JP5841234B2 - フケ/脂漏性皮膚炎の治療に有効な皮膚活性剤を特定及び評価するためのシステム、モデル、及び方法 - Google Patents

フケ/脂漏性皮膚炎の治療に有効な皮膚活性剤を特定及び評価するためのシステム、モデル、及び方法 Download PDF

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Description

フケ(代替として文献中では単純性、粃糠性、又は頭部粃糠疹(ptyriasis)とも称される)は、剥離、痒み、及び微小炎症を特徴とする皮膚疾患である。本質的に、フケは頭皮に限定され、民族及び性別にかかわらず、成人人口の約半数が経験する。フケはこれまで、医学的見地からささいなことと考えられてきたが、長年の外見上の関心事となっている。
フケは、身体の他の位置に見られることがある脂漏性皮膚炎の一形態と考えられている。両疾患に存在する頭皮鱗屑は、顕著な臨床的特徴ではない。むしろ、炎症及び頭皮以外の病変の存在が、フケの診断を排除する。一般に、フケは、炎症がわずかであり、通常は無症状であるので、臨床的見地から最も軽度の脂漏性皮膚炎の形態であると考えられている。実際に、わずか10年前まで、フケ状態は非炎症性と考えられていた。「フケ」という用語は、これまで美容上の管理の影響を受けるとみなされてきた、症候性の鱗屑自体を表すためにも使用される。しかしながら、現在利用可能な美容上の治療法は、一時的なものであることが多い。対照的に、脂漏性皮膚炎はより炎症性の疾患であり、この疾患を取り除くためにしばしば医学的治療が行われるが、化粧品も症状の軽減にある程度の有効性を示し得る。
フケの鱗屑は、互いとの高度な凝集性を保有していた角質細胞の塊が、角質層の表面からそのように剥離したものを含む。鱗屑のサイズ及び程度は、頭皮の範囲にわたって、また時間に応じて一貫しない。フケ形成の1つの仮説は、皮膚表面での角質細胞の適切な脱落に関与するリパーゼの抑制に関する。
フケの病因は複雑であり、頭皮と皮膚細菌叢と皮膚免疫系との間の相互作用の結果であると思われる。フケの重要な臨床的特徴には剥離及び痒みが挙げられ、多くの研究が記述されているが、これらの症状を引き起こす正確な根底にある事象は完全にはわかっていない。フケは、多数の病原経路及び複雑な機序を有する、複数の重複することもある原因を有すると考えられている。微生物叢は、最も一般的な形態のフケに関与している。一般に、健康な正常頭皮は、1mm2当たりの生物数103〜105の密度に至る、ブドウ球菌、プロピオニバクテリウム属菌種、及びマラセジア属菌種を含む多くの微生物を寄生させていることが知られている。
フケは基本的には、マラセジアによる障害であるという理論が依然として一般的である。しかしながら、フケ状態及び脂漏性皮膚炎へのマラセジアの関与の臨床的証拠が徐々に蓄積されるにつれ、酵母を計数するために使用される定量的方法から得られた結果は一貫性がなく、相関しないことが認められている。例えば、症状の重症度と菌数との間には関係が見出されていない。皮膚に強固に結合した酵母のみが、フケ状態に関連すると仮定される。しかしながら、より混乱させることは、定量的な微生物学的評価が、特に酵母の役割を関連付けることができないということである。一部の研究者は、これを、フケとマラセジアの特定の種との関係に注目しなかったことに起因すると考えている。一貫性のない経験的観察を説明できないにもかかわらず、マラセジア属の酵母を制御することは、これまで最も良好なフケ管理法であった。抗真菌剤系のフケ防止シャンプーの適用は、一般に、わずか数回の適用後に痒みの軽減又は消失をもたらす。抗真菌管理は酵母の減少をもたらすが、完全な根絶が達成されることは稀であるという点で、この方法の問題が依然として存在する。鱗屑の生成は微生物の減少と並行して減少するが、2〜3週間の治療停止後、フケが再発し、マラセジアの個体数は治療前のレベルまで増加する。
綿密な検査により、マラセジア酵母が、散在する塊の状態で見られ、一部の角質細胞にわたって分布が限られ、他には見られないことが明らかになる。フケは、マラセジア酵母が認められる特異的なケラチノサイトによる正常な免疫応答の不全であるという仮説が立てられた。他の研究者は、マラセジアが、先天性免疫応答及び後天性免疫応答の双方を刺激する、抗原性及び炎症誘発性の特性を有することに注目している。皮膚用コルチコイド等の抗炎症薬は、特に重度のフケでの立証された有効性を有する。それにもかかわらず、抗真菌活性剤を提供することが、依然として従来の最適な治療法となっている。
フケの基本的原因を判定する際に更に混乱させる問題は、抗真菌剤自体の作用様式である。シャンプー配合物中の有効な抗真菌剤として広く認識されている殺生物剤である、ジンクピリチオン(ZPT)等の既知の活性剤のほとんどは、実質的に水不溶性であり、そのため頭皮との持続的接触時間は極めて短い。したがって、多くの研究者は、抗真菌剤が、表皮細胞に対する何らかの直接的な生物学的影響を含む何らかの付随的作用様式によって有効性を呈することを事実と仮定している。
フケと類似する鱗屑状態は、角質細胞間の凝集性にも影響を与える太陽光への過剰な暴露後に、また頭皮の軽度な慢性的刺激で、頭皮の落屑を併発することがある。更に、過剰なブラッシング、過剰な洗髪、特定の化粧用毛髪製品、及び空気中の物質による刺激も、鱗屑の原因となる可能性がある。他の真菌以外の原因としては、皮脂由来製品の使用、ポルフィリン等の毛包光感作剤の太陽光活性化、及び一部の神経免疫状態が挙げられる。精神的ストレスも、フケを悪化させると広く考えられている。
皮脂は、フケの前提条件として認められているが、それ自体が十分な因子ではない。油性の頭皮について訴える人々の多くはフケを有さないが、フケの成功的治療は、皮脂による毛幹の被覆の増加をもたらすことが多い。表皮脂質は、フケ状態にわたって質的にも量的にも差異を呈する。特に、角質層脂質の3つの主な群、つまりセラミド、遊離脂肪酸、及びコレステロールが、健康な頭皮に対して、フケに罹患した頭皮で含有量の減少を示すことが実証されている。
フケの重症度は、罹患者間で、軽度で散在性から重度で広汎性と幅がある。頭髪の量は1つの因子であるが、頭皮上及び毛髪上のフケの量は常に相関するわけではない。フケを治療するために使用される製品は、アンドロゲン性脱毛症を抑制することが観察されており、またケトコナゾールは、数ある効果の中でも特に、マウスにおいて育毛を刺激することが報告されている。
したがって、フケは、一部は外的刺激あってもよく、一部は内的刺激あってもよい様々な刺激に対する頭皮の表皮の反応性応答と個人の素因との組み合わせに当たり、その病因の複雑性が、治療を困難にしている。潜在的フケ防止剤を特定する方法、及び作用機序又はフケ状態の病因と実質的に無関係に有効性を有する推定薬剤の有効性を評価するための方法が、当該技術分野において引き続き必要とされている。したがって、本研究者らは、フケ及び関連する皮膚状態の治療に効果を有する新しい皮膚活性剤の模索に「関連性マッピング」を応用することに関する研究を行った。
関連性マッピングは、オペレーションズリサーチ分野、電気通信分野、及びより最近では創薬における応用に成功している、周知の仮説生成・検証ツールである。ヒトゲノムプロジェクトの取り組み及び完了、並びに細胞mRNA発現レベルの高速及び同時定量化を可能にする極めてハイスループットかつ高密度のDNAマイクロアレイ技術の並行開発は、莫大な量の遺伝子発現データの生成をもたらした。同時に、分子モデリング及び分子ドッキングの研究等、コンピュータを用いる方法による新しい医薬活性剤の模索は、潜在的小分子活性剤の巨大ライブラリーの生成を促進した。疾患を遺伝子発現プロファイルと、遺伝子発現プロファイルを薬物と、そして疾患を薬物と関連付ける情報の量は指数関数的に増加し、仮説検証ツールとしての関連性マッピングの創薬科学への応用は成熟した。
これまでに特徴付けられていない遺伝子の機能が正確に判定でき、薬物処理細胞の遺伝子発現プロファイルのデータベースで関連をマッピングすることにより、薬剤の潜在的標的が特定できるという一般概念は、2000年にT.R.Hughesらによる独創的な論文[「Functional discovery via a compendium of expression profiles」Cell 102,109〜126(2000)]の発表が先陣を切り、その後まもなく、関連性マップ(MITにおけるJustin Lamb及び研究者らによるマッププロジェクト)(「Connectivity Map:Gene Expression Signatures to Connect Small Molecules,Genes,and Disease」,Science,Vol 313,2006)の着手が続いた。2006年、Lambのグループは、Cマップ構築の方法の詳細な概要及び第一世代Cマップの作成に使用した遺伝子発現プロファイルの参照コレクションの連載、並びに現在進行中の大規模コミュニティCマッププロジェクト(ハイパーリンクhttp://www.sciencemag.org/content/313/5795/1929/suppl/DC1の「supporting materials」で閲覧可能)の始動の発表を開始した。
疾患と、疾患表現型と、その疾患表現型を変更するために使用する薬物との間の新規の関係を、既知の関係との比較により予測する基本的パラダイムは、臨床医により直感科学として何世紀もにわたり実践されている。現代の関連性マッピングは、その厳密な数学的土台、及び現代の計算能力の支えにより、癌を含む様々な疾患の治療用の新規薬剤を特定することの確定された医学的成功をもたらした。それにもかかわらず、一部の制限的な推測が、多種多様であり、しばしば明らかに関連のない細胞表現型発現を特徴とする多遺伝子起源の疾患又は症候性状態に関して、Cマップの応用を困難にしている。Lambによると、有用なCマップを構築することの課題は、問い合わせ時に臨床的に顕著かつ有用な出力の生成を可能にする入力参照データを選択する過程であった。Lambの薬物に関連するCマップでは、強い関連付けは参照関連付けを含み、強い関連付けは、ヒットとして認識される所望の出力である。
自動増幅、標識化ハイブリダイゼーション、及び1日に並行して96サンプルのスキャニングを可能にするハイスループット高密度プロファイリングプラットフォームの利益には注目していたが、Lambはそれでもなお、「これほどの能力でも、あらゆる可能な濃度のあらゆる既知の撹乱因子にあらゆる可能な期間暴露された推定200種の異なる細胞型を1つ残らず分析可能にするには不十分である。したがって妥協が必要である」と警告した(Lamb,J.(2007)「The Connectivity Map:a new tool for biomedical research」Nat.Rev.Cancer 7,54〜60(54頁、第3欄、最終段落)。しかしながら、Lambは、細胞型が最終的には問題にならないという立場を取り、効率及び正規化の懸念から、極めて少数の樹立細胞株からのデータにそのCマップを限定した。理論上は、このことはインビトロとインビボとの不一致の可能性の増加につながり、出力情報を特定の細胞株の背景に限定する。細胞株が問題にならないというLambの論を受け入れるのであれば、この限定は無害であろう。
しかしながら、医薬品として好適な薬剤と化粧剤として好適な薬剤とは、分類上はっきりと異なり、前者は、特異性で選択される、身体の構造及び機能に測定可能な効果を有するよう意図される薬剤を定義し、一方後者は、外観に対する効果で選択され、身体の構造及び機能に測定可能な程度の効果がなくてもよい。化粧剤は、細胞表現型に対する効果に関して非特異的であり、身体への投与は、一般に、身体表面上又はその付近への適用に限定される。
医薬品に関するCマップを構築する際、Lambは、参照関連性が極度に高感度であり、同時に検出が困難(弱い)な場合、特定の困難に遭遇することを強調し、Lambは、数多くの冗長な関連付けを最小限に抑えるために妥協案を採用した。製剤の規制政策は意図される薬剤と病態との間の高度な特異性を要求し、また、医薬活性剤の開発において、脱線した関連付けを最小限に抑えた、単一のタンパク質に影響を与えることによる疾患の調節が望まれることから、LambのCマップは、上記の妥協にもかかわらず、潜在的医薬品のスクリーニングに極めて適している。
したがって、Lambの関連性マッピングプロトコルは、化粧品の分野で仮説検証/生成に有用であることは予測されなかったであろう。化粧品考案者は、複数の標的を調節することができ、複雑な表現型及び状態にわたって効果を有する薬剤又は薬剤の組成物を模索している。更に、化粧剤が医薬活性剤の規制政策の対象となることを避けるように、化粧剤の表現型影響は本質的に比較的低くなくてはならない。それにもかかわらず、影響は消費者にとって知覚可能でなければならず、好ましくは、科学的方法によって実験的に確認可能でなければならない。美容上の状態の遺伝子転写/発現プロファイルは、低い倍数から中程度の倍数の差を有する多くの遺伝子を含み、一般に冗長である。したがって、化粧剤は、細胞表現型により多様であまり急性ではない効果を与え、確信のある仮説検証に有用な関連性マップの生成に適さない、Lambにより明示的に教示された種類の関連を生成する。
それにもかかわらず、Lambの教示及び先行技術全般に反して、本発明者らは、驚くべきことに、特にスキンケア活性剤及び化粧剤に関して、この種の活性剤が一般に生じる、高度に冗長で体系的な低レベルの効果にもかかわらず、化粧活性剤−細胞表現型−遺伝子発現データの関連付けから有用な関連性マップを開発できることを発見した。更に、結果は細胞型と実質的に無関係であるはずであるというLambによる主張に反して、本発明は、一部には、関連細胞株としてのヒト表皮ケラチノサイト細胞の選択が、フケの治療に有用な皮膚活性剤及び化粧剤に関する仮説生成及び検証に特に有用な関連性マップの構築をもたらすという驚くべき発見に基づく。
上記のように、フケ状態は特に複雑であり、その病因は完全に解明されていない。したがって、本研究者らは、フケを含む特定の皮膚疾患における潜在的有効性を有する薬剤を特定するのに特に有用であることが証明されているCマップパラダイムに新規の改変を行った。皮膚状態について遺伝子発現シグネチャが決定されるが、この遺伝子発現シグネチャを更に解析して、生理学的主題発現シグネチャを導くために使用される、関与する生物過程パターンを決定する。次いで、主題シグネチャを使用して、Cマップデータベースに問い合わせて皮膚活性剤出力を生成するが、このとき皮膚状態主題発現シグネチャとの高い負の関連性は、その皮膚状態の治療に対する有効性を予測する。本研究者らが知るかぎり、生理学的主題発現シグネチャの使用によって薬剤を特定することにより、多因子型の十分に説明されていない低レベルの「疾患」状態、例えばフケを標的にするために関連性マッピングを応用することは、これまで試みられていない。
本研究者らは、適切に策定された関連性マップが、皮膚状態の病因及びベンチマーク薬剤の作用機序についての洞察をもたらすことを更に発見した。Cマップの応用により、本発明者らは、驚くべきことに、例えば、抗真菌特性とは無関係の抗真菌剤の作用機構を発見した。更に、Cマップ過程の一環として転写プロファイリング解析を実施することにより、本発明者らは、驚くべきことに、生物過程主題に関する遺伝子発現シグネチャを検査することにより、特定の皮膚活性剤に対する遺伝子発現プロファイルの応答に関して、臨床病態に対する驚くべき高忠実度を有する病態のインビトロモデルを構築できることを発見した。
フケ防止剤の特定の成功は、フケ状態自体の病因に関与する多細胞、多因子の過程により、困難であることが証明されている。潜在的フケ防止剤に対する生物学的応答の従来のインビトロ研究は、推定又は潜在的薬剤によって通常は誘発及び/又は引き起こされる複雑又は検出しにくい応答により妨げられる可能性がある。そのような弱い応答は、一部には、関与する多数の遺伝子及び遺伝子産物が原因で生じ、また皮膚活性剤及び化粧剤は、複数の形で複数の遺伝子に影響を与え得る。更に、化粧剤の生物活性の程度は、それぞれの遺伝子について異なり、定量化が困難な可能性がある。
