するマガジンガイド51を備える。
図24及び図25は、マガジンの一例を示す要部側断面図、図26は、ステープルガイドの一例を示す要部斜視図、図27は、ステープルホルダの一例を示す斜視図であり、次に、各図を参照してマガジン50の構成について説明する。
マガジン50は、ステープル10をガイドするステープルガイド52と、ドライバユニット6で打ち出される1本に分離されたステープル10の形状を保持するステープルホルダ53を備える。
マガジン50は、上面が開口してステープル10が装填可能な空間が形成され、ステープル10が押し付けられるマガジン前壁50aの下部に、1本に分離されたステープル10が通る寸法で開口部50bが形成される。また、マガジン50は、対向するマガジン側壁50cの内寸が、ステープル10の針クラウン10aの外寸より若干広く構成される。本例では、図1で説明した針クラウン10aの外寸が11.42mmであるステープル10が装填可能となるように、対向するマガジン側壁50cの内寸が設定される。
ステープルガイド52は、マガジン50の内側の空間に取り付けられる。マガジン50とステープルガイド52の間には、コイルスプリング50dが取り付けられ、ステープルガイド52がマガジン前壁50a方向に押圧される。
ステープルガイド52は、ステープル10の針クラウン10aの内寸より若干幅が狭く構成され、マガジン側壁50cとステープルガイド52の間に、ステープル10の針足10bが挿入可能な空間が設けられる。
本例では、図1で説明した針クラウン10aの内寸が10.45mmであるステープル10が装填可能となるように、ステープルガイド52の幅が設定される。また、マガジン側壁50cとステープルガイド52の間には、針線厚が0.37mmのステープル10の針足10bが挿入可能な空間が設けられる。
更に、上述した寸法で構成されるマガジン50では、針線幅を0.50mm、針線厚を0.32mmとして、10号と称されるステープルと針線幅と針線厚が同じで、針クラウンの外寸を11.42mmとしたステープルも装填可能である。
ステープルガイド52は、図25に示すように、ステープル10を1本に分離するためのせん断力を与えるせん断ガイド部52aと、1本に分離されたステープル10をマガジン前壁50aに押圧する押圧ガイド部52bと、ステープル10の針足10bを幅方向にガイドする幅ガイド部52cを備える。
せん断ガイド部52aは、ステープルガイド52の前端側上面とマガジン前壁50aとの間に、1本のステープル10の針線幅ts1より広く、2本分のステープル10の針線幅より狭い間隔t1が形成される斜面を設けて形成される。
押圧ガイド部52bは、幅ガイド部52cがマガジン前壁50aに接している状態で、マガジン前壁50aとの間隔t2が、1本のステープル10の針線幅より若干狭く構成され、押圧ガイド部52bとマガジン前壁50aとの間を通るステープル10が、押圧ガイド部52bでマガジン前壁50aに押圧される。
ここで、図1に示すように針足10bの長さを10.0mmとしたステープル10が使用される場合に、針足10bの先端が用紙に到達する前に、針クラウン10aが押圧ガイド部52bでガイドされるように、せん断ガイド部52aの高さt3が設定される。
幅ガイド部52cは、1本のステープル10の針線幅より若干小さい寸法で、押圧ガイド部52bから前方に突出する。また、図26に示すように、左右一対の幅ガイド部52cは、ステープル10の針クラウン10aの内寸と略同じ幅で構成され、ステープルガイド52から左右に突出する。
ステープルホルダ53は、1本に分離されたステープル10の針クラウン10aの形状を保持する針クラウンガイド部53aを備える。ステープルホルダ53は、ステープルガイド52の前端部に取り付けられ、左右一対の押圧ガイド部52bの間に針クラウンガイド部53aが配置され、針クラウンガイド部53aがマガジン50のマガジン前壁50aと対向する。
ステープルホルダ53は、針クラウンガイド部53aとマガジン前壁50aとの間隔が、針クラウンガイド部53aの上端側から下端側に向けて狭くなる方向に、針クラウンガイド部53aが傾斜し、針クラウンガイド部53aの下端がマガジン前壁50aと接触する。
ステープルホルダ53は、弾性を有する材質で構成され、1本に分離されたステープル10がマガジン前壁50aとステープルガイド52の間を通過すると、針クラウン10aに押されて針クラウンガイド部53aが弾性変形することで、針クラウン10aを押し上げられる方向に力が加えられ、針クラウン10aの変形が抑えられる。
図28は、ステープルホルダの取付例を示す正面断面図、図29は、ステープルホルダの取付例を示す側断面図で、次に、各図を参照して、ステープルホルダ53を取り付ける構成について説明する。ステープルホルダ53は、幅方向に沿った左右の一方の側部に取付凸部53Lが形成されると共に、他方の側部に取付凸部53Rが形成される。
ステープルホルダ53は、取付凸部53Lと取付凸部53Rの一方には2個以上、他方には1個以上設けられることが好ましく、本例では、ステープルホルダ53の左右の側部のそれぞれ2箇所に、取付凸部53Lと取付凸部53Rが対称の配置で側方に突出して形成される。
ステープルガイド52は、幅方向に沿った左右の一方の側部に、ステープルホルダ53の取付凸部53Lが挿入される取付開口部52Lが形成され、他方の側部に、ステープルホルダ53の取付凸部53Rが挿入される取付開口部52Rが形成される。
ステープルガイド52とステープルホルダ53は、所定の挿入位置にてステープルホルダ53の取付凸部53L,53Rがステープルガイド52の取付開口部52L,53Rに挿入され、固定位置にステープルホルダ53を移動させることで、ステープルホルダ53がステープルガイド52に固定される。
このため、取付開口部52Lは、ステープルホルダ53をステープルガイド52に取り付ける動作で、挿入位置にあるステープルホルダ53の取付凸部53Lが挿入される挿入開口部52Laを備える。
また、取付開口部52Lは、ステープルガイド52に対して後方へ移動させる動作で固定位置にあるステープルホルダ53の取付凸部53Lを支持する支持凸部52Lbを備える。更に、固定位置にあるステープルホルダ53の位置を、マガジン50のマガジン前壁50aとの間で規制する位置規制部52Lcを備える。
取付開口部52Rは、ステープルホルダ53をステープルガイド52に取り付ける動作で、挿入位置にあるステープルホルダ53の取付凸部53Rが挿入される挿入開口部52Raを備える。
また、取付開口部52Rは、ステープルガイド52に対して後方へ移動させる動作で固定位置にあるステープルホルダ53の取付凸部53Rを支持する支持凸部52Rbを備える。更に、固定位置にあるステープルホルダ53の位置を、マガジン50のマガジン前壁50aとの間で規制する位置規制部52Rcを備える。
取付開口部52Lは、ステープルホルダ53の2個の取付凸部53Lの配置に合わせて、2箇所に挿入開口部52Laが形成されると共に、3箇所に支持凸部52Lbが形成される。挿入開口部52Laと支持凸部52Lbは、ステープルガイド52の前後方向に沿って交互に配置されてつながり、取付開口部52Lの後端に位置規制部52Lcが形成される。
取付開口部52Rも同様に、ステープルホルダ53の2個の取付凸部53Rの配置に合わせて、2箇所に挿入開口部52Raが形成されると共に、3箇所に支持凸部52Rbが形成される。挿入開口部52Raと支持凸部52Rbは、ステープルガイド52の前後方向に沿って交互に配置されてつながり、取付開口部52Rの後端に位置規制部52Rcが形成される。
取付開口部52Lと取付開口部52Rは、挿入開口部52La及び挿入開口部52Raと、支持凸部52Lb及び支持凸部52Rbが、上下に対称な配置で形成される。
ステープルホルダ53の取付方法について説明すると、ステープルホルダ53は、ステープルガイド52の左右の側壁の間に取付凸部53L,53Rが入るように、図28(a)に示すように、挿入位置において左右方向に傾けることで、取付凸部53Lが取付開口部52Lの挿入開口部52Laに挿入され、取付凸部53Rが取付開口部52Rの挿入開口部52Raに挿入される。
取付凸部53Lが挿入開口部52Laに挿入され、取付凸部53Rが挿入開口部52Raに挿入されたステープルホルダ53は、図28(b)に示すように、略水平な向きとすることで、後方への水平移動が可能となる。
