JP5843614B2 - 膜貫通配列決定における核酸構築物のためのアダプター - Google Patents

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Description

本発明は、核酸の配列決定をするためのアダプターに関する。本アダプターは、配列決定の目的のために核酸の一本鎖構築物を作製するために使用し得る。そのような構築物は、二本鎖のデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)テンプレートに由来する両鎖を含み得る。本発明はまた、アダプターを用いて作製される構築物、アダプターおよび構築物の製造方法、ならびに二本鎖核酸配列決定方法に関する。
確率論的検出(stochastic detection)は、分析物分子とレセプター間の個々の結合イベントを観測することによる、センシングのためのひとつのアプローチである。確率論的センサーは、絶縁膜中にナノメートル寸法の単一細孔を配し、分析物分子の存在下でこの細孔を通過する電位作動性のイオン輸送を測定することにより作製可能である。電位における揺らぎの発生頻度は、細孔内で結合する分析物の濃度を示す。分析物の同一性(アイデンティティー)は、独特の電流シグネチャ、特に、電流ブロックの持続期間および程度、を通じて示される(Braha, O., Walker, B., Cheley, S., Kasianowicz, J.J., Song, L., Gouaux, J.E., and Bayley, H. (1997) Chem. Biol. 4, 497-505; and Bayley, H., and Cremer, P.S. (2001) Nature 413, 226-230)。
多くのクラスの分子を確率論的にセンシングするために、工学的に作製した型の細菌性細孔形成毒素α−ヘモリジン(α−HL)が用いられている(Bayley, H., and Cremer, P.S. (2001) Nature 413, 226-230; Shin, S., H., Luchian, T., Cheley, S., Braha, O., and Bayley, H., (2002) Angew, Chem. Int. Ed. 41, 3707-3709; and Guan, X., Gu, L.-Q., Cheley, S., Braha, O., and Bayley, H., (2005) ChemBioChem 6, 1875-1881)。
これらの研究の過程で、α−HLを小さな有機的分析物へと直接的に結合させるための試みは、わずかな成功例はあるものの、ひどく骨が折れることが示された(Guan, X., Gu, L.-Q., Cheley, S., Braha, O., and Bayley, H., (2005) ChemBioChem 6, 1875-1881)。幸運にも、別の戦略が発見され、それは、非共有結合的に連結された分子アダプター、特に、シクロデキストリ(Gu, L.-Q., Braha, O., Conlan, S., Cheley, S., and Bayley, H. (1999) Nature 398, 686-690) や、環状ペプチド(Sanchez-Quesada, J., Ghadiri, M. R., Bayley, H., and Braha, O. (2000) J. Am. Chem. Soc. 122, 11758-11766)およびククルビツリル(cucurbituril)(Braha, O., Webb, J., Gu, L.-Q., Kim, K., and Bayley, H. (2005) Chem Phys Chem 6, 889-892)を活用する方法であった。シクロデキストリンは、α−HL細孔中に一時的に停留して、実質的ではあるが不完全なチャンネルのブロックを生じる。有機的分析物は、シクロデキストリンの疎水性の内部で結合し、このブロックによる分析物の検出を可能にすることを補強する(Gu, L.-Q., Braha, O., Conlan, S., Cheley, S., and Bayley, H. (1999) Nature 398, 686-690)。
現在、広範な応用範囲にわたる、迅速なかつ安価なDNAまたはRNA配列決定技術へのニーズが存在する。既存の技術は時間がかかり、かつ高価であり、その主な原因は、それらが多量の核酸を生産するための増幅手法に依存し、シグナルの検出には多量の専門的な蛍光性化学物質を必要とすることによる。確率論的センシングは、必要とされるヌクレオチドおよび試薬の量を減らすことにより、迅速かつ安価なDNA配列決定法を提供するための可能性を有する。
本発明者(ら)は、驚くべきことに、人工的な、識別可能なアダプターを用いて、二本鎖核酸テンプレートの両方の鎖を含む一本鎖核酸構築物を作製できることを立証した。テンプレートの2つの鎖は共有結合的に連結され、アダプターによって線引き(分割)される。このアダプターは、識別されるべき一方の鎖から他方の鎖までの変わり目(transition point)を与えるだけでなく、構築物を配列決定前に精製できるようにする。アダプターはさらに、異なる供給源を有する鎖における類似の構築物から本構築物を区別することを可能にする。従って、アダプターは、異なる個々の供給源に由来するテンプレートの多重配列分析を可能にする。
アダプターは、特に、二本鎖DNA(dsDNA)および二本鎖RNA(dsRNA)の配列決定に有用である。アダプターは、dsDNAまたはdsRNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含む一本鎖構築物を作製するために用いられ得る。
アダプターは、一般的に、対(ペア)で用いられる。一対における両方のタイプのアダプターは、パリンドローム切断部位の片半分(one half)を形成する二本鎖核酸領域を含むだけでなく、互いに区別されて選択可能である。それぞれの一対は、2タイプのアダプター、タイプIおよびタイプIIを含む。タイプIアダプターは、ヘアピンループを含み、これが二本鎖核酸テンプレート中で2つの鎖の共有結合を可能にする。タイプIIアダプターは、ヘアピンループを含む場合があるが、必ずしもそうでなければならないということではない。この特徴の組み合わせが、タイプIアダプターを介して二本鎖核酸テンプレートの両鎖が共有結合的に連結する一本鎖構築物の作製および精製を可能にする。アダプターが互いに連結することによって形成される所望されない構築物は、パリンドローム切断部位を用いて反応混合物から除去される。同様に、2つのタイプのアダプターのひとつのまたは他のひとつのタイプを含む構築物は、そのアダプターが有する区別可能な選択性を利用して反応混合物から単離可能である。
従って、本発明は、核酸の配列決定をするための、二本鎖核酸領域を含むアダプターであって、前記領域の少なくとも一端が、パリンドローム切断部位の片半分を形成し、前記アダプターが、別のアダプターから区別されて選択可能である、アダプターを提供する。いくつかの実施形態において、前記領域は、一本鎖核酸における2つの分離された領域間のハイブリダイゼーションにより形成され、前記アダプターはヘアピンループを含む。
また、本発明は以下を提供する:
− 一本鎖核酸における2つの分離された領域間のハイブリダイゼーションにより形成される本発明のアダプターを含み、ヘアピンループ(タイプI)および本発明のアダプター(タイプII)を含むアダプターの対であって、前記対におけるそれぞれのタイプのアダプターは、その他のタイプのアダプターから区別されて選択可能であり、前記2タイプのアダプターの任意の組み合わせを、互いに連結させた場合には、完全なパリンドローム切断部位が形成される、アダプターの対;
− 本発明のアダプターの少なくとも2つの群を含むキットであって、各群における各アダプターが、前記群に対して特異的である核酸配列を含む、キット;
− 少なくとも1つの本発明のアダプターに連結された二本鎖核酸を含む、配列決定テンプレートとして使用するための核酸構築物;
− 一本鎖核酸における2つの分離された領域間のハイブリダイゼーションにより形成され、ヘアピンループを含む本発明のアダプターを介して共有結合している2つの核酸鎖を含む、配列決定テンプレートとして使用するための一本鎖核酸構築物;
− 一本鎖核酸における2つの分離された領域間のハイブリダイゼーションにより形成され、ヘアピンループを含む本発明のアダプターを介して各端部で共有結合している2つの核酸鎖を含む、配列決定テンプレートとして使用するための環状核酸構築物;
− (a)(i)互いにハイブリダイズして、パリンドローム切断部位の片半分を形成することが可能であって、(ii)別のアダプターと区別されて選択可能である、2つの核酸を準備することと;
(b)前記核酸を、それらがハイブリダイズすることが可能な条件の下で接触させ、それにより、アダプターを調製すること;
を含む、本発明のアダプターの調製方法;
− (a)(i)互いにハイブリダイズすることが可能な2つの領域、(ii)別のアダプターと区別されて選択可能であるループ形成領域、および(iii)パリンドローム切断部位の片半分を共に形成する2つの端部、を含む、一本鎖核酸を準備することと;
(b)前記核酸を、前記2つの領域がハイブリダイズして、ヘアピンループを形成する条件に曝露し、それにより、アダプターを調製すること;
を含む、一本鎖核酸における2つの分離された領域間のハイブリダイゼーションにより形成され、ヘアピンループを含む本発明のアダプターの調製方法;
− (a)本発明の少なくとも1つのアダプターを、2つの核酸鎖と、前記アダプターと前記鎖との間の連結が可能となる条件の下で接触させることと;
(b)前記アダプターを前記2つの鎖と連結させ、それにより、核酸構築物を調製すること;
を含む、本発明の核酸構築物の調製方法;
− (a)一本鎖核酸における2つの分離された領域間のハイブリダイゼーションにより形成され、ヘアピンループを含む本発明のアダプターと、2つの核酸鎖とを、前記アダプターと前記鎖との間の連結を可能にする条件の下で接触させることと;
(b)前記アダプターを前記2つの鎖と共有結合させることと;
(c)前記共有結合した構築物を変性させ、それにより、一本鎖核酸構築物を調製すること;
を含む、本発明の一本鎖核酸構築物の調製方法;
− (a)前記アダプターと前記鎖との間の連結を可能にする条件の下で、ヘアピンループを含む少なくとも2つの本発明のアダプターと、2つの核酸鎖を接触させることと;
(b)前記アダプターを、前記2つの鎖と、それぞれの末端で共有結合させ、それにより、環状核酸構築物を調製すること;
を含む、本発明の環状核酸構築物の調製方法;
− 配列構築物を調製する方法であって、
(a)二本鎖核酸を準備することと;
(b)前記二本鎖核酸を、タイプIアダプターが切断またはニック形成され得ず、タイプIIアダプターが切断またはニック形成され得る本発明のアダプターの対と、前記アダプターを前記核酸と連結させることが可能な条件の下で接触させることと;
(c)前記連結させた生成物を、タイプIIアダプターと特異的に結合する表面と接触させること、および、結合していないあらゆる生成物を除去することと;
(d)前記表面を、前記完全なパリンドローム切断部位を認識する酵素と接触させること、および、結合していないあらゆる生成物を除去することと;
(e)タイプIIアダプターを切断することと;
(f)前記ステップ(e)において得られた可溶性生成物を、タイプIアダプターと特異的に結合する表面と接触させること、および、結合していないあらゆる生成物を除去することと;
(g)ステップ(f)後に残存している前記生成物を、前記表面から遊離させること、および、それにより、配列決定構築物を作製すること;
を含む、方法;
− 二本鎖核酸の配列を決定する方法であって、
(a)本発明の方法を実行することと;
(b)必要な場合に、一本鎖構築物を形成するように、前記構築物を変性させることと;
(c)前記一本鎖構築物の配列を決定し、それにより、前記二本鎖核酸の配列を決定すること;および
− 本発明のアダプターの対と、パリンドローム切断部位を切断するための手段を含む、二本鎖核酸の配列決定をするためのキット。
タイプIアダプターの1実施形態を示す図である。 タイプIIアダプターの1実施形態を示す図である。 ヘアピンアダプターの2タイプ(黒;タイプI、暗い灰色;タイプII)が平滑末端テンプレートdsDNA(明るい灰色)と組み合わされていることを示す図である。 閉じた環状の「DNAダンベル」の生成が、高分子量のテンプレートDNAの従来的なランダムな断片化により開始されることを示す図である。 タイプIおよびタイプIIアダプターの連結後を示す図である。 捕捉されたダンベル構造を、タイプIIアダプターのハイブリダイズ領域中にコードされる酵素によって処理することで、共有結合的に閉じた構造を遊離することを示す図である。 プレートから回収した一本鎖生成物がエキソヌクレアーゼにより消化されて5’−リン酸ヌクレオチドを遊離し、それがアダプターで修飾されたα−HLタンパク質の細孔を通じて電位の流れの変化を導く一例を示す図である。
図面の説明
図1は、タイプIアダプターの1実施形態を示す。その一本鎖DNA鎖は、精製の間に「タイプIアダプター」連結生成物を選択的に結合するために用いられる、一本鎖DNAの大きなヘアピンループを残しつつ、それ自身に対しハイブリダイズするであろう自己補完性を有する。セルフハイブリダイズしたアダプターの末端は、第一の制限エンドヌクレアーゼ(矢印、1ry)の半分をコードし、アダプター:アダプター連結(タイプI:タイプI、タイプI:タイプII、またはタイプII:タイプIIのいずれでもよい)により作製される任意の連結生成物を切断するために利用される。
図2は、タイプIIアダプターの1実施形態を示す。この図および全てのこれ以降の図において、タイプIIアダプターはヘアピンループを含む。その一本鎖DNAにはビオチン−dT塩基(星型)が途中に入れられ、それはこの鎖がセルフハイブリダイズした際に一本鎖の「バブル」領域として現れる。このビオチンは、タイプIIアダプターを含むそれらの連結生成物のみが有する、選択可能な特徴である。このアダプターの二本鎖のエレメントは、第二の制限エンドヌクレアーゼ認識配列を含み、(タイプIアダプターと共通して)第一の制限エンドヌクレアーゼ認識配列の半分が終端となり、前述のように、アダプター:アダプター連結生成物の除去を可能にする。
図3はヘアピンアダプターの2タイプ(黒;タイプI、暗い灰色;タイプII)が平滑末端テンプレートdsDNA(明るい灰色)と組み合わされているものを示す。枠Aは、ひとつのタイプIアダプターとひとつのタイプIIアダプターが、間に入るテンプレートDNA配列のいずれかの末端に連結されている理想的状況を示す。枠Bは、もし間に入るテンプレートが存在しない場合には、所望しない連結生成物が生成することを示す。連結生成物内の第一のRE制限認識部位(実線枠)の存在は、所望しない連結生成物を選択的に破壊するために有用である。タイプIIアダプター中の、別の第二のRE制限部位(破線枠)は、配列決定テンプレート(下記参照)を遊離させるために用いられる。「B」は、タイプIIアダプターの一本鎖エレメント上に含まれるビオチン部分の存在を示す。
図4は、閉じた環状の「DNAダンベル」の生成が、高分子量のテンプレートDNAの従来的なランダムな断片化により開始されることを示す。生成する断片のある割合のものだけが、両鎖上に慎重伸長可能な3’OHの下垂部(underhang)を保持し、DNAポリメラーゼにより末端修復され得るであろう。さらに少数の修復された断片は、両鎖上に5’PO末端を付加的に有するだろう。数の上では少ないが、何らかのこのような平滑末端を有する断片は、人工的なヘアピンループアダプターの連結に対し受容的であり、両鎖上に、エキソヌクレアーゼ配列決定のために不可欠な、閉じた環状のテンプレートを形成するであろう。
図5は、タイプIおよびタイプIIアダプターの連結後を示す。配列決定のために所望される生成物は、示される手順を用いて精製することができる:黒線は「タイプI」アダプターを示し;暗い灰色線はビオチン化された「タイプII」アダプターを表し;明るい灰色線はテンプレートDNAを示す。斜めに網掛けされた矢印は、新鮮なプレートに移すことを行わない操作を示す。空白の矢印は前のウェルから新鮮なプレートへと内容物を移し換えることを示す。(1)連結後、生成物をピペットで吸い、固定化ストレプトアビジンプレートへと移す。ビオチン化されたタイプIIアダプターを保持する連結生成物のみが結合する。(2)プレートの洗浄により、全てのタイプI/タイプI連結生成物その他を除去する。(3)「アダプターに連結されたアダプター」に対する第一の制限エンドヌクレアーゼと共にインキュベーションし、「アダプター/アダプター」生成物を開裂させる。(4)第一のRE消化による全ての制限残渣を洗浄除去する。(5)「タイプIIアダプター」にコードされた第二の制限エンドヌクレアーゼと共にインキュベーションし、結合したタイプIIアダプター生成物を開裂させる。(6)第二のRE消化生成物を、タイプI一本鎖ヘアピン「バブル」に対して相補的なssDNAがその上に固定化されている新鮮なプレートへと移す。5から得られるそれらのRE断片を、固定化ssDNAにハイブリダイズさせる。(7)非結合物質を洗浄除去し、「テンプレートDNAに連結されたタイプIアダプター」として維持される種のみを残す。(8)固定化DNAに対する連結生成物のハイブリダイゼーションを打ち消す条件(熱、NaOHまたは何らかの技術的に知られたその他の手段)を用いて、所望の生成物を新鮮なチューブ/プレートへと移し、次いで変性および配列決定を行う。
図6は、捕捉されたダンベル構造(図1、A)を、タイプIIアダプターのハイブリダイズ領域中にコードされる酵素によって処理することで、ここ(左)に示すような共有結合的に閉じた構造を遊離することを示す。この構造物を変性剤で処理することで、エキソヌクレアーゼI消化に感受性の一本鎖構造(右)が得られ、進行させれば、調べるべきDNAからのヌクレオチド、連結する人工的な配列ヌクレオチド、次いで、逆相補的なヌクレオチドを遊離させ、すでに得ているベースコール(base call)との比較を行うことができるであろう。コールの組み合わせは、より高品質のコンセンサスコール(concensus call)を生成する。
図7は、プレートから回収した一本鎖生成物がエキソヌクレアーゼにより消化されて5’一リン酸ヌクレオチドを遊離し、それがアダプターで修飾されたα−HLタンパク質の細孔を通じて電位の流れの変化を導く一例を示す。「塩基(bases)」が遊離され、同定される順は、逐次的である。
配列表の説明
配列番号1は、野生型α−ヘモリジン(α−HL)のひとつのサブユニットをコードするポリヌクレオチド配列を示す。
