JP3981818B2 - 木材用水系撥水剤組成物の製造方法 - Google Patents

木材用水系撥水剤組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木材に防蟻性及び防菌・防黴性を簡単に付与でき、更に撥水性をも付与できる操作性・安全性に優れた非エマルジョンタイプの水系撥水剤組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、木材などの建築材料等に寸法安定性や撥水性を付与する方法としては、シリコーン系、アクリル系、ウレタン系、エステル系、油脂系の樹脂あるいはモノマーを溶解させたものを材料に塗布・含浸させ、乾燥する方法が知られている。これらの中ではシリコーン系のものが多く使われており、特に溶剤希釈型のシリコーン系撥水剤が主流を占めている。
【0003】
しかしながら、溶剤希釈型では火災、爆発、中毒などの危険性があり、また地球環境の保護や資源の活用の面からも溶剤を使用しない撥水剤の開発が望まれており、特に高性能の水系撥水剤の開発が強く望まれている。
【0004】
最近、水系撥水剤としては、特開平1−292089号公報、特開平5−156164号公報、特開平5−221748号公報にアルキルトリアルコキシシランを水中乳化させた長期安定なエマルジョンが開示されている。しかし、このエマルジョンには加水分解反応の非常に遅いアルコキシシランが使用されているため、材料へ塗布した場合、含浸性は良いものの、材料表面でのシランの揮散が起こり、表面撥水性がなくなり、水濡れ、汚れの付着、凍害によるポップアップなどが生じ、耐久性の面で欠点がある上、外観が乳白色であるなどの問題点もある。
【0005】
一方、上記のようなエマルジョンタイプのものでない均一水溶液タイプのものが、特開昭61−162553号公報、特開平4−249588号公報及び特許第2740454号公報に開示されている。これらは水で希釈する際に透明な混合物を生じさせた組成物である。
【0006】
しかし、上記特開昭61−162553号公報の組成物は、水で希釈すると重合反応が速く進行するため、保存安定性が悪く、希釈後1日以内に使用しなければならず、実使用に耐えない。更に、重合反応が速いので、分子量が大きくなって材料への含浸性が悪くなり、ひいては材料表面に濡れ斑を発生するという欠点がある。
【0007】
また、特開平4−249588号公報の組成物は、水溶性アミノ基含有カップリング剤と炭素鎖の短いアルキルトリアルコキシシランからなっており、保存安定性には優れているが、撥水成分としては低級のアルキル基しかないためか、撥水性に劣るという欠点がある。更に、アミノ基含有カップリング剤成分がアルキルアルコキシシラン成分よりも過剰[アルキルアルコキシシラン成分/アミノ基含有カップリング剤成分=0.5〜3/10〜1(モル比)]なため、木材の黄変が著しい等の問題点も有している。
【0008】
特許第2740454号公報は、塩基性窒素含有オルガノポリシロキサンの塩と撥水性作用物質と水との組成物による撥水剤を開示しているが、撥水性を付与するため、撥水性作用物質を塩基性窒素含有オルガノポリシロキサンの塩100重量部に対して50重量部以上も添加しなければ撥水性が付与されず、コスト的にも有利ではない。また単に両性分を混合しているだけなので、撥水性成分が中性基材である木材などのセルロースのOH基と反応しずらいためか、あまり撥水性能がよくないという欠点があった。更に撥水性作用物質が水中で安定でないため、保存安定性が悪く、実使用に耐えない。
【0009】
また、本発明者は、上記問題点を解決すべく、特開平9−77780号公報において、炭素数7〜18のアルキルアルコキシシランとアルコキシ基含有シロキサンとアミノ基含有アルコキシシラン剤との共加水分解物からなるものを提案したが、特に木材に対して長鎖のアルキルシランを使用しているにも拘わらず、撥水性は弱く、また紙や繊維製品又は木材等に処理した場合、黄変が生じる場合があるなどの問題があった。
【0010】
また、木材用として現在使用されている防腐(防菌・防黴性)処理の中で、古くから用いられているものの一つにクレオソート油がある。この主成分は芳香族炭化水素であり、無数の化合物を含む混合物である。クレオソート油防腐処理木材の用途は枕木や電柱などであり、木材防腐剤としては安価で浸透性がよく、防腐効力に優れているなどの長所を有する反面、悪臭や眼、皮膚への刺激などの問題があった。また、溶脱して周辺の土壌などを汚染したり、河川等への流出による魚類などへの魚毒性の問題など、環境に与える負荷は避け難い。
【0011】
現在最も多く使用されているエクステリアウッドは、CCA加圧注入処理木材であり、CCAは基剤として銅(Cu)、クロム(Cr)、ヒ素(As)を含む水溶性の薬剤で、処理木材の性能は大変優れており、世界中で広く使用されている。しかしながら、クロム、ヒ素といった元素が含まれているため、処理剤の安全性について懸念され、既に使用を制限している国もある。また、CCA処理木材が公園や校庭の遊具に多く使用され、皮膚接触による生体への影響も危惧されている。更に経口毒性に関しては、乳幼児用の屋外遊具としての使用を考えると、十分にその毒性を考慮する必要がある。一方、近年酸性雨が世界的な環境破壊の原因として問題となっているが、CCA処理木材の成分が酸性雨によって溶出することが予想される。更に、CCA処理木材が廃棄で焼却される際には、CCA成分からヒ素化合物が三酸化二ヒ素として昇華し、大気中に放出されると同時に、微粒子として銅やクロムの酸化物が放出される。従って、安全上の立場からEPA(米国環境保護庁)は廃棄した処理材を焚火や暖炉に用いてはならないとし、また英国では処理材を野外裸火する場合には、人家より100m以上離れることが要求されている。
【0012】
