以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、図1の矢印Fで示す方向を播種機1の前進方向とし、後述する播種機1Aの場合も含め、以下で述べる各部材の位置や方向などはこの前進方向を基準とするものである。
まず、本発明に関わる多条用で歩行型の播種機1について、その全体構成を図1、図2により説明する。該播種機1には、左右一対の機体フレーム2・3が配置され、このうちの左の機体フレーム2では、それを構成する前フレーム2aと後フレーム2bが、連結軸4Lを中心にして上下に屈曲可能に連結され、同様に、右の機体フレーム3でも、それを構成する前フレーム3aと後フレーム3bが、連結軸4Rを中心にして上下に屈曲可能に連結されている。そして、このうちの左右の前フレーム2a・3aの前部間に、駆動ローラ5のローラ軸7が支承される一方、左右の後フレーム2b・3bの後部間に、鎮圧ローラ6のローラ軸8が支承されている。
更に、該左右の後フレーム2b・3bの前半部間には、前後に支持バー11・12が横架され、該支持バー11・12によって繰出ベース13の前後端が支持されている。該繰出ベース13の上面には、下部に繰出部14aを有する播種装置14が搭載される一方、繰出ベース13の下面には、後方に覆土板16を支持した作条爪15が固設されており、これら播種装置14、繰出ベース13、作条爪15、及び覆土板16等より、各条毎に播種ユニット17が構成されている。該播種ユニット17は、本実施例では、左右方向に略等間隔で4個列設され、該4個の播種ユニット17から播種部9が形成される。
そして、該播種部9の後方で前記後フレーム2b・3bの後部間には、操作部10が配置され、該操作部10は、上下のアーム部材35・36から成ると共に略鉛直上方に立設された正面視門型のハンドルアーム34と、左右一対の補助ハンドル25・25とから構成される。一方、前記播種部9の前方で前フレーム2a・3aと後フレーム2b・3bとの間には、深さ調節具26が配置され、該深さ調節具26は、前後途中で上下に屈曲可能な前記機体フレーム2・3と一緒になって、後述する播種深さ調節機構64を構成している。
また、前記後フレーム2b・3bの前部間で、前記支持バー11・12の間には、入力軸23が回動可能に横架されると共に、該入力軸23は、後述する播種装置着脱構造27内の伝達経路を介して、前記播種装置14の繰出軸24に連結される。そして、この入力軸23の右端は、動力伝達経路18を介して、前記鎮圧ローラ6のローラ軸8に連結されている。
ここで、該動力伝達経路18においては、右の後フレーム3bの前後中央部外面に伝動ケース19が固設され、該伝動ケース19内の前部に、前記入力軸23の右端が貫入され、該右端にスプロケット21が外嵌固定される。同様に、前記伝動ケース19内の後部に、前記ローラ軸8の右端が貫入され、該右端にスプロケット20が外嵌固定されており、該スプロケット20と前記スプロケット21との間に、チェーン22が巻回されている。
これにより、播種機1が進行すると、鎮圧ローラ6が回転し、該鎮圧ローラ6の回転動力が、ローラ軸8、スプロケット20、チェーン22、スプロケット21から入力軸23に伝達され、播種装置14の各繰出軸24が駆動されて、圃場に種子が繰り出されるようにしている。
また、前記前フレーム2a・3aの前部で、前記ローラ軸7の支承部2a2近傍からは、左右一対の支持フレーム28L・28Rが立設され、該支持フレーム28L・28Rの上端部間には、バッテリ台29が横設されており、該バッテリ台29上に、バッテリ30が搭載される。
該バッテリ30は、信号線31を介して、前記上アーム部材35の把持アーム部35aの左右略中央に設けたモータスイッチ33に接続されると共に、信号線32を介して、前記駆動ローラ5内に組み込んだ走行モータ37に接続される。
これにより、ハンドルアーム34の把持アーム部35aを把持しながらモータスイッチ33を操作すると、該モータスイッチ33からの信号により、バッテリ30から走行モータ37に電力が供給され、前輪である駆動ローラ5がモータ駆動されて播種機1が走行されるようにしており、前記走行モータ37とバッテリ30のいずれも駆動ローラ5側に集中配置された前重心・前輪駆動タイプの播種機1が構成されている。
このため、たとえ機体前方に段差があっても、ハンドルアーム34を把持して後輪を浮かせた状態で、大きな荷重のかかった重い駆動ローラ5を回転駆動させながら段差に当接すると、該段差の表面に沿って駆動ローラ5を駆動前進させることができ、アクチュエータを用いず、また特別な操作も必要とせずに、播種機1が段差を容易に乗り越えることができる。
なお、前記駆動ローラ5において、その前方で左右の前フレーム2a・3a間には、泥落とし用の前スクレイパー38が、駆動ローラ5の前部外周面に向かって突出されると共に、駆動ローラ5の上方には、バッテリ台29の下面から、持ち運び用の平面視門形の把手51が前方に突設されている。更に、前記鎮圧ローラ6の後方で後フレーム2b・3b間にも、泥落とし用の後スクレイパー39が、鎮圧ローラ6の後部外周面に向かって突出されている。
また、前記操作部10において、その下アーム部材36では、前記ローラ軸8より後方の後フレーム2b・3bから略鉛直上方に、左右の縦アーム部36b・36bが前後回動可能に立設されると共に、該縦アーム部36b・36bの上端間が、横アーム部36aによって連結されている。