配列番号2は、野生型α−HLのひとつのサブユニットのアミノ酸配列を示す。アミノ酸2〜6、73〜75、207〜209、214〜216および219〜222はα−ヘリックスを形成する。アミノ酸22〜30、35〜44、52〜62、67〜71、76〜91、98〜103、112〜123、137〜148、154〜159、165〜172、229〜235、243〜261、266〜271、285〜286および291〜293は、b−鎖を形成する。全てのその他の非末端アミノ酸、すなわち7〜21、31〜34、45〜51、63〜66、72、92〜97、104〜111、124〜136、149〜153、160〜164、173〜206、210〜213、217、218、223〜228、236〜242、262〜265、272〜274および287〜290は、ループ領域を形成する。アミノ酸1および294は末端アミノ酸である。
配列番号3は、α−HLM113R/N139Q(HL−RQ)のひとつのサブユニットをコードするポリヌクレオチド配列を示す。
配列番号4は、α−HLM113R/N139Q(HL−RQ)のひとつのサブユニットをコードするアミノ酸配列を示す。野生型α−HLにおいてα−ヘリックス、β−鎖およびループ領域を形成する同様のアミノ酸が、このサブユニットにおいて、相当する領域を形成する。
配列番号5は、大腸菌由来のsbcB遺伝子に由来する、コドンが最適化されたポリヌクレオチド配列を示す。このものは、大腸菌由来のエキソヌクレアーゼI酵素(EcoExoI)をコードする。
配列番号6は、大腸菌由来のエキソヌクレアーゼI酵素(EcoExoI)のアミノ酸配列を示す。この酵素は、一本鎖DNA(ssDNA)から5’一リン酸ヌクレオチドを、3’から5’方向に進行的に消化する。アミノ酸60〜68、70〜78、80〜93、107〜119、124〜128、137〜148、165〜172、182〜211、213〜221、234〜241、268〜286、313〜324、326〜352、362〜370、373〜391、401〜454および457〜475は、α−ヘリックスを形成する。アミノ酸10〜18、28〜26、47〜50、97〜101、133〜136、229〜232、243〜251、258〜263、298〜302および308〜311は、β−鎖を形成する。全てのその他の非末端アミノ酸、19〜27、37〜46、51〜59、69、79、94〜96102〜106、120〜123、129〜132、149〜164、173〜181、212、222〜228、233、242、252〜257、264〜267、287〜297、303〜307、312、325、353〜361、371、372、392〜400、455および456は、ループを形成する。アミノ酸1〜9は末端アミノ酸である。本酵素の全体的な折り畳みは、3つの領域が組み合わさってCの文字の外観を有する分子を形成するような状態であるが、残基355〜358は結晶構造において整っておらず、このCが事実上Oのような形状に変化する。アミノ末端(1〜206)は、エキソヌクレアーゼドメインを形成し、DnaQスーパーファミリーに対するホモロジーを有し、それに続く残基(202〜354)はSH3−様ドメインを形成し、カルボキシルドメイン(359〜475)は、エキソヌクレアーゼドメインを延長して、分子のC文字様の形状を形成する。EcoExoIにおける4つの酸性残基は、DnaQスーパーファミリーの活性部位の残基(D15、E17、D108およびD186に相当する)と共に保存されている。単金属イオンが残基D15および108に結合することが示唆される。DNAの加水分解は、切断を受けやすいリン酸が活性化された水分子により攻撃されることにより、触媒されるようであり、H181が触媒残基となり、かつ、ヌクレオチド基質を整列させるようである。
配列番号7は、T.サーモフィルス由来のrecJ遺伝子に由来する、コドンを最適化したポリヌクレオチド配列を示す。それは、T.サーモフィルス由来のRecJ酵素(TthRecJ−cd)をコードする。
配列番号8は、T.サーモフィルス由来のRecJ酵素(TthRecJ−cd)のアミノ酸配列を示す。この酵素は、ssDNAから5’一リン酸ヌクレオチドを、5’から3’方向に進行的に消化する。鎖における酵素消化の始動には、少なくとも4ヌクレオチドを必要とする。アミノ酸19〜33、44〜61、80〜89、103〜111、136〜140、148〜163、169〜183、189〜202、207〜217、223〜240、242〜252、254〜287、302〜318、338〜350および365〜382は、α−ヘリックスを形成する。アミノ酸36〜40、64〜68、93〜96、116〜120、133〜135、294〜297、321〜325、328〜332、352〜355および359〜363は、β−鎖を形成する。全てのその他の非末端アミノ酸、34、35、41〜43、62、63、69〜79、90〜92、97〜102、112〜115、121〜132、141〜147、164〜168、184〜188203〜206、218〜222、241、253、288〜293、298〜301、319、320、326、327、333〜337、351〜358および364は、ループを形成する。アミノ酸1〜18および383〜425は末端アミノ酸である。結晶構造は、Thermus thermophilus由来のRecJのコアドメイン(残基40〜463)についてのみ解析されている。RecJのコアドメインにおける翻訳開始およびインビボ発現を確実にするために、メチオニン残基がそのアミノ末端に付加された。このものは、結晶構造情報を欠いている。解明された構造は、長いα−ヘリックス(254〜287)で連結された2つのドメインであるアミノ(2〜253)およびカルボキシル(288〜463)領域を示す。触媒残基(D46、D98、H122、およびD183)は、ホスホジエステル結合における求核攻撃のために、単一の二価金属イオンを配位する。D46およびH120は、触媒対であることが提案されているが、大腸菌 RecJにおいてこれらの保存されている残基を何らか変異させることは、活性を失うことが示された。
配列番号9は、I−SceIホーミングエンドヌクレアーゼ認識部位の配列を示す。
配列番号10は、好ましい核酸リンカーが生成し得る核酸配列を示す。
配列番号11は好ましい核酸リンカーを示す。MALはマレイミドである。このリンカーは、配列番号14と組み合わせて使用される。
配列番号12は好ましい核酸リンカーを示す。MALはマレイミドである。このリンカーは、配列番号15と組み合わせて使用される。
配列番号13は好ましい核酸リンカーを示す。MALはマレイミドである。このリンカーは、配列番号16と組み合わせて使用される。
配列番号14は好ましい15merの核酸リンカーを示す。MALはマレイミドである。このリンカーは、配列番号11に相補的であり、配列番号11と組み合わせて使用される。
配列番号15は好ましい15merの核酸リンカーを示す。MALはマレイミドである。このリンカーは、配列番号12に相補的であり、配列番号12と組み合わせて使用される。
配列番号16は好ましい15merの核酸リンカーを示す。MALはマレイミドである。このリンカーは、配列番号13に相補的であり、配列番号13と組み合わせて使用される。
発明の詳細な説明
開示された生成物および方法において、異なる応用が、特定のニーズに応じて技術的に提供され得ることが理解されるべきである。本明細書中で使用される専門用語は、本発明の特定の実施形態を記載する目的で用いられるが、限定されることを意図しないことも理解されるべきである。
本明細書中および添付の特許請求の範囲で用いられるものに加えて、単数形の「a」「an」および「the」は他に明確に言及がない限り、複数の指示対象を含む。すなわち、例えば、「構築物」には「複数の構築物」を含み、「膜貫通細孔」の記載には2つ以上のそのような細孔を含み、「分子アダプター」の記載には、2つ以上のそのようなアダプターを含む、等である。
上掲または下掲によらず、本明細書中に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、その全文を参照により本明細書中に組み入れるものとする。
アダプター
本発明は核酸の配列を決定するためのアダプターを提供する。アダプターは二本鎖核酸の領域を含む。この領域の少なくとも一端は、パリンドローム切断部位の片半分を形成する。アダプターは、その他のアダプターから区別されて選択可能である。いくつかの実施形態において、前記領域は、本発明のアダプターは、典型的には、アダプターの対の一部として使用される。
本発明のアダプターは、いくつかの利点を有する。アダプターは、所望の一本鎖配列決定構築物の構築、精製および最終的な遊離を促し、二本鎖核酸テンプレートの両鎖を含む。このことは、構築物が配列決定される際に、二本鎖核酸中のそれぞれの位置が、ただ1回だけ調べられるのではなく、実際には2回調べられることを確実にする。このことは、核酸の各位置を調べる上で、より高い確実性を与え、一回調べることで可能になるであろうものより、各位置における両方の塩基について、より高いスコアでの総合的なコールを与える。言い換えれば、本発明のアダプターにおける重要な優位点は、二本鎖テンプレートにおける個々の「塩基対」の位置が、同じ「読み取りイベント」における部分として、効果的に2回調べられることである。このことが、生成される配列の品質を結果的に非常に高いものにすることを促し、ベースコールの誤認、または塩基を完全に見落とす可能性を低減する。
このことは、dsDNAまたはdsRNAの配列決定のために特に役立つ。本発明のアダプターは、dsDNAおよびdsRNAのセンスおよびアンチセンス鎖の両方を含む構築物の生成を可能にする。dsDNAまたはdsRNAにおける各「塩基対」の位置は、効果的に2回、1回はセンス鎖上で、および、1回はアンチセンス鎖上で、調べることができる。
それぞれの位置を2回調べるためのこの能力は、確率論的センシングを用いて核酸の配列決定を行う際に特に重要である。そのような配列決定は、通常、膜貫通細孔によって順番に各塩基が捕捉されることと、細孔を通過する電流の流れが低減する度合を正確に決定できるようにするための十分に高いサンプリング速度に依存する。各塩基を2回効果的に調べることができることにより、各塩基を十分に高速で捕捉する必要性が低減される。
加えて、本発明のアダプターは、確率論的センシングのために好適な形で核酸を提供できるようにする。一本鎖核酸のみが膜貫通細孔をくぐり抜けられる。さらに、本明細書中に記載される配列決定方法の主要な部分である多くの核酸処理酵素は、一本鎖核酸のみを処理できる。
各位置を2回調べる能力は、確率論的センシングを用いてメチルシトシンとチミンを区別するためにも有用である。これらの2つの塩基は、膜貫通細孔を通過したり、膜貫通細孔と相互作用したりする際に、非常に類似する電流トレースをもたらす。従って、そのことは、これら2つの区別を困難にし得る。しかし、核酸の各位置を2回調べることにより、そのような区別が可能になるであろう、なぜなら、メチルシトシンに対する相補的な塩基はグアニンであり、一方、チミンに対する相補的な塩基はアデニンである。メチルシトシンは、言うまでもなく、癌を含む各種の疾患に関連を有する。
人工的な配列である、本発明アダプターは、その実際の配列において非常に幅広い柔軟性を有し、従って、用いられる配列に機能性を組み込むことが可能である。例えば、アダプター特異的な配列を各アダプターに組み込むことができる。このことが、特定のアダプターを含む構築物が別のアダプター含む構築物から区別されることを可能にする。このことは特に、別個の供給源に由来するテンプレートの多重配列分析にとって有用である。
本アダプターは、核酸配列決定のためのものである。アダプターは、好ましくは、二本鎖核酸テンプレートの両鎖を含む一本鎖核酸構築物を生成することにより、二本鎖核酸の配列決定を行うためのものである。アダプターは、より好ましくは、センスおよびアンチセンス鎖の両鎖を含む一本鎖核酸構築物を生成することにより、dsDNAまたはdsRNAの配列決定を行うためのものである。
二本鎖核酸の領域
アダプターは二本鎖核酸の領域を含む。この領域の存在は、本発明のアダプターがdsDNAまたはdsRNA等のその他の二本鎖核酸を連結できることを意味する。また、本発明のアダプターは、それら自身またはその他のタイプのアダプターと連結可能である。より詳細に後述されるように、そのような連結は、完全なパリンローム切断部位の形成をもたらすものである。本発明のアダプターを二本鎖核酸またはそれら自身へと連結可能にする好適な条件については、以下で考察する。
二本鎖核酸の領域は任意のタイプの核酸を含んでもよい。核酸は2以上のヌクレオチドを含む巨大分子である。処理される核酸には、任意のヌクレオチドの任意の組み合わせを含み得る。ヌクレオチドは、天然のもの、または人工的なものであってもよい。ヌクレオチドは、典型的には核酸塩基、糖、および少なくとも1つのリン酸基を含む。核酸塩基は、典型的にはヘテロ環状である。核酸塩基としては、限定するものではないが、プリンおよびピリミジンが挙げられ、より具体的には、アデニン、グアニン、チミン、ウラシルおよびシトシンが挙げられる。糖は、典型的には五単糖である。ヌクレオチド糖としては、限定するものではないが、リボースおよびデオキシリボースが挙げられる。ヌクレオチドは、典型的にはリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドである。ヌクレオチドは、典型的には一リン酸、二リン酸または三リン酸を含む。リン酸は、ヌクレオチドの5’または3’側に連結され得る。
ヌクレオチドとしては、限定するものではないが、アデノシン一リン酸(AMP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン三リン酸(ATP)、グアノシン一リン酸(GMP)、グアノシン二リン酸(GDP)、グアノシン三リン酸(GTP)、チミジン一リン酸(TMP)、チミジン二リン酸(TDP)、チミジン三リン酸(TTP)、ウリジン一リン酸(UMP)、ウリジン二リン酸(UDP)、ウリジン三リン酸(UTP)、シチジン一リン酸(CMP)、シチジン二リン酸(CDP)、シチジン三リン酸(CTP)、環状アデノシン一リン酸(cAMP)、環状グアノシン一リン酸(cGMP)、デオキシアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシアデノシン二リン酸(dADP)、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、デオキシグアノシン二リン酸(dGDP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシチミジン一リン酸(dTMP)、デオキシチミジン二リン酸(dTDP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)、デオキシウリジン一リン酸(dUMP)、デオキシウリジン二リン酸(dUDP)、デオキシウリジン三リン酸(dUTP)、デオキシシチジン一リン酸(dCMP)、デオキシシチジン二リン酸(dCDP)、および、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)が挙げられる。ヌクレオチドは、好ましくは、AMP、TMP、GMP、CMP、UMP、dAMP、dTMP、dGMPまたはdCMPから選択される。
核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)であり得る。核酸は、ペプチド核酸(PNA)、グリセロール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、ロックド核酸(LNA)またはヌクレオチド側鎖を伴うその他の合成ポリマー等の、当技術分野において公知の、任意の合成核酸の2つの鎖を含み得る。二本鎖核酸テンプレートを配列決定するときに、アダプター中の核酸は、そのアダプターが配列決定される二本鎖核酸へと連結できるように選択される。
二本鎖核酸の領域は、2つのアダプターがともに連結するときに、パリンドローム切断部位が機能的である限り、いかなる長さのものであってもよい。この領域は、典型的には、長さにおいて、30個以下の塩基対、または、20個以下の塩基対、または、10個以下の塩基対等の、40以下の塩基対であり得る。領域は、好ましくは、長さにおいて、5〜20個の塩基対、より好ましくは、6〜10個の塩基対である。
この領域は、一本鎖核酸の2つの別の鎖をハイブリダイゼーションすることにより形成され得る。2つの別の鎖は、それらがハイブリダイズする限り、同じタイプの核酸であってもよく、または異なるタイプの核酸であってもよい。2つの別の鎖は、上述の任意のタイプの核酸であり得る。核酸のハイブリダイゼーションを可能にする好適な条件は、以下により詳細に考察する。
二本鎖核酸の領域は、好ましくは、アダプターがヘアピンループを含むように、一本鎖核酸の2つの別の領域をハイブリダイゼーションすることにより、形成される。本発明との関連では、タイプIアダプターはヘアピンループを含む。このことが、タイプIアダプターが二本鎖核酸テンプレートの2つの鎖へと共有結合的に連結することを可能にする。タイプIIアダプターは、ヘアピンループを含んでもよく、含んでいなくてもよい。タイプIIアダプターがヘアピンループを含むことは好ましい。ヘアピンループの形成は、当技術分野において公知である。ヘアピンループは、典型的には一本鎖核酸から形成される。ヘアピンループは、二本鎖核酸の領域を形成する核酸と同じタイプの核酸であってもよい。または、ヘアピンループは、二本鎖核酸の領域を形成する核酸と違うタイプの核酸であってもよい。ヘアピンループは、上述の任意のタイプの核酸であってもよい。以下で、より詳細に考察するように、ヘアピンループは、本発明のアダプターの異なる選択性に関与し得る。例えば、ヘアピンループは、選択可能な結合部分を含む。
ヘアピンループは、任意の長さであることができる。ヘアピンループは、典型的には、長さにおいて、40個以下の塩基、または、30個以下の塩基、または、20個以下の塩基、または、10個以下の塩基等の、50以下の塩基であり得る。ヘアピンループは、好ましくは、長さにおいて、1〜50個の塩基、2〜40個の塩基、または、6〜30個の塩基である。アダプターの異なる選択性にループが関与する場合には、15〜50塩基等の、より長いものが好ましい。同様に、アダプターの異なる選択性にループが関与しない場合には、1〜5塩基等の、より短いものが好ましい。
ヘアピンループを有さないアダプターにおいて、二本鎖核酸の領域は2つの自由末端を有し得る。1つまたは両方のこれらの末端は、二本鎖核酸テンプレートへと連結し得る。少なくとも1つの末端は、パリンドローム切断部位の片半分を形成する。好ましくは、両方の末端が、同様のパリンドローム切断部位の片半分を形成する。また、1つまたは両方の末端は、本発明のアダプターの区別される選択性に関与し得る。好ましくは、アダプターの1つの末端は、二本鎖核酸テンプレートと結合してパリンドローム切断部位の片半分を形成し、その他の末端は、アダプターの区別される選択性に関与する。
ヘアピンループを有するアダプターにおいて、二本鎖核酸領域は1つの自由末端のみを有する。その他の末端はヘアピンループにより閉じられている。自由末端は、パリンドローム切断部位の片半分を形成するのみならず、二本鎖核酸テンプレートにも連結し得る。
