JP5854433B2 - ビール風味飲料用風味改善剤 - Google Patents

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Description

本発明はビール、発泡酒、いわゆる第三のビ−ル、または、ノンアルコールビール風味飲料などのビール風味飲料に添加して、自然かつマイルドで、しかも力強いホップの風味を付与するための風味改善剤に関する。
ビールは爽快な炭酸感、切れの良い苦味などにより喉の渇きを癒すと共に、適度のアルコール濃度により酔いをもたらし、夏の暑い時期はもちろんのこと、冬の寒い時期においても飲酒の機会においては「とりあえず」とか「まず初めの一杯・・・」などの言い回しに表されるように、季節を問わず、さらには世界中で愛飲されているアルコール飲料である。
ビールの風味においてホップは極めて重要な構成要素である。ビールの伝統的製法としては、麦芽と水(必要に応じて澱粉質を有する穀物類などの副原料)を混合し、40℃〜75℃程度で麦芽の内在酵素(主にアミラーゼ、プロテアーゼ)を作用させながら麦芽の澱粉を糖質に分解し、濾過して麦汁を得、これにホップを添加してビール特有の香りと苦みを付け、煮沸により麦芽酵素の働きを止めた後、濾過し、さらに冷却し、酵母を添加し低温にて酵母発酵を行い、濾過により酵母を取り除いた後さらに低温で熟成させるという長期の工程を要するものである。
一方、近年、日本においては、ビールよりも麦芽の使用比率を低く抑え、麦芽の一部を麦芽以外の穀物や澱粉質、タンパク質などの原料に代替し、ビールよりも価格が安いビール風味のアルコール飲料として、発泡酒、さらには、いわゆる第三のビールなどが開発され、その売上が急激に増加している。しかしながら、発泡酒や、いわゆる第三のビールはビールと比べ麦芽使用比率が低いため、コク味、甘味、うま味などの呈味やホップ感などにおいてビールと比較してどうしても劣る傾向があり、現状では十分満足のいくものではないというのが一般的な評価のようである。
また、さらに、ここ数年では、様々な場面でのビールらしい飲料を飲みたいという要求に応えるべく、完全無アルコールといわれるノンアルコールビール風味飲料が開発され、市場を賑わせ販売量を伸ばしている。ノンアルコールビール風味飲料は、古くはビールの膜処理などによる脱アルコール法により作られていたこともあるが、最近開発されているものは苦味素材、こく味素材、糖質素材、酸味素材、ホップエキス、ホップフレーバーや炭酸などを調合したものが主流となってきている。しかしながら、このような調合により得られたものでは、ホップの抽出成分を長時間かけて熟成したものではないため、ビールの有する自然なホップと比べてその風味はまだ不十分なものであった。
このような課題と関連して、ビール等によりよいホップの風味を付与することを目的として、各種方法が提案されている。例えば、ホップを冷水抽出物することにより、ホップの成分の1つである5,5−ジメチル−2(5H)−フラノンを400ppb以上、80000ppb以下の濃度で含有することを特徴とする発泡性アルコール飲料用呈味改善(特許文献1)、ネルソン・ソーヴィン種ホップを水抽出することによりより得られる、4−メチル−3−メルカプト−1−ペンタノールまたは4−メチル−3−メルカプト−1−ペンチルアセテートを豊富に含む抽出物(特許文献2)、ホップを水またはアルコール類に懸濁させ、上清をろ過して生成して得られるフムロンを含有するホップ抽出物を、出荷後のビールに添加してビールの苦味を補充するための添加物(特許文献3)、生のホップ(通常は乾燥したホップを使用)をホップ原料として用いる方法(特許文献4)、収穫後後熟したホップをホップ原料として用いる方法(特許文献5および6)、原料として使用するホップが、該ホップ中に含まれるα酸と、該ホップ中に含まれるポリフェノールの比率が、α酸(%)/ポリフェノール(%)≦1.5となるよう、ホップ中の非ルプリン画分の割合を高めたホップを使用する方法(特許文献7)などが提案されている。また、その他の目的でビール等に添加するためのホップの抽出物としては、ホップを、水及び/又は水と混和する有機溶媒の水溶液で抽出し、その抽出液をゲル型合成吸着剤に通じて、水及び/又は水と混和する有機溶媒の水溶液で前記吸着剤を洗浄後、さらに水と混和する有機溶媒の水溶液により前記吸着剤に吸着した画分を溶出させて得られることを特徴とする発泡麦芽飲料の泡安定化剤(特許文献8)などが提案されている。
しかしながら、特許文献1〜3および8に記載の方法で得られた抽出物を添加した場合、ホップ抽出物そのものが有する独特のとげとげしさが浮き上がってしまい、発酵飲料らしさを求められるビール風味飲料に十分マッチするものではないという欠点を有していた。また、特許文献4〜7のホップそのものに工夫を凝らしたものは、前述のビールの製造工程中においてホップ添加の工程で使用するためのものであり、調合により製造するノンアルコールビール風味飲料には使用できるものではなく、また、発酵工程終了後に添加してホップ風味を付与する場合には応用できないものであった。
WO2009/050905号公報 特開2008−214261号公報 特開2007−312673号公報 特開2004−81113号公報 特開2008−228634号公報 特開2011−139671号公報 特開2011−125291号公報 特開平9−163969号公報
本発明が解決しようとする課題は、ビール風味飲料、特にノンアルコールビール風味飲料の調合の工程や、ビール風味アルコール飲料の発酵後または熟成後の工程に添加することにより、自然でマイルドでしかも力強い、ビールらしさを醸し出すホップ風味を付与することができる素材を提供することにある。
本発明者らは、前記課題に鑑み、ホップ抽出物の調製において、様々な方法を試み鋭意研究を行った。その結果、ホップそのものに酵母を摂取して発酵処理を施すことにより、ホップの有する独特のとげとげしさが解消され、ビール風味と極めて良くマッチする、自然で、マイルドでしかも力強い、ビールらしさを醸し出すホップ抽出物を開発することに成功した。