図29(a)に示すように挿入位置にあるステープルホルダ53を、図29(b)に示すように固定位置に移動させると、左右の取付開口部52L,52Rの間で、取付凸部53L,53Rが支持凸部52Lb,52Rbに挟まれ、ステープルホルダ53は傾く方向へ回転する動きが規制される。
ステープルホルダ53が取り付けられたステープルガイド52がマガジン50に取り付けられ、マガジン50とステープルガイド52の間に、コイルスプリング50dが取り付けられると、ステープルガイド52がマガジン前壁50a方向に押圧される。
ステープルガイド52がマガジン前壁50a方向に押圧されると、ステープルホルダ53の針クラウンガイド部53aがマガジン前壁50aに押圧され、ステープルホルダ53の後端が、取付開口部52L,52Rの位置規制部52Lc,52Rcに押圧される。
これにより、ステープルホルダ53は、針クラウンガイド部53aがマガジン前壁50aに押圧された状態で、傾く方向へ回転する動き及び前後方向への移動が規制されて、ステープルガイド52を介してマガジン50に固定される。
ステープルホルダをステープルガイドに取り付ける構成では、従来は、ステープルホルダの側方に凸部を形成すると共に、ステープルガイドの対向する側壁にステープルホルダの凸部が嵌まる開口部を形成し、ステープルガイドを撓ませることでステープルホルダを取り付けていた。
しかし、ステープルホルダの取り付けでステープルガイドが変形してしまい、ステープルの打ち出しやクリンチ等で必要とされる部品の寸法精度を確保できない可能性があった。
本実施の形態では、ステープルホルダ53をステープルガイド52に取り付ける際に、部品を変形させるような力が加わらない。これにより、ステープルホルダ53の取り付けでステープルガイド52等が変形することがなく、ステープル10の打ち出しやクリンチ等で必要とされる部品の寸法精度を確保できる。
次に、各図を参照してマガジンガイド51の構成について説明する。マガジンガイド51は、前面、上面及び後面が開口して、マガジン50が前面から引き出し可能に収納される空間が形成される。
マガジンガイド51は、引き出し可能に収納されるマガジン50のロック及びロックの解除を行うロック機構54を備える。また、マガジンガイド51は、マガジン50に装填されたステープル10を前方に押圧するプッシャ55と、プッシャ55を押圧するプッシャスプリング55aと、プッシャスプリング55aをガイドするスプリングガイド56を備える。
更に、マガジンガイド51は、マガジン50の収納方向への移動と引き出し方向への移動をガイドすると共に、プッシャ55で押圧されるステープル10を、ステープルガイド52と共にガイドするガイドカバー57を備える。
プッシャ55は、マガジンガイド51に収納されたマガジン50の内側で、ステープルガイド52に沿って前後方向に移動可能に取り付けられる。ガイドカバー57は、マガジンガイド51の上面に取り付けられ、マガジンガイド51と共に、マガジン50の収納方向への移動と引き出し方向への移動をガイドする。また、プッシャ55で押圧されるステープル10を、ステープルガイド52と共にガイドする。
プッシャスプリング55aは、プッシャ55をマガジン50のマガジン前壁50a方向に押圧する。プッシャスプリング55aは、ガイドカバー57内に収納され、本例では、マガジンガイド51の前端側に取り付けられるスプリングガイド56により、U形状の配置でプッシャ55と連結される。
マガジンユニット5は、上ハンドルユニット11bの動きを下ハンドルユニット11aのスライダ3に伝達して、クリンチャユニット2Aの待機位置でのロック及びロックの解除を行うリンク58を備える。
本実施の形態では、リンク58は、軸58aを支点としてマガジンガイド51に回転可能に取り付けられ、略L形状の一方の端部に形成されたスライダ押圧部58bが、スライダ3のリンク受け部31と接し、他方の端部に形成されたドライバ押圧部58cがドライバユニット6に押圧される。
リンク58は、スライダ押圧部58bがスライダ3のリンク受け部31と接する方向に自重で回転する重量配分で構成され、スライダ押圧部58bとリンク受け部31が常時接触するような状態が保持される。これにより、図7に示すように、リンク58は、スライダ押圧部58bが下ハンドルフレーム4の上ハンドル取付部40の前端より後方に位置する。
用紙に対するステープル10の綴じ位置は、クリンチャユニット2Aのクリンチャ20L,20Rと、用紙ガイド43との間の距離で決められる。このため、リンク58のスライダ押圧部58bが下ハンドルフレーム4の上ハンドル取付部40の前端より後方に位置する構成とすることで、用紙ガイド43の移動位置を、上ハンドル取付部40の前端までにすることができる。従って、用紙の端部からステープル10の綴じ位置までの距離を長くすることができる。
図30は、ロック機構の一例を示す側断面図、図31は、ロック機構の一例を示す要部平面断面図であり、次に、各図を参照して、ロック機構54の構成について説明する。
ロック機構54は、マガジン50を収納位置でロックするマガジンストッパ54aと、マガジンストッパ54aを動かすプッシャスイッチ54bを備える。また、ロック機構54は、マガジン50を排出方向に押す力を加えると共に、マガジンストッパ54aをロック方向に回転させる力を加えるマガジンロックバネ54cを備える。
マガジンストッパ54aは、マガジン50の後端側底面に形成されたロック開口部50eに嵌まるロック爪54dを、略L形状の一方の端部に備え、マガジンロックバネ54cに押されるバネ押圧部54eを、略L形状の他方の端部に備える。マガジンストッパ54aは、ロック爪54dとバネ押圧部54eの間に設けられる軸54fを支点に回転可能な状態で、マガジンガイド51に支持される。
プッシャスイッチ54bは、人手により押されるスイッチ部54gを後端側に備え、マガジンストッパ54aのバネ押圧部54eが形成された略L字形状の他方の端部と、軸54hを介して回転可能に連結される。プッシャスイッチ54bは、軸54hを挟んだ前端側にマガジンロックバネ54cが取り付けられる。
マガジンロックバネ54cは、マガジンガイド51にマガジン50が収納されると、マガジン50のステープルガイド52に前端側が接し、マガジンストッパ54aのバネ押圧部54eに後端側が接する。マガジンロックバネ54cは、プッシャスイッチ54bの前端部に形成される抜け止め防止凸部54iにより、マガジン50が引き出された状態で、プッシャスイッチ54bから外れることが防止される。
マガジン50がマガジンガイド51に収納された状態では、図30(a)に示すように、マガジン50に取り付けられたステープルガイド52の後端側と、マガジンストッパ54aのバネ押圧部54eとの間でマガジンロックバネ54cが圧縮される。
マガジンストッパ54aは、バネ押圧部54eが押圧されることで、ロック爪54dがマガジン50のロック開口部50eに嵌まる方向に、軸54fを支点に回転し、ロック爪54dがロック開口部50eに嵌まる。
これにより、マガジン50は、マガジンガイド51に収納された状態が保持される。また、マガジン50は、ステープルガイド52がマガジンロックバネ54cで押圧されることで、マガジン50とステープルガイド52との間に取り付けられたコイルスプリング50dと共に、マガジンロックバネ54cでステープルガイド52がマガジン前壁50a方向に押圧される。
プッシャスイッチ54bは、スイッチ部54gが押されると、図30(b)に示すように、軸54hを介して連結されたマガジンストッパ54aを、軸54fを支点に回転させて、マガジンストッパ54aのロック爪54dをマガジン50のロック開口部50eから外す。
マガジンストッパ54aのロック爪54dがマガジン50のロック開口部50eから外れると、圧縮されていたマガジンロックバネ54cが復元する力、及び、引っ張られていたプッシャスプリング55aが復元する力によってプッシャ55により押圧される力で、マガジン50が前方に押圧され、マガジンガイド51からマガジン50が引き出される。
<ドライバユニットの構成例>
次に、各図を参照して、ドライバユニット6の構成について説明する。ドライバユニット6は、マガジン50に装填されたステープル10の先頭の1本を押圧し、用紙に貫通させるドライバ60と、ドライバ60及びリンク58を押圧するドライバアーム61を備える。