このようにクレオソート油とCCAは環境への負荷が大きく、地球環境の諸問題がクローズアップされてきた昨今、これらの使用には十分な配慮が必要である。そこで、注入用保存薬剤として急激にそのシェアを伸ばしているのがDDAC(ジデシルジメチルアンモニウムクロリド)である。これは金属塩を含んだもので、CCAにおいて懸念されている廃棄の問題がクリアされることで、その需要が増大しているものとみられる。しかしながら、その効力の持続性には問題があり、半永久的な木材中への固定は実現していない。このほか、表面処理用防腐剤としてのナフテン酸金属塩は加圧注入用薬剤として多く用いられており、安全性の高い薬品として知られているが、ここでも効力の持続性に問題があり、主に土台処理用として使用されている(木材科学講座5,環境,海青社,1995)。一方、近年の病原性大腸菌O−157による集団食中毒の発生でみられるように、防菌・防黴性、殺菌性などに対する社会的要求は著しく高く、その半永久的な効果の持続と安全性を保持した材料や処理剤の開発が急務である。
【0013】
また、最近防蟻性に優れたものとして、比較的安全なピレスロイド系薬剤を使用したものが上市されている。ピレスロイド系は効果がよく、安全でもあるが、基本的に油剤であり水に溶解しない。水系のものとして、界面活性剤を入れ、乳化させるエマルジョンタイプのものはあるが、これとて浸透性が悪いため、木材への応用例はなく、もっぱら土壌改良品となっている。ピレスロイド系を木材に塗布するにはやはり溶剤系しかなく、水系のものは見当たらない。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、木材への含浸性、寸法安定性及び撥水性付与効果に優れ、水系撥水剤として好適に利用することができ、同時に特に優れた防蟻性及び防菌・防黴性をも簡単に付与可能であり、安全性にも優れ、ピレスロイド系薬剤を用いた非エマルジョンタイプの均一水系撥水剤組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、
(A)(i)下記一般式(1)
(R1a(OR2bSiO(4-a-b)/2 (1)
(但し、式中R1は炭素原子数1〜6のアルキル基、R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b≦4.0を満足する正数である。)で示される有機ケイ素化合物100重量部と、
(ii)下記一般式(2)
34NR5−SiR6 n(OR23-n (2)
(但し、式中R2は上記と同様であり、R3,R4はそれぞれ水素原子、又は同一もしくは異種の炭素原子数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素原子数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素原子数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物0.5〜49重量部を有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させた共加水分解縮合物 0.1〜30重量部、
(B)ピレスロイド系殺虫剤 0.0001〜0.1重量部、
(C)水
を含み、(A)〜(C)成分の合計量が100重量部である木材用水系撥水剤組成物は、驚くべきことにアミノ基含有アルコキシシラン成分が短鎖アルキルトリアルコキシシラン或いはアルコキシ基含有シロキサンに対して少ないにも拘わらず、それ自体が水溶性で水溶解時の均一性に優れ、水希釈後の保存安定性も良い上、木材への浸透性がよく、撥水耐久性、寸法安定性を向上し得、かつ木材に処理した場合もアミノ基含有アルコキシシラン成分が少ないため黄変が低く抑えられること、また従来撥水性付与のため必要であった長鎖アルキルシラン成分が不必要で、これにかかるコストを抑えることが可能なため、経済的にも有利である。また、防蟻性、殺虫性に実績のあるピレスロイド系殺虫剤もこの撥水剤成分の影響のためか、濁ることなく均一分散が可能となった。更にその浸透性のためか、ピレスロイド系薬剤も木材内部まで深く浸透させることができ、更にシリコーンマトリックスによりしっかり抑え込まれるため、溶脱することもなく安定した防蟻性も付与可能であることを見出した。
【0016】
つまり、この水系撥水剤組成物は、木材への含浸性が良好でかつ寸法安定性及び撥水性、撥水耐久性付与効果に優れ、低コストで製造可能であり、防蟻性付与効果にも優れることを知見し、本発明をなすに至った。
【0017】
従って、本発明は、
(A)(i)下記一般式(1)
(R1a(OR2bSiO(4-a-b)/2 (1)
(但し、式中R1は炭素原子数1〜6のアルキル基、R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b≦4.0を満足する正数である。)で示される有機ケイ素化合物100重量部と、
(ii)下記一般式(2)
34NR5−SiR6 n(OR23-n (2)
(但し、式中R2は上記と同様であり、R3,R4はそれぞれ水素原子、又は同一もしくは異種の炭素原子数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素原子数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素原子数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物0.5〜49重量部を有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させた共加水分解縮合物
0.1〜30重量部、
(B)ピレスロイド系殺虫剤 0.0001〜0.1重量部、
(C)水
を含み、(A)〜(C)成分の合計量が100重量部である木材用水系撥水剤組成物を製造する方法であって、上記(B)ピレスロイド系殺虫剤をノニオン又はカチオン系界面活性剤と共に石油系溶剤にて溶解させたものを、上記(A)、(C)成分と混合することを特徴とする木材用水系撥水剤組成物の製造方法、及び
