JP5847190B2 - 双極性スピン転移反転 - Google Patents

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Description

関連特許出願の相互参照
本出願は,2010年11月17日に提出された米国仮出願61/414,724号からの優先権を主張し、2011年3月4日に出願された米国特許出願第13/041,104号の一部継続であり、この第13/041,104号は2009年6月24日に出願された米国特許出願第12/490,588号の分割米国特許出願であり、この第12/490,588号は2007年10月31日に出願された米国特許出願第11/932,745号の一部継続であり、この第11/932,745号は2006年8月1日に出願された米国特許出願第11/498,303号の一部継続であり、この第11/498,303号は,2005年10月13日に米国特許出願第11/250,791号として出願され,2006年11月14日に許可され,2007年1月30日に米国特許第7,170,778号として発行されたものの一部継続であり、この米国特許第7,170,778号は2003年8月19日に出願された米国特許出願第10/643,762号の継続であり、2005年9月12日に許可され、米国特許第6,980,469号として2005年12月27日に発行されたものであり、これらのすべては,その全体が参照により本明細書に組み込まれるものである。
本発明は、一般に、メモリや情報処理に用いられる磁気装置に関するものである。特に、本発明は、双極性スピン転移反転を提供する、スピン転移トルク磁気ランダム・アクセス・メモリ(STT−MRAM)を記述するものである。
スピン分極した電子の流れを利用する磁気装置は、磁気メモリ及び情報処理アプリケーションにとって重要である。このような装置は、一般に、金属または絶縁体等の非磁性材料によって分離された少なくとも2つの強磁性電極を含む。電極の厚さは通常1nm〜50nmの範囲である。非磁性材料が金属である場合、このタイプの装置は、巨大磁気抵抗又はスピンバルブ装置として知られている。装置の抵抗は磁性電極の相対的な磁化の向き、たとえば、それらが平行または反平行(すなわち、磁化が平行線上に位置するが、反対方向に向いている)であるかに依存する。一方の電極は、典型的には、その磁化が固定されている、すなわち、それは他方の電極50よりも高い保磁力を有し、その磁化の向きを変更するためには、より大きな磁界またはスピン分極電流を必要とする。第二層は自由電極として知られており、その磁化方向は前者に対して変化させることができる。情報は、この第二層の方向に格納することができる。例えば、“1”または“0”は層の反平行の配向によって、また、“0”または“1”は平行な配向で表すことができる。素子抵抗は、これら2つの状態において異なるため、素子抵抗を使って、“1”を“0”から区別することができる。このような装置の重要な特徴は、磁気ハードドライブのように、電力が切られた時に装置が、数十ナノメートルであっても情報を保持するので、不揮発性のメモリであるということである。磁石電極は横方向のサイズがサブミクロンであることが可能であり、磁化方向は熱揺らぎに対しても依然として安定性を保つことができる。
従来の磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)の設計では、磁界は自由電極の磁化方向を反転するために使用される。これらの磁界は、磁気電極の近くに電流が流れる配線を使用して作られる。メモリ装置はMRAMセルの密なアレイから構成されているので、配線の断面は小さくなければならない。配線からの磁界が長距離磁界を生み出すので(配線の中心からの距離の逆数として磁界は減衰するのみ)、アレイ素子間のクロストークが生じ、装置の一つが、他の装置からの磁場を経験する。このクロストークは、メモリの密度を制限し、及び/またはメモリ動作においてエラー発生の原因となる。また、このような配線によって発生する磁界は、電極の位置で約0.1テスラに限定され、これが装置の動作を遅くする原因となる。重要なのは、従来のメモリ設計はまた反転イベントを開始するために確率的(ランダム)プロセスまたは変動するフィールドを使用し、これは本質的に低速かつ信頼性が低い。(例えば、Phys.Rev.Lett.84,5419(2000)におけるRHコッホ等を参照のこと)。
