JP2013059870A - 改質木質材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】寸法精度が高く、寸法安定性にも優れた改質木質材を歩留り良く効率的に製造することができる改質木質材の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の改質木質材の製造方法は、単板等の構成要素どうしを結合して得た木質材1を180℃以上の高温で加熱処理することを特徴とする。木質材は、例えばLVL、合板、集成材等である。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の改質木質材の製造方法は、単板等の構成要素どうしを結合して得た木質材1を180℃以上の高温で加熱処理することを特徴とする。木質材は、例えばLVL、合板、集成材等である。
【選択図】図1
Description
本発明は、改質木質材の製造方法に関する。
木材を改質する方法として、含水率50〜200%程度の木材を、通常の強制乾燥に加え、200℃前後の高温で一定時間熱処理することにより、高い寸法安定性を得ることが可能なことが知られている(特許文献1参照)。しかし、熱処理時の木材収縮のバラツキが大きく、寸法精度の高い木材を得るためには、処理後に再度研削が必要であり、製造工程で歩留りの大幅な低下を招く。また、高温での長時間の熱処理によってヘミセルロースの分解が進み、強度の低下が起きる。
斯かる問題が生じにくい熱処理の方法としては、特許文献2には、高温飽和水蒸気を用いた木材の改質処理方法が記載され、特許文献3には、熱盤を用いて圧縮固定した状態の木材に高圧水蒸気を供給する木材の熱処理方法が記載されている。しかし、水蒸気での処理では熱回収効率が低く、熱盤を用いる方法では、熱盤に木材からの樹脂成分が付着し易いなどの問題がある。
また、木材の寸法安定性を高めるために薬剤を用いる方法も提案されている(例えば、特許文献4,5参照)。しかし、薬剤を用いる方法は、塗布だけでは効果が限定的であり、含浸処理する場合においても、含浸ムラが生じることは避けられない上、十分な効果を得るためには、相当量の含浸が必要となりコスト高となる恐れがある。
また、特許文献6には、高温下で所定時間加熱処理して得られるサーモウッド(熱処理木材)を複数枚貼り合わせて集成材とすることが記載されている。即ち、特許文献6では、集成材の個々の要素である製材品の段階で高温処理をしている。そのため、熱処理した個々の要素に反りや変形が生じ易く、それらを貼り合わせる前に、そのそれぞれに研削処理を施す必要がある等、集成材を効率良く生産することができない。
従って、本発明の目的は、寸法精度が高く、寸法安定性にも優れた改質木質材を歩留り良く効率的に製造することのできる改質木質材の製造方法を提供することにある。
本発明は、構成要素どうしを結合して得た木質材を180℃以上の高温で加熱処理することを特徴とする、改質木質材の製造方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
本発明の改質木質材の製造方法によれば、寸法精度が高く、寸法安定性にも優れた改質木質材を歩留り良く効率的に製造することができる。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明においては、構成要素どうしを結合して得た木質材に対して高温による加熱処理(以下、高温加熱処理ともいう)を行う。
本発明における木質材としては、(1)LVL、(2)合板、(3)集成材、(4)パーティクルボード、(5)ファイバーボード、(6)OSB、(7)OSL(Oriented Strand Lumber)、(8)LSL(Laminated Strand Lumber)等が挙げられる。木質材は、構成要素どうしを結合して得られるもので、製材品、無垢材は含まれない。
本発明においては、構成要素どうしを結合して得た木質材に対して高温による加熱処理(以下、高温加熱処理ともいう)を行う。
本発明における木質材としては、(1)LVL、(2)合板、(3)集成材、(4)パーティクルボード、(5)ファイバーボード、(6)OSB、(7)OSL(Oriented Strand Lumber)、(8)LSL(Laminated Strand Lumber)等が挙げられる。木質材は、構成要素どうしを結合して得られるもので、製材品、無垢材は含まれない。
(1)LVL
