JP5855988B2 - リチウム二次電池の正極活物質粉末、及びリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
粒径が2dより大きな粒子の体積割合が、全体の5%以下であり、
粒径が0.5dより小さな粒子の体積割合が、全体の5〜35%であり、
粒径が0.5dより大きな粒子のうちの40面積%以上が、単一粒子である
ことにある。
100・a/A
DBET=6/(M・S) …(1)
(上記式(1)中、Mは前記正極活物質粉末の真密度[g/cm3]を示し、SはBET比表面積[m2/g]を示す。)
図1Aは、本発明の一実施形態であるリチウム二次電池1の概略構成を示す断面図である。図1Aを参照すると、本実施形態のリチウム二次電池1は、いわゆる液体型であって、電池ケース2と、セパレータ3と、電解質4と、負極5と、正極6と、を備えている。
図1Bは、図1Aに示されている正極6の拡大断面図である。図1Bを参照すると、正極6は、正極集電体61と、正極活物質層62と、を備えている。正極活物質層62は、結着材621と、正極活物質粒子622及び623と、から構成されている。なお、図1A及び図1Bに示されているリチウム二次電池1及び正極6の基本的な構成(電池ケース2、セパレータ3、電解質4、負極5、正極集電体61、及び結着材621を構成する材質を含む。)は周知であるので、本明細書においては、その詳細な説明は省略されている。
モード径dが8〜25μmであり、
粒径が2dより大きな粒子の体積割合が、全体の5%以下であり、
粒径が0.5dより小さな粒子の体積割合が、全体の5〜35%であり、
粒径が0.5dより大きな粒子のうちの40面積%以上が、単一粒子である。
好ましくは、粒径が0.5dより小さな粒子の体積割合が、全体の10〜30%である。
以下、本実施形態の正極活物質粉末(正極活物質粒子622及び623)の製造方法の概要について説明する。
・ドクターブレード法
・スクリーン印刷法
・原料粒子粉末のスラリーを熱したドラム上に塗布し、乾燥させたものをスクレイパーで掻き取る、ドラムドライヤー法
・原料粒子粉末のスラリーを熱した円板面上に塗布し、乾燥させたものをスクレイパーで掻き取る、ディスクドライヤー法
・スリットを設けた口金に原料粒子粉末を含む粘土を押し出す、押出成形法
等の成形方法を利用することが可能である。なお、上述の成形方法で得られた成形体をさらにローラー等で加圧することにより、その密度を高めるようにしてもよい。
以下、本実施形態の正極板2の製造方法の具体例、及びその評価結果について説明する。
(1)スラリー調製
Li1.08Mn1.83Al0.09O4の化学式となるように、Li2CO3粉末(本荘ケミカル株式会社製、ファイングレード、平均粒径3μm)、MnO2粉末(東ソー株式会社製、電解二酸化マンガン、FMグレード、平均粒径5μm、純度95%)、及びAl(OH)3粉末(昭和電工株式会社製 製品型番「H−43M」、平均粒径0.8μm)を秤量し、さらに、Bi2O3粉末(平均粒径0.3μm、太陽鉱工株式会社製)を、MnO2原料に含まれるマンガンに対するビスマスの添加量が表1に記載した量となるように秤量した。この秤量物100部と、分散媒としての有機溶媒(トルエン及びイソプロピルアルコールを等量混合した混合液)100部とを、合成樹脂製の円筒型広口瓶に入れ、ボールミル(直径5mmのジルコニアボール)で16時間、湿式混合及び粉砕を行った。
上述のようにして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが表1に記載した値となるように、シート状に成形した。PETフィルムから剥がしたシート状の成形体をカッターで300mm角に切断することで、正方形状の成形体を多数作製した。
得られた正方形状の成形体をアルミナ製の鞘(寸法:90mm×90mm×高さ60mm)に、「くしゃくしゃ」に丸めた状態で入れ、フタをあけた状態(すなわち空気雰囲気中)で、600℃で2時間脱脂し、その後、900℃で12時間焼成した。
焼成後のシート状成形体を、以下の条件で選択した平均開口径を有するポリエステル製メッシュの上に載置してヘラで軽くふるいに押し付けて解砕した。その後、解砕後の粉末をエタノールに分散して、超音波洗浄機にて超音波処理(38kHz・5分)した後、平均開口径5μmのポリエステル製メッシュに通してメッシュ上に残った粉末を回収することで、焼成時又は粉砕時に発生した粒径5μm以下の微粒子を除去した。これにより、表1に記載の大粒子A1〜A3及びB1〜B3を得た。一方、焼成後のシート状成形体を、直径5mmのナイロン玉石を用いて、ポットミルにて3時間乾式解砕することで、表1に記載の小粒子Cを得た。
シート状成形体の厚さ10μm以下の水準:平均開口径10μm
シート状成形体の厚さ11〜20μmの水準:平均開口径20μm
シート状成形体の厚さ20μm超の水準:平均開口径40μm
上述のようにして得られた大粒子A1〜A3及びB1〜B3並びに小粒子Cを、表2に示されている重量割合にて秤量した後、ガラス容器中に投入して振り混ぜて乾式混合することで、実施例1〜6及び比較例1〜5の正極活物質粉末を得た。なお、表2中の「Bi含有割合」及び「Bi化合物種類」は、下記の「ビスマス含有割合」及び「ビスマス化合物種類」の測定結果を示すものである。