加齢皮膚等の美容上の表現型と、遺伝子発現の摂動と、化粧剤の作用との機能的関連性を発見するための関連性マップアプローチの値は、薬物に基づくCマップの原型によって対表示される。関連表現型は極めて複雑であり、遺伝子摂動は多数で弱く、また化粧剤の作用は、同様に冗長であり、本質的に比較的弱い。美容上のCマップから統計的に有効なデータが生成できる可能性は低いと考えられ、顕著又は検出可能な美容上のデータを提供できる細胞株が存在するか否かは不確かであった。
[「Functional discovery via a compendium of expression profiles」Cell 102,109〜126(2000)] (MITにおけるJustin Lamb及び研究者らによるマッププロジェクト)(「Connectivity Map:Gene Expression Signatures to Connect Small Molecules,Genes,and Disease」,Science,Vol 313,2006) (Lamb,J.(2007)「The Connectivity Map:a new tool for biomedical research」Nat.Rev.Cancer 7,54〜60(54頁、第3欄、最終段落)
驚くべきことに、本発明者らは、フケ等の特定の皮膚疾患に対する有効性を有する皮膚活性剤の発見に向けたCマップアプローチを開発し、これは、疾患の病因及び選択される薬剤の作用機序についての洞察を明らかにするためにも有用となり得る。
結果的に、本発明は、フケ等の皮膚状態の治療に有効な潜在的な新しい皮膚活性剤の生成に有用な新規の方法、システム、及びモデルを提供する。細胞型の慎重な選択によって、また生理学的主題の発現シグネチャの決定と共に、既知の皮膚活性剤及び認識されている皮膚疾患の遺伝子発現プロファイルの参照コレクションの生成によって、本発明者らは、驚くべきことに、皮膚活性剤及び皮膚疾患に関する仮説を検証及び生成するために有用な関連性マップアーキテクチャを作成することができた。本研究者らは、この新規の関連性マッププロトコルを更に応用して、推定又は潜在的皮膚活性剤を検証するため、及び/又は既知の活性剤の機能機序を調査するために使用可能な皮膚疾患のインビトロモデルを開発した。
本発明は、皮膚状態/対象障害と、1つ以上の皮膚活性剤、その皮膚疾患の状態に関連付けられる1つ以上の遺伝子、並びにその皮膚状態が関与する生理学的主題及び/又は皮膚活性剤の影響を受ける生理学的主題との間の関係を判定するための方法及びシステムを広く含む実施形態を提供する。本発明の方法は、対象皮膚疾患若しくは状態に関連付けられる生物過程の機序、そのような状態に関連付けられるすべての遺伝子、又はそのような状態に関連付けられる細胞型の詳しい知識なしに、皮膚活性剤を特定するために使用することができる。
本発明の一実施形態によると、1つ以上の皮膚状態に関連付けられる撹乱因子と遺伝子との間の関連性の特定に使用するためのデータアーキテクチャを構築するための方法が提供される。この方法は、(a)コントロールヒト表皮ケラチノサイト細胞の遺伝子発現プロファイルを提供する工程と、(b)少なくとも1つの撹乱因子に暴露されたヒト表皮ケラチノサイト細胞の遺伝子発現プロファイルを生成する工程と、(c)(a)及び(b)の遺伝子発現プロファイルを比較することにより、少なくとも1つの撹乱因子に応答して差次的に発現された遺伝子を特定する工程と、(d)差次的に発現された遺伝子を表す識別子であって、遺伝子の差次的発現に従って順序付けられた、識別子を含む順序付きリストを作成する工程と、(e)順序付きリストをケラチノサイトインスタンスとして、少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な媒体上に格納する工程と、(f)(a)〜(e)を繰り返して、格納したケラチノサイトインスタンスのデータアーキテクチャを構築する工程と、を含み、工程(a)の少なくとも1つの撹乱因子は、各ケラチノサイトインスタンスで異なる。別の実施形態によると、フケ状態に関連付けられる撹乱因子と遺伝子との間の関連性の特定に使用するための遺伝子発現シグネチャを生成するための方法が提供される。この方法は、(a)ヒト頭皮細胞の参照サンプルの遺伝子発現プロファイルを提供する工程と、(b)フケ状態を呈する被験者からのヒト頭皮細胞の少なくとも1つのサンプルの遺伝子発現プロファイルを生成する工程と、(c)(a)及び(b)の発現プロファイルを比較して、(a)及び(b)で差次的に発現される遺伝子セットを含む遺伝子発現シグネチャを決定する工程と、(d)遺伝子発現シグネチャを構成するそれぞれの遺伝子に識別子を割り当て、差次的発現の方向によって識別子を順序付けて、1つ以上の遺伝子発現シグネチャリストを作成する工程と、(e)1つ以上の遺伝子発現シグネチャリストを少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な媒体上に格納する工程と、を含む。
本発明のデータアーキテクチャは、コンピュータ読み取り可能な媒体上に提供することができる。コンピュータ読み取り可能な媒体は、それぞれスプレッドシート、文書処理、又はデータベースコンピュータプログラムによる読み取りに好適なスプレッドシートファイル形式、文書処理ファイル形式、又はデータベースファイル形式で格納される第1のデジタルファイルを含み、この第1のデジタルファイルは、それぞれスプレッドシート、文書処理、又はデータベースコンピュータプログラムによって読み取られたときに、複数の識別子を含む1つ以上の遺伝子発現シグネチャリストを提供するように配列されたデータを含み、各識別子は、遺伝子発現シグネチャに規定されるように特定される遺伝子セットを表す、マイクロアレイプローブセットID、ヒト遺伝子名、ヒト遺伝子記号、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、遺伝子発現シグネチャリストは、約50〜約600個の識別子を含む。
更なる実施形態は、皮膚状態の治療において予測可能な有効性を有する皮膚活性剤を特定するための方法に関する。この方法は、a.遺伝子発現シグネチャが、皮膚状態に罹患した皮膚サンプルにおいて、皮膚状態に罹患していない皮膚と比較して、顕著に上方及び下方制御された遺伝子を含む皮膚状態の遺伝子発現シグネチャを決定する工程と、b.遺伝子オントロジー等の生物過程グリッド上に遺伝子発現シグネチャをマッピングすることにより、皮膚状態の主題発現シグネチャを決定して、1つ以上の制御された過程を決定する工程であって、その制御された過程の統計的クラスタリングを主題発現シグネチャが反映する、工程と、c.本発明による関連性マップデータアーキテクチャを提供する工程と、d.(b)で決定した主題発現シグネチャを用いて関連性マップに問い合わせて、皮膚活性剤の出力を生成する工程と、e.その出力を関連性スコアによって序列付けする工程と、を含み、負の関連性スコアは、その皮膚状態の治療に対する皮膚活性剤の有効性を予測する。
皮膚疾患のインビトロモデル及びそれらを構築するための方法も開示される。モデルは、皮膚疾患の治療において、提案された治療薬の臨床有効性を評価するのに有用である。この方法は、a.病態の遺伝子発現シグネチャを決定する工程であって、その遺伝子発現シグネチャは、その疾患において顕著に上方及び下方制御された遺伝子を含む、工程と、b.制御された遺伝子の生物過程解析を実施して、制御された遺伝子が関与する生物過程を特定する工程と、c.(b)で特定された生物過程を模擬するように皮膚培養物を処理する工程と、d.処理された皮膚培養物の遺伝子発現シグネチャを決定し、それが(a)で決定された遺伝子シグネチャを模倣している程度を判定することにより、皮膚疾患のインビトロモデルの妥当性を確認する工程と、を含む。
他の態様では、本発明は、当該技術分野において既知の様々な形態で実態的に存在してもよい本発明の遺伝子発現シグネチャを提供する。例えば、遺伝子発現シグネチャは、各オリゴヌクレオチドがシグネチャ中の遺伝子の領域を特定するヌクレオチド配列に独自にハイブリダイズする、一組の固定化オリゴヌクレオチドとして存在してもよい。表に「記載される遺伝子」が、その遺伝子を指定する遺伝子識別子を指すこと、また本明細書に記載の遺伝子発現シグネチャが、遺伝子識別子に従って記載されていることは理解される。
これら及び付加的な本発明の対象、実施形態、並びに態様は、下記の図面及び詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
フケに罹患した皮膚の2つの異なる遺伝子発現シグネチャを構成する遺伝子を示す。表Bは、フケ遺伝子発現シグネチャとしての70個の最も顕著に上方及び下方制御された遺伝子を含み、表Aは、フケの主題プロファイルを定義する遺伝子クラスター(脂質代謝及び免疫機能)中の最も顕著に上方及び下方制御された遺伝子を示す。 フケに罹患した皮膚の2つの異なる遺伝子発現シグネチャを構成する遺伝子を示す。表Bは、フケ遺伝子発現シグネチャとしての70個の最も顕著に上方及び下方制御された遺伝子を含み、表Aは、フケの主題プロファイルを定義する遺伝子クラスター(脂質代謝及び免疫機能)中の最も顕著に上方及び下方制御された遺伝子を示す。 本発明との使用に好適なコンピュータシステムの略図。 図2のコンピュータシステムのコンピュータ読み取り可能な媒体と関連付けられるインスタンスの略図。 本発明との使用に好適なプログラム可能なコンピュータの略図。 インスタンスを生成するための例示のシステムの略図。 遺伝子発現シグネチャとインスタンスとの比較の略図であり、これらのリスト間には正相関が存在する。 遺伝子発現シグネチャとインスタンスとの比較の略図であり、これらのリスト間には負相関が存在する。 遺伝子発現シグネチャとインスタンスとの比較の略図であり、これらのリスト間には中間的相関が存在する。 フケと非フケとを比較した、広域パターンの生理学的主題遺伝子発現パターンを示す表を含む。 フケ罹患皮膚と非フケ罹患皮膚とを比較した、差次的遺伝子発現及び主題解析を示すヒートマップを図示。 フケ発症頭皮、フケ非発症頭皮、及び正常な頭皮における顕著に制御された遺伝子の平均正規化発現値と、遺伝子オントロジーにおける生物過程とを比較した、ヒートマップを図示。 フケ状態及び非フケ状態における差次的遺伝子発現のヒートマップを図示し、特に脂質代謝と免疫/炎症との主題逆相関を強調している。 脂質代謝及び免疫/炎症主題クラスターと比較した群平均としてのフケ罹患と、フケ非発症と、非フケ状態との間の差次的遺伝子発現のヒートマップを図示。 バリア脂質生成、特に脂肪酸合成経路に関与する遺伝子の差次的発現を示している。 バリア脂質生成、特にコレステロール合成経路に関与する遺伝子の差次的発現を示している。 バリア脂質生成、特にスフィンゴ脂質合成経路に関与する遺伝子の差次的発現を示している。 トランスクリプトミクス所見の表現型支持を示すために、バリア脂質及び炎症バイオマーカーに関するデータを示す。 トランスクリプトミクス所見の表現型支持を示すために、バリア脂質及び炎症バイオマーカーに関するデータを示す。 表を含み、本発明の方法によるZPTの機序を解析するためのトランスクリプトミクス試験計画を要約している。 ZPT治療結果のヒートマップを図示し、ZPTによる治療が、健康な頭皮/恒常状態に向かうプロファイルのシフトをもたらすことを示している。 フケの生理学的主題シグネチャに対するZPTの効果を示すヒートマップを図示。 フケの高忠実度インビトロモデルが、IL17とIL22との組み合わせで皮膚培養物を処理することにより構築可能であることを示す。 フケの高忠実度インビトロモデルが、IL17とIL22との組み合わせで皮膚培養物を処理することにより構築可能であることを示す。
ここでは本発明の具体的な実施形態を時折参照して、本発明を説明する。しかしながら、本発明は、異なる形態で実施されてもよく、明細書において記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、本開示が徹底され、完全なものであり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように、これらの実施形態が提供される。
特に定義しないかぎり、本明細書で用いるすべての技術的及び科学的用語は、本発明の属する分野における当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において本発明の説明に使用される用語は、特定の実施形態を説明するために過ぎず、本発明を制限するものではない。本発明の説明及び添付の「特許請求の範囲」において使用される、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに示さないかぎり、同様に複数形を含むものとする。
本明細書で互換的に使用される「関連性マップ」及び「Cマップ」という用語は、装置、システム、製品、及び細胞表現型又は美容上の状態と、遺伝子発現と、化粧活性剤等の撹乱因子との間の関係を特定するための方法を広く指す。
本明細書で使用する「化粧剤」という用語は、洗浄、美化、魅力の増進、外観の変更、又はそれらの組み合わせの目的で、哺乳動物の身体又はそのあらゆる部分に、すり込む、注ぐ、振り掛ける、噴霧する、導入する、ないしは別の方法で塗布するためのあらゆる物質、並びにそのあらゆる構成要素を意味する。化粧剤としては、米国食品医薬品局により一般に安全と認められる(GRAS)物質、食品添加物、及び市販薬を含む美容用ではない消費者製品に使用される材料を挙げることができる。一部の実施形態では、化粧剤は、皮膚への局所塗布に好適な皮膚科学的に許容可能な担体を含む化粧品組成物に組み込んでもよい。化粧剤としては、(i)皮膚組織に少なくとも1つの効果(プラス効果又はマイナス効果)を誘発する又は引き起こすことが知られている、化学物質、化合物、小分子若しくは大分子、抽出物、製剤、又はそれらの組み合わせ、(ii)皮膚組織に少なくとも1つの効果(プラス効果又はマイナス効果)を誘発する又は引き起こすことが知られており、提供される方法及びシステムを用いて、皮膚組織に少なくとも1つのこれまで知られていない効果(プラス効果又はマイナス効果)を誘発する又は引き起こすことが発見される、化学物質、化合物、小分子、抽出物、製剤、又はそれらの組み合わせ、並びに(iii)皮膚組織に対する影響を有することが知られておらず、提供される方法及びシステムを用いて、皮膚組織に対する影響を誘発する又は引き起こすことが発見される、化学物質、化合物、小分子、抽出物、製剤、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
化粧剤又は美容作用可能な材料の一部の例は、米国国立衛生研究所に関連するPubChemデータベース(http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov)、米国化粧品工業会の成分データベース(http://online.personalcarecouncil.org/jsp/Home.jsp)、及び米国化粧品工業会発行の2010 International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,13th Edition、EU化粧品成分及び物質リスト、日本化粧品成分リスト、米国化粧品工業会のSkinDeepデータベース(URL:http://www.cosmeticsdatabase.com)、FDA認可賦形剤リスト、FDA OTCリスト、日本医薬部外品リスト、米国FDA全食品添加物データベース、EU全食品添加物リスト、日本既存食品添加物、香味料GRASリスト、米国FDA GRAS物質評価委員会、米国家庭製品データベース、世界新製品データベース(GNPD)パーソナルケア、保健医療、食品/飲料/ペット、及び家庭用品データベース(URL:http://www.gnpd.com)において、並びに化粧品成分及び植物成分供給業者から見出すことができる。
