JP5828586B2 - 撥水化木質材の製造方法 - Google Patents

撥水化木質材の製造方法

Info

Publication number
JP5828586B2
JP5828586B2 JP2011282415A JP2011282415A JP5828586B2 JP 5828586 B2 JP5828586 B2 JP 5828586B2 JP 2011282415 A JP2011282415 A JP 2011282415A JP 2011282415 A JP2011282415 A JP 2011282415A JP 5828586 B2 JP5828586 B2 JP 5828586B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
wood
repellent
wood material
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011282415A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013132751A (ja
Inventor
賢一 門田
賢一 門田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Forestry Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Forestry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Forestry Co Ltd filed Critical Sumitomo Forestry Co Ltd
Priority to JP2011282415A priority Critical patent/JP5828586B2/ja
Publication of JP2013132751A publication Critical patent/JP2013132751A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5828586B2 publication Critical patent/JP5828586B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Chemical And Physical Treatments For Wood And The Like (AREA)

Description

本発明は、撥水化木質材の製造方法に関する。
木材の表面に撥水性を付与する方法として、撥水性を持つ薬剤で木材の表面に塗膜を形成する方法が古くから用いられているが、木材を屋外や屋外に面する部位に使用した場合には、塗膜が容易に破壊され、長期間、撥水性を保持し続けることは難しい。
木材の表面に撥水性を付与する他の方法として、撥水性を持つ楽剤を、木材の内部に浸透させ、該木材中に固定する方法も知られている。
例えば、特許文献1には、単板の状態で撥水剤を浸透させ再度貼り合わせて撥水集成材を得る集成木材の製造方法が記載され、特許文献2には、蒸気状態の撥水剤を木材に接触させることにより撥水性木材を製造することが記載されている。
また、易浸透性の水系タイプの撥水剤として、表面塗布型のエマルジョン撥水剤(木材用撥水剤エマルジョン組成物)が知られている(特許文献3参照)。
また、特許文献4には、耐生分解性特性や寸法安定性を向上させる技術として、含水率50〜200%程度の木材を、通常の強制乾燥に加え、200℃前後の高温で一定時間熱処理することが記載されている。また、特許文献5には、高温下で所定時間加熱処理して得られるサーモウッド(熱処理木材)を複数枚貼り合わせて集成材とすることが記載されている。
特開2006−35603号公報 特開2010−89269号公報 特開2008−231276号公報 特表平9−502508号公報 特開2005−88228号公報
特許文献1のように、撥水性薬剤を木材内部に含浸固定する方法は、薬剤使用量が多く、また処理設備も大掛かりとなるため、高コストとなる問題がある。特許文献2のように、撥水剤を蒸気状態で木材と接触させる方法も、処理設備も大掛かりとなり、高コストとなる等の問題がある。
撥水性を持つ薬剤で木材の表面に塗膜を形成する方法は、前述のように、木材を屋外や屋外に面する部位に使用した場合には、長期間、撥水性を保持し続けることは難しい。
これに対して、特許文献3の表面塗布型のエマルジョン撥水剤は、耐候性にも優れ、紫外線暴露の生じる屋外でも、ある程度の期間、表面の撥水性を維持できると思われるが、一部の吸水性の高い木材では、十分な撥水性能が得られずに、表面割れが生じ、短期間で撥水性能が失われる。
