以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
図1は本発明の一実施の形態に係るタッチセンサを示す平面図、図2は図1のII-II線に沿った断面図、図3は本発明の一実施の形態に係る配線体を示す平面図であり、第1の導体層を説明するための図、図4は図3のIV部の部分拡大図、図5は図4のV-V線に沿った断面図、図6は図4のVI-VI線に沿った断面図、図7は開口率を説明するための説明図、図8は図4のVIII-VIII線に沿った断面図である。
本実施形態のタッチパネル1は、投影型の静電容量方式のタッチパネルセンサであり、たとえば、表示装置(不図示)などと組み合わせて、タッチ位置を検出する機能を有する入力装置として用いられる。表示装置としては、特に限定されず、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどを用いることができる。このタッチパネル1は、相互に対向して配置された透光性を有する検出電極と駆動電極を有しており、2つの電極の間には、所定電圧が周期的に印加されている。
このようなタッチパネル1では、たとえば、操作者の指(外部導体)がタッチパネル1に接近すると、この外部導体とタッチパネル1との間でコンデンサ(静電容量)が形成され、2つの電極間の電気的な状態が変化する。タッチパネル1は、2つの電極間の電気的な変化に基づき、操作者の操作位置を検出することができる。本実施形態における「タッチパネル1」が本発明における「タッチセンサ」の一例に相当する。
本実施形態のタッチパネル1は、図1及び図2に示すように、配線基板2により構成されている。配線基板2は、基材3と、配線体4と、を備えている。本実施形態における「配線基板2」が本発明における「導体層付き構造体」の一例に相当する。なお、図1においては、配線体4の構造を理解し易くするため、第3の樹脂層15(後述)を省略し、第2の導体層11(後述)を実線で表示する。
基材3は、透明性(透光性)を有する材料により構成されており、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シリコーン樹脂(SI)、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、グリーンシート、ガラス等の材料を例示できる。本実施形態における「基材3」が本発明における「支持体」の一例に相当する。
配線体4は、基材3の主面31上に形成されるものであり、当該基材3により支持されている。この配線体4は、図2に示すように、第1の樹脂層5と、第1の導体層6と、第2の樹脂層10と、第2の導体層11と、第3の樹脂層15と、を備えている。本実施形態における「配線体4」が本発明における「配線体」の一例に相当する。なお、図2では、第2の導体層11の下面を直線状に図示しているが、これは図を分かり易く表示したものであり、実際は微細な凹凸からなる凹凸状の面となっている。
第1の樹脂層5は、透明性(透光性)を有する材料により構成されており、たとえば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等を用いることができる。この第1の樹脂層5は、図2に示すように、略一定の厚さで設けられた平坦部51と、当該平坦部51上に形成された支持部52と、から構成されている。
平坦部51は、基材3の主面31を覆うように一様に設けられている。支持部52は、平坦部51と第1の導体層6との間に形成されており、基材3から離れる方向(図2中の+Z方向)に向かって突出するように形成されている。この第1の樹脂層5は、支持部52の上面(図2中上側の面)において、第1の導体層6と接している。支持部52は、短手方向断面視において、基材3から離れるにしたがって、相互に接近するように傾斜する側面を有している。
第1の導体層6は、導電性粉末とバインダ樹脂とから構成されている。第1の導体層6を構成する導電性粉末としては、銀、銅、ニッケル、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、パラジウムなどの金属や、グラファイト等を挙げることができる。なお、導電性粉末の他に、上述の金属の塩である金属塩を用いてもよい。第1の導体層6を構成するバインダ樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等を例示することができる。なお、第1の導体層6を構成する材料からバインダ樹脂を省略してもよい。
この第1の導体層6は、図3に示すように、第1の電極パターン7と、第1の引き出し配線8と、第1の境界配線9と、を有している。第1の電極パターン7は、タッチパネル1の検出電極である。第1の引き出し配線8は、第1の電極パターン7からの検出信号をタッチパネル1の外部に取り出すために設けられるものである。第1の境界配線9は、第1の電極パターン7と第1の引き出し配線8との電気的に接続するために設けられるものである。本実施形態では、第1の電極パターン7、第1の引き出し配線8、及び第1の境界配線9は、一体的に形成されている。この「一体的に」とは、部材同士が分離しておらず、且つ、同一材料(同一粒径の導電性粒子、バインダ樹脂等)により一体の構造体として形成されていることを意味する。本実施形態における「第1の電極パターン7」が本発明における「電極パターン」の一例に相当し、本実施形態における「第1の引き出し配線8」が本発明における「引き出し配線」の一例に相当し、本実施形態における「第1の境界配線9」が本発明における「境界配線」の一例に相当する。