(A)(i)下記一般式(1)
(R 1 a (OR 2 b SiO (4-a-b)/2 (1)
(但し、式中R 1 は炭素原子数1〜6のアルキル基、R 2 は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b≦4.0を満足する正数である。)で示される有機ケイ素化合物100重量部と、
(ii)下記一般式(2)
3 4 NR 5 −SiR 6 n (OR 2 3-n (2)
(但し、式中R 2 は上記と同様であり、R 3 ,R 4 はそれぞれ水素原子、又は同一もしくは異種の炭素原子数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R 5 は炭素原子数1〜18の2価炭化水素基、R 6 は炭素原子数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物0.5〜49重量部を有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させた共加水分解縮合物
0.1〜30重量部、
(B)ピレスロイド系殺虫剤 0.0001〜0.1重量部、
(D)下記一般式(3)
[(CH 3 2 7 N(CH 2 3 −SiR 6 n (OR 2 3-n + - (3)
(但し、式中R 2 、R 6 は上記と同様であり、R 7 は炭素原子数11〜22の1価炭化水素基である。nは0又は1である。XはClである。)
で示される4級化アミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物
0.1〜10重量部
(C)水
を含み、(A)〜(D)成分の合計量が100重量部である木材用水系撥水剤組成物を製造する方法であって、上記(B)ピレスロイド系殺虫剤をノニオン又はカチオン系界面活性剤と共に石油系溶剤にて溶解させたものを、上記(A)、(C)、(D)成分と混合することを特徴とする木材用水系撥水剤組成物の製造方法
を提供する。
【0018】
以下、本発明につき更に詳細に説明する。
本発明の木材用水系撥水剤組成物を得るための(A)成分について説明すると、(A)成分を構成する(i)成分は、下記一般式(1)で示されるアルキルトリアルコキシシラン或いはアルコキシ基含有シロキサンである。
【0019】
(R1a(OR2bSiO(4-a-b)/2 (1)
(但し、式中R1は炭素原子数1〜6のアルキル基、R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b≦4.0を満足する正数である。)
【0020】
上記式(1)のR1は炭素原子数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基である。具体的にはメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,n−ペンチル基,n−ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
【0021】
2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基等が挙げられ、メチル基,エチル基が好ましい。
【0022】
このような式(1)で示される有機ケイ素化合物の具体例としては、下記化合物を挙げることができる。
CH3Si(OCH33、CH3Si(OC253、CH3Si(OCH(CH323、CH3CH2Si(OCH33、CH3CH2Si(OC253、CH3CH2Si(OCH(CH323、C36Si(OCH33、C36Si(OC253、C36Si(OCH(CH323、C49Si(OCH33、C49Si(OC253、C49Si(OCH(CH323、C511Si(OCH33、C511Si(OC253、C511Si(OCH(CH323、C613Si(OCH33、C613Si(OC253、C613Si(OCH(CH323
【0023】
このように示される各種シランを単独で使用しても2種類以上の混合物を使用してもよいし、混合シランの部分加水分解物を使用してもよい。即ち、(i)成分として当該技術分野において周知であるように、上記シランを部分加水分解縮合したアルコキシ基含有シロキサンを用いることができる。この場合の部分加水分解物のケイ素原子の数は2〜10、特に2〜4であることが好ましい。また、もう一つの作り方として、水中で炭素原子数1〜6のアルキルトリクロロシラン単独又はこれと炭素原子数1〜6のジアルキルジクロロシラン、トリアルキルクロロシランとの混合物と、メタノール又はエタノールとの反応により得られるものでもよい。この場合もケイ素原子数が2〜6、特に2〜4であることが好ましく、また、25℃で300mm2/s以下の粘度を有しているものが好ましく、特に1〜100mm2/sの粘度を有するものが好適である。
【0024】
本発明の(ii)成分は、下記一般式(2)で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物である。
34NR5−SiR6 n(OR23-n (2)
(但し、式中R2は上記と同様であり、R3,R4はそれぞれ水素原子、又は同一もしくは異種の炭素原子数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素原子数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素原子数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)
【0025】
