JP5858596B2 - ボトリチスに対して高レベルの耐性を有するトマト植物 - Google Patents

ボトリチスに対して高レベルの耐性を有するトマト植物 Download PDF

Info

Publication number
JP5858596B2
JP5858596B2 JP2009507609A JP2009507609A JP5858596B2 JP 5858596 B2 JP5858596 B2 JP 5858596B2 JP 2009507609 A JP2009507609 A JP 2009507609A JP 2009507609 A JP2009507609 A JP 2009507609A JP 5858596 B2 JP5858596 B2 JP 5858596B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chromosome
qtl
plant
botrytis
resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009507609A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009535026A (ja
Inventor
ヘンドリクス ヨハネス フィンケルス
ヘンドリクス ヨハネス フィンケルス
パウルス コルネリス マリス
パウルス コルネリス マリス
ウィレム ヘンドリク リンドアウト
ウィレム ヘンドリク リンドアウト
フースデン アドリアーン ウィレム ファン
フースデン アドリアーン ウィレム ファン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Monsanto Invest BV
Original Assignee
Monsanto Invest BV
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Monsanto Invest BV filed Critical Monsanto Invest BV
Publication of JP2009535026A publication Critical patent/JP2009535026A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5858596B2 publication Critical patent/JP5858596B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8241Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology
    • C12N15/8261Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield
    • C12N15/8271Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield for stress resistance, e.g. heavy metal resistance
    • C12N15/8279Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield for stress resistance, e.g. heavy metal resistance for biotic stress resistance, pathogen resistance, disease resistance
    • C12N15/8282Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield for stress resistance, e.g. heavy metal resistance for biotic stress resistance, pathogen resistance, disease resistance for fungal resistance
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01HNEW PLANTS OR NON-TRANSGENIC PROCESSES FOR OBTAINING THEM; PLANT REPRODUCTION BY TISSUE CULTURE TECHNIQUES
    • A01H6/00Angiosperms, i.e. flowering plants, characterised by their botanic taxonomy
    • A01H6/82Solanaceae, e.g. pepper, tobacco, potato, tomato or eggplant
    • A01H6/825Solanum lycopersicum [tomato]

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Physiology (AREA)
  • Natural Medicines & Medicinal Plants (AREA)
  • Botany (AREA)
  • Developmental Biology & Embryology (AREA)
  • Environmental Sciences (AREA)
  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

