以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
以下、本実施形態に係る導電シートについて図1〜9を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
本実施の形態に係るタッチパネル用の導電シート10は、並列に配置された、金属細線で構成された複数の電極パターン16A(16B)と、各電極パターン16A(16B)の端部と電気的に接続された一対の電極端子60A(60B)と、を備える(図5、図9参照)。
そして、本実施の形態に係るタッチパネル用の導電シート10は、図5及び図6(a)に示すように、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bとが積層されて構成される。
第1導電シート12Aは、図5及び図7(a)に示すように、第1透明基体14A(図6(a)参照)の一主面上に形成された第1電極パターン16Aを有する。第1電極パターン16Aは、金属細線による多数の格子にて構成される。第1電極パターン16Aは、それぞれ第1方向(x方向)に延在し、且つ、第1方向と直交する第2方向(y方向)に配列された2以上の第1導電パターン18Aと、各第1導電パターン18Aを電気的に分離する第1非導電パターン20Aとを有する。第1非導電パターン20Aには金属細線の交差点以外に複数の断線部22Aが形成される。複数の断線部22Aにより各第1導電パターン18Aが電気的に分離される。
第1電極パターン16Aを構成する金属細線は30μm以下、好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下、さらに好ましくは9μm以下、さらに好ましくは7μm以下の線幅を有する。なお、第1導電パターン18Aと第1非導電パターン20Aとは実質的に同じ線幅を有するが、図7(a)では第1導電パターン18Aと第1非導電パターン20Aとを明確にするため、第1導電パターン18Aの線幅を太く、第1非導電パターン20Aの線幅を細くして誇張して図示している。第1導電パターン18Aの線幅と第1非導電パターン20Aの線幅は、同じでもよく、異なっていてもよい。好ましくは、両者の線幅は同じである。その理由は、線幅が異なると視認性が悪化することがあるからである。第1電極パターン16Aの金属細線は、金、銀、銅などの金属材料や金属酸化物等の導電材料で構成される。
第1電極パターン16Aは交差する金属細線で構成される複数の格子24Aを含んでいる。格子24Aは金属細線で囲まれる開口領域を含んでいる。格子24Aは300μm以上800μm以下、好ましくは400μm以上600μm以下の格子ピッチPaを有する。第1導電パターン18Aの格子24Aと第1非導電パターン20Aの格子24Aとは実質的に同じ大きさを有する。
第1非導電パターン20Aの格子24Aは金属細線の交差部以外に断線部22Aを有する。第1非導電パターン20Aを構成する全ての格子24Aが断線部22Aを有する必要はない。第1非導電パターン20Aが、隣り合う第1導電パターン18A間の電気的な分離を達成できればよい。断線部22Aの長さは、好ましくは、60μm以下である。断線部22Aの長さの下限値は、10μmが好ましく、15μmがより好ましく、20μmがさらに好ましい。断線部22Aの長さの上限値は、50μmが好ましく、40μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。好ましい範囲としては10μm以上50μm以下であり、15μm以上30μm以下である。また、断線部22Aを形成する範囲について、例えば、線密度のバラツキで表現することができる。ここで、線密度のバラツキとは単位小格子中の総細線長のバラツキであり、±(総線長最大値−総線長最小値)/総線長平均値/2(%)と定義できる。断線部22Aを形成する範囲は、好ましくは、綿密度のバラツキで±15%であり、より好ましくは、±10%である。
上述のタッチパネル用導電シート10では、格子24Aは略ひし形の形状を有している。ここで略ひし形の形状とは、対角線が実質的に直交する平行四辺形を意味する。ただし、その他、多角形状としてもよい。また、一辺の形状を直線状のほか、湾曲形状でもよいし、円弧状にしてもよい。円弧状とする場合は、例えば対向する2辺については、外方に凸の円弧状とし、他の対向する2辺については、内方に凸の円弧状としてもよい。また、各辺の形状を、外方に凸の円弧と内方に凸の円弧が連続した波線形状としてもよい。もちろん、各辺の形状を、サイン曲線にしてもよい。
各第1導電パターン18Aは、第1方向(x方向)に沿って、交互に配置された幅広部分と幅狭部分とを備えた、いわゆるダイヤモンドパターンである。同様に各第1非導電パターン20Aは、第1方向(x方向)に沿って、交互に配置された幅広部分と幅狭部分とを備えている。第1導電パターン18Aの幅広部分と幅狭部分の順序は、第1非導電パターン20Aの幅広部分と幅狭部分の順序と逆になっている。なお、各第1導電パターン18Aは、上記ダイヤモンドパターンに限定されず、所定の幅の帯状の形状(ストライプ形状)や所定の幅のジグザグ形状などでもよい。パターニングとしては、既存のITO透明導電膜で施されている電極形状が挙げられる。
各第1導電パターン18Aの一方の端部は、第1電極端子60Aを介して第1外部配線62Aに電気的に接続される。一方、各第1導電パターン18Aの他方の端部は、開放端となっている。なお、従来技術において、各第1導電パターン18Aの他方の端部は、外部配線に電気的に接続されない以外は一方の端部と同様のパターン形状や端子を有する形状としている。