例えば、木口方向を表裏面とし、パネルの状態にして利用するバルサ材のエンドグレインパネル(End Grain Panel)や、スギ、ヒノキなどの植林木の間伐材で、辺材を多く含む材で製造した、合板、LVL等の木質パネルは、表面の吸水性が高く、表面に撥水処理を施しても、1時間程度の短時間の降雨による雨濡れでも、表面撥水状態を保つことが難しい。そのため、例えば屋外や屋外に面する部位に使用した場合には、木材表面の含水率が上昇・低下を繰り返すこととなり、表面割れが発生する。そして、表面割れが発生すると、割れ部分から水分が容易に侵入し、更に表面割れが、内部深くまで進行することとなる。
一方で、屋外や屋外に面する部位に用いる建材等にも、植林木の中でも吸水性の高い樹種を利用可能とすることは、現在使用されている耐久性の高い天然木等の伐採を抑制する観点等から好ましい。
特許文献4、5には、撥水性の向上について記載されていない。また、特許文献5では、集成材の個々の要素である製材品の段階で高温処理をしており、そのため、熱処理した個々の要素に反りや変形が生じ易く、それらを貼り合わせる前に、そのそれぞれに研削処理を施す必要がある等、集成材を効率良く生産することができない。
従って、本発明の目的は、表面の撥水性を長期間維持可能な撥水化木質材効率的な製造方法を提供することにある。
発明は、180℃以上の高温で加熱処理して改質して中間木質材の表面を、撥水剤で処理することを特徴とする、撥水化木質材の製造方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
発明の撥水化木質材の製造方法によれば、表面の撥水性を長期間維持可能な撥水化木質材を効率的に製造することができる。
図1は、本発明における木質材の一例であるエンドグレインパネルを示す斜視図である。 図2は、本発明における木質材の他の一例であるLVLを示す斜視図である。 図3は、高温加熱処理を行う際の温度制御の一例を示すグラフである。 図4は、エンドグレインパネルの製造方法の一例を説明するための説明図である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の撥水化木質材は、木質材を180℃以上の高温で加熱処理して得た中間木質材を撥水剤で処理してなる。
本発明に用いる木質材としては、(1)集成材、(2)LVL、(3)合板、(4)パーティクルボード、(5)ファイバーボード、(6)OSB、(7)OSL(Oriented Strand Lumber)、(8)LSL(Laminated Strand Lumber)等が挙げられる。木質材は、構成要素どうしを結合して得られるもので、製材品、無垢材は含まれない。
(1)集成材
集成材は、ひき板又は小角材などを、繊維方向を互いに平行にして、長さ、幅及び厚さ方向に集成接着してなる狭義の集成材の他、ひき板又は小角材などを、直交する2方向(長さ及び幅の2方向、長さ及び厚みの2方向等)に集成接着したものも含まれる。但し、本発明における集成材には、LVL及び合板は含まれない。
集成材には、図1に示すように、ひき板や小角材から得たブロック状の小片21を、それぞれの両木口面21a,21bがパネルの上下面2a,2bを形成するように集成接着してなるエンドグレインパネル2も含まれる。
エンドグレインパネルは、低比重材からなることが好ましい。即ち、エンドグレインパネルは、その構成要素である小片が、低比重の樹種から得られた低比重材からなることが好ましい。エンドグレインパネルを低比重材の小片から構成すると、後の高温加熱処理の際に、ブロック状の小片どうし間に隙間が生じにくくなる。そのため、小片間の密着度の高い断熱性に優れた改質エンドグレインパネルを得ることができる。
低比重材の原木の樹種としては、ファルカタ、バルサ、キリ、スギ等が挙げられるが、特にバルサであることが好ましい。高温加熱処理後のエンドグレインパネル(集成材)の比重は、0.08〜0.25、特に0.10〜0.20であることが好ましい。
(2)LVL
LVL(Laminated Veneer Lumber,単板積層材)は、ロータリーレースやスライサーなどにより木材を切削して得た単板(veneer)を、繊維方向を平行にして複数枚重ね、それらを熱圧接着して得られる木質材である。LVLは、軸材として用いる撥水化木質材を得る観点等からは、図2に示すLVL(単板積層材)3のように、一方向(X方向、繊維配向方向)に長い形状を有していることが好ましい。