(1)ビスマス含有割合
正極活物質粉末試料(実施例1〜6及び比較例1〜5)に塩酸を加えて加圧分解することで調製した溶液試料を、ICP発光分光分析装置(株式会社堀場製作所製 製品名「ULTIMA2」)に投入して、リチウム、マンガン、及びビスマスの定量分析をし、この定量分析に基づいて、マンガン酸リチウムに含まれるマンガンに対する、ビスマス化合物に含まれるビスマスの含有割合を算出した。
X線回折装置(株式会社リガク製 製品名「ガイガーフレックスRAD−IB」)を用いて同定した。X線回折(XRD)では確認できないほど微量な場合は、電子線マイクロアナライザ(日本電子株式会社製 製品型番「JXA−8800」)を用いたEPMA(Electron Probe Micro-Analysis)により、ビスマスが検出される領域で他の成分が検出された場合、ビスマスはその成分と化合物となって存在しているものとした。
モード径d、粒径が2dより大きな粒子の体積割合(D>2d)、粒径が0.5dより小さな粒子の体積割合(D<0.5d)、及びメディアン径D50は、上述のように、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて測定した。なお、モード径d及びメディアン径D50は、体積基準の粒度分布ヒストグラムにおける、該当する粒径区分の中心値とした。また、粒径が0.5dより大きな粒子のうちの単一粒子の割合[面積%]は、以下のようにして測定した。
正極活物質粉末試料(実施例1〜6及び比較例1〜5)の粉末X線回折パターンを、X線回折装置(ブルカーAXS社製 製品名「D8 ADVANCE」)を用いて下記の条件により測定し、WPPD(Whole-Powder-Pattern Decomposition)法により解析することで、格子歪(η)を算出した。
X線出力:40kV×40mA
ゴニオメーター半径:250mm
発散スリット:0.6°
散乱スリット:0.6°
受光スリット:0.1mm
ソーラースリット:2.5°(入射側、受光側)
測定法:試料水平型の集中光学系による2θ/θ法(2θ=15〜140°を測定、ステップ幅0.01°)
走査時間:メインピーク((111)面)の強度が10000counts程度になるように設定
1.トータルプロファイルフィッティングソフトウェア(製品名「DIFFRACplus TOPAS」)起動、測定データ読み込み。
2.Emission Profile設定(Cu管球、Bragg Brentano集中光学系を選択)。
3.バックグラウンド設定(プロファイル関数としてルジャンドルの多項式を使用、項数は8〜20に設定)。
4.Instrument設定(Fundamental Parameterを使用、スリット条件、フィラメント長、サンプル長を入力)。
5.Corrections設定(Sample displacementを使用。試料ホルダーへの試料充填密度が低い場合、Absorptionも使用する。この場合、Absorptionは試料の線吸収係数で固定)。
6.結晶構造設定(空間群F−d3mに設定。格子定数・結晶子径・格子歪を使用。結晶子径と格子歪によるプロファイルの広がりをローレンツ関数に設定)。
7.計算(バックグラウンド、Sample displacement、回折強度、格子定数、結晶子径、格子歪を精密化)。
8.結晶子径の標準偏差が精密化した値の6%以下であれば、解析終了。6%より大きい場合は、手順9へ。
9.格子歪によるプロファイルの広がりをガウス関数に設定(結晶子径はローレンツ関数のまま)。
10.計算(バックグラウンド、Sample displacement、回折強度、格子定数、結晶子径、格子歪を精密化)。
11.結晶子径の標準偏差が精密化した値の6%以下であれば、解析終了。6%より大きい場合は、解析不可。
12.得られた格子歪の値にπ/180を乗じることで、ηとする。
正極活物質粉末試料(実施例1〜6及び比較例1〜5)、導電剤としてのアセチレンブラック、結着材としてのPVDF、及び溶剤としてのNMPを、90:5:5:100の重量比でハイブリッドミキサーを用いて混合することで、正極ペーストを調製した。この正極ペーストを、正極集電体であるアルミニウム箔上に載せた後に150μmのギャップに調整したアプリケーターで塗膜化し、80℃で10時間乾燥した。乾燥後の正極ペーストとアルミ箔との積層体を、直径14mmで平面視略円形に打抜き、2t/cm2でプレス成形することで、正極を作成した。
試験温度を20℃として、以下の充放電操作を1サイクルとするサイクル充放電を、合計3サイクル繰り返した:(1)0.1Cレートの電流値で電池電圧が4.3Vとなるまで定電流充電し、(2)電池電圧を4.3Vに維持する電流条件で電流値が1/20に低下するまで定電圧充電し、(3)10分間休止した後、1Cレートの電流値で電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電し、さらにその後10分間休止する。そして、3サイクル目の放電容量の測定値を、初期容量とした。