第2導電シート12Bは、図5及び図7(b)に示すように、第2透明基体14B(図6(a)参照)の一主面上に形成された第2電極パターン16Bを有する。第2電極パターン16Bは、金属細線による多数の格子にて構成される。第2電極パターン16Bは、それぞれ第2方向(y方向)に延在し、且つ、第2方向と直交する第1方向(x方向)に配列された2以上の第2導電パターン18Bと、各第2導電パターン18Bを電気的に分離する第2非導電パターン20Bとを有する。第2非導電パターン20Bには金属細線の交差点以外に複数の断線部22Bが形成される。複数の断線部22Bにより各第2導電パターン18Bが電気的に分離される。
第2電極パターン16Bを構成する金属細線は第1電極パターン16Aを構成する金属細線と実質的に同じ線幅を有する。なお、第2導電パターン18Bと第2非導電パターン20Bとは実質的に同じ線幅を有するが、図7(b)では第2導電パターン18Bと第2非導電パターン20Bとを明確にするため、第2導電パターン18Bの線幅を太く、第2非導電パターン20Bの線幅を細くして誇張して図示している。第2導電パターン18Bの線幅と第2非導電パターン20Bの線幅は、同じでもよく、異なっていてもよい。好ましくは、両者の線幅は同じである。その理由は、線幅が異なると視認性が悪化することがあるからである。第1電極パターン16Aの金属細線は、金、銀、銅などの金属材料や金属酸化物等の導電材料で構成される。第1電極パターン16Aの金属細線は、不透明な導電材料で構成される。
第2電極パターン16Bは交差する金属細線で構成される複数の格子24Bを含んでいる。格子24Bは金属細線で囲まれる開口領域を含んでいる。格子24Bは300μm以上800μm以下、好ましくは400μm以上600μm以下の格子ピッチPbを有する。第2導電パターン18Bの格子24Bと第2非導電パターン20Bの格子24Bとは実質的に同じ大きさを有する。
第2非導電パターン20Bの格子24Bは金属細線の交差部以外に断線部22Bを有する。第2非導電パターン20Bを構成する全ての格子24Bが断線部22Bを有する必要はない。第2非導電パターン20Bが、隣り合う第2導電パターン18B間の電気的な分離を達成できればよい。断線部22Bの長さは、好ましくは、60μm以下である。断線部22Aの長さの下限値は、10μmが好ましく、15μmがより好ましく、20μmがさらに好ましい。断線部22Aの長さの上限値は、50μmが好ましく、40μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。好ましい範囲としては10μm以上50μm以下であり、15μm以上30μm以下である。また、断線部22Bを形成する範囲について、例えば、線密度のバラツキで表現することができる。ここで、線密度のバラツキとは単位小格子中の総細線長のバラツキであり、±(総線長最大値−総線長最小値)/総線長平均値/2(%)と定義できる。断線部22Bを形成する範囲は、好ましくは、綿密度のバラツキで±15%であり、より好ましくは、±10%である。
上述のタッチパネル用導電シート10では、格子24Bは略ひし形の形状を有している。ここで略ひし形の形状とは、対角線が実質的に直交する平行四辺形を意味する。ただし、その他、多角形状としてもよい。また、一辺の形状を直線状のほか、湾曲形状でもよいし、円弧状にしてもよい。円弧状とする場合は、例えば対向する2辺については、外方に凸の円弧状とし、他の対向する2辺については、内方に凸の円弧状としてもよい。また、各辺の形状を、外方に凸の円弧と内方に凸の円弧が連続した波線形状としてもよい。もちろん、各辺の形状を、サイン曲線にしてもよい。
各第2導電パターン18Bは、第2方向(y方向)に沿って、交互に配置された幅広部分と幅狭部分とを備えている。同様に各第2非導電パターン20Bは、第2方向(y方向)に沿って、交互に配置された幅広部分と幅狭部分とを備えている。第2導電パターン18Bの幅広部分と幅狭部分の順序は、第2非導電パターン20Bの幅広部分と幅狭部分の順序と逆になっている。
各第2導電パターン18Bの一方の端部は、第2電極端子60Bを介して第2外部配線62Bに電気的に接続される。一方、各第2導電パターン18Bの他方の端部は、開放端となっている。
そして、例えば第2導電シート12B上に第1導電シート12Aを積層してタッチパネル用導電シート10としたとき、図8に示すように、第1電極パターン16Aと第2電極パターン16Bとが重なり合わないよう配置される。このとき、第1導電パターン18Aの幅狭部と第2導電パターン18Bの幅狭部とが対向し、且つ第1導電パターン18Aの幅狭部と第2導電パターン18Bとが交差するように、第1電極パターン16Aと第2電極パターン16Bとが配置される。この結果、第1電極パターン16Aと第2電極パターン16Bとにより、組合せパターン80が形成される。なお、第1電極パターン16Aと第2電極パターン16Bの各線幅は実質的に同じである。また、格子24Aと格子24Bとは各大きさは実質的に同じである。但し、図8では、第1電極パターン16Aと第2電極パターン16Bとの位置関係を明確にするため、第1電極パターン16Aの線幅を第2電極パターン16Bの線幅より太く表示している。
