JP5854521B2 - オリビン型シリケート化合物の製造方法 - Google Patents

オリビン型シリケート化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、効率良く簡便に合成することができ、かつ優れた電池物性を有するリチウムイオン電池を実現することが可能なオリビン型シリケート化合物を得るための製造方法に関する。
リチウムイオン電池は、非水電解質電池の1種であり、携帯電話、デジタルカメラ、ノートPC、ハイブリッド自動車、電気自動車等広い分野に利用されている。リチウムイオン電池は、正極材料としてリチウム金属酸化物を用い、負極材料としてグラファイト等の炭素材を用いるものが主流となっている。
この正極材料としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMnO2)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、ケイ酸鉄リチウム(Li2FeSiO4)等が知られている。このうち、LiFePO4やLi2FeSiO4等は、オリビン構造を有し、高容量のリチウムイオン電池用正極材料として有用であり、特にLi2FeSiO4等のいわゆるオリビン型シリケート化合物は、優れた正極材料として注目を浴びている。
こうしたオリビン型シリケート化合物は、リチウム源、ケイ酸源及び遷移金属源を水熱反応に付することにより得られることが知られており、低い温度での処理が可能であるため簡便な製造方法として有用である。かかる水熱合成を利用した製造方法は、より微細で高純度なオリビン型シリケート化合物を得るべく、種々の研究がなされている。例えば、特許文献1には、リチウム源、ケイ酸源及び酸化防止剤を用いて塩基性水分散液としておき、これに遷移金属源を添加した後、水熱反応に付する方法が開示されている。また、特許文献2には、遷移金属源、リチウム源及びケイ酸源を塩基性水分散液としておき、次いで水熱反応に付する方法が開示されている。
特開2012−193087号公報 特開2012−193088号公報
しかしながら、上記特許文献に記載の方法であっても、オリビン型シリケート化合物の収率を十分に高めるには、依然として改善の余地がある。
したがって、本発明の課題は、簡便な方法でありながら収率よく合成することができ、かつ優れた電池物性を有するリチウムイオン電池を実現することが可能なオリビン型シリケート化合物の製造方法を提供することにある。
そこで本発明者らは、オリビン型シリケート化合物を製造するにあたり、特定の含有量のポリオールを水とともに含有する溶媒を用いて水熱合成に付することにより、簡便な方法でありながら合成収率を効果的に高めることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)MSO4(式中、Mは、Fe、Ni、Co、Al、Zn、V、Zr又はMnを示す)で表される属硫酸塩又は(R)2M(式中、Rは有機酸残基を示し、Mは、Fe、Ni、Co、Al、Zn、V、Zr又はMnを示す)で表される有機酸属塩、 (B)リチウム化合物、
(C)ケイ酸化合物、及び
(D)20〜80質量%のポリオールと水とを含有する溶媒
を混合し、次いで100〜200℃で水熱反応させることを特徴とするオリビン型シリケート化合物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記製造方法により得られたオリビン型シリケート化合物にカーボン担持し、次いで焼成することを特徴とするリチウムイオン電池用正極活物質の製造方法を提供するものである
本発明の製造方法によれば、100〜200℃なる低温環境下での水熱反応を有効に利用することができ、簡便な方法でありながらオリビン型シリケート化合物の合成収率を効果的に高めることが可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造方法では、まず、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)MSO4(式中、Mは、Fe、Ni、Co、Al、Zn、V、Zr又はMnを示す)で表される遷移金属硫酸塩又は(R)2M(式中、Rは有機酸残基を示し、Mは、Fe、Ni、Co、Al、Zn、V、Zr又はMnを示す)で表される有機酸遷移金属塩、 (B)リチウム化合物、
(C)ケイ酸化合物、及び
(D)20〜80質量%のポリオールと水とを含有する溶媒
を混合する。
成分(A)の遷移金属硫酸塩MSO4としては、FeSO4、NiSO4、CoSO4、Al2(SO43、ZnSO4、V2(SO43、Zr(SO42又はMnSO4が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、FeSO4、MnSO4がより好ましく、FeSO4がさらに好ましい。遷移金属硫酸塩(MSO4)の添加量は、オリビン型シリケート化合物の合成収率を高める観点、及び得られる電池の物性を高める観点から、成分(A)〜成分(D)を含む反応混合液全量中に、0.15〜1.50mol/lとなる量が好ましく、0.50〜1.40mol/lとなる量がより好ましく、0.80〜1.40mol/lとなる量がさらに好ましい。