LVL(Laminated Veneer Lumber,単板積層材)は、ロータリーレースやスライサーなどにより木材を切削して得た単板(veneer)を、繊維方向を平行にして複数枚重ね、それらを熱圧接着して得られる木質材である。LVLは、軸材として用いる改質木質材を得る観点等から、図1に示すLVL(単板積層材)1のように、一方向(X方向、繊維配向方向)に長い形状を有していることが好ましい。軸材として用いる改質木質材は、例えば、木造住宅等における、柱、梁、桁、間柱、土台、根太、棟木、垂木、母屋、小屋束筋交等として用いられる。
LVL(Laminated Veneer Lumber,単板積層材)は、ロータリーレースやスライサーなどにより木材を切削して得た単板(veneer)を、繊維方向を平行にして複数枚重ね、それらを熱圧接着して得られる木質材である。LVLは、軸材として用いる改質木質材を得る観点等から、図1に示すLVL(単板積層材)1のように、一方向(X方向、繊維配向方向)に長い形状を有していることが好ましい。軸材として用いる改質木質材は、例えば、木造住宅等における、柱、梁、桁、間柱、土台、根太、棟木、垂木、母屋、小屋束筋交等として用いられる。
LVLは、厚み方向の総ての層の単板の繊維の配向方向が揃っていることが好ましいが、厚み方向の一部(例えば、表裏面それぞれから2番目の層)に、繊維の配向方向が他の層と交差する層を有していても良い。但し、厚み方向の中央部に、繊維方向を平行にして積層された複数の単板からなるコア部を有することが好ましく、該コア部を構成する単板の積層数は、LVLの単板の全積層数の半分以上であることが好ましい。LVL全体の単板の積層数は、例えば、7〜32層とすることができ、12〜22層であることが好ましい。
LVLの単板を得る木材の樹種としては、従来、LVLの製造に用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、杉、檜、カラマツ等の国産材の他、ラジアータパイン、ロシアカラマツ、ダグラスファー等の外国産材が挙げられる。
LVLの単板を得る木材の樹種としては、従来、LVLの製造に用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、杉、檜、カラマツ等の国産材の他、ラジアータパイン、ロシアカラマツ、ダグラスファー等の外国産材が挙げられる。
また、LVLの表裏面を形成する単板は、単板の木表と木裏のうち木表側をLVLの表裏面に配することが好ましい。単板をロータリーレース等で、かつらむきして製造する場合、単板を平面状に拡げる際に木裏側には細かい割れが生じやすいのに対して、木表側には、そのような割れが少ないので、木表側をLVLの表裏面に配することにより、経年劣化による表面割れを減少させることができる。
(2)合板
合板は、ロータリーレースやスライサーなどにより木材を切削して得た単板を、繊維方向が互い違いとなるように複数枚重ねて熱圧接着して得られる木質材である。
合板は、ロータリーレースやスライサーなどにより木材を切削して得た単板を、繊維方向が互い違いとなるように複数枚重ねて熱圧接着して得られる木質材である。
(3)集成材
集成材は、ひき板又は小角材などを、繊維方向を互いに平行にして、長さ、幅及び厚さ方向に集成接着してなる狭義の集成材の他、ひき板又は小角材などを、直交する2方向(長さ及び幅の2方向等)に集成接着したものも含まれる。但し、本発明における集成材には、LVL及び合板は含まれない。
集成材は、ひき板又は小角材などを、繊維方向を互いに平行にして、長さ、幅及び厚さ方向に集成接着してなる狭義の集成材の他、ひき板又は小角材などを、直交する2方向(長さ及び幅の2方向等)に集成接着したものも含まれる。但し、本発明における集成材には、LVL及び合板は含まれない。
集成材には、図2に示すように、ひき板や小角材から得たブロック状の小片21を、それぞれの両木口面21a,21bがパネルの上下面2a,2bを形成するように集成接着してなるエンドグレインパネル2も含まれる。
エンドグレインパネルは、低比重材からなることが好ましい。即ち、エンドグレインパネルは、その構成要素である小片が、低比重の樹種から得られた低比重材からなることが好ましい。エンドグレインパネルを低比重材の小片から構成すると、後の高温加熱処理の際に、ブロック状の小片どうし間に隙間が生じにくくなる。そのため、小片間の密着度の高い断熱性に優れた改質エンドグレインパネルを得ることができる。
低比重材の原木の樹種としては、ファルカタ、バルサ、キリ、スギ等が挙げられるが、特にバルサであることが好ましい。熱改質後のエンドグレインパネルの比重は、0.08〜0.25g/cm3、特に0.10〜0.20g/cm3であることが好ましい。改質エンドグレインパネルは、例えば、断熱性能や軽量性を活かして、家屋や船舶等における断熱材や内装材等として用いられる。