かくして、本発明は以下のものを提供する。
(1)ホップに酵母を接種して発酵処理してなる処理物の抽出物からなるビール風味飲料用風味改善剤。
(2)ホップに酵素を作用させた後、酵母を接種して発酵処理してなる処理物の抽出物からなるビール風味飲料用風味改善剤。
(3)酵素が細胞壁分解酵素およびβ−グルコシダーゼから選ばれる1種以上であることを特徴とする(2)に記載のビール風味飲料用風味改善剤。
(4)ホップおよび麦芽の混合物に酵母を接種して発酵処理してなる処理物の抽出物からなるビール風味飲料用風味改善剤。
(5)ホップおよび麦芽の混合物に酵素を作用させた後、酵母を接種して発酵処理してなる処理物の抽出物からなるビール風味飲料用風味改善剤。
(6)酵素が細胞壁分解酵素、β−グルコシダーゼおよびアミラーゼから選ばれる1種以上であることを特徴とする(5)に記載のビール風味飲料用風味改善剤。
(7)ビール風味飲料に、(1)〜(6)のいずれかに記載のビール風味飲料用風味改善剤を添加することを特徴とする、ビール風味飲料の風味改善方法。
(8)ビール風味飲料がノンアルコールビール風味飲料であることを特徴とする(7)に記載のビール風味飲料の風味改善方法。
本発明の風味改善剤を添加することにより、ビール風味飲料、特にノンアルコールビール風味飲料の調合の工程に添加することにより、また、ビール風味アルコール飲料の発酵後または熟成後の工程に添加するだけで、その後の煮沸工程や発酵工程などの手間のかかる工程を行なわなくても、ビールと同様な自然でマイルドでしかも力強いビールらしさを醸し出すホップ風味を付与することができる。
本願発明で使用することのできるホップはヨーロッパ原産のクワ科多年草(学名:Humulus luplus)であり、その毬果(雌花が成熟したもの)を一般にはホップと呼び、ビールの苦味、香りづけに用いられる。これらの苦味、香りは、ホップのルプリン部分(毬果の内苞の根元に形成される黄色の顆粒)よりもたらされる。また、ホップは、通常、ホップ毬花を収穫後乾燥(通常、8〜9%程度に乾燥される)した後、粉砕若しくは圧縮してペレットに加工して、低温保存された後、ビール製造に使用されることが多い。ビール製造工程における使用に際しては、その必要量を仕込み工程の麦汁煮沸の際に投入して苦味成分並びにホップ由来の香気成分を麦汁に移行させ、発酵、貯蔵を経て、発酵アルコール飲料にホップ由来の苦味成分並びに香気成分が付与されている。
本発明で使用するホップ原料としては、前記の、収穫後の生のホップ、乾燥ホップ、ペレットのいずれも使用することができる。また、ホップの種類については、例えばファインアロマ、アロマ、ビターのいずれでも使用でき、また品種についても、いかなる品種でも使用でき、例えば、アマリロ、BCゴールディングス、ブリュワーズ・ゴールド、ビュリオン、カスケード、センテニアル、チャレンジャー、シヌック、クラスター、コロンブス、クリスタル、エロイカ、ファッグル、ファッグル、ガレーナ、ゴールディング、ハラタウ、ハラタウ・ミッテルフュー、ハラタウ・トラディション、ハラタウ・ヘラクレス、ハラタウ・マグナム、ヘルスブルッカー・プアレ、ヘルスブルッカー・シュペート、ホライズン、ヒューラー・ビター、ケントゴールディング、リバティ、マグナム、マウントフード、ノーザンブリュワリー、ノーザン・ブリュワー、ナゲット、オリオン、パール、ポーリッシュ・ルブリン、プライド・オブ・リングウッド、レコード、ザーツ、サンティアム、シュパルター、シュパルター・セレクト、スターリング、ストリスルシュパルト、スティリアン・ゴールディングス、ターゲット、テトナンガーウルトラ、ウィラメット、ワイ・ターゲット、かいこがね、きたみどり、ゴールデンスター、信州早生、ソラチエース、とよみどり、南部早生、ふくゆたか、フラノエースなどが例示できる。
本発明で使用する酵母は、ビールの発酵工程で用いることができる酵母が使用でき、例えば、Saccharomyces bayanus、Saccharomyces boulardii、Saccharomyces bulderi、Saccharomyces cariocanus、Saccharomyces cariocus、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces chevalieri、Saccharomyces dairenensis、Saccharomyces ellipsoideus、Saccharomyces florentinus、Saccharomyces kluyveri、Saccharomyces martiniae、Saccharomyces monacensis、Saccharomyces norbensis、Saccharomyces paradoxus、Saccharomyces pastorianus、Saccharomyces spencerorum、Saccharomyces turicensis、Saccharomyces unisporus、Saccharomyces uvarum、Saccharomyces zonatusなどを例示することができる。
本発明では、ホップ原料1質量部に対し、水を2〜40質量部加え、65℃〜120℃にて1分〜2時間程度殺菌した後、0℃〜40℃まで冷却後、スターターの酵母を加え、0℃〜40℃で半日〜2週間発酵処理を行い、80〜100℃程度で1分〜30分程度加熱して酵母を殺菌した後冷却し、遠心分離等により酵母菌体を固液分離し、ケイソウ土などにより清澄濾過し、本発明の呈味改善剤であるホップ抽出物を得ることができる。
なお、スターターの酵母は、例えば、炭水化物源としてグルコース1〜5%程度、例えば、窒素源として酵母エキスを0.2〜1%含有する液体培地にて種酵母を植菌して25〜40℃にて12〜48時間程度静置または攪拌して培養することにより得ることができる。
また、得られたホップ抽出物は、必要に応じて濃縮することができる。濃縮方法としては、例えば、減圧濃縮、逆浸透膜(RO膜)濃縮、凍結濃縮など適宜な濃縮手段をあげることができ、濃縮することにより、本発明の呈味改善剤の濃縮物を得ることができる。濃縮の程度は特に制限されないが、一般にはBx3°〜Bx80°、好ましくはBx8°〜Bx60°、より好ましくはBx10°〜Bx50°の範囲内とすることができる。