米国特許第5,695,864号といくつかの他の出版物(例えば、J.スロンケウスキー、Journal of Magnetism and Magnetic Matreials 159、LI(1996))において、ジョン・スロンケウスキーはスピン分極電流を利用して、直接、磁性電極の磁気の向きを変更するメカニズムを説明した。提案されたメカニズムでは、流動電子のスピン角運動量は、磁性領域のバックグラウンドの磁化と直接相互作用する。移動する電子は、背景磁化へのスピン角運動量の一部を転送し、この領域の磁化にトルクを発生する。このトルクは、この領域の磁化の向きを変え、その磁化方向を反転することができる。さらに、これは電流が流れる領域のみに作用するので、この相互作用は局所的である。しかしながら、提案されたメカニズムは、純粋に理論的なものであった。
スピン転移トルク磁気ランダムアクセスメモリ(STT−MRAM)装置は、汎用メモリとして大変有望である。STT−MRAMは、不揮発性で、小さなセルサイズ、高い耐久性を有し、スタティックRAM(SRAM)の速度に匹敵する可能性がある。通常の同一直線上に磁化されたSTT−MRAM装置の欠点は、しばしば長い平均切替時間と広い反転時間分布を持つということである。これは層の磁化がずれているときにのみ、スピントルクが非ゼロであるという事実と関連している。したがってスピン転移反転は、反転可能な磁気(自由)層の初期ずれ、‐例えば、熱揺らぎから‐を必要とする。熱揺らぎに依存することは、数ナノ秒となる可能性のある予測不可能なインキュベーション遅延を伴った一貫性のない逆転につながる。
スピン転移トルク磁気ランダムアクセスメモリ(STT−MRAM)装置は、情報を書き込むために素子の磁気状態を変更する電流または電圧のパルスを使用する。これまでに知られているすべてのSTT−MRAM装置では、正と負の両極性の電圧/電流パルスが、装置の動作のために必要とされる。例えば、正極性パルスが“1”を書き込むために必要とされ、負極性パルスが“0”を書き込むために必要とされる。(もちろん、どの磁性状態が“1”、あるいは、“0”を示すかという定義は任意である。)この磁気素子は、典型的には装置の基準層の磁化に対して平行または反平行である、“左”か“右”かに配向された磁化の2つの状態が可能である。これら二つの磁気状態は、異なる抵抗値を有し、これを利用して情報を電気的に読み出すことができる。
現在の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術を使用する際には、STT−MRAMセルへの信号を制御するための回路が必要である。以前のSTT−MRAM装置は、双極性ソースを必要とし、ビットセルは一方の極性により一つの状態に設定され、他方の極性によって他の状態に設定され、つまり、単極性であった。すなわち、各極性は“0”または“1”のどちらかのみしか書き込むことができないので、両方の極性を提供できるソースが必要であった。読み取りは、単極性電圧/電流源を使用して行うことができるが、情報書き込みには双極性ソースを必要とした。
スピン転移トルクを使用する従来の装置の設計に関する制限に鑑みて、本発明の目的は、改善された磁気メモリや磁気情報処理装置を提供する構造および方法を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、簡略化された外部駆動回路を必要とする磁気装置を製造することである。
本発明のもう一つの目的は、動作速度の点で利点を有する磁気装置を製造することである。
本発明のもう一つの目的は、信頼性の面で利点を有する磁気装置を製造することである。
本発明のもう一つの目的は、電力消費のより少ない磁気装置を製造することである。
本発明のこれら及び他の付加的な目的は、層の磁化方向が同一軸に沿わない磁性層を採用する装置および方法によって達成される。例えば、一実施形態では、2つの磁気領域が直交する磁化を有する。
本発明のさらなる態様は、パルスの特定の極性を必要としない磁気装置を提供する。磁気装置は、少なくとも第一の安定状態と第二の安定状態とを有する。適切な振幅及び持続時間のパルスの印加は、現在の状態から他の状態へ反転する、すなわち、第一の状態から第二第二の状態へまたは第二の第二状態から第一の状態へ磁気装置を反転する。したがって、パルス源は、単極性であることのみが必要であり、ビットセルは、それがどちらの極性のパルスも受け入れることができるという点で、双極性である。
本発明の前述の特徴およびその他の特徴は、本発明の例示的な実施形態の下記の詳細な説明及び図面から容易に明らかになるであろう。そして、そこにおいては、類似の参照番号は図面を通して類似の要素を参照する。