上記式(2)中のR3,R4のアルキル基及びアミノアルキル基としては、例えばメチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,アミノメチル基,アミノエチル基,アミノプロピル基,アミノブチル基等が挙げられる。R5としては、例えばメチレン基,エチレン基,プロピレン基,ブチレン基等のアルキレン基が挙げられる。R6としては、例えばメチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基等が挙げられる。
【0026】
このような上記式(2)で示されるアミノ基含有アルコキシシランの具体例としては、H2N(CH22Si(OCH33、H2N(CH22Si(OCH2CH33、H2N(CH23Si(OCH33、H2N(CH23Si(OCH2CH33、CH3NH(CH23Si(OCH33、CH3NH(CH23Si(OCH2CH33、CH3NH(CH25Si(OCH33、CH3NH(CH25Si(OCH2CH33、H2N(CH22NH(CH23Si(OCH33、H2N(CH22NH(CH23Si(OCH2CH33、CH3NH(CH22NH(CH23Si(OCH33、CH3NH(CH22NH(CH23Si(OCH2CH33、C49NH(CH22NH(CH23Si(OCH33、C49NH(CH22NH(CH23Si(OCH2CH33、H2N(CH22SiCH3(OCH32、H2N(CH22SiCH3(OCH2CH32、H2N(CH23SiCH3(OCH32、H2N(CH23SiCH3(OCH2CH32、CH3NH(CH23SiCH3(OCH32、CH3NH(CH23SiCH3(OCH2CH32、CH3NH(CH25SiCH3(OCH32、CH3NH(CH25SiCH3(OCH2CH32、H2N(CH22NH(CH23SiCH3(OCH32、H2N(CH22NH(CH23SiCH3(OCH2CH32、CH3NH(CH22NH(CH23SiCH3(OCH32、CH3NH(CH22NH(CH23SiCH3(OCH2CH32、C49NH(CH22NH(CH23SiCH3(OCH32、C49NH(CH22NH(CH23SiCH3(OCH2CH32等が挙げられる。
【0027】
これらの中で、特に、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどが好適に用いられる。
【0028】
上記(i)及び(ii)成分の使用割合は、(i)成分100重量部に対して(ii)成分0.5〜49重量部、好ましくは5〜20重量部である。(ii)成分が0.5重量部未満だと水溶性が弱くなり、水溶液にした時の安定性が悪くなる。また、(ii)成分が49重量部を超えると撥水性、長期吸水防止性が悪くなったり、中性基材に処理したときに黄変が激しくなる。
【0029】
また、モル換算の場合、(i)成分のSi総量1モルに対し、(ii)成分0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。(ii)成分が0.01モル未満であると水溶性が弱くなり、水溶液にした時の安定性が悪くなることがある。また、(ii)成分が0.3モルを超えると撥水性、長期吸水防止性が悪くなったり、中性基材に処理したときに黄変が激しくなる場合がある。
【0030】
これら(i)及び(ii)成分を用いて(A)成分を製造するには、有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させればよい。この場合、最初に(i)成分を有機酸あるいは無機酸の存在下で加水分解し、この(i)加水分解物と(ii)成分とを混合し、有機酸あるいは無機酸の存在下、更に加水分解縮合させるのが好ましい。
【0031】
まず、(i)成分を加水分解する際に使用される有機酸及び無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、シュウ酸及びマレイン酸などから選ばれる少なくとも1種の酸が用いられるが、特に好適なのは酢酸、プロピオン酸である。この酸の使用量は、(i)成分100重量部に対して2〜40重量部、特に3〜15重量部が好ましい。
【0032】
加水分解の際は適度に溶剤で希釈した状態で行うのが好ましい。溶剤としては、アルコール系溶剤が好ましく、特にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、第三ブチルアルコールが好ましい。この溶剤の使用量は、(i)成分100重量部に対して50〜300重量部、特に70〜200重量部が好ましい。溶剤の使用量が50重量部より少ないと、縮合が進んでしまう場合があり、また、300重量部を超えると、加水分解に時間がかかる場合がある。
【0033】
また、(i)成分を加水分解させるために加える水量は、(i)成分1モルに対し、0.5〜4モル量、特に1〜3モル量が好適である。加える水量が0.5モル量より少ないとアルコキシ基が多く残存してしまう場合があり、4モル量を超えると縮合が進行しすぎる場合がある。
【0034】
(i)成分を加水分解させる際の反応条件は、反応温度10〜40℃、特に20〜30℃がよく、反応時間は1〜3時間で加水分解反応させるのがよい。
【0035】
以上で得られた(i)成分の加水分解物と(ii)成分とを反応させる。なお、反応条件は、反応温度60〜100℃、反応時間1〜3時間が好ましい。反応後、系内のアルコール含有量を30重量%以下となるように留去させる。特にアルコール含有量を10重量%以下にするのが好ましい。この時アルコール含有量が30重量%より多いと、水で希釈した場合、白濁したり、ゲル化が起こったり、保存安定性が悪くなる場合がある。アルコール除去方法は、反応後、溶剤の沸点以上まで温度を上げ、アルコール溶剤を留去させたり、減圧下で留去させる。極力長い時間熱をかけず、短時間でアルコールを留去するのが好ましい。あまり長い時間熱をかけると撥水剤の粘度が上昇し、作業性が悪くなったり、(A)成分自体の保存安定性が悪くなる場合がある。
【0036】