また、前記工程中におけるホップ原料と水を混合し、殺菌した後であって、スターターの酵母を加える前に、ホップ原料に酵素を作用させた後、酵母を接種して発酵処理することにより、酵母発酵が進行しやすくなり、また、香気が増強し好ましい。
酵母発酵を進行しやすくするための前処理に使用する酵素としては、細胞壁分解酵素、例えば、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、プルラナーゼ、キシラナーゼ、アラバナーゼ、グルカナーゼ、マンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、プロテアーゼなどを例示することができる。これらの中では、特に、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼおよびプロテアーゼが好ましい。また、香気を増強する酵素としてはプロテアーゼおよびβ−グルコシダーゼを例示できる。
市販のペクチナーゼ製剤としては、例えば、スクラーゼ(登録商標)A、スクラーゼ(登録商標)N、スクラーゼ(登録商標)S(以上、三菱化学フーズ社製)、ペクチネックスウルトラ(登録商標)SP−L(ノボノルディクスA/S社製)、メイセラーゼ(登録商標)(明治製菓(株)社製)、ウルトラザイム(登録商標)(ノボノルディクスA/S社製)、ニューラーゼF(登録商標)(天野エンザイム(株)社製)、スミチーム(登録商標)BGA(新日本化学工業社製)などを例示することができる。市販のヘミセルラーゼ製剤としては、例えば、ヘミセルラーゼ「アマノ」(天野製薬社製)ベイクザイム(登録商標)HS2000、ベイクザイム(登録商標)IConc(以上、日本シイベルヘグナー社製)、エンチロンLQ(洛東化成工業社製)、セルロシン(登録商標)HC100、セルロシン(登録商標)HC、セルロシン(登録商標)TP25、セルロシン(登録商標)B、ヘミセルラーゼM(以上、エイチビィアイ社製)、スミチーム(登録商標)X(新日本化学工業社製)、VERON191、VERON393(以上、レーム・エンザイム社製)などが挙げられる。市販のβ−グルコシダーゼ製剤としては例えば、スミチーム(登録商標)BGA(新日本化学工業社製)、β−GlucosidaseHT1((株)耐熱性酵素研究所製)などを例示することができる。
市販品のセルラーゼ製剤としては例えば、セルラーゼT「アマノ」、セルラーゼA「アマノ」(以上天野エンザイム社製)、ドリセラーゼKSM、マルチフェクトA40、セルラーゼGC220(以上ジェネンコア協和社製)、セルラーゼGODO−TCL、セルラーゼGODO TCD−H、ベッセレックス、セルラーゼGODO−ACD(以上合同酒精社製)、Cellulase(東洋紡績社製)、セルライザー、セルラーゼXL−522(以上ナガセケムテックス社製)、セルソフト、デニマックス(以上ノボザイムズ社製)、セルロシンAC40、セルロシンAL、セルロシンT2(以上エイチビィアイ社製)、セルラーゼ“オノズカ”3S、セルラーゼY−NC(以上ヤクルト薬品工業社製)、スミチームAC、スミチームC(以上新日本化学工業社製)、エンチロンCM、エンチロンMCH、バイオヒット(洛東化成工業社製)などが挙げられる。
ヘミセルラーゼはヘミセルロースを分解する酵素である。ヘミセルロースは、陸上植物細胞の細胞壁を構成する多糖類のうち、セルロースとペクチン以外のものであり、構成する糖が多様であり、結合様式も複雑である。さらにセルロースと水素結合、リグニンと共有結合などを形成し、細胞壁を補強する役割をしている。骨格となる主鎖の糖に側鎖の糖などが結合した構造をしており、それを分解するヘミセルラーゼは、非常に種類が多い。ヘミセルラーゼとしては、例えば、グルカナーゼ、マンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、アラビナーゼ、ポリガラクツロナーゼなどを挙げることができるが、これらの多種類の糖結合を分解する活性を複数併せ持った酵素ととらえることもできる。市販のヘミセルラーゼとしては、例えばヘミセルラーゼ「アマノ」(天野製薬社製)ベイクザイムHS2000、ベイクザイムIConc(以上、日本シイベルヘグナー社製)、エンチロンLQ(洛東化成工業社製)、セルロシンHC100、セルロシンHC、セルロシンTP25、セルロシンB、ヘミセルラーゼM(以上、エイチビィアイ社製)、スミチームX(新日本化学工業社製)、VERON191、VERON393(以上、レーム・エンザイム社製)などが挙げられる。
プロテアーゼは、蛋白質やペプチドのペプチド結合を加水分解する酵素であるが、細胞壁分解酵素を用いて分解する際に併用することで、より効果的に分解することができる。また、作用機作は明らかではないが、ホップ香気が増強する傾向がある。本発明で使用可能なプロテアーゼとしては、例えば、プロテアーゼA、プロテアーゼM、プロテアーゼP、ウマミザイム、ペプチダーゼR、ニューラーゼ(登録商標)A、ニューラーゼ(登録商標)F(以上、天野エンザイム社製の麹菌由来プロテアーゼ);スミチーム(登録商標)AP、スミチーム(登録商標)LP、スミチーム(登録商標)MP、スミチーム(登録商標)FP、スミチーム(登録商標)LPL(以上、新日本化学工業社製の麹菌由来プロテアーゼ);プロチン(登録商標)FN(大和化成社製の麹菌由来プロテアーゼ);デナプシン2P、デナチーム(登録商標)AP、XP−415(以上、ナガセケムテックス社製の麹菌由来プロテアーゼ);オリエンターゼ(登録商標)20A、オリエンターゼ(登録商標)ONS、テトラーゼ(登録商標)S(以上、エイチビィアイ社製の麹菌由来プロテアーゼ);モルシン(登録商標)F、PD酵素、IP酵素、AO−プロテアーゼ(以上、キッコーマン社製の麹菌由来プロテアーゼ);サカナーゼ(科研ファルマ社製の麹菌由来プロテアーゼ);パンチダーゼ(登録商標)YP−SS、パンチダーゼ(登録商標)NP−2、パンチダーゼ(登録商標)P(以上、ヤクルト薬品工業社製の麹菌由来プロテアーゼ);フレーバザイム(登録商標)(ノボザイムズジャパン社製の麹菌由来プロテアーゼ);コクラーゼ(登録商標)SS、コクラーゼ(登録商標)P(以上、三共ライフテック社製の麹菌由来プロテアーゼ);VERON