他の化粧剤の非限定的な例としては、植物成分(植物の根、幹皮、葉、種子、又は果実のうちの1つ以上に由来してもよい)が挙げられる。一部の植物成分は、もう1つの溶剤を用いて植物バイオマス(例えば、根、茎、樹皮、葉等)から抽出されてもよい。植物成分は、化合物の複合混合物を含んで、明白な活性成分を含まなくてもよい。別のカテゴリの化粧剤は、ビタミン化合物並びにそれらの誘導体及び組み合わせ、例えばビタミンB3化合物、ビタミンB5化合物、ビタミンB6化合物、ビタミンB9化合物、ビタミンA化合物、ビタミンC化合物、ビタミンE化合物、並びにそれらの誘導体及び組み合わせ(例えば、レチノール、レチニルエステル、ナイアシンアミド、葉酸、パンテノール、アスコルビン酸、トコフェロール、及び酢酸トコフェロール)である。他の化粧剤の非限定的な例としては、糖アミン、植物ステロール、ヘキサミジン、ヒドロキシ酸、セラミド、アミン酸、及びポリオールが挙げられる。
本明細書で使用する「皮膚活性剤」という用語は、本明細書で定義する化粧剤の小集団であり、望ましくない皮膚状態、例えば、フケ、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、発疹、座瘡、又は実質的な美容上の懸案事項となり得る他の状態の治療を達成する目的で皮膚への塗布が意図されたあらゆる物質、並びにあらゆるその構成要素を概ね含む。皮膚活性剤のカテゴリの例としては、フケ防止活性剤、ステロイド系抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症剤、殺シラミ薬、感覚剤、酵素、ビタミン、育毛活性剤、日焼け止め剤、及びそれらの組み合わせが挙げられる。本発明による化粧品組成物は、皮膚活性剤を含有してもよい。
皮膚活性剤の具体的なカテゴリは、フケ防止剤である。当該技術分野において既知のフケ防止剤としては、抗菌フケ防止活性剤が挙げられ、組成物中のその濃度は、組成物の約0.001重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約3重量%、更により好ましくは約0.05重量%〜約1重量%の範囲である。抗菌フケ防止活性剤の具体的な例としては、抗真菌活性剤、例えば、ピリチオン塩、オクトピロックス、ケトコナゾール、クリンバゾール、シクロピロックス、テルビナフィン、及び硫黄又は硫黄含有活性剤、例えば硫化セレンが挙げられる。極めて具体的な例は、組成物の0.005重量%〜2重量%、より好ましくは約0.005%重量%〜約0.5重量%の濃度範囲のジンクピリチオン(ZPT)である。硫化セレンは、パーソナルケアの分野で周知の抗菌フケ防止活性剤であり、例えば、米国特許第2,694,668号、同第3,152,046号、同第4,089,945号、及び同第4,885,107号に記載されており、これらの開示内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
ピリチオン抗菌活性剤、特に1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン塩もまた、頭皮用化粧品組成物に使用するための周知のフケ防止活性剤である。ピリチオン塩の例は、亜鉛、スズ、カドミウム、マグネシウム、アルミニウム、及びジルコニウム等の重金属から形成されたものである。亜鉛塩は、特に好ましいフケ防止剤であり、特に1−ヒドロキシ−2−ピリチオン(ジンクピリチオン、ZPT)の亜鉛塩は好ましい。ナトリウム等の他のカチオンもまた、好適であり得る。ピリチオン抗菌活性剤はヘアケア分野で周知であり、例えば、米国特許第2,809,971号、同第3,236,733号、同第3,753,196号、同第3,761,418号、同第4,345,080号、同第4,323,683号、同第4,379,753号、及び同第4,470,982号に記載されており、これらの開示内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。フケ防止剤として好適であり得る亜鉛含有皮膚活性剤の他の具体例としては、ジンクピリチオン、酢酸亜鉛、アセチルメチオニン亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、DNA亜鉛、ホルムアルデヒドスルホキシル酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、グルタミン酸亜鉛、加水分解コラーゲン亜鉛、乳酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、PCA亜鉛、ペンタデセントリカルボン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、酸化亜鉛、ラクトビオン酸亜鉛、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
「遺伝子発現シグネチャ」及び「遺伝子発現シグネチャ」という用語は、皮膚組織の状態又は皮膚剤を表す遺伝子の合理的に得られたリスト又は複数のリストを指す。特定の状況では、この皮膚剤は、ベンチマーク皮膚剤又は潜在的皮膚剤であってもよい。したがって、遺伝子発現シグネチャは、皮膚組織の対象となる表現型の代理としての役割を果たし得る。遺伝子発現シグネチャは、正常又はコントロール状態と比較して、発現が増加(上方制御)された遺伝子、発現が減少(下方制御)された遺伝子、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。一般に、改変された細胞表現型の遺伝子発現シグネチャは、細胞表現型にわたって改変された細胞表現型で差次的に発現される遺伝子セットとして記載することができる。遺伝子発現シグネチャは、インビトロ試験、インビボ試験、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない種々のデータ源から得ることができる。一部の実施形態では、遺伝子発現シグネチャは、対象となる状態の複数の上方制御された遺伝子を表す第1のリストと、対象となる状態の複数の下方制御された遺伝子を表す第2のリストとを含んでもよい。
本明細書で使用する「ベンチマーク皮膚剤」という用語は、皮膚組織に優れた効果(プラス効果又はマイナス効果)を誘発する又は引き起こすことが知られている、あらゆる化学物質、化合物、小分子若しくは大分子、抽出物、製剤、又はそれらの組み合わせを指す。フケの分野で周知のベンチマーク皮膚活性剤の非限定的な例としては、ジンクピリチオン(ZPT)、硫化セレン、ケトコナゾール、シクロピロックスオラミン、及びタールが挙げられる。ジンクピリチオンは、抗真菌及び抗菌剤として一般に知られており、1930年に最初に報告された。ジンクピリチオンは、フケ及び脂漏性皮膚炎の治療におけるその使用で最もよく知られている。またこれは、抗菌特性も有し、連鎖球菌群及びブドウ球菌群の多くの病原体に対して有効である。ジンクピリチオンの他の医療用途としては、乾癬、湿疹、白癬、菌状腫、水虫、乾燥皮膚、アトピー性皮膚炎、たむし、及び白斑の治療が挙げられる。硫化セレンは、1%及び2.5%ローション及びシャンプーとして入手可能である。一部の国では、最高濃度の調製物は、医師の処方箋を必要とする。シャンプーは、フケ及び頭皮の脂漏症を治療するために使用され、ローションは、皮膚の真菌感染症である癜風を治療するために使用される。タールは、頭皮乾癬、湿疹、脂漏性皮膚炎、及びフケの痒み及び剥離症状を管理するための治療法として有効であることが知られている皮膚活性剤である。
本明細書において使用する「問い合わせ」という用語は、関連性マップへの入力として使用されるデータを指し、これに対して複数のインスタンスが比較される。問い合わせには、フケ等の皮膚状態に関連付けられる遺伝子発現シグネチャが含まれてもよく、又は皮膚状態について決定された生理学的過程シグネチャから得られる遺伝子発現シグネチャが含まれてもよい。Cマップは、撹乱因子、遺伝子発現シグネチャ、皮膚疾患、主題シグネチャ、あるいはデータアーキテクチャを含む任意のデータ特性若しくはデータ特性の組み合わせ、又は関連性を用いて問い合わせることができる。
本明細書で使用する「インスタンス」という用語は、皮膚細胞に撹乱因子を投与する遺伝子発現プロファイリング実験からのデータを指す。一部の実施形態では、このデータは、遺伝子発現プロファイリング実験の一環である遺伝子を表す識別子のリストを含む。識別子は、遺伝子名、遺伝子記号、マイクロアレイプローブセットID、又は他の任意の識別子を含んでもよい。一部の実施形態では、インスタンスは、マイクロアレイ実験からのデータを含んでもよく、コントロールと比較した差次的発現の程度によって順序付けされたマイクロアレイのプローブセットIDのリストを含む。このデータはメタデータも含んでよく、これには、撹乱因子、遺伝子発現プロファイリング試験条件、皮膚細胞、及びマイクロアレイのうちの1つ以上に関するデータが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する「角質組織」という用語は、皮膚、毛髪、爪、甘皮、角、鉤爪、くちばし、及び蹄等が含まれるがこれらに限定されない、哺乳動物の最も外側の保護被覆として配置されるケラチン含有層を指す。皮膚に関して、この用語は、真皮層、皮下層、及び表皮層のうちの1つ又はすべてを指し、これは部分的に角質組織を含む。
本明細書で使用する「フケ」という用語は、病因又は発症機序に関わらず、頭皮の過剰な剥離を特徴とし、通常は痒みを伴う頭皮の状態を指す。フケは、脂漏性皮膚炎では頭皮以外に罹患皮膚が存在することによって、脂漏性皮膚炎と区別される。「フケ」という用語は、剥離片自体を指すこともできる。
本明細書で使用される「撹乱因子」という用語は、本発明で使用するための遺伝子発現データを生成するための遺伝子発現プロファイリング実験においてチャレンジとして使用されるあらゆるものを意味する。一部の実施形態では、撹乱因子をケラチノサイト細胞に適用し、遺伝子発現プロファイリング実験から得られた遺伝子発現データをインスタンスとしてデータアーキテクチャ内に格納してもよい。遺伝子発現データを生成するために使用されるあらゆる物質、化学物質、化合物、活性剤、天然産物、抽出物、薬物、[例えば、Sigma−Aldrich LOPAC(薬理活性化合物ライブラリー)コレクション]、小分子、及びそれらの組み合わせは、撹乱因子となり得る。また、撹乱因子は、差次的遺伝子発現データを生成するために使用される他のいかなる刺激であってもよい。例えば、撹乱因子は、紫外線、熱、浸透圧ストレス、pH、微生物、ウイルス、組換えサイトカイン若しくは成長因子、又は低分子干渉RNAであってもよい。撹乱因子は、いかなる化粧剤であってもよいが、必ずしもそうである必要はない。
本明細書で使用するとき、用語「皮膚科学的に許容可能な」は、記載される組成物又は構成成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、アレルギー反応等がなく、ヒトの皮膚組織と接触して使用するのに好適であることを意味する。
本明細書で使用する「コンピュータ読み取り可能な媒体」という用語は、コンピュータ読み取り可能な命令、データ及びデータ構造、デジタルファイル、ソフトウェアプログラム及びアプリケーション、又は他のデジタル情報等の情報の格納のために任意の方法又は技術で実装されたあらゆる電子記憶媒体を指し、これにはあらゆる揮発性、非揮発性、着脱式、及び非着脱式媒体が含まれるが、これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な媒体には、特定用途向け集積回路(ASIC)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、同期RAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、ダイレクトRAMバスRAM(DRRAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、ディスク、搬送波、及びメモリスティックが含まれるが、これらに限定されない。揮発性メモリの例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、同期RAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、及びダイレクトRAMバスRAM(DRRAM)が含まれるが、これらに限定されない。非揮発性メモリの例には、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、及び電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)が含まれるが、これらに限定されない。メモリは、プロセス及び/又はデータを格納することができる。また他のコンピュータ読み取り可能な媒体としては、あらゆる好適なディスク媒体が挙げられ、これには、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、ジップドライブ、フラッシュメモリカード、メモリスティック、コンパクトディスクROM(CD−ROM)、CD書き込み可能ドライブ(CD−Rドライブ)、CD書き換え可能ドライブ(CD−RWドライブ)、及びデジタル多用途ROMドライブ(DVD ROM)が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する「ソフトウェア」及び「ソフトウェアアプリケーション」という用語は、計算装置又は他の電子装置に、機能、動作、及び/又は挙動を望ましい形で実行させる、1つ以上のコンピュータ読み取り可能及び/又は実行可能な命令を指す。命令は、ルーチン、アルゴリズム、モジュール、ライブラリー、方法、及び/又はプログラム等、1つ以上の様々な形態で実施されてもよい。ソフトウェアは、様々な実行可能及び/又は読み込み可能な形態で実装することができ、1つのコンピュータ構成要素に位置してもよく、並びに/又は2つ以上の通信、協働、及び/若しくは並列処理するコンピュータ構成要素の間に分散されてもよく、それにより直列、並列、及び他の形で読み込み及び/又は実行が可能である。ソフトウェアは、1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体上に格納されていてもよく、本発明の方法及び機能を全体的又は部分的に実行してもよい。
本明細書で使用する「フケ遺伝子発現シグネチャ」という用語は、フケ状態の遺伝子発現プロファイリングから得られる遺伝子発現シグネチャを指す。
本明細書で使用する「関連性スコア」という用語は、インスタンスが問い合わせに相関する程度を表す、得られた値を指す。
本明細書で使用する「データアーキテクチャ」という用語は、概して、編成されたデータコレクションを含む1つ以上のデジタルデータ構造を指す。一部の実施形態では、デジタルデータ構造は、デジタルファイル(例えば、スプレッドシートファイル、テキストファイル、文書処理ファイル、データベースファイル等)として、コンピュータ読み取り可能な媒体上に格納することができる。一部の実施形態では、データベースに格納されたデータ(例えば、インスタンス及び遺伝子発現シグネチャ)にアクセスし、これを編成し、選択するために使用されるデータベース管理システム(DBMS)によって管理することができるデータベースの形態で、データアーキテクチャが提供される。
本明細書で使用される「遺伝子発現プロファイリング」及び「遺伝子発現プロファイリング実験」という用語は、任意の好適なプロファイリング技術を用いる、生体サンプル中の複数の遺伝子の発現の測定を指す。例えば、多数の遺伝子のmRNA発現は、マイクロアレイ法を用いて測定することができる。使用可能な他の新たな技術としては、NextGen配列決定法を用いるRNA−Seq又は全トランスクリプトームの配列決定が挙げられる。
本明細書で使用する「マイクロアレイ」という用語は、生体サンプルの遺伝子発現プロファイリングを可能にする基板上の核酸、オリゴヌクレオチド、タンパク質、小分子、大分子、及び/又はそれらの組み合わせのあらゆる順序配列を広く指す。マイクロアレイの非限定的な例は、Affymetrix,Inc.、Agilent Technologies,Inc.、Ilumina,Inc.、GE Healthcare,Inc.、Applied Biosystems,Inc.、Beckman Coulter,Inc.等から入手可能である。