上記方法で製造できる反応生成物は、25℃の粘度が5〜2,000mm2/s、特には50〜500mm2/sが好ましい。この粘度が2,000mm2/sを超えると作業性が悪くなったり、(A)成分自体の保存安定性が悪くなったり、水希釈時、溶解しづらくなることがある。また(A)成分の重量平均分子量が500〜5,000、特に1,000〜2,000の範囲であることが好ましい。
【0037】
本発明の(A)成分は、上述した方法で得られる共加水分解・縮合反応生成物からなるものであり、水溶液中でうまく親水部(アミノ基、シラノール基)と疎水部(アルキルシリル基)が配向し、溶解或いはミセル状になるためか、(ii)成分が少量でも水溶性が発現する。そのため長鎖アルキルシラン成分がなくても撥水性が良好であり、また浸透性もよくなり、かつ基材に対する配向性のためか、撥水耐久性も向上する。また、水に希釈した際も、水中での重合反応が抑えられ、保存安定性も向上する。
【0038】
本発明の(B)成分は、従来から知られているピレスロイド系殺虫剤が好適に使用される。これは木材に処理した場合に、木材に防蟻性を付与するため、必要な成分である。
【0039】
ピレスロイド系殺虫剤の具体例としては、permethrin(ペルメトリン)、bifenthrin(ビフェントリン)、tefluthrin(テフルトリン)、empenthrin(エムフェントリン)、cyhalothrin(シハロトリン)、fenvarelate(フェンバレリエート)、flucythrinate(フルシトリネート)、fluvalinate(フルバリネート)、ethofenprox(エトフェンプロックス)、cyclopropathrin(シクロプロパトリン)、tralomethrin(トラロメトリン)、tralocythrin(トラロシトリン)、esfenvalerate(エスフェンバレリエート)などが好適に用いられる。
【0040】
これらピロスロイド系殺虫剤は、基本的に油溶性であるため、このままでは水に分散或いは溶解しない。本発明においてはこの殺虫剤成分を水に分散させるため、あらかじめ、殺虫剤に界面活性剤(乳化剤)を添加して水に分散(乳化)しやすいようにしてある方が好ましい。この時使用する界面活性剤としては、成分(A)との兼ね合いから、ノニオン、カチオン系の界面活性剤が好ましい。またその添加量は、(B)成分の0.1〜5重量%、特に0.1〜2重量%の範囲が好ましい。
【0041】
また、上記界面活性剤と併用して溶剤を用いることもできる。溶剤としては、殺虫剤成分が溶解するならば特に限定はないが、メタノールやエタノールなどのアルコール系溶剤、アセトンやMEK、MIBKなどのケトン系溶剤、ヘキサンやトルエン、キシレン、高沸点の炭化水素系化合物などの石油系溶剤が挙げられるが、特に石油系溶剤が好適に用いられる。この場合、使用する溶剤量は、(B)成分の10〜95重量%、特に60〜80重量%の範囲が好ましい。
【0042】
本発明の(C)成分は水であり、この水系撥水剤組成物の溶剤である。
【0043】
更に、本発明の木材用水系撥水剤組成物には、防菌・防黴性付与剤として、(D)下記一般式(3)で示される4級化アミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物を加えてもよい。これは木材に処理した場合、木材に防菌性、防黴性を付与させる成分である。
[(CH327N(CH23−SiR6 n(OR23-n+- (3)
(但し、式中R2、R6は上記と同様であり、R7は炭素原子数11〜22の1価炭化水素基である。nは0又は1である。XはClである。
【0044】
上記式(3)のR7は、−C1123基、−C1225基、−C1633基、−C1837基、−C2041基、−C2245基等が挙げられる。
【0045】
このような上記式(3)で示される4級化アミノ基含有アルコキシシランの具体例としては、
[C1633(CH32N(CH23Si(OCH33+Cl-
[C1633(CH32N(CH23Si(OCH2CH33+Cl-
[C1633(CH32N(CH23SiCH3(OCH32+Cl-
[C1633(CH32N(CH23SiCH3(OCH2CH32+Cl-
[C1837(CH32N(CH23Si(OCH33+Cl-
[C1837(CH32N(CH23Si(OCH2CH33+Cl-
[C1837(CH32N(CH23SiCH3(OCH32+Cl-
[C1837(CH32N(CH23SiCH3(OCH2CH32+Cl-
などが好適に用いられる。
【0046】
これら水系撥水剤組成物を構成する(A)、(B)、(C)及び(D)成分の混合割合は、
(A)成分:0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部、
(B)成分:0.0001〜0.1重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部、
(D)成分:好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜8重量部、
(C)成分:残部
である。(A)成分が0.1重量部未満であると撥水性能が弱くなり、30重量部を超えると経済的に高価となる。(B)成分が0.0001重量部未満であると防蟻性が弱くなり、0.1重量部を超えると経済的に高価となる。(D)成分が0.1重量部未満であると防菌性・防黴性が弱くなる場合があり、10重量部を超えると経済的に高価となる。なお、(A)〜(D)成分の合計量は100重量部である。
【0047】
本発明の水系撥水剤組成物には、更に、香料、着色剤、UV吸収剤、タンニン、調味料、防炎剤、難燃剤あるいはカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、水溶性アクリル樹脂、SBRラテックス、コロイダルシリカなどを副次的に添加してもよい。なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0048】
本発明の水系撥水剤組成物の製造方法は、上記各成分を単純に混合することにより製造することができる。