本実施形態の第1の導体層6は、それぞれY方向に沿って略平行に延在した3つの第1の電極パターン7を有している。タッチパネル1の電極(駆動電極及び検出電極)は、表示装置に表示される映像情報を視認できるようにするため、透光性を有する必要がある。したがって、本実施形態の第1の電極パターン7は、図4に示すように、導電性を有する複数の第1の導体線71a、71bを交差させてなる網目状に形成することで、透光性が付与されている。なお、以下の説明では、必要に応じて「第1の導体線71a」及び「第1の導体線71b」を「第1の導体線71」と総称する。本実施形態における「第1」の導体線71」が本発明における「第1の導体線」の一例に相当する。
第1の導体線71の外形は、図5に示すように、接触面711と、当該接触面711の反対側の面である頂面712と、2つの側面713と、から構成されており、当該第1の導体線71は、Z方向において第1の樹脂層5から離間する側に向かって突出している。接触面711は、微細な凹凸からなる凹凸状の面であり、第1の樹脂層5と接触している。第1の電極パターン7は、第1の樹脂層5(具体的には、支持部52)に支持されるものであるから、接触面711は、頂面712に対して第1の樹脂層5側に位置することになる。側面713,713は、短手方向断面視において、第1の樹脂層5から離れるに従って、相互に接近するように傾斜する略平坦な面である。この側面713,713は、接触する第1の樹脂層5の支持部52の側面と連続的となっている。
本実施形態における第1の導体線71の接触面711の面粗さは、当該第1の導体線71と第1の樹脂層5とを強固に固定する観点から、頂面712の粗さに対して相対的に粗いことが好ましい。具体的には、接触面711の面粗さRaが0.1〜3.0μm程度であるのに対し、頂面712の面粗さRaは0.001〜1.0μm程度となっていることが好ましく、当該頂面712の面粗さRaが0.001〜0.3μmであることがさらにより好ましい。なお、このような面粗さは、JIS法(JIS B0601(2013年3月21日改正))により測定することができる。
第1の導体線71の幅W11としては、100nm〜100μmが好ましく、500nm〜10μm以下であることさらに好ましく、500nm〜5μm以下であることがより好ましい。また、第1の導体線71の高さとしては、100nm〜300μmであることが好ましく、1μm〜50μmであることがより好ましい。
本実施形態の第1の電極パターン7では、以下に説明するように、上述の第1の導体線71が配設されている。第1の導体線71aは、図4に示すように、X方向に対して+45°に傾斜した方向(以下、単に「第1の方向」とも称する。)に沿って直線状に延在しており、当該複数の第1の導体線71aは、この第1の方向に対して実質的に直交する方向(以下、単に「第2の方向」とも称する。)に等ピッチP11で並べられている。
これに対し、第1の導体線71bは、第2の方向に沿って直線状に延在しており、当該複数の第1の導体線71bは、第1の方向に等ピッチP12で並べられている。そして、これら第1の導体線71a,71bが相互に直交することで、当該第1の導体線71a,71bの間に画定される四角形状(菱型状)の開口72が繰り返し配列されている。なお、本明細書において、ピッチとは中心間距離のことをいう。
因みに、第1の電極パターン7の構成は、特に上述に限定されない。たとえば、本実施形態では、第1の導体線71aのピッチP11と第1の導体線71bのピッチP12とを実質的に同一としているが(P11=P12)、特にこれに限定されず、第1の導体線71aのピッチP11と第1の導体線71bのピッチP12とを異ならせてもよい(P11≠P12)。また、第1の導体線71の延在方向は、特に上述に限定されず、任意とすることができる。また、本実施形態では、第1の導体線71は、直線状とされているが、特にこれに限定されず、たとえば、曲線状、馬蹄状、ジグザグ線状等にしてもよい。
本実施形態では、第1の電極パターン7は、第1の導体線71a,71bを相互に直交させることで、四角形状の開口72を形成しているが、特にこれに限定されず、種々の図形単位を開口72の形状として用いることができる。たとえば、開口72の形状が、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形、長方形、正方形、ひし形、平行四辺形、台形等の四角形でもよいし、六角形、八角形、十二角形、二十角形等のn角形や、円、楕円、星型等でもよい。また、本実施形態では、複数の開口72は、相互に同一形状を有しているが、特にこれに限定されず、導体線の形状や配置によって異なる形状の開口が混在していてもよい。本実施形態における「開口72」が本発明における「開口」の一例に相当する。
第1の引き出し配線8は、図3に示すように、第1の電極パターン7に対応して設けられており、本実施形態では、3つの第1の電極パターン7に対して3つの第1の引き出し配線8が形成されている。この第1の引き出し配線8は、一方端部側で第1の境界配線9を介して第1の電極パターン7における図中の−Y方向側から引き出されている。
この第1の引き出し配線8は、図4に示すように、複数の枝線83(本実施形態では、3つ)と、1つの主線84と、から構成されている。複数の枝線83は、一方の端部831において、対応する第1の境界配線9と電気的に接続されている。3つの枝線83のうち、中央に位置する枝線83aは、対応する第1の電極パターン7のX方向における中心と実質的に一致する位置から引き出されている(図3参照)。一方、他の枝線83b,83cは、枝線83aとは離間した位置から引き出されている。なお、前述の「枝線83」は、「枝線83a」と、「枝線83b」と、「枝線83c」とを総称するものである。
本実施形態では、図4に示すように、枝線83aは、直線状に配設される一方、枝線83b,83cは、屈曲しながら配設され、これら複数の枝線83の他方の端部832は、接続部85において、相互に電気的に接続されるように集合されている。隣り合う枝線83同士の間の距離L3は、特に限定されるものではなく、相互に等しい距離であってもよいし、異なる距離が混在していてもよい。