PS、COROLASE PN−L(以上、ABエンザイム社製の麹菌由来プロテアーゼ);プロテアーゼN、プロテアーゼNL、プロテアーゼS、プロレザー(登録商標)FG−F(以上、アマノエンザイム社製の細菌由来プロテアーゼ);プロチンP、デスキン、デピレイス、プロチンA、サモアーゼ(登録商標)(以上、大和化成社製の細菌由来プロテアーゼ);ビオプラーゼ(登録商標)XL−416F、ビオプラーゼ(登録商標)SP−4FG、ビオプラーゼ(登録商標)SP−15FG(以上、ナガセケムテックス社製の細菌由来プロテアーゼ);オリエンターゼ(登録商標)90N、ヌクレイシン(登録商標)、オリエンターゼ(登録商標)10NL、オリエンターゼ(登録商標)22BF(以上、エイチビィアイ社製の細菌由来プロテアーゼ);アロアーゼ(登録商標)AP−10(ヤクルト薬品工業社製の細菌由来プロテアーゼ);プロタメックス(登録商標)、ニュートラーゼ(登録商標)、アルカラーゼ(登録商標)(以上、ノボザイムズ社製の細菌由来プロテアーゼ);COROLASE N、COROLASE 7089、VERON W、VERON P(以上、ABエンザイム社製の細菌由来プロテアーゼ);エンチロンNBS(洛東化成工業社製の細菌由来プロテアーゼ);アルカリプロテアーゼGL440、ピュラフェクト(登録商標)4000L、プロテアーゼ899、プロテックス6L(以上、ジェネコン協和社製の細菌由来プロテアーゼ);アクチナーゼ(登録商標)AS、アクチナーゼ(登録商標)AF(以上、科研ファルマ社製の放線菌由来プロテアーゼ);タシナーゼ(登録商標)(ジェネンコア協和社製の放線菌由来プロテアーゼ);パパインW−40(アマノエンザイム社製の植物由来プロテアーゼ);食品用精製パパイン(ナガセケムテックス社製の植物由来プロテアーゼ);その他、動物由来のペプシン、トリプシンなどを挙げることができる。
これらの細胞壁分解酵素の使用量は、力価などにより異なり一概には言えないが、通常、ホップ原料に対して通常0.01質量%〜10質量%、好ましくは約0.1質量%〜6質量%の範囲内を例示することができる。
また、使用できるβ−グルコシダーゼとしては、例えばアスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾプス属、シュードモナス属、ピキア属などに属するβ−グルコシダーゼ生産菌を、小麦ふすま、米ぬかなどの固体栄養培地または液体栄養培地で常法に従って固体培養又は液体培養し、得られる培養物またはその処理物を常法により精製処理したものや、バニラ豆、生茶葉などの植物より精製処理し得られるもの、さらには、シグマアルドリッチ社から市販されているアーモンド由来のエムルシン、またはβ−グルコシダーゼ含む酵素製剤セルラーゼA(アマノエンザイム社製)、セルラーゼT(アマノエンザイム社製)などから分離したものも使用することができる。β−グルコシダーゼの使用量はホップ原料に対して通常0.01質量%〜10質量%、好ましくは約0.1質量%〜6質量%の範囲内を例示することができる。
酵素処理の条件としては、使用する酵素に応じた通常の酵素処理条件を採用することができる。例えば、前記工程中におけるホップ原料と水を混合し、殺菌した後に、必要な酵素を所定量添加し、一般にpH3〜6、好ましくはpH4〜5.5で攪拌しまたは静置することにより酵素反応を行うことができる。酵素反応中の酸化劣化防止のため、アスコルビン酸またはアスコルビン酸ナトリウムをスラリー全量に対して10ppm〜500ppm程度添加してもよい。酵素は、酵素の至適温度で反応させる必要はなく、やや低めで反応させることが好ましい場合もあり、酵素反応の温度は、一般に20℃〜70℃、好ましくは25℃〜60℃、特に好ましくは30℃〜50℃の範囲内を挙げることができる。また、反応時間は通常5分〜24時間、好ましくは1時間〜20時間、より好ましくは4時間〜18時間とすることができる。酵素処理後、60〜121℃で2〜20分間加熱することにより酵素失活させた後0〜40℃まで冷却し、引き続きスターターの酵母を加え、酵母処理を行うことができる。
本発明ではまた、原料とするホップと併用して、麦芽を同時に使用することで、ホップ由来の酵母の発育抑制作用を緩和させ、酵母発酵を速やかに進めることができ、ビールにマッチする自然でマイルドなホップの風味を有するホップ抽出物とすることができる。使用する麦芽としては、特に限定はなく、大麦、小麦、裸麦、ライ麦などの麦類を原料として得られる公知のものであり特に制限はないが、具体的には、これらの各種麦類を水に20℃以下で約40時間〜50時間浸漬し、適当量の水分を含ませ発芽させた後、温度50℃以下で乾燥したものをいう。また、これらの生または乾燥麦芽を、例えば、100℃以上の熱風で処理するか、あるいは、例えば、回転式焙煎器で100℃〜250℃でロースト(焙煎)処理した、ミュンヘン麦芽、アンバー麦芽、ロースト麦芽、チョコレート麦芽、カラメル麦芽などのロースト麦芽を使用しても良い。
ホップと麦芽の混合比率としては、質量基準で10:1〜1:10、好ましくは6:1〜1:6の範囲を例示できる。ホップと麦芽の混合物を使用した場合の本発明の呈味改善剤を得るための製造工程もホップ単独の時と同様で、ホップと麦芽の混合原料1質量部に対し、水を2〜40質量部加え、殺菌した後、必要に応じて前記と同様の酵素を作用させた後、酵素失活し、冷却後、スターターの酵母を加え、酵母発酵処理を行い、加熱して酵母を殺菌した後冷却し、遠心分離等により酵母菌体を固液分離し、ケイソウ土などにより清澄濾過し、本発明の呈味改善剤である抽出物を得ることができる。また、得られた抽出物は前述のホップ単独の抽出物と同様に濃縮することもできる。
なお、ホップと麦芽の混合物に対し酵素を作用させるときには、前述のホップのみの場合に作用させることができる酵素に加えて、アミラーゼを作用させることが好ましい。