組合せパターン80において、上面視で、格子24Aと格子24Bとにより小格子76が形成される。つまり、格子24Aの交差部が格子24Bの開口領域に配置される。なお、小格子76は、格子24A及び格子24Bの格子ピッチPa,Pbの半分の150μm以上400μm以下、好ましくは200μm以上300μm以下の格子ピッチPsを有する。
第1非導電パターン20Aの断線部22Aは格子24Aの交差部以外に形成され、第2非導電パターン20Bの断線部22Bは格子24Bの交差部以外に形成される。その結果、組合せパターン80において、断線部22Aと断線部22Bに起因する視認性の劣化を防止できる。
特に、断線部22Aに対向する位置に、第2導電パターン18Bの金属細線が配置される。また、断線部22Bに対向する位置に、第1導電パターン18Aの金属細線が配置される。第2導電パターン18Bの金属細線が断線部22Aをマスクし、第1導電パターン18Aの金属細線が断線部22Bをマスクすることになる。したがって、組合せパターン80において、上面視で、断線部22Aと断線部22Bとが視認され難くなるので、視認性を向上することができる。視認性向上を考慮すると、断線部22Aの長さと、第2導電パターン18Bの金属細線の線幅とは、線幅×1<断線部<線幅×10の関係式を満たすことが好ましい。同様に、断線部22Bの長さと、第1導電パターン18Aの金属細線の線幅とは、線幅×1<断線部<線幅×10の関係式を満たすことが好ましい。
そして、このタッチパネル用導電シート10をタッチパネルとして使用する場合は、第1導電シート12A上に保護層(不図示)が形成される。第1導電シート12Aの多数の第1導電パターン18Aから導出された第1外部配線62Aと、第2導電シート12Bの多数の第2導電パターン18Bから導出された第2外部配線62Bとが、例えばスキャンをコントロールするIC回路に接続される。
タッチパネル用導電シート10のうち、液晶表示装置の表示画面から外れた外周領域の面積が極力小さくなるように、好ましくは、第1導電パターン18Aと第1外部配線62Aとの各接続部が直線状に配列され、第2導電パターン18Bと第2外部配線62Bとの各接続部が直線状に配列される。
指先を保護層上に接触させることで、指先に対向する第1導電パターン18Aと第2導電パターン18B間の静電容量が変化する。IC回路はこの変化量を検出し、この変化量に基づいて指先の位置を演算する。この演算をそれぞれの第1導電パターン18Aと第2導電パターン18Bとの間にて行う。したがって、同時に2つ以上の指先を接触させても、各指先の位置を検出することが可能となる。
このように、タッチパネル用導電シート10においては、該タッチパネル用導電シート10を用いて例えば投影型静電容量方式のタッチパネルに適用した場合に、その表面抵抗が小さいことから応答速度を速めることができ、タッチパネルの大サイズ化を促進させることができる。
ところで、導電シートの導電パターン18A(18B)の導電性を検査する際には、抵抗率計を用いて、各導電パターンの端部と電気的に接続された一対の電極端子60A,60A(60B,60B)に各々プローブ50を接触させて導電パターン18A(18B)の抵抗率を検査する(図9参照)。なお、図9では、導電パターン18A(18B)の金属細線で構成される複数の格子は省略して示している。
しかしながら、この検査は自動化させているため、一対の電極端子の認識を誤ることがある。即ち、測定したい導電パターン18A(18B)の一対の電極端子の一方を、並列に配置された他の導電パターン18A(18B)の電極端子と誤認識してしまうことがあり、各導電パターンの導電性を誤認識することがある。なお、上記した通り、従来技術において、各導電パターン18A(18B)の他方の端部は、一方の端部と同様のパターン形状や端子を有する形状としており、通常は高い導電性を備えるために太い端子(ベタ端子)となっている(図4参照)。
そこで、本発明では、複数の電極端子60A(60B)の中で、最も外側に位置する2つの導電パターン18A(18B)の一対の電極端子60A,60A(60B,60B)は、形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっているようにした。または、本発明では、複数の電極端子60A(60B)の隣り合う電極端子は、形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっているようにした。または、本発明では、複数の電極端子の一対の電極端子は、形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっているようにした。
図1〜4は、本発明に係る導電シートの電極端子の一例を示したものである。形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっている例として、図1は、電極端子60A(60B)が金属細線で構成された格子68からなるメッシュ形状66であるものを示したものである。図2は、平行に設けられた2本のベタ端子70,70を備え、ベタ端子70,70の間を金属細線で構成された格子68からなるメッシュ形状66としたものを示したものである。図3は、平行に設けられた2本のベタ端子70,70を備え、ベタ端子70,70の間を複数の金属細線72で繋いだものを示したものである。