なお、この隣り合う枝線83同士の間の距離L3は、第1の電極パターン7の開口72の幅の最大値Dとの関係において、下記(4)式を満たすように設定されていることが好ましい。
D≦L3・・・(4)
但し、上記(4)式において、Dは第1の境界配線9の延在方向における開口72の幅の最大値であり、L3は第1の境界配線9の延在方向における隣り合う枝線83同士の間の距離である。
本実施形態では、それぞれの枝線83の幅W33は、特に限定されるものではなく、実質的に同一の幅としてもよいし、異なる幅としてもよい。たとえば、枝線83同士間における電気的抵抗値の差を抑える観点から、それぞれの枝線83の全長に応じて、当該枝線83の幅W33を設定してもよい。この場合、たとえば本実施形態では、直線状とされた枝線83aに対して、屈曲する枝線83b,83cはその全長が大きくなるので、当該枝線83b,83cの幅W33b,W33cを、当該枝線83aの幅W33aに対して大きくしてもよい。なお、上述の「幅W33」は、「幅W33a」と、「幅W33b」と、「幅W33c」とを総称するものである。
主線84は、接続部85を介してすべての枝線83と電気的に接続されている。この主線84は、接続部85から引き出されて、一方の端部が配線体4の外縁近傍に位置するまで延在している(図3参照)。本実施形態では、接続部85近傍において、主線84と枝線83aとは、見かけ上連続的となるように、同一方向に沿って延在している。なお、枝線83と主線84とを繋ぐ接続部85は、第1の電極パターン7が外部回路と接続するまでの間に位置していれば、その配置は特に限定されない。
本実施形態において、枝線83の幅W33と主線84の幅W34との関係については、特に限定されるものではない。たとえば、それぞれの枝線83の幅W33と、主線84の幅W34とが、実質的に同一でもよいし、これらの幅が異なるものでもよい。つまり、いずれの枝線83の幅W33よりも主線84の幅W34が大きくてもよいし、いずれの枝線83の幅W33よりも主線84の幅W34が小さくてもよい。いずれの枝線83の幅W33よりも主線84の幅W34が大きくする場合、枝線83と主線84間における電気的抵抗値の差を抑える観点から、主線84の幅W34が、複数の枝線83の幅W33を合計したものと同程度の大きさとなるように設定してもよい。
本実施形態における「枝線83」が本発明における「枝線」の一例に相当し、本実施形態における「主線84」が本発明における「主線」の一例に相当する。
このような枝線83及び主線84を含む第1の引き出し配線8は、図4に示すように、第1の電極パターン7と同様、導電性を有する複数の第2の導体線81a,81bを交差させてなる網目状に形成されている。なお、以下の説明では、必要に応じて「第2の導体線81a」及び「第2の導体線81b」を「第2の導体線81」と総称する。本実施形態における「第2の導体線81」が本発明における「第2の導体線」の一例に相当する。
タッチパネル1において、第1の引き出し配線8は、表示装置に表示される映像情報とは重ならないようにして設けられるものであるから、透光性を有する必要はないが、第1の電極パターン7及び第1の引き出し配線8を一体的に形成し易くする観点から、本実施形態では網目状に形成している。
第2の導体線81は、図6に示すように、接触面811と、当該接触面811の反対側の面である頂面812と、2つの側面813と、から構成されている。この第2の導体線81の外形の基本的な構成については、上述した第1の導体線71と同じであるため、以下の説明では、第1の導体線71と相違する点について詳細に説明する。
本実施形態では、第1の引き出し配線8での電気的抵抗値の低減を図る観点から、第2の導体線81の幅W31が、第1の導体線71の幅W11との関係において、下記(5)式を満たすように設定されている(図4〜図6参照)。
W11<W31・・・(5)
但し、上記(5)式において、W11は第1の導体線71の延在方向に対して直交する方向における第1の導体線71の幅であり、W31は第2の導体線81の延在方向に対して直交する方向における第2の導体線81の幅である。なお、ここでいう「幅」とは、導体線の延在方向に対して直交する方向における平均最大幅のことをいう。
この場合、第2の導体線81の幅W31の具体的な値としては、1μm〜500μmが好ましく、3μm〜100μmであることがより好ましく、3〜20μmであることがさらに好ましい。なお、第2の導体線81の高さとしては、100nm〜300μmであることが好ましく、1μm〜50μmであることがより好ましい。
また、本実施形態の第2の導体線81における接触面811の凹凸形状を均した面は、第1の導体線71における接触面711の凹凸形状を均した面に比べ、基材3から離れる方向に向かって緩やかに湾曲しており、(図5及び図6参照)、第1及び第2の導体線71,81の関係について、下記(6)式及び(7)式を満たすように設定されていることが好ましい。
S1<S2・・・(6)
R1<R2・・・(7)
ただし、上記(6)式において、S1は第1の導体線71の接触面711との接着部分(接着面)における第1の樹脂層5の厚さ(面内全体の断面視における平均最大厚さ)であり、S2は第2の導体線81の接触面811との接着部分(接着面)における第1の樹脂層5の厚さ(面内全体の断面視における平均最大厚さ)である。また、上記(7)式において、R1は第1の導体線71において接触面711を均した面における湾曲率であり、R2は第2の導体線81において接触面811を均した面における湾曲率である。
なお、「面内全体の断面視における平均最大厚さ」とは、それぞれの導体線の幅方向に沿った断面を、当該導体線の延在方向全体に亘って複数採取し、それぞれの断面ごとに求められる最大厚さを平均したものである。因みに、上記導体線には、第1及び第2の導体線71,81が含まれる。
本実施形態の第1の引き出し配線8では、以下に説明するように、上述の第2の導体線81が配設されている。第2の導体線81aは、図4に示すように、第1の方向に沿って直線状に延在しており、当該複数の第2の導体線81aは、第2の方向に等ピッチP21で並べられている。