エンドグレインパネルは、低比重材からなることが好ましい。即ち、エンドグレインパネルは、その構成要素である小片が、低比重の樹種から得られた低比重材からなることが好ましい。エンドグレインパネルを低比重材の小片から構成すると、後の高温加熱処理の際に、ブロック状の小片どうし間に隙間が生じにくくなる。そのため、小片間の密着度の高い断熱性に優れた改質エンドグレインパネルを得ることができる。
低比重材の原木の樹種としては、ファルカタ、バルサ、キリ、スギ等が挙げられるが、特にバルサであることが好ましい。熱改質後のエンドグレインパネルの比重は、0.08〜0.25g/cm3、特に0.10〜0.20g/cm3であることが好ましい。改質エンドグレインパネルは、例えば、断熱性能や軽量性を活かして、家屋や船舶等における断熱材や内装材等として用いられる。
(4)パーティクルボード
パーティクルボードは、木材の切削や破砕等により得た小片(エレメント)を接着剤と共に混合してマット状としたものを熱圧締して得られる木質ボードである。
(5)ファイバーボード(繊維板)
ファイバーボードは、木材の蒸射・解繊等により得た木材繊維(エレメント)を接着剤と混合してマット状としたものを熱圧締して得られる木質ボードである。ファイバーボードとしては、MDF(中比重繊維板)、やハードボード(HB)、インシュレーションボードが挙げられる。
(6)OSB
OSB(Oriented Strand Board,配向性ストランドボード)は、薄い削片状にした原料のエレメントを配向させて積層、接着したものである。エレメントは、パーティクルボードに用いられるものより面積が大きく薄い形状をしており木材の異方性をより多く残している。
パーティクルボードは、木材の切削や破砕等により得た小片(エレメント)を接着剤と共に混合してマット状としたものを熱圧締して得られる木質ボードである。
(5)ファイバーボード(繊維板)
ファイバーボードは、木材の蒸射・解繊等により得た木材繊維(エレメント)を接着剤と混合してマット状としたものを熱圧締して得られる木質ボードである。ファイバーボードとしては、MDF(中比重繊維板)、やハードボード(HB)、インシュレーションボードが挙げられる。
(6)OSB
OSB(Oriented Strand Board,配向性ストランドボード)は、薄い削片状にした原料のエレメントを配向させて積層、接着したものである。エレメントは、パーティクルボードに用いられるものより面積が大きく薄い形状をしており木材の異方性をより多く残している。
本発明の好ましい実施態様においては、上述した各木質材を、それぞれに記載した構成要素どうしを結合させて製造する。木質材の製造方法としては、木質材の種類に応じてその木質材を製造する従来公知の方法を特に制限なく用い得るが、構成要素どうしの結合に用いる接着剤としては、後述する高温加熱処理の際に、接着剤が熱劣化する観点から、メラミン樹脂接着剤、フェノール樹脂接着剤等の熱硬化型の接着剤を用いることが好ましく、特に、フェノール樹脂接着剤を用いることがより好ましい。
また、木質材の構成要素は、他の構成要素と接合する前に、含水率が12%以下となるまで乾燥させておくことが好ましい。木質材に対して加熱処理を施す前の構成要素単独の段階で乾燥させておくことにより、原木から改質木質材を得るまでのトータルの処理時間を短縮させることができ、また、原木から改質木質材を得るまでのトータルでの歩留まりを向上させたりすることができる。
次いで、得られた木質材に対して高温による加熱処理を行う。
高温加熱処理は、180℃以上の高温下に木質材を所定時間置くことにより行う。高温加熱処理の温度は250℃以下であることが好ましい。木質材を、180〜250℃の範囲(より好ましくは180〜230℃の範囲)の高温で処理する時間は、60分以上であることが好ましく、より好ましくは1〜5時間であり、更に好ましくは2〜4時間である。
高温加熱処理により木質材は、吸湿性が低下し、吸湿や吸水による寸法の変化や腐朽が生じにくいものに改質される。
高温加熱処理は、180℃以上の高温下に木質材を所定時間置くことにより行う。高温加熱処理の温度は250℃以下であることが好ましい。木質材を、180〜250℃の範囲(より好ましくは180〜230℃の範囲)の高温で処理する時間は、60分以上であることが好ましく、より好ましくは1〜5時間であり、更に好ましくは2〜4時間である。