そして、前記縦アーム部36b・36bの上下途中部からは、左右一対のステー41・41が前方に突設され、該ステー41・41の前端部と、前記ローラ軸8より前方の後フレーム2b・3bから上方に突出された左右一対の後突出部2b1・3b1との間は、ハンドル傾斜調節フレーム40・40を介して連結されている。この連結長さを、該ハンドル傾斜調節フレーム40・40の上端に設けた長孔40a・40aを使って伸縮させることにより、前記ハンドルアーム34を所定の前後傾斜角に調節できるようにしている。
前記上アーム部材35では、パイプ状で上端が開口した前記縦アーム部36b・36b内に、上アーム部材35を構成する縦アーム部35b・35bが上から内挿されると共に、該縦アーム部35b・35bの上端間は、前記把持アーム部35aによって連結される。
そして、縦アーム部36b・36bの上端前部に設けたボルト43・43の螺挿進行により、上アーム部材35を下アーム部材36に締結固定し、ハンドルアーム34の高さを所定の高さに調節できるようにしている。
このような調節構造を有するハンドルアーム34には、前述した、左右一対の補助ハンドル25・25のハンドル固定具44・44が設けられている。該ハンドル固定具44を構成する筒体44aの前部に設けたボルト52の螺挿進行により、ハンドル固定具44は、縦アーム部35bに締結固定されて所定の高さに調節される。
そして、前記筒体44aの左右両側面から後方に延設される左右一対の側板44b・44c間には、側面視で前後中央上部と後下部に、それぞれ支点軸45と回転規制軸46とが横架され、このうちの支点軸45に、前記補助ハンドル25のパイプ状の本体部25aの前端部が、前後回動可能に軸支される。
以上のような構成により、補助ハンドル25を位置49まで垂下させ、前記ハンドルアーム34の縦アーム部35bに近接配置した上で、補助ハンドル25の後方に前記回転規制軸46を横架させておくことができる。これにより、播種機1を格納する際に補助ハンドル25が邪魔になるような場合には、該補助ハンドル25を、前記筒体44aの後部と回転規制軸46の前部との間の空間に折りたたみ収納して、補助ハンドル25の動きを制限することができる。
播種作業や運搬作業の場合は、前記回転規制軸46を脱着し、把持部25bを把持したまま、支点軸45を中心にして補助ハンドル25を位置49から位置50まで後方に引き上げた後、再び回転規制軸46を横架する。
これにより、補助ハンドル25を、前記側板44b・44cの後部上端間を連結する天板44dの下部と、回転規制軸46の上部との間の空間に収納して保持し、補助ハンドル25をハンドルアーム34から略水平に展開できるようにしている。
このような補助ハンドル25を用いて、例えば、方向転換作業を行う際には、補助ハンドル25を把持して引き上げることにより、駆動ローラ5を支点に鎮圧ローラ6を上昇させ、播種機1を水平状態から前方に傾ける。続いて、この前傾姿勢のまま、補助ハンドル25を把持し、駆動ローラ5を支点に播種機1を前方に180度旋回させる。その後、補助ハンドル25を下降させてから播種機1を水平に復帰させることにより、方向転換作業が完了する。
すなわち、播種装置14を備えた機体フレーム2・3の前後に前輪である駆動ローラ5と後輪である鎮圧ローラ6を配置し、前記駆動ローラ5側に、該駆動ローラ5を駆動する電動モータである走行モータ37と、該走行モータ37に電力を供給するバッテリ30を搭載すると共に、前記鎮圧ローラ6近傍の機体フレーム2・3よりハンドルアーム34を延設した播種機1において、前記ハンドルアーム34に、補助ハンドル25を略水平に設けることにより、前記駆動ローラ5を支点にした鎮圧ローラ6の上昇と機体の旋回を容易にした。これにより、重量の重い前重心・前輪駆動タイプの播種機1において、略水平に設けてあり把持し易い補助ハンドル25を使うことにより、駆動ローラ5側を支点に鎮圧ローラ6を上昇させ、続いて機体を前方に傾けた状態で自在に旋回させることができ、鎮圧ローラ6の上昇操作と機体の旋回操作が小さな人力ですみ、段差越え作業や方向転換作業の作業負荷が減少し、その作業性が向上する。更に、播種装置14の繰出軸24を鎮圧ローラ6の回転動力によって駆動している場合、播種作業直後の方向転換作業中に、鎮圧ローラ6を圃場面から確実に浮かせておくことができ、鎮圧ローラ6が圃場面に誤って接触して回転し繰出軸24が駆動されて種子93が無駄に繰り出されるのを防止し、種子コストを削減することができる。
更に、前記ハンドルアーム34にハンドル固定具44を設け、該ハンドル固定具44に、前記補助ハンドル25を回転可能に支持する支点軸45と、該補助ハンドル25を収納状態または展開状態に支持するストッパである回転規制軸46とを近接して設けることにより、前記補助ハンドル25を折りたたみ収納可能とするので、播種機1の格納時には、補助ハンドル25を収納して、格納性を向上させることができる。更に、折りたたみ収納に必要な構造を小さくすることができ、前記ハンドル固定具44のコンパクト化と部品コストの削減を図ることができる。
次に、前記播種深さ調節機構64について、図1乃至図3により説明する。該播種深さ調節機構64は、前述の如く、屈曲可能な前記機体フレーム2・3と深さ調節具26とにより構成される。