なお、この場合における反応混合液中のLiの含有量は、Mに対して2モル以上が好ましい。
成分(A)の有機酸遷移金属塩(R)2MのRで示される有機酸としては、炭素数1〜20の有機酸が好ましく、炭素数2〜12の有機酸がより好ましい。より具体的な有機酸としては、シュウ酸、フマル酸等のジカルボン酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸、酢酸等の脂肪酸が挙げられる。成分(A)〜成分(D)を含む反応混合液全量中の有機酸遷移金属塩(R)2Mの濃度は、オリビン型シリケート化合物の合成収率を高める観点、及び得られる電池の物性を高める観点から、0.15〜1.50mol/lが好ましく、0.5〜1.40mol/lがより好ましく、0.80〜1.40mol/lがさらに好ましい。
なお、この場合における反応混合液中のLiは、遷移金属に対してモル比で2倍以上用いることが好ましく、Li:Mが2.5:1〜3:1程度がより好ましい。
成分(B)のリチウム化合物としては、水酸化リチウム(例えばLiOH・H2O)、炭酸リチウム(Li2CO3)、硫酸リチウム、酢酸リチウムが挙げられるが、水酸化リチウム、炭酸リチウムが特に好ましい。成分(A)〜成分(D)を含む反応混合液全量中のリチウム化合物の濃度は、オリビン型シリケート化合物の合成収率を高める観点、及び得られる電池の物性を高める観点から、0.30〜3.00mol/lが好ましく、1.00〜2.80mol/lがより好ましく、1.50〜2.80mol/lがさらに好ましい。
成分(C)のケイ酸化合物としては、反応性のあるシリカ化合物であれば特に限定されず、非晶質シリカ、Na4SiO4(例えばNa4SiO4・H2O)が好ましい。このうち、副反応を抑制する観点から、Na4SiO4を用い、成分(A)〜成分(D)を含む反応混合液を塩基性にするのが好ましい。成分(A)〜成分(D)を含む反応混合液全量中のケイ酸化合物の濃度は、オリビン型シリケート化合物の合成収率を高める観点、及び得られる電池の物性を高める観点から、0.15〜1.50mol/lが好ましく、0.50〜1.40mol/lがより好ましく、0.80〜1.40mol/lがさらに好ましい。
成分(D)の溶媒は、20〜80質量%のポリオールと水とを含有する。すなわち、成分(D)において、ポリオールの残部が水である。これにより、成分(A)〜成分(D)を混合した際、ポリオールがキレート剤又は界面活性剤として作用し、各成分の分散性を高めつつ、水熱反応を介して得られるオリビン型シリケート化合物の合成収率を効果的に高めることができるものと推定される。成分(D)に含有されるポリオールとしては、不純物の生成を有効に抑制して、オリビン型シリケート化合物の合成収率を高める観点から、2〜3価のアルコールが好ましい。
2価のアルコールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオールが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これら2価のアルコールのなかでも、オリビン型シリケート化合物の合成収率を高める観点、及び得られる電池の物性を高める観点から、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及び1,4−ブタンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、エチレングリコール、ポリエチレングリコールがより好ましく、エチレングリコールがさらに好ましい。ポリエチレングリコールにおけるエチレンオキシ基の平均付加モル数は、好ましくは10〜600であり、より好ましくは50〜500であり、さらに好ましくは100〜400である。
3価のアルコールとしては、具体的には、例えば、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−アダマンタントリオール、1,3,5−シクロヘキサントリオール、1,2,3−シクロヘキサントリオールが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これら3価のアルコールのなかでも、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2−メチルプロパントリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、グリセリンがより好ましい。
また、上記2〜3価のアルコールのなかでも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、エチレングリコール、グリセリンがより好ましい。
ポリオールの含有量は、かかるポリオールをキレート剤又は界面活性剤として有効に作用させる観点、及び水熱合成反応を良好に進行させる観点から、成分(D)中に、20〜80質量%であって、好ましくは20〜70質量%であり、より好ましくは22〜60質量%であり、さらに好ましくは25〜55質量%である。