二本鎖核酸領域の(1つまたは2つの)自由末端は、任意の構造を有し得る。末端は突出型(sticky)であってもよい。言い換えれば、末端は、塩基対を形成していなくてもよい。突出末端は、5’または3’の突出(overhang)であり得る。末端が平滑であることは好ましい。言い換えれば、末端が塩基対を形成していることは好ましい。パリンドローム切断部位の片半分を形成する領域の末端が平滑であることは、特に好ましい。
ヘアピンループを有さないアダプターにおいて、二本鎖核酸テンプレートと連結してパリンドローム切断部位の片半分を形成する末端が平滑であり、アダプターの区別される選択性に関与する他方の末端が突出型であることは好ましい。
パリンドローム切断部位の片半分
パリンドローム切断部位は、同様の様式で切断され得る、核酸中のパリンドロームコンセンサス配列である。このようないくつかの配列が当技術分野において公知であり、本発明で用いられ得る。好ましいパリンドローム切断部位を以下に示す。
パリンドローム切断部位の片半分は、厳密には、パリンドロームのコンセンサス配列の片半分である。言い換えれば、それは、それ自身と再結合したときに完全なパリンドローム切断部位を形成する量のパリンドローム切断部位である。上記で考察したように、パリンドローム切断部位の片半分を形成する末端は、突出型あるいは平滑である。 以下の配列:
Figure 0005843614
を有するパリンドローム切断部位に対しては、
パリンドローム切断部位の片半分は以下であり得る。
Figure 0005843614
上記の例において、パリンドローム切断部位の最初の片半分は、平滑末端を有しているが、一方、パリンドローム切断部位の2番目のふたつは、突出末端を有している。
上記に考察したように、本発明のアダプターは、典型的には、対において、その他のタイプのアダプターから区別されて選択可能な1つのタイプのアダプターと一対で使用される。同タイプまたは異なるタイプのアダプターと連結するとき、対における両方のタイプのアダプターが、パリンドローム切断部位の片半分を含むため、完全なパリンドローム切断部位が形成される。例えば、タイプIがタイプIへと連結する(タイプI:タイプI)、タイプIIがタイプIIへと連結する(タイプII:タイプII)、または、タイプIがタイプIIへと連結する(タイプI:タイプII)場合に、完全なパリンドローム切断部位が形成され得る。完全なパリンドローム切断部位が形成されることにより、連結されたアダプターが切断可能になる。このことは以下により詳細に考察する。
完全なパリンドローム切断部位は任意の長さであってよい。例えば、パリンドローム切断部位は、典型的には、長さにおいて、少なくとも10塩基対、少なくとも12塩基対、少なくとも14塩基対、少なくとも16塩基対、少なくとも20塩基対、少なくとも30塩基対、または少なくとも40塩基対等の、8〜50塩基対である。配列決定の目的のためには、パリンドローム切断部位は長いほど好ましい、なぜなら、生物のゲノム中でその配列がランダムに現れることは少なくなるからである。完全にランダムなゲノム配列(もちろん天然には見出されることがない)においては、x塩基対の長さからなるパリンドローム切断部位は、4塩基対ごとに一度みつかることになる。
好ましいパリンドローム切断部位は、制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含む。制限エンドヌクレアーゼ認識部位は、制限エンドヌクレアーゼ酵素により切断される部位である。本発明で用いる好適な制限エンドヌクレアーゼ酵素としては、限定するものではないが、酵素分類(EC)で3.1.21.4および3.1.21.5.の群に属するものが挙げられる。
制限エンドヌクレアーゼ認識部位は、天然型の制限エンドヌクレアーゼ酵素で切断される天然に生じる部位であり得る。または、制限エンドヌクレアーゼ認識部位および/または制限エンドヌクレアーゼは、非天然型のものであってもよい。本発明に用いる制限エンドヌクレアーゼ認識部位および/または制限エンドヌクレアーゼを工学的に作製することは、様々な利点を提案する。例えば、長い部位、および/または存在が稀な部位を切断するエンドヌクレアーゼを工学的に作製することは、そのエンドヌクレアーゼが、調べようとする二本鎖核酸テンプレートの1つ以上の部位を「偶発的に」切断することが起こりにくいことを意味する。
好ましい制限エンドヌクレアーゼ認識部位としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:
Figure 0005843614
従って、これらの部位の好ましい片半分としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:
Figure 0005843614
区別される選択性
本発明のアダプターは、その他のアダプターから区別されて選択可能である。本発明のアダプターは、本発明のアダプターのその他のタイプから区別されて選択可能である。タイプIアダプターは、タイプIIアダプターから区別されて選択可能である。区別される選択性とは、1つのタイプのアダプターが、少なくとも1つの特性に基づいて、別のタイプのアダプターから線引きできる、または、識別できることを意味する。アダプターの異なるタイプを区別して選択するためには、任意の特性を用いればよい。
一般的に、異なるタイプのアダプターは、区別されて選択可能である、なぜなら、それらは互いに分離可能だからである。ついで用いられる場合に、各タイプのアダプターはその他のタイプから分離される。例えば、タイプIアダプターはタイプIIアダプターから分離でき、逆もそうである。このことが、以下により詳細に考察する本発明の方法を手助けする。任意の分離手段を使用することが可能である。
区別される選択は、好ましくは、表面に対する、区別されるもしくは選択的な結合を含む。例えば、本発明の2タイプのアダプターは、一方のみが表面Aへと結合する場合、他方のみが表面Bへと結合するような場合、区別されて選択され得る。従って、本発明のアダプターは、それらが表面に対し特異的に結合する場合に、区別されて選択可能である。アダプターは、それらが異なるタイプのアダプターに対して、非常に大きな度合で表面へと結合する場合、その表面に特異的に結合する。好ましい実施形態において、アダプターは、その他のタイプのアダプターが全く結合しない表面へと結合する。好適な表面については、以下に、より詳細に考察する。
アダプターは、区別される結合により他のアダプターから分離され得ることが最も好ましい。例えば、第1のタイプのアダプター(例えば、タイプA)が特異的にあるひとつの表面(表面A)に結合し、第2のタイプのアダプター(タイプB)がもうひとつの表面(表面B)へと結合する場合に、2タイプのアダプター(タイプAおよびB)を互いに分離することが可能である。2タイプのアダプターは、連結されていない両タイプのアダプターを含み得るし、ならびに、タイプA:タイプA、タイプB:タイプB、および、タイプA:タイプBの連結された構築物を含み得る。表面Aとその混合物を接触させることにより、タイプAアダプターおよびタイプAアダプターを含む任意の構築物の結合がもたらされる。同様に、表面Bとその混合物を接触させることにより、タイプBアダプターおよびタイプBアダプターを含む任意の構築物の結合がもたらされる。連結された構築物は、当然ながら、パリンドローム切断部位を用いて切断することができる。
アダプターは、好ましくは、選択可能な結合部分を含む。選択可能な結合部分とは、その結合特性に基づいて選択可能な部分である。従って、選択可能な結合部分は、好ましくは、ある表面へと特異的に結合する部分である。選択可能な結合部分は、本発明で用いる任意のその他の部分よりも非常に大きな度合で表面へと結合する場合、その表面に特異的に結合する。好ましい実施形態において、その部分は、本発明で用いるその他の部分が全く結合しない表面へと結合する。存在する場合、ヘアピンループは、好ましくは、選択的結合部分を含む。
好適な選択的結合部分は、当技術分野において公知である。好ましい選択的結合部分としては、限定するものではないが、ビオチン、核酸配列、抗体、FabおよびScSv等の抗体断片、抗原、核酸結合タンパク質、ポリヒスチジンテールおよびGSTタグが挙げられる。最も好ましい選択的結合部分は、ビオチンおよび選択可能な核酸配列である。ビオチンは、アビジンで被覆された表面に対し特異的に結合する。選択可能な核酸配列は、相同性を有する配列で被覆された表面に対し特異的に結合(すなわち、ハイブリダイズ)する。このことは、以下に、より詳細に考察する。さらに、選択可能な核酸配列は、核酸結合タンパク質で被覆された表面に対し特異的に結合する。最も好ましい実施形態において、アダプターの対におけるひとつのタイプのアダプターはビオチンを含み、もう一方のタイプのアダプターは選択可能な核酸配列を含む。
同定配列
好ましい実施形態において、アダプターは、アダプターの同定を可能にする核酸配列を含む。この核酸配列は、二本鎖核酸領域、または、存在する場合には、ヘアピンループ中に存在する。
核酸配列は、典型的には、長さにおいて、10個以下の塩基、または、8個以下の塩基、または、6個以下の塩基等の、12個以下の塩基である。それは、本発明に従ってアダプターを含む構築物が配列決定される際に同定され得る、認識可能な配列を含む。ヘアピンループを含むアダプターにおいて、その配列は、調べられる核酸の2つの鎖を連結するアダプター部分が配列決定される際に、同定され得る。ヘアピンループを欠き、切断されるもしくはニックが入り得るアダプターにおいて、その配列は、典型的には、二本鎖核酸テンプレートへと連結する末端と、アダプターが切断されるまたはニックが入り得る位置の間に存在する。そのような実施形態において、その配列は、ひとたびアダプターが切断されるか、または、ニックが入った場合であっても、依然として二本鎖核酸テンプレートへと結合し続ける。
好ましい実施形態において、核酸配列は、連結される2つの鎖の供給源を同定する。そのような実施形態において、アダプターは、異なる個々の供給源に由来するテンプレートの多重配列分析を可能にする。各テンプレートには、異なるアダプターが割り当てられ、それらの個々が、テンプレートの供給源を同定可能にする核酸配列を有する。
切断またはニック形成され得るアダプター
いくつかの実施形態において、アダプターは、それ自体で切断されるか、または、ニックが入り得る。言い換えれば、アダプターは、別のアダプターと連結することなく、切断されるか、または、ニックが入り得る。二本鎖核酸領域は、切断されるか、または、ニックが入り得るし、もし存在すれば、ヘアピンループは、切断されるか、または、ニックが入り得る。ヘアピンループを有するアダプターにおいては、パリンドローム切断部位の片半分を形成するアダプターの末端(すなわち、二本鎖配列テンプレートに対し連結するアダプターの末端)が、選択可能な結合部分から分離できることが好ましい。ヘアピンループを有さないアダプターにおいては、アダプターの一方の末端または両方の末端が選択可能な結合部分から分離できることが好ましい。
切断されるか、または、ニックが入り得るアダプターは、好ましくは、2つ、または3以上等の、1以上の、ホーミングエンドヌクレアーゼ部位を含む。本発明に関して、任意の切断部位またはニック部位を使用し得る。そのような部位としては、限定するものではないが、化学的切断またはニック部位、RNA/DNA複合部位(composite site)、非天然型塩基(例えば、ウラシル)および制限エンドヌクレアーゼ認識部位、およびホーミングエンドヌクレアーゼ認識部位が挙げられる。
切断されるか、または、ニックが入り得るアダプターは、より好ましくは、1以上の制限またはホーミングエンドヌクレアーゼ認識部位を含む。アダプターが本発明の別のアダプターと連結する場合には、この制限またはホーミングエンドヌクレアーゼ認識部位は、形成されたパリンドローム切断部位ではないことが好ましい。好適な制限またはホーミングエンドヌクレアーゼ認識部位は当技術分野において公知である。好ましいホーミングエンドヌクレアーゼ認識部位としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:
Figure 0005843614
アダプターの対
また、本発明は、本発明のアダプターの対を提供する。対における1つのタイプのアダプターは、一本鎖核酸における2つの異なる領域間のハイブリダイゼーションにより形成され、ヘアピンループを含む(タイプI)。対における別のタイプのアダプターは、ヘアピンループを含んでもよく、含まなくてもよい(タイプII)。タイプIIアダプターは、好ましくは、一本鎖核酸における2つの異なる領域間のハイブリダイゼーションにより形成され、ヘアピンループを含んでもよい。対における各タイプのアダプターは、他方のタイプから区別されて選択可能である。2タイプのアダプターが互いに連結される場合には、完全なパリンドローム切断部位が形成される。アダプターは上記で論じられる任意のものであってよい。
タイプIのアダプターは、タイプIIアダプターから分離可能であり、逆もそうであることが好ましい。上述の任意の分離方法を用いることが可能である。タイプIアダプターは、区別される結合によってタイプIIアダプターから分離されることがより好ましい。タイプIアダプターが、タイプIIアダプターとは異なる選択可能な結合部分を含むことが、さらに好ましい。好ましくは、タイプIアダプターは、選択可能な核酸を含み、タイプIIアダプターはビオチンを含む。これらの全ての実施形態は、本発明の方法を手助けし、以下により詳細に考察する。
また、タイプIアダプターは、それ自身で切断されたり、または、ニックが入ったりせず、タイプIIはそれ自身で切断されたり、または、ニックが入ったりすることも好ましい。タイプIIアダプターは上記に考察した任意の様式で切断されたり、または、ニック形成されることができる。
タイプIアダプターが、アダプターの同定を可能にする核酸配列を含むことは、さらに好ましい。
本発明のアダプターの最も好ましい対を、下記の表1中にまとめる。
Figure 0005843614
キット
また、本発明は、一本鎖核酸における2つの分離された領域間のハイブリダイゼーションにより形成され、ヘアピンループを含む、少なくとも2群の本発明のアダプター(タイプI)を含むキットを提供する。各群における各アダプターは、群に特異的な核酸配列を含む。言い換えれば、ある群における各アダプターは、そのアダプターがその群の一部として同定され、別の群の一部としては同定されないことを可能にする配列を含む。2以上の群は、2以上の生物等の、2以上の異なる個々の供給源に由来する二本鎖核酸テンプレートの多重配列分析を可能にする。好適な生物は以下に考察する。各テンプレートは、異なる群に割り当てられ、それぞれはテンプレートの供給源の同定を可能にする核酸配列を含む。同定される核酸配列は、各群ごとに異なるものとなる。その配列は、典型的には2以上の群の、それぞれのアダプターにおける同様の位置に配置される。このことが、群の間の十分な区別を可能にする。アダプターの同定を可能にする核酸配列は、上記により詳細に考察されている。上記に論じられる任意の実施形態を、本発明のキットに適用可能である。
キットは、5、10、20、50、100または、より多くの群等の、任意の数の群を含み得る。
キットは、好ましくは、各タイプのIアダプターがタイプIIアダプターと対を形成するように、2以上の群のタイプIIアダプターをさらに含む。アダプターの対は上記に、より詳細に考察されている、上述の任意の実施形態を、本発明のキットに対し適用することができる。
また、本発明は、本発明のアダプターの対およびパリンドローム切断部位の切断手段を含む二本鎖核酸配列決定用のキットを提供する。この手段とは、典型的には、上述の酵素である。
本発明のキットは、実行される上述の任意の実施形態を可能にする1以上のその他の試薬または装置を付加的に含んでもよい。そのような試薬または装置には以下の1以上:好適な(1種または複数の)緩衝液(水溶液)、測定対象物からサンプルを得るための手段(容器または針を含む装置)、ポリヌクレオチド配列を増幅、発現および/または配列決定するための手段、上記に定義される膜、上記に定義される表面または電圧装置またはパッチクランプ装置を含む。試薬はキット中で、液状のサンプルによって試薬を再懸濁させるように、乾燥状態で存在してもよい。また、キットには、任意に、本発明の方法でキットを使用できるための説明書や、これを使用し得る被験者に関する詳細な記述を含んでもよい。キットは、任意に、ヌクレオチドを含んでもよい。
核酸構築物
本発明はまた、配列テンプレートとして用いる核酸構築物を提供する。この構築物は、二本鎖核酸の配列決定にとって有用である。構築物は、一般的に、少なくとも1つの本発明のアダプターに連結された2つの核酸鎖を含む。それは、典型的には、調べる必要がある核酸の2つの鎖の配列である。
1実施形態において、本発明は、少なくとも1つの本発明のアダプターに連結された二本鎖核酸を含む、配列決定テンプレートとして使用される核酸構築物を提供する。構築物は、そのひとつが二本鎖核酸の各末端に連結されている、2つのアダプターを含んでもよい。構築物は、先に論じられた任意のアダプターを含み得る。
別の実施形態において、本発明は、一本鎖核酸における2つの異なる領域間のハイブリダイゼーションにより形成されヘアピンループを含む本発明のアダプター(タイプI)を介して共有結合的に連結される2つの核酸鎖を含む、配列決定テンプレートとして使用するための一本鎖核酸構築物を提供する。2つの鎖は、典型的には、dsDNAまたはdsRNA等の二本鎖核酸に由来する。構築物は、上述のタイプIアダプターの任意のものを含み得る。そのような構築物は、上述のような利点を有する。いくつかの例において、一本鎖構造を得るために、構築物を変性させることが必要である場合がある。核酸を変性させるための好適な条件は、以下に、より詳細に考察する。
さらなる実施形態において、本発明は、一本鎖核酸における2つの異なる領域間のハイブリダイゼーションにより形成されヘアピンループを含む本発明のアダプター(タイプI)を介して各末端で共有結合的に連結される2つの核酸鎖を含む、環状核酸構築物を提供する。2つの鎖は、典型的には、dsDNAまたはdsRNA等の二本鎖核酸に由来する。構築物は、先に論じられたタイプIアダプターの任意のものを含み得る。
これら全ての実施形態において、2つの鎖は、好ましくはdsDNAまたはdsRNAのセンスおよびアンチセンス鎖である。
本発明のアダプターの調製方法
また、本発明は、本発明のアダプターの調製方法を提供する。本方法は、(i)互いにハイブリダイズして、パリンドローム切断部位の片半分を形成することが可能であって、(ii)別のアダプターと区別されて選択可能である、2つの核酸を準備することを含む。これらの特徴は全て、本発明のアダプターに関し上記に詳細に論じられている。核酸は、それらがハイブリダイズすることが可能な条件の下で接触させられ、それにより本発明のアダプターが調製される。そのような条件は、以下に詳細に考察される。
本発明はまた、タイプIアダプターの調製方法を提供する。この方法は、(i)互いにハイブリダイズすることが可能な2つの領域、(ii)別のアダプターと区別されて選択可能であるループ形成領域、および(iii)パリンドローム切断部位の片半分を共に形成する2つの端部、を含む、一本鎖核酸を準備することを含む。これらの特徴は全て本発明のアダプターに関する上記に詳細に論じられている。核酸は、前記2つの領域がハイブリダイズして、ヘアピンループを形成し得る条件に曝露し、それにより、アダプターを調製する。