別途記載のないかぎり、本明細書及び「特許請求の範囲」で使用する成分の量、分子量等の特性、反応条件等を表すすべての数は、すべての場合に「約」という用語によって修飾されることを理解すべきである。更に、本明細書及び「特許請求の範囲」におけるあらゆる範囲の開示は、その範囲自体及びその中に包含されるあらゆるもの、並びに終点も含むものと理解すべきである。すべての数範囲はより狭い範囲を包含し、表現された上方及び下方範囲の限界値は互換可能であって、明示されていない範囲を更に作り出す。別途記載のないかぎり、本明細書及び「特許請求の範囲」に記載の数値的性質は、本発明の実施形態において得ることが求められる所望の性質に応じて変化し得る近似値である。本発明の広い範囲を示している数値範囲及びパラメーターは近似値であるけれども、具体的な実施例に示される数値は、できるかぎり正確に報告されている。しかしながら、あらゆる数値は、それらのそれぞれの測定値に認められる誤差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に包含する。
本発明の一態様によると、フケ又はフケ関連状態に関連付けられる1つ以上問い合わせシグネチャを用いて関連性マップを実行する装置、システム、及び方法が提供される。問い合わせシグネチャは、様々な方法で得ることができる。一部の実施形態では、問い合わせシグネチャは、コントロールと比較して、対象皮膚状態を呈する皮膚の全層皮膚生検の遺伝子発現プロファイリングから得られる遺伝子発現シグネチャであってもよい。遺伝子発現プロファイリングは、マイクロアレイ解析又はNextGen配列決定を含むがこれらに限定されない、任意の好適な技術を用いて実施することができる。遺伝子発現シグネチャの例としては、特異的フケ遺伝子発現シグネチャが挙げられ、この例は、より詳しく後述する。問い合わせシグネチャは、フケ防止剤等のベンチマーク皮膚活性剤に暴露されたケラチノサイト細胞系の転写プロファイリングから得てもよい。他の実施形態では、問い合わせシグネチャは、統計的に過剰表現された遺伝子オントロジープロセスを解析し、その遺伝子オントロジーの関数として制御された遺伝子の統計的クラスタリングを決定することから得られる生理学的主題発現シグネチャであってもよい。これらの問い合わせシグネチャは、単独で、又は組み合わせで使用することができる。
本発明の別の態様によると、表皮ケラチノサイト細胞系に暴露された、化粧剤等の撹乱因子から得られる1つ以上のインスタンスを用いて関連性マップを実行するための装置、システム、及び方法が提供される。また、ケラチノサイト又はエクスビボヒト皮膚を含む皮膚器官型培養物等、より複雑な細胞培養系からのインスタンスを使用してもよい。複数の細胞株からのインスタンスを本発明で使用してもよい。
本発明のまた別の態様によると、皮膚状態、例えばフケ状態問い合わせシグネチャと複数のインスタンスとの間の関係の特定のための装置、システム、及び方法が提供され、この問い合わせシグネチャは、遺伝子発現シグネチャ又は生理学的主題発現シグネチャであってもよい。例えば、対象皮膚状態に関連付けられる統計的に有意な数の遺伝子に統計的に有意な活性を引き起こす撹乱因子を突き止めて、その皮膚状態を治療するための新しい化粧剤又は既知の化粧剤の新しい用途の特定に至ることが可能となり得る。
I.システム及び装置
図2、4、及び5を参照して、撹乱因子と、皮膚組織/フケ状態と、皮膚組織/フケ状態に関連付けられる遺伝子と間の関係を特定に使用するための本発明によるシステム及び装置のいくつかの例をここで説明する。システム10は、計算装置12、14、計算装置12と関連付けられるコンピュータ読み取り可能な媒体16、及び通信網18のうちの1つ以上を備える。
ハードディスクドライブとして設けられてもよいコンピュータ読み取り可能な媒体16は、デジタルファイル20と関連付けられるデータ構造に格納された複数のインスタンス22、24、及び26を含むデジタルファイル20、例えばデータベースファイルを含む。複数のインスタンスは、リレーショナルテーブル及びインデックス、又は他の種類のコンピュータ読み取り可能な媒体に格納してもよい。また、インスタンス22、24、及び26は、複数のデジタルファイルにわたって分散されてもよいが、本明細書では簡単にするために単一のデジタルファイル20について説明する。
デジタルファイル20は、文書処理ファイル形式(例えば、Microsoft Word)、スプレッドシートファイル形式(例えば、Microsoft Excel)、及びデータベースファイル形式を含むが、これらに限定されない多様な形式で提供することができる。好適なファイル形式の一般的な一部の例には、*.xls、*.xld、*.xlk、*.xll、*.xlt、*.xlxs、*.dif、*.db、*.dbf、*.accdb、*.mdb、*.mdf、*.cdb、*.fdb、*.csv、*sql、*.xml、*.doc、*.txt、*.rtf、*.log、*.docx、*.ans、*.pages、*.wps等のファイル拡張子に関連付けられるものが含まれるが、これらに限定されない。
図3を参照すると、一部の実施形態では、インスタンス22は、マイクロアレイプローブセットIDの順序付きリストを含んでもよく、このときNの値は、解析に使用するマイクロアレイ上のプローブの総数と等しい。一般的なマイクロアレイとしては、Affymetrix GeneChip及びIllumina BeadChipが挙げられ、これらはどちらもプローブセットとカスタムプローブセットとを備える。本発明による参照遺伝子プロファイルを生成する目的で、好ましいチップは、ヒトゲノムのプロファイリングのために設計されたものである。本発明で有用なAffymetrixチップの例としては、モデルHuman Genome(HG)−U133 Plus 2.0が挙げられる。本研究者らが採用した具体的なAffymetrixチップは、HG−U133A2.0であるが、当業者は、所有権の所在にかかわらず、本発明によるデータアーキテクチャの構築に使用されるチップのプローブセットが実質的に類似するかぎり、いかなるチップ又はマイクロアレイも好適であることを理解するであろう。
Affymetrix GeneChipを使用してマイクロアレイ解析から得られたインスタンスは、遺伝子プローブセットIDの順序付きリストを含んでもよく、このリストは22,000以上のIDを含む。順序付きリストは、デジタルファイル20のデータ構造に格納してもよく、データは、デジタルファイルがソフトウェアアプリケーション28によって読み取られたときに、プローブセットIDの順序付きリストを表す複数の文字列が再生されるように配列してもよい。それぞれのインスタンスがプローブセットIDの完全なリストを含むことが好ましいが、インスタンスのうちの1つ以上が、マイクロアレイのすべてに満たないプローブセットIDを有してもよいことが意図される。また、インスタンスが、プローブセットIDの順序付きリストに加えて、又はその代わりに、他のデータを含んでもよいことも意図される。例えば、同等の遺伝子名及び/又は遺伝子記号の順序付きリストでプローブセットIDの順序付きリストを代用してもよい。インスタンス及び/又はデジタルファイル20と共に、追加データを格納してもよい。一部の実施形態では、この追加データはメタデータと称され、これは細胞株ID、バッチ番号、暴露期間、及び他の実験によって得られるデータ、並びにインスタンスIDに関連付けられる他の任意の記述的材料をのうちの1つ以上を含んでもよい。また、順序付きリストは、順序付きリスト中のその識別子の序列付けされた位置を表す、それぞれの識別子と関連付けられる数値も含んでよい。
再び図2、3、及び4を参照すると、コンピュータ読み取り可能な媒体16は、その媒体上に格納された第2のデジタルファイル30も含んでよい。第2のデジタルファイル30は、1つ以上のフケ遺伝子発現シグネチャに関連付けられるマイクロアレイプローブセットIDの1つ以上のリスト32を含む。マイクロアレイプローブセットIDのリスト32は、通常は、第1のデジタルファイル20のインスタンスよりもはるかに小さいプローブセットIDのリストを含む。一部の実施形態では、このリストは、2〜1000個のプローブセットIDを含む。他の実施形態では、このリストは、10個を上回る、50個を上回る、100個を上回る、200個を上回る、若しくは300個を上回る、及び/又は約800個未満、600個未満、若しくは約400個未満のプローブセットIDを含む。第2のデジタルファイル30のプローブセットIDのリスト32は、対象皮膚状態を表すために選択された上方及び/又は下方制御された遺伝子を表すプローブセットIDのリストを含む。一部の実施形態では、第1のリストは、遺伝子発現シグネチャの上方制御された遺伝子を表してもよく、第2のリストは、遺伝子発現シグネチャの下方制御された遺伝子を表してもよい。リスト(複数可)は、デジタルファイル30のデータ構造に格納してもよく、データは、デジタルファイルがソフトウェアアプリケーション28によって読み取られたときに、プローブセットIDのリストを表す複数の文字列が再生されるように配列してもよい。プローブセットIDの代わりに、同等の遺伝子名及び/又は遺伝子記号(又は別の命名)でプローブセットIDのリストを代用してもよい。遺伝子発現シグネチャ及び/又はデジタルファイル30と共に追加データを格納してもよく、これは一般にメタデータと称され、これは、例えば、細胞株又はサンプル源、及びマイクロアレイID等のいかなる関連情報を含んでもよい。フケ遺伝子発現シグネチャのプローブセットIDのリストの例は、表A(生理学的主題シグネチャ/パターンでクラスター化した上方制御及び下方制御された遺伝子)及び表B(フケ遺伝子発現シグネチャにおける70個の最も上方制御された遺伝子及び70個の最も下方制御された遺伝子)である。一部の実施形態では、1つ以上の皮膚状態/フケ遺伝子発現シグネチャは、複数のデジタルファイルに格納してもよく、及び/又は複数のコンピュータ読み取り可能な媒体上に格納してもよい。他の実施形態では、複数の遺伝子発現シグネチャ(例えば、32、34)は、同じデジタルファイル(例えば、30)に格納してもよく、又はインスタンス22、24、及び26を含む同じデジタルファイル若しくはデータベースに格納してもよい。
前述したように、第1及び第2のデジタルファイルに格納されたデータは、様々なデータ構造及び/又は形式で格納することができる。一部の実施形態では、データは、1つ以上の検索可能なデータベース、例えば無料データベース、商用データベース、又は社内の独自のデータベースに格納される。データベースは、例えば、限定するものではないが、フラットモデル、階層モデル、ネットワークモデル、関係モデル、次元モデル、又はオブジェクト指向モデル等、当該分野において既知のいかなるモデルによって提供又は構造化されてもよい。一部の実施形態では、少なくとも1つの検索可能なデータベースは、社内の独自のデータベースである。システム10のユーザは、データベース管理システムと関連付けられるグラフィカル・ユーザ・インターフェースを用いて、そのシステムが操作可能に接続される1つ以上のデータベース又は他のデータ源にアクセスし、そこからデータを引き出すことができる。一部の実施形態では、第1のデジタルファイル20は、第1のデータベースの形態で提供され、第2のデジタルファイル30は、第2のデータベースの形態で提供される。他の実施形態では、第1及び第2のデジタルファイルを組み合わせて、単一ファイルの形式で提供してもよい。
一部の実施形態では、第1のデジタルファイル20は、コンピュータ読み取り可能な媒体38上に格納されたデジタルファイル36から通信網18を通して送信されるデータを含んでもよい。一実施形態では、第1のデジタルファイル20は、細胞株(例えば、線維芽細胞株及び/又はケラチノサイト細胞系)から得られる遺伝子発現データ、またデジタルファイル36からのデータ、例えば、他の細胞株又は細胞型からの遺伝子発現データ、遺伝子発現シグネチャ、撹乱因子情報、臨床治験データ、科学文献、化学データベース、薬学データベース、並びに他のそのようなデータ及びメタデータを含んでもよい。デジタルファイル36は、Sigma−Aldrich LOPACコレクション、Broad Institute C−MAPコレクション、GEOコレクション、及びChemical Abstracts Service(CAS)データベースを含むが、これらに限定されないデータベースの形態で提供してもよい。
また、コンピュータ読み取り可能な媒体16(又は別のコンピュータ読み取り可能な媒体、例えば16)上には、読み取り、書き込み、ないしは別の方法でデジタルファイル20、30の管理、及び/若しくはデジタルファイル20、30へのアクセスのためのコンピュータ読み取り可能な命令又はソフトウェアを含む1つ以上のデジタルファイル28が格納されていてもよい。また、コンピュータ読み取り可能な媒体16は、計算装置12に本発明の方法の1つ以上の工程を実行させるソフトウェア又はコンピュータ読み取り可能及び/若しくは実行可能な命令も含んでよく、この工程には、例えば、限定するものではないが、デジタルファイル30に格納された遺伝子発現シグネチャをデジタルファイル20に格納されたインスタンス22、24、及び26と比較することに関連する工程(複数可)が含まれる。一部の実施形態では、1つ以上のデジタルファイル28は、デジタルファイル20、28を管理するためのデータベース管理システムの一部をなしてもよい。データベース管理システムの非限定的な例は、米国特許第4,967,341号及び同第5,297,279号に記載されている。
コンピュータ読み取り可能な媒体16は、計算装置12の一部をなしてもよく、ないしは別の方法で計算装置12に接続されていてもよい。計算装置12は、あらゆる汎用又は専用コンピュータ、例えばサーバー、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タワー型コンピュータ、マイクロコンピュータ、ミニコンピュータ、及びメインフレームコンピュータを含むが、これらに限定されない様々な形態で提供することができる。様々な計算装置が本発明との使用に好適となり得るが、汎用計算装置12を図4に示す。計算装置12は、プロセッサ40、システムメモリ42、及びシステムバス44から選択される1つ以上の構成要素を備えてもよい。システムバス44は、システムメモリ42及びプロセッサ40を含むがこれらに限定されない、システム構成要素のインターフェースを提供する。システムバス36は、何種類かのバス構造のいずれであってもよく、これは種々の市販のバスアーキテクチャのうちのいずれかを使用して、メモリバス(場合によりメモリコントローラを備える)、周辺バス、及びローカルバスと更に相互接続していてもよい。ローカルバスの例としては、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MSA)バス、拡張ISA(EISA)バス、周辺構成要素相互接続(PCI)バス、ユニバーサルシリアル(USB)バス、及び小型コンピュータシステムインターフェース(SCSI)バスが挙げられる。プロセッサ40は、あらゆる好適なプロセッサから選択可能であり、これにはデュアルマイクロプロセッサ及び他のマルチプロセッサアーキテクチャを含むが、これらに限定されない。プロセッサは、1つ以上のプログラムアプリケーション又はソフトウェアと関連付けられる1組の格納された命令を実行する。
システムメモリ42は、非揮発性メモリ46(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)等)、及び/又は揮発性メモリ48(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))を含んでもよい。基本入力/出力システム(BIOS)は、非揮発性メモリ38に格納してもよく、また計算装置12内の要素間で情報を伝達するのに役立つ基本ルーチンを含んでもよい。また、揮発性メモリ48は、データキャッシングのためのスタティックRAMなどの高速RAMを含んでもよい。