図1(a)は、OST−MRAM積層体を示し、図1(b)は、装置抵抗対面内のフィールドのグラフであり、107%の磁気抵抗(MR)と12mT(ミリテスラ)において平行(P)から反平行(AP)状態への、また、−16mTにおいてAPからPへの自由層の切替を示し、図1(c)は積層体の磁化のデバイス振動試料磁気測定(VSM)の測定値のグラフであり、点線曲線は、面内に印加された磁界のもとで、自由層及び(合成反強磁性)(SAF)自由層の反転を示し、四角の線の赤い曲線は、平面に垂直な磁界における分極層の特性を示し、高い残留磁気と50mTの保磁力を示す。 歳差反転の一例であり、磁化歳差運動を生成するためのパルスを示す。 10mTの印加磁界における、3つの異なるパルス振幅に関するパルス持続時間の関数として、PからAP状態への反転の確率のグラフである。100%の反転確率は500ピコ秒未満の持続時間のパルスにおいて達成される。 図4(a)および図4(b)は、700ピコ秒の固定パルス持続時間のパルス振幅の関数としての反転確率のグラフであり、図4(a)ではPからAP状態へ、図4(b)ではAPからP状態への反転を示し、反転は双極性で、正と負のパルス極性の双方について発生する。 、直接反転の一例であり、ビットセルの反転イベントの電圧のトレースを示す。 図6(a)−6(f)は、パルス振幅の関数としてPからAPへの統計的確率を示す。大きなパルス振幅はより短い反転開始時間及びより短い反転時間を生じる。 図7(a)−7(c)は50nm×115nmの楕円形のビットセルの典型的な装置特性を示す。抵抗は、面内に印加された磁場の関数として測定される。図7(a)は基準層及び自由層の反転が誘導された印加場を示す。図7(b)は、基準層のみの反転が誘導された印加場を示し、図7(c)は自由層のみの反転が誘導された印加場を示す。 図8(a)−8(c)は(β=1,a=+0.025)の条件のもとで、磁化反転が時間ゼロにおいてP状態から始まる歳差であることを示し、磁化の3つの成分m、m及びmを示す。 図9(a)−9(c)(β=1,a=−0.025)の条件のもとで、磁化反転が歳差であることを示し、正及び負の極性のパルスの両方が、歳差運動の速度(または周波数)はやや異なるが、歳差磁化反転につながること(つまり、歳差がないこと)を示す。 図10(a)−10(c)は(β=5,a=+0.008)の条件のもとで、PからAPへの磁化反転が直接であることを示す。 図11(a)−11(c)は(β=5,a=0.008)の条件のもとでは、P状態からの反転は存在せず、正パルス(図10(a)−10(c))のみがPからAP状態への磁化反転につながることを示す。 図12(a)−12(c)は(β=5,a=−0.006、すなわち負のパルス極性)の条件のもとで、APからP状態への直接反転があることを示す。 図13(a)−13(c)は(β=5,a=+0.006、すなわち正のパルス極性)の条件のもとでは、APからP状態への磁化反転が存在せず、APからP状態への反転は負のパルス極性(図12(a)−12(c))においてのみ発生することを示す。
本発明は、直交スピン転移MRAM(OST−MRAM)装置および方法に対するものである。OST−MRAMは、大きな初期スピン転移トルクを達成するために、自由層に対して垂直に磁化されたスピン分極層を利用する。このジオメトリは、ナノ秒のインキュベーション遅延をなくし、反転の確率的性質を低下させるので、同一直線的に磁化されたSTT−MRAM装置に比べて大きな利点を有する。また、50ピコ秒以下の書き込み時間の可能性を秘めている。図1(a)は、STT−MRAMの一実施形態を示す。垂直に磁化された分極子(P)は、自由磁性層(FL)から非磁性金属によって分離されている。自由層は、MTJの一方の電極を形成する。他方の電極、基準層は、SAF自由層から構成される。
OST−MRAMでは基準磁性層が磁化状態を読み出すために使用される。この層の磁化は、自由層の磁化と同一直線的であり、メモリ状態は、基準層の磁化に平行(P)または反平行(AP)な自由層の磁化に対応するように設定される。以前のOST−MRAM装置は、磁化された面内スピンバルブと組み合わせた面外の磁化されたスピン分極子を利用していた。高速反転が見られる反面、結果として得られる読み出し信号は小さく、磁気抵抗(MR)は〜5%未満であった。装置のインピーダンスも小さく、〜5Ωであった。
本発明の一実施形態は、高速反転および大きな(>100%)MR‐これらは両方ともアプリケーションのために重要であるが‐を組み合わせた磁気トンネル接合(MTJ)に基づいたOST−MRAM装置に対するものである。装置インピーダンスは〜1kΩであり、したがって、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)電界効果トランジスタ(FET)メモリ制御回路に適合する。書き込み機能は、状態を設定するのではなく、セルの状態を反転する。また、反転は双極性であり、正と負の極性パルスについて発生し、歳差反転機構と一致する。