互いにハイブリダイズすることを可能にする核酸または領域は、好ましくは、配列の同一性に基づいて、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%のホモロジーを共有する。核酸または領域は、より好ましくは相補的である(すなわち、配列同一性に基づいて、100%のホモロジーを共有する)。
ホモロジーを決定するためには、当技術分野において標準的な方法を用いればよい。例えば、UWGCG Packageは、例えば、その初期設定で用いてホモロジーを計算するために使用可能なBESTFITプログラムを提供する(Devereux et al (1984) Nucleic Acids Research 12, p387−395)。PILEUPおよびBLASTアルゴリズムは、例えば、Altschul S. F. (1993) J Mol Evol 36:290−300; Altschul, S.F et al (1990) J Mol Biol 215:403−10.に記載されるように、ホモロジーの計算または配列の整列(相当する残基または相当する配列(典型的には、その初期設定において)を同定する等の)のために使用可能である。
BLAST分析のためのソフトウェアは、National Center for Biotecnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じ、公的に入手できる。このアルゴリズムは、クエリ配列中のWという長さを有する短い単語を同定することにより、データベース配列中の同じ長さを有する語と比較したときに、合致するか、または、なんらかの肯定的な値の閾値スコアであるTを満たす、ハイスコアリング配列ペア(high scoring sequence pair(HSP))をまず同定することを含む。Tは、近傍語スコア閾値(neighbourhood word score threshold (Altschul et al, supra))として参照される。これらの最初の近傍語は、それらを含むHSPを見つけ出すための探索を開始するための種として働く。この語でヒットするものを、それぞれの配列に沿って、累積的なアラインメントスコアが増加する限り、両方向に延長していく。各方向に向けた語の延長は、累積的なアラインメントスコアがXの大きさとしてその最大達成値から落ちるか;または、残基のアラインメントにおいて1以上の否定的なスコアリングが蓄積することにより、累積的スコアがゼロ以下になるか;またはいずれかの配列の末端に到達したときに、中止する。BLASTアルゴリズムのパラメーターであるW、TおよびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTプログラムは、word length(W)が11、BLOSUM62 scoring matrix(Henikoff および Henikoff (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915−10919参照) alignments(B)が50、expectation(E)が10、M=5、N=4および両鎖の比較、という初期設定を用いる。
BLASTアルゴリズムは、2つの配列の間の類似性を統計学的に分析する;例えば、Karlin および Altschul(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873−5787参照。 BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの指標は、最小総可能性(smallest sum probability (P(N)))であり。このものは、2つのアミノ酸配列の間のマッチングが偶然に生じる確率を表示する。例えば、第二の配列に対する第一の配列のsmallest sum probabilityが約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、および、最も好ましくは約0.001未満である場合、この配列はもうひとつの配列と類似していると考えられる。
ハイブリダイゼーションを可能にする条件は、当技術分野においてよく知られている(例えば、Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning: a laboratory manual, 3rd edition, Cold Spring Harbour Laboratory Press;および Current Protocols in Molecular Biology, Chapter 2, Ausubel et al., Eds., Greene Publishing および Wiley−lnterscience, New York(1995))。ハイブリダイゼーションは、低ストリンジェンシー条件下では、例えば、30〜35%のホルムアルデヒド、1MのNaClおよび1%のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含む緩衝液存在下で、37℃にて行い、次いで、1×(0.1650MのNa+)SSC(standard sodium citrate)で洗浄、さらに2X(0.33MのNa+)のSSCで50℃にて洗浄することで行うことができる。ハイブリダイゼーションは、中程度のストリンジェンシー条件下では、例えば、40〜45%のホルムアルデヒド、1MのNaClおよび1%のSDSを含む緩衝液存在下で、37℃にて行い、次いで、0.5×(0.0825MのNa+)SSCで洗浄、さらに1X(0.1650MのNa+)のSSCで55℃にて洗浄することで行うことができる。ハイブリダイゼーションは、高ストリンジェンシー条件下では、例えば、50%のホルムアルデヒド、1MのNaClおよび1%のSDSを含む緩衝液存在下で、37℃にて行い、次いで、0.1×(0.0165MのNa+)のSSCで60℃にて洗浄することで行うことができる。
本発明の構築物の調製方法
また、本発明は、本発明の構築物の調製方法を提供する。本発明の構築物は、上述されている。これらの方法を用いて、本発明の任意の構築物を製造できる。
1実施形態において、本発明は、本発明の核酸構築物調製方法を提供する。この方法は、少なくとも1つの本発明のアダプターを、2つの核酸鎖と、前記アダプターと前記鎖との間の連結が可能となる条件の下で接触させることを含む。上述の任意のアダプターを使用することが可能である。2つの鎖は、典型的には、dsDNAまたはdsRNA等の二本鎖核酸に由来する。核酸を連結するための好適な条件は当技術分野において公知である。そのような条件としては、限定するものではないが、50mMのTris−HCl、10mMのMgCl、1mMのATP、10mMのジチオスレイトール,pH7.5、および、25°Cが挙げられる。その結果、アダプターは2つの鎖へと連結され、それにより核酸構築物が得られる。
別の実施形態において、本発明は、本発明の一本鎖核酸構築物の調製方法を提供する。この方法は、タイプIのアダプターを、2つの核酸鎖と、前記アダプターと前記鎖との間の連結が可能となる条件の下で接触させることを含む。上述の任意のタイプIのアダプターを使用することが可能である。2つの鎖は、典型的には、dsDNAまたはdsRNA等の二本鎖核酸に由来する。核酸を連結するための好適な条件は上記に論じられている。アダプターは、2つの鎖が各末端において共有結合的に連結することを可能にする。共有結合的に連結した構築物は、次いで、変性され、一本鎖核酸構築物が得られる。核酸を変性させるための好適な条件としては、限定するものではないが、pH、温度およびイオン強度が挙げられる。
さらに別の実施形態において、本発明は、本発明の環状核酸構築物の調製方法を提供する。この方法は、少なくとも2つのタイプIアダプターを、2つの核酸鎖と、前記アダプターと前記鎖との間の連結が可能となる条件の下で接触させることを含む。少なくとも2つのタイプIアダプターは、同じであってもよく、異なるものであってもよい。上述の任意のタイプIアダプターを使用し得る。2つの鎖は、典型的には、dsDNAまたはdsRNA等の二本鎖核酸に由来する。核酸を連結するための好適な条件は上記に論じられている。アダプターは、2つの鎖が各末端において共有結合的に連結することを可能にし、これにより、環状核酸構築物が得られる。
さらなる実施形態において、本発明は、配列構築物の調製方法を提案する。この方法は、タイプIアダプターを介して共有結合的に連結された二本鎖核酸の2つの鎖を含む一本鎖核酸構築物を調製する。この方法は、二本鎖核酸を準備することを含む。この準備には、好ましくは、テンプレート核酸をランダムに断片化することを含む。二本鎖核酸の末端は、修復されて平滑末端を形成する。先に開示された任意の核酸を使用することができる。この方法は、典型的には、配列が未知である二本鎖核酸を用いて実行される。または、この方法は、配列が既知であるかまたは予測可能な二本鎖核酸を用いて実行され得る。
本方法は、任意の生物または微生物から入手したまたは抽出した二本鎖核酸において、インビトロで行うことができる。生物または微生物は、典型的には原核生物、真核生物、または古細菌であり、典型的には、5界:植物界、動物界、菌界、モネラ界および原生生物界のひとつに属する。本方法は、任意のウィルスから入手したまたは抽出した二本鎖核酸において、インビトロで行うことができる。典型的には、二本鎖核酸はヒトを起源とするが、他には、ウマ、ウシ、ヒツジまたはブタ等の商業用の家畜等や、他には、ネコやイヌ等のペット等の異なる哺乳動物由来であってもよい。
二本鎖核酸は、典型的には、本方法に供される前に、遠心分離または所望しない分子または赤血球などの細胞を濾過するための膜通過によって処理される。二本鎖核酸は、採取し迅速に使用することができる。また、二本鎖核酸は、典型的には、本方法に供するまで、好ましくは−70°C以下で保存することもできる。
二本鎖核酸は、好ましくはdsDNAまたはdsRNAである。
二本鎖核酸を、アダプターが核酸へと連結するのを可能にする条件下で、本発明のタイプIおよびタイプIIアダプターの対と接触させる。タイプIIアダプターは、それ自体、上述のように、切断されるか、ニック形成され得る。核酸を連結するための好適な条件は上記に論じられている。タイプIアダプターおよびタイプIIアダプターの好適な対についても、上記に論じられている。
連結された生成物を、次いで、切断されるまたはニック形成されることを可能にするタイプIIアダプターを特異的に結合する表面と接触させる。タイプIIアダプターを含むいかなる構築物も、表面へと結合し得る。好適な表面としては、限定するものではないが、金属(特に、金)、アガロース、デキストリン、ポリスチレン、ガラス、(結合性および非結合性)シリカ、およびセルロースが挙げられる。好ましくは、表面は、タイプIIアダプターの選択可能な結合部分に対し特異的に結合する。表面は、最も好ましくはアビジンで被覆される。
次いで、結合しなかったあらゆる生成物を除去する。これは、典型的には、その表面を好適な緩衝液で洗浄することによってなされる。好適な緩衝液としては、限定するものではないが、好適なイオン濃度のTris、HEPESおよびMOPSが挙げられる。このステップが、タイプIアダプターがタイプIアダプターに連結して形成される全ての構築物(タイプI:タイプI)を除去する。
表面を、次いで、完全なパリンドローム切断部位を認識する酵素と接触させる。好適な酵素は上記に論じられている。このステップが、残っている(すなわち、結合している)、アダプターがアダプターへと連結して形成された、すなわち、タイプI:タイプIIまたはタイプII:タイプIIのあらゆる構築物を切断し得る。
再び、結合していない生成物を、典型的には洗浄によって除去する。このステップにより、単独のタイプIIアダプター、または、二本鎖核酸および少なくともひとつのタイプIIアダプターのみが依然として表面へと結合している状態になる。
タイプIIアダプターを次いで切断する。これを行う方法は上記に論じられている。このステップが、二本鎖核酸および少なくともひとつのタイプIIアダプターを含む構築物を、表面から遊離させる。
可溶性の生成物を、次いで、切断またはニック形成されることができないタイプIアダプターと特異的に結合する表面と接触させる。残っている構築物のうち、タイプIアダプターを含むはいずれも、その表面に結合する。各構築物は、タイプIアダプターを介して、ひとつの末端において共有結合的に連結した二本鎖核酸を含み得る。表面は、好ましくは、タイプIアダプターの選択可能な結合部分に特異的に結合する。表面は、より好ましくは、タイプIアダプターにおける選択可能な核酸配列に対する配列同一性に基づいて、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%等の、少なくとも80%相同である核酸配列によって被覆される。表面は、 最も好ましくは、タイプIアダプターにおける選択可能な核酸配列に対し相補的な核酸配列によって被覆される。再度、結合していない生成物を除去する。
最終的に、残っているあらゆる生成物を表面から遊離させる。それらの遊離された生成物は、二本鎖核酸がタイプIアダプターを介して1つの末端で共有結合的に連結された本発明の配列構築物に相当する。この構築物はまた、二本鎖核酸の末端においてタイプIIアダプターの断片を含み得る。
得られる構築物は、一本鎖構築物を形成するために変性する必要を有し得る。二本鎖核酸を変性するために好適な条件は、上記に考察されている。
二本鎖核酸の配列決定方法
本発明はまた、二本鎖核酸の配列決定法を提供する。この方法は、核酸構築物を調整するための上記の方法のひとつを実行することを含む。核酸、好ましくはDNAまたはRNAの2つの鎖を含む構築物は、タイプIアダプターを介して共有結合的に連結する。必要でれば、構築物は変性されて一本鎖構築物を形成する。このための条件は上述されている。
一本鎖構築物はついで配列決定される。一本鎖構築物の配列決定は、順に、1つの鎖、タイプIアダプターおよびその他の鎖の配列を提供する。鎖は当然ながら、逆方向に存在する。いくつかの実施形態において、タイプIIアダプターの断片もまた、一本鎖核酸構築物中に存在し得る。
本発明の方法は、二本鎖核酸がそれぞれの位置において2回(すなわち、各鎖ごとに1回)調べられることにより、優位性を有する。この方法は、好ましくは、メチルシトシンを含むか、または、含むと考えられる二本鎖核酸の配列決定を含む。もし、タイプIアダプターが、二本鎖核酸の供給源を同定する核酸配列を含む場合、本発明の方法を用いてこれを認識することもできるであろう。
これらの方法を用いて、構築物の全体または一部のみを配列決定することができる。構築物は任意の長さでよい。例えば、構築物は、長さにおいて、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、または少なくとも500ヌクレオチドであり得る。この方法は、典型的にはインビトロで実行される。
各塩基を効果的に2回ずつ調べることにより、本発明は、既存の第二世代の配列決定化学反応、および、開発中の次世代の配列決定技術における全てのデータ品質を向上させ得る。一本鎖核酸構築物における任意の配列決定法を、本発明と関連して用いることができる。好適な方法は当技術分野において公知である。そのような方法としては、限定するものではないが、Sanger(またはジデオキシ)法、Maxam−Gilbert(化学的切断)法、Life Technologies社のSOLiD(連結による配列決定を用いる)、Illumina Genome Analyser(増幅したテンプレート上で蛍光性の可逆的ターミネーター化学反応を用いる)、454 Genome Sequencer FLX(増幅したテンプレート上でのパイロシークエンス化学反応を用いる)、Helicos Heliscope(増幅しない(アダプターで修飾した)テンプレート上での蛍光性の可逆的ターミネーター化学反応による真の単分子配列決定を用いる)、Bionanomatrix(エッチングされたチャンネル中の塩基における電子的識別)、Danaher Motion(「ポロニー(polony)」配列決定)、LingVitae(「デザインポリマー」配列決定)、Pacific BioSciences社の蛍光ヌクレオチドDNAポリマー化による単分子配列決定、および、Visigen社の方法(DNAポリマー化反応中のドナーおよびアクセプターのFRET相互作用による配列決定)が挙げられる。
また、膜貫通細孔を核酸分子の配列決定に用いることが可能な多くの方法が存在する。ひとつの方法には、デオキシリボヌクレアーゼ等のエキソヌクレアーゼ酵素の使用を含む。このアプローチにおいて、エキソヌクレアーゼ酵素は、標的となる核酸鎖からヌクレオチドを連続的に切り離すために使用される。次いで、ヌクレオチドは、それらが遊離する順に細孔によって検知され、識別され、すなわち、元の鎖の配列が読まれる。
核酸の配列決定における別の方法には、付加電位(applied potential)と相まって、細孔を通じて標的となる核酸鎖を押したり引いたりする酵素の使用を含む。このアプローチにおいて、標的である鎖の中のヌクレオチドが細孔を通過するときに、イオン電流が変動する。この電流における変動が、鎖の配列における指標となる。
核酸鎖の配列決定における第3の方法は、細孔検出器に対して近接させることによって、ポリメラーゼの副生成物を検出する方法である。このアプローチにおいて、ヌクレオチドリン酸(ヌクレオチド)は、ヌクレオチド鎖に対するポリメラーゼの付加においてリン酸標識された種が遊離され、そのリン酸標識された種が細孔により検知されるように、標識される。リン酸種は、各ヌクレオチドに対する特異的な標識を含む。ヌクレオチドが核酸鎖に対して連続的に付加されるとき、塩基付加の副生成物が検出される。リン酸標識された種が検出される順序が、核酸鎖の配列を決定するために用いられる。
これらの3つの方法のうちの任意のものを、本発明に従う配列の決定のため使用できる。
好ましい1実施形態において、配列決定は、(i)エキソヌクレアーゼが、構築物の一端から個々のヌクレオチドを消化するように、その構築物を、前記エキソヌクレアーゼおよび分子アダプターがそれに共有結合している膜貫通細孔と接触させることと;(ii)前記ヌクレオチドが前記分子アダプターと相互作用するように、前記ヌクレオチドを前記細孔と接触させることと;(iii)前記相互作用時に、前記細孔を通過する前記電流を測定し、それにより、前記ヌクレオチドのアイデンティティーを決定することと;(iv)前記構築物の同じ端部においてステップ(i)〜(iii)を繰り返し、それにより、前記構築物の前記配列を決定すること、を含む方法によって実行される。