ここで、図1や図2の電極端子60A(60B)のメッシュ形状66のピッチは、電極パターン16A(16B)のピッチよりも密であることが好ましく、電極パターン16A(16B)のピッチの3/4以下がより好ましく、2/3以下がさらに好ましく、1/2がより好ましい。電極端子のメッシュ形状のピッチを電極パターンよりも小さくすることで、電極端子の電気特性を向上させることができ、信号検出の安定性を維持することができる。具体的な電極端子60A(60B)のメッシュ形状66のピッチは、50μm以上300μm以下であり、50μm以上250μm以下がより好ましい。なお、電極パターン16A(16B)のピッチは、格子24A(24B)の一辺の長さと略等しい値である。なお、図1、図2のメッシュ形状66は、格子68は略ひし形の形状を有している。ここで略ひし形の形状とは、対角線が実質的に直交する平行四辺形を意味する。
図1〜図3の場合、形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっている以外の電極端子の透過率が0%であり、形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっている電極端子の透過率が0%より大きく、更には形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっている電極端子の透過率が50%以上90%以下であることが好ましい。さらに、形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっている電極端子の透過率は60%以上がより好ましく、70%以上が好ましい。
また、図4のようにベタ端子74となっていても、形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっている電極端子としてベタ端子74の横幅や縦幅を変えることで電極端子の面積を異なるようにしたり、通常の電極端子の透過率を0%とし、異なっている電極端子の透過率を0%より大きくすることが考えられる。
以上のような電極端子により、複数の電極端子60A(60B)の中で、最も外側に位置する2つの導電パターン18A(18B)の一対の電極端子60A,60A(60B,60B)は、形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっている、または、複数の電極端子60A(60B)の隣り合う電極端子は、形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっている、または、複数の電極端子の一対の電極端子は、形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっているようにすることで、一対の電極端子に各々プローブを接触させて導電パターンの抵抗率を検査する際に、一対の電極端子の認識を誤ること、即ち、測定したい導電パターンの一対の電極端子の一方を並列に配置された他の導電パターンの電極端子と誤認識してしまうことを防ぐことができ、導電パターンの導電性の誤認識を防ぐことができる。
なお、本発明の導電シートは、電極端子のうち少なくとも1つが形状及び光学特性の少なくとも1つが他の電極端子と異なれば、一対の電極端子の認識を誤ることを防ぐ効果がある。
本発明に係る電極端子60A(60B)において、電極パターンと電気的に接続された部分と外部配線62A(62B)との間の抵抗は、1〜100Ω/sq.の範囲になることが好ましい。また、図1〜図4のような電極端子60A(60B)において、電極端子60A(60B)の表面抵抗値は4Ω/sq.以上80Ω/sq.以下の範囲になることが好ましく、10Ω/sq.以上40Ω/sq.以下の範囲になることがさらに好ましい。
次に、第1導電シート12Aや第2導電シート12Bを検査する方法について説明する。
図9に示すように、検査装置42は、ガイドローラ45,46、投光器47、受光器48、プローブ50を備えている。ガイドローラ45,46は、導電シート12A(12B)の搬送路に所定の間隔で離間して配置されている。ガイドローラ45,46は回動自在であり、導電シート12A(12B)の搬送に従動して回転する。ガイドローラ46にはエンコーダ(不図示)が接続されており、このエンコーダは導電シート12A(12B)が一定長搬送されるごとにエンコーダパルス信号を発生する。このエンコーダパルス信号はシステムコントローラ(不図示)に送信され、一対の電極端子間の導電パターンの導電性を測定する際に用いられる。
投光器47は線状又は面状光源から構成され、導電シート12A(12B)の搬送路の下方であって導電シート12A(12B)の一対の電極端子60A,60A(60B,60B)が通る位置に設けられている。投光器47は光量調整機能を備えており、この光量調整機能により、導電シート12A(12B)に照明される光の光量が一定に保持される。なお、投光器としては輝度が高いものが好ましく、例えば、ハロゲンランプ、メタルハライドランプなどが挙げられる。
受光器48はCCDカメラから構成され、導電シート12A(12B)の搬送路の上方であって導電シート12A(12B)の一対の電極端子60A,60A(60B,60B)が通る位置に設けられている。このような受光器48を用いることで、導電シート12A(12B)の一対の電極端子60A,60A(60B,60B)の形状及び光学特性の少なくとも1つを認識することができる。受光器48は導電シート12A(12B)が一定長搬送されるごとに1ラインずつ撮像して、その撮像信号をシステムコントローラ(不図示)に送信する。
