JP5830661B2 - 作物育成システム - Google Patents

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Description

本発明は、作物(植物)の育成を制御する作物育成システムに関する。
従来から作物に対して人工光源からの光を照射することで、作物の育成を制御する方法が知られている。例えば、植物に対して遠赤色光と赤色光との混合光を、植物の光周期における明期の開始期近傍及び終了期近傍のいずれか一方又は両方に照射することで、植物に短日処理を施す方法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、ナス科植物(特に、トマト)に対して遠赤色光及び赤色光の少なくとも一方を日没後1〜3時間照射することで、果実の糖度を高める方法がある(例えば、特許文献2参照)。
特開2009−136155号公報 特開2007−282544号公報
しかしながら、上記特許文献1に示される方法は、主に植物の開花時期を早めるものであって必ずしも植物の成長を促進するものではないので、植物の商品価値を決める茎丈を伸長させる目的には適していない可能性がある。また、茎丈を効率的に伸長させるには植物の花芽分化を抑制する必要があるが、この方法は花芽分化については何ら言及していない。
また、上記特許文献2に示される方法は、果実糖度を高めるものであって必ずしも作物の成長を促進するものではなく、しかもナス科植物に限定された方法であるので他の作物に応用できない可能性がある。また、この方法も、作物の花芽分化については何ら言及していない。
本発明は、上記課題を解決するものであって、人工光源からの光照射によって日長を制御することで効率良く作物の成長を促進すると共に作物の花芽分化を抑制し、作物の生産性及び品質を向上させることができる作物育成システムを提供することを目的とする。
本発明の作物育成システムは、作物に対して波長域685〜780nmにピーク波長を有する遠赤色光を照射する第1の光源と、作物に対して波長域610〜680nmにピーク波長を有する赤色光を照射する第2の光源と、前記第1の光源及び第2の光源の照射動作を制御する制御部と、前記制御部に対して前記第1の光源及び第2の光源を照射動作させる時間帯を設定する時間設定部と、を備え、前記時間設定部は、前記第1の光源が前記第2の光源の照射動作時間帯よりも前の時間帯から照射動作し、前記第2の光源が日没後の時間帯において前記第1の光源の照射動作の終了に対して連続的に照射動作するように設定されていることを特徴とする。
前記時間設定部は、前記第1の光源が日没前の時間帯から照射動作するように設定されていることが好ましい。
前記時間設定部は、前記第1の光源が日没から日出の3時間前までの時間帯の一部で照射動作するように設定されていることが好ましい。
前記第1の光源及び第2の光源は、1種類の光源から照射される光の波長を制御することで実現されることが好ましい。
前記第2の光源は、放射照度が0.02W/m以上で、積算放射照度が0.2kJ/m以上となるように赤色光を照射することが好ましい。
本発明によれば、遠赤色光と赤色光とが順次作物に対して照射されるので、効率良く作物の成長を促進すると共に作物の花芽分化を抑制して、作物の生産性及び品質を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る作物育成システムの構成を示す図。 上記システムで用いられる第1の光源及び第2の光源から照射される光の分光特性を示す図。 上記第1の光源及び第2の光源の作物に対する配置を示す側面図。 上記第1の光源及び第2の光源の作物に対する配置を示す平面図。 上記第1の光源及び第2の光源が一つの筐体内に収容された照射装置の斜視図。 実施例1による第1の光源及び第2の光源の光照射パターンを示す図。 比較例1による光照射パターンを示す図。 比較例2による光照射パターンを示す図。 比較例3による光照射パターンを示す図。 比較例4による光照射パターンを示す図。 比較例5による光照射パターンを示す図。 比較例6による光照射パターンを示す図。 比較例7による光照射パターンを示す図。 上記作物の平均成長促進差と第1の光源の光照射開始時刻との関係を示す図。 実施例2による光照射パターンを示す図。 比較例8による光照射パターンを示す図。 比較例9による光照射パターンを示す図。 比較例10による光照射パターンを示す図。
本発明の実施形態に係る作物育成システムについて図1乃至図6を参照して説明する。本システムは、完全閉鎖型の植物苗生産システム、農業用のビニルハウス若しくはガラスハウス等の施設栽培、又は露地栽培等において、作物(特に花き)の成長を促進するものである。