試験温度を60℃として、以下の充放電操作を1サイクルとするサイクル充放電を、合計100サイクル繰り返した:5Cレートの定電流で4.3Vまで充電した後、5Cレートの定電流で3.0Vまで放電した。100回目の放電容量を1回目の放電容量で除した値を百分率で表した値を、サイクル特性とした。
実施例1〜6及び比較例1〜5の正極活物質粉末試料に対して、上述の手順で評価を行った結果を、表3及び表4に示す。以下、表1〜表4を参照しつつ、評価結果について考察する。なお、サイクル特性は、80%以上の場合が「良好」、75%未満が「不良」とする。
モード径dが8〜25μmであり、
粒径が2dより大きな粒子の体積割合が、全体の5%以下であり、
粒径が0.5dより小さな粒子の体積割合が、全体の5〜35%であり、
粒径が0.5dより大きな粒子のうちの40面積%以上が、単一粒子である
という特性を満たす範囲で、大粒子の粒径、及び大粒子と小粒子との混合比率を変えたものである。実施例1〜6の正極活物質粉末試料によれば、良好な初期容量とサイクル特性とが達成された。
なお、上述の実施形態や具体例は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の具現化の一例を単に示したものにすぎないのであって、本発明はもとより上述の実施形態や具体例によって何ら限定されるべきものではない。よって、上述の実施形態や具体例に対して、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、種々の変形が施され得ることは、当然である。
2 電池ケース
3 セパレータ
4 電解質
5 負極
6 正極
61 正極集電体
62 正極活物質層
621 結着材
622 正極活物質粒子
622a マンガン酸リチウム単結晶一次粒子
622b1 付着物
622b2 付着物
622b3 付着物
622c1 マンガン酸リチウム結晶微粒子
622c2 マンガン酸リチウム結晶微粒子
623 正極活物質粒子
Claims (2)
- 多数の正極活物質粒子の集合体である、リチウム二次電池の正極活物質粉末であって、
前記正極活物質粒子は、リチウムとマンガンを構成元素として含む、スピネル構造のマンガン酸リチウムの粒子であり、
レーザ回折法による体積基準の粒度分布における最大頻度の粒径であるモード径をdとし、
多数の正極活物質粒子中の特定のものの割合を、所定平面における専有面積を基準として百分率で表したものを、面積%とし、
前記所定平面における前記多数の正極活物質粒子それぞれについて、互いに直交する二つの径の平均値を粒径とした場合に、
粒径が2dより大きな粒子の体積割合が、全体の5%以下であり、
粒径が0.5dより小さな粒子の体積割合が、全体の5〜35%であり、
粒径が0.5dより大きな粒子のうちの40面積%以上が、単一粒子であり、
前記単一粒子は、
当該単一粒子の粒径の1/2以上の大きさのスピネル構造のマンガン酸リチウム単結晶一次粒子を含み、且つ、当該単一粒子と同等の大きさの他のスピネル構造のマンガン酸リチウム粒子との間で凝集を形成しない粒子、
又は、
当該単一粒子の粒径の1/2以上の大きさのスピネル構造のマンガン酸リチウム単結晶一次粒子を含み、且つ、当該単一粒子と同等の大きさの他のスピネル構造のマンガン酸リチウム粒子との間の付着部が当該単結晶一次粒子の周回の長さの1/5以下の長さとなることで実質的に単独で存在する粒子であって、
前記モード径dは、8〜25μmである、
ことを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質粒子粉末。 - 多数の正極活物質粒子を含む、正極と、
負極活物質を含む、負極と、
を備えた、リチウム二次電池であって、
前記正極活物質粒子は、リチウムとマンガンを構成元素として含む、スピネル構造のマンガン酸リチウムの粒子であり、
多数の前記正極活物質粒子のレーザ回折法による体積基準の粒度分布における最大頻度の粒径であるモード径をdとし、
多数の正極活物質粒子中の特定のものの割合を、所定平面における専有面積を基準として百分率で表したものを、面積%とし、
前記所定平面における前記多数の正極活物質粒子それぞれについて、互いに直交する二つの径の平均値を粒径とした場合に、
粒径が2dより大きな粒子の体積割合が、全体の5%以下であり、
粒径が0.5dより小さな粒子の体積割合が、全体の5〜35%であり、
粒径が0.5dより大きな粒子のうちの40面積%以上が、単一粒子であり、
前記単一粒子は、
当該単一粒子の粒径の1/2以上の大きさのスピネル構造のマンガン酸リチウム単結晶一次粒子を含み、且つ、当該単一粒子と同等の大きさの他のスピネル構造のマンガン酸リチウム粒子との間で凝集を形成しない粒子、
又は、
当該単一粒子の粒径の1/2以上の大きさのスピネル構造のマンガン酸リチウム単結晶一次粒子を含み、且つ、当該単一粒子と同等の大きさの他のスピネル構造のマンガン酸リチウム粒子との間の付着部が当該単結晶一次粒子の周回の長さの1/5以下の長さとなることで実質的に単独で存在する粒子であって、
前記モード径dは、8〜25μmである、
ことを特徴とする、リチウム二次電池。
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