アミラーゼとしてはα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼのいずれでも良く、また、混合して使用することもでき、市販のα−アミラーゼとしては、ビオザイム(登録商標)F1OSD、A、L、アミラーゼS「アマノ」35G(以上アマノエンザイム社製)、コクラーゼ(登録商標)(三菱化学フーズ社製)、スミチーム(登録商標)L(新日本化学工業社製)、クライスターゼ(登録商標)L1、P8、SD80、T10S、コクゲンSD−A、コクゲンL(以上、大和化成社製)、ビオテックスL#3000、TS、スピターゼHS、CP−40FG、XP−404(以上、ナガセケムテックス社製)、グリンドアミル(登録商標)A(ダニスコジャパン社製)、BAN、ファンガミル(登録商標)、ターマミル(登録商標)、ノバミル(登録商標)、マルトゲナーゼ(登録商標)、リコザイムスープラ、ステインザイム(登録商標)、アクアザイム、サーモザイム(登録商標)、デュラミル(登録商標)(以上、ノボザイムズジャパン社製)、フクタミラーゼ(登録商標)30、50、10L、液化酵素6T、液化酵素、リクィファーゼL45(以上、エイチビーアイ社製)、VERON AX、GX、M4、ELS(以上、樋口商会社製)、ユニアーゼ(登録商標)BM−8(ヤクルト薬品工業社製)、ラタターゼ、ラタターゼRCS、SVA、マグナックスJW−121、スミチーム(登録商標)A−10、AS(以上、新日本化学工業社製)、ソフターゲン(登録商標)3H(タイショウテクノス社製)、スペザイム(登録商標)AA、FRED、ピュラスターOxAm、ST(以上、ジェネンコア協和社製)、ベイクザイム(登録商標)P500(日本シイベルヘグナー社製)などが挙げられる。また、市販のβ−アミラーゼ製剤としてはオプチマルト(登録商標)BBA(ジェネンコア協和社製);β−アミラーゼ#1500、β−アミラーゼL、β−アミラーゼ#1500S(以上、ナガセケムテックス社製);ハイマルトシン(登録商標)G 、ハイマルトシン(登録商標)GL(以上、エイチビィアイ社製);ユニアーゼ(登録商標)L(ヤクルト薬品工業社製);GODO−GBA(合同清酒社製)などが挙げられる。また、市販のグルコアミラーゼとしては、例えば、グルク(登録商標)SG、グルクザイム(登録商標)AF6、グルクザイム(登録商標)NL4.2、酒造用グルコアミラーゼ「アマノ」SD(以上、天野エンザイム社製)、GODO−ANGH(合同酒精社製)、コクラーゼ(登録商標)G2、コクラーゼ(登録商標)M(以上、三菱化学フーズ社製)、オプチデックスL(ジェネンコア協和社製)、スミチーム(登録商標)、スミチーム(登録商標)SG(以上、新日本化学工業社製)、グルコチーム(登録商標)#20000(ナガセケムテックス社製)、AMG、サンスーパー(以上、ノボザイムズジャパン社製)、グルターゼAN(エイチビィアイ社製)、ユニアーゼ(登録商標)K、ユニアーゼ(登録商標)2K、ユニアーゼ(登録商標)30、ユニアーゼ(登録商標)60F(以上、ヤクルト薬品工業社製)、マグナックス(登録商標)JW−201(洛東化成工業社製)、グリンドアミル(登録商標)AG(ダニスコジャパン社製)などが挙げられる。
これらのアミラーゼ使用量はホップと麦芽の混合物に対して、通常0.01質量%〜10質量%、好ましくは約0.1質量%〜6質量%の範囲内を例示することができる。
本発明の方法により得られた、ビール風味飲料用風味改善剤は、ビール、発泡酒、第三のビ−ル、ノンアルコールビール風味飲料などのビール風味飲料に0.01%〜3%好ましくは0.05%〜1%程度添加することにより、従来のホップエキス、ホップフレーバーを加えたときとは異なる、自然でマイルドでしかも力強いビールらしさを醸し出すホップ風味を付与することができる。特に、酵母発酵をともなわずに苦味素材、こく味素材、糖質素材、酸味素材、ホップエキス、ホップフレーバーや炭酸などを調合により組み立てた、ノンアルコールビール風味飲料(完全無アルコールビール風味飲料を含む)において、特にその効果を発揮し、ビールと同様の自然でマイルドなホップ風味を付与することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。
(参考例1)
Saccharomyces pastorianus NBRC11023をグルコース2.5%および酵母エキス0.5%を含む培地(121℃、15分殺菌済み)に一白金耳植菌し、30℃にて24時間予備培養してスターター(菌数1.8×10個/g)を調製した。
(実施例1)
水800gおよびL−アスコルビン酸ナトリウム0.24g(0.03%)を溶解し、60℃まで加熱したところで、ホップペレット(ハラタウ・マグナム)100gを投入し、90℃、30分間加熱殺菌を行った。65℃まで冷却後、スミチーム(登録商標)SPG(ペクチナーゼ:新日本化学工業社製)6gを水54gに溶解したものを添加し、65℃にて4時間攪拌反応を行った。90℃、10分間加熱して酵素失活した後、25℃に冷却し、スターター10gを添加し25℃にて48時間培養した。90℃にて5分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却し、さらし布にて固液分離した後、ケイソウ土をプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液(674g、Bx4.02°、pH4.85、エタノール濃度0.56%)を得た。ロータリーエバポレーターを用いてBx20°まで減圧濃縮し、濃縮液を90℃、5分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却して容器に充填し、本発明品の呈味改善剤(本発明品1)(132.3g、Bx20.0°、pH4.87、エタノール0%)を得た。
(実施例2)