ここで、前記左右の前フレーム2a・3aの後部で、前記ローラ軸7と連結軸4L・4Rとの間には、左右の曲がり部2a1・3a1が上方に凸状に屈曲形成され、該曲がり部2a1・3a1の屈曲端間に前支軸62が横架される一方、前記左右の後フレーム2b・3bの前端部間には、後支軸63が横架されている。そして、該後支軸63の左右略中央部と前記前支軸62の左右略中央部との間に、前記深さ調節具26が介設されている。
該深さ調節具26は、前半部に穿孔された横孔57aに前記前支軸62が嵌入されたブロック状の第一連結部材57と、下端部に穿孔された横孔58aに前記後支軸63が嵌入されたパイプ状の第二連結部材58と、該連結部材57・58間に介設された調節ハンドル56とから構成される。
該調節ハンドル56の軸部56bは、前記第一連結部材57の後半部に穿孔された縦孔57bを上方から貫通し、該縦孔57b内に、軸部56bの上下略中央が昇降不能かつ回動可能に支持されている。更に、軸部56bの下端は、前記第二連結部材58の上面に固定されたナット59から、同じ第二連結部材58の上半部の筒内に螺刻された縦ネジ孔58bにかけて、螺挿されている。
このような構成により、前記調節ハンドル56の側面視L字状のハンドル部56aを把持して回転し、前記軸部56bの先端をナット59から縦ネジ孔58bにかけて上下方向に螺挿進行させ、第一連結部材57と第二連結部材58との間隔65を伸縮することにより、前記連結軸4L・4Rを中心にして支軸62・63を上下方向に開閉することができる。
ここで、前記第一連結部材57の後面にはボルト61によってスケール60が締結されており、該スケール60の下半部に刻設した目盛り60aから、前記第二連結部材58の上部に設けた基準線58cの位置を読み取ることにより、播種深さの目安となるようにしている。なお、前記調節ハンドル56の軸部56bで第一連結部材57よりも上方の部位には、スプリングピン105が半径方向に突設されており、回転した該スプリングピン105がスケール60の上半部の板バネ部60bに当接することにより、調節ハンドル56の回り止めを可能としている。
更に、該支軸62・63は前記連結軸4L・4Rから十分に離間して配設されており、腕の長さを長くして、前記連結軸4L・4Rを支点としたモーメントを大きくすることができ、ハンドル部56aの回転に必要な人力が小さくてすみ、播種深さ調節作業の作業負荷が減少するようにしている。
従って、このような深さ調節具26を用いて播種深さ調節作業を行う際には、深さ調節具26の調節ハンドル56を回転し、連結部材57・58間の間隔65を伸張させることにより、屈曲角の角度67は拡大し、後フレーム2b・3bの前半部が前方に傾く。すると、該後フレーム2b・3bに支持される前記繰出ベース13が前方に傾倒し、該繰出ベース13の上面に搭載した前記播種装置14と一緒に、繰出ベース13の下面に固設した作条爪15も、前方に傾倒する。これにより、全ての播種ユニット17において、作条爪15の下端の位置71が下方に移動し、播種深さの深さ69が深くなって、播種深さ調節作業が完了する。
すなわち、機体フレーム2・3の前後に前輪である駆動ローラ5と後輪である鎮圧ローラ6を配置し、該駆動ローラ5と鎮圧ローラ6の間に、播種装置14と作溝具である作条爪15とを備える播種ユニット17を左右方向に列設し、複数条に一括して播種を行う播種機1において、前記機体フレーム2・3の少なくとも一部である前フレーム2a・3aに対して全ての播種ユニット17を同時に傾倒可能な播種深さ調節機構64を設けたので、全ての播種ユニット17に備えた作条爪15も同時に傾倒させ、播種深さである深さ69・70を一括して変更することができ、播種機1の対応条数が多くなっても、播種深さ調節作業に手間や時間がかからず、播種作業の作業性が悪化しない。
更に、前記機体フレーム2・3は、前記駆動ローラ5を支承する前フレーム2a・3aと前記鎮圧ローラ6を支承する後フレーム2b・3bとに前後二分割し、該後フレーム2b・3bと前記前フレーム2a・3aとは、連結軸4L・4Rを中心にして上下に屈曲可能に連結すると共に、前記前フレーム2a・3aまたは後フレーム2b・3bの一方のみに、全ての播種ユニット17を支持することにより、前記前フレーム2a・3aと後フレーム2b・3bとの成す屈曲角である角度67を変更して、全ての播種ユニット17を同時に傾倒可能とするので、各作条爪15は、複数の部品から成る播種深さ調節機構を介することなく、機体フレーム2・3に対し、直接に、あるいは単一の部材である繰出ベース13を介して、強固に連結することができ、たとえ、土壌や作条爪15の状態などが悪くて、土壌から受ける抵抗の増大・不均一化などが起こっても、作条爪15が偏移したり振動することがなく、播種深さ精度の低下を防止できる。
加えて、前記前フレーム2a・3aと後フレーム2b・3bのうちの一方のフレームの端部と他方のフレームの途中部との間に前記連結軸4L・4Rを介設すると共に、該連結軸4L・4Rから離間した位置で前フレーム2a・3aと後フレーム2b・3b間の間隔を変更可能な深さ調節具26を備えるので、一方のフレームの途中部と他方のフレームの端部との間に深さ調節具26を設けるだけの簡単な構成で、屈曲角である角度67を変更することができ、部品コストの削減と組立性の向上を図ることができる。しかも、支点である連結軸4L・4Rから離間して深さ調節具26を備えることにより、腕の長さを長くしてモーメントを大きくすることができ、小さな操作力で深さ調節具を伸縮させて、播種深さ調節作業の作業負荷の軽減を図ることができる。
