JP5825183B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
中でも乳化凝集法は、乳化重合などによって製造された結着樹脂よりなる結着樹脂微粒子の分散液を、必要に応じて他の着色剤微粒子などのトナー粒子構成成分の分散液と混合し、凝集剤の添加によってこれらを凝集させ、必要に応じて凝集停止剤を添加して粒径制御を行い、さらに結着樹脂微粒子間の融着によって形状制御を行ない、トナー粒子を製造する方法である。
凝集剤としてポリシリカ鉄を用いる場合、当該ポリシリカ鉄は鉄とシリカを主成分とする化合物であって鉄塩の電荷中和反応と重合ケイ酸による架橋作用を生じることから、少量で所望のトナー粒子を得ることができる。
前記結着樹脂からなる結着樹脂微粒子が分散されてなる水系媒体中に、ポリシリカ鉄を含む凝集剤を添加することにより、当該結着樹脂微粒子を凝集させる凝集、融着工程、多価有機酸またはその塩からなる凝集停止剤を添加する凝集停止剤添加工程を有し、
前記多価有機酸またはその塩が、アミノ酸、ポリホスホン酸またはこれらの塩であることを特徴とする。
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂を含有し、必要に応じて着色剤や離型剤、荷電制御剤なども含有するトナー粒子からなるトナーを製造する方法であって、結着樹脂からなる結着樹脂微粒子が分散されてなる水系媒体中に、ポリシリカ鉄を含む凝集剤を添加することにより、当該結着樹脂微粒子を凝集させて凝集粒子を成長させる凝集、融着工程、多価有機酸またはその塩からなる凝集停止剤(以下、「特定の凝集停止剤」ともいう。)を添加することにより、凝集粒子の成長を停止させる凝集停止剤添加工程を有する方法である。
(1)水系媒体中に着色剤微粒子が分散されてなる分散液を調製する着色剤微粒子分散液調製工程、
(2)水系媒体中に、必要に応じて離型剤、荷電制御剤などの内添剤を含有した結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する結着樹脂微粒子分散液調製工程、
(3)結着樹脂微粒子および着色剤微粒子、並びに必要に応じてその他のトナー構成成分の微粒子を、水系媒体中において、凝集、融着させて凝集粒子を成長させる凝集、融着工程、
(4)水系媒体中に特定の凝集停止剤を添加して凝集を停止させて凝集粒子の成長を停止させる凝集停止剤添加工程、
(5)凝集粒子を熱エネルギーにより熟成させて形状を制御し、トナー粒子を得る熟成工程、
(6)水系媒体からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から凝集剤、凝集停止剤、界面活性剤などを除去する濾過、洗浄工程、
(7)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程
から構成され、必要に応じて、
(8)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程
を加えることができる。
この着色剤微粒子分散液調製工程は、トナー粒子に着色剤を導入する場合に、必要に応じて行うものである。
着色剤微粒子の分散液は、水系媒体中に着色剤を分散させることにより得られる。
分散の方法としては、分散機を用いるなど、公知の種々の方法を採用することができる。
着色剤微粒子の分散液における着色剤微粒子の平均粒径は、体積基準のメジアン径で例えば10〜300nmの範囲にあることが好ましい。なお、体積基準のメジアン径は、動的光散乱式粒度分析計「マイクロトラックUPA150」(日機装(株)製)を用いて測定されるものである。
本発明に係るトナーに含有される着色剤としては、カーボンブラック、黒色酸化鉄、染料、顔料などの公知の種々の着色剤を用いることができる。
カーボンブラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられ、黒色酸化鉄としては、例えばマグネタイト、ヘマタイト、三酸化チタン鉄などが挙げられる。
染料としては、例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などが挙げられる。
顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同150、同166、同177、同178、同222、同238、同269、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同156、同158、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60などが挙げられる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
結着樹脂微粒子は、トナーの技術分野において公知の製造方法、例えば、乳化重合法、転相乳化法、懸濁重合法、溶解懸濁法などにより製造することができる。中でも、乳化重合法による製造が好ましい。
乳化重合法においては、結着樹脂を形成するべき重合性単量体を水系媒体中に分散させて乳化粒子を形成した後、重合開始剤を投入して重合性単量体を重合させることにより、結着樹脂微粒子が形成される。
トナー粒子を構成する結着樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂などの公知の種々の樹脂を用いることができる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(1)スチレンあるいはスチレン誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなど。