これに対し、第2の導体線81bは、第2の方向に沿って直線状に延在しており、当該複数の第2の導体線81bは、第1の方向に等ピッチP22で並べられている。そして、これら第2の導体線81a,81bが相互に直交することで、当該第2の導体線81a,81bの間に画定される四角形状(菱型状)の開口82が繰り返し配列されている。
また、第1の引き出し配線8の構成は、特に上述に限定されない。たとえば、本実施形態では、第2の導体線81aのピッチP21と第2の導体線81bのピッチP22とを実質的に同一としているが(P21=P22)、特にこれに限定されず、第2の導体線81aのピッチP21と第2の導体線81bのピッチP22とを異ならせてもよい(P21≠P22)。
この場合、第1の電極パターン7における隣り合う第1の導体線71同士のピッチP1(ピッチP11,P12を総称する。)と、当該ピッチP1に対応する第1の引き出し配線8における隣り合う第2の導体線81同士のピッチP2(ピッチP21,P22を総称する。)との関係が、下記(8)及び(9)式を満たすように設定されていることが好ましい。
P11>P21・・・(8)
P12>P22・・・(9)
但し、ピッチP1とピッチP2との対応関係としては、第1及び第2の導体線71,81の延在方向を基準とするものであり、具体的には、隣り合う第1の導体線71a同士のピッチP11と、隣り合う第2の導体線81a同士のピッチP21が対応し、隣り合う第1の導体線71b同士のピッチP12と、隣り合う第2の導体線81b同士のピッチP22とが対応する。
結果として、本実施形態では、上記(5),(8)及び(9)式を鑑みれば、第1の電極パターン7の開口率A1と、第1の引き出し配線8の開口率A2との関係が、下記(10)式を満たすように設定されていることが好ましい。
A1>A2・・・(10)
具体的には、第1の電極パターン7の開口率A1は、当該第1の電極パターン7における透光性を向上させる観点から、85%以上、100%未満となっていることが好ましく、90%以上、100%未満であることがより好ましい。一方、第1の引き出し配線8の開口率A2は、第1の電極パターン7と当該第1の引き出し配線8との剛性の差を縮小する観点や、当該第1の引き出し配線8の耐久性を向上させる観点から、50%以下となっていることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。
なお、この「開口率」とは、下記(11)式で表される比率をいう(図7参照)。
(開口率)=b×b/(a×a)・・・(11)
但し、上記(11)式において、aは任意の導体線20と、当該導体線20と隣り合う他の導体線20との間のピッチ(中心線CL間の距離)であり、bは任意の導体線20と、当該導体線20と隣り合う他の導体線20との間の距離を表す。
本実施形態の第2の導体線81の延在方向は、第1の導体線71と同様、特に上述に限定されず、任意とすることができる。また、本実施形態では、第2の導体線81は、直線状とされているが、特にこれに限定されず、たとえば、曲線状、馬蹄状、ジグザグ線状等にしてもよい。
第1の引き出し配線8において、開口82の形状は、第1の電極パターン7の場合と同様、種々の図形単位を開口82の形状として用いることができる。また、本実施形態では、複数の開口82は、相互に同一形状を有しているが、特にこれに限定されず、導体線の形状や配置によって異なる形状の開口が混在していてもよい。
第1の境界配線9は、図3及び図4に示すように、第1の電極パターン7に対応して設けられており、本実施形態では、3つの第1の電極パターンに対して3つの第1の境界配線9が形成されている。この第1の境界配線9は、第1の電極パターン7の外縁に沿って配置されている。
この第1の境界配線9は、図8に示すように、接触面91と、当該接触面91の反対側の面である頂面92と、2つの側面93と、から構成されている。この第1の境界配線9の外形の基本的な構成については、上述した第2の導体線81と同じである。つまり、第1の電極パターン7を構成する第1の導体線71の幅W11と、第1の境界配線9の幅W2との関係が、下記(12)式を満たすように設定されている。
W11<W2・・・(12)
但し、上記(12)式において、W2は第1の境界配線9の延在方向に対して直交する方向における第1の境界配線9の幅である。
この第1の境界配線9は、図3及び図4に示すように、X方向に沿って延在するものであるが、本実施形態では、第1の電極パターン7の幅W12と実質的に一致する長さL2を有するものであり、結果として、当該第1の電極パターン7を構成する、少なくとも2本以上の第1の導体線71と電気的に接続されている。なお、第1の境界配線9の長さL2は、特に上述に限定されるものではないが、第1の電極パターン7の幅W12よりも第1の境界配線9の長さL2が長くなると、隣り合う第1の境界配線9同士が接触して、タッチパネル1の品質低下を招いてしまうおそれがある。そのため、第1の境界配線9の長さL2は、第1の電極パターン7の幅W12以下であることが好ましい(W12≧L2)。
一方、第1の境界配線9は、第1の引き出し配線8を構成する複数の枝線83のそれぞれとも電気的に接続されている。この場合、第1の引き出し配線8の幅W32(すなわち、第1の引き出し配線8の両側端の一方を構成する枝線の外側端部から、第1の引き出し配線8の両側端の他方を構成する枝線の外側端部までの距離)よりも、第1の境界配線9の長さL2が長いことが好ましい(W32≦L2)。
第2の樹脂層10は、図2に示すように、第1の導体層6を覆うように第1の樹脂層5上に形成されている。また、第2の樹脂層10上には、第2の導体層11が形成されている。結果として、第2の樹脂層10は、第1の導体層6と第2の導体層11との間に介在し、これらの絶縁を確保する機能を有している。タッチパネル1においては、検出電極及び駆動電極(すなわち、第1及び第2の電極パターン7,12)の間に介在する第2の樹脂層10が、誘電体として作用し、この第2の樹脂層10の厚さに応じてタッチパネル1の感度が調整される。