ドライバ60は、1本のステープル10の針線幅に合わせた板厚を有すると共に、ステープル10の針クラウン10aの外寸に合わせた幅を有したステープル押圧部60aが下端側に設けられた板状の部材で構成される。また、ドライバ60は、ドライバアーム61に支持される軸部60bと、ドライバアーム61に押圧されるドライバ押圧部60cが上端側に設けられる。
ドライバアーム61は、ドライバ60のドライバ押圧部60cを押圧する押圧面61aと、ドライバ60の軸部60bを支持し、ドライバ60を回転及びスライド移動可能にガイドするドライバガイド溝61bを備える。
ドライバアーム61は、押圧面61aが凹状に湾曲した曲面で構成され、ドライバガイド溝61bが、押圧面61aに倣って前後方向に延在して凹状に湾曲した長穴で構成される。
マガジンユニット5とドライバユニット6は、マガジンガイド51とドライバアーム61が、軸54fを支点に回転可能な状態で、下ハンドルフレーム4の上ハンドル取付部40に取り付けられる。本例では、マガジンストッパ54aと同軸で、マガジンガイド51とドライバアーム61が回転する。
ドライバユニット6は、ドライバアーム61に取り付けられたドライバ60が、マガジンガイド51に取り付けられたスプリングガイド56によって、マガジン50のマガジン前壁50aに沿ってガイドされる。
マガジン50と用紙が接触せず、ドライバアーム61とマガジンガイド51が軸54fを支点に一体的に回転している間は、ドライバ60とマガジン50との相対的な位置関係は変化しない。
クリンチャユニット2Aとマガジン50の間に用紙が挟持され、ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して回転すると、マガジンガイド51に対するドライバアーム61の回転動作で、ドライバ60がドライバアーム61に押圧される。
ドライバ60は、軸部60bがドライバガイド溝61bに沿って移動可能であるので、ドライバアーム61の回転に伴い、ドライバアーム61の押圧面61aと、ドライバ60のドライバ押圧部60cが接する位置が変位する。これにより、ステープル10を押圧するドライバ60の角度が所定の角度で保たれる。
ドライバアーム61は、待機状態では、リンク58のドライバ押圧部58cとの間に空走空間61cが形成され、ドライバアーム61とリンク58は接触していない。マガジン50と用紙が接触せず、ドライバアーム61とマガジンガイド51が軸54fを支点に一体的に回転している間は、ドライバアーム61とリンク58のドライバ押圧部58cの間の空走空間61cが保持される。
そして、クリンチャユニット2Aとマガジン50の間に用紙が挟持され。ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して回転すると、ドライバアーム61の回転動作でリンク58が押圧され、軸58aを支点にリンク58を回転させて、スライダ3を作動させる。
<ハンドルユニットの構成例>
ハンドルユニット7は、ドライバアーム61を押圧するハンドルアーム70と、ハンドルアーム70を覆う上ハンドルカバー71と、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との間に形成される隙間を覆うフロントカバー72を備える。
ハンドルアーム70は、下ハンドルフレーム4の上ハンドル取付部40に取り付けられた軸70aに挿入される軸穴部70bを備え、軸70a及び軸穴部70bを介して下ハンドルフレーム4に取り付けられる。また、ハンドルアーム70は、軸54fにより下ハンドルフレーム4の上ハンドル取付部40に支持されたドライバアーム61と、軸70cにより連結される。
ハンドルアーム70は、軸穴部70bが所定の長穴形状で構成される。本例では、軸穴部70bは、ドライバアーム61の回転支点となる軸54fに対する距離が、ハンドルアーム70及びドライバアーム61の回転動作に伴い所定のパターンで変化する。
ハンドルユニット7とドライバユニット6は、ハンドルアーム70に力が掛かる点とハンドルアーム70の回転支点となる軸穴部70bとの距離と、ドライバアーム61に力を掛ける点である軸70cと軸穴部70bとの距離の比率、及び、軸70cとドライバアーム61の回転支点となる軸54fとの距離と、ドライバ60に力を掛ける点と軸54fとの距離の比率により、ハンドルアーム70に掛ける荷重を低減した倍力機構を実現している。
そして、軸穴部70bの形状により、ハンドルアーム70を押圧する初期では荷重が重く、ステープル10が用紙を貫通する段階で荷重が軽くなるように構成される。
このような倍力機構を備えることで、ハンドルアーム70のストロークが長くなり、ハンドルアーム70に取り付けられた上ハンドルカバー71とドライバアーム61との間に隙間が生じる。そこで、図4に示すように、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間を覆うフロントカバー72が取り付けられる。
図32は、フロントカバーの一例を示す斜視図である。フロントカバー72は、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間の前方と側方を覆う形状を有する。フロントカバー72は、図4に示すように、一方の端部に設けられた軸部72aが、ハンドルアーム70に設けられた軸穴部70dに挿入され、軸部72aを支点として回転可能な状態でハンドルアーム70に取り付けられる。
また、フロントカバー72は、図32に示すように、他方の端部に形成された溝部72bが、ドライバアーム61に設けられたガイド凸部61dに挿入され、ガイド凸部61dを支点に回転及びスライド移動可能な状態でドライバアーム61に取り付けられる。ガイド凸部61dは、抜け止め防止形状として、本例ではT形状に構成されて抜け止め防止部61eが設けられ、フロントカバー72の溝部72bにスライド移動及び回転可能に挿入されると共に、溝部72bが外れることが防止される。
なお、フロントカバー72とドライバアーム61の取り付け構造は、フロントカバー72に側に、抜け止め防止形状を持つガイド凸部を備え、ドライバアーム61側に、ガイド凸部が回転及びスライド移動可能に挿入される溝部を備える構成としても良い。また、フロントカバー72とドライバアーム61を、軸部と軸穴部で回転可能に連結すると共に、フロントカバー72とハンドルアーム70を長穴状の軸穴部と軸部で回転及びスライド移動可能に連結する構成としても良い。
<本実施の形態のステープラの動作例>
図33は、本実施の形態のステープラで用紙を綴じる動作を示す側断面図、図34は、本実施の形態のステープラで用紙を綴じる動作を示す斜視図で、次に、各図を参照して、本実施の形態のステープラ1Aで用紙を綴じる動作について説明する。
まず、ステープラ1Aの待機状態では、図33(a)に示すように、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間が、上ハンドルカバー71とドライバアーム61に取り付けられたフロントカバー72で覆われている。これにより、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間に何らかの物体が挿入されることが防止される。
用紙を綴じる動作では、用紙Pが下ハンドルユニット11aの下ハンドルカバー41及びクリンチャカバー42上に載置される。ステープラ1Aでは、用紙ガイド43の位置を調整して、用紙Pを用紙ガイド43に突き当てることで、ステープル10による綴じ位置が合わせられる。
用紙Pが載置され、待機状態から上ハンドルカバー71が矢印A方向に押されると、上ハンドルカバー71に覆われたハンドルアーム70が、図6等に示す軸70aと軸穴部70bとの接点を移動支点として回転する。ハンドルアーム70が回転することで、軸70cの変位によりドライバアーム61が押圧され、ドライバアーム61が軸54fを支点に回転する。
ハンドルユニット7とドライバユニット6は、ハンドルアーム70に力が掛かる点と軸穴部70bとの距離と、軸70cと軸穴部70bとの距離の比率、及び、軸70cと軸54fとの距離と、ドライバ60に力を掛ける点と軸54fとの距離の比率により、ハンドルアーム70に掛かる荷重が低減される。そして、軸穴部70bの形状により、ハンドルアーム70を押圧する初期では荷重が重く、図33(b)に示すように、ステープル10が用紙Pを貫通する段階で荷重が軽くなる。