別の好ましい実施形態において、配列決定は、(i)前記酵素が、前記構築物を、前記細孔を通過するように押したり引いたりし、前記構築物における一定の割合の前記ヌクレオチドが前記細孔と相互作用するように、前記構築物を、核酸処理酵素がそれに共有結合している膜貫通細孔と接触させることと;(ii)各相互作用時に、前記細孔を通過する前記電流を測定し、それにより、前記構築物の前記配列を決定すること、を含む方法によって実行される。
膜貫通細孔
膜貫通細孔は、付加電位により作動させられるイオンが膜の片側から膜のもう一方の側へと流れることを可能にする細孔である。細孔は、好ましくは、付加電位に従ってヌクレオチドが膜の片側から膜のもう一方の側へと流れることを可能にする。細孔は、好ましくは、DNAまたはRNA等の核酸が、前記細孔を通じて押したり引いたりされることを可能にする。
細孔は、好ましくは膜貫通タンパク質細孔である。膜貫通タンパク質細孔は、付加電位により作動されるイオンが膜の片側から膜のもう一方の側へと流れることを可能にするひとつのポリペプチドまたはポリペプチドのコレクションである。
細孔は、単離され、実質的に単離され、精製され、または実質的に精製され得る。脂質またはその他の細孔等のその他の成分を完全に含まない場合、細孔は、単離されるまたは精製される。細孔が意図した用途に影響を与えることのない担体または希釈剤と混合される場合、細孔は実質的に単離される。例えば、脂質またはその他の細孔等のその他の成分を10%未満、5%未満、2%未満または1%未満含む形態で存在する場合、細孔は実質的に単離される、または実質的に精製される。細孔は典型的には脂質二重層中に存在する。
細孔は、モノマーまたはオリゴマーであり得る。細孔は、好ましくは、6、7または8サブユニット等のいくつかの繰り返しサブユニットから形成される。細孔は、より好ましくは7量体の細孔である。細孔は、典型的には、バレルまたはチャンネルを含み、そこを通じてイオンが流れることができる。細孔のサブユニットは、典型的には、中心軸を取り囲み、膜貫通βバレルまたはチャンネル、もしくは膜貫通α−ヘリックスバンドルまたはチャンネルへと鎖を導く。
細孔のバレルまたはチャンネルは、典型的には、ヌクレオチドまたは核酸との相互作用を促すアミノ酸を含む。これらのアミノ酸は、好ましくはバレルまたはチャンネルの狭窄部の近傍に位置する。細孔は、典型的には、1つ以上の、アルギニン、リジンまたはヒスチジン等の正に荷電したアミノ酸を含む。これらのアミノ酸は、典型的には、細孔とヌクレオチドまたは核酸の間の相互作用を促す。ヌクレオチドの検出は、アダプターにより促され得る。このことは以下に、詳細に議論する。
本発明に関して使用するための細孔は、β−バレル細孔、α−ヘリックスバンドル細孔または固体細孔であり得る。β−バレル細孔は、β−鎖から形成されるバレルまたはチャンネルを含む。好適なβ−バレル細孔としては、限定するものではないが、α−ヘモリジン、炭疽菌毒素およびロイコシジン等のβ−毒素、および、Mycobacterium smegmatisのポーリンA(MspA)、外膜ポーリンF(OmpF)、外膜ポーリンG(OmpG)、外膜ホスホリパーゼAおよびNeisseriaオートトランスポーターリポタンパク質(NalP)等の細菌の外膜タンパク質/ポーリンが挙げられる。α−ヘリックスバンドル細孔は、α−ヘリックスから形成されるバレルまたはチャンネルを含む。好適なα−ヘリックスバンドル細孔としては、限定するものではないが、WZA等の内膜タンパク質およびα外膜タンパク質が挙げられる。
好適な固体の細孔としては、限定するものではないが、窒化ケイ素細孔、二酸化ケイ素細孔、およびグラファイト細孔が挙げられる。その他の好適な固体の細孔およびそれらの製造方法は、米国特許第6,464,842号、国際公開WO03/003446、国際公開WO2005/061373、米国特許第7,258,838号、米国特許第7,466,069号、米国特許第7,468,271号および米国特許第7,253,434において論じられている。
細孔は、好ましくは、α−ヘモリジン(α−HL)に由来する。野生型α−HL細孔は、7つの同一のモノマーまたはサブユニットから形成される(すなわち、それは7量体である)。α−ヘモリジンの野生型モノマーまたはサブユニットの配列を配列番号2に示す。細孔は、好ましくは、配列番号2に示される配列またはその変異体の7つのサブユニットを含む。配列番号2のアミノ酸1、7〜21、31〜34、45〜51、63〜66、72、92〜97、104〜111、124〜136、149〜153、160〜164、173〜206、210〜213、217、218、223〜228、236〜242、262〜265、272〜274、287〜290および294は、ループ領域を形成する。配列番号2における残基113および147は、α−HLのバレルの狭窄部、またはチャンネルの一部を形成する。
配列番号2の変異体は、配列番号2のアミノ酸配列とは異なり、その細孔形成能力を保持するアミノ酸配列を有するサブユニットである。変異体の細孔形成能力は、当技術分野において公知の任意の方法を用いてアッセイすることができる。例えば、変異体をその他の適当なサブユニットと一緒に膜内に挿入してもよく、オリゴマー化して細孔を形成するその能力を測定してもよい。
変異体は、核酸処理酵素との共有結合または相互作用を促す修飾を含んでもよい。変異体は、好ましくは、酵素との結合を促す1つ以上の反応性システイン残基を含む。例えば、変異体は、8、9、17、18、19、44、45、50、51、237、239および287位の1ヶ所以上に、および/または、配列番号2のアミノまたはカルボキシ末端に、システイン残基を含んでもよい。好ましい変異体は、配列番号2の8、9、17、237、239および287位の残基とシステインの置換を含む(K8C、T9C、N17C、K237C、S239CまたはE287C)。
変異体は、酵素の遺伝的融合を容易にするために修飾してもよい。例えば、挿入部位に隣接する1つ以上の残基を、修飾させて、例えば、欠失させて、酵素および/またはリンカーの挿入を容易にさせてもよい。酵素を配列番号2のループ2内に挿入する場合、配列番号2の残基、D45、K46、N47、H48、N49およびK50のうちの1つ以上を欠失させてもよい。
変異体はまた、ヌクレオチドとの任意の相互作用を促すか、または、以下に記載される分子アダプターの配向を促す、修飾を含んでもよい。変異体はまた、分子アダプターの共有結合を促す修飾を含んでもよい。
特に、変異体は、好ましくは、配列番号2の139位にグルタミンを有する。変異体は、好ましくは、配列番号2の113位にアルギニンを有する。変異体は、好ましくは、配列番号2の119、121または135位にシステインを有する。配列番号4は、113位にアルギニン(M113R)と139位にグルタミン(N139Q)を有していること以外は、配列番号2の配列を示す。配列番号4またはその変異体を用いて、本発明の細孔を形成させてもよい。
変異体は、生物によって、例えば、ブドウ球菌によって、天然において発現される天然の変異体であっても、大腸菌などの細菌によって組み換え的に発現されてもよい。変異体はまた、組み換え技術により作製される非天然の変異体を含む。配列番号2または4のアミノ酸配列の全長に亘り、変異体は、好ましくは、アミノ酸同一性に基づく配列に対して、少なくとも50%相同であり得る。より好ましくは、変異体ポリペプチドは、配列全体に亘って、配列番号2または4のアミノ酸配列に対して、アミノ酸同一性に基づき、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、および、より好ましくは、少なくとも95%、97%または99%相同であり得る。200個以上、例えば、230、250、270または280個以上連続するアミノ酸の幅に亘り、少なくとも80%、例えば、少なくとも85%、90%または95%のアミノ酸同一性が存在し得る(「高相同性(hard homology)」)。
上記で考察したものの他に、配列番号2または4のアミノ酸配列に対して、アミノ酸置換を、例えば、1、2、3、4、5、10、20または30個までの置換を、行うことができる。保存的置換は、例えば、以下の表2にしたがって、実施することができる。
Figure 0005843614
配列番号2のアミノ酸配列の1つ以上のアミノ酸残基を、上記したポリペプチドからさらに欠失させてもよい。1、2、3、4、5、10、20または30個までの残基を欠失させてもよく、それ以上であってもよい。
変異体は、配列番号2または4の断片であってもよい。そのような断片は、細孔形成活性を保持する。断片は、少なくとも50、100、200または250アミノ酸長であることができる。断片は、好ましくは、配列番号2または4の細孔形成ドメインを含む。断片は、典型的には、配列番号2または4の残基119、121、135.113および139を含む。
1つ以上のアミノ酸を、上記したポリペプチドに対して、代替的または付加的に付加してもよい。配列番号2または4またはその変異体または断片のアミノ酸配列のアミノ末端またはカルボキシ末端において、伸長させてもよい。伸長は、かなり短くてもよく、例えば、1〜10個のアミノ酸長であってもよい。あるいは、伸長は、より長くてもよく、例えば、最大50個または100個のアミノ酸であってもよい。担体タンパク質を、細孔または変異体に融合させてもよい。
上記で考察したように、配列番号2または4の変異体は、配列番号2または4のアミノ酸配列とは異なり、その細孔形成能力を保持するアミノ酸配列を有するサブユニットである。変異体は、典型的には、細孔形成に関与する配列番号2または4の領域を含む。β−バレルを含むα−HLの細孔形成能力は、各サブユニットにおけるβ−鎖によって提供される。配列番号2または4の変異体は、典型的には、β−鎖を形成する配列番号2の領域を含む。β−鎖を形成する配列番号2または4のアミノ酸については、上記で考察されている。得られた変異体がその細孔形成能力を保持している限り、β−鎖を形成する配列番号2または4の領域に対して1つ以上の修飾を行うことができる。配列番号2または4のβ−鎖領域に対して行うことができる特定の修飾については、上記で考察されている。
配列番号2または4の変異体は、好ましくは、そのα−ヘリックスおよび/またはループ領域内に、1つ以上の修飾、例えば、置換、付加または欠失を含む。α−ヘリックスおよびループを形成するアミノ酸については、上記で考察されている。
変異体は、例えば、その同定または精製を支援するために、ヒスチジンまたはアスパラギン酸残基を付加することにより、または、ポリペプチドがそのような配列を天然には含まない場合に、細胞からそれらの分泌を促進するためにシグナル配列を付加することにより、修飾してもよい。
細孔は、明示用標識(revealing label)を用いて標識してもよい。明示用標識は、細孔を検出することが可能な任意の好適な標識であり得る。好適な標識としては、限定するものではないが、蛍光分子、ラジオアイソトープ、例えば、125I、35S、14C、酵素、抗体、抗原、ポリヌクレオチド、およびリガンド、例えば、ビオチンが挙げられる。
細孔は、細孔生成生物、例えば、黄色ブドウ球菌から単離してもよく、または、合成もしくは組み換え手段により作製してもよい。例えば、細孔は、インビトロにおける翻訳および転写により合成してもよい。細孔のアミノ酸配列は、非天然のアミノ酸を含ませるために、または、細孔の安定性を増大させるために、修飾してもよい。細孔が合成的手段により作製された場合、そのようなアミノ酸は、細孔作製時に導入してもよい。細孔はまた、合成または組み換え作製のいずれかの後で改変してもよい。
細孔はまた、D−アミノ酸を用いて作製してもよい。例えば、細孔は、L−アミノ酸とD−アミノ酸の混合物を含んでもよい。このようなタンパク質またはペプチドを作製するために、このことは、当技術分野において、従来続けられている。
細孔はまた、それら修飾がその細孔形成能力を妨害しない限り、その他の非特異的な化学修飾を含んでもよい。多数の非特異的な側鎖修飾は、当技術分野において公知であり、細孔の側鎖に対して行ってもよい。そのような修飾としては、例えば、アルデヒドとの反応に続く、NaBHとの還元によるアミノ酸の還元アルキル化、メチルアセトイミデートによるアミジン化、または無水酢酸によるアシル化が挙げられる。細孔に対する修飾は、各サブユニットの発現後に行うこともできるし、細孔を形成するためにサブユニットが使用された後に行うこともできる。
細孔は、当技術分野において公知の標準的方法を用いて、作製することができる。細孔または細孔サブユニットをコードするポリヌクレオチド配列は、当技術分野における標準的方法を用いて、単離および複製することができる。細孔または細孔サブユニットをコードするポリヌクレオチド配列は、当技術分野における標準的方法を用いて、細菌宿主細胞中で発現させてもよい。細孔は、組み換え発現ベクターからのポリペプチドのその場での(インサイチュ:in situ)発現により、細胞中で作製してもよい。発現ベクターは、任意に、ポリペプチドの発現を制御するための誘導性プロモーターを担持する。
細孔は、細孔生成生物から、任意のタンパク質液体クロマトグラフィーシステムによる精製後に、または、以下に記載されるような組み換え発現後に、ラージスケールで作製してもよい。典型的なタンパク質液体クロマトグラフィーシステムとしては、FPLC、AKTAシステム、Bio−Cadシステム、Bio−Rad BioLogicシステムおよびGilson HPLCシステムが挙げられる。
核酸処理酵素
核酸処理酵素は、核酸と相互作用することができ、核酸の少なくとも1つの特性を修飾することができるポリペプチドである。本酵素は、核酸を切断することにより、個々のヌクレオチドまたは短いヌクレオチド鎖、例えば、ジ−またはトリヌクレオチドを形成するように核酸を修飾し得る。本酵素は、核酸を配向させることにより、または、特定の位置に移動させることにより、核酸を修飾し得る。上記した核酸のいずれも、本酵素によって処理し得る。
本酵素によって処理される核酸は、好ましくは、一本鎖である。本酵素によって処理される核酸は、二本鎖、例えば、dsDNAまたはdsRNAであってもよい。一本鎖核酸を処理する酵素は、本酵素によって処理する前に、二本鎖DNAが化学的または熱的に一本鎖へと遊離する限り、二本鎖DNAを配列決定するために使用してもよい。
核酸処理酵素の三次構造は公知であることが好ましい。酵素の三次元構造についての知識が、本発明の方法においてその機能を 促進するために、酵素に対して修飾を行うことを可能にする。
この酵素は、任意のサイズであり、任意の構造を有することができる。例えば、本酵素は、オリゴマー、例えば、ダイマーまたはトリマーであってもよい。本酵素は、好ましくは、1つのモノマーから形成される小さな球状ポリペプチドである。この酵素は、扱いやすく、そして、細孔または細孔サブユニットの細孔形成能力を妨害しにくく、特に、細孔または細孔サブユニットの配列と融合した場合、又は配列中に挿入した場合、妨害しにくい。
この酵素のアミノおよびカルボキシ末端は、近接近しているのが好ましい。本酵素のアミノおよびカルボキシ末端は、より好ましくは、酵素の同じ面上に提示されている。このような実施形態は、細孔または細孔サブユニット配列への酵素の挿入を容易にする。例えば、酵素のアミノおよびカルボキシ末端が近接近している場合、それぞれは、細孔または細孔サブユニットの配列中の隣接するアミノ酸に遺伝子的融合により結合させることができる。
この酵素の活性部位の位置および機能が公知であることも好ましい。このことは、酵素活性を損なわせる活性部位への修飾が行われることを防ぐ。構築物中の一定の割合のヌクレオチドが細孔と相互作用するよう、本酵素が構築物を処理するように、酵素を細孔と結合させることも可能である。本酵素自体が電流の障害となることなく、細孔チャンネルのバレル開口部分を形成する細孔の部分の可能な限り近くに、酵素活性部位を配置することが有益である。本酵素が核酸を配向し得る方法に対する知識はまた、効率的な細孔−酵素構築物が設計されることを可能にする。
構築物中のヌクレオチドの多くを、確率論的センシングにより正確に同定するために、ヌクレオチドの識別と適合し得るバッファーバックグラウンド中で本酵素は核酸を処理する必要がある。本酵素は、好ましくは、通常の生理学的レベルよりもずっと高い塩濃度、例えば、100mM〜2000mMで、少なくとも残存する活性を有する。本酵素は、より好ましくは、高い塩濃度でのその活性を増大させるために修飾されている。本酵素はまた、その処理性、安定性および保存期間を向上させるために修飾してもよい。
好適な修飾は、好極限性微生物、例えば、好塩性、中度好塩性細菌、好熱性および中度好熱性生物の特性決定、ならびに、中度好熱性または好熱性エキソヌクレアーゼの耐塩性、安定性および温度依存性を変化させる指向性進化手法から決定することができる。
この酵素はまた、好ましくは、10℃〜60℃の温度、例えば、室温にて、少なくとも部分的な活性を保持する。このことは、様々な温度、例えば、室温にて、本構築物が核酸の配列決定することを可能にする。
核酸処理酵素は、好ましくは、核酸分解酵素である。核酸処理酵素は、より好ましくは、酵素分類(EC)グループ3.1.11、3.1.13、3.1.14、3.1.15、3.1.16、3.1.21、3.1.22、3.1.25、3.1.26、3.1.27、3.1.30および3.1.31のうちのいずれかのメンバーである。核酸処理酵素は、より好ましくは、以下の酵素のいずれか1つである:
・ 3.1.11.−5’− ホスホモノエステル産生エキソデオキシリボヌクレアーゼ.
3.1.11.1 エキソデオキシリボヌクレアーゼI.
3.1.11.2 エキソデオキシリボヌクレアーゼIII.
3.1.11.3 エキソデオキシリボヌクレアーゼ(ラムダ−誘導性).
3.1.11.4 エキソデオキシリボヌクレアーゼ(ファージSP3−誘導性).
3.1.11.5 エキソデオキシリボヌクレアーゼV.
3.1.11.6 エキソデオキシリボヌクレアーゼVII.

・ 3.1.13.− 5’−ホスホモノエステル産生エキソリボヌクレアーゼ.
3.1.13.1 エキソリボヌクレアーゼII.
3.1.13.2 エキソリボヌクレアーゼH.
3.1.13.3 オリゴヌクレオチダーゼ.
3.1.13.4 ポリ(A)−特異的リボヌクレアーゼ.
3.1.13.5 リボヌクレアーゼD.

・ 3.1.14.− 3’−ホスホモノエステル産生エキソリボヌクレアーゼ.
3.1.14.1 酵母リボヌクレアーゼ.

・ 3.1.15.− 5’−ホスホモノエステル産生性の、リボ−またはデオキシリボ核酸のいずれかと活性を示すエキソヌクレアーゼ
3.1.15.1 毒液エキソヌクレアーゼ.

・ 3.1.16.− 3’−ホスホモノエステル産生性の、リボ−またはデオキシリボ核酸のいずれかと活性を示すエキソヌクレアーゼ
3.1.16.1 脾臓エキソヌクレアーゼ.

・ 3.1.21.− 5’−ホスホモノエステル産生エンドデオキシリボヌクレアーゼ.
3.1.21.1 デオキシリボヌクレアーゼI.
3.1.21.2 デオキシリボヌクレアーゼIV(ファージ−T(4)−誘導性).
3.1.21.3 タイプI部位特異的デオキシリボヌクレアーゼ.
3.1.21.4 タイプII部位特異的デオキシリボヌクレアーゼ.
3.1.21.5 タイプIII部位特異的デオキシリボヌクレアーゼ.
3.1.21.6 CC−選択性エンドデオキシリボヌクレアーゼ.
3.1.21.7 デオキシリボヌクレアーゼV.