形状及び光学特性の少なくとも1つを認識された一対の電極端子60A,60A(60B,60B)は、ガイドローラ45,46で所定の距離を搬送され、プローブ50,50が接触される。プローブ50,50は上下可動であり、一対の電極端子60A,60A(60B,60B)がプローブ50,50の下方に来る際に下降して一対の電極端子60A,60A(60B,60B)にプローブ50,50が接触する。プローブ50,50は、抵抗率計(不図示)が接続されており、一対の電極端子間の電極パターン16A(16B)の導電性を測定する。抵抗率計としては、例えば、ダイアインスツルメンツ社製ロレスタを好ましく用いることができる。
各電極パターン16A(16B)の導電性の測定結果に基づき、導電シート12A(12B)の欠陥を判定する。
このように測定を自動化して検査する際、導電シート12A(12B)の全ての電極端子の形状及び光学特性が同じであると、一対の電極端子の認識を誤ることがある。即ち、測定したい導電パターン18A(18B)の一対の電極端子の一方を、並列に配置された他の導電パターン18A(18B)の電極端子と誤認識してしまうことがあり、各導電パターンの導電性を誤認識することがある。
上記した本発明の導電シートにより、一対の電極端子に各々プローブを接触させて導電パターンの抵抗率を検査する際に、一対の電極端子の認識を誤ること、即ち、測定したい導電パターンの一対の電極端子の一方を並列に配置された他の導電パターンの電極端子と誤認識してしまうことを防ぐことができ、導電パターンの導電性の誤認識を防ぐことができる。
なお、予め検査装置42のシステムコントローラには、形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっている電極端子60A(60B)の順番と形状及び/又は光学特性を記憶させて置く必要がある。
形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっている電極端子60A(60B)を認識する順番が異なっていた場合には、他の導電パターンの電極端子を誤認識して測定しているので、導電シート12A(12B)の検査を再度行うことができる。
したがって、本発明では、複数の電極端子60A(60B)の中で最も外側に位置する2つの導電パターン18A(18B)の一対の電極端子60A,60A(60B,60B)の形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっている、または、複数の電極端子の隣り合う電極端子の形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっている、または、複数の電極端子の一対の電極端子の形状及び光学特性の少なくとも1つが異なっていることが好ましいが、電極端子のうちの少なくとも1つの形状及び光学特性の少なくとも1つが他の電極端子と異なっていれば、導電パターンの導電性の誤認識を防ぐことに寄与することができる。
なお、検査装置42は、図9に限られない。例えば、導電シート12A(12B)は移動せずに受光器48,48とプローブ50,50が一体となって移動することで、一対の電極端子間の電極パターン16A(16B)の導電性を測定する検査装置であっても良い。
次に、第1導電シート12Aや第2導電シート12Bを製造する方法について説明する。
第1導電シート12Aや第2導電シート12Bを製造する場合は、例えば第1透明基体14A上及び第2透明基体14B上に感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって、露光部及び未露光部にそれぞれ金属銀部(金属細線)及び光透過性部(開口領域)を形成して第1電極パターン16A及び第2電極パターン16Bを形成するようにしてもよい。なお、さらに金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって金属銀部に導電性金属を担持させるようにしてもよい。
あるいは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に形成された銅箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する銅箔をエッチングすることによって、第1電極パターン16A及び第2電極パターン16Bを形成するようにしてもよい。
あるいは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に金属微粒子を含むペーストを印刷し、ペーストに金属めっきを行うことによって、第1電極パターン16A及び第2電極パターン16Bを形成するようにしてもよい。
第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に、第1電極パターン16A及び第2電極パターン16Bをスクリーン印刷版又はグラビア印刷版によって印刷形成するようにしてもよい。あるいは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に、第1電極パターン16A及び第2電極パターン16Bをインクジェットにより形成するようにしてもよい。
図4(b)に示すように、第1透明基体14Aの一主面に第1電極パターン16Aを形成し、第1透明基体14Aの他主面に第2電極パターン16Bを形成する場合、通常の製法に則って、最初に一主面を露光し、その後に、他主面を露光する方法を採用すると、所望のパターンを有する第1電極パターン16A及び第2電極パターン16Bを得ることができない場合がある。