【0049】
本発明の水系撥水剤組成物は、木材、合成木材やパーチクルボードなど建築材料などの基材に好適に塗布することができ、また種々の塗料や仕上材のプライマーとしても好適である。
【0050】
本発明の水系撥水剤組成物を上記木材に処理する際は、そのままでも、水で有効成分量が0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%に希釈して使用してもよい。0.1重量%より薄く希釈すると本来の性能が発揮されないだけでなく、多量に塗布しなければならないので乾燥に時間を要する場合があり、また、20重量%よりも濃度が高い場合は、希釈が十分に行われず、粘性が高くなって中性基材への含浸性が悪くなり、塗り斑や変色が生じる場合がある。
【0051】
本発明の木材用水系撥水剤組成物を木材に塗布するには、ローラー、刷毛、スプレー等を用い、場合によっては浸漬法によってもよいし、常圧下又は減圧下で処理してもよい。また乾燥方法としては、室温下に放置してもよいし、天日乾燥、加熱乾燥によってもよい。
【0052】
このようにして木材に含浸された本発明の木材用水系撥水剤組成物は、加水分解・縮合反応により、強固で、かつ優れた撥水、防蟻、防菌・防黴層を形成する。そのため建築材料に塗布した場合、膨れ、腐食、黴など水に起因する種々の問題点の解決に役立つばかりでなく、種々の塗料や仕上材の下地防水プライマーとしても優れている。
【0053】
【実施例】
以下、合成例、実施例と比較例、及び使用例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0054】
〔合成例1〕
冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの四つ口フラスコにメチルトリメトキシシランのオリゴマー85g(ダイマー換算で0.37モル)、メタノール154g及び酢酸5.1gを入れ、撹拌しているところに水6.8g(0.37モル)を投入し、25℃で2時間撹拌した。そこに、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン8.9g(0.04モル)を滴下した。その後、メタノールの還流温度まで加熱して1時間反応させ、エステルアダプターにて、内温が110℃になるまでメタノールを留去し、粘度71mm2/sの薄黄色透明溶液81gを得た(重量平均分子量1,100)。このものの系内のメタノール残存量は5重量%であった(A−1)。
【0055】
〔合成例2〕
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを17.8g(0.08モル)とした以外は実施例1と同様に反応を行い、粘度116mm2/sの薄黄色透明溶液86gを得た(重量平均分子量1,200)。このもののメタノール残存量は5重量%であった(A−2)。
【0056】
〔合成例3〕
冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの四つ口フラスコにメチルトリメトキシシラン50.3g(0.37モル)、メタノール124g及び酢酸5.1gを入れ、撹拌しているところに水6.8g(0.37モル)を投入し、25℃で2時間撹拌した。そこに、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン8.9g(0.04モル)を滴下した。その後、メタノールの還流温度まで加熱して1時間反応させ、エステルアダプターにて、内温が110℃になるまでメタノールを留去し、粘度65mm2/sの薄黄色透明溶液43gを得た(重量平均分子量1,000)。このもののメタノール残存量は6重量%であった(A−3)。
【0057】
〔合成例4〕
冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの四つ口フラスコにプロピルトリメトキシシラン60.6g(0.37モル)、メタノール144g及び酢酸5.1gを入れ、撹拌しているところに水6.8g(0.37モル)を投入し、25℃で2時間撹拌した。そこに、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン8.9g(0.04モル)を滴下した。その後、メタノールの還流温度まで加熱して1時間反応させ、エステルアダプターにて、内温が110℃になるまでメタノールを留去し、粘度65mm2/sの薄黄色透明溶液51gを得た(重量平均分子量800)。このもののメタノール残存量は7重量%であった(A−4)。
【0058】
〔合成例5〕
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを3−アミノプロピルトリエトキシシラン17.7g(0.08モル)とした以外は、実施例1と同様に反応を行い、粘度220mm2/sの薄黄色透明溶液90gを得た(重量平均分子量1,300)。このもののメタノール残存量は5重量%であった(A−5)。
【0059】
〔合成例6〕
アスピレーター、温度計を備えた500mlの四つ口フラスコにメチルトリメトキシシラン136g(1.0モル)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン222.0g(1.0モル)及び水43.2g(2.4モル)を入れ、加熱撹拌しながらアスピレーターでストリップして60℃にし、薄黄色透明溶液を得た(重量平均分子量900)。このもののメタノール残存量は1重量%であった(A−6)。
【0060】
〔合成例7〕