一実施形態において、本発明は、スピン転移装置動作の“トグル”モードを有効にする装置および方法を提供する。ビットセルはパルスの極性に基づいて状態を設定しない‐つまり、双極性である‐ので、パルス源は、単極性であり得る。むしろ、どちらの極性にとっても十分な振幅のパルスが、装置の磁化状態を、“1”→“0”や、“0”→“1”と、“トグル”する。したがって、(十分な時間と振幅を持つ)パルスが、元の磁気状態に関係なく、装置またはビットセルの磁性状態を変更する。このように、一実施形態では、動作のそのような“トグル”モードでの情報の書き込みは、装置またはビットセルの初期状態の読み出しを必要とし、また、書き込まれる情報に応じて、電流/電圧パルスを印加、または、印加しないことを必要とし得る。すなわち、装置またはビットセルが既に目的の状態であった場合には、パルスは全く印加されないことになる。
この実施形態の一例として、図2は、実験時間ビットセル反転イベントの解決電圧トレースを示す。−0.62Vの電圧パルスが、プロット上で時間ゼロに始まり、約2ns印加される。装置は、50nm×115nmの楕円形のビットセルであり、約2キロオームのインピーダンスを有する。信号レベル1の水平破線トレースは反平行状態(AP)に相応する。信号レベル0の水平破線トレースはビットセルが平行(P)状態にある時の応答を示す。(P及びAPはスタック内の基準層磁化に対する自由層の磁化方向に対応する。)約1.1ナノ秒で装置は、PからAP状態に反転する。その後、装置は、約3GHzの周波数で歳差運動する。装置の最終状態(PまたはAP)は、パルス持続時間に依存する。
STT−MRAMにおける双極性のトグルの使用により、すべての装置動作(すなわち、読み込み、書き込み)を一極性の電源で行うことができるので、外部駆動回路を簡略化することを可能にする。また、500ピコ秒未満のパルスが装置の磁性状態をトグルするため、本発明を利用する装置はより速く作動する可能性があると考えられる。一極性のみを必要とすることのもう1つの利点は、消費電力が低減することである。これは、装置への電源電圧は異なるレベル間で反転する必要がないという事実に部分的に起因する。現在のMRAM−CMOS設計においては、通常、1つのトランジスタが各MRAMビットセルに関連し、このトランジスタのソースとドレイン電圧は情報を書きこむために変化する必要がある。本発明の一実施形態によれば、ソースまたはドレインの電圧を一定レベルに維持することができる。供給電圧の極性が変更されるたびにエネルギーが必要とされるので、ソースまたはドレインの電圧を一定のレベル(または複数のレベル)に維持することにより、装置の動作に必要な電力が低減する。一実施形態では、反転は、室温で熱的に安定である自由磁性層において、450fJ未満のエネルギーを必要とする。
先に言及したように、記述されたOST−MRAM装置の一つの特徴は、反転が双極性、すなわち、本発明においては、ビットセルは、どちらの電圧パルスの極性を使用してもその状態を反転することができることである。ただし、スイッチをトリガするパルスのしきい値が存在する可能性がある。それらの閾値は、パルスに応じ、たとえば、パルスの極性または装置の初期状態、すなわちPまたはAPに応じて異なり得る。この特性はさらに、図4(a)および図4(b)の例について以下に示される。
この2つの極性の確率分布の非対称性は、普通の同一直線的な自由層/トンネルバリア/SAFタイプのSTT装置に見られる特性とは異なっている。これらの装置では、反転は電圧パルスの一方の極性についてのみか、または熱誘起されたバックホッピングを介してのみ行われる。前述したように、OST−MRAM装置においては反転が両極で発生する。この双極性反転過程は、トルクが垂直分極子に由来していることを示す。同一直線的装置の場合、スピン転移トルクモデルに基づき、正極性パルスに対してのみP→AP反転がおこることが期待される。本発明の一実施形態では、正極性パルスが反対の極性パルスと比較してより低い反転確率(図4(a))をもたらす。反転のプロセスが、本明細書に記載されるようなOST−MRAM装置のスピン転移トルク反転ではなく、接合の単純な加熱に関与する場合は、対称反転確率分布と、反転確率のパルス振幅への単調依存とが観察されることが予想されるが、図4(a)および図4(b)に見られるごとく、そのようにはならない。
本実施形態の一例として、図5は、ビットセル反転イベントの実験時間解決電圧トレースを示す。0.7Vの電圧パルスが、プロットで時間ゼロから始まり、約2ns印加される。装置は、60×180nmの六角形状であり、1キロオーム程度のインピーダンスを有する。点線トレース“a”はビットセルが平行状態(P)内にある時の応答を示す。ライントレース“b”はビットセルが反平行(AP)状態にある時の応答を示す。(P及びAPは、スタック内の基準層の磁化に対する自由層の磁化方向を示す。)ライントレース“c”はパルスの開始約1.2ナノ秒後のPからAPへの装置の反転イベントを示す。ライントレース“d”は同じデータを示すが、ノイズに関連した高周波成分を除去するフィルターがかけられている。開始時間と反転時間は、図5に示されるように定義されている。