計算装置12は、ストレージ44を更に含んでもよく、これは例えば、ストレージ用の内蔵ハードディスクドライブ[HDD、例えば、拡張統合ドライブエレクトロニクス(EIDE)、又はシリアル・アドバンスド・テクノロジー・アタッチメント(SATA)]を含んでもよい。計算装置12は、(例えば、CD−ROM又はDVD−ROM 48を読み取るための)光ディスクドライブ46を更に含んでもよい。ドライブ及び関連するコンピュータ読み取り可能な媒体は、データの非揮発性ストレージ、本発明のデータ構造及びデータアーキテクチャ、コンピュータ実行可能な命令等を提供する。計算装置12において、装置及び媒体は、好適なデジタル形式で任意のデータのストレージを収容する。コンピュータ読み取り可能な媒体についての上記の説明は、HDD及び光学式媒体、例えばCD−ROM又はDVD−ROMに関するが、当業者は、コンピュータにより読み取り可能な他の種類の媒体、例えばジップディスク、磁気カセット、ラッシュメモリカード、カートリッジ等を使用してもよく、また更に、そのようないかなる媒体も本発明の方法を実施するためのコンピュータ実行可能な命令を含んでもよいことを理解すべきである。
本明細書に記載の機能及び/又は方法を全体的若しくは部分的に実行するオペレーティングシステム及び1つ以上のソフトウェアアプリケーションを含む複数のソフトウェアアプリケーションを、ドライブ44及び揮発性メモリ48上に格納してもよい。各実施形態が、様々な市販のオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせを用いて実行できることを理解すべきである。中央演算処理装置40は、揮発性メモリ48内のソフトウェアアプリケーションと共に、本明細書に記載の機能を実行するように構成又は適合された計算装置12の制御システムとしての機能を果たしてもよい。
ユーザは、1つ以上の有線若しくは無線入力装置50、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、例えばマウス(図示せず)、又はタッチスクリーンを介して計算装置12にコマンド及び情報を入力することができる。これら及び他の入力装置は、システムバス44に連結された入力装置インターフェース52を介して中央演算処理装置40に接続されることが多いが、他のインターフェース、例えばパラレルポート、IEEE 1394シリアルポート、ゲームポート、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、IRインターフェース等で接続してもよい。計算装置12は、別個又は内蔵の表示装置54を駆動してもよく、これはまた、ビデオポート56などのインターフェースを介してシステムバス44に接続してもよい。
計算装置12、14は、有線及び/又は無線ネットワーク通信インターフェース58を用いて、ネットワーク化された環境でネットワーク18を通して動作してもよい。ネットワークインターフェースポート58は、有線及び/又は無線通信を容易にすることができる。ネットワークインターフェースポートは、ネットワークインターフェースカード、ネットワークインターフェースコントローラ(NIC)、ネットワークアダプタ、又はLANアダプタの一部であってもよい。通信網18は、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)、又はローカルエリアネットワーク(LAN)であってもよい。通信網18は、光ファイバーネットワーク、ツイストペアネットワーク、Tl/Elラインベースネットワーク若しくはT−キャリア/Eキャリアプロトコルの他のリンク、又は無線ローカルエリア若しくは広域ネットワーク(ウルトラモバイルバンド(UMB)、ロングタームエボリューション(LTE)等の複数のプロトコルを介して作動する)を含んでよい。更に、通信網18は、トランシーバ、変調/復調のための関連電子装置、並びにパケット交換通信の場合などのバックホール通信用のバックボーンネットワークに接続するためのスイッチ及びポートを含む、無線通信用の基地局を含んでもよい。
II.複数のインスタンスを作成するための方法
一部の実施形態では、本発明の方法は、複数の遺伝子発現プロファイリング実験から得られたデータを含む複数のインスタンス(例えば、22、24、26)を少なくとも第1のデジタルファイル20に投入する工程を含んでもよく、これらの実験のうちの1つ以上は、例えば、ケラチノサイト細胞(又は他の皮膚細胞、例えばヒト皮膚等価物培養物若しくはエクスビボ培養したヒト皮膚)を少なくとも1つの撹乱因子に暴露することを含む。説明を簡単にするために、下記で説明する遺伝子発現プロファイリングは、マイクロアレイ実験の状況とする。
図5を参照すると、本発明の方法の一実施形態が図示されている。方法58は、ケラチノサイト細胞を撹乱因子64に暴露する工程を含む。撹乱因子は、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの担体に溶解してもよい。暴露後、撹乱因子に暴露された細胞、及び担体のみに暴露される参照細胞66(例えば、ケラチノサイト細胞)からmRNAを抽出する。mRNA 68、70、72をcDNA 64、76、78に逆転写して、二色マイクロアレイ解析を実施する場合は、異なる蛍光染料(例えば、赤色及び緑色)で標識してもよい。あるいは、単色マイクロアレイ解析用にサンプルを準備して、所望であれば更に複数の複製を処理してもよい。cDNAサンプルを、複数のプローブ82を含むマイクロアレイ80に同時にハイブリダイズさせてもよい。マイクロアレイは、多数のプローブ82を含んでもよい。一部の実施形態では、マイクロアレイ80上に10,000〜50,000個の遺伝子プローブ82が存在する。マイクロアレイをスキャナ84でスキャンし、これにより染料を励起し、蛍光量を測定する。計算装置86を使用して原画像を解析し、参照細胞66に対する、細胞60、62における遺伝子の発現レベルを決定する。スキャナ84は、計算装置86の機能を組み込んでもよい。発現レベルは、i)上方制御[例えば、試験材料(例えば、cDNA 74、76)のプローブへの結合が参照材料(例えば、cDNA 78)を上回る]、又はii)下方制御[例えば、参照材料(例えば、cDNA 78)のプローブへの結合が試験材料(例えば、cDNA 74、76)を上回る]、iii)発現されるが差次的ではない[例えば、参照材料(例えば、cDNA 78)のプローブへの結合が試験材料(例えば、cDNA 74、76)と類似する]、及びiv)検出可能なシグナル又はノイズが存在しない、を含む。上方及び下方制御された遺伝子は、差次的に発現したと表現される。マイクロアレイ及びマイクロアレイ解析法は当該技術分野において周知であり、他のマイクロアレイ法を本発明の方法、装置、及びシステムと共に使用してもよいことが意図される。例えば、任意の好適な商業用又は非商業用のマイクロアレイ技術及び関連技法を使用してもよい。Affymetrix GeneChip(登録商標)技術及びIllumina BeadChip(商標)技術で良好な結果が得られている。1つの例となる技法を、実施例の「一般に適用可能な」方法の項に記載する。しかしながら、当業者は、本発明が実施例の方法論に限定されず、他の方法及び技法も本発明の範囲に含まれると意図されることを理解するであろう。
極めて具体的な実施形態では、インスタンスは、Affymetrix HG−U133A2.0 GeneChip上のすべてのプローブセットの序列付けされたデータからなり、このときチップ上のそれぞれのプローブは、固有のプローブセット識別子を有する。プローブセットは、同じCマップバッチのコントロールに対する倍率変化によって序列付けされる(単一インスタンス/コントロールの平均)。プローブセット識別子は、最も上方制御されたものから最も下方制御されたものまでを反映するように序列付けされる。
注目すべきことに、非差次的に制御された遺伝子の場合にも、特定のプローブセットのシグナル値は、インスタンスとコントロールで同一である可能性は低く、包括的な序列付けに使用可能な、1とは異なる倍率変化が算出される。Lambらによって開示された方法(2006)によると、2つの閾値を用いてデータを補正して、偽の大きい倍率変化につながる可能性がある、極めて低ノイズのシグナル値を有し得る遺伝子の影響を最小限にする。この閾値化は、好ましくは、序列付けの前に実施する。説明のための例としては、第1の閾値が20に設定される過程が挙げられる。プローブセットのシグナルが20未満の場合、これは20に補正される。序列の同位は第2の閾値を用いて分割するが、このとき倍率変化が再び算出され、2未満のあらゆる値は2に設定される。残りのあらゆる同位については、順序は、使用する特定の並べ替えアルゴリズムに依存するが、本質的にはランダムである。リストの中央のプローブセットは、実際の関連性スコアに有意義には寄与していない。
序列付けされたデータは、インスタンスとして格納される。プローブは、検出された遺伝子発現制御のレベルによって並べ替えてリストにしてもよく、このリストは、上方制御から、わずかな制御又は制御なし、そして下方制御へと進み、このプローブIDの序列付きリストは、インスタンス(例えば、22)として第1のデジタルファイル20に格納される。図3を参照すると、インスタンスと関連付けられるデータは、プローブID 80と、そのリスト中の序列を表す値82(例えば、1、2、3、4...Nであり、Nは、マイクロアレイ上のプローブの総数を表す)とを含む。順序付きリスト84は、一般に、プローブIDのおよそ3つのグループである、上方制御された遺伝子に関連付けられるプローブIDの第1のグループ86、わずかな制御を含むか、又は検出可能なシグナル若しくはノイズを含まない遺伝子に関連付けられるプローブIDの第2のグループ88、及び下方制御された遺伝子に関連付けられるプローブIDの第3のグループ90を含んでもよい。最も上方制御された遺伝子は、リスト84の最上部又はその付近にあり、最も下方制御された遺伝子は、リスト84の最下部又はその付近にある。これらのグループは説明のために示すが、それぞれのインスタンスのリストは連続的であってもよく、制御された遺伝子の数は、そのインスタンスに関連付けられる撹乱因子の影響の強さに依存することになる。リスト84内の他の配列も提供することができる。例えば、下方制御された遺伝子に関連付けられるプローブIDをリスト84の最上部に配列してもよい。このインスタンスデータは、メタデータ、例えば撹乱因子ID、撹乱因子濃度、細胞株又はサンプル源、及びマイクロアレイIDを更に含んでもよい。
一部の実施形態では、1つ以上のインスタンスは、少なくとも約1,000個、2,500個、5,000個、10,000個、若しくは20,000個の識別子、及び/又は約30,000個、25,000個、若しくは20,000個未満の識別子を含む。一部の実施形態では、データベースは、少なくとも約50個、100個、250個、500個、若しくは1,000個のインスタンス、及び/又は約50,000個、20,000個、15,000個、10,000個、7,500個、5,000個、若しくは2,500個未満のインスタンスを含む。インスタンスの複製を作成してもよく、また同じ撹乱因子を使用して、ケラチノサイト細胞からの第1のインスタンスと、別の皮膚細胞型、例えば線維芽細胞、メラニン細胞、又は複合組織、例えばエクスビボヒト皮膚からの第2のインスタンスとを得てもよい。
本発明者らは、驚くべきことに、ケラチノサイト細胞から得たインスタンスが、フケ状態発現シグネチャと組み合わせて使用したときに、他の細胞型よりも予測的であるようだということを発見した。下記の実施例3でより詳しく説明するように、本発明者らは、BJ線維芽細胞及びケラチノサイト細胞から得たインスタンスをフケ遺伝子発現シグネチャと比較して、ケラチノサイト細胞から得たインスタンスは、線維芽細胞と比較して、最高序列の結果でより劇的に過剰表現される(序列が高いほど、撹乱因子がフケ状態に有益な影響を与える可能性が高い)ことを発見した。
III.フケ遺伝子発現シグネチャを得るための方法
本発明の一部の方法は、対象皮膚状態、特にフケに関連付けられる上方制御及び下方制御された遺伝子を表す遺伝子発現シグネチャを特定する工程を含む。フケの病因は通常、複雑な過程を含み、これには、多数の既知の及び未知の外因性及び内因性因子、並びに比較的短い期間にわたってはわずかであるが、長い期間にわたってはわずかではない、そのような因子に対する応答を伴う。これは、特定の標的、遺伝子、又は作用機序が興味の対象である、薬物開発及び薬物スクリーニングの方法で通常観察されるものとは対照的である。フケ状態に関連する独特のスクリーニングの困難により、対象状態を表す遺伝子発現シグネチャの質は、撹乱因子への応答に実際に関連付けられる遺伝子発現データと、バックグラウンド発現データとを区別するために重要となり得る。
フケ及びフケ関連皮膚疾患の遺伝子発現シグネチャの生成における1つの課題は、選択される遺伝子の数が、主要かつ重要なバイオロジーを反映するためには十分であるが、偶然により統計的有意性のレベルに達しており、情報価値がない多くの遺伝子を含むほど多くはない数である必要があるということである。したがって、問い合わせシグネチャは、予測値が遺伝子発現シグネチャの質に依存し得ることから、慎重に得るべきである。
問い合わせシグネチャの質に影響を与える可能性がある1つの因子は、シグネチャに含まれる遺伝子の数である。本発明者らは、美容上のデータアーキテクチャ及び関連性マップに関して、少なすぎる遺伝子は、最も高いスコアのインスタンスに関して不安定なシグネチャをもたらし得ることを発見した。言い換えると、遺伝子発現シグネチャへの小さい変更が、最も高いスコアのインスタンスに顕著な差異をもたらす可能性がある。反対に、多すぎる遺伝子は、主要な生物学的応答を部分的に隠す傾向がある可能性があり、より高い割合の偶然により統計的カットオフを満たす遺伝子を含み、それによりシグネチャに望ましくないノイズを付加することになる。本発明者らは、遺伝子発現シグネチャにおいて望ましい遺伝子の数が、状態に関連付けられる生物学的応答の強度と、統計的有意性のための最小値(例えば、p値約0.05未満)を満たすために必要な遺伝子の数との関数でもあることを発見した。したがって、理想的な遺伝子数とみなされる数は、状態ごとに異なることになる。典型的には美容状態の表現型に関する場合のように、バイオロジーが弱い場合、先行技術における統計的含有要件を満たし得る数よりも少ない遺伝子を用いて、ノイズの多い遺伝子の付加を回避することができる。
例えば、本発明者らは、皮膚状態の遺伝子発現プロファイリング解析が、0.05未満の統計的p値を有する約2,000〜4,000個の遺伝子と、0.001未満のp値を有するおよそ1000個の遺伝子とをもたらす場合、極めて強い生物学的応答が示唆されると判断した。中程度に強い生物学的応答は、0.05未満の統計的p値を有するおよそ800〜2000個の遺伝子と、0.001未満のp値を有するおよそ400〜600個の遺伝子をもたらし得る。これらの場合に、約100個〜約600個の遺伝子を含む遺伝子発現シグネチャが理想的と思われる。より弱いバイオロジーは、より少ない遺伝子、例えば約20〜100個の遺伝子を含む遺伝子発現シグネチャによって、より良好に表すことができる。
遺伝子発現シグネチャは、対象皮膚状態に関連付けられるすべての顕著に制御された遺伝子を表すことができ、これは通常、そのような遺伝子のサブセットを表す。本発明者らは、上方制御及び/又は下方制御された遺伝子のほぼ等しい数の約100個〜約400個の遺伝子を含むフケ関連遺伝子発現シグネチャが、安定かつ信頼性があり、予測的結果をもたらすことが可能であることを発見した。例えば、好適な遺伝子発現シグネチャは、約100〜150個の遺伝子、250〜300個の遺伝子、300〜350個の遺伝子、又は350〜400個の遺伝子を有してもよい。極めて具体的な実施形態において、健康でない皮膚の遺伝子発現シグネチャは、70個の最も上方及び下方制御された遺伝子を含む。しかしながら、当業者は、より少ない又はより多い遺伝子を含む遺伝子発現シグネチャも本発明の種々の実施形態の範囲に含まれることを理解するであろう。遺伝子発現シグネチャを表現する目的で、遺伝子に関連付けられるプローブセットIDは、好ましくは、図1A及び図1Bの表Bに示すように、最も上方制御された遺伝子を含む第1のリストと、最も下方制御された遺伝子を含む第2のリストとに分割する。