LVLは、厚み方向の総ての層の単板の繊維の配向方向が揃っていることが好ましいが、厚み方向の一部(例えば、表裏面それぞれから2番目の層)に、繊維の配向方向が他の層と交差する層を有していても良い。但し、厚み方向の中央部に、繊維方向を平行にして積層された複数の単板からなるコア部を有することが好ましく、該コア部を構成する単板の積層数は、LVLの単板の全積層数の半分以上であることが好ましい。LVL全体の単板の積層数は、例えば、7〜32層とすることができ、12〜22層であることが好ましい。
LVLの単板を得る木材の樹種としては、従来、LVLの製造に用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、杉、檜、カラマツ等の国産材の他、ラジアータパイン、ロシアカラマツ、ダグラスファー等の外国産材が挙げられる。
また、LVLの表裏面を形成する単板は、単板の木表と木裏のうち木表側をLVLの表裏面に配することが好ましい。単板をロータリーレース等で、かつらむきして製造する場合、単板を平面状に拡げる際に木裏側には細かい割れが生じやすいのに対して、木表側には、そのような割れが少ないので、木表側をLVLの表裏面に配することにより、経年劣化による表面割れを減少させることができる。
(3)合板
合板は、ロータリーレースやスライサーなどにより木材を切削して得た単板を、繊維方向が互い違いとなるように複数枚重ねて熱圧接着して得られる木質材である。
(4)パーティクルボード
パーティクルボードは、木材の切削や破砕等により得た小片(エレメント)を接着剤と共に混合してマット状としたものを熱圧締して得られる木質ボードである。
(5)ファイバーボード(繊維板)
ファイバーボードは、木材の蒸射・解繊等により得た木材繊維(エレメント)を接着剤と混合してマット状としたものを熱圧締して得られる木質ボードである。ファイバーボードとしては、MDF(中比重繊維板)、やハードボード(HB)、インシュレーションボードが挙げられる。
(6)OSB
OSB(Oriented Strand Board,配向性ストランドボード)は、薄い削片状にした原料のエレメントを配向させて積層、接着したものである。エレメントは、パーティクルボードに用いられるものより面積が大きく薄い形状をしており木材の異方性をより多く残している。
本発明の撥水化木質材の製造方法の好ましい実施態様(本発明の撥水化木質材の好ましい製造方法)について説明する。
本発明の好ましい実施態様においては、上述した各木質材を、それぞれに記載した構成要素どうしを結合させて製造する。木質材の製造方法としては、木質材の種類に応じてその木質材を製造する従来公知の方法を特に制限なく用い得るが、構成要素どうしの結合に用いる接着剤としては、後述する高温加熱処理の際に、接着剤が熱劣化する観点から、メラミン樹脂接着剤、フェノール樹脂接着剤等の熱硬化型の接着剤を用いることが好ましく、特に、フェノール樹脂接着剤を用いることがより好ましい。
また、木質材の構成要素は、他の構成要素と接合する前に、含水率が12%以下となるまで乾燥させておくことが好ましい。木質材に対して加熱処理を施す前の構成要素単独の段階で乾燥させておくことにより、原木から中間木質材又は撥水化木質材を得るまでのトータルの処理時間を短縮させることができ、また、原木から中間木質材又は撥水化木質材を得るまでのトータルでの歩留まりを向上させたりすることができる。
次いで、得られた木質材に対して高温による加熱処理を行う。
高温加熱処理は、180℃以上の高温下に木質材を所定時間置くことにより行う。高温加熱処理の温度は250℃以下であることが好ましい。木質材を、180〜250℃の範囲(より好ましくは180〜230℃の範囲)の高温で処理する時間は、60分以上であることが好ましく、より好ましくは1〜5時間であり、更に好ましくは2〜4時間である。
この高温加熱処理により中間木質材が得られる。中間木質材は、撥水化木質材の製造中間体であり、180℃以上の高温で加熱処理した後の木質材で、且つ撥水剤処理前のものをいう。
高温加熱処理により木質材は、吸湿性が低下し、吸湿や吸水による寸法の変化や腐朽が生じにくいものに改質される。
この高温加熱処理には、例えば、木質材を内部に収容可能な加熱室、該加熱室内の空気を180℃以上の高温に加温可能な加熱手段、該加熱室内の温度を低下させる降温手段を備えた加熱装置が好ましく用いられる。加熱室は、内部に複数枚又は複数本の木質材を、相互間に隙間を設けて多数配置できるものが好ましい。また、木質材は、その周囲を空気が流通可能な状態に支持して処理することが好ましい。加熱室は、内部に温度ムラが生じないように内部の空気を攪拌する手段を備えたものが好ましい。