第2の樹脂層10は、第1の導体層6を覆う主部101と、当該主部101上に形成された支持部102と、から構成されている。支持部102は、主部101と第2の導体層11との間に形成されており、第1の樹脂層5から離れる方向(図3中上側方向)に向かって突出するように形成されている。この第2の樹脂層10を構成する材料は、第1の樹脂層5を構成する材料と同様の材料を例示することができる。
第2の導体層11は、図1及び図2に示すように、第2の電極パターン12と、第2の引き出し配線13と、第2の境界配線14と、を有している。第2の電極パターン12は、タッチパネル1の駆動電極である。第2の引き出し配線13は、第2の電極パターン12にタッチ位置を検出するための駆動信号を伝達(所定電圧を印加)するために設けられるものである。第2の境界配線14は、第2の電極パターン12と、当該第2の電極パターン12に対応する第2の引き出し配線13とを電気的に接続するために設けられている。
なお、本実施形態の第2の導体層11の基本的な構成は上述した第1の導体層6と同じである。したがって、以下の説明では、第2の導体層11の構成のうち、第1の導体層6と相違する点について詳細に説明し、それ以外の基本的な構成は第1の導体層6と同様であるから、詳細の説明を省略する。
本実施形態の第2の導体層11は、図1に示すように、それぞれX方向に沿って略平行に延在した4つの第2の電極パターン12を有している。複数の第2の電極パターン12は、平面視において、第2の樹脂層10を介して第1の電極パターン7と対向するように配置されている。
第2の引き出し配線13は、図1に示すように、第2の電極パターン12に対応して設けられており、本実施形態では、4つの第2の電極パターン12に対して4つの第2の引き出し配線13が形成されている。
本実施形態では、+Y方向側に位置する2つの第2の電極パターン12に対応する第2の引き出し配線13は、当該第2の電極パターン12における−X方向側から引き出されている。一方、残余の第2の電極パターン12(すなわち、−Y方向側に位置する2つ)に対応する第2の引き出し配線13は、当該第2の電極パターン12における+X方向側から引き出されている。これらの第2の引き出し配線13は、平面視において、第1及び第2の電極パターン7,12が形成されている領域と重なることを避けながら、第1の引き出し配線8の主線84近傍まで延設されている。
この第2の引き出し配線13も、第1の引き出し配線8と同様、複数の枝線133(本実施形態では、3つ)と、1つの主線134と、から構成されている。Y方向に沿って並ぶ複数の枝線133は、隣り合う枝線133同士の間の距離が相互に同一となるように配置され、それぞれの枝線133は、対応する第2の境界配線14と電気的に接続されている。複数の枝線133は、接続部135において、相互に電気的に接続されるよう集合されており、当該接続部135からは、主線134が引き出されている。なお、第2の引き出し配線13における枝線133及び主線134の形状は、上述した第1の引き出し配線8における枝線83及び主線84の形状と、実質的に同じものであり、第2の引き出し配線13における枝線133と主線134との位置関係については、上述した第1の引き出し配線8における枝線83と主線84との位置関係と実質的に同じものである。したがって、本明細書において、第2の引き出し配線13における枝線133と主線134の詳細の説明を省略する。
第2の境界配線14は、図1に示すように、第2の電極パターン12に対応して設けられており、本実施形態では、4つの第2の電極パターン12に対して4つの第2の境界配線14が形成されている。それぞれの第2の境界配線14は、第2の電極パターン12の外縁に沿ってY方向に沿って延在している。本実施形態では、+Y方向側の2つの第2の電極パターン12については、−X方向側から第2の引き出し配線13が引き出されているから、当該第2の電極パターン12に対応する第2の境界配線14は、当該第2の電極パターン12の−X方向側の外縁に位置する。これに対して、−Y方向側の2つの第2の電極パターン12については、+X方向側から第2の引き出し配線13が引き出されているから、当該第2の電極パターン12に対応する第2の境界配線14は、当該第2の電極パターン12の+X方向側の外縁に位置する。
第1の導体層6と同様、第2の導体層11を構成する第2の電極パターン12、第2の引き出し配線13、及び第2の境界配線14は、一体的に形成されるものである。また、第1の導体層6と同様、第2の電極パターン12及び第2の引き出し配線13は、導電性を有する複数の導体線を交差させてなる網目状に形成されている。本実施形態では、第1の導体層6(具体的には、第1の電極パターン7と第1の引き出し配線8)を構成する網目構造と、当該第1の導体層6に対応する第2の導体層11(具体的には、第2の電極パターン12と第2の引き出し配線13)を構成する網目構造とは、実質的に同一の態様(すなわち、これらを構成する導体線の形状及び配置が実質的に同一)となっている。
しかしながら、第1の導体層6を構成する網目構造と第2の導体層11を構成する網目構造との関係は、特に上述に限定されない。つまり、第1の導体層6の網目構造と、第2の導体層11の網目構造とが異なるものでもよい。たとえば、第1の導体層6の第1の電極パターン7における網目に対して第2の導体層11の第2の電極パターン12における網目が粗くてもよいし、細かくてもよい。また、第1の導体層6の第1の引き出し配線8における網目に対して第2の導体層11の第2の引き出し配線13における網目が粗くてもよいし、細かくてもよい。第1及び第2の導体層6,11における網目の疎密の調整は、これらを構成する導体線の形状(たとえば、導体線の幅)や、複数の導体線の配置(たとえば、相互に隣り合う導体線同士のピッチ)を変えることで行うことができる。