遺伝子発現シグネチャは、コントロールと比較して、対象皮膚状態を有する皮膚の全層皮膚生検から生成することができる。フケ遺伝子発現シグネチャの生成のために、フケ罹患頭皮から生検を採取し、非罹患被験者の解剖学的に同等の部位から採取した非フケ罹患頭皮の皮膚と比較する。本研究者らは、何らかのフケを患う被験者に関して、フケ病変が存在しない頭皮でさえ、摂動を受けた主題プロファイルを有するということを究明した。
本発明の他の実施形態では、遺伝子発現シグネチャをベンチマーク皮膚活性剤、特にフケ防止剤で治療されたケラチノサイト細胞の遺伝子発現プロファイリング解析から得て、そのベンチマーク皮膚剤で治療された皮膚組織状態の改善につながる細胞の摂動を表すことができ、このときシグネチャは、インビトロで細胞においてベンチマーク皮膚剤により上方制御及び下方制御された複数の遺伝子を含む。1つの実例として、撹乱因子が既知のフケ防止剤ZPTであるマイクロアレイ遺伝子発現プロファイルデータを本発明を用いて解析して、最も顕著に制御された遺伝子のサブセットを決定することができる。したがって、ZPTによるチャレンジに応答して強く上方制御された遺伝子及び強く下方制御された遺伝子のリストを得ることができ、その遺伝子のリスト(フケ状態の代理)を問い合わせシグネチャとして使用して、フケ防止剤をスクリーニングすることができる。別の実施形態では、シグネチャは、対象状態のうちの1つを上回る態様を表すように得ることができる。
一部の実施形態では、遺伝子発現シグネチャを生物過程グリッド又は遺伝子オントロジー上にマッピングして、生理学的主題パターンを得る。最も広範なパターンは、遺伝子が統計的にクラスター化されたすべての主題を含むであろう。より限局性のパターンは、最も強く制御された遺伝子が加えられた主題のサブセット、又は関連疾患に関して固有のサブセットを含み得、それによって差次的診断のための手段、又は極めて正確かつ標的化された効果を有する活性剤をスクリーニングするための手段を提供することができる。遺伝子オントロジー及び主題パターン解析から得られた遺伝子シグネチャが一般により少ない遺伝子を含むことになるのは明らかであろう。本研究者らが発見した脂質免疫/炎症主題に基づく例示の遺伝子シグネチャ、特にフケに関するものを、図1A及び図1Bの表Aに示す。
IV.複数のインスタンスを1つ以上のフケ遺伝子発現シグネチャと比較するための方法
図6及び図7を参照すると、1つ以上のフケ遺伝子シグネチャを用いて複数のインスタンスに問い合わせるための方法をここで説明する。概して、本方法は、1つ以上のフケ遺伝子シグネチャを用いて複数のインスタンスに問い合わせる工程と、統計的方法を適用して、シグネチャ遺伝子がインスタンス中の制御された遺伝子とどれほど強く一致するかを決定する工程を含む。正の関連は、インスタンス中の上方制御された遺伝子の中で、上方制御されたシグネチャリスト中の遺伝子が濃縮されている場合、及びインスタンス中の下方制御された遺伝子の中で、下方制御されたシグネチャリスト中の遺伝子が濃縮されている場合に存在する。一方、インスタンスの下方制御された遺伝子の中にシグネチャの上方制御された遺伝子が主に認められる場合、及びその逆の場合には、これは負の関連としてスコアされる。図6は、シグネチャ90と、プローブID 102を含むインスタンス104との正の関連の極端な例を概略的に図示しており、このときインスタンスのプローブIDは、最も上方制御されたものから最も下方制御されたものへと順序付けられる。この例では、上方リスト97及び下方リスト99を含む遺伝子シグネチャ90のプローブID 100(例えば、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8)は、インスタンス104の最も上方制御及び下方制御されたプローブID 102とそれぞれ一対一の正の対応を有する。同様に、図7は、シグネチャ94と、プローブID 90を含むインスタンス88との負の関連の極端な例を概略的に図示しており、このときインスタンスのプローブIDは、最も上方制御されたものから最も下方制御されたものへと順序付けられる。この例では、上方リスト93のプローブID(例えば、X1、X23、X4)は、インスタンス88の最も下方制御された遺伝子と正確に一致し、下方リスト95のプローブID(例えば、X5、X6、X7、X8)は、インスタンス88の最も上方制御されたプローブIDと正確に一致する。図8は、中間的関連の極端な例を概略的に図示しており、このとき正であれ負であれ、インスタンスの上方及び下方制御された遺伝子の中に、シグネチャの上方及び下方制御された遺伝子の一致する濃縮は存在しない。したがって、遺伝子シグネチャ108(上方リスト107及び下方リスト109を含む)のプローブID 106(例えば、X1、X23、X4、X5、X6、X7、X8)は、インスタンス112のプローブID 110との序列に関して散在し、このときインスタンスのプローブIDは、最も上方制御されたものから最も下方制御されたものへと順序付けられる。上記の実施形態は、遺伝子シグネチャが皮膚状態の最も顕著に上方及び下方制御された遺伝子を表す上方リスト及び下方リストの双方を含む場合の過程を図示しているが、対象状態に関連付けられる主要なバイオロジーが、主に1つの方向への遺伝子制御を示すときに、遺伝子シグネチャが上方リストのみ又は下方リストのみを含んでもよいことが意図される。
一部の実施形態では、関連性スコアは、上方スコアと下方スコアとの組み合わせであってもよく、上方スコアは、遺伝子シグネチャの上方制御された遺伝子とインスタンスの上方制御された遺伝子との間の相関を表し、下方スコアは、遺伝子シグネチャの下方制御された遺伝子とインスタンスの下方制御された遺伝子との間の相関を表す。上方スコア及び下方スコアは、+1〜−1の値を有してもよい。上方スコア(及び下方スコア)について、高い正の値は、インスタンスの対応する撹乱因子が、遺伝子シグネチャの上方制御された(又は下方制御された)遺伝子のマイクロアレイプローブの発現を誘発したことを示唆し、高い負の値は、インスタンスに関連付けられる対応する撹乱因子が、遺伝子シグネチャの上方制御された(又は下方制御された)遺伝子のマイクロアレイプローブの発現を抑制したことを示唆する。上方スコアは、上方制御された遺伝子を含む遺伝子シグネチャの上方リスト(例えば、表A、C、I、並びにリスト93、97、及び107)と順序付けされたインスタンスリスト(例えば、表E、F、G、H)とのそれぞれの識別子を比較することによって算出することができ、一方で下方スコアは、下方制御された遺伝子を含む遺伝子シグネチャの下方リスト(例えば、表B、D、J、並びに下方リスト95、99、及び109を参照)と順序付けされたインスタンスリスト(例えば、表E、F、G、H)とのそれぞれの識別子を比較することによって算出することができる。これらの実施形態では、遺伝子シグネチャは、上方リストと下方リストとの組み合わせを含む。
一部の実施形態では、関連性スコアの値は、+2(最大の正の関連)〜−2(最大の負の関連)の範囲であってよく、このとき関連性スコア(例えば、101、103、及び105)は、遺伝子シグネチャのそれぞれの識別子を順序付けされたインスタンスリストの識別子と比較することによって得られる、上方スコア(例えば、111、113、115)と下方スコア(例えば、117、119、121)との組み合わせである。他の実施形態では、関連の範囲は、+1〜−1であってよい。スコアの例は、図6、7、及び8に、参照番号101、103、105、111、113、115、117、119、及び121として図示する。上方スコア及び下方スコア、並びに/又は関連性スコアによって表されるシグネチャとインスタンスとの間の一致の強さは、当該技術分野において既知の1つ以上の手法によって得ることができ、これにはパラメトリック手法及び非パラメトリック手法が含まれるが、これらに限定されない。パラメトリック手法の例としては、ピアソンの相関(又はピアソンr)及びコサイン相関が挙げられる。非パラメトリック手法の例としては、スピアマンの順位(又は順序)相関、ケンドールのタウ相関、及びガンマ統計が挙げられる。一般に、すべてのプロファイルが同じマイクロアレイプラットフォーム上で生成されるという要件を排除するために、コルモゴルフ・スミルノフの統計(M.Hollanderら、「Nonparametric Statistical Methods」;Wiley,New York,ed.2,1999を参照)(例えば、178〜185頁を参照)に基づく非パラメトリックの序列に基づくパターンマッチング法を使用することができる。しかしながら、すべての発現プロファイルが単一の技術プラットフォームから得られる場合、従来の相関手段、例えばピアソンの相関係数を用いて、同様の結果を得ることができることに留意されたい。
具体的な実施形態では、本発明の方法及びシステムは、Lambのグループにより遺伝子プロファイリングデータ用に改良された、当該技術分野において遺伝子セット濃縮解析(GSEA)として一般に知られている、コルモゴルフ・スミルノフの統計に基づく非パラメトリックの序列に基づくパターンマッチング法を採用する(例えば、Lambら(2006)及びSubramanian,A.ら、(2005)Proc.Natl.Acad Sci U.S.A,102,15545〜15550を参照)。それぞれのインスタンスについて、下方スコアは、問い合わせとインスタンスとの下方制御された遺伝子間の一致を反映するように算出され、上方スコアは、問い合わせとインスタンスとの上方制御された遺伝子間の相関を反映するように算出される。特定の実施形態では、下方スコア及び上方スコアはそれぞれ、−1〜+1の範囲であってよい。この組み合わせは、問い合わせシグネチャとインスタンスとの間の全体的一致の強さを表す。
上方スコアと下方スコアとの組み合わせは、それぞれのインスタンスについての全体的関連性スコアを算出するために使用され、上方及び下方スコアの範囲が−1〜+1に設定される実施形態では、関連性スコアは−2〜+2の範囲であり、問い合わせシグネチャとインスタンスとの間の一致の強さを表す。全体的スコアの符号は、インスタンスがシグネチャに対して正に関連するか、負に関連するかによって決定される。正の関連は、インスタンスに関連付けられる撹乱因子が、シグネチャの上方リスト中の遺伝子を上方制御し、下方リスト中の遺伝子を下方制御する傾向にあるときに存在する。反対に、負の関連は、撹乱因子が、上方及び下方シグネチャ遺伝子発現変化を逆転させる傾向にあるときに存在する。関連性スコアの大きさは、上方及び下方スコアが異なる符号を有するとき、上方及び下方スコアの絶対値の和である。高い正の関連性スコアは、撹乱因子が、問い合わせシグネチャを生成するために使用した状態を誘発する傾向を有することになると予測し、高い負の関連性スコアは、撹乱因子が、問い合わせシグネチャに関連付けられる状態を逆転させるであろうことを予測する。ゼロのスコアは、上方及び下方スコアが同じ符号を有する場合に割り当てられ、これは撹乱因子が状態シグネチャに対して一貫した影響を有さなかった(例えば、上方及び下方リストの双方を上方制御する)ことを示唆する。
Lambら(2006)によると、観察される関連性の統計的有意性を評価するための基準は存在しない。Lambは、関連性を検出する能力は、多くの複製を有する化合物の場合により高くなり得ることを教示している。これに関して、複製するとは、同じ撹乱因子を複数回プロファイルすることを意味する。バッチごとの変動を避けなければならない場合、撹乱因子をそれぞれのバッチで複数回プロファイルするべきである。しかしながら、マイクロアレイ実験が強いバッチ影響を有する傾向がある場合、異なるバッチ(つまり、実験)でインスタンスを複製して、関連性スコアが有意義かつ再現可能であるという最高の信頼度を得ることが望ましい。
それぞれのインスタンスを問い合わせシグネチャに対するその関連性スコアによって序列付けし、データの可視化を可能にする任意の好適なソフトウェア及びコンピュータハードウェアを用いて、得られた序列付きリストをユーザに表示してもよい。
一部の実施形態では、本方法は、表示されたインスタンスの序列付きリストから、(i)対象インスタンスに関連付けられる1つ以上の撹乱因子(それによって、問い合わせシグネチャに記載される複数の遺伝子の活性化又は抑制を1つ以上の撹乱因子と相関させる);(ii)任意の対象インスタンスに関連付けられる差次的に発現された遺伝子(それによって、そのような遺伝子を、1つ以上の撹乱因子、対象皮膚組織状態、又はそれら双方と相関させる);(iii)任意の対象インスタンスに関連付けられる細胞(それによって、そのような細胞を差次的に発現された遺伝子、1つ以上の撹乱因子、及び対象皮膚組織状態のうちの1つ以上と相関させる);又は(iv)それらの組み合わせを特定する工程を含んでもよい。インスタンスに関連付けられる1つ以上の撹乱因子は、そのインスタンスのデータベースに格納されたメタデータから特定してもよい。しかしながら、当業者は、インスタンスの撹乱因子データが、他の手段に、又は他の手段で、検索可能なように格納してもよいことを理解するであろう。特定された撹乱因子が問い合わせシグネチャに記載された遺伝子の活性化又は抑制と統計的に相関するため、また問い合わせシグネチャが対象皮膚組織状態の代理であるため、特定された撹乱因子は、新しい化粧剤の候補、既知の化粧剤の新しい用途の候補、又は既知の用途の既知の薬剤を検証するための候補となり得る。
一部の実施形態では、本発明の方法は、インビトロアッセイ及び/又はインビボ試験を用いて、選択された化粧剤候補を試験して、その化粧剤の活性及び化粧剤としての有用性を検証する工程を更に含んでもよい。当該技術分野において既知の方法を含む、いかなる好適なインビトロ試験法を用いてもよく、最も好ましくは、本発明に従って開発されたインビトロモデルである。例えば、対象皮膚状態の生理学的主題パターンを構成する遺伝子の制御に関して対象皮膚状態を模倣するために選択された1つの撹乱因子又は撹乱因子の組み合わせで、MatTekヒト皮膚等価物培養物又は他の皮膚等価物培養物を処理してもよい。処理された皮膚培養物は、例えば、本発明に従ってIL17及びIL22で処理された場合、フケ状態を再現し、転写解析によって判定したときに、処置された皮膚培養物の恒常状態を健康な皮膚に向かって推移させる撹乱因子の能力について、撹乱因子をスクリーニングしてもよい。また、皮膚生検アッセイを用いて、フケ防止剤としての皮膚活性剤候補を評価することもできる。一部の実施形態では、インビトロアッセイを用いる選択された化粧剤の評価は、1つ以上新しい化粧剤候補が、対象皮膚状態を制御するために、既知の化粧剤(又は既知の化粧剤の組み合わせ)と共に使用可能であることを明らかにするか、確認するか、又はその双方が可能である。
V.皮膚疾患状態のインビトロモデルの開発のための方法
本研究者らは、皮膚疾患状態のインビトロモデルを得るため、及び病態のインビトロ又はインビボシミュレーションの十分性を評価するためのCマップの新規の用途を発見した。
新しい治療薬を特定する際の1つの大きな課題は、臨床有効性を予測するインビトロモデルの開発である。フケ状態の動物モデルが入手できないため、インビボでフケ病変皮膚の重要な特徴を再現できるように、内部病態に対する高忠実度を有するモデルの必要性がある。フケなどの皮膚状態の優れたインビトロモデルを開発する取り組みは、フケの発生を引き起こす事象があまり理解されていないという事実により困難である。フケ病変皮膚におけるトランスクリプトームプロファイリング研究は、多くの新しい手掛かりを与えたが、なかでも最も大きいものは、Th−17媒介炎症過程の証拠であった。そのような過程がインビボでどのようにして開始されるのかは十分に理解されないまま、本発明者らは、驚くべきことに、Th−17細胞によって産生される重要な炎症性サイトカインIL−17A及びIL−22を皮膚培養物に与えることによって、そのようなカスケードをインビトロで模擬することが可能であることを発見した。
したがって、フケ病変皮膚に類似する炎症環境を作成することが可能である。実際に、調査により、ヒト三次元器官型培養物の培養培地にヒト組換え型IL−22及びIL−17Aを与えてから4日以内に、過形成が生じ、分化マーカー発現(例えば、K1/K10、S100A7)が摂動を受け、IL−8の分泌が増加したことが明らかになった。これらすべてのエンドポイントはフケ病変皮膚の特徴であり、インビボでフケ防止活性を有するすべての物質は、新規のインビトロモデルでこれらの応答を遮断することができる。これらの物質としては、硫化セレン、ZPT、ケトコナゾール、プロピオン酸クロベタゾール、及び鉄キレート剤1,10−フェナントロリンが挙げられる。