上ハンドルカバー71が押されると、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間が徐々に狭くなる。フロントカバー72は、上ハンドルカバー71及びハンドルアーム70と、ドライバアーム61の変位に伴い、ハンドルアーム70に対して軸部72aを支点に回転する。
一方、ドライバアーム61に対しては、図4に示すように、溝部72bとガイド凸部61dの係合で、ガイド凸部61dを支点に回転及びスライド移動する。上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間が狭くなる方向に変位すると、ハンドルアーム70側の軸部72aと、ドライバアーム61側のガイド凸部61dとの距離が短くなる。これにより、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間の変位にフロントカバー72を追従させることができる。
また、フロントカバー72は、ハンドルアーム70に対しては、軸部72aで係合しており、容易に外れることはない。また、ドライバアーム61に対しては、溝部72bとガイド凸部61dの係合で、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間の変位に対しては自由に動くが、容易に外れることはない。これにより、フロントカバー72のみが動かされて、何らかの物体が上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間に挟まれることが防止される。
図35は、本実施の形態のステープラにおけるステープルの打ち出し動作の一例を示す動作説明図であり、次に、各図を参照して、ステープル10を打ち出す時のマガジンユニット5及びドライバユニット6の動作について説明する。
待機状態からハンドルアーム70が押圧される初期段階では、マガジン50と用紙Pが接触せず、ドライバアーム61とマガジンガイド51が軸54fを支点に一体的に回転する。
クリンチャユニット2Aとマガジン50の間に用紙Pが挟持されると、マガジンガイド51の回転は規制され、ハンドルアーム70が更に押圧されることで、ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して回転する。
ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して回転すると、ドライバ60がドライバアーム61に押圧される。図1に示すように、針足10bの長さを10.0mmとしたステープル10を使用可能とした構成では、ドライバのストロークが長く必要となる。このため、ドライバがドライバアームに固定された構成では、ドライバアーム61の回転に伴い、マガジン50のマガジン前壁50aに対するドライバの角度の変化が大きくなる。
これに対し、ドライバ60は、ドライバアーム61の回転に伴い、ドライバアーム61の押圧面61aと、ドライバ60のドライバ押圧部60cが接する位置が変位し、ステープル10を押圧するドライバ60の角度が、マガジン50のマガジン前壁50aに沿うように、所定の角度で保たれる。
マガジン50に装填されたステープル10がドライバ60で押圧されると、ステープル10の先頭の1本は、図25に示すせん断ガイド部52aにより形成される隙間上に位置し、2本目以降はステープルガイド52の上面に支持された状態であるので、1本目のステープル10にせん断力が加わり分離する。
ドライバ60で押圧されるステープル10は、マガジン前壁50aとせん断ガイド部52aとの隙間から、マガジン前壁50aと押圧ガイド部52bとの隙間に入る。
マガジン50は、上述したように、ステープルガイド52がコイルスプリング50d及びマガジンロックバネ54cによって前方に押圧されており、ステープル10を打ち出している工程以外では、ステープルガイド52の幅ガイド部52cがマガジン前壁50aに接している。
押圧ガイド部52bは、幅ガイド部52cがマガジン前壁50aに接している状態で、マガジン前壁50aとの間隔t2が、1本のステープル10の針線幅より若干狭く構成される。
これにより、ドライバ60に押圧されたステープル10は、針クラウン10aの左右両端側で押圧ガイド部52bを押し、コイルスプリング50dを引っ張る方向に弾性変形させると共に、マガジンロックバネ54cを圧縮する方向に弾性変形させて、ステープルガイド52を矢印R方向に後退させる。
ステープルガイド52を後退させることで、押圧ガイド部52bとマガジン前壁50aの間に入るステープル10は、コイルスプリング50d及びマガジンロックバネ54cにより、針クラウン10aの両端側が押圧ガイド部52bでマガジン前壁50aに押圧される。
ドライバによる押圧で1本のステープルを分離して打ち出すためには、ステープルガイドの先端とマガジン前壁との間に、1本のステープルの針線幅より広い隙間を設ける必要がある。ステープルガイドの先端とマガジン前壁との隙間が、ステープルの針線幅より広い区間では、ステープルの針クラウンが前後に動ける。
このため、ステープルの針足の先端が用紙に着地して貫通を始める前に、ステープルの姿勢が変化する可能性があった。また、針足が長いステープルでは、ステープルの針足の先端が用紙に着地して貫通を始めた後でも、ステープルガイドの先端とマガジン前壁との隙間が、ステープルの針線幅より広い区間に針クラウンが存在して、針足の貫通中に、ステープルの姿勢が変化する可能性があった。
本実施の形態では、ステープルガイド52の先端にせん断ガイド部52aと押圧ガイド部52bを備えることで、せん断ガイド部52aでステープル10を1本に分離し、1本に分離されたステープル10の針クラウン10aを、押圧ガイド部52bでガイドすることができる。
押圧ガイド部52bとマガジン前壁50aとの間を通るステープル10は、針クラウン10aの両端側が押圧ガイド部52bでマガジン前壁50aに押圧されるので、ステープル10の針クラウン10aが前後に動ける隙間は生じない。
また、上述したように、図1に示すように、針足10bの長さを10.0mmとしたステープル10が使用される場合でも、針足10bの先端が用紙に到達する前に、針クラウン10aが押圧ガイド部52bでガイドされるように、せん断ガイド部52aの形状が設定される。
これにより、ステープル10の針足10bの先端が用紙Pに着地して貫通を始める前に、ステープル10の姿勢が変化することを防止できる。また、ステープル10の針足10bの先端が用紙Pに着地して貫通を始める前に、針クラウン10aがせん断ガイド部52aを抜けて、押圧ガイド部52bでガイドされるので、針足10bの貫通中に、ステープル10の姿勢が変化することを防止できる。
針クラウン10aが押圧ガイド部52bでガイドされる区間にあるステープル10は、2本の針足10bの間隔が、幅ガイド部52cでガイドされることで、左右方向のガイドを幅ガイド部52cで行うことができる。
ドライバ60で押圧されるステープル10は、針クラウン10aが押圧ガイド部52bを通過すると、ステープルガイド52を更に後退させて、幅ガイド部52cとマガジン前壁50aの間に形成される隙間に入る。針クラウン10aが幅ガイド部52cとマガジン前壁50aとの間でガイドされる区間にあるステープル10は、針足10bが用紙Pを貫通するので、幅ガイド部52cでの幅方向のガイドが無くても、ステープルの姿勢が変化することを防止できる。
針クラウン10aが押圧ガイド部52bでガイドされる区間にあるステープル10、及び、針クラウン10aが幅ガイド部52cとマガジン前壁50aとの間でガイドされる区間にあるステープル10は、ステープルホルダ53の針クラウンガイド部53aで、針クラウン10aが押し上げられる方向に力が加えられる。これにより、ドライバ60の押圧によって、針クラウン10aの中央付近が下方に向けて撓むような変形を防止することができる。
本実施の形態のステープル10は、3号及び3号Uと称されるステープルに比較して、針線幅及び針線厚が細いので、最大の綴じ枚数である80枚程度の用紙を綴じる動作においても貫通荷重が低減される。また、倍力機構によりハンドルアーム70に掛かる荷重が低減される。これにより、従来の中、大型のステープラに比較して、ハンドルアーム70等を短くした小型のステープラを使用して、軽い操作力で用紙Pを綴じることができる。