第3の樹脂層15は、第2の導体層11を外部から保護する保護層としての機能を有する。この第3の樹脂層15は、図2に示すように、第2の樹脂層10上に設けられるものであるが、当該第2及び第3の樹脂層10,15の間に第2の導体層11を介在させている。この第3の樹脂層15によって第2の導体層11を覆うと、配線体4の表面での光の散乱等の発生を抑えることができる。このような第3の樹脂層15は、第1の樹脂層5と同様の材料により構成することができる。
次に、本実施形態における配線基板の製造方法について説明する。図9(a)〜図9(e)、及び、図11(a)〜図11(f)は本発明の一実施の形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図、図10(a)〜図10(c)は第1の凹版に形成された凹部を示す断面図、図12(a)〜図12(c)は第2の凹版に形成された凹部を示す断面図である。
まず、図9(a)に示すように、第1の導体層6の形状に対応する形状の凹部401を有する第1の凹版400を準備する。図10(a)〜図10(c)に示すように、この第1の凹版400に形成された凹部401は、第1の電極パターン7に対応する形状の第1の凹部401aと、第1の引き出し配線8に対応する形状の第2の凹部401bと、第1の境界配線9に対応する形状の第3の凹部401cと、を含んでいる。第1の凹版400を構成する材料としては、ニッケル、シリコン、二酸化珪素などガラス類、有機シリカ類、グラッシーカーボン、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等を例示することができる。なお、以下の説明では、必要に応じて「凹部401a」と、「凹部401b」と、「凹部401c」と、を「凹部401」と総称する。
第1の凹部401aの幅は、100nm〜100μmであることが好ましく、500nm〜10μmであることがより好ましく、500nm〜5μmであることがさらに好ましい。一方、第2の凹部401b及び第3の凹部401cの幅は、1μm〜500μmであることが好ましく、3μm〜100μmであることがより好ましく、3〜20μmであることがさらに好ましい。また、第1〜第3の凹部401a、401b、401cの深さは、100nm〜300μmであることが好ましく、1μm〜50μmであることがより好ましい。本実施形態において凹部401の断面形状は、底部に向かうにつれて幅狭となるテーパー形状が形成されている。
なお、凹部401の表面には、離型性を向上するために、黒鉛系材料、シリコーン系材料、フッ素系材料、セラミック系材料、アルミニウム系材料等からなる離型層(不図示)を予め形成することが好ましい。
上記の第1の凹版400の凹部401に対し、導電性材料410を充填する。このような導電性材料410としては、導電性粉末若しくは金属塩、バインダ樹脂、水若しくは溶剤及び各種の添加剤を混合して構成される導電性ペーストや導電性インクを例示することができる。上記の導電性粉末としては、銀や銅、ニッケル、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、パラジウム等の金属や、グラファイト等を例示することができる。金属塩としては、上記金属の塩を挙げることができる。導電性材料410に含まれる導電性粒子としては、形成する導体パターンの幅に応じて、例えば、0.5μm以上2μm以下の直径φ(0.5μm≦φ≦2μm)を有する導電性粒子を用いることができる。なお、形成する導体パターンの幅の半分以下の平均直径φを有する導電性粒子を用いることが好ましい。
導電性材料410に含まれるバインダ樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。
導電性材料410に含まれる溶剤としては、α-テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、1−デカノール、ブチルセルソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラデカン等を例示することができる。
導電性材料410を第1の凹版400の凹部401に充填する方法としては、例えばディスペンス法、インクジェット法、スクリーン印刷法を挙げることができる。もしくはスリットコート法、バーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法での塗工の後に凹部401以外に塗工された導電性材料をふき取るもしくは掻き取る、吸い取る、貼り取る、洗い流す、吹き飛ばす方法を挙げることができる。導電性材料の組成等、凹版の形状等に応じて適宜使い分けることができる。
次に、図9(b)に示すように、第1の凹版400の凹部401に充填された導電性材料410を加熱することにより第1の導体層6を形成する。導電性材料410の加熱条件は、導電性材料の組成等に応じて適宜設定することができる。この加熱処理により、導電性材料410が体積収縮する。図10に示すように、第2及び第3の凹部401b,401cに充填された導電性材料410の表面411b,411cには湾曲形状が形成される。また、導電性材料410の表面411(表面411a,411b,411cを総称する。)には、僅かに凹凸形状が形成されている。導電性材料410の表面411を除く外面は、凹部401に沿った形状に形成されている。
なお、導電性材料410の処理方法は加熱に限定されない。赤外線、紫外線、レーザー光等のエネルギー線を照射してもよいし、乾燥のみでもよい。また、これらの2種以上の処理方法を組合せてもよい。表面411の凹凸形状や湾曲形状の存在により、第1の導体層6と第1の樹脂層5との接触面積が増大し、これらをより強固に接合することができる。