本発明によるインビトロ疾患シミュレーションは、フケ病変皮膚に強く類似する遺伝子発現パターンを生成する。Affymetrix U133A Plus 2マイクロアレイを使用して、図21A及び図21Bに記載するように、個別及び組み合わせで様々な炎症性サイトカインに器官型ヒト皮膚培養物を暴露させることによって引き出される遺伝子発現プロファイルを評価した。遺伝子オントロジー主題の解析は、IL−17AとIL−22との組み合わせは、フケ病変皮膚の主題プロファイルと密接に類似する主題プロファイルを生成したが、他のサイトカインは、著しく異なる主題プロファイルを生成したことを示した。重要なことに、フケ病変皮膚(例えば、図1A及び図1Bに記載する「脂質免疫」及び「フケ」)から得られた遺伝子発現シグネチャを用いた関連性マッピングの実行は、このインビトロサイトカインシミュレーションが、〜5000個のインスタンスからなる内部データベース内のすべての中で最も強く正に関連する関連を生成することを示す。このことは、このシミュレーションが疾患状態に類似する遺伝子発現パターンを生成していることを強く裏付ける。
関連性マッピングは、他のインビトロ、又は更にはトランスジェニック動物(ノックアウト、ノックイン等)を含む動物におけるインビボ疾患モデルの十分性を評価するために使用することができる。本研究者らは、病態から遺伝子発現シグネチャを作成することによって、関連性マッピングを用いて、所定の疾患モデルが病態をどの程度密接に模倣しているかを問い合わせることができることを示した。病態を最も密接に近似するモデル状態を操作することによって、治療有効性の予測性が劇的に向上することが期待される。
VI.組成物及びパーソナルケア製品
一般に、フケ又はフケ関連皮膚状態の治療用に特定された皮膚活性剤は、当該技術分野において周知の化粧品組成物及び製剤パラメーターに従って適用することができる。治療、適用、制御、又は改善の様々な方法は、本発明の方法によって特定される皮膚活性剤を含むスキンケア組成物を利用してもよい。組成物は、毛髪及び頭皮に関する日常的衛生法の一部として適用してもよく、シャンプー、コンディショナー、ヘアスプレー、クリーム、軟膏等として製剤化されてもよい。組成物は、フケ、又は他の皮膚疾患に存在するフケの症状を治療するために頭皮に適用することができる。
米国特許第7,101,889号、同第5,624,666号、同第6,451,300号、同第6,974,569号、及び同第7,001,594号は、組成物、製剤、ビヒクル、投与、及びフケの治療のためにフケ防止剤が配合されたパーソナルケア製品に関する他の態様に関するガイダンスを含む米国特許の非限定的な例である。これらの特許の開示内容全体は、参照により本明細書に援用される。
本発明は、例示を目的として提示され、限定するものではない以下の実施例を参照することにより、更によく理解できるであろう。
一般に適用可能なCマップ方法論
インスタンスの生成
個々の実験(バッチと称する)は、概して、ビヒクルコントロール(例えば、DMSO)の6個の複製、使用する細胞型に強い再現可能効果を与える陽性コントロールの2個の複製サンプル、及び試験材料/撹乱因子のサンプルを含む、Affymetrix GeneChip(登録商標)技術プラットフォームを用いて解析される30〜96個のサンプルを含む。試験材料の複製は、バッチ影響のため、別のバッチで実施する。GeneChip(登録商標)解析に十分なRNA(2〜4μgの全RNA収量/ウェル)を提供するために、インビトロ試験を6ウェルプレートで実施した。
ヒトテロメル化ケラチノサイト(tKC)を、University of Texas,Southwestern Medical Center(Dallas,TX)から入手した。I型コラーゲンでコーティングした細胞培養フラスコ及びプレート(Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)上で、tKC細胞を、1X Human Keratinocyte Growth Supplement(Invitrogen,Carlsbad,CA)を含むEpiLife(登録商標)培地中で成長させた。化学物質暴露の24時間前に、ケラチノサイトを20,000細胞/cm2で6ウェルプレート中に播種した。通常の細胞培養フラスコ及びプレート(Corning,Lowell,MA)内で、ヒト皮膚線維芽細胞(BJ細胞株、ATCC,Manassas,VA)を、10%ウシ胎児血清(HyClone,Logan,UT)を補充したイーグル最小必須培地(ATCC)で成長させた。化学物質暴露の24時間前に、BJ線維芽細胞を12,000細胞/cm2で6ウェルプレート中に播種した。
すべての細胞を5% CO2を含む加湿したインキュベーター中、37℃でインキュベートした。t=−24時間で、T−75フラスコ及びプレートから細胞をトリプシン処理し、6ウェルプレート中の基本成長培地に蒔いた。t=0で、培地を取り除き、実験計画に従って適切な投与溶液と交換した。投与溶液は、前日に滅菌4mL Falconスナップキャップチューブ中で調製した。純粋試験材料は、濃度1〜200μMで調製してもよく、植物抽出物は、投与溶液の0.001〜1重量%の濃度で調製してもよい。化学物質暴露の6〜24時間後、細胞を観察し、画像化した。毒性の形態学的証拠を評価するために、細胞溶解及びRNA単離前に、ウェルを顕微鏡で観察した。形態学的変化が細胞毒性を示唆するのに十分であった場合に、低濃度の撹乱因子を試験した。次に、細胞をβ−メルカプトエタノール(Qiagen,Valencia,CA)入りの350uL/ウェルのRLT緩衝液で溶解し、96ウェルプレートに移し、−20℃で保存した。
Agencourt(登録商標)RNAdvance Tissue−Bind磁気ビーズ(Beckman Coulter)を用いて、製造業者の使用説明に従って、細胞培養バッチからのRNAをRLT緩衝液から単離した。Ambion Message Amp(商標)II Biotin Enhancedキット(Applied Biosystems Incorporated)を用いて、製造業者の使用説明に従って、1サンプル当たり1μgの全RNAを標識した。得られたビオチン標識され、断片化されたcRNAを、Affymetrix HG−U133A 2.0 GeneChip(登録商標)にハイブリダイズさせ、次いでこれを洗浄し、染色し、Affymetrixにより提供されるプロトコルを用いてスキャンした。
(実施例1)
フケ発現シグネチャの取得
20,000個を上回る遺伝子の転写産物に相補的な54,613個のプローブセットを含むAffymetrix HG−U133 Plus 2.0 GeneChipで、サンプルを解析した。しかしながら、使用した提供されるデータベース中のインスタンスは、Plus 2.0 GeneChip上に存在するものサブセットである、22,214個のプローブセットを含むAffymetrix HG−U133A 2.0 GeneChipを用いた遺伝子発現プロファイリング実験から得られた。したがって、臨床データから遺伝子発現シグネチャを生成する際には、HG−U133A 2.0遺伝子チップに含まれるものについてプローブセットをフィルターにかけた。
マイクロアレイデータの統計分析を行って、統計的に関連がある数の上方制御及び下方制御された遺伝子を含み得る、複数のフケ遺伝子発現シグネチャを得た。特定の実施形態では、フケ遺伝子発現シグネチャは、10〜400個の上方制御された遺伝子及び/又は10〜400個の下方制御された遺伝子を含む。より具体的な実施形態では、フケ遺伝子発現シグネチャは、70個の最も統計的に関連がある上方制御された遺伝子を単独で含むか、又は70個の最も統計的に関連がある下方制御された遺伝子と組み合わせて含む。制御は、非フケ被験者の正常なフケに罹患していない皮膚における遺伝子発現と比較して決定される。
a.統計的尺度によるフィルタリング。例えば、好適な統計的尺度は、t検定からのp値、ANOVA、相関関数、又は他のモデルに基づく解析であってよい。一例として、p値を統計的尺度として選択し、カットオフ値p=0.05を選択することができる。適切なコントロールと比較して、ある合理的な統計的有意性のカットオフを満たす遺伝子にシグネチャリストを限定することは、対象となる生物学的状態の特徴を示す遺伝子の選択を可能にするために重要である。これは、測定値周囲のノイズを考慮しない倍率変化値を使用するよりも好ましい。符号が付されて、遺伝子発現変化の方向性(つまり、上方又は下方制御)を提供し、また統計的有意性を提供することから、t統計量を用いてシグネチャ中のプローブセットを選択した。
b.プローブセットの並べ替え。すべてのプローブセットは、統計的尺度を用いて、上方制御されたセットと下方制御されたセットとに並べ替えられる。例えば、p値を計算するためにt検定を使用した場合、p値が常に正であることから、t統計量の値(正及び負)を用いてリストを並べ替える。並べ替えられたt統計量は、最も有意なp値を有するセットをリストの最上部及び最下部に、最も有意でないものを中央付近に配置する。
c.遺伝子発現シグネチャの作成。作成されたフィルタリング及び並べ替えされたリストを使用して、上部及び下部から好適な数のプローブセットを選択して、好ましくは上部から選択されたセットが下部から選択されたセットとほぼ同じ数を有する遺伝子発現シグネチャを作成する。例えば、作成される遺伝子発現シグネチャは、少なくとも約10個、50個、70個、100個、200個、又は300個、及び/又は約800個、600個、400個、又は約100個未満の、チップ上のプローブセットに対応する遺伝子を有してもよい。プローブセットの数は、遺伝子の数とほぼ一致するが、ほとんどの遺伝子は、1つを超えるプローブセットによって表される。本明細書で使用する「遺伝子の数」という表現が「プローブセットの数」という表現と概ね一致することは理解される。
フケの場合、1つの例示の遺伝子発現シグネチャは、表B、図1A、及び図1Bに示すように、フケ罹患皮膚サンプルをフケ非罹患皮膚サンプルと比較して得られた、70個の最も有意な上方制御されたプローブセットと、70個の最も有意な下方制御されたプローブセットとを含む。別の例示的な遺伝子発現シグネチャは、1つ以上の顕著な主題に関連付けられる遺伝子クラスターから得られる遺伝子が遺伝子発現シグネチャを構成する場合に、生理学的主題シグネチャから得られる。脂質免疫/炎症主題シグネチャを反映するフケ遺伝子発現シグネチャは、表A、図1A、及び図1Bに記載する。
(実施例2)
この実施例は、複雑なフケ状態をケラチノサイトに基づくモデル及びスクリーニング方法によって表すことができること、並びにケラチノサイトからの遺伝子発現プロファイル及びフケ遺伝子発現シグネチャを使用して、フケ用の化粧剤候補を確実にスクリーニングできることを説明している。本実施例は、潜在的な新しい皮膚活性剤を生成するためにCマップに問い合わせるのに有用な、またフケ防止有効性について皮膚活性剤をスクリーニングするのに有用な、生理学的主題シグネチャを決定するための遺伝子発現プロファイルの使用を更に説明している。
本発明の方法に従って、およそ3,700個の最も制御された遺伝子を構成するフケの広範な遺伝子発現プロファイルは、フケ罹患頭皮と非フケ頭皮の転写データを比較して決定した。遺伝子オントロジーに関して遺伝子発現データを解析することにより、生理学的主題プロファイルを決定する。本実施例は、フケの遺伝子オントロジーの解析が、他のフケ関連状態と比較して、高度に特異的な主題パターンを生じることを更に説明している。本発明の方法によると、非罹患皮膚の恒常状態特性を有する所望の状態の回復を示す、生理学的主題シグネチャを健康な皮膚のものに向かって推移させるように作用する薬剤を選択することによって、皮膚活性剤をフケの治療における潜在的有効性についてスクリーニングすることができる。本研究者らは、新しい活性剤を発見するためのそのようなアプローチが、有効かつ持続性の治療薬をもたらすと仮定している。
強い皮膚活性を有するフケ防止剤をスクリーニングするために、最も統計的に顕著なフケの主題プロファイル構成する2つの生理学的主題である、脂質代謝及び免疫/炎症応答を表す上方制御及び下方制御された遺伝子のサブセットを含むように、遺伝子発現シグネチャを選択した。しかしながら、過剰増殖を表す上方制御及び下方制御された遺伝子のサブセットも遺伝子シグネチャに使用されている可能性があることに留意されたい。
このシグネチャを使用して、フケ防止剤のケトコナゾール、クリンバゾール、プロピオン酸クロベタゾール、ZPT、及び硫化セレンを含む多数の異なる化学物質に暴露した線維芽細胞及びケラチノサイト細胞系からの遺伝子発現プロファイルを含むCマップデータベースに問い合わせた。それぞれの薬剤を数種の濃度で試験した。表Eに示すように、最も高い序列の結果には、強い皮膚活性を引き起こすことによって作用する、最も有効なフケ防止剤として知られているプロピオン酸クロベタゾールが含まれる。この結果は、この過程の有効性を立証している。更に、最も高い序列の結果には、抗真菌剤のケトコナゾール及びクリンバゾールも含まれ、これらが抗真菌効果の他に、皮膚効果を誘導することによって、フケの治療に有効であることを示唆している。更に、ZPT及び硫化セレンが遺伝子シグネチャに強く関連するインスタンスのリストに入っていないことは、これらのフケ防止特性が、この主題シグネチャに記載されていない他の活性に関連する可能性があることを示唆している。
表Eに記載の結果はまた、ケラチノサイト細胞系(表皮の代理)からの遺伝子発現プロファイルが、フケ用の化粧剤候補のスクリーニングに有用であるという結論を裏付けている。このように、最も高い序列の結果は、ケラチノサイト細胞系で見られる。
Figure 0005841234
上記を考慮して、複雑なフケ状態は、ケラチノサイトに基づくモデル及びスクリーニング方法によって表すことができるという結論が下された。更に、Cマップ、ケラチノサイトからの遺伝子発現プロファイル、及びフケ遺伝子発現シグネチャを使用して、フケ用の化粧剤候補を容易にスクリーニングできることが判断された。更に、そのようなスクリーニングをフケに関わる作用機序を知らないまま実施できることも判断された。
(実施例3)
本実施例は、本発明の一実施形態によるフケ状態のインビトロモデルの検証、及び皮膚活性剤出力候補を得るためにCマップ問い合わせを導く主題シグネチャの使用を説明している。
5種の炎症性皮膚疾患(座瘡、アトピー性皮膚炎、フケ、湿疹、及び乾癬)からの遺伝子発現データを、臨床ゲノム研究及び公表された研究から収集した。この未加工の発現データを使用して、炎症性皮膚疾患に関連付けられる最も差次的に制御された遺伝子の序列付きリストを生成した。このリストを使用して、提供されるデータベースに問い合わせるための遺伝子シグネチャを構築し、このシグネチャは、序列付きリストからの70個の上方制御された遺伝子と70個の下方制御された遺伝子とを含んだ。
得られた遺伝子シグネチャを使用して、広範囲の異なる炎症性皮膚疾患の臨床ゲノム研究からの遺伝子発現データ、公表された異種の炎症性皮膚疾患のインビトロゲノム研究、及びフケ炎症病理の内部インビトロモデル(ヒト器官型、MatTek、培養物)からのゲノムデータを含む、提供されるデータベースに問い合わせた。表Fに示すように、シグネチャは、臨床ゲノム研究と同様に内部モデルに強くマッピングし、これによって内部モデルが、インビボの炎症皮膚状態で認められるものに相当する遺伝子発現の変化を引き出すこと示唆している。したがって、内部モデルは、炎症カスケード、及び炎症性皮膚疾患に関連付けられる他の遺伝子発現変化の研究に有用であることが立証された。
Figure 0005841234
凡例:IL=インターロイキン;IFN=インターフェロン;RHE=組換えヒト表皮;BEAS−2b RV−13=ライノウイルス−13で処理したヒト気管支上皮細胞;hKC=ヒトケラチノサイト
(実施例4)
本実施例は、フケの病因を調査するため、及びベンチマークフケ防止活性剤の作用機序を判定するための転写プロファイリングの用途を説明している。