高温加熱処理により木質材は、吸湿性が低下し、吸湿や吸水による寸法の変化や腐朽が生じにくいものに改質される。
この高温加熱処理には、例えば、木質材を内部に収容可能な加熱室、該加熱室内の空気を180℃以上の高温に加温可能な加熱手段、該加熱室内の温度を空気の入れ換え等により低下させる降温手段を備えた加熱装置が好ましく用いられる。加熱室は、内部に複数本の木質材を、相互間に隙間を設けて多数配置できるものが好ましい。また、木質材は、その周囲を空気が流通可能な状態に支持して処理することが好ましい。加熱室は、内部に温度ムラが生じないように内部の空気を攪拌する手段を備えたものが好ましい。
加熱手段としては、電熱ヒータや、蒸気等の熱媒が内部を流通する加熱管等を用いることができる。降温手段としては、例えば、加熱室内の熱を外部に逃がす熱交換器を設けることができる。また、加熱装置は、木質材を、大気圧下で加熱可能なものが好ましい。
図3は、高温加熱処理を行う際の温度制御の一例を示すグラフである。
図3のグラフに示されるように、高温加熱処理は、好ましくは、昇温工程、高温維持工程及び降温工程を経て行う。
昇温工程では、木質材を収容した加熱室内の温度を、蒸気を併用した加熱により100℃付近まで一気に上昇させ、次いで、蒸気を併用しない加熱により、加熱室内の温度を、高温維持工程の180℃以上の設定温度(図示例では215℃)まで徐々に上昇させる。
そして、高温維持工程では、加熱室内の温度を前記の設定温度(図示例では215℃)に所定時間維持し、降温工程では、熱交換器での冷却や無酸素の気体を導入することが好ましい。
図3のグラフに示されるように、高温加熱処理は、好ましくは、昇温工程、高温維持工程及び降温工程を経て行う。
昇温工程では、木質材を収容した加熱室内の温度を、蒸気を併用した加熱により100℃付近まで一気に上昇させ、次いで、蒸気を併用しない加熱により、加熱室内の温度を、高温維持工程の180℃以上の設定温度(図示例では215℃)まで徐々に上昇させる。
そして、高温維持工程では、加熱室内の温度を前記の設定温度(図示例では215℃)に所定時間維持し、降温工程では、熱交換器での冷却や無酸素の気体を導入することが好ましい。
高温加熱処理は、昇温工程において加熱室内の温度が180℃以上となった時点から、降温工程において温度が180℃未満となるまで継続される。
高温加熱処理は、190〜240℃の範囲の温度を、1〜5時間維持して行うことがより好ましく、200〜230℃の範囲の温度を2〜4時間維持して行うことが更に好ましい。また、高温加熱処理は、木質材の材中心部の温度が180℃以上に達するまで行うことが好ましく、材中心部の温度が190℃以上に達するまで行うことがより好ましい。また、高温加熱処理は、材中心部の温度が、高温維持工程の設定温度に達するまで行うことが更に好ましい。図3のグラフ中、「室温」は、加熱室内の温度、「材温」は、木質材の材中心部の温度である。材中心部の温度は、木質材が軸材の場合、長手方向中央部における断面の中心部の温度である。
高温加熱処理は、190〜240℃の範囲の温度を、1〜5時間維持して行うことがより好ましく、200〜230℃の範囲の温度を2〜4時間維持して行うことが更に好ましい。また、高温加熱処理は、木質材の材中心部の温度が180℃以上に達するまで行うことが好ましく、材中心部の温度が190℃以上に達するまで行うことがより好ましい。また、高温加熱処理は、材中心部の温度が、高温維持工程の設定温度に達するまで行うことが更に好ましい。図3のグラフ中、「室温」は、加熱室内の温度、「材温」は、木質材の材中心部の温度である。材中心部の温度は、木質材が軸材の場合、長手方向中央部における断面の中心部の温度である。
このような高温加熱処理により木質材が改質されて改質木質材が得られる。
上述した加熱装置の構成や温度の変化のさせ方は、あくまでも一例であり、温度の昇温速度、高温維持工程の温度や時間、降温工程の降温速度等は、適宜に変更して実施することができる。
上述した加熱装置の構成や温度の変化のさせ方は、あくまでも一例であり、温度の昇温速度、高温維持工程の温度や時間、降温工程の降温速度等は、適宜に変更して実施することができる。
高温加熱処理後の改質木質材は、必要に応じて、プレーナー加工、面取り加工、穴あけ加工、溝加工、本実加工等の後処理を行う。
また、改質木質材には、意匠性の向上の観点から、樹脂フィルムや化粧紙等の化粧用のシートを貼着しても良く、意匠性の向上や耐水性や耐候性の向上の観点から有色又は無色の塗装を施しても良い。