続いて、図9(c)に示すように、第1の導体層6が形成された第1の凹版400(図9(b)に示す状態の第1の凹版400)上に樹脂材料420を塗布する。このような樹脂材料420としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等を例示することができる。樹脂材料420を第1の凹版400上に塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、インクジェット法、キャスト法等を例示することができる。
次いで、図9(d)に示すように、樹脂材料420が第1の凹版400の凹部401に入り込むよう基材3を第1の凹版400上に配置して、当該基材3を第1の凹版400に押し付け、樹脂材料420を硬化させる。樹脂材料420を硬化させる方法としては、紫外線、赤外線レーザー光等のエネルギー線照射、加熱、加熱冷却、乾燥等を例示することができる。これにより、第1の樹脂層5が形成される。
因みに、第1の樹脂層5の形成方法は特に上記に限定されない。例えば、第1の樹脂層5を形成するための樹脂材料420が基材3上に略均一に塗布されたものを用意して、当該樹脂材料420が第1の凹版400の凹部401に入り込むように当該基材3を第1の凹版400に押し付けた状態で樹脂材料420を硬化させることにより第1の樹脂層5を形成してもよい。
次いで、図9(e)に示すように、基材3、第1の樹脂層5、及び第1の導体層6を一体に第1の凹版400から離型させる。以下、基材3、第1の樹脂層5、及び第1の導体層6が一体となったものを中間体430とも称する。
次いで、図11(a)に示すように、中間体430上に第2の樹脂層10を形成する樹脂材料440を塗布する。このような樹脂材料440としては、上述した樹脂材料420と同様の材料を用いることができる。また、樹脂材料440を塗布する方法としては、上述した樹脂材料420と同様の方法を例示することができる。
次いで、図11(b)に示すように、第2の導体層11の形状に対応する形状の凹部451が形成された第2の凹版450を準備する。第2の凹版450を構成する材料としては、上述の第1の凹版400を構成する材料と同様の材料を用いることができる。凹部451は、図12(a)〜図12(c)に示すように、第1〜第3の凹部451a,451b,451cを含んでいるが、第1及び第2の導体層6,11が基本的に同じ構成であることから、これら第1〜第3の凹部451a,451b,451cは、上述の凹部401のうち対応する第1〜第3の凹部401a,401b,401cと同様の形状を有している。
そして、第2の凹版450の凹部451に対し、導電性材料460を充填する。このような導電性材料460としては、上述の導電性材料410と同様の材料を用いることができる。また、導電性材料460を第2の凹版450の凹部451に充填する方法としては、上述の導電性材料410を第1の凹版400の凹部401に充填する方法と同様の方法を用いることができる。
次いで、図11(c)に示すように、第2の凹版450の凹部451に充填された導電性材料460を加熱することにより第2の導体層11を形成する。導電性材料460の加熱条件は、その組成等に応じて適宜設定することができる。この加熱処理により、導電性材料460の体積が収縮し、当該導電性材料460の表面461に僅かに凹凸形状が形成される。この際、導電性材料460の表面461を除く外面は、凹部451に沿った形状に成形される。なお、導電性材料410の表面411と同様、表面461は、図12に示すように、表面461a,461b,461cを含み、第2及び第3の凹部451b,451cに充填された導電性材料460の表面461b,461cは、湾曲形状に形成されている。表面461の凹凸形状や湾曲形状により、第2の導体層11と第2の樹脂層10との接触面積が増大し、当該第2の導体層11をより強固に第2の樹脂層10に固定することができる。なお、導電性材料460の処理方法は、上述の導電性材料410の処理方法として例示した種々の方法を用いることができる。
次いで、図11(d)に示すように、樹脂材料440が第2の凹版450の凹部451に入り込むように中間体430を第2の凹版450上に配置して、当該中間体430を第2の凹版450に押し付ける。そして、樹脂材料440を硬化させ第2の樹脂層10を形成する。樹脂材料440を硬化させる方法としては、上述の樹脂材料420を硬化させる方法と同様の方法を用いることができる。
次いで、図11(e)に示すように、第2の樹脂層10、第2の導体層11、及び中間体430を一体に第2の凹版450から離型する。次いで、図11(f)に示すように、第2の導体層11上に樹脂材料470を塗布する。このような樹脂材料470としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等を例示することができる。
なお、樹脂材料470の粘度は、塗布時の十分な流動性を確保する観点から、1mPa・s〜10,000mPa・sであることが好ましい。また、硬化後の樹脂の貯蔵弾性率は、第2の導体層11の耐久性の観点から、106Pa〜109Paであることが好ましい。樹脂材料470を塗布する方法としては、上述した樹脂材料420と同様の方法を例示することができる。そして、樹脂材料470を硬化させて第3の樹脂層15を形成する。樹脂材料470を硬化させる方法としては、上述の樹脂材料420を硬化させる方法と同様の方法を用いることができる。以上により、配線体4を備えた配線基板2を得ることができる。
本実施形態に係る配線体4、配線基板2、及びタッチパネル1は、以下の効果を奏する。