そこで、以下に示す製造方法を好ましく採用することができる。
すなわち、第1透明基体14Aの両面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層に対して一括露光を行って、第1透明基体14Aの一主面に第1電極パターン16Aを形成し、第1透明基体14Aの他主面に第2電極パターン16Bを形成する。
この製造方法の具体例を説明する。
最初に、長尺の感光材料を作製する。感光材料は、第1透明基体14Aと、第1透明基体14Aの一方の主面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層(以下、第1感光層という)と、第1透明基体14Aの他方の主面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層(以下、第2感光層という)とを有する。
次に、感光材料を露光する。この露光処理では、第1感光層に対し、第1透明基体14Aに向かって光を照射して第1感光層を第1露光パターンに沿って露光する第1露光処理と、第2感光層に対し、第1透明基体14Aに向かって光を照射して第2感光層を第2露光パターンに沿って露光する第2露光処理とが行われる(両面同時露光)。
例えば、長尺の感光材料を一方向に搬送しながら、第1感光層に第1光(平行光)を第1フォトマスクを介して照射すると共に、第2感光層に第2光(平行光)を第2フォトマスクを介して照射する。第1光は、第1光源から出射された光を途中の第1コリメータレンズにて平行光に変換されることにより得られ、第2光は、第2光源から出射された光を途中の第2コリメータレンズにて平行光に変換されることにより得られる。
上記の説明では、2つの光源(第1光源及び第2光源)を使用した場合を示しているが、1つの光源から出射した光を光学系を介して分割して、第1光及び第2光として第1感光層及び第2感光層に照射してもよい。
次いで、露光後の感光材料を現像処理することで、例えば図4(b)に示すように、タッチパネル用導電シート10が作製される。タッチパネル用導電シート10は、第1透明基体14Aと、第1透明基体14Aの一方の主面に形成された第1露光パターンに沿った第1電極パターン16Aと、第1透明基体14Aの他方の主面に形成された第2露光パターンに沿った第2電極パターン16Bとを有する。なお、第1感光層及び第2感光層の露光時間及び現像時間は、第1光源及び第2光源の種類や現像液の種類等で様々に変化するため、好ましい数値範囲は一概に決定することができないが、現像率が100%となる露光時間及び現像時間に調整されている。現像率とは、サンプル中の現像銀量/(塗布銀量×(1-透過率/100))で表すことができる。
そして、本実施の形態の製造方法では、第1露光処理は、第1感光層上に第1フォトマスクを例えば密着配置し、該第1フォトマスクに対向して配置された第1光源から第1フォトマスクに向かって第1光を照射することで、第1感光層を露光する。第1フォトマスクは、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第1露光パターン)とで構成されている。したがって、この第1露光処理によって、第1感光層のうち、第1フォトマスクに形成された第1露光パターンに沿った部分が露光される。第1感光層と第1フォトマスク146aとの間に2μm以上10μm以下程度の隙間を設けてもよい。
同様に、第2露光処理は、第2感光層上に第2フォトマスクを例えば密着配置し、該第2フォトマスクに対向して配置された第2光源から第2フォトマスクに向かって第2光を照射することで、第2感光層を露光する。第2フォトマスクは、第1フォトマスクと同様に、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第2露光パターン)とで構成されている。したがって、この第2露光処理によって、第2感光層のうち、第2フォトマスクに形成された第2露光パターンに沿った部分が露光される。この場合、第2感光層と第2フォトマスクとの間に2μm以上10μm以下程度の隙間を設けてもよい。
第1露光処理及び第2露光処理は、第1光源からの第1光の出射タイミングと、第2光源からの第2光の出射タイミングを同時にしてもよいし、異ならせてもよい。同時であれば、1度の露光処理で、第1感光層及び第2感光層を同時に露光することができ、処理時間の短縮化を図ることができる。
次に、本実施の形態に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bにおいて、特に好ましい態様であるハロゲン化銀写真感光材料を用いる方法を中心にして述べる。
本実施の形態に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bの製造方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に光透過性導電膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
ここで、本実施の形態に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bの各層の
構成について、以下に詳細に説明する。
[第1透明基体14A、第2透明基体14B]
第1透明基体14A及び第2透明基体14Bとしては、プラスチックフィルム、プラスチック板、ガラス板等を挙げることができる。特に、光透過性や加工性等の観点から、PETが好ましい。