また、改質木質材には、意匠性の向上の観点から、樹脂フィルムや化粧紙等の化粧用のシートを貼着しても良く、意匠性の向上や耐水性や耐候性の向上の観点から有色又は無色の塗装を施しても良い。
本発明の改質木質材の製造方法で製造された改質木質材は、多様な用途に用いることができ、その用途に特に制限はないが、吸湿性が低く、耐腐朽性に優れる点から、建物の外装材、ウッドデッキ材、戸外に設置する机、椅子、花台等の構成部材、外構フェンスや花壇の柵、植物のプランターの構成部材、子供の遊具の構成部材等として用いたり、吸湿性が低く、寸法安定性に優れる点から、木造住宅等における前述した各種の軸材、屋根、天井、壁、床等の下地材として用いる面材、住宅の内装、外装材、家具の構成部材等として用いたり、吸湿性が低く、断熱性の安定性に優れる点から、断熱材、船舶の内部等の、湿気の多い場所に用いられる断熱材等として用いたりすることが好ましい。また、手すり等の強度を必要とする部材として用いることも好ましい。
本発明の方法で製造した改質木質材どうしを接合して大断面化し、それを梁材、桁材等として用いることもできる。例えば、厚みが25mm以上、幅が50mm以上、長さ200mm以上の改質LVLを複数本製造した後、その改質LVLを厚み方向に複数本積層して、大断面の軸材等として用いることもできる。改質LVLどうし間の接合には、LVLの製造に用いた接着剤と同じ接着剤を用いても良いし、異なる接着剤を用いても良い。また、改質LVLを重ねたものを熱圧締して接合させることも好ましい。
次に、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。以下の説明において、特に断らない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。
1.LVL及び改質LVLの製造
ロータリーレースでラジアータパインから約3mm厚の生単板を得、それを180℃のロールドライヤーに連続的に導入して乾燥させ、含水率が約6%の単板を得た。得られた単板を、層間にフェノール樹脂系接着剤を介在させて複数枚重ね、それを、熱盤を220℃に加熱したホットプレスで熱圧締して厚み38mmのLVLを得た。そして、そのLVLを切断して、厚み38mm、幅(板目方向の寸法)75mm、長さ(柾目方向の寸法)75mmの寸法の試験片を多数製造した。LVLを構成する単板は、総て繊維の配向方向を平行とした。
ロータリーレースでラジアータパインから約3mm厚の生単板を得、それを180℃のロールドライヤーに連続的に導入して乾燥させ、含水率が約6%の単板を得た。得られた単板を、層間にフェノール樹脂系接着剤を介在させて複数枚重ね、それを、熱盤を220℃に加熱したホットプレスで熱圧締して厚み38mmのLVLを得た。そして、そのLVLを切断して、厚み38mm、幅(板目方向の寸法)75mm、長さ(柾目方向の寸法)75mmの寸法の試験片を多数製造した。LVLを構成する単板は、総て繊維の配向方向を平行とした。
製造した試験片は、その一部の試験片を、高温加熱処理を行わない未処理の試験片として残し、残りの試験片については、加熱室に収容し、加熱室内の温度を図3に示すグラフのように変化させて高温加熱処理を行った。
高温加熱処理の高温維持工程は、材温が、高温維持工程の設定温度である215℃に達した時点を目安に終了させた。室温を215℃に維持した時間(高温維持工程の時間)は、180分であり、室温が180℃以上であった時間は200分であった。
高温加熱処理の高温維持工程は、材温が、高温維持工程の設定温度である215℃に達した時点を目安に終了させた。室温を215℃に維持した時間(高温維持工程の時間)は、180分であり、室温が180℃以上であった時間は200分であった。
2.吸湿吸水性、寸法安定性の評価
未処理の試験片と高温加熱処理を行った試験片を、それぞれ8個用意し、それらを、105℃で24時間乾燥して絶乾状態にした後、70℃の温水に1時間浸漬し、次いで、温度20℃、相対湿度60%の恒温恒湿室内に48時間放置して調湿した。
温水浸漬30分後、温水浸漬1時間後、4時間調湿後、24時間調湿後及び48時間調湿後の各時点において試験片の質量、厚み及び幅を測定し、各時点の吸水率、厚み膨潤率及び幅膨潤率を算出した。表1に、未処理の8つの試験片(比較例)の平均値と、高温加熱処理を行った8つの試験片(実施例)の平均値を示した。
未処理の試験片と高温加熱処理を行った試験片を、それぞれ8個用意し、それらを、105℃で24時間乾燥して絶乾状態にした後、70℃の温水に1時間浸漬し、次いで、温度20℃、相対湿度60%の恒温恒湿室内に48時間放置して調湿した。