(2)メタクリル酸エステル誘導体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなど。
(3)アクリル酸エステル誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなど。
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレンなど。
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなど。
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど。
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなど。
(8)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなど。
(9)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体など。
カルボキシル基を有するものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。また、スルフォン酸基を有するものとしては、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸などが挙げられる。さらに、リン酸基を有するものとしてはアシドホスホオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
多価カルボン酸としては、2価以上のカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸などのジカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類;トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの酸無水物、あるいは酸塩化物などの3価以上のカルボン酸類などを挙げることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、多価アルコールとしては、2価以上のアルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,7−ヘプタングリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ピナコール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールAなどのジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどの3価以上の多価脂肪族アルコール類;上記3価以上の多価脂肪族アルコール類のアルキレンオキサイド付加物などを挙げることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
結着樹脂微粒子分散液調製工程において重合開始剤を使用する場合、従来公知の種々のものを用いることができる。重合開始剤の具体例としては、例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)が好ましく用いられる。その他、アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸およびその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩など)、パーオキシド化合物、アゾビスイソブチロニトリルなどを用いてもよい。
水系媒体には、界面活性剤が添加されていてもよく、界面活性剤としては、従来公知の種々のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン界面活性剤などを用いることができる。
結着樹脂微粒子分散液調製工程においては、結着樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えば2−クロロエタノール、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタンおよびスチレンダイマーなどを挙げることができる。
結着樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は、「マイクロトラックUPA−150」(日機装社製)を用いて測定されるものである。
離型剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
トナー粒子中における離型剤の含有割合としては、結着樹脂100質量部に対して通常0.5〜25質量部とされ、好ましくは3〜15質量部とされる。
荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
トナー粒子中における荷電制御剤の含有割合としては、結着樹脂100質量部に対して通常0.1〜10質量部とされ、好ましくは0.5〜5質量部とされる。
凝集、融着工程においては、結着樹脂微粒子および着色剤微粒子、並びに必要に応じてその他のトナー構成成分の微粒子が分散された水系媒体に、凝集剤を加え、結着樹脂微粒子の凝集により凝集粒子を成長させると同時、または凝集により凝集粒子を成長させた後に、結着樹脂微粒子のガラス転移点以上で加熱して凝集粒子を融着させる。