[銀塩乳剤層]
第1導電シート12Aの第1電極パターン16A及び第2導電シート12Bの第2電極パターン16Bとなる銀塩乳剤層は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含有する。
本実施の形態に用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本実施の形態においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
銀塩乳剤層の塗布銀量(銀塩の塗布量)は、銀に換算して1g/m2以上30g/m2以下が好ましく、1g/m2以上25g/m2以下がより好ましく、5g/m2以上20g/m2以下がさらに好ましい。この塗布銀量を上記範囲とすることで、タッチパネル用導電シート10とした場合に所望の表面抵抗を得ることができる。
本実施の形態に用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。
これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
本実施の形態の銀塩乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。銀塩乳剤層中のバインダーの含有量は、銀/バインダー体積比で1/4以上が好ましく、1/2以上がより好ましい。銀/バインダー体積比は、100/1以下が好ましく、50/1以下がより好ましい。また、銀/バインダー体積比は1/1以上4/1以下であることがさらに好ましい。1/1〜3/1であることが最も好ましい。銀塩乳剤層中の銀/バインダー体積比をこの範囲にすることで、塗布銀量を調整した場合でも抵抗値のばらつきを抑制し、均一な表面抵抗を有するタッチパネル用導電シートを得ることができる。なお、銀/バインダー体積比は、原料のハロゲン化銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(重量比)に変換し、さらに、銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(体積比)に変換することで求めることができる。
<溶媒>
銀塩乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本実施の形態の銀塩乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、銀塩乳剤層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
<その他の添加剤>
本実施の形態に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限はなく、公知のものを好ましく用いることができる。
[その他の層構成]
銀塩乳剤層の上に図示しない保護層を設けてもよい。本実施の形態において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する銀塩乳剤層上に形成される。その厚みは0.5μm以下が好ましい。保護層の塗布方法及び形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法及び形成方法を適宜選択することができる。また、銀塩乳剤層よりも下に、例えば下塗り層を設けることもできる。
次に、第1導電シート12A及び第2導電シート12Bの作製方法の各工程について説明する。
[露光]
本実施の形態では、第1電極パターン16A及び第2電極パターン16Bを印刷方式によって施す場合を含むが、印刷方式以外は、第1電極パターン16A及び第2電極パターン16Bを露光と現像等によって形成する。すなわち、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に設けられた銀塩含有層を有する感光材料又はフォトリソグラフィ用フォトポリマーを塗工した感光材料への露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。
さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
露光方法に関しては、ガラスマスクを介した方法やレーザー描画によるパターン露光方式が好ましい。
[現像処理]
本実施の形態では、乳剤層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。
本実施の形態での現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
現像、定着処理を施した感光材料は、硬膜処理、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
以上の工程を経て導電シートは得られるが、得られた導電シートの表面抵抗は100オーム/sq.以下が好ましく、80オーム/sq.以下がより好ましく、60オーム/sq.以下がさらに好ましく、40オーム/sq.以下がよりさらに好ましい。表面抵抗の下限値は、低ければ低いほどよいが、一般的には0.01オーム/sq.であれば十分であり、0.1オーム/sq.や1オーム/sq.であっても用途によっては使用可能である。