実施例1において、酵素をスミチーム(登録商標)SPG(ペクチナーゼ:新日本化学工業社製)6gを水54gに溶解したものに替えて、スミチーム(登録商標)SPG(ペクチナーゼ:新日本化学工業社製)6gを水54gに溶解したもの、および、プロテアーゼM−SD(プロテアーゼ:天野エンザイム社製)6gを水54gに溶解したもの(プロテアーゼがペクチナーゼを分解しないように、それぞれ別々に調製する)を使用する以外は、実施例1と全く同様に操作を行い、本発明品の呈味改善剤(本発明品2)(134.4g、Bx20.0°、pH4.85、エタノール0%)を得た。
(実施例3)
実施例1において、酵素をスミチーム(登録商標)SPG(ペクチナーゼ:新日本化学工業社製)6gを水54gに溶解したものに替えて、スミチーム(登録商標)SPG(ペクチナーゼ:新日本化学工業社製)6gおよびスミチーム(登録商標)BGA(β−グルコシダーゼ:新日本化学工業社製)6gを水108gに溶解したもの、および、プロテアーゼM−SD(プロテアーゼ:天野エンザイム社製)6gを水54gに溶解したもの(プロテアーゼがペクチナーゼを分解しないように、それぞれ別々に調製する)を使用する以外は、実施例1と全く同様に操作を行い、本発明品の呈味改善剤(本発明品3)(139.4g、Bx20.0°、pH4.83、エタノール0%)を得た。
(実施例4)
水800gおよびL−アスコルビン酸ナトリウム0.24g(0.03%)を溶解し、60℃まで加熱したところで、ホップペレット(ハラタウ・マグナム)100gを投入し、90℃、30分間加熱殺菌を行った。25℃まで冷却後、先に調製したスターター11gを添加し25℃にて48時間培養した。なお、この系では、酵母の生育があまりよくなかった。90℃にて5分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却し、さらし布にて固液分離した後、ケイソウ土をプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液(644g、Bx3.34°、pH5.31、エタノール濃度0.16%)を得た。ロータリーエバポレーターを用いてBx20°まで減圧濃縮し、濃縮液を90℃、5分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却して容器に充填し、本発明品の呈味改善剤(本発明品4)(105.2g、Bx20.0°、pH5.24、アルコール0%)を得た。
(比較例1)
水800gおよびL−アスコルビン酸ナトリウム0.24g(0.03%)を溶解し、60℃まで加熱したところで、ホップペレット(ハラタウ・マグナム)100gを投入し、90℃、2時間攪拌抽出を行った。30℃まで冷却し、さらし布にて固液分離した後、ケイソウ土をプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液(578g、Bx2.85°、pH5.42、エタノール濃度0%)を得た。ロータリーエバポレーターを用いてBx20°まで減圧濃縮し、濃縮液を90℃、5分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却して容器に充填し、呈味改善剤(比較品1)(80.5g、Bx20.0°、pH5.34、アルコール0%)を得た。
(比較例2)
水800gおよびL−アスコルビン酸ナトリウム0.24g(0.03%)を溶解し、60℃まで加熱したところで、ホップペレット(ハラタウ・マグナム)100gを投入し、90℃、30分間加熱殺菌を行った。65℃まで冷却後、スミチーム(登録商標)SPG(ペクチナーゼ:新日本化学工業社製)6gおよびスミチーム(登録商標)BGA(β−グルコシダーゼ:新日本化学工業社製)6gを水108gに溶解したもの、および、プロテアーゼM−SD(プロテアーゼ:天野エンザイム社製)6gを水54gに溶解したもの(プロテアーゼがペクチナーゼを分解しないように、それぞれ別々に調製する)を添加し、65℃にて4時間攪拌反応を行った。90℃、10分間加熱して酵素失活した後、30℃まで冷却し、さらし布にて固液分離した後、ケイソウ土をプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液(647g、Bx4.85°、pH4.95、エタノール濃度0%)を得た。ロータリーエバポレーターを用いてBx20°まで減圧濃縮し、濃縮液を90℃、5分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却して容器に充填し、呈味改善剤(比較品2)(130.2g、Bx20.0°、pH4.85、アルコール0%)を得た。
(比較例3)
水400gと95%エタノール400gの混合液にホップペレット(ハラタウ・マグナム)100gを投入し、75℃、2時間攪拌抽出を行った。30℃まで冷却し、さらし布にて固液分離した後、ケイソウ土をプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液(578g)を得た。保留剤としてグリセリン100gを加えて良く混合した後、ロータリーエバポレーターを用いてBx70°まで減圧濃縮し、濃縮液を90℃、5分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却して容器に充填し、呈味改善剤(比較品3)(135.0g、Bx70°、pH5.35、アルコール0%)を得た。
(実施例5)官能評価
下記の処方により、本発明品1〜4または比較品1〜3を0.2%添加したノンアルコールビール風味飲料を調製した。
原材料 処方量(g)
麦芽エキス(Bx70°) 10
ショ糖 20
酵母エキス 0.1
クエン酸 0.02
乳酸 0.02
苦味料 0.01
本発明品または比較品 2
全体を炭酸水で1Lとする
それぞれの飲料を、10名の良く訓練されたパネラーにより、官能評価を行い評点をつけた。評価項目は、ホップの風味について、強さ、ビールらしさ、ナチュラル感、マイルドさ、とげとげしさについて評価し、それぞれ−5:非常に悪い、−2:やや悪い、0:特徴なし、+2:良い、+5:非常に良いとして採点した。その平均点および平均的な風味評価結果を表1に示す。
Figure 0005854433