自由層の反磁界についての磁化回転は、パルス振幅または持続時間の非単調関数である反転確率をもたらす結果となるが、それは自由層の磁化が完全回転(すなわち、2π回転)を終了した後にパルスが終った場合、反転の確率が低減されるからである。歳差運動周波数も、分極及び基準層からの末端領域のために、パルス極性の関数でもある可能性がある。さらに、基準層からのスピントルクが、ある自由層状態を他の自由層状態よりも支持するトルクを加えることにより反転対称性を破る。
従って、本発明の原理に従う装置は、“0”と“1”の両方の状態を書き込むために一方の極性のみの電圧/電流パルスを利用することができる。同じ極性パルスによって、最初に“1”の状態にある装置は“0”状態へ、また、最初に“0”の状態にある装置は“1”状態へ反転することができる。さらに、これらの動作に必要なパルスの振幅は異なり得るが、(図4(a)および図4(b)参照)、この態様は、装置の動作において有利に使用することができる。例えば、閾値が異なる場合、パルス振幅が装置の最終状態を一意的に決定することができる。一実施形態においては、正極性パルスと負極性パルスの閾値の差が十分に大きく、読み取り工程が不要になることさえあり得る。例えば、PからAPへ反転する上で100%の確率を達成するために、負のパルスが正パルスよりもはるかに低い振幅やパルス持続時間を必要とし、またその逆に、正のパルスがAPからPへ反転する上で100%の確率を達成するために、はるかに低い振幅やパルス持続時間を必要とする場合には、それらの閾値を利用して所望の機能を達成することができる。APからPへの反転に必要な正パルスが、PからAPへ反転するのに必要な閾値以下である場合、また、逆に、負のパルスについても同様であるが、その場合、装置は、書き込みの前にビットセルを読み取る必要はない。例えば、P状態へのビットセルの書き込みが望まれる場合、装置は十分な(Pへの反転のための100%の閾値を超えるが、APへの反転のための閾値以下の)正パルスによりパルスすることができる。ビットセルがAPにある場合、正のパルスはPに反転するのに十分である。しかし、ビットセルが既にPである場合、正のパルスはAPに反転するのには不十分(即ち、閾値以下)である。
以下の非限定的な実施例は、本発明の様々な属性を示す。
(例1)
OST−MRAM積層体はSingulus TIMARIS PVDモジュールを使用して150ミリメートルの酸化シリコンウェハ上に成長させた。装置の層構造は、図1(a)に示されている。分極子は、Co/Niの多層膜に結合されたCO/Pdの多層交換により構成される。Co/Niの多層膜は、Ni内のCoの強いスピン散乱の非対称性と垂直磁気異方性(PMA)により高スピン分極性を有する。層の保磁力や残留磁束密度を高めるために、この層は、非常に大きいPMAと、パラジウムの強いスピン軌道散乱に起因する低いスピン分極とを有する、Co/Pdに結合されている。分極子は、MTJの一方の電極である、面内磁化されたCoFeBの自由層から10nmのCuによって分離される。MTJ構造は3CoFeB|0.8MgO|2.3Co0.4Fe0.40.2|0.6Ru|2Co0.4Fe0.316PtMn(各組成の左側の数は層の厚さをnmで示す)である。ウェハは、磁場中で2時間300℃で焼きなました後、振動試料磁気測定(VSM)、強磁性共鳴分光法(FMR)、および面内電流トンネリング(CIPT)測定により、特性が決定される。図1(c)は、面内および面に対して垂直に印加された磁界におけるフィルム磁化のVSM測定値を示している。自由層は非常に柔らかいが、他方、参照層は約50mTの保磁力を持っており、反強磁性PtMnからの交換バイアスは100mTである。垂直分極子は50mTの保磁力を持つ。
ウェハは、電子ビームと光学リソグラフィを用いOST−MRAM装置を作成するようにパターン化された。イオンミリングを使用して、自由層を貫いてサブ100nmの形状をエッチングするのに使用された。装置サイズは40nm×80nmから80nm×240nmの間で変化し、形は矩形、楕円、および六角形である。約100の接合部が研究された。60nm×180nmの六角形状の1つの装置に関して得られた結果を以下に詳細に記載する。ここには示されていないが、このタイプの他の装置に関しても同様の結果が得られている。
小さい電圧(Vdc,=30mV)を印加し、電流を測定することによりサンプルの抵抗を測定した。装置のMRは、主に、自由層(3CoFeB)と基準層(2.3CoFeB)の相対的な向きによって決定され、これは、平行(PA)または反平行(AP)のいずれかであり得る。図1(b)は自由層のマイナーヒステリシスループを示す。パターン化された自由層は室温で14mTの保磁力を持っており、装置は107%のMRを有する。ループは、合成された反強磁性(SAF)基準層からの小さな残余双極子カップリングのために、約−2mTを中心に置く。