デシルトリメトキシシラン10.5g(0.04モル)、メタノール8.8g、酢酸0.8g及び水2.2g(0.12モル)を混合し、25℃で1時間撹拌し、透明溶液を得た。冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの四つ口フラスコにメチルトリメトキシシランのオリゴマー85g(ダイマー換算で0.37モル)及びメタノール170gを入れ、撹拌しているところに上記デシルトリメトキシシラン加水分解物を滴下し、25℃で1時間撹拌した。その後、酢酸5.1g及び水6.7g(0.37モル)を投入し、25℃で1時間更に撹拌した。そこに、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン17.8g(0.08モル)を滴下した。その後、メタノールの還流温度まで加熱して1時間反応させ、エステルアダプターにて、内温が110℃になるまでメタノールを留去し、薄黄色透明溶液を得た(重量平均分子量1300)。このもののメタノール残存量は8重量%であった(A−7)。
【0061】
〔合成例8〕
冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの四つ口フラスコにメチルトリメトキシシランのオリゴマー85g(ダイマー換算で0.37モル)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン8.9g(0.04モル)を入れ、混合撹拌しているところに酢酸5.1gを投入し、25℃で1時間撹拌し、薄黄色透明溶液98gを得た。しかし、この溶液10重量部を水90重量部に希釈しようとしたが、希釈した途端にゲル化した。
【0062】
〔合成例9〕
冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの四つ口フラスコにメチルトリメトキシシランのオリゴマー85g(ダイマー換算で0.37モル)及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン8.9g(0.04モル)を入れ、撹拌しているところに水6.8g(0.37モル)を投入し、60℃で3時間撹拌反応させようとしたが、1時間反応後、反応液がゲル化した。
【0063】
〔合成例10〕
冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた1Lの四つ口フラスコにメチルトリメトキシシラン150g(1.1モル)と、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン100g(0.41モル)及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン20g(0.09モル)を入れ、撹拌しているところに水100g(5.55モル)とメタノール200gの混合液を30分間で滴下した。更に60℃で1時間撹拌反応させ、薄黄色透明溶液567gを得た。しかし、この溶液10重量部を水90重量部に希釈しようとしたが、希釈した途端にゲル化した。
【0064】
〔実施例、比較例〕
下記表1,2に示す配合組成の木材用水系撥水剤組成物を調製し、それらの性能を評価した。その結果を表3〜5に示す。
【0065】
なお、表1,2において、(D)の防菌・防黴成分は、3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムである。また、(B−1)の殺虫剤成分は、ビフェントリンである。添加形態としてビフェントリン20重量%、乳化剤としてエーテル型のノニオン系界面活性剤1重量%、キシレン79重量%からなるものであり、(B−2)の殺虫剤成分は、フェンバレリエートである。添加形態としてフェンバレリエート20重量%、乳化剤としてエーテル型のノニオン系界面活性剤1重量%、キシレン79重量%からなるものである。更に、(C)は、イオン交換水である。
【0066】
【表1】
Figure 0003981818
【0067】
【表2】
Figure 0003981818
【0068】
〔外観〕
実施例1〜7、比較例1〜3で調製した水系撥水剤組成物の外観を目視にて評価した。
〔保存安定性評価〕
実施例1〜7、比較例1〜3で調製した水系撥水剤組成物をプラスチック容器に入れ、室温下及び40℃下での保存安定性を評価した。
これらの結果を表3に示す。
【0069】
【表3】
Figure 0003981818
【0070】
〔使用例1〕
実施例1〜7、比較例1〜3で得られた水系撥水剤組成物及び水道水を、木材(スギ材及びラワン材:50×50×21mm)の全面に常温常圧で24時間浸漬処理して養生後、室温で1週間風乾し、評価用サンプルを作製した。
このサンプルについて、表面変色性、吸水性試験、腐朽菌及び埋没試験による木材腐朽試験、並びにイエシロアリ死虫率試験を下記方法で行った。
【0071】
(a)表面変色、吸水防止性能
スギ材(50×50×21mm)及びラワン材(50×50×21mm)の全面に撥水剤処理液中に常温常圧で24時間全面浸漬処理し、その後室温で7日間養生し、目視にて表面の変色(黄変)を観察した。評価基準は下記の通りである。引き続き、この供試体を水道水中に24時間全面浸漬させ、次式にて吸水率を算出した。これらの結果を表4に示す。
表面変色性
○:変色なし、 △:やや変色あり、 ×:変色
吸水率
吸水率(%)=〔{(吸水後の木片重量)−(吸水前の木片重量)}/(吸水前の木片重量)〕×100
【0072】
【表4】
Figure 0003981818
【0073】
(b)白色腐朽菌及び褐色腐朽菌による木材腐朽試験
防菌・防黴性能の評価のため、日本木材保存協会(JWPA)規格第3号−1992「木質材料の耐久性試験方法」に準拠して無機質複合化木材の腐朽試験を行った。60℃で48時間の乾燥、滅菌の後、ガラス瓶中の培養器で十分生育させた白色腐朽菌カワラタケ〔Coriolus versicolor(L.ex Fr.)Quel〕(IFO 30340)及び褐色腐朽菌オオウズラタケ〔Tyromyces palustris(Berk.et Curk.Murr.)〕(IFO303390)の菌叢上に調製した試験片を置いた。8週間、室温26℃,相対湿度55−65%の恒湿室で培養後、試験片を取り出し、試験片表面についた菌を取り除き、試験片の絶乾重量を求めた。予め計っておいた処理前の絶乾重量から腐朽菌による重量減少率(%)を求めた。その結果を表5に示す。