表1に示した通り、酵母処理も酵素処理も行わない水抽出のみによるホップエキスである比較品1を添加したノンアルコールビール風味飲料は、ホップ感は感じられるがやや弱く、また、とげとげしていて、全体的にバランスが悪く、あまりビールらしくないという評価であった。それに対し、酵母処理したホップエキスである本発明品1〜4を添加したノンアルコールビール風味飲料は、いずれもホップ感が力強くナチュラルで、ビール的な風味バランスを有し、良好という評価であった。また、酵母処理の前処理としてペクチナーゼに加え、プロテアーゼやβ−グルコシダーゼを併用すると(本発明品2、3)、ホップの力強さやナチュラル感やビールらしさが向上し、良好であるという評価であった。一方、酵素処理を行っていない本発明品4は、酵素処理を行ったものと比較して、やや劣る評価であった。この原因としては、定かではないが、ホップを酵素処理せずに酵母処理した場合、ホップの抗菌性により酵母が十分に増殖できないが、酵素処理後は抗菌性が弱まることにより酵母が増殖しやすくなることによると考えられる。
一方、酵素処理のみ(比較品2)では、酵母処理を行ったものと比較して、劇的な変化は起こらず、ホップ感は感じられ、また、ビールらしさも多少あるが、ややとげとげしていて、全体的に調和していないという評価であった。また、含水エタノール抽出物である比較品3はホップ感は強いが、とげとげしさが強く感じられ、ホップ風味を後から加えたような違和感があるとの評価で、あまり良好ではなかった。
(実施例6)
水4000gにL−アスコルビン酸ナトリウム1.2g(0.03%)を溶解し、さらにホップペレット(ハラタウ・ヘラクレス)150gを投入し、攪拌しながら60℃まで加熱したところで、乾燥麦芽150gを投入し、90℃、30分間加熱殺菌を行った。55℃まで冷却後、スミチーム(登録商標)2000(耐熱性グルコアミラーゼ:新日本化学工業社製)6gおよびセルラーゼT(セルラーゼ:天野エンザイム社製)6gを120gに溶解したものならびにスミチームFP(プロテアーゼ:新日本化学工業社製)6gを水60gに溶解したものを添加し、55℃にて4時間攪拌反応を行った。90℃、10分間加熱して酵素失活した後、30℃に冷却し、スターター40gを添加し25℃にて48時間培養した。90℃にて10分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却し、バスケット型遠心分離機にて固液分離した後、ケイソウ土をプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液(3615、Bx3.55°、pH5.13、エタノール濃度0.85%)を得た。ロータリーエバポレーターを用いてBx15°まで減圧濃縮し、濃縮液を90℃、5分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却して容器に充填し、本発明品の呈味改善剤(本発明品5)(633g、Bx15.0°、pH5.02、エタノール0%)を得た。
(実施例7)
水4000gにL−アスコルビン酸ナトリウム1.2g(0.03%)を溶解し、さらにホップペレット(ハラタウ・ヘラクレス)50gを投入し、攪拌しながら60℃まで加熱したところで、乾燥麦芽250gを投入し、90℃、30分間加熱殺菌を行った。55℃まで冷却後、スミチーム(登録商標)2000(耐熱性グルコアミラーゼ:新日本化学工業社製)6gおよびセルラーゼT(セルラーゼ:天野エンザイム社製)6gを120gに溶解したものならびにスミチームFP(プロテアーゼ:新日本化学工業社製)6gを水60gに溶解したものを添加し、55℃にて4時間攪拌反応を行った。90℃、10分間加熱して酵素失活した後、30℃に冷却し、スターター40gを添加し25℃にて48時間培養した。90℃にて10分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却し、バスケット型遠心分離機にて固液分離した後、ケイソウ土をプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液(3615、Bx5.25°、pH5.01、エタノール濃度1.1%)を得た。ロータリーエバポレーターを用いてBx15°まで減圧濃縮し、濃縮液を90℃、5分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却して容器に充填し、本発明品の呈味改善剤(本発明品6)(1022g、Bx15.0°、pH4.94、エタノール0%)を得た。
(実施例8)
水4000gにL−アスコルビン酸ナトリウム1.2g(0.03%)を溶解し、さらにホップペレット(ハラタウ・ヘラクレス)250gを投入し、攪拌しながら60℃まで加熱したところで、乾燥麦芽50gを投入し、90℃、30分間加熱殺菌を行った。55℃まで冷却後、スミチーム(登録商標)2000(耐熱性グルコアミラーゼ:新日本化学工業社製)6gおよびセルラーゼT(セルラーゼ:天野エンザイム社製)6gを120gに溶解したものならびにスミチームFP(プロテアーゼ:新日本化学工業社製)6gを水60gに溶解したものを添加し、55℃にて4時間攪拌反応を行った。90℃、10分間加熱して酵素失活した後、30℃に冷却し、スターター40gを添加し25℃にて48時間培養した。90℃にて10分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却し、バスケット型遠心分離機にて固液分離した後、ケイソウ土をプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液(3312、Bx2.76°、pH5.15、エタノール濃度0.55%)を得た。ロータリーエバポレーターを用いてBx15°まで減圧濃縮し、濃縮液を90℃、5分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却して容器に充填し、本発明品の呈味改善剤(本発明品7)(438g、Bx15.0°、pH5.09、エタノール0%)を得た。
(実施例9)