加熱手段としては、電熱ヒータや、蒸気等の熱媒が内部を流通する加熱管等を用いることができる。降温手段としては、例えば、加熱室内の熱を外部に逃がす熱交換器を設けることができる。また、加熱装置は、木質材を、大気圧下で加熱可能なものが好ましい。
図3は、高温加熱処理を行う際の温度制御の一例を示すグラフである。
図3のグラフに示されるように、高温加熱処理は、好ましくは、昇温工程、高温維持工程及び降温工程を経て行う。
昇温工程では、木質材を収容した加熱室内の温度を、蒸気を併用した加熱により100℃付近まで一気に上昇させ、次いで、電熱器で加熱された蒸気を送り込むことにより、加熱室内の温度を、高温維持工程の180℃以上の設定温度(図示例では215℃)まで徐々に上昇させる。
そして、高温維持工程では、加熱室内の温度を前記の設定温度(図示例では215℃)に所定時間維持し、降温工程では、熱交換器での冷却や無酸素の気体を導入することが好ましい。
高温加熱処理は、昇温工程において加熱室内の温度が180℃以上となった時点から、降温工程において温度が180℃未満となるまで継続される。
高温加熱処理は、190〜240℃の範囲の温度を1〜5時間維持して行うことがより好ましく、200〜230℃の範囲の温度を2〜4時間維持して行うことが更に好ましい。また、高温加熱処理は、木質材の材中心部の温度が180℃以上に達するまで行うことが好ましく、材中心部の温度が190℃以上に達するまで行うことがより好ましい。また、高温加熱処理は、材中心部の温度が、高温維持工程の設定温度に達するまで行うことが更に好ましい。図3のグラフ中、「室温」は、加熱室内の温度、「材温」は、木質材の材中心部の温度である。材中心部の温度は、木質材が軸材の場合、長手方向中央部における断面の中心部の温度である。
上述した加熱装置の構成や温度の変化のさせ方は、あくまでも一例であり、温度の昇温速度、高温維持工程の温度や時間、降温工程の降温速度等は、適宜に変更して実施することができる。
次いで、得られた中間木質材の表面を、撥水剤で処理する。この撥水剤による表面の処理としては、刷毛塗り、ローラー塗り、スプレー塗工、ロールコーターによる塗工等の各種公知の塗工方法による撥水剤の塗工が挙げられる。また、中間木質材を、撥水剤に浸漬して、該中間木質材の表面に撥水剤を塗工しても良い。
撥水剤の塗工は、中間木質材における撥水性を付与したい面に、その面に均一に撥水剤が塗布されるように行うことが、撥水剤の無駄防止の点等から好ましい。また、撥水剤の塗工量は、1m2当たり、50〜300g、特に100〜200gとすることが、塗工後の乾燥時間の短縮及び充分な撥水性の付与の観点等から好ましい。ここでいう、撥水剤の塗工量とは、中間木質材の表面に撥水剤を水で1〜20倍に希釈して塗工した際の量である。
また、撥水剤の塗工は、高温加熱処理後の木質材(中間木質材)における撥水性を付与する面に対して、必要に応じてプレーナー等による平滑化処理を施した後に行う。
撥水剤としては、フッ素系の撥水剤やシリコーン系の撥水剤等の、各種公知の木材用撥水剤を用いることができるが、浸透型の水系撥水剤を用いることが好ましく、特にシリコーン系の浸透型の水系撥水剤を用いることがより好ましい。
浸透型の水系撥水剤は、有機溶剤系のものではなく、また塗装面(中間木質材の表面)より深くに浸透して、木質材の内部に撥水性の層(例えば、フッ素樹脂やシリコーンゴムからなる層)を形成するものである。
そのため、有機溶剤系のものに比して環境や人に優しく、また、塗装面の表面に造膜する造膜型のものに比して、木質材の吸放湿機能が残せる上に、質感が維持されやすい。
また、撥水剤は、塗装面(中間木質材の表面)から内部に少なくとも1mm以上浸透させることが好ましく、深さ1〜4mmまで浸透させることがより好ましい。
また、シリコーン系の浸透型水系撥水剤としては、特許文献3に記載の木材用撥水剤エマルジョン組成物や、特開平2006−328406号公報に記載のもの、株式会社ユートピア建材製の浸透性無機質保護剤「ウッド・タフ(商品名)」等を例示することができるが、これらに限られるものではない。ウッド・タフは、珪酸質成分を含む水性の溶液であり、塗布した木質材中に浸透してガラス質の結晶を形成する。
シリコーン系の水系撥水剤は、有機溶剤系の撥水剤に比して環境や人に優しく、また塗装面より深くに浸透し易いため、木質材の質感が維持されやすいことや、撥水性の耐久性に一層優れた撥水化木質材が得られる点、メンテナンス時の再塗布が容易である点等から好ましい。