温水浸漬30分後、温水浸漬1時間後、4時間調湿後、24時間調湿後及び48時間調湿後の各時点において試験片の質量、厚み及び幅を測定し、各時点の吸水率、厚み膨潤率及び幅膨潤率を算出した。表1に、未処理の8つの試験片(比較例)の平均値と、高温加熱処理を行った8つの試験片(実施例)の平均値を示した。
吸水率、厚み膨潤率及び幅膨潤率は、下記式に従って算出した。
吸水率(%)=(A−B)/B ×100
(但し、A:各時点の試験片の質量、B:絶乾状態の試験片の質量)
厚み膨潤率(%)=(C−D)/D ×100
(但し、C:各時点の試験片の厚み、D:絶乾状態の試験片の厚み)
幅膨潤率(%)=(E−F)/F ×100
(但し、E:各時点の試験片の幅、F:絶乾状態の試験片の幅)
吸水率(%)=(A−B)/B ×100
(但し、A:各時点の試験片の質量、B:絶乾状態の試験片の質量)
厚み膨潤率(%)=(C−D)/D ×100
(但し、C:各時点の試験片の厚み、D:絶乾状態の試験片の厚み)
幅膨潤率(%)=(E−F)/F ×100
(但し、E:各時点の試験片の幅、F:絶乾状態の試験片の幅)
3.強度(曲げヤング係数、曲げ強さ)の評価
上記の「1.LVL及び改質LVLの製造」に記載した方法と同様にして、ラジアータパインから厚み38mmのLVLを得た。但し、LVLの寸法は、厚み(柾目方向)38mm、幅(板目方向の寸法)90mm、長さ(繊維方向の寸法)2000mmとし、同一寸法のLVLを12本以上製造した。
製造した12本のLVLは、そのそれぞれを、長さ方向の中央部で切断し、その半分を、高温加熱処理を行わない未処理の試験片とし、残りの半分を、高温加熱処理を行う試験片とした。高温加熱処理を行う試験片については、加熱室内の温度を図3に示すグラフのように変化させて、上記と同様の高温加熱処理を行った。
上記の「1.LVL及び改質LVLの製造」に記載した方法と同様にして、ラジアータパインから厚み38mmのLVLを得た。但し、LVLの寸法は、厚み(柾目方向)38mm、幅(板目方向の寸法)90mm、長さ(繊維方向の寸法)2000mmとし、同一寸法のLVLを12本以上製造した。
製造した12本のLVLは、そのそれぞれを、長さ方向の中央部で切断し、その半分を、高温加熱処理を行わない未処理の試験片とし、残りの半分を、高温加熱処理を行う試験片とした。高温加熱処理を行う試験片については、加熱室内の温度を図3に示すグラフのように変化させて、上記と同様の高温加熱処理を行った。
このようにして得た12本の未処理の試験片(表2中、未処理1−12と表記)と高温加熱処理を行った12本の試験片(表2中、熱処理1−12と表記)について、木造住宅等の構造材、特に主要構造材として用いることを想定して、曲げヤング係数(GPa)及び曲げ強さ(MPa)を計測した。それらの結果を表2に示した。
曲げヤング係数及び曲げ強さの測定方法は、構造用単板積層材に関して日本農林規格(JAS)に規定される方法に基づいて行った。また、物性比較は、使用される頻度の高い縦使い方向で行った。
なお、曲げヤング係数(GPa)及び曲げ強さ(MPa)は、試験片を、温度20℃、相対湿度60%の恒温恒湿室内に2週間放置し、含水率がほぼ平衡に達してから測定した。表2に、このようにして測定した試験片の平衡含水率を併せて示した。
含水率は下記式に従って算出した。
含水率(%)=W1−W2/W2 ×100
(但し、W1:乾燥前の試験片の質量、W2:絶乾状態の試験片の質量)
曲げヤング係数及び曲げ強さの測定方法は、構造用単板積層材に関して日本農林規格(JAS)に規定される方法に基づいて行った。また、物性比較は、使用される頻度の高い縦使い方向で行った。
なお、曲げヤング係数(GPa)及び曲げ強さ(MPa)は、試験片を、温度20℃、相対湿度60%の恒温恒湿室内に2週間放置し、含水率がほぼ平衡に達してから測定した。表2に、このようにして測定した試験片の平衡含水率を併せて示した。
含水率は下記式に従って算出した。
含水率(%)=W1−W2/W2 ×100
(但し、W1:乾燥前の試験片の質量、W2:絶乾状態の試験片の質量)
4.エンドグレインパネル(以下、EGPという)及び改質EGPの製造
図4(a)に示すように、バルサ材からなる複数本の小角材20を、隣り合う小角材20間にメラミン樹脂系接着剤を介在させ横一列に配置し、これらを横方向から加圧して接着一体化させた。次いで、この複合材を、小角材20の木口面が位置する一端から所定の幅で順次切断して、図4(b)に示すように、ブロック状の小片21が複数繋がった棒状中間体22を複数本得た。そして、それらの棒状中間体22を、小片21の木口面21a,21bがパネルの上下面を形成するように向きを代えた後、図4(c)に示すように、その棒状中間体22の側面どうしを、メラミン樹脂系接着剤を介して接合させた。そして、得られたEGPの周囲を平面視矩形状となるように切断して、厚み35mm、幅920mm、長さ1830mmのEGPを得た。