電流誘起による反転の確率を測定するために、可変振幅、持続時間及び極性のパルスを印加した。印加場を使って、双安定領域に試料をセットし(図1の(b)参照)、50ピコ秒の最小パルス持続時間を持つ、最大2Vの振幅を提供するパルス発生器を用いて、電圧パルスを印加した。パルスの前後に小さな直流電圧を用いて抵抗を測定することにより、装置の状態を決定することができる。自由層は、印加電圧(以下の議論を参照)なしで非常に安定しているので、反転事象(すなわち、パルスの不在下で自由層の磁化が反転する点まで自由層が磁化するダイナミクス)は電圧パルス中に発生したと仮定できる。このセットアップでは、正の電圧は、積層体の一番下から上へ、すなわち分極子から自由層と基準層に向かって、流れる電子に対応して定義される。
振幅とパルス持続時間の両方が反転事象の確率に影響を与えることが観察された。図3は3つの異なるパルス振幅、−0.5、−0.6及び−0.7Vについて、10mTの印加場におけるパルス持続時間の関数として、PからAP状態への反転確率を示す。高い振幅のパルスはより短いパルス持続時間で反転が起こる結果をもたらす。本発明による装置は、持続時間500ピコ秒未満のパルスで100%の確率で反転することができることが観察された。100%の確率の反転に必要なエネルギーは、450fJ未満である。 100%の反転確率が500ピコ秒程度の短いパルスに対して観察されたので、従来の同一直線的またはほぼ同一直線的に磁化された装置において観察される数ナノ秒のインキュベーション遅延が存在しないと考えられる。このように、本発明の反転プロセスは、高速かつ予測可能な結果を提供する。
反転のエネルギー障壁を決定するには、サンプルの保磁力が異なったフィールド掃引速度で測定される。エネルギー障壁は下記の関係によって決定される。
Figure 0005847190
ここで、ζ=U/kT、T=300Kで熱エネルギーを越えるゼロ印加磁場エネルギー障壁である。β=2と仮定すると、μapp=0.01Tでζ=40のエネルギー障壁を得るが、これは、層が室温で熱的に非常に安定していることを示す。
前述したように、記述されたOST−MRAM装置の一つの特徴は、反転が双極性、すなわち、本発明によるビットセルは、電圧パルスの極性のどちらを使用しても、諸状態の間で反転することができることである。上述の例において、図4(a)は、P→AP反転における反転確率対パルス振幅を示し、図4(b)は700ピコ秒のパルス幅でのAP→P反転における反転確率対パルス振幅を示している。OST−MRAM装置は双極性ではあるが、負極性パルスは、正極性のパルスよりも、高い反転確率をもたらすことが、図4(a)において見ることができる。その反対が、AP→Pに関して、図4(b)に見ることができる。いずれの場合においても、保磁場に近い印加場は反転のためのより低い電圧パルス閾値をもたらす。また、反転確率はパルス振幅の非単調関数である。観測されたデータは、垂直分極子によって駆動される歳差逆転と定性的に一致している。
(例2)
好適な実施形態における装置および方法の磁化のダイナミクスは、垂直分極子と、基準層に関連付けられたスピン転移トルクを考慮することにより、以下のように第一近似にモデル化することができる。
Figure 0005847190
ここで、mは、自由層の磁化方向(これは自由層の磁化の方向の単位ベクトルである)を表す。αは自由層の減衰パラメータである。前因子aは、電流密度J、電流密度Jのスピン分極P、自由層および固定磁性層の間の角度の余弦cos(θ)であり、ここで、
Figure 0005847190
Figure 0005847190
は換算プランク定数であり、gはスピン分極Pとcos(θ)の関数であり、Mは、自由層の磁化の密度であり、eは電子の電荷であり、tは、自由層の厚さである。最後の二つの用語は、垂直分極子(m)と、面内磁化された基準層(m)からのスピン転移である。β(ベータ)は、これら二つのトルクの大きさの比を表す。
この方程式を分析すると、β(ベータ)比が、磁化ダイナミクスを制御する上で重要であることが示される。βが高い(1より大きい)と、反転が、一つの電流極性について直接PからAPに、他の電流の極性についてはAPからPに起こるような電流パルス振幅の範囲を結果的にもたらす。より高い電流振幅については、反転は歳差(図2に実験的に示されているように、APからP、そしてAPへと、継続してトグルする)である。この場合、反転は両極性であり、両方の電流極性において発生する。図7(a)−7(c)に示されているように、装置のインピーダンスは約2−4kオームである。