技術分野
本発明は、植物の育種および分子生物学に関する。より具体的には、本発明は、トマトにおけるボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に対する耐性に関連する量的形質遺伝子座(QTL)を検出するための方法、それによってボトリチス耐性トマト植物を産生する方法、ならびにこのようにして得られたボトリチス耐性トマト植物およびその一部に関する。
発明の背景
ボトリチス・シネレアは、少なくとも235の可能性がある宿主を含む極めて広い宿主範囲を有する壊死栄養性病原性真菌である。その宿主範囲が広いために、および植物の経済的に重要な部分に罹患することから、B. シネレア(B. cinerea)は、多くの商業栽培される作物における主要な問題である。栽培者の中で、真菌は一般的にボトリチスと呼ばれている。栽培されたトマト(ソラナム・リコペルシカム(Solanum lycopersicum);以前はリコペルシコン・エスクレンタム(Lycopersicon esculentum))も同様に、ボトリチスによる感染に対して感受性があり、真菌は一般的に、トマト植物の茎、葉、および果実に罹患する。加温された温室では、茎におけるボトリチスによる感染の発生は、特に一般的である。
ボトリチスは感染細胞を活発に殺して、腐敗病、胴枯病、斑点病、立枯病、および茎の潰瘍を引き起こす。罹患した葉は、分生子柄および分生子で覆われるようになり、その後崩壊して枯れる。真菌は病気の葉から茎へと増殖して長さが数ミリメートルから数センチメートルに及ぶ乾いたうす茶色の病変部を生成する。病変はまた、茎の剪定跡にも形成されることがある。茎の病変はまた灰色のカビで覆われることがある。重度の場合、感染は茎を取り巻き、植物を殺す。トマト植物の古い老化した組織は通常、若い組織よりボトリチスによる攻撃を受けやすい。
温室栽培のトマトにおけるボトリチスの発症を予防するために、温度および相対湿度は厳密に調節しなければならない。さらに、葉に水をかけないように水をやることが重要である。露地栽培される植物の場合、良好な排水および雑草の制御を行うべきである。その上、植物の栄養レベルを高く維持しなければならない。しかし、これらの予防手段は、感染した場合に多量の収量の喪失の発生を完全に防ぐことはできない。
温室および露地栽培トマトの双方において、ボトリチスを制御するために抗真菌剤を利用することができる。そのような抗真菌剤の例には、Dowicide A(登録商標)およびクロロタロニルが含まれ、これらは収穫後のトマト植物に適用してもよい。しかし、ボトリチスは、一般的に用いられるいくつかの抗真菌剤に対して耐性を発達させたことが知られている。さらに、抗真菌剤の使用は、経済的および環境的見通しの双方からみて望ましくない。現在のところ、ボトリチスに対して耐性を示す商業的トマト品種が必要である。
ボトリチスに対する部分的耐性は、トマトのいくつかの野生種において見いだされている(Egashira et al. 2000;Nicot et al. 2002;Urbasch 1986(非特許文献1))。しかし、これらの植物は、商業的なトマト作物を産生しない。
国際公開公報第02/085105号(特許文献1)は、L. ヒルスータム(L. hirsutum)がボトリチスに対する部分的耐性に関係すると考えられているS. ハブロカイテス(S. habrochaites)ゲノムの第10染色体上の遺伝領域を記載している。この遺伝材料を栽培トマト品種へ遺伝子移入することにより、ボトリチスに対して部分的に耐性である栽培トマト植物が提供されることが示された。
しかし、これまでのところ、トマトにおけるボトリチスに対する耐性を提供することを目的とした育種プログラムは、限られた成功しか収めていない。これらの芳しくない結果の理由は現在のところわかっていない。一部には、このことは、ボトリチス耐性の遺伝的基礎および遺伝に関する知識が不十分であることに起因しうる。別の部分では、このことは育種プログラムにおいて得られたトマト植物においてボトリチス耐性レベルを評価するための適切なバイオアッセイが欠如していることに起因しうる。知識および方法の欠如のために、ボトリチスに対する耐性に関係する遺伝子を含む野生型アクセッションおよび子孫植物の双方における植物の選択も複雑となる。
これまでの研究において、本発明者らは、トマトにおいてボトリチス耐性が多遺伝子的に遺伝しており、これが耐性植物に関する交配における不良な結果を部分的に説明する可能性があることを見いだした。
ボトリチスに対して耐性である商業的トマト品種を提供することをねらいとする育種プログラムの成功を改善させることが本発明のねらいである。さらに、商業的トマト品種においてボトリチスに対するさらなるおよび/または改善された耐性を提供することが本発明のねらいである。本発明のなおもう一つのねらいは、そのような植物におけるボトリチスに対する耐性に関係するさらなる遺伝材料を野生型トマトアクセッションのゲノムにおいて提供することである。そのようなさらなる遺伝材料は、栽培トマトのボトリチス耐性品種の産生の基礎を拡大するために用いられる可能性がある。
国際公開公報第02/085105号 Egashira et al. 2000;Nicot et al. 2002;Urbasch 198
発明の概要
本発明は、S. ハブロカイテスのゲノムにおいて、ボトリチスに対する耐性に関係するとこれまで同定されていなかった多数の染色体に遺伝材料が存在することを見いだした。実際に、本発明者らは、トマト野生型近縁種の系統のゲノムにおいて、すなわちソラナム・ハブロカイテス(Solanum habrochaites)LYC 4/78において、量的形質遺伝子座(QTL)の同定に成功した。これらのさらなるQTLは遺伝子移入系統を用いることによって発見された。
次に、本発明者らは、これらのボトリチス耐性野生型(ドナー)トマト系統からの植物を非耐性レシピエントトマト植物と交配させることによってボトリチス耐性トマト植物を産生することができた。これらの植物は、これまでに産生されたいかなる栽培トマト植物より高レベルの耐性を示した。
先行技術に対する改善は、それによって交配プロセスをモニターして指示することができるさらなるスクリーニング基準を利用できることにある。耐性のある野生型ソラナム・ハブロカイテスと感受性のある栽培トマトとの交配から産生された子孫植物を、野生型アクセッションにおけるボトリチスに対する耐性に関係するゲノム領域の1つまたは複数、または全てを有するか否かに関して選択することができる。その結果、それによって必要な遺伝構成をよりよく制御することができるトマト植物を産生する方法が提供される。本発明の方法の長所は、遺伝的な意味において、所望の形質に関してより近く野生型アクセッションに類似している子孫を作製することができる点である。その結果、栽培トマト植物における耐性形質をその中により安定に導入することができる、すなわちここで、どのゲノム領域が容易に遺伝子移入されうるかおよびどの領域を子孫植物に移入することが難しいか、どのゲノム領域が本質的であるか、どれが協同的であるか、ならびに栽培トマトの部分的耐性系統における耐性レベルをさらに改善するためにどれを用いることができるかを査定できる可能性が提供される。
ドナー植物の分子マーカーの存在に関連してS. ハブロカイテスLYC 4/78からの特定のゲノム遺伝子移入をそれぞれが有する、様々な遺伝子移入系統におけるボトリチス耐性レベルを査定することによって、本発明者らは、耐性野生型トマト系統におけるボトリチス耐性に連鎖するさらなるQTLを同定することができ、それによってゲノムにおける多数の耐性付与DNA配列の位置を確立することができた。以下の説明において、トマトにおけるボトリチスに対する耐性に関連する量的形質遺伝子座(QTL)は、ボトリチス耐性に関するQTLまたはボトリチス耐性に関連するQTLと省略して呼ばれる。
S. ハブロカイテスの野生型トマト系統において、ボトリチス耐性に関して計5個の新規QTLが見いだされた。一つのQTLは第4染色体上に存在し、これは既に、ボトリチスに対する耐性に関連するQTLを有すると同定された。しかし、既に耐性に関連しているこの染色体上の領域は、実際には二つの異なるQTLを含有することが見いだされた。残りのQTLは、第6、9、11、および12染色体において同定された。新規QTLは全て、植物が感染の初回確立を低減させる能力を反映する量的パラメータ(本明細書において以降発病率(DI)に関するパラメータと称する)、および、植物が感染の進行を遅らせる能力を反映する量的パラメータ(本明細書において以降病変増殖(LG)速度に関するパラメータと称する)に連鎖させることができた。先行技術において報告されているように、またも第10染色体上のQTLの存在は、用いた方法によって確認することができなかった。このように、過去に調べた全てのQTLは、試験されるQTLに関して分離しているBC5S1またはBC5S2(戻し交配5回、自家受粉1または2回)子孫における耐病性を査定することによって確認できた。
本発明は第一の局面において、
(a) ボトリチス耐性ドナートマト植物、好ましくはS. ハブロカイテス種のボトリチス耐性植物、より好ましくはS. ハブロカイテスLYC 4/78系統のボトリチス耐性植物を提供する段階;
(b) 該ドナー植物からの核酸を一つまたは複数のボトリチス感受性レシピエントトマト植物、好ましくはS. リコペルシカム種の植物に移入する段階であって、移入によって、該一つまたは複数の感受性レシピエント植物のゲノムの対応する領域にドナー植物からのゲノム物質が導入される、段階;
(c) 該ボトリチス耐性ドナートマト植物に由来するボトリチス耐性に関する少なくとも一つのQTLをそのゲノムに含む植物を、該レシピエントトマト植物の中から(または該レシピエントトマト植物を用いて得られた戻し交配植物のさらなる自家受粉から、すなわち該移入後に得られた組み換え型植物から)選択する段階であって、選択が、ボトリチス耐性に関する該少なくとも一つのQTLに連鎖する少なくとも一つの遺伝子マーカーを該レシピエントトマト植物の第4、6、9、11、および/または12染色体上で検出することを含む、段階
を含む、ボトリチス耐性トマト植物を産生する方法であって、
- 該植物の第4染色体上の該QTLの位置が、S. ハブロカイテスの第4染色体上またはS. リコペルシカムの第4染色体上、より好ましくはS. ハブロカイテスLYC 4/78の第4染色体上またはS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの第4染色体上の、遺伝子マーカーCT50、C2At1g74970、P14M49-283e、P14M48-74e、P14M50-67e、CT1739、およびP14M50-85hを含むゲノム領域によって示される、方法に関する。
好ましい態様において、該植物の第6染色体上のQTLの位置は、S. ハブロカイテスの第6染色体上またはS. リコペルシカムの第6染色体上、より好ましくは、S. ハブロカイテスLYC 4/78の第6染色体上またはS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの第6染色体上の遺伝子マーカー P22M50-188h、P14M48-521e、P15M48-386h、P18M51-199h、P18M51-103h、P22M50-103e、P18M51-388e、Pl5M48-395e、P22M50-124e、P14M48-160e、およびP22M50-513hを含むゲノム領域によって示される。
他の好ましい態様において、該植物の第9染色体上のQTLの位置は、S. ハブロカイテスの第9染色体上またはS. リコペルシカムの第9染色体上、より好ましくは、S. ハブロカイテスLYC 4/78の第9染色体上またはS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの第9染色体上の遺伝子マーカーP18M50-141、P14M49-240、TG254、TG223、TG10、P18M50-134h、P14M49-243h、P18M50-599、P14M60-222h、P22M51-417h、P14M50-174h、P14M60-157h、P14M60-107h、P15M48-138h、P14M48-113h、Tm2a、P18M51-146h、Pl4M48-282h、およびP14M50-276hを含むゲノム領域によって示される。
なお他の好ましい態様において、該植物の第11染色体上のQTLの位置は、S. ハブロカイテスの第11染色体上またはS. リコペルシカムの第11染色体上、より好ましくは、S. ハブロカイテスLYC 4/78の第11染色体上またはS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの第11染色体上の遺伝子マーカーP14M60-215e、P14M61-173h、P14M50-307h、TG47、P14M50-29xCD、P18M51-358h、P18M50-27xCD、P18M51-136h、P22M50-488h、TG393、P14M61-396h、P22M51-235h、およびP22M51-174eを含むゲノム領域によって示される。
なお他の好ましい態様において、該植物の第12染色体上のQTLの位置は、S. ハブロカイテスの第12染色体上またはS. リコペルシカムの第12染色体上、より好ましくは、S. ハブロカイテスLYC 4/78の第12染色体上またはS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの第12染色体上の遺伝子マーカーCT19、TG68、P14M48-411e、P18M50-244h、P18M50-273h、P14M61-420h、P14M61-406h、Pl4M61-223h、P14M60-193h、P22M51-314h、TG565、P14M48-172h、P22M50-321e、P14M60-219e、P14M48-153h、P22M50-97h、TG296、P22M50-131h、およびP22M51-135hを含むゲノム領域によって、好ましくは遺伝子マーカーP14M61-420h、P14M61-406h、P14M61-223h、P14M60-193h、P22M51-314h、TG565、P14M48-172h、P22M50-321e、P14M60-219e、P14M48-153h、P22M50-97h、TG296、およびP22M50-131hを含むゲノム領域によって示される。
ボトリチス耐性に関する少なくとも一つのQTLまたはそのボトリチス耐性付与部分を含む核酸の移入は、ボトリチス耐性ドナートマト植物をボトリチス感受性レシピエントトマト植物と交配させて子孫植物を産生することによって非常に適切に行われる。
したがって、好ましい選択法は、QTLに関連する一つまたは複数のマーカーが子孫植物において検出される、遺伝子移入DNAのマーカー補助選択(MAS)(たとえば、Tanksley et al. 1988を参照されたい)を含む。たとえばMASは、子孫植物から遺伝材料を単離する段階、および一つまたは複数のドナー植物マーカーの存在を分子技術によって決定する段階によって行われうる。または、遺伝材料を予め単離することなく、分子マーカー検出法を用いてもよい。任意で、マーカー検出に加えて、適切な植物を選択するためにボトリチス耐性に関する表現型試験を行ってもよい。したがって、非常に適切な試験とは、それによって発病率および/または病変増殖速度などのパラメータが決定される、本明細書に記載の量的バイオアッセイである。耐性表現型の存在の確立と組み合わせてボトリチス耐性に関するQTLから少なくとも一つのマーカーの存在を確認することにより、少なくとも一つのQTLまたはそのボトリチス耐性付与部分を含む核酸の、ドナー植物からレシピエント植物への移入成功に関する証拠が提供される。
ボトリチス耐性トマト植物を産生する方法の代替的態様において、記載の核酸の移入は、トランスジェニック法によって(たとえば、形質転換によって)、プロトプラスト融合によって、ダブルハプロイド技術によって、または胚救出によって非常に適切に行われる可能性がある。
ボトリチス耐性トマト植物を産生する方法の好ましい態様において、ドナー植物はソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78であり、これらのドナー植物からレシピエント植物へと移入される核酸は、ボトリチス耐性に関連するソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78の第4、6、9、11、および/または12染色体上のQTLまたはそのボトリチス耐性付与部分からなる群より選択されるボトリチス耐性に関する少なくとも一つのQTLを含むことが好ましい。
ボトリチス耐性トマト植物を産生する方法のもう一つの好ましい態様において、本方法は、ボトリチス耐性ドナートマト植物をボトリチス感受性レシピエントトマト植物と交配させて、第一世代の子孫植物を産生する段階;ドナートマト植物から遺伝子移入された核酸をそのゲノム内に含む植物を第一世代子孫植物から選択する段階であって、遺伝子移入された核酸が、本発明によるボトリチス耐性に関する少なくとも一つのQTL、好ましくは二つ、より好ましくは二つより多いQTL、またはそのボトリチス耐性付与部分を含む、段階;選択された子孫植物を適切な商業用トマト系統と交配させて、第二世代の子孫植物を産生する段階;該第一世代子孫トマト植物から遺伝子移入された核酸をそのゲノム内に含む植物を第二世代子孫植物から選択する段階であって、遺伝子移入された核酸が、本発明によるボトリチス耐性に関する少なくとも一つのQTL、好ましくは二つ、より好ましくは二つより多いQTL、またはそのボトリチス耐性付与部分を含む、段階;および任意で、子孫植物のさらなる世代を産生する段階を含む。言及された、子孫植物において遺伝子移入された、ボトリチス耐性に関する好ましくは二つの、より好ましくは二つより多いQTLは、発病率に関するQTL、病変増殖速度に関するQTL、またはこれらのタイプの組み合わせであってもよい。
最も好ましい態様において、段階(c)は、ボトリチス耐性に関連する、ソラナム・ハブロカイテス、好ましくはLYC 4/78系統の第1、2、4、6、9、11および12染色体上のQTLからなる群より選択されるボトリチス耐性に関する少なくとも4個のQTLをそのゲノム内に含む植物を選択する段階を含む。
もう一つの局面において、本発明は、本発明の方法によって得ることができるボトリチス耐性トマト植物またはその一部に関する。
本発明はさらに、ボトリチス耐性に関連する、ソラナム・ハブロカイテス、好ましくはLYC 4/78系統の第4、6、9、11および12染色体上のQTLからなる群より選択される、トマトにおけるボトリチス耐性に関するQTLに関する。これらのQTLは、ボトリチスに対する耐性にはこれまで関連していないゲノムの位置に存在する。これらのQTLの詳細を本明細書において以下により詳細に記載する。
これらのQTLによって示されるゲノムの位置に存在する対立遺伝子は本発明の一つの局面である。
本発明のQTLは、単離型、好ましくは該QTLまたはその耐性付与部分を含む二本鎖核酸配列であってもよい。非常に適切には、例えば適したドナー植物の染色体から単離される可能性がある核酸配列の大きさは、該染色体において1〜100 cMの遺伝距離、好ましくは10〜50 cMを表してもよい。該核酸は、少なくとも50、より好ましくは少なくとも500、さらにより好ましくは少なくとも1000、なおより好ましくは少なくとも5000塩基対を含んでもよい。本発明によるQTLまたはその耐性付与部分を含む一つまたは複数の核酸配列は、該一つまたは複数の核酸配列に隣接する領域をさらに含み、その領域が該一つまたは複数の核酸配列を適したボトリチス感受性レシピエントトマト植物に移入するために適したベクターに組み入れられうる核酸構築物に含まれてもよい。ベクターはさらに、適したプロモーター領域または他の調節配列を含んでもよい。QTLはまた、トマト植物のゲノム内に存在する形であってもよい。本発明のQTLは好ましくは、該QTLに連鎖する表1〜5のマーカーからなる群より選択される、ボトリチス耐性に関連する少なくとも1個のマーカー、好ましくは2個、より好ましくは3個、なおより好ましくは4個、なおより好ましくは4個より多いマーカーを含む。
もう一つの局面において本発明は、ボトリチス耐性が予想されるトマト植物の第4、6、9、11、および/または12染色体上のボトリチス耐性に関するQTLに連鎖している少なくとも一つのマーカーを検出する段階を含む、ボトリチス耐性に関するQTLを検出するための方法であって、
- 該植物の第4染色体上の該QTLの位置が、S. ハブロカイテスの第4染色体上またはS. リコペルシカムの第4染色体上、より好ましくは、S. ハブロカイテスLYC 4/78の第4染色体上またはS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの第4染色体上の遺伝子マーカーCT50、C2At1g74970、P14M49-283e、P14M48-74e、P14M50-67e、CT1739、およびP14M50-85hを含むゲノム領域によって示される、方法に関する。
本発明のQTLを検出する方法の好ましい態様において、該植物の第6染色体上におけるQTLの位置は、S. ハブロカイテスの第6染色体上またはS. リコペルシカムの第6染色体上、より好ましくは、S. ハブロカイテスLYC 4/78の第6染色体上またはS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの第6染色体上の遺伝子マーカーP22M50-188h、P14M48-521e、P15M48-386h、P18M51-199h、P18M51-103h、P22M50-103e、P18M51-388e、P15M48-395e、P22M50-124e、P14M48-160e、およびP22M50-513hを含むゲノム領域によって示される。
本発明のQTLを検出する方法のもう一つの好ましい態様において、該植物の第9染色体上におけるQTLの位置は、S. ハブロカイテスの第9染色体上またはS. リコペルシカムの第9染色体上、より好ましくは、S. ハブロカイテスLYC 4/78の第9染色体上またはS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの第9染色体上の遺伝子マーカーP18M50-141、P14M49-240、TG254、TG223、TG10、P18M50-134h、P14M49-243h、P18M50-599、P14M60-222h、P22M51-417h、P14M50-174h、P14M60-157h、P14M60-107h、P15M48-138h、P14M48-113h、Tm2a、P18M51-146h、P14M48-282h、およびP14M50-276hを含むゲノム領域によって示される。
本発明のQTLを検出する方法のなおもう一つの好ましい態様において、該植物の第11染色体上におけるQTLの位置は、S. ハブロカイテスの第11染色体上またはS. リコペルシカムの第11染色体上、より好ましくは、S. ハブロカイテスLYC 4/78の第11染色体上またはS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの第11染色体上の遺伝子マーカーP14M60-215e、P14M61-173h、P14M50-307h、TG47、P14M50-29xCD、P18M51-358h、P18M50-27xCD、P18M51-136h、P22M50-488h、TG393、P14M61-396h、P22M51-235h、およびP22M51-174eを含むゲノム領域によって示される。
本発明のQTLを検出する方法のさらにもう一つの好ましい態様において、該植物の第12染色体上におけるQTLの位置は、S. ハブロカイテスの第12染色体上またはS. リコペルシカムの第12染色体上、より好ましくは、S. ハブロカイテスLYC 4/78の第12染色体上またはS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの第12染色体上の遺伝子マーカーCT19、TG68、P14M48-411e、P18M50-244h、P18M50-273h、P14M61-420h、P14M61-406h、P14M61-223h、P14M60-193h、P22M51-314h、TG565、P14M48-172h、P22M50-321e、P14M60-219e、P14M48-153h、P22M50-97h、TG296、P22M50-131h、およびP22M51-135hを含むゲノム領域、好ましくは遺伝子マーカーP14M61-420h、P14M61-406h、P14M61-223h、P14M60-193h、P22M51-314h、TG565、P14M48-172h、P22M50-321e、P14M60-219e、P14M48-153h、P22M50-97h、TG296、およびP22M50-131hを含むゲノム領域によって示される。
なおさらなる局面において、本発明は、少なくとも一つのQTLまたはそのボトリチス耐性付与部分をそのゲノム内に含むS. リコペルシカム種のボトリチス耐性植物またはその一部に関し、ここで、該QTLが、ボトリチス耐性に関連するソラナム・ハブロカイテス、好ましくはLYC 4/78系統の第4、6、9、11、および12染色体上のQRLからなる群より選択され、該植物の第4染色体上の該QTLの位置が、S. ハブロカイテスの第4染色体上またはS. リコペルシカムの第4染色体上、より好ましくは、S. ハブロカイテスLYC 4/78の第4染色体上またはS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの第4染色体上の遺伝子マーカーCT50、C2At1g74970、P14M49-283e、P14M48-74e、P14M50-67e、CT1739、およびP14M50-85hを含むゲノム領域によって示され、該QTLまたはそのボトリチス耐性付与部分がその天然の遺伝的バックグラウンドに存在せず、該植物が任意で、ソラナム・ハブロカイテス、好ましくはソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78系統の第1、2、および/または4染色体上のQTLから選択されるボトリチス耐性に関連する一つまたは複数のさらなるQTLまたはそのボトリチス耐性付与部分をさらに含み、該植物の第4染色体上のさらなるQTLの位置が、S. ハブロカイテスの第4染色体上またはS. リコペルシカムの第4染色体上、より好ましくは、S. ハブロカイテスLYC 4/78の第4染色体上またはS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの第4染色体上の遺伝子マーカーP18M51-169.5e、P18M51-305.4h、P14M60-262.9e、P14M61-292.7h、TG609、P14M48-345e、P14M48-177e、およびP18M50-147eを含むゲノム領域によって示される。
さらにもう一つの局面において、本発明は、ボトリチス耐性近交系トマト植物を産生する方法に関する。本方法は、上述の本発明の方法に従ってボトリチス耐性トマト植物を産生する段階、該植物を自家受粉させる段階、該自家受粉させた植物から得た種子を新しい植物に生長させる段階、ボトリチス耐性を示し、商業的に望ましい特徴を保有する植物を該新しい植物の中から同定する段階、およびボトリチス耐性を示して、商業的に望ましい特徴を保有する近交系トマト植物が産生されるまで、自家受粉および選択段階を繰り返す段階を含む。
ボトリチス耐性近交系トマト植物を産生する方法はさらに、ボトリチス耐性を示して、商業的に望ましい特徴を保有するホモ接合近交系トマト植物を選択するさらなる段階を含んでもよい。
さらなる局面において、本発明は、本発明の方法によって得ることができるボトリチス耐性近交系トマト植物またはその一部に関する。
さらなる局面において、本発明は、本発明の方法によって得ることができるボトリチス耐性近交系トマト植物を、商業的に望ましい特徴を示す近交系トマト植物と交雑させることによって得ることができる、ボトリチスに対して耐性を示すハイブリッドトマト植物またはその一部に関する。
本発明はさらに、本発明のトマト植物の再生可能な細胞の組織培養に関する。そのような組織培養の好ましい態様において、細胞または細胞のプロトプラストは、葉、花粉、胚、根、根の先端、葯、花、果実、茎、および種子からなる群より選択される組織から単離されている。
本発明はさらに、本発明によるボトリチス耐性に関するQTLを検出するための、および/またはボトリチス耐性トマト植物を検出するための、表1〜5のマーカーからなる群より選択されるマーカーを用いることに関連する。
本発明の方法において用いられるボトリチス耐性ドナートマト植物は、好ましくはリコペルシコン・セラシフォルム(Lycopersicon cerasiforme)、リコペルシコン・チースマニイ(Lycopersicon cheesmanii)、リコペルシコン・キレンセ(Lycopersicon chilense)、リコペルシコン・クミリウスキイ(Lycopersicon chmielewskii)、リコペルシコン・リコペルシカム(Lycopersicon lycopersicum)、リコペルシコン・ハブロカイテス、リコペルシコン・パルビフロラム(Lycopersicon parviflorum)、リコペルシコン・ペンネリイ(Lycopersicon pennellii)、リコペルシコン・ペルビアナム(Lycopersicon peruvianum)、リコペルシコン・ピンピネリフォリウム(Lycopersicon pimpinellifolium)、およびソラナム・リコペルシコイデス(Solanum lycopersicoides)からなる群より選択され、より好ましくは野生型トマトアクセッションをドナー植物として用いる。非常に好ましいドナー植物は、ソラナム・ハブロカイテス、特にソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78である。
本発明の方法において用いられるボトリチス感受性レシピエントトマト植物は、好ましくはソラナム・リコペルシカム種の植物であり、より好ましくは商業的に望ましい特徴を保有するS. リコペルシカムの栽培品種、またはもう一つの商業的トマト系統である。
[本発明101]
以下の段階を含む、ボトリチス(Botrytis)耐性トマト植物を産生する方法であって、該植物の第4染色体上のQTLの位置が、S. ハブロカイテス(S. habrochaites)の第4染色体上またはS. リコペルシカム(S. lycopersicum)の第4染色体上の遺伝子マーカーCT50、C2At1g74970、P14M49-283e、P14M48-74e、P14M50-67e、CT1739、およびP14M50-85hを含むゲノム領域によって示される、方法:
(a) S. ハブロカイテスLYC 4/78系統のボトリチス耐性植物である、ボトリチス耐性ドナートマト植物を提供する段階;
(b) ドナー植物からの核酸を一つまたは複数のボトリチス感受性レシピエントトマト植物、好ましくはS. リコペルシカム種の植物に移入する段階であって、該移入によって、一つまたは複数のレシピエント植物の対応するゲノム領域にドナー植物からのゲノム物質が導入される、段階;
(c) ボトリチス耐性ドナートマト植物に由来するボトリチス耐性に関する少なくとも一つのQTLをそのゲノム中に含む植物を、レシピエントトマト植物の中から選択する段階であって、該選択が、ボトリチス耐性に関する少なくとも一つのQTLに連鎖する少なくとも一つの遺伝子マーカーを該レシピエントトマト植物の第4、6、9、11、および/または12染色体上で検出することを含む、段階。
[本発明102]
前記植物の第6染色体上のQTLの位置が、S. ハブロカイテスの第6染色体上またはS. リコペルシカムの第6染色体上の遺伝子マーカーP22M50-188h、P14M48-521e、P15M48-386h、P18M51-199h、P18M51-103h、P22M50-103e、P18M51-388e、Pl5M48-395e、P22M50-124e、P14M48-160e、およびP22M50-513hを含むゲノム領域によって示され、
該植物の第9染色体上のQTLの位置が、S. ハブロカイテスの第9染色体上またはS. リコペルシカムの第9染色体上の遺伝子マーカーP18M50-141、P14M49-240、TG254、TG223、TG10、P18M50-134h、P14M49-243h、P18M50-599、P14M60-222h、P22M51-417h、P14M50-174h、P14M60-157h、P14M60-107h、P15M48-138h、P14M48-113h、Tm2a、P18M51-146h、Pl4M48-282h、およびP14M50-276hを含むゲノム領域によって示され、
該植物の第11染色体上のQTLの位置が、S. ハブロカイテスの第11染色体上またはS. リコペルシカムの第11染色体上の遺伝子マーカーP14M60-215e、P14M61-173h、P14M50-307h、TG47、P14M50-29xCD、P18M51-358h、P18M50-27xCD、P18M51-136h、P22M50-488h、TG393、P14M61-396h、P22M51-235h、およびP22M51-174eを含むゲノム領域によって示され、かつ