本発明においては、凝集剤としてポリシリカ鉄が使用される。
ポリシリカ鉄は、一般式[SiO2 ]n ・[Fe2 O3 ]で表される、平均分子量が20万〜50万ダルトン程度の安定した重合ケイ酸に鉄が導入された化合物である。
このポリシリカ鉄によれば、鉄由来の電荷中和作用と重合ケイ酸による架橋作用により、塩化第二鉄などの鉄系凝集剤を単独で使用した場合よりも高い凝集力が発揮される。
ポリシリカ鉄としては、シリカと鉄のモル比(Si/Fe)が0.25〜3.0の範囲のものが好ましく、凝集粒子の粒度分布の制御性の観点から、0.25〜1.00の範囲のものを使用することが特に好ましい。更に、ポリシリカ鉄としては、上記一般式中のnが0.5〜6.0であるものを使用することが好ましい。
ポリシリカ鉄は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
凝集剤としては、ポリシリカ鉄と共に、ポリシリカ鉄以外のものを併用することもできる。
凝集停止剤添加工程は、上記の凝集、融着工程において凝集粒子が所望の粒子径になった時点で特定の凝集停止剤を水系媒体に添加することにより、水系媒体における微粒子間の凝集力を低下させて粒径成長を停止させる工程である。
本発明のトナーの製造方法に用いられる特定の凝集停止剤は、多価有機酸またはその塩からなる。
多価有機酸とは、1分子につきプロトンを2個以上供与できる化合物、または電離指数pKa値を2つ以上有する化合物であり、多価有機酸としては、例えば、1分子中にカルボキシル基を2つ以上有する化合物であるポリカルボン酸、1分子にカルボキシル基と水酸基を有する化合物であるオキソ酸、1分子中にホスホン酸基を2つ以上有する化合物であるポリホスホン酸、1分子中にカルボキシル基とアミノ基(イミノ基を含む)を有する化合物であるアミノ酸、スルホン酸化合物、アミノ酸化合物、リン酸化合物、硫酸化合物などが挙げられる。
このような多価有機酸またはその塩は、キレート剤として金属イオンを捕捉することができることは従来から知られていたが、本発明者らは金属イオンによる凝集力と重合ケイ酸の架橋作用による凝集力とを併せ持つポリシリカ鉄の凝集作用の緩和にも効果を発揮することを見出した。本発明はこれに基づいて完成されたものである。
ポリシリカ鉄による凝集作用が効果的に緩和されるメカニズムは、以下の通りであると推測される。
すなわち、ポリシリカ鉄を含む水系媒体に、多価有機酸またはその塩を添加することにより、まず、多価有機酸の酸基がキレート剤として作用してポリシリカ鉄の鉄イオンが捕捉され、鉄イオンによる凝集粒子の表面電荷中和作用が弱まることによって、凝集力が抑制される。さらに、凝集粒子の表面電荷中和作用が弱まったことにより、凝集粒子の表面と重合ケイ酸との間に作用する静電反発力が強まることによって、凝集粒子への重合ケイ酸の吸着が抑制され、これにより、重合ケイ酸による架橋作用が生じにくくなって凝集力がさらに抑制される。
また、多価有機酸の酸基がキレート剤として作用して鉄イオンが捕捉されることによって、鉄イオンによるカラートナーへの着色が抑制され、これにより、得られるカラートナーに高い彩度が得られる。
凝集停止剤の水系媒体に対する添加量は、水系媒体1Lに対して1〜500mmolとされることが好ましく、10〜300mmolとされることがより好ましい。
熟成工程は、必要に応じて行われるものであって、当該熟成工程においては、凝集粒子を熱エネルギーにより所望の形状になるまで熟成させる熟成処理が行われる。
濾過、洗浄工程は、一般的に行われる公知のトナー粒子の製造方法における濾過、洗浄工程に従って行うことができる。
この濾過、洗浄工程において、具体的な濾過、洗浄を行う時点でのトナー粒子分散液のpHは、1.0〜5.0に調整されていることが好ましい。このようなpHに調整されていることによって、トナー粒子中に取り込まれなかった凝集剤、界面活性剤、着色剤、凝集停止剤などを効果的に洗浄して除去することができる。
この乾燥工程は、一般的に行われる公知のトナー粒子の製造方法における乾燥工程に従って行うことができる。
上記のトナー粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加した状態で使用してもよい。
流動化剤としては、例えば、数平均1次粒子径が10〜1000nm程度の、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅、酸化鉛、酸化アンチモン、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸亜鉛、フェライト、ベンガラ、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ジルコニウム、マグネタイト、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム微粒子、ステアリン酸亜鉛などよりなる無機微粒子などが挙げられる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、トナー粒子の表面への分散性向上、環境安定性向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
クリーニング助剤としては、例えば、数平均1次粒子径が10〜2000nm程度の、ポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子、スチレン−メチルメタクリレート共重合体微粒子などの有機微粒子が挙げられる。