成分(D)は、上記ポリオールのほか、その残部として水を含有する。適度な量で水を含有することにより、ポリオールをキレート剤又は界面活性剤としてさらに有効に作用させ、オリビン型シリケート化合物の合成収率を高めることができる。かかる水としては、蒸留水、イオン交換水等のいずれであってもよい。
成分(A)〜成分(D)の混合順序は特に限定されず、これらを全て同時に混合してもよく、あらかじめ成分(A)〜(C)を混合し、これを成分(D)に添加してさらに混合してもよい。なかでも、各成分の分散性又は溶解性を高め、オリビン型シリケート化合物の合成収率の向上を図る観点から、あらかじめ成分(A)〜(C)を混合し、これを成分(D)に添加してさらに混合するのが好ましい。
上記成分(A)〜成分(D)のほか、水熱合成に付する前に、さらに酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、ハイドロサルファイトナトリウム(Na224)、アンモニア水、亜硫酸ナトリウム等を使用することができる。上記成分(A)〜成分(D)の反応混合液及び酸化防止剤を含む混合液全量中の酸化防止剤の含有量は、多量に添加するとオリビン型シリケート化合物の生成を抑制してしまうため、遷移金属(M)に対して等モル量以下が好ましく、遷移金属(M)に対してモル比で0.5以下がさらに好ましい。
得られた反応混合液は、副反応を防止し、ケイ酸化合物を溶解する観点から、塩基性とするのが好ましく、具体的には、該反応混合液のpHが12.0〜13.5であるのが好ましい。反応混合液のpHの調整は、塩基、例えば、水酸化ナトリウムを添加することにより行ってもよいが、ケイ酸化合物としてNa4SiO4を用いるのがより好ましい。
本発明の製造方法では、上記成分(A)〜成分(D)を混合し、次いで100〜200℃で水熱反応させる。水熱反応の温度は、オリビン型シリケート化合物の合成収率を高める観点から、130〜200℃が好ましく、さらに140〜180℃が好ましい。水熱反応は耐圧容器中で行うのが好ましく、130〜200℃で反応を行う場合の圧力は0.3〜1.5MPaであるのが好ましく、140〜180℃で反応を行う場合の圧力は0.4〜1.0MPaであるのが好ましい。水熱反応時間は1〜24時間が好ましく、さらに3〜12時間が好ましい。
当該水熱反応により、遷移金属Mを含むオリビン型シリケート化合物の一次粒子が高収率で得られる。かかるオリビン型シリケート化合物は、具体的には下記式(1)〜(5)のいずれかで表わされる。
Li2M'SiO4 ・・・(1)
(式中、M'はFe、Ni、Co及びMnから選ばれる1種又は2種以上を示す。)
Lia'FexMnyAlzSiO4 ・・・(2)
(式中、a'、x、y及びzは、1<a'≦2、0≦x<1、0≦y<1、0<z<2/3、a'+2x+2y+3z=4、及びx+y≠0を満たす数を示す。)
Lia"FexMnyz'SiO4 ・・・(3)
(式中、a"、x、y及びz'は、1<a"≦2、0≦x<1、0≦y<1、0<z'<1、a"+2x+2y+(2〜5)z'=4、及びx+y≠0を満たす数を示す。)
Lia"FexMnyZrz"SiO4 ・・・(4)
(式中、a"、x、y及びz"は、1<a"≦2、0≦x<1、0≦y<1、0<z"<0.5、a"+2x+2y+4z"=4、及びx+y≠0を満たす数を示す。)
Li2FexMnyZnqSiO4 ・・・(5)
(式中、x、y及びqは、0≦x<1、0≦y<1、0<q<1、x+y+q=1、及びx+y≠0を満たす数を示す。)
得られたオリビン型シリケート化合物の一次粒子は、洗浄後にろ過し、次いで乾燥することにより二次粒子として単離することができる。乾燥手段としては、噴霧乾燥、箱型乾燥、流動床乾燥、外熱式乾燥、凍結乾燥、真空乾燥が挙げられる。なかでも、スプレードライヤーを用いた噴霧乾燥が好ましい。また、乾燥する際、予めオリビン型シリケート化合物の一次粒子を用いて調製したスラリーを用いるのがよい。かかるスラリーにおけるオリビン型シリケート化合物の一次粒子の含有量(固形分濃度)は、得られる電池の物性を高める観点から、好ましくは20〜60質量%であり、より好ましくは30〜50質量%であり、さらに好ましくは35〜45質量%である。
この際、分散剤や増粘剤をスラリーに少量添加しても良く、分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸系、ポリエーテル系、ポリアクリル酸系などを用いることができる。
増粘剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、アンモニアなどの塩基や酢酸、クエン酸などの有機酸を用いることができる。
こうして得られる乾燥物については、乾燥時又は乾燥後にセパレータ、サイクロン、篩等で分級してもよく、また乳鉢ピンミル、ロールミル、クラッシャー等を用いて粉砕してもよい。
なお、さらに導電性炭素材料を用い、予め得られたオリビン型シリケート化合物の一次粒子又は二次粒子にカーボン担持する処理を施してもよい。このようにすることで、粒子表面にカーボン薄膜を形成させることができ、オリビン型シリケート化合物の電子伝導面積(電子伝導パス)をさらに増加させ、より十分な電子伝導性を確保することが可能となる。