このような範囲に表面抵抗を調整することで、面積が10cm×10cm以上の大型のタッチパネルでも位置検出を行うことができる。また、現像処理後の導電シートに対しては、さらにカレンダー処理や蒸気処理などの導電性向上処理を行ってもよく、カレンダー処理により所望の表面抵抗に調整することができる。
[物理現像及びめっき処理]
本実施の形態では、前記露光及び現像処理により形成された金属銀部の導電性を向上させる目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はめっき処理を行ってもよい。本発明では物理現像又はめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属性銀部に担持させてもよく、物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよい。なお、金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施したものを含めて「導電性金属部」と称する。
[酸化処理]
本実施の形態では、現像処理後の金属銀部、並びに、物理現像及び/又はめっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
[電極パターン]
本実施の形態の第1電極パターン16A及び第2電極パターン16Bの金属細線の線幅は、30μm以下から選択可能であるが、タッチパネルの材料としての用途である場合、金属細線の線幅の下限値は0.7μmが好ましく、1μmがより好ましく、2μmがさらに好ましい。金属細線の線幅の上限値は15μmが好ましく、9μmがより好ましく、7μmがさらに好ましい。
線間隔(格子ピッチ)は100μm以上400μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは200μm以上300μm以下である。また、金属細線は、アース接続等の目的においては、200μmより広い部分を有していてもよい。
[光透過性部]
本実施の形態における「光透過性部」とは、第1導電シート12A及び第2導電シート12Bのうち第1電極パターン16A及び第2電極パターン16B以外の透光性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、第1透明基体14A及び第2透明基体14Bの光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が83%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上であり、さらにより好ましくは93%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
[第1導電シート12A及び第2導電シート12B]
本実施の形態に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bにおける第1透明基体14A及び第2透明基体14Bの厚さは、5μm以上350μm以下であることが好ましく、30μm以上150μm以下であることがさらに好ましい。5μm以上350μm以下の範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に設けられる金属銀部の厚さは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に塗布される銀塩含有層用塗料の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。金属銀部の厚さは、0.01μm以上100μm以下から選択可能であるが、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上9μm以下であることがさらに好ましく、0.5μm以上5μm以下であることが最も好ましい。また、金属銀部はパターン状であることが好ましい。金属銀部は1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。金属銀部がパターン状であり、且つ、2層以上の重層構成である場合、異なる波長に感光できるように、異なる感色性を付与することができる。これにより、露光波長を変えて露光すると、各層において異なるパターンを形成することができる。
導電性金属部の厚さは、タッチパネルの用途としては、薄いほど表示パネルの視野角が広がるため好ましく、視認性の向上の点でも薄膜化が要求される。このような観点から、導電性金属部に担持された導電性金属からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
本実施の形態では、上述した銀塩含有層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部を形成し、さらに物理現像及び/又はめっき処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する第1導電シート12A及び第2導電シート12Bであっても容易に形成することができる。
本発明に係る導電シート及びその検査方法並びに製造方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。また、特開2011-113149、特開2011-129501、特開2011-129112、特開2011-134311、特開2011-175628などに開示の技術と適宜組み合わせて使用することができる。