そして、そのEGPを切断して、厚み35mm、幅150mm、長さ150mmの寸法の12個のEGP試験片を得た。
図4(a)に示すように、バルサ材からなる複数本の小角材20を、隣り合う小角材20間にメラミン樹脂系接着剤を介在させ横一列に配置し、これらを横方向から加圧して接着一体化させた。次いで、この複合材を、小角材20の木口面が位置する一端から所定の幅で順次切断して、図4(b)に示すように、ブロック状の小片21が複数繋がった棒状中間体22を複数本得た。そして、それらの棒状中間体22を、小片21の木口面21a,21bがパネルの上下面を形成するように向きを代えた後、図4(c)に示すように、その棒状中間体22の側面どうしを、メラミン樹脂系接着剤を介して接合させた。そして、得られたEGPの周囲を平面視矩形状となるように切断して、厚み35mm、幅920mm、長さ1830mmのEGPを得た。
そして、そのEGPを切断して、厚み35mm、幅150mm、長さ150mmの寸法の12個のEGP試験片を得た。
12個のEGP試験片は、そのうちの6個を、高温加熱処理を行わない未処理の試験片とし、残りの6個を、高温加熱処理を行う試験片とした。高温加熱処理を行う試験片については、加熱室内の温度を図3に示すグラフのように変化させて、上記と同様の高温加熱処理を行った。
5.改質EGPの評価
このようにして得た6個の未処理の試験片と高温加熱処理を行った6個の試験片について、それらを、105℃で24時間乾燥して絶乾状態にした後、温度80℃、相対湿度90%の恒温恒湿器内に入れて、24時間吸湿させた。
絶乾状態と吸湿後の試験片について、質量、寸法等を計測して試験片の含水率及び比重を算出すると共に試験片の熱伝導率を測定し、表3に、未処理の6個の試験片(比較例)の平均値と、高温加熱処理を行った6個の試験片(実施例)の平均値を示した。
このようにして得た6個の未処理の試験片と高温加熱処理を行った6個の試験片について、それらを、105℃で24時間乾燥して絶乾状態にした後、温度80℃、相対湿度90%の恒温恒湿器内に入れて、24時間吸湿させた。
絶乾状態と吸湿後の試験片について、質量、寸法等を計測して試験片の含水率及び比重を算出すると共に試験片の熱伝導率を測定し、表3に、未処理の6個の試験片(比較例)の平均値と、高温加熱処理を行った6個の試験片(実施例)の平均値を示した。
熱伝導率は、京都電子工業(株)製の熱伝導率計(QTM−500)を用いて、ホットワイヤ法にて計測した。
表1中の実施例と比較例の結果の対比から、本発明で製造した改質木質材は、吸湿吸水性が低下し、吸湿吸水に対する寸法安定性が向上していることが判る。また、表2中の含水率の平均値を比較すると、未処理(比較例)の平均値が11.5%であるのに対して熱処理(実施例)の平均値は5.4%であり、本発明で製造した改質木質材は、温度20℃、相対湿度60%という通常の環境下でも、改質前に比して、吸湿しにくくなっていることが判る。また、表3中の吸湿後の含水率の値の比較から、本発明で製造した改質木質材は、温度80℃相対湿度90%という高温高湿度の過酷な環境でも、吸湿しにくくなっていることが判る。
また、本発明では、木質材の構成要素を結合して木質材とした後に高温加熱処理を行うため、製材品や無垢材に高温処理する場合に比べて、高温加熱処理のデメリットである木材の節目等が加熱により弱くなるという欠点が顕在化しにくく、強度に優れた改質木質材が得られる。
例えば、表2は、LVLの場合であるが、曲げヤング係数及び曲げ強さの平均値を比較したとき、曲げ強さは、高温加熱処理により65.48MPaから53.31MPaと低下しているが、曲げヤング係数(曲げ剛性)は、高温加熱処理により11.38GPaから12.81GPaへと向上している。日本農林規格(JAS)には、構造用単板積層材の等級が、曲げヤング係数と曲げ強さの観点から規定されているが、曲げ強さは、改質の前後を問わずに比較的容易に満たすことができる一方、曲げヤング係数は、基準を満たすことが難しい場合がある。本発明の方法で改質LVLを製造する場合、曲げ強さの低下を少しの低下に抑えつつ、曲げヤング係数を向上させることができるという効果は、構造材、特に主要構造材として用いる改質LVLを製造する観点から特に有用である。
