JP5820699B2 - カラーフィルター用顔料分散体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カラーフィルター用顔料分散体の製造方法、及びその方法により得られる顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物に関する。
液晶表示装置に用いられるカラーフィルターは、顔料分散体に樹脂等を配合した着色組成物をガラス等の透明基板に塗布した後、露光・硬化、現像、熱硬化させるフォトリソグラフィー法等によって製造されている。ここで用いられる顔料分散体は、顔料を有機溶媒に分散した非水系顔料分散体であるが、非水系顔料分散体の製造方法として、グラフトポリマー等の高分子分散剤を用いる製造方法が知られている。
例えば、特許文献1には、顔料分散性、インキ皮膜の物性の改善を目的として、ポリアリルアミンと、アミノ基と反応しアミド結合を形成する官能基を片末端に有するビニル共重合体とを反応させてなる変性ポリアリルアミンを主成分とする顔料分散剤が開示されている。
特許文献2には、低使用量で分散性、流動性、保存安定性に優れる顔料組成物を得ること目的として、一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体中の一級アミノ基に対して、片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体中のカルボキシル基を特定量付加反応させてなるグラフト型分散剤が開示されている。
また、特許文献3には、顔料への吸着性を向上させた分散剤を得ることを目的として、窒素原子を含有するビニルモノマーと反応性官能基を含有するビニルモノマーとを反応させて、共重合体を製造する工程Iと、得られた共重合体と反応しうる官能基を有するポリ(メタ)アクリル酸アルキル及び/又はポリスチレン成分とを反応させて、グラフト共重合体を製造する工程IIを有する非水系顔料分散用ポリマーの製造方法が開示されている。
特開2007−284642号公報 特開2009−149803号公報 特開2009−120823号公報
フォトリソグラフィー法を用いたカラーフィルターの製造において、用いられる着色組成物は、現像液によってすばやくパターンを形成する現像性に優れる必要がある。一方で、鮮明な画像を得るために、得られた光硬化膜は高いコントラストが要求されている。しかし、通常、コントラストを向上するためには、有機溶媒に分散するための分散剤を増やすなどして、分散される顔料粒子を微細化する必要があるが、微細化された顔料表面やこの分散剤は水性の現像液との親和性が低いためか、現像性が低下してしまい、これらは両立できないという問題がある。
本発明は、コントラストと現像性に優れた硬化膜を形成することができるカラーフィルター用顔料分散体の製造方法、及びその方法により得られる顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、カラーフィルター用顔料分散体の製造方法において、有機顔料を特定のポリマー中和物で分散することにより、(i)顔料粒子を微細安定化しつつ、現像液との親和性も維持できる硬化膜を得ることができること、(ii)得られた硬化膜をカラーフィルターとして用いると高いコントラストと十分な現像性が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕及び〔2〕を提供する。
〔1〕下記工程(1)及び(2)を有するカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
工程(1):片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアリルアミン、及びエステル系有機溶媒を30〜80℃で混合し、ポリアリルアミン中和物の溶液を得る工程
工程(2):工程(1)で得られたポリアリルアミン中和物の溶液、及び有機顔料を含有する混合物を分散して、顔料分散体を得る工程
〔2〕前記〔1〕の方法により得られる顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物。
本発明によれば、コントラストと現像性に優れた硬化膜を形成することができるカラーフィルター用顔料分散体の製造方法、及びその方法により得られる顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物を提供することができる。
本発明のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法は、下記工程(1)及び(2)を有することを特徴とする。
工程(1):片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアリルアミン、及びエステル系有機溶媒を30〜80℃で混合し、ポリアリルアミン中和物の溶液を得る工程
工程(2):工程(1)で得られたポリアリルアミン中和物の溶液、及び有機顔料を含有する混合物を分散して、顔料分散体を得る工程
本発明において、前記工程(1)及び(2)により得られるカラーフィルター用顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物が、コントラストと現像性に優れる硬化膜を形成することができる理由は定かではないが、次のように考えられる。
工程(1)において、30〜80℃という比較的低温で、片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルとポリアリルアミンを混合することにより、該ポリ(メタ)アクリル酸エステルのカルボキシ基とポリアリルアミンのアミノ基がイオン相互作用により引き合い、中和物が得られる。工程(2)における有機顔料の分散は、エステル系有機溶媒中、すなわち、非水系溶媒中で行われることから、前記イオン相互作用は解離することなく、あたかもグラフト型のポリマーのように振る舞い、ポリアリルアミン部分が顔料へ吸着し、ポリ(メタ)アクリル酸エステル部分が、エステル系有機溶媒と溶媒和することにより、有機顔料を微細かつ安定に分散することができるため、得られる顔料分散体を用いて得た硬化膜のコントラストが優れると考えられる。
更に現像の際、硬化していない部分の顔料表面のポリアリルアミン中和物は、アルカリ現像液中で前記イオン相互作用が解離し、現像液への有機顔料粒子の分散性が向上し、現像性も向上するものと考えられる。
以下、本発明に用いられる各成分、並びに工程(1)及び(2)について説明する。
[片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル]
片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルは、得られるポリアリルアミンのアミノ基を中和するために用いられる。
片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルの原料として用いられる、(メタ)アクリル酸エステルとしては、エステル系有機溶媒との親和性及び得られる硬化膜のコントラストを向上させる観点から、炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル及び/又は(メタ)アクリル酸ベンジルが挙げられ、(メタ)アクリル酸アルキルがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルとしては、メタクリル酸アルキル及び/又はアクリル酸アルキルが挙げられ、エステル系有機溶媒との親和性を高め、顔料の分散性を向上させ、ひいてはコントラストを向上させる観点から、メタクリル酸アルキルがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、エステル系有機溶媒との親和性の観点から、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられるが、エステル系有機溶媒との親和性の観点から、メチル基が好ましい。すなわち、前記ポリ(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましく、メタクリル酸メチルが更に好ましい。
片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に特に制限はなく、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等を採用しうるが、特に溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒に特に制限はなく、エタノール等のアルコール類、ケトン類、エステル類、炭化水素類、エーテル類、芳香族化合物、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
反応温度は、用いる重合開始剤、溶媒の種類等により適宜選択できるが、通常50〜100℃の範囲が好ましい。
片末端にカルボン酸を導入するために、4,4’−アゾビス(4−シアノ酪酸)等のカルボン酸を含む重合開始剤や、メルカプトプロピオン酸等のカルボン酸を含む連鎖移動剤を使用することが好ましく、その他に用いることができる重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、過硫酸系開始剤等が挙げられる。また必要に応じて、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸等のメルカプタン類等の連鎖移動剤等を用いることもできる。
片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルの数平均分子量(Mn)は、得られる硬化膜の現像性とコントラストの観点から、好ましくは300〜6,000、より好ましくは500〜2,000であり、現像性の観点から、好ましくは500〜5,000、より好ましくは500〜800であり、コントラストの観点から、好ましくは800〜2,000、より好ましくは800〜1,500である。
また、片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルの重量平均分子量(Mw)は、得られる硬化膜の現像性とコントラストの観点から、好ましくは500〜10,000、より好ましくは700〜3,000であり、現像性の観点から、好ましくは800〜2,000、より好ましくは800〜1,500であり、コントラストの観点から、好ましくは1,200〜3,000、より好ましくは1,200〜2,500である。
[ポリアリルアミン]
ポリアリルアミンは、アリルアミンを重合して得られるものである。
ポリアリルアミンとしては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が好適に挙げられる。
Figure 0005820699
一般式(1)において、R1〜R4は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
一般式(1)において、R1〜R4及びXは、水素原子であることが、入手性の観点及び顔料への吸着性の観点等から好ましい。
一般式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物は、更に一般式(1)で表される繰り返し単位の塩酸塩、その他の繰り返し単位を共重合成分として含んでいてもよい。そのような繰り返し単位を併用することで、顔料の分散性等を更に向上させることができる。
本発明で用いられるポリアリルアミンの重量平均分子量は、顔料への吸着性とエステル系有機溶媒への溶解性の観点から、200〜50,000が好ましく、500〜10,000がより好ましく、1,000〜5,000が更に好ましく、1,000〜2,000が更に好ましい。
市販品の例としては、例えば、日東紡績株式会社製の商品名:「PAA−01」(重量平均分子量1,600)、「PAA−03」(重量平均分子量3,000)、「PAA−05」(重量平均分子量5,000)、「PAA−08」(重量平均分子量8,000)、「PAA−15」(重量平均分子量15,000)、「PAA−15C」(重量平均分子量15,000)、「PAA−25」(重量平均分子量25,000)等が挙げられる。
ポリアリルアミンは水溶液の形態であることが、片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルとの中和を効率よく行う観点から好ましい。
[エステル系有機溶媒]
本発明で用いられるエステル系有機溶媒は特に限定されないが、平滑性に優れ、現像性に優れる硬化膜を得る観点から、沸点が好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜300℃、更に好ましくは130〜250℃の有機溶媒であることが好ましい。100℃未満の低沸点であると、乾燥速度が速過ぎるため、塗膜の平滑性、作業性が低下するおそれがあり、一方、300℃を超える高沸点では乾燥が遅すぎるため、現像前の塗膜中に残留して現像時に塗膜が流れてしまうおそれがある。
このような高沸点有機溶媒としては、(i)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルプロピオネート、及び(ii)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテート等が好ましく挙げられる。
(i)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルプロピオネートとしては、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート等が挙げられる。
(ii)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテートとしては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)等が挙げられる。
上記エステル系有機溶媒の中では、片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアリルアミン、及びポリアリルアミン中和物の溶解性と、有機顔料、特にジケトピロロピロール系顔料の分散性の観点から、(ii)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテートが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、沸点:146℃)、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA、沸点:247℃)がより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)が更に好ましい。
上記のエステル系有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[有機顔料]
本発明に用いられる有機顔料(以下、単に「顔料」ともいう)としては、カラーフィルターに好適に用いられるものであれば特に制限はなく、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料、レーキ顔料等が挙げられる。
アゾ顔料としてはC.I.ピグメントレッド3等の不溶性アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド48:1等の溶性アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド144等の縮合アゾ顔料が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:6等の銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
縮合多環顔料としては、C.I.ピグメントレッド177等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド123等のペリレン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ43等のペリノン系顔料、C.I.ピグメントレッド122等のキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントバイオレット23等のジオキサジン系顔料、C.I.ピグメントイエロー109等のイソインドリノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ66等のイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー138等のキノフタロン系顔料、C.I.ピグメントイエロー150等のニッケルアゾ錯体系顔料、C.I.ピグメントレッド88等のインジゴ系顔料、C.I.ピグメントグリーン8等の金属錯体顔料、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントオレンジ71等のジケトピロロピロール系顔料等が挙げられる。
これらの中では、本発明の効果をより有効に発現させる観点から、下記一般式(2)で表されるジケトピロロピロール系顔料が好ましい。
Figure 0005820699
式(2)中、X1及びX2は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y1及びY2は、それぞれ独立して、水素原子又は−SO3H基を示す。なお、ハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子が好ましい。
ジケトピロロピロール系顔料の市販品の好適例としては、BASF社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「Irgaphor Red B-CF」、「Irgaphor Red BK-CF」、「Irgaphor Red BT-CF」、「Irgazin DPP Red BO」、「Irgazin DPP Red BL」、「Cromophtal DPP Red BP」、「Cromophtal DPP Red BOC」等が挙げられる。
有機顔料は、明度Y値の向上の観点から、その平均一次粒子径を、好ましくは100nm以下、更に好ましくは20〜60nmにした微粒化処理品を用いることが望ましい。有機顔料の平均一次粒子径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測してその平均値をその粒子の粒子径とし、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積を、粒子径を一辺とする立方体と近似して体積平均粒子径を求め、それを平均一次粒子径とする。
上記の有機顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、有機顔料とエステル系有機溶媒との親和性を高め、分散安定性を高めるという観点から、有機顔料の表面に、樹脂や高分子、顔料誘導体等により予め表面処理を施した顔料を用いることもできる。
[顔料分散体の製造方法]
本発明のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法は、下記工程(1)及び(2)を有する。
工程(1):片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアリルアミン、及びエステル系有機溶媒を30〜80℃で混合し、ポリアリルアミン中和物の溶液を得る工程
工程(2):工程(1)で得られたポリアリルアミン中和物の溶液、及び有機顔料を含有する混合物を分散して、顔料分散体を得る工程
<工程(1)>
工程(1)において、片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアリルアミン、及びエステル系有機溶媒を混合する方法に制限はないが、片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアリルアミン、エステル系有機溶媒を温度調整と攪拌が可能な容器に入れ、30〜80℃、好ましくは45〜75℃、より好ましくは50〜70℃に維持しながら混合することが好ましい。
更に、ポリアリルアミンを水溶液で添加し、混合してポリアリルアミン中和物の溶液を得るに際し、減圧して水分を留去することが、中和を効率よく行う観点から好ましい。すなわち、片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアリルアミンの水溶液、エステル系有機溶媒を温度調整、圧力調整(減圧)と攪拌が可能な容器に入れ、30〜80℃に維持しながら、減圧し、水を除去しながら混合することが、中和を効率よく行う観点から好ましい。
本工程において、ポリアリルアミンに対する片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルの重量比〔片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル/ポリアリルアミン〕は、顔料への吸着性と有機溶媒への親和性のバランスを取り、工程(2)の分散工程において、顔料を微細に分散する観点から、ひいては得られる硬化膜のコントラストと現像性を向上させる観点から、95/5〜60/40が好ましく、95/5〜70/30がより好ましく、コントラストの観点から、95/5〜80/20が更に好ましく、現像性の観点から、85/15〜70/30が更に好ましい。
ポリアリルアミンより片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルの比率を多くすることにより、ポリアリルアミンを顔料への吸着点として、有機溶媒に親和性の高いポリ(メタ)アクリル酸エステルが有機溶媒中へ大きく広がるため、粒子間に立体的な反発力が生まれ、分散を効率よく行うことができるものと考えられる。
得られるポリアリルアミン中和物の酸価は、原料である片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル及びポリアリルアミンの酸価の合計の80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがより好ましい。これはすなわち、ポリアリルアミンのアミノ基とポリ(メタ)アクリル酸エステルのカルボキシ基が中和状態で残存していることを示しており、前述の通り、得られる硬化膜のコントラストと現像性を両立させることが可能となると考えられる。前記酸価が80%未満であると、一部がアミド結合を形成し、グラフト化してしまうために、分子量が上がりすぎて、分散の効率が下がり、コントラストが低下したり、現像時にも現像液への溶解性が低下するため、現像性が低下したりするものと考えられる。
<工程(2)>
工程(2)における分散方法に特に制限はなく、ポリアリルアミン中和物の溶液、及び有機顔料を含有する混合物(以下、単に「混合物」ともいう)を、一度の分散で、目的の顔料分散体を得てもよいが、該混合物を予備分散して、更に本分散を行うことが、より微細で均一な顔料分散液を得る観点から好ましい。
(予備分散)
工程(2)の予備分散は、ポリアリルアミン中和物の溶液、及び有機顔料からなる全成分を一度に混合し、分散してもよいが、更にエステル系有機溶媒を混合して、得られた予備混合物の濃度を調整することが、分散効率を高める観点から、好ましい。
該混合物における有機顔料の量は、良好な着色性を得る観点から、前記混合物中3重量%以上が好ましく、良好な着色性及び粘度を得る観点から、3〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましく、8〜15重量%がより更に好ましい。
該混合物におけるポリアリルアミン中和物の量は、コントラストに優れた硬化膜を得る観点から、前記混合物中3〜30重量%が好ましく、3〜15重量%がより好ましく、4〜10重量%が更に好ましく、4〜7重量%がより更に好ましい。
予備分散工程における分散時間は特に制限はないが、0.1〜10時間が好ましく、0.5〜4時間がより好ましく、1〜3時間が更に好ましい。
予備分散で用いる混合分散機に特に制限はなく、公知の種々の分散機を用いることができる。例えば、アンカー翼等を備えた一般に用いられている混合撹拌装置、具体例としては、ウルトラタックス(IKAジャパン株式会社製、商品名)等のホモミキサー等、ウルトラディスパー、デスパミル(浅田鉄工株式会社、商品名)、マイルダー(株式会社荏原製作所、大平洋機工株式会社、商品名)、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(以上、プライミクス株式会社、商品名)等の高速撹拌混合装置、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機が挙げられ、高圧ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ、商品名)に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社、商品名)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社、商品名)、アルティマイザー、スターバースト(スギノマシン株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等の高圧式分散機、ペイントシェーカー、ビーズミル、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製、商品名)等のメディア式分散機等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせて使用することもできる。
これらの中では、有機顔料を有機溶媒中に均一に混合させる観点から、ホモミキサー等の高速撹拌混合装置、ペイントシェーカーやビーズミル等のメディア式分散機がより好ましい。
メディア式分散機を用いる場合に、予備分散工程で用いるメディアの材質としては、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、ポリエチレン、ナイロン等の高分子材料、金属等が好ましく、摩耗性の観点からジルコニアが好ましい。また、メディアの直径としては、有機顔料中の凝集粒子を解砕する観点から、0.1〜0.6mmが好ましく、0.1〜0.5mmがより好ましく、0.1〜0.4mmが更に好ましい。
(本分散)
本分散は、予備分散で得られた予備分散液を分散処理する工程であり、前記予備分散工程で得られた混合物を更に微細化するために行われるが、有機顔料を微細化する観点から、メディア式分散機を用いることが好ましく、前記の高圧式分散機を併用してもよい。
本分散工程で用いるメディアの材質としては、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、ポリエチレン、ナイロン等の高分子材料、金属等が好ましく、摩耗性の観点からジルコニアが好ましい。また、メディアの直径としては、有機顔料を微細化する観点から、0.09mm以下が好ましく、0.07mm以下がより好ましく、0.06mm以下が更に好ましく、メディアを顔料と分離する観点から、0.003mm以上が好ましく、0.01mm以上がより好ましい。
以上の観点から、本分散工程で用いるメディアの直径としては、0.003〜0.09mmが好ましく、0.01〜0.07mmがより好ましく、0.01〜0.06mmが更に好ましい。
本分散工程で用いるメディア式分散機としては、ペイントシェーカー、ビーズミル等が好ましく、市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製、商品名)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製、商品名)等が挙げられる。
得られる顔料分散液の保存安定性の観点から、分散時の温度は10〜35℃が好ましく、15〜30℃がより好ましく、18〜27℃が更に好ましい。
本分散の分散時間は、有機顔料を十分に微細化する観点から、3〜200時間が好ましく5〜50時間がより好ましい。また、得られる硬化膜のコントラストを向上させる観点から、有機顔料の体積中位粒径(D50)が80nm以下となるまで分散することが好ましく、20〜70nmとなるまで分散することが好ましく、20〜60nmとなるまで分散することが更に好ましい。
顔料分散液中のポリアリルアミン中和物の含有量は、コントラストに優れた硬化膜を得る観点から、3〜30重量%が好ましく、3〜15重量%がより好ましく、4〜10重量%が更に好ましく、4〜7重量%がより更に好ましい。
本分散工程における、顔料分散液中の有機顔料の割合は、良好な着色性を得る観点から、3重量%以上が好ましく、良好な着色性及び粘度を得る観点から、3〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましく、8〜15重量%が更に好ましい。
また、工程(1)における、有機顔料に対するポリアリルアミン中和物の重量比〔ポリアリルアミン中和物/有機顔料〕は、有機顔料に必要量のポリアリルアミン中和物を付着させ、硬化膜のコントラストを向上させる観点から、0.3〜1.5が好ましく、0.4〜1.4がより好ましい。
工程(2)における、エステル系有機溶媒の含有量は、顔料分散液を均一に分散させる観点から、40〜90重量%が好ましく、60〜90重量%がより好ましい。
〔カラーフィルター用顔料分散体〕
本発明の製造方法により得られるカラーフィルター用顔料分散体は、有機顔料、エステル系有機溶媒、及びポリアリルアミン中和物を含有する。
顔料分散体中の有機顔料の割合は、良好な着色性を得る観点から、3重量%以上が好ましく、良好な着色性及び粘度を得る観点から、3〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。
顔料分散体中の有機顔料に対するポリアリルアミン中和物の重量比〔ポリアリルアミン中和物/有機顔料〕は、硬化膜のコントラストと現像性を向上させる観点から、0.3〜1.5が好ましく、0.4〜1.4がより好ましい。
顔料分散体中のエステル系有機溶媒の含有量は、良好な着色性及び分散体の低粘度化の観点から、40〜90重量%が好ましく、60〜90重量%がより好ましい。
顔料分散体中の有機顔料の体積中位粒径(D50)は、カラーフィルター用色材として良好なコントラストを得るために、80nm以下が好ましく、20〜70nmがより好ましく、20〜60nmが更に好ましい。
なお、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が小粒径側から累積して50%になる粒径を意味する。体積中位粒径(D50)の値は、実施例に記載した方法で測定される。
本発明の製造方法により得られる顔料分散体の固形分12重量%における粘度(20℃)は、カラーフィルター用色材として良好な粘度とするために、1〜200mPa・sが好ましく、1〜100mPa・sがより好ましい。
[カラーフィルター用着色組成物]
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、前記の製造方法によって得られたカラーフィルター用顔料分散体を含有するが、有機顔料、エステル系有機溶媒、ポリアリルアミン中和物以外にバインダー成分等を含有することができる。
バインダー成分としては、電離放射線硬化性成分を含有するバインダー成分等が挙げられる。
電離放射線硬化性成分を含有するバインダー成分には、アルカリ可溶性樹脂、多官能モノマーや電離放射線により活性化する光重合開始剤を含有し、更に多官能オリゴマー、単官能のモノマー、及び増感剤等を配合することができる。これらの樹脂、オリゴマー、モノマー、添加剤等は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
電離放射線硬化性成分からなる着色組成物中のバインダー成分の含有量は、溶媒を除いた有効分中20〜80重量%が好ましく、光重合開始剤の含有量は、溶媒を除いた有効分中0.2〜20重量%が好ましい。
前記アルカリ可溶性樹脂としては、ネガ型レジストに一般的に用いられるものを用いることができ、アルカリ水溶液に可溶性を有するもの、すなわち、0.05重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に20℃で1重量%以上溶解するものであればよく、特に限定されない。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、γ−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレート等の中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示することができ、上記のコポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させたポリマー等も使用することができる。
これらの中では、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより得られる、エチレン性不飽和結合を有するポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は5,000〜50,000が好ましい。
本発明で用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合体が好ましく挙げられ、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体がより好ましい。
アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合割合(モル比)は、90/10〜50/50であることが好ましく、80/20〜70/30であることがより好ましい。
多官能モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等)、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエステル等が挙げられる。本発明の顔料分散体中の多官能モノマーの含有量は、溶媒を除いた有効分中10〜60重量%が好ましい。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類等が挙げられる。例えば4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の組み合わせ、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン]、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノンが好ましい。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り、「重量部」及び「重量%」である。なお、ポリ(メタ)アクリル酸エステルの数平均分子量と重量平均分子量、酸価、ポリアリルアミン中和物のアミン価、残留酸価率、顔料分散体の体積中位粒径(D50)の測定ないし算出、及び硬化膜のコントラスト、現像性、基板密着性の評価は以下の方法により行った。
(1)ポリ(メタ)アクリル酸エステルの数平均分子量、重量平均分子量の測定
N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製、GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK−GEL、α−M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
(2)ポリ(メタ)アクリル酸エステル及びポリアリルアミン中和物の酸価の測定
JIS K 0070 に従い測定した。
(3)ポリアリルアミン中和物のアミン価の測定
試料15g(固形分換算)を200mLコニカルビーカーに計量し、トルエンを75mL加える。さらにエタノールを50mL加え、必要に応じて加温して、試料を均一溶解して溶液を得る。
この溶液にチモールブルー試液を10滴加え均一混合し、0.5mol/L塩酸で振り混ぜながら滴定した。液が淡紅色を呈した時点で滴定を終了し、下記計算式により、アミン価を算出した。
アミン価(mgKOH/g)=(A×f×56.106×0.5)/試料量(g)
A:0.5mol/L塩酸の量(mL)
f:0.5mol/L塩酸のファクター(力価)
(4)ポリアリルアミン中和物の残留酸価率の算出
下記計算式により、ポリアリルアミン中和物の残留酸価率を算出した。
残留酸価率=中和物の酸価/片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル及びポリアリルアミンの酸価の合計
(5)顔料分散体の体積中位粒径(D50)の測定
顔料分散体をプロピレングリコールモノメチルエテルアセテート(PGMEA)で300倍に希釈し、粒度分析計(シスメックス社製、ZETASIZER Nano−ZS)を用いて、分散質屈折率:1.510、分散質密度:1.45g/cm3、分散媒屈折率:1.400、分散媒粘度:1.3cpsの条件下において20℃で粒径を測定し、体積分率で計算した累積体積頻度が小粒径側から累積して50%になる粒径を体積中位粒径(D50)とした。
(6)コントラストの評価(硬化膜のコントラスト比の測定)
顔料濃度を10%に調整した顔料分散体1.00部、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(バインダー、モル比:30/70、重量平均分子量:14000、固形分40重量%のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)溶液)0.15部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(多官能モノマー:日本化薬株式会社製、DPHA)0.046部、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン(光重合開始剤:和光純薬工業株式会社製)0.035部、PGMEA0.474部を均一になるまで混合し、着色組成物を得た。
ガラス基板上に着色組成物をスピンコーターで塗布した後、水平台にて6分間静置し、80℃で3分間ホットプレートにより乾燥し、塗膜を得た。得られた塗膜に紫外線ファイバースポット照射装置(株式会社モリテックス製、MUV−202U)を用いて30mJ/cm2まで紫外線を照射し、硬化膜を得た。硬化膜のコントラスト比をコントラスト比測定器(壺坂電機株式会社製、CT−1)で測定した。
コントラスト比の値が大きいものほど、コントラストが良好である。
(7)硬化膜の現像性の評価
前記(6)のコントラスト測定用に調整した着色組成物をガラス基板上にスピンコーターで塗布した後、水平台にて6分間静置し、80℃で3分間ホットプレートにより乾燥し、塗膜を得た。得られた塗膜にフォトマスクを載せ、紫外線ファイバースポット照射装置(株式会社モリテックス製、MUV−202U)を用いて30mJ/cm2まで紫外線を照射し、硬化膜基板を得た。
次いで、この硬化膜基板を、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.1%水溶液中でゆっくり揺動させ、15秒刻みで、水溶液から引き上げ、次いで水シャワーでリンスし未硬化部分を除去した。露光パターンが最も早く得られるテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液浸漬時間を現像時間とした。
現像時間が短いほど現像性に優れる。
(8)基板密着性の評価
前記(7)で得られた硬化膜基板のパターンの形成性を目視により観察し、下記の基準で基板密着性を評価した。
A:完全なパターンが形成できている。
B:パターンの一部が形成できているが、一部は欠損している。
C:パターンのほぼ全体が欠損している。
パターンの形成性が良好であるほど基板密着性に優れる。
製造例1〔片末端にカルボキシ基を有するポリメタクリル酸メチル(A−1)の合成〕
還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100部、3−メルカプトプロピオン酸(連鎖移動剤)10.6部、PGMEA50部を仕込み、窒素置換したあと、80℃で攪拌しながら、メタクリル酸メチル(MMA)400部、3−メルカプトプロピオン酸42.4部、PGMEA 200部、V−65 4部を3時間かけて滴下した。更に1時間、80℃で攪拌後、V−65 4部、3−メルカプトプロピオン酸1.8部、PGMEA200部を加えた。更に、80℃で2時間攪拌し、片末端にカルボキシ基を有するポリメタクリル酸メチル(以下、「片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル」ともいう)のPGMEA溶液を得た。
該PGMEA溶液の固形分は57.9%であり、得られた末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(A−1)の酸価は31mgKOH/g、数平均分子量は1,000、重量平均分子量は1,600であった。
製造例2〔片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(A−2)の合成〕
製造例1において、3−メルカプトプロピオン酸(連鎖移動剤)6.6部を仕込み、3−メルカプトプロピオン酸26.5部を滴下した以外は、製造例1と同様に行い、片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチルのPGMEA溶液を得た。
該PGMEA溶液の固形分は52.0%であり、得られた末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(A−2)の酸価は17.5mgKOH/g、数平均分子量は1,600、重量平均分子量は2,800であった。
製造例3〔片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(A−3)の合成〕
製造例1において、3−メルカプトプロピオン酸(連鎖移動剤)17.7部を仕込み、3−メルカプトプロピオン酸70.7部を滴下した以外は、製造例1と同様に行い、片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチルのPGMEA溶液を得た。
該PGMEA溶液の固形分は52.7%であり、得られた片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(A−3)の酸価は45.7mgKOH/g、数平均分子量は600、重量平均分子量は1,000であった。
製造例4〔片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(A−1)によるポリアリルアミン中和物(B−1)の合成〕
ナス型フラスコにポリアリルアミン(日東紡績株式会社製、PAA−01、重量平均分子量1600、有効分15%の水溶液)33.3部(有効分換算5.0部)、製造例1で得られた片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(A−1) 77.7部(有効分換算45.0部)、PGMEA300部を入れ、エバポレーターを使用し減圧しながら60℃でPAA−01に含まれていた水を一部のPGMEAとともに除去し、ポリアリルアミン中和物(B−1)溶液を得た。固形分は46.5%であった。このポリアリルアミン中和物(B−1)溶液のアミン価は42.5、酸価は21.3であった。なお、この溶液の原料から計算された酸価は22.4であることから、ポリアリルアミン中和物(B−1)の酸価は原料の酸価の合計の95.1%であった。
製造例5〔片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(A−2)によるポリアリルアミン中和物(B−2)の合成〕
ナス型フラスコに前記ポリアリルアミン(PAA−01)56部(有効分換算8.4部)、製造例2で得られた片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(A−2) 142.9部(有効分換算74.3部)、PGMEA300部を入れ、エバポレーターを使用し減圧しながら60℃でPAA−01に含まれていた水を一部のPGMEAとともに除去し、ポリアリルアミン中和物(B−1)溶液を得た。固形分は41.5%であった。このポリアリルアミン中和物(B−2)溶液のアミン価は23.4、酸価は12.1であった。なお、この溶液の原料から計算された酸価は12.6であることから、ポリアリルアミン中和物(B−2)の酸価は原料の酸価の合計の96.3%であった。
製造例6〔片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(A−3)によるポリアリルアミン中和物(B−3)の合成〕
ナス型フラスコに前記ポリアリルアミン(PAA−01)33.0部(有効分換算5.0部)、製造例3で得られた片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(A−3) 48.6部(有効分換算25.6部)、PGMEA300部を入れ、エバポレーターを使用し減圧しながら60℃でPAA−01に含まれていた水を一部のPGMEAとともに除去し、ポリアリルアミン中和物(B−1)溶液を得た。固形分は31.1%であった。このポリアリルアミン中和物(B−2)溶液のアミン価は44.0、酸価は22.4であった。なお、この溶液の原料から計算された酸価は22.6であることから、ポリアリルアミン中和物(B−3)の酸価は原料の酸価の合計の99.0%であった。
製造例7〔片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(A−1)とポリアリルアミンとの反応物(B−4)の合成〕
脱水用のエステル管を備えた4つ口フラスコに前記ポリアリルアミン(PAA−01)33.3部(有効分換算5.0部)、製造例1で得られた片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(A−1) 82部(有効分換算47.5)、PGMEA150部を入れ、窒素雰囲気下攪拌しながら徐々に140℃まで加熱した。水の溜出が見られなくなったところで反応を停止した。固形分は46%であった。この反応物(B−4)溶液のアミン価は18、酸価は8.5であった。なお、この溶液の原料から計算された酸価は22.3であることから、反応物(B−4)の酸価は原料の酸価の合計の38.1%であった。
実施例1(顔料分散体(C−1)の製造)
C.I.ピグメントレッド254(ジケトピロロピロール系顔料、BASF社製、商品名「Irgaphor Red BK-CF」、平均一次粒径30nm(カタログ値))15部、製造例4で得られたポリアリルアミン中和物(B−1)溶液16.1部(固形分で7.5部)、PGMEA118.9部を直径0.3mmのジルコニアビーズ300部と一緒にポリ瓶に量り、ペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製、400W、460rpm)で、3時間振とう混合し、体積中位粒径(D50)が100nm以下となったことを確認し、金網でジルコニアビーズを濾過し、予備分散体を得た。更に得られた予備分散体100部を直径0.05mmのジルコニアビーズ200部と一緒にポリ瓶に量り、24時間振とうした。体積中位粒径(D50)が60nm以下となったことを確認し、金網でジルコニアビーズを濾過し、顔料分散体(C−1)を得た。
実施例2(顔料分散体(C−2)の製造)
ポリアリルアミン中和物(B−1)溶液及びPGMEAを、製造例5で得られたポリアリルアミン中和物(B−2)溶液18.1部(固形分7.5g)、PGMEAを116.9部とした以外は、実施例1と同様にして、顔料分散体(C−2)を得た。
実施例3(顔料分散体(C−3)の製造)
ポリアリルアミン中和物(B−1)溶液及びPGMEAを、製造例6で得られたポリアリルアミン中和物(B−3)溶液24.1部(固形分7.5g)、PGMEAを110.9部とした以外は、実施例1と同様にして、顔料分散体(C−3)を得た。
比較例1(顔料分散体(C−4)の製造)
ポリアリルアミン中和物(B−1)溶液及びPGMEAを、製造例7で得られたポリアリルアミン反応物(B−4)溶液16.3部(固形分7.5g)、PGMEA118.7部とし、温度を140℃とした以外は、実施例1と同様にして、顔料分散体(C−4)を得た。
比較例2(顔料分散体(C−5)の製造)
ポリアリルアミン中和物(B−1)溶液及びPGMEAを、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製、主鎖:ポリアリルアミン、側鎖:ポリカプロラクトンであるグラフトポリマー、重量平均分子量6,000) 7.5部、PGMEAを127.5部とした以外は、実施例1と同様にして、顔料分散体(C−5)を得た。
得られた顔料分散体(C−1)〜(C−5)を含有する着色組成物の評価結果を表1に示す。
Figure 0005820699
表1から、実施例1〜3で得られた顔料分散体を含有する着色組成物は、比較例1及び2で得られた顔料分散体を含有する着色組成物よりも、コントラストと現像性に優れた硬化膜を形成できることが分かる。

Claims (10)

  1. 下記工程(1)及び(2)を有するカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
    工程(1):片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアリルアミン、及びエステル系有機溶媒を45〜75℃で混合し、ポリアリルアミン中和物の溶液を得る工程
    工程(2):工程(1)で得られたポリアリルアミン中和物の溶液、及び有機顔料を含有する混合物を分散して、顔料分散体を得る工程
  2. 工程(1)において、得られるポリアリルアミン中和物の酸価が、片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル及びポリアリルアミンの酸価の合計の80%以上である、請求項1に記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
  3. 工程(1)における片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルの重量平均分子量が500〜10,000である、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
  4. 工程(1)における〔片末端にカルボキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル/ポリアリルアミン〕の重量比が95/5〜60/40である、請求項1〜3に記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
  5. 工程(2)の混合物におけるポリアリルアミン中和物の量が、前記混合物中3〜30重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
  6. 工程(2)における分散を、直径0.1〜0.6mmのメディアを用いたメディア式分散機で行った後、更に直径0.003〜0.09mmのメディアを用いたメディア式分散機で行う、請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
  7. 有機顔料がジケトピロロピロール系顔料である、請求項1〜6のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
  8. (メタ)アクリル酸エステルが、炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル及び/又は(メタ)アクリル酸ベンジルである、請求項1〜7のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
  9. 工程(1)において、ポリアリルアミン水溶液を混合してポリアリルアミン中和物の溶液を得るに際し、減圧して水分を留去する、請求項1〜8のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の方法により得られる顔料分散体と、バインダー成分とを混合するカラーフィルター用着色組成物の製造方法
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