次に、このような播種深さ調節機構64により作条爪15と一緒に傾倒可能な播種装置14について、その繰出構造、着脱構成、及び高さ設定を中心に、図1、図2、図4乃至図6により詳細に説明する。図1、図5に示すように、該播種装置14は、上下が開口した種子ケース73の下部開口に、後斜め下方から繰出ロール74を挿嵌し、その上から、下繰出ケース91を覆設して構成される。
このうち、前記種子ケース73は、上面が蓋体92で覆われ種子93を蓄えるホッパ部73aと、該ホッパ部73aよりも下方にある上繰出ケース部73bとから成り、該上繰出ケース部73bと前記下繰出ケース91とから、種子93を所定量だけ繰り出すための前記繰出部14aが形成される。そして、該繰出部14aの前下端部に、左右一対の第一係止突部14b・14bが左右外方に突設されると共に、繰出部14aの後下端部に、第二係止突部14cが後方に突設されている。
前記繰出ロール74には、その図示せぬ軸孔に前記繰出軸24が回動不能に嵌合され、該繰出軸24は、前記種子ケース73の下部に穿孔した通し孔73cに回動可能に挿通支持される。そして、該繰出軸24の左端は、前記種子ケース73から外部に突出され、その端部には、従動ギア75が外嵌固定される。更に、前記繰出ロール74の外周面には、凹部74aが周方向に略等間隔で形成されており、該凹部74a内に前記種子93が入り込むようにしている。
これにより、前記繰出ロール74が矢印94の方向に回転すると、前記ホッパ部73a内から凹部74a内に入り込んでいる種子93が、該凹部74a内に保持された状態で回転搬送される。この搬送途中では、図示せぬブラシにより、凹部74aから溢れた種子93などが除去される。そして、該凹部74a内の種子93は、所定の落下位置まで搬送されると、前記下繰出ケース91の下部に開口した繰出口91aより、前記繰出ベース13内に繰り出されて落下する。
ここで、このような繰出構造を有する播種装置14の播種装置着脱構造27について説明する。図4、図5に示すように、該繰出ベース13は、後方に開いた平面視U字状の切り欠き76aを後部に有する底板76と、該底板76の左右側縁から立設した左右一対の側板77・78と、左の側板77の左外側面に複数のボルト88によって締結固定されたギアケース79とを有する。
このうち、前記側板77・78の前部には、左右方向に軸心を有するパイプ状の取付けボス部87が固設され、該取付けボス部87は、ノブネジ86によって前支持バー11に固定される。同様に、前記側板77・78の後端部には、後方に開いた凹部77a・78aが形成され、該凹部77a・78aが前記後支持バー12に嵌合固定されており、これにより、繰出ベース13が、前後の支持バー11・12を介して、前記後フレーム2b・3bに支持される。
そして、前記側板77・78で前半部の内側面には、側面視で下に凸状の側方挟持板83・83が貼設固定されると共に、側板77・78で後半部の内側面には、平面視で後方に開いたU字状の固定部81aを介して上方挟持板81が貼設固定されている。更に、前記底板76の前後略中央には、矩形状の連通孔76bが開口され、該連通孔76bより前方の底板76の上面76cと、前記側方挟持板83・83の前下部の外周傾斜面83a・83aとの間に、前挟持空間89が設けられている。
一方、前記底板76の後端部には、平面視で後方に開いたY字状の下方挟持板80の後端が固設され、該下方挟持板80の前部は、前斜め上方に延出された後、前記上方挟持板81で固定部81aよりも前方にある上水平部81bの直下に達すると、再び水平に戻されて下水平部80aとなる。そして、該下水平部80aと前記上水平部81bとの間に、後挟持空間90が設けられている。
前記ギアケース79は、前記左の側板77の左側面から左方に膨出すると共に、該ギアケース79は、その後端部を除いて上部が開口されており、前記播種装置14の左方に設けた前記従動ギア75を、上方から上部開口79aを通ってギアケース79内に挿入できるようにしている。
一方、ギアケース79で上部が閉口された後端部には、その内部空間に駆動ギア82が収納されており、該駆動ギア82は、前記ギアケース79内で前記従動ギア75と噛合可能な位置において、前記入力軸23に外嵌固定されている。
このような播種装置着脱構造27を用いて繰出ベース13への播種装置14の取り付け作業を行う際には、第一係止突部14b・14bが、前記繰出ベース13の左右の側板77・78間で、側方挟持板83・83よりも前方の空間にくるように、播種装置14を移動させる。続いて、第一係止突部14b・14bをそのまま矢印97の方向に水平移動させることにより、繰出部14a側の第一係止突部14b・14bを、それぞれ繰出ベース13側の前挟持空間89・89内に嵌入させると共に、繰出部14a側の第二係止突部14cも、繰出ベース13側の後挟持空間90内に嵌入させることができ、これにより、播種装置14の繰出部14aが、その前後において繰出ベース13に支持固定される。この際、第二係止突部14cには、図示せぬ孔が上下方向に穿孔されており、該孔に、前記下方挟持板80の下水平部80aの上面に設けた図示せぬ凸部が、下方挟持板80の弾性力によって下方から係合されるようにしている。なお、播種装置14の取り外し作業を行う際には、下方挟持板80を押し下げることにより、凸部を孔から容易に脱着させることができる。