【0074】
(c)埋没試験による木材腐朽試験
アセトン及び水により、それぞれ24時間ソックスレー抽出した未処理の木材試験片及び撥水剤処理した木材試験片について、無殺菌土壌中(地上より17cm)での9ケ月の埋没試験を行い、試験前の絶乾重量と試験後の絶乾重量から重量減少率を算出して、腐朽の度合いの進行を推定した。その結果を表5に示す。
【0075】
(d)イエシロアリ死虫率試験
イエシロアリ200匹を未処理木材片、撥水剤処理木材片を入れた容器に入れ、20日間放置後のイエシロアリの死中率を測定した。その結果を表5に示す。
【0076】
【表5】
Figure 0003981818
【0077】
【発明の効果】
本発明で得られる木材用水系撥水剤組成物は、ピレスロイド系薬剤が添加されているにも拘わらず、非エマルジョンタイプの水系撥水剤であり、その優れた浸透性により、木材深部まで薬剤を均一に処理可能である。
更に優れた保存安定性を有し、木材に対する撥水剤として使用でき、木材に塗布又は含浸して優れた撥水性、防蟻性及び防菌・防黴性を与え、その効果も薬剤成分が溶脱しにくいため、長期に渡って持続可能である。

Claims (5)

  1. (A)(i)下記一般式(1)
    (R1a(OR2bSiO(4-a-b)/2 (1)
    (但し、式中R1は炭素原子数1〜6のアルキル基、R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b≦4.0を満足する正数である。)で示される有機ケイ素化合物100重量部と、
    (ii)下記一般式(2)
    34NR5−SiR6 n(OR23-n (2)
    (但し、式中R2は上記と同様であり、R3,R4はそれぞれ水素原子、又は同一もしくは異種の炭素原子数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素原子数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素原子数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物0.5〜49重量部を有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させた共加水分解縮合物
    0.1〜30重量部、
    (B)ピレスロイド系殺虫剤 0.0001〜0.1重量部、
    (C)水
    を含み、(A)〜(C)成分の合計量が100重量部である木材用水系撥水剤組成物を製造する方法であって、上記(B)ピレスロイド系殺虫剤をノニオン又はカチオン系界面活性剤と共に石油系溶剤にて溶解させたものを、上記(A)、(C)成分と混合することを特徴とする木材用水系撥水剤組成物の製造方法
  2. (A)(i)下記一般式(1)
    (R1a(OR2bSiO(4-a-b)/2 (1)
    (但し、式中R1は炭素原子数1〜6のアルキル基、R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b≦4.0を満足する正数である。)で示される有機ケイ素化合物100重量部と、
    (ii)下記一般式(2)
    34NR5−SiR6 n(OR23-n (2)
    (但し、式中R2は上記と同様であり、R3,R4はそれぞれ水素原子、又は同一もしくは異種の炭素原子数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素原子数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素原子数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物0.5〜49重量部を有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させた共加水分解縮合物
    0.1〜30重量部、
    (B)ピレスロイド系殺虫剤 0.0001〜0.1重量部、
    (D)下記一般式(3)
    [(CH327N(CH23−SiR6 n(OR23-n+- (3)
    (但し、式中R2、R6は上記と同様であり、R7は炭素原子数11〜22の1価炭化水素基である。nは0又は1である。XはClである。)
    で示される4級化アミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物
    0.1〜10重量部
    (C)水
    を含み、(A)〜(D)成分の合計量が100重量部である木材用水系撥水剤組成物を製造する方法であって、上記(B)ピレスロイド系殺虫剤をノニオン又はカチオン系界面活性剤と共に石油系溶剤にて溶解させたものを、上記(A)、(C)、(D)成分と混合することを特徴とする木材用水系撥水剤組成物の製造方法。
  3. 一般式(1)のR1が、メチル基であることを特徴とする請求項1又は2記載の木材用水系撥水剤組成物の製造方法
  4. (ii)成分のアミノ基含有アルコキシシランが、
    Figure 0003981818
    であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の木材用水系撥水剤組成物の製造方法
  5. (A)成分が、(i)成分を有機酸又は無機酸及びアルコールの存在下で加水分解させ、次に(ii)成分と反応させ、次いで系内のアルコールを系外に除去することにより得られたものである請求項1乃至4のいずれか1項記載の木材用水系撥水剤組成物の製造方法
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