例えば、表2は、LVLの場合であるが、曲げヤング係数及び曲げ強さの平均値を比較したとき、曲げ強さは、高温加熱処理により65.48MPaから53.31MPaと低下しているが、曲げヤング係数(曲げ剛性)は、高温加熱処理により11.38GPaから12.81GPaへと向上している。日本農林規格(JAS)には、構造用単板積層材の等級が、曲げヤング係数と曲げ強さの観点から規定されているが、曲げ強さは、改質の前後を問わずに比較的容易に満たすことができる一方、曲げヤング係数は、基準を満たすことが難しい場合がある。本発明の方法で改質LVLを製造する場合、曲げ強さの低下を少しの低下に抑えつつ、曲げヤング係数を向上させることができるという効果は、構造材、特に主要構造材として用いる改質LVLを製造する観点から特に有用である。
また、本発明においては、構成要素を結合して木質材とした後に高温加熱処理を行うため、高温加熱処理によってもネジレや反り等の変形が生じにくい。そのため、製材品や無垢材に高温加熱処理する場合に比べて、寸法精度の高い改質木質材が得られる。本発明においても、高温加熱処理の改質木質材に、後処理として、プレーナーやサンダーを掛けても良いが、無垢材に高温加熱処理した場合に比べると、その切削量を少量に抑えることができる。例えば、LVLの表裏面の単板の切削量は、該単板の質量の10%以下等に抑えることも容易である。
また、LVL等の木質材は、原木から製材品や無垢材を得る場合に比して、原木を有効利用できるため、構成要素の段階や後処理の段階でのプレーナーやサンダーによる無駄を低減可能なこととも相俟って、吸湿性が低く寸法安定性等に優れた改質木質材を歩留り良く効率的に製造することができる。
また、LVL等の木質材は、原木から製材品や無垢材を得る場合に比して、原木を有効利用できるため、構成要素の段階や後処理の段階でのプレーナーやサンダーによる無駄を低減可能なこととも相俟って、吸湿性が低く寸法安定性等に優れた改質木質材を歩留り良く効率的に製造することができる。
また、単板、小片等の構成要素の段階で乾燥を行うことが、原木から最終製品までのトータルでの歩留まりを向上させることが好ましい。単板、小片等の体積比表面積が大きい状態で乾燥することにより、内部応力を取り去った状態で構成要素どうしを結合させることができ、製材品と比べて、高温加熱処理時の変形を少なくすることができる。これにより、熱処理工程での歩留ロスを小さくして、原木から最終製品までのトータルでの歩留まりを向上させることができる。
また、表3に示すように、本発明で製造した改質木質材は、改質しない場合に比して、熱伝導率が低下していることが判る。これは、高温での加熱処理により、改質木質材が吸水及び吸湿性が低下したことによると考えられるが、高温加熱処理によって熱伝導率が低下しにくくなることは、本発明で製造した改質木質材を、断熱材として用いた場合、その断熱性能が長時間安定に維持されることを意味する。従って、本発明で製造される改質木質材は、断熱材として用いることも好ましく、特に湿気の多い場所に用いられる断熱材としても用いることが好ましい。特に前述した低比重材から形成したEGPは、断熱性能が安定に維持されると共に軽量であることから、船舶の断熱材、例えば船舶の内部の壁や床に配する断熱材等として好ましく用いられる。
1 LVL(木質材)
2 エンドグレインパネル(集成材、木質材)
21 ブロック状の小片(構成要素)
21a,21b 木口面
22 棒状中間体
2 エンドグレインパネル(集成材、木質材)
21 ブロック状の小片(構成要素)
21a,21b 木口面
22 棒状中間体
Claims (5)
- 構成要素どうしを結合して得た木質材を180℃以上の高温で加熱処理することを特徴とする、改質木質材の製造方法。
- 構成要素どうしを結合する前に、前記構成要素を、含水率が12%以下となるまで乾燥させる工程を具備する、請求項1記載の改質木質材の製造方法。
- 前記木質材がLVLであることを特徴とする請求項1又は2記載の改質木質材の製造方法。
- 前記木質材が集成材であることを特徴とする請求項1又は2記載の改質木質材の製造方法。
- 前記集成材が、低比重材からなるエンドグレインパネルであることを特徴とする請求項4記載の改質木質材の製造方法。
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2011
- 2011-09-12 JP JP2011198089A patent/JP2013059870A/ja active Pending
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