同時に、繰出部14a側の従動ギア75は、前記ギアケース79内に挿入され、該ギアケース79内で前記駆動ギア82に噛合され、これにより、図1に示す前記動力伝達経路18を介して入力軸23に伝達されてきた鎮圧ローラ6からの回転動力が、小径の駆動ギア82と大径の従動ギア75とから成る伝達経路を介して、前記繰出軸24に伝達される。
このようにして、繰出ベース13への繰出部14aの取り付けと動力伝達経路18への繰出部14aの動力接続とを同時に行う第一操作が可能となる。前記繰出ベース13からの繰出部14aの取り外しと動力伝達経路18からの繰出部14aの動力切断とを同時に行う第二操作については、前述の手順を逆にすることにより実施することができる。
すなわち、前記播種装置14と、該播種装置14の繰出部14aを前記機体フレーム2・3に取り付ける繰出ベース13との間には、該繰出ベース13への繰出部14aの取り付けと動力伝達経路18への繰出部14aの動力接続とを同時に行う第一操作、または前記繰出ベース13からの繰出部14aの取り外しと動力伝達経路18からの繰出部14aの動力切断とを同時に行う第二操作を実施する播種装置着脱構造27を介設するので、該播種装置着脱構造27により、播種機1に備えた全ての播種装置14を短時間で着脱することができ、メンテナンス性が向上する。なお、この播種装置着脱構造27により、一条用の播種機においても、播種装置14を迅速に取り付けることができる。
更に、前記播種装置着脱構造27において、前記繰出部14a側に、前記播種装置14を駆動する繰出軸24に嵌合する従動ギア75と、複数の係止部である第一係止突部14b・14b、第二係止突部14cとを備え、前記繰出ベース13側に、取り付け状態で前記従動ギア75と噛合する駆動ギア82と、前記第一係止突部14b・14b、第二係止突部14cを挟持する挟持体である側方挟持板83・83、下方挟持板80、上方挟持板81とを備えるので、播種装置着脱構造27を簡単な構成で設けることができ、部品コストの削減と組立性の向上を図ることができる。
また、以上のようにして機体フレーム2・3に取付けた状態で種子93を繰り出す播種装置14において、その高さを予め低位置に設定可能な低位置支持構造116について説明する。なお、左右の機体フレーム2・3は略同一の構造であるため、左の機体フレーム2について説明し、右の機体フレーム3についての説明は省略する。
図1、図2,図6に示すように、該低位置支持構造116においては、前記後フレーム2bは、前記鎮圧ローラ6を支承する支承部2b2から後方に略水平に延出される後水平部113と、逆に支承部2b2から播種装置14に向かって前斜め下方に傾斜する前傾部112と、該前傾部112の前端から前方に略水平に延出される前水平部111とから構成される。
そして、このうちの前水平部111と前傾部112に、それぞれ前記前支持バー11と後支持バー12が支持され、該前支持バー11と後支持バー12には、前述の如く、前記播種装置14を搭載した繰出ベース13の前後が係止されている。
従って、前記前支持バー11と後支持バー12が、前記前傾部112から後水平部113にかけた部分に支持される場合と比べ、播種装置14は、最大で、前傾部112の前端と後端との高低差114の分だけ、低位置に支持されている。
一方、前記前フレーム2aについては、前記駆動ローラ5を支承する支承部2a2から前後方向に略水平に延出される水平部115と、該水平部115の後端から上方に凸状に屈曲形成される前記曲がり部2a1とから構成される。そして、該曲がり部2a1の後端は、前記支承部2a2・2b2のいずれとも略同じ高さに設定されている。従って、前フレーム2aには、後フレーム2bの前傾部112のように、支承部2a2から播種装置14に向かって前斜め下方に傾斜する傾斜部は設けられていない。
なお、前記後フレーム2bの前水平部111の前後略中央から上方に前突出部2b3が突出され、その突出端に前記連結軸4Lが設けられ、該連結軸4Lに前記曲がり部2a1の後端が連結されており、前フレーム2aと、後フレーム2bで播種装置14を支持する前水平部111とを、上下2段に離間して配置するようにしている。これにより、前記深さ調節具26の配置空間を上下方向に拡大し、播種機1の組み立て性、メンテナンス性の向上を図ることができる。
また、このようにして、低位置支持構造116により圃場面110近傍に支持された播種装置14と一緒に、前記作条爪15も圃場面110近傍に支持されている。図4、図5に示すように、該作条爪15は、正面視で下方に向かって先細り形状に突出するV字状の作溝部15aと、該作溝部15aから二股状に後方に開いた左右一対の側板部15b・15cとから構成される。ここで、前記作溝部15aは、下縁が閉塞された部分(以下、「閉塞下縁」とする。)が後ろ斜め下方に傾斜配置された前閉塞下縁15a1と、該前閉塞下縁15a1よりも傾斜角の小さい後閉塞下縁15a2とから構成し、該閉塞下縁15a1・15a2が、前記圃場面110に対して徐々に切り込めるようにしている。