小さなベータ(1より小さいか1にほぼ等しいベータ)については直接反転が発生する電流パルス振幅の範囲は減少する。小さなβに関する動作は、歳差(図2の実験で示されたように、APからP、そしてAPへと、継続してトグルする)となる。磁化運動が歳差である場合には、一般的に言って、より高い電流振幅はより高い歳差運動の周波数をもたらす結果となる。
分極子の存在(上記に引用された全ての場合において)は、ビットセル状態を設定するのに必要な時間を減少し(図6(a)−6(f)参照)、装置性能を向上させるが、これは、反転時間を減少させることと、また、反転に必要な電流(または電圧)振幅を減少させることの両方を含む。上記の数式(2)で記述されたモデルに基づく反転ダイナミクスを計算するとOST−MRAMスタックにおいて見い出だされ得るタイプの特性が示される。動作は、0.05Tの面内異方性場(x方向)、減衰(α=0.01)、μM=0.5Tの磁化密度、及び+x方向の基準層の磁化を有する薄膜ナノ磁性体について決定された。
(例3)
特定の実施形態では、パルス持続時間は重要ではない。このような場合には、メモリ動作のために、パルス持続時間が重要な変数ではない(すなわち、正確なパルス持続時間はビットセルの最終状態を決定せず、パルス極性‐正または負の‐だけが重要である)ことが好ましいことがあり得る。この場合、装置には1または1より大きいβが与えられる。多くの方法によりこれを達成することができる。
基準層からのスピン分極は磁気トンネル接合および基準層の材料の選択によって増加させることができる。例えば、MgOと接触しているCoFeB層は、大きなスピン分極を有する。MgOと接触しているパーマロイ(NiFe)はより低いスピン分極を有する。
分極層からのスピン分極は低減可能である。これは、以下に限定されるわけではないが、例えば、下記のように多数の方法で達成することができる。
分極層の組成のための材料の選択:Co/Niの多層膜は、大きなスピン分極を有する。しかし、Co/Pd又はCo/Ptははるかに低いスピン分極を有する。複合分極層は、調整可能な分極を有することができる。たとえば、Co/Niの厚さを変化(例えば0.5〜5nm程度)させたCo/Pd又はCo/Pt上のCo/Niの多層膜はCo/Niが自由磁性層に近接する層であるところの分極層からの電流スピン分極を制御する手段である。例えば、PtまたはPdのような大きなスピン軌道結合を有する薄層は、自由磁性層に近い分極層の表面上に配置することもできる。これはまた、電流スピン分極を低減するのに役立つであろう。
あるいは、分極子と自由層との間の非磁性層を変化させ、分極層(したがって、パラメータβ)からの、キャリアのスピン分極を制御することができる。もしこの層が短いスピン拡散の長さを有する場合には、分極は低減される。銅の欠陥を含めることにより、そのスピン分極(例えば、Cu又は他の元素中のNi)を減らすことができる。Cuは、ZnやGeなどの別の元素と合金にすることもできる。分極層からのスピン分極を減少させる多くの可能な材料の組合せが存在する。
垂直分極子からのトルクが反転時間、したがって、装置を反転するために必要なエネルギーを設定する(上述したように)ので、高速、低エネルギーの反転のためにはβを10をはるかに超えて増加しないことが好ましい。
最も速い書き込み動作を行うためには:βは1未満であることが好ましく、パルスのタイミングが非常によく制御された変数であることが必要である。反転は双極性であり、単一極性の電圧源が、装置の書き込み動作のために必要とされ、これは駆動回路を簡素化する潜在的可能性を持つ。
上記のモデルの分析(段落[0035]を参照)は、反転のための閾値電圧と電流は多くの手段によって低減できることも示している。第一に、自由層の磁化密度や自由層の厚さを低減することができる。しかしながら、これによって、ビットセルの安定性が低減することも予測される。したがって、磁化密度や自由層の厚さは任意に小さくすることができない。第二に、自由層は、垂直磁気異方性の成分を有することができる。この異方性は、層の平面に垂直な磁化方向を変更するためには、それ自身では不十分であるが、それにもかかわらず反転電流及び電圧を低減するのには有効であろう。この種の垂直異方性はMgOと接触している薄い(0.5〜3nmの厚さ)CoFeB層に見られる。反転速度と自由層の歳差周波数は自由層の垂直異方性に依存する。より大きな垂直磁気異方性は、歳差運動周波数を下げ、反転速度を低減することにつながる。第三に、自由層の減衰パラメータは、反転電流及び電圧を低減させるために低減することができる。これと他の手段を、反転の閾値電圧と電流を低減するために使用することができる。
本発明の実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提示されている。それは、網羅的であること、または開示された厳密な形態に本発明を限定することを意図するものではなく、修正及び変形は、上記の教示に照らして可能であり、また、本発明を実施することにより得ることが可能である。当業者が様々な実施形態において本発明を利用し、また、特定の用途に適するように種々の変形を行うことができるように、本発明の原理及びその実際の応用を説明する目的で、実施形態は選択され、記述された。