撥水剤としては、オルガノシロキサンを含む水性(水系)のエマルジョン組成物を用いることも好ましい。また、このような撥水剤の例としては、特許文献3に記載の木材用撥水剤エマルジョン組成物が挙げられる。特許文献3に記載の木材用撥水剤エマルジョン組成物は、(A)1分子中にケイ素原子に結合するヒドロキシル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン:100質量部、(B)アミノ基含有オルガノアルコキシシランと酸無水物との反応生成物:1〜10質量部、(C)エポキシ基含有オルガノアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解物:0〜10質量部、(D)コロイダルシリカ及び/又はポリシルセスキオキサン:0〜40質量部を界面活性剤存在下で水中に乳化分散してなる、スズ化合物を含まない木材用撥水剤エマルジョン組成物である。前記の成分(A)〜(D)の具体例やより好ましい配合割合等は、特許文献3に記載の通りである。
撥水剤の塗布は、高温加熱処理後の木質材(中間木質材)が、常温(例えば35度以下)まで冷却された後に行っても良いが、高温加熱処理による熱を残した状態において行うことも、撥水処理時間の短縮等の観点から好ましい。
但し、高温状態の木質材に塗布することには、さまざまな障害があるため、高温加熱処理後の木質材の温度(特に木材内部の温度、例えば図3中の材温)が、100〜40℃の段階で行うことが好ましく、70〜50℃の状態で行うことがより好ましい。
撥水剤の塗布後は、撥水剤を自然乾燥させる。常温まで冷えた状態の木質材(中間木質材)に撥水剤を塗布した場合には、適度(例えば40〜80℃)に加温して乾燥を早めても良い。
このようにして、本発明の撥水化木質材が得られる。本発明の撥水化木質材は、撥水剤で処理する前に、木質材を高温加熱処理しておくことによって、撥水性が長時間安定して発揮される。
撥水化木質材には、必要に応じて、プレーナー加工、面取り加工、穴あけ加工、溝加工、本実加工等の後処理を行う。
また、撥水化木質材には、意匠性の向上の観点から、樹脂フィルムや化粧紙等の化粧用のシートを貼着しても良く、意匠性の向上や耐水性や耐候性の向上の観点から有色又は無色の塗装を施しても良い。
上述した撥水化木質材の好ましい製造方法においては、構成要素を結合して木質材とした後に高温加熱処理を行うため、高温加熱処理によってもネジレや反り等の変形が生じにくい。そのため、製材品や無垢材に高温加熱処理する場合に比べて、寸法精度の高い撥水化木質材が得られる。高温加熱処理の中間木質材に、後処理として、プレーナーやサンダーを掛けても良いが、無垢材に高温加熱処理した場合に比べると、その切削量を少量に抑えることができる。例えば、LVLの表裏面の単板の切削量は、該単板の質量の10%以下等に抑えることも容易である。
また、エンドグレインパネルやLVL等の木質材は、原木から製材品や無垢材を得る場合に比して、原木を有効利用できるため、構成要素の段階や後処理の段階でのプレーナーやサンダーによる無駄を低減可能なこととも相俟って、撥水性の耐久性に優れた撥水化木質材を歩留り良く効率的に製造することができる。
本発明の撥水化木質材又は本発明の撥水化木質材の製造方法で製造された撥水化木質材は、多様な用途に用いることができ、その用途に特に制限はないが、吸湿性が低く、耐腐朽性に優れる点から、建物の外装材、ウッドデッキ材、戸外に設置する机、椅子、花台等の構成部材、外構フェンスや花壇の柵、植物のプランターの構成部材、子供の遊具の構成部材等として用いたり、吸湿性が低く、寸法安定性に優れる点から、木造住宅等における前述した各種の軸材、屋根、天井、壁、床等の下地材として用いる面材、住宅の内装、外装材、家具の構成部材等として用いたり、吸湿性が低く、断熱性の安定性に優れる点から、断熱材、船舶の内部等の、湿気の多い場所に用いられる断熱材等として用いたりすることが好ましい。また、手すり等の強度を必要とする部材として用いることも好ましい。
本発明の方法で製造した撥水化木質材どうしを接合して大断面化し、それを梁材、桁材等として用いることもできる。例えば、厚みが25mm以上、幅が50mm以上、長さ200mm以上の改質LVLを複数本製造した後、その改質LVLを厚み方向に複数本積層して、大断面の軸材等として用いることもできる。改質LVLどうし間の接合には、LVLの製造に用いた接着剤と同じ接着剤を用いても良いし、異なる接着剤を用いても良い。また、改質LVLを重ねたものを熱圧締して接合させることも好ましい。
次に、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(1)エンドグレインパネル(以下、EGPという)及びそれを用いた中間木質材(以下、中間EGPという)の製造