そして、播種装置14の下方において、この作条爪15の上面が、前記繰出ベース13の底板76の下面に固設されると共に、該底板76の連通孔76bの直下方に、前記左右の側板部15b・15c間の空間が配置されており、連通孔76bが作条爪15内を通って播種溝に連通されている。これにより、前記播種装置14から繰り出された種子93は、連通孔76bから最短距離で播種溝内に到達することができる。
更に、繰出部14aの下面は、繰出ベース13の底板76上に載置された状態にあり、繰出部14aの前記繰出口91aは、前記連通孔76bの直上に、対向するようにして近接配置されている。これにより、前記播種装置14から繰り出された種子93は、筒体などのガイド部材を介することなく、繰出口91aからそのまま連通孔76bに到達することができる。
従って、該播種装置14の繰出口91aと播種溝との間には、ほとんど作条爪15のみが介在し、前記繰出口91aから播種溝までの落下距離を、作条爪15の上下厚さの分だけに抑えることができるのである。
更に、前記繰出口91aから連通孔76bまでの空間の周囲は、前記繰出ベース13の左右一対の側板77・78によって覆われている。これにより、種子93が繰出口91aから連通孔76b内を通過する間に、外部から吹き込む横風や泥土などによって飛散されないようにしている。
加えて、前記作条爪15は、前述の如く、正面視で下方に向かって先細り形状に突出するV字状の作溝部15aを有する。これにより、該作溝部15aで形成する播種溝もV字状に形成することができ、該播種溝の底幅を繰出ロール74の長さと同程度にして溝の傾斜を急にし、種子93が播種溝内を左右に転動できないようにしている。
なお、前記側板部15b・15cの後部には支持ピン85が横架され、該支持ピン85には、覆土アーム95の前端が前後揺動可能に連結され、該覆土アーム95の後端に、前記覆土板16が前後回動可能に支持されている。そして、前記側板部15b・15cと覆土アーム95との間には、前記支持ピン85に巻回された付勢バネ84が介設されており、該付勢バネ84の弾性力によって、覆土アーム95に支持された覆土板16を下方に常時付勢状態としている。
すなわち、前後に前輪である駆動ローラ5と後輪である鎮圧ローラ6を支承した機体フレーム2・3に播種装置14と作溝具である作条爪15とを設けた播種機1において、前記播種装置14を低位置で支持する低位置支持構造116を備えると共に、前記作条爪15の直上方に、該作条爪15内を通って播種溝に連通する開口である連通孔76bを設け、該連通孔76bの直上近接空間に前記播種装置14からの種子93の繰出口91aを配置したので、圃場面110近傍に播種装置14を支持した上で、該播種装置14の繰出口91aと播種溝との間に作条爪15のみを介在させるようにして、前記繰出口91aから播種溝内までの落下距離を大幅に短縮することができる。これにより、種子93が播種溝内に衝突する際の反動を小さくし、該反動による種子93の周囲への転動を防止することができ、点播のように高い播種精度が要求される播種作業にも十分に対応できる。更に、この種子転動防止に加え、繰出口91aと播種溝との間のガイド部材を不要にして、部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
更に、前記低位置支持構造116は、前記機体フレーム2・3において、前輪支承部である支承部2a2・3a2と後輪支承部である支承部2b2・3b2のうち、該支承部2b2・3b2から播種装置14に向かって下方に傾斜する傾斜部である前傾部112と、該前傾部112に略水平に連設する前水平部111とを有し、該水平部111の一部と連結した前支持バー11に前記播種装置14を支持するので、機体フレーム2・3の形状を変更するだけで播種装置14を圃場面110近傍の低位置で支持することができ、低位置支持のための部材を別途に設ける必要がなく、部品コストの低減とメンテナンス性の向上を更に図ることができる。
加えて、前記繰出口91aから開口である連通孔76bにかけて、側面カバー部材として繰出ベース13の側板77・78を設けるので、繰出口91aから連通孔76bまで落下中の種子93が、外部から吹き込む横風や泥土などによって飛散するのを防止することができ、所定量の種子93が播種溝内に確実に導入され、播種精度が更に向上する。
更に、前記作溝具である作条爪15には、側面視で後ろ斜め下方へ延びる閉塞下縁15a1・15a2を設けた正面視V字状の作溝部15aを設けるので、作溝部15aを正面視V字状とすることにより、播種溝の底部を狭幅に形成することができる。これにより、該播種溝内での種子93の左右方向への転動を確実に防止して、播種精度が更に向上する。また、正面視V字状であることから、作溝部15aの上部ほど左右外方に張り出しており、しかも、側面視で後ろ斜め下方へ延びることから、閉塞下縁15a1・15a2は圃場面110に徐々に切り込んでいくため、播種溝からの排出土は、上昇することなく左右外方に向かって円滑に押し出される。これにより、側面視で後ろ斜め上方に延びる閉塞前縁によって作溝する従来の作溝具と比べ、作溝に伴う土の上昇流を抑制することができ、前記繰出部14aや開口である連通孔76bが排出土によって閉塞するのを防止して、播種作業の作業性が向上する。