外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
これらの外添剤の添加量は、その合計の添加量がトナー粒子100質量部に対して好ましくは0.05〜5質量部、より好ましくは0.1〜3質量部とされる。
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置を使用することができる。
本発明に係るトナーの平均粒径は、例えば体積基準のメジアン径で3〜8μmであることが好ましく、より好ましくは5〜8μmである。この平均粒径は、製造時において使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、結着樹脂の組成などによって制御することができる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、1200dpiレベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することなどができる。
本発明に係るトナーは、トナー粒子の体積基準の粒度分布における変動係数(Cv値)が2〜25%であること好ましく、より好ましくは5〜23%である。
体積基準の粒度分布における変動係数(Cv値)は、トナー粒子の粒度分布における分散度を体積基準で表したもので、下記式(Cv)によって定義されるものである。
式(Cv):Cv値(%)=(個数粒度分布における標準偏差)/(個数粒度分布におけるメジアン径)×100
このCv値の値が小さい程、粒度分布がシャープであることを示し、トナー粒子の大きさが揃っていることを意味する。すなわち、Cv値が上記範囲にあることにより、大きさの揃ったトナー粒子が得られることになるので、デジタル方式による画像形成で求められる微細なドット画像や細線をより高精度に再現することが可能である。また、写真画像を形成する場合において、大きさの揃った小径トナーを用いることにより、印刷インクで作製された画像レベルまたはそれ以上の高画質の写真画像を形成することができる。
本発明に係るトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。本発明に係るトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアなど用いてもよい。
キャリアの体積基準のメジアン径としては20〜100μmであることが好ましく、さらに好ましくは25〜80μmとされる。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
例えば、本発明のトナーの製造方法は、結着樹脂が含有されたコア粒子とその外周面を被覆するシェル樹脂よりなるシェル層とよりなるコア−シェル構造のトナー粒子からなるトナーの製造に適用することもできる。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、
スチレン 448質量部
n−ブチルアクリレート 165質量部
メタクリル酸 16質量部
n−オクチルメルカプタン 2質量部
パラフィンワックス「HNP−57」(日本精蝋社製) 80質量部
を90℃に加温して溶解させて単量体溶液を作製した。
一方、撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム8質量部をイオン交換水1780質量部に溶解させた界面活性剤溶液を入れ、98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、上記の単量体溶液を8時間混合分散させて、分散粒子径330nmの乳化粒子を有する分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃で12時間にわたって加熱撹拌して重合を行うことにより、結着樹脂微粒子の分散液〔1〕を得た。
この分散液〔1〕について、結着樹脂微粒子の体積基準のメジアン径を測定したところ、132nmであった。
ドデシル硫酸ナトリウム10質量%の水溶液900質量部を撹拌しながら、着色剤「C.I.Pigment Yellow 74」100質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子の分散液〔Y1〕を調製した。
この分散液〔Y1〕中の着色剤微粒子の体積基準のメジアン径を測定したところ、175nmであった。
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に、
結着樹脂微粒子の分散液〔1〕 2105質量部
着色剤微粒子の分散液〔Y1〕 200質量部
イオン交換水 900質量部
を入れて撹拌し、容器内の温度を30℃に調整した後、水酸化ナトリウムにてpH6.5に調整した。次いで、ポリシリカ鉄「PSI−025」(水道機工株式会社製;シリカと鉄のモル比(Si/Fe)=0.25)110質量部を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温した。
その状態で、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)によって凝集粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径(D50)が6.5μmになった時点で、凝集停止剤として上記式(10−5)で表される化合物のナトリウム塩55質量部を添加して粒径成長を停止させ、さらに、熟成処理として液温度85℃で3時間にわたって加熱撹拌した。