図1に示すように、作物育成システム1は、遠赤色光を発する第1の光源2と、赤色光を発する第2の光源3と、これら光源2、3の照射動作を制御する制御部4と、制御部4に対して光源2、3を照射動作させる時間帯を設定する時間設定部5と、を備える。第1の光源2と第2の光源3、及び時間設定部5は、それぞれ配電線6により制御部4と電気的に接続されている。第1の光源2及び第2の光源3は、筐体(後述する図5参照)に収容されて畝Fに植えられた作物Pの上方に配置され、作物Pに対して光を照射する。筐体は、熱伝導率が高くて放熱性に優れると共に高い光反射性を有する材料、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属やポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂より構成される。
第1の光源2は、波長域685〜780nmにピーク波長を有する遠赤色光を照射する。第1の光源2は、上記波長域の遠赤色光を含む光を発する発光体21と、発光体21の発光面を覆うように取り付けられ発光体21から発せられた光のうち上記波長域の遠赤色光を優先的に透過させる遠赤色フィルタ22と、を有する。発光体21は、例えば、直接に遠赤色光を発する遠赤色LEDや遠赤色蛍光灯や遠赤色EL素子、又は遠赤色光を含む光を発する白熱灯やHIDランプ(高圧ナトリウムランプ、キセノンランプ等)より構成される。遠赤色フィルタ22は、例えば、カラー樹脂、カラーガラス又は光学多層膜処理を施した光学フィルタより構成される。第1の光源2は、放射照度が0.02W/m以上で、積算放射照度が0.2kJ/m以上となるように遠赤色光を照射することが好ましい。放射照度は、Leica製ライトメータLi-250及びセンサLi-200SAを用いて測定される。なお、発光体21が主として上記波長域の遠赤色光を照射する場合には、第1の光源2は、必ずしも遠赤色フィルタ22を有する必要はなく、発光体21のみから構成されてもよい。
第2の光源3は、波長域610〜680nmにピーク波長を有する赤色光を照射する。第2の光源3は、上記波長域の赤色光を含む光を発する発光体31と、発光体31の発光面を覆うように取り付けられ発光体31から発せられた光のうち上記波長域の赤色光を優先的に透過させる赤色フィルタ32と、を有する。発光体31は、例えば、直接に赤色光を発する赤色LEDや赤色蛍光灯や赤色EL素子、又は赤色光を含む光を発する白熱灯やHIDランプより構成される。赤色フィルタ32は、例えば、カラー樹脂、カラーガラス又は光学多層膜処理を施した光学フィルタより構成される。第2の光源3は、放射照度が0.02W/m以上で、積算放射照度が0.2kJ/m以上となるように赤色光を照射する。なお、発光体31が主として赤色光を発する場合には、第2の光源3は、必ずしも赤色フィルタ32を有する必要はなく、発光体31のみから構成されてもよい。
制御部4は、マイコン、リレー及びスイッチ等から構成され、第1の光源2から照射される遠赤色光の出力や第2の光源3から照射される赤色光の出力を調節する調光装置を有する。調光装置は、例えば、ライトコントローラより構成され、これら光源2、3から照射される光の放射照度を電気的に制御する。
時間設定部5は、タイマやマイコン等より構成され、ユーザによって予め設定された時間に第1の光源2と第2の光源3とを照射動作させる。時間設定部5は、第1の光源2が第2の光源3の照射動作時間帯よりも前の時間帯である日没前から照射動作し、第2の光源3が日没後の時間帯であって第1の光源2の照射動作時間帯よりも後に照射動作するように設定されている。また、時間設定部5は、第1の光源2が照射動作を終了すると共に、第2の光源3が照射動作を開始するように設定されている。すなわち、第1の光源2からの遠赤色光と第2の光源3からの赤色光とが、連続的に作物Pに対して照射される。なお、時間設定部5は、太陽光(自然光)の強度を感知する光センサを有し、この光センサにより作物P周囲の明るさを感知することで光源2、3を照射動作させるタイミングを決定してもよい。また、時間設定部5は、1年の日出時刻及び日没時刻が予め記憶されたソーラタイムスイッチを有し、このソーラタイムスイッチに記憶された日没時刻を基準として光源2、3を照射動作させるタイミングを決定してもよい。更に、時間設定部5は、制御部4と一体に構成されてもよい。