Claims (12)

  1. 垂直に磁化され、Co/Pd上またはCo/Pt上に配置された、スピン分極を低減させる多層のCo/Niを含む分極層、
    第一の電極を形成し、第一の非磁性金属層により磁化された前記分極層から分離され、第一の安定状態と第二の安定状態とを有する磁化ベクトルを有する自由磁性層、
    第二の電極を形成し、第二の非磁性層によって前記自由磁性層から分離され、固定された磁化ベクトルを有する基準層、並びに
    単極性電流を前記磁化された分極層、前記自由磁性層及び前記基準層を通して発生させる電流源であって、最小切替パルス持続時間より長い第一の持続時間で選択される振幅を有する第一の単極性電流パルスを出力することが可能な電流源を含む磁気装置であって、
    前記第一の単極性電流パルスが前記分極層を直交して通して流れ、正の極性を有し、前記電流源が最小切替パルス持続時間より長い第二の持続時間で選択される振幅を有する第二の単極性電流パルスを出力することが可能であり、前記第二の単極性電流パルスが前記分極層を直交して通して流れ、負の極性を有し、
    前記自由磁性層の前記磁化ベクトルの前記第一の安定状態から前記第二の安定状態への反転が前記第一の単極性電流パルスの印加によって引き起こされ、
    前記自由磁性層の前記磁化ベクトルの前記第二の安定状態から前記第一の安定状態への反転が前記第二の単極性電流パルスの印加によって引き起こされ、
    前記第二の安定状態への反転が前記第一の単極性電流パルスの前記第一の持続時間とは独立しており、
    前記第一の安定状態への反転が前記第二の単極性電流パルスの前記第二の持続時間とは独立している、磁気装置。
  2. 垂直に磁化された前記分極層と面内磁化された形態の前記基準層とに関連付けられるスピン転移トルクが下記の数式によって記述される、請求項1に記載の磁気装置:
    Figure 0005847190
    ここにおいて、mは前記自由層磁化の磁化方向を表し、αは前記電流パルスの電流及び電流スピン分極に比例する項であり、この方程式の右辺第3項は、垂直分極子(m)からのスピン転移トルクであり、方程式の右辺の第4項は面内磁化された形態の前記基準層(m)からのスピン転移トルクであり、βは垂直分極子のスピン転移トルク及び前記面内磁化された形態からのスピントルクの大きさの比を表し、αは前記自由磁性層の減衰パラメータであり、αは以下の数式で表される。
    Figure 0005847190
  3. β>1が前記第一の単極性電流パルスについては直接平行から反平行へ、前記第二の単極性電流パルスについては反平行から平行へ行われる、前記自由磁性層の前記磁化ベクトルの反転を提供する、請求項2に記載の磁気装置。
  4. 前記自由磁性層の前記磁化ベクトルの反転が、前記第一の単極性電流パルス及び前記第二の単極性電流パルスの両方について歳差的で双極的である、請求項2に記載の磁気装置。
  5. 前記βが1未満である、請求項2に記載の磁気装置。
  6. 1未満の前記βに対して、磁化方向が歳差的となり、これにより、より高い電流振幅に対しては、より高い歳差周波数を提供する、請求項2に記載の磁気装置。
  7. βが1または1よりも大きい群から選択され、パルス極性が、前記自由磁性層の最終的磁化状態を制御し、前記最終的磁化状態が前記電流パルスの持続時間とは独立している、請求項2に記載の磁気装置。
  8. 前記基準層のスピン分極が前記基準層とそれに隣接する磁性トンネル接合層との接合材を選択することによって増大され、前記接合材が(a)CoFeB及びMgO、(b)NiFe及びMgO並びに(c)CoFe及びMgOの群から選択される、請求項7に記載の磁気装置。
  9. 前記Co/Niの厚みを変えて前記分極層の前記スピン分極を制御する、請求項1に記載の磁気装置。
  10. 前記分極層と前記自由磁性層との間に配置された非磁性層を更に含むことによって前記分極層のスピン分極が低減され、それによって前記分極層からのキャリアのスピン分極を制御する、請求項7に記載の磁気装置。
  11. 前記非磁性層が、制御された欠陥を有するCuを含み、これによりスピン分極を減少させる、請求項10に記載の磁気装置。
  12. 前記非磁性層が、その層の厚さを変えることができ、それによって前記自由磁性層上に付随的に存在する前記分極層からのスピン分極を減少させる、請求項10に記載の磁気装置。
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