カーボン担持する処理に用いる導電性炭素材料としては、例えば、セルロース、リグニン、キトサン、キチン、カーボンナノチューブ、グラフェン、グラフェンオキサイド、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛、グラファイト、合成繊維等の炭素含有化合物が挙げられる。この際における導電性炭素材料の添加量は、水熱反応後に得られるオリビン型シリケート化合物の一次粒子理論生成量中に、導電性炭素材料に含まれる炭素原子換算で、0.5〜20質量%となる量で添加するのが好ましく、2.5〜17.5質量%となる量で添加するのがより好ましい。導電性炭素材料を添加するにあたり、分散性を高める点から、溶媒を用いて溶液とするのがよい。かかる溶液中の導電性炭素材料の濃度は、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。溶媒としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。
導電性炭素材料の添加量は、良好な充放電容量及び経済性の点から、スラリー中のオリビン型シリケート化合物の一次粒子100質量部に対し、炭素原子換算で0.5〜20質量部の量が好ましく、さらに2.5〜17.5質量部の量が好ましい。
このように、必要に応じて溶媒を用いて導電性炭素材料を添加した後、焼成することにより、リチウムイオン電池用正極活物質とすることができる。カーボン担持する処理における焼成条件は、不活性ガス雰囲気下又は還元条件下に400℃以上、好ましくは400〜800℃で10分〜3時間、好ましくは0.5〜1.5時間行うのが好ましい。かかる処理により、オリビン型シリケート化合物の一次粒子又は二次粒子の表面にカーボンが担持された正極活物質とすることができる。
このようにして得られた本発明のリチウムイオン電池用正極活物質を用いてリチウムイオン電池を製造する方法は特に限定されず、公知の方法をいずれも使用できる。例えば、かかる正極活物質を結着剤や溶剤等の添加剤とともに混合して塗工液を得る。この際、必要に応じて、さらに導電助剤を添加して混合してもよい。かかる結着剤としては、特に限定されず、公知の剤をいずれも使用できる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー等が挙げられる。また、かかる導電助剤としては、特に限定されず、公知の剤をいずれも使用できる。具体的には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、天然黒鉛、人工黒鉛、繊維状炭素等が挙げられる。次いで、かかる塗工液をアルミ箔等の正極集電体上に塗布し、乾燥させて正極とする。
本発明のリチウムイオン電池用正極活物質は、リチウムイオン電池の正極として非常に優れた放電容量を発揮する点で有用である。かかる正極を適用できるリチウムイオン電池としては、正極と負極と電解液とセパレータを必須構成とするものであれば特に限定されない。
ここで、負極については、リチウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出することができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。たとえば、リチウム金属、グラファイト又は非晶質炭素等の炭素材料等である。そしてリチウムを電気化学的に吸蔵・放出し得るインターカレート材料で形成された電極、特に炭素材料を用いることが好ましい。
電解液は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。有機溶媒は、通常リチウムイオン電池の電解液の用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF32及びLiN(SO3CF32、LiN(SO2252及びLiN(SO2CF3)(SO249)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
セパレータは、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
LiOH・H2O 4.20g(100mol)、Na4SiO4・nH2O 13.98(50mmol)に、超純水27.5cm3とグリセリン10.0cm3とを含有する溶媒(溶媒中におけるグリセリンの含有量:27質量%)を加えて混合した(この時のpHは約13)。この混合液にFeSO4・7H2O 3.92g(14.1mmol)、MnSO4・5H2O 7.93g(32.9mmol)及びZrSO4・4H2O0.53g(1.5mmol)を添加し、混合した。得られた混合液をオートクレーブに投入し、150℃で12hr水熱反応を行った。反応液をろ過後、凍結乾燥した。凍結乾燥(約12時間)して得られた粉末8.4gにグルコース(炭素濃度として10%)及び超純水10cm3を加え、還元雰囲気下で650℃で1hr焼成してオリビン型シリケート化合物を得た。