該植物の第12染色体上のQTLの位置が、S. ハブロカイテスの第12染色体上またはS. リコペルシカムの第12染色体上の遺伝子マーカーCT19、TG68、P14M48-411e、P18M50-244h、P18M50-273h、P14M61-420h、P14M61-406h、Pl4M61-223h、P14M60-193h、P22M51-314h、TG565、P14M48-172h、P22M50-321e、P14M60-219e、P14M48-153h、P22M50-97h、TG296、P22M50-131h、およびP22M51-135hを含むゲノム領域によって、好ましくは遺伝子マーカーP14M61-420h、P14M61-406h、P14M61-223h、P14M60-193h、P22M51-314h、TG565、P14M48-172h、P22M50-321e、P14M60-219e、P14M48-153h、P22M50-97h、TG296、およびP22M50-131hを含むゲノム領域によって示される、本発明101の方法。
[本発明103]
ボトリチス耐性に関する少なくとも一つのQTL、またはそのボトリチス耐性付与部分を含む核酸の移入が、遺伝子移入として該QTLを含む子孫植物を産生するためにボトリチス耐性ドナートマト植物をボトリチス感受性レシピエントトマト植物と交配させることによって行われ、かつ段階(c)が一つまたは複数の子孫植物に対して行われる、本発明101または102の方法。
[本発明104]
ボトリチス耐性に関する少なくとも一つのQTL、またはそのボトリチス耐性付与部分を含む核酸の移入が、トランスジェニック法によって(たとえば、形質転換によって)、プロトプラスト融合によって、ダブルハプロイド技術によって、または胚救出によって行われる、本発明101または102の方法。
[本発明105]
段階(c)が、レシピエントトマト植物から単離されたDNA中の遺伝子マーカーを検出することによって行われる、本発明101〜104のいずれかの方法。
[本発明106]
段階(c)が、植物におけるボトリチス耐性を測定するためのバイオアッセイに植物を供することをさらに含む、本発明101〜105のいずれかの方法。
[本発明107]
段階(c)が、S. ハブロカイテスLYC 4/78の第1、2、および4染色体に存在するQTLから選択されるボトリチス耐性に関する少なくとも一つのQTLをそのゲノム内に含む植物を選択することをさらに含み、
- 該植物の第1染色体上のQTLの位置が、S. ハブロカイテスの第1染色体またはS. リコペルシカムの第1染色体上の遺伝子マーカーP22M50-412h、P14M50-349h、P14M60-69h、P14M49-192h、P14M49-232h、Pl4M49-260e、P14M50-503h、P18M50-124h、およびP14M49-114hを含むゲノム領域によって示され;
- 該植物の第2染色体上のQTLの位置が、S. ハブロカイテスの第2染色体またはS. リコペルシカムの第2染色体上の遺伝子マーカーPl4M60-537h、P15M48-257e、Pl4M49-327h、Pl4M49-325h、Pl4M61-286e、P14M61-125h、P18M51-134h、およびCT128を含むゲノム領域によって示され;かつ
- 該植物の第4染色体上のQTLの位置が、S. ハブロカイテスの第2染色体またはS. リコペルシカムの第2染色体上の遺伝子マーカーP18M51-169.5e、P18M51-305.4h、Pl4M60-262.9e、およびP14M61-292.7hを含むゲノム領域によって示される、本発明101〜106のいずれかの方法。
[本発明108]
段階(c)が、
- 本発明101、102、および107において定義されるQTLからなる群より選択されるボトリチス耐性に関する少なくとも四つのQTLをそのゲノム内に含む植物、または
- 本発明101および102において定義されたQTLからなる群より選択されるボトリチス耐性に関する少なくとも二つのQTLをそのゲノム内に含む植物
を選択する段階を含む、本発明101〜107のいずれかの方法。
[本発明109]
段階(c)において選択された植物を栽培トマト系統の植物と交配させて子孫植物を産生する段階(d)をさらに含む、本発明101〜108のいずれかの方法。
[本発明110]
本発明101〜109のいずれかの方法によって得ることができるボトリチス耐性トマト植物またはその一部。
[本発明111]
本発明101または102において定義されたボトリチス耐性に関連するソラナム・ハブロカイテス(Solanum habrochaites)LYC 4/78の第4、6、9、11、および12染色体上のQTLからなる群より選択される、S. リコペルシカムにおけるボトリチス耐性に関するQTL。
[本発明112]
本発明111のQTLを含むS. リコペルシカム種のトマト植物から得られる単離されたDNA試料。
[本発明113]
ボトリチス耐性が予想されるトマト植物の第4、6、9、11および/または12染色体上のS. ハブロカイテスLYC 4/78に由来するボトリチス耐性に関するQTLに連鎖する少なくとも一つの遺伝子マーカーを検出する段階を含む、ボトリチス耐性に関するQTLを検出するための方法であって:
- 該植物の第4染色体上のQTLの位置が、S. ハブロカイテスの第4染色体上またはS. リコペルシカムの第4染色体上の遺伝子マーカーCT50、C2At1g74970、P14M49-283e、P14M48-74e、P14M50-67e、CT1739、およびP14M50-85hを含むゲノム領域によって示され、
- 該植物の第6染色体上のQTLの位置が、S. ハブロカイテスの第6染色体上またはS. リコペルシカムの第6染色体上の遺伝子マーカー P22M50-188h、P14M48-521e、P15M48-386h、P18M51-199h、P18M51-103h、P22M50-103e、P18M51-388e、Pl5M48-395e、P22M50-124e、P14M48-160e、およびP22M50-513hを含むゲノム領域によって示され、
- 該植物の第9染色体上のQTLの位置が、S. ハブロカイテスの第9染色体上またはS. リコペルシカムの第9染色体上の遺伝子マーカーP18M50-141、P14M49-240、TG254、TG223、TG10、P18M50-134h、P14M49-243h、P18M50-599、P14M60-222h、P22M51-417h、P14M50-174h、P14M60-157h、P14M60-107h、P15M48-138h、P14M48-113h、Tm2a、P18M51-146h、Pl4M48-282h、およびP14M50-276hを含むゲノム領域によって示され、
- 該植物の第11染色体上のQTLの位置が、S. ハブロカイテスの第11染色体上またはS. リコペルシカムの第11染色体上の遺伝子マーカーP14M60-215e、P14M61-173h、P14M50-307h、TG47、P14M50-29xCD、P18M51-358h、P18M50-27xCD、P18M51-136h、P22M50-488h、TG393、P14M61-396h、P22M51-235h、およびP22M51-174eを含むゲノム領域によって示され、かつ
- 該植物の第12染色体上のQTLの位置が、S. ハブロカイテスの第12染色体上またはS. リコペルシカムの第12染色体上の遺伝子マーカーCT19、TG68、P14M48-411e、P18M50-244h、P18M50-273h、P14M61-420h、P14M61-406h、Pl4M61-223h、P14M60-193h、P22M51-314h、TG565、P14M48-172h、P22M50-321e、P14M60-219e、P14M48-153h、P22M50-97h、TG296、P22M50-131h、およびP22M51-135hを含むゲノム領域によって、好ましくは遺伝子マーカーP14M61-420h、P14M61-406h、P14M61-223h、P14M60-193h、P22M51-314h、TG565、P14M48-172h、P22M50-321e、P14M60-219e、P14M48-153h、P22M50-97h、TG296、およびP22M50-131hを含むゲノム領域によって示される、方法。
[本発明114]
ボトリチス耐性に関連するソラナム・ハブロカイテスの第4、6、9、11および12染色体上のQTLからなる群より選択される、少なくとも一つのQTL、またはそのボトリチス耐性付与部分をそのゲノム内に含む、S. リコペルシカム種のボトリチス耐性植物またはその一部であって、
- 該植物の第4染色体上のQTLの位置が、S. ハブロカイテスの第4染色体上またはS. リコペルシカムの第4染色体上の遺伝子マーカーCT50、C2At1g74970、P14M49-283e、P14M48-74e、P14M50-67e、CT1739、およびP14M50-85hを含むゲノム領域によって示され、該QTLまたはそのボトリチス耐性付与部分がその天然の遺伝的バックグラウンドに存在せず、かつ
- 該植物が任意で、ソラナム・ハブロカイテス、好ましくはソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78系統の第1、2、および/または4染色体上のQTLから選択されるボトリチス耐性に関連する一つまたは複数のさらなるQTLまたはそのボトリチス耐性付与部分をさらに含み、該植物の第4染色体上のさらなるQTLの位置が、S. ハブロカイテスの第4染色体またはS. リコペルシカムの第4染色体、より好ましくはS. ハブロカイテスLYC 4/78の第4染色体上またはS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの第4染色体上の遺伝子マーカーP18M51-169.5e、P18M51-305.4h、P14M60-262.9e、Pl4M61-292.7h、TG609、P14M48-345e、P14M48-177e、およびP18M50-147eを含むゲノム領域によって示される、植物またはその一部。
[本発明115]
第1、2、6、9、11、および/または12染色体上のQTLの位置が、本発明101、102および/または107において定義されるとおりである、本発明114の植物。
[本発明116]
以下の段階を含む、ボトリチス耐性同系交配トマト植物を産生する方法:
(a) 本発明101〜109のいずれかのボトリチス耐性トマト植物を産生する段階;
(b) 該ボトリチス耐性トマト植物をそれ自身とまたは別のトマト植物と交配させて、子孫トマト種子を得る段階;
(c) 段階の子孫トマト植物種子を生育させて、さらなるボトリチス耐性トマト植物を得る段階;
(d) 交配および生育段階を0〜7回繰り返して、ボトリチス耐性同系交配トマト植物を作製する段階。
[本発明117]
段階(c)が、ボトリチス耐性を示しかつ商業的に望ましい特徴を保有する植物を同定する段階をさらに含む、本発明116の方法。
[本発明118]
ホモ接合同系交配トマト植物を選択する段階をさらに含む、本発明116または117の方法。
[本発明119]
本発明116〜118のいずれかの方法によって得ることができるボトリチス耐性同系交配トマト植物またはその一部。
[本発明120]
本発明116〜118のいずれかの方法によって得ることができるボトリチス耐性同系交配トマト植物を、商業的に望ましい特徴を示す同系交配トマト植物と交配させることによって得ることができる、ボトリチスに対する耐性を示すハイブリッドトマト植物またはその一部。
[本発明121]
再生可能な細胞が、葉、花粉、胚、根、根の先端、葯、花、果実、茎および種子からなる群より選択される組織から単離された細胞またはプロトプラストを好ましくは含む、本発明110、114、115、119、または120のいずれかのトマト植物の再生可能な細胞の組織培養物。
[本発明122]
ボトリチス耐性に関するQTLを検出するための、および/またはボトリチス耐性トマト植物を検出するための、表1〜5の遺伝子マーカーからなる群より選択される遺伝子マーカーの使用。
発明の詳細な説明
定義
本明細書において用いられる「ボトリチス」という用語は、トマトの茎、葉、および果実において一般的に見いだされる病気である灰色カビまたは灰色斑として知られるボトリチス・シネレアを意味する。一般的に、植物の病原性真菌スクレロチニア・スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)は、B. シネレアと類似の感染メカニズムを有すると考えられる(Prins et al., 2000)。トマトにおけるS. スクレロチオラム感染はB. シネレア感染より経済的な重要度がはるかに低いが、いずれの真菌も広いスペクトルのプロテアーゼ、細胞壁分解酵素、毒素と共にシュウ酸を分泌する。これらの要因のいくつかは、双方の真菌の感染戦略において役割を有することが知られている。その結果、ボトリチスに対する耐性を付与するメカニズムおよび遺伝子は、S. スクレロチオラムによる感染に対する耐性を提供するために等しく有効であると考えられている。したがって、本明細書において「ボトリチス耐性」について参照する場合、そのような耐性は、菌核菌(Sclerotiniaceae)科の任意の真菌に対する耐性、好ましくはS. スクレロチオラムおよびB. シネレアに対する耐性、より好ましくはB. シネレアに対する耐性を含むと理解すべきである。
本明細書において用いられる「対立遺伝子」という用語は、その対立遺伝子の全てが少なくとも一つの形質または特徴に関連する、遺伝子の一つまたは複数の任意の代用型を意味する。二倍体細胞または生物において、所定の遺伝子の二つの対立遺伝子は、相同染色体の対上で対応する遺伝子座を占有する。本発明は、QTL、すなわち一つまたは複数の遺伝子を含んでもよいが同様に調節配列を含んでもよいゲノム領域に関することから、いくつかの場合において、「対立遺伝子」の代わりに「ハプロタイプ」(すなわち染色体分節の対立遺伝子)を指すほうがより正確であるが、それらの状況において「対立遺伝子」という用語は、「ハプロタイプ」という用語を含むと理解すべきである。
「遺伝子」は本明細書において、染色体上の特異的位置を占有し、生物において特定の特徴または形質に関する遺伝的指令を含むDNA配列からなる遺伝単位として定義される。
「遺伝子座」は、本明細書において、所定の遺伝子が所定の種の染色体上で占有する位置として定義される。
本明細書において用いられる「ヘテロ接合」という用語は、相同染色体上の対応する遺伝子座に異なる対立遺伝子が存在する場合に存在する遺伝的条件を意味する。
本明細書において用いられる「ホモ接合」という用語は、相同染色体上の対応する位置に同一の対立遺伝子が存在する場合に存在する遺伝的条件を意味する。
本明細書において用いられる「ハイブリッド」という用語は、二つの近交系のあいだの交雑が含まれるがそれらに限定されるわけではない遺伝的に異なる二つの個体間の交雑の任意の子孫を意味する。
本明細書において用いられる「近交系」という用語は、実質的にホモ接合の個体または系統を意味する。
本出願において、「組換え事象」は、減数***交差を意味すると理解される。
本明細書において用いられる「遺伝子移入」、「遺伝子移入された」、および「遺伝子移入している」という用語は、それによって一つの種、品種、または栽培品種の遺伝子が、それらの種の交雑によってもう一つの種、品種、または栽培品種のゲノムに移動する天然および人工的プロセスの双方を指す。プロセスは任意で、反復親への戻し交雑によって終了してもよい。
「遺伝子操作」、「形質転換」、および「遺伝子改変」は全て、本明細書において単離およびクローニングされた遺伝子の、もう一つの生物のDNA、通常、染色体DNAまたはゲノムへの移入と同義語として用いられる。
本明細書において用いられる「分子マーカー」という用語は、核酸配列の特徴における差を可視化するための方法において用いられる指標を指す。そのような指標の例は、制限断片長多型(RFLP)マーカー、増幅断片長多型(AFLP)マーカー、一ヌクレオチド多型(SNP)、マイクロサテライトマーカー(例えばSSR)、配列特徴増幅領域(SCAR)マーカー、増幅切断多型配列(CAPS)マーカー、もしくはイソ酵素マーカー、または特異的遺伝子および染色***置を定義する本明細書に記述のマーカーの組み合わせである。
「抵抗性」および「耐性」という用語は、感染に対する部分的または完全な耐性の双方を含む。ボトリチス感受性トマト植物は、非耐性であるか、またはボトリチスによる感染に対して低レベルの耐性を有するかのいずれであってもよい。
本明細書において用いられる「植物の一部」という用語は、そこからトマト植物を再生することができる、単細胞ならびに植物において無傷である植物細胞、細胞塊、および組織培養物のような細胞組織を含むトマト植物の一部を意味する。植物の一部の例には、花粉、胚珠、葉、胚、根、根の先端、葯、花、果実、茎のシュート、および種子からの単細胞および組織と共に、花粉、胚珠、葉、胚、根、根の先端、葯、花、果実、茎、シュート、接ぎ木、台木、種子、プロトプラスト、カルス等が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
本明細書において用いられる「集団」という用語は、共通の遺伝的派生を有する植物の、遺伝的に異種起源の集合を意味する。
本明細書において用いられる「トマト」という用語は、リコペルシコン・セラシフォルム、リコペルシコン・チーズマニイ、リコペルシコン・キレンセ、リコペルシコン・クミリウスキイ、リコペルシコン・エスクレンタム(現在ではソラナム・リコペルシカム)、リコペルシコン・ヒルスータム、リコペルシコン・パルビフロラム、リコペルシコン・ペンネリイ、リコペルシコン・ペルビアナム、リコペルシコン・ピンピネリフォリウム、またはソラナム・リコペルシコイデスを非限定的に含む属名リコペルシコンとして以前は公知であった任意の植物、系統、または集団を意味する。リコペルシコン・エスクレンタムに対して新たに提唱された学名は、ソラナム・リコペルシカムである。同様に、野生種の名称も変更される可能性がある。L. ペンネリイは、ソラナム・ペンネリイ(Solarium pennellii)となる可能性があり、L. ヒルスータムは、S. ハブロカイテスとなる可能性があり、L. ペルビアナムはS. 'N ペルビアナム'(S. 'N peruvianum')およびS. 'カレヨンデヒュアイレス'(S. 'Callejon de Huayles')、S. ペルビアナムおよびS. コルネリオムエレリ(S. corneliomuelleri)に分割される可能性があり、L. パルビフロラムはS. ネオリッキイ(S. neorickii)となる可能性があり、L. クミリウスキイはS. クミリウスキイとなる可能性があり、L. キレンセはS. キレンセとなる可能性があり、L. チーズマニイはS. チーズマニイまたはS. ガラパゲンス(S. galapagense)となる可能性があり、ならびにL. ピンピネリフォリウムはS. ピンピネリフォリウムとなる可能性がある(Solanacea Genome Network (2005) Spooner and Knapp; http://www.sgn.cornell.edu/help/about/solanum nomenclature.html)。
S. ハブロカイテスは毛だらけの果物を含むトマト種としても定義することができるが、S. リコペルシカムは無毛の果物を含むトマト種であることに、特に留意されたい。
本明細書において用いられる「品種」または「栽培品種」という用語は、構造的または遺伝的特徴および/または性能によって同じ種の他の品種と区別することができる類似の植物群を意味する。
「QTL」という用語は、本明細書において当技術分野において認識される意味で用いられる。「トマトにおけるB. シネレアに対する耐性に関連したQTL」という用語と共にその短縮形「ボトリチス耐性に関するQTL」という用語は、ボトリチス耐性をコードする少なくとも一つの遺伝子に関連するトマトの特定の染色体上に存在する領域、または少なくとも調節領域、すなわちボトリチス耐性に関係する一つもしくは複数の遺伝子の発現を制御する染色体の領域を指す。その遺伝子の表現型発現は、例えば病変増殖速度の低減としておよび/または発病率の低減として観察される可能性がある。QTLは、例えば、その産物が遺伝的耐性を付与する一つまたは複数の遺伝子を含んでもよい。または、QTLは、例えばその産物が植物のゲノムにおける他の遺伝子座における遺伝子の発現に影響を及ぼし、それによってボトリチス耐性を付与する調節遺伝子または配列を含んでもよい。本発明のQTLは、一つまたは複数の分子ゲノムマーカーを用いて、それぞれの野生型トマトアクセッションのゲノムにおけるその遺伝子の位置を示すことによって定義してもよい。次に、一つまたは複数のマーカーは、特異的遺伝子座を示す。遺伝子座間の距離は通常、同じ染色体上の遺伝子座間の交差頻度によって測定される。二つの遺伝子座が遠くに離れれば、それらのあいだで交差が起こる可能性はより高いであろう。逆に、二つの遺伝子座が互いに近ければ、それらのあいだで交差が起こる可能性はより低い。概して、1センチモルガン(cM)は、遺伝子座(マーカー)間の1%組換えに等しい。QTLが多数のマーカーによって示されうる場合、エンドポイントマーカー間の遺伝距離は、QTLの大きさを示している。
「ボトリチス感受性レシピエントトマト植物」という用語は、本明細書においてボトリチス耐性に関するQTLを含むドナートマト植物から得たDNAを受領するトマト植物を示すために用いられる。該「ボトリチス感受性レシピエントトマト植物」という用語は、ボトリチス耐性に関する一つまたは複数のQTLを既に含んでも含まなくてもよく、この場合、この用語はさらなるQTLを受ける植物を示している。
「天然の遺伝的バックグラウンド」という用語は、本明細書においてQTLの元の遺伝的バックグラウンドを示すために用いられる。そのようなバックグラウンドは、たとえばトマトのボトリチス耐性野生型アクセッションのゲノムであってもよい。たとえば、本発明のQTLは、ソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78の第4、6、9、11、および12染色体上の特定位置において見いだされた。例として、ソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78は、ソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78の第4、6、9、11、および12染色体上のQTLの天然の遺伝的バックグラウンドを表す。同様に、ソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78は、該QTLの天然の遺伝的バックグラウンドを表す。逆に、ソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78の第4染色体から別のトマト種、最も特にS. リコペルシカムの第4染色体上の同じ位置へと、QTLまたはその耐性付与部分を含むDNAを移入することを伴う方法によって、その天然の遺伝的バックグラウンドには存在しないQTLまたはその耐性付与部分が得られるであろう。
「発病率」という用語は、本明細書において、感染の確立を低減させる植物の能力を反映するパラメータとして定義され、例えば感染物質と接触した場合の植物の感染を得る成功を決定することによって、確立してもよい。
「病変の増殖速度」または「病変増殖速度」という用語は、本明細書において感染の進行を遅らせる、または低減させる植物の能力を反映するパラメータとして定義され、これは例えば拡大しつつある病変の増殖速度を決定することによって確立してもよい。
「量的に決定する」という用語は、本明細書において、測定、特に量および数に関して測定可能である局面の測定を伴う方法で確立または評価することとして定義される。重症度の程度の決定、およびより大きい、より多い、より少ない、または等しい、または程度の増加もしくは減少した指標は、本明細書における「量的に決定する」という用語に含まれず、この用語は最終的に、絶対値を決定するための客観的な計数メカニズムの存在を暗示する。したがって、「発病率および/または病変の増殖速度を量的に決定する」とは、好ましくは、それによって測定可能な病変が起こる、植物と感染物質とのあいだの全ての起こりうる感染性の接触の百分率を決定する段階(発病率を評価するため)、および/または真菌の増殖にとって都合のよい条件で該病変の一つまたは複数の直径、外周、表面積、または容積の増加を経時的に決定する段階(病変の増殖速度を評価するため)を含む。
「標準的な実践条件」、「標準的な温室条件」、および「標準的な条件」という用語は、例えば標準として病気の耐性の表現型の特徴付けを目的として、その下で植物を生長またはインキュベートする光、湿度、温度等の条件を指す。例えば、温室の場合、これは日照時間16時間、15℃〜25℃を指す。より一般的に、この用語は、日照時間8〜24時間(光合成光子束(PPF)50〜1000μmol m-2 s-1)、好ましくは16時間明所および8時間暗所の光レジメ、昼間の気温約19℃および夜間気温15℃、相対湿度(RH)60%〜85%に対応する飽差約4.4 g m-3、600〜700 ppm CO2、および大気圧O2濃度、ならびに大気圧(一般的に1008 hPa)の標準および参照生長条件を指す。水および栄養は茎の近くで滴下して与えるか、またはスプレーもしくはミストの形で与えてもよい。茎病変長のアッセイ、発病率、および病変増殖速度測定のような、標準的なバイオアッセイ実験条件は、以下の実施例においてさらに詳しく説明される。より詳しく述べると、平均茎病変長のアッセイは、実施例3.10および3.11において記述されるように行われる。
トマトにおけるボトリチスに対する耐性に関連するQTLの同定
野生型トマト種は、病気および害虫耐性形質の適した起源を提供することが知られており、野生型トマト種の葉におけるB. シネレアに対する部分的耐性の存在が報告されている(Urbasch, 1986)。過去に、二つの要因によって、トマトにおけるB. シネレア耐性に関する育種が妨害された。第一に、商業的育種系統への部分的耐性の交雑は、限られた成功を収めたに過ぎなかった。第二に、耐性の付与に関与する遺伝材料の同定および局在を可能にするであろう、信頼できかつ再現可能な病気のアッセイが存在しなかった。
Urbasch(Urbasch, 1986)は、例えば、感染プロセスに強く影響を及ぼす過剰量の栄養を真菌に提供するアガープラグを用いて、葉を菌糸に感染させた。他の研究者らは、主観的な植物病気指数を用いているが、これは量的形質遺伝子座(QTL)の同定にとって必要な量的分析には不適である。
実験条件でのソラナム・リコペルシカムにおけるボトリチス・シネレア感染症は比較的良く研究されている(例えば、Benito et al., 1998)。中程度の温度(15〜20℃)で葉に小滴を接種してその後インキュベートすると、接種部位での壊死斑の急速な(感染後16〜24時間(hpi))発症が起こる。その瞬間から病変の一部(通常5〜10%)が拡大し始める。これらのいわゆる「拡大病変」の派生物は、真菌バイオマスの増加を伴い、それによって続く48時間に小葉全体への定着が起こる。
本発明者らは以前に、感染の進行速度および/または感染物質との接触時の感染を達成する成功がトマト植物の一部、より好ましくは脱離した一部、より好ましくは茎の分節について量的に測定される、耐性を測定するバイオアッセイを用いた場合に、トマトにおけるボトリチス耐性に関連する特異的QTLが同定されうることを見いだした。
さらに、実施例4に記載のように、植物全体の耐性を調べ、機械によって茎に傷をつけ、ボトリチス接種材料を損傷に適用する試験を用いることができる。
S. リコペルシカム栽培品種MoneymakerのバックグラウンドにおいてS. ハブロカイテスLYC 4/78のゲノムの特異的遺伝子移入セグメントをそれぞれが含有する遺伝子移入系統を用いた際、本発明者らは驚くべきことに、S. ハブロカイテスLYC 4/78においてボトリチスに対する耐性に関連するなおさらなるQTLを発見することができた。このように、本発明は、以下の段階を含むボトリチスに対して耐性である栽培トマト植物を産生するための方法を提供する:
- 栽培トマトの一連の遺伝子移入系統を産生する段階であって、それぞれの遺伝子移入系統が、ボトリチス耐性野生型トマトアクセッション、好ましくはS. ハブロカイテスLYC 4/78からの特異的ゲノム遺伝子移入(染色体領域)を含有し、一連の系統は共に、該耐性野生型トマトアクセッションのゲノムの全範囲を含む、段階;
- 個々の遺伝子移入系統の各植物においてボトリチスに対する耐性を測定するための量的バイオアッセイを行うことによって、好ましくは、発病率および/または病変増殖速度を測定して、および観察されたボトリチス耐性を、該遺伝子移入系統における染色体マーカーの存在と連鎖させる遺伝子連鎖マップを確立して、耐性増大(たとえば、発病率の低減および/または病変増殖速度の低減)に連鎖する該マップ上の近接マーカーを量的形質遺伝子座に割り当てることによって、個々の遺伝子移入系統の各植物におけるボトリチス耐性に関連するQTLを同定する段階;ならびに
- ボトリチスに対して耐性である栽培トマト植物を産生するためにボトリチス耐性に関連するQTLを含有する遺伝子移入系統を用いる段階、または、ボトリチス耐性が予想されるトマト植物のマーカー補助選択において同定されたQTLに関するマーカー情報を用いる段階。
驚くべきことに、ボトリチス耐性に関する多数のQTLがボトリチス耐性トマト植物のゲノムに存在することが見いだされたが、一方先行技術の方法では、第1、2、4、および10染色体上でQTLが仮に同定された。その上、本発明の方法により見いだされたQTLは、類似の遺伝的バックグラウンド(WO 02/085105)を用いた場合でさえトマト植物のボトリチス耐性にこれまで関連していない染色体上に存在した。したがって、ILを用いることによって、トマトにおけるボトリチス耐性の遺伝的起源をより詳細に調べることができ、かつこれまで同定されていないそのような耐性に関係する染色体材料を同定することができるというさらなる洞察が、本発明の方法によって提供された。
本発明による、トマトにおけるボトリチスに対する耐性に関連する量的形質遺伝子座(QTL)を検出するための方法、さもなくば量的形質遺伝子座(QTL)を同定または位置決定するための方法として扱うことができる方法は、(部分的に)ボトリチス耐性であるトマト植物を利用できることを必要とする。そのような植物は、当技術分野において公知の任意の手段によって、および該植物における該(部分的)耐性の存在を決定するための任意の方法を用いることによって提供されてもよい。(部分的)ボトリチス耐性トマト植物(これはさらに本発明の方法におけるドナー植物として役立ちうる)の提供によって、該植物の少なくとも一つ、しかし好ましくは全ての染色体に対する染色体マーカー、好ましくはAFLP、CAPS、および/またはSCARマーカー、最も好ましくはCAPSおよび/またはSCARマーカーの確立または提供が可能となる。該染色体の全長に及ぶ染色体マーカーのコレクションを確立することによって、該染色体の様々な位置に効果的に印付けされうる可能性がある。そのような方法は当技術分野において周知であり、例示的な方法を本明細書において以下により詳細に記載する。
本発明によるトマトにおけるボトリチスに対する耐性に関連する量的形質遺伝子座(QTL)を検出する方法は、植物におけるボトリチスに対する耐性を測定する段階を含んでもよい。この点に関して、植物を感染量のボトリチスに接触させる。そのような量は、試験される植物間および真菌種間で変動しうる。通常、真菌の分生子約1〜10個から約500〜5000個の量で十分である。
ボトリチスに対する耐性を測定する段階は、植物における発病率および/または病変増殖速度を定量的に決定する段階を含んでもよい。
植物に感染量のボトリチスを接触させる段階および耐性を定量的に決定する段階は、好ましくは、本明細書に記載の茎の分節または葉に関する耐性バイオアッセイ、好ましくは茎の分節、より好ましくは実施例4に記載の植物全体に関する耐性バイオアッセイの一部として行われる。当業者は、本明細書において以下に記載されるこれらのアッセイに対する変更が可能であることを理解するであろう。
茎の分節に関する耐性バイオアッセイは以下のように行われる:最初に、子孫植物由来の種子を植えて適した高さ約50 cmの実生/植物まで生長させる。植物の茎の上部5〜10 cmおよび下部5〜10 cmを除去して、残りの30 cmを5〜6 cmの等しい分節に切断してもよい。茎の分節は、好ましくは茎の基部を湿らせた濾紙の上に載せて格子に直立に立てておく。接種の前に、茎の分節を創傷表面全体に接種物が確実に等しく散布されるように、水を適切に噴霧する。次に、それぞれの茎の分節にB. シネレアの分生子浮遊液を接種してもよい。適量の接種物、例えば分生子約106個ml-1を含む約5μlの1滴をそれぞれの茎分節の上部に適用してもよい。次に、茎分節を適切には温度約16℃で、好ましくは暗所で、好ましくは高湿度(例えば100%RH)でインキュベートする。感染の進行はVernierキャリパーによって接種後の様々な間隔で腐敗症状の最大の進行を測定することによって量的に決定してもよい。多くの適した間隔で、例えば感染後(hpi)96、120、および144時間で、茎を病変の形成(発病率)および病変の増殖に関して量的に検分してもよい。非常に適したパラメータは、例えばキャリパーを用いる病変の大きさの測定を含む。季節または植物の栽培によって引き起こされる変動を補正するために、バイオアッセイの量的測定を、感受性のある対照または参照系統における同等の測定と関連させてもよい。発病率は、適切には、拡大しつつある病変の総数を接種小滴の総数で除することによって決定してもよい。特定の遺伝子型に関する拡大しつつある病変の比率を、対照または参照遺伝子型において観察された拡大しつつある病変の比率で除して、百分率で表記してもよい。または、もしくはさらに、適した期間、例えば24時間での病変の大きさ(例えばmm)の増加を計算することによって、病変の増殖速度を決定してもよい。非拡大病変に関するデータを量的分析から除外してもよい。得られた病変増殖速度を任意で、対照または参照遺伝子型において観察された病変増殖速度によって除して、百分率として表記してもよく、または絶対値、例えばミリメートルで表記してもよい。