また、本実施の形態のステープル10では、10号と称されるステープルに比較して、針線幅及び針線厚が太く、針クラウン10aの外寸も、針足10bの長さを考慮して、3号と称されるステープルに比較して短く構成される。これにより、80枚程度の用紙を綴じる動作においても座屈耐力が向上し、ステープルホルダ53の機能も加わることで、ドライバ60の押圧によって、針クラウン10aの中央付近が下方に向けて撓むような変形を防止することができる。
図36は、スライダの動作の一例を示す要部側面図であり、次に、各図を参照して、上ハンドルユニット11bにおけるリンク58の動きをスライダ3に伝達する動作について説明する。
待機状態では、図36(a)に示すように、スライダ3はクリンチャロック位置に前進しており、クリンチャユニット2Aを構成するクリンチャホルダ21の後側ホルダ21bが係止部30に載る。これにより、クリンチャホルダ21の下降が規制される。
ドライバアーム61は、図33(a),図34(a)に示すように、待機状態では、リンク58のドライバ押圧部58cとの間に空走空間61cが形成され、ドライバアーム61とリンク58は接触していない。
マガジン50と用紙Pが接触せず、ドライバアーム61とマガジンガイド51が軸54fを支点に一体的に回転している間は、ドライバアーム61とリンク58のドライバ押圧部58cの間の空走空間61cが保持される。一方、ドライバアーム61とマガジンガイド51が軸54fを支点に一体的に回転することで、スライダ3のリンク受け部31に対してリンク58が変位する。
スライダ3とリンク58は、待機状態からリンク受け部31とスライダ押圧部58bが接する。そこで、スライダ3とリンク58は、リンク受け部31とスライダ押圧部58bの形状が、軸54fを支点としたマガジンガイド51の回転に伴うリンク58の変位では、スライダ3が移動しないように設定される。
クリンチャユニット2Aとマガジン50の間に用紙Pが挟持され、ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して回転すると、上述したように、1本に分離されたステープル10がドライバ60により打ち出され、ステープル10の針足10bが用紙Pを貫通する。
ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して回転すると、ドライバアーム61とリンク58との間の空走空間61cが徐々に狭くなる。そして、ステープル10の針足10bの先端が用紙Pの裏面より抜けた後に、図33(b),図34(b)に示すように、ドライバアーム61とリンク58のドライバ押圧部58cが接する。
ドライバアーム61とリンク58のドライバ押圧部58cが接触を開始した段階では、図36(b)に示すように、スライダ3はまた動かず、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bが係止部30に載っており、クリンチャホルダ21の下降が規制される。
ハンドルアーム70が更に押圧されることで、ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して更に回転すると、ドライバアーム61の回転動作でリンク58が押圧され、図33(c),図34(c)に示すように、軸58aを支点にリンク58が回転する。
リンク58が回転すると、スライダ押圧部58bによってスライダ3のリンク受け部31が押される。これにより、図36(c)に示すように、スライダ3が後退し、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bから係止部30が外れ、クリンチャホルダ21の下降が可能になる。
フラットクリンチ機構及び倍力機構を備えた従来のステープラでは、リンクの先端がドライバアームに対して軸支される構成で、クリンチャとマガジンとの間に用紙が挟持され、ドライバアームがマガジンに対して回転を開始するタイミングで、リンクも回転動作を開始する。
一方、スライダの作動タイミングは、ステープルが用紙を貫通する際の貫通荷重とスライダを引く荷重とを重ならせないため、ステープルの針足の先端が用紙を貫通した後である必要がある。このため、従来のステープラでは、リンクのスライダ押圧部とスライダの間に空走空間を設けている。しかし、針足が長いステープルを使用する構成では、ドライバアームのストロークが大きくリンクの作動量も大きくする必要があるため、リンクとスライダとの間の空走空間が長くなる。
リンクの作動量を大きくするためには、スライダ押圧部を前方に設ける必要があり、用紙の綴じ位置の奥行き方向への挿入量を多くできない。また、リンクの作動量を大きくするため装置が大型化する。
これに対して、本実施の形態では、リンク58をマガジンガイド51に軸支し、リンク58のドライバ押圧部58cとドライバアーム61との間に空走空間61cを設ける構成とした。また、リンク58を、スライダ押圧部58bがスライダ3のリンク受け部31と接する方向に自重で回転する重量配分として、リンク58のスライダ押圧部58bをスライダ3のリンク受け部31と待機位置から接触させる構成とした。
リンク58とドライバアーム61との間に空走空間61cを設けることで、クリンチャユニット2Aとマガジン50との間に用紙Pが挟持され、ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して回転を開始するタイミングでは、リンク58は回転動作を開始しない。そして、ステープル10の針足10bの先端が用紙Pを貫通した後、リンク58が回転動作を開始する構成とすることができる。
これにより、針足10bの長さを10.0mmとしたステープル10を使用可能とする構成でもリンク58の作動量を少なくして、図7及び図33(a),図34(a)等に示す待機状態でも、スライダ押圧部58bとリンク受け部31が常時接触するような状態を保持させ、リンク58のスライダ押圧部58bが下ハンドルフレーム4の上ハンドル取付部40の前端より後方に位置する構成とすることができる。
待機状態で、リンク58のスライダ押圧部58bが下ハンドルフレーム4の上ハンドル取付部40の前端より後方に位置する構成とすることで、用紙ガイド43の移動位置を、上ハンドル取付部40の前端までにすることができる。
従って、図33(a)に示すように、用紙ガイド43の位置を、上ハンドル取付部40の前端とすれば、用紙Pの端部からステープル10の綴じ位置までの距離を長くすることができる。また、用紙ガイド43の位置をクリンチャユニット2Aに近づければ、用紙Pの端部からステープル10の綴じ位置までの距離を短くすることができる。
図37は、変形例のステープラで用紙を綴じる動作を示す側断面図である。本実施の形態の変形例では、リンク58Dは、略L形状の一方の端部に形成されたスライダ押圧部58eが、スライダ3のリンク受け部31と接する。また、リンク58Dは、他方の端部である先端が、ドライバアーム61Fに対して軸支される構成で、ドライバアーム61Fにリンク58Dの軸58fがスライド移動可能に挿入される長穴61gを備えることで、空走空間61hが設けられる。
更に、リンク58Dは、スライダ押圧部58eと軸58fとの間の略L形状の頂点部分に、マガジンガイド51に載る摺動支持部58gを備え、マガジンガイド51の上面に摺動可能に支持される。
リンク58Dは、スライダ押圧部58eがスライダ3のリンク受け部31と接する方向に自重で回転する重量配分で構成され、スライダ押圧部58eとリンク受け部31が常時接触すると共に、軸58fが長穴61gの下端側に位置して空走空間61hが設けられるような状態が保持される。
変形例の動作について説明すると、リンク58Dとドライバアーム61Fは、図37(a)に示すように、待機状態では、リンク58Dの軸58fがドライバアーム61Fの長穴61gの下端側に位置して空走空間61hが形成される。
マガジン50と用紙Pが接触せず、ドライバアーム61Fとマガジンガイド51が軸54fを支点に一体的に回転している間は、ドライバアーム61Fの長穴61gとリンク58Dの軸58fの間の空走空間61hが保持される。一方、ドライバアーム61Fとマガジンガイド51が軸54fを支点に一体的に回転することで、スライダ3のリンク受け部31に対してリンク58Dが変位する。