本実施形態では、第1の電極パターン7と第1の引き出し配線8とは、第1の境界配線9を介して電気的に接続されるので、これらの電気的な接続に際し、電極端子を必要としない。これにより、配線体4の小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、第1の引き出し配線8は、一方の端部831が第1の境界配線9に接続された3つの枝線83を有している。このため、第1の引き出し配線8と第1の境界配線9との接続部分(すなわち、端部831近傍)に加わる応力が分散されるので、これらが破断するのを抑えることができる。これにより、第1の境界配線9を介した第1の電極パターン7と第1の引き出し配線8との接続信頼性の向上を図ることができる。
また、第1の引き出し配線8が複数の枝線83を有することで、第1の電極パターン7と外部回路等との間において導通経路が多くなるので、当該第1の引き出し配線8における電気的抵抗値の低減が図られる。
また、本実施形態では、第1の電極パターン7は、複数の第1の導体線71により網目状に形成されており、当該第1の電極パターン7を構成する第1の導体線71の幅W11と、第1の境界配線9の幅W2との関係が、上記(12)式を満たすように設定されていることで、当該第1の境界配線9を介した第1の電極パターン7と第1の引き出し配線8との電気的抵抗値の低減を図ることができる。
また、本実施形態の第1の電極パターン7では、複数の第1の導体線71を相互に交差させることで、同一形状された複数の開口72が画定されており、当該開口72の幅の最大値Dと、隣り合う枝線83同士の間の距離L3との関係が、上記(4)式を満たすように設定されている。これにより、第1の引き出し配線8と第1の境界配線9との接続部分に加わる応力がより分散され易くなると共に、第1の引き出し配線8の剛性が局所的に高くなるのを防止し、第1の電極パターン7と第1の引き出し配線8との剛性の差を抑えることができる。この結果、第1の電極パターン7と第1の引き出し配線8との破断を抑え、延いては、第1の境界配線9を介した第1の電極パターン7と第1の引き出し配線8との接続信頼性の向上をさらに図ることができる。
また、本実施形態では、第1の引き出し配線8も、複数の第2の導体線81により網目状に形成されていることで、第1の電極パターン7と第1の引き出し配線8との剛性の差をさらに抑えることができる。これにより、第1の境界配線9を介した第1の電極パターン7と第1の引き出し配線8との接続信頼性の向上をさらに図ることができる。また、第1の導体線71の幅W11と、第2の導体線81の幅とW31の関係が、上記(5)式を満たすように設定されていることで、上記作用・効果がより顕著となる。
なお、上述した作用・効果は、第1の導体層6について説明したものであるが、本実施形態では、第1の導体層6と第2の導体層11とは、同様の構成を有するものであるから、第2の導体層11についても、上述した作用・効果と同様の作用・効果を得ることができる。この場合、本実施形態における「第2の電極パターン12」が本発明における「電極パターン」の一例に相当し、本実施形態における「第2の引き出し配線13」が本発明における「引き出し配線」の一例に相当し、本実施形態における「第2の境界配線14」が本発明における「境界配線」の一例に相当し、本実施形態における「枝線133」が本発明における「枝線」の一例に相当し、本実施形態における「主線134」が本発明における「主線」の一例に相当する。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
図13は本発明の一実施の形態に係る第1の導体層の第1変形例を示す平面図、図14は本発明の一実施の形態に係る第1の導体層の第2変形例を示す平面図である。
たとえば、本実施形態では、第1の引き出し配線8は、直線状とされた枝線83aと、当該枝線83aの両側に配置された、屈曲する枝線83b,83cと、を有しているが、特に上述に限定されず、図13に示すように、引き出し配線8Bは、それぞれ直線状とされた3つの枝線83Bを有していてもよい。本例では、それぞれの枝線83Bは、一方の端部831Bで境界配線9Bと接続され、接続部85Bにおいて他方の端部832Bが相互に接続され、端部831B,832B間を直線状に結ぶように形成されている。
また、1つの引き出し配線8Cが複数の接続部85Cを含んでいてもよい。図14に示す本例の引き出し配線8Cでは、枝線83Ca、83Cb、83Ccが接続部85Caにおいて相互に電気的に接続されている。一方で、枝線83Cd、83Ceが接続部85Cbにおいて相互に電気的に接続されている。接続部85Ca,85Cb間は、枝線83Cfにより電気的に接続されている。接続部85Cbからは、主線84Cが引き出されている。
なお、図13及び図14では、引き出し配線8B,8Cの特徴を分かり易くするため、その外形のみを表示しているが、実際は、複数の導体線により網目状に形成されるものである。
また、本実施形態では、電極パターン7,12及び引き出し配線8,13は、複数の導体線により網目状に形成されているが、特にこれに限定されず、ベタパターンで形成されていてもよい。この場合、電極パターンを構成する材料として、透光性を有するITO(酸化インジウム錫)や導電性高分子を用いてもよい。なお、上述した変形例においても同様に、電極パターン及び引き出し配線をベタパターンで形成することができる。
また、本実施形態のタッチパネル1は、2層の導体層からなる投影型の静電容量方式のタッチパネルセンサであるが、特にこれに限定されず、1層の導体層からなる表面型(容量結合型)静電容量方式のタッチパネルセンサにも、本発明を適用することができる。
また、上述の実施形態では、導体層付き配線体がタッチパネルに用いられるとして説明したが、導体層付き配線体の用途は特にこれに限定されない。たとえば、配線体に通電して抵抗加熱等で発熱させることにより当該配線体をヒータとして用いてもよい。また、配線体の導体層の一部を接地することにより当該配線体を電磁遮蔽シールドとして用いてもよい。また、配線体をアンテナとして用いてもよい。この場合、配線体を実装する実装対象が本発明の「支持体」の一例に相当し、これらを備えるヒータ、電磁遮蔽シールド、及びアンテナが本発明における「導体層付き構造体」の一例に相当する。