その後、6℃/minの条件で30℃まで冷却し、pHを2に調整し、撹拌を停止した。
生成したトナー粒子を固液分離し、15Lのイオン交換水による洗浄を4回繰り返し、その後、40℃の温風で乾燥し、トナー粒子〔1X〕よりなるトナー〔1X〕を得た。
このトナー〔1〕の体積基準のメジアン径およびCv値を測定した。結果を表1に示す。
トナーの製造例1において、ポリシリカ鉄の種類、凝集停止剤の種類およびその添加量を表1に従って変更したことの他は同様にして、トナー〔2〕〜〔7〕を得た。なお、凝集剤における「PSI−050」、「PSI−075」は、いずれも水道機工株式会社製のものであって、それぞれ、シリカと鉄のモル比(Si/Fe)が0.5、0.75のものである。
このトナー〔2〕〜〔7〕の体積基準のメジアン径およびCv値を測定した。結果を表1に示す。
トナーの製造例1において、凝集停止剤を添加しなかったことの他は同様にして、比較用のトナー〔8〕を得た。
このトナー〔8〕の体積基準のメジアン径、およびCv値を測定した。結果を表1に示す。
トナーの製造例1において、凝集停止剤として上記式(10−5)で表される化合物のナトリウム塩55質量部の代わりに水酸化ナトリウムを添加してpHを6.9に調整したことの他は同様にして、比較用のトナー〔9〕を得た。
このトナー〔9〕の体積基準のメジアン径、およびCv値を測定した。結果を表1に示す。
トナーの製造例1において、凝集停止剤として上記式(10−5)で表される化合物のナトリウム塩55質量部の代わりに塩化ナトリウム150質量部(水系媒体1Lに対して152mmol)をイオン交換水600質量部に溶解させた凝集停止剤水溶液を添加したことの他は同様にして、比較用のトナー〔10〕を得た。
このトナー〔10〕の体積基準のメジアン径、およびCv値を測定した。結果を表1に示す。
(1)キャリアの作製
フェライトコア粒子100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコア粒子の表面に樹脂コート層を形成させることにより、体積基準のメジアン径が35μmであるフェライトキャリアを得た。
キャリアの体積基準のメジアン径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定した。
トナー〔1〕〜〔10〕の各々に対して、上記のキャリアをトナー濃度が6%となるように添加し、V型混合機によって混合することにより、本発明に係る現像剤〔1〕〜〔6〕、参考用の現像剤〔7〕および比較用の現像剤〔8〕〜〔10〕を製造した。
そして、この色域測定用のテストチャートを、「Spectrolina/Scan Bundle」(Gretag Macbeth社製)を用いてYの色度を以下の測定条件で測定し、測定されたYの色度をa* −b* 座標に表し、下記式(1)に従って算出した彩度C* によって評価した。結果を表1に示す。なお、彩度C* が85以上であると、実用上問題がなく合格レベルと判断される。
式(1):彩度C* =〔(a* )2 +(b* )2 〕1/2
−測定条件−
・光源:D50光源
・観測視野:2°
・濃度:ANSI T
・白色基準:Abs
・フィルタ:UV Cut
・測定モード:リフレクタンス
・言語:Japanese
Claims (8)
- 少なくとも結着樹脂を含有するトナー粒子からなる静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、
前記結着樹脂からなる結着樹脂微粒子が分散されてなる水系媒体中に、ポリシリカ鉄を含む凝集剤を添加することにより、当該結着樹脂微粒子を凝集させる凝集、融着工程、多価有機酸またはその塩からなる凝集停止剤を添加する凝集停止剤添加工程を有し、
前記多価有機酸またはその塩が、アミノ酸、ポリホスホン酸またはこれらの塩であることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 前記多価有機酸またはその塩が、アミノ酸またはその塩であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記多価有機酸またはその塩が、カルボキシル基および/または水酸基を5個以上有するアミノ酸またはその塩であることを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記凝集、融着工程において、結着樹脂微粒子と共に着色剤からなる着色剤微粒子を凝集させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記ポリシリカ鉄が、平均分子量が20万〜50万ダルトンのものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記凝集、融着工程において添加されるポリシリカ鉄の添加量が、水系媒体1Lに対して[Fe 2 O 3 ]基準で1〜100mmolであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記凝集、融着工程において、前記凝集剤を添加する温度が前記結着樹脂のガラス転移点以下であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 凝集停止剤の水系媒体に対する添加量が、水系媒体1Lに対して1〜500mmolであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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