スライダ3とリンク58Dは、待機状態からリンク受け部31とスライダ押圧部58eが接する。そこで、スライダ3とリンク58Dは、リンク受け部31とスライダ押圧部58eの形状が、軸54fを支点としたマガジンガイド51の回転に伴うリンク58Dの変位では、スライダ3が移動しないように設定される。
クリンチャユニット2Aとマガジン50の間に用紙Pが挟持され、ドライバアーム61Fがマガジンガイド51に対して回転すると、上述したように、1本に分離されたステープル10がドライバ60により打ち出され、ステープル10の針足10bが用紙Pを貫通する。
ドライバアーム61Fがマガジンガイド51に対して回転すると、リンク58Dの軸58fに対してドライバアーム61Fの長穴61gが変位し、空走空間61hが徐々に狭くなる。そして、ステープル10の針足10bの先端が用紙Pの裏面より抜けた後に、図37(b)に示すように、ドライバアーム61Fの長穴61gの上端に、リンク58Dの58fが接する。
ドライバアーム61Fの長穴61gの上端に、リンク58Dの58fが接触を開始した段階では、スライダ3はまた動かず、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bが係止部30に載っており、クリンチャホルダ21の下降が規制される。
ハンドルアーム70が更に押圧されることで、ドライバアーム61Fがマガジンガイド51に対して更に回転すると、ドライバアーム61Fの回転動作で長穴61gが軸58fを押すことでリンク58Dが押圧され、図37(c)に示すように、摺動支持部58gとマガジンガイド51との接点を移動支点としてリンク58Dが回転する。
リンク58Dが回転すると、スライダ押圧部58eによってスライダ3のリンク受け部31が押される。これにより、スライダ3が後退し、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bから係止部30が外れ、クリンチャホルダ21の下降が可能になる。
変形例であっても、リンク58Dの軸58fとドライバアーム61Fの長穴61gにより空走空間61hを設けることで、リンク58Dの作動量を少なくすることができる。
なお、他の変形例として、リンクがドライバアームに対して軸支される構成で、ドライバアームにリンクの軸がスライド移動可能に挿入される長穴を設けることで、リンクがドライバアームの動く方向に沿って移動可能にガイドされる。また、リンクは、略L形状の一方の端部に形成されたスライダ押圧部がスライダと接し、他方の端部に形成されたドライバ押圧部がドライバアームに押圧される。そして、ドライバ押圧部とドライバアームの間に空走空間を設ける構成としても良い。また、リンクの形状は、L形状に限るものではなく、一端側にスライダとの接触部、他端側にドライバアームとの接触部が形成できれば良い。
図38〜図40は、クリンチャユニットの動作の一例を示す動作説明図で、次に、各図を参照して、フラットクリンチ機構の動作について説明する。
用紙Pが所定の位置に載置され、上ハンドルカバー71が押されると、上述したように、1本に分離されたステープル10がドライバ60により打ち出され、図38(a)に示すように、ステープル10の針足10bが用紙Pに刺さり、貫通を開始する。ステープル10の針足10bが用紙Pの貫通を開始した段階では、スライダ3はまた動かず、図36(a)で説明したように、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bが係止部30に載っており、クリンチャホルダ21の下降が規制される。
ステープル10がドライバ60により更に打ち出され、針足10bの先端が用紙Pを貫通して用紙Pの裏面から突出すると、一方の針足10bがクリンチャ20Lを押し、他方の針足10bがクリンチャ20Rを押す。針足10bの先端が用紙Pの裏面から突出を開始した段階では、図36(b)に示すように、スライダ3はまた動かず、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bが係止部30に載っており、クリンチャホルダ21の下降が規制される。
クリンチャ20Lは、仕切り板26のバネ部26Lcで側面が押圧され、クリンチャ20Rは、仕切り板26のバネ部26Rcで側面が押圧されており、向きを保つように構成されている。但し、仕切り板26のバネ部による押圧力より、ドライバ60の押圧によるステープル10の押圧力の方が強い。
これにより、図38(b),図40(a)に示すように、クリンチャ20Lは、ステープル10の一方の針足10bにクリンチャ面20Laが押されることで、軸20Lcを支点に下方へ回転し、クリンチャ20Rは、ステープル10の他方の針足10bにクリンチャ面20Raが押されることで、軸20Rcを支点に下方へ回転する。
ステープル10がドライバ60により更に打ち出され、針足10bの先端が用紙Pを貫通すると、上述したリンク58の動作で、図36(c)に示すようにスライダ3が後退し、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bから係止部30が外れ、クリンチャホルダ21の下降が可能になる。
これにより、上ハンドルカバー71が押されてマガジン50が用紙Pを介してクリンチャホルダ21を押す力で、図39(a)に示すように、クリンチャホルダ21が下降する。クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャリンク22Lは、軸22Laを支点に上端側がクリンチャリンク22Rに近づく方向に回転する。また、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャリンク22Rは、軸22Raを支点に上端側がクリンチャリンク22Lに近づく方向に回転する。
このように、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャリンク22Lは、軸20Lcがガイド穴21Lに沿って移動し、クリンチャリンク22Rは、軸20Rcがガイド穴21Rに沿って移動して、軸20Lcと軸20Rcの間隔が狭くなる。よって、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが近づく方向に水平移動する。
また、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャ20Lは、押圧面20Lbがクリンチャ受23に押圧され、クリンチャ20Rは、押圧面20Rbがクリンチャ受23に押圧される。
これにより、クリンチャ20Lは、クリンチャ受23に押圧面20Lbが押し上げられることで、軸20Lcを支点に上方へ回転し、クリンチャ20Rは、クリンチャ受23に押圧面20Rbが押し上げられることで、軸20Rcを支点に上方へ回転する。
従って、クリンチャ20Lとクリンチャ面20Laで接するステープル10の一方の針足10bと、クリンチャ20Rとクリンチャ面20Raで接する他方の針足10bには、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが近づく方向に移動することで、それぞれ内側に折り曲げられる力が加えられる。そして、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが上方に向けて回転することで、それぞれ内側に折り曲げられる。
上ハンドルカバー71が押されてマガジン50が用紙Pを介してクリンチャホルダ21を押す力で、クリンチャホルダ21が最下端位置まで下降すると、図39(b)に示すように、クリンチャ受23に押し上げられたクリンチャ20Lとクリンチャ20Rが略水平位置に復帰する。これにより、用紙Pを貫通したステープル10の針足10bが、用紙Pの面に沿うように曲げられてクリンチが完了する。
左右一対のクリンチャの回転動作でステープルの針足を折り曲げる構成では、用紙の綴じ枚数が多く、用紙の裏面からの針足の突出量が少ない場合、クリンチャの回転支点より上側でクリンチャ面に針足が当たる。このような状態で、針足の折り曲げを開始する動きとしてクリンチャが回転をすると、針足を外側に持ち上げるような力が掛かる。
本実施の形態では、ステープル10の針足10bの長さを10.0mmとしたが、厚さが約7.2mmとなる80枚程度の用紙を綴じる動作では、用紙Pの裏面からの針足10bの突出量が2.8mm程度と少ない。このため、用紙Pを貫通した一方の針足10bは、クリンチャ20Lの回転支点である軸20Lcより上側でクリンチャ面20Laに当たる。同様に、用紙Pを貫通した他方の針足10bは、クリンチャ20Rの回転支点である軸20Rcより上側でクリンチャ面20Raに当たる。
そこで、本実施の形態では、針足10bの折り曲げを開始する動きとして、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rを近づける方向に移動させることで、針足10bを内側に折り曲げる力を加えることができる。これにより、クリンチャ20L,20Rの回転支点より上側でクリンチャ面20La,20Lbに針足10bが当たる状態でも、針足10bを内側に折り曲げる力を加えて、確実なクリンチ動作を行うことができる。
クリンチ終了後、上ハンドルカバー71を押す力を解除すると、図示しないリターンスプリングにより上ハンドルユニット11bが押し上げられる。クリンチャホルダ21を押す力が解除されると、リターンバネ25によりクリンチャホルダ21が押し上げられる。
クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャリンク22Lは、軸22Laを支点に上端側がクリンチャリンク22Rから離れる方向に回転する。また、クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャリンク22Rは、軸22Raを支点に上端側がクリンチャリンク22Lから離れる方向に回転する。
このように、クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャリンク22Lは、軸20Lcがガイド穴21Lに沿って移動し、クリンチャリンク22Rは、軸20Rcがガイド穴21Rに沿って移動して、軸20Lcと軸20Lcの間隔が広くなる。
クリンチャ受23に押し上げられて略水平位置に復帰したクリンチャ20Lは、仕切り板26のバネ部26Lcで側面が押圧され、クリンチャ20Rは、仕切り板26のバネ部26Rcで側面が押圧される。
これにより、略水平位置に復帰したクリンチャ20Lとクリンチャ20Rは、自重で下方へ回転することなく略水平な位置を保ちながら、図40(b)〜図40(c)に示すように、クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが離れる方向に移動する。そして、クリンチャユニット2Aが待機位置に復帰する。
左右一対のクリンチャの回転動作でステープルの針足を折り曲げる構成では、クリンチャは回転方向への付勢力は受けておらず、針足による押圧で下方に回転し、クリンチャ受けによる押し上げで復帰する。このため、クチンチャユニットが待機位置にある状態で、クリンチャが下方に回転した状態となることがある。
このような状態では、クリンチャホルダの内側に空間が形成されることになり、異物が入る原因となる。また、外観性が悪いと感じられる場合がある。
これに対して、本実施の形態では、仕切り板26に設けたバネ部26Lc,26Rcで、クリンチャ20L,20Rの向きを保持することができるので、略水平位置にあるクリンチャ20Lとクリンチャ20Rの向きを、ステープル10の針足10bによる押圧まで保持することができる。
これにより、図20等に示すように、待機状態では、クリンチャカバー42の開口がクリンチャ20L,20Rで塞がれた形態となり、異物が入る原因を排除することができる。また、外観性を向上させることができる。
図41は、クリンチャユニットの変形例を示す分解斜視図、図42は変形例のクリンチャユニットの動作の一例を示す動作説明図である。変形例のクリンチャユニット2Bは、クリンチャ駆動機構として、溝によるガイドでクリンチャを回転及び離接する方向に移動させる。
クリンチャユニット2Bは、用紙を貫通したステープル10の針足10bを折り曲げる一対のクリンチャ27L,27Rと、クリンチャ27Lとクリンチャ27Rを支持するクリンチャホルダ28を備える。
また、クリンチャユニット2Bは、クリンチャホルダ28の昇降方向への移動をガイドすると共に、クリンチャ27L,27Rの回転及び離接する方向への移動をガイドするホルダガイド29を備える。更に、クリンチャユニット2Bは、クリンチャホルダ28の昇降動作でクリンチャ27L,27Rを押し上げるクリンチャ受29aを備える。
クリンチャユニット2Bは、クリンチャ27Lとクリンチャ27Rが、ステープル10の針クラウン10aに沿った左右方向、及び針クラウン10aに対して直交する前後方向に位置をずらして配置される。
クリンチャ27Lは、ステープル10の一方の針足10bに対向して配置され、針足10bに対向する上面に、前後方向に位置をずらして配置されるクリンチャ27Rに向けて下降する方向に傾斜したクリンチャ面27Laが形成される。また、クリンチャ27Lは、クリンチャ受29aに対向する一方の端部側の下面に、クリンチャ受29aに押圧される押圧面27Lbが形成される。
クリンチャ27Lは、軸27Lcによりクリンチャホルダ28のガイド穴28Laに回転及び水平方向に移動可能に支持される。また、クリンチャ27Lは、他方の端部側が、軸27Ldによりクリンチャホルダ28のガイド穴28Lb及びホルダガイド29のガイド穴29Lbに沿って移動可能に支持される。
クリンチャ27Rは、ステープル10の他方の針足10bに対向して配置され、針足10bに対向する上面に、前後方向に位置をずらして配置されるクリンチャ27Lに向けて下降する方向に傾斜したクリンチャ面27Raが形成される。また、クリンチャ27Rは、クリンチャ受29aに対向する一方の端部側の下面に、クリンチャ受29aに押圧される押圧面27Rbが形成される。
クリンチャ27Rは、軸27Rcによりクリンチャホルダ28のガイド穴28Raに回転及び水平方向に移動可能に支持される。また、クリンチャ27Rは、他方の端部側が、軸27Rdによりクリンチャホルダ28のガイド穴28Rb及びホルダガイド29のガイド穴29Rbに沿って移動可能に支持される。
クリンチャホルダ28は、ガイド穴28La及びガイド穴28Raが、水平方向に延在する長穴で構成される。また、クリンチャホルダ28は、ガイド穴28Lb及びガイド穴28Rbが、上端側より下端側の間隔が狭くなる方向に傾斜した長穴で構成される。
ホルダガイド29は、ガイド穴29Lb及びガイド穴29Rbが、上端側より下端側の間隔が狭くなる方向に傾斜した長穴で構成される。クリンチャユニット2Bは、ホルダガイド29のガイド穴29Lb及びガイド穴29Rbを通るクリンチャ27L,27Rの軸27Ld,27Rdの軌跡と、クリンチャ受29aによりクリンチャ27L,27Rを押し上げる動作で、クリンチャ27Lとクリンチャ27Rを回転及び離接する方向に移動させる。
変形例のクリンチャユニットの動作について説明すると、図42(a)に示すように、ステープル10の針足10bの先端が用紙Pを貫通して用紙Pの裏面から突出すると、一方の針足10bがクリンチャ27Lに接触し、他方の針足10bがクリンチャ27Rに接触する。針足10bの先端が用紙Pの裏面から突出を開始した段階では、クリンチャホルダ28の下降が規制される。
ステープル10が更に打ち出され、針足10bの先端が用紙Pを貫通するとクリンチャホルダ28の下降が可能になる。これにより、用紙Pを介してクリンチャホルダ28を押す力で、図42(b)に示すように、クリンチャホルダ28が下降する。
クリンチャホルダ28の下降動作で、クリンチャ27Lは、クリンチャホルダ28のガイド穴28Laにガイドされる軸27Lcが、クリンチャ27Rに近づく方向に移動し、ホルダガイド29のガイド穴29Lbにガイドされる軸27Ldが、クリンチャ27Rに近づく方向に移動する。また、クリンチャホルダ28の下降動作で、クリンチャ27Rは、クリンチャホルダ28のガイド穴28Raにガイドされる軸27Rcが、クリンチャ27Lに近づく方向に移動し、ホルダガイド29のガイド穴29Rbにガイドされる軸27Rdが、クリンチャ27Lに近づく方向に移動する。