・ 3.1.22.− 5’−ホスホモノエステル以外を産生するエンドデオキシリボヌクレアーゼ.
3.1.22.1 デオキシリボヌクレアーゼII.
3.1.22.2 アスペルギルス デオキシリボヌクレアーゼK(1).
3.1.22.3 登録分類変更:3.1.21.7.
3.1.22.4 交差分岐エンドデオキシリボヌクレアーゼ.
3.1.22.5 デオキシリボヌクレアーゼX.

・ 3.1.25.− 改変塩基に対して特異的な、部位特異的エンドデオキシリボヌクレアーゼ.
3.1.25.1 デオキシリボヌクレアーゼ(ピリミジンダイマー).
3.1.25.2 登録分類変更:4.2.99.18.

・ 3.1.26.− 5’−ホスホモノエステル産生エンドリボヌクレアーゼ.
3.1.26.1 モジホコリ(Physarum polycephalum)リボヌクレアーゼ.
3.1.26.2 リボヌクレアーゼα.
3.1.26.3 リボヌクレアーゼIII.
3.1.26.4 リボヌクレアーゼH.
3.1.26.5 リボヌクレアーゼP.
3.1.26.6 リボヌクレアーゼIV.
3.1.26.7 リボヌクレアーゼP4.
3.1.26.8 リボヌクレアーゼM5.
3.1.26.9 リボヌクレアーゼ(ポリ−(U)−特異的).
3.1.26.10 リボヌクレアーゼIX.
3.1.26.11 リボヌクレアーゼZ.

・ 3.1.27.− 5’−ホスホモノエステル以外を産生するエンドリボヌクレアーゼ.
3.1.27.1 リボヌクレアーゼ T(2).
3.1.27.2 バチルス・ズブチリス リボヌクレアーゼ.
3.1.27.3 リボヌクレアーゼ T(1).
3.1.27.4 リボヌクレアーゼ U(2).
3.1.27.5 膵リボヌクレアーゼ.
3.1.27.6 エンテロバクターリボヌクレアーゼ.
3.1.27.7 リボヌクレアーゼF.
3.1.27.8 リボヌクレアーゼV.
3.1.27.9 tRNA−イントロンエンドヌクレアーゼ.
3.1.27.10 rRNA エンドヌクレアーゼ.

・ 3.1.30.− 5’−ホスホモノエステル産生性の、リボ−またはデオキシリボ核酸のいずれかと活性を示すエンドヌクレアーゼ
3.1.30.1 アスペルギルスヌクレアーゼS(1).
3.1.30.2 セラチア・マルセセンスヌクレアーゼ.

・ 3.1.31.− 3’−ホスホモノエステル産生性の、リボ−またはデオキシリボ核酸のいずれかと活性を示すエンドリボヌクレアーゼ
3.1.31.1 微生物ヌクレアーゼ.
酵素は、最も好ましくは、核酸を切断して、個々のヌクレオチドを形成する、エキソヌクレアーゼ、例えば、デオキシリボヌクレアーゼである。エキソデオキシリボヌクレアーゼの利点は、一本鎖および二本鎖DNAの両方に活性を示し、5’-3’または3’-5’の方向のいずれかで塩基を加水分解する点である。
個々のヌクレオチドとは、単一のヌクレオチドである。個々のヌクレオチドは、任意の結合、例えば、ホスホジエステル結合によって、別のヌクレオチドまたは核酸と結合していないものである。ホスホジエステル結合は、ヌクレオチドのリン酸基の1つが別のヌクレオチドの糖基と結合していることを伴う。個々のヌクレオチドは、典型的には、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1000、または少なくとも5000ヌクレオチドの別の核酸配列といかなる様式でも結合していないものである。
本方法において使用するための好ましい酵素としては、大腸菌由来のエキソヌクレアーゼI(配列番号6)およびT.thermophilus由来のRecJ(配列番号8)、およびそれらの変異体が挙げられる。エキソヌクレアーゼ酵素は、好ましくは、配列番号6および8に示される配列またはその変異体のいずれかを含む。配列番号6または8の変異体は、配列番号6または8のアミノ酸配列とは異なり、核酸処理能力を保持するアミノ酸配列を有する酵素である。核酸を処理する変異体の能力は、当技術分野において公知の任意の方法を用いてアッセイすることができる。例えば、変異体、または変異体がそれに結合している細孔は、特定の核酸配列を処理するそれらの能力について試験することができる。この酵素は、核酸の処理を促進し、かつ/または、高い塩濃度および/または室温にてその活性を促進する修飾を含んでもよい。酵素は、細孔または細孔サブユニットとの共有結合または相互作用を促進する修飾を含んでもよい。上記で考察したように、接近可能なシステインは、リンカーとの非特異的反応を避けるために、酵素から除去してもよい。あるいは、細孔または細孔サブユニットへの結合を容易にするために、1つ以上の反応性システインを、酵素に、例えば、遺伝子的に融合されたペプチドリンカーの一部として、導入してもよい。
変異体は、上記で考察したように、配列番号2の変異体が配列番号2または4とは異なるのと同じ程度に、配列番号6または8と異なっていてもよい。
配列番号6または8の変異体は、その核酸処理活性を保持している。変異体は、典型的には、核酸処理活性を担う配列番号6または8の領域を含む。配列番号6および8の触媒ドメインは、上記で考察されている。配列番号6または8の変異体は、好ましくは、関連する触媒ドメインを含む。配列番号6または8の変異体は、典型的には、関連する触媒ドメイン外に、1つ以上の修飾、例えば、置換、付加または欠失を含む。
配列番号6または8の好ましい変異体は、本願と同時に出願された同時係属出願[J A Kemp & Co Ref:N.106566;Oxford Nanolabs Ref:ONL IP 007]中に記載されており、この文献は参照により本明細書に組み入れられる。その出願の全ての教示は、本発明に同等に適用され得る。
細孔を通って構築物を押したり引いたりすることができる好ましい酵素としては、ポリメラーゼ、エキソヌクレアーゼ、ヘリカーゼ、およびトポイソメラーゼ、例えば、ジャイレースが挙げられる。ポリメラーゼは、好ましくは、酵素分類(EC)グループ2.7.7.6、2.7.7.7、2.7.7.19、2.7.7.48および2.7.7.49のいずれかのメンバーである。ポリメラーゼは、好ましくは、DNA依存性DNAポリメラーゼ、RNA依存性DNAポリメラーゼ、DNA依存性RNAポリメラーゼ、またはRNA依存性RNAポリメラーゼである。ヘリカーゼは、好ましくは、酵素分類(EC)グループ3.6.1.−および2.7.7.−のいずれかのメンバーである。ヘリカーゼは、好ましくは、ATP依存性DNAヘリカーゼ(ECグループ3.6.1.8)、ATP依存性RNAヘリカーゼ(ECグループ3.6.1.8)またはATP非依存性RNAヘリカーゼである。トポイソメラーゼは、好ましくは、酵素分類(EC)グループ5.99.1.2および5.99.1.3のいずれかのメンバーである。
本酵素は明示用標識(revealing enzyme)を用いて標識してもよい。明示用標識は、上記したもののいずれであってもよい。
本酵素は、酵素産生生物、例えば、大腸菌、T.サーモフィルスまたはバクテリオファージから単離することができ、または、合成もしくは組み換え手段により作製することもできる。例えば、酵素は、上記および下記のように、インビトロ翻訳および転写により合成することができる。酵素は、上記のような精製後に、ラージスケールで作製することもできる。
細孔との酵素の共有結合
構築物を効率的に配列決定するためには、構築物中の一定の割合のヌクレオチドが連続的様式で同定されることを確実にすることが重要である。酵素の固定的特性は、構築物中の一定の割合のヌクレオチドが細孔を通じて流れる電流に影響を与えることを意味する。
細孔と結合している酵素は、構築物中のヌクレオチドが、細孔と、好ましくは、細孔のバレルまたはチャンネルと、相互作用するように、構築物を処理する。次に、相互作用時に細孔を通じて流れる電流に、ヌクレオチドが影響を及ぼす様式の違いに基づいて、ヌクレオチドは識別される。
酵素の固定的特性は、構築物が特定の様式で細孔によって処理されることを意味する。例えば、各ヌクレオチドは、前進的(processive manner)に、構築物の1つから消化してもよいし、または、構築物は、細孔を通じて押したり引いたりしてもよい。このことは、構築物中の一定の割合のヌクレオチドが、細孔と相互作用し、同定されることを確実にする。シグナル中に何ら妨害が無いことは、核酸の配列決定をする場合に重要である。さらに、酵素と細孔の固定的特性は、それらが一緒に保存することができ、それによって、すぐに使えるセンサーの作製が可能となることを意味する。
好ましい実施形態において、エキソヌクレアーゼ酵素、例えば、デオキシリボヌクレアーゼは、一定の割合のヌクレオチドが構築物から遊離され、細孔のバレルまたはチャンネルと相互作用するように、細孔と結合する。別の好ましい実施形態において、構築物が細孔のバレルまたはチャンネルを通じて押したり引いたりされ、また、構築物中の一定の割合のヌクレオチドがバレルまたはチャンネルと相互作用するように、細孔を通じて構築物を押したり引いたりすることができる酵素は、細孔と結合する。この実施形態において、ヌクレオチドは、1つより多い、例えば、2、3または4つのブロックまたはグループの細孔と相互作用し得る。好適な酵素としては、限定するものではないが、ポリメラーゼ、ヌクレアーゼ、ヘリカーゼ、およびトポイソメラーゼ、例えば、ジャイレースが挙げられる。各実施形態において、酵素は、好ましくは、細孔のバレルまたはチャンネルの開口部と近接近する部位にある細孔と結合する。酵素は、より好ましくは、その活性部位が細孔のバレルまたはチャンネルの開口部に向かって配向されるように、細孔と結合する。このことは、構築物中の一定の割合のヌクレオチドが、バレルまたはチャンネル中に供給されることを意味する。酵素は、好ましくは、細孔のシス側と結合する。
細孔は酵素と結合する。細孔は、1ヶ所より多い点、例えば、2または3ヶ所で酵素と結合することができる。1ヶ所より多い点で細孔を酵素と結合させることを利用することで、酵素の可動性を制約することができる。例えば、複数の結合を利用することで、酵素が回転する自由、または酵素が細孔または細孔サブユニットから離れるその能力を制約することができる。
細孔は、それが酵素と結合する時、モノマー形態であってもよい(発現後修飾)。あるいは、細孔は、それが酵素と結合する時、オリゴマー細孔であってもよい(オリゴマー化後修飾)。
細孔または細孔サブユニットは、当技術分野で公知の任意の方法を用いて、酵素と結合させることができる。細孔または細孔サブユニットおよび酵素は、別々に作製して、次に、一緒に結合させてもよい。2つの成分は、任意の配置で結合させることができる。例えば、それらは、それらの末端の(すなわち、アミノまたはカルボキシ末端の)アミノ酸を介して結合させてもよい。好適な配置としては、限定するものではないが、酵素のアミノ末端が細孔または細孔サブユニットのカルボキシ末端と結合している配置、並びにその逆の配置が挙げられる。あるいは、2つの成分は、それらの配列内のアミノ酸を介して結合することができる。例えば、酵素は、細孔または細孔サブユニットのループ領域内の1つ以上のアミノ酸と結合させてもよい。好ましい実施形態において、酵素の末端アミノ酸は、細孔または細孔サブユニットのループ領域内の1つ以上のアミノ酸と結合している。末端アミノ酸およびループ領域については、上記で考察されている。
一つの好ましい実施形態において、細孔または細孔サブユニットは、酵素と遺伝子的に融合される。構築物全体が単一のポリヌクレオチド配列から発現される場合、細孔または細孔サブユニットは、酵素と遺伝子的に融合される。細孔または細孔サブユニットおよび酵素のコード配列を何らか組み合わせて、構築物をコードする単一のポリヌクレオチド配列を形成させてもよい。
細孔または細孔サブユニットと酵素は、任意の配置で遺伝子的に融合させることができる。細孔または細孔サブユニットと酵素は、それらの末端アミノ酸を介して融合させることができる。例えば、酵素のアミノ末端は、細孔または細孔サブユニットのカルボキシ末端と融合させてもよいし、その逆であってもよい。酵素のアミノ酸配列は、好ましくは、細孔または細孔サブユニットのアミノ酸配列内にインフレームで付加される。言い換えれば、酵素は、好ましくは、細孔または細孔サブユニットの配列内に挿入される。そのような実施形態において、細孔または細孔サブユニットおよび酵素は、典型的には、2ヶ所で、すなわち、酵素のアミノ末端およびカルボキシ末端のアミノ酸を介して、結合する。酵素が細孔または細孔サブユニットの配列内に挿入される場合、酵素のアミノ末端およびカルボキシ末端のアミノ酸は、近接近していて、それぞれが、細孔または細孔サブユニットの配列の隣接するアミノ酸と結合するのが好ましい。好ましい実施形態において、酵素は、細孔または細孔サブユニットのループ領域内に挿入される。特に好ましい実施形態において、配列番号2のアミノ酸18および19、44および45、または50および51の間に酵素が挿入される。
別の好ましい実施形態において、細孔または細孔サブユニットは、酵素と化学的に融合される。2つの部分が、例えば、リンカー分子を介して、化学的に結合される場合、細孔または細孔サブユニットは、酵素と化学的に融合される。好適な方法としては、限定するものではないが、hex−hisタグ、Ni−NTA、ストレプトアビジンに対するビオチンの結合、抗原に対する抗体の結合、一級アミンカップリング、グルタチオンに対するGSTタグの結合、デキストリンに対するMBPタグの結合、IgGに対するプロテインAの結合、チオール間の反応、核酸ハイブリダイゼーションリンカー、およびシステイン連結が挙げられる。DNAハイブリダイゼーションリンカーおよびシステイン連結については、以下により詳細に記載する。細孔または細孔サブユニットは、好ましくは、酵素と共有結合する。
細孔はその細孔形成能力を保持する必要がある。細孔の細孔形成能力は、典型的には、それのα−ヘリックスおよびβ−鎖によって提供される。β−バレル細孔は、β−鎖から形成されるバレルまたはチャンネルを含むのに対して、α−ヘリックスバンドル細孔は、α−ヘリックスから形成されるバレルまたはチャンネルを含む。α−ヘリックスおよびβ−鎖は、典型的には、ループ領域によって連結されている。細孔形成能力に影響を与えることを避けるために、酵素は、好ましくは、細孔または細孔サブユニットのループ領域と遺伝子的に融合されるか、または、細孔または細孔サブユニットのループ領域内に挿入される。特定のサブユニットのループ領域については、上記でより詳細に考察されている。好ましい実施形態において、酵素は、配列番号2のアミノ酸8、9、17、18、19、44、45、50および51のうちの1つ以上と結合する。
同様に、本構築物は、酵素の核酸処理能力を保持し、これはまた、典型的には、それの二次構造要素(α−ヘリックスおよびβ−鎖)ならびに三次構造要素によって提供される。酵素の核酸処理能力に悪影響を与えることを避けるために、酵素は、好ましくは、細孔または細孔サブユニットと遺伝子的に融合しているか、または、それの二次または三次構造に影響を与えない残基または領域を介して、細孔または細孔サブユニット内に挿入されている。
細孔または細孔サブユニットは、酵素と直接結合することができる。細孔または細孔サブユニットは、好ましくは、1つ以上の、例えば、2個または3個のリンカーを用いて酵素と結合する。酵素の可動性を制約するために1つ以上のリンカーを設計することができる。リンカーは、細孔、細孔サブユニットおよび/または酵素の、1つ以上の反応性システイン残基、反応性リジン残基または非天然アミノ酸と結合することができる。好適なリンカーは当技術分野において周知である。好適なリンカーとしては、限定するものではないが、化学的架橋剤およびペプチドリンカーが挙げられる。好ましいリンカーは、アミノ酸配列(すなわち、ペプチドリンカー)または核酸ハイブリダイゼーションリンカーである。ペプチドまたは核酸ハイブリダイゼーションリンカーの長さ、柔軟性および親水性は、典型的には、リンカーが、細孔または細孔サブユニットおよび酵素の機能を妨害しないように設計される。好ましい柔軟ペプチドリンカーは、2〜20個、例えば、4、6、8、10または16個の幅のセリンおよび/またはグリシンアミノ酸である。より好ましい柔軟リンカーとしては、Sがセリン、Gがグリシンである、(SG)、(SG)、(SG)、(SG)、(SG)および(SG)が挙げられる。好ましい剛直リンカーは、2〜30個、例えば、4、6、8、16または24個の幅のプロリンアミノ酸である。より好ましい剛直リンカーとしては、Pがプロリンである、(P)12が挙げられる。
核酸ハイブリダイゼーションリンカーは、上記で考察した任意の核酸を含むことができる。例えば、それらは、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、または当技術分野において公知の任意の合成核酸、例えば、ペプチド核酸(PNA)、グリセロール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、ロックド核酸(LNA)、またはヌクレオチド側鎖を有するそれの他の合成ポリマーを含むことができる。リンカーは、それらが一旦ハイブリダイズしたら、互いに反応するように、修飾することもできる。あるいは、それらが一旦互いにハイブリダイズしたら、リンカーを架橋させるために薬剤を使用することもできる。
好ましい核酸ハイブリダイゼーションリンカーは、配列番号10の5’末端から初めの15、25または35ヌクレオチドに相当する。リンカーはまた、好ましくは、高い柔軟性を提供するために、3’末端にTTを有する。3’末端に、リンカーは、マレイミドなどの基を有し、これにより、リンカーが核酸結合タンパク質または表面と結合することが可能になる。マレイミド修飾されたオリゴヌクレオチドは、市販で、例えば、ATDBioから取得することができる。より好ましいリンカーは、配列番号11、12および13に示される。相補的リンカーは、配列番号14、15および16に示される。配列番号11、12または13は、核酸結合タンパク質および表面の1つに結合させることができ、相補的リンカー(それぞれ、配列番号14、15または16)は、その他の核酸結合タンパク質および表面と結合する。核酸結合タンパク質および表面は、次に、リンカーとハイブリダイズさせることにより、ともに結合させることができる。
その他の好ましい化学的架橋剤は、以下の表3に示される。
Figure 0005843614