次いで、得られたオリビン型シリケート化合物を用い、リチウムイオン電池の正極を作製した。得られた化合物、ケッチェンブラック(導電剤)、ポリフッ化ビニリデン(粘結剤)を重量比75:15:10の配合割合で混合し、これにN−メチル−2−ピロリドンを加えて充分混練し、正極スラリーを調製した。正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布し、80℃で12時間の真空乾燥を行った。その後、φ14mmの円盤状に打ち抜いてハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスし、正極とした。
次いで、上記の正極を用いてコイン型リチウムイオン電池を構築した。負極には、φ15mmに打ち抜いたリチウム箔を用いた。電解液には、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比1:1の割合で混合した混合溶媒に、LIPF6を1mol/lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、ポリプロピレン等の高分子多孔フィルム等、公知のものを用いた。これらの電池部品を露点が−50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型リチウムイオン電池(CR−2032)を製造した。
製造したリチウムイオン電池を用いて定電流密度での充放電を1サイクル行った。このときの充電条件は電流0.1CA(33mA/g)、電圧4.5Vの定電流定電圧充電とし、放電条件は電流0.1CA、終止電圧1.5Vの定電流放電とした。温度は全て30℃とした。実施例1で得られた正極材で構築した電池の充放電容量を表1に示す。
[実施例2]
実施例1で用いた溶媒の代わりに、超純水17.5cm3とグリセリン20.0cm3とを含有する溶媒(溶媒中におけるグリセリンの含有量:53質量%)を用いた以外、実施例1と同様にしてオリビン型シリケート化合物を得た。次いで、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を製造し、充放電を1サイクル行った。実施例2で得られた正極材で構築した電池の充放電容量を表1に示す。
[実施例3]
実施例1で用いた溶媒の代わりに、超純水22.5cm3とエチレングリコール15.0cm3とを含有する溶媒(溶媒中におけるエチレングリコールの含有量:40質量%)を用いた以外、実施例1と同様にしてオリビン型シリケート化合物を得た。次いで、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を製造し、充放電を1サイクル行った。実施例3で得られた正極材で構築した電池の充放電容量を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で用いた溶媒の代わりに、超純水37.5cm3のみを用いた以外、実施例1と同様にしてオリビン型シリケート化合物を得た。実施例1と同様にしてオリビン型シリケート化合物を得た。次いで、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を製造し、充放電を1サイクル行った。比較例1で得られた正極材で構築した電池の充放電容量を表1に示す。
[比較例2]
実施例1で用いた溶媒の代わりに、超純水32.5cm3とエチレングリコール5.0cm3とを含有する溶媒(溶媒中におけるエチレングリコールの含有量:13質量%)を用いた以外、実施例1と同様にしてオリビン型シリケート化合物を得た。次いで、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を製造し、充放電を1サイクル行った。比較例2で得られた正極材で構築した電池の充放電容量を表1に示す。
Figure 0005854521
表1の結果より、実施例1〜3で得られた電池は、比較例1〜2に比して、優れた電池物性を有することがわかる。

Claims (4)

  1. 次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
    (A)MSO4(式中、Mは、Fe、Ni、Co、Al、Zn、V、Zr又はMnを示す)で表される属硫酸塩又は(R)2M(式中、Rは有機酸残基を示し、Mは、Fe、Ni、Co、Al、Zn、V、Zr又はMnを示す)で表される有機酸属塩、 (B)リチウム化合物、
    (C)ケイ酸化合物、及び
    (D)20〜80質量%のポリオールと水とを含有する溶媒
    を混合し、次いで100〜200℃で水熱反応させることを特徴とするオリビン型シリケート化合物の製造方法。
  2. ポリオールが、2〜3価のアルコールである請求項1に記載のオリビン型シリケート化合物の製造方法。
  3. ポリオールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及び2−メチルプロパントリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のオリビン型シリケート化合物の製造方法
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のオリビン型シリケート化合物にカーボン担持し、次いで焼成することを特徴とするリチウムイオン電池用正極活物質の製造方法。
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