図4(a)に示すように、バルサ材からなる複数本の小角材20を、隣り合う小角材20間にメラミン樹脂系接着剤を介在させ横一列に配置し、これらを横方向から加圧して接着一体化させた。次いで、この複合材を、小角材20の木口面が位置する一端から所定の幅で順次切断して、図4(b)に示すように、ブロック状の小片21が複数繋がった棒状中間体22を複数本得た。そして、それらの棒状中間体22を、小片21の木口面21a,21bがパネルの上下面を形成するように向きを代えた後、図4(c)に示すように、その棒状中間体22の側面どうしを、メラミン樹脂系接着剤を介して接合させ、厚み25mm、幅920mm、長さ1830mmのEGPを得た。
そのEGPを切断して、厚み25mm、縦320mm、横320mmのEGP試験片を多数製造した。
(2)撥水化木質材の製造
EGP試験片を、高温加熱処理を行う群と、高温加熱処理を行わない群とに分け、高温加熱処理を行う群については、加熱室内の温度を図3に示すグラフのように変化させて、上記と同様の高温加熱処理(215℃で3時間熱処理)を行った。高温加熱処理を行わない群については、高温加熱処理を行わず、低温での加熱処理も行わなかった。
(実施例1)
高温加熱処理を行った試験片の片面(320mm×320mmの面)に、信越化学株式会社製の撥水剤(商品名ウッドエイド)を水で7.5倍に希釈して塗布し、自然乾燥させて撥水化木質材を得た。撥水剤は塗布量が100g/m2となるように1回塗布した。
(実施例2)
実施例1において、撥水剤を100g/m2で2回塗布し、撥水剤の合計塗布量を200g/m2とした以外は、実施例1と同様にして、撥水化木質材を得た。
(比較例1)
高温加熱処理を行わなかった試験片を用いた以外は、実施例1と同様にして、撥水化木質材を得た。
(比較例2)
高温加熱処理を行わなかった試験片を用いた以外は、実施例2と同様にして、撥水化木質材を得た。
(比較例3)
高温加熱処理を行った試験片について、撥水剤を塗布することなく評価した。
(比較例4)
高温加熱処理を行わなかった試験片について、撥水剤を塗布することなく評価した。
(3)初期撥水性の評価
得られた撥水化木質材について、JIS P8137:1976に規定される「紙及び板紙のはっ水度試験方法」に従い撥水度(はっ水度)試験を行い撥水性の評価を行った。
即ち、試験片を45°に傾けた状態に固定し、その試験片に対して1滴を約0.1mLになるように調整したビュレットから20℃の蒸留水を1滴落下させ、試験片の上を300mm流下させる。流下の跡を観察し、JIS P8137:1976に記載の表に記載の下記評価基準に従って、撥水度(はっ水度)を決定する。この試験を、各試験片の各々の方向(縦方向及び横方向)について5回行い、その最大値(評価R0〜R10のうち最もR10に近いもの)、最小値(評価R0〜R10のうち最もR0に近いもの)及び平均値を表1に示した。
(評価基準)
R0:連続した跡であって一様な幅を示すもの
R2:連続した跡であって水滴よりわずかに狭い幅を示すもの
R4:連続した跡であるがところどころ切れていて、明らかに水滴より狭い幅を示すもの。
R6:跡の半分がぬれているもの
R7:跡の1/4は、長く伸びた水滴によってぬれているもの
R8:跡の1/4以上は、球形の小滴が散在しているもの
R9:ところどころに、球形の小水滴が散らばるもの
R10:完全に転がり落ちるもの
Figure 0005828586
(4)撥水性の耐久性の評価
上記の試験において、個々の試験片に水を1滴落下させるのに代えて、個々の試験片の同じ場所に、ビュレットから水滴を30秒間隔で合計20回落下させ、20滴、落下させた時点で流下の跡を観察した以外は、上記の試験と同様にして、撥水性の耐久性を評価した。結果を表2に示した。
Figure 0005828586
初期撥水性については、表1中の比較例3,4と実施例1,2の結果の対比から、撥水処理を行うことにより撥水度が高まり撥水性が向上したことが判るが、実施例1,2と比較例1,2の結果を対比すると、比較例1,2でも高い撥水性を示し、高温加熱処理による撥水性の向上効果は明らかではない。
他方、撥水性の耐久性については、表2中の実施例1,2と比較例1,2の結果を対比すると、実施例1,2は比較例1,2に対して、明らかに撥水度が増加しており、高温加熱処理により、撥水性の耐久性が向上したことが判る。
また、比較例1と比較例2の結果を対比すると、撥水剤の塗布量を半分にすると撥水度が低下して撥水性の耐久性が低下したことが判る。これに対して、実施例1と実施例2の結果を見ると、撥水剤の塗布量を半分にしても、撥水度の差は僅かである。このことから、本発明によれば、撥水剤の量が少なくても、優れた耐久性が得られ、木質材表面の撥水性が長期間維持されることが判る。
2 エンドグレインパネル(集成材、木質材)
21 ブロック状の小片(構成要素)
21a,21b 木口面
22 棒状中間体
3 LVL(木質材)