水4000gにL−アスコルビン酸ナトリウム1.2g(0.03%)を溶解し、さらにホップペレット(ハラタウ・ヘラクレス)300gを投入し、90℃、30分間加熱殺菌を行った。55℃まで冷却後、スミチーム(登録商標)2000(耐熱性グルコアミラーゼ:新日本化学工業社製)6gおよびセルラーゼT(セルラーゼ:天野エンザイム社製)6gを120gに溶解したものならびにスミチームFP(プロテアーゼ:新日本化学工業社製)6gを水60gに溶解したものを添加し、55℃にて4時間攪拌反応を行った。90℃、10分間加熱して酵素失活した後、30℃に冷却し、スターター40gを添加し25℃にて48時間培養した。90℃にて10分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却し、バスケット型遠心分離機にて固液分離した後、ケイソウ土をプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液(3256、Bx2.54°、pH5.17、エタノール濃度0.48%)を得た。ロータリーエバポレーターを用いてBx15°まで減圧濃縮し、濃縮液を90℃、5分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却して容器に充填し、本発明品の呈味改善剤(本発明品8)(411g、Bx15.0°、pH5.12、エタノール0%)を得た。
(比較例4)
水4000gにL−アスコルビン酸ナトリウム1.2g(0.03%)を溶解し、攪拌しながら60℃まで加熱したところで、乾燥麦芽300gを投入し、90℃、30分間加熱殺菌を行った。55℃まで冷却後、スミチーム(登録商標)2000(耐熱性グルコアミラーゼ:新日本化学工業社製)6gおよびセルラーゼT(セルラーゼ:天野エンザイム社製)6gを120gに溶解したものならびにスミチームFP(プロテアーゼ:新日本化学工業社製)6gを水60gに溶解したものを添加し、55℃にて4時間攪拌反応を行った。90℃、10分間加熱して酵素失活した後、30℃に冷却し、スターター40gを添加し25℃にて48時間培養した。90℃にて10分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却し、バスケット型遠心分離機にて固液分離した後、ケイソウ土をプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液(3754、Bx5.85°、pH4.96、エタノール濃度1.3%)を得た。ロータリーエバポレーターを用いてBx15°まで減圧濃縮し、濃縮液を90℃、5分間加熱殺菌した後、30℃まで冷却して容器に充填し、本発明品の呈味改善剤(比較品4)(1125g、Bx15.0°、pH4.86、エタノール0%)を得た。
(実施例10)官能評価
市販ノンアルコールビールに本発明品5〜8または比較品4を0.1%添加した。
それぞれの飲料を、10名の良く訓練されたパネラーにより、官能評価を行い評点をつけた。評価項目は、ホップの風味について、ビールらしさ、ナチュラル感、苦味、ならびに、味全体の厚みについて評価し、それぞれ−5:非常に悪い、−2:やや悪い、0:変化なし、+2:良い、+5:非常に良いとして採点した。その平均点および平均的な風味評価結果を表2に示す。
Figure 0005854433
表2に示した通り、ホップのみを酵母処理した本発明品8を添加した市販ノンアコールビールはホップ感が力強く、ナチュラルで、ビール的な調和感があるが、味全体の厚みはあまりでない点において、ややもの足りなかった。それに対し、ホップと共に麦芽を酵母発酵した本発明品5〜7を添加した市販ノンアコールビールは、いずれも、ホップ感が増強し、またホップ感がナチュラルで、ビール的な調和感があり、さらに、味全体の厚みも出て良好であった。これらのうちでは、麦芽比率が増えると、ホップ感は強くなるが、味全体の厚みは弱くなり、逆に、ホップ比率が増えると、味全体の厚みは弱くなるが、ホップ感は弱まる傾向があった。なお、麦芽のみでは味の厚みは出るが、ホップ感がややぼやけて弱まり、あまりよくないという結果であった。

Claims (4)

  1. 以下の工程(A)〜(E)を含むことを特徴とする、酵母発酵を伴わないノンアルコールビール風味飲料用風味改善剤の製造方法。
    (A)ホップ原料1質量部に対し、水を2〜40質量部加え、ホップと水の混合物を得る工程、
    (B)前記工程(A)で得られる混合物を加熱殺菌する工程、
    (C)前記工程(B)の殺菌後に酵素を作用させる工程、
    (D)前記工程(C)の酵素作用後、酵母を加え、酵母発酵処理を行う工程、
    (E)前記工程(D)の酵母発酵処理後に、酵母菌体を固液分離し、分離液を得る工程
  2. 以下の工程(A)〜(E)を含むことを特徴とする、酵母発酵を伴わないノンアルコールビール風味飲料用風味改善剤の製造方法。
    (A)質量を基準として1:10〜10:1であるホップと麦芽を用意し、ホップと麦芽の混合物1質量部に対し、2〜40質量部の水を加え、ホップ、麦芽および水の混合物を得る工程、
    (B)前記工程(A)で得られる混合物を加熱殺菌する工程、
    (C)前記工程(B)の殺菌後に酵素を作用させる工程、
    (D)前記工程(C)の酵素作用後、酵母を加え、酵母発酵処理を行う工程、
    (E)前記工程(D)の酵母発酵処理後に、酵母菌体を固液分離し、分離液を得る工程
  3. 酵素が細胞壁分解酵素およびβ−グルコシダーゼから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の風味改善剤の製造方法
  4. 酵母発酵を伴わないノンアルコールビール風味飲料に、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法により得られる風味改善剤を添加することを特徴とする、酵母発酵を伴わないノンアルコールビール風味飲料の風味改善方法。
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