リンカーは、初めに細孔または細孔サブユニットに、次に酵素に結合させても、初めに酵素に、次に細孔または細孔サブユニットに結合させても、または、酵素と細孔または細孔サブユニットに同時に結合させてもよい。リンカーを細孔または細孔サブユニットに結合させる場合、リンカーは、モノマーサブユニットであっても、2個以上のモノマーからなるオリゴマーの部分であっても、完全なオリゴマー細孔の部分であってもよい。リンカーは、任意の非結合リンカーを除去するために、任意の精製ステップの前に反応させるのが好ましい。
細孔または細孔サブユニットを酵素と結合させる好ましい方法は、システイン連結による。これは、二官能性の化学リンカーによって、またはシステイン残基を提示している末端を有するポリペプチドリンカーによって、仲介させることができる。α−HL(配列番号2)は、天然のシステイン残基を欠くので、システインを配列番号2の配列に導入すると、酵素とサブユニットの制御された共有結合が可能になる。システインは、様々な点、例えば、配列番号2の場所K8、T9またはN17、または配列番号2のカルボキシ末端に導入することができる。任意の二官能性リンカーの長さ、反応性、特異性、剛性および可溶性は、酵素がサブユニットと関連して正確に配置され、サブユニットと酵素の両方の機能が保持されることを確かにするために設計することができる。好適なリンカーとしては、ビスマレイミド架橋剤、例えば、1,4−ビス(マレイミド)ブタン(BMB)またはビス(マレイミド)ヘキサンが挙げられる。二官能性リンカーの1つの欠点は、二官能性リンカーのこれらの残基への結合は、制御することができず、基質との結合または活性に影響を及ぼし得るので、表面に接近可能なシステイン残基をさらに含まないことを酵素が必要とする点である。酵素がいくつかの接近可能なシステイン残基を含む場合、修飾が酵素の折り畳みまたは活性に影響を与えないことを確実にしながら、システイン残基を除去するために、酵素の修飾が必要とされ得る。好ましい実施形態において、反応性システインは、酵素と遺伝子的に結合するペプチドリンカー上に提示される。酵素からその他の接近可能なシステイン残基を除去するために、さらなる修飾が必ずしも必要となり得ないことを、このことは意味する。システイン残基の反応性は、隣接する残基の修飾、例えば、ペプチドリンカー上の修飾、によって増大させることができる。例えば、隣接するアルギニン、ヒスチジンまたはリジン残基の塩基性基は、より反応性であるS−基のpKaにシステインのチオール基のpKaを変化させ得る。システイン残基の反応性は、チオール保護基、例えば、dTNBによって保護することができる。これらは、モノマーまたはオリゴマーの部分のいずれかとして、リンカーが結合する前に、酵素または細孔または細孔サブユニットの1つ以上のシステイン残基と結合することができる。
細孔、細孔サブユニットまたは酵素のそれ自体への架橋は、非常に過剰な細孔、細孔サブユニットおよび/または酵素中でリンカーの濃度を維持することにより防ぐことができる。あるいは、2つのリンカーが使用される「鍵と鍵穴(lock and key)」配置を使用することができる。細孔または細孔サブユニットが酵素とのみ結合し、それ自体とは結合せず、その逆も成り立つことを確実にするために、例えば、アジドアルキンヒュスゲン環化付加(Huisgen cycloaddition)などのクリック化学を使用することができる。好ましい実施形態において、上記表3に示されるアジド−PEG−マレイミドおよびアルキン−PEG−マレイミドリンカーが使用される。一方が細孔または細孔サブユニットと結合し、他方が酵素と結合する。このことは、細孔または細孔サブユニットと酵素の間でのみ結合が生じることを確実にする。
リンカーの一方の末端のみが、より長いリンカーを形成するためにともに反応することができ、リンカーのもう一方の末端はそれぞれ、構築物の異なる部分(すなわち、サブユニットまたはモノマー)と反応することができる。
共有結合の場所は、構築物中の一定の割合のヌクレオチドが細孔と相互作用するよう、酵素が構築物を処理するように選択される。次に、相互作用時に細孔を通じて流れる電流に、ヌクレオチドが影響を与える様式の違いに基づき、ヌクレオチドは識別される。
酵素は、好ましくは、構築物を含む細孔のシス側の部分を形成する細孔または細孔サブユニットの部分と結合する。電気生理学において、シス側が、慣例により、接地されている。ヘモリジン細孔が、正確に、電気生理学装置に挿入された場合、Cap領域がシス側である。正電位条件下で、ヌクレオチドは細孔のシス側からトランス側へ移動し得ることが、確率論的センシングを用いて、周知である。細孔のシス側に酵素を配置すると、配列中の一定の割合のヌクレオチドが、細孔のバレルまたはチャンネルに入り、それと相互作用するように、酵素が構築物を処理することが可能になる。好ましくは、配列中のヌクレオチドの、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%または少なくとも90%が、細孔のバレルまたはチャンネルに入り、それと相互作用する。
共有結合の部位および方法は、好ましくは、酵素の可動性が制約されるように選択される。このことは、構築物中の一定の割合のヌクレオチドが細孔と相互作用するように、酵素が構築物を確実に処理することに役立つ。例えば、酵素が動く能力を制約することは、その活性部位が持続的に、細孔のバレルまたはチャンネルの開口部分を形成する細孔または細孔サブユニットに向かって配向され得ることを意味する。酵素の可動性は、酵素が細孔または細孔サブユニットと結合する点の数および/または特定のリンカーの使用を増加させることにより、制約され得る。
分子アダプター
いくつかの実施形態において、細孔は、細孔とヌクレオチドまたは構築物との間の、相互作用を促進する分子アダプターを含む。アダプターの存在は、細孔と、構築物から遊離された、または構築物中に存在するヌクレオチドとの、ホスト−ゲスト化学を向上させる。ホスト−ゲスト化学の原理は、当技術分野において周知である。アダプターは、それのヌクレオチドとの相互作用を向上させる、細孔の物理的または化学的特性に対して効果を及ぼす。アダプターは、典型的には、細孔のバレルまたはチャンネルの電荷を変化させるか、または、ヌクレオチドと特異的に相互作用するかもしくは結合し、それにより、それらの細孔との相互作用を促進する。
アダプターは、構築物から遊離されるまたは構築物中に存在するヌクレオチドと、細孔との間の相互作用を仲介する。ヌクレオチドは、好ましくは、アダプターを介して、またはアダプターとともに、細孔と可逆的に結合する。ヌクレオチドは、最も好ましくは、膜を横切る細孔を通過する際に、アダプターを介して、またはアダプターとともに、細孔と可逆的に結合する。ヌクレオチドはまた、膜を横切る細孔を通過する際に、アダプターを介して、またはアダプターとともに、細孔のバレルまたはチャンネルと可逆的に結合することもできる。アダプターは、好ましくは、アダプターがヌクレオチドと相互作用し得るように、バレルまたはチャンネルを収縮させる。
アダプターは典型的には、環状である。アダプターは、好ましくは、細孔と同じ対称性を有する。アダプターは、好ましくは、細孔と同じ対称性を有する。細孔が七量体である(例えば、中心軸の周りに、14本の鎖を1つの膜貫通βバレルに提供する7個のサブユニットを有する)場合には、7回対称性(seven−fold symmetry)を有するアダプターが、典型的には、用いられる。同様に、細孔が六量体(例えば、中心軸の周りに、12本の鎖を1つの膜貫通βバレルに提供する6個のサブユニットを有するか、または12本の鎖のβバレルである)場合には、6回対称性を有するアダプターが典型的には用いられる。細孔とヌクレオチドとの間の相互作用を促進する任意のアダプターを用いることができる。好適なアダプターとしては、限定するものではないが、シクロデキストリン、環状ペプチド、およびククルビツリル(cucurbituril)が挙げられる。アダプターは、好ましくは、シクロデキストリンまたはその変異体である。アダプターは、より好ましくは、ヘプタキス−6−アミノ−β−シクロデキストリン(am−βCD)、6−モノデオキシ−6−モノアミノ−β−シクロデキストリン(am−βCD)、またはヘプタキス−(6−デオキシ−6−グアニジノ)−シクロデキストリン(gu−βCD)である。
以下の表4は、細孔およびアダプターの好ましい組み合わせを示す。
Figure 0005843614
アダプターは、好ましくは、細孔と共有結合する。アダプターは、当技術分野における公知の任意の方法を用いて、細孔に共有結合させることができる。アダプターは、細孔に直接結合させてもよい。アダプターは、好ましくは、二官能性架橋剤を用いて、細孔と結合する。好適な架橋剤は、当技術分野において周知である。好ましい架橋剤としては、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル 3−(ピリジン−2−イルジスルファニル)プロパノエート、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル 4−(ピリジン−2−イルジスルファニル)ブタノエート、および2,5−ジオキソピロリジン−1−イル 8−(ピリジン−2−イルジスルファニル)オクタナノエートが挙げられる。最も好ましい架橋剤は、スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)である。典型的には、アダプターは、アダプター/架橋剤複合体が細孔と共有結合する前に、二官能性架橋剤と共有結合するが、二官能性架橋剤/細孔複合体がアダプターと結合する前に、二官能性架橋剤を細孔に共有結合させることも可能である。構築物から遊離される、または構築物中に存在するヌクレオチドと、細孔との相互作用を、アダプターが促進し、それにより、ヌクレオチドの検出が可能となるように、共有結合の場所は選択される。α−HLに基づく細孔に対して、細孔のバレルまたはチャンネル内におけるアダプターの正しい配向性、およびアダプターの細孔との共有結合は、配列番号2に対する特定の修飾を用いて促進することができる。特に、細孔の全てのサブユニットが、好ましくは、配列番号2の139位にグルタミンを有している。細孔の1つ以上のサブユニットが、配列番号2の113位にアルギニンを有していてもよい。細孔の1つ以上のサブユニットが、配列番号2の119、121または135位にシステインを有していてもよい。
細孔とヌクレオチドとの間の相互作用
本方法は、核酸処理酵素、例えば、エキソヌクレアーゼがそれに結合した細孔を膜の中に挿入する任意の好適な膜/細孔系を用いて実施することができる。本方法は、典型的には、(i)核酸処理酵素、例えば、エキソヌクレアーゼがそれに結合した細孔を含む人工膜、(ii)核酸処理酵素、例えば、エキソヌクレアーゼがそれに結合した細孔を含む、単離された天然の膜、または(iii)核酸処理酵素、例えば、エキソヌクレアーゼがそれに結合した細孔を発現する細胞、を用いて実施される。本方法は好ましくは人工膜を用いて実施される。膜は、修飾された細孔に加えて、他の膜貫通タンパク質および/または膜内タンパク質、さらには他の分子も含むことができる。
膜はイオン、ヌクレオチドおよび核酸の流れに対する障壁を形成する。膜は好ましくは脂質二重層である。本発明による使用のために好適な脂質二重層は、当技術分野で公知の方法を用いて作製することができる。例えば、脂質二重層膜は、Montal and Mueller (1972)の方法を用いて形成させることができる。脂質二重層はまた、国際出願第PCT/GB08/000563号および同第PCT/GB07/002856号に記載される方法を用いて形成させることもできる。
本発明の方法は、限定するものではないが、リン脂質、糖脂質、コレステロールおよびそれらの混合物などの任意の膜脂質から形成された脂質二重層を用いて実施することができる。国際出願第PCT/GB08/000563号に記載される任意の脂質を使用することができる。
脂質二重層などの膜の中に細孔を挿入するための方法は、当技術分野で公知である。それらの方法のうちのいくつかは上記される。
ヌクレオチドまたは構築物は、膜のいずれかの側で細孔と接触させることができる。ヌクレオチドまたは構築物は、膜のいずれかの側で細孔に導入することができる。ヌクレオチドまたは構築物は、典型的には、酵素が細孔と結合している膜の側と接触させられる。このことは、本方法において酵素が構築物を処理することを可能にする。
構築物の一定の割合のヌクレオチドは、それが膜を横切って細孔のバレルまたはチャンネルを通過する際に、細孔および/またはアダプターと相互作用する。あるいは、構築物をエキソヌクレアーゼによって消化する場合、ヌクレオチドは、アダプターを介して、またはアダプターとともに細孔と相互作用し、細孔から遊離して、膜の同じ側に残ることを可能にする。本発明は、アダプターの向きが固定されている細孔の使用を含み得る。そのような実施形態において、ヌクレオチドは、好ましくは、アダプターが配向している方の細孔の末端と接触する。最も好ましくは、ヌクレオチドは、ヌクレオチドと相互作用するアダプターの部分が方向づけられている細孔の末端と接触させられる。
ヌクレオチドは、任意の様式かつ任意の部位で、細孔と相互作用することができる。上記で考察したように、ヌクレオチドは好ましくは、アダプターを介して、またはアダプターとともに細孔と可逆的に結合することができる。ヌクレオチドは、最も好ましくは、それが膜を横切って細孔を通過する際に、アダプターを介して、またはアダプターとともに細孔と可逆的に結合する。ヌクレオチドはまた、それが膜を横切って細孔を通過する際に、アダプターを介して、またはアダプターとともに細孔のバレルまたはチャンネルと可逆的に結合することもできる。
ヌクレオチドと細孔との間の相互作用の間に、ヌクレオチドは、細孔を通して流れる電流に対して、そのヌクレオチドに特異的な様式で影響を及ぼす。例えば、特定のヌクレオチドは、特定の平均期間にわたって特定の程度で、細孔を通して流れる電流を減少させ得る。言い換えれば、細孔を通して流れる電流は、特定のヌクレオチドに関して特徴的である。対照実験を、細孔を通して流れる電流に対して特定のヌクレオチドが及ぼす効果を決定するために実施することができる。次に、特定のヌクレオチドを同定するため、被験試料に対して本発明の方法を実施したことによる結果を、そのような対照実験から得られたものと比較することができる。
装置
本方法は、核酸処理酵素がそれに結合している細孔が膜の中に挿入されている膜/細孔系を調べるために好適な任意の装置を用いて実施することができる。本方法は、確率論的センシングのために好適な任意の装置を用いて実施することができる。例えば、装置は、水溶液を含むチャンバーおよびチャンバーを2つの区域に分ける障壁を含む。障壁は、細孔を含む膜が形成されている開口部を有する。ヌクレオチドまたは構築物は、核酸をチャンバー内に導入することによって細孔と接触させることができる。核酸は、チャンバーの2つの区域のいずれかの中に導入することができるが、好ましくは、酵素を含むチャンバーの区域に導入する。
本方法は、国際出願第PCT/GB08/000562号に記載される装置を用いて実施することができる。
本方法は、ヌクレオチドとの相互作用の間に、細孔を通過する電流を測定することを伴う。したがって、装置はまた、電位を加えて膜および細孔を横切る電気信号を測定することのできる電気回路も含む。本方法は、パッチクランプまたは電圧固定(voltage clamp)を用いて実施してもよい。本方法は、好ましくは、電圧固定の使用を伴う。
条件
本発明の方法は、構築物のヌクレオチドとの相互作用の間に細孔を通過する電流を測定することを伴う。膜貫通細孔を通るイオン電流を測定するために好適な条件は当技術分野で公知であり、実施例に開示されている。本方法は、膜および細孔を横切って付加される電圧を用いて実施される。用いられる電圧は、典型的には、−400mV〜+400mVである。用いられる電圧は、好ましくは、−400mV、−300mV、−200mV、−150mV、−100mV、−50mV、−20mVおよび0mVから選択される下限、ならびに+10mV、+20mV、+50mV、+100mV、+150mV、+200mV、+300mVおよび+400mVから独立に選択される上限を有する範囲にある。用いられる電圧は、より好ましくは、120mV〜170mVの範囲である。付加電位を変化させることにより、本発明の細孔によって異なるヌクレオチドの識別を増大させることが可能である。
本方法は、任意のアルカリ金属塩化物塩の存在下で実施される。上記で考察した例示的な装置において、塩はチャンバー内の水溶液中に存在する。塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)または塩化セシウム(CsCl)が、典型的には用いられる。KClが好ましい。塩濃度は、典型的には0.1〜2.5M、0.3〜1.9M、0.5〜1.8M、0.7〜1.7M、0.9〜1.6M、または1M〜1.4Mである。高い塩濃度は、高いシグナル対ノイズ比をもたらし、また、電流が、通常の電流変動に対して、ヌクレオチドの存在の指標が同定されることを可能にする。しかし、酵素が機能し得るように、より低い塩濃度を用いる必要がある場合もある。
本方法は、典型的には、緩衝液の存在下で実施される。上記で考察した例示的な装置において、緩衝液はチャンバー内の水溶液中に存在する。任意の緩衝液を本発明の方法に用いることができる。1つの好適な緩衝液は、Tris−HCl緩衝液である。本方法は、典型的には4.0〜10.0、4.5〜9.5、5.0〜9.0、5.5〜8.8、6.0〜8.7、または7.0〜8.8、または7.5〜8.5のpHで実施される。用いられるpHは好ましくは約7.5である。
本方法は典型的には、0℃〜100℃、15℃〜95℃、16℃〜90℃、17℃〜85℃、18℃〜80℃、19℃〜70℃、または20℃〜60℃で実施される。本方法は好ましくは室温で実施することもできる。本方法は、好ましくは、酵素の機能を支持する温度にて、例えば、約37℃にて、実施される。温度を増大させた場合、低い塩濃度で、良好なヌクレオチド識別を達成することができる。しかし、より低い温度、特に、室温より低い温度は、より長い滞留時間をもたらすので、高度な正確性を得るために使用することができる。