加えて、前記作溝部15aからは、左右一対の側板部15b・15cを後方に二股状に開き、該側板部15b・15cに、下方へ付勢状態にある覆土部材である覆土板16を支持するので、該覆土板16を支持するための支持部材を別途に設ける必要がなく、該支持部材の設置空間を省略することができ、より低位置で前記播種装置14を支持し、前記繰出口91aから播種溝内までの落下距離を一層短縮することができる。更に、覆土板16を下方へ付勢状態とすることにより、覆土効果も高めることができる。
次に、以上のような播種機1とは別形態の播種機1Aについて、図7乃至図11により、以下に説明する。なお、前記播種機1と同様な部品・構成については、同じ符号を用いると共に詳細な説明は省略する。
該播種機1Aは、前記播種機1とは異なり一条用であって、前記播種ユニット17は1個しかないため、機体が軽くて押し操作が容易であり、播種深さの調節や播種装置14の着脱にも手間がかからないことから、前述した、走行モータ37・モータスイッチ33などから成る電動アシスト機構、補助ハンドル25、及び播種深さ調節機構64は省かれている。
まず、この播種機1Aの全体構成について説明する。図7、図8に示すように、播種機1Aには、前後方向の機体フレーム121・122が左右に並列されると共に、該機体フレーム121・122の前部間に接地ローラ123のローラ軸125が支承される一方、機体フレーム121・122の後部間に鎮圧ローラ124のローラ軸126が支承されている。
更に、前記機体フレーム121・122間において、前記接地ローラ123の後方と鎮圧ローラ124の前方には、それぞれ前連結板127と後連結板128とが架設され、このうちの前連結板127の前端部からは、途中で下方に屈曲した泥落とし用の前スクレイパー129が、前記接地ローラ123の後部外周面に向かって突出される。同様に、前記鎮圧ローラ124の後方にも、泥落とし用の後スクレイパー130が、鎮圧ローラ124の後部外周面に向かって突出されている。
そして、前記前連結板127の後方には、後述する播種装置着脱構造131を介して、前記播種装置14が支持され、前連結板127の下方に、後述する作条爪支持構造132を介して、後方に覆土板16を支持した前記作条爪15が支持されており、これら播種装置14、作条爪15、及び覆土板16等により、播種ユニット17Aが構成される。
更に、該播種ユニット17Aと前記後連結板128との間において、前記機体フレーム121・122からは、正面視門型のハンドルアーム133が後斜め上方に立設され、該ハンドルアーム133は、ボルト139によって連結された上下のアーム部材134・135から構成される。そして、このうちの下アーム部材135の下部は、機体フレーム121・122と、該機体フレーム121・122より立設される連結部材136とに、それぞれボルト137・138により締結されており、該ボルト138が挿通する前記下アーム部材135側の長孔135aを、このボルト138に沿って摺動させることにより、前記ハンドルアーム133を所定の前後傾斜角に調節できるようにしている。
また、前記右の機体フレーム122の前半部の外面には伝動ケース140が固設され、該伝動ケース140内の前部に前記ローラ軸125の右端が貫入され、該右端にスプロケット141が外嵌固定される。同様に、前記伝動ケース140内の後部には、前記播種装置14の繰出軸24に連結される入力軸144の右端が貫入され、該右端にスプロケット142が外嵌固定されており、該スプロケット142と前記スプロケット141との間に、チェーン143が巻回されている。
これにより、播種機1Aが進行すると、接地ローラ123が回転し、該接地ローラ123の回転動力が、ローラ軸125、スプロケット141、チェーン143、スプロケット142から入力軸144に伝達され、該入力軸144に連結された繰出軸24が駆動されて、播種装置14から圃場面110に種子93が繰り出されるようにしている。
続いて、播種ユニット17Aを機体フレーム121・122に支持する前記播種装置着脱構造131と作条爪支持構造132について説明する。図8乃至図10に示すように、前記播種装置着脱構造131は、前記繰出部14a側の第二係止突部14cと、該第二係止突部14cを挟持して機体フレーム121・122に取り付ける挟持体146とを備える。
該挟持体146は、前記右の機体フレーム122と前連結板127との間にボルト150により締結固定される本体147と、該本体147に右端基部がリベット149により固定されて左方に延出する板状の弾性体である挟持バネ148とから構成される。そして、前記本体147には、下方に垂下して再び左方水平に伸びる段差部147aが形成されており、該段差部147aと前記挟持バネ148との間に、挟持空間151が設けられる。
このような構成において、前記第二係止突部14cが前記挟持空間151の左側にくるように、播種装置14を移動させ、そのまま、右方に水平移動させると、第二係止突部14cを挟持空間151内に嵌入させることができ、これにより、播種装置14の繰出部14aが、その前部において挟持バネ148の弾性力と、図示せぬ挟持バネ148の凸部と第二係止突部14cの上下貫通孔との嵌合とにより、左の機体フレーム122に挟持支持される。なお、第二係止突部14cを左方に水平移動させることにより、挟持体146からの繰出部14aの取り外しを行うことができる。
また、作条爪支持構造132においては、前記前連結板127の後部上面からロッド支持体152が立設され、該ロッド支持体152内には、下端に作条爪15を支持する支持ロッド153が上下摺動可能に挿通されている。