または、植物を葉の感染バイオアッセイを用いて以下のようにスクリーニングすることができる:第一に、トマトの種子を播いて実生/植物まで生長させる。それぞれの個々の植物に関して一つまたは二つの複合葉を主茎から切断して、これを予め湿らせた草花栽培用フォームに移してもよい。次に、草花栽培用フォームを水道水を含むペトリ皿に入れた後、湿らせた濾紙を含む噴霧によって湿らせた容器に入れる。B. シネレア分生子を含む適した接種物は、例えばBenito et al., 1998によって記述されるように当技術分野で公知の方法によって調製してもよい。次に複合葉に、多数の小滴を載せることによって、適切には例えば各2μlの小滴6〜10滴を葉の上表面に載せることによって、B. シネレアの分生子浮遊液を接種する。次に容器を閉じて、葉を適切には温度15℃〜20℃、好ましくは暗所で好ましくは高湿度でインキュベートする。多数の適した間隔で、例えば96、120、および144 hpiで、茎のバイオアッセイに関して先に記述したように量的に、葉を発病率および病変の増殖に関して検分してもよい。
本発明によるトマトにおけるボトリチスに対する耐性に関連する量的形質遺伝子座(QTL)を検出する方法は、ILのレシピエント植物において、観察された耐性をドナートマト植物の染色体マーカーの存在に連鎖させる遺伝連鎖マップを確立する段階、ならびに、耐性増大を量的形質遺伝子座に連鎖させる、マップ上の近接マーカーを割り当てる段階を含む。
IL植物において、観察された耐性増大を、ドナートマト植物の染色体マーカーの存在に連鎖させる遺伝連鎖マップは、当技術分野で公知の任意の方法によって確立してもよい。当業者は、耐性量的形質遺伝子座(QTL)に連鎖する分子マーカーを同定するためのおよび遺伝連鎖マップ上でのこれらのマーカーのマッピング方法を承知している(例えばBai et al., 2003;Foolad et al., 2002;van Heusden et al., 1999)。ボトリチス耐性表現型とマーカー遺伝子型との関連は適切には、JoinMap(登録商標)およびMapQTL(登録商標)のようなソフトウェアパッケージ(実施例を参照されたい)を用いることによって、または分散分析を行うことができる任意の標準的な統計パッケージを用いることによって行ってもよい。分子マーカーは、遺伝連鎖マップを構築するために、およびボトリチス耐性に関する量的形質遺伝子座(QTL)を同定するために用いることができる。適したタイプの分子マーカーおよびそれらを得る方法を、本明細書において以下により詳細に記述する。
分子マーカーとQTL
分子マーカーは、核酸配列における差を可視化するために用いられる。この可視化は、DNA-DNAハイブリダイゼーション技術(RFLP)によっておよび/またはポリメラーゼ連鎖反応(例えば、STS、マイクロサテライト、AFLP)を用いる技術によって可能となる。二つの親遺伝子型のあいだの差は全て、これらの親遺伝子型の交雑に基づいてマッピング集団(例えば、BC1、F2;図2を参照されたい)において分離するであろう。異なるマーカーの分離を比較してもよく、組換え頻度を計算することができる。異なる染色体上の分子マーカーの組換え頻度は一般的に50%である。同じ染色体に存在する分子マーカー間では、組換え頻度はマーカー間の距離に依存する。低い組換え頻度は、染色体上のマーカー間の短い距離に対応する。全ての組換え頻度を比較すると、染色体上の分子マーカーの最も論理的な順序が得られるであろう。この最も論理的な順序を、連鎖マップにおいて描写することができる(Paterson, 1996)。発病率の低減および/または病変増殖速度の低減に関連する連鎖マップにおける隣接または近接マーカー群は、QTLの位置を正確に示す。
QTLの同定後、QTL効果(耐性)は、例えば試験中のQTLに関して分離するBC2S1後代におけるボトリチス耐性を評価することによって確認してもよい。ボトリチス耐性の評価は適切には、本明細書に記述の茎または葉のバイオアッセイを用いることによって行ってもよい。
本発明の方法を用いることによって得ることができるトマトにおけるボトリチスに対する耐性に関するQTLは、本発明の一つの局面である。そのようなQTLの特徴は、植物に存在する場合、分生子または菌糸の形のような任意の形で提供されてもよいボトリチス材料の感染量に植物を接触させた場合に、それらが発病率の低減および/または病変増殖速度の低減の存在を示すことである。
本発明はまたトマトにおけるボトリチスに対する耐性に関するQTLにも関し、該QTLは、ボトリチス耐性に関連するソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78の第4、第6、第9、第11、および第12染色体上のQTLからなる群より選択される。これらのQTLは、表1〜5に列挙されたマーカーによってより明らかに定義されるかまたは示される可能性がある。これらの表において、QTLが存在するゲノム領域は、記載のAFLPマーカーによって示される。本発明のQTLは、トマト植物における(部分的)ボトリチス発病率またはボトリチス病変増殖速度の低減を付与することに関与するDNAの形で遺伝情報を含む。遺伝情報は、例えば遺伝子または調節要素を含んでもよい。
(表1)S. リコペルシカム栽培品種Moneymaker×S. ハブロカイテスLYC 4/78の交配の子孫における第4染色体上で見いだされたQTLおよび関連する量的耐性情報。感受性のあるS. リコペルシカム栽培品種Moneymaker植物は、平均病変増殖速度4.6 mm/日および平均発病率73±6.4%を示した(表8および9を参照されたい)。
Figure 0005858596
1 マーカーの命名:AFLPプライマーの組み合わせが一般的に示されるコード、たとえばP18M51-156h、ここで、PおよびMは一般的なPstIおよびMseIプライマー配列または万能プライマー(Vos et al., 1995;Bai et al., 2003)であり、その後に二桁の拡張コードによって示される2または3個の余分の選択的塩基が続く。二桁の拡張コードは以下の通りである: 14:AT;15:CA;18:CT;22:GT;48:CAC;49:CAG;50:CAT;51:CCA;60:CTC;61:CTG。156hとは、得られた多型断片の塩基対(所与のサイズ±2塩基対)におけるおおよそのサイズである。サイズは通常、概数であるが、小数で与えられてもよい。この断片を、S. リコペルシカム栽培品種Moneymaker(e)またはS. ハブロカイテスLYC 4/78(h)のいずれかにおいて増幅する。マーカーの存在は、表記の起源の少なくとも一つの対立遺伝子が存在することを示している。プライマーおよびアダプター配列はBai et al. 2003によって詳細に記載されている。2 発病率および病変増殖速度は、実施例において詳細に説明されている方法を用いて決定する。3 TG609:表10を参照されたい。4 TG62:表11を参照されたい。5 T1405:表20を参照されたい。6 TG555:表12を参照されたい。7 CT50:表13を参照されたい。8 C2_At1g74970:表14を参照されたい。9 CT173:表21を参照されたい。
(表2)S. リコペルシカム栽培品種Moneymaker×S. ハブロカイテスLYC 4/78の交配の子孫における第6染色体上で見出されたQTLおよび関連する量的耐性情報。感受性のあるS. リコペルシカム栽培品種Moneymaker植物は、平均病変増殖速度4.6 mm/日および平均発病率73±6.4%を示した。注釈に関しては表1を参照されたい。
Figure 0005858596
(表3)S. リコペルシカム栽培品種Moneymaker×S. ハブロカイテスLYC 4/78の交配の子孫における第9染色体上で見出されたQTLおよび関連する量的耐性情報。感受性のあるS. リコペルシカム栽培品種Moneymaker植物は、平均病変増殖速度4.6 mm/日および平均発病率73±6.4%を示した。注釈に関しては表1を参照されたい。
Figure 0005858596
1 TG254:表22を参照されたい。2 TG223:表23を参照されたい。3 TG10:表17を参照されたい。4 Tm2a:表18またはSorbir, O.T. et al. (2000)を参照されたい。
(表4)S. リコペルシカム栽培品種Moneymaker×S. ハブロカイテスLYC 4/78の交配の子孫における第11染色体上で見出されたQTLおよび関連する量的耐性情報。感受性のあるS. リコペルシカム栽培品種Moneymaker植物は、平均病変増殖速度4.6 mm/日および平均発病率73±6.4%を示した。注釈に関しては表1を参照されたい。
Figure 0005858596
1 TG47:表24を参照されたい。2 TG393:表25を参照されたい。
(表5)S. リコペルシカム栽培品種Moneymaker×S. ハブロカイテスLYC 4/78の交配の子孫における第12染色体上で見出されたQTLおよび関連する量的耐性情報。感受性のあるS. リコペルシカム栽培品種Moneymaker植物は、平均病変増殖速度4.6 mm/日および平均発病率73±6.4%を示した。注釈に関しては表1を参照されたい。
Figure 0005858596
1 CT19:表26を参照されたい。2 TG68:表27を参照されたい。TG565:表28を参照されたい。TG296:表29を参照されたい。
最も確実には、QTL-4hAが存在するゲノム領域は、図1において示されるマーカーP18M51-156hとC2_At1g74970(表14)のあいだに存在する。したがって、その領域内に存在する全てのマーカー、および、コンセンサスマップTomato-EXPEN 1992(Tanksley et al, 1992)、Tomato-EXHIR 1997(Bernacchi and Tanksley, 1997)、Tomato-EXPEN 2000(Fulton et al, 2002)、またはTomato-EXPIMP 2001(Grandillo and Tanksley, 1996;Tanksley et al. 1996, Doganlar et al. 2002)のような公式に入手可能な情報に基づいてその領域に存在することが公知の任意のマーカーを、植物のゲノムにおけるQTLの存在を査定するために用いることができる。
最も確実には、QTL-4hBが存在するゲノム領域は、図1において示されるマーカーCT50(表13)とP14M50-85hのあいだに存在する。したがって、その領域内に存在する全てのマーカー、および、公式に入手可能な情報に基づいてその領域に存在することが公知の任意のマーカーを、植物のゲノムにおけるQTLの存在を査定するために用いることができる。
最も確実には、QTL-6hが存在するゲノム領域は、図2において示されるマーカーP22M50-188hとP22M50-513hのあいだに存在する。したがって、その領域内に存在する全てのマーカー、および、公式に入手可能な情報に基づいてその領域に存在することが公知の任意のマーカーを、植物のゲノムにおけるQTLの存在を査定するために用いることができる。
最も確実には、QTL-9hが存在するゲノム領域は、図3において示されるマーカーP18M50-141とP14M50-276hのあいだに存在する。したがって、その領域内に存在する全てのマーカー、および、公式に入手可能な情報に基づいてその領域に存在することが公知の任意のマーカーを、植物のゲノムにおけるQTLの存在を査定するために用いることができる。
最も確実には、QTL-11hが存在するゲノム領域は、図4において示されるマーカーP14M60-215eとP22M51-174eのあいだに存在する。したがって、その領域内に存在する全てのマーカー、および、公式に入手可能な情報に基づいてその領域に存在することが公知の任意のマーカーを、植物のゲノムにおけるQTLの存在を査定するために用いることができる。
最も確実には、QTL-12hが存在するゲノム領域は、図5において示されるマーカーP14M61-420hとP22M50-131hのあいだに存在する。したがって、その領域内に存在する全てのマーカー、および、公式に入手可能な情報に基づいてその領域に存在することが公知の任意のマーカーを、植物のゲノムにおけるQTLの存在を査定するために用いることができる。
好ましくは、本発明のQTLは、該QTLに関連する表1〜5の少なくとも一つのマーカーを含む。ボトリチス耐性の付与に関与するQTLの核酸配列は、本明細書において同定された完全なQTLの画分のみでありうるので、マーカーは単に、遺伝子領域の連鎖遺伝またはそのような遺伝子領域内で観察される組換えの非存在を示しているに過ぎない。したがって、表1〜5に列挙されたマーカーは、本発明のQTLが特定のソラナム系統のゲノムに存在する染色体領域を示していること、およびそれらのマーカーが必ずしも該QTLの境界または構造を定義しないことに留意されたい。このように、本質的な耐性付与核酸配列を含むQTLの一部は、特定のQTLに関して記載された近接マーカーによって示される場合よりかなり小さい可能性がある。そのような部分は、本明細書においてQTLの「耐性付与部分」と呼ばれる。その結果、QTLの耐性付与部分は必ずしも先に記載した任意のマーカーを含む必要はない。同様に、他のマーカーが概してQTLに遺伝的に連鎖している限り、該マーカーを用いて様々なQTLを示してもよく、かつ、当業者は本発明のQTLと類似のQTLを発見しうるまたは用いうるが、表1〜5に列挙されておりかつ該QTLと連鎖していることが示されている一つまたは複数のマーカーは存在しない。
トマトにおけるボトリチスに対する耐性に関するQTLのボトリチス耐性付与部分は、例えば、該QTLに連鎖している、表1〜5に示されるQTLに関するマーカーの一つまたは複数を用いる分子マーカー技術を、好ましくは耐性バイオアッセイと併用して、同定されうる。本発明のQTLのボトリチス耐性付与部分を含まないトマト植物は、ボトリチスによる感染に対して比較的感受性である。
本発明によって提供されるマーカーは、非常に適切には、疑わしいボトリチス耐性トマト植物における本発明の一つまたは複数のQTLの存在を検出するために用いられてもよく、したがってボトリチス耐性トマト植物のマーカーアシスト育種および選択を伴う方法において用いてもよい。好ましくは、本発明のQTLの存在を検出する段階は、例えば、該QTLに連鎖している、表1〜5に示されるQTLに関するマーカーの少なくとも一つによって行われる。したがって、本発明は、もう一つの局面において、その存在が該マーカーを用いることによって検出される可能性がある、疑わしいボトリチス耐性トマト植物における該QTLの核酸配列の存在を検出する段階を含む、ボトリチス耐性に関するQTLの存在を検出するための方法に関する。
本発明のQTLの核酸配列は、当業者に公知の方法によって決定してもよい。例えば、該QTLまたはその耐性付与部分を含む核酸配列は、該植物のゲノムを断片化する段階、および該QTLを示す一つまたは複数のマーカーを有するそれらの断片を単離する段階によって、ボトリチス耐性ドナー植物から単離されてもよい。その後、もしくはまたは、該植物から得られたゲノム核酸試料またはゲノム断片から該QTLを含む核酸配列を増幅するために、該QTLを示すマーカー配列(またはその一部)を(PCR)増幅プライマーとして用いてもよい。次に、単離されたQTLを得るために、増幅された配列を精製してもよい。QTLのヌクレオチド配列および/またはその中に含まれるさらなるマーカーのヌクレオチド配列を、標準的なシークエンシング法によって得てもよい。
したがって、本発明は本発明のQTLまたはそのボトリチス耐性付与部分を含む単離核酸(好ましくはDNA)配列に関する。このように、本明細書に記述の様々なQTLを正確に示すマーカーを、ボトリチス耐性をコードするトマトから一つまたは複数の遺伝子を同定、単離、および精製するために用いてもよい。
本発明のQTLのヌクレオチド配列は、例えば、該QTLに関連する一つまたは複数のマーカーのヌクレオチド配列を決定する段階、および該マーカー配列に関する内部プライマーを設計する段階によって解明されてもよく、次にこれを該マーカー配列の外側のQTLの配列をさらに決定するために用いてもよい。例えば、表1〜5からのAFLPマーカーのヌクレオチド配列は、本発明の植物のゲノムに該マーカーが存在するか否かを決定するために用いられる電気泳動ゲルからマーカーを単離する段階、および当技術分野で周知である例えばジデオキシチェーンターミネーション法によって、該マーカーのヌクレオチド配列を決定する段階によって得てもよい。
疑わしいボトリチス耐性トマト植物におけるQTLの存在を検出するためのそのような方法の態様において、本方法はまた、該QTLに連鎖しているとして表1〜5のマーカーから選択される、該QTLに連鎖するマーカーの核酸配列と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件でハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを提供する段階、該オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを、疑わしいボトリチス耐性トマト植物のゲノム核酸に接触させる段階、および該オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと該ゲノム核酸との特異的ハイブリダイゼーションの存在を決定する段階を含んでもよい。好ましくは、本方法は、疑わしいボトリチス耐性トマト植物から得た核酸試料について行われるが、インサイチューハイブリダイゼーション法も同様に用いてもよい。または、およびより好ましい態様において、当業者はQTLのヌクレオチド配列が決定された後、該QTLの核酸配列とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件でハイブリダイズすることができる特異的ハイブリダイゼーションプローブまたはオリゴヌクレオチドを設計してもよく、疑わしいボトリチス耐性トマト植物における本発明のQTLの存在を検出するための方法において、そのようなハイブリダイゼーションプローブを用いてもよい。
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という句は、プローブまたはポリヌクレオチドが、典型的に核酸の複雑な混合物においてその標的亜配列にハイブリダイズするが、本質的に他の配列にはハイブリダイズしない条件を指す。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、状況が異なれば異なるであろう。より長い配列は、より高温で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに関する詳細な指針は、Tijssen(Thijssen, 1993)において見いだされる。一般的に、ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度pHで特異的配列に関する熱融解点(Tm)より約5〜10℃低くなるように選択される。Tmは、標的と相補的であるプローブの50%が平衡時に標的配列とハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度、pH、および核酸濃度で)である(標的配列は過剰量存在し、Tmでは平衡時にプローブの50%が占有される)。ストリンジェントな条件とは、pH 7.0〜8.3で塩濃度が約1.0 M未満のナトリウムイオン、典型的には約0.01〜1.0 Mナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、短いプローブ(例えば10〜50ヌクレオチド)に関して温度が少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドより大きい)に関して少なくとも約60℃である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドのような脱安定化剤を加えることによって得てもよい。選択的または特異的ハイブリダイゼーションに関して、陽性シグナルはバックグラウンドの少なくとも2倍であり、好ましくはバックグラウンドハイブリダイゼーションの10倍である。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下であることが多い:50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDSで42℃でインキュベート、または5×SSC、1%SDSで65℃でインキュベート、ならびに0.2×SSCおよび0.1%SDSで65℃で洗浄。PCRに関して、温度約36℃は、低ストリンジェンシー増幅に関して典型的であるが、アニーリング温度は、プライマーの長さに応じて約32℃〜48℃のあいだで変化してもよい。ハイブリダイゼーションパラメータを決定するためのさらなるガイドラインは、多数の参考文献において提供され、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, eds. Ausubel, et al. 1995を参照されたい。
本明細書において用いられる「核酸」、「オリゴヌクレオチド」、もしくは「ポリヌクレオチド」またはその文法的同等物は、互いに共有結合した少なくとも二つのヌクレオチドを意味する。オリゴヌクレオチドは、典型的に長さが約7、8、9、10、12、15、18、20、25、30、40、50ヌクレオチド、または最大約100ヌクレオチドである。核酸およびポリヌクレオチドは、より長い、例えば200、300、500、1000、2000、3000、5000、7000、10,000等を含む任意の長さのポリマーである。本発明の核酸は一般的に、ホスホジエステル結合を含むが、場合によっては、例えばホスホロアミデート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、またはO-メチルホスホロアミダイト結合(Eckstein, 1991を参照されたい)ならびにペプチド核酸骨格および結合を含む代用骨格を有してもよい核酸類似体が含まれる。天然に存在する核酸および類似体の混合物を用いることができる。特に好ましいオリゴヌクレオチド類似体は、ペプチド核酸(PNA)である。
トランスジェニック法によるボトリチス耐性トマト植物の産生
本発明のもう一つの局面に従って、本発明の少なくとも一つのQTLまたはそのボトリチス耐性付与部分を含む核酸(好ましくはDNA)配列を、ボトリチス耐性トマト植物の産生のために用いてもよい。この局面において、本発明は、その使用がボトリチス感受性レシピエントトマト植物における該QTLを含む核酸配列の導入を伴う、ボトリチス耐性トマト植物を産生するために本発明のQTLまたはそのボトリチス耐性付与部分を用いることを提供する。先に述べたように、核酸配列は適したボトリチス耐性ドナートマト植物に由来してもよい。本明細書において先に記述したQTLの少なくとも一つ、またはそのボトリチス耐性付与部分を含む核酸配列を提供することができる二つの適切なボトリチス耐性ドナートマト植物は、S. ハブロカイテスLYC 4/78である。ボトリチスに対して耐性を示し、ボトリチス耐性をコードする一つまたは複数の遺伝子を含む他の関連するトマト植物も同様に、本発明がどのようにしてこの材料が同定されるかを記述することから、ボトリチス耐性ドナー植物として利用してもよい。リコペルシコン・セラシフォルム、リコペルシコン・チーズマニイ、リコペルシコン・キレンセ、リコペルシコン・クミリウスキイ、ソラナム・リコペルシカム、リコペルシコン・ヒルスータム、リコペルシコン・パルビフロラム、リコペルシコン・ペンネリイ、リコペルシコン・ペルビアナム、リコペルシコン・ピンピネリフォリウム、およびソラナム・リコペルシコイデスが含まれるがそれらに限定されるわけではないトマト種の他のアクセッションを、ボトリチス耐性に関して調べることができる。
適したドナートマト植物において同定された後、本発明によるボトリチス耐性に関するQTL、またはそのボトリチス耐性付与部分を含む核酸配列を、利用可能な任意の方法によって適したレシピエント植物に移入してもよい。例えば、該核酸配列は、ボトリチス耐性ドナートマト植物を感受性のあるレシピエントトマト植物と交雑することによって(すなわち、遺伝子移入によって)、形質転換によって、プロトプラスト融合によって、ダブルハプロイド技術によって、胚救出によって、または任意の他の核酸移入系によって移入した後に、任意でQTLを含み、ボトリチス耐性を示す子孫植物を選択する段階を行ってもよい。トランスジェニック移入法に関して、本発明によるボトリチス耐性に関するQTLまたはそのボトリチス耐性付与部分を含む核酸配列を、当技術分野で公知の方法を用いてドナー植物から単離してもよく、このように単離された核酸配列を、トランスジェニック法によって、例えばベクターによって、配偶子において、または該核酸配列をコーティングしたバイオリスティック(biolistic)粒子のような任意の他の適した移入要素において、レシピエント植物に移入してもよい。
植物の形質転換は一般的に、植物細胞において機能するであろう発現ベクターの構築を伴う。本発明において、そのようなベクターは、本発明のボトリチス耐性に関するQTLまたはそのボトリチス耐性付与部分を含む核酸配列を含み、ベクターは、プロモーターのような調節要素の制御下である、または機能的に連結しているボトリチス耐性付与遺伝子を含んでもよい。発現ベクターは、組み合わせに含まれる遺伝子の少なくとも一つがボトリチス耐性をコードする限り、一つまたは複数のそのような機能的に連結した遺伝子/調節要素の組み合わせを含んでもよい。ベクターは、プラスミドの形であってもよく、アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換系のような、当技術分野で公知の形質転換法を用いてボトリチスに対して耐性であるトランスジェニック植物を提供するために、単独で、または他のプラスミドと併用して用いることができる。
発現ベクターには、マーカーを含む形質転換細胞を負の選択(選択的マーカー遺伝子を含まない細胞の増殖を阻害することによって)によって、または正の選択(マーカー遺伝子によってコードされる産物に関するスクリーニングによって)によって回収することができる調節要素(プロモーター)に機能的に連結した少なくとも一つのマーカー遺伝子が含まれうる。植物の形質転換に関する多くの一般的に用いられる選択的マーカー遺伝子が当技術分野で公知であり、これには例えば抗生物質もしくは除草剤であってもよい選択的化学物質を代謝的に解毒化する酵素をコードする遺伝子、または阻害剤に対して非感受性である変化した標的をコードする遺伝子が含まれる。マンノース選択のような、いくつかの正の選択法が当技術分野で公知である。または、マーカーを用いない形質転換を用いて、上記のマーカー遺伝子を有しない植物を得ることができ、この技術は当技術分野において公知である。
植物に発現ベクターを導入するための一つの方法は、アグロバクテリウムの天然の形質転換系に基づく(例えば、Horsch et al., 1985を参照されたい)。A. ツメファシエンス(A. tumefaciens)およびA. リゾゲネス(A. rhizogenes)は、植物細胞を遺伝的に形質転換する植物病原性土壌細菌である。A. ツメファシエンスおよびA. リゾゲネスのTiおよびRiプラスミドはそれぞれ、植物の遺伝子形質転換に関与する遺伝子を有する(例えば、Kado, 1991を参照されたい)。植物組織に発現ベクターを導入する方法には、アグロバクテリウム・ツメファシエンスによる植物細胞の直接感染または同時培養が含まれる(Horsch et al., 1985)。アグロバクテリウムベクター系の記述およびアグロバクテリウム媒介遺伝子移入法は、Gruber and Crosby, 1993およびMoloney et al., 1989によって提供された。同様に米国特許第5,591,616号を参照されたい。植物発現ベクター、レポーター遺伝子および形質転換プロトコールに関する全般的記述、ならびにアグロバクテリウムベクター系およびアグロバクテリウム媒介遺伝子移入法に関する記述は、Gruber and Crosby, 1993において見いだされうる。植物組織を培養する全般的方法は、例えば、Miki et al., 1993およびPhillips, et al., 1988によって提供される。分子クローニング技術および適した発現ベクターに関する適切な参考書は、Sambrook and Russell(2001)である。
発現ベクターを植物に導入するもう一つの方法は、DNAが微粒子(microprojectile)の表面で運ばれる微粒子媒介形質転換に基づく。発現ベクターは、微粒子を、植物細胞壁および膜を貫通するために十分である速度300〜600 m/sまで加速するバイオリスティック装置によって導入される(Sanford et al., 1987, 1993;Sanford, 1988, 1990;Klein et al., 1988, 1992を参照されたい)。DNAを植物に導入するためのもう一つの方法は、標的細胞の超音波による(Zhang et al., 1991を参照されたい)。または、リポソームもしくはスフェロプラスト融合は、発現ベクターを植物に導入するために用いられている(例えば、Deshayes et al., 1985 and Christou et al., 1987を参照されたい)。CaCl2沈殿、ポリビニルアルコール、またはポリ-L-オルニチンを用いる、プロトプラストへのDNAを植物の直接取り込みも同様に報告されている(例えば、Hain et al., 1985およびDraper et al., 1982を参照されたい)。プロトプラストならびに細胞および組織全体の電気穿孔も同様に記述されている(D'Halluin et al., 1992およびLaursen et al., 1994)。
トマト標的組織の形質転換後、上記の選択マーカー遺伝子の発現によって、当技術分野で現在周知の再生および選択法を用いて形質転換細胞、組織、および/または植物の選択的選択が可能となる。表1〜5のマーカーも同様にその目的のために用いてもよい。
非トランスジェニック法によるボトリチス耐性トマト植物の産生
ボトリチス耐性トマト植物を産生するためのもう一つの態様において、ドナー植物からレシピエント植物に核酸を移入するために、プロトプラスト融合を用いることができる。プロトプラスト融合は、体細胞ハイブリダイゼーションのような、二つまたはそれより多いプロトプラスト(その細胞壁が酵素処理によって除去されている)間の誘導または自然発生合体であり、一つの二核細胞または多核細胞を生じる。天然において品種間交雑することができない植物種についても得られる可能性がある融合された細胞は、望ましい形質の組み合わせを示すハイブリッド植物へと組織培養される。より具体的には、第一のプロトプラストを、ボトリチスによる感染症に対して耐性を示すトマト植物または他の植物系統から得ることができる。例えば、S. ハブロカイテスLYC 4/78からのプロトプラストを用いることができる。第二のプロトプラストは、第二のトマトまたは他の植物品種から、好ましくは耐病性、害虫耐性、貴重な果実特徴等のような、しかしこれらに限定されない商業的に望ましい特徴を含むトマト系統から得ることができる。次に、当技術分野で公知である従来のプロトプラスト融合技法を用いて、プロトプラストを融合させる。
または、ドナー植物由来の本発明の一つまたは複数のQTLを含む核酸のレシピエント植物への移入に胚救出を用いてもよい。胚救出は、植物が生存種子を産生できない交雑から胚を単離するための技法として用いることができる。このプロセスでは、植物の受精した子房または未成熟種子を組織培養して、新しい植物が作製される(Pierik, 1999)。
本発明はまた、先に記述した本発明によるドナートマト植物においてB. シネレアに対する耐性に関連する量的形質遺伝子座(QTL)の存在を検出するための方法を行う段階、該ドナー植物からこのように検出された少なくとも一つのQTLまたはそのボトリチス耐性付与部分を含む核酸配列をボトリチス感受性レシピエントトマト植物に移入する段階を含む、ボトリチス耐性トマト植物を産生する方法に関する。該核酸配列の移入は、本明細書において先に記述した任意の方法によって行ってもよい。
そのような方法の好ましい態様は、該植物を交雑させることによって、ボトリチス耐性ドナートマト植物由来の核酸配列を、ボトリチス感受性レシピエントトマト植物に遺伝子移入することによる移入を含む。このように、この移入は適切には従来の育種技術を用いることによって行われてもよい。QTLは好ましくは、マーカーアシスト育種(MAS)を用いることによって商業的トマト品種に遺伝子移入される。マーカーアシスト育種またはマーカーアシスト選択は、所望の形質をコードする遺伝子の一つまたは複数を含む子孫植物を同定および選択するために、分子マーカーの一つまたは複数を用いることを伴う。本発明において、そのような同定および選択は、本発明のQTLまたはそれに関連するマーカーの選択に基づく。MASはまた、関心対象のQTLを有するほぼ同質遺伝子系統(NIL)を作製するために用いることができ、各QTL効果に関するより詳細な研究を可能にして、同様に戻し交雑近交系(BIL)集団を作製するための有効な方法である(例えば、Nesbitt et al., 2001;van Berloo et al., 2001を参照されたい)。この好ましい態様に従って作製されたトマト植物は、レシピエント植物由来のその形質の大部分を都合よく得て、ドナー植物からボトリチス耐性を得ることができる。