Claims (6)

  1. 木質材を180℃以上の高温で加熱処理して得た中間木質材の表面を撥水剤で処理することを特徴とする、撥水化木質材の製造方法。
  2. 前記撥水剤が、浸透型の水系撥水剤であることを特徴とする、請求項1に記載の撥水化木質材の製造方法。
  3. 前記木質材の構成要素どうしを結合する前に、前記構成要素を、含水率が12%以下となるまで乾燥させることを特徴とする、請求項又は2に記載の撥水化木質材の製造方法。
  4. 前記木質材が、集成材であることを特徴とする請求項の何れか1項記載の撥水化木質材の製造方法。
  5. 前記集成材が、低比重材からなるエンドグレインパネルであることを特徴とする請求項4に記載の撥水化木質材の製造方法。
  6. 前記木質材が、LVLであることを特徴とする請求項の何れか1項記載の撥水化木質材の製造方法。
JP2011282415A 2011-12-22 2011-12-22 撥水化木質材の製造方法 Expired - Fee Related JP5828586B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011282415A JP5828586B2 (ja) 2011-12-22 2011-12-22 撥水化木質材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011282415A JP5828586B2 (ja) 2011-12-22 2011-12-22 撥水化木質材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013132751A JP2013132751A (ja) 2013-07-08
JP5828586B2 true JP5828586B2 (ja) 2015-12-09