フケ(脂漏性皮膚炎)は、慢性の角質状態であり、その多くが未知である多数の変数及び機序を伴う。フケは、遺伝的要素と環境的要素(例えば、酵母刺激)とを有すると考えられている。ほとんどのフケ防止に関する研究は、宿主中心の特性(つまり、ヒトにおける応答の誘導又は軽減)よりもむしろ薬剤の抗真菌特性を対象としている。
フケ及び脂漏性皮膚炎は、乾癬及びアトピー性皮膚炎に共通する何らかの臨床的特徴を共有する、よく見られる慢性再発性頭皮疾患である。脂漏性皮膚炎は、頭皮以外に皮脂の多い部分に発症する可能性があるが、これらの頭皮の状態をまとめて「フケ」と日常的に呼んでいる。乾癬及びアトピー性皮膚炎と同様に、フケの病因は複雑であり、頭皮と皮膚細菌叢と皮膚免疫系との間の相互作用の結果と思われる。フケの重要な臨床的特徴としては、剥離及び痒みが挙げられるが、これらの症状を引き起こす正確な根底にある事象の理解は限定されている。
しかしながら、抗真菌薬での治療によるマラセジア酵母の除去に関する研究、コルチコステロイド及びコールタールでの治療に関わる研究、並びに角質層(SC)超微細構造及びSC脂質組成に関わる調査から手掛かりが得られている。これらすべての証拠は、フケ状態で顕著な過剰な鱗屑につながる、表皮のホメオスタシスの明らかな混乱が存在することを裏付けている。例えば、フケ状態からのSCサンプルにおける錯角化症の存在は、過剰増殖がフケ病変の特徴であり、関連するそう痒症(痒み)が、炎症及び肥満細胞脱顆粒の結果である可能性があることを示唆している。
一般に、疾患状態の遺伝子発現プロファイルを非疾患状態の遺伝子発現プロファイルと比較して、遺伝子発現プロファイルと称される、その状態で差次的に制御された遺伝子を決定する。このプロファイルを解析して、その状態で明白な重要な生理学的混乱を決定する。一旦その状態についての生理学的主題プロファイルが得られると、関連する生理学的主題に対する強い関連性で、撹乱因子についてCマップに問い合わせることができる。目標は、皮膚培養物に単独又は組み合わせて適用したときに、疾患状態の主題シグネチャを実質的に模倣する主題シグネチャを有する皮膚培養物で応答を生じさせる、1つ以上の撹乱因子の組を特定することである。皮膚培養物は、次に、主題シグネチャに対して強い負の関連を有する薬剤をスクリーニングするために使用することができる。本発明者らは、図9に示す広範なパターンで、フケ状態の生理学的主題シグネチャを決定した。遺伝子オントロジー解析により、また上記の実施例3に従って、逆の関係で脂質代謝及び免疫/炎症の主題を含む、高度に関連するフケの主題シグネチャを得た。つまり、フケ状態では、主題シグネチャは、脂質代謝の減少を炎症の増加と共に含む。以下の実施例では、本発明の態様による遺伝子発現シグネチャを使用して、ベンチマークフケ防止剤であるZPTに対する皮膚の応答を調査する。
方法
2つの別個の研究を実施した。
1)18〜75歳の健康な男性被験者31名を、公表されている剥離スコアリング手順である接着式頭皮剥離スコア(ASFS)で定義されているように、「非フケ」の16名と「フケ」の15名との2つの群に分割した。1つは現在剥離中の部位「発症」で、もう1つは非剥離部位「非発症」で、2つの全層4ミリメートルパンチ生検をフケ被験者から採取した。非罹患者からは、解剖学的に一致する部位で単一の生検を採取した。
2)二重盲検治療試験において、健康な男性被験者45名(ASFS基準で定義されるフケ30名及び非フケ15名、18〜50歳)が登録され、臨床施設において週3回3週間、1% ZPTを含む市販のフケ防止シャンプー(フケ被験者15名)又はZPTを含まない同じ配合物(フケ被験者15名及び非フケ被験者15名)のいずれかで洗髪した。ベースライン時及び試験終了時に、3群すべてから全層2mm生検を採取した。生検から全RNAを抽出し、Affymetrix GeneChip(登録商標)解析のために標識した。合成された標的cRNAを、Affymetrix HG U133Aマイクロアレイにハイブリダイズさせた。統計的に分析したデータを有意性でフィルタリングして(p<.05、フケ対非フケ;ZPT治療対ビヒクル治療)、標準的バイオインフォマティクスアプローチで、発現レベルの増加又は減少を示す遺伝子を特定した。
試験1の方法及び結果:
図10は、すべての個人について、フケ対非フケで観察された差次的遺伝子発現を示している。
全層頭皮生検から抽出したRNAを用いて、ゲノム規模の転写プロファイルを評価した。(抽出したmRNAからの)標的cDNAを、Affymetrix U133 Plus 2マイクロアレイ(54,613個のプローブ)にハイブリダイズさせた。健康(緑色)及びフケ(赤色)サンプル間で発現に顕著に差異が生じた遺伝子(3757個)の正規化発現値(z−スコア)のヒートマップを生成した。
所定の遺伝子のAffymetrixプローブセットのうちの少なくとも1つは、t検定のp値が0.05未満であった。最小シグナル値p値を有するプローブセットをヒートマップに使用した。図10のヒートマップを参照すると、列側のバーはサンプル群を示し、行側のバーは遺伝子オントロジーにおける生物過程を示す。生物過程主題の配色は、緑色が脂質代謝、赤色が免疫応答、オレンジ色が刺激に対する応答、青色が表皮発生、シアンが細胞増殖、マゼンタがアポトーシス、黄色がその他である。この配色は、本明細書の図面に示されるすべてのヒートマップに適用される。
上記と同じ3,757個の遺伝子の群平均は、図11に示すヒートマップに反映される。このヒートマップは、各サンプル群中でフケ頭皮と健康な頭皮との間で発現に著しく差異が生じた遺伝子の平均正規化発現値を示す。列側のバーはサンプル群を示し、行側のバーは遺伝子オントロジーにおける生物過程を示す。本研究者らは、フケ非発症(DUI)及び非発症(ND)はクラスター化しているが、補体、ストレスに対する応答、病原体、細胞シグナル伝達等に関与するものを含む免疫応答に関与する多くの遺伝子が、フケ非発症皮膚(フケに罹患した皮膚が採取された同じ被験者に属する、見たところ非罹患の頭皮から採取した皮膚)において増加していることに注目している。生理学的主題プロファイルの広範なパターンを図9に示す。
すべての個人について、より特異的な脂質代謝/免疫&炎症主題シグネチャに関する差次的遺伝子発現を示すヒートマップを図12に示す。列は被験者の説明であり、非フケを左側にフケを右側に集める。行は、免疫/炎症クラスター及び脂質代謝クラスターを表す。フケ罹患、フケ非発症、及び非フケの被験者の状態を含むデータの群平均を図13に示す。
皮膚バリア脂質生成に関与する遺伝子の差次的発現を示すヒートマップを、図14(脂肪酸合成経路)、図15(コレステロール合成経路)、及び図16(スフィンゴ脂質合成経路)に示す。これは、これらの経路の既知の角質層バイオマーカーとの比較を可能にする。図17A及び図17Bに図示するように、バイオマーカーデータは、フケ状態におけるバリア脂質及び炎症の関与に関して、トランスクリプトミクス所見を裏付ける。
試験2の方法及び結果:
ZPTのトランスクリプトミクス試験計画を図18に記載する。注目すべきことに、この試験は、頭皮の遺伝子発現に対するZPTの効果の二重盲検ビヒクル対照評価である。臨床施設において試験担当者が被験者の毛髪/頭皮を週3回3週間洗浄した。ベースライン時及び試験終了時に全層2mmパンチ生検を採取した。剥離スコア、表皮厚、痒み、及びヒスタミンを確実に低下させ、また角質層(SC)バイオマーカープロファイルを実質的に回復することが知られている条件下で、製品暴露を行った。
差次的遺伝子発現に対するZPT治療の効果は、群平均について図19として示す。単なる目視検査で明らかにわかるように、3週目のフケ状態のZPT治療は、非フケ状態に向かう発現推移をもたらした。〜3700個の顕著に変更された遺伝子の階層的クラスター化は、重要な症状を実質的に解消することが知られている条件下で、ZPTが健康な頭皮に類似する広範なプロファイルをもたらす劇的な変化を引き起こしたことを示している。
図20は、遺伝子発現シグネチャがフケ状態の脂質/炎症主題モデルから得られた場合にも同じ結果が認められることを示している。脂質代謝クラスター及び免疫/炎症クラスターの双方について、健康な頭皮状態に向かう劇的な推移が、ヒートマップの検査により示唆される。
本研究者らは、フケのトランスクリプトームプロファイリングによって、複数の生理学的過程の劇的な変化、特に注目すべきことに、脂質代謝と炎症との間に逆の主題関係を発見した。注目すべきことに、試験により、免疫機能/炎症に関与する遺伝子が、フケ非発症皮膚及び正常頭皮と比較して、上方制御カテゴリーで統計的に過剰表現されたことも示され、炎症に関連する素因の存在を示唆している。フケプロファイルで確認された遺伝子発現変化は、表現型レベル(タンパク質及びSC脂質)で実質的に不変であった。ZPT含有シャンプーによる治療は、健康な頭皮に類似するトランスクリプトームプロファイルを回復することができたが、この活性剤を含まないコントロールでは回復しなかった(階層的クラスター化解析に示すとおり)。
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
相互参照されるか又は関連するすべての特許又は特許出願を含む、本願に引用されるすべての文書を、特に除外又は限定することを明言しないかぎりにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求されるすべての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他のすべての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、ある用語の任意の意味又は定義の範囲が、援用文献中の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に与えられる意味又は定義が優先するものとする。
以上、本発明の特定の実施形態を例示及び説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変を実施できることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲に含まれるそのような変更及び改変はすべて、添付の「特許請求の範囲」において網羅されるものとする。

Claims (12)

  1. フケに関連付けられる撹乱因子と遺伝子との間の関連性の特定に使用するためのデータアーキテクチャを構築し実行するための方法であって、
    (a)コントロールヒト表皮ケラチノサイト細胞の遺伝子発現プロファイルを提供する工程と、
    (b)少なくとも1つの撹乱因子に暴露されたヒト表皮ケラチノサイト細胞の遺伝子発現プロファイルを生成する工程と、
    (c)(a)及び(b)の前記遺伝子発現プロファイルを比較することにより、前記少なくとも1つの撹乱因子に応答して差次的に発現された遺伝子を特定する工程と、
    (d)前記差次的に発現された遺伝子を表す識別子であって、前記遺伝子の前記差次的発現に従って順序付けられた、識別子を含む順序付きリストを作成する工程と、
    (e)前記順序付きリストをケラチノサイトインスタンスとして、少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な媒体上に格納する工程と、
    (f)(a)〜(e)を繰り返して、格納したケラチノサイトインスタンスのデータアーキテクチャを構築する工程であって、工程()の前記少なくとも1つの撹乱因子が、各ケラチノサイトインスタンスで定性的又は定量的に異なる、格納したケラチノサイトインスタンスのデータアーキテクチャを構築する工程と、
    (g)フケの治療に有効な皮膚活性剤を特定するために有用な関連性を生成するために、データアーキテクチャを実行する工程であって、前記工程は、フケ遺伝子発現シグネチャを用いて前記データアーキテクチャを問い合わせる工程を含み、該問い合わせる工程が、前記フケ遺伝子発現シグネチャをそれぞれの格納されたケラチノサイトインスタンスと比較することを含み、前記フケ発現シグネチャが、状態と関連して差次的に発現される遺伝子を表す、データアーキテクチャを実行する工程と
    を含む方法。
  2. プログラム可能なコンピュータを使用して、工程(c)、(d)、(e)、(f)および(g)のうちの1つ以上を実行することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記生成工程が、処理された細胞から生体サンプルを抽出し、前記生体サンプルをマイクロアレイ解析に供することによって実行されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記マイクロアレイが、網羅的マイクロアレイ又は特異的マイクロアレイであり、
    前記特異的マイクロアレイが、細胞表現型の遺伝子発現シグネチャに対応する遺伝子にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含む、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 少なくとも1つの撹乱因子が、抗真菌剤であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 抗真菌剤が、ジンクピリチオン(ZPT)、硫化セレン、又はそれら双方を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記フケ発現シグネチャが、
    (i)コントロールと比較して、フケ状態で上方制御された発現を有する遺伝子を特定する工程と、
    (ii)コントロールと比較して、前記フケ状態で下方制御された発現を有する遺伝子を特定する工程と、
    (iii)(i)及び(ii)で特定された複数の遺伝子に対応する識別子を含む前記フケ遺伝子発現シグネチャに関連付けられる1つ以上の遺伝子発現シグネチャリストを作成する工程と、
    前記1つ以上の遺伝子発現シグネチャリストを前記少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な媒体上に格納する工程と、
    を含む方法によって構築される、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 生体サンプルが、前記フケ状態を呈するヒト被験者から採取された少なくとも1つの皮膚サンプルから抽出され、
    前記少なくとも1つの皮膚サンプルの遺伝子発現プロファイルが、前記工程(i)及び(ii)のうちの少なくとも1つより前に生成される、
    ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 前記皮膚サンプルが、前記ヒト被験者の頭皮の表皮層に由来する細胞を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記比較が、複数のインスタンスそれぞれに関連性スコアを割り当てることを更に含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 皮膚科学的に許容可能な担体と少なくとも1つの撹乱因子とを含むフケ防止組成物を製剤化する工程を更に含み、
    前記少なくとも1つの撹乱因子に関連付けられる前記インスタンスの前記関連性スコアが、負相関を有する、
    ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. ヒト表皮ケラチノサイト細胞を含むサンプルを受容するためのマイクロアレイスキャナを提供する工程と、
    遺伝子発現データを、前記スキャナから前記少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な媒体を含む第2のプログラム可能なコンピュータに送信するための第1のプログラム可能なコンピュータを構成する工程を更に含む、
    ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
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