B. シネレアに対する耐性は多遺伝子的に遺伝するので、少なくとも二つ、好ましくは三つのQTLまたはそのボトリチス耐性付与部分が、適した移入法によって一つのレシピエント植物に挿入されること、すなわち多数のQTLがレシピエント植物ゲノムにおいて積み重なることが好ましい。本発明のQTLの二つまたはそれ以上が積み重なることによって、ボトリチスに対する耐性の増加が得られる可能性があると考えられる。当業者は容易に理解すると考えられるように、積み重ねは、任意の方法、例えば本発明の多数のQTLを含む核酸構築物によって植物を形質転換することによって行ってもよい。または、得られたハイブリッドに少なくとも二つのQTLが含まれるように、少なくとも一つのQTLが交雑のそれぞれの親植物に存在してもよい。これらの耐性形質を積み重ねることによって、非常に耐性の植物が得られる可能性がある。そのような植物は、本発明の非常に好ましい態様である。
先に簡単に考察したように、従来の育種技術は、ボトリチス耐性をコードする核酸配列を、ボトリチス感受性レシピエントトマト植物に遺伝子移入するために用いることができる。系統育種と呼ばれる一つの方法において、ボトリチスに対して耐性を示し、ボトリチス耐性をコードする核酸配列を含むドナートマト植物を、好ましくは耐病性、害虫耐性、貴重な果実特徴等のような、しかしこれらに限定されない商業的に望ましい特徴を示すボトリチス感受性レシピエントトマト植物と交雑させる。得られた植物集団(F1ハイブリッドを表す)を自家受粉させて、種子(F2種子)をつけさせる。F2種子から生長したF2植物をボトリチスに対する耐性に関してスクリーニングする。集団を多数の異なる方法でスクリーニングすることができる。
第一に、集団を従来の病気のスクリーニングを用いてスクリーニングすることができる。そのような病気のスクリーニングは当技術分野で公知である。好ましくは、量的な茎または葉の感染バイオアッセイを用い、好ましくは本明細書においてこれまでに、および実施例においてより詳細に概要される本発明の方法において用いられる茎のバイオアッセイを用いる。第二に、ボトリチス耐性をコードする核酸配列を含む後代を同定するために本明細書において既に記述された分子マーカーの一つまたは複数を用いて、マーカーアシスト選択を行うことができる。QTLの存在を検出するための方法によって本発明において先に言及された他の方法を用いてもよい。同様に、マーカーアシスト選択を用いて量的バイオアッセイから得られた結果を確認することができ、したがっていくつかの方法を組み合わせて用いてもよい。
ボトリチス耐性トマト植物および種子
本発明のボトリチス耐性トマト植物は、高レベルの耐性を有することを特徴とする。これは、感受性のある対照植物に関して観察されたレベルより高い耐性レベルであると定義される。実際に、本発明の植物は、任意の商業的トマト品種、すなわち今日まで知られている商業的に望ましい特徴を有する品種より高い耐性レベルを有する。本発明の植物は、バイオアッセイによって測定した場合に、感受性のある対照植物より少なくとも3倍低いボトリチス・シネレアに対する感受性を有する。例えば、成体植物におけるボトリチス・シネレア感染に起因する平均茎病変長が、実施例3.10および3.11においてより詳細に記述されるような標準的な実践条件で3週間のあいだ測定されるバイオアッセイによって測定した場合。典型的に、本発明の植物は、そのような特徴に基づいて耐性を決定するように設計された耐性バイオアッセイにおける標準的な実践条件を用いて、接種後3週間で成体植物においてボトリチス・シネレア病変の平均茎病変長が3.2 cm未満である耐性レベルを有する。より典型的に、本発明の植物は、2.9 cm未満の平均茎病変長を示す。本発明の植物の中には、平均茎病変長2.0 cmを示すものさえある。その数が初回接種創傷の2 cmを含む病変長を表すことを考慮すると、高レベルの耐性、およびいくつかのQTLの場合では十分な耐性が本発明の植物において観察されると推論されうる。比較すると、感受性のある対照植物は、同じ条件で約3.6 cm〜約6.0 cmの平均茎病変長を示し、平均値は4.85 cm(表7を参照されたい)である。同様に比較として、S. ハブロカイテスLA 1777、国際公開公報第02/085105号の部分的ボトリチス耐性起源を含むQTL-10は、同じ条件で約4.3 cmの平均茎病変長を示す。要約すると、本発明の植物は、一般的に、上記参照耐性バイオアッセイにおいて、感受性のある対照植物の真の長さの約30%(0.9/2.85×100%)未満である、および一般的に部分的耐性S. ハブロカイテスLA 1777の真の長さの約40%(0.9/2.3×100%)未満である真の茎病変を示す。
このように、本発明の植物は、バイオアッセイによって測定した場合に、感受性のある対照植物より3倍低い、または感受性のある対照植物レベルの1/3未満であるボトリチス・シネレアに対する感受性を有する。相互に、本発明の植物は、本明細書において定義されるように、および記述のバイオアッセイによって決定されるように、感受性のある対照植物より3倍より高い耐性である。QTL-1hによって、完全な耐性が観察される。感受性のある対照植物は、ボトリチス・シネレア感染に対して正常な感受性を示す、または耐性を示さない植物であると定義される。感受性のある対照植物の例は、ハイブリッドのソラナム・リコペルシカム栽培品種「Moneyberg」(De Ruiter Seeds R&D BV, Bergschenhoek, The Netherlands)の植物である。
本発明の方法によって得ることができるボトリチス耐性トマト植物、またはその一部も同様に、本発明の一つの局面である。
本発明のもう一つの局面は、ボトリチス耐性に関連するソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78の第4、6、9、11、および12染色体上のQTLからなる群より選択される少なくとも一つのQTLまたはそのボトリチス耐性付与部分をそのゲノム内に含み、該QTLまたはそのボトリチス耐性付与部分はその天然の遺伝的バックグラウンドに存在しない、ボトリチス耐性トマト植物またはその一部に関する。本発明のボトリチス耐性トマト植物は、近交系、ハイブリッド、半数体、倍数性半数体、単為結実、またはトランスジェニックのような任意の遺伝子型となりうる。さらに、本発明の植物は、耐性形質に関してヘテロ接合またはホモ接合であってもよく、好ましくはホモ接合である。本発明のQTLおよび本発明の方法によって得ることができるQTL、ならびにそのボトリチス耐性付与部分は、ボトリチス耐性植物を提供するために任意の植物に移入されてもよいが、本発明の方法および植物は、好ましくはナス(Solanaceae)科の植物、より好ましくはトマトに関する。
本明細書において同定されたボトリチス耐性に関連するソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78の第4(QTL-4hB)、6、9、11、および12染色体上のQTLに加えて、本発明の植物は任意で、本明細書においてQTL-1h、QTL-2h、およびQTL-4hとして同定されかつ本文脈において明白に参照される同時係属中の出願PCT/NL2005/000762およびEP 1 652 930 A(欧州特許出願第04077931.6号)においてより詳細に説明される一つまたは複数のS. ハブロカイテス由来QTLをさらに含んでもよい。
本明細書に記載のQTLまたはPCT/NL2005/000762に記載されるQTLのいずれかのQTLの組み合わせは、そのような組み合わせを有する植物における耐病性を増加させるであろうと提起される。しかし、QTLのそれぞれはまた、バックグラウンドの先祖S. ハブロカイテスからの遺伝情報も持っており、このことは、このバックグラウンドの遺伝情報が多すぎる子孫では、所望の最適な栽培学的特徴を有する植物を得ることができないことを意味している。
反復選択および戻し交雑技術、自家受粉および/または倍数性半数体、または親系統を作製するために用いられる任意の他の技術を用いて、近交系ボトリチス耐性トマト植物系統を作製することができる。選択および戻し交雑法において、反復親を第一のドナー植物(反復親とは異なり、本明細書において「非反復親」と呼ばれる)と交雑させることによって、ボトリチス耐性を標的レシピエント植物(反復親と呼ばれる)に遺伝子移入することができる。反復親は、ボトリチスに対して非耐性であるかまたは低レベルの耐性を有し、耐病性、害虫耐性、貴重な果実特徴等のような、しかしこれらに限定されない商業的に望ましい特徴を保有する植物である。非反復親は、ボトリチス耐性を示し、ボトリチス耐性をコードする核酸配列を含む。非反復親は、反復親と他家受精される任意の植物品種または近交系となりうる。反復親と非反復親との交雑に起因する後代を反復親と戻し交雑する。次に、得られた植物集団をスクリーニングする。集団を多数の異なる方法でスクリーニングすることができる。例えば、集団は、本明細書において既に記述された茎の量的バイオアッセイを用いてスクリーニングすることができる。次に、ボトリチス耐性表現型を示し、ボトリチス耐性をコードする必須の核酸配列を含み、商業的に望ましい特徴を保有するF1ハイブリッド植物を選択して自家受粉させて、トマト植物をますます近交系にするために多数の世代にわたって選択する。連続的自家受粉および選択のこのプロセスは、2〜5世代、またはそれより多い世代に関して行うことができる。そのような育種および選択の結果は、ボトリチス耐性に関連する遺伝子と共に商業的に重要である形質に関連する他の遺伝子に関して遺伝的にホモ接合である系統の産生である。バイオアッセイの表現型病理スクリーニングを用いる代わりに、ボトリチス耐性をコードする核酸配列を含む後代を同定するために、本明細書において先に記述した分子マーカー、ハイブリダイゼーションプローブ、またはポリヌクレオチドの一つまたは複数を用いて、MASを行うことができる。または、MASを用いて、量的バイオアッセイから得られた結果を確認することができる。適当な選択を行った後、プロセスを繰り返す。反復親との戻し交雑およびボトリチス耐性に関して選択するプロセスを、5代またはそれより多い世代に関して繰り返す。このプロセスによって得られた後代はボトリチス耐性をコードする一つまたは複数の遺伝子に関してヘテロ接合である。次に、ボトリチス耐性に関してホモ接合の純粋な育種後代を提供するために、最後の戻し交雑世代を自家受粉させる。
本明細書において記述されるボトリチス耐性近交系トマト系統は、ボトリチス耐性ハイブリッド植物を作製するためにさらなる交雑において用いることができる。例えば、本発明の最初のボトリチス耐性近交系トマト植物を、耐病性、害虫耐性、望ましい果実特徴等のような、しかしこれらに限定されない商業的に望ましい形質を保有する第二の近交系トマト植物と交雑させることができる。この第二の近交系トマト系統はボトリチス耐性であってもなくてもよい。
本発明のもう一つの局面は、ボトリチス耐性トマト植物に生長させることができる種子を産生する方法に関する。一つの態様において、本方法は、本発明のボトリチス耐性トマト植物を提供する段階、該ボトリチス耐性植物をソラナム・リコペルシカム植物と交雑させる段階、および該交雑から得られた種子を採取する段階を含み、これを播種すると、ボトリチス耐性トマト植物が産生される。
もう一つの態様において、本方法は、本発明のボトリチス耐性トマト植物を提供する段階、該ボトリチス耐性植物をソラナム・リコペルシカム植物と交雑させる段階、該交雑から得られた種子を採取する段階、該種子を植物に再生させる段階、本明細書に記述の任意の方法によってボトリチス耐性植物を選択する段階、植物におけるボトリチス耐性を付与する対立遺伝子に関して固定された植物を得るために、選択された植物を十分な世代自家受粉させる段階、このようにして産生された植物を、所望の表現型形質を有するS. リコペルシカム植物と十分な世代戻し交雑して、ボトリチス耐性であって、所望の表現型形質を有するS. リコペルシカム植物を得る段階、および最後の戻し交雑から得られた植物から産生された種子を採取して、これを播種し、ボトリチス耐性であるトマト植物を産生する段階を含む。
制限するためではなく例示のために、本発明の実施例を以下に示す。
実施例
実施例1. ボトリチス・シネレアに対する耐性に関連するQTLを同定する方法
1.1. 緒言
本実施例は、野生型トマト遺伝子型のコレクションのボトリチス・シネレアに対する耐性を評価するための量的バイオアッセイの開発を紹介する。
ボトリチス・シネレアに対する部分的耐性は、野生型トマト植物において報告されているが、これらの報告は、ほとんどが説明的であって定性的であった。部分的耐性遺伝子型の同定は、管理可能な耐性レベルを有する系統を得るために商業的育種系統に耐性を遺伝子移入するための見通しを提供するであろう。再現可能で、客観的な量的アッセイを利用できることと共に、遺伝的に決定された(部分的)灰色カビ耐性を有する遺伝子型の同定は、栽培トマト品種における耐性育種の道を開く。
本実施例は、量的疾患アッセイを記述する。アッセイは、葉(葉接種アッセイ)および茎の分節(茎接種アッセイ)に適用される。病気の感受性に関する二つのパラメータを調べた。第一の測定パラメータは、発病率(DI)、すなわち拡大しつつある病変が得られる接種の割合であった。最初のB. シネレア病変が特定の宿主遺伝子型において拡大することが(部分的に)できないことが植物の遺伝的形質である場合、そのような形質は、それが作物における病巣数を直接制限することから重要である。試験した第二のパラメータは、24時間での病変増殖速度であった(病変増殖、LG)。最初の接種スポットから拡大した病変は、病変が葉の先端または茎分節の下端に達するまで、均一な速度(mm/日)で経時的に広がるように思われた。本発明のアッセイは、B. シネレア感染の発生(発病率)および発達(病変増殖)の双方を定量することができ、それによって二組の量的形質データが得られる。アッセイを用いて、トマト種のコレクション(本明細書において以降「アクセッション」と呼ぶ)をその耐性の存在に関してスクリーニングした。
1.2. 植物
試験した植物の遺伝子型を表6に記載する。
(表6)被験ソラナム遺伝子型の一覧
Figure 0005858596
1 DRS:De Ruiter Seeds、ベルフスヘンフーク、オランダ;WU PPW:Plantkundig Proefcentrum Wageningen、ワーゲニンゲン大学、ワーゲニンゲン、オランダ;LoPB:Laboratory of Plant Breeding、ワーゲニンゲン大学、ワーゲニンゲン、オランダ;MPIZK:Max Planck Institut fur Zuchtungsforschung an Kulturpflanze、ケルン、ドイツ;TGRC:Tomato Genetics Resource Center、カリフォルニア大学デイビス校、カリフォルニア州デイビス、USA;IPK:Institut fur Pflanzengenetik und Kulturpflanzenforschung、ガータースレーベン、ドイツ。
2 Yは遺伝子型を特定のアッセイにおいて調べたことを示し、Sは、感受性のある参照対照として役立つ遺伝子型を示す。
(3) B. シネレアに対して耐性であると既に公表されている。
植物を、最低温度15℃の温室において12 cmポットにおいてポット用土において生長させた。人工的なナトリウム灯火を10月から3月まで適用した(16時間/日)。発芽後5〜7日目に、FeNaEDTA(3.5 g/l)10 mlを加えて、3日後に微量栄養液(0.286 g/l H3BO3;0.1558 g/l MnSO4-H2O;0.008 g/l CuO4・H2O;0.022 g/l ZnSO4;0.00196 (NH4)6Mo7O24・4H2O)10 mlを加えた。発芽後2週間目から、Hoagland溶液(5 mM Ca(NO3)2;5 mM KNO3;2 mM MgSO4;1 mM KH2PO4)5 mlを毎週加えた。
1.3. 葉のアッセイ
B. シネレア株B05.10の接種物を、Benito(1998)に従って調製した。それぞれの個々の植物に関して、十分に枝を出した一つまたは複数の複合葉を主茎から鋭利なカミソリの刃で切り離し、予め湿らせた草花栽培フォームに移した。草花栽培フォームを、水道水を含むペトリ皿に入れて、湿らせた濾紙を含むスプレーによって湿らせた容器に入れた。次に、全体で接種物(2μl)6〜10滴をピペットによって葉の上表面に注意深く滴下することによって、複合葉にB. シネレアの分生子浮遊液を接種した。容器をスプレーによって湿らせた蓋によって閉じて100%RHの15℃の暗所で、本質的にBenito et al., 1998によって記述されるとおりにインキュベートした。一つの複合葉を適切に四つの小葉に分け、それぞれの小葉に分生子2000個を含む各2μlの10滴を接種した。強く拡大する病変の割合(発病率)および病変増殖速度の双方を数日間モニターした。
季節または植物の栽培によって引き起こされる変動を補正するために、各実験において特定の遺伝子型の発病率を、その同じ実験において試験したMoneymakerの発病率と相関させた。
病変の大きさは、キャリパーを用いて96、120、および144 hpiで測定した。発病率は、拡大しつつある病変の総数を、接種した小滴の総数によって除することによって決定した。病変増殖速度は、24時間での病変の大きさの増加(mm)を計算することによって決定した。非拡大病変に関するデータは量的分析から除外した。
1.4. 茎のアッセイ(標準化技法)
茎のアッセイは以下のように実施した:高さ約50 cmの植物の茎の上部5〜10 cmおよび下部5〜10 cmを除去して、残りの30 cmを5〜6 cmの等しい分節に切断した。それぞれの茎の分節を、茎の基部を湿らせた濾紙の上に載せて格子の上で直立に立てておく。接種の前に、創傷表面全体に接種物が確実に等しく散布されるように、茎の分節に水道水を噴霧する。接種物は葉のアッセイに関して記述したとおりに調製した。分生子約106個ml-1を含む約5μlの1滴をそれぞれの茎分節の上部に適用した。次に、茎分節を温度約15±2℃で、相対湿度100%の暗所でインキュベートする。感染の進行は、Vernierキャリパーによって接種後の様々な時間間隔で腐敗症状の最大進行を測定することによって量的に決定した。
それぞれの遺伝子型に関して、感染した茎片の百分率を計算した。発病率は、拡大しつつある病変を有する茎分節の総数を、接種した分節の総数で除することによって決定した。病変増殖速度は、24時間での病変の大きさの増加を計算することによって決定し、それによって非拡大病変のデータを分析から除外した。
1.5. 結果
切り落とされた葉の感染実験における発病率および病変増殖速度を、各遺伝子型に関して、通常感染後2〜4日から数日間決定した。参照として役立つS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの発病率は、これらの実験において15%〜78%のあいだで変動した。遺伝子型82/2577および83/2896(いずれもS. リコペルシカム種)を除き、試験した遺伝子型は、全ての実験において、Moneymakerより低い発病率を示した。遺伝子型G1.1556、G1.1560、およびG1.1601は、これらの独立した実験において、0〜21%の範囲のより低い発病率を示した。統計分析から、遺伝子型78/1604、91/4311、96/4326、G1.1556、GI 1558、G1.1560、Gl.1601、LA716およびLYC 4/78における発病率が、対照系統のS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerより有意に低いことが示された(p<0.05)。しかし、週による変動が大きく、週/実験のあいだでの発病率の変動のために、切り離した葉のアッセイにおいて観察された差のいくつかは実際にはそれほど強くない可能性がある。
これらの耐性の遺伝子型(発病率はMoneymaker参照の場合より有意に低い)において、拡大に成功した病変はしばしば、Moneymaker(例えば、96/4326、G1.1560、LA716)と類似の割合で発生した。逆の状況は見いだされなかった:いずれの遺伝子型も、Moneymakerと類似の発病率を示したが、病変増殖速度はMoneymakerより遅かった。
ほとんどの遺伝子型における、24時間(48〜72 hpiのあいだ)にわたる病変増殖速度は、Moneymakerと同じ範囲内であった。5種のアクセッション(91/4311、160/79、Gl.1556、Gl.1601およびLYC 4/78)は、より遅い病変増殖速度を示したが、これはS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerと統計学的に有意差を示した。
茎分節の感染アッセイは、異なる季節に行われた実験間の再現性に関して、葉のアッセイより強いように思われた。茎分節によるデータポイント数(分節5〜8個/植物)は、葉のアッセイのデータポイント数(接種物小滴40個/複合葉、植物あたり葉1または2枚を試験することができる)よりかなり少ないが、実験間の変動は一般的に茎分節アッセイではより低かった。対照遺伝子型S. リコペルシカム栽培品種Moneymakerに関する茎アッセイにおける発病率は、52〜95%の範囲であった。17の遺伝子型における発病率を、同じ実験/週において決定した対照系統S. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの発病率と比較した。ほとんどの遺伝子型は、対照系統Moneymakerと類似の範囲の発病率を示した。遺伝子型G1.1556(29%および41%)およびG1.1560(28%および7%)は、発病率の低減を示した。G1.1560のみが対照に対して統計学的有意差を示した(p<0.05)。
対照遺伝子型S. リコペルシカム栽培品種Moneymakerに関する茎アッセイにおける病変増殖速度は、5.4〜9.2 mm/日の範囲であった。多くの遺伝子型の病変増殖速度は、対照と類似の範囲内であった。しかし、アクセッション89/3793、G1.1601、LYC 4/78、T566-81では、病変増殖速度は対照栽培品種Moneymakerと統計学的に有意差を示した(p<0.01)。
茎分節アッセイにおいて部分的耐性であると採点されたいくつかの遺伝子型において、温室においてRockwool(登録商標)において生長させた植物全体に関して量的アッセイを行った。目的は、実験室条件で茎分節において実際に耐性であるように思われた遺伝子型が、半商業的作物生産系において対照系統より耐性であるか否かを評価することであった。植物をRockwool(登録商標)の列において無作為に生長させて、温室の区画を胞子形成時のB. シネレアによって強く感染した柑橘系果実で満たした。床に1日2回水道水を噴霧して、ドアおよび窓を閉めたままにすることによって、温室の区画を高湿度に維持した。定期的に全ての植物に関して枝を払ったあとの傷をつけて、灰色カビの発生を経時的にモニターした。
双方のパラメータの重度の低減を示すいくつかの野生型トマトアクセッションが同定され、このようにS. リコペルシカムに対して部分的耐性に関する可能性がある独立した二つのメカニズムを遺伝子移入するための可能性がある起源が提供された。
実施例3. 種間特異的トマト集団(S. リコペルシカム栽培品種Moneymaker×S. ハブロカイテスアクセッションLYC 4/78)におけるボトリチス・シネレアに対する部分的耐性のマッピング
本実施例において、S. ハブロカイテスLYC 4/78を起源とするB. シネレアに対して部分的耐性を付与する二つのQTL遺伝子座を示す。結果の確認は、二つのQTL遺伝子座の一つに関してそれぞれ分離する二つのBC2S1集団においてB. シネレアに対する耐性レベルを評価することによって得た。
3.1. 植物材料
ソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78(以降、LYC 4/78と呼ぶ)の種子は、Plant Genetics and Crop Plant Research, Gatersleben, Germanyに存在する遺伝子バンクから得た。
ソラナム・リコペルシカム栽培品種Moneymaker(以降Moneymakerと呼ぶ)は、De Ruiter Seeds R&D BV, Bergschenhoek, The Netherlandsの種子バンクから得た。
MoneymakerとLYC 4/78との種間交雑を行って、F1種子を得た。F1種子をF1植物に生長させた。一つのF1植物の自家受粉に由来するF2種子を播いて、174個体のF2集団を得た。反復および雌性親としてMoneymakerとの2ラウンドの戻し交雑によってBC2(戻し交雑2)集団59個体を作製した。MASを用いて、同定された二つのQTLの一つを含むBC2、BC3、およびBC4遺伝子型を選択して、いくつかのBC2を自家受粉させてBC2S1種子を産生した(図2を参照されたい)。二つのBC2S1集団を生長させた:発病率に関するQTLに関して分離したBC2S1の60個体中1個体、および病変の増殖に関するQTLに関して分離したBC2S1の47個体中1個体。
3.2. 茎のアッセイ
B. シネレア株B05.10からの接種物をBenito(1998)に従って調製した。茎のアッセイを実施例1に記述するように実施した。
3.3. DNA単離およびマーカーの分析
ゲノムDNAを、1 ml micronicチューブ(Micronic BV, Lelystad, The Netherlands)を用いてハイスループットDNA単離に適合させた、Steward and Via(1993)による臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)に基づくプロトコールを用いて、若い葉(巻いた)2枚から単離して、Retsch 300 mmシェーカー(Retsch BV, Ochten, The Netherlands)を最高速度で用いてすりつぶした。F2、BC2、BC3、BC4、およびBC2S1集団のAFLP分析(Vos et al., 1995)を行って、本質的にMyburg(Myburg et al., 2001)によって公表された方法に従って、AFLP断片をLI-COR 4200 DNAシークエンサーにおいて分解した。選択的PstプライマーをIRD 700またはIRD 800蛍光標識によって標識した。AFLPゲル画像を、AFLP-Quantar Proソフトウェアパッケージ(Keygene BV, Wageningen, The Netherlands)を用いて採点した。Bai et al. (2003)によって記述されるように、以下の10個のプライマーの組み合わせおよびアダプター配列を遺伝子タイピングのために用いた:P14M48、P14M49、P14M50、P14M60、P14M61、P15M48、P18M50、P18M51、P22M50およびP22M51。
3.4. F 2 集団の表現型分析
異なるボトリチスアッセイ間の発病率の変動が観察された(実施例1、前記を参照されたい)。したがって、7回の独立した連続的な茎の病気のアッセイを、Moneymaker×LYC 4/78との交雑に由来するF2集団の174個体中172個体に関して行った。これによって、ほぼそれぞれのF2遺伝子型に関する病気のバイオアッセイの少なくとも5個の独立した評価が得られた。それぞれの個々の病気のアッセイにおいて、茎分節6個が病変増殖の計算に貢献した。F2集団の発病率および病変増殖の平均値は、正規分布を示した(データは示していない)。Moneymakerに関する平均発病率は59%であり、病変増殖は9.2 mm/日であった。F2集団における平均発病率は10%〜97%の範囲であり、集団の平均値は48%であった。病変の増殖は、3.3 mm〜11.5 mm/日の範囲にわたり、平均値は7.8 mm/日であった。
それぞれの個々の実験の平均発病率は31%〜73%であったが、平均病変増殖は6.2〜7.9 mm/日の範囲であった(データは示さず)。病変増殖は、茎小片6個中1個において少なくとも感染が存在する場合に限って計算することができる。その結果、発病率が高くなれば、病変増殖に関して有益である遺伝子型の数の増加を観察することができた。例えば、低い平均発病率(31%)の場合、遺伝子型の52%のみが病変の増殖に関して有益であった。
3.5. 分子マーカー&遺伝連鎖マップ
Moneymaker×LYC 4/78の交雑に由来するF2集団(n=174)に関して遺伝連鎖マップを計算した。10個のプライマーの組み合わせを用いて、F2集団(n=174)において増幅断片長多型(AFLP)マーカー218個を得た。全体でマーカー69個(31.7%)を容易に相互優性であると採点することができ、このように統合されたF2遺伝連鎖マップの計算が可能となった。BC2、BC3、およびBC2S1遺伝子型に関して行ったマーカー分析により、さらに145個のAFLPマーカーの付加が可能となった。これらの145個のさらなるAFLPマーカーのうち合計102個は、これまでF2ゲルの複雑さのために採点されなかった。全体的な遺伝連鎖マップは連鎖群14個のAFLPマーカー315個からなり、全長958 cMを有する。種における同時移動AFLPマーカーは、一般的に対立遺伝子特異的であることから、他のAFLP連鎖マップとの共直線性を用いて連鎖群を染色体に割り当てた。いくつかのMoneymaker特異的AFLPマーカーは、公表された(Haanstra et al. 1999;Bai et al. 2003)遺伝連鎖マップと共通であり、したがっていくつかの連鎖群を、同定されたQTLを有する連鎖群を含む染色体に割り当てることができた。QTLインターバルにおける連鎖マップを改善するために、公表されたS. リコペルシカム×L. ペンネリイマップ(Tanksley et al. 1992;Haanstra et al. 1999)に基づいて診断的CAPSマーカーをこれらの領域に加えた。
3.6. 連鎖分析およびQTLマッピング
マーカーデータを分析して、遺伝連鎖マップを項3.5に記載されるように計算した。
F2連鎖マップの全長は958 cMであり、これは遺伝子の長さが1200〜1400 cMの範囲である他の公表された種間リコペルシコンマップより短い(Foolad et al. 2002;Haanstra et al.1999;Tanksley et al. 1992)。戻し交雑およびBC2S1集団から得られたAFLPマーカーデータを用いてさらなるAFLPマーカーを採点した。46%より多いマーカーが連鎖マップ上に配置されたが、遺伝連鎖マップの長さは増加しなかった。この理由は、用いたデータがいくつかの小さいサブファミリーから得られ、このように遺伝距離の計算にとって有益ではないためであるが、位置の推定は、グラフによる遺伝子型の肉眼的検分によって可能である(Van Berloo, 1999)。
3.7. F 2 集団におけるQTLマッピング
表現型およびマーカーデータを、インターバルマッピング(IM、項3.5を参照されたい)によるQTLの同定のために用いた。IMを、個々の複製物から得られたデータおよび複製物の平均値の双方に適用した。
発病率
平均発病率が50%未満である個々の病気の試験に関して、および全ての病気の試験から得られた平均値データに関して、F2集団における発病率に関するインターバルマッピングを行った。全ての試験の平均値データは、インターバルマッピング技法において、発病率に関して単一の有意なQTL(尤度比(LOD)スコアは、ゲノム全体の信頼レベルp<0.05に関して3.4より高くなければならない)を与えた。このQTLは、LODスコア4.5を有し、全ての表現型変動の13%を説明した。耐性に関与する対立遺伝子は、耐性の親LYC 4/78を起源とした。それぞれの個々の実験におけるQTLマッピングは、四つ全ての場合において同じQTL領域を与えた。それぞれの独立した実験において、時に他の「軽微なQTL」が観察された。
病変の増殖
病変の増殖は、高い発病率を有する病気の試験において最善に測定することができる。QTLマッピングに関して、7個全ての病気の試験の平均値を用いて、B. シネレアの病変の増殖に関して閾値より高いQTL 1個を同定した(ゲノム全体の信頼レベルP<0.05に関してLOD 3.4)。このQTLは、LODスコア4.2を有し、全表現型変動の12%を説明した。正の効果は、耐性の親LYC 4/78を起源とした。1回のみの反復において、閾値を超えてLODプロフィールが見いだされたことから、多数の病気の試験を行う必要性が明らかにされる。
病変増殖に関するQTLは第1染色体(QTL-1h)上に見いだされ、発病率に関するQTLは第2染色体(QTL-2h)上に見いだされた。これらのQTL、およびQTL4hAと呼ばれるQTLは、同時係属中の出願PCT/NL2005/000762の主題である。
3.8. バイオアッセイにおけるQTLの確認
Moneymaker×LYC 4/78との交雑のF1植物をMoneymakerと2回戻し交雑して、AFLPマーカーを用いて、後代植物59個体を同定された二つのQTL領域(QTL-1hおよびQTL-2h)の存在に関してスクリーニングした。同定された二つのQTLの一つに関してヘテロ接合である植物を選択して、自家受粉させて、二つのBC2S1集団を得た。全体で4個の病気のバイオアッセイを、それぞれのBC2S1遺伝子型に関して行った。SPSSによって分析した双方のBC2S1亜集団のデータは、病変増殖に関して正規分布を示したが、いくつかのサブクラスとしての発病率に関しては観察されなかった。