Family

ID=48909809

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011282415A Expired - Fee Related JP5828586B2 (ja) 2011-12-22 2011-12-22 撥水化木質材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5828586B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55147582A (en) * 1979-05-08 1980-11-17 Mitsubishi Chem Ind Ltd Imparting of water-proofing and water-repellent property to base material
JPS58219005A (ja) * 1982-06-15 1983-12-20 松下電工株式会社 処理液の含浸法
ES2154676T3 (es) * 1993-05-12 2001-04-16 Valtion Teknillinen Procedimiento para el aumento de la resistencia de productos celulosicos contra hongos y putrefaccion.
JPH08183010A (ja) * 1994-12-27 1996-07-16 Daiken Trade & Ind Co Ltd 改質木材の製造方法
JP2000167809A (ja) * 1998-09-30 2000-06-20 Hidetomi Kamiya 平行積層合板の木口面を利用した化粧木材の加工方法
JP3981818B2 (ja) * 2002-08-01 2007-09-26 信越化学工業株式会社 木材用水系撥水剤組成物の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013132751A (ja) 2013-07-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5351026B2 (ja) 熱処理したウッドを適用した対称構造のウッドフローリング及びその製造方法
US20090197036A1 (en) Wood Flooring With Laminated Wood And HDF Using Symmetric Structure And Process For Manufacturing The Same
JP6262175B2 (ja) ハイブリッド木質コア集成材の製造方法
US8541085B2 (en) Bamboo composite board and beam product
TW508291B (en) Method for laminating woody fiberboard
JP2018003358A (ja) 木質複合基材および床材
JP5828586B2 (ja) 撥水化木質材の製造方法
Kurt et al. Effect of pressure duration on physical, mechanical, and combustibility characteristics of laminated veneer lumber (LVL) made with hybrid poplar clones.
JP4996126B2 (ja) 木製カウンター
JP5954660B2 (ja) 木質化粧板、木質化粧板の製造方法
JP2013059870A (ja) 改質木質材の製造方法
US20210355673A1 (en) Fire-resistant bamboo structural building material
JP5099845B2 (ja) 平角材の製造方法
CN109454737A (zh) 一种木质板材防裂加工工艺
JP2004351773A (ja) 竹繊維集成材とそれを用いた複合集成材
JP2016221729A (ja) 木材薬液処理方法、それによる薬液含浸圧密化単板、それらを利用した単板積層体の製造方法および単板積層品
KR20050095327A (ko) 무늬목 제조방법 및 그 무늬목
US20230047182A1 (en) A method for improving durability and weatherability of timber by engineering layers
JP2003103505A (ja) 床暖房用板材
CN108481473B (zh) 一种高附加值单板层积材的制造方法
JP5858443B2 (ja) 板および板要素を処理する方法
KR102133086B1 (ko) 수직격막 및 바닥부재용 다중접합 구조용 집성판 및 그 제조방법
JP2005088228A (ja) 構造材
JP5728646B2 (ja) 木質化粧板の製造方法
JP3145072B2 (ja) 建築用板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140924

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150723

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150728

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150917

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151013

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151019

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5828586

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D03

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees