JP5821458B2 - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、偏光子との接着性に優れた積層ポリエステルフィルムに関する。
液晶表示装置には、その画像形成方式から液晶パネル表面を形成するガラス基板の両側に偏光板が配置される。偏光板は、一般的には、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素等の二色性材料からなる偏光子の両面にポリビニルアルコール系樹脂などの親水性接着剤を介して偏光子保護フィルムを貼り合わせた構成を有している。偏光子の保護に用いられる保護フィルムとしては、従来から光学特性や透明性の点からトリアセチルセルロースフィルムが用いられてきた。
しかしながら、トリアセチルセルロースは耐久性が十分ではなく、トリアセチルセルロースフィルムを偏光子保護フィルムとして用いた偏光板を高温又は高湿下において使用すると、偏光度や色相等の偏光板の性能が低下する場合がある。また、近年ディスプレイの薄型化に対応するため、偏光板の薄膜化が求められているが、水分バリア特性を保持するという観点から、トリアセチルセルロールフィルムの薄膜化には限界があった。そこで、耐久性及び水分バリア性を有する偏光子保護フィルムとして、ポリエステルフィルムを用いることが提案されている(特許文献1〜5参照)。
偏光子保護フィルムとして用いられるトリアセチルセルロースフィルムは、アルカリ処理などが表面に施されており、親水性接着剤との極めて高い親和性を有する。そのため、トリアセチルセルロースフィルムからなる保護フィルムは親水性接着剤が塗布された偏光子と極めて高い接着性を有する。しかしながら、ポリエステルフィルムは親水性接着剤との接着性が不十分であり、特に延伸処理により配向性を有するポリエステルフィルムの場合はその傾向がより顕著となる。そこで、偏光子又は偏光子に塗布された親水性接着剤との接着性を向上させるために、ポリエステルフィルムに易接着層を設けることが提案されている(特許文献1〜3及び5)。
特開平8−271733号公報 特開平8−271734号公報 特開2009−157361号公報 特開2010−277028号公報 特開2011−8170号公報
ポリエステルフィルムは、水への親和性が低く、ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸を有するポリエステルフィルムは、特にこの傾向が顕著である。また、延伸により結晶配向性を有するポリエステルフィルムは、更に水との親和性が低い。一方で、偏光子や偏光子上に塗布される接着剤は、一般的に、ポリビニルアルコール系樹脂が主成分であり、高い親水性を有する。このような性質の違いから、ポリエステルフィルムと偏光子やポリビニルアルコール系接着剤とは、親和性が低く、両者を強固に接着させることは困難であった。そのため、特許文献1〜3及び5で開示される易接着層を有するポリエステルフィルムであっても、トリアセチルセルロースフィルムと比較して、未だ十分な接着性は得られていない。よって、従来のポリエステルフィルムを保護フィルムとする偏光板をディスプレイ部材として長期間使用した場合、保護フィルムと偏光子の間に浮きや剥がれが生じ、偏光子内の水分量の変化により偏光特性が低下し、白抜けなど視認性が悪化することがあった。
このような現状の下、本発明の課題は、ポリエステルフィルムと偏光子又は偏光子上に塗布された接着剤等のポリビニルアルコール系樹脂層とを強固に接着させる手段を備えたポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究及び検討を重ね、ポリエステルフィルムとの親和性が高いポリエステル系樹脂とポリビニルアルコール系樹脂層との親和性が高いポリビニルアルコール系樹脂を含有する層をポリエステルフィルム上に設けるという構想に至った。しかし、本発明者等は、単に、それらの成分を組み合わせるだけは、各成分によるポリエステルフィルムとポリビニルアルコール系樹脂層とを密着させる機能が十分に発揮されないことを見出した。そこで、本発明者等は、日夜研究を重ねた結果、上記の構想において、ポリエステルフィルム表面に設けた被覆層におけるバインダー樹脂の存在状態を制御し、ポリエステル系樹脂が凝集した相とポリビニルアルコール系樹脂が凝集した相で構成されるナノ相分離構造を被覆層の表面に形成することにより、偏光子との接着作用を一層効果的に発揮させることが可能であることを見出した。本発明者等は、これらの知見に基づき、更なる検討・考察を重ね、本発明を発明するに至った。
以下に、本発明の代表例を示す。
項1.ポリエステルフィルムの少なくとも片面に被覆層を有する積層ポリエステルフィルムであって、
前記被覆層は、ポリビニルアルコール系樹脂及びポリエステル系樹脂を含み、
前記被覆層の表面は、ポリビニルアルコール系樹脂が凝集した相とポリエステル系樹脂が凝集した相から成るナノ相分離構造を有し、ポリビニルアルコール相の面積比率が、30%以上99%未満であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
項2.前記ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度が95%以下であることを特徴とする項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
項3.前記ポリエステル系樹脂のガラス転移温度が、25℃以上であることを特徴とする項1又は2に記載の積層ポリエステルフィルム。
項4.前記被覆層が架橋剤を含むことを特徴とする項1〜3のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
項5.前記架橋剤が、メラミン系架橋剤及び/又はイソシアネート系架橋剤である項4に記載の積層ポリエステルフィルム。
項6.前記被覆層に含まれるポリビニルアルコール系樹脂とポリエステル系樹脂の質量比が、下記式を満足することを特徴とする項1〜5のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
0.2≦PVA/PEs≦1.25
項7.偏光子の両面に偏光子保護フィルムを有する偏光板であって、
少なくとも一方の偏光子保護フィルムが項1〜6のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルムである偏光板。
本発明の積層ポリエステルフィルムはポリビニルアルコール系樹脂層に代表される偏光子又はその上に塗布される接着剤との接着性に優れている。よって、本発明の積層ポリエステルフィルムは、偏光子の保護フィルムとして好適に用いることができる。このような本発明のポリエステルフィルムを偏光子の保護フィルムとして使用することにより、従来よりも耐久性及び水バリア性に優れた偏光板をより安価に製造することが可能である。また、本発明の偏光板は耐久性に優れるため、従来よりも更に薄膜化することが可能である。従って、本発明の偏光板を利用することにより、液晶ディスプレイを更に薄型化することが可能である。
理論によって拘束される訳ではないが、本発明の積層ポリエステルフィルムは、被覆層の表面にポリエステル樹脂が凝集した相(以下、適宜「PEs相」とする。)とポリビニルアルコール系樹脂が凝集した相(以下、適宜「PVA相」とする。)で形成されるナノ相分離構造が形成されていることにより、PVA相に起因した偏光子又はその上に設けられる接着剤との強力な接着性が発揮されると考えられる。
実施例5の積層フィルムの被覆層表面のナノ相分離構造を示す。目盛り単位は、μmであり、実寸は1μm×1μmである。
(ポリエステルフィルム)
本発明で基材として用いるポリエステルフィルムは、主としてポリエステル樹脂より構成されるフィルムである。ここで、「主としてポリエステル樹脂より構成されるフィルム」とは、ポリエステル樹脂を50質量%以上含有する樹脂組成物から形成されるフィルムであることを意味する。他のポリマーとブレンドする場合は、ポリエステル樹脂が50質量%以上含有していることを意味し、他のモノマーと共重合する場合は、ポリエステル構造単位を50モル%以上含有することを意味する。好ましくは、ポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂を90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは100質量%含有する。
ポリエステル樹脂の材料は特に限定されないが、ジカルボン酸成分とジオール成分とが重縮合して形成される共重合体、又は、そのブレンド樹脂を用いることができる。ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカジカルボン酸等が挙げられる。
ポリエステル樹脂を構成するジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。
ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分とジオール成分はそれぞれ1種又は2種以上を用いても良い。また、トリメリット酸などのその他の酸成分やトリメチロールプロパンなどのその他の水酸基成分を適宜添加しても良い。
ポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられ、これらの中でも物性とコストのバランスからポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、偏光性など光学特性を制御するために、他の共重合成分や他のポリマーを含むことも好ましい態様である。ポリエステルフィルムの光学特性を制御する観点から好ましい共重合成分としては、ジエチレングリコールや側鎖にノルボルネンを有する共重合成分などを挙げることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、偏光子用保護フィルムとして用いる場合、高い透明性を有することが好ましい。本発明のフィルムの透明性は、その全光線透過率が85%以上であることが好ましく、87%以上がより好ましく、88%以上がさらに好ましく、89%以上がよりさらに好ましく、90%以上が特に好ましい。また、ヘイズは3%以下であることが好ましく、2.5%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましく、1.5%以下が特に好ましい。ポリエステルフィルムの全光線透過率は、例えば、後述する実施例に記載する方法に従って測定することができる。
ポリエステルフィルムの滑り性、巻き性などのハンドリング性を改善するために、フィルム中に不活性粒子を含有させる場合があるが、高い透明性を保持するためには、フィルム中への不活性粒子の含有量はできるだけ少ないほうが好ましい。したがって、フィルムの表層にのみ粒子を含有させた多層構成にするか、あるいは、フィルム中に実質的に粒子を含有させず、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に積層される被覆層にのみ微粒子を含有させることが好ましい。
なお、「実質的に粒子を含有させない」とは、例えば、無機粒子の場合、蛍光X線分析で粒子に由来する元素を定量分析した際に、50ppm以下、好ましくは10ppm以下、最も好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。これは積極的に粒子を基材フィルム中に添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分や、原料樹脂あるいはフィルムの製造工程におけるラインや装置に付着した汚れが剥離して、フィルム中に不可避的に混入する場合があるためである。
また、基材フィルムを多層構成とする場合は、内層に不活性粒子を実質的に含有せず、最外層にのみ不活性粒子を含有する二種三層構成は、透明性と加工性を両立することが可能であり、好ましい。
本発明において基材フィルムの厚みは特に限定されないが、ディスプレイの薄型化のため偏光板の厚みを薄くする場合は、フィルムの厚みは200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。一方、保護膜としての機械的強度を保持する観点から、フィルムの厚みは10μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。
基材となるポリエステルフィルムは、単層であっても、2種以上の層が積層したものであってもよい。また、本発明の効果を奏する範囲内であれば、必要に応じて、フィルム中に各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐光剤、ゲル化防止剤、有機湿潤剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などが挙げられる。フィルムが積層構成を有する場合は、必要に応じて各層の機能に応じて添加剤を含有させることも好ましい。例えば、偏光子の光劣化を防止するために、内層に紫外線吸収剤などを添加することも好ましい態様である。
ポリエステルフィルムは、常法に従って製造することができる。例えば、上記のポリエステル樹脂をフィルム状に溶融押出し、キャスティングドラムで冷却固化させてフィルムを形成させる方法等によって得られる。本発明のポリエステルフィルムとしては、無延伸フィルム、延伸フィルムのいずれも用いることができるが、機械強度や耐薬品性といった耐久性の点からは延伸フィルムであることが好ましい。ポリエステルフィルムが延伸フィルムである場合、その延伸方法は特に限定されず、縦一軸延伸法、横一軸延伸法、縦横逐次二軸延伸法、縦横同時二軸延伸法等を採用することができる。ポリエステルフィルムを延伸する場合、延伸は、後述する被覆層を積層する前に実施してもよく、被覆層を積層した後に実施してもよい。被覆層を積層する前に縦又は横方向に一軸延伸し、被覆層を積層した後に、他方向に延伸することも可能である。
(1)被覆層
本発明において、被覆層はバインダー樹脂としてポリビニルアルコール系樹脂とポリエステル系樹脂を含有し、被覆層の表面はポリビニルアルコール系樹脂が凝集した相とポリエステル系樹脂が凝集した相からなるナノ相分離構造を有する。尚、本発明において、被覆層がポリビニルアルコール系樹脂及びポリエステル系樹脂を含有するとは、被覆層がポリビニルアルコール系樹脂及びポリエステル系樹脂を原料成分として形成される樹脂層であることを意味する。同様に、被覆層がこれらの樹脂以外の成分(例えば、架橋剤)を含有する場合は、これらの樹脂及びその他の成分(例えば、架橋剤)を原料として形成される被覆層であることを意味する。
被覆層表面のナノ相分離構造とは、後述する走査型プローブ顕微鏡を用いた被覆層表面の検出によって明確に区別されるPVA相とPEs相という2種類のナノスケールの相(又は領域)が、被覆層表面に存在することを意味する。PVA相とは、前述するように、ポリビニルアルコール系樹脂が凝集して形成される相である。よって、PVA相は、主としてポリビニルアルコール系樹脂で構成されるが、走査型プローブ顕微鏡によって、PEs相と区別可能である限り、凝集に伴って混入される他の被覆層を構成する成分(例えば、架橋剤や微量のPEs)が含まれていてもよい。同様に、PEs相とは、ポリエステル系樹脂が凝集して形成される相である。よって、PEs相は、主としてポリエステル系樹脂で構成されるが、走査型プローブ顕微鏡によってPVA相と区別可能である限り、被覆層を構成する他の成分(例えば、架橋剤や微量のPVA)が混在していても良い。
PVA相及びPEs相の大きさ及び形状は、後述するPVA相の表面分率を満たし、当該技術分野においてナノ相分離構造として認識される構造であれば特に制限されない。ナノ相分離構造の具体例としては、海島構造、コア・シェル構造、各相が規則的に整列した積層構造(ラメラ構造)等を挙げることができる。
被覆層表面が海島構造であるナノ分離構造を形成する場合、PVA相とPEs相のいずれが島に相当する相を形成しても良い。海島構造は、図1に示すように、それぞれ独立した「島」状の態様であってもよく、また「島」が連続した態様であってもよい。海島構造の大きさは特に問わないが、例えば、短軸方向の幅が最大でも20nm以上500nm以下で、長軸方向の長さが50nmを超える島状構造を主体とするものである。このようなナノサイズの分散構造を有することで、両樹脂の特性を好適に両立することができる。
ナノ相分離構造の一つであるコア・シェル構造とは、例えば、PEs相の周りを、PVA相が囲み、さらにそれをPEs相が囲むという構造である。いずれにしても、被覆層の表面には、走査型プローブ顕微鏡を用いて測定した場合に、ポリビニルアルコール系樹脂の凝集体として認識される相とポリエステル系樹脂の凝集体として認識される相が、顕著な偏りなく分散して存在することが優れた接着性を発揮するという観点から好ましい。
上記のようなナノ相分離構造を有する被覆層表面は、下記式で定義される、PVA相の面積比率が30%以上99%未満である。
PVA相表面分率(%)=(PVA相の面積/測定面積)×100
PVA相の面積は、後述する走査型プローブ顕微鏡の位相測定モードを利用して測定され、その場合にポリビニルアルコール相は、位相像で暗色相を示す。測定面積は特に制限されないが、例えば、1μm×1μmで行うことができる。
PVA表面分率は、30〜99%であることが好ましい。30%未満では、被覆層の表面におけるPEs相の表面分率が相対的に大きくなり、偏光子・水系接着剤への密着性が低下する場合がある。一方、PVA表面分率が99%以上では基材フィルムへの密着性が低下する頻度が増える場合がある。被覆層表面のPVA表面分率の下限は、30%であることが好ましく、35%がさらに好ましく、40%であることがよりさらに好ましい。一方、PVA表面分率の上限は、99%がより好ましく、95%がさらに好ましく、90%がよりさらに好ましい。
ナノ相分離構造のPVA表面分率は、後述する実施例に記載するペーパーウェイト法又は画像解析法により測定することができる。
上記ナノ分離構造により接着性が向上する理由については以下のように考えている。ポリビニルアルコール系樹脂は親水性に富み、ポリエステル系樹脂は疎水性に富む。そのため、単に両樹脂を混合・塗布しただけでは両樹脂は完全に分離し、十分な接着性を発揮することはできない。一方、界面活性剤などにより両樹脂を強制的に混合することはできるものの、この場合は両樹脂の特性が損なわれるため十分な接着性を発揮することはできない。これに対して、両樹脂をナノ相分離構造を形成し、かつ被覆層表面に所定割合のPVA相が存在することで、PVA樹脂に起因した偏光子又はその上に設けられる接着剤との接着性、及び、PEs樹脂に起因したポリエステルフィルムとの接着性を同時に効率よく発揮させることが可能となる。
被覆層表面のナノ相分離構造は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)による位相測定モード(フェーズモード)で測定し、確認することができる。フェーズモードは、通常ダイナミックフォースモード(DFMモード;エスアイアイ・ナノテクノロジー社製SPMを用いた場合)による表面形態観察と同時に行う位相遅れ測定モードのことである。
走査型プローブ顕微鏡(SPM)の位相測定モード(フェーズモード)による被覆層の相分離構造の測定について説明する。フェーズモードでは、DFM動作をさせたときのカンチレバー振動の位相遅れを検出する。DFM動作では、共振させたカンチレバーの振動振幅が一定となるように探針・試料間の距離を制御して形状を測定する。ここで、カンチレバーを振動させるためのバイモルフ(圧電素子)を振動させる信号を,「入力信号」と呼んだ場合、位相測定モードでは、この「入力信号」 に対する実効的なカンチレバーの振動信号の位相遅れを振動振幅と同時に検出する。位相遅れは、表面物性の影響に敏感に応答し、軟らかい試料表面ほど遅れが大きくなる。この位相遅れの大きさを画像化することにより、表面物性の分布(位相像又はフェーズ像等と呼ばれる)を観察することが可能となる。このように走査型プローブ顕微鏡(SPM)の位相測定モードを用いることで、複数の物性の異なる樹脂相が表面に存在する相分離構造を測定し確認することができる。
被覆層の相分離構造の評価は、走査型プローブ顕微鏡による表面物性分布評価モードであれば、位相測定モード以外にも、摩擦力測定モードや粘弾性測定モード等の他モードでも良く、最も感度良く相分離構造を評価できる観察モードを選択することが好ましい。なお、位相測定モードにおいては、被覆層の粘弾性の差異による位相遅れを検出できるだけでなく、吸着力の大小のような表面物性の差異による位相遅れも検出が可能である。
本発明の被覆層はナノ相分離構造を有することで、偏光子や水性接着剤、特にポリビニルアルコール系の偏光子や水性接着剤に対してトリアセチルセルロースと同等以上の高い接着性を示す。被覆層は、具体的には、後述の実施例に示す接着性試験において1回剥離後の残存面積が好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは100%であり、5回連続剥離後の残存面積が好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは95%以上であり、10回連続剥離後の残存面積が好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、よりさらに好ましくは93%以上、特に好ましくは95%以上である。
上記のような相分離構造は、後述のように樹脂濃度、樹脂種の選択、乾燥・加熱条件などを制御することで得られる。
以下、被覆層の各組成について詳説する。
(ポリビニルアルコール系樹脂)
被覆層の成分として使用されるポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂として認識されるものであれば特に限定されない。その具体例には、ポリ酢酸ビニルをけん化して得られたポリビニルアルコール;その誘導体;更に酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のけん化物;ポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコール;などが含まれる。前記単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらポリビニルアルコール系樹脂は1種のみ用いても良いし2種以上を併用しても良い。
本発明で用いる好適なポリビニルアルコール系樹脂として、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ビニルアルコール−ビニルブチラール共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体が例示され、これらの中でもビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は特に問わないが、塗布液粘性の点から重合度が3000以下であることが好ましい。
ビニルアルコールの共重合比率はけん化度で表わされる。本発明のポリビニルアルコール系樹脂のけん化度は、優れた接着性が発揮される限り特に制限されないが、60モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度の上限は、95モル%であり、好ましくは85モル%である。更に好ましくは、ケン化度は65モル%以上83モル%以下であり、68モル%以上80モル%以下がさらに好ましく、70モル%以上80モル%未満がよりさらに好ましく、71モル%以上78モル%以下がさらにより好ましく、73モル%以上75モル%以下が特に好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度が上記下限以上であると水性接着剤や偏光子と好適に接着性を有するとともに、ポリエステル系樹脂との相分離を好適に行なうことができる。また、ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度が上記上限以下(もしくは未満)であるとポリエステル系樹脂とより好適にナノ相分離構造を形成することができる。ビニルアルコール系樹脂のけん化度は酢酸ビニルなどの共重合単位の加水分解に要するアルカリ消費量やNMRによる組成分析により求めることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂の含有量は被覆層中に10質量%以上60質量%以下が好ましく、15質量%以上55%質量%以下がより好ましく、20質量%以上50質量%以下がさらに好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が上記下限以上であるとPVA表面分率が高くなり、偏光子・水系樹脂との接着性に好適である。一方、上記上限以下であるとポリエステルフィルム基材との接着性に好適である。
(ポリエステル系樹脂)
本発明の被覆層に用いられるポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分とが重縮合してなる共重合体であり、ジカルボン酸成分およびジオール成分としては前述の基材として用いるポリエステルフィルムについて説明した成分を用いることができる。ポリエステルフィルム基材との接着性を向上させる観点から、ポリエステルフィルム中のジカルボン酸成分と同一又は類似する構造・性質を有するジカルボン酸成分をポリエステル系樹脂のジカルボン酸成分として用いることが好ましい。よって、例えば、ポリエステルフィルムのジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸が採用される場合は、ポリエステル系樹脂のジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸を使用することが好ましい。そのような芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸およびイソフタル酸が最も好ましい。全ジカルボン酸成分に対し、例えば10モル%以下の範囲で、他の芳香族ジカルボン酸を加えて共重合させてもよい。
耐ブロッキング性の点からポリエステル系樹脂のガラス転移温度は25℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、35℃以上であることがさらに好ましい。さらに、ガラス転移温度の上限は110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることがさらに好ましい。ガラス転移温度の上限が上記以下であると後述の加熱処理による相分離が好適に形成しやすくなる。ポリエステル系樹脂のガラス転移温度は後述のように共重合成分、特に分岐状グリコール成分を導入することにより制御することができる。
ポリエステル系樹脂のグリコール成分としては、エチレングリコールと分岐したグリコールを構成成分とすることが好ましい。分岐構造を有することで被覆層での応力緩和に寄与し、好適に密着性を奏することが可能と考えられる。前記の分岐したグリコール成分とは、例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、及び2,2−ジ−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
前記の分岐したグリコール成分のモル比は、全グリコール成分に対し、下限が10モル%であることが好ましく、特に好ましくは20モル%である。一方、上限は80モル%であることが好ましく、さらに好ましくは70モル%、特に好ましくは60モル%である。また、必要に応じて、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを併用してもよい。
本発明で被覆層の成分として用いるポリエステル系樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂との好適なナノ相分離構造を形成する点から水溶性もしくは水分散性樹脂を使用することが好ましい。ポリエステル系樹脂の水溶性化あるいは水分散化のためには、スルホン酸塩基、カルボン酸塩基などの親水性基を含む化合物を共重合させることが好ましい。なかでも、ポリエステル系樹脂の酸価を低く保持して架橋剤との反応性を制御しながら親水性を付与するという観点からでスルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分が好適である。スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分としては、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレンイソフタル酸−2,7−ジカルボン酸および5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸またはそのアルカリ金属塩を挙げることができ、中でも5−スルホイソフタル酸が好ましい。
スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分はポリエステル樹脂のジカルボン酸成分中1〜15モル%が好ましく、1.5〜12モル%がより好ましく、2〜10モル%がさらに好ましい。スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分が上記下限以上の場合はポリエステル系樹脂の水溶性化あるいは水分散化に好適である。また、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分が上記上限以下の場合はポリエステルフィルム基材との接着性に好適である。
後述のように架橋剤を併用する場合は、好適な相分離構造を形成する点からポリエステル系樹脂は架橋剤との反応基であるカルボン酸基が少ない方が好ましい。架橋剤との反応性があるカルボキシル基を少なくすることにより、架橋剤との反応性が低下するため、結果として、ポリビニルアルコール系樹脂と完全には混ざり合わずに、架橋したポリビニルアルコール系樹脂によって相分離構造を好適に維持することが可能と考えられる。このような観点から、ポリエステル系樹脂の酸価は好ましくは20KOHmg/g以下であり、より好ましくは15KOHmg/g以下、さらに好ましくは10KOHmg/g以下、よりさらに好ましくは8KOHmg/g以下、さらにより好ましくは5KOHmg/g以下である。ポリエステル系樹脂の酸価は後述の滴定法又はNMRなどによる成分分析の結果から理論的に求めることができる。
ポリエステル系樹脂の酸価を上記範囲に制御するためには、水溶性化あるいは水分散化のためのカルボン酸塩基の導入量を少なくしたり、カルボン酸塩基以外の親水性基を採用したり、ポリエステル系樹脂のカルボン酸末端濃度を低くすることが好ましい。ポリエステル系樹脂のカルボン酸末端濃度を低くする方法としては、カルボン酸末端基を末端修飾したポリエステル系樹脂を採用したり、ポリエステル系樹脂の数平均分子量を大きなポリエステル系樹脂を採用することが好ましい。このためポリエステル系樹脂の数平均分子量は5000以上であることが好ましく、6000以上であることがより好ましく、10000以上がさらに好ましい。また、ポリエステル系樹脂を構成成分としてカルボキシル基を3つ以上有する酸成分の含有量を低くすることが好ましい。
被覆層中におけるポリエステル系樹脂の含有量は40質量%以上90質量%以下が好ましく、45質量%以上85%質量%以下がより好ましく、50質量%以上80質量%以下がさらに好ましい。ポリエステル系樹脂の含有量が上記下限以上であるとポリエステルフィルム基材との接着性に好適であり、上記上限以下であると偏光子又はその上に設けられる水系接着剤との接着性に好適である。
(架橋剤)
被覆層中に架橋剤を併用することでより好適にナノ相分離構造を形成することができる。これはポリビニルアルコール系樹脂の水酸基同士が架橋することでポリビニルアルコール系樹脂が凝集し易くなり、結果として好適な分離構造が形成されるためと考えられる。架橋剤としては、水酸基と架橋性を有するものであれば特に限定されないが、メラミン系、イソシアネート系、カルボジイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系等の化合物が挙げられる。塗布液の経時安定性の点からメラミン系、イソシアネート系、カルボジイミド系、オキサゾリン系の化合物が好ましい。さらに、架橋剤はポリビニルアルコール系樹脂の水酸基と好適に架橋反応をするメラミン系化合物もしくはイソシアネート系化合物ものが好ましい。これは、カルボジイミド系架橋剤はカルボキシル基と反応するのに対し、メラミン系化合物もしくはイソシアネート系化合物は水酸基と反応するため、官能基として水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂とより好適に架橋構造を形成するためであると考えられる。さらに、メラミン系化合物もしくはイソシアネート化合物を用いた場合には、塗布層中のポリビニルアルコールが好適に架橋構造を形成し、ポリエステルフィルムとは反対側の面に移動しやすくなり、PVAの表面分率をより高くし、好適な海島構造を形成することが可能となる。なかでも、ポリビニルアルコール系樹脂の水酸基と好適に架橋反応を形成するとともに、透明性に優れているという観点から、イソシアネート系化合物を用いることが特に好ましい。また、架橋反応を促進させるため、触媒等を必要に応じて適宜使用しても良い。
イソシアネート化合物としては、低分子または高分子のジイソシアネートもしくは3価以上のポリイソシアネートを用い得る。例えば、イソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、およびこれらのイソシアネート化合物の3量体があるが挙げられる。さらに、これらのイソシアネート化合物の過剰量と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物、またはポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類などの高分子活性水素化合物とを反応させて得られる高分子の末端イソシアネート基含有化合物を挙げることができる。
本発明に用いる架橋剤としては、ブロックイソシアネート系化合物も好ましい。ブロックイソシアネート系化合物を添加することにより塗布液の経時安定性をより好適に向上させることが可能となる。
ブロック化イソシアネート系化合物は上記イソシアネート化合物とブロック化剤とを従来公知の方法より付加反応させて調製し得る。イソシアネートブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類;チオフェノール、メチルチオフェノールなどのチオフェノール類;アセトキシム、メチルエチケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類;t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級アルコール類;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタムなどのラクタム類;芳香族アミン類;イミド類;アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物;メルカプタン類;イミン類;尿素類;ジアリール化合物類;重亜硫酸ソーダなどを挙げることができる。
メラミン化合物としては置換基 −(CH)n−O−R(式中、nは1〜3の整数であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)で置換されたメラミン化合物が挙げられ、前記式中のRは好ましくはメチルである。1つのメラミン構造が有する上記置換基の数は好ましくは3〜6である。メラミン化合物の具体例としては、住友化学社製スミテックスレジンシリーズのM−3、MK、M−6、M−100、MC等や株式会社三和ケミカル社製メチル化メラミン樹脂MW−22、MX−706、MX−042等が挙げられる。
メラミン系化合物と、エポキシ系化合物やオキサゾリン化合物を併用しても良いが、その場合のエポキシ系化合物、オキサゾリン系化合物の含有量は、10重量%未満が好ましく、より好ましくは5重量%未満、さらにより好ましくは2重量%未満、特に好ましくは1重量%未満とすることが望ましい。上記上限よりもエポキシ系化合物やオキサゾリン系化合物の含有量が多いと、塗布層中のポリエステルとポリビニルアルコールの比率によっては、PVA表面分率を高く保つことができず、接着性に劣る場合がある。
また、イソシアネート系化合物と、エポキシ系化合物やオキサゾリン化合物を併用しても良いが、その場合のエポキシ系化合物、オキサゾリン系化合物の含有量は、10重量%未満が好ましく、より好ましくは5重量%未満、さらにより好ましくは2重量%未満、特に好ましくは1重量%未満とすることが望ましい。上記上限よりもエポキシ系化合物やオキサゾリン系化合物の含有量が多いと、塗布層中のポリエステルとポリビニルアルコールの比率によっては、PVA表面分率を高く保つことができず、接着性に劣る場合がある。
架橋剤の含有量としては被覆層中に2質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40%質量%以下がより好ましく、8質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。架橋剤の含有量が上記下限以上であるとポリビニルアルコール系樹脂の架橋形成に好適であり、上記上限以下であるとバインダー樹脂による接着性効果発現に好適である。
ポリエステル系樹脂(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)の配合比(B)/(A)は質量比で0.2〜1.25であることが好ましく、0.25〜1であることがより好ましく、0.25〜0.5であることがさらに好ましく、0.25〜0.45であることが特に好ましい。(B)/(A)が上記下限以上であるとポリエステルフィルム基材との接着性に好適であり、上記上限以下であると偏光子・水系樹脂との接着性に好適である。
ポリエステル系樹脂(A)及びポリビニルアルコール系樹脂(B)と架橋剤(C)の配合比((A)+(B))/(C)は質量比で2〜50であることが好ましく、5〜40であることがより好ましく、8〜30であることがさらに好ましい。((A)+(B))/(C)が上記下限以上であるとバインダー樹脂成分による接着性効果の発現に好適であり、上記上限以下であると相分離による接着性効果に好適である。
(添加剤)
本発明の被覆層中には、本発明の効果を阻害しない範囲において公知の添加剤、例えば界面活性剤、酸化防止剤、触媒、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の粒子、帯電防止剤、核剤等を添加しても良い。
本発明では、被覆層の耐ブロッキング性をより向上させるために、被覆層に粒子を添加することも好ましい態様である。本発明において被覆層中に含有させる粒子としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレーなど或いはこれらの混合物であり、更に、他の一般的無機粒子、例えばリン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウムその他と併用、等の無機粒子や、スチレン系、アクリル系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、シリコーン系等の有機ポリマー系粒子等が挙げられる。
被覆層中の粒子の平均粒径(SEMによる個数基準の平均粒径。以下同じ)は、0.04〜2.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜1.0μmである。不活性粒子の平均粒径が0.04μm未満であると、フィルム表面への凹凸の形成が不十分となるため、フィルムの滑り性や巻き取り性などのハンドリング性が低下してしまい、また貼り合せの際の加工性が低下する場合がある。逆に、2.0μmを越えると、粒子の脱落が生じやすく好ましくない。被覆層中の粒子濃度は、固形成分中1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。
本発明においては被覆層の厚みは、0.01〜2.00μmの範囲で適宜設定することができるが、加工性と接着性とを両立させるには0.03〜0.25μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜0.25μm、さらに好ましくは0.05〜0.20μmである。被覆層の厚みが0.03μm未満であると、接着性が不十分となる。被覆層の厚みが0.25μmを超えると、ブロッキングが生じる場合がある。
(積層ポリエステルフィルムの製造)
本発明の積層ポリエステルフィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)を基材フィルムとする場合を例にして説明するが、当然これに限定されるものではない。
PET樹脂を十分に真空乾燥した後、押出し機に供給し、Tダイから約280℃の溶融PET樹脂を回転冷却ロールにシート状に溶融押出し、静電印加法により冷却固化して未延伸PETシートを得る。前記未延伸PETシートは、単層構成でもよいし、共押出し法による複層構成であってもよい。
得られた未延伸PETシートを一軸延伸、もしくは二軸延伸を施すことで結晶配向化させる。例えば二軸延伸の場合は、80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍に延伸して、一軸延伸PETフィルムを得たのち、フィルムの端部をクリップで把持して、80〜180℃に加熱された熱風ゾーンに導き、幅方向に2.5〜5.0倍に延伸する。また、一軸延伸の場合は、テンター内で2.5〜5.0倍に延伸する。延伸後引き続き、140〜240℃の熱処理ゾーンに導き、1〜60秒間の熱処理を行ない、結晶配向を完了させる。
被覆層はフィルムの製造後、もしくは製造工程において設けることができる。特に、生産性の点からフィルム製造工程の任意の段階、すなわち未延伸あるいは一軸延伸後のPETフィルムの少なくとも片面に、塗布液を塗布し、被覆層を形成することが好ましい。
この塗布液をPETフィルムに塗布するための方法は、公知の任意の方法を用いることができる。例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ダイコーター法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法、カーテンコート法、などが挙げられる。これらの方法を単独で、あるいは組み合わせて塗工する。
本発明において、最終的に得られる被覆層の厚みは0.03〜0.25g/mであることが好ましい。0.03g/m未満では、接着性が低下し、0.25g/mより厚いと、ブロッキング性、滑り性が低下するので好ましくない。
塗布液の塗工後は乾燥炉内において乾燥を行なうことが好ましい。塗布面にあたる乾燥風の温度は80℃以上150℃未満が好ましい。また、風速は30m/秒以上が好ましい。さらに好ましい乾燥温度は、100℃以上150℃未満である。前記の乾燥炉で、80℃以上150℃未満の温度で塗膜を乾燥した後、被覆層を有する積層フィルムを直ちに室温近くまで冷却することが好ましい。乾燥工程を経ることで塗布液の流動性を低下させ好適に相分離構造を行なうことができる。
本発明の積層ポリエステルフィルムの製造方法において、140℃以上の熱固定処理を行なうことが好ましい。熱固定処理工程において、被覆層中にバインダーの流動状態を一時的に向上させることで好適な相分離状態を形成することができる。その理由は、バインダーの流動状態を向上させることで、疎水性基の多いポリエステル樹脂と親水性基の多いポリビニルアルコール樹脂が、それぞれに自己組織的に凝集することで、好適な相分離状態を形成すると考えている。また、架橋剤の架橋反応が進行し、相分離状態が加速できることも一因と考えている。熱固定処理工程における各熱固定ゾーンにおける温度は、基材の熱可塑性樹脂フィルムの構成樹脂の種類により若干の違いはあるが、140〜240℃、より好ましくは180〜240℃の温度範囲内で適宜設定すればよい。
熱固定処理工程における最高温度が140℃未満では、バインダー樹脂の流動性が不十分となり被覆層においてナノ相分離構造を形成させることが困難にある。さらに、得られた積層フィルムの熱収縮率が大きくなり、好ましくない。
被覆層の相分離が顕著に進行し始める温度から熱固定処理の最高温度に達するのに要する時間は3秒以上20秒未満が好ましく、特に好ましくは4秒以上15秒未満である。
(偏光板)
本発明の偏光板は、偏光子の両面に偏光子保護フィルムを有してなる偏光板であって、すくなくとも一方の面の偏光子保護フィルムが前記偏光子保護用被覆性ポリエステルフィルムであることが好ましい。他方の偏光子保護フィルムは、本発明の上記被覆層であっても良いし、トリアセチルセルロースフィルムやアクリルフィルム、ノルボルネン系フィルムに代表されるような複屈折が無いフィルムを用いることも好ましい。
偏光子としては、例えばポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性材料を含むものが挙げられる。偏光子保護フィルムは偏光子と直接または接着剤層を介して張り合わされるが、接着性向上の点からは接着剤を介して張り合わすことが好ましい。その際、本発明の被覆層は偏光子面もしくは接着剤層面に配することが好ましい。本発明のポリエステルフィルムを接着させるのに好ましい偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や二色性材料を染色・吸着させ、ホウ酸水溶液中で一軸延伸し、延伸状態を保ったまま洗浄・乾燥を行うことにより得られる偏光子が挙げられる。一軸延伸の延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。ポリビニルアルコール系フィルムとしてはポリビニルアルコールが好適であり、「クラレビニロン」[(株)クラレ製]、「トーセロビニロン」[東セロ(株)製]、「日合ビニロン」[日本合成化学(株)製]などの市販品を利用することができる。二色性材料としてはヨウ素、ジスアゾ化合物、ポリメチン染料などが挙げられる。
偏光子に塗布する接着剤は、接着剤層を薄くする観点から、水系のもの、すなわち、接着剤成分を水に溶解したものまたは水に分散させたものが好ましい。たとえば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂、ウレタン樹脂などを用い、接着性を向上させるために、必要に応じてイソシアネート系化合物、エポキシ化合物などを配合した組成物を用いることができる。接着剤層の厚みは10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
接着剤の主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂を用いてもよい。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、1〜10質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましい。
次に、実施例、比較例、及び参考例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は当然以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(1)PVA表面分率
(1−1)相分離構造の評価
被覆層の相分離構造の評価は、走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー製、NaNoNaviシステム/SPA300)を使用し、位相測定モード(フェーズモード)にて行った。位相像では、位相遅れが大きいほど明るく、逆に位相遅れが小さいほど暗く表現される。位相遅れが小さいということは、他の相に比べ、硬いもしくは比較的吸着力が小さいことを意味する。本発明の易接着性ポリエステルフィルムの被覆層において、暗色相が、ポリビニルアルコール層βであり、明色相が、ポリエステル層αである。
走査型プローブ顕微鏡における位相測定モードの測定原理は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社のウェブサイト(http://www.siint.com/products/spm/tec_mode/1_pm.html)に記載されている。
測定に使用するカンチレバーは、主にDF3(バネ定数:約1.6N/m)を用い、探針汚染による感度および分解能の低下を防ぐため、常に新品を使用した。スキャナーは、FS−20Aを使用した。また、観察は分解能512×512ピクセル以上とし、観察視野を1μm×1μmとした。測定時のカンチレバーの振幅減衰率や走査速度、走査周波数等の測定パラメーターはラインスキャンを実施し、最も感度・分解能良く観察できる条件を設定した。
前記によって得られたフェーズモード画像(ビットマップ形式、512×512ピクセル)を画像処理ソフトウェア(Adobe製、Photoshop ver7.0)に読み込ませ、画像の大きさが205mm×205mmになるようにディスプレイ上に表示させた。次いで、同ソフトウェアの鉛筆ツール(マスター直径:3px)により、明色相と暗色相の境界に、黒色の線を描き両相の境界を明確にした。さらに、同ソフトウェアの塗りつぶしツールを用い、暗色相を黒色に明色相を白色に塗り分け2値化した。
(1−2)PVA表面分率の測定
(1−2−1)ペーパーウェイト法
前記のPVA表面分率の測定は、以下の手順で測定した。
前記によって得られたフェーズモード画像をビットマップ形式のデジタル画像として保存した。次いで、この画像をプリンター(Xerox製、Docucentre Color a250)にて、A4版上質紙に印刷出力した。出力した画像(200mm×200mm)について、500ルクスの照明下の明るい室内で、目視確認にて画像内の明色相と暗色相の境界を4B鉛筆で明確にした。この際、明色相内に存在する径0.1μm以下の暗色相は、明色相に偏在する被覆層中に含有させた粒子であることが確認されているため、境界線を引くことは行わず、明色相に含むものとした。その後、明色相と暗色相を明確にした境界線上をカッターナイフで切り分けることで分割し、明色相(ポリエステル相α)と暗色相(ポリビニルアルコール相β)の紙の質量を測定し、明色相と暗色相の紙の総質量に対する暗色相(ポリビニルアルコール相β)の質量の比率を%の単位で求めた。この測定操作を異なる5箇所から採取した測定サンプルで実施し、その平均値をPVA表面分率とした。なお、相分離が起こっていない場合は、×と記載した。
尚、上記ペーパーウェイト法の他に、PVA表面分率は、下記の画像解析法を用いて測定することも可能である。
(1−2−2)画像解析法
2値化した画像を同ソフトウェアにて、輝度(黒、白)を横軸とし、度数を縦軸としたヒストグラムを表示させ、黒色部の面積比率を求める。この測定操作を異なる5箇所から採取した測定サンプルで実施し、その平均値をPVA表面分率とする。なお、ナノ相分離が発生していない場合は、×と記載する。
(2)ガラス転移温度
JIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ製、DSC6200)を使用して、樹脂サンプル10mgを25〜300℃の温度範囲にわたって20℃/minで昇温させ、DSC曲線から得られた補外ガラス転移開始温度をガラス転移温度とした。
(3)数平均分子量
樹脂0.03gをテトラヒドロフラン 10ml に溶かし、GPC−LALLS装置低角度光散乱光度計 LS−8000(東ソー株式会社製、テトラヒドロフラン溶媒、リファレンス:ポリスチレン)を用い、カラム温度30℃、流量1ml/分、カラム(昭和電工社製shodex KF−802、804、806)を用い、数平均分子量を測定した。
(4)樹脂組成
樹脂を重クロロホルムに溶解し、ヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、H−NMR分析を行ってその積分比より各組成のモル%比を決定した。
(5)酸価
1g(固形分)の試料を30mlのクロロホルムまたはジメチルホルムアミドに溶解し、フェノールフタレインを指示薬として0.1Nの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して、試料1g当たりのカルボキシル基を中和するのに必要なKOHの量(mg)を求めた。
(6)けん化度
JIS−K6726に準じて水酸化ナトリウムを用いて、ポリビニルアルコール樹脂の残存酢酸基(モル%)を定量し、その値をけん化度(モル%)とした。同サンプルについて3度測定し、その平均値をけん化度(モル%)とした。
(7)積層ポリエステルフィルムの全光線透過率
積層ポリエステルフィルムの全光線透過率はJIS K 7105に準拠し、濁度計(日本電色製、NDH2000)を用いて測定した。
(8)積層ポリエステルフィルムのヘイズ
積層ポリエステルフィルムのヘイズはJIS K 7136に準拠し、濁度計(日本電色製、NDH2000)を用いて測定した。
(9)PVA接着性
積層ポリエステルフィルムの被覆層表面に、固形分濃度5質量%に調整したポリビニルアルコール水溶液(クラレ製 PVA117)を、乾燥後のポリビニルアルコール樹脂層の厚みが、2μmになるようにワイヤーバーで塗布し、70℃で5分間乾燥した。ポリビニルアルコール水溶液には、判定が容易となるよう赤色染料を加えたものを使用した。作成した評価対象フィルムを、両面テープを貼り付けた厚さ5mmのガラス板に、評価対象の積層フィルムのポリビニルアルコール樹脂層が形成された面の反対面を上記両面テープに貼り付けた。次いで、ポリビニルアルコール樹脂層を貫通して、基材フィルムに達する100個の升目状の切り傷を、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて付けた。次いで、粘着テープ(ニチバン社製セロテープ(登録商標) CT−24;24mm幅)を升目状の切り傷面に貼り付けた。貼り付け時に界面に残った空気を消しゴムで押して、完全に密着させた後、粘着テープを勢いよく垂直に引き剥がす作業を1回、5回、10回実施した。ポリビニルアルコール樹脂層が剥がれていない升目の個数を数え、PVA接着性とした。即ち、PVA層が全く剥がれていない場合を、PVA接着率100とし、PVA層が全て剥がれた場合は、PVA接着率0とした。なお、1個の升目内で部分的に剥がれているものも、剥がれた個数に含めた。
(10)PVA塗工性
積層ポリエステルフィルムの被覆層表面に、固形分濃度5質量%に調整したポリビニルアルコール水溶液(クラレ製 PVA117)を、乾燥後のポリビニルアルコール樹脂層の厚みが、2μmになるようにワイヤーバーで塗布し、70℃で5分間乾燥したあとのポリビニルアルコール樹脂層の塗れ具合を以下の基準で評価した。
◎: 塗工した全面ではじくことなく、きれいに塗工できている
○: 塗工したほぼ全面ではじくことなく、きれいに塗工できている
△: 塗工した一部ではじいている。
×: 塗工したほぼ全面ではじいている。
(ポリエステル樹脂の重合)
攪拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート194.2質量部、ジメチルイソフタレート184.5質量部、ジメチル−5−ナトリウムスルホイソフタレート14.8質量部、ジエチレングリコール233.5質量部、エチレングリコール136.6質量部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.2質量部を仕込み、160℃から220℃の温度で4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、30Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(A−1)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(A−1)は、淡黄色透明であった。共重合ポリエステル樹脂(A−1)の還元粘度を測定したところ,0.70dl/gであった。DSCによるガラス転移温度は40℃であった。
同様の方法で、別の組成の共重合ポリエステル樹脂(A−2)〜(A−5)を得た。これらの共重合ポリエステル樹脂についてH−NMRで測定した組成(モル%比)及びその他特性を表1に示す。
Figure 0005821458
(ポリエステル水分散体の調整)
攪拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、ポリエステル樹脂(A−1)30質量部、エチレングリコールn−ブチルエーテル15質量部を入れ、110℃で加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、水55質量部をポリエステル溶液に攪拌しつつ徐々に添加した。添加後、液を攪拌しつつ室温まで冷却して、固形分30質量%の乳白色のポリエステル水分散体(Aw−1)を作製した。同様にポリエステル樹脂(A−1)の代わりにポリエステル樹脂(A−2)〜(A−5)を使用して、水分散体を作製し、それぞれポリエステル水分散体(Aw−2)〜(Aw−5)とした。
(ポリビニルアルコール水溶液の調整)
攪拌機と温度計を備えた容器に、水90質量部を入れ、攪拌しながら重合度500のポリビニルアルコール樹脂(クラレ製)(B−1)10質量部を徐々に添加した。添加後、液を攪拌しながら、95℃まで加熱し、樹脂を溶解させた。溶解後、攪拌しながら室温まで冷却して、固形分10質量%のポリビニルアルコール水溶液(Bw−1)を作成した。同様に、ポリビニルアルコール樹脂(B−1)の代わりにポリビニルアルコール樹脂(B−2)〜(B−8)を使用し水溶液を作成し、それぞれ(Bw−2)〜(Bw−8)とした。ポリビニルアルコール樹脂(B−1)〜(B−8)のけん化度を表2に示す。
Figure 0005821458
(ブロックポリイソシアネート架橋剤C−1の重合)
攪拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA)100質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55質量部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量750)30質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で4時間保持した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム47質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、固形分75質量%のブロックポリイソシアネート水分散液(C−1)を得た。
実施例1
(1)塗布液の調整
下記の塗剤を混合し、ポリエステル系樹脂(A)/ポリビニルアルコール系樹脂(B)の質量比が70/30になる塗布液を作成した。ポリエステル水分散体は、酸価が2KOHmg/gであるポリエステル樹脂が分散した水分散体(Aw−1)を使用し、ポリビニルアルコール水溶液は、けん化度が74モル%であるポリビニルアルコールが溶解した水溶液(Bw−4)を使用した。
水 40.61質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(Aw−1) 11.67質量%
ポリビニルアルコール水溶液(Bw−4) 15.00質量%
ブロックイソシアネート系架橋剤(C−1) 0.67質量%
粒子 1.25質量%
(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
触媒
(有機スズ系化合物 固形分濃度14質量%) 0.3質量%
界面活性剤 0.5質量%
(シリコン系、固形分濃度10質量%)
(2)積層ポリエステルフィルムの製造
フィルム原料ポリマーとして、固有粘度(溶媒:フェノール/テトラクロロエタン=60/40)が0.62dl/gで、かつ粒子を実質的に含有していないPET樹脂ペレットを、133Paの減圧下、135℃で6時間乾燥した。その後、押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出しして、表面温度20℃に保った回転冷却金属ロール上で急冷密着固化させ、未延伸PETシートを得た。
この未延伸PETシートを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して、一軸延伸PETフィルムを得た。
次いで、前記塗布液をロールコート法でPETフィルムの片面に塗布した後、80℃で15秒間乾燥した。なお、最終(二軸延伸後)の乾燥後の塗布量が0.15g/mになるように調整した。引続いてテンターで、150℃で幅方向に4.0倍に延伸し、フィルムの幅方向の長さを固定した状態で、230℃で0.5秒間加熱処理し、さらに230℃で10秒間3%の幅方向の弛緩処理を行ない、厚さ38μmの積層ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表3に示す。
実施例2
テンター延伸後の加熱処理、弛緩処理の温度を180℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例3
テンター延伸後の加熱処理、弛緩処理の温度を140℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例4
下記の塗剤を混合しポリエステル系樹脂/ポリビニルアルコール系樹脂の質量比が60/40になるように変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
水 37.28質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(Aw−1) 10.00質量%
ポリビニルアルコール水溶液(Bw−4) 20.00質量%
ブロックイソシアネート系架橋剤(C−1) 0.67質量%
粒子 1.25質量%
(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
触媒
(有機スズ系化合物 固形分濃度14質量%) 0.3質量%
界面活性剤 0.5質量%
(シリコン系、固形分濃度10質量%)
実施例5
下記の塗剤を混合しポリエステル系樹脂(A)/ポリビニルアルコール系樹脂(B)の質量比が80/20になるように変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
水 43.95質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(Aw−1) 13.33質量%
ポリビニルアルコール水溶液(Bw−4) 10.00質量%
ブロックイソシアネート系架橋剤(C−1) 0.67質量%
粒子 1.25質量%
(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
触媒
(有機スズ系化合物 固形分濃度14質量%) 0.3質量%
界面活性剤 0.5質量%
(シリコン系、固形分濃度10質量%)
実施例6
下記の塗剤を混合しポリエステル系樹脂(A)/ポリビニルアルコール系樹脂(B)の質量比が50/50になるように変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
水 33.95質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(Aw−1) 8.33質量%
ポリビニルアルコール水溶液(Bw−4) 25.00質量%
ブロックイソシアネート系架橋剤(C−1) 0.67質量%
粒子 1.25質量%
(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
触媒
(有機スズ系化合物 固形分濃度14質量%) 0.3質量%
界面活性剤 0.5質量%
(シリコン系、固形分濃度10質量%)
実施例7
ポリエステル水分散体を酸価が4KOHmg/gのポリエステル樹脂が分散した水分散体(Aw−2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例8
ポリエステル水分散体を酸価が6KOHmg/gのポリエステル樹脂が分散した水分散体(Aw−3)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例9
ポリエステル水分散体を酸価が10KOHmg/gのポリエステル樹脂が分散した水分散体(Aw−5)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例10
ポリビニルアルコール水溶液を、ポリビニルアルコールのけん化度が67モル%であるポリビニルアルコールが溶解した水溶液(Bw−6)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例11
ポリビニルアルコール水溶液を、ポリビニルアルコールのけん化度が70モル%であるポリビニルアルコールが溶解した水溶液(Bw−5)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例12
ポリビニルアルコール水溶液を、ポリビニルアルコールのけん化度が79モル%であるポリビニルアルコール水溶液(Bw−3)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例13
ポリビニルアルコールのけん化度が83モル%であるポリビニルアルコール水溶液(Bw−2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例14
ポリビニルアルコール水溶液を、けん化度が88モル%であるポリビニルアルコールが溶解した水溶液(Bw−1)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例15
塗布液の組成を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
水 40.87質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(Aw−1) 11.67質量%
ポリビニルアルコール水溶液(Bw−4) 15.00質量%
メラミン系架橋剤(C−2) 0.71質量%
(ニカラックMX−042 三和ケミカル製 固形分濃度70%)
粒子 1.25質量%
(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.5質量%
(シリコン系、固形分濃度10質量%)
実施例16
塗布液の組成を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
水 40.33質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(Aw−1) 11.67質量%
ポリビニルアルコール水溶液(Bw−2) 15.00質量%
オキサゾリン系架橋剤(C−3) 1.25質量%
(エポクロスWS−500、日本触媒製、固形分濃度40質量%)
粒子 1.25質量%
(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.5質量%
(シリコン系、固形分濃度10質量%)
実施例17
塗布液の組成を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
水 40.58質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(Aw−1) 11.67質量%
ポリビニルアルコール水溶液(Bw−2) 15.00質量%
エポキシ系架橋剤(C−4) 1.00質量%
(アデカレジンEM−051R ADEKA製 固形分50質量%)
粒子 1.25質量%
(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.5質量%
(シリコン系、固形分濃度10質量%)
比較例1
下記の塗剤を混合しポリエステル系樹脂(A)/ポリビニルアルコール系樹脂(B)の質量比が100/0になるように変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
水 50.62質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(Aw−1) 16.66質量%
ブロックイソシアネート系架橋剤(C−1) 0.67質量%
粒子 1.25質量%
(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
触媒
(有機スズ系化合物 固形分濃度14質量%) 0.3質量%
界面活性剤 0.5質量%
(シリコン系、固形分濃度10質量%)
比較例2
下記の塗剤を混合しポリエステル系樹脂(A)/ポリビニルアルコール系樹脂(B)の質量比が0/100になるように変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
水 17.28質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリビニルアルコール水溶液(Bw−4) 50.00質量%
ブロックイソシアネート系架橋剤(C−1) 0.67質量%
粒子 1.25質量%
(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
触媒
(有機スズ系化合物 固形分濃度14質量%) 0.3質量%
界面活性剤 0.5質量%
(シリコン系、固形分濃度10質量%)
比較例3
下記の塗剤を混合しポリエステル系樹脂(A)/ポリビニルアルコール系樹脂(B)の質量比が90/10になるように変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
水 47.28質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(Aw−1) 15.00質量%
ポリビニルアルコール水溶液(Bw−4) 5.00質量%
ブロックイソシアネート系架橋剤(C−1) 0.67質量%
粒子 1.25質量%
(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
触媒
(有機スズ系化合物 固形分濃度14質量%) 0.3質量%
界面活性剤 0.5質量%
(シリコン系、固形分濃度10質量%)
比較例4
塗布液を塗布した後のテンター延伸を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例5
テンター延伸後の加熱処理、弛緩処理の温度を100℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例6
ポリビニルアルコール水溶液を、けん化度が99モル%であるポリビニルアルコールが溶解した水溶液(Bw−8)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例7
ポリビニルアルコール水溶液を、けん化度が40モル%であるポリビニルアルコールが溶解した水溶液(Bw−7)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例8
ポリエステル水分散体を酸価が25KOHmg/gのポリエステル樹脂が分散した水分散体(Aw−4)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。
参考例1
積層ポリエステルフィルムフィルムとしてTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm、けん化処理済)を用い、前記接着性試験を行なった。
以上のようにした作製した実施例1〜17及び比較例1〜8の積層ポリエステルフィルムについて、先述の各項目の評価・測定を行った。その結果を参考例1の結果と併せて下記の表3に示す。
Figure 0005821458
実施例1〜17の積層ポリエステルフィルムでは、全てにおいてナノ相分離構造が認められた。参考として、実施例5の積層ポリエステルフィルムの被覆層表面の位相差顕微鏡写真を図1に示す。PVA相の表面分率が30%以上である実施例1〜17の積層ポリエステルフィルムは、塗工性に問題がなく、1回剥離試験においてTACフィルムと同等と評価し得る優れたPVAフィルムとの接着性を示した。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、偏光子・水系接着剤と高い接着性を有する。そのため、偏光子保護部材として好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に被覆層を有する積層ポリエステルフィルムであって、
    前記被覆層は、ポリビニルアルコール系樹脂及びポリエステル系樹脂を含み、
    前記被覆層の表面は、ポリビニルアルコール系樹脂が凝集した相とポリエステル系樹脂が凝集した相から成るにナノ相分離構造を有し、ポリビニルアルコール相の面積比率が、30%以上99%未満であり、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度が80%未満であり、
    前記ポリエステル系樹脂の酸価が15KOHmg/g以下であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
  2. 前記ポリエステル系樹脂のガラス転移温度が、25℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
  3. 前記被覆層が架橋剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層ポリエステルフィルム。
  4. 前記架橋剤が、メラミン系架橋剤及び/又はイソシアネート系架橋剤である請求項に記載の積層ポリエステルフィルム。
  5. 前記被覆層に含まれるポリビニルアルコール系樹脂とポリエステル系樹脂の質量比が、下記式を満足することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
    0.2≦PVA/PEs≦1.25
  6. 偏光子の両面に偏光子保護フィルムを有する偏光板であって、
    少なくとも一方の偏光子保護フィルムが請求項1〜のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルムである偏光板。
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