BC2S1植物を全て、先の3.3章におけるF2集団に関して記述したように、同じ10個のプライマーの組み合わせによってAFLP遺伝子タイピングした。病変増殖遺伝子座に関して分離する集団における平均病変増殖は、5.3 mm/日であったのに対し、他の集団では平均病変増殖6.3 mm/日が観察された。一つの植物が耐性の親LYC 4/78と同じほど低い病変の増殖を有したわけではなかった。しかし、発病率に関して、より低い発病率を有する植物の次に、耐性の親LYC 4/78が観察された。双方のBC2S1集団に関する平均発病率は等しかった(57〜59%)。
それぞれのQTLの正の効果をBC2S1集団において確認した。発病率に関するQTLは、感染の機会を17%減少させ(親の変動の46%)、病変増殖に関するQTLは真菌の増殖を1.3 mm/日に低減させた(親の変動の33%)。
双方のQTLの効果によって説明することができたのは、変動のごく一部であった。いくつかのさらなる「軽微な」QTL遺伝子座が同定された。
F2およびBC2S1遺伝子型の双方から得られた病気の試験に関するデータの分析の際に、発病率に関する一つの主要なQTLが同定された(QTL-2h)。このQTLの他に、他の「推定の」発病率に関するQTL遺伝子座が同定された。この情報を用いて、F2データセットにおいて、限定された「多数のQTLマッピング」(MQM)技法を行うために共因子を選択した。この分析において、発病率に関して一つのさらなる「軽微なQTL遺伝子座」が同定された(QTL-4hA)。QTLは、そのスコアがLOD 3.4の有意性閾値より低い場合に「軽微」と命名される。しかし、効果は真のQTL効果であると考えられる。
QTL-4hAは、第4染色体上に存在して、発病率を低減させる。
3.9. 病気のアッセイおよびQTLマッピングの結論
B. シネレアに対する耐性を測定するためのバイオアッセイは、貴重なツールであることが証明された。しかし、なお大きい未知の変動が感染プロセスの発生に影響を及ぼすように思われる。この大きい非遺伝的変動は、標準化された技法を用いることによって、および多くの独立した複製を行うことによって最小限にすることができる。変動は、茎の生理的条件における差を引き起こす、週によって変化する温室条件(昼間の長さ、太陽光の時間および温度)によって引き起こされうる。同様に、真菌接種物の調製における小さい変動も感染プロセスの変動において役割を有する可能性がある。もう一つの知見は、茎小片が置かれるトレイにおける微小気候によって発病が影響されうる点である。異なる実験トレイ10個をBC2S1バイオアッセイのために用いた。統計分析を用いて、実験間および実験内の変動を補正した。最高の平均発病率を有する実験は、病変増殖を測定するために最も有益であったが、より中程度の発病率を有する実験はより有益であった。二つの形質のあいだに比例的相関が観察されなかったことから、発病率および病変増殖は独立した形質である。
トマトにおけるB. シネレアに対する耐性に関する量的形質遺伝子座が、F2において同定された。これらの同定されたQTLは、BC2S1集団において確認され、発病率および病変の増殖に関してそれぞれ、親の変動の46%および33%を説明した。これらの結果は、B. シネレアに対して耐性を付与する必ずしも全てのQTLが当初のF2マッピング集団において検出されたわけではないことを示唆している。双方のBC2S1集団において、植物は、耐性の親LYC 4/78より高レベルの耐性を有することが見いだされた。このことは、BC2S1集団において分離するさらなる耐性遺伝子座の存在を示している。さらなる耐性の分離は、二つのBC2S1集団のゲノムの既に大きい部分がホモ接合Moneymakerであったと予想されていた可能性があることから、意外であった。
3.10. 温室条件における個々のQTLの効果の確認
先に記述されたQTLのいずれかを含む植物を、図2において記述される方法を用いて、S. リコペルシカムバックグラウンドに置いた。BC2S2系統を温室において土に入れて、オランダにおいて標準的な実践条件で生長させた。3ヶ月後、ボトリチスを含む寒天ディスクを主茎の創傷に載せることによって植物に接種した。創傷をその後Parafilm(登録商標)を用いて閉じた。接種3週間後、茎の病変の長さ(cm)を測定した(より詳しくは下記を参照されたい)。結果を表7に記載する。明らかに、病変増殖に関するQTLを含む系統は病変の大きさの極端な低減を示す。
(表7)接種後3週間目のS. ハブロカイテスアクセッションLYC 4/78およびS. ハブロカイテスLA 1777の成体植物におけるボトリチス・シネレア病変の平均茎病変長
Figure 0005858596
***) a、b、c、およびdは、それぞれの繰り返しが植物5個体を表す繰り返しであり;eおよびfは、それぞれの繰り返しが植物3個体を表す繰り返しであり;GTはTMV耐性を有するMoneybergであり;Durinthaは、栽培者によれば部分的耐性を有するハイブリッドであり;Tradiroは、栽培者によればボトリチスに対して感受性のあるハイブリッドであり;BChirsは、S. ハブロカイテスLYC 4/78遺伝子移入に起因する戻し交配系統を示し;LA 1777は、野生種アクセッションS. ハブロカイテスLA 1777であり;BC chrs 10は、S. ハブロカイテスLA 1777からの第10染色体で遺伝子移入を有する戻し交配系統を示し;parvはS. ネオリキイ(S. neorickii)遺伝子移入に起因する系統を示す。
3.11. S. ハブロカイテスLYC 4/78 QTLによって付与されたボトリチス耐性のレベルは、第10染色体においてS. ハブロカイテスLA 1777 QTLによって付与された耐性レベルより高い。
本明細書に記載のS. ハブロカイテスLYC 4/78 QTLを含有する植物における耐性レベルを、第10染色体上で部分的ボトリチス耐性に関するQTLを含有するWO02/085105の起源であるS. ハブロカイテスLA 1777の耐性レベル、およびそれに由来する、第10染色体で遺伝子移入を有する遺伝子移入系統の耐性レベルと比較した。
系統を温室内の土壌に入れてオランダの標準的な栽培実施条件で生育させた。3ヶ月後、主茎における長さ2 cmの垂直方向の茎の傷内に、ボトリチスを含有する0.5 cm×0.5 cmの寒天ディスクを留置することによって、植物を接種した。次にParafilm(登録商標)を用いて傷を閉じた。接種後3週目に、茎の病変の長さ(真菌の増殖によって斑点状となった脱色組織の長さ)を病変の上部から病変の底部まで測定した(cm)。結果を表7に記載する。S. ハブロカイテスLYC 4/78からのQTLを含有する系統は、ボトリチスに対してLA1777起源およびIL系統よりも高いレベルの耐性を示すことが認められた。前者の系統は、茎においてより遅い病変増殖を示し、したがって、LA1777に由来する系統より高レベルのボトリチス耐性を示す(表7を参照されたい)。病変の長さが2.0 cmと記録されている場合には、元の傷しか測定できず、かつ真菌増殖が観察されず、このことは高レベルの耐性を示している。このように、茎病変の長さ2 cmとは、正味の増殖ゼロを示している。
実施例4. 種間トマト集団(S. リコペルシカム栽培品種Moneymaker×S. ハブロカイテスアクセッションLYC 4/78)におけるボトリチス・シネレアに対する部分的耐性のマッピング
緒言
適当な遺伝的構成を有する候補親植物の選択を伴うより有効な育種プロセスを作製するために、候補親植物の少なくとも一つにおける遺伝的構成の存在を示す一つまたは複数の遺伝子マーカーを自由に使えることが必要である。選択された植物の交配を含む、マーカー補助選択(MAS)と呼ばれるこのプロセスにより、都合のよい親対立遺伝子がドナー集団からレシピエント集団へと効率よく移入され、かつまた、交配がもはや偶然の一致に依存せず、開発コストに関して費用的にずっとより効果的であることが確実となる。
B. シネレアに対する耐性は、野生型アクセッションのソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78(Urbasch, 1986;実施例1)において同定された。この耐性の背後にある遺伝学を調べるために、S. リコペルシカム栽培品種MoneymakerとS. ハブロカイテスLYC 4/78との交配のF2マッピング(n=174)集団を作製した(実施例3を参照されたい)。当初、B. シネレアに対する耐性に関する二つのQTLがF2マッピング試験において同定された(先に記載されたQTL-1hおよびQTL-2h)。後に、分離BC2S1子孫において3番目のQTL(QTL-4hA)が検出されたが、このQTLは、QTL-2hの非存在下のみでしかその効果が検出されなかった。二元配置ANOVA分析を用いて、双方のQTL間の有意な上位交互作用がF2データセットにおいて同定された。いくつかの遺伝子型クラスが低頻度で現れ、したがってQTL交互作用を検出するためには大きなF2集団が必要である(Tanksley 1993)。本発明者らのF2集団において、植物3個体がQTL-1hおよびQTL-2hに関するホモ接合S. リコペルシカムであり、植物12個体が双方に関するホモ接合S. ハブロカイテスであった。二元配置ANOVAを用いて、両遺伝子座のあいだに有意な交互作用が検出された。その後、各クラスの知見の平均値の分析により、QTL2がホモ接合S. ハブロカイテスである場合、QTL-4hAのさらなる効果は存在しないことが示された。
種間分離F2集団におけるQTL-マッピングの一つの短所は、少ない影響でQTLを容易に模倣する表現型の変動が広いことである。もう一つの短所は、それぞれのF2植物が独自の遺伝子型であることから反復試験を行うことができない点である。代替的に、一連の遺伝子移入系統(IL)からなる遺伝子ライブラリをマッピング目的のために用いることができる。理想的にはそれぞれのILは、それ以外の点では均一な遺伝的バックグラウンドでドナー種を起源とする、単一の定義された染色体セグメントを保有する(Zamir 2001)。そのような系統では、以下の理由から、QTLの同定能が増加している:(I) 系統と対照栽培品種とのあいだの表現型の変動が、遺伝子移入されたセグメントに関連する;(II) それぞれの系統が、反復された栽培親のゲノムの95%より多くを主に含有し、かつ、軽微な量的効果は反復親との比較によって容易に同定可能である;(III) 野生型ゲノムの他の領域によって引き起こされた上位効果が存在しない。非連鎖の負の上位交互作用によって、このように新規QTLが同定される可能性がある(Eshed et al. 1995);(IV) それぞれの系統はホモ接合性かつ不死であり、したがって、多数の試験を行うことができる(多数の環境において);および(V) それぞれの系統の遺伝的構成が栽培品種とほぼ同一であるという事実により不稔性の問題がほとんど存在しない。
最初に作製されたIL集団は既に1965年までさかのぼるが(Wehrhahn et al)、IL集団の大部分は過去十年のあいだに作製された。トマトのほかに、IL集団はオオムギ(von Korff et al. 2004)、キャベツ(Ramsay et al. 1996)、レタス(Jeuken et al. 2004)、メロン(Eduardo et al. 2005)、コメ(Lin et al. 1998)、およびコムギ(Pestsova et al. 2001)に関して作製されている。これらのIL集団は全て、マーカー補助選択(MAS)を用いて作製されたが、IL集団を得るための異なる数の戻し交配世代および同系交配世代によって示される、異なる戦略を用いた。戦略の第二の違いは、IL集団を作製するためにどのマーカーシステム(すなわち、どのタイプのマーカー)を用いたかの選択である。先に言及した集団のうち四つは、SSRマーカーを用いて作製された。
ソラナムにおいて、ILはソラナム・ペンネリイLA716(Eshed et al. 1994)、S. ハブロカイテスLA1777(Monforte et al. 2000a)、およびソラナム・リコペルシコイデスLA2951(Canady et al. 2005)に関して作製されている。そのような集団は、量的形質の同定において(Eshed et al. 1995;Rousseaux et al. 2005)、QTLの精密なマッピングにおいて(Fridman et al. 2004;Monforte et al. 2001;Monforte et al. 2000b)、およびQTLクローニングにおいて(Frary et al. 2000;Fridman et al. 2000;Ku et al. 2001)極めて有用であることが示されている。
現在、一つのS. ハブロカイテスLA 1777 IL集団が、有限生育S. リコペルシカムE6203(Monforte et al. 2000a)に存在する。
本実施例において、本発明者らは、現在無限生育中の栽培トマトS. リコペルシカム栽培品種MoneymakerのバックグラウンドにおけるS. ハブロカイテスLYC 4/78からの遺伝子移入に基づくS. ハブロカイテスの第二のIL集団の作製、およびB. シネレアに対する耐性に関するQTLの同定における系統の使用を記載する。
材料および方法
植物材料およびILの作製
S. リコペルシカム栽培品種Moneymaker(以降SLと呼ぶ)とS. ハブロカイテスLYC 4/78(以降SHと呼ぶ;1978年の種子のバッチ)のあいだの種間交配を行ってF1種子を産生した。SHの種子は、 Institute for Plant Genetics and Crop plant research, Gatersleben, Germanyにある遺伝子バンクから得た。一つのF1植物を自家受粉させてF2種子を得て、SLに戻し交配してBC1種子を得た。遺伝子連鎖マップの構築のためにF2種子を最初に用いた。ILを作製するためにBC1種子を用いた(図6)。
マーカー分析
1 mlマイクロチューブ(Micronic BV, Lelystad, The Netherlands)を用いるハイスループットDNA単離のために適合させたSteward et al.(1993)によるCTABに基づくプロトコールを用いて、Retsch 300 mmシェーカー(Retsch BV, Ochten, The Netherlands)を最高速度で用いてすりつぶした2枚の若い葉(巻いた葉)から、ゲノムDNAを単離した。
それぞれの戻し交配およびILのAFLP(商標)分析(Vos et al. 1995)を行い、Myburg(2001)によって公表された方法に本質的に従って、AFLP断片をLI-COR 4200 DNAシークエンサーにおいて分離した。選択的PstプライマーをIRD700またはIRD800蛍光標識によって標識した。AFLPゲルの画像をAFLP-Quantar(商標)Proソフトウェアパッケージ(http://www.keygene-products.com)を用いて採点した。プライマーおよびアダプター配列は、Bai et al(2003)によって記載される。
CAPSプライマーの組は、「ナス科ゲノムウェブサイト(Solanaceae Genomics Website)」(http://sgn.cornell.edu)から得たか、または同じ供給源から入手可能なゲノムもしくはcDNAクローンの配列に基づいて設計した。S. ハブロカイテスとS. リコペルシカムのあいだの多型は、Brugmans et al(2003)によって記載されるCAPS消化アプローチを用いて決定した。遺伝子型を決定するために用いたマーカー配列、PCR条件、および特異的制限エンドヌクレアーゼを表30に表す。PCR産物は一般的に2.5%アガロースゲルを用いて分離した。表31において、関心対象のQTLにおいて見いだされた表30のマーカーのそれぞれに関して、S. リコペルシカムとS. ハブロカイテスとを識別する異なる消化産物が示されている。
遺伝子型図
それぞれの戻し交配およびILに関する遺伝子型図を、ソフトウェアプログラムGGT(van Berloo, 1999)を用いて得た。遺伝子移入サイズおよびゲノムパーセンテージの計算に関して、マーカー遺伝子座に隣接する半分の間隔は、GGTソフトウェアによって実行されるのと同じ遺伝子移入のものであると推定された。欠如マーカーデータは、隣接するマーカーから推定した;これらは、同一の遺伝子型を有する場合、二つの隣接するマーカーの同じ遺伝子型を有すると仮定された。二つの隣接するマーカーが対照的な遺伝子型を有した場合、データは欠如と記録された。
病気の評価
耐性を査定するために、不完全な無作為化ブロック16個を、各ILに関して計11の複製物について用いた。それぞれのブロックはSE植物少なくとも2個体とS. リコペルシカム栽培品種Durinta植物1個体を含んだ。Durintaは、保存寿命が長く、(高くはないが)一定レベルの耐性を示す房トマトを産生する、商業栽培品種である。播種後6週間で、植物を完全な土壌区画に移植して、夜間15℃/昼間19℃および照明期間16時間のレジメで生育させた。11週間後、キッチンナイフを用いておよそ15 mmの二つの病変をそれぞれの植物の茎に作製した。それぞれの傷にB. シネレアB05.10を含有する1 cm2の栓状寒天を接種して(Benito et al (1998))、テープで閉じた。2回目の接種は2週間後に行った。試験のあいだ、夜間の湿潤気候を維持するために、夕方の始めに植物に水をやった。病気の進行を接種後9、12、および22日目にカリパスを用いて測定した。病気の進行は以下のパラメータに従って記載した:12日後の補正病変サイズ(LS)(すなわち、病変の全長-傷15 mm)、派生病変の割合(DI)、ならびに9日目および12日目に測定した補正病変サイズの差として表記する、病変増殖速度(mm/日)。
統計分析
統計分析は、SPSS 12.0ソフトウェアパッケージ(SPSS Inc, Chicago, U.S.A.)を用いて行った。一般的な線形モデル(GLM)技法を用いて、それぞれのIL/形質に関する平均値を推定した。測定された形質の平均値を、Dunnett検定(Dunnett、1955)を用いて対照の遺伝子型SLと比較して、0.05未満の確率は有意であると見なされた。LGおよびLSを分析するために平方根変換を適用し、双方の形質に関するデータを標準化した。形質間の相関は、Pearson相関係数を用いて計算した。
結果
IL集団
S. リコペルシカム栽培品種Moneymaker(SL)の遺伝的バックグラウンドにおけるS. ハブロカイテスLYC 4/78(SH)の遺伝子移入系統(IL)集団を作製した。SLとSHの交配に由来するF1植物1個体をSLに戻し交配した(図6)。次に、無作為な組のBC1植物14個体をSLと戻し交配してBC2子孫(n=59)を得た。全BC2植物の遺伝子型決定を行い、選択された組をSLと戻し交配した。この組を、遺伝子移入の組み合わせにより、できるだけ多くのSHゲノムがカバーされるような様式で選択し、一方で、それぞれの異質の染色体が三つのILによって表されるような様式で組み換え体を選択した。選択および戻し交配のこのプロセスをBC5まで繰り返した。主に一つまたは二つの遺伝子移入を含有する選択された31個体のBC5植物を自家受粉させた。31個のBC5S1ファミリーそれぞれの植物最大12個体を自家受粉させてAFLPマーカーによってスクリーニングし、遺伝子移入に関してホモ接合性であるBC5S2子孫(n=44)を得た。IL 44個のマーカーをもう一度スクリーニングし、IL 30個の中心となる組(core set)を選択した。この中心となる組は、できるだけ少ないILにおいて最大範囲のSHゲノムを含むことを表す(図7)。中心となる組は、一つの遺伝子移入を保有するIL 15個、二つの遺伝子移入を含むIL 10個、三つの遺伝子移入を含むIL 4個からなるが、一つのILは四つのホモ接合遺伝子移入をさらに含有した。平均で、それぞれのILはSHゲノム60 cM(=5.2%)を含み、遺伝子移入の長さは20(1.7%)から122 cM(10.6%)まで変化した。本発明者らのIL集団は、元のF2連鎖マップの長さの95%をカバーする。しかし本発明者らは、このF2連鎖マップがゲノムを完全にカバーするものではないことを認識している。これは、第3染色体(短腕の上部)、第4染色体(短腕の上部)、第5染色体(長腕)、および第9染色体(短腕の上部)に関するさらなるCAPS分析によって図示され、ここで、CAPSマーカーは遺伝子移入を明らかにしたがAFLPに基づくF2連鎖マップにおけるマーカーは存在しなかった(Tanksley et al. 1992;http://www.sgn.cornell.edu)。これまでのスクリーニングは、第3染色体の上部に関して適用されなかったことから、この領域に関するILはヘテロ接合性である。IL 5-1および5-2に関してホモ接合SHであると選択された植物は種子を作ることができず、したがってこれらの系統はそのヘテロ接合状態で維持された。第8染色体の短腕の上部および第2染色体の長腕の下部を含有するILは存在しなかった。第7染色体および第9染色体の短腕の上部での遺伝子移入は、多数のILに存在する。第9染色体の上部に関する選択は、この領域に対して特異的なCAPSマーカーが開発された後に限って可能であった。
疾患の評価
30 ILの集団を、不完全な無作為化ブロック設計において11個の複製物として生育させ、接種し、病気の症状に関して評価した。一組の相当な耐性および感受性を有する対照を試験に含めた。接種後9、12、および22日目に、疾患の進行を測定して、以下の三つのパラメータを採点することによって評価した:外部増殖感染の機会、または発病率(DI)、補正された外部増殖病変サイズ(LS)、および病変増殖速度(LG)。耐性親SHはいかなる症状もほとんど示さなかったが(表8、表9)、SL病変の73%は外部増殖していた。
(表8)最も耐性の高いILおよび対照系統のLS、LG、およびDIに関する平均表現型観察。Dunnett検定を用いて、形質毎のそれぞれのILの平均値(表9)をS. リコペルシカム栽培品種Moneymaker(SL)の平均値と比較し、有意差を*または**(それぞれ、p<0.05、p<0.01)と印す。
Figure 0005858596
a 測定可能な病変の初回観察は12日後であった。b 測定せず。
(表9)LS、LG、およびDIに関する表現型知見の推定平均値。表をDIに関して分類する。Dunnett検定を用いて、形質毎のそれぞれのILの平均値をS. リコペルシカム栽培品種Moneymaker(SL)の平均値と比較し、有意差を*または**(それぞれ、p<0.05、p<0.01)と印す。
Figure 0005858596
IL集団において、病気の症状が低減されたIL 14個が同定された(表9)。計12個のILが有意に低いDIを示した。7個は有意に低いLSを有し、5個は有意に低いLGを有した。IL 4-1およびIL 1-3/3-3は、三つ全てのパラメータ(DI、LG、およびLS)の有意な低減を示した。DIに関して有意に低いILにおいて、外部増殖病変のパーセンテージの範囲は、24〜49%であった。LSおよびLGは、有意に偏差するILに関してそれぞれ21〜34 mmおよび1.7〜3.0 mm/日のあいだで変化した。一定レベルの耐性を有する対照S. リコペルシカム栽培品種Durintaも同様に、三つ全てのパラメータが有意に低く、同定された7個のILのそれぞれにおける耐性は、このレベルとほぼ同等であった。これまでの実験において、非常に耐性の高いBC2S2遺伝子型が選択された(DRS 5、表8および9を参照されたい)。この系統は、SHゲノムの計18%に相当する三つのホモ接合遺伝子移入を含有する(図7)。この系統は、先に記載した試験において最も耐性の高い系統であった。これは、有意に低いDI(15%)を有し、LSも同様に有意に低かった。S. リコペルシカム栽培品種Durintaと比較すると、この系統の2.8倍低いDIは有意に低く、このことはB. シネレアに対する耐性を付与する多数の対立遺伝子が徐々に増加する可能性を示している。
遺伝子移入積み重ねの効果
個々のIL系統に存在する様々な遺伝子移入を分析して(図7)、表9に示されるようにそれらを耐性に対するその個々の効果と比較する場合、積み重ねの効果が推測されうる。9-1、9-2、11-2、および12-3系統において見いだされうるように、遺伝子移入の積み重ねは効果を有する可能性がある。
これはたとえば、IL 6-3系統における同一の遺伝子移入が耐性を提供しないことから、9-2系統における第6染色体での遺伝子移入が効果を有さないと結論づけられる。
同様に、11-2系統における第7染色体での遺伝子移入は効果を有さない(7-1および8-2系統と比較して)。
11-2に存在する二つの耐性パターン(DIおよびLS)は、第11染色体の遺伝子移入のみの結果ではない。この系統における病変サイズ(LS)の低減は、第9染色体からの遺伝子移入が原因となりうるが(9-1における類似の遺伝子移入と比較して)、一方、発病率の低減は、9-1単独の遺伝子移入と関連して全く見いだされない。したがって、発病率の低減は、第11染色体からの遺伝子移入によるものに相違ない。このように、11-2系統における全体的な耐性は、様々な遺伝子移入の結果である。
同様に、9-1系統と比較して低い、12-3系統における%外部増殖病変は、第12染色体での遺伝子移入によるものでありうるが、低減された補正病変サイズは、第9染色体からの遺伝子移入によるものでありうる。したがって、同様にここで、多数の遺伝子移入の存在の組合せによって、耐性の改善がもたらされる。
ILと病気データとの連鎖
温室でのバイオアッセイを用いて、本発明者らは、B. シネレアに対する耐性の増加の原因となる遺伝子移入を含有する一連のILを同定した。第2、4、および6染色体に存在する三つの領域は、耐性の増加に関する遺伝子を明白に含有する。他のILは多数の遺伝子移入を含有し、これによって、耐性遺伝子の目標を正確に定めることがより難しくなる。IL 9-2は第6および9染色体上で遺伝子移入を含有する。IL9-2における第6染色体での遺伝子移入は、SLと同等に感受性のあるILであるIL 6-3における第6染色体の遺伝子移入と類似している。したがって本発明者らは、IL 9-2の効果が、第6染色体ではなく第9染色体上での遺伝子移入によって引き起こされると予想する。IL 11-2は、IL 9-1に存在するよりも小さな第9染色体遺伝子移入を含有する。したがって、DI低下は、第11染色体上の遺伝子座によって引き起こされると予想される。二つのIL 1-4および12-3は、IL 9-2の第9染色体遺伝子移入と重複する遺伝子移入を含有する。IL 12-3のみがIL 9-2よりも有意に高い耐性を持つことは、第9染色体および第12染色体上での遺伝子移入の複合効果を示唆している。IL 1-4および11-2はIL 9-2よりも有意に高い耐性を持たないことから、本発明者らは、これらの二つの系統における耐性が第9染色体の遺伝子移入の結果である可能性を除外できない。
要約:本発明者らは、B. シネレアに対する耐性の増加の原因となる第1、2、4(2×)、6、9、11および12染色体に存在する遺伝子移入を同定した。第2染色体および第4染色体の一つに対する効果は、この交配のF2およびBC2S1分離集団の分析の際に既に検出されている(実施例1〜3を参照されたい)。
同定された遺伝子座のF2における分離
QTLが最初に欠如していた理由についての考えられる解釈を見つけるために、遺伝子移入とB. シネレアに対する耐性の増加とのあいだに関連が認められる全ての領域に関して、元のF2データセットを確認した。マーカーデータおよびQTL分析からの結果の双方のひずみ度を確認した。第1染色体(1:6:6)、第2染色体(1:3:2)および第9染色体(1:6)上での遺伝子移入は、予想される1:2:1または1:3比から有意に逸脱していた。三つ全ての領域に関して、ホモ接合S. リコペルシカム対立遺伝子の欠如が観察される。インターバルマッピングおよびクラスカル・ウォリス技法を用いる単一マーカー分析の双方に関するQTL分析データを確認したが、第6、9、11、および12染色体上でF2集団のデータセットにおける有意なQTLの存在に関する証拠は見いだされなかった。
本明細書において用いられるマーカー配列
以下の表は、様々な連鎖マップにおいて示されかつ本発明のQTLとの関連に関して示される、様々なRFLPおよびCOS-IIマーカーに関する詳細な情報を提供する。情報は、Cornell UniversityをホストとするSOL Genomic Network(SGN)データベースの2005年10月7日バージョンから直接複写した。
(表10)
Figure 0005858596
(表11)
Figure 0005858596
(表12)
Figure 0005858596
(表13)
Figure 0005858596
(表14)
Figure 0005858596
(表15)
Figure 0005858596
(表16)
Figure 0005858596
(表17)
Figure 0005858596
(表18)
Figure 0005858596
(表19)
Figure 0005858596
(表20)
Figure 0005858596
(表21)
Figure 0005858596
(表22)
Figure 0005858596
(表23)
Figure 0005858596
(表24)
Figure 0005858596
(表25)
Figure 0005858596
(表26)
Figure 0005858596
(表27)
Figure 0005858596
(表28)
Figure 0005858596
(表29)
Figure 0005858596
(表30)CAPS/SCARマーカーに関する多型を明らかにする、プライマー配列、PCR産物の長さ、および酵素
Figure 0005858596
(表31)表記の酵素を用いて切断した場合の、表30の多型で見いだされる対立遺伝子のサイズ表
Figure 0005858596
* SL=ソラナム・リコペルシカム、SH=ソラナム・ハブロカイテス。ヘテロ接合植物において、SLおよびSHの双方の消化産物が見いだされる。表30および表31の双方において、観察されたPCR産物長はアガロースゲルバンドから推定する。
参考文献
Figure 0005858596
Figure 0005858596
Figure 0005858596
Figure 0005858596
Figure 0005858596
Figure 0005858596
Figure 0005858596
Figure 0005858596
第4染色体を表す連鎖マップ(QTLの推定位置を暗い部分として提供する)と共に、S. ハブロカイテスLYC 4/78を起源とするB. シネレアに対する耐性に関する量的形質遺伝子座(QTL)の位置を示す。マップの位置をcMで示す。データから、異なる二つのQTLが推定的に同定され、一つはマーカーTG62(実施例1を参照されたい)を中心とし、実施例4においてIL 4-1内で同定され、もう一つの異なるマーカーは、マーカーTG62を含まないがマーカーP14M49-283eの付近を中心とし、実施例4においてIL 4-3内で同定された。第4染色体において検出されたQTLは、病変増殖速度および発病率の双方を減少させる。AFLPマーカーに関するコードを表1により詳しく記載する。本発明を例示する図においてQTLに関連することが示されたマーカーは全て、個々におよび組み合わせて、その局面におけるマーカーとして用いてもよい。 第6染色体を表す連鎖マップ(QTLの推定位置を暗い部分として提供する)と共に、S. ハブロカイテスLYC 4/78を起源とするB. シネレアに対する耐性に関する量的形質遺伝子座(QTL)の位置を示す。第6染色体上のQTLは、病変増殖速度および発病率をいずれも減少させる。 第9染色体を表す連鎖マップ(QTLの推定位置を暗い部分として提供する)と共に、S. ハブロカイテスLYC 4/78を起源とするB. シネレアに対する耐性に関する量的形質遺伝子座(QTL)の位置を示す。第9染色体上のQTLは、病変増殖速度および発病率をいずれも減少させる。図面は、IL 11-2および12-3系統の第9染色体での遺伝子移入をさらに示す。 第11染色体を表す連鎖マップ(QTLの推定位置を暗い部分として提供する)と共に、S. ハブロカイテスLYC 4/78を起源とするB. シネレアに対する耐性に関する量的形質遺伝子座(QTL)の位置を示す。第11染色体上のQTLは、病変増殖速度および発病率をいずれも減少させる。連鎖マップは実施例4のIL 11-2系統を表す。 第12染色体を表す連鎖マップ(QTLの推定位置を暗い部分として提供する)と共に、S. ハブロカイテスLYC 4/78を起源とするB. シネレアに対する耐性に関する量的形質遺伝子座(QTL)の位置を示す。第12染色体上のQTLは、病変増殖速度および発病率をいずれも減少させる。 実施例4に記載のS. リコペルシカム栽培品種Moneymakerの遺伝的バックグラウンドにおいて遺伝子移入されたS. ハブロカイテスLYC 4/78 IL集団を得るために用いられる戻し交配および選択戦略を示す。 実施例4において用いた、S. リコペルシカム栽培品種Moneymaker×S. ハブロカイテスLYC 4/78遺伝子移入系統集団の遺伝子型図を示す。染色体は全て、F2遺伝子連鎖マップに従って20 cMセグメントのスケールで作図されている。いくつかの領域を第3、4、5および9染色体の末端に加えた(CAPSマーカー)。S. ハブロカイテスからのホモ接合遺伝子移入を黒色で表し、ヘテロ接合遺伝子移入を斜線パターン(灰色)を用いて印づけする。 第1、2、および4染色体を表す連鎖マップと共に、S. ハブロカイテスLYC 4/78を起源とするB. シネレア耐性に関する量的形質遺伝子座(QTL)の位置を示し、かつ、本出願において示されたQTLをQTL-1h、QTL-2h、およびQTL-4hAとして示す。