図2は、第1の光源2から照射される遠赤色光及び第2の光源3から照射される赤色光の分光特性を示す。実線は蛍光灯より構成された発光体21と遠赤色フィルタ22とから成る第1の光源2から照射される遠赤色光の分光特性を示し、この遠赤色光は略740nmにピーク波長を有する。一点鎖線は遠赤色LEDより構成された発光体21から成る第1の光源2から照射される遠赤色光の分光特性を示し、この遠赤色光は略735nmにピーク波長を有する。一方、破線は蛍光灯より構成された発光体31と赤色フィルタ32とから成る第2の光源3から照射される赤色光の分光特性を示し、この赤色光は略660nmにピーク波長を有する。二点鎖線は赤色LEDより構成された発光体31から成る第2の光源3から照射される赤色光の分光特性を示し、この赤色光は略630nmにピーク波長を有する。
第1の光源2及び第2の光源3は、通常、作物Pの上方に配置される。しかしながら、作物Pの背が高い場合や枝葉が多い場合には、上方に配置された光源2、3だけでは作物Pの下方や内部にまで十分量の光を照射することができない可能性がある。そこで、図3に示すように、作物P上方の上部第1の光源2a及び上部第2の光源3a(以下、上部光源2a、3aという)に加え、作物Pの側方及び下方にも第1の光源2及び第2の光源3が配置される。作物Pの側方には側部第1の光源2b及び側部第2の光源3b(以下、側部光源2b、3bという)が配置され、作物Pの下方には下部第1の光源2c及び下部第2の光源3c(以下、下部光源2c、3cという)が配置される。これにより、作物Pの背が高くて枝葉が多い場合であっても、第1の光源2及び第2の光源3からの光を作物P全体に十分量照射することができる。ここで、側部光源2b、3b及び下部光源2c、3cは、任意の角度で作物Pに対して光を照射することができるように取り付け角度が調節可能に配設される。なお、側部光源2b、3b及び下部光源2c、3cの配置及び数は、図例のものに限定されない。
図4は、上方から見たときの作物Pに対する上部光源2a、3a、側部光源2b、3b及び下部光源2c、3cの配置を示す。なお、図例では、第1の光源2及び第2の光源3は、図を簡単にするために一つの部材として表記されている。上部光源2a、3a、側部光源2b、3b及び下部光源2c、3cは、それぞれ作物Pの周囲に均等に配置される。上部光源2a、3aは、畝Fが伸びる方向(作物Pが連なる方向)と略平行に、作物Pの上方へ互いに一定間隔を置いて複数配置される。側部光源2b、3bは、シリンダ等で覆われることにより防水加工が施され、畝Fが伸びる方向と略平行に、畝Fの間の領域で作物Pの側方に互いに一定間隔を置いて複数配置される。下部光源2c、3cは、シリンダ等で覆われることにより防水加工が施され、畝Fが伸びる方向と略平行に、畝Fの間の地面上に互いに一定間隔を置いて複数配置される。このような配置にすることで、各光源2、3の光照射範囲に対して作物Pが広い範囲に亘って連なっている場合であっても、作物Pに対して十分量の光を照射することができる。なお、上部光源2a、3a、側部光源2b、3b及び下部光源2c、3cの配置及び数は、図例のものに限定されない。また、側部光源2b、3b及び下部光源2c、3cは、ホローライトガイド方式の照明器具、光ファイバ、又は細長い形状に成形されたEL器具等の連続光源より構成されてもよい。
上部光源2a、3a、側部光源2b、3b及び下部光源2c、3cの配光及び光量は、作物Pの生育に応じて調節される。例えば、作物Pが初期の生育ステージにあってまだ小さい場合、作物Pから離れた上部光源2a、3aは消灯され、作物Pに近い側部光源2b、3b及び下部光源2c、3cは点灯される。このとき、側部光源2b、3b及び下部光源2c、3cは、それらの取り付け角度等を調整することで配光が狭く設定され、作物Pに対して集中的に光を照射できるように調節される。また、初期の生育ステージにある作物Pは枝葉がまだ十分に発達していないので、作物Pに対して照射される光は光量が低くても作物P全体に行き渡り得る。そのため、側部光源2b、3b及び下部光源2c、3cは、それぞれ照射する光の光量を下げてもよい。
一方、作物Pが大きく成長した場合には、上部光源2a、3a、側部光源2b、3b及び下部光源2c、3cのすべてが点灯される。このとき、側部光源2b、3b及び下部光源2c、3cは、それらの取り付け角度等を調整することで配光が広く設定され、作物Pの広い範囲に対して光を照射できるように調節される。また、大きく成長した作物Pは背が高くなり、しかも多くの枝葉を持ち得るため、作物Pに対して照射される光は高い光量でなければ作物Pの隅々まで行き渡らない。そのため、上部光源2a、3a、側部光源2b、3b及び下部光源2c、3cは、それぞれ照射する光の光量を増加させることが好ましい。
第1の光源2及び第2の光源3は、本実施形態においては個別に筐体に収容されているが、図5に示すように、それぞれ複数ずつ筐体7にまとめて収容されてもよい。このとき、第1の光源2及び第2の光源3は、それぞれ作物Pに対して均一に光を照射することができるように筐体7内において交互に配置される。
上記のように構成された作物育成システム1が作物Pに与える成長(伸長)促進効果及び花芽分化抑制効果は、実際に作物育成システム1を用いてキク(品種:セイプリンス)を栽培することで確認された。成長促進効果は、約8割のキクの茎丈が80cm以上となるのに要した平均日数を算出することで確認された。花芽分化抑制効果は、無作為に抽出したキク100株における未花芽分化株の割合を算出することで確認された。
(実施例1)
キクは、10月末に定植され、翌年の2月まで略4ヶ月間栽培された後に収穫された。この間、定植してから茎丈が40cm以上となる12月初旬までの40日間、作物育成システム1による光照射が行われた。図6は、実施例1における光照射パターンを示す。なお、この図は、第1の光源2及び第2の光源3の光照射タイミングを示すものであって、必ずしも太陽光との相対的な放射強度を比較したものではない。以下で説明する実施例2及び比較例に関する図についても同様である。実施例1においては、第1の光源2からの遠赤色光が日没の2時間前から日没までの2時間キクに対して照射され、第2の光源3からの赤色光が日没から3時間キクに対して照射された。すなわち、第1の光源2からの遠赤色光と第2の光源3からの赤色光とが、日没を挟んで連続的にキクに対して照射された。第1の光源2としては、上述の遠赤色LEDが用いられた(図2参照)。第1の光源2は、20個/mの密度で作物Pの上方に配置され、0.03W/mの放射照度で遠赤色光を作物Pに対して照射した。第2の光源3としては、上述の赤色LEDが用いられた。第2の光源3は、10個/mの密度で作物Pの上方に配置され、0.02W/mの放射照度で赤色光を作物Pに対して照射した。12月初旬に作物育成システム1による光照射が終了した後、キクは開花するまで太陽光のみの照射を受けて栽培された。その結果、実施例1によるキクは、表1に示すように、平均93日で茎丈が80cm以上に達し、花芽分化が98%抑制された。
Figure 0005830661
また、比較例1では、図7に示すように、第1の光源2からの遠赤色光も第2の光源3からの赤色光も照射されず、太陽光のみがキクに対して照射された。その結果、比較例1によるキクは、表1に示すように、茎丈が80cm以上となるのに平均115日を要し、2%しか花芽分化が抑制されなかった。この結果は、上記の作物育成システム1が効率良くキクの成長を促進すると共にキクの花芽分化を抑制することを示している。
比較例2では、図8に示すように、太陽光照射に加えて、夜中白熱灯による光照射(照度:20ルクス)がキクに対して行われた。その結果、比較例2によるキクは、表1に示すように、茎丈が80cm以上となるのに平均102日を要し、92%の花芽分化が抑制された。この結果は、作物育成システム1ほど顕著ではないが、ある程度白熱灯による光照射がキクの成長を促進すると共にキクの花芽分化を抑制することを示している。
比較例3では、図9に示すように、太陽光照射及び比較例2の夜中白熱灯照射に加えて、白熱灯照射が日没の2時間前から日没までの2時間にも行われた。その結果、比較例3によるキクは、表1に示すように、茎丈が80cm以上となるのに平均100日を要し、90%の花芽分化が抑制された。この結果は、比較例2の結果と大差ないので、日没前に白熱灯照射を行ってもキクの成長促進及び花芽分化抑制には大きな影響がないことを示している。
比較例4では、図10に示すように、太陽光に加えて、第1の光源2からの遠赤色光が日没の2時間前から日没までの2時間キクに対して照射され、第2の光源3からの赤色光は照射されなかった。その結果、比較例4によるキクは、表1に示すように、茎丈が80cm以上となるのに平均116日を要し、8%しか花芽分化が抑制されなかった。この結果は、第1の光源2からの遠赤色光だけではキクの成長を促進することもキクの花芽分化を抑制することも殆どできないことを示している。
比較例5では、図11に示すように、太陽光に加えて、第2の光源3からの赤色光が日没から3時間キクに対して照射され、第1の光源2からの遠赤色光は照射されなかった。その結果、比較例5によるキクは、表1に示すように、茎丈が80cm以上となるのに平均103日を要し、87%の花芽分化が抑制された。この結果は、第2の光源3からの赤色光照射だけでも、ある程度キクの成長を促進することができると共にキクの花芽分化を抑制することができることを示している。しかしながら、この比較例5の効果は実施例1の効果よりも弱いので、効率の良いキクの成長促進及び花芽分化抑制には第1の光源2からの遠赤色光照射が必要とされることが明らかとなった。