更に、前記ロッド支持体152には、ボルト154が前方から螺挿されており、該ボルト154の螺挿進行に伴ってボルト154の後端を前記支持ロッド153の前面に押圧することにより、支持ロッド153をロッド支持体152に締結固定できるようにしている。
これにより、ボルト154を緩めて支持ロッド153を昇降させた後、再びボルト154を締めることにより、支持ロッド153の上下位置をボルト154により所定位置に固定することができ、支持ロッド153下端の作条爪15を昇降させて播種深さを変更することができる。
続いて、以上のようにして機体フレーム121・122に取付ける播種装置14において、その高さを予め低位置に設定可能な低位置支持構造145について説明する。図7、図8、図11に示すように、該低位置支持構造145においては、左の機体フレーム121は、前記鎮圧ローラ124を支承する支承部121bから後方に略水平に延出される後水平部155と、逆に支承部121bから播種装置14に向かって前斜め下方に傾斜する前傾部156と、該前傾部156の前端から前方に略水平に延出される前水平部157と、前記接地ローラ123を支承する支承部121aから播種装置14に向かって後斜め下方に傾斜する後傾部158とから構成される。
そして、このうちの前水平部157に、前記播種装置着脱構造131と作条爪支持構造132を介して、播種装置14と作条爪15が支持されており、機体フレーム121で前水平部157以外の部分に支持される場合と比べ、播種装置14は、最大で、後傾部158の前端と後端との高低差159の分だけ、低位置に支持されている。
また、このようにして、低位置支持構造145により圃場面110近傍に支持された播種装置14と一緒に、作条爪15も圃場面110近傍に支持されている。図9、図10に示すように、該作条爪15の前半部の上部は、取付板160によって閉塞されると共に、該取付板160を介して前記支持ロッド153の下端に固設されている。一方、作条爪15の後半部の上部は開口されたままであり、該上部開口15dが作条爪15内を通って播種溝に連通されている。これにより、前記播種装置14から繰り出された種子93は、上部開口15dから最短距離で播種溝内に到達することができる。
更に、繰出部14aの下面は、前記作条爪支持構造132により、前記上部開口15dの直上に、対向するようにして近接配置されている。これにより、前記播種装置14から繰り出された種子93は、筒体などのガイド部材を介することなく、繰出口91aからそのまま上部開口15dに到達することができる。
従って、前記播種機1の場合と同様に、播種装置14の繰出口91aと播種溝との間には、ほとんど作条爪15のみが介在し、前記繰出口91aから播種溝までの落下距離を、作条爪15の上下厚さの分だけに抑えることができるのである。
なお、該作条爪15から前記繰出口91aにかけて、下方から筒状のフード161を挿入するようにしてもよい。これにより、前記播種機1の繰出ベース13と同様に、前記繰出口91aから上部開口15dまでの空間の周囲を覆い、種子93が繰出口91aから上部開口15d内を通過する間に、外部から吹き込む横風や泥土などによって飛散されないようにできる。
すなわち、前後に前輪である接地ローラ123と後輪である鎮圧ローラ124を支承した機体フレーム121・122に播種装置14と作溝具である作条爪15とを設けた播種機1Aにおいても、前記播種装置14を低位置で支持する低位置支持構造145を備えると共に、前記作条爪15の上部に、該作条爪15内を通って播種溝に連通する開口である上部開口15dを設け、該上部開口15dの直上近接空間に前記播種装置14からの種子93の繰出口91aを配置したので、圃場面110近傍に播種装置14を支持した上で、該播種装置14の繰出口91aと播種溝との間に作条爪15のみを介在させるようにして、前記繰出口91aから播種溝内までの落下距離を大幅に短縮することができる。これにより、種子93が播種溝内に衝突する際の反動を小さくし、該反動による種子93の周囲への転動を防止することができ、点播のように高い播種精度が要求される播種作業にも十分に対応できる。更に、この種子転動防止に加え、繰出口91aと播種溝との間のガイド部材を不要にして、部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
更に、前記低位置支持構造145は、前記機体フレーム121・122において、前輪支承部である支承部121aと後輪支承部である支承部121bの両方から播種装置14に向かって下方に傾斜する傾斜部である後傾部158及び前傾部156と、該後傾部158及び前傾部156に略水平に連設する水平部である前水平部157とを有し、該前水平部157に前記播種装置14を支持するので、機体フレーム121・122の形状を変更するだけで播種装置14を圃場面110近傍の低位置で支持することができ、低位置支持のための部材を別途に設ける必要がなく、部品コストの低減とメンテナンス性の向上を更に図ることができる。
加えて、前記繰出口91aから開口である上部開口15dにかけて、側面カバー部材としてフード161を設けるので、繰出口91aから上部開口15dまで落下中の種子93が、外部から吹き込む横風や泥土などによって飛散するのを防止することができ、所定量の種子93が播種溝内に確実に導入され、播種精度が更に向上する。