Claims (15)

  1. (a) ソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78系統のボトリチス耐性植物である、ボトリチス耐性ドナートマト植物を提供する段階;
    (b) ドナー植物からの核酸を一つまたは複数のボトリチス感受性レシピエントソラナム・リコペルシカムトマト植物に移入する段階であって、該移入によって、一つまたは複数のレシピエント植物の対応するゲノム領域にドナー植物からのゲノム物質が導入される、段階;
    (c) ボトリチス耐性ドナートマト植物に由来するボトリチス耐性に関する少なくとも一つのQTLをそのゲノム中に含む植物を、レシピエントトマト植物の中から選択する段階であって、該選択が、ボトリチス耐性に関する少なくとも一つのQTLに連鎖する遺伝子マーカーのセットを用いて、該QTLを該レシピエントトマト植物の第4、6、9、11、および/または12染色体上で検出することを含む、段階
    を含む、ボトリチス耐性トマト植物を産生する方法であって、
    - 該植物の第4染色体上のQTLは、第4染色体上の66.9〜125.3cM間に位置し、該QTLは、S. ハブロカイテスの第4染色体上またはS. リコペルシカムの第4染色体上の遺伝子マーカーCT50、C2At1g74970、P14M49-283e、P14M48-74e、P14M50-67e、CT173、およびP14M50-85hのセットによって検出され、
    - 該植物の第6染色体上のQTLは、第6染色体上の0.0〜37.6cM間に位置し、該QTLは、S. ハブロカイテスの第6染色体上またはS. リコペルシカムの第6染色体上の遺伝子マーカーP22M50-188h、P14M48-521e、P15M48-386h、P18M51-199h、P18M51-103h、P22M50-103e、P18M51-388e、P15M48-395e、P22M50-124e、P14M48-160e、およびP22M50-513hのセットによって検出され、
    - 該植物の第9染色体上のQTLは、第9染色体上の5.2〜32.4cM間に位置し、該QTLは、S. ハブロカイテスの第9染色体上またはS. リコペルシカムの第9染色体上の遺伝子マーカーP18M50-141、P14M49-240、TG254、TG223、TG10、P18M50-134h、P14M49-243h、P18M50-599、P14M60-222h、P22M51-417h、P14M50-174h、P14M60-157h、P14M60-107h、P15M48-138h、P14M48-113h、Tm2a、P18M51-146h、P14M48-282h、およびP14M50-276hのセットによって検出され、
    - 該植物の第11染色体上のQTLは、第11染色体上の21.6〜93.1cM間に位置し、該QTLは、S. ハブロカイテスの第11染色体上またはS. リコペルシカムの第11染色体上の遺伝子マーカーP14M60-215e、P14M61-173h、P14M50-307h、TG47、P18M51-358h、P18M51-136h、P22M50-488h、TG393、P14M61-396h、P22M51-235h、およびP22M51-174eのセットによって検出され、および/または
    - 該植物の第12染色体上のQTLは、第12染色体上の14.3〜89.7cM間に位置し、該QTLは、S. ハブロカイテスの第12染色体上またはS. リコペルシカムの第12染色体上の遺伝子マーカーCT19、TG68、P14M48-411e、P18M50-244h、P18M50-273h、P14M61-420h、P14M61-406h、P14M61-223h、P14M60-193h、P22M51-314h、TG565、P14M48-172h、P22M50-321e、P14M60-219e、P14M48-153h、P22M50-97h、TG296、P22M50-131h、およびP22M51-135hのセットによって検出され、
    ボトリチス耐性に関する少なくとも一つのQTLを含む核酸の移入が、ボトリチス耐性ドナートマト植物をボトリチス感受性レシピエントS. リコペルシカムトマト植物と交配させることによって、プロトプラスト融合によって、ダブルハプロイド技術によって、または胚救出によって行われる、方法。
  2. ボトリチス耐性に関する少なくとも一つのQTLを含む核酸の移入が、遺伝子移入として該QTLを含む子孫植物を産生するためにボトリチス耐性ドナートマト植物をボトリチス感受性レシピエントソラナム・リコペルシカムトマト植物と交配させることによって行われ、かつ段階(c)が一つまたは複数の子孫植物に対して行われる、請求項1記載の方法。
  3. 段階(c)が、レシピエントトマト植物から単離されたDNA中の遺伝子マーカーを検出することによって行われる、請求項1〜2のいずれか一項記載の方法。
  4. 段階(c)が、植物におけるボトリチス耐性を測定するためのバイオアッセイに植物を供することをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. 段階(c)において選択された植物を栽培トマト系統の植物と交配させて子孫植物を産生する段階(d)をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
  6. ボトリチス耐性が予想されるトマト植物の第4、6、9、11および/または12染色体上のソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78に由来するボトリチス耐性に関するQTLに連鎖する遺伝子マーカーのセットを用いて、該QTLを検出する段階を含む、ボトリチス耐性に関するQTLを検出するための方法であって:
    - 該植物の第4染色体上のQTLは、第4染色体上の66.9〜125.3cM間に位置し、該QTLは、S. ハブロカイテスの第4染色体上またはS. リコペルシカムの第4染色体上の遺伝子マーカーCT50、C2At1g74970、P14M49-283e、P14M48-74e、P14M50-67e、CT173、およびP14M50-85hのセットによって検出され、
    - 該植物の第6染色体上のQTLは、第6染色体上の0.0〜37.6cM間に位置し、該QTLは、S. ハブロカイテスの第6染色体上またはS. リコペルシカムの第6染色体上の遺伝子マーカー P22M50-188h、P14M48-521e、P15M48-386h、P18M51-199h、P18M51-103h、P22M50-103e、P18M51-388e、P15M48-395e、P22M50-124e、P14M48-160e、およびP22M50-513hのセットによって検出され、
    - 該植物の第9染色体上のQTLは、第9染色体上の5.2〜32.4cM間に位置し、該QTLは、S. ハブロカイテスの第9染色体上またはS. リコペルシカムの第9染色体上の遺伝子マーカーP18M50-141、P14M49-240、TG254、TG223、TG10、P18M50-134h、P14M49-243h、P18M50-599、P14M60-222h、P22M51-417h、P14M50-174h、P14M60-157h、P14M60-107h、P15M48-138h、P14M48-113h、Tm2a、P18M51-146h、P14M48-282h、およびP14M50-276hのセットによって検出され、
    - 該植物の第11染色体上のQTLは、第11染色体上の21.6〜93.1cM間に位置し、該QTLは、S. ハブロカイテスの第11染色体上またはS. リコペルシカムの第11染色体上の遺伝子マーカーP14M60-215e、P14M61-173h、P14M50-307h、TG47、P18M51-358h、P18M51-136h、P22M50-488h、TG393、P14M61-396h、P22M51-235h、およびP22M51-174eのセットによって検出され、および/または
    - 該植物の第12染色体上のQTLは、第12染色体上の14.3〜89.7cM間に位置し、該QTLは、S. ハブロカイテスの第12染色体上またはS. リコペルシカムの第12染色体上の遺伝子マーカーCT19、TG68、P14M48-411e、P18M50-244h、P18M50-273h、P14M61-420h、P14M61-406h、P14M61-223h、P14M60-193h、P22M51-314h、TG565、P14M48-172h、P22M50-321e、P14M60-219e、P14M48-153h、P22M50-97h、TG296、P22M50-131h、およびP22M51-135hのセットによって検出される、方法。
  7. ボトリチス耐性に関連するソラナム・ハブロカイテスLYC 4/78系統の第4、6、9、11および12染色体上のQTLからなる群より選択される、少なくとも一つのQTLをそのゲノム内に含む、ソラナム・リコペルシカム種のボトリチス耐性植物またはその植物の、花粉、胚珠、葉、胚、根、根の先端、葯、花、果実、茎のシュート、および種子からの単細胞および組織、花粉、胚珠、葉、胚、根、根の先端、葯、花、果実、茎、シュート、接ぎ木、台木、種子、プロトプラスト、または、カルスであって、
    - 該植物の第4染色体上のQTLは、第4染色体上の66.9〜125.3cM間に位置し、該QTLの存在が、S. ハブロカイテスの第4染色体上またはS. リコペルシカムの第4染色体上の遺伝子マーカーCT50、C2At1g74970、P14M49-283e、P14M48-74e、P14M50-67e、CT173、およびP14M50-85hのセットによって示され、
    - 該植物の第6染色体上のQTLは、第6染色体上の0.0〜37.6cM間に位置し、該QTLの存在が、S. ハブロカイテスの第6染色体上またはS. リコペルシカムの第6染色体上の遺伝子マーカー P22M50-188h、P14M48-521e、P15M48-386h、P18M51-199h、P18M51-103h、P22M50-103e、P18M51-388e、P15M48-395e、P22M50-124e、P14M48-160e、およびP22M50-513hのセットによって示され、
    - 該植物の第9染色体上のQTLは、第9染色体上の5.2〜32.4cM間に位置し、該QTLの存在が、S. ハブロカイテスの第9染色体上またはS. リコペルシカムの第9染色体上の遺伝子マーカーP18M50-141、P14M49-240、TG254、TG223、TG10、P18M50-134h、P14M49-243h、P18M50-599、P14M60-222h、P22M51-417h、P14M50-174h、P14M60-157h、P14M60-107h、P15M48-138h、P14M48-113h、Tm2a、P18M51-146h、P14M48-282h、およびP14M50-276hのセットによって示され、
    - 該植物の第11染色体上のQTLは、第11染色体上の21.6〜93.1cM間に位置し、該QTLの存在が、S. ハブロカイテスの第11染色体上またはS. リコペルシカムの第11染色体上の遺伝子マーカーP14M60-215e、P14M61-173h、P14M50-307h、TG47、P18M51-358h、P18M51-136h、P22M50-488h、TG393、P14M61-396h、P22M51-235h、およびP22M51-174eのセットによって示され、および/または
    - 該植物の第12染色体上のQTLは、第12染色体上の14.3〜89.7cM間に位置し、該QTLの存在が、S. ハブロカイテスの第12染色体上またはS. リコペルシカムの第12染色体上の遺伝子マーカーCT19、TG68、P14M48-411e、P18M50-244h、P18M50-273h、P14M61-420h、P14M61-406h、P14M61-223h、P14M60-193h、P22M51-314h、TG565、P14M48-172h、P22M50-321e、P14M60-219e、P14M48-153h、P22M50-97h、TG296、P22M50-131h、およびP22M51-135hのセットによって示される、
    植物またはその植物の、花粉、胚珠、葉、胚、根、根の先端、葯、花、果実、茎のシュート、および種子からの単細胞および組織、花粉、胚珠、葉、胚、根、根の先端、葯、花、果実、茎、シュート、接ぎ木、台木、種子、プロトプラスト、または、カルス。
  8. 以下の段階を含む、ボトリチス耐性近交系トマト植物を産生する方法:
    (a) 請求項1〜5のいずれか一項記載の方法によってボトリチス耐性トマト植物を産生する段階;
    (b) 該ボトリチス耐性トマト植物をそれ自身とまたは別のトマト植物と交配させて、子孫トマト種子を得る段階;
    (c) 該子孫トマト植物種子を生育させて、さらなるボトリチス耐性トマト植物を得る段階;
    (d) 交配および生育段階を0〜7回繰り返して、ボトリチス耐性近交系トマト植物を作製する段階。
  9. 段階(c)が、ボトリチス耐性を示しかつ耐病性および害虫耐性から選択される商業的に望ましい特徴を保有する植物を同定する段階をさらに含む、請求項8記載の方法。
  10. ホモ接合近交系トマト植物を選択する段階をさらに含む、請求項8または9記載の方法。
  11. 近交系植物である、請求項7記載のソラナム・リコペルシカム種のボトリチス耐性植物。
  12. ハイブリッド植物である、請求項7記載のソラナム・リコペルシカム種のボトリチス耐性植物。
  13. 請求項7、11または12のいずれか一項記載のトマト植物の再生可能な細胞の組織培養物。
  14. 該再生可能な細胞が、葉、花粉、胚、根、根の先端、葯、花、果実、茎および種子からなる群より選択される組織から単離された細胞またはプロトプラストを含む、請求項13記載の組織培養物。
  15. ボトリチス耐性に関するQTLを検出するための、および/またはボトリチス耐性トマト植物を検出するための、第4、6、9、11、および/または12染色体上の遺伝子マーカーのセットの使用であって、
    遺伝子マーカーのセットは、ソラナム・ハブロカイテスの第4染色体上またはソラナム・リコペルシカムの第4染色体上の66.9〜125.3cM間のQTLを検出するための遺伝子マーカーCT50、C2At1g74970、P14M49-283e、P14M48-74e、P14M50-67e、CT173、およびP14M50-85hを含み、
    遺伝子マーカーのセットは、S. ハブロカイテスの第6染色体上またはS. リコペルシカムの第6染色体上の0.0〜37.6cM間のQTLを検出するための遺伝子マーカーP22M50-188h、P14M48-521e、P15M48-386h、P18M51-199h、P18M51-103h、P22M50-103e、P18M51-388e、P15M48-395e、P22M50-124e、P14M48-160e、およびP22M50-513hを含み、
    遺伝子マーカーのセットは、S. ハブロカイテスの第9染色体上またはS. リコペルシカムの第9染色体上の5.2〜32.4cM間のQTLを検出するための遺伝子マーカーP18M50-141、P14M49-240、TG254、TG223、TG10、P18M50-134h、P14M49-243h、P18M50-599、P14M60-222h、P22M51-417h、P14M50-174h、P14M60-157h、P14M60-107h、P15M48-138h、P14M48-113h、Tm2a、P18M51-146h、P14M48-282h、およびP14M50-276hを含み、
    遺伝子マーカーのセットは、S. ハブロカイテスの第11染色体上またはS. リコペルシカムの第11染色体上の21.6〜93.1cM間のQTLを検出するための遺伝子マーカーP14M60-215e、P14M61-173h、P14M50-307h、TG47、P14M50-29xCD、P18M51-358h、P18M50-27xCD、P18M51-136h、P22M50-488h、TG393、P14M61-396h、P22M51-235h、およびP22M51-174eを含み、および/または
    遺伝子マーカーのセットは、S. ハブロカイテスの第12染色体上またはS. リコペルシカムの第12染色体上の14.3〜89.7cM間のQTLを検出するための遺伝子マーカーCT19、TG68、P14M48-411e、P18M50-244h、P18M50-273h、P14M61-420h、P14M61-406h、P14M61-223h、P14M60-193h、P22M51-314h、TG565、P14M48-172h、P22M50-321e、P14M60-219e、P14M48-153h、P22M50-97h、TG296、P22M50-131h、およびP22M51-135hを含む、使用。
JP2009507609A 2006-04-25 2007-04-25 ボトリチスに対して高レベルの耐性を有するトマト植物 Active JP5858596B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP06075950A EP1849871A1 (en) 2006-04-25 2006-04-25 Tomato plants having higher levels of resistance to Botrytis
EP06075950.3 2006-04-25
PCT/NL2007/050183 WO2007123407A1 (en) 2006-04-25 2007-04-25 Tomato plants having higher levels of resistance to botrytis