溶液温度を上昇させることの他に、酵素活性に好適な条件を維持しながら、溶液のコンダクタンスを増大させるために使用され得る、多数のその他の方法が存在する。そのような方法の1つは、2つの異なる濃度の塩溶液、酵素側に低い塩濃度および反対側により高い濃度に分けるために、脂質二重層が使用される。本方法の1つの例は、膜のシス側で200mMのKCl、トランスチャンバ内で500mMのKClを使用することである。これらの条件において、細孔を通過するコンダクタンスは、典型的には条件下での400mMのKClとほぼ等しいことが予想され、シス側に配置された場合には、本酵素は、200mMを経験するに過ぎない。非対称塩濃度を用いる別の考えられる利点は、細孔を横切って生じる浸透圧勾配である。この正味の水の流れを用いて、検出のために、ヌクレオチドを細孔内に入れることができた。中性の浸透圧調節物質、例えば、スクロース、グリセロールまたはPEGを用いて、同様の効果を達成することができる。別の可能性は、比較的低レベルのKClを含む溶液を使用することであり、それは、酵素活性に対して破壊性の低い、付加的な電荷を有する種類に依存する。
エキソヌクレアーゼに基づく方法
一実施形態において、本配列決定方法は、前記構築物を、デオキシリボヌクレアーゼ等のエキソヌクレアーゼ酵素が連結している細孔と接触させることを含む。上記に考察される任意のエキソヌクレアーゼ酵素を本方法において使用できる。エキソヌクレアーゼは、構築物の一末端から個々のヌクレオチドを遊離させる。エキソヌクレアーゼは、典型的には、核酸配列の一つの末端上に付いて、その配列を末端から、一度に1ヌクレオチドを消化していく酵素である。エキソヌクレアーゼは、5’から3’方向、または、3’から5’方向に核酸を消化できる。エキソヌクレアーゼが結合する核酸の末端は、典型的には、用いられる酵素の選択を通じて、および/または、当技術分野において公知の方法を用いて決定される。核酸配列のいずれかの末端における水酸基またはcap構造は、典型的には、エキソヌクレアーゼが核酸配列の特定の末端へと結合することを抑制するか、または促進するために用いられる。
本方法は、上記に考察されるように、ある割合のヌクレオチドを同定できる速度で、構築物の末端からヌクレオチドが消化されるように、前記構築物をエキソヌクレアーゼと接触させることを含む。これを行うための方法は、当技術分野においてよく知られている。例えば、Edman分解は、ポリペプチドの末端から1アミノ酸を連続的に消化し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてそれらを同定するために用いられる。同種の方法を本発明で用いてもよい。
変異によりエキソヌクレアーゼが変化し得る割合を、野生型酵素と比較した。本方法の配列決定において、エキソヌクレアーゼの好適な活性の度合は、1秒あたり0.5〜1000ヌクレオチド、1秒あたり0.6〜500ヌクレオチド、1秒あたり0.7〜200ヌクレオチド、1秒あたり0.8〜100ヌクレオチド、1秒あたり0.9〜50ヌクレオチド、または1秒あたり1〜20または10ヌクレオチドの消化を伴う。この速度は、好ましくは、1秒あたり1、10、100、500または1000ヌクレオチドである。好適なエキソヌクレアーゼ活性の度合は、各種の方法により達成可能である。例えば、活性において低減された、または向上した最適速度を有する変異体エキソヌクレアーゼを、本発明に従って用いることができる。
細孔を通じたDNAの押し引き
鎖の配列決定は、制御され、かつ、段階的な、細孔を通る核酸ポリマーの転移を含む。DNA処理酵素の大半は、それらが一本鎖DNAまたはRNAを加水分解、ポリマー化、またはプロセシングするのであれば、本適用に用いるために好適である。好ましい酵素は、ポリメラーゼ、ヌクレアーゼ、ヘリカーゼおよびジャイレース等のトポイソメラーゼである。酵素部分は、個々のヌクレオチド配列決定に関する場合ほどは、細孔ルーメンの近傍に存在する必要を有しない、なぜなら、ヌクレオチドが細孔のセンシング部分へと到達する連続において混乱がおきる可能性がないためである。
一本鎖DNAの配列決定のための2つの戦略は、ナノ細孔を通過するDNAの転移で、シスからトランス、および、トランスからシスの両方であり、付加電位を伴う、または付加電位に逆らってのいずれかである。鎖の配列決定のための最も遊離なメカニズムは、付加電位を伴う、ナノ細孔を通過する一本鎖DNAの制御された転移である。二本鎖DNAに対し、進行的にまたは前進的に作用するエキソヌクレアーゼは、細孔のシス側において、付加電位の下でも残っている一本鎖を供給するために使用でき、または、逆の電位の下でトランス側で使用できる。同様に、二本鎖DNAをほぐすヘリカーゼも、類似の様式で用いることができる。付加電位に逆らう鎖の転移を必要とする配列決定に適用できる可能性も存在するが、DNAは最初に、逆の電位、または、電位が存在しない条件下で、酵素によって「捕捉」されねばならない。次いで、結合後に電位がスイッチバックするのに伴い、鎖は細孔を通過してシスからトランスへと進み、電流フローによって拡張した立体構造の状態に留まる。一本鎖DNAエキソヌクレアーゼまたは一本鎖DNA依存的ポリメラーゼは、転移して間もない一本鎖を、付加電位に逆らって、制御されかつ段階的な様式で、細孔を通じトランスからシスへと引き戻すための分子モーターとして作用し得る。
以下の実施例によって本発明を説明する:
1 実施例
1.1 配列決定テンプレートの作製
人工的なヘアピンアダプター(本明細書中で「タイプIアダプター」および「タイプIIアダプター」と称する)を、二本鎖(dsDNA)テンプレート断片の平滑末端へと連結することにより、所望のテンプレートを生成する。アダプターは人工的な、化学合成されたDNA配列であり、所望の一本鎖配列決定テンプレートの構築、精製および最終的な遊離を促すように設計されている。人工的な配列であって、これらのアダプターは、それらの実際の配列において非常に大きな柔軟性を有し、従って、使用される配列中に機能性を組み込むことができる。
1.2 タイプIアダプター
好適な条件下で、分子内ハイブリダイゼーションが起こり、dsDNA領域およびssDNA「バブル」領域を伴う平滑末端のDNAの「ヘアピンループ」を生じるように、タイプIアダプター(図1)を、その5’末端ヌクレオチドが3’末端ヌクレオチドに対し相補的である一本鎖DNA(ssDNA)オリゴヌクレオチドとして合成する。二本鎖のハイブリダイズした領域は、(例えば)「切断部位が稀な」制限エンドヌクレアーゼの認識配列の片半分に相当する塩基の配列を伴って終端となる。「バブル」領域は、前記構造および前記構造を含む任意の連結生成物を、相補的なssDNA配列を備えた支持表面またはビーズ上へと捕捉するためのハイブリダイズ可能な「フック」を提供し得る一本鎖配列である。「バブル」領域はまた、特定のタイプIアダプターを、別のアダプター、さもなければ同じタイプIアダプターから識別する配列を含むことができ、そのようにして、異なる個体から得られるテンプレートDNAに由来する連結生成物の多重分析を可能にする。
1.3 タイプIIアダプター
タイプIIアダプター(図2)は、全体の構造においてタイプIアダプターに似ておらず、長鎖のオリゴヌクレオチドによる分子内ハイブリダイゼーションを有する生成物である。形成される構造は終結末端を有し、それはまた、タイプIアダプターのヘアピンにおける終結末端に存在するパリンドロームの希少切断制限酵素の片半分を示す。さらに、タイプIIアダプターの二本鎖領域は、異なる希少切断制限エンドヌクレアーゼの認識配列を含む(図2中の2ry)。本アダプターは、アダプターを同定するために使用でき、パリンドロームの希少切断制限酵素の片半分(図2中の1ry)を示す末端と、異なる希少切断制限エンドヌクレアーゼの認識配列(図2中の2ry)の間に位置づけられる配列を含み得る。タイプIIアダプターにおける一本鎖DNAのバブル領域は、タイプIアダプターのそれよりも顕著に小さいものであり得る。なぜなら、それは選択可能なマーカーも保持するが、これは[ビオチン−dT]の形態で存在し、タイプIIアダプターを含む任意の連結生成物を固定化ストレプトアビジンの表面へと捕捉可能にする。
1.4 ゲノムテンプレート
高分子量のゲノムテンプレートから、多くのやり方で配列決定テンプレートを調製することができる。確立されたひとつの方法は、ランダムな断片化と、剪断したDNAの末端を平滑末端にする修復である;これは一般に認められた信頼できる方法であり、提案されるテンプレートの生成スキームは、この方法が一般に好まれる方法であろうと推測させる。しかし、修飾を伴えば、記載される手法は、「突出」末端を含む異なる末端を生成する別の断片化法に適合するように改変することもでき得る。
1.5 ランダムに断片化され末端修復されたテンプレートDNAへのアダプターの連結
剪断されたDNAの断片は、5’POおよび3’OHを両鎖上に具備することとなる。テンプレートの脱リン酸化は、テンプレート断片のコンカテマー化を抑制し得るが、次いで、5’リン酸化されたアダプターの連結において残されたニックを修復しなければならないという課題を有する。過剰濃度のアダプターを、リン酸化されたテンプレートDNAと共に使用することは、テンプレート:テンプレート連結の可能性を制限し得るが、挿入されたテンプレートを欠く多数の連結生成物が生成することを意味することになる(図3および図4)。
様々な異なる連結生成物を、タイプI、タイプIIおよび平滑末端テンプレートの組み合わせによって作製し得る:
・アダプター−アダプター生成物
タイプI−タイプIは、ストレプトアビジンと結合せず、任意のRE処理に先立ち除去され得る。
タイプI−タイプIIは、ストレプトアビジンと結合するが、第1のRE消化により分解され得る。
タイプII−タイプIは、ストレプトアビジンと結合するが、第1のRE消化により分解され得る。
タイプII−タイプIIは、ストレプトアビジンと結合し、ストレプトアビジン支持ビーズとクロスリンクするが、第1のRE消化により分解され得る。
・アダプター−dsDNAテンプレート−アダプター生成物
タイプI−dsDNAテンプレート−タイプIは、ストレプトアビジンと結合せず、任意のRE処理に先立ち除去され得る。
タイプI−dsDNAテンプレート−タイプIIは、ストレプトアビジンと結合し、第1のRE消化で分解されず、第2のRE消化において所望の生成物を遊離し得る。
タイプII−dsDNAテンプレート−タイプIは、ストレプトアビジンと結合し第1のRE消化で分解されず、第2のRE消化において所望の生成物を遊離し得る。
タイプII−dsDNAテンプレート−タイプIIは、ストレプトアビジンと結合し、ストレプトアビジン支持ビーズとクロスリンクし、第1のRE消化で分解されないが、第2のRE消化において「一本鎖」テンプレート生成物(共有結合的に連結されていない)を遊離し得る。
1.6 所望の配列決定テンプレートの単離
所望の一本鎖生成物を合理化的に精製するための戦略を示す(図5)。連結反応後、タイプIIアダプターを取り込んだ全てのダンベル構造は、(タイプIIアダプター上に存在するビオチン部分により)固定化ストレプトアビジン表面へと捕捉され、タイプIアダプターのみを含むあらゆる構造は、結合することなく洗浄除去される。結合したタイプIIアダプター構造を第1の制限エンドヌクレアーゼで処理することにより、いかなるテンプレートDNAも間に入ることなく2つのアダプターを連結することによって形成された結合生成物が切断され得る。次いで、全ての遊離した断片を洗浄除去し、一方で、所望の生成物は、プレートへと結合され続ける。第2の制限酵素を適用することにより、捕捉されたタイプIIアダプター配列内の結合断片が切断され、一方で、連結生成物は1つのタイプIIアダプターを有するか、または両方の末端がタイプIIアダプターを有する。遊離生成物は、所望される、共有結合的に閉じた構造(全ての遊離される構造の2/3はこの形態であり得る)であるか、または、タイプII:テンプレート:タイプII連結生成物に由来する線形の配列(遊離される生成物の1/3はこの形態であり得る)であるかのいずれかである。所望される共有結合的に閉じた構造における、閉じていない側の末端は、タイプIIアダプターに由来し、そのアダプターを同定するために用いることができる配列を含み得る。
これらの遊離された配列を、タイプI「バブル」の配列に対し相補的な一本鎖DNA配列がタイプI:テンプレート:タイプII連結生成物に由来するDNA種のみをその上で捕捉することができる新鮮なプレートへと移す。洗浄によりあらゆるその他のDNA断片を除去し、所望される共有結合的に閉じたタイプI:テンプレート:タイプIIのみを残留種として残すことができ、このものは、次いで、プレートから遊離され(熱、アルカリ洗浄)、変性されて、エキソヌクレアーゼ配列決定のため準備される。
上記精製計画は、自動化することができ、単一の種類の生成物を送達した場合に、配列決定反応が望ましいという魅力を有する。この生成物は、単純なアルカリ洗浄により、固定化された抗タイプIアダプターバブルプレートから遊離させることができ、洗浄後、変性させたテンプレートDNA(図6)は、例えば、大腸菌一本鎖結合タンパク質を含む緩衝液溶液の存在下で、中和させることができる。変性させたssDNAと結合した場合に、大腸菌一本鎖結合タンパク質は、DNAの一本鎖形態を維持し、これは、大腸菌エキソヌクレアーゼIの処理性(processivity)の維持の前提条件である。
1.7 所望の配列決定テンプレートのエキソヌクレアーゼ配列決定
所望の構造を作製したら、一本鎖のエキソヌクレアーゼとの結合および3’末端の消化によるエキソヌクレアーゼ配列決定に適するようになる。遊離される5’一リン酸ヌクレオシドは、細孔内で同定され、(理想的には)、順番で、対応する塩基配列を生じるようになる(図7):
・ 配列決定開始:タイプIIアダプターのレムナントの配列。これは、アダプターを同定するために使用され得る配列を含んでいる可能性がある。
・ ゲノム配列:テンプレートDNAの配列(センス鎖上)。
・ タイプI共通:タイプIアダプターの配列(これは、「捕捉」配列でもある)。
・ タイプI同定用:多重配列決定反応における連結生成物を特異的に同定するために使用されるタイプIアダプターの配列。
・ ゲノム配列との比較:テンプレートDNAの配列(アンチセンス鎖、したがって、すでに作製されたセンス鎖配列の逆相補体上)。
・ 配列決定終了:タイプIIアダプターのレムナントの配列(配列決定された最初の塩基の逆相補体と同じ)。これは、アダプターを同定するために使用され得る配列を含んでいる可能性がある。
Figure 0005843614
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Claims (10)

  1. (a)二本鎖核酸テンプレートの両方の鎖がアダプターを介して共有結合している2つの核酸鎖
    を含む構築物であって、該アダプターが一本鎖核酸における2つの分離された領域間のハイブリダイゼーションにより形成される二本鎖核酸領域を含み、及び、ヘアピンループを含む該構築物を提供すること;
    (b)一本鎖構築物を形成するように、前記構築物を変性させることと;
    (c)前記構築物を膜貫通細孔及び核酸処理酵素と接触させることにより、該酵素が、細孔を通る、制御され、かつ、段階的な前記構築物の転移を提供し、該構築物中のヌクレオチドが該細孔と相互作用すること;及び
    (d)各相互作用時に、前記細孔を通過する電流を測定し、それにより、前記二本鎖核酸テンプレートの配列を決定すること;を含む方法。
  2. (a)二本鎖核酸テンプレートの両方の鎖がアダプターを介して共有結合している2つの核酸鎖
    を含む構築物であって、該アダプターが一本鎖核酸における2つの分離された領域間のハイブリダイゼーションにより形成される二本鎖核酸領域を含み、及び、ヘアピンループを含む該構築物を提供すること;
    (b)一本鎖構築物を形成するように、前記構築物を変性させること;
    (c)前記エキソヌクレアーゼが、前記構築物の一端から個々のヌクレオチドを消化するように、前記構築物を、前記エキソヌクレアーゼおよび分子アダプターがそれに共有結合している膜貫通細孔と接触させること;
    (d)前記ヌクレオチドが前記分子アダプターと相互作用するように、前記ヌクレオチドを前記細孔と相互作用させること;
    (e)各相互作用時に、前記細孔を通過する電流を測定し、それにより、前記ヌクレオチドを同定すること;及び
    (f)前記構築物の同じ端部においてステップ(c)〜(e)を繰り返し、それにより、前記二本鎖核酸テンプレートの配列を決定すること;を含む方法。
  3. 該構築物が
    (a)前記アダプターと前記2つの鎖との間の連結を可能にする条件の下で、前記アダプターと、前記二本鎖核酸テンプレートの2つの核酸鎖を接触させること;及び
    (b)前記アダプターを前記2つの鎖と共有結合させること;
    を含む方法によって調製される、請求項1又は2記載の方法。
  4. 該核酸処理酵素が、ポリメラーゼ、エキソヌクレアーゼ、ヘリカーゼ、トポイソメラーゼ、又は、ジャイレースである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. (a)該膜貫通細孔がタンパク質細孔であり、
    (b)該膜貫通細孔がα−ヘモリジン又はMspAに由来するタンパク質細孔であり、
    (c)該膜が人工膜であり;及び/又は、
    (d)該膜が人工脂質二重層である;
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 該二本鎖核酸テンプレートが二本鎖DNA(dsDNA)または二本鎖RNA(dsRNA)であり、及び/又は、前記二本鎖核酸テンプレートがメチルシトシンを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程(b)において、構築物が化学的又は熱的に一本鎖へと遊離される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 該核酸処理酵素が膜貫通細孔に共有結合で結合している、請求項1に記載の方法。
  9. 該アダプターがその他のアダプターから、固相表面に対する区別されるもしくは選択的な結合に基づき、区別されて選択可能である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 該一本鎖核酸における2つの分離された領域が、同じタイプの核酸、または異なるタイプの核酸である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
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