比較例6では、図12に示すように、太陽光に加えて、第1の光源2からの遠赤色光が日没の2時間前から5時間キクに対して照射され、第2の光源3からの赤色光が日没から3時間キクに対して照射された。すなわち、第1の光源2からの遠赤色光と第2の光源3からの赤色光とが、日没後の3時間において重複してキクに照射された。その結果、比較例6によるキクは、表1に示すように、茎丈が80cm以上となるのに平均104日を要し、93%の花芽分化が抑制された。この比較例6の成長促進効果及び花芽分化抑制効果は、実施例1の効果に比べて弱い。従って、効率の良い成長促進及び花芽分化抑制には、第1の光源2からの遠赤色光と第2の光源3からの赤色光とを別々にキクに対して照射することが必要であることが分かった。
比較例7では、図13に示すように、太陽光に加えて、第1の光源2からの遠赤色光が日没の2時間前から日没の1時間前までの1時間キクに対して照射され、第2の光源3からの赤色光が日没から3時間キクに対して照射された。すなわち、第1の光源2からの遠赤色光照射と第2の光源3からの赤色光照射との間に、1時間のブランクが設けられた。その結果、比較例7によるキクは、表1に示すように、茎丈が80cm以上となるのに平均101日を要し、91%の花芽分化が抑制された。この比較例7の成長促進効果及び花芽分化抑制効果は、実施例1の効果に比べて弱い。従って、第1の光源2からの遠赤色光照射と第2の光源3からの赤色光照射との間にブランクがあると、成長促進効果及び花芽分化抑制効果が低減することが分かった。
上記のように、本実施形態の作物育成システム1によれば、第1の光源2からの遠赤色光と第2の光源3からの赤色光とが連続的に作物Pに対して照射されるので、効率良く作物Pの成長を促進すると共に作物Pの花芽分化を抑制することができる。これにより、作物Pの栽培サイクルが短縮されるので作物Pの収量が増加して生産性が向上する。また、作物Pの花芽分化が抑制されて茎丈が長くなるので作物Pの品質が向上する。ここで、第1の光源2からの遠赤色光と第2の光源3からの赤色光とは、必ずしも連続的に作物Pに対して照射される必要はない。まず、作物Pに対して第1の光源2からの遠赤色光が照射され、次いで、第2の光源3からの赤色光が照射される、すなわち、作物Pに対して遠赤色光と赤色光とが順次に照射されるように構成されていれば、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、本実施形態の変形例に係る作物育成システムについて説明する。本変形例の作物育成システムは、上述の作物育成システム1と同一の構成を備え、作物育成システム1とは第1の光源2及び第2の光源3からの光照射パターンのみが異なる。
図14は、第1の光源2からの遠赤色光の照射開始時刻とキクの平均成長促進差との関係を示す。キクの平均成長促進差は、図14から読み取れるように、遠赤色光の照射開始時刻が15:00から日出3時間前(図14では略3:00)までの範囲で変化しても+16cm前後の値を保っているが、日出3時間前以降では顕著に減少する。そこで、本変形例においては、第1の光源2が日没から日出の3時間前までの時間帯の一部で照射動作し、第2の光源3が第1の光源2の照射動作時間帯よりも後の時間帯から照射動作するように設定されている。
(実施例2)
本変形例の作物育成システムが作物Pに与える成長促進効果及び花芽分化抑制効果は、上記作物育成システム1と同様に、実際に本システムを用いてキクを栽培することで確認された。実施例2では、図15に示すように、太陽光に加えて、第1の光源2からの遠赤色光が日没の1時間後から2時間照射され、その後直ちに、第2の光源3からの赤色光が3時間照射された。その結果、実施例2によるキクは、表2に示すように、平均88日で茎丈が80cm以上に達し、99%の花芽分化が抑制された。
Figure 0005830661
この実施例2に対する比較例8では、図16に示すように、太陽光に加えて、第1の光源2からの遠赤色光が日没の1時間後から2時間キクに対して照射され、第2の光源3からの赤色光は照射されなかった。その結果、比較例8によるキクは、表2に示すように、茎丈が80cm以上となるのに平均103日を要し、7%しか花芽分化が抑制されなかった。この結果は、第1の光源2からの遠赤色光だけではキクの成長を促進することもキクの花芽分化を抑制することも殆どできないことを示している。