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013216206A Division JP2014050395A (ja) 2006-04-25 2013-10-17 ボトリチスに対して高レベルの耐性を有するトマト植物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009535026A JP2009535026A (ja) 2009-10-01
JP5858596B2 true JP5858596B2 (ja) 2016-02-10

Family

ID=37499194

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009507609A Active JP5858596B2 (ja) 2006-04-25 2007-04-25 ボトリチスに対して高レベルの耐性を有するトマト植物
JP2013216206A Pending JP2014050395A (ja) 2006-04-25 2013-10-17 ボトリチスに対して高レベルの耐性を有するトマト植物

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013216206A Pending JP2014050395A (ja) 2006-04-25 2013-10-17 ボトリチスに対して高レベルの耐性を有するトマト植物

Country Status (15)

Country Link
US (1) US8093455B2 (ja)
EP (3) EP1849871A1 (ja)
JP (2) JP5858596B2 (ja)
KR (1) KR101504368B1 (ja)
CN (1) CN101479386A (ja)
AU (1) AU2007241626C1 (ja)
BR (1) BRPI0710887A2 (ja)
CA (1) CA2650465C (ja)
IL (1) IL194869A (ja)
MX (1) MX2008013703A (ja)
NL (1) NL1033755C2 (ja)
NZ (1) NZ572364A (ja)
RU (1) RU2469094C2 (ja)
WO (1) WO2007123407A1 (ja)
ZA (1) ZA200809331B (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1652930A1 (en) * 2004-10-25 2006-05-03 De Ruiter Seeds R&D B.V. Botrytis-resistant tomato plants
EP2442636B1 (en) * 2009-06-17 2019-12-25 Monsanto Invest B.V. Tomato plants resulting from the introgression of a trait from Solanum pennellii into S. lycopersicum and having an increased yield
EP2292774A1 (en) * 2009-08-17 2011-03-09 Syngenta Participations AG. Disease resistant tomato plants
EP3257944A1 (en) 2016-06-14 2017-12-20 Nunhems B.V. Tomato plants having alterations in the dmr6 gene
JP7057746B2 (ja) * 2018-01-15 2022-04-20 カゴメ株式会社 低グルタミン酸トマト
CA3103821A1 (en) 2018-07-20 2020-01-23 Seminis Vegetable Seeds, Inc. Tomato plants with improved disease resistance
CN113424766A (zh) * 2021-05-31 2021-09-24 上海交通大学 远缘杂交技术创制番茄新种质的方法及其在番茄改良中应用
CN116004900A (zh) * 2022-12-30 2023-04-25 华中农业大学 一种用于鉴定番茄耐铝基因型的分子标记at12及其应用

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1994000977A1 (en) 1992-07-07 1994-01-20 Japan Tobacco Inc. Method of transforming monocotyledon
AR030360A1 (es) * 2001-01-05 2003-08-20 Monsanto Technology Llc Metodos para la cria y la seleccion de plantas de soja con rendimientos mejorados
KR100755576B1 (ko) * 2001-04-25 2007-09-06 세미니스 베저터블 시즈 인코포레이티드 보트리티스 시네리아에 내성을 나타내는 토마토 식물
RU2261275C2 (ru) * 2002-10-24 2005-09-27 Институт биоорганической химии им. М.М. Шемякина и Ю.А. Овчинникова Российской Академии Наук Способ получения трансгенных растений с повышенной устойчивостью к фитопатогенам
EP1652930A1 (en) * 2004-10-25 2006-05-03 De Ruiter Seeds R&D B.V. Botrytis-resistant tomato plants

Also Published As

Publication number Publication date
CN101479386A (zh) 2009-07-08
CA2650465A1 (en) 2007-11-01
NL1033755C2 (nl) 2007-11-13
JP2009535026A (ja) 2009-10-01
WO2007123407A1 (en) 2007-11-01
MX2008013703A (es) 2008-11-06
ZA200809331B (en) 2009-07-29
RU2469094C2 (ru) 2012-12-10
AU2007241626B2 (en) 2013-12-05
RU2008146404A (ru) 2010-05-27
NZ572364A (en) 2012-02-24
EP1849871A1 (en) 2007-10-31
JP2014050395A (ja) 2014-03-20
KR20090026265A (ko) 2009-03-12
KR101504368B1 (ko) 2015-03-30
BRPI0710887A2 (pt) 2012-07-17
NL1033755A1 (nl) 2007-09-14
IL194869A0 (en) 2011-08-01
EP2018433A1 (en) 2009-01-28
CA2650465C (en) 2018-07-17
US20090126037A1 (en) 2009-05-14
US8093455B2 (en) 2012-01-10
AU2007241626A1 (en) 2007-11-01
IL194869A (en) 2013-09-30
AU2007241626C1 (en) 2014-06-19
EP2436770A1 (en) 2012-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5464804B2 (ja) ボトリチスに対して高レベルの耐性を有するトマト植物
JP2014050395A (ja) ボトリチスに対して高レベルの耐性を有するトマト植物
US8841516B2 (en) Fusarium resistant cucumber plants
AU2010284996B2 (en) Disease resistant tomato plants

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090925

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100825

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20110817

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110817

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120418

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20120717

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20120724

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121010

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130617

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131017

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131118

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20131118

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20131209

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20140117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20140901

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150520

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20150619

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20150908

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151030

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151215

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5858596

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250