これにより、クリンチャ27L,27Rは、クリンチャホルダ28の下降動作で、軸27Lcと軸27Rcとの間隔が狭くなり、クリンチャ27Lとクリンチャ27Rが近づく方向に移動する。
また、クリンチャホルダ28の下降動作で、クリンチャ27Lは、押圧面27Lbがクリンチャ受29aに押圧され、クリンチャ27Rは、押圧面27Rbがクリンチャ受29aに押圧される。
これにより、クリンチャ27Lは、クリンチャホルダ28のガイド穴28Laにガイドされる軸27Lcを支点に上方へ回転し、クリンチャ27Rは、クリンチャホルダ28のガイド穴28Raにガイドされる軸27Rcを支点に上方へ回転する。
従って、クリンチャ27Lとクリンチャ面27Laで接するステープル10の一方の針足10bと、クリンチャ27Rとクリンチャ面27Raで接する他方の針足10bには、クリンチャ27Lとクリンチャ27Rが近づく方向に移動することで、それぞれ内側に折り曲げられる力が加えられる。そして、クリンチャ27Lとクリンチャ27Rが上方に向けて回転することで、それぞれ内側に折り曲げられる。
クリンチャホルダ28が最下端位置まで下降すると、図42(c)に示すように、クリンチャ受29aに押し上げられたクリンチャ27Lとクリンチャ27Rが略水平位置になる。これにより、用紙Pを貫通したステープル10の針足10bが、用紙Pの面に沿うように曲げられてクリンチが完了する。
次に、各図を参照して、用紙Pを貫通した針足10bを前後にずらして折り曲げる動作について説明する。クリンチャ20Lとクリンチャ面20Laで接するステープル10の一方の針足10bと、クリンチャ20Rとクリンチャ面20Raで接する他方の針足10bは、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが近づく方向に移動する動作と、上方に向けて回転する動作で、それぞれ内側に折り曲げられる。
クリンチャユニット2Aは、ステープル10の針クラウン10aに対して傾けられて配置され、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rは、図18に示すように、ステープル10の針クラウン10aに対して傾けられ、かつ、前後に位置をずらして配置される。
これにより、クリンチャ20L,20Rの水平移動及び回転動作で、ステープル10の一方の針足10bは、図19に示すクリンチャ面20Laの傾斜により、クリンチャ20R側に近づく矢印NL方向に誘導されながら、斜めに曲げられる。また、他方の針足10bは、クリンチャ面20Raの傾斜により、クリンチャ20L側に近づく矢印NR方向に誘導されながら、斜めに曲げられる。
ステープル10の一方の針足10bと他方の針足10bは、互いが近づく方向に移動しながら折り曲げられて、それぞれ仕切り板26の仕切り部26bに接する。
これにより、用紙Pの綴じ枚数が少ない場合、図13(c)に示すように、2本の針足10bが仕切り板26の板厚分の隙間を開けて重ならずに折り曲げられる。
クリンチャに溝を設けて針足をガイドする構成では、溝と溝の間の凸部の厚さが必要で、針足の間隔を狭くすることができない。また、クリンチャの間に仕切りが無いと、針足同士が重なる可能性がある。
本実施の形態では、仕切り板26を利用してクリンチャ20Lとクリンチャ20Rを仕切ることで、2本の針足10bを重ねることなく狭い隙間で折り曲げることができる。仕切り板26は、クリンチャ20L,20Rの向きを保つバネとしても機能するので、ステープル10に対して強度の高い薄鋼板で構成することができる。
これにより、2本の針足10bの隙間を、仕切り板26で規定される最低限の隙間とすることができる。
次に、各図を参照して、クリンチャユニット2Aの向きを待機状態と押圧を受けた状態で同じ向きに保つ動作について説明する。図21及び図22で説明したように、クリンチャホルダ21は、クリンチャ20L,20Rに対して後方に位置する後側ホルダ21bがリターンバネ25で押し上げられ、クリンチャ20L,20Rに対して前方に位置する前側ホルダ21aが、軸22La,22Raで上方向への移動が規制される。
これにより、クリンチャ20L,20Rが取り付けられたクリンチャホルダ21は、リターンバネ25で押し上げられる待機状態で、矢印F1で示す前傾した状態を保つ。
ステープル10の針足10bが用紙Pを貫通する力で、用紙Pを介してクリンチャホルダ21が下方へ押されると、貫通荷重F2がクリンチャホルダ21に掛かる。クリンチャホルダ21は、後側ホルダ21bがスライダ3の係止部30に載った状態であり、貫通荷重F2が掛かると、やはり矢印F1で示す前傾した状態を保つ。
クリンチャホルダ21の昇降は、クリンチャガイド24aでガイドされるが、高さ方向の寸法を短くするため、クリンチャガイド24aの高さが短くなってくると、前後方向への傾きが生じやすくなる。
貫通荷重か掛かる前後でクリンチャの向きが変化すると、用紙の位置がずれることで用紙を貫通している間に用紙内で針足が前後にずれ、用紙を針足が貫通せずに綴じられない場合がある。本実施の形態では、貫通荷重が掛かる前後で、クリンチャホルダ21の向きが変わらないので、用紙Pのずれを抑えることができ、ステープル10の針足を確実に貫通させることができる。
なお、本実施の形態では、クリンチャユニット2Aの後方にスライダ3が配置されるので、後側ホルダ21bに押し上げ力を掛けるようにしたが、クリンチャユニットの前方にスライダ3が配置される構成であれば、前側ホルダに押し上げ力を掛けるようにすれば、貫通荷重が掛かる前後でクリンチャホルダの向きを同じにすることができる。
次に、各図を参照して、マガジン50のロック機構54の動作について説明する。図30(a)に示すように、マガジン50がマガジンガイド51に収納された状態では、マガジン50に取り付けられたステープルガイド52の後端側と、マガジンストッパ54aのバネ押圧部54eとの間でマガジンロックバネ54cが圧縮される。
マガジンストッパ54aは、バネ押圧部54eが押圧されることで、ロック爪54dがマガジン50のロック開口部50eに嵌まる方向に、軸54fを支点に回転し、ロック爪54dがロック開口部50eに嵌まる。これにより、マガジン50は、マガジンガイド51に収納された状態が保持される。
図30(b)に示すように、プッシャスイッチ54bは、スイッチ部54gが押されると、軸54hを介して連結されたマガジンストッパ54aを、軸54fを支点に回転させて、マガジンストッパ54aのロック爪54dをマガジン50のロック開口部50eから外す。
マガジンストッパ54aのロック爪54dがマガジン50のロック開口部50eから外れると、圧縮されていたマガジンロックバネ54cが復元する力で、マガジン50が前方に押圧され、マガジンガイド51からマガジン50が引き出される。
マガジン50を収納する際には、マガジン50をマガジンガイド51に押し込んで行くと、マガジン50のステープルガイド52が、マガジンロックバネ54cを介してマガジンストッパ54aのバネ押圧部54eを押圧する。これにより、マガジンストッパ54aは、ロック爪54dがマガジン50のロック開口部50eに嵌まる方向に軸54fを支点に回転し、ロック爪54dがロック開口部50eに嵌まる。
マガジンをスライドさせる構成では、ステープルを押圧するプッシャスプリングの力を利用して、マガジンが突出するようにしていた。このため、収納されているステープルの本数が多い場合は、マガジンの突出量が多くなるが、ステープルの本数が少ない、あるいはステープルが収納されていない状態では、マガジンの突出量が少なくなる。
これに対して、本実施の形態では、マガジンロックバネ54cは、マガジン50内のステープル10の残数によらず、ロック機構54がロックされることで一定の押圧力を受け、マガジン50の突出量を略一定とすることができる。
上述した寸法で構成される本実施の形態のステープル10が装填されるマガジン50を備えた本実施の形態のステープラ1Aでは、10号と称されるステープルと針線幅と針線厚が同じで、針クラウンの外寸が11.42mm、針足の長さが6.0mmのステープルとマガジンの共用が可能である。
このため、本実施の形態のステープル10では、最小の綴じ枚数である2枚から80枚程度の用紙を、針交換無しで綴じることができる一方で、本実施の形態のステープル10を使用するステープラ1Aでは、利用者の要望等に応じて、ステープルを交換して使用することもできる。