比較例9では、図17に示すように、太陽光に加えて、第2の光源3からの赤色光が日没の3時間後から3時間キクに対して照射され、第1の光源2からの遠赤色光は照射されなかった。その結果、比較例9によるキクは、表2に示すように、茎丈が80cm以上となるのに平均104日を要し、86%の花芽分化が抑制された。この結果は、第2の光源3からの赤色光照射だけでも、ある程度キクの成長を促進することができると共にキクの花芽分化を抑制することができることを示している。しかしながら、この比較例9の効果は実施例2の効果よりも弱いので、効率の良いキクの成長促進及び花芽分化抑制には第1の光源2からの遠赤色光照射が必要とされることが明らかとなった。
比較例10では、図18に示すように、太陽光に加えて、第1の光源2からの遠赤色光が日没の1時間後から2時間キクに対して照射され、第2の光源3からの赤色光が日没の4時間後から3時間キクに対して照射された。すなわち、第1の光源2からの遠赤色光照射と第2の光源3からの赤色光照射との間に、1時間のブランクが設けられた。その結果、比較例10によるキクは、表2に示すように、茎丈が80cm以上となるのに平均99日を要し、90%の花芽分化が抑制された。この比較例10の成長促進効果及び花芽分化抑制効果は、実施例2の効果に比べて弱い。従って、第1の光源2からの遠赤色光照射と第2の光源3からの赤色光照射との間にブランクがあると、成長促進効果及び花芽分化抑制効果が低減することが分かった。
上述のように、本変形例によれば、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。本変形例においても、第1の光源2からの遠赤色光と第2の光源3からの赤色光とは、必ずしも連続的に作物Pに対して照射される必要はなく、順次に作物Pに対して照射されるように構成されていても本変形例と同等の効果が得られる。
本実施形態及びその変形例においては、作物育成システムは、太陽光が照射される場所に設置されているが、太陽光が届かない完全閉鎖系の植物生産工場等に設置されてもよい。この場合、第1の光源2及び第2の光源3は、例えば、作物Pの育成に用いられる人工光源の明期/暗期スケジュールを基にオン/オフ制御される。また、この作物育成システムは、通年に亘って利用することが可能であるが、特に、太陽光が減少する秋から春先にかけての短日期に有効に利用できる。
なお、本発明に係る作物育成システムは、上記実施形態及びその変形例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、第1の光源及び第2の光源は、1種類の光源から照射される光の波長を制御することで実現されてもよい。これは、例えば、光源としてあらゆる波長の可視光を発する白熱灯を用い、この白熱灯と遠赤色フィルタ又は赤色フィルタとを適宜組み合わせることで実現することができる。
1 作物育成システム
2 第1の光源
3 第2の光源
4 制御部
5 時間設定部
P 作物

Claims (5)

  1. 作物に対して波長域685〜780nmにピーク波長を有する遠赤色光を照射する第1の光源と、
    作物に対して波長域610〜680nmにピーク波長を有する赤色光を照射する第2の光源と、
    前記第1の光源及び第2の光源の照射動作を制御する制御部と、
    前記制御部に対して前記第1の光源及び第2の光源を照射動作させる時間帯を設定する時間設定部と、を備え、
    前記時間設定部は、前記第1の光源が前記第2の光源の照射動作時間帯よりも前の時間帯から照射動作し、前記第2の光源が日没後の時間帯において前記第1の光源の照射動作の終了に対して連続的に照射動作するように設定されていることを特徴とする作物育成システム。
  2. 前記時間設定部は、前記第1の光源が日没前の時間帯から照射動作するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の作物育成システム。
  3. 前記時間設定部は、前記第1の光源が日没から日出の3時間前までの時間帯の一部で照射動作するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の作物育成システム。
  4. 前記第1の光源及び第2の光源は、1種類の光源から照射される光の波長を制御することで実現されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の作物育成システム。
  5. 前記第の光源は放射照度が0.02W/m 以上で、積算放射照度が0.2kJ/m 以上となるように赤色光を照射することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の作物育成システム。
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